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1952-04-22 第13回国会 衆議院 経済安定委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十二日(火曜日)     午後二時二十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 有田 喜一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       圖司 安正君    奈良 治二君       福井  勇君    福田 喜東君       渕  通義君    細田 榮藏君       村上 清治君    河野 金昇君  出席政府委員         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)     今井田研二郎君  委員外出席者         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国土総合開発法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一五六号)     —————————————
  2. 多田勇

    多田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長は都合により出席できませんので、私が委員長の職務を行います。  国土総合開発法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を継続いたします。福田宮東君。
  3. 福田喜東

    福田(喜)委員 国土総合開発法案に関しまして、本日は大臣がおいでにならぬので方針をお伺いできませんが、国土総合開発計画とその実施機関との問題につきまして、行政的責任機関について今後どうなるか御意見を承りたいと思います。
  4. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 今回問題になつております機構改革関連いたしまして、政府部内で目下検討中でありまして、私も詳細なことは存じておりませんが、ただいままで承知しております範囲によりますと、国土総合開発法に関する事務につきましては、経済審議庁で扱うということになつていると聞いております。
  5. 福田喜東

    福田(喜)委員 その実施機関の問題でございますが、現在安本におきましては、その実施機関に対する希望とか、御意見はございませんでしようか。
  6. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 今までございましたような総合開発審議会事務局総合開発に関する事務を扱うということでは、不十分だと思つております。今回きまりました経済審議庁で、行政事務としまして総合開発に関する仕事を扱うということになりますれば、まずこれで十分だと考えております。ただ内部機構といたしましては、できますならば、総合開発関係仕事を担当いたしまする部局を設定していただきたいというのが、われわれの希望であります。
  7. 福田喜東

    福田(喜)委員 行政的責任の所在につきましては、審議機関だけでは私ははなはだ不十分と思いますが、今後の見通しについてどういうようにお考えなつておりますか。
  8. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 経済審議庁行政事務を担当するというふうに承知しております。
  9. 福田喜東

    福田(喜)委員 それから第二点は、全国的総合開発計画と各都府県地方特定地域計画との関係並びその具体的な調整措置について御意見を承りたい。
  10. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいまお尋ねの点は、法案の第七條に一応関係規定してあるのでございますが、全国計画は、この第七條の一項の二号にもございますように、都府県計画地方計画及び特定地域計画基本とするということになつておりまして、大体これらの計画統一性をはかりますために、それの基本にするということになつております。ただ問題は、しからばこの全国計画ができませんければ、他の計画はできないかということになるわけでありまして、この点に問題があるわけであります。法案立案過程におきまして、関係各省でこの点が問題になつたのであります。全国計画は、御承知のように、相当広汎な内容を持つておりますので、全国計画ができ上るまで他の計画審議できない、あるいは作成できないということでは非常に困りますので、これもまた第七條の第一項第二号におきまして、全国総合開発計画は、前項の規定により作成された場合においてはこれを基本とするというふうな法律の心づかいをしておるわけであります。すなわちできなければ、これは基本としなくてもよい、できた場合には、これを基本にするという関係をはつきりきめております。
  11. 福田喜東

    福田(喜)委員 お説のようなことでございまするならば、現任どもが承つておるところによりますと、全国的総合開発計画というものは非常に遅れておる。現在都府県地方特定地域計画というものが、やや具体的に進んでおるというふうに承知しておりますが、一体こういう計画を立てる場合におきまして、国家的な総合開発計画、例は悪いかもしれませんけれども、戰争する場合におきまして、国家のいわゆる全般的な見通しと申しまするか、総合的な作戰計画がなくして、部局的な作戰計画は私はあるはずがない、こういうふうに存じておるのでございますが、全国的総合開発計画アウトラインだけで、まだでき上つていなくて、都府県地方特定地域というものが先にできたということであるならば、その具体的な調整措置において非常な困難が生ずるのではないか。その調整措置というものが今後いろいろな問題を投げかけるのではないかと思いますが、この点について御意見を承りたいと思います。
  12. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 まつたく御説の通りでありまして、私どももさよう考えております。現在までのところ都府県計画も、地方計画も、確定いたしました計画一つもございません。全国計画は現在早くこれをつくりたいということでつくつておりまして、おそくも今年上期中には大体の構想は完成したいと思つております。その上で他の計画を決定するというふうな順序で、実際の仕事は進めて参りたいと思います。
  13. 福田喜東

    福田(喜)委員 こういうふうな計画というものは、ピラミツド型に一切の国家基本方策というものがきまつて、初めて各都府県計画地方計画特定地域計画というものはでき上るものである。それができ上らずして、各地方々々のものが、国家根本指導方針というものからはなはだ飛び離れて、こういうふうなものがぽつりぽつり固まりつつあるということは、かかる法律案が国会に提案された以上、至急安本として考えられる必要があると思いますが、この点についてはいかなる方針を持つて進まれるか。
  14. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 これまたまことにごもつともなことでございまして、私どもまつたく同感なのであります。すでに現任地方におきまして都府県計画なり、地方計画なりを作成しておるのでありますが、その以前におきまして安本から、全国計画という名称ではございませんが、計画作成の基準というものを示しまして、大体のアウトラインは各地方に示してあるのでございます。しかしそれは有権的なものでございませんので、今回の改正法案におきましては、さらに検討いたしまして有権的なものにするために、全国計画という名称を新たにつけるようにしたわけであります。これはただいま御説にもございましたように、一刻も早く作成して行きたいと考えております。
  15. 福田喜東

    福田(喜)委員 次に第二点といたしまして、年度計画予算経費関係お尋ねいたします。年度計画というものは法案の中にございまするが、年度計画は本年度はどういう扱いをなさる方針でございますか。
  16. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 これは十峰の二項一と十條の二号を一緒にごらん願いたいと思うのでありますが、改正法案の第十條の二におきまして、特に特定地域計画につきましては、これを閣議決定するということになつております。閣議で全体計画を一応決定しておるわけであります。その全体計画による事業計画をどういうふうに実施するかということを、年度々々できめるというのが、言うまでもなく年度計画でございますが、関係各省はこの第十二條によりまして、ただいま申し上げましたきまりました全体計画を、当該年度実施計画としまして、これを安定本部総務長官提出するということになつておるわけであります。その基本は第十條の二によりまして閣議決定されます全体計画であります。それに基きまして翌年度の実際の実施計画を十二條によつて安本長官提出するものであります。
  17. 福田喜東

    福田(喜)委員 お話の点はよくわかりますが、しからば年度計画継続計画として扱うのでございますか、どうでございますか。その点をお伺いしたい。
  18. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 継続計画とおつしやいますのは、継続費として扱うかどうかということでしようか。
  19. 福田喜東

    福田(喜)委員 その点もございますが、本年度は本年度限りの計画であつて、連続相関せる部分一環として毎年度計画をやるのか、つまり言いかえるならば、継続計画としてこれを扱つているのかどうかということでございます。
  20. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいまのお話でございましたら、継続計画というふうにお考えなつていいと思います。
  21. 福田喜東

    福田(喜)委員 実際はぽつんと本年度だけ出て来ているのではないですか。
  22. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その点は先ほども申し上げましたように、第十條の二によりまして全体計画が一応閣議で決定されているわけであります。その全体計画に基きまして当該年度実施計画をきめるわけでありますから、それぞれが單独のものではないわけでありまして、全体の中の一部分、すなわち当該年度実施する部分だけを、十二條によりまして関係各省安本長官提出するということであります。
  23. 福田喜東

    福田(喜)委員 しからば年度計画は継続せるものの一部分ということで、必ず全体との関連があると了承してよろしゆうございますか。かつまた法律施行の第一年度において必ずこの計画通りに行われるかどうか、伺いたいと思います。
  24. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 全体計画の中の一部分当該年度におきまして実施する部分というふうにお考え願つてけつこうであります。
  25. 福田喜東

    福田(喜)委員 それから開発計画経費公共事業費との関係を承りたいと思います。
  26. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 総合開発に要します経費相当部分は、公共事業費でまかなわなければたらないものが多いだろうと思います。ただしかし、公共事業費以外の経費によりましてまかなわれるものも相当あろうかと思いますが、大部分公共事業費でまかなわなければならぬかと思います。
  27. 福田喜東

