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1951-11-15 第12回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   委員の異動 十一月十四日委員郡祐一君及び溝淵春 次君辞任につき、その補欠として平井 太郎君及び岩沢忠恭君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            平岡 市三君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            小林 政夫君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            石原幹市郎君            小野 義夫君            九鬼紋十郎君            白波瀬米吉君            山田 節男君            小酒井義男君            波多野 鼎君            松浦 清一君            山下 義信君            西郷吉之助君            岩木 哲夫君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    文 部 大 臣 天野 貞祐君    労 働 大 臣 保利  茂君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣提出・衆議院送  付) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣提出・衆議院送  付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)(内閣提出・衆議院  送付)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) これより予算委員会を開会いたします。昨日に続きまして補正予算についての質疑を継続いたします。
  3. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 大蔵大臣がさつきからおいで下さつていましたから、ちよつと大蔵大臣に先お伺いします。大蔵大臣はいつになりましたら地方財源をこの賭博によつて賄う政策をおよしになるお考えなんでございましようか。後世の歴史家が若し池田財政を批判するといたしますと、ドツジ氏と協力して終戰後日本のインフレを克服したという功績を相当大きく掲げられるだろうと思いますけれども、惜しむらくはこれと並びまして、滔々として天下を覆う賭博時代を現出して、国家が競馬、競輪、オートレース、富くじによつて国家財政を賄い、国民の中には労働意欲を減退して家庭を破壞する者その数を知らず、犯罪者は激増し、遂に累を青少年に及ぼして、子供が学校を休んで競輪賭博場に集まる者一日一会場に六十有余名、警視庁に保護を求むる有様、町の路々の隅から山の中に至るまでパチンコの音を聞かないところはなく、婦人団体はこの惡制度を撤廃してもらうために泣いて陳情に及んだけれども、一向に大蔵大臣は耳を傾けないと書かれたのは、折角のお骨折に傷つくと思うのです。自由党は非常に公約の実現に忠実の余りかも知れませんが、時期尚早の米の統制撤廃までもなさろうといたしておりますけれども、同時に御自分がお播きになりましたこの惡の賭博の芽が生えまして、今それが実つて全国にその種が散乱いたしまして、非常に惡風潮が繁茂いたしておりますのを早く芟除して頂きませんことには、これは一切の復興に先立つものは国民精神復興であると存じますのに、健全な精神を蝕みつつありますので、一ときも早くこの弊害を芟除してもらわなければならんと思いますけれども、一体いつになつたらこの惡政策を改廃して下さるのでありますか。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 最近パチンコの津々浦々まで滲透しておると申しまするか、あることは私も非常に苦々しく考えておるのであります。差向きの私の所管でありまする富くじの問題、これも議論がありまして、数年前からやつておるのでありまするが、最近の状況余り芳しくございません。私はこれはいい傾向だと思いまするが、自分としては昨年来これはやめたらどうかという考え検討を続けております。今地方富くじはもう余り売れなくて赤字の出る場合もあるやに聞いております。国のほうでは二十億近くの歳入を上げておりまするが、私はできるだけ早い機会にこれはやめたいと考えております。競輪は非常な議論がありまして、私は大蔵大臣としてこれについてどうこう申上げることは何でありますが、折角の御質問でございますので、個人としてはこういうものはやめたほうがいいのじやないか。パチンコ至つてはこれを認める……、弊害が多いばかりで利益が殆どないと、こういう考えを持つております。富くじにつきましては、大蔵大臣として成るべく早い機会にやめたい。それから競輪パチンコに至りましては、私個人としてはやめたい気持を持つております。殊にパチンコについては、百害あつて一利なしと申しまするか、私実はやつたことないので、町でそういうものが見られます。而もそれが私旅行いたしましたときに田舎のほうにまで相当つている、こういうことはもう非常に苦々しく考えておる次第であります。
  5. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 大蔵大臣の前に労働大臣がお急ぎだそうでございますから、大蔵大臣に対するお尋ねはやはり安本長官と御一緒のほうがよろしうございましようから……。大蔵大臣お差支えございませんか。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) よろしうございます。
  7. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 じや労働大臣お尋ねいたします。行政整理の声がやかましうなつておりますけれども、この整理に当りまして家庭実情を勘案されますか。やはり完全雇用というのが理想でございますけれども、今日の実情といたしましては、まだそこまでは参りませんといたしますと、生きる機会を与えられる仕事というものはやはり公平を期しますために対等であつてもよいような性質でありますので、これを整理いたしますときにはやはり係累の多い人はできるだけ就職機会を多くするというのが、これが社会政策でなくちやならないと思いますが、いつでも整理に当りましては、不幸にして婦人優先権を与えられるそうでございますけれども、婦人の中にはやはり係累の多い者もございますので、ここらあたりは家庭実情を調査されるかどうか、一つお尋ねいたします。
  8. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お答えいたします。今回の整理によつて退職せられる人につきましては、実施官庁、各省庁の責任において行うように、一般に男子をどう、女子をどう、或いはどういうかたをどうというような、一般的な整理基準を立てずに、第一は各省の希望退職によつて円滑に進めて行くように、而してどうしても本人の御意思によらずしてやらなければならない場合は、実施官庁責任において只今お話のようなことは十分心得ていたさなければならん。私のほうはそういたしたいと、十分お話のようなことを考えてやつて行くつもりでおります。
  9. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 目下電力饑饉でございますのに、大きい期待を寄せられております電力会社従業員や、それから炭鉱の人たちストライキを頻々として起されますことは、どうも国民の納得の行かないところでございます。どうも終戰後日本を暗示するかのような工合で不安に堪えられませんが、労働大臣のお立場から、こういうものに対してはどういうようにお考えになつていらつしやいますか。
  10. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 労働條件に関しまして労使の間に紛争が起り、そうしてそれがストライキ発展をして行くということは好ましいことではございませんけれども、これによらなければ双方の解決が困難である、できないという状態の場合に、ストライキが行われるということは、これはどうも止むを得ないことであると思います。併し先般の例えば石炭ストライキ或いはぐずついておる電力に関する紛争は、及ぼしまする影響が単に石炭の枠内或いは電力の枠内における労使関係のみならず、全産業、全労働者影響いたします。従つて国民全体に及ぼす影響が非常に深刻でございますから、私はどうかこの当事者が、その社会実情をよく認識して頂いて、できるだけ双方の良識によつて自主的に解決せられて行くように、早く日本において労働慣行ができるようにならなければならん、一般的にはこういうふうに考えております。
  11. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 台湾終戰後日本人技術者が三十万も引揚げておりますので、今日台湾の工業は半身不随に陷つておるそうでございまして、日本の今すぐ役に立つ技術者を幾らでも歓迎しておるそうでございますが、失業時代でもございますので、これに対して至急にお手を付けるお考え労働大臣ございませんか。
  12. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 台湾のみならず、東南アジア各地にかような要請は胚胎しておると思います。けれども、今日はまだ外交交渉を持つておりませんから、外交交渉が開かれるようになりました段階におきましては、さような点に大いに力を入れなければならんかと思つております。
  13. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 朝鮮動乱に伴う特需で相当賑つておりますから、失業者相当吸収されるものと存じますけれども、最近の失業並びに就職実情について御説明願いたいと思います。
