○植原
委員 今の問題はかなり重要だと思います。こういう法案を出すにつきましては、今までの
為替管理委員長と
大蔵大臣との間にかなりの了解があ
つてやるべきだと私
ども考えます。今の話を聞くと、まつたく了解がなくてや
つておるようです。
外務大臣のお話の
通り、あるいは
大蔵大臣がすべて専管する方がいいかもしれませんけれ
ども、それに対しては、今まで
為替管理委員があ
つてちやんと
管理して来たのですから、その了解なしにこういうことをなされたというのならば、せつかく
政府のいい目的でも、議会ではかなり支障を起すようなおそれがあることを気づかうのであります。ですから、
外務大臣が何でも知
つておるとは私は思いませんけれ
ども、
外務大臣の
立場で、
外務大臣の
責任でこの法案を取扱う以上は、どうか
為替管理委員長と
大蔵大臣の間の話合いをつけて、そうしてすべての問題の了解ができるようにしてこの案の取扱いをしていただきたい。
外務大臣の言う
通り、この法案がいいのかもしれませんけれ
ども、国会として
責任を持
つている以上は、そういう点がきわめて明瞭にならなければならない。こういう重大な問題を取扱うについては、同じ
政府部内で十分了解を得た上でやられるようにして、この会議の進行を
外務大臣がひとつおはからいを願いたいと思います。これは私の希望であります。
それからもう
一つ、立ちましたついでに申し上げます。最近外交は経済外交でなければならないというようなことを盛んに新聞に宣伝なさるけれ
ども、
政府は政治と外交と一体どういう区別をすることができるか、アメリカにやる大使だから経済外交でなければならないということは、私のどうも了解できないところで、あるいは新聞の誤報であるかもしれませんけれ
ども、
政府から何かそういうことが伝わるように私の耳に響いて非常に奇怪に思うのであります。なぜさようなことを申すかというと、御承知の
通り、チヤーチルがアメリカに参りましたとき、チヤーチルは金借りに来たのだろうということで、アメリカ人は非常に反感を持つた。チャーチルはアメリカの上下両院の連合
委員会においても、私はわざわざ大西洋を横切
つてアメリカに金借りに来たのじやないと弁明した。英国の総理大臣が連合
委員会における演説会の劈頭において、アメリカ人全般の誤解を解かなければならないほど、私は国際
関係は微妙だと思います。
日本がアメリカの経済的援助を受けなければならないことはその
通りでありますけれ
ども、表から
日本のアメリカとの外交は経済に限るのだというようなことを言うと、アメリカの民心に悪い影響を及ぼして、かえ
つてその目的を達しないようにするおそれがあるので、ほんとうに日米両国の将来の政治的
関係、経済的
関係を
考えるならば、経済外交というようなことを
政府の中から言つたりすることは、私は非常に悪い影響を及ぼすのではないかと思う。日米
関係は経済の問題が重大でありますけれ
ども、アメリカ人が
日本に対して気づかうことは、
日本にほんとうに徹底的に民主政治が行われるか行われないか、これより大きな問題はないと思います。これをアメリカ人に
説明することこそ、また
説明し得る材料を持ち、
説明するような
国内の態勢を整えることほど、日米両国の
関係に重大なるものはないと思います。その基礎の上に立
つてこそ、初めて経済的の密接な
関係もできるのに、
国内の態勢をほんとうに民主政治を行うような方向に持
つて行かないで、ただ経済的の外交などといつた
つて、決していい結果をもたらさないものである、こういうことを痛切に感じますゆえに、この点特に私は申し上げておきたい。
もう
一つ、テユーナの問題であります。テユーナの問題は
日本が主であります。なるほど一般に
関係することも多いのでありますけれ
ども、これは加州において、ことにサンジエーゴからあの付近においてこの問題をかつぎ出して、加州の議員が死にもの狂いにな
つて上下両院を通過せしめようとしたのは、
日本のテユーナの
輸入に対することが眼目である。これは全般にわたることであるのに、
日本がその中にただはさまつたように
——私の誤解かもしれませんが、そういうふうな
外務大臣の御
説明があつたとするならば、それは間違いである。それだからして、日米両国の
関係を思うアチソンは、はつきりとした声明を出して、日米両国の将来の国交を
考える場合において、今さような経済問題を議会で取上げることはならぬと言われたところを見ても、これは
日本に対する目標が主であることがわかります。私はアチソンがこういう声明を出す前に、むしろ
日本の絶対多数を持
つている自由党あるいは
政府が、こういうものを今アメリカの国会に出されることは、むしろ日米の国交の将来の上に非常な障害がある。経済問題よりは、
日本の国民の感情を痛めることが非常に大きいだろう、私はむしろこういう
立場をと
つてもらいたかつたのであります。その方かもつといい外交上の効果をもたらすもので、アチソンに言
つてもらうよりは、
日本国民はこれからほんとうに日米両国の間で協力をして行こうと思うのだ、その場合にわずかのテユーナの問題に対して、それもテユーナの問題は加州における実に一局部の問題であ
つて、むしろオレゴンの方ではテユーナの
輸入を歓迎しているような向きもあるのだから、そういう点を
日本の議会、
日本の政党がはつきりして、そうしてアメリカの国民に訴えることの方かむしろ効果的であ
つて、こういう点も外交上聰明なる
外務大臣が指導して、そういうふうに
日本の国論をまとめて
政府がおやりくだされば、もつとよかつただろうと思う。
もう
一つ、経済問題に対しては、アメリカばかりが重大ではない。今日恐ろしくスターリングのレートが大きくな
つておるけれ
ども、これは実際
日本か占領国家である場合にはしかたがないが、独立国家としたらマーケツト・プライスより高いところの
為替レートを設定されて、そうしてそれをがまんしているというようなことは、これは第一に外交上手をつけなければならぬ問題だと思う。こういう問題こそ、ほんとうに経済問題として重大なことで、現在
日本が占領国家であるならば、しかたなく英国で設定しておるところの
為替レートでがまんして損してもや
つて行かなければならないこともあり得ることだけれ
ども、今日独立国とな
つて経済の問題を
政府がほんとうに主眼として
考えるならば、まずスターリング・レートをマーケツト・ヴアリユーで取扱いのできる方に外交上の努力をすることこそが、経済的外交の主眼であると私は
考える。こういうことを私は
——これは
質問でなく国を思うために老婆心と申しますか、苦言を呈するような形になりますが、
国際通貨基金の協定とこの
国際復興開発銀行に対しては、ただ経済問題ばかりではなく、自由国家が今日世界的に協力しなければならないという
立場からも、これに私は協力すべきであると思います。簡単に経済問題でこの問題を論ずべきではなく、世界中が協力するという
立場からこれをすることは私は賛成であります。その手続をとるにいたしましても、
為替の問題や
大蔵大臣のマネー・マーケツトをコントロールしようとする
立場に対しても、
政府内において十分了解を得てかかる案を取扱
つていただきたい、こういうことを私この機会に申し述べて
政府の御考慮をお願いしたいと思います。