    福田(喜)委員 もう少し具体的に御説明願いたいのでありますが、今後の方針といたしましても、取扱い方針は大部分公共事業費の中に盛つてその操作によつてやる、こういうふうな計画でございますかどうか。公共事業費編成がえのみでは困るということをわれわれは主張するのでありますが、この点に関する御説明を承ることが第一点と、公共事業費をもつてまかなえない開発事業計画経費があれば、その点を御指摘願いたいのであります。
  28. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 総合開発計画を、政府といたしまして至急につくりたいというゆえんのものはいろいろございますが、その中のおもなる目的は、現在政府で計上しております公共事業費予算の配分をなるべく正確に、科学的に再編成したいというのが大きなねらいであります。現在の公共事業費予算も決して無方針でやつているわけではないのでありますけれども、ただ効率的により経済効果をあげますような部分にこれを計上いたしますためには、一層詳細なる総合開発計画がありませんと、その裏づけにならないわけであります。そこでお尋ねのように編成がえをするのかどうかということになりますと、この計画ができ上つてみなければわかりませんが、そう著しい編成がえはいたしませんでも、現在やつておりますようなやり方で大体まかなえるのではなかろうかというふうに考えております。
  29. 福田喜東

    福田(喜)委員 今の御説明ではよくわからないのでありまして、私のお尋ねしたことは、公共事業費編成がえのみでは困るということ、つまり開発計画経費というものは、公共事業費編成がえでまかない切れない部分があるかどうか、こういうことをお尋ねしておるのでございます。
  30. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 これも各地域の具体的な計画につきまして取上げてみませんとわからないのでありますが、たとえば只見地域特定地域に指定されておりますが、只見地域開発は、電源開発が主目的なつておるわけであります。こういう地域におきましては、たとえば開発経費につきましても、電源部分につきましてまで公共事業費でやるというようには相ならないのではなかろうかと考えられます。ところが他方たとえば北上、利根地域のように、河川改修あるいは災害防除というものを主目的にいたします地域につきましては、ほとんど大部分公共事業費によつて支弁されることになるというふうに、地域心々によりまして性格及び経費の費途がかわつて来ると思います。
  31. 福田喜東

    福田(喜)委員 今後の取扱い方針で、公共事業費をどういうふうに盛りたいという希望もありましようし、開発計画経費というような点からみれば、公共事業費だけでは困るという部面も必ずあると思いますが、その取扱いの御方針について、御希望なり何なり政府委員としてありませんか。
  32. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 お話のように、公共事業費だけで総合開発計画を完成して行くことは困難だと思います。また不可能だと考えております。それゆえに第十三條におきまして、総合開発計画実施に要する経費規定におきまして、必要な資金の確保につきましては、政府最大努力を払わなければならぬという意味規定を設けまして、できるだけ総合開発に要します経費は調達するように、国としても最大努力をはかるようにというふうに考えております。
  33. 福田喜東

    福田(喜)委員 はなはだ抽象的でもう少し具体的にお答えがいただきたいのでございますが、次に第四点に移ります。特定地域計画は、重点的に実施するというお話でございますが、その重点をどこに置くか、それをひとつお聞かせ願いたいのであります。
  34. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 今お尋ねの重点的という意味が、あるいは私の解釈が間違つておるかもしれませんが……。
  35. 福田喜東

    福田(喜)委員 特定地域計画はどこから始めるのか、その方針、方向を具体的に示していただきたいということでございます。
  36. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 昨年末指定いたしました十九地域のうちで、いずれから先に特定地域計画を具体的に取り上げて行くかという点につきましては、これから関係方面で、あるいは総合開発審議会において審議されることでありますので、私から明確に申し上げることは差控えたいと思うのでありますが、ただ私の見通しといたしましては、御承知のように現在日本で最も問題になつておりますのは、電源開発と、重要河川改修ということが大きく取上げられておりますので、そういうものを含む地域がまず先に取上げられることになるのではなかろうかと考えております。
  37. 福田喜東

    福田(喜)委員 それでは特定地域それ自身は、電源開発重要河川改修法案に依存するというわけですか。
  38. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 決してそれ以外の地域は取上げないというのではないのでありまして、もししいて順序をつけろというお話になるとすれば、現在国が当面しております問題としましてはそういう地点がありますので、それらの地域が先に取上げられることになろうかというように申し上げたのであります。     〔多田委員長犀理退席同町委員長代理着席
  39. 福田喜東

    福田(喜)委員 それではお尋ねいたしますが、開発計画重要河川改修法案との調整はどのようにして行われておるのでありますか。
  40. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 議員提出法案といたしましては、重要河川総合開発法という法案があるということは伺つておりまして、この法案も今回われわれが提案いたしました国土総合開発法改正法案も、いずれも水と土地利用規定する法案でありまして、どちらも目的が同じでありますので、できれば一つ法律で行きたいということでありまして、先般来数回調整をはかりまして、現在河川総合開発法考えられておりますところは、全部この総合開発法案の中に盛り込みまして、重要河川総合開発法は今回提案されないことになつたというふうに伺つておりますので、開発関係については、全部こちらの法案で行くことに決定したわけであります。
  41. 福田喜東

    福田(喜)委員 それではこの重要河川開発法というのは、あなた方の希望する国土総合開発法の中に盛り込み済みだ、こういうふうに承知してよろしゆうございますか。
  42. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その通りであります。
  43. 福田喜東

    福田(喜)委員 次に電源開発との調整はどのようにしてとるつもりでありますか。
  44. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 電源開発法との関係は、法律的には十分調整はとつてあるつもりでありますが、いわば総合開発法国土と申しますか、土地と水の利用に関しまする総合的な開発関係計画するものでありますが、電源の方は水の利用という面だけを取上げておるわけであります。いわば全体と部分との関係になるわけでありまして、時間的には総合開発法によりまして、まず全体計画を立てましてその全体計画に基きまして、水の利用である電源開発をも進めるというふうにいたしたいと考えております。ただ時間的に間に合いません場合は、電源開発の方が総合開発法が立てられます以前に遂行されることになろうかと思います。そういう場合には両者で十分協議いたしまして、総合開発計画の樹立にさしつかえないようにいたしたいというふうに考えております。
  45. 福田喜東

    福田(喜)委員 お説によりますると、国土総合開発計画というものは優先すべきものだというふうに受取れまするが、現実において電源開発の方が光に進んでしまつて、これが引きずられておるようなうらみがないでもございませんが、この点の調整はどうお考えでございますか。
  46. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 電源開発を急がれております地点総合開発計画目下検討中でありまして、ある程度の構想はすでにでき上つております。なるべく両方の計画に齟齬のないようにいたしたいというふうに考えております。
  47. 福田喜東

    福田(喜)委員 そうしますと、あなた方の方は、現在の電源開発計画というものに対して大体満足でございますか。
  48. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 まだ、たとえば問題になつております只見地域につきまして、こういう方針電源開発するのだというふうな最終的な計画を伺つておりませんので、満足であるとかないとかいうことは、ただいまとしては言えませんけれども、大体現在までに聞いております段階におきましては、われわれの考えておりますところと、各方面ともそう著しく違つておるものはないようであります。
  49. 福田喜東

    福田(喜)委員 現実の姿がそうであるならば、総合開発計画というものは電源開発計画に引きずられておると見てさしつかえないですか。
  50. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 私どもは、必ずしも引きずられておるというふうには考えておりません。
  51. 福田喜東

    福田(喜)委員 よくわかりませんが、最後に開発計画実施する上に、各関係機関権限上の問題などがあると思います。そして現任行政機構の点から考えまするに、この各関係機関権限上の問題というものが隘路となる点が、この法案を見ると非常に多いように思いまするが、それはどのように調整するのか、その点について承りたいと思います。
  52. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 権限上の隘路というお話でありますが、その点につきましては私どもといたしましても十分留意いたしておるつもりであります。この法案立案過程におきましても、関係各省と十分に協議をいたしておりますので、まずさような関係はなかろうかというふうに考えておりますが、具体的に御懸念になります点があればお知らせ願いたいと思います。
  53. 福田喜東