  14. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 一般失業状況は御承知のような国情の下におきまして、依然として深刻な様相を呈しておりますことは御承知通りであるわけでございますが、昨年の朝鮮動乱以来の動向を見まするに、例を八月にとりますと、昨年の八月におきまする労働力調査に現われました完全失業者が五十五万という最高の数字を示しておりましたが、今年の八月におきましては、三十五万というように、これは著しく減少いたしております。一般情勢を反映いたします職業安定所の窓口から覗きますと、月間における求職者数の昨年八月における状態は八十九万余に及んでおります。本年の八月におきましても、八十八万という数を示しております。併しながら、一方におきまして、これに見合いまするところの求人数動向を見ますと、昨年の八月に十九万、これが今年の八月には二十三万という数字を示しております。従つて就職者も昨年の八月は十万であつたのが、この八月には十二万、漸増の指表を示しております。特に失業保險の面から見ますると、失業保險受給者が昨年の八月には四十一万を超えておつたのでございますが、本年の八月には二十三万というように、これ又相当大幅の減少を示しております。従いまして保險金支給状態からいたしましても、昨年八月に十四億五千万円を超えておつたのでございますが、この四月以降非常な減少を見せまして、今日では、八月では十億七千万、かような状態を呈しております。戰後の非常なこの労働事情の最も惡かつた頃、都市人口農村に流れ込みまして、農村が過重の人口に悩んでおりましたその姿が、この一年間におきまして、労働力調査に現われたところを以てしますると、約二百万から農村から都市のほうに流れております。これが如何なる状態に、その生態の実態を的確につかむことは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、動乱以来の経済活況による都市方面経済力の好転はこれを現わすものであろうと、こういうふうにみております。併しながら失業問題それ自体は、先ほど申しますように、相当重大の様相を示しておりますことは甚だ遺憾なことでございますけれども、止むを得ない状態に相成つておる次第でございます。
  15. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 次は大蔵大臣とも関連ございますけれども、丁度物価騰貴に伴いまして、負担の軽減のために所得税免税点の引上とか、家族扶助料の増額などが考えられましたが、その趣旨と同じように、職安関係日雇の日給を引上げることが必要であると思います。先だつて職安関係のあの団体に引出されまして、いろいろ陳情されましたけれども、どうもあの人たちは日曜は入つておりますし、仕事にあぶれるときもございますし、雨の日はどうやら六割しかくれないで、三百円ぐらいはもらわなければ生活が成り立たないというようなことを聞かされますけれども、私は至極当然と思つております。これについて労働大臣はどういうふうにお考えになりますか。それともう一つ、やはりあの人たち世間並家族扶助料をもらうとか或いは健康保險に入れてもらいたいというようなことですけれども、その問題はどうでございましようか。
  16. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 日雇賃金の問題はそういう様相も現われておりましたから、大蔵省とも十分御相談をいたしまして、失業対策事業に従事する賃金はこの十月から約一一・二%平均引上げることにいたして、只今実施をいたしております。それとこの日雇関係につきましても、御承知のように失業保險は十分実施して参つておりますし、お話健康保險の問題は技術的に非常に困難な面がございますが、只今厚生省のほうで検討はされておりますけれども、実施をいたすということは非常に困難であろうかと存じております。これは尤も所管厚生省のほうへ属することでございますから、御研究を願つておるような次第でございます
  17. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 労働大臣はお忙しそうでございますから、では又別の機会讓つて大蔵大臣に……。
  18. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちよつと関連して。今の深川さんの御質問に関連した問題ですが、今のお話ですと、失業人員はだんだん減つて来たし、特に失業保險を給付されている人員も減つている、その限りでは好ましい傾向であるというようなお話つたかと思いますが、ただここで我々が憂慮に堪えないのは、成るほど昨年の七、八月頃と比べますと、失業保險人員は減つておりますが、特に今まで、六月まではずつと減つて来るカーヴをば描いておつたにもかかわらず、六月二十二万のやつが七月には二十二万三千になり、八月には今お話のように二十三万になり、カーヴが逆に今度は上昇傾向を辿つて来つつあるのではないかというふうに感ぜられるのです。殊にその点は、例えば先ほどお話求人の問題、或いは新規求人数についてこの二、三カ月を見てみますと、同じような上昇カーヴに転じているというような状況であるし、いろいろ新聞に報ぜられるところによると、新らしくいろいろな産業整理等々が行われるのではないか、年末その他に向つて、金融引締めと関連して、そういう状況が起つて来るのではないか。或いは更には電力減の問題等々と、その傾向に拍車をかけるのではないかというようなことが非常に憂えられると思うのですが、そういう意味においては、今の労働大臣の楽観的な御報告では、今後の見通しについて非常に誤りになるのではないか、そういう最近の、極く二、三カ月の状況を勘案しながら、今後の見通しをどういうふうにお考えになつているか。従つて又そういう状況に対してどういう対策を立てようとしておられるか。その点をお伺いしたい。
  19. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お聞取りが、私が申上げたことが、楽観的にお聞取り頂いたようでございますが、決してそういう楽観的な意味で私は申上げておるわけではございません。昨年の動乱以来のこの労働指標から、動向から見ますと、その推移はかなり底力として、かなり力強い足跡を示して来ておる。けれども全体としては依然として深刻なものをはらんでおりますから、これについて決して楽観をして行こうというような安易な気持は毛頭ございません。のみならず、この八月末から九月以降におきまする異常渇水による電力不足電力不足から来るところのいろいろの惡條件によつて、この指標相当動いて来ておるということも、これも十分見なければならない。今日のこの一、二カ月は、私はどうこの指標が現われて来るか、非常に心配して注意を払つておりますが、恐らくいい数字は出て来ないのではないか、かように考えております。併しそのことは、かかつて電力不足、動力に原因をいたしておりますから、政府全体の施策によりまして、何とかこの電力不足の緩和の強力な手を打つことを先般来やつておるわけでございます。日本産業底力としては、かなり力強いものを依然として示しつつも、併しながら電力不足によつて相当方面に頭打ちが来ておるということが実際の状態であろう、これに対しましては、その面に向つてとにかく改善措置をとるように強く私も要請をいたしておるわけです。そういうふうに心得ている次第であります。
  20. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の問題ですが、成るほど今後現われて来る数字には、今おつしやる通りに、更に電力不足その他に関連した重要な、重大な事態が起ると思いますが、今後の問題だけでなく、私は今申上げましたように、すでに六月から傾向が変つて来ておる。その六月から変つたということは、必ずしもその頃から、直接に電力不足その他ではなくて、もつと一般的な傾向として考えられなければならないのではないか。そうなれば、問題は朝鮮動乱以後、相当力強い底力を示して来たという、その傾向が、すでに五、六月を転機にして変つて来ている。それに更に今の異常渇水が加わつているというような意味で、もつとその見通しは深刻なものとしてお考えにならなければならないのではないか。従つてそれに関連して予算の問題では、失業保險の減額その他をば簡單にお取上げになつていやしないかと思うが、それらのことを考えると、簡單に減額するようなことはできないのではないか。その点をどうお考えになつているかという質問なんです。
  21. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 失業保險金の繰入を十四億ばかり減らしておりますが、これは昨年の八月、最も高い数字を示しておりました十四億五千万円、あの大体足どりを以て推移する最惡の事態に備えて処置を講じてもらつたのでございますが、その後逐月支給額は低下をいたしまして、大体十四億そこそこの、或いは九億、八億台にまで下つたこともございます。九億、十億という所を推移いたしておりまして、全体の状況から申しましても、成るほど、電力不足によるところの産業界の打撃というものは相当大きなものがございますから、その面の影響を見ないということはございませんけれども、今回措置いたしております補正の額を減らしましても、失業保險の運営それ自体支給に支障を来たすことがないばかりでなく、すでに失業保險会計におきましては、保險料の積立ても百億ぐらいになつておる。これはまあ保險料が、料率の適正問題にかかると存じますが、私といたしましてはこの失業保險会計実情から見まして、むしろ保險料率の引下げを考慮いたすべきではないか、そういうことで只今研究をいたしております。できるだけ早く、とにかく必要以上の保險料を取るということは、これは要するに保險料率の適正を誤つておるということになりますから、これはむしろそういう意味で是正をいたしたいというように考えております。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 失業問題が出ましたので、又他の機会に御質問すると時間がまずいですから、丁度いい機会ですから簡單に二点お尋ねしたい。その一つは、これまで政府失業対策としての大きな構想は、大体貿易などはだんだん輸出産業が盛んになつて、それによつて失業人口吸収するということ、そればかりではありませんが、大きな狙いだつたと思います。ところが成るほど朝鮮動乱輸出が殖えました。併しながら雇用指数を見ましても、その伸び方が極めて僅かである。又そのために生産が非常に殖えて能率賃金は著しく下りました。企業は非常に儲かつたのです。併しながらその政府の一番大きい失業対策としての貿易の振興による失業人口吸収というものは、これは効果を奏していない。この点について今後も大きな問題でありますから、根本的な失業対策について政府の指示した通りになつていない。今後これをどういうふうにお考えであるか。第二は失業対策費ですが、今度のこの補正においては公共事業費については物価騰貴による補正はやらないという建前になつているわけでありますね。そうしますとこの間事務当局から聞きましたが、大体物価関係で三割ぐらいこの事業量は減る。こういうお話なんです。これは延いて失業対策費に非常に関係があるわけでして、そうしますと事業量は減るわけです。そうすると失業者は殖えます。この失業問題に対してどういうふうにお考えになつておるか、どういう対策考えられておるか、又物価騰貴によつて失業対策費も減るわけであります。実質的に減つて来ます。そういうものの補正をどうして考えられなかつたか。それからもう一つ、これは厚生省の管轄かも知れませんが、生活保護費についての物価騰貴による補正、こういうものを考えられたかどうか。主として今の点について労働大臣が今度の補正予算を組む場合にどういうふうにお考えなつたか伺つて置きたいと思います。
