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1952-04-17 第13回国会 衆議院 経済安定委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十七日(木曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 有田 喜一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       圖司 安正君    奈良 治二君       福井  勇君    福田 喜東君       渕  通義君    河野 金昇君       横田甚太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君         建 設 大 臣 野田 卯一君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         建設事務官         (監理局長)  澁谷 操一君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)     今井田研二郎君  委員外出席者         経済安定技官  本城 和彦君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  国土総合開発法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五六号)     —————————————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きまきます。  この際お諮りいたします。国土総合開発法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会より連合審査会を開きたいとの申入れがあります。建設委員会連合審査会を開くに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田正男

    前田委員長 御異議なければさよう決します。なお連合審査会は二十二日午前十時より開会することにいたしたいと存じます。     —————————————
  4. 前田正男

    前田委員長 次に、国土総合開発法の一部を改正する法律案議題といたします。政府補足説明を求めます。今井田政府委員
  5. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 法律逐条説明につきましては、昨日若干申し述べておきましたので、本日は総合開発法輪郭一般につきまして、補足的に御説明を申し上げたいと存じます。  御承知のように総合開発法は、計画といたしまして全国計画地方計画府県計画特定地域計画、この四つの計画を予定しておるのであります。全国計画につきましては、昨日法案内容を御説明申し上げますときに申し上げておいたのでありますが、今度の改正法におきましては、他の計画、すなわち地方都府県特定地域、これらの地域基準をなすような性格を持つものであります。現在その作成方法につきまして他省と協議中でありまして、私どもとしてはできますならばなるべく早く、遅くも本年の下期までには全国計画輪郭をつくりたいというふうな考え方準備を進めております。この内容につきましてはいろいろの考え方があるのでありますが、先ほども申し上げましたように、基本であります以上、それ自体実施計画ではないのでございまして、およそ中央計画なり、府県計画なり、特定地域計画なりを立てます際の、荒筋のようなものをつくつて参りたいというふうに考えておる次第であります。  その次に、地方計画でありますが、地方計画につきましては、現在の総合開発法によりますと、地方の自主的な意思に基きまして、地方においてこれを作成して来ました場合には、政府がこれを取上げまして審議会諮問し、審議会総理に必要なる勧告報告をしました場合は、総理はまたさらに地方に対しまして必要なる勧告報告をするというようなことになつているのでありますが、現在までのところ地方計画といたしましては、新潟を除きまする東北七県から、東北地方地方計画といたしまして一案中央に持つて来ております。これにつきまして、現在法律に基く地方計画たる資格を持つているかどうかということを研究中であります。これが大体法律に基く地方計画と認められますので、近く審議会中心といたしまして、この計画につき討議いたしたいというふうに考えておる次第であります。  次の都府県計画、これまた中央と同様に地方におきまして自主的に立てて参る計画でありまして、この計画の立て方あるいは方法等につきましては、すでに審議会中心といたしまして、大体の都府県計画構想方法論につきましては、これを地方に示してあるのでありまして、この方法論に基きまして都府県計画を、各府県はそれぞれつくつておるのであります。中間報告といたしまして、昨年の八月各都府県から報告が出て参つております。現在安定本部中心になりまして、関係各省意見を聞きまして、この中間報告とりまとめを行つております。近くとりまとめが完了するはずでありますが、この中間報告によりまして、大体の都府県構想はわかるわけでありますので、一応これを検討しました上で、さらに必要なる調整を加えまして、これを都府県に内示いたし、最終的な都府県計画を立てていただくというふうなことにいたしたいというので、現在準備を進めておるわけであります。  最後の特定地域計画は、御承知のように昨年の十二月に総理大臣地域指定を行いまして、これまた御承知のように、全国で十九地域特定地域として指定したわけであります。この特定地域選定にあたりましては、十分慎重にこれを行つたのでありまして、特定地域選定基準にはいろいろ要素があるのでありますが、われわれといたしましては、いろいろな要素のうちで、地域の持つております潜在力を非常に重視いたしまして、この潜在力を活用してこれを総合的に開発して参りますならば、国家的と申しますか、国民経済に非常に寄與するところが多いというふうな地域を重視して、十九地域指定したわけであります。この十九地域指定後、しからばどのようなことが行われるかと申しますと、これまたこれらの地域につきましては、一応関係都府県が、この地域につきまして計画立案して参りまして、この立案されました計画中央が取上げる。その取上げ方が、今度の改正法案におきまして最も重点を置いておるところでありますが、この改正法案によりますと、地方が持つて参りました計画中央政府でこれを検討いたしまして、その検討の結果を閣議で決定いたしまして、国家計画にいたすというふうな手続を、今回の改正におきまして予定しているわけであります。他の計画すなわち全国計画を除きまする都府県計画及び地方計画は、これは国家計画とはいたしませんが、必要なる勧告または調整総理が行うという段階にとどめておりますが、全国計画は、これは政府自体でつくるものでありますので、申すまでもないことでありますが、特定地域計画は、国家が最終的にはこれを決定する、いわゆる国家計画といたすというふうなことに今回の改正におきましてなるわけであります。  しからば特定地域におきましてはどういうことを考え、これらの地域におきましてはどういう開発構想をもつて開発を進めて参るか、あるいは特定地域選定にあたりましては、どういうふうな作業によりまして、どういうふうな点に重点を置いて地域指定したかというふうなことを、御参考までにこれから申し上げたいのでありますが、一応経済安定本部総合開発事務所事務所員でありますところの本城君から御説明をお願いしたいと思います。
  6. 本城和彦

    本城説明員 ただいまの主管の御説明を補足いたしまして、どういう経過でどういうふうな形で特定地域指定されたかということにつきまして、多少御説明申し上げたいと思います。  選定にあたりまして、府県から申請されましたのは五十一地域でございます。それから農林省から御推薦になりましたのが十一、建設省から二十一地域——建設省と申しますのは、建設省自体でございます。つまり河川局道路局まとめ役としての建設省でございます。それから運輸省からは十六地域、通産省からは十四地域公益事業委員会から十五地域が出ておるのであります。そこでそれだけの非常に多数の地域でございますが、軍なり合わさつたものを除きますと、大体六十一地域ほどございます。それにつきまして、ただいま主管から御説明がございましたようないろいろな作業をいたしまして検討いたしたわけでございます。その結果十九地域が選ばれました。  そこで、選ばれました結果は、先日お手元に差上げました「特定地域指定要請書及び総理大臣諮問」というものがございますが、それにまとめてございます。どういうつもりでこの地域を選んだか、そうしてその地域ではどういう仕事をするのかということが、この諮問書に織り込まれております。たとえば一例を北上地域にとりますと    地域選定理由   1—1本地域は豊富な農村資源地下資源及び包蔵水力を有し発展的基礎条件を有するに拘らず、主として、北上川水系による災害が甚だしく、且交通施設、動力、資本等が不足しているため未開発に止つている。北上川災害防除及び河水の有効な利用はこの地域開発の端緒となり、更に新しい工業及び農業等発展の機会をも造り出すこととなろう。開発の根幹となる北上川河水統制用堰堤については、すでにそのうちの二つが着工されている。今後はこの開発事業を更に推進してその総合的な成果を確保する必要があるという理由でございまして、この開発のおもな目標といたしましては、国土保全農産開発及び林産開発発電工鑛業開発をやるというような形で、総理大臣諮問いたしておるわけでございます。  それに対しまして審議会は、いろいろな検討をいたしまして、それがここにございます特定地域指定諮問に対する答申というものにまとめてございます。  この答申は、まず一番初めに地域指定の適否、地域範囲がいいかどうかという点がごがいまして、その次に、どういうつもりで答申をしたかということが五ページ以下にまとめてございます。その六ページに北上川の分がございます。「三北上地域計画立案に当つては先ず流域農業生産安定度の向上を図ることが重要である。即ち水害の防除下流部土地改良などは基本的な問題である。北上川治水については狐禪寺狭窄部流下量に限度があるので、上流部洪水調節堰堤建設を先行すべきである。これによつて相当発電が期待されるが、その質がわるいので、地域内の工業の将来計画についてはその点の改善を考慮し、計画総合調整に遺憾ないようにすることが必要である。」という答申でございます。これは北上地域の岩手県側の地図でございますが、これの全体にわたりまて、今いろいろな計画考えられておつたわけでございます。上流部の山林の開発地下資源開発あるいはこの流域治水発電、あるいはこちらの方の鑛業開発というふうないろいろな問題が考えられておつたわけでございますが、審議会といたしましては、まず第一に何をやるべきかというと、この流域治水考えなくてはいけない。この治水によつてこの流域農業を安定さすことを考えなくてはいけない。その治水伴つて、ここの狐禪寺という所に狭窄部がございまして、ここは六千三百立米しか水が流れないのであります。ところが北上川は九千立米の水が流れております。従つて上流部でこういうダムをつくりまして、その水をとめることをやつて行かなくてはいけない。そういたしますと、このダムができれば、それに発電伴つて来るわけでございますが、しかしながらこの計画考えて行くには、まずこの治水考えなくてはいけない、それに伴つて電気が起つて来るその電氣をこつちに使う。しかしながら洪水調節電気を使うといたしますと、それはおのずから洪水調節という制約を受けますので、年中同じ量の、同じキロワツトの電気が出て来るとは限りません。それですから、この電気をフラツトにすることを考えなければ、こちらの工業化ということも進まないという答申が出ております。そういう注意がついたまま、つまり答申といたしましては、正面からまずこの地域特定地域として指定していいかどうか、あるいはこの地域範囲がこれで適当とかどうかということがまず第一に答申されておるわけでございますが、付帶的意見といたしまして、この計画をやつて行く上に、どういう順序でやつたらいいかということが、あわせ述べられているわけでございます。そこでそういうような答申に基きまして、十二月四日に特定地域指定されたわけでございます。目下政府といたしましては、その特定地域指定されたことを受けまして、この計画を推進して行くという段階に入つておるわけでございます。それにつきまして第一段階といたしましては、審議会でこういうふうな意見が出て、それをまた諮問にあたつては、こういうつもりでやつたというふうなことを受けまして、政府としてこの地域はこういう扱いをしたらいいのだということをまず確認をする。つまり計画の大方針を確認する。これは中央官庁全部が寄りまして相談をいたしまして、確認をいたしました。それが、特定地域開発目標及び開発計画立案上の問題点について、という印刷物でございます。多分お手元には参つておらないと思いますが、ようやく先般各省が相寄りまして、意見の一致を見まして、つまり今後先ほど申し上げましたような法案改正に伴いまして、こういうのを国の計画として責任をもつて行くということになりますと、各省としてもそれぞれの責任がございますので、非常に慎重な審議をしていただき、ようやく各地域につきましての開発目標というものを設定いたしました。たとえば北上地域の例でございますと、この地域国土保全をまず第一に考えて行く、そしてそれに伴つて、ただいまのようないろいろな資源開発あるいは鑛工業立地条件整備というふうなことができるのだということが確認されたわけでございます。そこで計画立案上の問題点として、つまり今後こういうところに特に気をつけて計画考えて行かなくてはいけないのだということにつきまして、同じように審議会で御審議を経ました点、各省がそれを正しいと思つた点があげられてございます。ただいまのどういう順序計画をやつて行くのだというようなことは、そこで扱われておるわけでございます。  大体特定地域指定地方からの申請中央申請、それに伴うところの指定要請諮問、それから審議会答申、それを受けて各省が今やつておる仕事というのは、ただいま申し上げたようなことでございます。
  7. 前田正男

