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1951-11-06 第12回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月六日(火曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君            小野 義夫君            加納 金助君            郡  祐一君            白波瀬米吉君            一松 政二君            深水 六郎君            溝淵 春次君            山本 米治君            荒木正三郎君            内村 清次君            小酒井義男君            松浦 清一君            飯島連次郎君            高良 とみ君            小林 政夫君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   政府委員    特別調達庁長官 根道 廣吉君    特別調達庁長官    官房長     辻村 義知君    特別調達庁財務    部長      川田 三郎君    特別調達庁管理    部長      長岡 伊八君    特別調達庁労務    部長      中村 文彦君    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    食糧庁長官   安孫子藤吉君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君   説明員    農林省統計調査    部管理課長   庄野五一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)   —————————————
  2. 岩間正男

    理事岩間正男君) では只今から予算委員会を開会いたします。  今日は特別調達庁のほうから見えておりますので、終戦処理費につきまして説明を願いたいと思います。
  3. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 総理府所管特別調達庁終戦処理費関係補正予算について各項別に御説明申上げます。  第一番に終戦処理事務費でございます。これは特別調達庁部内庁費となる経費でありまして、当初予算は十三億四千百二万七千円でありまするが、今回の補正予算増加する分は職員給与改善等のため一億一千九百六十二万四千円、行政整理に伴う退職者に対する退官退職手当として一億五百五十七万五千円であります。又減少いたします分としては既定旅費及び物件費節約として一千三百二十万七千円、行政整理に伴う既定人件費節約として一千百三万九千円が計上されたのでございます。差引いたしますと、二億九十五万三千円の増加と相成ります。  第二に、終戦処理附帯事務費でございます。これは終戦処理業務に直接附帯する事務を賄う経費で、その主なるものは連合国軍に提供する直傭労務者管理するための経費爆薬処理のための事務費等でありまして、当初予算は六億九千五百五十四万一千円でありますが、今回補正予算として増加する分といたしましては、終戦処理事務を委託しておる地方公共団体職員給与を改善するため六千六百十五万八千円、労務者宿舎管理のため三百四十一万二千円、同じく労務者宿舎の建設のため四百九十七万六千円であります。減少する分といたしましては、既定旅費及び物件費節約として四十三万三千円が計上されております。差引いたしますと、七千四百十一万三千円の増加に相成ります。  第三番目には終戦処理事業費でございます。この経費連合国軍から要求される労務の提供、各種施設の工事及び維持管理、不動産その他物件購入及び借上げ、鉄道及び通信施設利用対価等に支払れるもので、当初予算は九百九十九億八千万円でありますが、本年七月より終戦処理事業費日米共同負担措置がきまりまして、特に米軍関係労務費全額ドル負担と相成りまして、特別調達資金制度の下に、終戦処理費とは別個に運営されております。かかる措置によりまして、終戦処理事業費は百七十五億円が不用となりますので、今回これを減額いたします。  第四番目には、終戦処理業務費でございます。これは占領目的達成のため日本政府要求される事項を実施するため終戦処理事業費以外に必要とする経費でございまして、今回補正を要しまする分は次の通りであります。その一は、爆薬処理費でございます。終戦時から現在までに発見されました爆薬兵器類処理に要する経費でございまして、昭和二十六年度当初予算は七千百七十八万一千円でありまするが、このたび関係方面の指示によりまして発見されました爆薬兵器類は全国十カ所の解撤工場に係中いたしまして処理することと相成りましたので、これに要する輸送費等として三百三十一万六千円の増額であります。その二は、戦犯裁判所費であります。この経費連合国が行う戦争犯罪人に対する裁判弁護人等派遣のための経費でありまして、主としてマヌス島で行われた濠州関係戦犯裁判経費でありまして、当初予算七百九十九万二千円より既定物件費節約するため一万二千円を減額いたします。その三は終戦処理業務補償費でございます。この経費連合国軍に接収されました土地、事務所、住宅等が接収解除されました場合の原状回復に要する費用の補償及び連合国軍実弾射撃演習等のために使用制限を受けました漁場に対する補償並びに連合国軍将兵による自動車事故その他の損害に対する見舞金であります。当初予算としては四億五千九百十七万九千円を計上いたしております。今回補正予算として増額いたします分は、その一として、平和條約締結に伴い増加を予想される使用解除財産のための補償、その二は、接収中の財産原状回復費買上価格より大なるもの又は接収解除困難なるもの等に対する買取に要する経費、第三には、連合国軍演習のため使用制限を受けた漁場に対する補償費追加額、第四には、連合国軍将兵による自動車事故等見舞金基準引上に伴う追加等でありまして、これに対しまして、十三億七千五百六十万五千円を増額いたします。同じく終戦処理業務費のうちの第四番目といたしまして、終戦処理業務諸費というものがございます。連合国軍に提供する英文官報等購入金でございまして、当初七百五十万八千円を計上いたしておりまするが、これの節約分として、三十七万五千円を減額いたします。  項目の第五といたしましては、特別調達資金への繰入でございます。特別調達資金設置令昭和二十六年政令第二百五号)第三條に基きまして、一般会計より同資金へ繰入れるものであります。現在は同令附則によりまして、国庫余裕金の繰替使用をいたしておりまするので、繰入後は直ちにこれを返済することに相成ります。  項目の御説明は大体これで終りましたが、以上を合計いたしますと、追加増額いたします分は九十一億七千八百六十六万六千円でありまして、修正減少いたします分は、百七十五億二千五百六万六千円でありまして、差引八十三億四千六百四十万円の減額となつておるのでございます。以上を以ちまして大略御説明をいたしました。
