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小林政夫君 政府出資及び投資に関する小
委員会の経過並びに結果を御
報告いたします。
本小
委員会に付託されました案件は、政府出資及び投資でありますが、そのうち食糧管理特別
会計、農林漁業資金融通特別
会計及び糸価安定特別
会計への繰入につきましては、農林に関する小
委員会において、審議せらるべき問題でありますので、本小
委員会といたしましては、これらを除きました以外のものにつきまして、二十六、七の両日に亘
つて審議を行
なつた次第であります。この審議の過程を通じて明らかにされました主要な事項を要約して申上げますと、大体次の
通りであります。
一、外国為替資金特別
会計への三百億円の繰入は、同
会計における円収支の
不足額のほか、
予備費とし、て百十六億円の余裕を見込んだ数字であります。のみならず、この種のインベントリー・フアイナンスは、主として政策的な考慮に基くもので、多少その
金額を減少したからとい
つて、どうしてもや
つて行けないという性質のものではなく、相当彈力性のある
経費と
考えられるのであります。
第二に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行出資金二百億円は、割当額については最高額たる三億五千万ドルと想定し、出資額については、
規定通りの拂込を前提として算出された数字で、而もなお且つ六億二千百万円の余裕があるのであります。のみならず多くの諸外国の出資金拂込の実例と、日本経済の現状から
考えて、折衝の如何では、差当りの拂込を減額してもらえるのではないか。然りとすればこの二億円というものはかなり減額の余地があるものと
考えられるのであります。
第三、日本開発銀行への出資七十億円につきましては、これにより開銀の本年度運用可能資金量は二百五十億円となるのでありますが、その融資対象は、長期資金源の乏しい折柄、飽くまでも国家的に是非とも必要なもので、而も市中銀行では到底融資困難なものだけに限定すべきであると
考えられるのであります。なおこの開銀の融資については、恐らく年度末までに全部を貸出すことは不可能であり、強いて貸出そうとすれば、只今申しました開銀設立の目的に副わない結果になりますので、若干の繰越は覚悟の上で慎重に運用すべきであると思います。この点は次に述べる日本輸出銀行についても同様のことが言えると思うのであります。
第四、日本輸出銀行への出資二十億円については、これにより同行の資本金は百七十億円となり、年度末の貸出残高は百六十六億円となる見込であります。プラント輸出は從來
余り振わなか
つたのでありますが、十一月十五日現在の借入状況を見ると、件数十八件、輸出契約
金額百三十六億円で、うち百五億円は船舶であり、ゴアその他東南アジア開発と共に今後に期待されるものがあります。
第五、住宅金融公庫につきましては、
一般会計からの出資三十億円並びに資金運用部からの借入三十億円をも合せて本年度の資金は百六十億円となります。住宅の
不足甚だしく、而も十八年の長期資金で極めて回転が遅いので、当分の間引続き毎年相当の政府資金を投入する必要があると思われます。なお今般のルース台風の被害者に対し六十億円のうち十億円を別枠として副当てるよう特別に考慮しておるということでありますが、適当な
措置であると思います。
第六、国民金融公庫に対しましては、
一般会計から十億円増資するほか、資金運用部から二十億円の借入を行うこととな
つておりますが、この種の資金需要は極めて多く、資金量が非常に
不足しておるのであります。これに反し見返資金の中小企業に対する融資は、諸種の制約があるため、四億円の枠が十億円以上も残るような状態にありますので、それを公庫に貸付けて活用を図る必要があると
考えられるのであります。なお前に述べました住宅金融公庫同様、ルース台風の被害者に対し五億円
程度の枠を特別に考慮しておるようでありますが、その実施を希望する次第であります。
第七、輸出信用保險特別
会計への繰入十億円は、從來、例えば昨年の中共向け輸出禁止に伴う保險事故のような、いわゆる非常危険に対してのみ行な
つて來た保險を、東南アジア等に対するプラント輸出が活溌になることを
考え、代金債権について生ずる商業危険に対してもこれを適用する必要が生じましたので、この新種のプラント輸出に対する保險に必要な資本として繰入れるものでありますが、その数字的根拠については科学的な計算の基礎があるわけではなく、腰だめ的にきめられたもののようであります。何分にも新設の保險制度でありますから、止むを得ない点があると思われます。
第八、
終戰処理費中の特別調達資金へ繰入七十五億円につきましては、一種のインベントリー・フアイナンスでありますので、一応本小
委員会で検討を加えた次第でありますが、七月一日以降、連合軍のうち米軍
関係の労務費は米国が負担し、実費計算でドルを支拂うことと
なつたため、この
関係の労務を調達するため設けられた回転資金で、ドルの支拂までに二ヵ月を要するので、大体労務費の二ヵ月分という計算で七十五億円とな
つておるわけであります。
以上が審査内容の大要でありますが、本小
委員会といたしましては、付託せられました案件を十分検討いたしただけで、別に一定の結論を出すことに至らなか
つたので、以上の経過を申上げて小
委員長の
報告といたす次第であります。