    前田委員長 これより質疑に入ります。志田君。
  8. 志田義信

    志田委員 特定地域指定についての計画を今いろいろ承りまして、御苦心のほども非常によくわかるのでありますが、特に今後の問題として、なおいろいろ関係方面から、たとえばいまだ特定地域に入らざる地方から、特定地域申請も出るやに承つておるのであります。そういう関係から見ましても、あるいは各省関係特定地域希望しておるところで、なおこのたびの選定に漏れているところがやはりあるのでありますが、将来にわたりまして、この特定地域を今後どういうふうにあんばいして指定して行く考えか、あるいは現在の十九特定地域選定をいただかなかつたものでも、なお今後特定地域として見て行かなければならぬものが相当ある。これを調査地域というような名前で、国としても地方としても、計画調整をとらなければならぬと思うのでありますが、そういう点についてひとつ説明願いたい。
  9. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 お答えいたします。ただいま御質問がございましたように、十九地域のほかに八地域調査地域として指定いたしまして、これにつきましては特別の調査を行うということになつております。調査の結果、もし特定地域たり得る資格ありと認められます場合には、追加指定をいたしたいというふうに考えております。ただしかし、いつこれを追加指定するか、あるいはどのくらいの数追加指定するかということは、調査の結果をまちませんとわかりませんので、現在のところまだきまつておりませんが、もし適当なものがあれば、追加指定することにつきましてはやぶさかではございません。
  10. 志田義信

    志田委員 先ほどの御説明の中に、地方計画のうち、新潟県を除いた東北七県の地方計画中央に出ておるというお話がありましたが、これは東北七県、特にわれわれの方面中心なつてつくつ骨幹計画が、おそらく中央に上つて来ておると思うのであります。こうした骨幹計画は、ひとり東北のみでなく、全国特定地域中心とする、特に一つの県だけでなく、二府県あるいは三府県にわたるような特定地域開発にあたりましての地方計画と、かなり相関関係があると思うのでありますが、そういうものをその他の地方においても地方計画として検討せられておるかどうか、それを中央の方に出して来るような方向に向つておるかどうか、それをひとつお伺いしたい。
  11. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 現在中央に持つてつておりますものは、東北七県の地方計画だけでありまして、まだ他からは出ておりません。しかしこの種の地方計画が出ますことは、全国計画を作成する上におきましても、あるいは他の計画を審査いたします上におきましても、非常に参考になりますので、できますれば、将来こういう計画地方で出していただきたいというふうにわれわれとしては望んでおる次第であります。
  12. 志田義信

    志田委員 たとえば鳥取大山中心とする数県にわたる地方計画があるのじやないかと思いますが、それはまだ中央には出て来ておりませんか。それから先ほど申された特別調査をしていただく八地域というのは、大体今はどの地域考えておられるか、それもひとつお答え願えれば幸いであります。
  13. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 最初のお尋ね鳥取大山地方は、御承知のように特定地域といたしまとて、大山地域というのがあるのであります。大山地域岡山県の一部と島根県と鳥取県の三県にまたがつております。従いましてこれは地方計画という形でなしに、特定地域計画という形で近く地方から一案が出て来るのではなかろうかと思います。  それから第二のお尋ね調査地域でありますが、第一は東京湾地域、これは京浜、京葉地域を含みましたところの東京湾地域、その次が九頭龍川地域、第三番目に琵琶湖地域、第四番目に瀬戸内海地域、第五番目に吉野川地域、第六番目が岡山県の備北地域であります。その次が有明海地域、それから九州の球磨川地域、この八つの地域調査地域といたしまして、閣議了解のもとに、これを調査地域として指定したわけであります。
  14. 志田義信

    志田委員 それからこれは基本の問題になるのでありますけれども、国土総合開発港湾関係についてもかなり重要なものがあろうかと思いますが、沿岸関係を入れた日本の漁業施設というものに対しての開発の方式などについては、何か考えておられるかどうか、それをひとつ伺いたいと思います。
  15. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 港湾計画もむろん総合開発計画の重要な一環をなしておるものでありまして、対象となります計画の中には港湾地域もむろん含めております。従いまして、たとえば先ほど例として申し上げました北上地域におきましても、大船渡港というようなものをどういうふうに開発して参るかということも、計画の重要なる対象になつております。
  16. 前田正男

    前田委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後は一時半より再開し、質疑を継続することといたします。  これにて休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ————◇—————     午後三時一分開議
  17. 前田正男

    前田委員長 再開いたします。午前に引続き質疑を継続いたします。  この際運輸大臣が御出席になつておりますので、私から運輸大臣に御質問したいと思います。現在国土総合開発法の一部を改正する法律案議題となつてるおわけでありますが、この開発の中には交通網整備、特に鉄道の問題が相当あると私らは思つておるのですが、運輸省といたしましては、総合開発という問題に関して、鉄道の問題をどういうふうにお考えになつておられるか、運輸大臣のお考えを承りたいと思います。
  18. 村上義一

    村上国務大臣 運輸省としましても国土総合開発計画に順応してあらゆる処置をとつて行きたいと考えておるのであります。特に総合開発ということにつきましては、交通関係の適切な施設がその基盤となるのじやないかというふうに考えます。国有鉄道道路あるいは港湾等とともに、非常に重要な役割を持つと考えております。従いまして国鉄の新線建造建設計画におきましても、この国土総合開発計画というものとは、できる限りマツチして行くべきものだと考えておる。御承知通り鉄道建設につきましては、建設審議会が設置せられておりまして運輸大臣としましては、それに諮問をしまして、審議会の御意見を尊重して行かなければならぬことは当然であります。今後の私の希望を申し述べさせていただけば、国土総合開発審議会と密接な関連をとつて行きたいという希望を持つておりまして、今後総合開発計画審議会の御意見を、できる限り鉄道建設審議会の方へ移すようにしていただきたい。建設審議会でも、もちろん進んで御意見を伺うようにして行きたいとは思います。
  19. 前田正男

    前田委員長 ただいまのお言葉大臣のお考えは了承するわけでありますが、実は昭和二十六年十月六日に、総理大臣から、もちろん運輸大臣も各内閣行政機関が入りまして、特定地域指定について諮問をしております。それに対しまして、国土総合開発審議会委員長から十一月三十日に内閣総理大臣に、特定地域指定について答申をいたしておるのでありますが、審議会委員にももちろん運輸省の人も入つておられるようでありますし、もちろん行政官庁といたしましても内閣総理大臣意見が決定される場合においては、運輸省は参画しておられると思うのであります。しかもこの国土総合開発の優先的な問題といたしましては、政府において特定地域指定して、この開発という問題を当然取上げて行くべきであると私たち考えておるわけであります。ところがこの諮問及び答申内容によりますと、拾い上げましても、たとえば北上地区におきましても、鉄道道路整備が必要であるとか、只見地区においても、交通網整備が必要であるとか、あるいはまたその他全般にわたつて交通網整備が必要だと書いてあります。吉野熊野地区におきましても、紀西線及び地域縦断鉄道建設が必要であるとか、あるいはまた錦川地域については、岩日線の建設という、はつきり鉄道名前も書かれておりますし、あるいはまた那賀川地区におきましても、鉄道建設するという言葉はみな入つておるのでありまして、もちろん運輸省の人も参画せられてきめられたものでありますので、当然お考えになつておられることだと思うのでありますが、私たち聞きますと、この十六日より鉄道線審議会が始まつておるように聞いておるのであります。それの新線建設基準というものの中に、もちろん国土総合開発というものを相当重視せられておるということ、未完成線その他の費用のかからぬものをやりたいことはわれわれは聞いておるのでありますが、こういう特定地域政府できめ、またそれに対する答申のあつたものの中に、鉄道路線とか、あるいはこういう鉄道がいいとかいうので明瞭に書いてありますものを、当然私たちとしては優先的に取上げて行くべきではないか、こう考えろのでありますが、運輸大臣はいかにお考えになりますか。
  20. 村上義一

    村上国務大臣 具体的の事項についての御質問であります。昨日鉄道建設審議会が再開せられたのでありますが、従つて昨日会長その他の選任がありまして、さらに小委員会選任が行われたのであります。その後議事に入りまして、小委員会において、設定する路線基準基本になるべき条項を審議せられたのであります、今お話のように、なるべくすみやかに建造でき、合理的にまた経済的に、採算的に建造できる路線を尊重するというような項目も御指摘のようにありました。国土の具体的の項目が掲げられておりましたけれども、要するに国民経済上、総合開発上最も必要な路線、これを優先するという項目が第一に掲げられておつたのであります。全部で四項目になつてつたのであります。今お話のような、なるべく短時日に、経済的に建設できる路線というような項目もありました。これは実は御承知通り鉄道敷設法の別表にあります予定線というものは、実は六千五百キロからの厖大なものであるのであります。この中で帝国議会当時予算を付して両院の協賛を得ております線、すなわち建設線と申しておりまするが、この線がなお仕上つてないものが四十八線、千六百五十キロほどあるのであります。しかも  このうちの半分ほどは、すでに路盤の工事に着手しておる。あるいは進んで路盤がすつかり仕上つておる。さらにまた橋梁のアバツトメントでありますとか、橋脚等も全部仕上つてつて、まくら木とレールを並べれば完成するといつたような路線もあります。戰争熾烈な時期に工事を中止して、今日に及んでおる次第であります。こういう線はなるべく早く仕上げたいという考えが、鉄道建設審議会内にありまして、そういう趣旨で今御指摘になつたような条項が掲記されたのであります。国土総合開発という見地で国民経済的に必要な路線を優先するということは、四つの項目のうちの第一に掲げられておるような次第であります。ただこの際につけ加えて御了承を願つておきたいことは、国土総合開発に関しては、その財政的手当というものが公共事業費というものに主点がおかれてある次第で、鉄道のごとき特別会計に属するものは、的確にその対象になつておらぬように考えられるのであります。それで一方本年度の鉄道建設費のごときは、実はわずかに二十億しかない。二十億の金額というものは、これを合理的な経済的な建設ということになると、七、八本程度が適当じやないかと実は思うのでありまして久しく建設事業ができなかつたのであります。しかしながら今日まで待望久しきにわたつておる鉄道新線の建設というものの要望きわめて熾烈なものがおる次第であります。こういう現状にかんがみますると、七、八本ぐらいでは、とうていこれは無理だということを痛感い  たしておる次第であります。審議会におきましても、その点、種々考慮をし、ておられるように昨日も見受けたのであります。何らかここに適切な方法を案出せんとして、各委員方は努力をし  ておられるように思います。要するにこの公共事業費をもつて処理するということになつておらぬがゆえに、実際問題としましては、現状のままでありますと、食い違いが生じて来ることは、真にやむを得ないと考えておる次第であります。
  21. 前田正男

