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1952-02-07 第13回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月七日(木曜日)     午後二時二十九分開議  出席委員    委員長 岡村利右衞門君    理事 黒澤富次郎君 理事 滿尾 君亮君    理事 山崎 岩男君 理事 淺沼稻次郎君       大澤嘉平治君    岡田 五郎君       尾崎 末吉君    片岡伊三郎君       關谷 勝利君    玉置 信一君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       江崎 一治君    石野 久男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         運 輸 大 臣 村上 義一君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     辻  章男君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      荒木茂久二君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君         海上保安庁長官 柳澤 米吉君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         事         (経理局長)  三木  正君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 二月六日  日田線全通促進請願(守島伍郎紹介)(第  四六七号)  沼宮内、一戸間路線こう配改良工事施行請願  (山本猛夫紹介)(第四六八号)  姫路、幡生間電化促進請願坂本實紹介)  (第四六九号)  尻屋港を避難港に指定及び修築請願山崎岩  男君紹介)(第四九七号)  金田一、久慈間鉄道敷設請願山本猛夫君紹  介)(第五〇〇号)  久慈修築工事促進請願山本猛夫紹介)  (第五〇一号)  橋場線雫石橋場間復活等に関する請願山本  猛夫紹介)(第五〇二号)  魚沼線復活促進請願田中角榮紹介)(第  五〇三号)  東支那海警備艦艇配備請願川村善八郎君  紹介)(第五三六号)  菅原神社地区藤阪簡易駅設置の請願(淺香忠  雄君紹介)(第五三七号)  高崎、直江津間電化促進請願(林百郎君紹  介)(第五三八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度運輸省及び国鉄関係予算に関す  る件  新造外航船腹増強に関する件     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き昭和二十七年度運輸省並び国鉄予算に関し質疑を続けます。質疑の通告がありますので順次これを許します。坪内八郎君。
  3. 坪内八郎

    坪内委員 私は国鉄関係並びに船舶局関係並びに自動車局関係の所管にわたりまして、お尋ねしてみたいと思うのであります。  第一に国鉄関係につきましては、昨日も議題となりました新設建設予算措置の問題並びに鉄道債券の件につきまして、十分質問したいつもりでおるのでありますが、今日はまだ大臣もお見えでないし、さらにまた大蔵大臣出席を求めて、十分尋ねてみようというようなことになつておるようでございまして、この点はあとに保留をしておきたいと思います。  次に自動車局関係について一、二お尋ねしたいと思うのであります。すなわち貨物運送による例の小型自動車、すなわち小型輸送関係について、その行政取締り基準というか、許認可基準がないと思うのでありますが、小型自動車による小型運送の件についてお尋ねをいたしたいのであります。元来この貨物輸送というものは、戦争中に例の軍の強力な強制によりまして、いわゆる企業合同をした。その後今日に至つておるわけでありますけれども、最近に至りまして特にいろいろな支障がある中でも、小型免許基準というか、取締り基準というものがある一定方針があつて、その方針内で取締られておる、そういうことで事業上につきましても、いろいろと支障を来しておるというようなことを、前前から聞いておつたのであります。その後この問題につきましては、中村局長事情は十分御承知通りと思うのでありますけれども、大体法律的には取締り車輛基準というものは規定がないのだ。これは出先陸運局長の裁断によつて、その土地事情によつて取締るのだというようなことでありましたので、昨年の九月ごろだつたと思いますが、時の牛島局長から通牒を出してもらつた各地陸運局長が、土地の状況、環境によつて、適当にこれを取締りするようにというような通牒まで出してもらつたのでありますけれども、その後そういつた局長意向が、どういうわけか徹底しないきらいがありますので、この際その点をお尋ねいたしますと同時に、大体東京などにおきましては、この小型自動車による貨物輸送は、十車輛をもつて一つ基準のように定められてあるそうでありますけれども、これをもう少し車輛を切り下げてもらうとか、何かそこに方法があるのじやないかと思うのであります。この点についてどういつた考えのもとに取締つておるのかどうか、局長の御答弁をまず承つて続行いたしたいと思います。
  4. 中村豊

    中村(豊)政府委員 ただいま御質問のありました小型自動車の問題は、お話のごとく免許基準というものによつて免許、許可をやつておるわけでございますけれども、これについては何台がいいかというような基準は、実はつくつておらないのでございます。しかしこれを陸運局長に委任すると同時に、お話のごとく各現地で実情合つたように、なるべく事が簡易に運ぶようにという通牒を出してあろのでございます。ところが実施模様を見ますると、お話のごとく多少地方によつては非常にかたく考えて、厳重な審査でやるために、なかなか思うように事が運ばないという事情がないでもないと思うのであります。そこでそれならばそれをできるだけ敏速に処理し、なるべく申請人の希望に沿うようにという問題でございますが、この問題につきましては小型自動車でもやはり自動車でございまして、近代的な機械を備えて重要な物資輸送をやるのでございますから、免許制度のもとに基準に適合するものでなければ認めるわけに行かない。しかしその規模をどうするかの問題でございます。ただ道路運送法ではいろいろと、運賃を守らなければいけないとか、事業の設備をよくしなければいけないとか、あるいは賠償の責任を十分保証するものでなければいけないとか、報告を出さなければいけないとか、いろいろの義務要望しておるのであります。そのようなもろもろの義務を十分履行して、荷主、公衆に十分な満足を与えるために、やはり一定の適正な規模を持つているものでなければどうしてもいけないのである、かように思いまして、何でもかんでも、一台でも何台でもどんどん許してしまえということには、なかなかに行きかねるのではないかと思うのであります。むしろ実際仕事を早く運ぶためには、適正な規模というものが一体どのくらいであるかということを、ある程度内部の事務処理上のものさしとして持つた方がいいじやないかというふうに、最近われわれは考えているわけでございまして、何とか近いうちにそういうことについて考えをまとめて、しつかりした考えを持つてできるだけ迅速に事案を処理するようにいたしたい、かように考えているわけでございます。
  5. 坪内八郎

    坪内委員 お話内容よくわかりました。そこで監督官庁といたしましてもいろいろな事情がございましようし、さらにまた自動車業者の面からいろいろな事情があるものと思つております。ただいま局長お話で、これを一車輛、二車輛にしておくということは、いろいろ運送上に困るというような話も今のお話でわかりますけれども業者の話を聞くと、大体戰前は一車であつても何ら支障なく運営されたということを聞いたのでありますが、いずれにいたしましても、この問題は前々の国会からも議題なつた問題でございますので、新局長になられた中村局長に適当に処置をしていただきたいと思うのでありますが、この際そういつた根拠、基準というものを、少し切り下げるというような御意思がありますかどうか、その点お伺いいたしたい。
  6. 中村豊

    中村(豊)政府委員 今ただちに切り下げるということを申し上げますことは、少し無理だと思うのでありますが、現在盛んにそういう関係の資料をいろいろ研究しまして、何とか早くこの問題を解決いたしたい、かように思つておりますので、もうしばらく研究さしていただきたい。
  7. 坪内八郎

    坪内委員 それでは適当の機会にすみやかに、この問題の善処策を講じていただくように要望いたしておきます。  次にこの出先陸運局並びに陸運事務所自動車取締り関係についての問題でありますが、すでに御承知だろうと思いますが、かつて自動車取締り行政といいましようか、行政事務警察が扱つている時分は、そういつた矛盾は比較的少かつたけれども、最近に至つて陸運局なり、あるいは陸運事務所が、そういつた業者営業上の取締りをするようになつて、非常に取締り行政上いろいろの問題が惹起こして、取締り上困るという問題を聞いているのであります。その問題につきましては御承知と思いまするが、たとえば自家用トラツク営業行為をした、そういうときに出先陸運局係官が、この自動車ストツプを命じて、実際の犯罪を捜査するというようなことについては、非常に重大な支障があるのだというようなことを、いろいろ聞いているわけであります。この点につきましては自動車行政取締り上、重大な問題じやないかと思うのでありますが、こういつた点について局長の御意見を一応承つておきたいと思います。
  8. 中村豊

    中村(豊)政府委員 法律はあくまでも遵守すべきものでありますから、自家用自動車法律違反をして営業類似行為をやるということについては、取締りを徹底しなければいけないと思つております。ただその場合にも実情に即した取締りが必要でございますから、たまたま起るようなほんとうにやむを得ないような、法律でもある程度認めておるような事例についてまでこれを糾明するということは、もちろん避けなければいけないと思うのでございます。さような取締りをする場合に、昔は警察であつたら、取締り道路上で車をとめてやるような方法ができましたから、非常にやりやすかつた。ところが現在は運輸省系統であるから、その点については困難であるということは御指摘の通りでございますけれども、これはあくまでもおのおの権限の配分がございますので、それを尊重し、しかもこれを協力し合つてやるということで、警察関係とも十分話をいたしておりますので、現に今まで行われた取締りでも、いつも警察官協力を得て、道路上の停車を警察官に出てしてもらう。そこで陸運局関係者が調べる。かようなことをやつておりますので、協力さえ十分に行われればごうもさしつかえない、かように存じております。
  9. 坪内八郎

    坪内委員 お話はよくわかりますが、大体そういつた場合は実際取締りをするというときに、警察協力を求めて取締り道路上で行うということのようでありますが、実際問題として陸運事務所係官なりあるいは陸運局方々が、そういつた営業上の違反をしたからということでストツプを命じて、これを取調べるということはできないらしい。そういうことにつけ込んでいろいろ業者違反をなすというのが現状でありますが、その場合に陸運事務所なり、そういつたところの係官が、現行犯としてこれを摘発して、司法処分に移すような場合、警察に報告してやるのだというように聞いておりますけれども、実際問題としては今日警察事務も非常に輻湊をきわめておるし、さらにまた警察と緊密に連絡をとつてやるとい、今ことはむずかしいと思います。実際上の取締りとしては、これは相当欠陥があるのでありますけれども、これを何らかの方法で是正する御意思がないかどうか、その点をもう一度お尋ねしておきたいと思います。
  10. 中村豊

    中村(豊)政府委員 取締りは必ずしも道路上でやるばかりでなしに、事業場でその事業に関する帳簿証票類、そういうものを調べることによつてもできますので、その事業場を臨検するということは現在でもできるわけであります。しかし何といつて道路上でやることが一番効果的であり、現行犯を押えることができるので、その点現在欠けておることはごもつともの次第であります。しかしこれはやはり道路交通取締りという面で、どうしても警察の分野でございますので、しいてそこにまで権限を及さずに、その点は警察関係協力して行くということで、十分目的は達すると思うのでございます。要は取締りをする意思があるかということによつてきまるのでありまして、そういうような強い意向を持つてつておる地方では、十分の効力を上げておるように聞いておるわけでございますから、今後もそのような考え方で進んで行きたい、かように思つております。
  11. 坪内八郎

    坪内委員 その点はよく了解するのでありますけれども、私が申すまでもなくこういつた貨物輸送というものは、いろいろ帳簿上の検査とか、あるいは車体検査とか、そういつた取締りも始終あると思いますけれども、実際は道路上でいろいろな検査、あるいは取締りをするというのが、ほとんど全部であろうと思うのであります。そういつた関係で、これは各県にわたつて全国的な重大な問題でありますので、十分慎重に考慮していただくことを要望しておきます。自動車局長に対しての質問はこれで終ります。  次に船舶局長お尋ねしたいと思いますが、その前に大臣総裁がお見えになつておりますので、要望を申し上げておきたいと思うのであります。私、新線建設予算の問題、さらにまた鉄道公債の問題につきまして、いろいろお尋ねをいたす予定にいたしておりましたところ、昨日以来この問題につきましては、あらゆる角度から慎重に検討を加えられておりますけれども、結局運輸省といたしましては、財源問題で大蔵省あるいは大蔵大臣考え方によるのだというようなことでありますので、大蔵大臣に近く当委員会に御出席願つて、真意をただそうということになつておるそうでありますから、この問題も次に移したいと思うのであります。しかしながらわれわれはこの問題を深刻に考えておりますので、この際われわれの全力をこの問題に集中して、何とか打開して行きたい、こういつた考え方を持つておりますから、運輸大臣並びに総裁においても、十分この問題を検討していただくように要望を申し上げておきます。  次に船舶局長お尋ねしたいのでありますが、それはモータしボート競走についてのことであります。このモーターボート競走は、私もその提案者の一人でありまして、衆参両院を通じて私が主として提案理由の説明に当つたのであります。これが昨年六月五日国会を通過いたしまして法律なつたことは、御承知通りであります。当時参議院の運輸委員であられた村上運輸大臣は、この問題についての内容は十分御承知のはずと思います。このモーターボート法案が通過した後におきまして、これの構成上の問題につきまして、全国的には全国連合競走会、各府県には各府県単一競走会ができて、いよいよモーターボート競争実施ができるように運んで来ましたその間のいろいろ実情につきまして、運輸省船舶局が主となつて努力されたことも、私は十分承知いたしておるのであります。この際運輸大臣におかれましても、その点の認識を深くしてくださいまして、今後生ずる事務的な処理ということについて——これは事務的な処理をしなければならぬ問題が多多ありますので、こういつた関係の事務的な処理を早急に善処していただくことを、強く要望いたすものであります。われわれの手許に「モーターボート競走実施に伴う施行者收入及び国庫納付金予想表」というのが配付されておりますが、どうも私これはふに落ちないのであります。その開催県というのは滋賀県、大阪府、兵庫県、福井県、三重県、愛知県、こういうことになつており、その納付金額が六千百二十九万円、こういうことになつている。ところが、私は現実にこういつたことについての県の実情どもかなり知つておるのでありますが、私の関係しておる長崎県におきましては、すでに三千万円近くの費用を捻出して競走場を完全につくり上げ、さらにまたモーターボートを六百万円近くで二十数隻購入し、選手も六十人ばかり養成して、いつでも競走実施できるように相なつておるのであります。しかるにこの納付金予想表を見ると、全国で一番進んでいる長崎予想は何ら掲載されないで、まだ遅々として進んでいないようなところの予想が出ているので、これはまつた予想に反した予想表ではないかと考えているのでありますが、この点一体どうなつたのか、局長お尋ねしてみたいのであります。
  12. 甘利昂一

