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逢澤委員 靖国神社に
合祀されているものといないものとの点につきましては、ただいま
お話があ
つたのでありまするが、
長官の
お話では、どうも
祭政分離という観点から
お話にな
つて、大分むずかしいような、重たいような気分のように私は
受取つておるのですが、これは
役所としても、
靖国神社合祀に対するいろいろの資金とか、あるいはそういうようなものを積極的に出すということは、これはあるいは
憲法上の
解釈からそういうふうになるかもしれませんが、しかし実際問題として
必要性のあるということは、これは
長官といえ
どもよく了承しておられると思います。そこで例の引揚者の
方々に対する
方法については、これはこの
委員会におきましてもしばしば論じておるところなのでありまするが、これは私
どもの
見地から言うと、この
引揚げ促進と
引揚げ援助に対することと
あまり差のないことだと思う。片方はもう戰死しておる。あるいは
戰病死しておる。その霊と化しておるものをここにまつる。それをうちに帰す。かりにうちに帰るとしたならばどうでしよう。向うで
遺骨を集めて、そうしてそれを内地に帰す場合の費用は、一体これはだれが負担するのか。そういうような
見地から
考えると、
靖国神社にそれをおまつりするということに対しては、これは
憲法上の何があるかもしれないが、あそこに届けるということに対しては、私はそういうような何はないと思います。
靖国神社に
遺骨を届けるということで
考えたならば、私は今
若林さんの
お話のように、そうあまり
憲法にこだわ
つて――その意思がないというならば、
憲法にこだわ
つてそういうようなかたくなな話をしなければいかぬが、ところが
政府が真にごうしなければならぬというような
気持があるならば、私は今少しく熱心な
研究を施すならば、あえて
憲法に違反することはないと思います。それを何か申訳的な態度で
長官がおると、それはそういうことになりやすいと思います。この点について、私はひとつ
ほんとうに
遺族を出しておる
家庭の
気持に
長官はこの際な
つていただきたいと思います。この点が
一つ。
それから、さきにこれは
川端委員の方から
お話があ
つたのでありますが、例の今度の
弔慰金だとか、あるいは
年金に対する
請求に関する
市町村の
事務的負担、これまた
長官のさつきの
お話からいうと、これは言葉じりをとらえてはなはだ何でありますが、あまりそう大して
事務手続が煩瑣でないように私はここで聞いたのですが、これはま
つたくどうも
下部組織の何に
長官が少しうといと思う。私
ども日常この点に携わ
つておる者から言うと、これは実に千差万別のいろいろな種類があるので、
下部組織としては非常な複雑な
手続がいる。これは相当複雑なものであ
つて、そう單純なものでない。
家庭自体というものは、あなたが立法される際にもよく
研究したと思うが、
家庭は千差万別で、いろいろな複雑な
事情にできている。そこでこれを甲の
町村役場から乙に行き、さらに丙に行くとい
つて、七つも八つもまわ
つて歩くようなところもあるし、しかもそれがなかなか解決しない。
最後にはどうかというと、
遺族から言えば、
遺族の
下部組織の
市町村に対する
考え方というものは、
国家の
代行者と
考えて話をする。その場合に当るところの
下部組織というものは、非常な誠意と熱意を持
つてや
つてお
つても、
遺族の人にはきわめて不満足なところがある。それは一時に出すのだから、一時何ぼ少くても
町村でも五十、六十も
申請する。多いところは百、二百もある。そういう
人たちが複雑なものを持
つて行くが、それは
総がかりでや
つてもなかなかそれが解決しない。それに対しては、それが相当複雑なものであるという認識で、私はあの
下部組織に対する
事務の補助というようなものを熱心に
考えていただきたいということが一点。それから一番まずい点は、あの
戸籍謄本の点なのですが、これは一番に
市町村が困
つておる大きな問題です。これは
法律の上からい
つてはやむを得ぬことだと思いますが、そこで
市町村としては一応こう思
つておる。これはただでやればいいと思
つている、みなそのつもりで、これを無料でとりはからいますと、こう言
つておる。ところが監督官庁が無料にしてはいかぬということを各
市町村に嚴に通牒をも
つて戒めておる。そこで
市町村長は
遺族会の
連中を集めてこれを無料でしますということを宣言していますけれ
ども、監督官庁の方から、とうなければならぬという強い通達があるから、どうしても拂
つてもらわなければいかぬという。そこで
市町村としてのやり方は、少し気のきくところでは、一応徴收はしますけれ
ども、何かの形によ
つてまたそれぞれ還付するということをや
つておるらしい。そのくらい気のきくところであれば私は問題は少いと思う。しかしながらいやしくも
遺族からいえば、
国家のために殉職した者だ、
国家がこれに対して
弔慰金なり
年金を下げ渡すようにな
つた、それに対して手数料をとるとは何事か、こんな政治がどこにあるかということが一番の話なんです。あなた方はこの声を聞かれておるか、聞かれておらぬか。少くとも私
ども遺族の人に会うと、どこへ行
つてもそのことである。だからこれらに対しても、いろいろ
長官とせられても、
遺族に対する
取扱いという問題に対しては、一
通りの心構えというものがあると思います。長い間あなたはこの点について、数年間わた
つてこの
事務を管掌なさ
つておられた方なんだから、今日この際にな
つておるんだから、やはり今日はなお一層その
気持を強く出して、同情的の
気持を強く出して、それぞれの方面にも当
つていただきたいと思います。一言だけ申し上げておきます。