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政府委員(増原
恵吉君)
警察予備隊関係は、このたびの追加更正
予算として、約百五十億をお願いいたしておるわけであります。これに関連をしまして、若干御
説明をいたしたいと思います。
警察予備隊は昨年の八月十日に発足をいたしましたので一年数カ月を経過いたしたのであります。発足をいたしましたのが朝鮮事変の勃発の直後、国内的に治安
関係につき相当
考慮すべき時期であると認定をされまして、連合軍総司令官の書簡に基いて発足をいたしたものであります。隊員の募集等につきましても、従いまして急速にこれを充足すべしという命令が又総司令部より発せられまして、当時としては相当にむずかしい
條件の中を強行をいたしましたようなわけであります。併しながら志願者は
相当数に達しまして、七万四千名の一般隊員を
比較的満足すべき状態で選拔任命をすることができたわけであります。約一千名は幹部の
採用といたしまして、そのうち二百名を特別選考任用、八百名は幹部としての一般募集任用というふうな措置をとりまして進めて参
つたわけでありまするが、当初は幹部の任命が遅れまして、一般隊員は昨年の十月上旬に七万四千名揃いましたが、幹部は当時はまだおらないというふうな状況でありまして、一般部隊の編成並びに統率、
教養、訓練など、非常に困難をいたしたのでありまするが、その後幹部の一般募集及び特別任用に
努力をいたしまして、十二月の初めには各部隊の長、これも正規の任命というまでにはまだ至りませんでしたが、一応任命をすることができまして、その後本年の五月一日に編成を完了するというふうな手続に
なつて、
事態を進行して参
つたのであります。
訓練は第一回を十三週訓練ということで基礎訓練を行いまして、第二回、第三回は十八週訓練、この第三回の訓練を終りまして、
只今は第四期の訓練に入
つておるわけであります。第一期は基礎訓練を行いまして、第二期は小部隊の訓練、第三期に大隊までの訓練を行いまして、現在の第四期は、いろいろの特技、
通信、経理、医務等、いろいろの特技と総合訓練をやる段取りで進行いたしておるわけであります。各種
学校を造ることが従いまして必要に
なつて参
つたのでありますが、現在までは、当初部隊を全面的に置いておりました久里浜に総隊
学校を設置いたしまして、この総隊
学校で各種の科目について
学校としての教科訓練を行
なつているほか、越中島にありまする総隊
本部にも
学校としてのコースの開設をいたしたいという状態であります。そうしてこれは第四期訓練及び以後の訓練に即応いたしまして、各種の
学校をなお急速に整備をして行かなければならんというふうな状態に
なつているのであります。幹部編成につきましては、当初は
只今申上げました約七万四千名は一般隊員として募集をいたしましたが、その中で試験をいたしまして、試験に合格をした者から幹部を任用をいたしたわけであります。約これが三千名であります。二百名の特別
採用と八百名、幹部としての募集者の中からは約八百名くらいを今まで
採用いたしたのであります。そのほかに八月四日に旧陸士、海兵等の卒業者で、昨年暮にパージの解除になりました
人たちを約二百五十名を
採用をいたしまして、この
人たちは二カ月の講習を終りまして、今各部隊等に
配属をされておるわけであります。そのほかに旧陸軍、海軍等の正規将校で、七、八月に解除になりました人々、中佐、少佐、等の階級にありました人約四百名を十月一日に
採用をいたしまして、これは予備隊の階級としては一等
警察正、二等
警察正、
警察士長という階級に
採用をいたしまして、二カ月の訓練を久里浜において
只今執行中であります。なおこれに続きまして、旧正規軍人で最近解除になりました大尉、中尉、少尉の諸君を約四百名
採用をいたすことになりまして、現在その手続進行中でありまするが、十二月五日久里浜の総体
学校に入隊をせしめたい、そういう運びに相成
つておるのであります。こうした人々を
採用いたしましたのは、幹部の
採用を従前とも特別の
採用、或いは幹部としての一般募集等を行
なつて参りましたが、これを以て十分に幹部の充足ができない実状にありましたのと、幸い追放が解除になりましたので、そうした
人たちのうち思想堅実、将来予備隊の幹部として適当な人々を選拔をいたしまして
採用をし、予備隊の幹部陣の充実をいたしたいという意図に出たものであります。現在予備隊は発足の当初、今申しました非常に急いで一般隊員七万四千を充足をし、その後