  23. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 政府失業対策に対する根本方針はどうであるかということは、これはもうすでにしばしば申上げておりますように、結局貿易の拡大による産業発展、それによる雇用量の増大、労働力吸収、これを回つて行くことが最も妥当であるという考え方は申上げておる通りでございますから、新たになりますからといつてこの方針に変りはない。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは効果は生じない。
  25. 保利茂

    国務大臣保利茂君) それに効果は、昨年来先ほど申上げましたところによりましても、或いは農村から都市に流入移動しております労働力状況から見ましても、これは的確にどれがどうだということは申上げられないにしても、国の大勢としてはそれを察知することができるであろう。これは木村さんもお認めになるだろうと思うわけであります。そこでこの失業対策費についての補正をなぜ講じなかつたか。御承知のように昨年春、当時非常に日雇就労状況が惡くして、そのために参衆両院においても非常な御配慮を頂いたわけでございますが、昨年の八月が大体平均就労日数が十六日くらいでありましたが、九月、十月頃からこれは各方面の御協力を頂きまして二十日、二十一日、大体二十一日内外の就労状況改善せられて参つて来ておるわけでございます。それにいたしましても、なおこの日雇失業者の問題というものは重要でございまして、今後といえどもこの就労改善には努力して参りたいと思いまするから、従つて先ほどもお答えいたしましたように、最近の物価情勢、或いは一般日雇各地賃金状況に鑑みまして、十月から一一・二%の平均賃金値上げもいたしておるような次第でございます。而してこれをいたすことによりまして新たなる予算補正措置も要しない、そういう状況でございます。
  26. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 深川君に申上げますが、御要求の大臣大蔵大臣安本労働、文部と揃つておりますからどうぞ質問して頂きます。  それから委員のかたに申上げますが、関連質問は二人くらいを限つて許して委員会を進めて行くことに先般の理事委員長の打合せで申合せをいたしておりますので、御了知を願つておきたいと思います。
  27. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 関連質問は私の時間の中に食い込んで来るのですか。
  28. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それは委員長において適当に処理いたしますから、それは御心配なくやつて頂きたいと思います。
  29. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 以下のお尋ね大蔵大臣安本に申上げますから適当にお答え下さい。去る十月二十五日アメリカの国会を通過いたしましたバトル法によりまして、近いうちにアメリカ日本との間の協定の下に、一種の制限の下に中共との貿易が再開されることになるはずであります。これが成功いたしました曉は、長い間遠いインドやアメリカなどから高い船賃を払つて運んで参りました鉄鉱とか石炭、或いは大豆、樟脳、肥料用カリいろいろこういうものが割合に安くよい質のものが手に入るわけで、日本経済発展のために喜ぶところですけれども、丁度最近イギリスのチヤーチル内閣経済政策を見てみますると、あそこは特に輸出に力瘤を入れるらしうございますので、この時期が遅れますと、どうせ中共の市場はイギリスのために占領されることになりますので、その曉には二十世紀の初期にドイツが国際市場に進出して来ましたときに、すでに先進国によつて有力なる原料地或いは市場が確保されておりまして、どうもにつちもさつちもならなくなりまして先進国との間に摩擦を起してやはり第一次欧洲大戰の原因にもなつたようなことにもなりますので、やはり先んずる者は人を制すると申しますか、やはり一日も早く一歩先に中国に進出することが大事だと思います。それ故にこそアメリカもやはり日本の経済自立のために中国というものを無視してはならないというので、今回のバトル法というものが制定されたのだろうと思いますけれども、肝腎要の日本政府では、一体中共貿易に対して積極的に乘り出す御意思があるのでございましようか。
  30. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) たびたびの機会に各閣僚からお話があつたと思いますが、中共貿易については別に日本が積極的でないということでなく、いろいろな事情で今制約されております。これは円満にこれが進捗することは望ましいことであるけれども、現在の状況においてそれが自由に行かんということは遺憾とするということは答弁されております。今お話バトル法案ですか、まだその内容も聞いておりませんが、その結果あなたの説によりますと、アメリカがいろいろその法案の規定によるのですか、日本中共貿易ができるように考えておるとかいうお話でありますが、そういうことになつて行き、中共との国交回復の前においてもそういう運びになれば、そういうときにおいては適当に勿論こちらも考えて行つていいと思います。
  31. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 次は單一なる国際通貨の創設についてお尋ね申上げますが、丁度今日の日本でもどうやらドル不足、ポンド過剩の傾向にございますし、第一為替相場の決済というものが誠に不均衡のように存じますので、国家間で通貨が違つておりますことは、通商を阻害いたしますし、非常に文化の発展のために芳ばしくないと存じますので、もうそろそろ世界の通貨は均一にしていいのじやないか知らん、こんなふうに考えます。丁度ドイツの統一以前におきましては、非常に国内の小邦が分立いたしておりまして、銘々の国がそれぞれ別な通貨を以て関税をこしらえておりましたが、それが非常に国家発展を阻害しておるというので、国家を統一して一つの通貨に改めるようにリストも主唱したようでありますが、その後世界は縮小されております。今日この段階に来て、世界各国はそれぞれ別々な通貨を持つておるということは、どうも世界の発展なり通商を阻害しておると思いますので、各国はそれぞれ経済的、立地的な條件によつて、その国にふさわしい、できるだけ安い生産費で上る品物で以て国際市場に何と申しますか、奉仕すべきだと思いますけれども、何かこれに差支えがあるか、若しよいとお考え下されば、講和後に大蔵大臣は率先してイニシアチヴをとつて頂きたいと思います。
  32. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) なかなかむずかしい問題でございまして、これは各国の国情、経済状況、富の関係、いろいろな複雑な事情がございますので、各国おのおの独自の通貨を持つておるのであります。而してこれによりましてその間の換算率をきめる、即ちドルに対して円は幾ら、フランは幾ら、ポンドは幾ら、それに従いまして今度は、ポンドとフランのこともきまるわけでございます。こういう問題をできるだけ国際的に取扱いたいというのが、国際通貨基金制度であるのであります。そういう制度がありましても、なかなか先ほども申上げました経済上いろいろな関係がございまして、一緒にするということはなかなかむずかしい問題だと思います。然らば換算率で自由に取換えられるようにしたらどうか。これは戰前はそうであつたのでありますが、これがもつと第二次世界大戰後は複雑になりまして、例えばポンドなら買うけれども、ドルなら買わない、ポンドとドルの換算率が決定されておりながら、そういうことがあるのであります。これは今の状態で世界経済がかなり縮小はされましたが、複雑多岐になつておりまするので、理想は、お話のようにいたしたいという気持は皆持つておりましようが、なかなか困難な問題だと思います。
  33. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 日米経済協力についての質問でございますが、アメリカ側では、原料の少い日本の国が、單独なる産業機構を持つというところに無理があつて日本のためにも、アメリカのためにもよくないから、アメリカ経済機構の一環となり、アメリカ経済の一支流になつて、下請工に甘んずるよう要請されておるようでありますけれども、勿論アメリカから原料を手渡して下さいますならば、失業者も多いことでありますから、まあよいようでございますけれども、やはり瘠せたりといえども独立国でございますので、世界各地から成るべく安くてよい原料を手に入れまして、やはり独自の経済機構を以て、できるだけ生産費を安く、よい品物で以て国際市場に進出したいという私たちの考え方なんでありますけれども、只今の政府は、日米経済協力につきまして、やはり下請工に甘んずるのでありますか。それとも私が申しましたように、独立した産業で行こうとなさいますのか、それについてちよつと……。
  34. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 深川さんの御心配でありますが、政府におきましても、民間におきましても、今決してアメリカの下請工場になつて、部分品の工場をやつて行くということを考えておりません。お話通り瘠せたりといえども独立国の体面を保つて、自主的に工場を経営をして行くつもりであります。
  35. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 そういたしますと、今日のアメリカでは、日本アメリカやインドあたりから高い船賃を払つて原料を手に入れまして、それに加工して納めるのですから、相当割高なものになりますのに、アメリカの国内でできます安い原料を使つてつた製品と同じような値段でアメリカに納めよと要求されるらしうございます。納められないと申しますと、日本の国内の運賃とか、或いは電力とか、ガスを何と申しますか、合理化して成るべく生産費を安くして、同じ値段で納めよと言われるらしうございますけれども、それでは余り日本産業が犠牲になり過ぎると思うのですけれども、こういう点について政府はどういうふうに交渉なさるお考えなんですか。
  36. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) その点は深川さんの御心配と同じように、我々も心配しておる点でありまして、今後貿易機構の拡大をし、日本の経済の発展をさせる上において、何と申しましても国際競争場裡で勝てるようにしなければなりません。この点は今御指摘の価格の点にあると思うのです。何と申しましても、原材料を遠い所から船で運んで来るところの、一つの立地條件の不利があります。この不利をどこで凌いで行くかということになりますと、これはやはり日米経済協力ということがあるなしにかかわらず、日本の将来に向つてやはり日本の設備機械等を合理化して、戰争中、戰後長い間置き換えられなかつた非能率の機械を置き換えて、そうして合理化することが、コストを引下げる一つの大きな点であろうと思います。こういう点について施策を進め、この貿易に処して行きたいと考えております。