    福田(喜)委員 権限上の問題は、何か実施規定を出すつもりでございますか、あるいはこのままの法案の姿で行くのでございますか、その点をお伺いしたい。大体権限上の問題は、この法案の中には少しも取扱われておりませんが、これは何ゆえでございますか。
  54. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 新たに権限上の規定を設けませんでも、大体これで総合開発事務は進み得るというように考えております。
  55. 福田喜東

    福田(喜)委員 権限上の問題は起らぬというお考えですか。
  56. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 大体大した摩擦は起らないというふうに考えております。
  57. 福田喜東

    福田(喜)委員 権限上の問題に関する何か実施規則を出す必要はございませんか。
  58. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいま考えております範囲におきましては、特別の実施規定を出しませんでも、運用によりまして十分関係各省との関係は処理し得るというように考えております。
  59. 圖司安正

  60. 多田勇

    多田委員 ただいま関係各省との調整の問題で、大体さしつかえないであろうという御意見でございましたが、実際問題になりますと、相当大きな摩擦が生ずるというようなことが考えられるだろうと思うのです。そこで関係各省との調整を上る機関が、現在行政機構改革におきましてどのような機関でその調整をとろうとするのか、それについて現在の構想を伺いたいと思います。
  61. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 行政機構改革というふうな問題が起りません場合は、現在の経済安定本部におきまして関係各省間の調整は行いたい、また行い得るというふうに考えております。将来もし行政機構改革されますならば、総合開発仕事に携わります官庁におきまして、それらの総合調整を行い得る権限を持たせるようなものを、機構としてつくりたいというふうに考えております。
  62. 多田勇

    多田委員 この問題は今井田さんにこれ以上お聞きしてもむりかと思います。そこで具体的な問題に入りますが、たとえば自立経済計画を一方で立てられておるが、自立経済計画国土総合開発法との関連、あるいはここに法案といつては語弊がございますが、運輸省港湾いろいろ計画を立てられたというふうな場合に、その港湾計画国土総合開発との調整といつた問題は、その案件ごとに相当大きな問題になつて来ると思うのであります。そこで一番心配されます点は、国土総合開発基本にしてものを考えて行くというような考え方が、非常に強くなつて参りますので、総合開発偏重の結果、指定地以外の発展を阻害するようなことが起りやしないかというようなことが、指定地以外の住民の一番心配する点になつておるのでありますが、こういつたことが起る可能性がないかどうか、各省考えられた案は各省考えたので、総合開発関連なしに、各省考え方で現在進められておると思いますが、これを総合開発の中に入れて、港湾の問題にしても、あるいは鉄道の問題にしても、資源の開発問題にしましても、総合開発基本として、総合開発一環として推進しようという考えであるのかどうか。総合開発とこれらの問題との関連を具体的に御説明願いたいと思います。
  63. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 まず特定地域に例をとりますと、特定地域計画府県が作成いたしまして、建設大臣を通じて総理大臣提出するわけであります。総理大臣はこれを審議会に諮りまして、さらにその案につきまして関係各省意見を聞きまして、閣議で決定するわけであります。従つて最終的には、関係各省意見閣議において反映するわけでありますので、関係各省のそれぞれの事業計画は、その場合に強力に盛り込まれるわけであります。従いまして今お話のように、運輸省で立てられます港湾計画も、当該特定地域計画に関する限りは十分反映するわけであります。各省事業計画は遺憾なくこの計画に盛り込まれ得ることになろう、かと思うのであります。しからばそれ以外の地域、すなわち特定地域以外の地域はどうなるかということでありますが、これは府県計画、あるいは地方計画という形で取上げられることになるわけです。これらの地域につきましては、計画府県で作成されました場合には、これを閣議で決定するというふうなことは行いませんで、最終的な審議を経ました場合には、その審議に基きまして総理大臣がその計画について、必要な勧告または助言地方にいたすというだけのことしか、この法案では規定してありません。さらにまたこれを実際に予算化する措置といたしましては、その勧告または助言を受けました府県計画に基いて年度計画を作成した場合には、政府はこれを受理する。そうしてそれを参考にして予算をつけるという関係を、府県計画については規定してあるわけであります。ただいまお話のように特定地域につきましては、これを国家計画とし、国も責任をもつて予算をつけるという関係なつております。他の府県計画等につきましては、それほど予算の拘束あるいは事業遂行に関する道義的な責任を、政府が負わなくてもよろしいという関係規定してございますので、仰せのように特定地域偏重という非難はあるいは免れないというふうにもなろうかと思うのであります。それだけに私どもといたしましては、特定地域の選定につきましては、十分な研究と、慎重なる態度をもつて臨んだのでありまして、一応現在十九地域国家計画の対象地域として適当なる地域であるという判定を得ましたので、これをまず指定したわけであります。むろん特定地域はこの十九だけに限るとか、あるいは未来永劫に、十九地域だけが特定地域たり得るというのではないのでありまして、現在の段階、現在の経済情勢下におきましては、これらの地域がまず重点的に取上げらるべき地域であるというふうに考えておるのにすぎないのであります。将来必要がありますれば、これをまた拡張し、あるいはまた特定地域でありましても、政府考えております根幹事業が一応の完成を見ますれば、特定地域たる名称をとりやめるということもあろうかと思うのでありまして、仰せのような特定地域偏重ということはなるべく避けて参りたいと思いますけれども、制度の上では一応そういう形になつておることが、この法案の趣旨としておるところであります。と申しますのは、総合開発を進めて参る上におきましては、平板的に各地方計画あるいは府県計画というものを、全部網羅的に取上げて行くという行き方と、ある重要な地域につきましては計画的にこれを取上げまして、開発を急ぐという行き方とどちらがよいかというふうな、行き方の検討も一応いたしました上で、今回は特定地域をまず急ぎまして——むろんこれは他の府県計画なり地方計画地域を軽視するというのではないのでありまして、それらの地域計画の樹立もむろん尊重いたしますが、それと同時に国家計画としての特定地域につきましては、政府の道義的な責任によりましてやつて参るようにすることにいたしたいというふうに考えておるわけであります。ただおことわりしておきたいことは、公共事業費の配分等におきましては、特定地域だけにおもなる予算の配分を行いまして、他の地域予算特定地域にならなかつたがために減る。逆に申し上げれば、特定地域なつたからといつて、ただちに公共事業費その他の国家資金の配分がより多くなるというふうなことは、にわかにはいたさないというふうに考えまして、その間の調整は十分はかつて参りたいというふうに考えておるわけであります。
  64. 多田勇

