○中山
委員 今回、朝鮮の捕虜収容所に現われました私どもの同胞は、終戦後
中共におりまして、転々としておる間に、義勇軍として朝鮮戦線に出て来、国連軍の方に捕われたのでありまして、宮崎県の人でありますが、ただいまゼネヴアにおきましても、私どもが参りましてお願いいたしました三人
委員会が活躍をし、
日本からも三人の人が要請されて向うに行
つておるような現在でありますから、私はこの二つの問題をにらみ合せまして、せつかくここに現われて来た同胞が、捕虜交換のときに、あるいはまた元へ送り返されるのではないかというようなおそれを持つのでございますが、たとい一人でも、こういう事態になりましたならば——これが
中共から正式に軍隊として送り出されたものならば、あるいは手が届かないかもしれませんけれども、いわゆる義勇軍という名前で出て来ておる一人でございますから、何とか国連軍の方で適当な処置をと
つていただけないものか。この人はもうすでに戦死の報まで入
つて、家族では七年忌まで済ましたというような報さえ伝わ
つておりますけれども、せつかくここに出て来ておる一人を、私はむざむざ
中共に送り返したくない。国連軍の位置もGHQとわか
つておるのでありますから、
外務省の引揚課におきましては、ここに行
つて何とか交渉をしていただきましたのでございましようかどうか、伺いたいと思うのでございます。ぜひひ
とつ、こういう人を返してもらいたい。この間鳥居博士と一緒に帰
つて来ました静岡の一婦人に、私は面会をいたしたのでありますが、
中共にはまだ多数わが同胞がいる。そうして向うの実情を聞きますと、たとい言葉の末にでも
日本へ帰りたいというようなことを言うと、これは逃亡罪というもの——これは最も重い罪だそうでございますが、これにされて、もうどうにもこうにもならないので、帰りたい同胞が帰るということは言えない。そうな
つて参りますと、せつかく国連の三人
委員会が活動を続けましても、なかなか手が延びないのではないかと私はおそれますが、一人でも何とかして
中共へ帰さないで、国連の収容所におるこの人を国へ連れもどす。せつかく自分たちの入りたいという国連の中におるのですから、ぜひひ
とつ外務省において何とかしていただきたい。これについて同か手を打
つていただいたかどうか、私は伺いたいと思います。