    甘利政府委員 差上げました収支予想表は、今後ボート競走をやつた場合に、比較的收入も確実に、しかも多額に上るだろうと思おれる数箇所を仮定してあげた数字でございまして、実際の收入といたしましては、おそらくそれの二倍なり三倍くらい上るではないか、こういうふうに考えております。今お話のありました大村競走場のことについては、すでに御承知だと思いますが、一ぺん試運転のようなことをやりましたが、いろいろエンジンの故障や何かで、あまり芳ばしくなかつたものですから、目下ボート並びにそのエンジン整備に、連合会をして尽力さしているわけでありまして、ボートの数においてもまだ幾分不足しましようし、特に前回失敗終つた原因発動機の不備という点にあり、しかもこれはまだ連合会ができる前にいろいろ準備された関係で、その規格その他についても、今から考えますといろいろ異論があるではないかと思いますので、目下発動機整備及びボートの数の増強についても、連合会がいろいろ尽力いたしております。従つてほんとう競走を開始するときまでには、これが十分間に合うのじやないかと思います。実際問題としてやれる場合には、さして支障がないではないか、こういうふうに考えております。特に三月末までにやつてもらいたいという要望ぶありますので、これはいろいろな関係でせかしてはおりますが、あるいは四月に入るじやないかというふうにも考えております。大村競走場収支のうちから除外したのは、大村について決して悲観的の気持を持つているのではなく、むしろ全般から見まして、今後競走が最も盛んに行われるであろうと思われるような土地を主として対象にしまして出した数字であります。それ以外にも相当の收入があるという点から見まして、大村について別段他意あつたわけではありませんから、その点御了承を願いたいと思います。
  13. 坪内八郎

    坪内委員 このモーターボート競走法のことにつきましては、むしろ私が局長よりも事情はよく承知いたしておるような点もあるわけでありますが、ただ競走実施につきましては、運輸大臣並びにそれぞれの監督関係にある皆様方の強力な促進がなければ、なかなかこれは実施可能ということには行かないのであります。たとえば私ども国会にこの提案者の一人として説明申し上げたときにも、これは調査がやや不十分で、国会委員諸君にまことに申訳ないと思つておるのでありますけれども、大体モーターボートエンジンなり、あるいはモーターボートをつくるメーカー生産能力が現在ないというような状態、すなわちエンジンの十か十五ぐらいはできるかもしれないが、五十とか百とかは、現在においては生産能力がない。そういうところに持つて来て、こういつた計画を立てて、モーターボートは百ないし八十ぐらいは使つてやるというような理想論を、監督の立場にある運輸省関係の方方は持つておられるようでありますが、現在そういつたモーターボートエンジンなり、ボートをつくるメーカーがいないという現状でありますので、そういう点につきましては今後どういうふうに考えて、完全なるモーターボート競走をやつて行こうというお考えであるか、この点もお尋ねいたします。
  14. 甘利昂一

    甘利政府委員 モーターボート及びエンジン製造能力については、私は十分あると考えております。ただその性能について、従来こういう競走用ボートがあまりできておりません。やつてアマチュア用レースが多かつたものですから、こういう勝船券を買つてやるようなレースに使うエンジンは、今まで経験が少かつたという点で非常に懸念しておつたのでありますが、その後いろいろ調査し、あるいは研究した結果、ある程度の制限をつけた競走はできるのじやないかという結論に達しましたので、今御心配の点は、大してわれわれは心配してないのであります。ただ一番問題になりますのは、自転車やオート・レースと違いまして、すでに自転車なり、オートバイがあるのではなくて、これからそういうものをつくつてやる点において、資金的に非常に困つております。しかも連合会ができて早々でありますので、金も十分入つておりませんし、その面で目下連合会も大わらわになつて、ある一定の資金の獲得に奔走いたしておりますが、これも地方競走会及びその関係者協力を得まして、近近実現できるようになると思いますので、われわれは前途についてはそう心配はいたしておりません。また今計画された目標に従つて、少くとも四月には各地競走ができるように努力いたすつもりでおります。
  15. 坪内八郎

    坪内委員 このモーターボート競走実施にあたりましての計画なり方針は、よほど慎重に考え監督をしてもらおなければ、運輸省考えておるように、あるいは全国連合会考えておるように、なかなかスムーズに行かないという見通しを私は持つております。それについてはただいま私が申し上げましたように、モーターボートエンジンメーカー生産能力がないという現状さらにまた法律目的にもうたつてありますように、海事思想の普及とか、あるいはその他地方公共団体の財政に寄与するという面から行きましても、これはなかなか容易ならぬ問題でありまして、一つ競走場をつくるにしましても数千万円の金がかかる。それには起債を許さないという現状であるし、さらにまた運輸省は百隻ぐらいのモーターボートでスタートするのだという理想論も言われておりますけれども、そういつた金は現在地方公共団体にはないという現状なのであります。そこで私ども考えまするには、運輸省考えておるようなことは、理想論としてはいいかもしれないが、この際モーターボート百隻とか二百隻とかいうことは、エンジンにも関係があることだし、さらに財源的にも非常に大きな問題でもあるし、さらに、ほんとうモーターボート競走をする選手が、自分エンジンなり、モーターボート自分で持つて、それに乗つて競走をするのが完全な行き方であるし、また各県とも競走会がチエンジをして、選手も交代する、あるいはモーターボートもお互いに入り乱れて競走すれば、私はりつぱに理想通りに行くのではないかと考えておるのであります。かつての競輪にいたしましても、最初四回なり五回なりは各県とも赤字を出して、その後全国的に競走実施ということになつて採算が伴うようになつて来たので、この際監督側にある運輸省としては、最初から理想案で臨むことでなくして、なるべく少い費用で、そういつた予算をあまりかけないように、これを徐々に啓蒙して行くことが、考えなくちやならない重大なことではないかと思うのであります。しかるに運輸省のいろいろの方と折衝してみますと、係の方々の頭はまつたく理想的のことばかり考えて、現実にうといようなことを申されますが、この際はそういつた点も十分勘案して、徐々に育成して行くという方向に持つて行かなければ、本年は予想表では、六千百二十九万円の納付金があるような計画になつておりますが、ひよつとしたらこのモーターボート競走はなかなか実現は困難ではないかというふうに考えられる点もあります。私ども提案者の一人で責任がありますので、広競走実施するにあたりまして、競走会並びに全国連合会からそれぞれの関係書類を運輸省へ提出いたしましたときには、ぜひこれをすみやかに事務処理をしていただきたい。でなければなかなか予定通り実施できないのではないかというふうに考えます。競輪にいたしましても、競輪を実施しながらいろいろな諸規程を進めて行つたということも通産省から聞いておるのでありまして、どうかそういつた点も十分勘案して、この際は徐々に進むような方向で、いろいろ監督あるいは指導、啓蒙をしていただきたいと考えておるのであります。この点を強く要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  16. 甘利昂一

    甘利政府委員 今坪内先生のおつしやつたことについては、われわれ監督官庁といたしまして、十分注意いたしてやります。特に事務当局が非常に理想的の目標を立てておるという点については、私も平素から気がついておりましたので、最小限度の費用レースができるような方法考えまして、すでにできておる競走場については、一刻も早く競走実施ができるようにとりはからいたいと考えております。
  17. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 江崎君。
  18. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 こまかい点はあとにいたしまして、この際大臣に重点的に御質問申し上げたいと思います。平和、安保両條約の発効後、われわれの住む日本が一体どうなるのかということについては、国民が重大な関心を持つております。特に再軍備論が大ぴらで叫ばれる今日になりますと、これと不可分の関係にある行政協定の実体をなす駐屯軍に対する便宜供与が、どの程度になされるかという問題は、これは非常に重大な問題だといわなければなりません。これは日本の労働者、農民を初め、日本の産業資本家までが関心を持つておる重大関心事であります。たとえば港湾につきましては、あの横浜をごらんになつてもわかりますように、ほとんど重要なところは今接収されております。これらはおそらく今度解除になるのではないかと、貿易業者は大きな希望を持つております。それからまた国鉄については、去年の十一月の末の統計によりましては、百八十九万トンにわたる滞貨があります金額にすると五百億に達するということであります。こういう国鉄の状態に対しまして、現在客車、貨車とも大体五、六パーセントの車輛が専用されておる。こういう状態でありますので、一般の国民はこの問題に非常に重大な関心を持つております。またこれは運輸省以外の所管でありますけれども、電通関係につきましても、有線電信、長距離電話の大体三〇%が、警察及び進駐軍関係に接収されておる。その関係でわれわれが遠距離通話をやろうと思つても、なかなか通じません。行つた方が早い。これが実情であります。また無線についてはどうかというと、あのアトランテイツク・シティにおいて国際的に電波の割当をした。これは日本が非常に身分不相応な電波周波数をもらつたわけです。ところがこれも大部分同様な関係にあります。そのために漁船関係は通信周波数の少いことと、それから割当の時間の少いことで、非常に困難を感じております。こういう人たちから見ると、今後この両條約が発効した場合にどうなるかということについて、非常に大きな関心を持つておるということは、けだし当然でありましよう。そこでこの米軍駐屯軍に対する便宜供与について、運輸省関係についてはどういう計画を持つておられるのかということを、詳しく運輸大臣からお伺いしたいと思うのであります。ある一説によりますと、運輸省内ではこの便宜供与の案が大体でき上つておるということも聞き及んでおりますが、その点どうぞ腹蔵なくお話を願いたいと考えております。
  19. 村上義一

    村上国務大臣 平和條約発行後、駐屯軍にしての便宜供与ということがどういうことになるか、これは国民あらゆる階層にとりまして重大な問題であるという今のお説、まことにお示しの通であります。ただ今運輸省内において、どういう程度の便宜供与をなすべきかという希望、具体案ができておるやに聞くというお話でありますが、実は何もそれはできておらないのであります。ただ電話問題とか、お話のそういう他官省の問題は別といたしまして、国鉄の関係にしましても、また港湾関係にいたしましても、さらに飛行場関係にいたしましても、運輸省所管として相当重大な関係があるのであります。これは講和発効と同時にすべて一旦は全部解放せられるという建前をとることは明瞭だと思うのでありますしかる上に安全保障條約の見地から、いかに便宜を供与するかということは、まさに行政協定の範疇に属することでありまして、今外務省が中心になつて交渉をしておられるのでありまして、交渉過程というよりも、まだ交渉の緒についたという程度であると思うのであります。まだ私としましてもその成行きにつきまして、何ら聞くところがないのであります。自分も同じく重大関心を持つておりますので、なるべく早い機会にときどき経過を聞きたいと考えておるのでますが、今までのところはそう困難はなしにスームズに行くという予想であるということだけは聞いておりますけれども、具体的の問題については何らまだ耳にいたさないのであります。
  20. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 総司令部におきましても、この両條約発効に備えまして、着々とその準備をし、日本側に権限を委譲するものは委譲しておるのであります。これに対して日本側の受入れ態勢が、いまだ海のものとも山のものともわからぬということは、今日受取れません。そういうことだつたら、日本の国の政治はとうていやつて行けないと思うのです。今の御答弁私はそのまま受取るわけには行きませんが、しかし一歩譲りまして、今の大臣お話を承つたとしましても、大臣がこの問題について運輸省所管の港湾であるとか、国鉄であるとか、航空関係、あるいはまた気象関係、あるいは海上保安庁の問題について、どういう具体的なお考えを持つておられるか、それについて御説明を願いたいと思います。
  21. 村上義一

