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1952-06-20 第13回国会 衆議院 経済安定委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十日(金曜日)     午後一時五十六分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 多田  勇君 理事 永井 英修君    理事 中崎  敏君    岩川 與助君      小野瀬忠兵衞君    圖司 安正君       奈良 治二君    福井  勇君       福田 喜東君    渕  通義君       細田 榮藏君    滿尾 君亮君  出席政府委員         通商産業政務次         官       本間 俊一君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      井上 尚一君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      佐枝 新一君         運輸事務官         (自動車局整備         部長)     中村 俊夫君         経済安定事務官         (産業局長)  近藤 止文君  委員外出席者         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君 六月二十日  委員森曉君辞任につき、その補欠として滿尾君  亮君が議長の指名で委員に選任された。      ————◇————— 本日の会議に付した事件  国際的供給不足物資等需給調整に関する件      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き国際的供給不足物資等需給調整に関する件について、その調査を進めます。  まず私より委員会を代表いたしまして通産政府委員にお尋ねいたしたいと思います。当委員会におきましては、過般国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律案を可決いたし、すでにそれは成立しておるわけであります。この委員会におきましてわれわれが審議しております過程において外国自動車譲受規則というものは七月一日より廃止することになりまして、当時政府委員からも、七月一日以後は外国自動車自由販売であつて、円の決済その他によつて自由に、認許可等はいうないという説明でありました。このことはまた当時われわれ自由党政務調査会において、この法案を審議する際において、通産運輸その他関係委員にお集まりを願いました際にも同様の説明があつたのであります。そういう了解のもとにわれわれはこの法案を審議いたし、そうして可決成立しておるわけであります、その後われわれも全然知らなかつたのでありますが、党の中において問題になりまして、通産省の方でそれに対し七月一日以降も認許可のいるような告示とか通牒を出しておることがわかつてつたのであります。そうして昨日安本の委員から通産省告示内容振興局長通牒内容を拝見いたしたり、いろいろ説明を聞きました。こういつたことは当委員会法律を審議し、可決いたしましたその趣旨に違反しておる、こういうふうにわれわれは考えておるのでありますが、この点に対して通産当局はどういうふうにお考えになつておるか、まず第一点といたしましてお聞きしたいと思います。
  3. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げます。ただいまお話がありましたように、物調法関係が七月一日から廃止になりますので、その関係は自由になるわけでございます。通産省の方で御指摘のありました通牒でございますが、御承知のようにただいま政府は、各国もそうでございますが、為替管理をいたしておるわけでございます。その関係で、日本居住をいたしております人と、それから日本居住をしない非居住者との区別がございまして居住者でない非居住者に対しまして円の取引をいたします場合も、あるいはドル取引をいたします場合も、許可を要することになつておるわけでございます。大体の原則といたしましては、アメリカ軍人軍属日本に参つておりまして、その品物を自由に処分することができない建前になつておるわけでございます。従いまして非居住者に対しまして、円でもドルでもそうでありますが、支払いをいたします場合には為替管理の上の許可が必要ということになつておるのであります。そういう関係からいたしまして取扱いをきめたわけでありますが、御承知のように軍人軍属の持つております万年筆でありますとか、その他いろいろな小さなものがありますが、これらは実際売り買いをいたします場合をかりに規制をいたしましても、なかなか取締りその他の関係がありまして、困難なわけであります。そこでそういう品物許可を要しないことにいたしまして、しかしその反対に輸入をいたします方の大もとの方で調節をしよう、こういう考え方をいたしております。それから御指摘のありました自動車は相当金額が張る関係もありますので、そういう観点から、幸い登録制度というようなものもありますので、軍人軍属自動車を買いました場合には為替銀行を通じまして許可手続をし、そうして為替管理法上の許可を得て支払いをする、こういうふうな処置にいたしたわけでございます。
  4. 前田正男

    前田委員長 これはこの法律をわれわれ審査しますときにおいては、こういう告示は、第百十四号というのは出ておらなかつたわけでありまして、外国自動車というものを外国為替管理令に基いて認許可制にするという考えを、その当時通産省として持つておられたかどうか、この点を明言していただきたいと思います。
  5. 本間俊一

    本間政府委員 私どもは七月から自由になるという場合を想定いたしまして、いろいろな相談をいたしておつたわけでありますが、これは御承知でもあろうかと思いますが、大蔵省の方も、独立をいたしました後の通貨は日本国内におきましてはできるだけ円一本で行きたい、こういう強い線を打出しておるわけであります。私どもの方でも貿易を担当いたしておりまする関係上、その輸出入の調をどこでやるかということにつきましてはその後いろいろ検討いたしまして、そうしてただいま申し上げたような処置にいたしたわけでございます。
  6. 前田正男

    前田委員長 重ねてお伺いいたしますが、われわれの委員会で審議しておりますときにはこういうことを考えておられたのかどうか、その点について質問いたします。
  7. 本間俊一

    本間政府委員 いつその御指摘法案を審議されておりましたか……。
  8. 前田正男

    前田委員長 三月十八日です。二十五日に可決しました。
  9. 本間俊一

    本間政府委員 そういうふうに処置をいたしましたのはそのあとであつたと思います。
  10. 前田正男

    前田委員長 告示は五月二十日で出ておりますからあとになりますが、そうしまと政府は、われわれが審議可決しましたときに考えておりました外国自動車自由販売にするという方針であつたのが、五月二十日の告示によりまして方針がかわつたというわけでありますか、その点について伺いたい。
  11. 本間俊一

    本間政府委員 自由販売ということではないわけでありまして、御承知のように物調法がなくなりますれば、今まで売り買いその他に関しますいろいろな規制があつたわけでありますが、その規制はまつたくなくなつたわけであります。従いまして御承知でもあろうかと思いますが、行政協定によりまして、日本に駐留いたします連合国軍人がその品物を処分いたします場合には許可を要することになつております。これは両政府合意の線でやるということになつておりますので、そういう関係からやつておるのでありま
  12. 前田正男

    前田委員長 今のお話ですと、行政協定というものが新たにできたから、それに基いて認許可を要するということになつたと考えられるわけでありますが、われわれが審議しておりますときにおいては、そういうことについては何ら発言はなかつたのであります。そうして自由に売り買いができる、通産大臣認許可を必要としないということでありました。しかしこの告示の中には、講和独立に基いて行政協定ができた、それに伴う告示であるというふうに書いてありますが、もしそういうことになるならば、外国自動車のことが行政協定のどこの細目にどういうふうに明記されておるのか、それを明示していただきたいと思います。
  13. 本間俊一

    本間政府委員 御承知でもあろうと思いますが、行政協定によりまして駐留軍が持つております品物を処分いたします場合には、両国政府合意をいたしました方法によるということになつております。その合意は、来週の合同委員会でいろいろなケースにつきまして向う側と折衝いたすわけでありますが、その必要上から、為替管理の上で御承知のような処置をいたしておるわけであります。
  14. 前田正男

    前田委員長 今政務次官のお言葉にありました通り、私どもの聞いております範囲においては、早くて来週にこの細目が決定されるように聞いておるのであります。その以前において告示外国自動車に出したのは、行政協定違反ではないかと思いますが、その点はどうですか。
  15. 本間俊一

    本間政府委員 合意が成立をいたしません前は——ただいまはアメリカ軍人軍属の持つております自動車の売りどめ、停止をいたしておるわけであります。従いまして合意が成立いたしますれば向うでは売らせるようにする、こういうことになつております。私どもの方としては売つてもらつた方がいいわけでありますから、国内需給関係も勘案をいたしまして、できるだけ早く売りどめを解除いたしまして、車が民間に流れるようにいたしたいと考えております。
  16. 前田正男

    前田委員長 政府考え方とか何かにつきましては、委員の方から御質問願うことにいたしまして、私はもつぱら委員会を代表いたしまして法律的な手続とかやり方とか、事前措置とかいうことだけについてお聞きしたいと思うのであります。細目協定が実施されていない五月二十日においてこういう告示を出すということは、法的にいいのかどうか、この点について伺います。
  17. 本間俊一