    前田委員長 ただいまの大臣のお答えで、大体よくわかりましたのであります。特に新線審議会の第一条件として、国土総合開発地区を優先的に考えてもらいたいというような言葉は、われわれといたしまして非常に同感の至りであると思います。先ほど申しました通り国土総合開発に対しましては、特定地域というものを指定しておるのでありまして、この特定地域開発をまず始めるべきものじやないかと私は考えておるのであります。その特定地域の中において、運輸省も入られました諮問の中に、鉄道路線が書いてある。しかもその中において先ほど申されたような未完成線その他も、特定地域の中に含まれてあるように私は思うのであります。そういつた点、まず第一条件として、今度の新線建設の場合には、まず国土総合開発という点でお考え願いたいと思うのでありまして、国鉄の立場から見ますと、收支の採算とか、いろいろな点があると私は思うのでありますが、鉄道というものは、ぜひとも国土総合開発、こういう点からお考え願いたい。特に特定地域について御考慮を願いたい、こういうふうに考えるのであります。  また第二段の問題について、公共事業費の中にこれが入つていないということについても、遺憾の至りであります。何とかこの問題について考えて行きたいと思つておるのであります。特定地域の中に、いろいろな建設用に交通網を持つて行かれる場合においては、当然公共事業費の中に、資材の運搬費というものが含まれておると私は思うのでありまして、当然それは鉄道建設及び運営の費用として利用することができるのではないかと私は考えておるのであります。鉄道を敷かなければ、道路を拡張するとか、いずれにいたしましても、そういつた費用は、ダム建設とかその他のものが、当然あるものと思うのであります。この辺ももつと運輸省の方でよく相談していただきまして、建設用の道路なり建設用の鉄道の費用というものは、当然含まれてしかるべきものではないかと私は考えておるのであります。どうか、新線建設審議会も開かれておる際であり、国会においても国土総合開発法案審議中でありますが、ぜひ国土総合開発の観点から、新線というものを御考慮願いたいということをお願いしておきます。
  22. 村上義一

    村上国務大臣 昨日きまりました選定基本基準と申しますか、この第一号には、いろいろくだいて具体的に書いておりますので、国土総合開発計画云々という文字を示しておりません。趣旨はそこにあると私理解しております。ただいま委員長の御意見のほどは、なるべくすみやかな機会に建設審議会に伝えたいと思つております。
  23. 志田義信

    志田委員 今お話を承つたことの中で、まだ十分納得行かない点があるのでありまして、二三お尋ね申し上げたいと思いますが、今十六日からなさつておられる鉄道新線建設審議会で、新線の基準その他が行われておるというが、その新線の建設審議にあたりましては、それはかつて運輸省計画立案しておりました長期計画ないしは五箇年計画というようなものを基準として、新線の決定を審議会諮問しておるのであるかどうか、まずそれを承りたいと思います。
  24. 村上義一

    村上国務大臣 お話通りであります。実は昨年の八月に諮問を二項目提示いたしております。第一項目は非常に複雑多岐にわたつた諮問案であります。第二の案が、さしあたり具体的に路線選定するについての諮問案であります。特に昨日審議会の開催に際しまして、第二問について至急に御答申あらんことを大臣として希望いたしたのであります。
  25. 志田義信

    志田委員 われわれが国土開発審議会内閣に設置されましたときに、委員としてこの鉄道建設の長期計画並びに五箇年計画を、国土開発とマツチするように要望いたしまして、いろいろと、そのとき運輸当局ともお打合せをしたのでありますが、当時は運輸省としましては、昭和二十九年度までに着工する分、昭和三十四年度までに着工する分、及び昭和三十九年度までに着工する分、こういうふうに区分がわかれておつて、それによつて新線計画を行う、それから敷設法の予定線の方も同様に考えておつて、既設線のほかには、複線化も考える、こういう計画運輸省としてお持ちになつておるようでありまするが、この計画はそのまままだ生きて計画によつてやるお考えをお持ちしながら、審議会諮問しておるのであるかどうか。それもひとつ伺いたいと思います。
  26. 村上義一

    村上国務大臣 今五箇年間という場お話でありましたが、現在の日本国有鉄道法にはまだ継続予算を提出し、国会で御審議願うようになつておらないのであります。一年々々の経費を予算によつて審議を願うようになつておる次第であります。この点につきましては、鉄道建設のごとき、さらにまた電化事業のごとき、改良計画にいたしましても、相当数年間にわたつた計画を立てて工事を持続して行かなければ、非常に不経済な結果になることは申し上げるまでもないのであります。従いまして最近の機会に国有鉄道法の予算措置についての改正法律案を御審議願いたいこう考えておるのであります。ただ今回の通常国会に提出しなかつたのは、実は電気通信関係がコーポレーシヨンに改組せられるということになつてつて、この財政経理の措置がどういうぐあいに進むかということがきまつてから、具体的改正法律案を提出することが妥当だと考えまして、実は延ばしたような次第であります。なるべく二十八年度の予算提出までには間に合うように継続費を盛つて、予算を組み立て得るようにしたいと考えておる次第であります。  なお最後にお尋ねでありました鉄道建設の進み方の御質問のように思いましたが、御承知通り、以前鉄道財政が非常にゆたかであつた時代には、年年二百キロ、あるいは三百キロという建設をやつてつたのであります。しかし最近におきましては、年々の車両その他諸般の設備の老朽化して行くのを、とりかえ工事で若返りをやつておる次第でありまするが、このとりかえ工事費は約三百億に近いものが必要なんであります。これは現在の諸設備の複成価格、約八千九百億の複成価格に対する償却によつて計上されておるのであります。二十六年度の收支計算におきましても、二百八十数億を計上いたしまして、この計算して算出された二百八十億の金額を、償却に計上いたしたわけであります。これを二十七年度のとりかえ工事費に充当いたしておる次第であります。ただ過去において戰争熾烈な時代、また終戰後最近に至るまで、このとりかえ工事が非常に遅れておるのであります。国有鉄道の首脳者の計算に上りますと、これを金額にしまして千八百七十五億円に達しておるような次第であります。こういうものは何とか早くとりかえなければならないと実は憂慮いたしておるような次第でありまするが、なお先刻申しますように、電化もしくはその他の、あるいは線路容量の行き詰まつておりますたとえば東北本線のごとき、どうしても宇都宮以北を複線にしなければ輸送力が追つつかない実情に迫られております。こういつたような改良工事費も相当額年々必要といたします。また今国土総合開発の見地その他の見地から新線の建設というものもでき得るだけ多くやつて行きたいということは、運輸大臣としても痛切に感じておるのであります。いかんせん、今鉄道の工事費わずかに四百十七億程度でありまして、その半分にも達しないというような現状であるのであります。何らか特殊の財源を求めなければいかに進めたいと考えても、建設にしても、改良にしても進まないという実情にある次第であります。以上ついでながら申し上げます。
  27. 志田義信

    志田委員 財政的な手当が必要であるということは先ほどの委員長質問によりましてもわれわれ同感なのでありますが、たださつき大臣は、公共事業費で鉄道のごときものは対象になつていないというような傾きがある。これでは非常に困る。特別会計のみでやらなければならぬというお話のように聞えました。そこで鉄道としては特別会計で今後手当して行かなければならぬ。とりあえずそういう方向で行かなければならぬだろうと思いますが、たとえば鉄道社債あるいは交付金等によつて、それらの予算でまかない切れないものをまかなうというような計画はお持ちになつておりますか、それをひとつ……。
  28. 村上義一

    村上国務大臣 先刻申し上げましたのは、国土総合開発計画の財政的の基礎は公共事業費によるように心得ておるのであります。しかるに鉄道建設費は公共事業費によつて支弁されないということを、ただ事実を申し上げたにすぎないのであります。それから第二に御指摘になりました財源の捻出方法でありますが、交付金ということについては運輸大臣としては考えて見たことはございません。鉄道公債ということは、過去においても年々歳々まつてつたわけであります。これは方法が実現性がないことはないと自分は思つております。ただ時の政府の方針といたしまして、特殊の目的を持つた公債を個々に発売する、たとえば鉄道公債でありますとか、あるいは電話公債、その他個々の目的を持つた公債を出して行くということがいいか悪いかということについては、そのときの政策のいかんにあるのじやないかというふうに考えております。先刻申し述べましたごとく、資源について心痛しておりまする運輸大臣としては、もちろんなるべく早く適当な機会をつかんで進みたい。資源としては一般の財政運用資金の借入れにまつか、あるいは鉄道公債の発行によるか、しからずんば運賃の値上げによるよりほか方法がないのであります。何らかの方法を講じて参りたいと思つておるわけであります。
  29. 志田義信

    志田委員 鉄道敷設法の別表にあると御指摘のありました予定線は、われわれの承知いたしておりますところによりますと、五十二箇所というふうに承知いたしておるのであります。この五十二箇所は先ほどお尋ねいたしましたときにも、鉄道省の長期計画並びに五箇年計画内容によつてなされているものというお話でありますが、最近の国土開発の状況がきわめて必要であることにつきましては、大臣もただいまお述べになつ通りでありますので、この五十二箇所を必ずしも固執しないで、国土開発の面から資源を探るという点から、大いに新線の計画を取上げた行くという方向に持つて行くことはいかがなものでしようか。たとえば先ほどお話のありました土工工事に着手しているようなものは、これはもちろん未完成の鉄道でありますから、十分従来の新線計画、いわゆる予定線でおやりくだすつてけつこうでありますが、土工工事にもいまだ着手しないつまり未着手の区間というものが、相当この敷設法の別表にあると御指摘になりました予定線の中に入つておる。そういう予定線はこの際一応新しい観点に立つて国土総合開発の建前から考え直しをして、そうしていいものは残し、悪いものは捨てて、緩急を追つて新線計画を立てる。こういうような広い立場で大臣はひとつ考え置きを願えないものかどうか。この点を重ねてお伺い申し上げます。
  30. 村上義一

    村上国務大臣 まつたく同感であるのであります。ただ予定線は今百六十五本あるのでありまして、そううちで先刻も申しましたように帝国議会当時に予算を添えて両院の協賛を得ました、いわける建設線というのが四十八本あるのであります。この四十八線は四十八線だけで千六百五十キロほどあるのであります。一キロが今日は大体五千五百万円ぐらいの建設費であります。相当巨額のものを要するのであります。今鉄道建設審議会におきましては、この四十八線が審議会の御要望によりまして、データを事務当局から提出しております。それから四十八線以外の予定線、この中から九本審議会要請によつて各種のデータを審議会に提出いたしております。なお予定線にも載つていないものが二本、審議会要請によりましてデータを事務当局から提出しております。全部で五十九本が今審議対象になつておると思うのであります。
  31. 志田義信

    志田委員 たいへんよくわかるのでありますが、そこで予定線の百六十五項の中から、審議会要請によつて出たもの九本、それから予定線に載つていないものだけれども、審議会がぜひとも必要であるとして、これに対するいろいろな資料を提出なさつておる二本、これは一体どういう角度から、どういう必要によつて審議会要請しているものでしようか。その点おさしつかえなければひとつ承りたいと思います。
  32. 村上義一

    村上国務大臣 思うにまつた国民経済発達の見地、国土総合開発の見地から要請せられていると解釈いたします。
  33. 志田義信

    志田委員 そうしますと、鉄道がさきに鉄道敷設法によつて予定線として計画した百六十五項というものは、そういう必要にとらわれない、そういう必要のない線であつたということも言えるようなこともあるのでありますが、その点はいかがでありますか。
  34. 村上義一