  4. 岩間正男

    理事岩間正男君) 只今説明に対して御質問はございませんか。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の御説明連合国軍実弾射撃演習等のために使用制限を受けた漁場に対する補償追加額補正増額しておられると思うのですが、これは二十六年度当初予算にはどれくらいお組みになつていたか。それから追加額としてどれくらいをお見込みになつておるか。それからすでに補償現実に行われた額及び箇所等々がどういうふうになつておりますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  6. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 今の問題につきましては、本日午前衆議院の水産委員会において、その説明に当りました川田政府委員説明させたいと思います。
  7. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 連合国軍演習等によりまして使用制限を受けました漁場に対する補償の大要を御説明申上げます。  二十六年度の当初予算といたしまして成立いたしましたのは五千万円であります。これにつきまして、当初農林省水産庁等からの予算要求は三億四千百六十三万円でありました。これにつきまして当時の演習状況等から一応二十六年度予算としては五千万円という予算査定なつた次第でありますが、現在漁業者方面からの強い要望もありますのと、その後の演習状況予算提案当時の見込みと違いまして、依然として各地において演習が行われ、その損害も又同情に値いするものでございますので、今回特別調達庁といたしましては、当初の三千四百万円の予算要求の線を更に大蔵省折衝をいたしまして、今回の補正予算の編成に当りましては、業務費増加額といたしましては十三億七千三百万円余を提案する次第になつたわけでございます。この十三億の予算が幸いに成立いたしました場合に、漁業補償の面に如何ほどの予算額配分するかという点が、現在国庫当局たる大蔵省主計局特別調達庁の間において折衝段階にあるのでございますが、この補償費対象となつておりまするものが他にもございまして、この配分につきましては、実際の損害額を各担当の省庁より資料を現在集めておりますので、その集まりました資料によりまして、幸いに成立いたしました場合には、この十三億七千三百万余円のものを慎重に配分いたしたいと存じております。又二十四年度以前に属しまする損害については二十五年度予算において補償をいたしました、その実績は合計一億二千四百万円であります。これに対して本年の金額は僅か五千万円であるわけでありますが、対象となりますものは二十五年度中に生じた損害でありまして、今後十分業界の意向を聞き、且つ担当水産庁当局意見も聞きまして、配分については慎重を期し、かかる損害を受けた業者に対して十分ならざるものありと言いましても、全体から見て公平な補償を実現できるよう予算配分に努力する考えでございます。
  8. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 二十五年度、当初五千万円組んでおられて、二十六年度に生じた損害に対する補償現実に行われ、今までに実施されたのは幾らぐらいありますか。
  9. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 二十五年度として切離した補償をしておりませんので、二十四年までに起つたものを二十五年度の一億二千四百万円で補償した次第であります。
  10. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 さつきのお話では当初予算としては五千万円を補償費として組んだというふうにお聞きしたのですが、それは違うのですか。今のお話の二十四年度分までの災害に対して一億二千四百万円だけ、すでに補償済だというお話ですが、その数字との関係はどういうわけですか。
  11. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 二十四年度までの分が一億二千四百万円であります。それから二十五年度の分といたしまして、二十六年度予算に組んだものが五千万円でございます。
  12. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、二十四年度までの分として一億二千四百万円組んでおられて、二十六年度には二十五年度に実際に生じた災害分として五千万円を組んでおられるというわけですね。
  13. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) さようであります。
  14. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、二十四年度までにすでに一億二千四百万円あるのに、二十五年度、更には二十五年の朝鮮動乱以後というようなものは却つて演習が多くなり、従つて演習による損害は殖えたと思うのですが、そうであるにもかかわらず、二十五年度損害分として五千万円しかとつていない、或は二十六年度当然に出るはずのものを二十六年の起るべき災害の分としては殆んど資金考えておられないというのはどういうわけなんですか。
  15. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 補償をいたします年度損害のありました年度と一年度ずつズレております。従つて私が先ほど五千万円と申しましたものの対象は二十五年度損害であります。二十六年度損害につきましては、二十七年度予算に組む関係になります。従つて朝鮮事変による損害が多かつたと思われる二十五年度損害について未だに五千万円の予算しか成立しておらない関係になりますが、この点につきましては、特別調達庁水産庁意見を入れまして、三億四千百六十三万円の予算要求を二十六年度当初においてはいたしたわけであります。他の補償要求との振合い等から、一応五千万円という二十六年度当初予算額が決定いたしたのでありまして、今回これを追加補償するために……、追加補償と申しましたのはいささか違いますが、追加予算額を加えまして、二十五年度損害補償するために十三億という業務費増加要求をいたしております。その十三億のうちには他の損害も含まれておりますので、五千万円にどれだけの追加配分がなされるかという点が現在国庫当局との折衝事項になつておる次第であります。