    本間政府委員 それは先ほども申しましたように、為替管理関係から出したのでありまして、それが違法であるとかいうことは少しもないものと考えております。
  18. 前田正男

    前田委員長 次にお伺いしますが、政府といたしましては、外国自動車為替管理令行政協定に基いて認許可にしたいという御希望のように聞きましたけれども、私ども自由党におきましては、かねてから外国自動車自由販売にするという建前になつておりまして、通産委員からもすでにお話があつたと思いますし、運輸委員からもお話があつたはずであります。従つてこれから行政協定細目協定に入るわけでありますから、政府自由党の意見、あるいは経済安定委員会におきまして過般法律を制定いたしましたところの趣旨にのつとつて、当然外国自動車行政協定細目からはずしてもらう、こういうような交渉をすべきであると思います。そういう以前にこういう告示を出すということは、全然国会を無視していると思いますがどういうお考えですか。
  19. 本間俊一

    本間政府委員 国会意思を無視するようなことは少しもないのでありまして、私ども先ほど申し上げましたように、為替管理関係上そういう措置をいたしたわけであります。何も自動車に限つたわけではないのでありまして、アメリカ軍人が所有いたしておりまする品物を処分いたしまする場合には、みな許可がいるごとになつております。
  20. 前田正男

    前田委員長 それは行政協定細目を両政府話合つて了解のついたものについて認許可がいるのでありまして、日本政府といたしましては、外国製自動車は、行政協定細目のときに、日本側としてはこれを入れると困るということを極力主張してもらうべき立場ではないかと私は思うのであります。国会意思というものは先ほど申し上げた通り、この法案をわれわれ委員会で審議いたしますときには、これは、そういう認許可制度は、たといどういう法律どういう命令に基いてもないようにしよう、ほんとうに自由販売にしようということで、われわれはこの法律を審議して可決しておるのでございまして、たとい為替管理令というものがありましても、行政協定においてはそれを省くように交渉する余地はあるのであります。余地があるのに、細目が決定しないうちに告示を出しをいうことは、われわれの意思に反していると思いますがどうお考えですか。
  21. 佐枝新一

    佐枝政府委員 ただいま政務次官お話になりました通りだと思います。自動車販売を自由にするということは、国内的には自由になるわけであります。ただわが国におきましては、国際收支関係から貿易並びに為替管理をいたしております。従いましてただいま新車の場合、ドル地域からどれだけ、あるいはボンド地域からどれだけ、あるいは特定のオープン・アカウント地域からどれだけということは、毎期々々外国為替計画に基いて入れるわけでありまして、国内に入れる際は、為替管理上並びに貿易管理上の許可手続をして入れるのであります。私は、稀少物資関係は、法律御審議の際にそういう貿易管理上の規制ないし統制を全然排除するという意味はなかつたと思います。国内的にはもちろん自由であります。ただ駐留軍関係軍人軍属の所有いたしております中古車国内処分につきましては、日本に入れる際には行政協定によりまして、何ら貿易為替管理上の手続を経ることなく自由に持つて来れるわけであります。従いまして軍人軍属が持つておる間は、これは国内にありますけれども、事実上そういつた面では外国にあるようなものであります。これを国内において処分する際に初めて実際に輸入ということになるわけであります。国内処分について外国為替管理令の特例に関する件という政令を出しまして——これは講和発効の日から公布施行されたのであります。必要な措置をとるということで、これは決して国内自由販売をしないということではありません。一旦中古車といえども駐留軍軍人軍属の手から国内の本邦人の手に移つた際以後は自由販売ができる、こういうことであると私は考えております。
  22. 滿尾君亮

    滿尾委員 関連して。ただいま委員長から政務次官への御質問のありましたうちで、政務次官の御答弁に、駐留軍軍人の持つている品物は、自動車に限らずみな許可がいるのだというお言葉があつたように私は拝聽したのでありますが、これは明らかに政務次官のお考え違いではないか。通産省告示第百十四号その他を解釈いたしますと、自動車だけ許可制をしいておる。冷蔵庫にしましても、ラジオにしましても、洗濯機にしましても、駐留軍はその持つている品物を自由に販売することができる。但し自動車だけは通産大臣許可を要するときめたのはこの百十四号の告示でありまするから、明らかに政務次官は何かお考え違いをなすつて答弁になつておるのじやないかと思う。自動車だけなぜピツク・アツプしたかという点がお互いに話の焦点でございますから、ちよつとお考え違いをなすつておるのじやないかということを私は申し上げておきます。
  23. 本間俊一

    本間政府委員 一つ考え違いをいたしておりません。処分いたしまする場合にはすべて許可がいるという建前になつております。従いまして、自動車は御指摘のような処置をいたしておりますが、今後その他の品目につきましても、許可を要するような措置をとろうと考えております。
  24. 滿尾君亮

    滿尾委員 通産省告示の百十四号の字句によりますと、外国自動車だけ明らかに書いてありまするが、この法令を読んで、次官のような解釈は出るでしようか。
  25. 本間俊一

    本間政府委員 建前は私が申し上げたような建前であります。ただ先ほども申し上げましたように、万年筆でありますとかその他小さな物は、実際上最終取引のところで許可を要するというような手続をきめましても取締れないというような関係から、万年筆その他の小さな品物は、最終のところではよろしいというふうにはずしておるわけであります。建前はみな許可がいるという建前になつております。従いましてそれらの今申し上げました万年筆その他の比較的小額の物は、入ります元で調節をしたい、こういう考えであります。
  26. 滿尾君亮

    滿尾委員 いかにもこの為替管理令二十六條の規定の仕方なり、この告示百十四号の文章の記述の方は確かに政務次官のおつしやるようになつておる。原則として許可を要するぞということになつている。ところがそれを裏から裏から打消して、最後に残つておるのは外国自動車だけが残つていて、結果としては外国製自動車だけが許可を必要とすることになつている。法律の文句の書き方は今お話のような考え方をとつております。それは私もよくわかる。しかし結果としてお残しになつたの外国自動車だけなんだ。万年筆はもとより、口紅でも電気冷蔵庫でも、洗濯機でも何でも、自動車以外の物は自由になつている。結論としてこれははつきりしている。従つてそれは観念論で政務次官お話になつておるのであつて、結果としては具体的に法的効果を発しておるのは、外国自動車以外にないと解釈しておりますが、まだ自動車のほかにございましようか。あれば御例示を願いたいと思います。
  27. 本間俊一

    本間政府委員 先ほども申し上げましたように、建前は私が申し上げたような建前にして、万年筆というような、あなたのあげられたような、比較的小さな品物は、かりに許可を要すると申しましても、実際問題としてなかなかつかまえられぬ。手続をきめましても実行が困難だという考えから、今申されましたような品物許可を要しないことにいたしたわけであります。そのかわりどこで調節をするかといえば、輸入をいたしますところで調節をして参りたい、こういう考え方を持つておるということを申し上げたのであります。従つて指摘自動車は御指摘のような処置を必要とするわけでございますが、その他の品物につきましても、ただいま自動車と同じような手続をとらなければならぬような品目を追加しなければならぬというふうに考えておるわけであります。
  28. 滿尾君亮