    村上国務大臣 お示しの通り、大体において、国民経済の見地、あるいは文化向上の見地というような観点から予定線中よりピツク・アツプせられておると、大体としては言い得ると思うのであります。しかしながら、当時のことでありますから、軍事上の目的とかいうようなことも若干含まれてお  つたということは、いなみ得ないと思うのであります。そういう観点から予定線の表自体を再改編する必要があるのじやないかという御意見も、建設審議会においてとなえられたこともあるのであります。
  35. 志田義信

    志田委員 御趣旨の点はよくわかりましたが、国土開発という文字を特に入れないのは、何か運輸省として考えがあつて入れないのか、それとも当然そういう国土開発は、総理大臣の国会  における施政演説にもあるような重大な国の要請であるから、入れるまでもないというふうなお考え国土開発と  いう文字は入れないのか、それともこれを入れると、先ほどの、公共事業費のみでやつておる国土開発に、何かさしさわりがあるように思われて入れないのか、そういう点でお尋ね申し上げておきたいと思います。
  36. 村上義一

    村上国務大臣 これはまつたく私の私見に相なりまするが、今鉄道建設審議会はまつたく特別会計の事業として——もちろん国民の所有である、また国のため、国民のための国有鉄道ではありますが、特別会計ということになつております、そうして鉄道建設費というものは公共事業費の対象でないということになつているためじやないかと想像いたすのであります。これは私の純粋の私見でありまするが。国土総合開発という問題、あるいはまた北海道開発計画というような場合、あるいはまた電化計画等におきましても、もしぜひ必要を感ぜられますという場合には、鉄道を専用線として建設することがこの計画の中に織り込まれるということも一つの方法じやないかと私は思うのであります。と申しまするのは、こういつた事業は、その工事中の物資その他の輸送において、仕上つてから実は必要でもありますが、工事中がなお一層必要だと私は思うのであります。普通の工場の建設でも、専用線を引いてバラストからまずもつて輸送するということになりますと、大体において二割工事の建設費が安くなるというのが定説でありまして、自分が今まで関係しました諸事業におきましても大体この見当は間違つておらないのであります。従つて多く国土総合開発という場合には山岳地帶その他特殊の場所が多いのでありまして、現在道路も完璧なものはできていないというような向きが多いのであります。私は国道だけとは申しませんが、まずもつて交通機関をつくるということが国土総合開発の根本じやないかと思つております。これをネグレクトして開発事業は進むはずはないと思つておるのでありまして、その点どうも今の進み方について一考を要するのじやないかと思つております。これはまつたくの私見でございます。
  37. 志田義信

    志田委員 建設大臣も見えておりますから、後にちよつと建設大臣お尋ね申し上げなければならないのでありますが、その前に今の鉄道は特別会計である。特別会計であるから、それで差引、鉄道責任においてやらなければならぬ。これが非常に苦痛であるというお話がありました。そこで従来鉄道に来ておつた見返り資金というものは、これもやはりあなたの方では特別会計としてお扱いになつたのでありますか。その点はどういうふうにお扱いになつておるか、その点を承りたい。
  38. 村上義一

    村上国務大臣 今まで若干見返り資金の配付も受けております。これはまつたく返還を要するもの、また普通の金利を支拂うということに相なつております。御趣旨がちよつと判断しにくいのでありますが、普通の取扱いを受けておるのであります。ただ二十六年度だけは、二十億円無利子、無期限の金を借りております。これはたしか見返り資金にあらずして一般運用資金からだつたと記憶いたしております。
  39. 志田義信

    志田委員 ちようど運輸大臣が見えましたからお尋ねしますが、今度は港湾のことについてちよつとお尋ねしておきたいと思います。国土開発の観点から参りますと——午前中は私は安本当局に対しまして御質問申し上げたのですが、ひとり山嶽地帶とか国土だけにとどまらない、港湾つまり日本の沿岸を囲繞しておりますところの海を対象とする資源開発もきわめて重大なのであります。この国土開発の一環としての港湾の長期整備計画というものが、一体運輸省にあるかどうか、あるとすればその構想をひとつ承りたいと思います。
  40. 村上義一

    村上国務大臣 相当長期にわたつて計画は持つておるのであります。そうして一面において二十五年に国土総合開発法ができましたが、具体的の地域指定がなかつたのであります。御指摘のように十九の地域指定せられました。二十七年度の港湾計画におきましては、その方面に相当順応して、港湾の増備に力を入れたつもりでありまして、一例を申せば大船渡の築港のごときそれであります。
  41. 志田義信

    志田委員 十九の地域指定されて、今の大船渡の港湾計画もやるということでありますが、これはたいへんけつこうだと思うのであります。こういう港湾計画を立てられるためには、国土開発との関連において、何か安本あるいは建設省等と連絡協議会でも持たれておやりになつておるかどうか、その点をひとつ承りたい。
  42. 村上義一

    村上国務大臣 もちろん緊密な連繋をとつてつております。
  43. 志田義信

    志田委員 そういう場合におきまして、従来国土総合開発の立場から長期計画を立てられておるといたしますと、やはり自立経済十箇年計画ないしは五箇年計画というふうに区分してお立てになつておるのか、その点の内容を少しお話願えればたいへんありがたいと思います。
  44. 村上義一

    村上国務大臣 お示しの通り長期にわたつて計画を立てておりますが、今その材料を持ちませんので、後ほど材料を皆さんに提出いたします。
  45. 志田義信

    志田委員 大臣は資料をお持ちにならぬようでありますから、ひとつ資料をお出し願いまして次の機会にお伺いいたしたいと思います。特にそういう場合に年次計画を立てられて、五箇年でも十箇年でもけつこうでありますが、そういう計画国土開発と関連して立てられる場合には、人口の問題、経済効果の問題、あるいは所要の船腹の問題等、非常に重大なものがあると思いますが、そういうような調査もおそらく統計的に持つておられるだろうと思います。あるいは計画立案があるだろうと思いますので、その点の資料がございましたらそれもお出し願いたいと思います。  最後に一点お尋ね申し上げたいのですが、これは建設大臣と二人並べて聞くことはまことに申訳ないようなことでどうかと思いますが、ひとつけんかをなさらずに、国を愛する心でお答え願いたいと思います。そういう港湾計画を立てられる場合におきまして、港湾行政を建設省に持つてつた方がいいという議論が相当にある。ことに国土開発の関連において、港湾行政は運輸省から建設省に一元的に持つてつた方がいいのだという議論がありますが、これに対する運輸大臣のお考えをお漏らし願いたいと思います。
  46. 村上義一

    村上国務大臣 港湾の行政区画の問題でありますが、港湾の建設ということは、実は建設と申しましても、計画と工事とにわけることができると思うのであります。港湾の建設につきましては、港湾を運営するものと密接な関係があると思います。この港はどういう船を多く取扱うか、またその積荷はどういう種類の積荷をこの港で多く扱うようになるか。自然それに関連して上屋倉庫等の計画もありますが、また積荷によつては岸壁荷役でなくてもいいものもあります。この港にどういう荷物をどういう船によつて、またどこの国籍に所属する船によつて取扱われるかということによつて、その港の建設計画がかわつて来ると思うのであります。どうしてもこれは使用する側が一元的にやらなくてはいけないと私は信じておるのであります。かつて私が満鉄におりましたときにも、大連港、営口、特に満州事変直後におきましては、営口、羅津港等の築港計画に当りました。すべて用途によりまして荷役力とか、はしけの取扱い方、また設備の仕方といつたような問題にも密接な関連がある次第でありまして、これはどうしても一元的にやる必要があると私は信じておるのであります。
  47. 志田義信

    志田委員 海上輸送や港湾の取扱いの点は非常によくわかるのでありますが、港湾の施設をやるような場合に、たとえば今大臣のおつしやられた計画と工事にわけるという中の、工事に該当する場合には、工事はやはり建設省が、技能程度におきましても運輸省が持つている施設能力よりはすぐれておるというような説をなすものがあるのでありますけれども、現在のところ港湾施設能力は運輸省が持つておる現有の能力で、日本の国土開発及び将来の自立経済を達成して行く五箇年計画ないしは十箇年計画港湾計画を立てられる上において、十分であるというお見通しを持たれておるかどうか、その点ひとつ……。
  48. 村上義一

    村上国務大臣 この工事の遂行についての御意見でありまするが、港湾の工事は、道路建設あるいはまた鉄道建設とか、河川の工事だとかいうものとは、やや趣を異にいたしておるのであります。工事の方法におきましても、またその必要な機械器具類にしましても、やや趣を異にしております。工事上の技術においても自然陸上のものとは異つておることは御承知通りであります。港湾の工事遂行ということは、陸上関係とはちよつと趣を異にしておる次第なんであります。  なお後に御質問になりました工事能力があるとかいうお話であります。もちろん工事につきましては民間の業者に請負わす場合も直営の場合もあるということは御承知通りであります。ぜひ直営でして行かなければならぬ部分についての工事能力は、相当あるつもりであります。もちろん無限にあるかという御反間にあうと、それはありませんと言わなければなりませんが、まあ今日考えられる程度においては十分だと考えております。
  49. 志田義信

    志田委員 こういうことはあまりつつ込んでお聞きしても何でしようが、何か最近聞くところによりますと、港湾施設工事をやるのに、設備等におきまして日本の運輸省はそう大したいい機械を持つていない。これは別にアメリカその他の国と対比しているわけではありませんが、どうも機械能力が劣つておるのではないか。従つて今たとい鉄道公債を起したり、あるいは私が先ほど申し上げました交付金等があつたり、あるいはその他の国の予算をたくさんつけても、港湾計画に関する限りは、どうも施設において工事をやつて行く上においてそういう新しい工事計画を立ててやつて行くだけの機械の設備が非常に劣つておる。何か最近のうちに日本は港湾計画をほんとうにやるならば、相当考えた新しい機械設備を入れなければならぬという説をする技術面の声があるのでありますが、これに対して大臣はいかにお考えになつておりますか。
  50. 村上義一

    村上国務大臣 まことに適切な御質問であると思うのですが、これは日本の工事の方法と申しますか、用うべき機械力というものにつきましては、ひとり港湾のみならず、道路の建造にいたしましても、鉄道の建造にいたしましても、特に地下鉄の建造等に至りましては、お示しのような米国と比較しますと、ずいぶん遅れておるということはいなめないのであります。これは各方面ともすみやかに機械力を、日本の財政の許す限り進歩した機械を持ち得ることにして行かなければならぬものだと思つておる次第であります。
  51. 前田正男

    前田委員長 ちよつと今のお答えに関連してお伺いしたい。最近政府におきまして合理化資金とか、あるいは外貨貸付とかいろいろなことがあるように聞いておるのでありますが、そういう建設用の機械とか、そういつた方面について合理化資金とか外貨貸付ということは、運輸省のような公共的な機関としてはそういうことは適用できないのでありますかどうですか。
  52. 村上義一

    村上国務大臣 合理化の資金というものについては、これは多く民間を対象としているもので政府についてはこれは予算をもつて準備さえすれば必ずしも合理化資金とが別途のわくを言わなくてもでき得るじやないかと思つております。
  53. 多田勇