  37. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 昨晩の夕刊を見ますと、早急に又電力料金が三、四割がた値上げになるようでありますが、どうも値上げの理由が納得行きません。その原因の一つは、どうも渇水による二百億円の赤字を埋めるためであり、第二番目には、電力資源開発に要する資金を集めますために、やはり現在一割がたぐらいしか配当ができておりませんのを、最低三割くらいを配当いたしますために必要なる金を集める意味で、やはり料金を上げるのだそうでありますけれども、大体夏の渇水による電力のマイナスは、どうも私たちの聞く範囲では、雨が降ろうが雨が降るまいが、あの時期にはちやんと一定量の石炭を確保しておかなければならなかつたはずのものを、どうやら規定に違反した大きな手落ちがあつたように聞いておりますので、その罰金を大衆に負担させることは筋が通らないと思いますが、大体配当を殖やすために国民大衆の料金を上げるということは、国民大衆から金を搾つて、お金持の懷を肥すので、誠に筋が通りませんので、そんなことならむしろ配当を一割にとめても、電力は明日の日本の生命線でありますので、一つ国民運動でも起して、民族資本を集めるように努力することなら筋が通ると思います。いずれにいたしましても、先だつて九分割をいたしますときに、電力を安くてたくさん供給するからという意味であつたにもかかわらず、九分割になりましてから、重ね重ね料金が上りますので、これでは何の意味かさつぱりわかりませんし、これでは公益委員会は名のごとく公益委員会でなくて、不公益委員会と言われてもしようがないのじやないか。それはこうした国民全部が買わなければならない品物を、而も独占事業の料金を営利会社が勝手に上げるということをしないで、やはり国会で料金を決定すべきが当然であると思います。当然こういうような国営事業になるといたしますと、今日のやはり国鉄や郵便料金の値上げと同じように、国会できめておるのでありますから、こういう電力料金も国会で、法律できめるようにしたらどうかと思いますが、如何でございましようか。
  38. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 公益事業委員会なり或いは電力会社等で値を上げてもらいたいというようなお話があるということは、新聞を通じて私も聞いておりますが、まだ具体的にはなつておらんようであります。私どももお話のように電力料金をそう簡單に上げるべきものでないと、かように考えております。いわんや今お話のように配当を殖やすために電力料金を上げるということが、若し本当であるとすれば、これは余ほど政府としても考えなければならんと思います。まだ併しそういうことは恐らく具体的に問題になつて来ないと私は思います。
  39. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 その次は、年末年始の金融逼迫をどうして打開されるかというお尋ねでございますけれども、どうも年末から来年の三月にかけて、相当大きな商工業者が閉鎖されるという噂が立つております。遠い原因はやはり二年前ドツジ氏が来られまして以来の政策にあると存じますけれども、日本のインフレを、商品インフレと断定されまして、それを克服いたしますために強制貯蓄の意味で増税したために、商工業者の手許に蓄積資本が足りないということに遠い原因はあるでありましようけれども、それでも朝鮮動乱に伴う特需で幾らか潤おつておりましたときに、又今度大蔵大臣が法人税を引上げられましたので、どうも地方税を合わせますと所得の六割が取られるらしうございますけれども、大蔵大臣の建前といたしましては、やはり所得のあるところから税金を取るというので、それもわからないことはございませんが、それならば取るべきものをとるのでしたら、やはり産業発展させますためには、それ相当国家資本というんですか、財政資金を融通しなければなりませんのに、吸い上げるところは多いけれども融資をなさいませんので、今日は財政のほうでは超均衡財政になつておりますけれども、融資のほうと合わせますと赤字財政で、それを金融機関が補つているような状態なんで、もう少し融資を潤沢にしなければ、日本産業復興をこの方面では阻害していると思います。むしろ法人税はもう一年くらい延ばして、各人が税金で納めるべき金を手許に持つて、そうして資本金でうんと運転して資本を蓄積してもらうということのほうが、日本の経済復興のためにはよかつたんではないかと思つたのですけれども、これは仕方がないんですけれども、いずれにいたしましても融資方についてどういうお考えでありましようか。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 年末から来年の三月にかけまして、非常に金融の引締りがあるというふうにちよちよい言われておるようでございまするが、私はそう考えておりません。それは金がふんだんにあるとその使い方がおろそかになりますので、金は足らん足らんぐらいが丁度いいのであります。只今四千二百億円余りの通貨になつておりまするが、この年末には米代その他の支払がありますので、五千億円を超えましよう。その程度の私は超え方で行くのではないか、併し来年の一—三月には税金も入つて参ります。又食管会計のほうで買つた米を持つて行きますので、この引揚げがありますので四、五百億、三月の末は年末よりは減る、こういう状態でありまして、今年特に異例はございませんけれども、中には取越し苦労の人が多いので、私が放言をしたと言われる、この五、六月頃には危機が来る、三月の危機だとかいろいろな危機を叫ぶ人がおりますが、危機は起らんじやないか、とにかくお任せ下されば決して惡くはいたしません。私はいたずらに危機々々と悲観材料を並べ立てるということは、経済の円滑な適当な運営を阻害する結果になると思います。勿論最近の新聞に出ておりましたように、繊維関係のものが相当数十社、或いは百数十社と言われますが、これは非常に不如意になつて不渡手形なんか出しておるようでありますが、これは御承知のように、昨年綿布その他が暴騰しまして、一梱二十三万円ぐらいまで行つて、今は二十一、二万円でございます。こういう買いあふりをして、そうしてそれが正常な価格になつたときに、いわゆる思惑をする者がときに倒れるということは止むを得ない。そういうものまで全部政府が面倒を見るわけには行かない。そういうようなことが起らないように思惑なんかをやらないように、金融を固く引締めて行かなければならない、思惑をやる人が金詰り金詰りと叫ぶのであつて、これは大蔵大臣はそういうほうには耳を傾けるべきではなく、正常なやり方でなければいかんと思います。もう一つの御質問は法人税をなぜ上げたか、こういうお話でありますが、私は所得税は下げなければいかん、併し所得税を下げた減税をどこで埋合せをしたらいいか。全部埋合せはできませんが、或る程度の埋合せはしなければならんと思います。これは今年度、来年度を通じまして、そのときにおいて法人の利益の状況はどうかと申しますると、配当したあとの積立金とか、或いは償却のための留保は本年度は三千五百億円になります。積立金或いは償却留保は昭和二十五年度は千五百億円だつた。それでその前の一昨年の二十四年は五百億円。昨年度の積立留保が千五百億円、今度はその倍以上の三千五百億円になつたのだから、二百億円程度……とにかく一割足らずの負担の増はして頂けるのじやないか。それによつて資本の蓄積をそう阻害しやしない、こう思うのです。去年は千五百億円の積立金ができたが、今年は三千五百億円積立金ができるから、税金が高くなりましても留保は去年の倍以上になるのであります。そういうところを見て、法人税を本年度、来年度を通じて増税をいたしたのであります。そうして重税に苦しんでおる所得税をまけるべきではないか、こういう考え方が私の基本方策であるのであります。
  41. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 その次は電源開発を急ぎますことは、政府考えと全く同じでございます。併しこれに要するセメントとか、銅、鉄鋼などが非常に不足だということを聞くのでありますが、特にセメントは最近相当増産になつておるはずでありまするし、鉄鋼は輸出もいたしております。勿論輸入もいたしておりますけれども、銅なんかも確か世界で第二番目の生産高を持つてつたかと思います。いずれそれにいたしましても不足であるといたしますと、政府が精一ぱい努力されましてどのぐらい確保されるお見込か。そしてその確保量は、今回の電源開発の投下資本年次計画のどのくらいに該当する材料が確保できるか、なお、その確保の方法についてお聞かせ願いたいと思います。
  42. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 御指摘の電源開発については、只今具体案を大体作りまして、政府部内並びに関係方面とも話合いを進めておる最中で、まだ確定しておりません。その間にありまして、資金といたしましてもまだこれは確定いたしませんが、仮に第一期計画といたしましても、四千億円前後のものがいると思います。これを民間資金並びに政府の資金によつて賄うということになります。そのときに今御指摘のセメントとか銅というふうなものが、これは当然必要になつて参りまするので、それらも資材計画として大体織込んでありますが、おのずからこの案が確定いたしますれば資金並びにそういう資材もその計画に沿うて優先的に確保をして、そのほうで出すような計画を進めて行きたいと思つております。
  43. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 関連いたしまして、電力の開発は一日遅れれば日本の経済復興が一日遅れるというほど重大性を持つておるものだと思います。それほど不足しておる資材でありますならば、もう少し緩急そのよろしきに従つて、やはりもつと公正といいますか、そういうふうにしなければならないはずのものだと思いますのに、この頃都市では至る所に大きいビルデイングが建つております。相当鉄筋もセメントも使つております。チヤーチル内閣なんかでも当分はビルデイングなんかは絶対に建築を許さないように先日発表されたようですが、日本安本長官はどうですか。
  44. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 資材等につきましての使用制限とかいうものにつきましては、全般的にこれを今どうするということをきめることは却つてまずいと思います。併し今後の情勢、特に世界的に稀少な物資、例えば銅というような物につきましても、それらの輸入等と睨み合わせ、必要があればおのずから使用制限を行うことが出て参るかと存じます。
  45. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 次には東南アジアの開発についてでございますけれども、東南アジアでは日本が長期に亘つて輸入の契約をいたしますと、あちらのほうでは国内資源が集められまして開発を促進するらしいのでございます。中共貿易とも見比べまして、何か特にこういうふうな契約をなさつてよろしいような品物があるか。なお投資も歓迎しておるらしうございますけれども、この方面について政府はどうお考えでございますか。
