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田中(角)
委員 私はただこの六九六だけをとらえて言うのではなく、こういう問題にはつきりした定義を
監督官庁が持つておられないというところに問題があります。先般も本
委員会でもつて、国鉄の小さな問題を掘り下げたのでありますが、いもゆる運輸省の
監督権限というものが非常に稀薄に
なつておる。それで特に例をあげて、場合によつたら一部皮肉つたような言い方になりましたが、どうも
監督官庁そのものが、ルーズなと申しますか、戦後特殊な
事情下に生れたものの中に、まつたく栄転でもして行くよう
なつもりで人事異動が行われておる。こういうような状態を続けたならば、日本の行政機構は、いわゆる新憲法下、ほんとうに新しい目的を持つてうまく運営せられて行かない、こういうふうにも
考えるわけであります。昔の
批難事項を見ますと、御
承知の
通り、大体起訴か、不起訴かというものが批難せられたのでありますが、戦後は非常に
経理がむずかしくな
つたのと、いろいろな
法律が出まして朝令暮改式な状態がたくさんあつたという
意味で、被疑事件になるのか、ならないのかというような見解はお互いに違うとは思いますが、
会計検査院として違法性を指摘し、
国会に
報告する場合には、たくさんの数の中から載せなければならぬ。こういうことは好ましくないことである、こう思いながら、
会計検査院法を発動するまでには行かない。私はこういう問題に対して、少くとも国民の血税をもつて執行しておられる行政官庁というものは、相当強い
責任を持つてもらわなければいかぬ。私たちは自由党でありますが、行政整理を行う、機構の再編成、簡素化を行う、こういうときになると、まつ向から反対であります。まさに自由党が反動であり、首切り役であるようなことを言いながら、こういう
予算費目を流用する、パスは買う、家は買う、高級自動車は求める、待合の勘定はお前払えという議決を突くにやらせておいて、その責めはみな自由党であるといわかたのでは、これはどうにもならない。私たちはそこを言つておるのであります。われわれは自由党なるがゆえに、今自分が
予算を組むためにいろいろな難局に逢着しておるから、特に八つ当りをするようなことではなく、非常にわれわれが無理をして、実際今問題に
なつておる遺家族の問題などは、一人何千円、何百円という問題でもつて、毎日党では会議を開いております。私はこういう
批難事項を見るときには、少くとも各
委員会を通じてみて、
決算委員会ほど
説明員の
出席をせられる
委員会はありませんが、悲しいかな、常設
委員会がたくさん設けられてから、
決算委員会の
委員の
出席率はあまり芳ばしくありません。この問題は非常に大きな問題であり、あなた方は相当に辛辣に突つつかれるとお思いに
なつて、これだけのメンバーをおそろえに
なつておられるのでありましようが、
委員の不勉強もありましよう、私たち自身も戒慎しなければならないところはたくさんあるのですが、こういう同じものを、何時間も
説明せられておつて、以後気をつけますと言つても、
一つも気をつけておられないということでは、私は掘り下げなければならないと
考えておる。私は午前中
予算委員会で、
経済問題の非常に困難な問題の
質問を行
つたのでありますが、
予算をきめるときは、非常に大きくやりますが、
決算ということになると、もう使つてしまつたんだからしようがない。
決算委員会も、あやまれば何とか通してくれるだろう。とにかく
国会が承認を与えても与えなくても、いわゆる現行憲法下においては、
会計検査院が最終確定を行うのだから、要は一応
報告すれば足りるのだ、こういうのであつては、私はもうどうにもならないと思う。だから、少くとも批難されることは、みな悪いことであつて、何もあやまられる必要もないし、またわれわれも全部掘り下げようとは思つておりません。私はこの六九六だけを言つておりますが、
——六九七のような大事件もあるのですが、要は六九六に対して、主務官庁である農林省が優柔不断な処置をとつておられる。しかも長いこと私たちも申しておるのでありますが、これに対して明確な
考えをおきめに
なつておらない。
会計検査院は、憲法の許すところ、違法性を指摘すれば足りるのである。こういうのであれば、私は過去四、五年間にわたり、本
委員会で、
会計検査院の権限拡大を説きはしないのであります。憲法で明記された、ただ
一つしかない
会計検査院の使命というものは、違法性を指摘するだけでなく、いかに国費の執行を適正ならしむるか、こういうところにあるのであつて、こんな問題はどうですということを、少くとも検察庁とも御連絡願つて、あなた方がこの種のものを
批難事項としてあげられる場合には、明確なる結論を御発表になれるようなところまで行つてもらわないと、私は国費の適正執行はできないと思います。私はあえてこれ以上申し上げません。私が野党であれば、もう少し掘り下げるのでありますが、何分にも与党でありますし、私たちは実際今の状態でもつているくなことを批難られ、批判せられておるとき、自由党の党員としては、