    多田委員 その点がどうもはつきりしないのですが、たとえば今の公共事業費につきましても、特定地域なるがゆえ公共事業費が増額されたということのないような方法を、当分の間とつて行きたいというお話でございますか、特定地域に指定されまして公共事業費がふえないというふうなことでは、金の裏づけがなければ総合開発が進まぬということははつきりしておることなので、この点どうも非常に苦しい御説明のようでありますが、公共事業費にしましてもあるいはその他の開発計画にしましても、総合開発地域を重点と考えて行くというふうな傾向がだんだん強くなつて行くために、指定地域外の開発が非常に遅れておるという心配が多いだろうと思います。その関係からいたしまして、たとえば港湾にしましても、運輸省考えておる港湾開発計画と、総合開発で一応総合的に検討され、計画されました港湾開発というようなものをにらみ合せてみました場合には、どうしても指定地域優先の形をとるような傾向が将来当然起つて来るだろうと思います。またそうしなければ総合開発が進まぬということははつきりしておる問題であります。港湾局長がおいででございますので、運輸省で現在考えられておるいろいろな港湾開発計画について、総合開発を優先的に考えて現在やつておられるのか、あるいは総合開発とは一応調整はとりつつも、国全体の輸送計画から考えて、港湾開発その他修築をされる計画を持つておられるのか、総合開発との関係について御説明が願いたい。
  65. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 ただいまのお尋ねは、国土総合開発港湾の整備計画関係はどうかというお尋ねのように存じますが、それに入ります前に、一応港湾の重要性と申しますか、経済方面あるいは輸送の方面、あるいは産業の開発方面との関連がございますので、この点を少し御説明申し上げたいと存じます。輸送の面から考えまして港湾整備計画は相当重視しなければならないと申しますのは、今全国三千有余の港湾において取扱つております年間の貨物数は一億七千万トンございまして、これは二十六年度におきまして鉄道で輸送した貨物量一億六千万トンより多いのでございます。このように港湾は輸送上非常に重要な部分を占めておるという問題が一つございます。また一般の国民経済とも非常に密接な関係がございまして、港湾所在の市町村の人口日は、全人口八千三百万に対して、おおむね五割以上になつております。四千五、六百万の人口は港湾に依存しておるというような形になつております。また産業の開発という点から申しますと、港湾利用しておる日本の工場と申しますか、産業は、京浜、中京、阪神、北九州を初め、相当集中いたしておりまして、日本の産業の八割はいずれも港湾利用しておる工場と申してさしつかえないのでございます。このように港湾自身が、日本の国民経済の発展なりあるいは輸送の面に占めておる重要性が相当あるのでございまして、これを国土総合開発港湾の整備計画との関係を見ますると、今申したように国民の経済と密接な関係がありますので、私どもとしては、国土総合開発方面からも見て行かなければならない、また輸送の方面からも見て行かなければならない、また産業の開発方面からも見て行かなければならないということになりまして、終戰後におきまして、港湾復旧五箇年計画というものを樹立して進んで来ておつたのでございますが、政府におきまして、自立経済計画の規模、構想が相当はつきりして参りましたし、またそれと同時に、国土を総合的に利用開発するための国土総合開発法の公布を見ましたので、これらの港湾整備計画の目標は、国土総合開発の見地においてもこれを調整しながらあわせて考えて行つているような次第でございまして、目下港湾整備三箇年計画を樹立して、その実施を推進しておるような実情でございます。昨年十九地域が指定されまして、その開発計画にはもちろん港湾も入つておるのでございますが、それらの点を調整しながら緊密な連絡をとつてつてつておるのでございまして、一応私ども考えておりまする三箇年計画における港湾の総事業費は六百九十三億でございます。十九地域特定地域に包含されておる港湾整備計画は、そのうちおおよそ百五十二億程度であろうかと存ずるのでございます。このように国土総合開発計画調整をとりまして、緊密な連絡をとつてつて行きたい、かように考えておるような次第でございます。
  66. 多田勇

    多田委員 六百九十三億のうち、総合開発関係は百五十二億というお話でございますが、この百五十二億の総合開発地域港湾計画の中で、総合開発計画が推進されたために特に取上げたというような港湾がございますかどうか、ございましたら伺いたい。
  67. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 この特定地域はどこを重点に置いて行くかということは、まだ順位等もはつきりしておりませんが、一例を申し上げますと、北上川の開発が始まりますと、この電源開発に伴いましてこれを開発するために港湾が必要である、そういう見地から大船渡の港につきましては、従来考えておりました地方港湾としての整備計画に、以上の国土開発に基く港湾整備というものをあわせて考えているような実情でございます。
  68. 多田勇

    多田委員 国土総合開発を総合的に推進するということは、経済上なかなか困難だと思うのでありますが、現在指定されました地域を、総合的に開発するために着手する考えであるかどうか、あるいはまた特定地域のある部門を重点に開発して行こうという考えか、その点について御説明を願います。
  69. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 今回の改正法案におきまして、特定地域開発目標を政府が指示することになつております。従いましてたとえば只見地域であります場合には、当該地域電源開発と森林の開発というふうに、計画目標をなるべく重点的にしぼり、しぼつた計画についてのみ国家計画としてこれを取上げるというふうな行き方をとつております。
  70. 多田勇

    多田委員 開発目標を立てられた計画に対する経済的な裏づけは、現任どの程度に考えられておりますか。大体どの程度の金額で、どの程度の年数でやられる予定でありますか。
  71. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 特定地域を指定いたします際に、関係府県からかくかくの事業計画を行いたいが、これに要するところの費用はこの程度であるというふうにわれわれの方に提出した資料によりますと、十九地域におきまして総事業費は約一兆になつております。そのうち公共事業費に期待する部分は半額の五千億ということになつております。これらは先ほど申し上げた開発目標をしぼらない以前の、府県が行いたいという事業費の全額でございます。
  72. 多田勇

    多田委員 開発目標をしぼつた際の金額はどの程度になりますか。
  73. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 開発目標をどの程度にしぼるかということにつきましては、現在関係各省と協議中で、成案を得てこれを地方に流すべく今準備中でございます。これからあらためて計画をつくり上げなければこの金額ははつきりいたしませんが、先ほど申し上げた事業費は、十箇年の地方基本額でありまして、しぼりますれば相当少額のものになります。
  74. 多田勇

    多田委員 大体の見当でもけつこうでありますが、しぼりました場合に、どの程度のものになりますか。
  75. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいま検討中でございまして、概算額もちよつとここでは申し上げられぬと思いますので、また研究してから申し上げます。
  76. 多田勇

    多田委員 府県から希望された額が一兆で、その半額を公共事業費でまかなうように希望されているというお話でございますが、かりに開発目標を相当しぼつても、相当な金額を公共事業費から出さなければならないという一応の計算が出るだろうと思います。先ほど今井田さんは、公共事業費の各府県に対する配分についても、特に総合開発指定地域だからという理由で増額をしないというようなお話でございましたが、公共事業費を全部振り向けても、総合開発計画を達成することは相当困難だということは、この金額ではつきりすると思うのでありますが、そういつた場合でも、特定地域なるがために、特に他の府県に配分する、あるいは他の事業に振り向ける公共事業費の額を、極端に減らさずに済むという見通しを持つておられるかどうか、それについて承りたい。
  77. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 私の先ほどの説明は若干足りない点があつたかと思うのでありますが、私が申し上げました意味は、特定地域予算をたくさんつけるために、現在ついておる他の地域予算まで削つてこれをつける意味でないということを申し上げたにすぎないのでありまして、われわれといたしましては、国の財政の許す限り公共事業費を増額いたしまして、増額しました分のうちの大部分特定地域に充てるという努力をいたしまして、なるべく他の地域を減らさずに、特定地域分をふやして行きたいということは申し上げるまでもないことであります。ただいま申しました五千億は、十箇年でありますので、このままの金額といたしましても、年間にいたしますれば、平均五百億ということになるわけであります。公共事業費の総額は今日御承知のように、一千億余りになつておりますので、この半額を特定地域に充当するということは困難であることは申し上げるまでもないことでありますが、おそらく私のごくラクな見通しで言いますれば、開発目標をしぼりました場合には、この五百億の大体半額またはそれ以上のものになるのではなかろうかと思われますので、それほど荒唐無稽な計画ではなかろうというふうに考えておる次第であります。
  78. 多田勇

    多田委員 一体この程度の金額で総合開発が可能だということは一応考えられないのでありますが、これは先ほど港湾でもお話がありましたが、運輸省関係あるいは建設省関係その他の関係各省がいろいろな事業を行います場合に、総合開発との調整をにらみ合せて、予算を立てて行くということで、総合開発自体の、今お話がございました金額だけではないと思うのですが、各省各省予算において行うところのものをひつくるめた総合開発に要する予算を、どの程度に考えられるか。その一兆という金額はおそらく各省の——たとえば港湾をつくります場合には、運輸省関係から金が出ると思うのでありますが、そういつたものを別にしての予算ではないかと思います。その点は、どうです。
  79. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 一兆と申しましたのは、総事業費であります。そのうちで公共事業費は半額の約五千億になります。今日港湾建設に要します費用のうちの大部分公共事業費で支弁することになつておりますので、建設関係の国の出します財政的支出は、大体この公共事業費によりますものが主であります。このほかに国の支出いたします建設分というものは、それほどなくても済むということになるのではなかろうかと思います。
  80. 多田勇

    多田委員 そういたしますと、たとえば一つ特定地域港湾をつくり、鉄道を敷き、電源開発するというような一切の費用をひつくるめた金額が、この程度の金額だということでございますか。
  81. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 一兆というものは、大体それらのすべてを含みました金額でございます。
  82. 多田勇