  16. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、二十五年度損害を大体どれくらいとお見込になつているのか、二十六年度は更にそれが殖えて来ていると我々は考えるのですが、二十六年度、今までに生じた災害をどれくらい組んでおられるのか、その辺をもう少し、……。
  17. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 二十五年度に生じました損害につきましては、三億四千という線で、私どもは現在処理をしようとしておる実損額がどれだけあるかということにつきましては、水産庁側資料によつて水産庁が検討いたしまして、予算所管庁たる特別調達庁に対しまして、この三億四千の要求をした次第でありまして、実損額として業界から要望されておる額とは幾分開きがあるとは存じます。それから昭和二十六年中に制限を受けました損害額については、現在のところ水産庁に本年の五月に一度資料を集めまして、現在まだ資料が集まりつつある状態でありますので、今日この席において幾ばくというお答えがまだできない次第であります。
  18. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この問題は最近この五、六カ月になつて更に特に甚だしい状態になつているように我々聞いておりますので、是非一つ今おつしやつた十三億何がしの資金から、その相当な部分漁業災害補償に充てるということに御努力を願いたいと思います。と申しますのは、今のお話を聞きますと、当初予算におきましては、補償費全額として四億五千九百万円あつたうちから、僅かに水産のほうには五千万円しか廻らなかつたというような状態じやないかと思うのですが、同じような比率で行きますと、十三億仮に全体としておとりになつていても、水産関係には非常に少いものしか割当てられないじやないか、ところが最近のこれによつて受ける損害は非常に大きいのであるということを聞き及んでおりますので、その点を是非特別に考えて頂く、それからもう一つはお願いをしたいのは、これはどこの所管になるか知れませんが、損害を受けてから補償をするというのでは遅いのであつて、我々はそういう同情その他によつて涙金をもらうということではなくて、むしろそういう漁民諸君の民生安定のために妨げになるような漁場演習をすることに対しては絶対に反対をいたしたいと思う。そういう意味において、そういう意味での掛合を一つ強力にして頂きたい。これは非常に技術的にお考え願えば、漁場をずらすことはそう無理でない。にもかかわらず、そういう働きかけなり、そういう要求が何ら強くなされていないために、そういう事情を無視して、殆んど漁民が日常の生活に困つているというような状況でありますので、その点を一つ是非強硬に折衝して頂きたい。これは政府のどこの部でおやりになるのかわかりませんが、この点について政府のしつかりした御答弁を願いたいと思います。
  19. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今の漁区の問題につきましては、所管省たる農林省において軍当局とそれぞれ折衝中であるということで御了承願いたいと思います。
  20. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 連合国軍演習のために使用制限を受けた漁場に対する補償でございますけれども、今までも全然漁業はできなくなつたような漁民で、一番たくさんもらつた補償金でどのくらいになつておるのか。
  21. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 誠に適切な御質問でありますが、只今その配分内容については、特別調達庁といたしましてはお答えする資料がないわけでございまして、水産庁のほうにはそれはあるかもわかりません。
  22. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 連合国軍将兵による自動車事故等による見舞金基準の額ですが、今までこの災害によりまして死亡した日本人でどれくらいもらいましたか、又それを今後どのくらいに引上げるつもりですか。
  23. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 連合国軍事故によりまして死亡いたされましたかたちの見舞金は、現在死亡の際は一人二十万円以内という基準で、大体その満度まで補償されております。併しこれは補償にはならないわけであります。全くお見舞であります。なおこの点につきましては、二十七年度予算提案に当りましては、所管厚生省になりますのですが、厚生省とも協議をいたしまして、財政の許します範囲において、更にその基準引上げたいと折角国庫当局折衝中でございます。
  24. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは大蔵省のほうにお願いしたほうがいいかも知れませんが、終戦処理費日米協同負担措置、特にこれがアメリカ会計年度から特に実施するに至つた理由経緯それらについて御説明を願いたいと思います。
  25. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 米国政府共同負担開始が、今後本年より七月一日、どういうわけであるかということでございますが、私ども想像いたしまするのに、時たまたま講和の時期も近付きまして、占領が近く終了され、その間におきまして日本政府財政状況ということにも米国政府として考えをいたし、且つその当時より、若し将来米国政府軍隊等日本政府に、日本の地域内に置く場合に、その部隊等が使う日本人経費は、将来にあつては当然に米国政府が持つべきことであろうと考えるのであります。そうしていろいろなことを勘案した結果、時あたかも米国会計年度開始に当りますので、その時期を選んで先ず労務費負担をするというふうに決定されたものと心得ております。
  26. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 大蔵省のほうにもつとその点詳しく御説明願いたいと思います。