  46. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 今具体的にこの物についてということをお話するまだ段階には行つておりませんが、併し御指摘のような開発とからみ、又日本の工業を継続して行く上におきましても、御指摘のような長期の契約ということをやることが望ましいと私どもも考えております。
  47. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 次には大蔵大臣に、銀行法の改正についてでありますが、最近の新聞紙上に大蔵大臣の御意思だというので、銀行法を改正いたしまして、政府相当監督ができるようになさるお考えのようでございますが、私は今日の政府が自由政策に更に計画性を導入なさる試みでありますので、進歩的な傾向だと思つて相当好意を持つて歓迎いたしておるわけでございますけれども、これを御勇断なさる御意思があるかどうかということでございますが、金融業者のほうでは自発的に、自主的に、何というのですか、金融を統制したいというらしうございますけれども、何分やはり営利事業でございますので、今までの取引関係もございましようし、闇資金も出るでありましようし、それからやはりこれは公平を期しますためにも大勢の国民関係がございますので、インフレ対策にもなりますから、やはり国家が監督することが大事だと思いますけれども、大蔵大臣如何でございましようか。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 銀行法の改正はいたすつもりでございます。併し自由主義から統制主義へ参るというつもりで改正するのではございません。私は銀行はおのずからその経営に合理性を持たなければならん、こういうことからこういう考え方で銀行法を改正しようとしておるのであります。
  49. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 その次に文官の恩給の問題でありますけれども、私は根本的に恩給制度というものがわかりません。百姓でも商売人でも、朝には霜を踏み、夕には星を戴いて八時間労働どころか、十八時間も働きましても、やはり恩給などは付きません。何故文官だけが恩給をもらわなくてはならないのか、恐らく在職年月中に非常に潔癖でなければならないという意味もあるのでしようが、どの職業に携わつておる人間でもやはり同じ国民でございますので、清廉でなければならないことは間違いございません。こんな貧乏国でもございますので、やはり努力いたしても自活のできない階層に対しては社会保障制度で保護することにいたしまして、どうも恩給というような差別待遇はこの際新日本の発足に当つてやめたほうがいいのじやないかと思うのですけれども、大臣大臣どうお考えですか。
  50. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 議論のあるところと思いますが、公務員その他雇用契約的なものは勤めておられるのであります。自分仕事をしている人は自分自身が老後の積立その他をやりましよう。併し公務員のほうにつきましては、昔から或る程度月給から恩給基金を引きまして、そうしてそれを積立てて老後の心配のないようにする、こういう考えで行つておるのであります。而してこの考えは民間におきましても、恩給に代るべき退職金というものがあるのであります。全然そういうものを持たずに月給を考えるか、或いは退職金というものを考えて月給を考えるか、或いは恩給というものはを考えて月給を考えるか、これは考えよう一つでございますが、私は今の場合といたしましては、恩給制度を急にやめるということは困難なんじやないかと思います。
  51. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 次は遺家族援護の問題でございますが、相当言い古されておるようでございますが、特に残念に思いますのは、同じ民主々義国の保障占領下にありながら、ドイツと日本とのひどい差別待遇であります。ドイツは昨年六月以来相当家族を優遇しておりますし、戦争未亡人などが再婚いたしますときには、二、三万円の支度金が出ると言われております。それだのに日本人は健全だつた未亡人が身売りをして子育てをしなければならないという事態がやはり依然として続いております。何故そういう差別待遇をしなければならないかという理由が、筋が通らないと思いますのは、日本は十二歳、文化の発達の程度が遅れておりますために、遺家族を援護いたしますと、主人公を英雄に育てて軍国主義を再来させるからと言うのでありますけれども、さようなことに原因があるのだつたら、なお更一日も早くこの差別待遇は撤廃してもらいたいと思う。一億円の調査費を今頃出すのはすでに時期が遅うございますので、むしろ年末緊急対策といたしまして、百五十億かそこらの保護費を出したらいいのじやないかと思うのですが、如何でしようか。
  52. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 西ドイツと日本はおのずから占領方式が違つておりますので、何も一緒に議論することはできないと思います。而して日本におきまして、傷痍軍人或いは軍人遺家族に特別な措置が今までとられなかつたということは、総理大臣がたびたび申されたような理由であるのであります。而して平和を迎えるに当りましては、私は何をおいてもこのことは早急に実施する必要があるというので、補正予算には調査費を組んだのでございます。調査費を組んで今から調査する、こんなことはまどろつこしいじやないか、百五十億直ぐ出してくれというお話でございますが、本年内に百五十億出して来年はどうなりましよう。こういうことはよほど愼重に公平にやらなければならんので、三カ月や四カ月急ぐ必要はないと思います。
  53. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 お言葉を返すようでございますけれども、三カ月や四カ月が辛抱できない事態にございますので、成るべく急いで頂きたいと思います。  その次は主婦の間で外米でもいいからパンやうどんのクーポン制はどうも割高に付くから成るべく米で配給をたくさんするようにという要望が多いようでありますが、安本長官如何ですか。
  54. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) この点は日本の過去の食生活から言うと当然の要求でありますが、何と申しましても現在の日本の食糧の全体のうちに占める麦の割合が大体三割近くになつておると思います。どうしてもその範囲内においては麦の配給を了承して頂かなければ、全体的に不釣合になりますので、止むを得かないと思います。
  55. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 さつき労働大臣お尋ねいたした項目でございますけれども、職安の人たちは、どうも大蔵大臣がおつしやるように物価高で生活費が嵩んでおりますので、日給を引上げてくれというのですが、三百円くらいに引上げることはできないでございましようか。
  56. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 日雇労務者のかたがたにつきましては、一日の給与を引上げたいと思います。それから先ほどどこかで質問ございましたが、生活保護費も主食が八月から上りましたので、殖やすことにいたしております。
  57. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それから大蔵大臣お尋ねの最後は、生活保護法の金を増額なさることは急ぐと思います。やはり所得税免税点引上げたりなさいましたが、それはやはり国民の間の三分の一が恩典に浴するのであつて、あとの三分の二とは関係がございませんので、殊に生活保護費をもらつている階層の人たちは、生活費が嵩みますことは余計でございますので……。
  58. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国民のうち今回の所得税の減税で恩惠を蒙むる人は三分の一とおつしやいまするが、そんなものじやございません。三分の二以上が受けるのであります。而して生活保護費は先ほど申上げましたように、主食が上つた関係上殖やしております。ただこれを予算を修正しませんのは、既定の予算の枠内で賄えるから修正を出していないのでございます。
  59. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 次は文部大臣に伺います。今朝の新聞を拜見いたしますと、文部大臣が実践綱領を発表されておいでになります。終戰後国家思想が御破算になりましたけれども、これに代る徳育の基準が未だにはつきりいたしませんし、外来思想に対する消化も不十分であつて、今日の日本国民の思想の現状は、丁度明治二十三年頃教育勅語を発布された頃と同じように誠に動揺いたしたものであつて、何からの方法でこの徳育の基準というものを定めなければならない時期だと思つておりましたのに、その道の権威者である天野文相によつて、ともかくもこうしたまとまつたものを御発表頂いたことは誠に時宜にふさわしいと思うのですが、いずれ各方面の批判を受けつつ普遍、妥当、必然性のあるものに完成されて行くだろうと思うのですけれども、今朝掲げられたのは項目だけでございまして個人の道徳とか或いは家庭に対する道徳、或いは社会に対する道徳、国家に対する道徳というふうに、個々別々になつているのですけれども、この機会簡單でもいいから、お膝許におります私たちにちよつと御説明を頂きまんと、すでに各方面にアンケートなすつたらしてのだけれども、私たち余りよく存じませんので、それともう一つは、これを個々別々の徳目を一貫いたしまして、何かそこにただ一つの徳育の基準というようなものでも設ける必要はないでございましようか。