    多田委員 全部をひつくるめた金額だというふうなお話でございますが、先ほど港湾局長から、港湾開発の三箇年計画で百五十二億と一応説明されました。港湾だけでも三箇年百五十二億、一箇年間五十億かかるということであれば、電源開発するというような非常に厖大な開発計画を持たれたところでは、相当な金額が必要でなかろうかと思いまするけれども、これらを全部ひつくるめて十箇年間に一兆、一箇年に千億ですが、千億の金があれば、現在の特定地域総合開発が可能だというふうな結論に、今までのお話ではなると思うのでありますが、一箇年平均して千億という金額であらゆるものを開発することが可能だとしますと、港湾を例にとりますれば、特定地域港湾を修築し、つくります場合の予算は、今お話の五千億の公共事業費から出して行ける。従つて港湾開発公共事業費として運輸省に振り向ける分がそれだけ減額されるということに、今までのお話ではなると思うのであります。この程度で総合開発が可能だというふうな見通しを持たれておりますか。
  83. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 先ほど来申し上げております約一兆円という数字は、冒頭お断り申し上げましたように、これは府県から出して参りました一応の希望額の集計にすぎないわけであります。御承知のように、特定地域計画というものはこれから新しくつくり、政府がこれをオーソライズするわけでありますので、政府の意向と地方の意向とで背馳しております場合には、金額も当然違つて来るわけであります。たとえばただいまお話が出ました港湾計画等も地方ではそれを受けておりますかどうか。まだ計画を両者突き合せておりませんので、はつきりいたしませんけれども政府計画地方計画とがマツチしているといたしますれば、大体この五千億円で実際一切のことがまかなえることになろうかと思います。
  84. 多田勇

    多田委員 地方計画政府計画がマツチしているかという点について、まだ突き合せが済んでいないというお話でありますが、特定地域を指定されます場合に、大体その地域開発目標を一応目安としてきめられ、そうして指定されただろうと思うのでありまして、まだ地方計画と中央計画とがマツチしているかどうかということの検討が終つていないというお話は、ちよつと受取れないと思うのであります。これは計画自体を推進するための予算的な裏づけをはつきりさせるためにも、当然最初から大体の目標と、どの程度金が必要であるかという点は検討されたと思うのでありますが、現在は中央計画に大体マツチしているというような見通しを持つておられるのであるか。いま一つは、この開発計画に対する予算的の措置が可能であるかどうか。この点をお伺いいたします。
  85. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 特定地域を選定いたします際には、当該地域におきます個々の事業計画を選定の基準にしたこともあるのでありますが、主として当該地域特定地域にするかいなかを判定する大きな基準は、その土地に潜在力があるかどうかということなのであります。その土地の水あるいは土地開発することによりまして、当該地域の経済力が向上し得る要素を持つておるかどうかというところに最大の重点を置いたわけであります。その資源の活用をどういうふうなぐあいでやるかということにつきましても、むろんただいま申し上げましたように考慮を払われまして、たとえば先ほど話が出ました大船渡港を整備すればどういうふうになるかというようなことも考慮しましたが、最大の重点は、その土地の持つているポテンシヤルというものに重点を置きまして、当該地域特定地域に指定したわけであります。従いまして個々の計画のでき上つた姿におきまして、あるいはでき上るまでの過程に要する経費等につきましては、ごく資産的に検討をし、最終的な姿につきましては、構想としては持つておりましたが、決定的な計画はこれから盛る。まずいれものを選定しまして、それからいれものの中に何を盛るかはあらためて再検討しようということで、当該地域特定地域に指定したのであります。そこで今お話になりましたような観点からいたしますれば、若干まだ御不満な点もあろうかと思うのでありますが、大体今日までの特定地域指定の基準の経過はそういうところにあるのであります。  第二のお尋ねの、はたしてしからば、それらの地域に対する総合開発の建設事業に対する国の投資の能力があるかどうかという問題でありますが、これにつきましては先ほど来問題になつておりますように、府県希望によりましても大体公共事業費が一兆円であり、また府県希望している公共事業費の起債額が、十箇年で五千億ということになりますと、これをしぼりますればまだ相当減額するであろうし、一箇年間最高で五百億をしぼれば三百億、二百億くらいになるのではなかろうかということになると、現在公共事業費に支弁いたしております国の予算が、二十七年度で約一千三百億ばかりでありますので、これらとのバランスからみまして、あるいは従来十九の特定地域にすでに相当公共事業費を投資しておりますので、それらの関係からいたしましても、大体国の財政力でまかなえるのではなかろうかというふうな考え方から、十九地域を指定したわけであります。
  86. 多田勇

    多田委員 今の問題はこれ以上お伺いすることはやめて別の機会に伺うことにいたします。  特定地域を指定された理由として今いろいろお話がございしまた。各府県から出て来ました府県計画に基いて特定地域を指定されたと申されたと思いますが、現在特定地域以外に調査区域と申しますか、調査地域と申しますか、そういうものを指定されているようであります。特に調査地域として指定されたということは、どういうことを意味するのでありますか。あるいはまた調査地域の中で調査した結果、特定地域として指定する必要があるとすれば、将来特定地域をふやす考えを持つているか、この点について伺いたい。
  87. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 御承知のように特定地域の指定にあたつて、全国で八つの地域を調査地域といたしまして、総理大臣名をもちまして指定したのであります。これらの地域はごく常識的に申しますれば、一応特定地域の候補地というふうにお考えつていいと思います。将来十分なる調査をいたしまして特定地域たり得る資格十分なりと考えられました際には、特定地域に指定するという方針でこれらの地域を指定したわけであります。
  88. 圖司安正