    村上国務大臣 お話ごもつともしごくであります。われわれとしましては、実は完全にフリーにしてほしいという希望は持つておるのであります。しかしながら平和條約または安保條約の示すところによりまして、日本としましてもこれに協力する義務がある次第であります。どういう建前で日本の安全保障をやつてくれるかということがわかれば、見当もつかぬこともないと思いますけれども、何らそれについて承知いたさないのでありまして、従つてどういう程度になるだろうという見通しをつけるということが、実は私にはできないのであります。そんなことはないはずだと今仰せられるのは、それはごもつともでありますけれども、実際においてできる限り各港湾のバースその他倉庫等にしましても、完全に使用したい。またもし協力するにしても、コマーシヤル・ベースに立つて協力することにしたいといつたような、抽象的な意見は述べておりますけれども、具体的にはまだここで申し上げられるような何ら知識は持たないのであります。これはひとつ了としていただきたいと思います。
  22. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 昨日玉置委員の御質問に対して、村上運輸大臣が重大な御回答をしておられると思うのであります。それは両條約発効に伴つて、マ・ラインの問題に関連して、今後この問題は重大な問題に発展する危険があるということを発言しておられます。この海上保安庁の問題については、これはこのときこそ武力がかなりものを言うのだという意味のことを言つておられたように記憶しておりますが、この御回答を聞きまして、私漂然としたわけです。このマツカーサー・ラインというものは、御存じの通り極東委員会できまつた協定であります。これが単独講和の結果非常に複雑な状態、微妙な状態になつております。そこで運輸大臣は一体このマッカーサー・ラインを突破して行くことを奨励されるのかあるいはまたこれ以内にとどまれという、そのためにこの巡視艇に武力が必要だとおつしやるのか、どつちかひとつはつきりこの際お述べを願いたいと考えます。
  23. 村上義一

    村上国務大臣 昨日申し上げましたことは、あるいは言葉が足りなくて誤解を来したかと思いまするが、私はきのうマッカーサー・ラインが解消せられたあかつきには、ということを申し上げました。いろいろなトラブルが起ることを憂慮するということを申し上げたのでありまして、これを突破して行くとか、そのために巡視艇が必要なんだとかいう意味を申し上げたのではないのであります。巡視艇の相当数をもつて、ある実力を備えなければならぬと申しましたのは、海上保安庁プロパーの仕事としまして密入国を防止せなければならぬ、また密貿易を防止せなければならぬ、さらに密漁業を取締らなければならぬというようなことが、コースト・ガードの使命であります。この使命を果して行くためには、ある程度の実力を持たなければならぬということを申し上げたのであります。そのために、来年度の予算で一部満たすことになつておる。私の見るところをもつてしますると、二十七年度の予算では、まだコースト・ガードの使命を果すのになお足りないと思つております。もう一段強化しないとその使命を果し得ないのではないかと、実は心配いたしておるのであります。何分一万マイルにわたる沿岸及びその海面を取締り、あるいは保護をするという必要があるものですから、相当の力を持たなければならぬと考えておる次第であります。
  24. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 このマツカーサー・ラインの問題は、もう現実の問題としてわれわれが処理しなければならぬ段階に立ち至つた考えるわけです。太平洋方面は、漁業協定によつてこの問題は実質的には解決せられましよう。ところが東支那海その他ソビエト方面のマツカーサー・ラインの問題は、非常な微妙な問題となつて、あとに残ることは間違いないのであります。これに対して運輸大臣は、このマッカーサー・ラインを越して行く船に対して海上保安庁に取締れという方針なのかこれを放任するつもりなのか、その点を明らかにしてもらいたいたいと思います。
  25. 村上義一

    村上国務大臣 マッカーサー・ラインを守らなければならぬという間は、その範囲内にとどまることであります。公海は平等であるということでありますから、それに順応して処理して行かなければならぬと思つております。
  26. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 大臣は巧みに話術をもつてのがれようとしておられるようであります。それでは通らぬ。ひとつ国民にわかるように話していただきたい。
  27. 村上義一

    村上国務大臣 話術でも何でもないのでありまして、今のところはそう申し上げるよりしかたがないのであります。どうぞあしからず……。
  28. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 両條約が現実に発効すれば一体どうなりますか。実際に海上保安庁に対して指令を出さなければならぬ立場におありになるわけです。どうなさいますか。
  29. 村上義一

    村上国務大臣 その点については、指示を受けました運輸大臣としては善処して行きたい、こう考えております。
  30. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 指示を受けろとおつしやいましたが、どちらから指示を受けますか。
  31. 村上義一

    村上国務大臣 これは日本の国策がきまり、政府の方針がきまるということで、要するに政府の指示です。私は一部であります。全部の意によつてきまつて行くと思うのであります。
  32. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 政府の指示とおつしやいますが、それの一分子をなしておられるわけです。所管の運輸大臣がこれに対して明確な所信がないことには、ほかの所管の大臣考えられません。運輸大臣としてどう考えておられますか。それをぜひお伺いをしたいわけです。
  33. 村上義一

    村上国務大臣 私は先刻申し上げた以外には、どうも御返事できないのでありまして、どうぞあしからず……。
  34. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 言わぬとおつしやれば、発言を強要するわけにも参りませんから、これくらいにしておきます。
  35. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 石野君。
  36. 石野久男

    ○石野委員 今マ・ラインの問題について、大臣が多くを語ることができないというようなお話でありましたが、最近のマ・ラインに対して、李承晩ラインというのが新しく出て来るというようなことを聞いております。講和條約の締結と関連して、この問題はわが国の将来の問題としてやはり重要だと思うのでありますが、これについて大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  37. 村上義一

    村上国務大臣 李承晩ラインと申しますが、宣言をせられたというニュースを受けけまして、当面の責任者外務省方面に聞いたのでありまするが、それによりますと、今疑問を持つておるので現に照会中である、こういうことを聞いておるのであります。まだ真否が私としてよくわかつておりません。
  38. 石野久男

    ○石野委員 今その真否がはつきりしないという話でありますが、われわれは今被占領国という立場にあつて、まだ條約が締結しない間は、占領されている側になつておると思うのであります。その場合、李承晩政権から要求されるものは、われわれにとつてはどういうふうに影響するかということについての大臣の所見をひとつ……。
  39. 村上義一

    村上国務大臣 今その要望がはつきりしておりませんので、私は何ともそれに対して意見を述べることはできないのであります。
  40. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 質問の途中でありますが、ただいま大蔵大臣出席され、時間が限定されておりますので、質問を許します。滿尾委員。
  41. 滿尾君亮

    滿尾委員 大蔵大臣の御出席をいただきましたので、鉄道の新線計画に関連いたしまして、御質問申し上げたいと思います。  昨日の当委員会におきまして、最も私どもが熱心に討議いたしました問題は、本年度の予算において、国鉄の新線計画に対してわずかに二十億円の資金だけしか認められぬ。それらの事情につきまして、いろいろ私ども運輸大臣に追究いたしたのでありまするが、その御答弁によりますると、大体において国家の財政計画の大局的見地から、まことにやむを得なかつたりという御答弁に、要旨は尽きるのであります。私どもは国家の財政計画の大局から見ましても、今日の段階においては国鉄の新線計画に、もう少し金を使うのが妥当と信じておるのでありまするが、大蔵大臣はどういう御見解をもちまして、この二十億円に限定せられるという判断をせられたのであるか。その経過なり理由を御説明いただきたいと思います。
  42. 池田勇人

    ○池田国務大臣 長い間新線計画をやめておつたのでありまするが、昭和二十六年度からある程度計画をされまして、来年度におきまして二十億円ということにいたしたのであります。われわれといたしましても、新線はできるだけ多く、また鉄道新線のみならず、非常に災害を受けまして悪くなつておる電話関係の方にも、相当の要求があつたのでありまするが、何分にも今の財政上、ことに国鉄の收入支出の方面から申しまして、補給にもいりますし、貨車の製造にもいりますし、そういうこつとを考えますと、なかなか新線の方にはまわらない。従いまして借金でやつたらどうかというので、実は資金運用部からの百十億円を鉄道の方にお貸ししてやる。これは新線ではございませんが、そういうふうなやり繰りで行つておるのであります。国鉄の会計が許せば、ふやすことにわれわれはやぶさかではございません。今の状況から申しますると、そういう新線に七十億も六十億も出すということはいかがなものかというので、国鉄当局とも話合いの上、二十億で決定いたしたわけでございます。
  43. 滿尾君亮

    滿尾委員 大蔵大臣の御説明をいただいたのでございまするが、私どもはまだ何となく納得せざる面がある。それは大臣の御説明の言葉から察しますと、国鉄の新線建設というものが、今日のわが国の客観情勢において持つておりまするその公共的性格に対する認識が大分至らない、至らないと言つては失礼でありまするが、大分認識に相違があるように考えるのであります。私どもは実はかように考えておるのでありまするが、国鉄はたまたま独立採算をとつておりまする企業体であるがゆえに、またその建設せられました新線が、国鉄の運営に帰属せしめられまするがゆえに、大臣はこの新線の建設を、新線それ自体の経済的性格に帰してお考えになつているようにうかがえたのでありまするが、私どもはむしろ今日の状態において国鉄が新線を建設いたしますることは、単に新線それ自体の持つ経済的性格、あるいは国鉄との関連というよりも、もつと視野を広げて、大きな見地から、この国鉄新線建設に公共的な性格を付与して実は考えておるのであります。なるほど新線の建設が非常に厖大なものであつて、さしあたりはそれ自体の経済的採算におきまして赤字であることは、これはいなめない事実でありまするが、それが非常に厖大なものであつて全国鉄の運営採算上に非常な圧迫を加えるということでございまするならば、これも程度問題でございまして、当然考えなければなりませんけれども、わずかに五十億や百億の新線建設の程度では、国鉄全体の経済を圧迫する程度は、非常に私は低いと考えますし、われわれがむしろ考えているのは、かような経済的性格よりも、国鉄の新線を建設いたしますることは、いわば最も改良せられた能率のいい道路だと考えておるのです。大蔵大臣は、公共事業費を道路の方に相当に多額に出しておられる、橋梁のかけかえに出すんだ予算書に書いてあります。ところが道路、橋梁をかけかえること、新線を建設いたしますことと、国の財政資金を使いますことにおきまして、形式的な分類は別として、それ自体実体的にお考えをいただいて、はたしてどれだけの差があるかということをわれわれは考えるのであります。ことに大臣の御認識をいただきたいことは、あるいは北海道等におきまして、冬季非常な降雪を見ます。そのときには一切の道路交通もトラツクも通わぬという状態が発生するのであります。かようなところにおきましては、ただ一つ鉄道だけが隔離せられましたところの村落なり町なりの生命をつなぐ唯一の交通機関になる、かように考えてみますると、新線の建設、残されたわが国の新線建設は、多分に道路の建設と同じ性格を持つている。たまたまそれは公共企業体の範疇に属せしめられておるがゆえに、その形式的理由をもつて、何となく鉄道のそろばんでやつたらいいじやないか、国の財政資金を使うのは例外だというような御認識があるように察したのでありますが、その点についての御見解をもう一ぺん御披瀝を願いたい。  さらに私は考えますることは、鉄道の建設自体に投ぜられる金は、大臣が力説しておられますところの資本の蓄積という見地から見まして、最もかつこうのものでないか、建設せられましたところの鉄道は、ただ単なる建設に終るのではない。日々国民経済に寄与する。これは百年の後に、千年の後に、ほとんど永久的性格を持つて国民経済に寄与するものでございまするから、私はかような意味におきましても、この新線建設に財政資金をこの際もう少し御投入になることがほんとうではないか、たまたま鉄道の公共企業体の傘下にあるがゆえに、その範疇でのみお考えをお練りになつていはせぬかということにつきまして、絶対的に実質的な御考慮を払つていただけば、またお考えが違うのではないかということを考える。ことに大臣お尋ねいたしたいことは、民間の資金をもつてしても、われわれは鉄道の建設を続行いたしたい、幸いにして日本国有鉄道法には、鉄道債券の発行を認めておるのであります。ところがこの法律ができましてから、ここに数年を見て、かように新線建設の希望熾烈なるものがあるにかかわらず、いまだかつてこの鉄道債券の発行というものがない。なぜこれをおとめになつておるのであるか。私はかように最もかつこうな資本蓄積の形態の事業に対して、鉄道債券の発行をおとめになるその理由が、よく理解できないのであります。ことに民間の方の声といたしましては、もし自分地方に鉄道の公債を出されるようなことがあれば、自分の方の建設のためには、相当の犠牲を負担してもよろしいという意向が、相当に強く出ておるのでありまするが、私は国の財政資金を大局から見て、いろいろな方面に御配当になりますにあたつて、鉄道建設が十分敬意を払われてしかるべき部門であることを確信しておるのでありますが、大臣の御見解を伺いたい。
  44. 池田勇人