    滿尾委員 これは驚くべきお話であります。今後外国自動車にならつて追加するんだというなら、そのときに外国自動車も一緒にやられてよいのではないか。先ほど委員長からお話がありました通り、基本の行政協定細目がちつともきまらないうちに先走りして自動車だけ出した。自動車だけではない、これから大いに品目を追加するという考えがあるなら、何も外国自動車だけ先走る必要は毛頭ない。また万年筆や何か小さい品物輸入の元で押えると言うが、それなら外国自動車つて輸入の元で押えていただけばよいのではないか。その点がわれわれが先般からいろいろお話し申し上げている要点なのであります。アメリカ軍人にも悪いのがおります。だからその場合を予想せられるのもごもつともであります。だからアメリカ軍人に、アメリカ側に、一年に一台だけ輸入は認める。三台も五台も買つて転売するおそれのあるものはアメリカ側にも押えてもらうように行政協定をお結びになつたらいかがかと思う。日本通産大臣がその許可制をしくことはいうないことである。それを日本側建前として許可制をしくとおつしやるから、せつかくこの物調令を廃止して国内において自由という大原則を立てたにもかかわらず、知らぬうちにいつの間にかこういう許可制が残つてしまつた。この点で私どもはこれを不満としていろいろお話を申し上げておる。どういうわけでこの自動車だけ先におきめになつたか。また今後どういうものを御追加になろうとする御意思があるのか。またなぜほかの物資と同じように、自動車アメリカ側において輸入の元を押える措置が不可能なのか。それらの事情について御答弁をいただきたい。
  29. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘のありました自動車金額も相当張るわけであります。御承知のようにもちろん外国から入るところで調節をいたします。それから御承知でもあろうかと思いますが、軍人軍属関係は、必要に応じて向うが入れるわけですから、かりにあなたの今言われるように、五台だけ入れてくれというような話は通ぜぬわけであります。従いまして向うともいろいろ話をいたしました結果、行政協定の方は、軍へ軍属が持つております自動車を処分する関係でございますから、そこの話がつかなければ売り止めをいたしておるわけでありますが、できるだけ早く出したという関係で、その方のとりきめを急いでおつたわけであります。それから御指摘になりました許可を要するというのは、為替管理をいたしております建前措置をいたしました処置でございますから、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  30. 滿尾君亮

    滿尾委員 せつかく御答弁いただきましたが、お尋ねいたした要点に触れた御答弁がありませんので、私はどうもよくわからないのでございますが、一問ずつわけてあらためてお尋ねいたします。外国製自動車は例示的に出したものであつて外国製自動車以外のものも、今後通産大臣許可を必要とする建前をとるのだという御答弁をいただいたように思つておりますが、外国製自動車以外のいかなる品目許可制になさる御意思があるのか、その点を伺いたい。
  31. 本間俊一

    本間政府委員 これはまだ正確にきめておりませんから、その建前でお聞きとりを願いたいと思いますが、たとえばテレビジヨンのような機械は、自動車と同じ措置になるかどうかわかりませんが、これにつきましては一つ調節措置が必要であると考えております。
  32. 滿尾君亮

    滿尾委員 たつた一つお話でございましたが、テレビジヨンはなぜ必要なのか。これはちよつとわき道になりましたが、結局この措置というものは、為替管理法二十六條の精神によるものだと思うのです。そうすると資本逃避のおそれありとするか、あるいは国際貸借上の重要なものであるという以外に実質的理由がない。まさかこれによつてわが国資本海外に逃げ出すという御答弁ではあるまいと私は想像する。従つてこの項は国際貸借上の重要なる項目だということに相なるわけです。はたして軍人軍属が新しい車を買つたために、今まで乘つてつた車日本人に中古車として売るということが、わが国国際貸借上重要なりとお考えになつておるのか、その点の事情について御説明をいただきたい。
  33. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘のありましたように中古車海外資本逃避をするということはございません。ただお断りしておきたいのでございますが、どこの国でも貿易管理為替管理をいたしております。それは原則として、その国の国際收支関係から、また国内産業関係から、当然国が貿易調節をはかり、為替調節をはかつて行くということでございまして、その線から私ども貿易及び為替管理をいたしておるわけであります。
  34. 滿尾君亮

    滿尾委員 わが国が総体的に為替管理をせられる立場は、私もよく了承いたしておるのであります。従つて外国自動車わが国が総合的に輸入する立場について、ある程度為替わくがはまることもよく了承いたしておるのであります。従つて今度のような外貨予算がきまつて自動車に幾ら向けるということはよくわかるのでありますが、今度の場合は、私はそれとかわつておると思う。つまり外国為替をおきめになつて、たとえば四月から九月までに七百万ドル、そのうち百万ドル中古車に認められるというぐあいにおきめになるつのは一向さしつかえない。しかし個々の自動車について許可制をしく必要はない。これは日本政府アメリカとの間の行政協定によつて大体の措置をおきめになつて、そのわくははめていい。しかし許可制をしく必要は私は毛頭ないと思いますが、アメリカ側にその措置をとらせることがどうしても不可能だという御見解なのでございましようか。伺いたい。
  35. 本間俊一

    本間政府委員 ただいま御指摘になりましたように、全体の計画で大きなわくははまるわけであります。自動車関係から申せばデイーラーを通じて入る車があるわけであります。ところがただいま駐留軍関係は無為替で、日本自動車貿易計画とは関係なしに入つて来るわけでございます。従つて為替で入つて来る関係の総わくをどこかで調節をしておく必要があるので、そういう意味合いで処置いたしておるわけでございます。なるほど売買の契約ができたときに、為替銀行を通じて許可は必要になつておりますが、それはその人が外国自動車を買うのに適当であるかどうかという判定をいたしたり、その資格を判定することによつて許可をするとか、しないとかいうことができるわけでありますが、そうではなく、許可と申しましても届出主義のようなかつこうをとりまして、駐留軍の方から年に二千台なら二千台、二千五百台なら二千五百台入るという話合いがつきますれば、為替銀行を通じて手続さえすれば、普通の貿易の例になつて、先着順でどんどん処理して行く、こういうふうに考えておるわけでございまして、その許可が非常にむずかしく、売買した内容とか、所有する人の仕事の関係とかいうことを調査して、一々審査するというわけではないのでございます。
  36. 滿尾君亮

    滿尾委員 許可はほとんど自動的に動いて、何もそう心配する必要はないという御説明でありますが、それでは何のために許可制にするか。一年間に軍人軍属から日本国内に流れる自動車の台数を計算するだけにとどまるのか。そういう極端な例は起りませんが、御説明の精神を延長して考えると、一万台であろうと三万台であろうと、チエツクはいたしませんで、ただ今年は一万台であつたが、来年は三万台になるかという、客観的な事実を御認識になるための許可制度でありますか。そのくらいなら許可する必要はない。許可という以上は、どこかにおいて何らかの客観的な情勢が発生したならば、これをチェックするという内容がその中に入らなければ、許可の意味をなさないのであります。許可制をおとりになるお気持の中には、どの段階かに到達したならば、必ずやそれに対して制勝を加えるという意味がこもつておるものと解釈いたしますが、いかがでありますか。
  37. 本間俊一

    本間政府委員 お尋ねの通りでございまして、私ども貿易管理し、為替管理いたしております建前は、国内需給計画及び国際收支関係国内産業との関係を勘案いたしまして、輸入計画を立てるわけであります。輸出の計画にいたしましてもその通りでございます。従いまして、軍人軍属自動車アメリカ側と大体話をいたしまして、ことしは二千台あるいは二千五百台というような、数字が決定をいたしますれば、それを基礎にいたしまして、やはり新車の輸入関係、その他を調整するのは当然でございます。従いまして一年の間について見ますと、合意ができまして、二千台あるいは二千五百台という数字が決定をいたしました範囲内では先ほど申し上げましたようにどんどん先着順で処理をいたします。その数量を越えるということになれば、御承知のように私どもが立てております貿易計画というものに影響して来るわけでございますから、もちろんただ数量だけを勘定しておるというのではないのでありまして、日本貿易計画国際收支関係等を勘案いたしまして、そうして大体日本へ入ります外国の車はこの程度が適当であろうという線を検討いたしましてきめることになるのであろうと考えております。
  38. 滿尾君亮