公団の
批難事項でも掘り下げて行けば実にうまいのです。これはみんな社会党の時代につくられたのだというくらいなことで掘り下げて行けば、実におもしろいのですが、そういう
考えを持つておるわけではない。しかし実にいろいろな
経済的な混乱の時代もありましたし、好むと好まざるとにかかわらず、この種の機構でもつてやらなければならなかつた時代でありますので、いろいろなマイナス点はありますが、
公団組織ほど日本に偉大なるマイナスをもたらしたものはありません。いかにインフレの状態であつても、全部の
公団を合せると数百億円に上るということであつたならば、これはたいへんな問題であります。防衛費などの問題をやるよりも、われらは翻つて
公団の実態をつくべしというところにあるのであります。かような問題にかかわらず、
監督官庁の方々は、もう古い問題であるし、しかも全然その当時は処罰をしておらなかつた。しかも
会計検査院は、当時
予算執行職員等に関する
法律云々というお話もありましたが、私はそうではなく、議会の議決を経た国民の金を執行するには、これはやはり寸毫も汚職があつてはならぬ、こういうふうに
考えます。われわれは自分の金を選挙に使つてもとやかく言われるのに、月給をもらいながらいろいろ違法なことをやられても、しかもそういうような支出をしても処罰を受けないという感覚は、徹底的に改めなければならぬ。私は一ぺんずつ、批難されておる各官庁の方々に申し上げておるのです。だからこれだけに申し上げたのではなく、私は今まで
各省が参りますと、同じようなことを一回ずつ憎まれ口を言つておるのですが、
委員会において、ただ
答弁がうまく通ればいい、われわれもただ大向うをうならせるような演説をすればいいということでなく、いかにして困難な日本を切り抜けて行くかということに対しては、お互いに熱意を持たなければならぬ、あなた方が熱意を持たれるならば、あえて刑法を犯した人さえも、訴追を受けた人たちでも、講和條約が発効したあかりきには大幅な大赦が行われるというときに、私たちはこんな、場合によつてはどうにもならない、
決算はもう最終確定を
会計検査院において行つたものだというようなことを掘り下げようとは思わないのです。われわれの言うのは、ただこれからほんとうにお互い同士の力でもつて、うまくやつて行かなければならぬ。しかも非常に国民に信頼せられる官吏になる、国民に信頼せられる代議員になるというためには、お互い自身やはりいやなことも言い合つて、こういうことは再び出さない、これも前のことは言わず、少くともこれからこういう
事態があつたならば、厳重なる処罰を行うというくらいなおふれは当然出さなければなりません。私も
決算委員だけはずつとやるつもりでありますので、この種の問題を同じ方々が、来年にも、再来年にも、しかも私が発言してから以後においても、こういうものが陸続と批難せられるというような場合には、私は相当突つ込んだ、場合によつてはきらわれるいじめ方もやりたい、こう
考えております。だから、こういう問題は、私たちや与党の
大臣が出ておりますので、
大臣にも厳重に申しますが、あなた方もお帰りになられたら、きようは
決算委員会でうんとやられて来た、二度とやつたら
承知しないぞ、こういうお話がありましたということは御
報告に
なつていただいてけつこうです。けつこうというよりも、当然やつていただいて、そうして私たちが、
決算というものは
国会に
報告をされなくても、
会計検査院にまかせておいて楽楽とやれるというようなことになれば非常にいい。
もう
一つ最後に申し上げますと、今までの状態で行くと、これはだめだ。国費の支出が適正を期さないから、
経済調査庁をつくろう、査察庁をつくろう、検察陣を入れよう、公共事業監察法をつくろう、こんなことを言つておつたならば、官吏はふえるばかりであり、行政権限の紛淆を来すようなおそれがある。だから私は絶対にこれに反対して来た。そうして今までうるさいといわれながらも、
会計検査院の権限拡大の
法律に対しては、私は熱意を持つて四、五年やつて参つたつもりです。だから、そういう
意味で、これ以上手数をかけたり、これ以上国民に信を失うようなことは、お互いに慎まなければならない。私も与党の議員でありまして、この一半の
責任は、当然今の憲法下では負わなければならないと思つておるのでありますが、これくらい有能な方々が、何にもならないことでこれだけ顔を並べて、いやな一日一日を毎日やるということを
考えたら、これは偉大なる
国損であります。あなた方が、こういうことは絶対にしませんということが、もし言えるならば、
決算委員会は、もつともつと簡単でいいはずだ。しかも
各省の心臓を押えておられる、
各省のほとんど全部の金庫を背負つておられる方々が、一日全部ここにお
並びに
なつておられるではありませんか。私はそういう
意味で、少くとも今非常に忙しいときであり、大事なときであるだけに、皆さんがフルに動いて、私たちと皆さんの間でいやな思いをしないでもいいように、国民の前に大手を振つて歩けるようにやつていただきたい。私の希望を申し上げておきます。