    ○池田国務大臣 鉄道に対して認識が足りないというおしかりでございますが、滿尾さんは鉄道になかなかお詳しい方で、満尾さんほど詳しく知つておりませんが、国の台所を預かつております私といたしましては、各方面につきまして、できるだけの検討を加え、認識を深めておるのであります。しかし認識がありましたからといつても、金がない場合には、どうにもならないのでございます。私はその意味におきまして、千億余りの資金運用部資金のわけ方につきましても、相当留意してやつておる考えでございます。新線の二十億というのは、少な過ぎるとおつしやいますが、鉄道の方には先ほど申し上げましたように、預金部の方から百十億円を出しておるのであります。今の鉄道の状況から申しますると、何をおいても補修しなければならぬ点が多々あるのであります。そうして車輛が不足するのみならず、この車輛の分でも年数を越えたものが——これはあまり大きくは言われませんが、相当あるのであります。われわれは補修、そうして車輛増強、修繕、そうしてまた今の石炭事情等から申しまして、電化の方もやらなければならぬ、こういうことから考えまして、新線の方が少くなつておる。これは運輸大臣もそういうお気持だと思います。私もそういう気持なんです。もちろん日本の鉄道で、路線から申しますと、赤字の路線がほとんどでございます。東海、山陽、東北、幹線だけでもうけて、ほかは赤字だということは、よく承知しております。しかし私は赤字であつても、いわゆる産業開発の意味から、いろいろな点から徐々にこれをやつて行こうという考えで、ないからと申しては語弊があるかもわかりませんが、まあ二十億円程度で、昭和二十七年度はごがまん願いたいという気持でおるのであります。できましたならば将来におきましても、新線をふやしたいということは、われわれ自由党の最も念願するところでございますので、後年度におきましては、相当考えて行きたいと思つております。  次に鉄道公債が法制上認めておるのに、なぜ大蔵大臣は許さないか、こういうお話でありますが、大体私は今まで国債の発行なしに日本の財政経済をまかなつて行かなければいかぬ、こういうので国債発行は、私の就任いたしましてからこの方いたしておりません。ただ農地証券の場合と漁業証券の場合に、百七、八十億やつておるのであります。しかし資金の効率化と申しますか、あるいは資本の蓄積と申しまするか、その公債が民間から入つて来るものであれば、これはインフレになりませんので、新たに今度復興債券というものを発行いたしまして、そうして資金運用部の財源にしよう、こういう計画をいたしておるのであります。今何をおいても急がなければならぬのは、電源の開発——表題は電源の開発として六十億円の貯蓄債券を出すことにいたしております。鉄道の方でも、実際は新線もさることながら、電化も必要なんだ。将来をいつたら、私は電化の方が必要だと思う。電化といつたつて電気がない。こうなつて来ますので、重点的にはやはり電力の開発にうんと力を入れて行く。私は千億程度のものを見込んでおるのであります。そういうふうな状態でありますので、政府は新たに国債に相当する貯蓄債券を発行いたします。これによりまして、資金を集めて行く。鉄道の方で自分のところで金がいろから鉄道公債を出す。では電気通信省の方も、電話が非常にかかりにくいから、これを改めるのに電話公債を出す。それからいろいろなことを政府がまちまちにその部門部門で公債を発行して行くということは、金融市場あるいは公債市場に及ぼす影響はあまりよくない。そこで私は一にも二にも貯蓄債券一手で集めて行く。そしてまず電源に持つて行くべきだが、あるいはそれによつて——金に違いはないのでありますから、状況によつてはほかの預金部門を鉄道にまわすなり、あるいは国民金融公庫の方にまわすなり、あるいは電気通信の方にまわすなり、やはり国債の発行というものは一元的に行くべきが、今の金融情勢からいつたら必要であるのであります。そこで各省がまちまちに出すということは好ましくないというので、鉄道公債の発行をとめておる次第でございます。これは日本の経済がもつとしつかりしたものになりますれば、私は赤字公債による事業の拡張も否定するものではございません。今のところでは各省がまちまちに公債を発効なさることは、制度上は認めてあつても、実際面としてはとるべき策ではないのではないか、こう考えておる次第でございます。
  45. 滿尾君亮

    滿尾委員 大臣の御説明に対しまして、もう一言お伺いしたいのですが、私も大体大臣の意図せられるところはよくわかる。インフレと非常に悪戦苦闘してしつかりやつていただいておることも、よく認識しておるのでありますが、ただこの鉄道建設の面で大臣にもう一言言いたいことは結局われわれのねらつておるものは、ちようど道路の交通網というものがありますようなぐあいに、国有鉄道による鉄道交通網というものを完成することが、日本の国民経済の上において非常に必要だと思う。もしこれが私設鉄道であれば、まるい環状線を完成すると收入が減ります。しかし国有鉄道の場合には、国民経済に奉仕するのがその目的でございまするから、どうしても鉄道交通網というものをつくらなければならぬ。この網の値打というものは、一局部的な経済の採算を超越した大きなものであると思うのであります。結局日本の経済においては、あなたは電源開発が急務だとおつしやる、その通りであります。しかしながらそれに決してまさるとも劣らぬものは、私は津々浦々に至る鉄道交通網の完成だと思うのであります。それも一挙にはできませんから、やはり国家は継続して着々と計画的にこれを伸ばして行くほかはない。それにしては長年これだけセツト・アツプしたものを、二十億くらいのはした金でお考えいただいたのはどう考えてもこの面に対する大臣の御認識不足と申し上げるほかないと私は思うのであります。またこの面に投ぜられました金は、確かにりつぱな資本の蓄積であるし、他の公共事業費のあなたの御配分になりましたのと比べて、どうしてこれが劣るかということをわれわれは了解できない。ことに地方公共団体に対しましては、預金部の金を目当に相当な起債をお認めになる。それはなるほど病院も水道も大事には違いありません。しかしながら病院や水道と比べて、この新線建設の伸びて行く力、鉄道綱を完成する、その一環の持つ力というものを十分御認識をいただきたいように私は考える次第でありまするが、かようになりますると議論にわたりまするから、大臣のさらに深い御省慮をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  46. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 關谷君。
  47. 關谷勝利

    ○關谷委員 時間もないそうでありますので、きわめて簡単に大蔵大臣お尋ねをいたしたいと思います。  目下参議院で審議をせられておりますところの企業合理化促進法に対しまして、いろいろ事務当局等が折衡をいたしまして、この業種の中に新造船を入れることに対しまして目下折衝を続けておりまするが、非常に難航をきわめておる、こういうふうに漏れ聞いておるのでありますが、これは私たちは造船資金を蓄積する上におきましても、なおまた市中銀行からのこの海運業者の信用を高めます上におきましても、どうしても新造船を入れるべきものである、私たちはかように考えておるのであります。なおまた世界各国がこの海運業に対しましては、どの国におきましても、補助政策をとつておるのでありまするが、日本におきましては一切の補助政策をとつていない、こういうふうな点から考えまして、この企業合理化促進法に新造船をせめてでも入れて、それによつて多少の補いをさせたいというのが私たちの気持でありますが、大蔵大臣はどのように考えておられるか、御答弁をお伺いしたい。
  48. 池田勇人

    ○池田国務大臣 産業合理化法の適用を新船にまで拡張するかいなかという問題につきましては、なかなか難色があるのであります。もともとわれはそういうことを船にまで行くということは考えておりません。事務当局側の折衝では、船の中にある機械設備ということならばというふうな話でございましたが、それも私は適当でないという私見を持つておるのであります。それよりも、この海運業に対しまする補助政策ということは、産業合理化法の適用を受けるということよりも、今の耐用年数を短くして行くのが適当じやないか、私はこういう私見を持つております。しかしこの問題につきましてまだ運輸大臣と一度も話しておりませんので、今後運輸大臣と十分協議いたしまして、造船あるいは船舶方面への助成策を講じて行きたいと考えております。
  49. 關谷勝利

    ○關谷委員 今耐用年数を短縮して行くというふうな御答弁でありましたが、大蔵大臣はどの程度に耐用年数を短縮せられようとしておるのか、その点をお伺いしたい。
  50. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは新船の場合と新船でない分とを区別するのが適当でないかという気持を持つておるので、そういたしますと、新船の分をいつまでの新船といたすかという問題も起つて参ります。区別するがいいか、区別しないがいいかということは、議論があるところでありまするが、御承知通り船舶の耐用年数は大体二十年と相なつております。戦争中の戦標船につきましては、十七年くらいまで、あるいはもつと短かかつたかもしれません。そういうふうなんで、この船の耐用年数と申しますと、御承知通り実際は二十五年も三十年も持つ。しかしてその四年に一回の大修繕、検査のときの分は、必要経費として引いております。そういうところから見ますと、実をいつたら二十年でも相当短い。これは定額法によるか定率法によるかはまかしておりまするが、これを相当程度に短くしまして、定率法によるということになりますると、今は非常にもうかつているときでございまするから、非常に助かるのじやないか、こういうので、耐用年数の短縮によつての助成を考えるべきであると私は思つておるのであります。
  51. 關谷勝利

    ○關谷委員 この企業合理化促進法に入れるか入れないかというふうなことで、参議院方面でも非常に大きな関心をもつて目下論議をせられておるのであります。いずれにいたしましても、私たちの希望いたしまするところは、造船資金というものが十分にできて、船舶の増強が急速に行い得る方向に大蔵大臣に導いていただかなければならないのでありまして、こういうふうな方途に関しまして、この企業合理化促進法の審議期間ももう余すところ二、三日である、こういうふうになつておりますので、これの審議期間中に、運輸大臣大蔵大臣とが協議をせられまして、この新造船を入れないということになりますと、それに対してはどうするかというふうな、この根本方針をきめなければ、おそらく参議院ではこの法案正の審議が非常にむずかしくなるのではないか、こういうふうに考えておりますので、早急に両大臣が協議せられますることを希望いたしまして、私の質問を打切ります。
  52. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 大蔵大臣予算委員会で待つているそうですから、簡単にお願いします。石野君。
  53. 石野久男

    ○石野委員 大蔵大臣お尋ねいたします。先ほど政府貸付金が減らされたが、そのかわりに借入金として資金運用部から百十億の金が出ておるのだという大蔵大臣の答弁がありました。もつともそういうふうに出ておるのではありますが、本年度の国鉄の工事経費を見てみますと、約四百十五億、昨年度と比較いたしまして約六十億政府関係から来る資金が足りなくなつておるために、損益勘定から三百四億ほどの金が入つております。これは国鉄の損益勘定の無理がここに非常に出て来ておるのではないかということをわれわれは痛感するのでございます。別に国鉄の方からの資料をいただいておりますが、少くとも現に国鉄が直面している経営内容というものは、非常に大きな改良、改修をしなければならない老朽貨車等、いろいろな設備を持つてつて、そのために資金が相当額必要だということを言つております。その中で本年度の收入になつております約二千億というものは、相当大きなロードがかかつてこの收入が出て来るものであつて、しかも昨年度の予定額であります約千七百億というものに、四百億近いものがふえておることは、国鉄の現状から考えると、非常に無理な予算の組み方がされているのではないかと私は考えるのでありますが、蔵相はこの査定をするに際して、特にこういうふうに政府貸付金を減らすにあたつて、国鉄の会計内容というものに対して不安を感じていないのでありましようか、これははつきりこういうふうに遂行できるという自信に基いてなされておるかどうかということをまず伺つておきたい。
  54. 池田勇人

    ○池田国務大臣 工事費勘定に四百億余りを向けております。そのうち三百億ばかりが片方の会計から来ていることも承知しております。御質問の点は二千億の收入があるかないかというところでございますが、御承知通り昨年の十一月から料金あるいは貨物運賃、こういうものを引上げましたのが平年度化して来ますので、この程度の收入はあると私のみならず運輸大臣も確信を持つておられると信じております。
  55. 石野久男