    滿尾委員 今の御答弁については非常に疑問を存しますが、同僚委員の方が御質問されるようですから、私の質問はあとに譲りますが、その前に一言伺いたいのは駐留軍日本国内に無為替輸入するにせよ、車を日本に入れるというのは、その支払い手段はもとより円によるわけである。従つてドル為替支払いの勘定には入らないわけです。でありますから私は為替管理という角度からいいました場合に、この駐留軍から日本へ転嫁しますものは日本としてはドルを必要としない部分でありまするが、やはり外貨予算の中に、その一環としてお考えになる予定になつておりますかどうかを伺いたいと思います。
  39. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げますが、御指摘通り今後は円になるわけでございまするから、その方の関係外貨予算の必要はございません。但し軍人で職務の関係で本国へ帰る人に対しましてはドルの裏打ちをするということになつておりますから、その分は外貨予算に組まなければならぬと考えております。
  40. 中崎敏

    ○中崎委員 この措置をとられました理由は、先ほどから御説明がありましたように、一つには国際收支関係と、一つには国内産業保護の関係と、もう—つは相手国の日本輸入に対するいわゆる最惠国待遇といいますか、そうした相手国のとつた態度に対する報復的措置等も含まれて外国為替管理令ができておると思うのでありますが、まず今度自動車に対する措置につきまして、国内産業保護の見地からもやはり今のような問題が考えられておると思うのであります。国内自動車工業がどういうふうな発展の段階にあり、さらに今後外国自動車輸入措置と関連して、どういうところまでこれを保護して行かれる方針であるかをお伺いしたいと思います。
  41. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げたいと思います。御指摘もございましたように、やはり国内の産業は保護して行くという基本的な考えに立たなければならぬと思つておりますが、これにつきましては実はいろいろ御意見がありまして、たとえば国内自動車工業はトラックだけでよいじやないかというような御主張をなさつておられる方もございます。それから御承知のように終戰後乘用車は禁止をせられておつたのでございますが、二年ほど前から比較的小型のものをいたしております。それから警視庁その他で使用いたしておりますジープのようなものを一部ただいまつくつておるようであります。私ども考えといたしましては、まだきちんと方針を確立いたしたわけではございませんが、トラツクはもちろん十分その生産を育てて行かなければならぬと考えておりますけれども、やはり乘用車も育てて参りますならば、相当な進歩をするのではないかという考えを持つておるわけでございます。従いまして日本自動車会社が製作いたします自動車があまり数が多くなりますと、かえつてどうかとも考えておりますので、できるだけ生産いたします品物を少くいたしまして、できるだけ国際的な水準に達するような方策をとつて参らなければならぬのじやないか、こう考えております。
  42. 中崎敏

    ○中崎委員 現在国産車がその品質の点においても相当見劣りがいたしますし、価格の点についても相当割高だとわれわれは見ておるのでありますが、それについては今言われますように、これをいろいろな意味において保護助成して行くというお考えのようであります。これはただ單に生産の数をある程度制限するだけでは解決つかないのでありまして、たとえば技術の水準によつてどういうふうに取扱う、そしてまた生産のスケールというか、生産工場の規模と申しますか、そういうものをどういうふうにするかという問題等もあるのでありますが、政府としてこれに特殊の助成の方法を講ずる、たとえば資金が足りない場合においては、これにどの程度の計画に基いて融資するとか、あるいは特別の価格の上における補償政策をとつて行くとか、あるいは技術指導の面において特に部分品、あるいは組立て等においても、一つの技術上の指導の具体的な方策を持つて行くとかいうふうな、総合的な問題を取上げなければならぬと思うのでありますが、これについてはどういうふうに考え、またやられつつあるのか、それをお示し願いたいと思います。
  43. 本間俊一

    本間政府委員 ただいま御指摘のありましたような点につきましては、十分研究して参らなければならぬ点でございますが、御承知のように日本自動車工業は、終戰になります以前におきましては非常な国の保護を受けていわば温室で育つて来たような面も多かろうかと存じております。終戰後いろいろな波を越えて参つて来ておるわけでございますが、自動車工業のただいま一番隘路になつておりますのは価格ももちろん非常な議論のある点ではありますけれども、やはり素材ではないかと私は考えております。大体日本機械工業を見ますと、非常に大きな隘路は素材にあるのではないかと考えております。従つてこれは自動車に限つたわけではございませんが、この方面に今後私どもの努力を集中して参らなければならぬと考えております。ただいま自動車工業がやつと温室から出ていろいろな苦労をいたしておるわけでございますが、しからば具体的に来年からどういう助成方法をとるということはきまつておりません。大体御指摘のような点もいろいろ研究して参らなければならぬと考えておりますが、機械局長からただいまどういうことになつておりますか補足して説明いたさせます。
  44. 佐枝新一

    佐枝政府委員 ただいま政務次官からお話がありましたように、終戰までのわが国自動車工業は、乘用車、貨物自動車等合せまして、自動車製造事業法という特別の法律に基きまして、製造会社も制限されております。また外車等につきましても、輸入につきましてこれを制限するのはもとより、国内で組立て工場を持つておる外車等につきましても、その組立て台数を制限するというような特別の保護を受けております。現在はそういう特別の事業法はございません。ただ関税の面におきまして、御承知のように四割の関税の保護がございます。ただいま日本のトラツクの面では、世界的水準とまでは参りませんけれども、一応一本立ちの態勢になつております。ただいまお話になりましたように、終戰後五年間というものは、国内での乘用車の製造を禁止されておりまして、わずかに最近二箇年間に製造を再開したというわけで、乘用車の方はトラックに比べまして、はなはだしく見劣りしておることは否定できないのであります。これに対しましてわれわれとしては極力製造設備を改善し、合理化し、戰争中及び終戰後の生産技術の遅れを、できるだけ早い機会にとりもどすというような指導をいたしております。たとえば資金の面におきましても、生産設備の合理化のために、開銀を通じましての政府資金の融資のわく等を本年度は設定しております。またこれらの合理化のための生産設備のうち、外国から輸入を必要とするものにつきましては、免税であるとかあるいは外貨貸しというようなことも考えております。外貨資金の割当はもとよりであります。なお早急に海外の水準にまで到達するためには、日本の製造業者におきまして外国自動車メーカーとの、技術的な提携等を考えるものにつきましては、まだ具体的にほんとうに実現したものはございませんが、決してこれを拒否せず、極力その提携の成立をあつせんしたいという方針で進んでおります。何分にも、国内のマーケットが小さく、本年度の生産目標も、需要を一応一万台といたしまして、国産の乘用車で六千台、あと輸入二千台、中古車の払下げが二千台という大体の計画を立てております。なかなかアメリカのような大量生産方式というものを取入れにくい、そこに一番の問題があると思いますけれども国内の需要も漸次増加をしております。それに伴いまして、国産車の生産能力も増加して参ることだろうと考えます。また現在では乘用車の輸出ということは夢のようでございますけれども、そういつた方向にも進んで行かなければならぬと考えております。そういつたいろいろの方策を総合しまして、極力国内乘用車工業の確立をはかつて行きたいと考えております。なお技術の研究その他につきましては小型自動車競走の国庫納付金等から、本年度においては相当の額の研究助成金というようなものを出しておる次第であります。
  45. 中崎敏

    ○中崎委員 大体当局の努力を多とするものでありますが、もう一点お聞きしておきたいのであります。現在におきましても外国車の国内における値段というものは、いわゆる第三価格は相当高い水準にあると思うわけであります。そこでこれは今後の輸入の数量にも関連するのでありますが、まだ依然として相当高い値段において自動車取引されるということは想像されるのであります。そこでこの関税の問題についてお聞きしたいのは、現在の四割程度の輸入税を、さらにある程度引上げて行かれる考えがあるかどうか。またそういう点が可能であるかどうか。言いかえますと、アメリカ等の関係において、一方的にこの関税は引上げ得るものであるかどうか。そうしてまた政府においては引上げるような考えを持つておられるかどうか。こういう点をお聞きしたいと思います。
  46. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げたいと思います。関税は外国のいろいろな例をも勘案いたしまして、四割にきめておるのでありますが、これを引上げるという考えは持つておりません。御指摘通り、価格が相当高いわけでありまするので、御承知でもあろうかと思いますが、国際收支関係で、イギリスのパウンドが非常に楽になつて参りましたので、欧洲系の自動車も相当入ろうかと考えております。そういたしますれば、これが相当一つの刺激にはなるであろうと思いますが、私どもはただいまでも、価格の点が相当高いのでございますから、これをぜひとも引下げるようにというような指導をいたしておるような次第であります。
  47. 前田正男

