○斎藤(三)
政府委員 戰犯者の執行につきましては、條約において、
日本が連合国の戰争犯罪法廷の科した刑を受諾する、そうしてそれを執行するという條約がございますので、これを巣鴨プリズンにおいて執行いたすことにいたしております。
なおその後段において、戰争犯罪者のかどによ
つて執行を受けておる人々の赦免、減刑並びに仮出所につきましては、
日本国の勧告、リコメンデーシヨン及びそれぞれの関係国の決定によ
つて、
日本がそれを実行し得る、こういう平和條約の第十一條がございますので、その手続等につきまして、今国会において御審議を願いました
法律第百三号、平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する
法律において、この手続を進めておりますので、現在のところ、さらにそれ以上に立法
措置を要するものとは考えておりません。この
法律は附則におきまして、ただいまお尋ねのような刑の計算等につきましては、それぞれ関係国と
日本との折衝によ
つて決定をする。たとえば
アメリカにおきましては、戰争犯罪の嫌疑によ
つて抑留された期間、及び検察官から起訴されて判決の
確定するまでの未決期間を、刑の執行の期間と勘定をする。それから執行を受けて後、反則のない場合には刑期を短縮する。これもいろいろ限度がございまして、一番長い十年以上の刑の人は、三十日勤めれば四十日と計算する。こういうような計算方法、これらを
法律では望ましいことであると存じまして、そういう計算も一応とる。しかしこれらの刑期の計算については、違
つた法制の国がございずすので、それぞれの関係国との折衝によ
つて決定する。こういう附則を設けまして、御審議を願いすして、そうして平和條約発効の日にこの
法律が公布施行にな
つております。ただちに私
どもは
外務省にお願いいたしまして、それぞれの関係国にこの
法律で行くか、あるいはそれとも他のそれぞれの国の法制にか
なつた、しかも
日本のわれわれの希望するような方法でや
つてくれるかどうかということを、折衝いたしておるのでございますが、それについても返答がまだありません。それからあまり長くなりますので、私
どもの
調査も着々進んでおりますので、漫然と待
つておるわけにも参りませんから、それぞれの具体的なケースによ
つて関係国の
態度を知ろう、こういう考えで、今月の十二日以後、それぞれの関係国に仮出所の勧告を
外務省にお願いいたしましていたしております。これにつきましての返答はまだございませんですが、さような方針でありますので、これ以上立法
措置は一応要しないのじやないか、かように存じて、現在
調査を進め、今後さらに広く赦免なり減刑なりの勧告もいたしたい、いたさなければならぬと考えて、準備を進めておる次第でございます。
それからフイリピンの死刑囚の問題につきまして、私
どもといたしましては、当然平和條約の効力を発生したという現在の
状態において、執行は考え直していただきたいと存じておりますが、これにつきましては、法務府といたしましては当該の所管事項でございませんので、
外務省からそれぞれ適切な手を打
つていただいておる、かように存じておる次第であります。