  27. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 只今根道長官から御説明があつた通りでありまして、米国側でいろいろな観点を考慮せられた結果、この七月一日から向う会計年度の切替になつております次第でありますので、七月から新たな制度が始められた、かようなことに相成つたわけであります。どういう経緯で、どういう考え方であるかと、こういうお尋ねでありますが、私ども司令部から、七月一日からかようなことに切替える方針であるという方針の示達を受けまして、その方針に則りまして、基金予算の設定でありますとか、その受入の手続きでございますとか、そういう事柄につきましては事務処理をいたしたのでありますが、何が故に、又どういう考え方であろうかということにつきましては、直接には承知をいたしておりません。恐らくは今根道長官からお話のございましたように、将来決定せらるべき米国軍経費分担関係等をも米国側におきまして考慮いたしまして、それまでの制度移り変り一つ段階として現われて来たのではなかろうかと思いまするが、それらのことも全然私ども想像でございまして、責任を持つてこういう経緯、こういう考え方内容であるというようなことは申上げるまでの知識を持合わしておりません次第でございます。
  28. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それはおかしいので、政府のほうで特別調達資金設置令をお出しになる場合に、その基本になる司令部覚書をもらつておられるわけです。その覚書を受取られた場合に、それがどういう意味で、どういう趣旨でそういう覚書が出たかというようなことは、それを折衝されるときに詳しくいろいろお聞きになつておるはずだと思うのでありますが、それらの点について、もう少しその事情を詳しく御説明を願いたい。特に七月一日で以て対日援助の額が全部打切られておるわけです。それらの関連も考えられておるのかどうか。その辺も合せてもう少し詳しく御説明願いたい。
  29. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お答えを申上げます。勿論私ども存じておりますることでございますれば、お尋ねに応じまして、承知いたしておりまする限り詳細お答えを申上げなければならないのでございまするが、実情は先ほども申上げました通り、先方の司令部正式指令書を受領いたしまして、それに伴いまして、私どもといたしまして、いろいろと手続をいたしたにとどまつておる次第でございます。それは先ほども恐らくは将来の経費分担に対する移り変り一つ段階という意味において考えておるのじやなかろうかと申上げましたのも、実は私ども想像にとどまるわけでありまして、米国側が果して如何なる考え方をいたしておるか、又どういう工合でこういう決定になつたかというような経緯につきましては、これ以上別に申上げるだけの知識もございませんので御了承頂きたいと思います。
  30. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは今までこつちがまるまる持つていたやつを向うが若干負担するというのですから、それはどうも有難うと言つて理由経緯と何にも聞くことなしにお引受けになつても、まあ或いは文句はないのかも知れませんが、原則的にはそのことに賛成であるとすれば、どういうものを分担するかとか、どういう比率において、特にどういう金額において分担をするかというような問題になれば、日本政府側からもいろいろな意向なり、主張なり、要求もあつたはずですし、向うからただ単に手紙一本もらつて、それでそうですかと簡単に引下るべき問題でもないと思うのですが、特に七十五億というような金額までおきめになつておるのですから、それと関連して分担の問題が必ずや問題になつておるはずと思うのですが、もう少しその点を詳しく御説明願いたい。
  31. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お答え申上げます。経費分担金額につきましてお答え申上げますると、御承知通り特別調達資金によりまして支弁をいたしまするものは、労務費を一応この基金で支払いまして、支払いましたあとアメリカ側からドルによりまして支払いました労務費資金の償還を受ける、こういう仕組みに相成つておりますることは御承知通りでございます。それで大体の経費分担の見当といたしましては、労務費を中心にいたしまして、その他の経費若干のものを向うが持ち、残るものを日本側で持ちまして、極く大ざつぱに申上げまして、半々の負担になつておる。金額につきましては、さような大体の仕組み乃至目標を以て運営いたされておる次第でございます。
  32. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それならば予算説明に出ておる、米国が全額負担するもの、米国が一部負担するもの、それらを金額にしてどれくらいになつているのか。それからそれはドルで払うわけですか。
  33. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) アメリカ側経費負担の方法は、いわゆる特別調達資金を経由いたしまするところの主として労務費系統、そういう特別調達資金を通じまするものと、特別調達資金を通じませんで、米国側におきましてドルの支払いによる、大ざつぱに申上げまして、二つの大体系統があると承知いたしております。それらの両者のものを通じまして、日本側窮極負担になりますものとほぼ同額、こういう仕組みになつております。
  34. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、それは終戦処理費日本が従来負担していた終戦処理費は、大体ほぼ折半して向う負担してもらうというようなことになるのかと思いますが、今後の防衛分担金とも関係がありますので更にお聞きしておきたいのですが、終戦処理費なるものが、昨日でしたかお配り願つた資料終戦後の終戦処理費が大体出ておりますが、この終戦処理費に関連して、これはまあ終戦処理費占領費の極く一部分であると思うのですが、占領費全体としては今年度或いはこれまでにどれくらいになつているのか。その点を一つ説明願いたいと思います。
  35. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 佐多委員お尋ねの御趣旨は資料によつてお配りをいたしましたもののほかに、米国予算日本占領のためにどれくらいのものが出ておるか。こういうお尋ねだと思いますが、ちよつとその点昨日差上げました資料にも載つておりませず、又私本日用意をいたしておりませんので、取調べました上で差上げたい、かように思います。
  36. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その問題は今後の防衛分担金分担する場合に、特にこの共同負担措置によれば、日本が引受けていた占領費の一部分終戦処理費を半々に分担するという形になつているのですが、今後防衛分担金負担する場合に、それは占領費全体のどれくらいというようなふうになるのか。或いはそうでなくて、今まで占領費のうちの一部終戦処理費日本が引受けていたそれの又半分とか、何とかを引受けるというようなことになるのか。その辺の事情を詳しく究明する必要がございますので、是非占領費全体としてどれくらいになつていたか。そうして日本側がそのうちに終戦処理費としてどれくらい部分負担していたことになつたかということがはつきりわかる資料を御提出願いたい。