    ○多田委員 先ほど来委員長あるいは志田君の質問に対する運輸大臣の答弁によりまして、国土総合開発鉄道建設という関係がどうもはつきりしないような感じがある。大臣は口では国土総合開発を優先的に考えて行きたいという気持で、鉄道関係審議会でも計画を立てられたというようなお話でありますが、国土総合開発鉄道自体計画と、その間には相当な考え方に違う点がおるじやないかというような感じがいたすのでありますが、実際問題といたしまして国土総合開発を優先的に扱うということになりますと鉄道自体考えている運輸行政の面から、鉄道自体考えはある程度まげて行かなければならないというような事態も生ずるだろうと思いますし、それともう一つは、新線がどうしても必要だというような部面も、国土総合開発を優先的に考えるという建前から行くと、あとまわしにされる、非常にきゆうくつな予算からしますと、どうしても指定地域以外の鉄道の開設というようなものが、相当遅延するというような不安が起つて来ると思うのであります。この点ひとつはつきりと国土総合開発はもちろん考えるけれど、国全体の輸送の面から新線というものを考えて行くのであるか、国土総合開発をあくまでも優先的に扱つて行こうという考え方であるか、その点をはつきり伺いたい。
  54. 村上義一

    村上国務大臣 赤裸々に申し述べまして、先刻も申し上げる通り国土総合開発等のことと、鉄道建設審議会のねらつているところとはぴつたり一致はしておらぬと私は思う。そのぴつたり一致して来ないという理由は、先刻来申し述べました事情のためであるのであります。もちろん鉄道建設審議会におきましても、国土総合開発ということはおのずから重点は置いておるのでありまして、それあるがゆえに昨日きまりました四つの基準事項の第一に大体においてそういう表現をした事項が掲げられている次第であります。今お話のように輸送計画というものを第一に置いているのではありません。輸送上の計画、たとえばある一本の相当長い線で、東から西からあるいは南から北から工事が進行して来まして、わずかばかりのためにこれが連絡してないというようなところでありますとか、あるいは非常に迂回線のところをシヨート・カツトで連絡をして輸送の円滑をはかるというようなことも、第三番目でありましたかに掲げてある事項であるのであります。そういう点ももちろん考慮いたされるのでありますが、国民経済の発達ということが第一の項目に掲げられておるのであります。これは国土総合開発計画という事柄とまつたく一致しているとは申しがたいのですが、ほとんど接近した、ほとんど一致した事柄を別個の文字で表現していると思うのであります。もちろんこういう項目を掲げられたのは、運輸省の当局または運輸大臣意見によつて掲げられたのではないのであります。非常に論議をせられました後に鉄道建設審議会として決定せられまして、そうして小委員会を設けて、その基準によつて前刻申し述べました五十九線の中から大体ピツク・アツプをするということを小委員会に移付せられたような次第であります。
  55. 多田勇

    ○多田委員 大体運輸省考え方がわかつたのでありますが、そこで国土総合開発としまして鉄道の新線を建設しよう、鉄道の新線を建設しなければならないというような必要に迫られました場合に、現在の資金ではとうていこれを満足に充当することが困難だということは、はつきりしている問題ですが、先ほど大臣が言われましたように、鉄道建設に公共事業費を相当程度注入することがどうしても必要だとわれわれは考えておるのであります。国土総合開発を公共事業として推進しようというような考え方のようでございますが、国土総合開発の観点から、新線をつくることが必要だというような場合に従来のような鉄道だけの特別会計でなしに、公共事業費からこれらの費用を投入するというようなことを当然考えているべきだと思うのでございますが、これに対する運輸大臣並びに建設大臣の御意見をお伺いいたします。
  56. 村上義一

    村上国務大臣 今のところでは、前刻も申しましたように、そういう建前になつておらぬと私は思うのですが、それはそういうふうの鉄道建設費を、公共事業費をもつて支弁するという建前をとることに変更するやいなやは、これは不可能の問題じやないと思うのであります。
  57. 野田卯一

    ○野田国務大臣 この問題は、現在の国有鉄道の建前その他から見まして愼重に研究したいと思います。
  58. 多田勇

    ○多田委員 この問題は、單に国土総合開発だけの問題でなしに、現在鉄道で一番困つている問題と申しますよりも、われわれが一番困つている問題は、都市計画に伴うところの鉄道の従来の既設線の変更あるいは駅の変更等が、全国的に相当あるようでありますが、これらの問題にしましても、現在の鉄道の経理状況ではなかなか進捗しない、というよりもせつかく都市計画ができ上りつつある各都市の一番大きながんになつておるようでございます。これらに対しても公共事業費を使うことがほとんど許されていないというのが現状のようであります。鉄道自体希望よりも、都市建設のために必要な計画から、鉄道の既設線の変更あるいはまた駅の移転等をしなければならないというような場合には、これは当然公共事業費あるいはまた都市計画に要する費用から負担すべきだと思うのでありますが、これらについて現在では解決の道がないようであります。これは非常に各都市とも困つておる問題でありますが、これらに対して早急に都市計画に即応するような方途を講ずる考えがございますかどうか、その点についてお伺いします。
  59. 村上義一

    村上国務大臣 都市計画その他の計画が進められて、これに順応して国有鉄道施設を改善せんければならぬという事態であるにかかからず、経費が僅少で改良工事ができないというために、各方面に非常に御迷惑をかけておることは、まことに遺憾に思つておる次第であります。何とかして前刻も申し上げますように、財源をつくらなければならぬと考えておるような次第であります。実はこれは私の見方が誤つておるかもしれませんけれども、以前は、国有鉄道の運営は比較的楽であつたのであります。相当の黒字を出し得た。改良工事のごときは、大体において益金から捻出しておつた次第であります。とりかえ工事費はもとよりのことであります。しかるにただいまは今後の一年々々のとりかえ工事費が辛うじて償却の面で捻出できるにすぎないような次第であります。電化を初め、各種の改良工事費また建設工事費、これらを一に一般財政の貸付に仰いでおるというような状態であるのであります。  これは私の見方が誤つておるといつてまたおしかりをこうむるかもしれませんが、私学生生活をしておりましたときから鉄道関係をいたしておりますが、数十年の間、はがき一枚の料金と鉄道の三等運賃一キロの賃率とは大体同じであつたのであります。一方が一銭のときは一方が一銭一厘、一方が一銭五厘になつたときは一銭五厘六毛といつたように、数十年間ほとんど同じ状態にあつたのであります。しかるに現在におきましては、はがきが五円であるにもかかわらず、鉄道の三等運賃は一円八十五銭という実情でありまして、ここにいわゆる貨幣価値の下落あるいは物価騰貴と申しますか、一般の生活費の高まることは極力防止せんければなりませんが、鉄道運賃に相当しわ寄せをされておるというふうにも考えるのであります。特に数十年前私ども初めて国有鉄道関係をいたしましたとき以来、今日ほど定期運賃の割引率の多い時期はないのであります。こういうこともかなり鉄道特別会計に大きいがんとなつて現われておるんじやないかと思うのであります。とにかく鉄道公債に求めますか、あるいは運賃に求めますか、また一般会計からの借入れによりますか、何らかの方法で、ここ数年間は、少くとも千億近くの工事費を入れんければ、このままで、十年間推移したならば、国有鉄道は破滅するだろうと実業家の御意見を伺うのであります。必ずしも詭弁ではないように私も思うのであります。現に基準年次であります昭和十年、十一年ごろの運転事故、車両事故、線路事故、線路は主としてレールの折損その他の事故でありますが、基準年次に比較してちようど今は五倍の運転事故をやつているのであります。このままで推移しましたら、ゆゆしき状態に立ち至るおそれなしとしないと思つて実は心痛しているような次第であります。何らか具体的の案を得ましたら、また皆さんの御協力をぜひお願いいたしたいと思つております。ついでながら……。
  60. 多田勇

    ○多田委員 輸送関係の権威者である大臣が非常に心痛されている点、これは鉄道が戰時中ほとんど補給修理をしないで現在独立採算制に持つてつたというところに、相当無理があると思うのでありますが、これはひとつ大臣の力をもつて、早急に何とか方途を講じていただきたいと思うのであります。  先ほどちよつと申し上げました都市計画関係でございますが、ただいま大臣が言われましたように、鉄道自体の補修その他すら非常に困難だというような現在の独立会計にある鉄道が、他の要請によつて工事をするというような都市計画等に伴う工事に対して、これは当然都市計画関係の予算からこれらの費用を負担すべきだと思つております。具体的な実例と申しますか、私千葉県ですが、千葉駅にいたしましても、千葉市の都市計画はどんどん進捗して、駅を中心にしたところの相当厖大な計画ができ、道路ができているにもかかわらず、千葉駅の移転が依然として見通しがつかないために、せつかく民家を動かしてつくりました道路が、草ぼうぼうになつてしまつているというような現状であります。しかも十億以上を要する千葉駅の移転に対して、二十七年度の予算でわずか五百万円しか支出しない。五百万くらいの金を出してもらつても何もならない。非常にむだな結果になるのでありますが、こういつた状態では、せつかく都市計画をつくりまして、各都市が非常な犠牲を払い、努力をされているにもかかわらず、都市計画中心である鉄道が、都市計画に即応できないというふうなことでは、せつかくの都市計画がむだになつてしまうというようなのが現状でございます。何とか公共事業費から出してもらうように私どももいろいろ話をしたのでございますが、現在では非常に困難だというような事情は、一応りくつとしてはわかるのでありますが、鉄道自体要請でなしに、鉄道以外の要請から生じましたこれらの必要経費というものは、当然それらのものが負担すべきが当然だと思うのであります。たとえば都市計画の問題が出ましたが、都市計画のために鉄道の移転その他に要する費用を、建設省として今後負担しようというような考えを持たれたことがないかどうか。あるいはこういつた方法で建設省が経費を負担することが不可能であるかどうか。その点について建設大臣の御意見を伺いたいと思います。
  61. 野田卯一

    ○野田国務大臣 御質問の要点は私は不可能ではないと思います。現にこういう例があるのでございます。たとえば河川を改修いたしまして堤防の高さを上げる問題であります。堤防の高さを上げますと、今までそこにかかつてつた鉄橋が低くなり過ぎるわけです。そこでかさ上げを、たとえば二メートルなら二メートルしますと、鉄道の方も二メートル上げませんと非常に支障を来すことになる。そういう場合に鉄道を引上げる。堤防のかさ上げに応じて鉄道を上げる、鉄道橋を上げる工事につきましては、たしか半分建設省が出して、半分を鉄道の方で出してやつているという例があるのであります。これは河川改修に伴う鉄道橋の引上げの問題です。そういうことは半分半分にしてやつている。こういう例が鉄道のいわゆる跨線橋であるとか、あるいは鉄道の上を通るガードとか、下を通る道、こういうものをつくりますときには、大体これは建設省の方の経費でやつておりますが、鉄道の方ではそれがために踏切りがいらなくなるというので、鉄道の方からある程度負担する。こういうぐあいにお互いに出し合つてつているという例があります。従いましてただいまお示しのような場合につきましても研究をいたしてみたいと思います。
  62. 志田義信

    志田委員 今日法案として提案になつております国土総合開発法の一部を改正する法律案審議をいたしているのでありますが、私はこまかい点は別といたしまして、この開発法の一部を改正する法律案によつて国土総合開発は、従来の何か欠けていたものをさらにつげ加えたという強力なものになり得ると思うのであります。建設大臣としてのこれに対するお考えをひとつお尋ね申し上げたいのであります。
  63. 野田卯一