    前田委員長 次にお尋ねしたいのですが、通商振興局長の四月七日付の通牒によりますと、外国人の自動車を優先的に確保するようなことが書いてあるのでありますが、これはわれわれの方の審査をいたしました過程からいたしましても、外国人、日本人を問わず自由にするということになつておりますし、また講和発効後も、日本人と外国人との間に差別がないとわれわれは解釈しておりますが、こういうふうに差別をつけなければならない理由を政府委員から御答弁願いたいと思います。
  48. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 現在日本国際收支の状況等からいたしまして、外貨予算の編成ということを毎四半期やつてつております。今回は四月、九月という半期の予算を組むことに相なりました。できますことならば、外国人、日本人を通じまして外国自動車が買い得る状態になるということが、本来あるいはけつこうなことであるかとも存じますが、こういう問題につきましては、二つ問題があろうかと考えます。第一は、国内自動車工業に対する関係、第二は、現在の国際收支、外貨の事情というものであります。四月、九月の外貨予算につきましては、外国から新たに自動車輸入するについては、ドル地域から三百万ドル、ポンド地域から二百万ドル、オープン・アカウント地域から百万ドル、そういう予算の編成に相なりました。けれども申すまでもなく、今日の外貨の事情から言いますれば、ポンドは累増の傾向にあり、これに反しましてダラーは非常にきゆうくつな、むしろ不足の状況にある。そういう事態にかんがみまして、米国すなわちドルの車につきましては極力輸入を制限したいということが、国際收支の面から言い得るわけであります。同時にわが国駐留軍すなわち軍人軍属その他在日外国人に対しまして便益を供与するという点も現実の問題としてかなり必要性が大きいわけであります。従来は指定輸入自動車販売規則というのがございまして、そういう軍人軍属あるいは在日外人に用途を指定しまして、外国自動車輸入をやつて参りましたが、講和條約発効以後におきましては、本来であれば、外国人、日本人についてそういう区別を設けることは好ましくないことは申された通りでありましてこの点につきましてわれわれとしましては、ドルの收支の点から参りましてドルの車を輸入します場合には、なるべく貴重なる外貨、ドルの回收の方法を講じたいということは、今月の外貨事情から申しましてこれは当然に必要でございます。そういう理由をもちまして、今回ポンド、オープン・アカウント地域からの外国車の輸入とは異なりまして、ドル地域からの車の輸入につきましては、ドルの回收の方法を講じたいという意味から、コンバーテツト円と申しますか、外貨を銀行に渡したという証明をもつ買う場合は優先的に買う。そういう方法を講じまして米国車の輸入に要した貴重なる外貨、すなわちドルの回收をできるだけ講じたいというわけでございます。これは外国為替管理令の施行に関するわれわれとしての行政運用としまして今日のいわゆるダラー・ポジシヨンをなるべく改善するというような意味合いで、さような方法を講じているわけであります。しかしながらこれは円で売つてはいけないという法的根拠は何らないのでございます。繰返して申しますが、われわれとしましては外国為替管理令の運用上において、ダラー状況をなるべく改善したい、そういう意味合いで、通産省の方からOAS自動車業者に対する勧奨としまして、そういうドルの裏づけのある場合に、優先的に今後の割当を考えて行こうというのでございます。
  49. 前田正男

    前田委員長 これは本委員会で可決したのは三月二十五日でありまして、通牒は四月七日であります。その間わずか十二日間のことでありまして、今のドル事情なんということは、三月以前においても同じ状態であつたと私は思うのでありますが、われわれのこの委員会が審議している過程におきまして、通産当局といたしましては大体そういう意思があるということをどうして通告しないのか。本委員会においては外国人、日本人同等な扱いをするという原則であつたのでありますが、ドル趣旨立場上、優先的に別個に扱いたいというならば、わずか十二日間ぐらいのことだからわれわれが可決する前に予測されたと思いますが、なぜ通産省としてはそういうことを申されなかつたか、その理由を伺いたいと思います。
  50. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 これは本委員会で御審議に相なりましたのは、国際的供給不足物資等需給調整に関する法律、いわゆる新物調法の系統としての法令によつて、一定の物資の讓渡の制限をやるとか、あるいは購入の制限をやるとかいう意味合いでありまして、物調法系統の観念をもちまして外国自動車、米国車についての需要供給の調整をやる方法としての法令的な制限を講ずる考えはもちろんないのであります。これは外國貿易管理外国為替管理という今日の国際收支の状況をなるべく改善する、そういう為替管理令の運用に関する行政方針としてそのような方法を講じているということで、われわれは法体系としては別個の観念であると考えているわけであります。
  51. 前田正男

    前田委員長 法体系は別個でありますけれども、この法案を通すときにおいては、その販売その他について、日本人、外国人の制限がないという趣旨であつたのでありましてそれは別の法体系であつても、われわれといたしましては、そういう趣旨政府が持つているならば、なぜわれわれに事前に連絡しなかつたかという点について非常に疑問を持つているわけであります。
  52. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は先ほど政務次官の御答弁にまだ納得しないので、質問を続けたいのでありますが、話題がかわりましたから振興局長の今の御説明についてお尋ね申します。  法体系が違うのだと仰ぜられるが、私ははなはだその意を得ぬと思います。それはお役人の弁解の辞にすぎない。異なる法体系にしても国民に作用するところが同じであれば、これはやはり同じことだ。それは概念法学的なお話で、私どもはちつとも納得しない。振興局長の出された四月七日の通牒の法理的根拠を私はますお伺いをしたい。全然法規上の根拠がないと私は考えておりますけれども、あるというお考えならば、どういう法規に基いてお出しになりましたか。私の考えによると、これは国民の基本的権利に属する。自分は米国製自動車に乘りたいという権利がある。自分の乘用自動車を選択する権利がある。それを行政官庁の行政上の措置、一片の通牒によつて、事実上日本人が米国製自動車に乘るべからずという政策をお立てになるということは、明らかに人民の基本的権利を侵害するものだ。どういうわけでこれを出されたのか伺いたい。
  53. 本間俊一