    圖司委員長代理 有田喜一君。
  89. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私ほかに用がありまして本委員会を少し欠席しておりましたので、私の質問があるいは誤解に基くことになるかもしれませんが、その点は御了承の上御説明願いたいと思います。  この法案を見ますと、全国総合開発計画都府県総合開発計画地方総合開発計画特定地域総合開発計画の四つにわかれております。私の見たところでは全国の総合開発計画というものがあつて、それを基本としてあとの三つの計画ができているようにも考えられます。またちよつとほかのことを考えてみると、都府県総合開発計画地方総合開発計画特定地域総合開発計画等の集積が総合開発として今からできるというふうにも考えられますが、この点が非常にあいまいのように感じられるので、その点をひとつ明らかにしていただきたい。要するに全国総合開発計画というものがあつて、下へどんどんと基本計画でもつて三つの計画ができるのか、下からできて、上が集積して、自然的に全国総合開発計画ができるのであるか、あるいは今日の開発計画はこれらの総合開発計画の別なものであるか。別なものとは思わないが、その辺のところを明確にしていただきたいと思います。
  90. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その点につきましては本法案立案過程におきまして、政府部内におきましても相当論議があつた点であります。しかし結論といたしまして第七條の第二項におきまして、これは改正條文でありますが、その中におきまして、全国総合開発計画都府県計画と、地方計画と、特定地域計画基本とするというふうにはつきりと性格を明記してあるのであります。従いましてただ單なる集積にあらずして、基本となるべき性格を持つておるものであるというふうに、はつきり明定したわけであります。
  91. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 ところが先般の御説明によりますと、全国総合開発計画はまだできていない、おそらくそれができるのは本年内か、あるいは本年度中か、とにかく九箇月か十箇月先のこと、そうすると今何ら都府県総合開発計画、あるいは地方総合開発計画、あるいは特定地域総合開発計画が全然ないかというと、そうでもない。やはりあるようにも考えられる。だから私どもがさつき言いましたような疑問が出て来るわけでありますが、今の今井田君の御説明によりますと、七條第二項によつて全国総合開発計画ができて、それが基本なつて来るというのだが、今までの実情とその辺に矛盾があるように思うがいかが思われるか。
  92. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 現在の法律が制定されましてから以降、数々の総合開発計画をつくります基準その他は、随時これを地方にそれぞれ流しまして、府県計画なり地方計画なりの作成の便宜を期したのですが、その中の一つといたしまして、一応府県計画を作成します基準というものを地方に流したのであります。その基準におきまして、大体全国計画構想の基礎となるようなものを、一応すでに地方に流しておるわけであります。それに基きまして現在の府県計画が進行しておるわけであります。一応その間の統一性はとつてあるわけであります。しかしその現在流してあります基準が、必しずもオーソライズされました全国計画ではございませんので、あらためて基準となるべき全国計画をつくりまして、その上でもう一度それらの計画検討し直したいというふうに考えておるわけであります。ただ第二項にございますような全国計画ができ上りますまで待つておりますと、非常に他の計画が遅れる場合も起りますので、ただいま考えられております程度の構想検討いたしてさしつかえないものは、それぞれの計画として一応完成させまして、計画ができました上でまたあらためて直すということにして実際上は出したいと思います。
  93. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 どうもわかりにくいのですが……。そうするとまだ全国の総合開発計画というものは完備していない。それを待つに少し時間がかかるからとりあえず地方計画をさせておる、こういうことですか。
  94. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ちよつと私の申し上げることがわかりにくかつたと思うのでありますが、現在地方が立てております計画は、各府県がまつたく恣意的に立てておるかと申しますと、必ずしもそうではないのでありまして、すでに一定の基準を示してあるのであります。その基準に従つて府県はそれぞれの計画をつくつてあるわけであります。一応各府県がつくつております計画は、全国的に統一性のあるものをつくつていると考えていただいてさしつかえなかろうかと思います。
  95. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 その一応の基準とおつしやるのは、全国の総合開発計画の基準ですか。
  96. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 これは現在の総合開発法の第四條の二項に「国土総合開発審議会は、総合開発計画の作成に必要な左に掲げる事項について調査審議しその結果を内閣総理大臣に報告することができる。」こういうことになつています。これに基きまして総合開発計画の作成の基準となるべき事項をすでに地方に流してあるわけであります。但しこれはただちに全国計画とは言い得ませんので、これを敷衍しまして再検討をいたしまして、オーソライズされました全国計画をあらためてつくりたい。すでにこういうものが出ておりますので、今申し上げましたように、現在つくつております府県計画というものは、全国計画ができ上りましても、根本的に再修正しなければならぬということには相ならぬのではなかろうかというふうに考えております。
  97. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 たとえば電源開発国土開発との関係は、一体どういうようになつておるか、今自由党から電源開発促進法案というものが出ているが、あの計画は、まだ全国総合開発計画はできていないのだが、今おつしやられた四條かなんかの基準によつてできているのですか。あの電源開発国土開発計画とは全然無関係ではないのかどうか。そういうことは実際問題としてどうですか。
  98. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 大体合つているように計画はできておると思つております。
  99. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 わからないから聞くのですが、先ほど多田委員からの御質問に対する御答弁によりますと、何でも特定地域の総事業費が一兆億円、こういうお話でしたが、あの特定地域というのは、いわゆる電源開発もその中に入つているのでしようか。
  100. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 そうです。
  101. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そういたしますと、あの中で一兆億と言われたが、その他調査地域というものがある。そうすると私の記憶が違うかもしれませんが、あなたの方のこの計画によると、琵琶湖の開発のごときは、この調査地域の中に入つていると思うのですが、電源開発計画の方を見ますと、あれはたしか第二期計画に入つている。そうするとあなたの御説明によると、一兆億というものは十年間とおつしやるが、電源開発の第二期計画は、十年間もかからない、もつと早くできることになつている。そういうところから私は相当疑問に思うのだが、ほんとうに全国計画からそういうものができておるのか、もう少しはつきり説明していただきたい。
  102. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 今お尋ねの、最初の方の一兆億円と先ほど来申し上げておりますのは、琵琶湖その他の調査地域を含まない、現在指定しました十九地域だけで、府県の要望しておりまする総事業費は一兆億円、そのうちで約五千億が公共事業費電源開発に要します費用としては、大体府県は十九地域で二千九百億円を希望しておるようであります。これとても府県希望的数字を集計したにすぎませんで、これは責任を持つてこのくらいかかるというふうには、現在まだわれわれの方では検討しておらないのであります。
  103. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 それがわからないのです。と申しますのは、さつきから言いますように、特定地域計画は十箇年計画とおつしやると、調査地域はまだ十箇年の外にあるわけですね。そのあとだと思う。ところが電源開発計画の方は第二期計画ですから、五年先になるか六年先になるか、とにかく十年以内の方に入つておる。そこであなたの方から見ますと、あれは調査地域だから、この十年間の外だとおつしやるが、電源開発計画を見ると、とにかく第二期計画だが、二十九年か何年かから着手して、三十何年に上げなければならぬということになつておる。こういうことになると、あれが十箇年と違つて来る。そこを疑問に思うのです。
  104. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 この特定地域の事業費の問題は、これはほんとうに御参考までに申し上げたにすぎないのでありまして、われわれの方でこれに拘束をされておるわけでも、重視しておるわけでもないのであります。一体特定地域開発について、どのくらいの経費を将来政府は見込んでいるかというふうな御質問がかりにありました場合に、何分その点の検討がしてありませんので、府県希望はこの程度にすぎないということを、参考までに申し上げたにすぎないのであります。琵琶湖地域等は、おつしやるように電源開発としましては最も優先的に取上げなければならない地域一つでもありますし、特定地域の指定にあたりましても、まず特定地域として最優先的に指定すべきではないかというような議論もあつたのでありますが、御承知のように相当問題もありますので、若干延ばしたようなわけであります。調査地域にしてありますので、おそらく近き将来には、特定地域になる最も有力な候補地の一つであろうかと思つております。そういう場合には、これによりますところの経費はまたこの中に上つて来るわけでありまして、この一兆億円といい、五十億円という金額は、先ほど来申し上げておりますように、ほんとうに御参考までに府県希望を申し上げたにすぎないのであります。その点はひとつ御了承を願います。
  105. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 調査地域が今から特定地域にされる可能性はある。特定地域にされて、必要であるならばその計画実施ももつと早く繰上げることがある、これは今の御説明によつてわかりました。そうすると、これはまたさつきの質問に帰るわけですが、全国計画から、あるいはまた特定地域の総合計画から、この電源開発なんかも含まれておる、こういうお話ですが、抽象的には含まれているかもしれぬが、具体的にはやはりまだそれほどコンクリートになつていないのですね。そうでないと、今の特定地域などの総合計画があるわけだから、そこから電源開発が完全に生れておるのなら、今の琵琶湖地域などはその中に入らなければならぬ。片一方は調査地域なつているが、電源開発は第二期計画として予定とはいいながら計画に上つておるのだから、その辺のところはまだコンクリートになつていないのではないですか。
  106. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その点は御指摘の通りでありまして、まだ最終的なと申しますか、全国計画がある程度はつきりして参りますれば追加をし、あるいは増加をしなければならないような地域も出て来ようかと思います。
  107. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そうしますと私の想像ですが、今まではおそらく経済安定本部としても自信も十分でないし、全国総合開発計画を初めからつくるといつてもなかなかうまく行かない。とにかく地方からいろいろな資料を集めながら積んで行かれた。しかし根本的に考えると、全国総合開発計画というものが立つて、その基本方針に基いて地方開発計画を立てるのが至当であろうというふうにお考えなつてこの法案も改正される。今、今井田さんのおつしやつたのは、これからやらんとする方針と、今まで歩んで来た道とが多少その間に食い違いがあつた、かくありたい、またこれからこうするんだということで全国計画が立つて、その基本方針地方に行く、今まではいろいろな関係があつて下から積んで来たことがあつた、こう解していいのではないでしようか。
  108. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 大体お説の通りに御了解願つていいと思います。
  109. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 その点はわかりました。そしたら多少の食い違いがあるのはしかたがないことだが、これからこの法案に基いて、全国計画にあたつて特定地域、あるいは地方総合計画、あるいは府県総合計画がだんだんと具体化する、かように解しておきます。  そこで次にお聞きしたいのは、先ほどもちよつと質問がありましたように、国土総合開発計画実施促進ということに今度の法律のねらいがある。これから全国計画がだんだんと立つて行くのでありますが、とにかく総合開発計画は、その実施面においてなかなか容易なことではないと私は思う。しかも一兆という事業費がかかる。これはほんの地方から申し出た金の集計にすぎないのであつて、これを真剣におやりになろうと思えば、一兆ぐらいの金ではなかなかできるものではないと私は思うのであります。しかし日本の国家財政なり、国力からいうと、何ぼよいことでも一ぺんにはやつて行けない。そうすると実施の上でおのずから順序というものがあると思うのです。それならどういう順序で行くか。地方の陳情がやかましいからやるというわけでもないだろうし、やはり政府としておのずから何に力点を置いて行くか。電源開発に力点を置いてやるとか、あるいは農地の開拓に重点を置いてやる、あるいは地下資源の鉱物に重点を置くとか、あるいは森林に重点を置くとか、それぞれあるだろうと思う。たとえば電源開発に重点を置いてやられて、それに森林の問題が関係して出て来、あるいは鉱物の関係が出て来る、いろいろなものが出で来ると思うのだが、とにかく何かの重点主義というものがないと、一ぺんに、まんべんなくやろうとしてもなかなかできないと思う。政府は何に重点を置いて、またいかなる順序を踏んでおやりになろうとされるか、それをひとつお聞かせを願いたい思います。
