○
周東国務大臣 お尋ねでありますが、御
質問の中にもありましたように、
独立後の
日本の
経済の
進展復興ということについては、私
どもも見込みは立てておりましたが、なかなか今日においては容易ならぬ因子を含んでいると思います。ことに最近における世界的な
景気後退の
状況、このことはいつまで続くか、これは確言できませんが、必ずしもいつまでも続くものとは思いません。しかし現在の
状況においては世界的な
経済の
後退といいますか、そうい
つた状況にあります。こういう
状況のところで
講和が成立しましたが、その
影響を受けまして、最近における
貿易の
伸び方というものは非常に悪いのであります。こういうふうな
状況を
考えつつ、将来の
生活水準の目標をどこにおいてやるかという
お尋ねでありますが、それは私は一言にして申し上げますれば、一足飛びに
戰前の
水準にもどるというようなことはとうてい望むべくもないのであ
つて、やはり昨年度から
国会等で申し上げておりますように、新しい事態に即しつつ、しかも
国民生活の
水準は現在よりも落さないで、徐々に年々二パーセントぐらいずつでも
増加させつつ進みたい、こういう方針でおることは今日でもかわりはありません。しからばその
方策いかんということが次に出て来る問題かと思いますが、これはやはり、
一つには
国内における
資源の
開発ということによ
つて国内における需要の
増加をはかり、かつ
工業資源の
供給を自前でなし得る範囲は、どこまでも
資源の
開発をして行く。第二は、やはり
貿易振興によるほかはない。これは常に申し上げておりますように、
国民生活の
必需品を充足する上から申しましても、また
日米協力等の線から申しましても、必要なる
商品の
輸出をいたしますについても、その
原材料の多くはこれを
外国に仰いでおります。まずこれを
輸入し、加工しつつ
輸出を伸ばす、こういうことにならなければならぬのでございます。この面においてはもちろん
努力をする
施策を立てるということは、
一つもかわ
つておりません。第三にはこれらの
国内資源の
開発並びに外からの
原材料の
供給を仰ぎつつ、これを製品化する上においての
努力、
資源の
開発という面について
具体策を立てる必要があります。第四は、これらの問題を通じて
考えたときに、あくまでも
貿易関係における構想は、
商業採算に
基礎を置いて構想されるものでありますから、それに耐え得る力を養うということが必要であります。この点においては積極的に
コストの
引下げが
考えられなければならぬ。一面においては
合理化による
コストの
引下げ、
設備の改善もありますが、手取り早い点としては、
金融面におきまして使い得る金を、低利でできるだけ出すということを
考える必要がある。今日
生産コストの
相当広義な部分を占めておるものは
金利関係にある。この点について将来考慮をして行く必要があります。こういうことは
施策の第一に
考えなければならぬのでありますが、しかし全体を通じてこれらを実行いたします上について、
経済財政の
基礎はやはりあくまでも
健全財政の線をと
つて行くことが必要だと思います。
終戰後今日まで非常な
物価騰貴、
インフレの時代を切り抜けてともかくも安定への道を今日確保しておるわけであります。
独立後いろいろむずかしい問題がありましても、あらゆる
産業経済の推進をいたす上において、またその結果
国民生活の安定をさせる上において、
外国貿易をいたすについて、コンマーシャル・べースにおいて
競争にたえ得るためにも、やはり
インフレになることは好ましくない。
財政の
基礎を健全にしつつ、一方において消費を縮小する、こういうことが必要であろうと思います。直接
お尋ねに当
つておるかどうかわかりませんが、御
質問に
お答えいたします。