○
説明員(
亀井光君)
電力の各
地方におきまする
状況並びにそれが
賃金の面におきまして
影響いたしますることにつきましては、各県の情報が大分集まつて参りまして、その中でも最もひどいと思われます
兵庫県並びに
大阪府の
状況が判明をいたしましたので、皆様のお手許に
参考資料として差上げている次第であります。
その
状況について先ず御
説明いたしたいと思います。
兵庫県の
調査は
調査工場の大
中小規模別に
調査をいたしておりまして、七月を一〇〇といたしまして、先ず
生産につきましては八月、九月、十月と出ておりますが、この中の十月分は十月十五日現在におきまする
生産高の
減少の
数字を二倍いたしまして
推計をいたしております。従いまして九月までの分は正確な
数字でございまするが、十月分の
数字は
推計がそこに加わつているということを申上げて御了承を得たいと思います。この表で御覧下さいます
ように、
兵庫県におきましても特に
金属工業と
化学工業、この面におきまして
相当の
影響を
生産の面において来たしている
ようでございます。
次の頁は
大阪府の
状況でございます。
大阪府の
調べ方は備考に書いてございます
ように専ら
中小企業、
電力関係の直接
影響を受けておろうと思われまする三百二十四の
工場につきまして
調査をいたしたのでございまして、ここに挙げておりまする
数字は七月を一〇〇といたしまして九月の
実績をここに掲げているのでございます。
大阪の
調査を、一番下に計と出ておりますが、
中小企業関係が主体でございまするので、その
影響は平均的に
兵庫よりもきついという
状況が
生産の面で現われている次第であります。
これらの
生産の
減少が
賃金にどういうふうに
影響して来ているかというのが第二の
調査でございます。
兵庫県におきまして御覧下さいますとわかりまする
ように、この十月の分も先ほどの
生産高と同じ
ように、十月十五日現在の実数を二倍いたしまして算出いたしました
推計でございます。従いまして九月の分が正確ではないかと考えるわけであります。この
数字を見ますると
生産高の落ちております割合に、
賃金の面におきましてさほどの、それに正比例するほどの
影響は受けてない。このことは
休電日におきましても、
使用者のほうで或る
程度の
生活保障と申しまするか、特別の
手当を支給しているのではないかということが窺われるのでございます。
次は
大阪でございまして、
大阪の
調査も
生産高と同じ
ように七月の
実績を一〇〇としまして九月の
実績を現わしたのでございます。この表で、「ない」「ある」とございます。三百二十四の
事業場の中で、
電力関係によ
つて賃金面に
影響のないものが百十三、
影響のあるものが二百九と出ておりまして、その二百九の内訳が以下に出ているのでございます。
影響のおる分につきましては
中小企業の
関係もございまするか、
影響のあるものにつきましては二〇%近くの減収がここで
数字として現われているのでございます。
次に、これらの全体的な
傾向に並行しまして、具体的な
事業場におきましてどういう
賃金の
状況であるかということを
大阪につきまして調べましたのが第三の
賃金支払状況についての
具体的事例というところでございまして、これも
大阪全部の
事業場を調べたわけではございませんが、一応
電力の
影響のあろうと思われまする
事業場をつかまえまして大
中小に分けまして調べている
ようでございます。それで御覧下さいます
ように、電休日の場合の
手当も出しているところが
相当数ございまするし、又一人
平均賃金額を比べましても、七月に調べましてさほどの
低下を来たしていない
ようでございます。これは先ほどの全体的な趨勢、特に
中小企業だけをつかまえましたものとの
関係におきましては、多少そこが
違つて参つているということが
数字の上で言えると思うのであります。
次にこの
電力関係におきまして、
解雇その他
雇用関係にどういう
影響が来ているかということにつきましては、
兵庫から
調査が参つておりますので、それをここに掲げているのであります。この
調査しました
事業場につきまして調べました結果は、
