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間嶋政府委員 ただいま
日本の
ホテル料金が非常に高い、その結果
外客は
ホテルよりもむしろ
日本旅館の方がよいというような
お話がございました。この点につきましては現在
ホテル料金が非常に高いということが、各
方面から論議されておりますことは事実でございます。大体私どもの
考えでは、現在の
日本の
ホテル料金は、
アメリカの
一流の
ホテルの普通の
料金くらいをと
つておると思います。ところが実際の
設備を比較してみますと、非常に劣
つておるわけであります。大体
日本の
一流ホテルと同じ程度の
設備を持つヨーロツパの
ホテルと比べてみますと、三割ないし四割くらい
向うの方が安いのじやないかというふうに思われるわけであります。この点につきまして、それでは何が
原因であるかということでございますが、いろいろ
原因はございますが、まず第一は何と申しましても
ホテルの事業というものは、御
承知のように当初に莫大な資本を投下いたしまして、しかもその回収に相当な年月を要するものであるにもかかわらず、
長期低利の資金の供給をすることができませんで、非常に短期の、しかも非常に高い利子の金を借りて
整備をしなければならぬというふうな実情にな
つておることは、御
承知の
通りと思うのであります。この点を打開いたしますためには、いろいろの方策も
考えてみたのでありますが、何分現在の
日本の経済情勢から
考えまして、長期に低利の資金を供給することが非常に困難な
事情もございまして、今まで十分の成果を上げておらないのであります。これがまず第一の理由だと思うのであります。
それから第二は、税制の問題なのであります。これも御
承知の
通り現在
日本では、遊興飲食税という二〇%にも上る非常に高額の税金を
ホテルの中における宿泊飲食に課しておりますが、この点は
坪内委員も御
承知の
通り、外国におきましてもある程度滞在税のごときものを課しておるところはございますが、それもせいぜい三%とかあるいは二%というふうな低額のものであります。しかもこういうものを課しておる場合には、
目的税——ヨーロツパ等では大体
目的税にな
つておるのであります。
日本では税率といたしましては二〇%、もちろん府県によりましては実際はこれよりも低い税率を課してはおりますが、全国を平均いたしまして大体一〇%以上のものをと
つておるように思われるのであります。こういう点がやはり
ホテルの
料金をある程度高くしておるということにもな
つておると思うのであります。
第三は、御
承知の
通り日本におきます
一流ホテルのほとんどすべてのものは、進駐軍に接収せられてお
つたわけであります。そのために
ホテル施設、特に東京、こういうふうな場所におきます
ホテルは、絶対数が非常に不足してお
つたわけであります。その結果、一部におきましては実際はもう少し安くできると思うのでありますが、高くしても幾らでもお客が来るというようなことで、需要と供給の
関係である程度高くな
つてお
つたというふうな部分もあるのではないかと私は思
つておるのであります。最近
相当数の
ホテルが返
つて参りまして、そして古い
ホテルですでに償却も相当に済んでしま
つておるような
ホテルにおきましては、終戦後できました
ホテルに比べまして、かなり安い
料金でや
つておる実情であります。とにかくこうい
つたホテル施設の絶対的な不足、こういうことがやはり従来
ホテル料金を相当高くしてお
つた一つの
原因ではないかと私は思うのであります。それではこれに対してどういうふうな方策をとるかということでありますが、結局一つ一つを片づけて行くよりしかたがないわけであります。まず第一の資金の問題についても、これは経済政策の全般といたしまして、もう少し
長期低利の資金の供給ができなければならぬわけでありますが、その方は今後に譲るといたしましても、もう少し資金の供給が円滑に行くようにわれわれも努力しなければいけないと思うのであります。御
承知のように昨年の秋から、
設備資金の抑制というような大きな方針が出て参りまして、われわれも非常に困
つてお
つたのでありますが、最近は少し行き過ぎておりまして、幾分緩和するというような方向に向
つておりますので、従来や
つておりましたような融資あつせんをさらに強化して行きたい、こういうふうに存じております。
それから次の税制の遊興飲食税を引下げるというような問題につきましては、国会
方面でも地方税法の改正を御検討にな
つておるやに聞いておりますが、これはわれわれの
立場からすればぜひお願いいたしたいと思うのであります。最近とりました一つの措置といたしましては、
登録ホテルにおきます
外客の宿泊と飲食に対します遊興飲食税を、一般の税率の五割減にするということを
実施いたしました。これは地方財政
委員会から各都道府県に通牒いたしまして、大体四月一日から各府県とも
実施するようにいたしておるのであります。具体的にはたしてどういうふうな税率にするかということは、まだ
実施早々で判明いたしておりませんが、現在実際に
適用しておる税率の大体五割減、こういう趣旨で各都道府県に通牒を出しておるのであります。それから御
承知の
通りホテル整備法によりまして、固定資産税の軽減が
登録ホテルに対して
適用し得ることにな
つておるのであります。ところが実際の実績を見ますと、現在まで
ホテルの方で十五件、
登録旅館の方で六件だけ、固定資産税の軽減を見ておるのであります。ほかのものは現在まだ折衝中であります。近く軽減を見る予定のところもありますし、非常に難航をきわめておるところもあるのでありますが、これにつきまして直接折衝でうまく行かないようなところは、われわれも乗り出しまして、都道府県と折衝して解決して行きたい、こういうふうに存じておる次第であります。それからまた今度の改正
法案によりまして、さらに
登録ホテル及び
旅館に対します耐用年数を短縮するということを
実施いたしますので、この面でも幾分
ホテルの経営が楽になるのではないかと存じておる次第であります。
また先ほど申し上げました第三の、
ホテル施設の絶対的な不足につきましては、最近四月までに十の
ホテルが接収解除を見ました。二、三日前にはさらに六つばかり接収を解除するという発表がありました。この点につきましては、現在外務省を通じて
アメリカ側と折衝中でありまして、
アメリカ軍がほんとうに必要とする最小限度の
ホテル施設を提供するというような
考え方で、それ以外のものは原則として全部自由営業にいたしまして、一般観光客がとまれるようにするというふうな
考え方で進んでおるのであります。
向うの
事情が許します限り、逐次返還してもらうという方針で進んでおるのでございます。とりあえずそういうふうな方策を
実施いたしまして、できるだけ早く宿泊
料金を引下げて、そして一般
外客から
日本の
ホテル料金は世界一高いというふうな悪評を買うことのないようにいたしたいと存じておる次第でございます。