  37. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お言葉でございますので、私どもできるだけ取調べて見まするが、ただアメリカの予算書等を調べて見ましても、恐らくは今御指摘のように、占領費の中でも純粋に日本占領のために使われた将兵給与であるとか、或いはいろいろの物件費であるとか、そういうものがどの程度になつておるかというような的確な資料はないのじやなかろうと思いまするが、手許にございます資料をできるだけ調査いたしまして、できるだけのことはいたしまして、資料として御覧を頂きたいと存じます。
  38. 岩間正男

    理事岩間正男君) ようございますか。只今資料をできるだけ早く提出願いたいと思います。
  39. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 東支那海その他において漁船その他が拿捕されたために非常に損害を受けつつあるのであります。これに対する政府補償その他の方法はどういうふうにやつておられるのであるか、終戦処理費に直接関係がないかもわかりませんが、戦争に関係があることだからお尋ねしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  40. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 本件は特別調達庁所管ではございませんで、むしろ農林省所管だろうと思います。私的確に存じませんので、こういうところから余りいい加減なことを申上げては恐縮でありまするが、私の記憶いたしておりまするところでは、東支那海方面で例えば漁区の侵犯その他によりまして捕獲せられた漁船に対しましては、国といたしましては、只今のところ格段の補償的な措置はとつておらなかつたのではなかろうかと存じます。問題が農林省方面でございまするので、若し只今申上げておりましたことが間違つておりますれば、後刻訂正させて頂きまするが、多分そういうことに相成つておると存じております。
  41. 内村清次

    ○内村清次君 終戦処理費業務費の今回の追加には補正といたしまして十三億七千五百万円、これが充当されておるようでありまするが、これは接収解除財産補償に充当するということになつておりますが、この接収が解除されて行く財産のその内容ですね、土地、家屋だとかいうようなこともありましようが、そういう内容の点を一つ説明願いたいのと、それからこれの今後接収を解除して行くという手続の問題ですね、そういう点をお話し願いたいと思います。
  42. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) お答え申上げます。御承知通りに接収いたされておりますものは土地、家屋であります。そのうちには個人住宅、国有地も含んでおる次第でございます。今後の解除の見通しにつきましては、まだ軍に当つてみましてもはつきりいたしたことはわかりません。恐らく講和條約発効と同時に相当のものが解除されるであろうという期待を各方面から持たれております。いろいろ当つてみました結果、まだいずれの地区におきましてどの程度のものが解除になりますか、恐らく今後の軍の駐屯地域にも関係いたします問題だと想像いたしております。今のところ判然いたしておりません。
  43. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、この十三億の数字というものはまだ架空なものであるという結論になりますか、あなたのほうでは何かこの解除を要求するような資料を以て、そうして今後折衝に当る、勿論これは向うさんの気持もありましようが、そういうようなことでこれは出された数字ですか。
  44. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) お答え申上げます。只今補償の費用として要求いたしておりますものは、過去におきまして解除になりましたもののまだ補償が済んでおりません。これに対する補償を迅速にいたしたいと存じます。
  45. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと、これは件名その他についての資料は提出なさいますのですね。実は要求したいのですが。
  46. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) できるだけ資料を整えて出したいと思います。
  47. 内村清次

    ○内村清次君 それから私は最近新聞で見てびつくりしたのですが、調達庁関係の不正問題ですね。これは国際的にも相当信用の問題でもありましようが、まだ新聞程度であるが、その内容の点につきまして、若しあなたのほうで調べておられるなら、その点を一つ明確にして頂きたい。それから従来私たちも考えておつたことは、相当これはやはりああいうような事件が起るような、何と申しますか、その制度の上におきましても懸念を持つておつたわけですが、この会計の監査或いは業務の監査制度、そういう問題についてどのような方法をとつておられるか、この点につきましても御説明をお願いしたい。
  48. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 最近新聞に現われましたようなことがまま起りまして、誠に遺憾に存ずる次第であります。一言弁解がましくはございまするが、私どもといたしまして、正直のところ勿論心得違いの者があるということについては一言も申上げることはございませんのですが、あれが非常に大きく発展するであろうというふうな印象を与えたことにつきましては、私ども常時心を用いて部内の査察をいたしておりますものとしては意外に存ずる次第であります。恐らくそう誇大に感じられたのではなかろうかと思います。又そういうことにおきまして、世間の不信をとにもかくにも招くというようなことが起りましたので、私どもといたしましてお詫びを申上げなければならんと考えております。従来もこのような席で申上げておるのでありますが、終戦処理費というものは非常に大きな金額であります。この金を有効に適切に使うということは非常にむずかしいことでございまするが、鋭意力を尽しまして、過誤のないようにだんだんと改善の途は辿つて来ておるつもりでございます。それにつきましても、いろいろなものが出て参りますことは何とも申訳ない次第でございます。なお又終戦処理費というものも占領と同時に性質的にはなくなるものでございます。従いまして最後の段階におきまして、これをなお一層心を引締めて、正しく処理するということが非常に必要であるということを考えまして、今年の六月より特に本庁のうちに監察官の制度を設けまして、部内を一層きびしく、自己反省、自己監査ということで引しめて、有終の美をなしたいと、こういうふうに考えておる折柄でございます。又そういう折柄にそういうふうなものが出ましたことは、たとえそれが誇大に伝えられましたにいたしましても、私どもといたしまして、責任当局といたしまして誠に申訳ないことと存じておる次第であります。