解雇労働者数としまして、
金属工業の面におきましては
常傭、
臨時工におきまして出ておりまするし、
化学工業におきまして僅かながら出ております。又更に
食品工業におきましてもいろいろと出ております。更に一番下の欄は従来雇つておりました
日雇労働者の雇い上げを停止或いは中止するという
ような場合の一月間におきまする
延雇用数を一番下の欄に書いてございます。それからその具体的な
事例といたしましての解説を次の(二)のところで書いてございますので、これを御覧下さいますればわかると思います。これらのことと併せまして
賃金の遅欠配と申しまするか、そういう
状況がどういう
状況に
なつているか、これも
兵庫県が詳細な
調査をいたしております。その他の県につきましてはまだ
調査漏れのところもございますが、一応わかりましたところを
追加資料として差上げておる次第でございます。
兵庫県におきましては遅払が十日から二十日の間においてなされておりますし、又岐阜、富山、宮城、秋田という県におきましては、九月分一カ月分の
賃金の遅配がなされておるというふうな
状況でございます。これらの問題に対しまして、然らば
労働省として如何なる方策を考えておるかという点でございまするが、我々としましてはできるだけ
電力の
不足に伴いまする
稼働率の
低下、
労働時間の短縮を防ぐ意味におきまして、
公益事業委員会に対しまして、
電力の配給を計画的に行いまする
よう申入れをいたすと共に、更に
地方の
基準局長に対しましては、
公益事業委員会から各
地方の
配電会社に対しまする
通牒と並行的に、各
地方の
基準局長が各
地方の
配電会社と直接
折衝をいたしまして、その
地方の
実情に即する
ような計画的な
電気の供給の調整を図る
ようというふうな指示をいたしておる次第でございまして、更に又
電力関係につきましての我々の要望としましては、枠をはめられまする
電力の量の中におきまして、就業時間内に使いましてもなお余裕があるというふうな場合につきまして、それを電休日、或いは五時から十時までの
電気使用制限時間内にこれを流してもらうということにつきまして、かねて
折衝をいたしておりましたところ、二十二日
公益事業委員会から各
地方の
配電会社に対しまして、これを
地方的に処理して差支えないといえ
通牒が出されております。従いまして我々も各
地方基準局長を通じまして
折衝をいたしたいと考えておるのでございます。このことは
女子年少者の深夜業の問題と関連するのでございまして、
電力の
割当量から申しますると、十時半以後なおまだ
電力を使える
状態にありながら深夜業ができないというために、その
電気を放出しなければならんというふうな事態がございまして、我々としましては深夜業の問題は慎重に考慮すべき事柄もあり、軽々にこの問題を取扱うべきではないという見地からいたしまして、強く
公益事業委員会へ
申入れをいたしてお
つたのであります。それが今回実現になりまして、十時半以後余りました
電力は、次の
休電日の一部、或いは五時かち十時の
電気使用制限時間内にこれを放出するという了解がつきまして、この問題につきましては我々としては非常に喜んでおる次第もございます。更に又與えられました
電力の枠の中におきまして、如何にして
労働時間を調整し、その
稼働率を高めて行くかということにつきましても、
地方の
基準局長をしてそれぞれ
経営者を指導する
ようにいたしておる次第もございます。なお今後
電力の
事情が更に
悪化をいたしまして、
只今差上げました
調査の以上に
賃金の
低下が現われて参りました場合に、如何なる措置をとるかという問題が起るのでございまして、これにつきましては資力ある
使用者につきましてはできるだけ
労働者の
生活の安定、
生活の
保障のために諸
手当を出して頂く
ように我々としてお奨めをして行きたいと考えておりまするし、更にそういう
生活保障をしたいという意欲はありながら、資金がないためにできないというふうな
経営者につきましては、何らかの方法によりまする融資という問題も考えたいと思いまして、目下その問題を研究をいたしておる次第でございます。
—————————————