    本間政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、外国為替管理令に基づいて処置いたしているわけであります。それからただいま国民は外国自動車に乘る権利を持つていると言われましたが、それはほかの品物についても同じでありまして、やはり国内産業の保護という観点から、各国とも貿易管理あるいは為替管理をやつているわけでありましてなるほど私どもでもアメリカでつくつている、あるいはイギリスでつくつている自動車を使いたいという希望は当然持つわけでありますけれども、その希望が無制限に許されるということは今日の場合は各国どこでもないわけでありまして、外国自動車に乘りたいという希望も、それは日本輸入する車であるとか、軍人軍属から民間に払下げになる車でありますから、相対の多少の制限はやむを得ないのじやないかと考えております。
  54. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの政務次官お話は、私は法律論でお伺いしているのですが、法律論のお答えでない。私も無制限に外国の車がほしいというのじやない。つまり自動車というものは管理上自由になつた。自由になつた以上は米国製であろうと英国製であろうと、一応これを選択する権利はある。つまり昔の物調法とか、あるいは今度の稀少物資で明らかに輸入制限されましたような法律措置によつて、そういう制限を国民の権利に加えられた場合に、われわれはいさぎよくこれを甘受するのでありますが、ただいまの為替管理令の條文では、お出しになりましたこの通牒はジヤステイフアイされないと思いますが、振興局長法律的解釈をお願いしたい。
  55. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 今日われわれは外国為理管理令の施行運用の衝に当つておるのであります。この場合に外貨の割当という問題がございます。いかなる輸入業者にいかなる外貨の割当を行うかということはこれは行政運用であります。行政官庁の裁量によつて当該ケースケースに応じ、具体的実情に応じましてその運用をやつているわけであります。今の米国車の輸入につきましては、日本人が買つてはいけないという法的禁止は何らないのであります。振興局長名の通牒内容は、コンバーテツド円、いわゆる外貨の裏づけのあるような売り方をやつたときには、今後の外貨の割当について当該輸入業者に優先的に考えて行こうという行政方針でございますから、当該輸入自動車販売業者が円で日本人に売りましても、円で外国人に売りましても、何らそういうことを制限する根拠はないわけであります。もちろんこれは自由でありますが、今後の外貨の割当、特に今日貴重なるドルの割当で車を買う場合におきましては、われわれといたしましても、ドルの回収された程度に応じて優先的に考えて行きたいという意味であります。これは別段法的に違法という性質の問題ではないと考えております。
  56. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの御説明では、行政方針だ、自由裁量の範囲だというお話でありますが、日本の行政官庁の自由裁量も決してほしいままなる自由ではないのであります。もとよりその国の行政でありますから、これは條理の原則に従わねばならぬ。明らかに條理の拘束がある。従つてこれは行政方針の範囲だからおれはかつてにきめるのだ、どんな業者にどんなやり方をしてもいいのだというお考えがあるならば、これはもつてのほかである。官庁はその事柄自体において悪をなすことはできない。従つて外貨を割当てるについては、一定の根拠に基いて公平に扱わなければならぬ、機会均等に扱わねばならぬから、役人が好きなように、おれが好きなように外貨を割当てるとい思想があるならば——まさかそういうことはないと思いますが、それはおかしい。外貨を割当てられるにつきましても、われわれは條理の原則に照して批判をするのです。従つて法律上では、なるほどそのデイーラーが日本人に売つてもその売買を違法なりとはしていないのです。確かに法律上の根拠はないから、あなたは日本人に売ることは法規上悪いと言うことはできない。従つてこの次のことで手を締めるぞ、手を締めるということは、日本人には売らさないという事実上の効果を発生する。あなた方は形式的に逃げるかもしれませんが、実質的効果から言えば、日本へは米国製新車に乘るべからずという制札を立てられている。これは実質的に考えて国民の華本的権利を侵害している。自動車そのものの輸入を禁止すればいいのです。門戸を開いておいて事実上は米国製新車に乘らさぬということはおかしい。もしそういうことをあなた方がお考えになつて、国の政策上必要がないとすれば、ぜひ法律手続をとつて公明正大にやつていただきたい。国の行政方針というだけで、行政官庁の局長の通牒だけでさようなことが行われることが私は非常におかしいと思う。もしそうなら稀少物資云々ということを、法律の條項の附則別表にでもお入れになつて、必要な手続を覆んで、堂々とやられるところにわが国の法治国たる価値があると私は思う。その点を省略して、簡單にそういう重大な効果が発生する、その効果の発生した結果がどうなつたかというと、五二年のビユーイツクは新車で二百五十万円しかしない。ところが五一年のビユーイツクが今日日本の市場で三百万円以上する。こんなばかげたことが世の中にありますか。世界中絶対にない現象のよつて来たことは、この通牒の効果がしからしむることであつて、国民経済の上に非常に損害をこうむつているとわれわれは考えている。従つてドルを回收したい、なるほどその気持はわかります。このOASデイーラーの関係、あるいは外貨のタクシーの関係等におきましては、十分なるドルはかせいでいるのです。なるほど国際收支も大事です。ドル貨のバランスも考えなければならぬ。しかしそのドルのバランスを考えるのもいいが、全部自動車だけにドルをしわ寄せしておられるようにわれわれは感ずるのですが、他の物資等については、どういう措置をとつておられるか。自動車だけがえらくその点目のかたきにされているようにひがむのでありますが、これは私のひがみであるか、御説明願いたいと思います。
  57. 本間俊一

    本間政府委員 先ほど来申し上げておりますように、貿易を管掌いたしております私どもといたしましては、ドルは大事なんでございます。しかも日本国内産業自動車ドルをかせいでおらないわけであります。輸出をしておらないわけでありますから、そこでそういう建前からドルが大事でございますし、しかも新しくアメリカから入つて参ります車は、ドルが回收できるのでありますから、その回收できるところで回收をしたいというのは当然なことであろうと考えます。  それから自動車ドルをかせいでいるというお話でございますが、これはアメリカ自動車ドルをかせいでおりましよう。国産自動車ドルをかせいでおましよう。その他いろいろな商売がいろいろな関係ドルをかせいでおります。しかしアメリカ自動車が百台、あるいは百五十台よけい入つたからといつて、それで日本へ落ちるドルがそれに比例して多くなるというものでもございません。従いまして国際收支関係貿易全体を管掌いたしております私ども立場から申しますれば、貴重なドルを使つて入りました車ば、できるだけドルの回收ができるのでありますから、その点で回收をしたい、こういうふうに考えているわけであります。
  58. 前田正男

    前田委員長 ちよつとお尋ねいたしますが、行政的な権限があるというお話でありますが、この法律が通過する場合において、外国人と日本人とは差別つけない、ドルの回收の問題も重要であるけれども外国人と日本人とは差別をつけない方がいいということでわれわれは了解しているのであります。その後ドルの回收が、日本ドル事情がかわつて来たのでありますから、ぜひともこの際ドルの回收のために、日本人と外国人との間に差をつけなければならないという事態は、通過しましてから今日までのわずか旬日の間に起つたといたしましても、そういうことは行政権の範囲だから、国会の方でそういう了承のもとにやつておるものに対しては了解をとる必要はない、こういうふうに政府当局は、自分の権利でもつてやればいいとお考えになつておるかどうか。
  59. 本間俊一

    本間政府委員 御答弁を申し上げます。御承知のように講和が発効いたしません間は、外国自動車をやはり一つ国際收支関係上からも必要がありまして規制をいたしておつたわけであります。それからただいま御指摘のように、国内的にはそれを取締る法規がなくなつたわけでありますから、先ほど来申し上げておりますように、その方面からの稀少物資を統制するという考え方からの規制は何もないわけであります。従つて先ほど来私どもが申し上げておりますように、貿易全体、日本国際收支関係等から、これは当然とつていいと考えますので。方針につきましては私ども関係省とも相談をいたしまして措置するわけであります。従いまして御指摘法律案が審議をしておられるうちの状況と、それからその法律が通過をいたしました後の状況とが、非常に急変化をしておるというような考えはないわけであります。ただ国際收支関係ではいろいろな制肘を受けておるわけでございまして、その必要に対して御指摘法律がありましたから、その法律で私ども規制をいたしておつたわけであります。それがなくなりましたから当然これは貿易国際收支関係を担当しております私どもの方としては、貴重なドルでありますから、その国際收支関係上からどういうふうに今後運用するかということについては、十分私ども関係省と打合せて処置すべきことと考えております。その法律ができまして、自動車関係がどういうふうになるか、あるいはこういうふうになるであろうとお考えになつておられた方もありましよう。また民間の人々の間でもこうなるであろう、ああなるであろうということにつきまして、個人によりまして多少の差異はあつたかと思いますが、その際に特にそういう貿易の面、あるいは国際收支関係等も全部無視をして、そしてただいま私どもがとつておりますような政策が誤りであるというような御決議も、御指摘もなかつたわけでありますので、特に当委員会にそのことについて御連絡を申し上げればあるいはよりよかつたかもしれませんが、そういうふうに私ども考えなかつたものでありますから……。ただ御指摘法律がなくなりまして、今後日本貿易の上から、あるいは国内の産業保護の立場から、あるいは国際收支関係から、どういうふうにしなければならぬかということは、もちろんその法案が審議されておりますときから私どもは対策を練つてつたわけであります。
  60. 前田正男