関係方面との連絡その他でいろいろ手間取
つた関係もありまして、或いは
給與のことがなかなか本きまりにならないとか、幹部の選拔試験、一般隊員として募集した人の中からの
採用と、幹部の選拔、その他或いは隊長たるべき人々の選拔等がいろいろの
事情でだんだんと遅れましたために、当初は隊員の中にも不安、不満、動搖等が見られまして、編成、訓練上相当心配をいたしたのでありますが、幹部選拔を終り、本年五月一日全体の編成を終り、その後引続き訓練を実施いたしておりますし、現在においては各部隊ともおおむね秩序も立ち、士気も旺盛になり、毎日の訓練にいそしんでいるのでありまして、大体隊員の訓練についてはほぼ期待するところに達している状態であります。部隊の配置は現在四十一カ所に
なつておりまするが この部隊の配置は当初予備隊の編成を急ぎました
関係上、最初は主として米軍の用いておりまするキヤンプで不用のものを借りてこれに入
つたというふうな状態でありました。その後その借りてお
つたキヤンプの返還をしてもらいたいという申出が、それも時間的な余裕が余りないという申出がありまして、急いで既存のいろいろの建物を利用するということの配置替えを行な
つたのであります。その後四つの管区総
本部はいずれも
予算を頂きまして新設をいたしまして、
東京は練馬、北海道は札幌、近畿方面は伊丹、九州は福岡、大体竣工、及び竣工に近い状況であります。十二月初め頃までには全部これに移転できるような運びに
なつておりますが、この四つを新設いたしましたほかに、函館と青森と秋田に営舎の新設をいたしました。秋田を除く二カ所は竣工いたしまして、
只今転換配置をいたしておるのであります。そのほかは旧工場等を利用いたしましたもの、或いは旧
国家施設、旧軍
施設が多いのでありますが、
国家施設の利用をして入
つておるのであります。従いまして、予備隊の配置は当初より治安
関係、治安
警備の
関係、交通の
情勢、附近の産業、その他の重要度等を勘案をして計画的に配置をするというわけに残念ながら参りませんで、既存の建物をそれも時間的な余裕もなく早急に活用するというふうなことであ
つたわけであります。従いまして、その後新設の七つのものにつきましては、諸種の点を
考慮して新設をいたしたのでありまするが、その他のものについても配備の
関係が恒久的な理想的なものとは残念ながら言えないのでありまするが、
予算その他の
関係上急速にこれを転換するというふうな運びはなかなかなしがたいような状態に
なつているのであります。
現在
装備として持
つておりますのは、武器は全部米軍のほうから、貸與をされておるのでありまするが、
カービン銃という騎銃が大体これは
全員に渡
つております。そのほかは昔の日本の小銃のようなMRライフルというものと、数種の機関銃、それから六十ミリの追撃砲、二・三六インチの普通バズーカ砲と言うておりまするが、携帯無反動砲というふうな種類のものでありまするが、そういう軽
装備をいたしておるわけであります。これらのものはいずれも米軍から貸與をされ、射撃に使いまする弾薬等も支給をされておらない状態であります。
装備の中で相当
経費のかかりまするものは
車両でありまするが、現在普通トラックが一千六百五十両、ダンプ自動車が五十両、トラクター十両というふうなものを現在備え付けておりまするが、これは本
年度予算及びお願いする追加更正
予算で更に充実をいたさなければならんというふうに考えておるのであります。
隊員の健康維持の
関係は、当初はなかなか思うに任せなか
つたのでありまするが、次第に整備をされて参りまして、各部隊に医務の幹部を配置をしまして、おおむね自隊において診療をいたすような配置に
なつて参
つたのでありまするが、非常に残念なことには医務の幹部がいろいろと手を盡してや
つておりまするが、志望者が少くて、我我の所要目標からいたしますると、一部分にしか当らないという現在の状態であります。この点はなお
努力をして参りたいと思
つておるのであります。医務の幹部の揃いません間は、所在の国立病院、療養所その他の病院等と医療契約を結んで医療に当
つておるのであります。現在は軽患者は自隊の医務官において治療をする、入院を要するようなものはやはり最寄りの国立病院その他の病院と契約をして、そこに
收容をするという
方針をと
つておるわけであります。
このたびお願いをいたしました百五十億の追加更正
予算でありまするが、予備隊の
予算は御
承知の
通り当初昨年政令によりまして二百億円を国債費から移用をして初
年度の
経費を賄
