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横田委員 支那事変に対して非常に謙譲の美徳を発揮した
答弁をせられた次官が、朝鮮事変には、非常に
共産党とかあるいは共産勢力に対しては、きつくしておられる。そうな
つて来ますと、問題にな
つて来るのですが、もし朝鮮の事変が北鮮軍の侵略だということを言われるのであるならば、
簡單に言えば何を証拠にして言われるかというようなことを言
つたところが、あなたに聞いてもわからないのでせうが、あなたがそういうふうな物の
考え方から、
アメリカ人と同じような
考え方をするために、非常に
日本の自主性というものを失
つてしまうのです。
アメリカ人がそうなんじやないですか。朝鮮の
人たちが三十八度線を境にして、南と北との二つにわかれておりましたところが、朝鮮の
国内の
政治をきめるために、
アメリカ人の許可を受ける必要はない。共産主義であろうと、自由主義であろうと、民主主義であろうと、好むところを朝鮮人がや
つたらいいじやないか、
アメリカの
国内においてそんなことをやられて
アメリカ人は黙
つていますか。パール・バツクさえ
言つておる。メキシコに事変が起
つて、
ソビエトなり、中共なりが出兵して、朝鮮と同じような事変に
なつたときに、
アメリカ人が黙
つておるかということを
はつきり
言つておる。
アメリカ人さえこういう正しいことを
言つておる。だからあなたは支那事変に対して、そうして第二次大戰に対して、非常に謙讓な
答弁をしておられるのだから、北鮮事変に対してはあまりなまいきなことを言われない方がいいと思う。それを侵略だ侵略だと言われるのだ
つたら、何も
経済委員会だとか何とか
言つて逃げる必要はない。
自由党の意見は侵略だといい、われわれは侵略じやないというのですから、これからここで討議しましようか、そんなべらぼうなことがありますか、だからいらぬことは言わないでおきなさい。それからわれわれは支那事変に対して一つの
考えを持たないような
政治家のおることを実に情なく思う。敗戰問題は支那事変から出発する。支那事変ゆえにこそ国を
占領下におくような大騒動に
なつたのです。だからわれわれは非常に
考えねばならない。
考えてこそ初めて
日本の民主主義的、平和的な再建が可能になるという
考えを持たずに、朝鮮事変に対して非常に扇動的なことを言うのは実におこがましい話である。何で私が支那事変を聞くかといえば、これは人民
生活を非常に圧迫したのです。この支那事変が起
つたがためにわれわれは非常にだまされた。そしてわれわれは非常に不幸な目にあ
つた。この不幸を解決するためには
国内の解決かかんじんなんです。さればこそ
国内におきましては農地は解放された。解放されたが、一向効果が上
つておらないのですが、農業協同組合法というものが生れまして、残りを改革して行く各所に農業協同組合、漁村にも漁業協同組合、町には労働組合ができて、税金の問題録しまして民主的ないろいろな方法がとられたはずなんです。それを一々蹂躙して来たのが
自由党なんです。蹂躙しぶりがよか
つたのであなたは次官に
なつたのです。こういうふうな行き方で行きますと、現に警察の問題がそうじやないですか。警察というものは人権援護のための仕事をしなければならないのです。それが東大の手帳事件が起
つた。京都でもあるいは北大でも問題が起
つておる。警察こそ暴力団の巣窟であ
つて、全国のどこでもけんかばかりしているじやないか。こういうような点から見て行きますと、もつと次官は、支那事変に対しまして、第二次大戰に対しまして、まじめな良識を持
つたところの世界人としての反省の中に、沈思黙考をしていただきたいのです。そうせぬとこつちの
質問は何ぼでも引つかか
つて行きますよ。
それから次に、軍拡をや
つているという点はある
程度認められましたね。それだから軍拡をや
つた結果として、軍拡は必ず戰争になるという意見があるのです。これは
共産党だから
といつてもだめですよ。ベヴアンという人がおりますね。これは
英国の労働党の
議員なんです。この人さえも軍拡が戰争にならなか
つた例があるかということを
はつきり
言つているのです。そこで軍拡が戰争にならないと
言つておるのは
アメリカひとりなんです。
アメリカ人の意見が間違
つておるのです。きのうも
はつきりと上院の意見にもありました
通り、フイリピンには賠償しろ
といつておりながら、支那本土に対しては賠償するなというこのような意見の強要は、気違いでなければ言えないことなんです。
アメリカには紳士は一人もいなく
なつたのか、ワシントンとアブラハム・リンカーンが紳士であ
つたが、紳士は死んでしま
つた。そういうような
意味で
アメリカ人は非常にむちやなことを言います。軍拡こそがすなわち戰争を防ぐのだ、力があればこそ戰争は防げるのだ、こう言います。ところがそれに対して軍拡こそが戰争になるのだという意見があるのです。そこで私があなたに聞いておきたいのは、
日本もこの
アメリカの軍拡につなが
つて、これで平和を確保できるというあなたの
はつきりした見通しを承りたいのです。