○加藤(充)委員 時間がないから、もつととつちめたりすることができないのはまことに残念ですが、次の問題に移ります。
私は今まで国連憲章や
人権宣言やあるいは
日本国憲法等の観点から、この
内容は
法律上まことに不法不当なものであり、それを強行しようというのは恥知らずのものではないかという点を、
法律の條文を引用しながら、前例を
指摘しながら
お尋ねしたのでありますが、次に私は
日本人とそれから
朝鮮人、あるいは
日本人と
中国人、とりわけ
台湾に
——今まで
中国人じやなか
つた、
台湾人として
取扱いをされていた
人々との歴史的な
関係、
言葉をかえて言うならば、
日本が長い間
朝鮮を植民地として領有し、あるいは
台湾を植民地として収奪し、圧迫を加えてお
つた、こういう点から見て、私は歴史的な、民族的な情誼の立場から見ても、このような
内容の
処遇を今それからの
人々に対してやるべきではないという、少くとも歴史的、道義的な立場に立つものではないか、こういう点を
お尋ねいたしたいと思うのであります。そういう立場に立つならば、こんな
——事実上迫害です。事実上死刑の執行にもひとしいような非人道ぎわまるものであります。戰争だ、平和だという問題に関連しなくても、この人間の男女の結合、結婚あるいはその中に生まれた子供、こういうような点から見ましても、まことに残忍きわまるとい
つていいほど非人情的なものであります。明らかに迫害であります。こういうものを、迫害にかわ
つてむしろ積極的に保護を與えて行く、できるだけの援護を加えて行くという義務を、大きな
意味で
日本人は持
つておるのではないかと
考えます。この
質問を
理由つけるために、私は拾い見的に今までの歴史的な
関係を取上げましても、一九一〇年、
朝鮮合併で完全な植民地になりまして、そうしていろいろな
朝鮮に対する施策の結果、一夜の間に東洋拓殖とか不二農場とか、その他
日本人の有する大農場が、たくさんの
朝鮮人の土地の取上げとともに発生し、でき上りました、しかもそうしてあの
人々には米を食わせずして、
南鮮を中心にした莫大な米の生産額を
日本に持ち去ることができました。一九一九年の三月一日には、この圧制に耐えかねて、万歳事件が起きたのですが、これに対しては歴史上世界的に悪名高き残虐な弾圧が加えられて、一九二三年の関東大震災のときのあの恥智ずを、われわれははずかしく思うくらいであります。また満州侵略戦争が始ま
つて以来は、まことにばかげた皇民化運動というものがあ
つて、いろいろなときに
日本臣民たるの自覚を
朝鮮人に強制した、いわゆる皇国臣民誓詞というような愚挙が敢行された。名前を
日本人名前にしろという
規定の
改正が行われて、服装、言語、習慣を
朝鮮人から抹殺してしまう残虐な、非文明的な、野蛮な
措置が続けられた。一九四一年だ
つたか、真珠湾攻撃が始まる前後より、言語に絶する強奪的徴用、徴集によりまして、約二百万人ほどの
朝鮮の青年が
日本に引連れられて参りました。どういう状態で働いたか、私が言うまでもありません。人一倍働いて
日本人の半額にも達しないような賃金、それも報国貯金で強制的に積み立てられ、送金の道は許されてお
つたが、それが送金しても、国元においては愛国貯金として、妻子には渡されなか
つた、一九四五年八月十五日、やつとこのような苦しい弾圧の歴史から解放されることができたけれども、そのときに何が行われたか。徴用の無
責任な解除であり、解雇であり、賃金の不拂いであり、貯金の不拂い、帰国旅費さえ無支拂いというような形で、お前
たちはか
つてにせいということで、今のような
朝鮮人がたくさん
日本の国内に投げ出されたのであります。やみによらざるを得ないのである。営業資金はだれも親切には貸してくれないし、民生安定のためにせめて土木事業にでも働かしてくれと言えば、そういうものはまるきり無策であるし、
朝鮮人は至るところから締め出されて行
つたのであります。しかも一方今
言つたように、
外国人であるということがはつきりしないというように、
外国人としての待遇を受けるのではなくして、都合のいいところだけは
日本人並にして、納税その他の義務を押しつけて、選挙権その他の市民権は
一つもこれを與えようとしなか
つた、こういうような状態であるのでありましてこれで今
日本におる
朝鮮人が健康を害した、あるいは
生活能力を失
つたり、かたわに
なつたりして、路傍にうろついておる人があ
つたとしても、それは
朝鮮人の
責任ではないのでありまして、これこそ過去の帝国主義的な
朝鮮支配の
日本の姿そのものであります。こういうものをあつかましく、じやまだから出て行けというのは、ま
つたく人情知らずの人でなしの処置であると思います。こういう点から、第二点に
お尋ねした点の御
答弁をお願いしたいと思います。