    前田委員長 先ほど政務次官お話では、告示の第百十四号についてはそういうことは考えていなかつた、それは新しい事態であつた。今のお話によりますと振興局長通牒はその前から考えておつた。いずれにいたしましてもわれわれの委員会で審査するときには、こういうような告示については何ら説明はありませんでした。しかもわれわれの委員会といたしましても、外国人も日本人も、自由に円でもドルでも買えるということで通過いたしておつたのでありますが、われわれの委員会が通過いたしました後においても、一言も相談がないばかりでなく、きのう経済安定本部の産業局長からもこの委員会で言明があつたのでありますが、現在経済安定本部というものは現存しております。経済安定本部には何ら連絡がありません。今関係各省に御連絡があつたと言われておりますけれども、経済安定本部は貿易も所管しておりまして、われわれ経済安定委員会貿易の大綱の問題について所管しておるわけであります。従いましてこの法律の制定の趣旨と違うことが行われておるとするならば、当然事前に委員会にも、また経済安定本部にも御連絡があつてしかるべきだと思いますが、政府委員はどうお考えになつておられますか。
  61. 本間俊一

    本間政府委員 法律建前上どうこうというお話でありますが、私どもは、その法律の廃止になりました建前は、十分尊重いたしておるわけであります。従いまして、その廃止になりました法律関係からいたしておるのではないわけでございまして、先ほど申し上げたような経過で処置をいたしておるわけであります。従いまして、私ども国際收支関係の必要からそういう処置をいたしたわけでありますから、もちろん大蔵省とも相談をいたしまして処置をいたしたわけであります。
  62. 前田正男

    前田委員長 さらにお尋ねしますが、今のお話では、法律建前が違えばいいということでありますが、われわれがこの法律を通過さすときにおいては、現物の外国自動車は、外国人も日本人も差別なく、ドルでも円でも自由に買える、こういうことでありました。実際の外国自動車日本人が入手する場合においては、何ら差別がないという了解のもとに通しております。その了解を違う法律によつて規制するという場合においては、何らそういう了解事項、国会意思に対しては、政府は行政権限があるから、かつてにやつていいのだ。国会了解をとる必要はない、また経済安定本部の了解をとる必要はない、こういうふうにお考えですか。
  63. 本間俊一

    本間政府委員 先ほど来申し上げましたように、国内的には自由でございます。私ども処置をいたしました理由は、先ほど来申し上げた通りであります。従いまして、私どもが行政を指導して参ります場合には、現存いたしておりまする法規を総合的に勘案をいたしまして、それらのいろいろな法規にのつとつて、行政をやるわけであります。その行政をやりますときに、一一国会の承認と申しますか、本委員会に御了解を得なければできないというものでもないと私は考えております。
  64. 前田正男

    前田委員長 われわれは一々出してくれとは言いません。しかし、この外国自動車の問題については、われわれの方で本国会中、しかもこの三月に審議したのであります。一々やつてくれと言つておるわけではない。われわれはそういう意思を一応明瞭にして審議しております。それについては、当然了解さるべきものであると私は思うのであります。もし考え方が違うならば、われわれは適当の措置を考慮いたしたいと思います。
  65. 中崎敏

    ○中崎委員 今の問題に関連しておるのですが、稀少物資需給調整に関する法律案審議の際において、ちようど同じような考え方から、私に周東安本長官に対して、この法律が通過するその場合において、国内においては稀少物資需給調整によつていろいろな制限を受けるのだが、これを輸入するというその関係とはどうなるかといえば、これは外国為替管理令によつて、全然別個のものであるから、国内需給調整による制限とは別だということを答弁されたのであります。翻つてこの問題を考えてみると、国内においては今自動車は自由である。しかし外国為替管理令趣旨によつていろいろな制限を受ける。自動車の場合は、国内は自由になつても、それについては管理令というものは厳然としてあるのだから、必要な範囲においてその制限を受けるのが当然だという解釈になると思う。大体今の答弁を聞いておると同じような趣旨だと思う。そうすれば、安本長官も言つておるように、私もこれをうなずいたように、この問題は、外国為替管理令の範囲内において当時考えられておつた自動車は、やはり国内的には自由になつても、外貨の点等から考えて、ある程度の調整はやむを得ないということが、当然頭の上に考えられておるかもしれない。その点は、総合的に周東安本長官の答弁によつて私は納得しておるつもりであります。
  66. 滿尾君亮

    滿尾委員 先ほどからいろいろ伺つておりますと、通産省関係政府委員の御答弁は、結局、国内の産業を保護するのだ、国内收支の改善上必要だといつて、これらの一連の措置をしたのだということに要約することができる。私は非常に重要な角度をお忘れになつておるんじやないかと思う。自動車というものは何のために存在するか、乘るために存在する。重要な仕事をしておる人が能率よく活動するために乘用自動車は存在しておるのであつて。使うということが本旨である。ところが、消費者の利益ということは、今の御答弁の上に一つも出ておらない。日本国内産業を保護したい、あるいは国際收支のバランスを見たい。しかし、これを使う人間、国民大衆の利益というものは、国家の政策のうちに何ら反映しないものか、ここが非常に問題である。政務次官関係各省と非常に連繋をとつたと言つておられますが、私の知つておる範囲においては、少くとも自動車を動かす面を所管しておる運輸省とは連絡がない。まつたく正反対のことを申しておる。その証拠には、ここに自動車局整備部長がたまたま見えましたからお尋ねしてみたいと思うが、何らの連絡がない。これは非常に片手落ちな政策である。私が主として申し上げるのは、国民大衆の利益を確保するために、利用者の利益ということを主眼に考えておる。それに次いで国内産業の保護というものが次に来る。国内産業の保護が一番先に来て、消費者が次に置かれるようなことがあつては、国の行政ではない。国際收支のバランスも必要なことである。しかしながら、当局からの御答弁には、自動車は高いものである。相当ドルがいるじやないかというだけの話で、日本国際收支全体のうちで、この中古車輸入なり、外貨の七百万ドルというドルがどのくらいの重要さを持つているかということを、数字をもつて御立証にならない。私はその数字をほかの委員会で要求した。ところが、いただいたものを見ると、全然わからぬ程度のものである。ぜひ総合的見地から、わが国国際收支のバランス上において、この自動車輸入あるいは中古車の払下げなどに必要としているところのドルは、どのくらいの立場にいるものであるかということを明確に示されたい。その資料をぜひ出していただきたい。自動車の部分だけの話をとり上げて、消費者の利益を忘れた議論は、私は国民に対して非常に相済まぬと思う。
  67. 本間俊一

    本間政府委員 お答え申し上げますが、消費者の利益はもちろん当然考えなければなりません。しかし、私どもの方からいえば、外国自動車は一台も輸入をしない方が一番いいのであります。御承知でもあろうかと思いますが、イギリスは、日本と同じような国際的な收支の関係にある国であります。このイギリスは、アメリカの車などは台も入れておりません。そうして新しくできました車は、イギリスがつくつているのでありますから、イギリスの国民に売りたいでしよう。しかし、イギリスの国民に新しい車を売るのもしんぼうして、イギリスの国際收支を改善したいということで、新しい車どんどん輸出しております。そういう関係から申しますならば、われわれは、外国自動車はできるならば一台も入れたくないのであります。そうして日本の車をできるだけ使つていただきたいという当然の気持でございます。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、日本国内自動車産業は、御承知のような状況になつておりますから、従つて消費者の需要の度合いをも勘案いたしまして、年間ドルの割当をいたしまして、アメリカの新車も入れる。駐留軍の持つている車も民間に流す。それから先ほど来申し上げましたように、ポンドの関係は漸次よくなつておりますから、ポンドの関係でヨーロツパの新車も入れる。そうして日本の利用いたします人の利便も考える。こういう建前をとつておるわけでございます。従いまして、自動車関係で、利用する側の利益を全然考えてないということは、まつたく極端な議論であろうかと考えるのであります。数字を示せということでございますが、数字もお示しをいたしましよう。しかし、何人が考えても、日本貿易の実際上から見まして、ドルが非常に貴重である。十ドルにいたしましても、百ドルにいたしましても、非常に貴重なものでありますから、これの取扱いについては、十分ドルの貴重な面を勘案いたしまして、ただいま私が申し上げましたような点を総合勘案して処置をするというのが、当然な考え方であろうと思うのであります。私の方が何か国内自動車産業のことだけで頭が一ぱいになつているようなお話がございましたが、滿尾さんは外国自動車だけで頭が一ぱいになつているように思うのであります。
  68. 滿尾君亮

