○林(百)
委員 恩に着せることはない。なるべく五分で済ますつもりですが、少し延びるかもしれない。というのは対日
理事会と極東
委員会の問題、それからソ連の代表部のサンフランシスコ條約後の
日本における
地位であります。この問題は非常に重要だと思うのです。きようもおそらく対日
理事会ではこのことが国際的にも論議されておると思いますので、私は
日本政府の見解も明らかにしておかなければならないと思
つて実は
質問するわけであります。
実はモスクワ
協定をよく検討し、また岡崎国務大臣が私にくれましたこの資料も、先ほどからいろいろ検討してみたのでありますが、モスクワ
協定によりますと、「極東
委員会の政策決定の執行に関し、
理事会の一
委員が最高司令官と
意見一致せざるときは、最高司令官は極東
委員会に於て
意見一致が達成せらるるまで右問題に関する命令の発出を差控ふべし。」とあるのであります。
政府は、ポツダム宣言によ
つて、
日本に平和的傾向を有し、かつ
責任ある
政府が樹立されるかどうかという
認定は、
日本と
アメリカの見解だけで決定し得るようなことを言われ、また最高司令官の指示だけで可能なようなことを言
つておりますが、しかし現実の問題として、全面
講和で、ソ同盟をも含めての同意がなき限り、完全な
日本の国の国際的独立ということはあり得ないということは、この極東
委員会についての決定によ
つても明らかだと思います。
従つてソ連がサンフランシスコ條約に反対しておる限り、対日
理事会を解消するかどうか、それから
日本の国際的な諸任務が達成されたかどうかということは、当然極東
委員会によ
つて決定されるべきものだと私は思うのであります。
従つてサンフランシスコ
講和條約が発効したとしても、
日本と
アメリカとの
考えだけで対日
理事会の解消、あるいは極東
委員会の解消ということは、当然これはあり得ないと思います。このサンフランシスコ條約発効後の対日
理事会並びに極東
委員会の
法律的な
立場というものがどうなるかということを、岡崎国務大臣と
西村條約
局長と、二人からよく聞いておきたいと思うのであります。岡崎国務大臣が私にくれました一九五二年の二月二十五日の資料によりますと、これはシーボルド氏が
出した、各国のミツシヨンの今まで司令部から與えられていた便益、あるいはオフイスだとかあるいはハウスだとか、そういうものに対する処置が中心のようであります。これは
連合国最高司令官が対日
理事会に諮問をし、極東
委員会の決定に基いて、
日本が完全に各戰勝国の間から独立を認められたということにはこれではならないと思う、これをしてあなたが完全に、
連合国各国がサンフランシスコ條約発効後は、
日本が完全に独立したことを認めるという証拠にしようとしても、このシーボルド氏のオフイス、ハウスの解除の問題だけでは、やはり国際的にはそういう権威をこれによ
つては認められないというように
考えるのであります。私たちは全面
講和によ
つてのみ初めて達成されるという見解を持
つておるのでありますが、その見解はどうか。
それからもう
一つは、これは
西村條約
局長も認めておるところでありますが、
日本とソ同盟との間が戰勝国と降伏国の
関係にある限り、その降伏文書あるいはポツダム宣言の履行を完全に達成するための監督
機関、あるいはこれの監視
機関というような足がかりというものは、これは当然
日本の国に持ち得るべきものであ
つてこれが
日本と
アメリカとの間の
講和條約によ
つて解消するということは暴論だと私は思います。この三つの点、
一つはサンフランシスコ
講和條約発効後の対日
理事会並びに極東
委員会の
法律的な
地位、
立場、これはどうか。第二は岡崎国務大臣が私によこしたこの資料によ
つては、対日
理事会に諮問して、極東
委員会の政策決定に基いて
連合国最高司令官が、
日本の国にポツダム宣言の第十二項、平和的傾向を有しかつ
責任ある
政府が樹立されたという
認定とするには、これは私は不適当であると
考える。この点が第二点。第三としては、ソ連代表部が、やはり戰勝国と降伏国という
関係がある限り、将来の
日本の平和的な発展に寄與するためにも(「逆だ」と呼ぶ者あり)当然足がかりを
日本の国に持ち得るということは、これは当然であります。マーフイー駐日大使の昨日の夕刊の話を見ましても、この点について大分皮肉
つたことを言
つているようでありますが、しかし
法律的に当然解消するとはさすが彼も言い切れない。一片の良心がある限りそういうことは言い得ないのですが、これを私もよく検討した結果、そういうことはよう言
つておらない。この三つの点について、非常に重要な問題でありますから、この際はつきり
政府の
責任のある
答弁を聞いておきたいと思うのであります。