    ○石野委員 今大臣及び運輸大臣もそういうふうに確信して、この予算を組まれたということを言われておるのでありますが、他面この国鉄から出ておりますいろいろの資料見ますと、非常に経営内部には脆弱な面がたくさん出ておるように見受けられるのでございます。そのためにおそらく年産計画といたしましては、この経費ではなかなか年度の資金計画はやつて行けないような事情が出て来て、補正予算に関連する経費の組みかえをしなければならないというような事情が出て来るのではないかということを、特に年度の国民経済の進んで行く形を見通して考えるのでありますが、そういう点については蔵相は今何も考えておりませんでしようか。
  56. 池田勇人

    ○池田国務大臣 大体ただいまのところこれでやつて行けると思つております。
  57. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 前回の当運輸委員会におきまして、商船管理委員会予算が少くなつたという説明が辻政府委員からあつたのですが、この商船管理委員会は近く発展的に解消するのだということでありますが、どういうように発展的な解消をするのか、その点をお伺いいたします。
  58. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 現在商船管理委員会のおもな使命は、アメリカより貸与されておりますLSTの運航に当るのがおもなる使命でございますが、このたび平和回復に伴いまして、ああいうふうな商船管理委員会というふうな政府機関でなくても、貸与船の運営はよろしいという話合いがついておりますので、近く民間の機関といたしまして運営機関が設立されるはずでございます。これがLSTの運航に当るということに相なつておる次第でございます。
  59. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 この商船管理委員会の今後の発展的解消と言われたその内容について、もつと詳しく政府部内では方針がきまつておるように聞いておりますが、どうですか。二月六日の朝日新聞にもその内容が詳しく出ておりましたが、もつと丁寧に説明してもらいたいと思います。
  60. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 ただいま御説明申し上げたのに対して、もつと丁寧にとおつしやられたのでございますが、大体骨子は先ほど申し上げましたように、連合軍としての商船管理の仕事がなくなりました関係上、商船管理委員会の必要がないということでございまして、今行つております主たる業務でありますLSTの運航の問題も、政府機関でなくてもよろしいという話がつきましたので、商船管理委員会の存続の必要がないということでございます。
  61. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 この商船管理委員会を解散するということはわかりますが、それをどういうようにするのかということについては説明がないようでありますが、この点はどうですか。
  62. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 発展的解消と申し上げたのは悪かつたのかも存じませんが、これは使命を終りましたので、単に整理いたしまして、実際問題といたしましてはおそらく新しい会社形態でLSTの運航を行うことに相なると思いますが、商船管理委員会の大多数の職員は、その新会社の職員として働いて行かれることに相なると予想しております。     〔委員長退席、黒澤委員長代理着席〕
  63. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 二月六日の朝日新聞の報ずるところによりますと、この商船管理委員会の解散したあと、この業務を引継ぐ会社といたしまして、民間の大体三十社くらいから共同出資によりまして、資本金三千万円から五千万円くらいのところで商船会社をつくる、そうしてアメリカから貸与されておるLSTを、そのままアメリカ駐屯軍のために使うのだというような意味の発表があつたのですが、政府はどうしてそう発表をされたのですか。
  64. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 政府としてはそういうことを発表したことはございません。
  65. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 LSTというようなああいう上陸用舟艇は、軍用以外にはほとんど使い道がない、非常に能率の悪い船であると思いますが、その点どうですか。
  66. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 LSTは今お話がございましたように、本来は軍の上陸用の舟艇でございますが、やはり船でございまして、これを軍の目的以外に使用できないということではないのでございます。能率は多少落ちますが、一般の貨物輸送にも従事し得る船でございます。
  67. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 この問題は後ほどに譲りまして、国鉄の予算についてお伺いしたいと思います。前会資料として配付されまして予算参考資料の第四表、ここに詳しい実行計画らしいものが載つておりますが、この点が非常に不明確だと思うのです。たとえば線路増設費の項目に田町、田端間の線路の増設ということは、われわれ常識で考えて必要ないように思うのですが、どういう点にこういう増設をされるのですか。
  68. 細田吉藏

    ○細田政府委員 お答えいたします。御承知のように田町、田端間は電車が京浜線と山手線が併用になつている区間でございまして、現在電車が非常に数がふえて参りました。戰前以上に省線電車が動いておりますが、あの区間だけが共用区間の単線になつておりますので、電車はこれ以上ふやすということはほとんど不可能なところまで入つております。現在ラツシユ・アワーには二分間隔で入つておりまして、東京の付近も御承知のようにビルディングも相当建つております。どんどん通勤の人間はふえつつありますが電車の増発はできないというようなかつこうになつておりまして、いわば日本で一番線路容量の詰まつているところでありまして、必要性につきましては、実質的に考えましても十分あると考えております。
  69. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 この予算表の書き方ですけれども、この車輛費につきましても、機関車十五輛、電車六十輛、内燃動車三十五輛、客車二百五十輛、貨車二千四百八十八輛、こうありまするが、この貨車につきましても、三十トン貨車を何ぼつくるか、二十トン貨車を何ぼつくるのか、十五トンあるいは十トン貨車を幾らつくるのかということが、明確になつておらぬと思うのです。滞貨の問題と関連しまして、小型の十トン、十五トン車が非常に要求が多いと思うのですが、これはどういう計画になつているのか。もつと詳しい実行計画を書いていただきたいと思うのです。この第四表の備考の欄を、もつと具体的に示していただきませんと、この予算を審議する上において、非常に困難を感じるのであります。次会までにどうぞこの詳しい資料を出していただきたいと思います。
  70. 細田吉藏

    ○細田政府委員 この貨車の二千四百八十八輛と書いてございますのは、十五トン車換算の車数でございます。従いまして三十トン車を全部つくることになれば、これが減ることになる。具体的な内容につきましては、まだいろいろ貨物の滞貨の状況、その他廃車を補充しなければいかぬ、そういうものとのにらみ合いで、内容についてはまだきまつておりません。論議いたしているところでございます。
  71. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 時間がないそうでありますから、私の質問は次会にいたします。
  72. 石野久男

    ○石野委員 あと時間も非常に詰められておるようでございますので、簡単にお伺いいたします。柳澤海上保安庁長官見えますので、昨日から海上保安庁の予算のことについていろいろお聞きしましたが、本年度は相当に経費もかさんでおりますので、まず海上保安庁の経費の中で、特に本年度、ちようど警察予備隊の装備が強化されると同じように、治安業務上装備の強化される点は、昨年と比較しましてどういう点が強化されますか。
  73. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海上保安庁の装備といいますか、拡張ざれる部門を申し上げますと、大体人間におきまして約六千人の増強をいたすことに相なつております。それからあとは昨日申し上げました通り燈台十八基が新設される、かようになつております。その他経費の面から申し上げますと、前年度に比較いたしましてふえております部門は、主として人間の増強による警備救難費の増強ということが、一番大きなものになつているかと思います。
  74. 石野久男

    ○石野委員 昨日の同僚議員の質問に対しまして、六千人の増強が行われて、それに伴う基地の増強等も考えたい、その場合基地の増強は、なるべく商業港をじやましないようにするつもりだというお話でございましたが、この商業港をじやましないということは、主としてどういうようなところをおもに墓地として増強して行く所存なんですか。
  75. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 商業港をじやませずに、なるべく既成の建物あるいは施設物のあるところを利用するという方向に向けて行きたいと思つております。従つて現在におきましては商港の中でも、そういう施設があるところならば利用すべきではないかと言つて、研究しているわけでございます。
  76. 石野久男

    ○石野委員 人員の増強が行われまして、特に船がそれぞれまた多くなるわけでございますけれども、それらのものが治安業務を正確に把握するために、おのずからやはりその船にいろいろな装備が必要になつて来ると思いますが、そういう点はどういうふうにかわつて来るか。
  77. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海上保安庁としましては、現在やつております業務が遂行できるようにして行きたい。でき得べくんばスピード等もできるだけ今の制限以内で十分できるようになればいいが、もしそれ以上の速度が必要ならば、それ以上の速力にしていただければけつこうだと思つて、その点については今研究中でございます。
  78. 石野久男

    ○石野委員 その速度を増すということだけに、今回の予算の中での装備の増強ということはとどまるのでございましようか。
  79. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 現在の予算面に盛つておりますものは、その程度にとどまるものと考えております。
  80. 石野久男

    ○石野委員 しばしば海上治安の面で、ただ速度だけでなくして、相当やはり密輸団とか密入国というような場合、兇器を持つているというようなことが政府筋から言われておりまして、そのために何らかの対策を考える必要があるというようなことは今考えていないのですか。
  81. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 その点につきましては、海上保安庁は昨日も申し上げました通り、人類愛の精神で進んで行くのでありまして、その目的の範囲内におきまして何らか必要であれば備えねばならぬと思いますが、その範囲を越えることは絶対ないと思います。
  82. 石野久男

    ○石野委員 先ほど問題になつておりましたマ・ラインの問題、特にこの線を警戒するということが、海上保安庁の今後の活動について相当重要な問題に、しかも国際的に微妙なものがあろうかと思うのでありまするが、これにつきまして現状では困難な点はないのでございましようか。
  83. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 現在におきましては、相当困難な問題がございます。まず第一に、船艇の数の不足ということがございます。第二に、現在におきましては巡視船の行動半径が約百海里に限られておるという点が、非常な問題でございます。
  84. 石野久男

    ○石野委員 そういう困難を克服するためには、ただ船をふやすということと、速度を伸ばすということ、早めるということだけで、現状はほかに対策は持つていないのですか。
  85. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 ただいま申し上げました通りに、速度をふやすこと及び船艇を少しふやすこと、これによりまして第一に申し上げました船艇の不足は、この予算が認めていただければ逐次解消して行くと思います。また百海里に制限されている点につきましては、今後許される範囲におきまして、哨戒区域が延ばし得ればけつこうだというふうに考えております。
  86. 石野久男

    ○石野委員 海上保安庁の活動については、ちようど陸における警察予備隊と同じように、日米安全保障協定の関係、特にアメリカの駐留軍との関係において、行動の何らかの関連性が現状では出て来ておるのでございましようか。
  87. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 現在におきましては、占領下にあります日本の政府といたしまして、そういう点につきましてはある程度の御指示をいただいております。ただいまお話になるような点については、何ら聞いておりません。
  88. 石野久男

    ○石野委員 講和條約が成立した後において、日米安全保障協定に基く諸関係は、やはり海上保安庁の方に影響があるものと思いまするが、それはどういうふうにして影響して来るのでありますか。
  89. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 この問題は相当大所高所の問題でございまして、われわれ一事務官では少し判断に苦しむところでございますが、われわれは与えられたる、国会においてきめられたる海上保安庁法に基きまして、この法によつて動くものでございまして、いかなるほかのあれにも動かされることはないと確信しております。
  90. 石野久男

    ○石野委員 事務官であるから、ちよつと答弁の範囲を越えるという話でありますから、それは大臣が来てからにいたします。別に人員の問題で、特に海上保安大学等に収容されておりまする、たとえば百二十名の学生さんの問題等について、これの身分的な諸関係というものは、どういうふうになつておるのでございますか。
  91. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海上保安大学の学生は、これは公務員でございます。従いまして入学しますときに、大学に入学する試験と、公務員の試験と兼ね合せまして、人事院においてこの試験を行つております。人事院で採用名簿を定員の五割増しというものを提示しまして、その提示された人員の範囲内で、われわれの方で選択をする、こういう採用の仕方をしております。
  92. 石野久男

    ○石野委員 この方々は卒業いたしますると、どういう関係になるのですか。
  93. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 卒業いたしますと、海上保安官になるわけであります。
  94. 石野久男

    ○石野委員 何か制約を受けるようなことはないのですか。たとえば何年間か保安庁に勤めなければならないとかというような、そういう関係は出て来ないのですか。
  95. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 現在はそういうことはございませんです。
  96. 石野久男

    ○石野委員 この海上保安関係の問題で、特に船を増強するという問題で、昨日のお話では約三百五十隻のところをへ年度内には百六十隻くらいはつくると言つておられましたが、いま一度ちよつと……。
  97. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 昨日申し上げました通り約三百六十隻くらい、五十トン以上の船が必要なのでございますが、そのうち現在持つております船の数が百六十何隻ということになつておりますので、差引きまして約百九十隻程度が今後あれば、海上保安の現在の業務を遂行するのにやや支障ない程度に行くのではないか。従つて約百九十隻というものを何年でつくるかということが問題でございますが、来年度でき得れば六、七十隻つくりたいというふうに考えております。
  98. 石野久男

    ○石野委員 今度ふやします船というものは、現在持つているものよりも相当大型になり、速度を増し、それからいろいろとまた別な新しい構想に基く装備等をつけるのでございますか。
  99. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 今度あれします船につきましては、現在におきましては、海上保安庁法で一定の制限をされておりますから、その制限を国会においてもしとつていただければ、そういうようなことは考えられますが、現在においてはそういうことは考えられないのでございます。     〔黒澤委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 石野久男