    ○野田国務大臣 今回の国土総合開発法改正は、国土総合開発並びに従来の運用にかんがみまして、もう少し力強くするという意味合いにおきまして改正案を提出した次第であります。
  64. 志田義信

    志田委員 そういう場合に、これは建設大臣としてのお答えをいただくわけにはいかないのでありまして、行政管理庁の国務大臣としてお尋ね申し上げたいと思いまするが、この法律を生かすためには、やはり相当な行政事務を取扱う機関を必要とするのではないか、かように思つておりますが、このたびの機構の改革にあたりまして、国土総合開発をどういう方向で、どういう機構のもとに特にこれを発展させて行くお考えであるか。ひとつ腹蔵のない点をお話していただけば仕合せであると思うのであります。
  65. 野田卯一

    ○野田国務大臣 まだ確定しておらないのでありまして、政府部内で一応案を得ているところについて申し上げますと、国土総合開発審議会という機構が現在ありますが、これに事務局を付置いたしまして安定本部が廃止された場合、現在安定本部で取扱つております審議会関係仕事は事務局において取扱うという、一応の構想になつております。
  66. 志田義信

    志田委員 国土開発審議会をもつて国土開発を推進して行く、それに必要な行政事務は、審議会に事務局を置くというようなお考えでありまするが、その事務局の構成の内容、さらに事務分量をどの程度に見て、どの程度の人員を配置をするか、こういう点についでお考えかあれば承りたい。
  67. 野田卯一

    ○野田国務大臣 まだその点につきましては目下検討中でございまして、申し上げる段階に至つておらないのであります。
  68. 志田義信

    志田委員 その内容についてはまだお尋ねすることは無理だというお話でありますが、承りますとこの審議会はアメリカの大統領の諮問機関である審議会にのつとつたようなものだというように新聞紙等は伝えておりますが、いかがでしよう。
  69. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいまお話のありましたアメリカの経済諮問委員会にのつとつたような審議会、これは別の経済計画審議会というものを一応つくろうという案になつております。この経済計画審議会がアメリカの大統領の経済諮問委員会的なものである、こう考えております。
  70. 志田義信

    志田委員 国土開発法は今度従来われわれの要望しておりました実施法もつけ加えて一部改正法律案となつたのでありますけれども、ここに国土開発を強力に推進して行くという建前から行きますと、どうしてもこれに伴つて生じて来る行政上の分量というものは、相当莫大なものがあるのではなかろうかと思われるのであります。これを処理する場合に、審議会の事務局程度の機構で十分なし得るとする根拠をお持ちのようでありまするから、その点をひとつお伺い申し上げたいと思います。
  71. 野田卯一

    ○野田国務大臣 これにつきましては、どれだけの人員を要し、中をどういうふうな編成にしてやるかということはまだきまつておりません。この審議会の事務局で取扱うべき仕事範囲をよく検討いたしまして、それに伴う人員と構成というようなものを考えてみたいという考えであります。
  72. 志田義信

    志田委員 それではこの審議会に事務局を置くことについて、閣議決定の内容がございましたらお伺いいたします。それから経済計画審議会閣議決定の内容がありましたらあわせてひとつ……。
  73. 野田卯一

    ○野田国務大臣 国土総合開発審議会は現在ありますので、それに事務局を付置して、現在この審議会仕事安定本部で取扱つておりますのを、事務局で取扱うというだけがその内容であります。  それから経済計画審議会の方は、これは新しくつくることを予定されておる審議会でありますがこの審議会委員若干名をもつてというので、大体七名程度でやる。そのうち三名以内を常勤といいますか、フル・タイムの人にしたいと考えております。この七人のメンバーの中には、国務大臣も入れるという構想を持つております。これは一面におきましては、国の長期にわたる経済計画検討立案をすると同時に、刻々における内外の経済情勢を常に検討いたし、これを分析し、必要なる勧告政府に対してするということにいたしたい、こういうふうに考えております。
  74. 志田義信

    志田委員 国土開発審議会といい、経済計画審議会といい、その点についての具体的なお話がないのでありまするが、それではもう少し網を大きくいたしまして、安本の機構改革をやられる場合の構想を主務大臣として閣議でもいろいろお話しておるようでありますので、その点についてお伺いしたいと思います。
  75. 野田卯一

    ○野田国務大臣 まだ設置法等も十分できておらない、ごく素案的な考え方を申し上げて済みませんが、安本の営んでおりまする仕事の中で、各省に配属してやらしてよろしいものは各省に配属してやらせる、こういうふうに考えております。それから安本が営んでおりました各種の政策の総合調整のような仕事があるのであります。これにつきましてはいわゆる閣議重点主議というか、そういう問題は閣議で討論して十分意を盡してきめて行きたい。またものによつては次官会議へ付せられるものもありましようが、閣議とか次官会議というようなものを活用する、こういうようなものにしたいと考えております。
  76. 志田義信

    志田委員 従来われわれの党との間でお話をなさつておりました線と、今度考えられ新聞にぽつぽつ出て来る線とは、大分違うものがあるようにわれわれは感ずるのでありますが、その点につきましてはいかがでございましようか。
  77. 野田卯一

    ○野田国務大臣 安定本部の問題につきましては、政府部内でいろいろ審議いたしました過程におきまして、種々の問題なり意見なりを生じまして、再三慎重審議をいたしました結果、重要政策の総合調整閣議重点で行くという方針をとりまして、あといろいろと安本でやつておりますことも、各省それぞれにこれを分属させてやつて行こう。なお一つの問題が他の各省にわたるものがありますが、そういうものについてはその事柄に最も関係の深い省が幹事役を承つて各省と緊密な連絡をとつてまとめるという方法もあわせて用いて行こう、こういうような考え方になつておるのであります。
  78. 志田義信

    志田委員 経済計画審議会を置かれるというお話で、これはアメリカの大統領の諮問委員会のようなものを大いに参考にするのだというお話でありますが、アメリカの諮問委員会内容を見ますと、予算局等もございまして、相当に広汎な行政事務を執行できる機関なのであります。今お話くださいました経済計画審議会の国務大臣を入れ得る七各の人員、あるいは常勤の三名というような機構で、日本の経済計画をなし得るというお考えにつきましては、われわれは必ずしも賛成できないものがあるのでありますけれども、その点につきましては大臣としては、よほどなし得る確信があつてこれを立案せられておると思いますので、その点をひとつ承りたい。
  79. 野田卯一

    ○野田国務大臣 御承知のようにアメリカの制度におきましては、予算局、バジエツト・ビユーローと経済諮問委員会とは全然別個な機関になつております。バジエツト・ビユーローにおきましては予算の編成並びに行政管理庁——行政管理庁の仕事は少しかわりますが、行政管理庁における行政管理、行政監察及び統計の收集というような仕事をあわせてやつているのであります。経済諮問委員会は置かれてからまだそんなに長くならないのでありますが、最近における内外経済情勢の激変に処して、アメリカ経済の運営の全きを期するために、これは初めノース委員会として現れれたのでありまして、何人くらいの人員でやつているかよく存じませんが、私の方の聞くところでは四十人くらいではないかと思います。しかしそれだけでなくて、その他商務省などもやつているようでありますが、これは目下研究いたしております。
  80. 志田義信

    志田委員 今行政管理庁長官からいろいろお話があつたのですが、国土総合開発法の一部改正案も出ているときであり、ことに経済計画審議会をつくるということになると、従来安本に各省から出されておつた方々が各省にまた配属されて帰つて行かれて、そして重要政策は閣議重点主義でやつて行けばそれでいい、それで行政機構としては十分やつて行けるということに対して、安本長官として御承諾なさつておるのでありますか、それをひとつお伺いしたい。これはかなり重大な問題でありますから慎重にお話を願いたいと思います。
  81. 周東英雄

    ○周東国務大臣 行政機構の問題についてはいろいろ議論があると思います。従来、安本は終戰後特殊な使命を帶びてできて、その後において他の省にとらわれずして、大所高所から総合計画を立てるというように性格がかわつております。これが一つの官庁の形をとるか、あるいは今の委員会制度をとるかということについての議論は両方あると思います。しかしいろいろ議論の末、一応今の審議会制度をとるというかつこうになつております。これも実際は運用のいかんにあると私は思います。今人員の配置等も考えられておりますが、もしそこに相当なエキスパート、民間有識者等を入れて、また事務のスタツフに相当優秀な——無能なものは困るが、精鋭な人間を置いて、そこで真の総合企画というものができて、それを首相に勧告するわけであります。それがりつぱな政策ができ得るだけの態勢が整えば、必ずしも今の形だけにこだわる必要はないと思いますが、今後新しくできる機関の運用いかんによつてよほど違つて来ると思います。これは態勢が整えば必ずしも今の形にこだわる必要はない、かように思います。しかし、かなりそこには、いろいろな権限がなければ実際上の仕事の推進はできないとか、あるいは相当に形だけ整えて実が伴わなければならぬという議論はあることはあります。しかしそれはまだ、内容について今どういうふうに配置して、どういう面をやるかということについては、細部決定いたしておりませんから、はつきり申し上げることはできませんが、要は私は運用のいかんにある、かように考えております。
  82. 志田義信

    志田委員 運用のいかんにあとるいうのですが、なかなかその運用のいかんが問題なんです。大臣は先には総合企画庁設置に関するいろいろな御意見などを持ち、相当にこれは閣議においても御発言になつておるようであります。そうしますと、この総合企画庁の設置の要綱が、今後つくられるであろうところの、安本にかわる新しい機構において十分盛り入れられて行くんだという自信がなければ、運用の妙をもつてのみやれるという言葉で、言葉のみに隠れることは私はできないと思う。一体総合企画庁の設置に対しまして、従来の経過が相当あろうと思いますが、この機会にひとつお示し願えれば非常にありがたいと思います。
  83. 周東英雄

    ○周東国務大臣 行政機構改革に伴う経過を話せということでございますが、これは今ここでお話することは私は差控えたいと思います。企画庁の形委をただいま一応きまつておりまする員会制度に織りかえるときも相当議論がありましたが、実質を移すということにおいて私は賛成をいたしたのであります。
  84. 志田義信