  49. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 連合軍に提供する直傭労務者給与のことでございますけれども、生活費も相当上つているのでございますけれども、今回これは上るのでございましようか。
  50. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 従来政府一般職員給与引上げがありまするときには、原則としてこれに做いまして、従来引上げを行なつてつております。このたびの引上げにつきましても同じく右に做う所存でございます。
  51. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 連合軍に接収された事務所や住宅が接収を解除された場合の原状回復に要する費用の補償でございますけれども、新聞で見ますと、どうも民家などでは一部屋全然なくなつたり、ビルなども相当変形されておるような様子がございますが、今日の時価に直しまして原状回復に要するような費用がもらえているのでございましようか。
  52. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) この補償は解除当時の状況に応じまして、その時価を以て損害補償をすることに相成つております。
  53. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど説明では終戦処理事業費は七月から日米共同負担、而もそれが大体折半になつておる、こういうような御説明がありましたが、ここではそれに要る金額が百七十五億と、こういうふうに計上されておるのでありますが、七月から大体折半ということになれば、当初予算が一千億に近いのですから、減額はもう少し多くなるはずだと、こういうふうに思いますが、その点はどういうふうになつておりますか。
  54. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 七月以降は原則といたしまして、日米共同折半負担ということで経費負担はせられて参るというのが原則でございます。ただそれに比較してはこの予算補正節約額が少いのではないか、こういうことのように思いまするが、これにはいろいろと御考慮を頂かなければならない点があるのでございます。第一はもう申上げるまでもなく、四月から六月までの分につきましては、日本側が全部持つておるということがその第一点でございます。それから第二点といたしましては、折半で負担をいたそうという原則の適用がございますのは米軍関係でございまして、御承知の英濠軍の関係につきましては、そういう原則の適用がございませんで、依然として日本側が全部持つということに相成つておる次第でございます。それから四月から六月の間の経費負担と申しますのは、必ずしも全体の所要額の四分の一という工合には参らないのでありまして、経費内容によりましては、ものによりますると、四月—六月の間に年間の部分の契約或いは物資の調弁等を相当取りまとめていたさなければならないというような事情に相成つておる部分もございます。それから金額的には大したことはございませんが、進駐軍関係の、これは労務に当つておられますところの労務者のかたがたの身分の切換え、特に進駐軍のかたがたの一般の家庭その他で使われておりますところの使用人が、この制度の切換えに伴いまして退職をしたかたが大分おられます。その退職金等につきましては、六月に従来の勤務期間に応じました退職金はすべてまとめて支払うというような事情もございまして、比較的この人件費の経費負担状況が、この四月—六月に片寄つたというような事実もございます。それから又七月以降の経費の見積りの仕方につきまして、その後電気でありまするとか、ガスでありますとか、そういうものの値上り等も若干ございますので、当初予算に見込んでおつた金額では不足を生ずるという種類の経費もあるのでありまして、そういうものにつきましては、当初の予算では必ずしも賄つて行けないということい相成りますると、その額も従いまして膨脹いたするというような事情もございまして、必ずしも当初の只今お話の約百億が四分の三か、又その半分になるんじやないかというような計算がなかなか立たないような事情に相成つております。本件はこの二十六年度補正予算の編成に当りまして、司令部方面と私どもといたしましては、いろいろと折衝を重ねました結果、内容につきましてもいろいろ経費の種類に応じまして、又英濠軍関係負担区分等も違いますので、その辺につきましてもいろいろと折衝の結果でき上りました数字でありまして、内容が極めて複雑になつておるということを御了承頂きたいと存ずるのでございます。
  55. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この七十五億の回転資金というのは特別調達資金設置令に基いて設定されておるんですか。
  56. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 仰せの通りでございます。
  57. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、この七十五億というような金額をはつきり明示したものは、設置令みたような、予算の審議を経ない前に金額的にきめられるというふうにお取扱いになつておるのでしようか。
  58. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) この七十五億という金額はいわゆるスキヤツピンの上に示されておりましたし、従いましていわゆるポツダム政令の上におきましても、同様七十五億円という金額を掲げました次第でございます。
  59. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、それは覚書の中にちやんと七十五億円として明示してあつたから、それに基いて設置令を作つたんだというふうに理解していいわけですか。
  60. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 仰せの通りでございまして、スキヤツピンの上に七十五億円という金額を回転資金資金額といたしまして明示されておりますのでそれを受けましてポツダム政令におきまして七十五億という金額を加えました次第でございます。
