○板垣
政府委員 私より
外貨予算につきまして概略御
説明申し上げたいと思います。お
手元に御配付いたしました
資料は、輸入貨物
外貨予算実施状況表という一枚の紙と、それから本日お配りしました自動承認制
外貨予算実施表——これは実は明日の
提出資料の中にございましたが、これは
外貨予算と一括して御
説明する方がいいと思いましたので、本日御配付申し上げました。それと、この横になりました、英語で書いてあります輸入貨物外国為替
予算、この
三つを差上げてあるはずでございます。
御
承知のように
日本の
外貨予算は現在四半期別に組まれております。従いまして現在実施中の一—三月の
外貨予算を中心として全般的な関連において御
説明申し上げたいと存じます。最初に過去の輸入貨物
外貨予算実施状況を御
説明申し上げたいと思います。
わが国の
外貨予算制度は、御
承知のように一昨年の一月から始まりまして、
ちようど二箇年ばかりの経験を経たわけでありますが、それが過去においてどういうような実施状況にな
つておるかというのを一表にしたのがお
手元に配付した
資料でございます。これをごらん願いますと、
昭和二十五年の一—三月から始まりまして、一番上の欄に百万ドル單位で原
予算が書いてございます。従
つて合計のところをごらんになりますと一億三千百万ドルというのが最初につくつた
予算、それがその次の欄の修正
予算で一億二千二百万というふうに少し減
つておりますが、次の表が輸入公表額——これは
予算がきまりますと、通産省で輸入公表いたします。その額が次の欄に書いてございます。一—三では七千四百万ドル、これは非常に少いのであります。それから次が輸入承認証の交付額、この輸入承認証交付額に基きまして輸入業者が申請をいたしまして、それに対して輸入承認証を与えるわけであります。それが実際の買付実績にな
つて現われて来るわけであります。その額が次に書いてあるわけであります。次にパーセンテージといたしまして、修正
予算と輸入公表額の比率がBAと書いてありまして、その次には輸入公表額と輸入承認証交付額のパーセンテージがCBと次の欄に書いてあります。このBAとCBで見ますと実施状況のパーセンテージがわかると思います。一昨年の一—三におきましては、何分
制度早々でございましたのでふなれがございまして、円滑を欠いたわけでございます。従いまして原
予算から修正
予算の場合には減
つておる。これは実はふえるのが普通でありますが、この期だけは減
つております。見積りが不正確であつたために、そういう点をあとで修正して減額したのであります。そういうことが起
つて、従
つて消化状況もあまりよくないのでありまして、BAで見ますと六〇%、CBで見ますと八八%
程度の消化しかなかつたわけであります。これがその後だんだんと経験を積みまして、次の
予算では大分改善をされまして、一番最後のもので八六%だけの消化状況に
なつたわけであります。ところが御
承知のように、次に朝鮮動乱が起りまして、ひとつ輸入を促進しなければならぬということになりまして、七九において相当
予算制度の改善が行われたわけであります。第一には自動承認
制度というものを創設いたしました。それ以前は大体
資金割当方式によりまして、品目別に
需要者に対して金額を割当てておつたわけでありますが、自動承認制というものをしきまして、全体の金額は一億ドルとか何とかございますが、その範囲内におきましては、その中に載
つておる品目ならば、業者が入れようと思えばすぐ自動的に許可がおりるという
制度が創設されまして、相当輸入の促進に資したのであります。それからもう
一つ、今まではノー・コンデイシヨン、船積み期不指定という
制度しかありませんでしたが、ここに初めて長期
予算制度をしきまして、ずつと四箇月、五箇月先のものまで買えるというような
制度を
予算上に創設したのであります。これによ
つて輸入が非常に円滑にな
つて参りました。七—九におきましては相当の消化状況を示し、ことに十—十二に至りますと消化率は九二%と上昇して参つたのであります。ところが、一昨年の十—十二までは
予算制度上におきまして輸入促進策を講じましたけれ
ども、それでもまだ実際面には効果が現われて参りませんでした。従
つて年度末においては相当のポンド、ドル等の外貨保有高が
増加したのは御
承知の
通りであります。従
つてもつと思い切
つて買付をしなければ、相当世界的に原料の買付競争が起
つておりますので、原材料の確保に困難を来すという情勢に至りまして、次の年の一—三になりまして思い切
つて輸入促進を講じたのは御
承知の
通りであります。裏の方に一—三のものが書いてございますが、この期に思い切
つて金額を