    ○石野委員 それではあと大臣が来るまで、海上保安庁の問題はちよつと何しまして、国鉄の関係でひとつお伺いしたいのでございますが、総裁にお聞きいたします。国鉄の特に新線建設の問題あるいは電化の問題等が、昨日から非常に委員会においても論議されまして、この新線建設及び電化の問題については、基本的に国鉄としてどういう考え方を持つているかということが、非常に重要なのだと思うのでございます。特に国鉄線が先ほど池田大蔵大臣が言つておりましたように、赤字もあるけれども云々というような、そういう考え方ではなしに、昨日も滿尾委員等がしばしば言つておりますように、国鉄の公共企業性というものを考えますと、当然新線建設なり、あるいは電化工事というものは、普遍的でなければならぬというように考えております。すなわち主として東海道線なら東海道線だけというような考え方ではなく、特に隧道が多いところとか、あるいは非常に路線の老朽化しておるところ等、いろいろそういう点を考えて普遍化しなければならぬというふうに考えますが、その点については、総裁はどういうふうにお考えになつておりますか。
  101. 長崎惣之助

    長崎説明員 お答え申し上げます。昨日も滿尾委員でございましたか、お答え申し上げましたが、私は公共企業体であるから、独立採算制であるからといつて、すぐそういう結論にはならないのでありまして、公共企業体というものは独立採算制だけが本質ではないのでありまして、公共の福祉、あるいは日本の経済の発展、産業の開発、開拓、あらゆる面とやはり密接な関係があるものと考えております。そういう次第でありますから、別にそろばんがとれなければやらぬのだとかというようなことではないのでありまして、先ほどもお話がございました電源の開発と申しましてもやはり同様でございますが、そういう意味合いにおいても、必ずしも目下の状況においてのそろばんということでなくて、もつと広い意味で、地域的にも広く立体的に考えて行く、また時間的にもただいまのことだけを考えずに、長い将来——昔から鉄道十年と申しますが、今日では十年ではものにならぬかもしれませんが、やはり時間をかけて行きますれば、相当な成績も上ることでありましようし、また上らなくても、場合によつてはやらなくてはならぬところもある、かように考えております。
  102. 石野久男

    ○石野委員 新線建設にしましても、電化の問題にしましても、本年度の予算的な面では、非常にわくのとり方が少いように思うのであります。先ほどの大蔵大臣に対しての私の質問に、大蔵大臣は、本年度は大体これで補正予算と追加予算を組まなくても、国鉄の予算は遂行できるものだというふうな見解を述べられておりましたが、国鉄としては、事業の量の関係等から、この予算でこのまま遂行できるという見通しを持つておりましようか、それとも、やはり追加は当然組まなければならぬという考え方を持つておるのではなかろうか、ざつくばらんのところをひとつ話していただきたい。
  103. 長崎惣之助

    長崎説明員 この予算に載せられてありまする数量の限度におきましては、何とかやつて行ける見込みであります。
  104. 石野久男

    ○石野委員 予算の面では何とかやつて行けるという。ところがこの予算自体が、非常にやりたいことをやれないという面がたくさんあるのだと思うのです。ことに国鉄の内部事情等を聞きますと、きのうも三木さんなどからいろいろな話を承りましたが、やはり設備等においては相当に老朽化しておつて、やりたいことはたくさんあるのだ、だけれども金がないのでやれないのだという話であつた。そういう面を考えると、この予算には相当に無理がある。これはもう少し政府出資金なり、あるいは資金運用部等の金がまわつて来れば、そういう不足しておる分、不十分なところを補うことができるのだと、私たち思うのであります。そこで電化の問題あるいは新線建設の問題でありますが、新線建設はきのうからしば言われておりますように、やはりもつと真剣にやつてもらわなければなりませんが、電化の問題だつてやはり同じだと思うのであります。この予算によりますると、電化設備費というのは、浜松、姫路間及び上野、高崎間の電化設備等に必要な経費として五十一億三十万円くらいの金が組まれておるわけなのであります。この電化の問題につきましては、従来からあちらこちらに問題がありまして、むしろ先物約束のような形がたびたびあつたと思うのであります。そういうような面に対しては、みんな削られてしまつておる。たとえばこれは別に選挙の問題とかなんとかいうのではありませんが、常磐線のごときにいたしましては、もう二十七年度から必ずやるのだということを、山崎運輸大臣の当時、しばしば当委員会において答弁をいただいておつたのであります。そういう問題が切られておりまするが、こういう問題については当局といたしましては、もう二十七年度としては考慮に入れていないのかどうか、その点について国鉄の御意向を承りたい。
  105. 長崎惣之助

    長崎説明員 私は山崎運輸大臣がどういう答弁をなさいましたか、詳しいことを承知いたしませんが、その後、これももうおそらく御承知だろうと思いますが、常磐線の電化をこれから先に進めて参りますには、あそこに磁気研究所というものがあるのでありまして、これに対する研究もいたさねばなりませんから、もう少し研究させていただきたいと思います。
  106. 石野久男

    ○石野委員 これは常磐線だけではないと思うのであります。たとえば山陰線のごとく、あの辺に墜道がたくさんあつて不自由をしているところなどでは、東海道線の電化も必要でありますが、それ以上に必要なものがあるのじやなかろうかと思います。私どもはやはり国の中央部、特に心臓部である東海道線だけを電化することによつてスピード・アツプをし、サービスもよくするということだけでは、全体としての国の運輸機構が麻痺してしまうではなかろうか、でこぼこができてかえつてぐあいが悪くなるのではなかろうか、心臓が強くなつて手足が動かなくなつたのではかたわになる。こういうように考えると、新線建設にしましても、あるいは電化の問題にしましても、もう少し末端の方に血の通うような方策がとられない限り、全体として動脈硬化になつてしまう危険が出て来るということを特に私は考えますので、この際二十七年度の予算にあとで追加してでもいいから、そういうことを考えていただけるかどうかということを——われわれは審議するのだが、当局の方でそういろ考えがあるかどうかということを、いま一度お聞きしておきたい。
  107. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの石野さんの御意見、まことにごもつともでございますが、ある意味合いにおきましては、東海道線というものは方々から、末端の血管から流れて来る最も太い線なんです。それをまず先にやつておかぬと、逆に言うと参つてしまうという点もあります。まあそんなことではないのですが、同時に東海道線を今やることは最も効果的なんです。ということは、あそこを貨物列車なりたくさん走つておりますので、今蒸気機関車をつくらなければならぬのがたくさんある。何輛か蒸気機関車をつくらなければならぬのですが、東海道線に電化をやりますと、東海道線そのものの能率が非常に上ると同時に、そこから蒸気機関車が浮いて来る。そういう関係もありまして、東海道線もまず順位に選んでおる。しかしながらお話のように墜道区間であるとか、そういうような場所も、私は逐次やつて行かなければならぬものだと思います。たとえば奥羽線の福島、米沢間のごときは終戦後にやつた、新しい国会で出したと思いますがやつておりますから、やはり墜道区間を全然やらないとかいうことでなく、スイッチ・バツクの不便を除くとか、煤煙の防止というようなことも考えてやつておるのであります。ただ今日の場合においてはなるべく効果的なものを選んで行きたい、そうして便宜を与えたい、何も東海道線をやるのは、スピードアツプして、煙をなくして、旅客に快適な感じを与えるだけのものではないのであります。
  108. 石野久男

    ○石野委員 総裁から別に言い訳は聞かなくてもいいのです。問題は東海道線を電化したならば、そこから蒸気機関車が出て来る、客車も浮いて来るということは言えますが、しかしそのことがかえつて地方では、雨漏り電車を残すことになつて来る、そういうことになるのだと思います。これは国鉄行政の上における不均衡さが、そこに端的に出て来るのでございまして、私はもう少しそういう面については——もちろん動脈としての東海道線を太くすることはけつこうなんであります。それは何も反対しません。しかしそれと同時に、均衡のとれた仕事をしなければならぬ。それにはやはり大蔵省等に対しての資金的な要求をしないではできないのでございますので、大蔵大臣等がこれはこれでできるのだと言つたらそれでようしゆうございますというような、そういう状態に国鉄の事情があるのかどうかということを伺いたい。国鉄はもつと困つておるはずだと聞いておるので、それを尋ねておるのですから、むしろ私の聞きたいのは言い訳ではなくて、今年中にでもそういうようなことに対する着想を持つて、実際に仕事をしていただけるような端緒をつくつていただけるかどうかという総裁意思を聞いておるわけです。
  109. 長崎惣之助

    長崎説明員 補正予算が出るか出ないかというような問題は、これは私機能を預かつておる者としては、資金がたくさんありまして何百億でも使つて、早く直して行きたいのですけれども、これはただ企業体の管理者としての希望でありまして、しかしながら国全体の要請をも考えなければなりませんから、これはやはり運輸大臣なり大蔵大臣なり御相談になつて、またわれわれの意のあるところは十分述べまして、そうして閣議なり政府の方針としてきめていただいたのを、最も能率よく運営するというのが私の責任だと心得ております。
  110. 石野久男

    ○石野委員 国鉄の予算については、この二千七億という收入を持つのには、相当に強い労働強化といいますか、私は国鉄経営全体としての無理をしなければならないだろうと思いますだけに、そういう点については相当積極的な御配慮をお願いしたいと思います。運輸大臣が参りましたので、運輸大臣お尋ねいたしますが、海上保安庁の問題でございます。海上保安庁の今年度の予算的な処置、あるいはこれから先の問題等について、特に海上保安庁の関係は、日米安全保障協定との関係においては、どういうふうになつて来るだろうかという点についての、運輸大臣の御意見をお聞かせ願いたい。
  111. 村上義一

    村上国務大臣 海上保安庁の機能の拡充につきましては、昨日来申し述べました通り、二十七年度の予算実施いたしましても、なおかつコースト・ガードとしての使命を果して行くのに、私は危惧の念を持つておるのであります。なおもう一階梯機能を強めなければ、海上保安庁のプロパーの使命を果し得ないのじやないかと考えておるような次第であります。その面に向つて、実際をも検討し、なお必要があるとするならば、なるべく早い機会に拡充をしたいという念願を持つておるのであります。今御指摘の安全保障條約の結果としてどうなるかというお尋ねでございますが、これは運輸大臣にも、今のところわからないと申し上げるよりほかしかたがないのであります。今日進歩しつつあります協定が、どういうぐあいに進むかということによつて、これは生じて来る問題であるのでありまして、せつかくのお尋ねでありますけれども、今のところ何ともお答えができません。
  112. 石野久男

    ○石野委員 運輸大臣は今のところ答えることができないということでございますが、しかしこの予算を審議し、この予算が成立するころには、おそらく日米安全保障條約に基く行政協定もできるのだろうと思うのでございます。従つてわれわれはやはりこの予算を審議するにあたつては、そのことをも一応考えて審議しなければならぬと思うのでございます。そこで問題になりまするのは、行政協定が成立した後において、海上保安庁の業務等が、ちようど警察予備隊と同じような形でなされるということになりまするならば、おそらくアメリカの駐留軍との関係が、そこにおのずから何らかの形で出て来るのじやなかろうかということをも、予想されるのであります。もしそういうことになつて参りますると、おのずからその関係において、海上保安庁の業務がまた規定されて来、あるいは要請が来ることになろうかと思うのでございまするが、もしそのような場合、海上保安庁はあくまでも海上保安庁の趣旨によつて、そういうものの要請にはこたえない、独自の行動をして行けるという御所存なのでございましようか。どうなのですか。
  113. 村上義一

    村上国務大臣 安全保障條約の関連上、協定が進んで来ますれば、それによつて日本としても相当なことをするように、必要が起つて来るかもしれぬと思います。これはただ私の想像であります。もしそういう必要がありますれば、これは二十七年度の現在御審議を願つておりまする予算とは別個に、予算が組まれるはずだと思うのです。今日の六百五十億、また五百六十億という二口のものがありまするが、この中でせられることと思うのであります。なお機構としまして、海上保安庁にその仕事をなすという、ともに海上保安庁をして、安全保障條約の結果のなすべきことをなさしめるかどうかということ、これまた未知の問題でありまして、私見としては、安全保障條約に基いて行うべきことは、海上保安庁とは性質が違つておるのじやないかと、実は考えるのです。従つて別個の機関で、できる限りなすべきであるという、私は私見を持つておるのであります。今日米国等におきましても、非常に完全なるコースト・ガードを持つております。しかし海軍とは全然別なのであります。そういう見地から、私今申したような私見を持つておるのであります。
  114. 石野久男

