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木内政府委員 今度とりました
措置は、ただいま御
説明のありました
通り、従来
考えておりました
輸入をもつと拡大しようというだけでは忍びないことが判明していたので、いささか
輸出抑制に似たことをや
つたわけであります。その手段は三つありまして、
一つは
輸出者が、
輸出マイナスと申しますが、
注文を受けてその
製造にかかる、あるいは集荷にかかる、その
期間為替銀行から
金融を受けます。その限度を、今まで
輸出奨励の見地から、インフレにさしつかえない限りなるべく多くというのが
考え方でありましたが、
ポンド輸出と
ドル輸出とは、そこに少し差をつけねばならぬだろうというのが第一点であります。これは
新聞にも報告してありますが、それをどの
程度つけるかということは、私の
事務ではない、主として
日本銀行の
事務でありますが、しかるべく
状況を見定めつつ、ある
程度の差をつけるのもやむを得ない、これが第一点であります。
第二点は、従来
輸出の
契約をいたしますときは、それに必要な
信用状というものの
期限は六箇月、やりようによ
つてはもつと長いものも可能であ
つたのでありますが、そうなりますと今から非常に遠い六箇月、八箇月というような先の
輸出契約をしまして、今その
製造過程にはまだない、いわんや
製品はとうていできていないようなものまで
輸出の
予約をしてしまう、すなわちそれに対して
輸出信用状を獲得する、ずつと先のことをやるようになります。そうしますと今後
情勢を見定めて進みたいと思
つておるのに、今から何箇月も先のことを決定されて
しまつては、既往にさかのぼ
つて措置をとるわけに参りませんから、
輸出上非常にぐあいが悪い。現在はどうも実際に仕事で必要と
考えられるより以上のものも、ずいぶん
予約されておるのではないかと
考えます。
輸出の
信用状の
期限というものを大体三箇月に切りまして、それ以上のものは特別な
事情があると認められたものに限
つて許すのであ
つて、
信用状は
原則として三箇月であります。あまり確実ならざる
輸出の商談を、必要以上に先まできめてしまうということをとめて、
輸出の増大があまりに極端に行かないようにいささか
制限したわけであります。それになぞらえまして、
輸出の場合の
為替予約というものは、
信用状の
期限以上にはしないで、
業者の方は不便はないわけでありますから、そういうふうにいたしました、それが第二点であります。
第三点は、これは少し違
つたことでありますが、またあながち
ポンド対策ばかりではないのでありますが、従来
為替予約というものは
先物です、ずつと遠い何箇月先というものを
予約しておりますが、現在の
為替取引の
相場も、三箇月先に実行する
相場も同じであります。これを
直先一本と申しますか、
フラットというのが術語でありますが、直
先フラットの
相場でや
つておりましたが、これはどちらかと申しますと、
ポンド問題を離れてもいささかゆるきに過ぎるのでありまして、先のことを約束するのですから、約束する相手である
為替管理委員会というものは、多少の保証料的なものをと
つてよいわけであります。これはかねがね考ていたことなのですが、いろいろ込み入
つた事情がありまして、実行いたしませんでした。今度この際いい機会だからこれを実行しようというので、
ドル、
ポンドとも
売買とも、言いかえれば
輸出輸入ともに、
先物は
年利にしまして一分につくように、
業者に不利になる。すなわちその
先物予約をいたします当時者なるものから、保証料的なものを徴収するわけでありますから、
ポンド、
ドルともに
売買年に一分の計算でとることにいたしました。これは今度の
ポンド対策とは全然離れたことであります。それはいいことであるからやろうと決心したについて、
ポンドの
輸出の
先物だけは、年に一分の
基礎を年に二分の
基礎にいささか高くしたわけであります。
年利にいたしまして一分の差でありますから大した差ではありませんが、しかし気は心と申しますか、差がついたということは、何か
一つの
方向を示す
措置として大きくとられる方も多いと思いますが、とにかく
ポンドと
ドルの
先物相場が、
輸出の場合に差があり得るのだということを一本出しまして
——実態的にはあまりお困りにならぬと思いますが、しかし思想としてはこれはうつかりできないのであります。あまり甘い
ポンド輸出ばかり
考えていてはいけない、警鐘を打つ、そういう点に注意をいたす
意味ありと
考えまして、
輸出に
限りポンドの方を
業者に不利、すなわち保証料的なものを高くとることにいたしました。この三点が今度のいわゆる
ポンド対策であります。これに随伴してなお三、三のことがありますが、これは同じ
意味を通すためにや
つた措置ということになりますから、この席ではあまり詳しく御
説明を要しないことかと思います。一応これで御
説明を終ります。