  110. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 先ほどもお尋ねがあつたのでありますが、重点という意味が二つあろうかと思うのであります。一つはいかなる地域を重点的に開発するかということ。それから第二の点は、当該地域内においていかなる事業を重点的、優先的に取上げるかという二つの問題であります。十九地域の中でどの地域から最初に取上げて行くべきかということは、これは相当重要な問題でありまして、にわかに私がここで明日にお答えすることは困難な問題であります。ただしかし国家経済から見まして、最も緊急な問題を包臓しておる地点から始まるであろうことは言うまでもないことであります。たとえば今国として当面しております最も大きな問題は電源開発であり、あるいは食糧の増産であり、河川の改修であるということになりますと、おのずからそういう地点、そういうことに問題が集約されることはあろうと思うのであります。また当該地域におきましていかなる事業から最も優先的に開発するかということにつきましては、これまた十分検討を要する問題でありますが、先ほど来申し上げておりますように、特定地域につきましては、指定と同時に政府開発目標を指示することになります。たとえば琵琶湖地域を例にとりますと、かりに琵琶湖地域特定地域として指定いたしました場合には、当該地域においてはいかなる事業を国として必要とする事業とするかということを明示するわけであります。琵琶湖でありますれば電源開発ということが最も大きな問題になろうと思いますが、そういうふうに一、二の事業に問題を集約いたしますので、特定地域なつたからといつて、当該地域の道路も橋梁もあるいは住宅も、すべてのものがよくなるというのではないのであります。国として最も必要と認める事業それのみを国家計画として取上げるという態勢で、おつしやるようなふうにできるだけ重点主義で、最少の経費をもつて最も能率を上げて行くような方向に参りたいと考えております。
  111. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 大体わかりました。しからば地域でいえばどの地域を先に手をつけるか、あるいは事業でいえば、電源開発とかどの仕事を第一目標にするか、そういうことをきめるのは政府でおきめになるのか。もちろん最後は政府の決定だろうが、開発審議会とか、そういうものの議を経て政府がおきめになるのか、あるいは政府閣議でおきめになるのか、それはどういうお考えか、お聞かせを願いたい。
  112. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その点はこの法律には規定がないのでありますが、審議会を相当尊重することに法律全体の構成がなつておりますので、審議会の意向を十分に取入れまして、最終的には政府責任において決定することになろうと思います。
  113. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 次に少し小さい問題でありますが、第六峰の二でございます。特別委員会というのがありますが、この特別委員会の性格——総合開発審議会の一部であるようにも見えるし、またその外にあるようにも見えるのだが、一体どういう性格を持つておるのか。
  114. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 お尋ねの点はしごくごもつともでございまして、この規定は、先般来問題になつておりました河川総合開発法との調整をはかりましたために入つたのでありまして、この特別委員会は審議会内部機構であります。さらに言いますならば、一種の下部機構——下部機構とまでは言えないまでも、審議会機構の一部であり、審議会の運用方法の一種というふうにお考え願つてけつこうだと思います。
  115. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 開発審議会の下部機構のようであるというお答えでありますが、どうもその点がはつきりしていないように思う。たとえばその特別委員会で決定した結果を開発審議会に報告するとは書いてあるが、その報告を受けた結果を開発審議会で再び審議するのか、そのままほつておいてもいいのか、その辺が少し明確になつておらない。下都機構ならば、まあ下の言うことは上のものが聞かなくてもいいというりくつにもなりますが、そういう性質のものではなかろうと私は思う。報告を受けた結果をそのままとるかどうかは開発審議会権限であろうが、これはこの條によつて見ると、そのままほつておいて審議をせぬでもいいというふうに考えられる。その辺を明確にしてもらいたい
  116. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その点につきましては、一応法制意見局の意見も聞きまして、大体この書き方でいいのではないかということでこの書き方にしたのであります。ただ問題によりましては、私たちこの特別委員会の決定をもつて審議会の決定にかえることができるというふうなことにもいたしたいと考えております。これらのことは政令で規定いたしたいと思つております。
  117. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そういうことはやろうと思えば政令でやれると思います。そういう考えがあるならば、もちろん案ぐらいはできておるだろうと思います。政令の要綱でけつこうですが、そういうものがあるとそういう点がおそらく明確になろうと思うし、他の委員もほしいだろうと思いますからそれを見せていただきたいと思います。  それから次にお伺いしたい。これは私の誤解があるかもしれないが、都府県総合開発計画ができて、国土開発審議会に諮問する。そうして開発審議会は行政機関の長の意見を聞く、こういうことが書いてあります。行政機関の長の意見を聞く、その結果行政機関の長の意見総合開発審議会意見とが異なる場合ができたときは一体どうなるのか。あるいは都府県総合開発計画の変更を命ずることができるとすればどの程度それが変更できるのか、その点が明らかになつていないようだが、それを説明していただきたい。
  118. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいまお話になりましたように、さような意見の食い違いがありました場合には、総理大臣助言勧告をすることになつております。その効果はどのようなことになるかというような規定まではこれにはございませんが、助言勧告に従わなければ、おのずからその計画の有権性がなくなるわけであります。ここまでは規定してございませんが、大体これに準拠して行くことになるのだと考えております。
  119. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そういうふうに中央と地方との間に意見の食い違いができたとすると、府県審議会とかあるいは地方総合開発審議会というものが、中央の意見通りもう一ぺん審議をやり直すのか、そういうような審議会に何もかけずに、都府県は中央の意見通りそれを聞いてそれを実施に移すのか、その点はどうですか。
  120. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 おそらく重要な変更でありますれば計画の変更ということになりますので、当然中央の審議会をもう一度開きまして最終的に決定することになるのではないかと思います。
  121. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 この点は一番初めの私の質問にあるように、中央の総合開発計画がはつきりできれば、その基本に基いてやるのだからあまり矛盾撞着は起らないと思うが、今のところではやはりそういう現実問題が私は起るだろうと思つてそういうことをお尋ねしたのであります一  もう一ぺんあらためて聞きますが、全国の総合開発計画というものは、大体いつごろに完成する見込みか、その点を明らかにしていただきたい。
  122. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいまお話のございましたように、全国総合開発計画の樹立ということは早急にやらなければならない問題であり、また非常に重要な問題であるということは、私どももまつたく同感でございまして、なるべく早くつくりたいということで、全国総合開発計画の一応の作成の仕方及びその構想につきまして、現在すでに関係各省と協議中であります。私ども見通しといたしましては、上半期中には大体の構想は完成いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  123. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 上半期というと九月までには完成する、非常にけつこうなことですが、あまり急いでよいものができなければ困る、その辺は如才ないでしようが、ひとつ周到なよい計画を早くやつていただきたいと思います。  そこでそういう全国の計画が一応できて、そのできたものを、たとえば十年間の計画が一ぺんできたからといつて、それを少しもかえないというようなことでもないと思いますが、そういうものをもう一ぺん振り返つてみて、一旦きめた計画を変更されるようなことがあるかどうかを伺いたい。これを根本的にかえるようなことでは、最初の計画なつておらないということになるが、そういうことにはならないだろうが、やはりいろいろ情勢の変化もありますし、人間だから多少の誤りもあるだろうと思いますし、予算その他においておのずから年次計画というものをかえなければならぬということもあると思いますが、毎年そういうような計画改訂というようなものをやられる見込みがあるかどうか、この点についてどういうお考えをされておるかお聞きしたいと思います。
  124. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その全国計画の作成の方法につきましても現在検討中でありまして、ただいまお話のように年年これを変更しなければならぬような、ぬきさしならぬようなものにつくり上げて行くか、あるいはたとえば十年後の一つ開発目標というものをつくりまして、その目標を称して全国計画というか、その辺につきましては目下検討中であります。いずれにいたしましても恒久的なものができないことは間違いないのでありまして、必要の都度率直にこれを訂正して参るというふうなものをつくつて行きたいと思つております。
  125. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 大体わかりましたが、方向としては変更は例外的にはやるにしても、十年計画を立てればそれをかえないという気持で進められておるのか。またそういう十年なんてえらそうなことを言つたところでどうせかわるのだから、まず二十七年度なら二十七年度着手分だけははつきりしたものをつくるが、あとは多少ラフでも、今から半歳一年かかつて、もつとしつかりしたものにしようとか、まだきまつていないでしようが、どちらに重点を置いて安本考えられておりますか、その方向だけをお示し願いたいと思います。
  126. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいま例としてお話になりましたように、大体の大きな構想はつくつておきまして、さしあたりやらなければならない問題の位置というものを、全国的にはつきり関連を持たせるためにやりまして、その翌年にはまた同じような作業を繰返して参るというようにいたしたいと考えております。
  127. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 大体わかりましたが、港湾局長がお見えでありますから一言だけお聞きいたしたいと思います。  先般運輸大臣は、港湾行政の所管の問題についてはつきりした御答弁をせられた。港湾は船舶の利用その他の利用度に重点を置いてやるのだから、運輸省でやるとのことですが、私は運輸大臣考え方は非常に正しいと思います。その問題は非常にけつこうだと思いますが、船舶その他の利用度の方面から考えますと、最近は貨物船にしても、タンカー、ことに大型のタンカーの傾向が世界的に強い。そうすると今日本の港湾の状況を見ますと、三万トンくらいのタンカーはちよつと入りにくい。港湾が十分でないために日本の船舶の大型おものが制約されている現状にあるのですが、港湾担当者である港湾局長は世界の船舶が大型になりつつある趨勢にからんで、日本の港湾を根本的に改築するお考えを持つておられるか、またさような計画が具体的にあるかどうか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  128. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 御指摘の問題につきましてはお説の通りでありまして、最近船型が相当大きくなりつつございます。一例を一般の貨物船にとつてみますと、戰前は東亜圏の貿易が主でございましてこれが大体全貿易の六五%くらいかと存ずるのでありますが、終戰後におきましては、対アメリカ貿易か主になつて来ました関係で、アメリカ貿易がおよそ七〇%近くになつております。従いまして外国貿易の船型の平均は、戰前グロス四千五百トン程度でございましたが、戰後は六千五、六百トンに増大しております。これに合いますように接岸施設あるいは各地の造成につきましても、おおむね最小限九メートルを目標に整備いたしておりますし、また相当優秀な客貨船が入ることを予想しまして、十一メートルないし十二メートルというようなバースも——現に神戸におきましては第七突堤を目下昨年度から水深十一メートルを目標に築造いたしておるような現状でございます。さらにタンカーにつきましては、御承知通り終戰後非常に船型が増大いたしまして、戰前はグロス一万トンが目標でありまして、水深が九メートルでよろしかつたのでございますが、戰後最近ではおおむね二万トンくらいになりまして、十メートル半はどうしても必要であり、さらに特別に大きな四万トンというようなタンカーの実現も想像されるのでございますが、かような船はまだ日本には入つておりませんので、さしあたり二万トンで水深十メートル半を目標にしまして、現に横浜の京浜航路におきましては、石油地帶に入る航路の開鑿を、従来の九メートルから十メートル半に増深するような工事を本年度から開始いたしておるような現状でございます。
  129. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 大体タンカーはデツト・ウエート三万トンくらいはつくりたいというのが、日本の海運界の要望のようですが、その程度のタンカーは日本の港湾ではどこどこに入るのですか。
  130. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 デツト・ウエート三万トンと申しますと、グロス二万トンちよつとかと思いますが、大体今入ります所は、今申しましたように京浜は入ろうかと思います。それから下津は、もちろんこれは四万トンも可能かと思います。それから十メートル半と申しますと、関門地区におきましてもおおむね操作できるのではなかろうかと思います。なお北海道等におきましては、室蘭は入口はそういう船が入りますけれども、奥のタンク地帶は少し浅いというような現状でございます。
  131. 多田勇