    ○石野委員 最近アメリカから駆逐艇か何かが、日本に貸与されるかどうかするというようなことがいわれておりますが、もしそういうようなものが参りましたときには、海上保安庁の所管内に入るということになると思うのでございますが、そうではございませんか。
  115. 村上義一

    村上国務大臣 今船舶を借り入れるという話が進んでおるのであります。これは海上保安庁のプロパーの仕事を遂行する機能を持たす考えであります。自分としてはそういう考えであります。
  116. 石野久男

    ○石野委員 そのことは結局私のお尋ねいたしました海上保安庁の所管内において、そのそれぞれの船が活動するということなのでございますか。
  117. 村上義一

    村上国務大臣 その通りであります。海上保安庁の固有の使命を果すために、多くの巡視艇その他を必要とします。しかるにこれらの船を新造しまするのには、非常に多くの資金を要します。せつかく借り得るものならば、借りたいという考えを持つてのことであります。
  118. 石野久男

    ○石野委員 その借用する船というのは、おそらくやはり駆逐艇のようなものでありましようから、それにはそれぞれ従来われわれが一つの武器と考えておりました大砲とか、あるいはその他いろいろなものが装備されておるものと思いまするが、どうなんでございましよう。
  119. 村上義一

    村上国務大臣 装備されておるかおらないかは、まだその話が進行中でありまして、はつきりしておらないのであります。但し昨日も申し述べました通り、海上治安の業務の方面におきましては、力を持つことが絶対に必要なんであります。従つてたとえばとまれといろ命令を出すにつきましても、旗を振つたり何かすることでは、意味をなさない場合が多いのであります。自然室砲を発射するとかいうようなことを必要とするのであります。
  120. 石野久男

    ○石野委員 今力ということを申されましたが、力というのはどういう形で現わされるものであるか、非常に重要な問題であると思うのでありますが、どういうことなんでございましようか。
  121. 村上義一

    村上国務大臣 ただいま申しました通りでありまして、ここに密貿易の船なりと認められる船がある、しかしながらスピードにおいても巡視船よりもさらにそれがスピーディーな船である場合には、要するに力がこちらは足りない、こういうことになります。また停船命令を出しても、旗による停船命令では応じないということも想像にかたくない、従つてそういう場合にはこれは大砲を持つ、もちろん口径は小さいものでありまするが、そういう音によつて命令するということが必要になつて来ることは、万国共通のものであると思うのであります。そういう力ということを申すのであります。
  122. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 関連してちよつと……。この力という言葉が出て、非常に私は重大のように考えるのですが、海上保安庁ができるときに、私どもの頭に一つ浮んでおりましたのは、日本海軍がなくなつた後にそのあとの役割をする。あるいは日本海軍の糸口にもなるのではなかろうかという心配を実は持つてつたものであります。ところが今お話を伺いますと、海上保安のためには力を持つことが必要である。その力とうことは具体的にいろいろなことがありましようが、そのことは海上保安庁の整備となつて現われて来ておると思うのであります。すなわち予算の上に、今回防衛費を組む、海上保安庁並びに警察予備隊の整備という形によつて現わて来ておると思うのであります。そのことが一体再軍備を意味するかどうかということで非常に議論になつておるのが、今議会の重点であろうと思うのであります。従いましてお伺いしたいのは、安全保障費というものが予算の中に含まれております。大蔵大臣の説明をもつていたしまするならば、これは警察予備隊及び海上保安隊の拡充のために使うのである、こういうことが言われておるのでありまするが、主管大臣としてその内容の説明ができれば承つておきたいと思うのであります。それからもう一つは、今海上保安庁の持つておる仕事全体を見れば、単なる密貿易あるいは密出国の人を取締るということよりかも、海上保安、ある意味から申しまするならば、海上における防衛的なものを含めておりはしないかと思うのであります。従いましてこういうような治安の重大なる任務を持つておるものが、運輸省の中にあるということに、私は一つの矛盾を感ずるのであります。この現在あるような仕事をやつておるといたしまするならば、当然私は日本の国において治安省のごときものができましてその中に吸収されて行くことが妥当ではなかろうかと思うのでありますが、一体こういうようなことについて、主管大臣としてはどういうお考えを持つておるのか伺つておきたいと思うのであります。
  123. 村上義一

    村上国務大臣 この海上保安庁の現在与えられておりまする使命というのは、先刻も申しました通りに、航海安全業務と海上治安業務の二つに大別できると思うのであります。航海安全業務の方は燈台、航路標識等の建設、保守、または水路、潮流あるいは海底の測量、また海図の製作でありますとか、航路を清掃してその啓開をする。啓開というのは航路安全宣言をしたり、また航路を安全なるものにするという意味でありまするが、航路の掃海をする。また船舶の検査をしたり、船員の試験をしたり、遭難救助をするということが、この航海安全業務に属すると考えるのであります。それから海上治安の業務の方は、先刻も申し述べました密貿易、密漁業の取締りをする。また海上の犯罪の予防、鎮圧をする。またわが漁船の保護をするとかいうようなことになると思うのであります。この業務を遂行しまするのは、とにかく広汎なる海面のことでありまして、相当大きい組織をもつてせなければ、使命の遂行は期し得られないのであつて、現在の港内艇は別といたしまして、巡視船が百六十四はいしかないというような現状においては、いわば穴だらけというていいのであります。その虚に乗ぜられて、取締りの徹底を期し得ないという現状であるのであります。そういう意味で二十七年度の予算を執行しましても、なお不足するのじやないかということを憂えておるような次第であります。今制度につきまして御意見がありました。これは御意見として伺つておきたいと思うのであります。これは今後の問題に属すると思うのであります。
  124. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 そこで海上治安の問題について一番問題になるのは密貿易とか、密というよりかも、人間の関係が問題になるのではなかろうかと思うのであります。これはあまり露骨な表現は私にはできないわけでありますから、これは御想像でよかろうと思うのでありますが、二つの対立する世界において、いかなる形においてその国内の治安が間接的に乱されておるか、しかも間接の原動力になつておるものは何であるかということになれば、おのずから頭に一つのものが描かれて来ると思うのであります。その仕事を相当この海上保安庁ではやつておられるのではなかろうかと思うのであります。従いましてそうだということになりますれば、表向きはいかようなことが言われましても、その中を貫くものはやはり治安的なものであり、こういうような島国の中において、日本の国内治安を維持するための大きな役割をやつておることは、疑うことのできない事実だと思うのであります。従いましてそういうようなものであれば、機構そのものとしては大きな立場から考えて行かなければならぬ。もちろん本来の仕事でありますところのいわゆる海上保安的な任務、このことについては私は運輸省でやつてしかるべきだとは思うのでありますが、それ以上の任務を、実は言うと言わざるとの間に果しておるのではないか、私はこう考えるのであります。その点でこの機構の問題について、もう一ぺん御答弁願いたいと思うのでありますが、安全保障費のことについては御答弁がありません。大蔵大臣はたしかこの問題については、参議院においては、想像で組んだというようなことを答弁されておつたようであります。よもや私は主管大臣が想像で組んだというようなことは言われないと思うのであります。安全保障費の中に組まれておる海上保安隊に関する費用は、一体いかように使われるものであるか、説明が願えれば幸いだと思うのであります。
  125. 村上義一

    村上国務大臣 航海保全の方は、昨日も申し述べましたごとく、二十六年度においては二十二億ほどであります。二十七年度も大体同様であります。海上治安の業務の方は、二十六年度は約三十二億ほどであります。これが二十七年度は六十七億くらいになると思います。なお詳細なことは保安庁の長官が参つておりますから、答弁をいたさせます。
  126. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海上保安庁の予算でございますが、大体海上保安庁の予算の中に警備救難関係は、昨年度におきまして二億八千七百万円、これが本庁経費の方で、地方におきまして三十一億七千百万円ということになつております。これが二十七年度におきましては、本庁経費としまして三億三千三百万円、地方におきまして六十七億千二百万円ということになりまして、約三十五億円の増加ということになつておるような次第であります。
  127. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 その費用はいわゆる海上保安庁の費用として組まれておるのでありまして、安全保障費の中に入つておる費用というものは、一体幾らあるかということを私は聞いておるのであります。問題は安全保障費というものは、警察予備隊並びに海上保安隊に使う費用であるということがいわれておるわけでありまするから私が今言つたのは、海上保安庁の拡充強化に対する費用であつて、この中に入つておるものとは別ものだと思うのであります。
  128. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海上保安庁の費用といたしまして、今申し上げた費用が両方合せまして、約七十億ということに相なつております。この七十億が大体海上の警備救難費というので、本庁と地方とで申し上げました。約七十億ほどの数字になりますが、この数字が安全保障費の中から出ました全部の数字でございます。
  129. 石野久男

    ○石野委員 今の柳澤長官の御答弁によりますと、七十億というものは安全保障諸費というものの中から出た金ですか、あらためて今一応これをお聞きしておきます。おそらく淺沼委員の質問になつたのは、安全保障諸費というのがある。それは大蔵大臣は想像で組んだものであると言つておる。それならば、その中にどれだけあるかという質問つたと思いますので、いま一度お伺いいたします。
  130. 村上義一

    村上国務大臣 今のお話の安全保障の費用ですね。これからは少しもまだきまつたものはありません。ここに掲げて今説明申しましたのは、海上保安庁プロパーの業務拡充に必要な経費だと申し上げた。お話の安全保障費という中の分は、まだ全然未定であります。
  131. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 これまた未定だということで予算を組んだんでは、これは非常な問題になろうと思うのです。私は片言をつかむわけではありませんが、予算を組むということになれば、やはり札がついておらなければならぬ。札なしで予算を組んで未定だということは、少し私は納得行かないのでありまして、その札をひとつ……。
  132. 村上義一

    村上国務大臣 未定という言葉に対して、たいへん疑義をお持ちになつたようですが、まだ運輸省としては全然関知しない点でありまして、お話のような事項については全然考えておらないのであります。
  133. 石野久男

    ○石野委員 先ほど運輸大臣から海上保安業務、特に海上治安の問題で、海上保安隊というか、海上保安庁の船隊というか、それぞれ力を持たなければならない。その力は淺沼委員から言われておりますように、それはおそらく防衛的なものを意味するものであろうというふうに考えるわけであります。先ほどそれを裏書きするように、力の発動する形としては、大砲も動かさなければならないということを運輸大臣は言つておられました。こういうふうになつて参りますと、おそらくこの海上保安隊の任務というものは、従来の海上保安庁の意図するものの域を越える段階に入つて行くものであろうと思うのであります。私の考えでは、おそらくこれは従来の観念の域を越えて行くものだというふうに考えるのでありますが、その点について運輸大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  134. 村上義一

    村上国務大臣 言葉が足りない、あるいは現がまずいために、いろいろ誤解を生じておると思うのでありますが、海上の治安業務といい、航海安全業務といい、すべて海上保安庁の生れ出たときから持つておる使命なのでありまして、そのプロパーの使命を果して行くために、二十七年度にこういう拡充をはかりたいという考えでありまして、お話のように一般治安の維持とかあるいは漸増、そういう言葉が行われておりますが、その意味の治安ということとは全然別問題である。先刻も申しました通り、多くの国が相当強い海軍というものを持つておりましても、コースト・ガード・システムをとつております国におきましては、みんなわが国の海上保安庁の使命と同じものを持つておるのでありまして、その点重ねて申し上げる次第であります。
  135. 石野久男

    ○石野委員 先ほど私の駆逐艇のようなものを所管の中に入れるかという質問については、そうだというお話がございました。そのことはこの予算の中には組まれていないと思うのでございます。おそらくそれは安全保障諸費とか、その他の防衛支出金等の中から出て来る金によつて、あるいは賃貸されるとかなんとかいう形が出て来るだろうと思います。従いましてそのことは日米安全保障協定の関連性のもとに出て来るのでありまして、従つてそれらのものが運輸大臣の所管内に入つて来るということについては、おそらく淺沼委員も疑義を提出しておりますように、領域を越えるものになつて来る。従つてそれは遂には治安省とかなんとかいうものの形になつて行くだろうと思うのでありまするが、そういうことについてあらためて運輸大臣の御所見を承りたいと思います。
  136. 村上義一

    村上国務大臣 お示しのような何は全然ないのでありまして、海上保安庁自体のプロパーの仕事を遂行して行くために、拡充を要するのであります。昨日も申し述べました通り、二十七年度においてこれだけの拡充をしていただいても、なおプロパーの仕事を完全に遂行するのは足りないのじやないかと憂えておるような次第であります。とにかく一方マイルに及ぶ海岸線及びその海岸の航海安全、または海上治安をやつて行くのにつきましては、相当の組織を要する次第であります。今陸上において述べられておりまする治安問題とは、全然これは意味が違つておるのであります。
  137. 石野久男