増加いたしまして、修正
予算のところでごらん願いますと、九億二千四百万というレコード破りの大きな金額がこの期に組まれたのであります。しかしその消化率を見ますと、BAのところで九八%、CBのところで九五%、ほとんど公表額の全部が消化されたという状況で、非常に物資が円滑に輸入されたのであります。しかし一方その反動がありまして、輸入が少し行き過ぎであつた、輸入過剰というような状況を呈したのは御
承知の
通りであります。多少思惑も入つたと思われるのでありますが、輸入過剰の傾向を示しました。続きまして三月ごろから起りました国際的な景気の中だるみによ
つて物価の下落が始まりました。これによ
つて、多量に入れた業界も、非常に
金融的に手詰まりを生じて来たというような状況が起
つて参つたのであります。その影響が一期おきまして七—九ぐらいから非常に顯著に現われて参つたのであります。一方一—三に非常に外貨を使いまして入れましたので、今度は
政府の外貨も減
つて来た。従
つてその手持ち外貨の面からも、多少締めなくちやならぬという事情が両方の面から起りまして、七—九以降は相当
外貨予算も縮小の形をとつたのであります。一方業界の方の輸入余力も非常に停滞いたしまして、
外貨予算を組んでもそれを十分に消化できなかつたということが出て参つたのは御
承知の
通りであります。一番下の率をごらんになりましても四—六が七六%、七—九が七八%、さらに十—十二におきましては買付期であるにかかわらず七四%というような低率を示して参つたのであります。こういうような状況で一—三を迎えたのでありますが、この一—三については後に申し上げますが、その前に自動承認制の方を
ちよつと御
説明申し上げます。
自動承認
制度は今申しましたように一昨年の七—九で初めて創設されまして、物資輸入に非常に大きな役割を示して参つたのでありますが、これの運用がなかなかむずかしいのでありまして、一—三のように買付が非常に殺到いたしますと、バツク・グラウンドにな
つて参ります金が足りなくな
つてストップになる、一方は開いてお
つても輸入意欲がないときには非常に金が余るということで、なかなかその運用はむずかしいのでありますが、これによりますと七—九の方は、創設のときで、出初めでありましたので、あまり大きな金額ではありませんでしたが、二十六年の一—三をごらんになりますと、非常に大きく総額の中で約半分を占める四億七千万というものが、自動承認制として
予算的措置が講ぜられたのであります。最後のところに品目がありますが、最初は六十五品目で、十—十二が百二十六品目、これが一—三におきましては百七十五という最高の品目にな
つておるわけであります。それが次の四—六になりまして、多少金額的にも減りましたし品目も減りましたが、七—九に至
つて非常に激減したのであります。金額的には二番目の欄にあります一億二百万、わずか一九%という少い金額になりましたし、品目の数からいいましても百三十九という少い品目になります。その後金額におきましても品目におきましても多少
増加しておりますが、まだこれが十分に活用されて、輸入が非常に円滑に動いたという
状態には立ち至
つておらないのであります。
次に一—三の
予算の問題でありますが、お
手元に配付した表のような形で
予算が組まれまして、これによ
つて通産省の輸入公表が行われ、そうしてこの中で通産省が、たとえば業者への
資金の割当などをいたします。最後のところにずつと品目がたくさん並んでありますが、これがいわゆる自動承認制の品目でありまして、これをたとえばドル地域からは入れてはいけない、ポンド地域だけだ、あるいはポンドもドルも両方から買
つてよいというような輸入公表が通産省において行われるわけであります。これによ
つて買付が行われるわけでありまして、この
内容について一々御
説明申し上げるわけには参りませんので、これと離れまして一応全般的な問題だけを御
説明申し上げたいと存じます。
第一に今期の
予算を通じて問題になりましたのは、御
承知のように昨年の十月ごろから、ポンドが非常に累積して来たというような問題がございまして、そのポンド対策の一環として、今期以後
予算をどういうふうに組んで行くかということが一番問題に
なつたわけであります。全般的の問題はきまりませんでしたが、
予算の上におきまして、これはオープン・アカウント地域も入りますが、ポンド地域からの輸入を大いに促進する
予算を織り込もうということになりまして、それを根本的の
予算編成方針にしたのであります。その結果自動承認制の品目も相当拡大いたしましたし、また
内容的にも、従来あまり入れない形でありました加工的な原料までも入れようということになりまして、チーズとか、食肉とか、家畜というようなものまでも入れることに
