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宮原委員 とかくお役所のことは事前にいろいろな問合せをしますと、まだその段階でないと言われ、さてしばらく期間を置いて問い合せますと、もう時期が遅れたというようなことが
——外務省にはそんなことはないでしようけれ
ども、よくお役所仕事にありがちであります。ただいまの御答弁によりまして、今時期は決して尚早でなく、また事後でない適当な時期であるというようなことを判断いたしますから、特にこの
追浜地区の問題について誤伝が伝わ
つているような感もありますので、
予備作業班の各位及び
政府、本日は岡崎国務大臣もお見えにな
つておりますから、この機会にごく簡単に
追浜地区の
反対の事情につきまして要点だけを開陳いたして、誤伝の根本を一掃しておかなければならぬかと思うのであります。
第一の点は、
追浜の
地区はむしろ提供するのが、
経済上
横須賀市にと
つても不利でなく、有利ではないかという誤伝が伝わ
つております。これははなはだしく皮相な見解でありまして、第一には工場生産が二十億円、
関係従業員
——下請業者合せて一万のあの微々たる中都市
横須賀が、年産二十億円、従業員一万の失業者を出すというような問題は、地方にと
つてはまことに重大な問題であるということは考えなければならないのでありますが、
経済上まことに不利な結果となることははつきりいたしておるのであります。またこれは重大なる不利であります。
次に、米陸軍工場が来るということだけは明らかにわか
つております。あるいは立川の大型自動車工場が移転する、こういうことはわか
つておりますが、それ以外には
内容はさらにわからないのでありまして、案外
内容はきわめて小規模な米陸軍工場が来るのではないかと思われるのであります。そうして軍需工場にありがちなことであるのでございますが、また従来の米軍なり英濠軍なりの占領ぶりにかんがみましても、実質上大体必要以上に厖大な浪費をすると申してもいいくらいの、ほとんど使用しないで放置して顧みないような
地区を接収して、恬然としておるというような従来の実例に徴しましても、あの十万坪の厖大な区域を、案外小規模でも
つて使い上げるというよなことがあるのではないか、こういう点をまことに杞憂しておるのであります。そういう点になりますと、軍事上の必要な軍需工場であるというのであきらめるわけには参りません。
次にこの米陸軍工場は常にいつ廃止せられるかわからないという廃止の危険を感ずるのでありまして、か
つて日本旧海軍の時代に、軍縮にあうこと再び
——旧軍港市は
横須賀に限りませんが、いずれもこの軍工場が軍縮を受けたために、地元の疲弊困憊という苦い経験を今なお忘れずにおります地元といたしましては、
経済上の不安が相伴うのでありまして、これらの点から考えまして、
経済上米陸軍工場が来るから有利であろうというような見解は、これは單に将来に漠然たる
希望をつなぐにすぎないことであ
つて、現実にかくのごとき不利があるのであります。これは
経済上の問題でありますが、そのほか
追浜地区の施設提供をいたすということになりますと、終戰後七年間苦心経営いたされて、そうして二十二
会社、工場が今や軌道に乗
つておるのでありますが、この二十二
会社、工場の施設指定は、デツカー将軍以来、市
理事者、市民一般が極力この進出誘致について、懇請これ努めて今日の段階に達しておるのでありますので、まことにこれは道義上の問題も無視できないのであります。
それから
横須賀市としては、米軍工場には課税をするわけには行かないので、民間工場であれば財源にもなるのでありますけれ
ども、その点がまことに困る。
次に
横須賀市長は旧軍港市転換法第八條によりまして事業執行の責任があ
つて、この
追浜地区を平和
産業港湾都市の中の工場として転換した今日、ただ米陸軍という簡単な
理由で
内容がわからないうちに、施設提供の犠牲にするということは、
横須賀市長としては
法律上の義務の
立場から、責任上これににわかに同意するがごときことは許されない事情で、やむを得ずこれはその点からも
反対しなければならぬのであります。
なお第五点は、米陸軍が
追浜地区を必要とするにかかわらず、同じ米軍でありながら海軍は絶対
反対であります。
次に第六に、かかる事情でありながら、二十二
会社、工場の現に苦心経営しておりまする事情と、以上述べました各種の実情を無視して、もしもこの施設が提供されるがごときことがありましたならば、一種の
予備作業班に対する強い批判と申しますか、また一面軍に
横須賀市だけでなく、旧軍港四市全体が
横須賀市に対する
予備作業の
状態をまことに注意深く見守
つておる今日の段階におきまして、冷酷なる御措置があるという感じを受けましたならば、これは旧軍港四市だけの問題にとどまらず、全国的に大きなるシヨツクを與える。その結果は反米思想を醸成するという結果になろうかということをまことに心痛いたすのであります。かくのごとき事情から、
横須賀、
追浜地区の問題については、今日の段階でもなおかつ強い
反対があります。本日傍聴にも市長初め市議会の
議長その他有力者が多数お許しを得て参
つておられますので、その熱意のほ
ども御推側いただけることと思うのであります。本員は旧軍港市議員連盟、詳しく申し上げれば転換促進議員連盟というものを結成いたしております一員でありまして、この点については特に重大なる関心を持
つておるものであります。かかる点について
予備作業班は、私が分析いたしました各種の
反対事由についてこおそらく深い御認識を持
つていらつしやることとは信じて疑いませんが、重ねてこの認識についてのお心構えをこの際伺
つておきたいと思います。