    志田委員 経過を話せということは無理だというお話でありますが、一体われわれが最初聞いた当時におきましては、これは人員の整理は伴わない行政機構の改革である、こういうふうに聞いたのであります。ところが最近におきましては、人員の整理の伴わない行政機構の改革なんということは意味なさぬ、こういうことから、この行政機構の改革にあたつては、十分人員の整理も考えられている、こういうわけなんであります。人員の整理はこれはやむを得ないということもあろうかと思いますが、今後十分日本の自立経済を達成する上から行きましても、あるいは国土総合開発を達成する上から行きましても、今日以後における事務分量が従来よりもふえても減ることはないと私は思つておる。そういう場合に、現在の機構を縮小して、人員をさらに少くして、これがやつて行けるということには、何か他に方法がなければならぬのでありまして、ただ運用の妙を発揮すればできる、こういうことは私はなかなか納得できないのであります。機械にも限度があるし、いろいろな場合を考慮いたしましても、国土総合開発にしましても、経済自立計画にいたしましても、いろいろ今年以後における重大な問題が山積して来るときに、ただ運用の妙でもつてやり得るという安易な御答弁をいただいて、さようでございますかというわけには私たちは行かない。総合企画庁というものを設置しなければならぬということを要請した安本自体が、今日におきまして運用の妙でもつて逃げるわけには私は行かないと思う。総合企画庁をそれにふりかえてもやれるという考えを、なぜ大臣が持つに至つたか、それをまずひとつ承りたい。
  85. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ごもつともでありますが、今度のこの委員会というものは、従来普通ありふれた諮問委員会という形でなくて、そこに定員七名以内の委員を置き、三名の常勤の委員を置き、相当な事務局も持つて、それによつて総合企画、国力の総合判断、それから来る計画を樹立して、これを政府勧告するという形であります。そこに集めらるべき人間は優秀者を集め得るという見込みのもとに——それでなければ、りつぱな総合企画はでき得ないと思う。それができればこれがいい案をつくるかいなかにかかつて来ると思います。何ぼいい機構をつくりましても、いい案ができなければ意味はない。りつぱな案が出れば、これを政府勧告して行わしめるという勧告の道が開ければ、従来のものと形は違いますが、今後における日本の経済企画その他についての総合的な計画を立てて、政府をして行わしめ得るものと考えたから、私は一応案に賛成したのであります。
  86. 志田義信

    志田委員 一応賛成したというんですが、これは一応じや困る。大臣は私の言わんとすすることは十分わかつておるだろうと思いますけれども、事今日に至つて来ますると、なかなか問題が多くなる。一体大臣は、新しい行政機関が今後できて——私たちはこれを行政機関と見ていいかどうかにも疑問を持つ。第一、総理大臣諮問機関ができるということはわかりますが、これで行政機関であると見るときにおいてはどうでありましよう。審議会に事務局を置くというだけで行政機関になるとは思えないのでありますが、かりにこれを行政機関として新たに事務を所掌する行政機関に、従来の定員を引き継ぐだけの考えがあるのかどうか。そういう考えがないとすれば、それはどの程度になるのか、事、定員の構成に関する問題でありまして、設置法の改正にあたりましては、これは十分問題にしなければならぬのでありますから、人員の整理をどの程度に行われるか、そういう点について十分話合いがなければならぬ。一応賛成するだけぢやなくて、そういう点につきましても考えを置いて、それの交渉をなされなければならぬと思いますが、その点はいかがでございましようか。
  87. 周東英雄

    ○周東国務大臣 実質的に機能の発揮し得るように事務局には相当数の人間を残すということの目標のもとに相談いたしております。私どもは、他の省に移管がえのできるものは、人と定員をつけてこれを配置し、そうして中心的企画、総合計画樹立に関しては、必要な限度の人を相当数留保して行く、こういう考え方で今相談をいたしておるのであります。
  88. 志田義信

    志田委員 安本大臣が従来とり来つた経済施策というものはきわめて重要な施策であつて、これは自他ともに許すところであります。そういう重要政策の中心がどこにあつたか、各省総合調整をはかるというところに私は大きな意味合いがあつたと思う。しかるにこのたびできる経済企画審議会にしろ、あるいは国土開発審議会にいたしましても、それら各省の重要経済政策の総合調整をはかるに足る行政機構になり得ると考えられるには、私は相当な確信がなければならぬと思いますが、その点についてお尋ねを申し上げます。
  89. 周東英雄

    ○周東国務大臣 これはお話のように、いろいろ議論はありますが、ただいま私が申しましたように、従来安本等においてやつておりました中の一番中心的な仕事である国の経済力の総合判断、物価とか貿易とか、あるいは生産各般にわたる国の経済力の判断、これを元にして将来に向つての長期あるいは臨時的に応急の計画立案をすることは、この新しい機能についても考えられるわけであります。これをもつて政府勧告するということであります。從つてこれをやるのにはただ單に片手間でできないことは言うまでもないことでありまして、そういう意味合いにおいて相当有能な人を相当数残して潰憾なきを期したいと思い、そういう線で私は今相談をいたしておるわけであります。
  90. 前田正男

    前田委員長 ちよつと志田委員との間の質問応答で不明瞭なところがあるのでお聞きしたいと思います。この審議会は、私の聞いている範囲では、行政機関でありませんので、その事務局においては総合調整するという行政事務を取扱うことはできないと考えるのですが、これに対しまして行政管理庁長官の御意見を承りたいと思います。
  91. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいま安本長官のおつしやいましたように、審議会は経済の分析、長期計画、国力の総合判断をして政府勧告するわけであります。重要施策の総合調整は、原則として閣議でやる方針であると先ほど私ちよつと触れましたが、これは実際において閣議でなければ片づかないと思つております。
  92. 前田正男

    前田委員長 この方針につきましては、われわれの党と内閣とは意見が食い違つておるのですが、その点は別といたしまして、第十二条におきましては、経済安定本部長官は「事業計画について必要な調整を行うものとする。」それから第十三条におきましても「総合開発計画の実施について調整を行うため必要があると認める場合においては、関係行政機関の長に対し、必要な勧告をすることができる。」となつております。第十二条の方の調整内閣であり、第十三条の方は新しくできる審議会委員長といいますか、それがやるのだというふうに長官としてお考えになつておられるのですか。
  93. 野田卯一

    ○野田国務大臣 お尋ねの点はごもつともだと思いますが、事実はこの法律のほかにいろんな法律がありまして、そういうものを全部集め、それをよく調べまして、新しい機構がほぼでき上りましたときにどう持つて行くかということをきめたいと思つて検討中であります。
  94. 前田正男

    前田委員長 御検討はけつこうでございますけれども必要な調整内閣においてやるというふうなことが法文としてうたつて行けるものでしようか。
  95. 野田卯一

    ○野田国務大臣 もう少しほかの法律をよく調べて研究してみないと、ここでこうするとか、ああするとかいうことは申し上げかねると思います。
  96. 前田正男

    前田委員長 私まだちよつと了解できないのですが、国会の意志として総合調整が必要であるというので法案を通しても、それをどこでやるかわからないというようなことでは、国会の意思に反するように思いますが、いかがですか。
  97. 野田卯一

    ○野田国務大臣 今の段階では、どこでやるということは研究を十分積んでおりませんので、申し上げる段階でない。もちろんこの法律が実施されるまでにはきまるわけであります。今の段階でははつきり申し上げることはできないということであります。
  98. 前田正男

    前田委員長 どうもわかりかねるのですが、この法案だけではなしに、その前のいろいろな法案におきましてもそういうような事項が相当あると思います。そういう必要な総合調整をしなければならぬということは、国会の意思としてきめてある、法律としてきまつておる。そこで、どこで調整するかわからないときに、総合調整機関を廃止して勧告機関を設けるというようなことは、国会で今まで制定いたしました法律の精神に反しておるのではないか。もし諮問機関を設けられるなら、国会で今まで通しております法律、あるいは現在審議中の法律においてきめております総合調整機関は、どういうものを設けるから今度は諮問機関でいいんだというお考えがなければ、閣議決定というものは当然ないのではないかと思うのですが、この点はどうなんですか。
  99. 野田卯一

    ○野田国務大臣 これは今研究しておるのでありまして、いずれ設置法ができるのと並行して、それに伴う関係法律の修正が起つて参りますので、その際にいろいろ御相談申し上げたいと思います。
  100. 志田義信

    志田委員 私は大臣の御心労のほどもよくわかるので、あまり聞きたくないのだけれども、重要政策は閣議重点主義できめるのですが、各種の事業とか政策というものには、専門的な知識とか技術とかが相当いると思う。各大臣はオールマイテイであると私どもは思わないのでありまして、有能な方が大臣になつておるとは思いますが、中には有能でない人もある。有能な方、特に野田建設大臣や周東安本長官などは、超有能の方だろうと思つて尊敬しておるのですが、そういう方々でも、なおかつ総合調整をやるということになりますれば、相当専門的な技術や、あるいはこれに対する知識を必要とする。従つて閣議で重要政策を重点的にやるということは、概括的にはそれは十分なし得るのでありまするけれども、これをやる機能を必要とすることは論じるまでもないのではないか。その機能を無視しようとするところに無理があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  101. 野田卯一

    ○野田国務大臣 これはほんとうに御参考までに聞いていただきたいと思うのですが、総合調整をやる特別の官庁を設けるという制度は昔からあつたわけではない。御承知のように、前にはそういうものはなしに、何十年か日本の政府は運営して来ておるわけであります。またアメリカやイギリスその他各国の例を見ましても、そういうものがなくてやつておる例がありまして、各国それぞれ事情は異なりますが、日本でも前にはなかつた。ある段階におきましては内閣の参事官が会議を開きまして、各省間の事務の調整をやつてつた時代もありました。いろんなやり方があるわけでありまして、これにつきましても十分検討いたしまして上国策運営上の齟齬なきを期したい、こういうように考えておる次第であります。
  102. 志田義信

    志田委員 昔はなくて戰後できたのだと言うけれども、できるにはできるだけの理由があつてできたと私たちは思つております。ことに私たち考えるのは、公共事業の予算の問題なんかにつきましては、これはかなり各省との問題があつて総合調整をしなければならぬような状態が、私は公共事業なんかに特にあるじやないかと思いますので、そういう場合におきましても、今後日本が独立して、相当複雑多岐にわたる国際情勢に処して行く上におきまして、いろいろな経済政策というもので、いやが上にも事務分量は多くなり、行政執行面は非常に大きくなる情勢にあるから、それをできるだけ行政簡素化しよう、これが行政簡素化の目的でなければならぬ。昔なかつたから、昔に返せばいいというような御議論ではもちろんないと思いますけれども、そういう点から考えましても、閣議で全部きまると言うが、閣議できまるものなら、それじや各省もいらぬということになる。閣議だけあればいい、大臣があればいいということになる。しかしそれではやつぱりできないのでありまして、今日のこの委員会に出て参るにしましても、皆さんの場合を見ましても、相当たくさんの人がついて来るということになる。そういうような事務に練達の人たちが来て、技術があり、しかもきわめて専門的な知識を持つている方々を必要とすることは、これはもう申すまでもないのでありまして、そういう点で総合調整をするという場合が私は十分あると思うので、今日までの各省の設置法を見ましても、それぞれにやはりそういう専門的な経験なり、知識を持つている人が出て来ておるのである、かように思うのであります。そういう行政官庁に業務を担当させることが最も妥当であるということが、今日まで出て来ておる各省であろうと私は思うのでありまして、それを一概に、政策は閣議重点主義でやる。それは言葉の上ではなるほど受取れるのでありますが、はたしてそういうことが可能であるかどうか。これはひとり安本の問題だけではないと思うのであります。将来にわたる問題もあろうと思いますから、根本問題としてお尋ね申し上げておきたいと思うのであります。
  103. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私の申し上げましたのは、昔なかつたということばかりではなく、外国でも、イギリスや現在の厖大な経済を有しているアメリカにおきましても、普通の重要政策を総合調整をするというのは、閣議でやつているのじやないかと思います。これはもちろん閣議といつても、個人がやつておるのではなしに、閣僚が閣議で相談する前に、あるいは次官会議という段階もありますし、あるいは関係閣僚会議というような、いろいろな段階があるのであります。それでお互いに相談しあいまして、たとえば農林金融制度について、大蔵省の意見と農林省の意見が合わないというのなら、農林、大蔵が集まつて討議する、あるいは関係大臣が集まつて片づけて行く姿です。関係閣僚会議あるいは次官会議、こういうものを活用することによつて、諸般の問題が解決されて行くのではないかと思います。ただ問題は、先ほど安定本・部長官も触れられましたが、日本経済の分析あるいは国民資力の測定、長期経済計画の策定ということになりますと、まとまつた仕事になります。が、こういうことは、以前にはアメリカでもなかつたわけであります。最近の各国の政府の運営方法といたしましてエコノミツクアカウンチングという方法をとつております。これは非常にいい参考になります。これは昔なかつたことでありますが、ぜひとも取入れたい。特に日本の経済が世界の経済のまにまにこれからさおさして行かなければならぬというなら、これはぜひ必要だ、こういうふうに考えておるのであります。重要政策の調整閣議中心にして、次官会議もあり、もちろん関係閣僚会議もありますから、閣議でやれるのじやないかと思つております。
  104. 志田義信

