○
木村(忠)
政府委員 南方諸
地域における
戰没者につきましては、去る三月私から本
委員会に
報告いたしたのでありますが、その際にも申しました
通り、南方諸
地域には、
戰没者百二十四万の
遺骨の相当部分がなおそのままに
なつているのであります。これらの
地域のうち、硫黄島と沖繩とには、本格的な
遺骨処理の準備のために係官を派遣いたしまして
調査いたさせましたことも、すでにこの前に御
報告申し上げました
通りでありますが、その
調査の結果の整理も大体完了いたしまして、これらの
結論によりまして、目下全般的な処理の準備中であります。
硫黄島と沖繩とは、戰争の末期、守備部隊のほとんど全員が玉砕した
地域の例でありますが、南方
地域におきまして、戰死の
遺骨処理状況が時期及び
地域によりまして相違いたしておりますことは、特に今後の
遺骨処理に深い1
関係がございますので、すでに
報告せられましたことと重複いたしますことをお許し願いまして、この際いま一度この間の事情を御説明申し上げます。
まず時期による
遺骨処理の相違について申し上げます。開戰から昭和十八年ごろまでは、いずれの
地域も
遺骨処理は大体戰時の処理規定に従
つていたのでありますが、昭和十九年以降は、戰況の変化に伴いまして、各
地域によりまして処理状況を異にしているのであります。第一に、大なる地上兵力の攻撃を受けなかつた蘭領マライ、タイ、仏印等におきましては、終戰までおおむね規定
通りの処理が行われ、
遺骨は墓地に葬り、その一部を
とつて内地に送還いたしまして
遺族に伝達してあるのであります。
第二の
地域は、ソロモン群島、東部ニューギニア、ビルマ、フィリピン等でございまして、急激な戰況の変化のために、
遺骨処理は必ずしも規定
通り行われなかつた場合も多く、遺体を辛うじて埋葬するにとどめた場合もありますし、あるいはそのいとまさえもなかつた場合もある状況であります。
第三は、硫黄島、沖繩、マリアナ諸島にように守備部隊が玉砕した
地域でありまして、最後の地上戰闘が起りましてからは、遺体処理もわが軍の手ではほとんど行われていないのであります。
以上申し上げましたように、いろいろと異
なつた状態にあると
考えられます
遺骨をいかに処理するかの点につきましては、各種の
関係から包括的な全般
計画を申し上げる域に達していないのは、まことに遺憾であります。ことに相手国との話合いが非常に
関係して来るのであります。米国の管理しております
地域におきましては、特に先方から好意ある申出も参
つておりますので、さしあた
つては米国管理
地域につきまして具体的な決定を得ますために、現在各方面と折衝中であるというのが今日の
段階でございます。この
遺骨の処理は、当然に
政府の責任におきまして実施せらるべき事項に属することは、申すまでもないのであります。さようにいたしまして、具体的な処理要領といたしましては、第一に処理のために作業を実施すべき
地域を選定いたし、着手の順序を決定いたすべきであります。第二の事項としては、各
地域の特殊性に応ずる作業の
方法等、処理要領の細目を規定する必要があろうかと存ずるのであります。右の点につきまして今日まで
検討いたして参つた結果、この際処理に着手するのを適当といたします
地域は、先ほど部隊の
遺骨処理状況について申し上げました三種の
地域のうち、守備部隊が玉砕した
地域であります。その他の
地域につきましては、玉砕
地域を処理した後にするというように、逐次全
地域の処理を進めて行きたいという根本的な
考え方を持
つておるのであります。外地残留
遺骨の処理につきましては、
政府といたしまして当然果すべき事項といたしまして、ただいま申しましたような方針のもとに目下
検討を進めておる次第でありますが、さきにも触れました
通りに、米国側におきましても、
日本政府が行う
遺骨の処理に適当な
協力を與えるために必要な資料を送るようにとの申出もあります。あらためて申すまでもなく、
遺骨の処理につきましては、先方の
協力にまたなければならない点が相当ありますので、なるべくすみやかにこの折衝を始めたいというとかうに
考えておるのであります。さきにあげました
地域のうち、硫黄島は目下
日本の業者が向うに参
つて作業をいたしておるのでありまして、作業等につきまして相当の便宜を得られることが期待し得られるのであります。また沖繩におきましては、近く
日本政府の
連絡事務所が開設されるような見込みもございますので、
遺骨処理の問題につきましても、この事務所を通じまして在沖繩の米国機関や硫球
政府と交渉いたしまして、周到な準備も円滑な実施も期待されるのであります。特に沖繩におきましては、
島民の
協力が大いに予期することができるのであります。先般
全国戰没者追悼式に、沖繩
代表といたしまして参列されました硫球
政府の副主席の方もこの点を強調しておられるのであります。
マリヤナ群島、ハラオ諸島につきましては、特に最近の
情報に関する資料が十分でない点もありますので、今後その資料を補整する
機会が期待できますし、大体の状況が硫黄島、沖繩等から類推される点もあるように存ぜられますので、処理につきまして、なるべく
調査と作業と別々に実施せず、作業班の手によりまして
調査と作業とを同時に実施いたすのが適当であろうと
考えまして、目下その準備を進めておるのでございます。