つたわけであります。これによりまして、一般隊員の募集費用も馬鹿になりませんで、一人頭一万円見当を要したのでありまするが、被服、個人
装備、寝具、事務用品などの調達、それから隊員を
收容するための宿舍
施設の応急修理、
増築等を実施をいたしたのであります。これは非常に
事情上急を要し、いろいろ困難があ
つたのでありまするが、一部は米軍の好意によりまして、接收中のキヤンプを利用したり、一部は国有財産である旧軍用
施設、若干のものは民間工場等を利用をして入
つたわけであります。現在まで昨
年度経費で行いましたものは隊員の居住
施設を応急的に賄うということが重点でありまして、武器庫、彈薬庫、倉庫などの整備であるとか、射撃場、訓練場、
通信施設、補給厰、病院、
学校というふうなものは挙げて二十六
年度以降に讓らざるを得なか
つた状態であります。なお居住
施設も十分とは参りません。二十六
年度以降におきまして、補修、建増し、その他をしなければならん部分が相当にあるわけであります。物品の調達は昨
年度当初におきましては部隊の幹部が揃わないうちに事を始めなければならん状態に追い込まれまして、極く最初の調弁は
国家地方警察において調弁をしてもら
つたのでありまするが、次の段階は事実上顧問でありまする
関係米軍の民事局の
人たちでありまするが、この
人たちの手によ
つて調弁をせざるを得ないという時期があ
つたわけであります。昨年の十二月一応幹部の充実を終りまして、総隊総監部におきまして、予備隊の物品を計画に従いまして調達をするという段階をとるように相成
つたわけであります。本
年度二十六
年度の当初
予算は百六十億でありまするが、この
予算の計画を立てまするのは昨年の十月、十一月という候でございまして、発足当初の諸種の
事情に追われ、又予備隊の編成、
装備についての十分の研究と成果が得られない
事態でありましたので、一々細かい
資料に基いて
予算を組み上げ、これを大蔵省に提出をする、国会の御審議を仰ぐということがまだ十分にできがたい状態でありました。総額百六十億というふうにな
つたわけであります。このうちで物品の調達費は四十四億円、
施設費は十七億円であります。物品費は
車両、被服、工具、
通信機械、衛生材料というふうなものを昨
年度二百億に続いて
装備の充実を第一義として当
つて参
つたわけであります。昨
年度の二百億でかかりました営舍の新設につきましても、二十六
年度引続いて工事を追加すべきものもありまして、十七億の中にはそうした継続工事費約四億円を合せまして、既設の各営舍の修理改造、これはボイラーであるとか給水であるとか、簡易診療室、隊員の宿舍間切りというふうなもの、或いは有線、無線の
通信施設を予定いたしまして、現在
予算執行の途上にあるわけであります。本
年度の
予算編成後
装備の充実、
施設の整備につきましてだんだんと研究をいたしまして、部隊
装備の充実の促進、各種の訓練用の資材、
車両、被服等の修理器材、その他所要物品の整備、それから射撃場、訓練場、補給厰、病院、研究所などの整備計画を緩急順序に応じまして具体化する必要を痛感をいたして参
つたわけであります。時、丁度講和條約が調印をせられ、この時期に処して国内治安態勢の整備を要請をせらるるときにも際会をいたしましたので、予備隊におきましても、訓練の向上、
装備の充実、
施設の最小限度の整備等の速度を早める必要を認めまして、
補正予算を提出して審議を願うわけであります。
補正予算の総額は百五十億円でありまするが、うち五億四千万円は
給與改善費でありまして、これは二十六
年度本
予算におきまする欠員等のため生じました
給與財源の余裕等を合せまして、一般公務員の
給與改善と釣合いのとれました
給與改善を行うためのものであります。物品費は総額百四億六千万円であります。これは前に述べました
装備費の充実を計画したものであります。主なものを申しますると、有線、無線の
通信機械器具、測量用具、空気圧搾機、クレーン・ブルトーザ等の
施設、工具用具、トレーラー、トラツクなどの
車両、各種修理用機械器具、衛生材料、その他部隊
活動に必要なテント、背負幕、野外幕、その他の備品類であります。火器、彈薬等は先ほど申上げました
通り米軍のものを貸與され、或いは使用をしておりますので、計上をいたしておりません。
施設に要する
経費は四十億でありまして、各部隊及び補給厰における
装備修理工場、その他各種
施設の整備、
学校の新設、射撃場、訓練場の整備などに必要な
経費でございます。大変簡單でございますが、以上御
説明をいたしました。