    志田委員 最後に、行政管理庁長官として、安本が従来希望して来た行政企画庁の構想が、どうして受入れられる段階に至らなかつたのか、それを入れると、閣議重点主義がくずれるというお話になるのか、その点をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  105. 野田卯一

    ○野田国務大臣 最後にまとめられておりました企画庁の考え方は、経済長期計画、あるいは経済力の分析、それに必要なる施策の勧告というようなことが、企画庁の中心的な構想になつていたと思います。これは普通の行政事務でありませんので、庁とする必要がありません。それは審議会で、メンバ一を充実してやつた方がいいということで、安本長官も御賛成になつたと見受けておるのであります。長期経済分析を力強く、より妥当なる形でやつて行きたい、これにはこういう形でどうだろう、アメリカにも、世界的にも、こういう委員会があるから、こう御理解になつておるように思います。
  106. 志田義信

    志田委員 私は、重要政策を閣議で決定すればいいという考え方は、それは閣議で決定できないことはない。決定せられることは当然であります。問題は閣議で決定した事項の実をならせる、末端への政策の浸透ということでなければならない。そういう場合におきましては、それぞれ地方機関も置かなければならないということにもなるのでありますし、その効果もやはり調査する必要がある。ひとり閣議重点主義できまつたからといつて、それがだたちに政策として現われるものでないことは、大臣の十分御承知のことだと思いますが、一体こういう場合に、各省にそれぞれあります地方機関等に対しましては、どういうお考えをお持ちになりますか。安本の地方機関だけはいらないけれどもほかの機関はいるというお考えであるのかどうか。
  107. 野田卯一

    ○野田国務大臣 地方機関、たとえば租税政策の例をとりますれば、政府が租税政策を立てます場合には、おそらく大蔵省が中心になりまして、場合によりましては與党の政調会というようなものとも連絡いたしますしあるいは民間の有識者の知識を借りるかもしれません。そういうようなことをいたしまして、租税政策というものを立案いたしまして、それを次官会議なり、関係閣僚会議なり、閣議なりにはかつて決定をいたします。それを法律案なら法律案といたしまして、議会の議決を経て、これを実施に移すのでありますが、それは申すまでもなく、実施は大蔵省の、今でいえば国税庁、それから地方の国税局並びに税務署を通じてその施策が具体的に行われる、こういうことに相なることは、御承知通りであります。それから森林政策であれば、営林局、営林署関係、あるいは生活の方の関係であれば、厚生省の出先並びに府県庁を通じて行われる。それぞれの部門が現在機構においてかたまつておりますので、それでその系統でもつて行われる。なおそれがうまく行われるかどうかということにつきましては、アメリカの制度は、今の日本でいえば行政管理庁にあたりますが、その中に行政査察の部門がありまして、それが地方に出先を持つております。その出先が、関係各庁がはたしてうまく行政をしているかどうかということを、二六時中見ておりまして、それを中央報告するというような制度になつておるわけであります。あるいは能率を上げておるかどうか、あるいは適切な行政が行われておるかどうかということを査察いたします。また会計検査院は別に会計検査という立場で行く。行政事務が適切に行われて曲るかどうかということにつきましては、アメリカではそういう制度がとられております。日本で今度かわりまして、行政管理庁が残りまして、地方に行政監察局を置きまして、それが行政の運営のいい悪いを見る役目を持つております。お話のような点については、欠陷がないようにしたい、こういうふうに考えております。
  108. 志田義信

    志田委員 末端に政策を浸透するということについて、行政監察局を置くという話でありますが、地方の実情の的確な把握というものがなければ、長期の経済計画も立たないし、経済政策の策定もできない。そういう点では、従来経済安定本部の出先機関は、相当な働きをしておる。單に口先ばかりではなく、国費を濫費させなかつたという点におきましても、数字を上げてお話申し上げられる段階もあると思いますが、きようはそれは後のことといたしまして、そういう実情の的確な把握をするということも、この経済計画審議会や、国土開発審議会の事務局を通じてやることでできるのかどうか、その点をひとつ最後にお尋ね申し上げておきたいと思います。
  109. 野田卯一

    ○野田国務大臣 政府の決定した各種の政策が、現地で確実に行われておるかどうかということの監督的、監察的な仕事は、審議会の事務局ではむりではないか、またそうさせない方がいいのではないか。もしも別途にやるなら、行政監察の機構を拡充してやる方がいいのではないかというように考えております。
  110. 多田勇

    ○多田委員 ただいまの志田君の質問に関連してお尋ねいたしますが、今までいろいろお伺いしておりますと、もちろん私は行政機構については全然しろうとですし、行政官としての非常な体験を持つておられる長官が、いろいろ検討された結果、こういう方法がいいんだという結論に達したようでありますが、今までのお話をお伺いして、おりますと、重要政策は閣議できめられるのだということはあたりまえのことであつて、今までも重要な政策というものは全部閣議できめられておつたので、これを安定本部を廃止するために取上げる必要はないと思うのであります。今まで安定本部の果して来た役割というものは、日本の経済を推進するために相当大きな意義を持つてつたということは、争われない事実だろうと思うのであります。経済安定本部が單に統制を推進するための機関として最初生れたようでありますが、安定本部の性格が統制から日本経済の推進へと大きな飛躍をして、最近においては日本経済を推進し、各省とのいろいろな問題を調整し、総合するために、相当大きな役割を果して来ております。それをこの際しいて廃止するというようなことは、世界経済に大きな支配を受ける現在の日本経済のもとにおいて、われわれとしてはどうも受取れないのでありますが、一体こういつた重要な経済政策の案を樹立し、さらに日本の経済力を判定する重要な機関が、わずかな人員、しかも審議会の事務局というような機関では、優秀な人たちはおそらくとどまつていないだろう。現に安定本部の優秀な人たちは、各省に早く帰ろうというような気分が相当濃厚になつておるというようなうわさまで飛んでおるようでありますが、そういつた非常に弱体な審議会の事務局だけでこういつた重要な問題を検討し、重要政策の案を立てるというようなことが可能だということは、ちよつと常識上考えられないというような気がするのであります。一体安定本部を廃止し、それにかわるべきものとして、非常に力のない、形式的な審議会を設け、ようという考え方は、今まで長官がお話なつた程度では、私たちとしてはどうも納得できない点が相当多いのであります。ざつくばらんに申し上げると、日本の経済、日本の政策と、いうものが、大蔵省を中心にして行われるというようなことをさらに推進するという気がいたすのでありますが、そういうことでなしに、もつと公平な立場において、たとえば先ほどお話がありましたように、各省との調整をいたします場合にも、各省から出るデータというものは、これはもう野田さん長い間の官吏生活で御承知のように、各省々々の気持で出る資料が相当多いのでありまして、はたして正当な国力の判断がそれによつてできるかどうかということは非常に疑問だと思うのであります。そういつた見地からいたしまして、どうしても今までのように各省調整機関、さらに日本の国力を判定し、日本の経済力を推進するための経済政策を、一応検討する強力な機関が必要だということは、アメリカの行政機構の実態から見てもはつきり言えるのじやないかと思うのであります。先ほど来のお話だけでなしに、もつと安定本部の機構を根底から廃止しようという意見が、どういつたような考え一方から生れたのであるか、その基本的な点についてひとつこの際お伺いいたします。
  111. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいまのお話でありますが、この経済計画審議会がどのくらい有効に働くかということにつきましては、日本では初めてでありますが、アメリカですでにノース委員会——今カイザーリングが委員長をしておりますが、この委員長は非常に世界的な名声を博した活動をしております。そしてアメリカの政策がそれによつて指導されている、こういうような実情をごらんになりましても、先ほど安本長官が言われましたように、その審議会の運営いかんにある、こういうように考えるのであります。陣容も七人おり、内三人は常勤でありましてまた国務大臣委員に加わり得るようになつておるのでありまして、相当な高い地位の機関になるようであります。それに恒久的なスタツフを置く。私は運営によつては今までの安本よりもはるかに大きなものになると思います。もつとも人を選ばなければいけませんが、人を得れば相当大きな仕事ができる、しかもそれが純粋な仕事になる、この点におきましては、私は考えようによつては飛躍ではないか、こういうふうに考えるわけであります。安定本部が始められたときを私はよく知つておりますし、そのいろいろの成行き一どういうわけでそういう仕事ができたかということをよく知つておりますが、これは一々申し上げません。今日の段階においては、安定本部を一応解消して、いろいろな施策の総論整、特に重要な施策の総合調整的なことについては、今までも主として閣議でやつておりまして、重複しておるものもあるわけであります。この点はやはり一応安定本部として今まで仕事は一十分やつて来られましたが、これは新たなる形で発展的に解消するというような考え方が、行政機構改革の今日、妥当であるということでもありますし、われわれは十分にお考え願えるかと思います。
  112. 多田勇

    ○多田委員 私の立場として、これ以上いろいろこの席で申し上げることは差控えたいと思いますが、野田さんの考え方と私どもの考え方には、相当大きな隔たりがあるということは野田さん御承知通りと思います。私どもこの問題についてさらに検討し、いろいろ御相談申し上げたいと思いますが、ひとつ長官の方でもいま一応、この問題について検討していただきたいということを、特に希望申し上げて質問を終ります。
  113. 前田正男

    前田委員長 私もこの間アメリカに行つて来たのでありますが、今のアメリカのお話の中で、一つ間違つた点があるのじやないかと思います。それは予算局というものがアメリカにあつて、そして大統領の権限のもとに予算が実行されて行くということであつて諮問委員会というものが活動されるのじやないか、当然諮問委員会という組織から見たならば、総理府に予算局があるべきが原則であつて諮問委員会できめられたものが、大統領の権限、つまり日本でいえば総理大臣の権限のもとで、予算というものが組まれて行くというならば、またいろいろな考え方もあるのじやないかと思います。しかしそれは私が見て来ました参考意見でありますから、大臣と議論してもしようがないと思いますが、私の意見はそうであります。  本日の会議はこの程度にとどめまして、次回は十九日午前十時より委員会を開会し、外資に関する法律の一部を改正する法律案質疑を行うことといたします。本日はこれにて散会いたします。     午後五時十一分散会