    多田委員 港湾局もそういう方面に目をつけてだんだんと計画を進められておるようで、非常にけつこうでございますが、ともかく日本では精油ということが大分やかましくなつております。原油はこのごろ大分活溌になつておりますが、港湾によつて大きな船型をつくりたいと思つてもなかなかできないというような状況であります。もちろん資金面から制約されておる事業者もありますが、そうでないものも、港湾方面から制約されておるところもありますので、一層御努力されまして、港湾の方の隘路からさような制肘を受けないように、安本当局もよく御理解くださいまして、公共事業費の問題のときはよく御考慮願いたいと思います。  次に申し上げておきたいのは、商港と漁港との限界というか、これがどうもまだ私にははつきりしないということです。これは水産庁と港湾局の権限争いの面から来るところもあるだろうと思いますが、もちろん漁港と商港の性質は多少違うとはいうものの、港湾自体は大体同じ性質のものであるように思います。もちろん権限争いをする必要はないが、今のところはどういうふうな限界になつておりますか。
  132. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 漁港は漁港法によつて整備する港湾であり、商港は港湾法によつて整備いたしている港湾でございますが、港湾法と漁港法がほぼ同時に成立した関係もございますし、また漁港法によりますと、漁港に指定された区域、あるいは漁港区域に指定された区域でないと、公共事業による整備が非常に困難であるというような問題もありまして、先国会にこれが調整と申しますか、漁港法、港湾法の改正をはかりました。そうして元来は商港と申しますのは、総合的な機能を発揮する場合が多いのでありまして、一般の水陸連絡の商船の入る地域もありますし、また漁港が主として利用する漁港の区域もありますし、工業の発展に伴い、工業用の原材料を運ぶ船が利用する工業地区というような水域もあるのでございまして、これらの総合的な商港におきましては、漁港の施設を専門的にやりたいという場合に、一部の漁港地区水面を漁港地域に二軍指定するような法律の改正をいたしまして、その間の調整をはかつております。なお一般の地方港湾は、漁獲物の水揚げが主になる場合が多いのでございまして、この点におきましては、運輸大臣と農林大臣が協議いたしまして、漁港に指定するものは漁港に指定し、商港として残すものは商港として残して整備をはかつているような次第でございます。
  133. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 今港湾局と水産庁の関係は円滑に進んでおりますか。
  134. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 大体協議は円満に進んでおりまして、私ども特別にトラブルを起しておるような港はございません。
  135. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 円満に進んでおればけつこうで、さような問題で権限争いなどする必要はないと思います。しかしとにかく大体は大きな港は運輸省、小さな港は水産庁ということが常識的になつておるようですが、円滑にやられて港湾の整備強化ということに、ひとつ奮闘されんことを切望いなしまして、私の質問を終ります。
  136. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 小さい港湾は漁港が多いとおつしやいましたが、漁港と商港の問題をもちよつと御説明申し上げたいと思います。大体現在一般の港湾は三千二、三百ございます。そのうちちよつとした設備がありまして、千トン級の船が入る港は六百ほどございます。三千二、三百のうち漁港は千くらいございまして、三千二、三百は大体一般の港湾、かような状態になつております。
  137. 圖司安正

    圖司委員長代理 本日の会議はこの程度にとどめまして、明日午前十時より委員会を開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十八分散会