なつたわけであります。これは金額としては大きくありませんが、こういう品目が入つたということは今までと非常にかわ
つておる点であります。そのほかバター、油脂類、マーガリンは今のところ懸案で解決しておりません。それから
資金割当の方も、ポンドの方には相当潤沢に割当措置をとりまして、総額におきまして三億六百万ドルというレコード破りの記録的な
予算を組んだのであります。それからオープン・アカウント地域も多少交えまして、一億八千百万ドルの
予算を組みました。これに従
つて十—十二の
予算と比較しますと、今期におきましてはポンド地域の
予算が全体の四二%を占めております。それに対しまして前の方の
予算では三五%ということにな
つて、ポンド地域の比率が上つたのであります。従来はもちろんドル地域からのパーセンテージが一番大きいのでありますが、今期にな
つてドル地域よりもポンド地域の
予算の方が、比率においても大きく
なつたのでございます。しかし三億六百万ドルというのはポンドにすると一億ポンド以上の
数字でございまして、これが今期においてどの
程度消化されるかという点が、今後のポンド対策にも関連しまして非常に大きな問題にな
つております。
予算上ポンド外貨をつけましても、実際は国内の輸入
金融の面が非常に大きな問題でありまして、その点に対策を講じないと輸入はなかなか促進しないという面もございます。いろいろと
制度的のことを
考えておりますが、一応
日銀の融資あ
つせんを強化する、ポンド地域からの輸入については、あつせんを援助するという形で出発しているわけであります。現在までの輸入状況を見ますと、まだ途中でありましてあまり
基準にならぬと思いますが、案外よい成績を示しております。二月七日における自動承認制の受付状況を見ますと、ドルにおきまして大体
予算の三三%、ポンドにおきまして二〇%、オープン・アカウント四八%という進捗状況を示しております。従
つてドル地域、オープン・アカウント地域は相当出足がよいと言えます。しかしポンド地域の方は二〇%でありますからまだ十分とは言えませんが、そもそもの
予算額が非常に一大きいのでありまして、現在までのポンドの買付金額は二千六百九十六万ドルという
数字にな
つております。全体の比率としてはまだ低いけれ
ども、割に出足はいいと言えるのではないかと
考えるのであります。
しからば今後の四—六以降の
予算編成方針はどうあるべきかという問題につきましても、現在いろいろと研究中でございます。と申しますのは、ポンド対策の
関係ももちろん推進しなければならないと同時に、最近ドルも相当あることでありまして、昨年末のドルの手持ちが五億八千万ドルくらいで、相当のドル手持ちもあります。従
つてこれを有効に効率的に使い得る道があるならば、ただちにドルを使
つてもいいのではないかという
考えもありまして、どういうふうにドル
資金の効果的な使用ができるかということにつきましては、具体的に私の方でも研究しており、
関係省と協議をしたいと存じているのであります。
一方
予算編成の技術面におきましても、過去二箇年の経過にかんがみまして改善する余地があるということであります。第一は、
予算の期間の問題でありまして、先ほど申しましたように四半期ごとに組んでおりますが、これは輸入業者の方からいえば不便な
制度でございます。しかしドル地域の方は、四半期
予算を広げるについてはまだ不安な点もございますので、ドルの方は今のところ四半期を継続する
考えでございますが、ポンド地域などにつきましては、思い切
つて一箇年くらいの
予算、自動承認制などにつきまして、年間の
予算にしてもいいのではないかという
考え方を持
つておりまして、この点につきましては
関係省と協議をしたいと存じております。それから
予算編成の手続等につきましては、たとえば貿易外の
予算などにつきましても、従来は
日本独得の方式で、いろいろ項目を並べているのでありますが、非常にわかりにくい面もございますので、独立後は国際的に
資料を合せる必要がございますので、国際
通貨基金で採用しております国際
収支の項目表などに、なるたけ近づけて整理をする、そういう技術的な面につきましては研究を続けているわけであります。
最後に
外貨予算に関連しまして重要物資の
需給状況はどうな
つているかと申し上げますと、二十六年の年間を見まして当初の計画
通り実施ができたと
考えられるのであります。
主食について見ますと、当初の年間計画が三百二十万トンでございます。現在までの到着の実績及び三月末までに到着するであろうと見込まれる全体の
数字が、三百二十四万トンということにな
