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村上国務大臣 都市
計画その他の
計画が進められて、これに順応して
国有鉄道の
施設を改善せんければならぬという事態であるにかかからず、経費が僅少で改良工事ができないというために、各
方面に非常に御迷惑をかけておることは、まことに遺憾に思
つておる次第であります。何とかして前刻も申し上げますように、財源をつくらなければならぬと
考えておるような次第であります。実はこれは私の見方が誤
つておるかもしれませんけれども、以前は、
国有鉄道の運営は比較的楽であ
つたのであります。相当の黒字を出し得た。改良工事のごときは、大体において益金から捻出してお
つた次第であります。とりかえ工事費はもとよりのことであります。しかるにただいまは今後の一年々々のとりかえ工事費が辛うじて償却の面で捻出できるにすぎないような次第であります。電化を初め、各種の改良工事費また
建設工事費、これらを一に一般財政の貸付に仰いでおるというような状態であるのであります。
これは私の見方が誤
つておるとい
つてまたおしかりをこうむるかもしれませんが、私学生生活をしておりましたときから
鉄道に
関係をいたしておりますが、数十年の間、はがき一枚の料金と
鉄道の三等運賃一キロの賃率とは大体同じであ
つたのであります。一方が一銭のときは一方が一銭一厘、一方が一銭五厘に
なつたときは一銭五厘六毛とい
つたように、数十年間ほとんど同じ状態にあ
つたのであります。しかるに現在におきましては、はがきが五円であるにもかかわらず、
鉄道の三等運賃は一円八十五銭という実情でありまして、ここにいわゆる貨幣価値の下落あるいは物価騰貴と申しますか、一般の生活費の高まることは極力防止せんければなりませんが、
鉄道運賃に相当しわ寄せをされておるというふうにも
考えるのであります。特に数十年前私ども初めて
国有鉄道に
関係をいたしましたとき以来、今日ほど定期運賃の割引率の多い時期はないのであります。こういうこともかなり
鉄道特別会計に大きいがんとな
つて現われておるんじやないかと思うのであります。とにかく
鉄道公債に求めますか、あるいは運賃に求めますか、また一般会計からの借入れによりますか、何らかの方法で、ここ数年間は、少くとも千億近くの工事費を入れんければ、このままで、十年間推移したならば、
国有鉄道は破滅するだろうと実業家の御
意見を伺うのであります。必ずしも詭弁ではないように私も思うのであります。現に
基準年次であります
昭和十年、十一年ごろの運転事故、車両事故、線路事故、線路は主としてレールの折損その他の事故でありますが、
基準年次に比較してちようど今は五倍の運転事故をや
つているのであります。このままで推移しましたら、ゆゆしき状態に立ち至るおそれなしとしないと思
つて実は心痛しているような次第であります。何らか具体的の案を得ましたら、また皆さんの御協力をぜひお願いいたしたいと思
つております。ついでながら……。