    ○石野委員 先ほども尋ねましたように、船舶が非常に不足しておる。そうしてその船舶はこれからあと百何十隻ですか、つくるという構想もあると聞いておるわけですが、そのほかに駆逐艇のようなものもつくれば、やはりそれも所管内に入れるということになりますれば、なぜこの海上保安庁の予算の中に予想されるそういうようなものの賃貸料とかなんとかいうものをとつていなかつたか。もしそれを予想しておるとすれば、あるいは予備費の形式か何かの形ででも、とつておく必要があつたのじやなかろうかと思うのでありますが、それをなぜ予算の中に組まなかつたか。
  138. 村上義一

    村上国務大臣 これは予算の中に装備その他ということでとつてあるのでありまして、まだ借りるということが交渉中に属しますので、はつきりその点は金額を明示することができない現状にあるのであります。
  139. 石野久男

    ○石野委員 先ほどから私は何べんも装備のことについて、保安庁長官のお話を聞いておりましたが、そのときの長官の御答弁では、もちろん新造するという意見はございました。しかしそれを借りるという意見はなかつたし、それから人員をふやす、あるいはそれに対する若干の装備があつたとしても、今私が聞いておるような駆逐艇というようなもの、特に砲を持つというような装備のことなどは、おそらく聞いてなかつたのであります。従つてやはりこの予算の中にそういうものがあるかないかということについて私は疑問を持つのですが、それは項目のどこのところに入つておるのですか。
  140. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 先ほどから装備というお話がございましたが、装備というのがどういう意味か存じませんが、装備という予算はこの中にないことと思います。
  141. 石野久男

    ○石野委員 今運輸大臣は装備等の予算として組んでおるという答弁をしておられたのです。
  142. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 この点につきましては、ただいま折衝中であると大臣が申された通りであります。それがもし借りることができますならば、それに対する賃貸の問題は、本予算の中にありますが、装備自身の問題についてはまだ何らこの予算には計上しておりません。
  143. 石野久男

    ○石野委員 だからその装備自体は別として、賃貸料等があつたときには、その経費はこの予算のどこから出るかということを今聞いている。
  144. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 この予算の全経費の中に——その賃貸料その他につきましては説明が間違いましたが、まだ決定しておりませんので、予算に載つておらないのではないかと思います。
  145. 石野久男

    ○石野委員 おそらくそれは将来この安全保障諸費というものの中から、出て来るものであろうと想像されるのであります。おそらくそういう想像で大蔵大臣予算を組んだに違いないと思う。今までいろいろとお話を、特に運輸大臣の答弁を聞いて参りますと、近い将来行政協定が成立すると、そのまま海上保安庁の任務というものは、おそらく従来の任務以外に、国家防衛というような形のものを持つて来るというふうに思われるのでございます。しかも運輸大臣は先ほどから海上保安庁プロパーの問題としてのことしか考えていないのだということを、しばしば申されておりますけれでも、実質的にはそれの所有する船舶等は、もう普通の船舶の領域を越えて、軍事的な意味にまで持つて来られるような形になつて来るのだというふうにわれわれは想像いたします。そういうことになりますと、これはいくら運転大臣がそうではない、あるいは岡崎国務相がどういうふうに言いましようとも、そういうことはやがて軍備というものにつながつて来るようにわれわれは思うのであります。それで軍備であるか軍備でないかという論争は、ここで私はいたしません。けれどもここで一言だけ村上運輸大臣にお聞きしておきたいのでございますが、皆さんが海上保安庁プロパーの任務によつて、そういうものを持つのだということを言われておりましても、実質的には軍備になるということになると、これは政治上非常に大きなあやまちを犯すことになろうかと思うのでございます。ことに憲法の問題等が非常に重要な問題になつておりますときに、また一般の国民諸君がそれを十分に理解しないときに、政府がそれは軍備ではないのだ、軍隊ではないのだ、こう言いながら、あるいは海軍がそこに再現されて来るような形をとつて来るということは、良心を持つておる政治家としてはとらないところである。ことに日本の再建というものを考えて行くときに、平和日本というものを考えるときには、それは特に慎重に考えなければならぬ問題だと思うのであります。私はそれは軍隊でないんだ、ただ海上保安庁それ自体の任務のためだということで、ずるずると軍備の形ができて行くということを非常におそれるのでございますが、村上運輸大臣といたしましては、そういうものが国民の知らないうちにできて行くということについて、政治家としての良心、そういう面からそれをどういうふうにお考えになるかということを、ここではつきり所管大臣としての御所見を聞いておきたいと思うのであります。
  146. 村上義一

    村上国務大臣 詳しいことは長官からも申し述べるはずでありますが、私繰返して申しております通り、海上保安庁の今日持つて生まれた使命というものが果して行くのには、現在のまた二十七年度の予算を執行しましても、なお足りないのではないかと思つておるのであります。今お示しのように、これが海軍になつて行くというような考えは、私は持つておらないということを繰返して申し上げておきたいと思います。
  147. 石野久男

    ○石野委員 海軍になつて行くという意思は、自分は持つていないというこを運輸大臣はしばしば申されますが、先ほどからのいろいろな質疑の中ではつきりしましたことは、おそらくやはり近い将来には駆逐艇のようなものが持たれることだけははつきりしておる。しかもこの予算の中には組んでいない。大蔵大臣は補正予算は組まないと言つておる。運輸大臣も補正予算は組まないと言つておる。それにもかかわらずここ二、三箇月のうちには、そういうものが来るのだということになれば、それはどこから出るかといえば、当然この年度予算の中で賃貸与されるわけだ。その賃貸料はどこから来る、おそらく安全保障諸費の中から組まれて来ることだろうと思うのであります。そうしますとこれは防衛関係費として、日米安全保障條約につながる経費として持たれて来るものなのだと思われるのであります。従つてこういう観点からいたしますと、私どもはこれはただ単に運輸省予算だけでないのである、こういうふうに考えて参ります。従つてこれは運輸大臣がいくら自分はそう考えないと言つても、予算的な措置の上では行政協定とのつながりを持ち、日米安全保障條約とのつながりを持つて来るということは、はつきり言えることじやないかと思うのであります。もしそれが違うとするならば運輸大臣はそういう駆逐艇とか何かが、近い将来において海上保安庁の中に編成されるということになつたときに、どういうような予算的処置によつてそれを処理されようとするのか、それをはつきりこの際明示していただきたい。
  148. 村上義一

    村上国務大臣 前刻来申し述べまするように、密航の場合におきましても、また密貿易の場合におきましても、これが相当武器を持つておるということは御承知通りだと思います。それに対応して行きますためには、やはりある程度の力を持たないと、海上保安庁の使命を果し得ない。船のスピードにしましても、こちらの巡視船のスピードよりも非常にスピーディーな船を持つておるという場合には、これは追つかけようもないということに相なります。そういうことを実は私は力というて申し上げておるのであります。今交渉が進んでおります船を借り得ました場合には、相当の費用もかかると思います。これは予備費等から支出もできると思うのであります。何らかの措置を大蔵大臣にとつてもらうべきだと考えておるのであります。
  149. 石野久男

    ○石野委員 たびたび同じことを運輸大臣は言つておられますが、要望される力というものが、軍備になるか、あるいは普通の海上保安庁の必要とする力であるかということの限界については、これはなかなか論のあるところだから、私としてはここで論をしない。問題はその力の裏づけとして現われて来るものが、予算的な処置の上において運輸省予算の中で持たれるか。それとも大蔵省の持つておる安全保障諸費の中から出て来るかというところに、非常に重要な分岐点があると、こういうふうに考えるのであります。従つてもしそれが運輸省予算の中で持たれるものならば、私は疑義は持つけれども、一応は了解します。しかしながらそれが安全保障諸費の中の経費として組まれて来るとするならば、これは当然日米安全保障條約の中につながるものであると見るのでありますが、そういう見方は間違つておりますか、私はその点を運輸大臣に御教示を願いたい。
  150. 村上義一

    村上国務大臣 前刻も申し上げました通りに、一般の予備費の中から支弁せられるであろうと思うのであります。
  151. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  152. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 速記を始めて。
  153. 關谷勝利

    ○關谷委員 先ほど私は船腹増強のための資本蓄積上、どうしても企業合理化促進法に新造船を入れてくれということを大蔵大臣質問したのでありますが、大蔵大臣といたしましては、耐用年数の短縮等の方法によつて考慮すると、こういうふうな答弁があつたのでありますが、そういたしましても、緊急差迫つておりますところの海運業者の資本蓄積のためには、早急に何らかの方法によりまして、その基金を造成せしめなければなりませんので、これを実現化いたしますることを促進する意味におきまして、決議案の動議を提出いたしたいと思います。  まず案文を朗読いたします。   新造外航船の増強に関する決議案   日本船舶による輸出入物資の輸送は、わが国経済自立上、国際収支改善の見地より、はたまた貿易促進上の不可決の要件である。すなわち外航船腹を増強し、わが国商船隊の整備をはかることこそ、わが国経済に課せられた喫緊の重要国策である。 しかるに現在に至るまで財政資金の援助のもとに、外航船腹の増強が行われて来たところであるが、新造資金面の制約を受け、いまだ目標到達にはるかに遠い現状であり、さらに将来を見わたすとき、財政資金はますます先細りの状況にあるため、今後はこれを多く期待し得ず、また一方今後の市中金融機関よりの借入は、すでにその限度に達し、今後その増加はきわめて困難であり、政府において計画せる昭和二十七年度三十万総トンの建造計画達成すら危惧せられている。従つて今後における新造資金確保のためには、海運会社をして自己資金の造成をせしめ、漸次財政資金等にたよるごとなく、自力建造の方向に進む方策をとることが喫緊であるが、目下国会において審議中の企業合理化促進法案が成立実施の際同法を新造外航船に適用することは、この目的達成のために貢献するところきわめて大である。   現在欧米各国においては、いずれも優秀船整備のため多くの保護政策を行つているが、税法上においても取得後初年度五〇%ないし一〇〇%の償却を認めるの方途を講じている。よつて委員会は、海運業の自己資金の造成をはかることにより、外航船腹の増強に資するため、同法を新造外航船に適用することが、きわめて必要なりと認める。もしこれが困難の場合は、海運業者の自己資金造成につき、右と同等の効果をもたらすべき耐用年数の大幅短縮等、税法上の特別の措置を講ずべきである。 右決議する。 ただいま朗読いたしました決議案に対しまして、委員各位の御賛同を得たいと思いまして、動議を提出いたします。
  154. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 私は賛否のことはあとで言いますけれども、企業合理化法案というのは、参議院で今審議中のように今承りました。一院で審議中のものを、他院でもつて決議をして審議を抱束するということは、これは二院の運営上から非常に大きな問題を投げはしないかと私は思うのです。もしそういうような意思があるとすれば、向うの意思を決定して、われわれの方に回付になつた場合、われわれの意思表示をすればいいのであつて、一院で審議中のものを他院で決議をするということについては、議事運営の上から少し疑義があろうと思う。それで賛否のことは申し上げませんが、これは少し御研究の時間を与えていただきまして、それの上で決定して、もし合理的であるということになれば、賛成することにやぶさかではないのですけれども、どうもあとへ問題を残しはしないかと思います。委員会でありますけれども、参議院審議中のものを衆議院で先議する形において意思決定をして、参議院の意思を拘束するという結果になつて、衆議院ではこういうことなんだからということになつて、私は運営上おもしろくないのではないかと思います。そこを御研究の上、議題になつたのですから、取上げていただき、そういうことがどうであるかということはきよう採決をとらないで、われわれに研究の余地を与えていただきたいと考えております。
  155. 關谷勝利

    ○關谷委員 これは実は参議院とも打合せ済みでありますので、抑制するようなことには結果的にならないと考えております。
  156. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 速記に参議院とは打合せ済みだということになれば、われわれの自主性がなくなります。衆議院の自主性がなくなります。打合せないところでお互いの意見をお互いにきめて切瑳琢磨するところに、両院の妙味があるのであつて、私はまあ今の言葉はできればとつていただきたいくらいであつて、そういうのだからあまり荒いことは議論したくないから、きようのところはひとつ研究の余地を与えていただきたい。前例等も調べてみて、そういうようなことがあつたということになればいいと思うし、私は案の内容についてはきようは議論することは避けたいと思つております。そういうことは避けていただきたいと思う。
  157. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  158. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 速記を始めてください。  ただいまの闘谷君の動議につきまして異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十四分散会