つております。従いまして大体計画を
ちよつと上まわる
数字にな
つております。
需給上からい
つても予定
通りで心配ない状況にあるということが言えるのであります。来
年度は三百五十万トンくらいの輸入計画にな
つておるわけであります。
それから砂糖を見ましても、砂糖は年間当初計画が六十万トンでございましたが、これに対して約五十万トンばかり
年度末までに輸入ができる。計画よりは多少下まわ
つておりますが、最近台湾などと相当輸入契約もできましたし、実際三月末のストツクを推定いたしますと、十二万五千トンもございますので、昨
年度よりもストック上ずつと上まわ
つております。従いまして
需給上何ら心配はないということか言えるのであります。
次に石油でございますが、これはなかなか問題がありまして、
日本側としてもできるだけ石油を入れたいという希望が非常に強かつたのでありますが、
関係方面との均衡がなかなかむずかしくて思うように入らなかつた。しかしながら現有
関係方面と了解しておりますベースは、十月以降に原油の処理能力は五万七千八百バーレルということで話がついておるのでありますが、御
承知のように石炭不足などにかんがみて重油転換という新しい要素が入つたために、この数量では足りなくなるという状況にあるわけであります。この一—三の
予算においても新しいベース・アップの
予算は組まなかつた。現在総司令部と交渉中であります。もしこれがうまく行かないとしますと、新しい七万一千五百バーレルは達成できないかもしれませんが、ペース・アップの点は
ちよつとむずかしいかもしれません。しかし大体において今年の六月までの操業には、そう大きな支障はないということか言えるのであります。
次は綿花でございます。綿花は当初の
年度計画が百七十五万俵でありましたが、その後国内の紡績設備の拡張がございまして、百八十三万俵と少し大きくなりました。そのうちで米綿は百二十万俵ということにな
つております。今日までの状況を見ますと多少下まわ
つておりますが、
年度末までにこれに近いところの百六万俵の米綿が入る予定にな
つております。御
承知のように綿花については昨年の暮に四千万ドルの綿花借款ができまして、この方は全部一—三の
予算で組んでおります。これが入りますと綿業界としては
金融上非常に緩和するという利点があるわけであります。ただ今後綿花についてはいろいろ問題がございまして大体年間百二十万俵というところが妥当であろうと思いますが、御
承知のように設備が非常に拡充して参りまして、六百五十万錘という大きな
数字になりまして、これに食わせるだけの原綿が
外貨予算上確保できるかということは、なかなか問題が残
つておるのであります。この点は今後の情勢の推移に応じて、
予算上からも研究しなければならぬと
考えておるわけであります。
次は鉄鋼原料の鉄鉱石、粘結炭でございますが、これも大体計画を上まわる状況でありまして、鉄鉱石については計画の三百八十万トン、もちろんこの
数字では足りなくなりましたけれ
ども、これに対して到着
見込み及び推定は、四百万トンを越える
数字でありまして、大体
需給の適合を得ております。粘結炭については当初計画の百八十万トンに対して、到着
見込みが二百万トン
ちよつと越えるという状況でございまして、この点も問題はないというふうに
考えられます。
塩につきましても、当初計画百五十万トンに対しまして到着
見込みは百八十万トン、これは記録的な入荷でございます。こういうような状況でございまして塩については全然心配ない状況でございます。
ただ最後に一点問題になりますのは、大豆、ゴム、原皮でございまして、これは御
承知のように一—三で非常に入れ過ぎたためにばつたり輸入がとま
つてしまつた。
予算上においても七—九の
予算においては、この品物については
予算的措置を講じませんでした。その後十月から
予算的措置を講じましたが、だれも買いに来ない。外貨をほとんど使
つていない、大豆はわずかに現在一万一千トンしか買付けておりません。生ゴムにつきましても一万トン、原皮が一千トンという
程度で、ほんとうのつなぎの買付けをや
つておる
程度でございます。従
つて需給上からいいますと、一—三に一度入つたもので間に合うのでありますが、これが四月、五月ごろになると、そうしたストックもなくなるのではないかというように私
どもは推定しておりますが、これの品物につきましては、一面国内
金融の面等からの問題がございまして、そう
簡單に輸入ができないというような事情があるわけでありまして、この点はいろいろな面からの施策を講ずる必要があるというふうに
考えておるわけであります。一応
簡單に
説明を終ります。