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、今までそういう日本側予算額をきめないで、向う覚書そのもので金額をはつきり明示して、従つて予算審議を排除するようなやり方をやつた先例はあるのでありますが。あるとすればどういうものがそういう先例であるのか。
  62. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 只今のところポツダム政令で以ちまして金額をはつきり明示いたしました先例を私即座によう思い付きません。取調べまして、先例がございますれば後刻適当な時期に申上げたいと存じます。
  63. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから終戦処理費は今年度中だけでなくなつて、来年度から打切りになることになるのですが。そういう大きな変化に基いて、特別調達庁なるものはそれに関連して今後どういうふうになるというお見越しでしようか。
  64. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今まで予想されておりますところを総合いたしますると、安全保障條約等の結果、米国軍隊が日本に駐屯するというようなこともあると存じます。その場合に米軍において、日本において、いろいろ従来と性格は変つて占領軍ではなくなるのでありますが、やはり相当数の軍隊が駐屯いたしまするという事実によりまして、それらのためにいろいろな経費が入用であろうと思います。又日本政府側としての協力も必要であろうと存じます。その場合におきまして、日本政府としてなすべき仕事が相当にあろうと私どもは予想いたしておる次第であります。又その経費の区分が日本側負担する、且つその要務も日本側でやるということが過去の経験等よりいたしまして、必ず必要であろう、こういうふうに考えております。その経費が将来どういう名目に相成りますか、どういう程度に相成りますかは安全保障條約の実施の関係に伴うて参るであろうと、只今のところはそういうような事態になれば特調として同種類の仕事があるだろう。日本政府としてはその場合これを誠意を以て遂行しなければならんという立場にありますので、従つて経費或いは特別調達庁という役所の名称は仮に変ることがありましようとも、或る種の仕事の実体が相当分量残る。従つて特別調達庁の実体は存在するであろう、こういうふうに考えていろいろ今後の準備を進めておる次第であります。
  65. 松浦清一

    ○松浦清一君 連合国軍使用されている労務者関係なんですが、私の今まで理解しておるところによりますと、これらの労務者日本政府が雇用をして、連合国軍労務提供をしておるという考え方でおつたのですが、今でもそのような状態であるか、若しそうでなければ、この労務者の雇用の主体は日本政府であるのか、或いは連合国であるのかということを伺いたい。それからそれらの労務者に支払つておる給与その他の労務費負担の割合、全額日本政府負担しておるのであるか、又連合国軍負担しておるのであるか、両方が負担しておるのであるならば、その割合を伺いたい。それからもう一点は、連合軍使用の船舶であつて日本の船員法の適用されている船員が約二千ほどいるわけなんです。この船員が完全に船員法が適用されておらない一例を挙げて申しますと、日本の船員法では一カ年同じ船舶に乗船勤務をいたしますと、御承知のように船員は日曜でも船が航海している以上休日はないのでありますから、三週間の有給休暇が与えられるということがこの法律では明記されている。併し現在有給休暇制が実際与えられておらない。この有給休暇制を与えるということになれば、一定量の予備船員を、つまり船に乗つておらない船員を常時雇用をいたして、そうして乗込中の船員が下船をして有給休暇をもらつて、そうしてその待機をしている船員を乗船せしめるという方法をとらなければならんということになつておるのですが、未だにそれが適用されない。これは日本政府が適用する必要がないと考えているのか、それとも連合国軍の制約を受けて適用しないのか、この三点を伺いたい。
  66. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 第一の点でございまするが、これは日本政府の雇用になつておりまして、日本政府が雇用して提供いたしましたる労務者を軍において使用する、こういうことでございます。それからこの負担の割合ということでございますが、只今労務者の総数約二十三万五千ぐらい、そのうち約二十一万五千ほどが米軍関係及び米国ミツシヨン等に勤務しておる労務者でありまして、これは全額米国政府負担ということになつているのであります。その他の約二万につきましては、これは連合軍その他各国のミツシヨン等に勤務しております労務者でありまして、この分は終戦処理費負担、こういうことに相成つております。なお又第三点に船員の関係につきまして御質問がございましたが、成るほど有給休暇の問題は法律にございますが、事実問題といたしまして、昨年あたり下船をしての休暇を与える余裕がございません。そのために船員関係の組合等とも特別調達庁において種々折衝して参つた次第であります。これは雇傭者たる日本政府使用者たる米軍というものの現実の隔たりがありますために、政府として完全な調整がとれなかつたわけでございます。只今におきましては、お説の通り法則に従いまして、予備船員等を設けて有給休暇を与えるという措置を速かに講じたい、こういうふうに考えて目下準備中であります。
  67. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、こういう工合に解釈してよろしうございますか、船員のみならず、連合国軍関係労務者日本政府が雇用主であるから、日本の法律は適用されるものである、こう理解してよろしうございますか。
  68. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) その通りでございます。
  69. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、その船員に日本の船員法が適用されないという理由予算上の関係なんですか。
  70. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 船員法が適用されないということは、先刻申上げましたように、事実そういうような事態が発生したということでございます。何らかの方法を以ちまして是正いたしたいと考えておる次第であります。
  71. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この点について労務費は今後アメリカが全額負担するということになつた場合も雇用主は日本政府ということになるのですか、その点を伺います。