    滿尾委員 先ほどから政務次官機械局長からわが国の乘用自動車の発達大いに見るべきものだというお話があつた。これは私は明らかに短見だと思う。実際の力に対して御認識不足、いや御認識はあるのだろうけれども、わざとそう言つておられるのだろうと思う。これは天下の識者に聞いてごらんなさい。私だけが言うのではない。最近の東洋経済新報は、社説で国産乘用自動車の問題を論じて、この保護に偏重することなかれということを言つている。私は日本国内自動車のメーカーを保護することには賛成なんです。しかし保護するのも方面によりけりで、全然見込みのないものを無理をして、国民大衆の犠牲において保護しようというのは、無理だということを申し上げているのです。これがバスなり、トラックなりの方面で大いにあなた方が助成の方策を講ぜられて伸びて行くことは大賛成である。しかし乘用自動車だけはどんなにさか立ちしてもだめである。その意味で私は申し上げているのです。それで通産省政府委員にお伺いいたしますが、一体通産当局は米国の乘用自動車産業のことについてもちろん御勉強になつていると思いますけれども、最近だれかそういう面の勉強に人を出しておられますかどうか、この間ワシントンで松村君に会つたことがあります。それ以外に技術者などを出しておられるかどうか。実際米国の乘用自動車の生産は、昨年は一体どのくらいあつたかということを念頭に置いてこういう政策をおとりになつているのか、アメリカ自動車の輸出数量は幾らだつたか御存じかどうかということを申し上げて、それでお話を伺つておりますと、まるで井の中のかわずがお話になつているようにしか思えない。乘用自動車の世界の大勢というものを考えてみたときに、日本のこの政策がいかに無理かということをわれわれは知り抜いているから、この点をお尋ねしておるのであります。ぜひ乘用車の世界の大勢についての御抱負を承りたい。
  69. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げますが、日本自動車工業に対しましては、私が先ほども申し上げましたように、トラックだけに限定をする方がいいという議論もあるということを申し上げました。しかしあなたも御承知であろうと思いますが、トラックでは世界的水準までは参りませんけれども、どうやらとにかく一人立ちのできるところまで参つておるのであります。乘用自動車先ほども申し上げましたように、まだ二年でありまして、その一番の隘路は素材関係にあるのだということを申し上げたわけであります。従いまして日本自動車工業はまつたく見込みのないものだというふうにあなたがお考えになつておるとすれば、それはあなたの自由でございますが、その見解には私どもは賛成をいたしません。  それからアメリカ自動車の生産状況がどうでありますか、もちろん非常に多いということも知つております。知つておりますけれども日本自動車に対する政策を決定いたします場合に、アメリカで何台多く生産されようが、それだけを勘案して日本自動車に対する政策を決定することはできないわけであります。先ほど来申し上げておりますように、私どもはやはり国内の産業は保護しなければならぬという線があるわけでありますが、しかし利用者のことももちろん考えなければならぬわけでございますから、私どもといたしましては、利用面を担当いたしております運輸省の方から、大体外国自動車はこの程度輸入してもらいたいというような数字も来ておりますので、この数字につきましても検討いたしておりますが、私どもが入れたいと考えております数字も漸次接近をいたして来ております。従いまして国内自動車工業のみに偏重した政策をとるというような考えはないわけでありまして、これはおのずから両者の利害があるわけでございますから、その点を勘案いたしまして適当なところに調節をはかつて参りたい、こういうふうに考えておるわけでございますから、どうかその点は御了承を賜わりたいと思います。
  70. 滿尾君亮

    滿尾委員 とかく政務次官と私との間で水かけ論になるおそれがあつて、ほかの委員にははなはだ恐縮でございます。従つてこのことをここでいくら論議をしてもいかぬから、通産省の一連の政策はぜひ法律の形で御制定になつたらどうか、行政官庁の行政方針で簡單にやつてのけるにはあまりに重大な問題である。私も実質がよければ、ほんとうに議員間の輿論に訴え、国民の輿論に訴えて決定する方がいいと思うので、ぜひこれは法律的な措置をとつていただきたいと思う。  最後に私は振興局長にお伺いいたします。このコンバーデツド円というものは多分もう存在しないだろう、米軍当局においてはこのサーテイフイケートを出さないということをちよつと耳にいたしましたが、さような事実がございましようか。もしさような事実がございますれば、今日日本の円も、外人の使う円もまつたく円に二つはない。ドルの裏打ちのある円というものは存在しないのだという、幣制の根本原則に立ち返つたのだということをちよつと聞いたのでございますが、そういうことでございますれば、貴殿の出されましたところの通牒もこれは効力がないものと考えますが、いかがなものでありますか。
  71. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 コンバーテイフル円、すなわち交換円につきましては、これは去年一ぱいで廃止であります。今回のはコンバーデツド円といいまして、これは非常にまぎらわしいのでありますけれども、外貨を外国為替銀行に売つたという場合に、この外国為替銀行の外貨買取り証明書を持つて来た場合にはこれを云々というのが、今般の通牒内容でございます。これは正確に申しますれば外貨を外国為替銀行に売つたその証明書、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  72. 滿尾君亮

    滿尾委員 そこでそういう政策はぜひ必要かどうかは、先ほどから物調令を廃した根本精神に反するのではないかという点で、国会側として非常に異論の存するところであります。その点の議論はこの際しばらくおくといたしまして、どうしてもこういう政策をとろうとせられるならば、これは法律でおきめになるべきではないか。これを行政通牒でやること自体が、非常に無理だというふうに局長はお考えになりませんかどうか。
  73. 本間俊一

    本間政府委員 法律によつてつた方がいいのではないかという御議論でありますが、これは研究をいたしてみたいと思つております。
  74. 中村俊夫

    ○中村(俊)政府委員 ただいまのコンバーデツド円についてちよつと補足して申し上げますが、これはもちろん運輸省の所管でありませんからどうかと思いますが、私は大蔵省の鈴木財務官から直接お伺いしたところによりますと、現在アメリカ軍人軍属が当然彼らのドルなり、あるいは軍票で円を買うわけでございますが、そのときにいわゆるコンバートしたという証明は出さないことに相なつておる。たとえば連中がアメリカで入つております生命保險に、日本では当然円で払い込みますが、これは大部分がアメリカに送金されてドルになるという形であるから、証明を出せと言われたところが、アメリカ軍としてはそういうものは出せない。従いまして連中の持つておりまする円も、日本の持つておりまする円も同じ円でかわりはないのだということを、ごく最近伺つたのでありますが、あるいは間違つておるといけませんので、これはできることなら大蔵省に直接お聞きになつたらいいと思つております。私は直接聞きましたので、そう違いはないだろうと思つております。ちよつと補足さしていただきます。
  75. 前田正男

    前田委員長 本問題につきましては、われわれの審査いたしました過程においていろいろと意見があつたわけでありますけれども先ほど中崎委員からお話がありました通り外国為替管理令に基く点の、ある程度の制約はあるわけであります。しかしわれわれが趣旨といたしましたのは、日本外国人とのドルと円との間に差別がないようにしてもらいたい、こう思つてつたのでありますが、これに対する通産省からの努力の経過等についての御説明は、われわれとしてはあまり誠意をくむわけには行かないし、それについてもあまり連絡もないように思うのであります。従つてこの問題につきましては、われわれ委員会といたしましては別個に考慮いたしたいと思いますので、政府に対する質問はこの程度にいたしたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 前田正男

    前田委員長 では御異議ないものと認めまして、質疑はこの程度にいたしておきます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十六分散会