  60. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私はまだ実践要領……私の考えておるものを発表いたしてはおりませんです。今、自分はそれを作りつつあるものでございますが、この大体のことを申せば、そういうようなものは要らないという議論が社会に相当強いのです。私それも確かに理由があると思う。殊に知識階級のかたがたなどにとつては、そんなものが要るはずはないのです。けれども一般人たちにはそういうものを要求される人もあるかと私は思つておりますし、又現に私に向つてそういうものを是非作れと言われる国会議員のかたも、教育者も、又民間のかたにも非常に多いのでございます。それでも私もそういう要求に応じたいと、こう思つたのですが、ただ、どうかそれがいわゆる天降り的にならないように、今深川さんが勅語と比較されたことは非常に私が困ることであつて、そういう趣旨のものでは少しもなくて、一般のかたが生活して行かれるのに何かの生活指針というような、御参考になろう、なりたい、或いは又学校で生徒を教える先生がたの中にはそういう基準を参考にすることが御便宜かと、こういう考えから編纂するものであるという趣意において先ず御了承頂きたいと思います。少しも天降り的にやるのじやない、そういうただの参考にする、それには一体どういう方法でしたらよいかということを私も今苦慮いたしておる次第でございます。その内容につきましては、只今お話のように、我々が住んで行くのは個人である、私はこの日本の社会で個人ということが今まで十分自覚され育成されなかつたということが非常な欠点だと思つております。けれども個人は同時に家族である。家族の一員であり、家族は又社会の家族である。社会というのは常に国家というものを根柢に持つているものでございますから、そういう間に我々が生きて行くのにはどういうふうにしたらよかろうかということを、東西古今の優れたかたがたのお考えを参照して、そしてそういうものを体系付けようと試みたものでございます。で、その中心はどこにあるかというなら、私は個人の完成ということが最も重要なことだと考えております。従つて教育の標準とか、教育の基本的なものとか言えば、常に個人の完成ということだと考えております。大体そういうような趣意を以つ作つておるのでございます。
  61. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 次は、最近或る新聞に掲載されました学生の投書によりますと、私たちはふだん祖国を感じないから、祖国防衛という言葉すら何らの響きも持たない。守るに値することすら私は余りよく知らないというのがございましたが、これは一部の学生気質を代弁しているかと思うのですけれども、終戰後歴史教育がなくなつておりますが、新らしい正しい歴史教育が必要なのではないかと思いますが、文部大臣如何ですか。
  62. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) そういうように、自分の国という考えがなくなつているという事実はこれは私どもが反省する必要のある嚴粛な私は事実だと思うのです。なぜそういう事実が出て来たかとこう甲せば、御承知のように戰争中或いは戰前などは、ただ国家国家と言つて国家だけが一つのあるもので、個人というようなものはただ国家の方使に過ぎない、甚だしきに至れば物的資源であるとか、一銭五厘のはがきを出せばいつでも兵隊は出て来るとか、そういうような全く個人を無視した、甚だしい一つの間違つた考えが社会を支配していたということは御承知通りでございます。そういう考えが強かつたために、今度は反動として大切なものは個人だけなんだ、個人さえよければそれでよい、殊に個人の安楽というようなことさえよければそれでよいのだという非常に強い、それに対する一つのアンチテーゼという言葉を用いることが許されるならば、何と言つたらよろしいのでしようか、それに反した考え方ですね。そういうものが今国を支配していると思うのです。従つて若い人たちは何が国であるかいうことは少しもわからなくなつちやつた。祖国という考えもわからなくなつちやつた。ただあるものは個人、一切の社会の設備、国家、すべてこれは個人の方便だ、そういう考えが支配的になつたために起つて来たことなんでございます。従つてここに歴史というようなものをよく教えて、一体国家というものはどういう意味を持つておるものか、個人は常に個人でなくして、国民なんだという考えを強く社会に教えようという、そういう深川さんの御意見かと思いますが、それなら私は非常に賛成でございまして、その点もつと歴史教育ということをよく教え込まなければいけない。殊に歴史というものはどういうものであるかということをもつと一般に理解させることが必要だということについては全く同感でございます。
  63. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 最近日教組が要求貫徹の手段にストを採用するように議決されたようでありますが、学校の教員とストの関係につきまして文部大臣の御意見を伺いたいと思います。
  64. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 日教組は、これは労働組合ではございませんので、教員の任意団体でございまして、本来ストをやる権利はございません。従つて現在ストというような形は私起つておらないと思います。そう早く帰るとかいうようなことは、何か一部に起つたとかいうことを聞きましたが、私は教育者が社会の信用をなくなすというようなことがあつたんでは、これは一国が立つて行かなくなる。だからこれは非常に重大な問題だと思いますので、日教組の諸君とよく話をいたしまして、昨日も是非そういうことはやめてもらいたいということを申入れをいたして、懇談をいたしたような次第でございます。
  65. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 終戰後教育が教育委員会の手に任されまして、各府県まちまちのようでございますが、やはり国民思想を統一いたしますためにも、府県の教育委員会は今後廃止いたしまして、文部省で統一なさることが国民教育のためによいんじやないかしらと思います。殊に地方の特殊事情は、やはり教員によつて補うことにでもいたしまして、そのほうがいいんじやないかと思います。終戰後再び日本が戰争のできないような国にするというのがすべての占領政策の基礎であつたかと思いますが、簡單に国論が統一できて起ち上るということを極力防ぐのであつたのか、教育でも、財政でも、警察でも、中央集権から次第に地方分権に移つて来ておりますが、中には少々弊害があるのではないかしらと思います。この教育の問題につきまして……。
  66. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 今思想の統一ということをおつしやいましたが、これは非常に私は危險な言葉であつて、思想はむやみに統一してはいけないという考えを持つております。戰時中なんかはむやみに思想を統一しようという考え方がありましたが、私どもは絶対反対して来た人間で、思想統一というようなことについて更に深くお考えになる必要があるのではないか、教育委員会は作られてから三年いろいろの欠点もございますけれども、併し教育は自分らの手でやるんだ、こういう教育民主化という点について私は貢献したところも多いと思つております。だからその欠点はどこまでも直して行きますけれども、これは廃止するという考えは持つておりません。まして文部省が思想の統一をやろうなんという考えは全然持つておらないばかりでなく反対でございます。
  67. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 成人教育のことについてでございますけれども、最近東京都で調査いたしまたのによりますと、成人の中で三分の一はやはり成人教育を要望しております。それは産業再編成に伴う職業教育でもございますが、やはり忙がしい人が時代に遅れないために、何かの形でまとまつた常識教育を受けたいという意向であろうと思いますが、東京都のごとき例では、百一億の教育予算の中から一億しか割いておりませんけれども、こういう国民の意向を洞察いたしまして、やはり個人の完成ということが教育の基本となつておるようでございますから、成人をもつと再教育いたしますための設備が必要ではないかと思いますけれども、これに対してどういうお考えでございますか。
  68. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 全く同感でございまして、私は大学なんかも、もつと開放をして、そうして普通のかたが大学に行つて適当な講義が聞けるとか、或いは又大学は夜講義をやるとか、いろいろなことが必要だと思います。そうしてそれはすでに或る程度まで実現しております。大学ばかりでなく、ほかの学校でもいろいろな講習会をやつたり、講演会を開いたり、随分いろいろなことをいたしております。そのほか公民館とか図書館とか、婦人団体であるとかPTAとかそういうものを通じて一般の教養の向上ということに努めておりますけれども、私はまだその点が非常に不十分でありまして、もつとこれを徹底的にやらなければならない。最近にも成人学級というようなものにも私はもつと力を入れようと考えております。
  69. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 最後にいたしましよう。京都大学の事件につきまして、今後文相は何か教育につきましてお考えなつたことがございますか。
  70. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 京都大学の事件というものは、非常に残念なことだと思つております。こういうことが出ますと、何か京都大学が特別に学生の指導訓育ということに粗略であつたかのような感じを世間に与えますが、決して私はそうではない。これは今日本の敗戰下の非常な混乱の時期において、学生一般が非常に動搖をしておる。そういうときに当つて一部の人たちが或いは画策したかも知れませんし、どういうことか知りませんが、ああいう全く困つた残念な事件が起つて来たわけでございます。それから原因は、決して局部的なものでなくして、日本の置かれておる歴史的現実から出て来た非常に深い根拠を持つたものだと私は思つております。併しこれに対してどういう対策を持つかというならば、私は一方においては学生の生活をよくすることで、そのために私は年来育英資金の増額ということに盡力いたして参つておりますが、学生の生活を一方においてはよくする。他方においては教授諸君に、教授はただ研究者ではなくして、同時に教育者だという考えを持つてもらつて、よく学長に協力して学生を指導するということが必要だと思つております。又それについては、学生の数の非常に多いというようなことも私は考えて行かなきやならないのではないかという考えを今は持つております。
  71. 岩間正男

    ○岩間正男君 一、二点先ほどの深川議員の質問に関連して伺いたいのでありますが、第一に先ほど問題になりました文相によつて今起算されておりますところの国民実践要領の中には、天皇を道徳的な中心、こういうふうにするんだという條項が謳われておるんでありますが、ないのでありますかその点明らかにして頂きたい。
  72. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私は天皇が国民によつて拜まれるような対象になつてはいけないと思うのです。宗教的な対象ですね、そういうものにされてはいけない。天皇は人間なんでありますから、又天皇が権力の中心のような、天皇というものは何か権力を持つておるような考え方があつてはいけない。京都大学の学生のごときでさえ、それだけの知識人でさえ、すでに天皇が何かの権力を持つておるような考えを持つておるからして、そういうような宗教的な考え方、権力的な考え方、政治的な考え方、そういうものは排除して天皇は国民が親愛して行くべきだ、親しみ愛して行くべきものだという天皇の性格を明らかにすることがよいんだという考えを持つております。親愛というのは、人間と人間の関係でありますから、これは宗教的関係でもないし、主権在民でありますから、権力的な関係でもなくして、人間的関係即ち道徳的な関係だということはこれは明らかにすることがよいんだという考えであります。
