○
土井委員 先ほど
石田一松
委員から
お話がありましたが、要するに、
参議院と
衆議院の議決が違
つた関係から、
参議院からの修正案に対して、
衆議院は一応それをのむことができない、承認することができないという議決をいたしまして、そうして
両院協議会にこれが回付されたわけであります。
両院協議会においては、大体のむことができないとい
つた参議院の
回付案を、一字一句もかえることなしに
両院協議会の議決としてさらにこちらに持
つて来たのであります。こういうものをその
通りに議決した先例というものは、これはないわけではありませんので、そういう先例は間々ありますが、私から言わしめますれば、そういう先例はま
つたく悪例である。言いかえますれば、われわれが一旦承認しがたいものとして、これを否決のような形にして
両院協議会に持ち込んだ、その字句を一字もかえることなしに成案として持
つて来るということは、法規的な面から見て、厳密に言えば一事不再議的なものであると言えないわけではない。それから院の権威の上から行きましても、はなはだ当を得た措置ではないのじやないか、それから議会政治の面から行きましても、こういう先例というものは、これは議会政治をある
意味において冒涜したものである。それから多数党が、
参議院との
両院協議会において抵抗することができない事情があ
つて、
回付案通りのものをのむということは、政治的な面においても
一つの大きな堕落だと思う。こういうようなことは好ましいことではないのであ
つて、そこまで行くならば、最初からのめばよいので、そうでなければ廃案にする、あるいは三分の二の多数で決する、いずれかの措置をとるのが正しいのではないかと思われるのであります。
従つて、われわれはこういうような事柄については賛成することもできないし、また将来先例があるからとい
つて、先例は必ずしもいい例ばかりではないのでありますから、悪い例はこの際やめて行くという方針をと
つて行くことが必要である。しかも先例というのは、多くの場合において、いわゆる明治憲法あるいはまた君主政体当時における非民主的な政治の上に行われた。新しし民主主義政治を実行しようとする新憲法のもとに行われる
国会としては、そういう先例はこの際一掃する必要があると思いますが、自由党の諸君は、
参議院と
両院協議会においてそういう決定をしたことについて、政治的にどういう
責任を感じておられるか。そういう先例がよいものだという確信の上においてや
つたのか、党内事情から、
参議院との交渉過程において、二百八十五名は持
つているが、政治的弱体の示すところ、やむを得ずこれを承認したというお
考えであるか、この点念のためにお聞きしたいと思います。