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村上国務大臣 第一条の示す
通り、この法律の規制するところは、
国際民間航空条約の規定なり、その付属書に定められたるところを盛り込んでいる次第であります。また法律の規制せんしとするところは、
民間航空の
事業であります。運送
事業もありますし、その他の
事業もありますが、とにかく
民間航空事業を律せんとする、またその発達をはからんとするものであります。世界の最高標準をということを先刻も申しました。戦争前におきまして、
わが国の
民間航空、これは広い
意味において生産
事業も含めてでありますが、とにかく最高水準とまでは言えないかもしれませんけれ
ども、かなり接近したところまで進んでお
つたように聞き及んでいるのであります。爾来十箇年間の空白がもたらされまして、その間に各国の
航空事業の発達はすばらしいものがあるのであります。結局今日この空白のために頓挫をして非常に遅れていることは、遺憾ながらいなめない事実だと思います。すみやかに研究を遂げて、そして世界の最高水準に追つつくことを念願いたしている次第であります。しかしてその念願している水準なるものは、飛行技術においてもそうでありますし、
整備においてもまたそうであり、また生産技術においてもそうであります。但しこれを通じて、その安全性の確保ということに最も重点を置いて進めなければならぬと思うのであります。そういう
趣旨において、この法律で希望するところをぜひなし遂げたいと念願しておる次第であります。しかしながら御
承知の
通り航空の
仕事は、その生産と運航とに観念的にはわけることができると思うのであります。しかしただいまも申します
通り、最も重大な点は、その安全性の確保という点、またその
観点から技術の向上も必要にな
つて来るのであります。自然その面から申しますると、運航といい、また生産といい、非常に区別が立てにくいということは争われない事実だと思うのであります。先般の
委員会でも申し述べたと記憶いたしまするが、生産は一般的に申して通産省の所管であり、かつこの航空機の生産については、稀少物資を資材として使う点も少くないというような
趣旨から、通産省の所管ということに相なりまして、運航を主とした面が
運輸省の所管に相な
つた次第であります。本法におきましても、密接不可分だと実際面では言い得ることを
二つにわけて、両省の所管にしておる。ここに将来の進歩、発達にはたして遺憾の点がないかどうかということは、
運輸大臣として多分な心配を持
つておるような次第であります。しかしながら両省の当事者の緊密な協力によ
つて、これを克服して行きたいと
考えておるような次第であります。