  73. 岩間正男

    ○岩間正男君 私の伺つておるのは、今度の要領を今起草されておるものの中に、そういう関係を明らかにする、つまりこれは文相によつていつでも言われる道徳的中心であるというようなことを明らかにされておるのかどうか。そういうことがこの中に盛られておるのかどうかということを伺つたのでありますが、この点はどうですか。
  74. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 入れる考えでございます。
  75. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題は、私は又別な機会でいろいろお伺いしたいのでございますが、ただ一点だけこれに関連して伺つて置きたい。それはこの問題が発表されまして、過日本会議におきまして、この問題が文相の答弁として明らかにされますと、あらゆる新聞、あらゆる雑誌と言つていいほどこの問題に対しまして意見が出されておる。我々の眼に入りました意見では、未だ曾つて一度もこの説を支持したところの意見がないわけであります。天皇を中心に持つて行く、道徳的中心にするということについては非常にあらゆる新聞が反対しておるのです。大新聞の朝日新聞、毎日新聞、読売新聞のような大新聞までがこれに対して筆を揃えて社説を書いておる。或いは天声人語、いろいろなところでこの問題を取上げておる、又最近綜合雑誌におきまして、中央公論とか或いは大衆的な週刊朝日あたりでもこの問題を取上げておるのでありますが、殆んどこれに対して賛成の意見というものは見てない、支持しているのを見ないのであります。そうしますと現在の段階で先ほど文相が言われましたように、これを或る国民の中には、そういうものが欲しいと言つている人もあるかも知れないのでありますが、少くともジヤーナリズムを通したそういう世論というものは、圧倒的にこの問題に対しまして否定的な立場をとつておる。こういう立場に立つて考えますときに、文相が民主的な立場、そうしてそのような先頭に立つて、飽くまでもその世論の赴くところをこれは指導するという立場をとられることはよいと思うのでありますが、現在あくまでそういうような情勢になつているにもかかわらず、やはり自分としては文相としてこの実践要領を起草されて、これを何らかの方法で示されるというこういう決意を持つておられるのでありますか。これは日本の民主政治のあり方に対しまして非常に私は重要なる問題だと考えますので、この点伺つて置きたいと思います。
  76. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) それは私ども哲学などをやつておる者にとつては、道徳的中心ということは、決して道徳の中心というのじやないのであります。これは私が不用意だと自分は申すべきでございましよう。それを道徳的と言つたから道徳の中心というふうに皆さんがおとりなされたのです。けれども私は宗教的でもない、政治的でもない、権力でもない、文化的ということは言えないことはございませんが、文化的でもない。人間と人間との関係における親愛の対象という意味で道徳的と言つたんであります。若しこの私の真意を御了解されれば、私は知識人の諸君は挙げて私の説に御賛成下さることと思います。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がございませんので簡單に申上げますが、非常にその点あいまいだと思うのであります。親愛の中心としての道徳的というようなことは、これは私たちは天野哲学に詳しい造詣を持つておりませんので(笑声)この点甚だ……。併し日本の言葉の常識では判断のつかないような御説明だ。私のお尋ねしたいのはこういうことにつきましては、これはほかの機会でもつとお伺いするので、私の時間でございませんが、只今言いましたように、世論は挙げてそれをそういうような動きになつておるときに、その世論というものに対して敬虔な、率直なその意見を活かして、そうしてその上に立つて処置されるというのが、これが少くとも民衆の上に立つところの民主政治家としての当然の任務である。若しこういうものと離れてあくまでも自分の説というものを独断的になされて進められるというならば、これは明らかにそういうような民衆の方向から離反したところの行為であると断ぜざるを得ないのでありまして、この点どういうふうな文相として決意を持つておるか伺つておるのでありますから、その点に限つてお答え願います。
  78. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私の述べるところが明晰であるか不明晰であるか、皆さんが御非判定下さるだろうと思うのです。私は知識人は挙げて私の説明は明晰だとお考え頂くと思つております。だからして私はこの点には何も議論はない。けれども念のために私は自分の尊敬する数名の権威者に強くこの点をお尋ねをいたしたのであります。
  79. 山下義信

    ○山下義信君 京大事件につきましては、文相は何か責任をお感じになつておりますか、どうでしようか。
  80. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私は文部大臣として当然責任を感じております。
  81. 山下義信

    ○山下義信君 文部大臣がこの事件につきまして責任を感じておるということは私は非常にこれは重大であると存じます。文部大臣は如何なる意味におきまして責任をお感じになつておるのでありますか、その責任をお感じになります意義を承わりたいと存じます。
  82. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私は大学は自治でございますから直接の責任は感じておりません。けれどもやはり文教のことを預つている以上、平常からこういうことには十分注意をしてはおりますけれども、なお力及ばずこういう事件が起つたということについては、やはり道徳的な責任は感ずべきものではないかという考えであります。
  83. 山下義信

    ○山下義信君 文部大臣責任をお感じになりまする対象が明確でございません。大学の自治のあり方に対しての責任をお感じになるということは、これは一つの事務的な御答弁であろうかと思います。事件は天皇に対して大学生が集団的に或る種の行為に出たということであります。でありまするから、天皇に対してこの種の行動があつたということについて文部大臣責任をお感じになるのであるか。或いはただ單に大学の中のいろいろ事務的に手落ちがあつたという大学の中のあり方というものについての責任であるか。あなたの責任をお感じになる焦点はどこにあるかということを明確に願いたい。
  84. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 事務的のことは、只今申しましたように大学は自治であつてそちらに委せてあります。こういう事件が起つたということについて責任を感ずるわけであります。
  85. 山下義信

    ○山下義信君 やや明確になつたようであります。こういう事件が起きたということは、端的に申しましたらば、天皇に対して大学生が不敬とでもいうべき行為に出たということに対して責任をお感じになるのでありますか。
  86. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 不敬といつてよろしうございましようか、そういう事柄について責任を感ずるわけでございます。
  87. 山下義信

    ○山下義信君 大臣のお感じになりました責任は、如何なる形におきましてその責任をお果しになるというお考えでございますか。
  88. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 責任を如何なる形でとるかということは、私はまだ決意に到達いたしておりません。
  89. 山下義信

    ○山下義信君 事態が明確なんであり、どういう時期になりますると、あなたは文部大臣としてお感じになりましたその責任を明確におとりになる考えでありまするか、文教の責任者として御答弁を願いたいと思います。
  90. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) なおよく総理とも御相談申しまして、そうして適当に善処いたしたいと思います。
  91. 山田節男

    ○山田節男君 深川委員の問題に対する第一の点、只今岩間委員からも御質問ありましたが、今お話の、文相が言われた道徳綱領といいますか、これは今起草されているということでありますが、これが完成した後には公聽会を開くようなことになるのか、或いはそれともこれはそういうことをしないで文部省発行として出されるのか、或いは個人天野としてお出しになるのか、この点についてお伺いいたします。
  92. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私はこれはどうかしてそういう余りそれに権威付けないで、何か非常な権威をこれに持たせるということでなく、ただ国民一般人の参考に出そうというのでございます。だからその方法としたらどうしたら一番よいかということを考えておるわけでございます。まだその方法ははつきりと今結論に到達いたしておりません。
  93. 山田節男

    ○山田節男君 これは時期ははつきり申上げませんが、曾つて文部省が民主主義読本というものを出しておる、今日の世界のいわゆる民主国家におきまして、どこの文部省、どこの国の文部省を見ましても、政府がそういつたようなものをオーソライズして道徳基準、道徳綱領というものを示すというような例はありません。然るに文部大臣がそういつたようなものを今自分で起草しておられる。自分が或いは文部省の幹部のほうで起草しているのかも知れませんが、とにかく起草しておる、これは一つ政府の意思の決定である。道徳基準このスタンダードに対する一つの尺度を示すということになるのであります。その発行が如何なる形式において行われようともやはりこれは天野文相が主宰して作つたものであるということは間違いない事実であります。でこれはもう私が申すまでもなくこの社会道徳、個人道徳の低下、或いは個人の完成の実が上らないということは、これはいろいろなフアクターがあるのでありまして、教育も勿論これは重要でありますけれども、又生きる人間としては衣食足つて礼節を知ると、こういう社会保障的な政策の裏付けがなくては教育はできるものではない。明日の日も食えるか食えないようなものがたくさんおるところに、如何にあなたが立派な道徳綱領をお示しになつても、やはり犯罪は生きんがための本能のためには犯罪を犯すということになるのがこれは当然であります。又今日の文化国家の教育制度を見ますと決して政府が教育道徳ということに対しまして直接そういう基準を示すということはないのであります。民主々義の精神から申しましてもそういうことは絶対にあり得ない。然らばどういうわけで社会道徳或いは個人道徳の高揚に盡すかと申しますならば宗教政策がそれであります。或いは出版、映画、演劇のいわゆるセンジユアルなものがある。又その他幾多の面におきましても文部省として直接間接に社会道徳、個人の道徳の高揚については盡すべき道が幾らもある。そういうようなものに意を盡すということをしつかりやらないでおいて、道徳の一つの基準の綱領を文部省が示す、而もこれは文相のイニシアチヴによつて示すというのは、これはやはり今日の憲法下における民主々義国家日本としては誠に時代錯誤である、反民主々義思想であります。そこの見解は文部大臣としてどういうお気持か、先ほど来の質疑応答によりまして、あなたはやはり文部大臣として主宰し、起草され又発行してお出しになるやに想像するのであります。若しそういうことになりますれば日本の民主々義に対する一つの汚点を残すものである。そうでなくてほかの方面からやるべきである。御承知のようにキリスト教国におきましてはそんなことをしなくても毎日曜日に教会に行けばそういうことは極めて嚴重なる基準を示しておる。又映画におきましても演劇におきましても出版物におきましても全く今の日本におきまして文部省の政策というものはだらしがない。チヤタレーの恋というものを問題にいたしましても、こういうものは文部省としてそういう道徳政策で行けばどんどんやるべきである。そういうものをほつたらかして道徳基準を示す。又現在の政府は社会保障制度に全然誠意を示さないでおいて、そういう道徳綱領を示したところで食えない者は犯罪せざるを得ないわけです、こういうような直接、間接のフアクターがありますからして、そういうものに全然、全然とは申しませんけれども十分な力を用いないで説教してもこれは何にもならない、私はこういうように考えるのであります。特にこれは教育の專門家としての天野文相には釈迦に説法かも知れませんけれども、私はこの間二三カ月アメリカへ参りましてたまたま新らしい小学校の教育を見まして各州にモデル学校が幾つも作つてあります。そこに教師はいない、いわゆる先生はいない、各クラスの子供がみんなグループになりまして教師は一つの指導者に過ぎない、先生のいない学校というものが各州にモデル学校を大きな都市にはみんな作つております。こういう所を見ても個人の完成或いは社会道徳の高揚ということもこれは学校教育の組織なり、そういうようなお互いが切瑳琢磨するということは、一つは社会の世論というものがこれが健全であり、これが強くならなければとても教育というものは、個人道徳、社会道徳というものは挙らないと思うのでありますが、こういうものに対する天野文部大臣の文教政策の重要な一環としての道徳政策は、やはり今あなたがお考えになつていることが正しいとお考えになつているかどうか、この点について御回答願いたい。
  94. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私は欧米諸国と日本とではやはり事情の変つたものがあると思うのです。欧米諸国ではそういうものが要らないことはこれはキリスト教というものが普及いたしておりますから要らないけれども、日本にはそういう要求があるということは事実であります。非常な要求がある。例えばですね、ここにその人の名を挙げてもいいですが、世間で要求していると思うのです。でなお私はいろんな機会に、例えばわきから頼まれれば講演をすることもあります。いろんな機会自分考えを述べることがあります。それで同じようにこれをただ自分考えでございますが、併しそれがよく一般に通用するような考えを世間に私が述べるということは何も差支えないことではなかろうか。ただそれが前から申しておりますように、天降り的だとか官製だとかいうことになつてはいけないから、そういう点を今考慮してやろうと思つているわけでございます。
  95. 山田節男

    ○山田節男君 これは私なぜこういう質問をするかと申しますと、天野文相はリベラリストであります。自由主義者であります。曾ての軍国主義思想と鬪つた人であるから私はあえてこういう質問をしているのであります。而もあなたは哲学者ということを以て自認しておられる。哲学者というものと社会道徳というものは果してこれが一致するかどうか。あなたは哲学者としてお考えになればなし得るというお考えかも知れませんが、我々社会学を修め政治家という立場に立つて今日の国際情勢から見て、そういうように一片の紙に書いたものを国民に示してそれを国民全部それを拳々服膺するというような思想が、或いはあなたは哲学者としてえらいかも知れないが、文部大臣になつてそういつたような哲学思想をふり廻されることは、先ほどからも申上げましたように政治的にいわゆる民主主義から言えばこれは反民主々義である。そこをあなたはおわかりにならない。そういうような文部省が道徳綱領の基準を示すというその魂胆自体があなたは哲学者としてはジヤステフアイできるかも知れませんが、その及ぼす社会的な政治的な或いはイデオロギー的な効果というものを無視しておられるから、そういうことをおつしやるのであろうと思う。非常に危險なことであります。あなたは文部大臣、勿論政治家としても、社会道徳、個人道徳の面にあらゆる分野に活動すべきでありますけれども、文教の中心の文部省の而もその一番本元がそういう思想をお持ちになつているということは非常に危險であります。あなたは少数ではあるがそういうものを要求しているということをおつしやいますが、先ほど岩間委員も言われましたが今日のジヤーナリズムは必ずしもあなたのおつしやる通りにこれに迎合しておらない。こういうような点から見まして私はこれはリベラリストとしての天野文相のためにも、又哲学者としての天野文相としてもそういうようなことをしないで、文教政策を反民主々義に持つて行く、又極く少数の者が要求しているような考え方、社会道徳、個人道徳というものは、やはり物質的なフアクターに合致しなければできないものだ。これは今更申上げる必要はないと思う。あなたは文相になられて以来、天野文相の願われていることはうるわしく実にいさぎよいのでありますけれども、こういうことの片鱗を伺うと、今日のこの世界に類のない憲法を戴く民主的な教育政策の眼目としそういうことを示すということは、私は実に憂えざるも得ない。又こういうことを言う人は私は少いだろうと思う。でありますからして、私はこれ以上議論いたしませけれども、文部大臣天野、或いは文部省発行というようなことで、そういう道徳綱領をお示しになることは、これは控えられたほうが民主々義のために私は本当にいいと思うのであります。私は決してあなたから言質をとるというようなことはいたしませんが、あなたは哲学者としてはえらいかも知れませんが、政治学、社会学というものについては無知とは申しません、無知とは申し上げませんけれどもあなたは認識不足である。これは一つ謙遜にお考えになつてそういうことをお考えになるならば、殊にこれによつて影響を受ける青少年が再び敗戰前のような心理状態とし教育勅語、或いは修身、倫理、こういう観念に再び色が染まるということは、これは重大な、あなたの犯罪にも近いような大きな罪になるということを十分一つ御留意せられんことを申上げて私の文相に対します質問を終ります。これに対して何か文相の御意見があればお伺いしたいと思います。
  96. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) お考え私もよく考えてみるつもりであります。
  97. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 法務総裁がおみえになりませんので、法務総裁に対する質問の時間をとつておきませんといけませんので、私の文部大臣に対する質問はこれで終ります。
  98. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 法務総裁に対するあなたの質問の時間は留保しておくことにいたしますから。
  99. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 時間がありますので只今の問題に関連してちよつと簡單に一、二お伺いしたいと思いますが、先ほどの山下委員その他の委員へのお話によつて、文部大臣責任を感じ責任をとるというようなお答えだつたかと思いますが、その責任を感じられる、或いは責任をとられると言われた場合に、その責任の感じ方は、自分が文教の主管大臣であるから、そういう意味におきまして大学に起つたそういう問題に対して文教の責任者として責任を感じておるというようなお話であつたと思うのですが、私だちはこの問題はもつと單にそういう形式的な問題ではなくて、先ほどからいろいろ問題があるように、最近天野文部大臣が提唱されて天皇を道徳の中心であるというような方面に天皇を非常に顯揚されて来て、高く掲げて来られたという問題、或いはそれとも関連するかと思いますが、天皇の旅行の護衛その他に非常にものものしいものが最近になつて出て来つつある。そういう意味では権力の中心であつたり政治の中心であつたりするかのごとき錯覚を起させるような警備状況なり何なりをはやりつつある。それに加えて更に天野文部大臣がそういうふうな道徳の中心その他で問題を提起されて来ておられるので、そういうやりかたに対して学生諸君が非常な何といいますか、関心といいますか、不安を持つてこういうことが触発されたと見ていいのじやないか。私は学生諸君のあの行動に対して非常に非難すべきものがあり、我々自由主義者として、或いは民主々義者、そういう人たちがああいう形で抗議をすべきではないことは十分考えておりますし、そういう意味で学生諸君の責任も非常に大であると思うが、同時にああいう行動を触発した一つの要因にあなたのお考えなりあなたの最近の態度がなつていやしないか。警察の態度と同じように、それと競合しながらあなた自身の態度がそういうものを触発していやしないか。そういうふうに私たちは考える場合に、学生諸君が悪いと同時に、あなた自身がそういうことを触発したそういう意味責任をお感じにならなければならないと私たちは思うのでありますが、その点をどういうふうにお考えになつておりますか。
  100. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 只今も道徳の中心と言われましたが、私は道徳の中心と言つたことはございません。
  101. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは道徳的と直します。
  102. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) なお御意見はよく自分も反省してみます。
  103. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会