  72. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今のところ米国政府といたしましてもさよう希望しておりますし、現在そのように扱つております。
  73. 岩間正男

    理事岩間正男君) ほかにございませんか。
  74. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは直接予算には関係がないかと思いますが、労務者の国内におけるところの保護が、やはり日本政府の責任においてなされる限りにおいては、労働組合法とか或いは基準法というようなものが当然守られて行くべきものであると思いますが、現在それがなされておるかどうかということ、今後もその保護を受けて行くべきものであるかどうかということについての考え方一つお尋ねいたします。
  75. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 進駐軍の関係において使用されております労務者につきましては、日本における労働関係法規の全部が適用されることになつております。併しながら具体問題といたしまして、日本政府の雇用者でありますが、現実使用いたしまするのは米軍であります。従いまして問題といたしましては、日本の労働法規等を理解しないがために、使用者たる米人において違反的行為のあることがままあるわけであります。従いましてそれらの事柄が起きましたならば、日本政府といたしましては、雇用者たる立場におきまして、できるだけ速かにこれを是正するという方法をとるわけであります。又我々といたしまして、常時そういう事件のありますごとに、米軍の関係当局に対しまして再々注意を喚起して、日本労働法規の完全尊重を要求いたしておるような次第でございます。
  76. 岩間正男

    理事岩間正男君) それでは食糧庁長官が見えましたので、只今から食管の特別会計の説明を求めたいと思います。
  77. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 補正予算の概要を御説明いたします。  歳入面におきましては売却収入を見込んでおります。これは八月一日に消費者価格を一八・五%引上げましたので、それによる収入増であります。そのほか一般会計からの繰入、見返資金からの繰入が歳入面に載つております。歳出面におきましては事務費で、人件費、これは公団切替、今年の三月に公団を解消いたしまして、政府が直接相当卸のところまで物を運んでやるという建前に切替えましたので、その際の定員増が千八百二十名ありました。その予算措置を講じておらなかつたのでありまして、その分を含んでおります。そのほかにベース・アツプ、退職手当、まあそういうものがあります。それから買入費の中で米を三千万石含んでおつたのでありますけれども、昨今の状況からいたしまして、買入数量を二千五百六十万石にきめましてやつておりますが、これは単価増がありますので、差引いたしますと、それほどの金額の増にはなりません。それから輸入食糧は三百二十万トン程度を組んでおつたのでありますが、これを三百八十万トン程度に組替えまして、これにやはり数量を、最近の単価というようなものの考慮をいたしまして、買入費の増を計算いたしております。なおそのほか管理費といたしましては、運賃、これは鉄道運賃の値上を見込んでおります。このほか保管料、加工賃、この加工賃は麦類につきまして、十月まで委託加工方式をとつてつて、前の予算では十一、十二と二月間は買取価格にする予定でおつたのでありますが、一月からの輸入ということにつきまして、最後の締繰りでこの二月間は委託加工を続けようということで、二月分の加工賃を補正予算に組んでおります。大体今度の予算の概要は以上の通りであります。
  78. 岩間正男

    理事岩間正男君) 只今説明について御質問ありませんか。
  79. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 第一に先ず御説明願いたいと思いますことは、輸入食糧を増加されておるのですが、従来の実績はどういうことになつておりますか。その点をお示しを願いたい。
  80. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 従来の輸入は大体三百万トンから三百二十万トン程度の輸入でやつて来ております。今後といたしましては、米の統制方式の変更等によつて、できるだけ輸入を増強したいと考えております。
  81. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私がお聞きするのは、実際の輸入予定量と実績が本米穀年度どうなつておるか。輸入実績の数字であります。
  82. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 本年度におきましては、大体三百二十万トンの輸入計画を立てまして、三百二十万トンは確実に入る見通しを待つております。十月までの実績も大体予定通りであります。今後も予定通り入る見通しを持つております。
  83. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 入るお見込だとおつしやるのですが、我々の聞きたいことは、実際の予定と実績と、供給先のどういうような配分ができておるか。それからこれを三百八十万トンに上げられるのにはどういうふうな実施計画があるのか。これを伺いたいわけであります。お手許にないようでしたら、細かいその表はどなたも御入用になることと思いますから、予算委員会として請求して頂きたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 岩間正男

    理事岩間正男君) 只今資料について安孫子長官……。
  85. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 或いは細かくなりますので資料を差上げたほうがいいかと思いますが、米につきましてはタイ、ビルマ、エジプト、台湾、香港、コンゴ、仏印、ブラジル、イラン、イタリア、アメリカ、これだけの国につきまして四月から七月までの分はこれは実際的に入つた。八月から九月までは契約の分を見込み、十月から三月までは今後の予想を立てまして、今申上げました国別に数字を弾いて出しておるのであります。それから小麦につきましては同様の方法でガリオワによるもの、それからオーストラリア、アメリカ、カナダ。大麦はガリオワによるもの、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イラク、かようなものを以上申上げましたような実績並びに見通しを以て総計をいたしますと三百八十五万二千トンになる、こういう数字を弾いておるわけでございます。一々申上げまするのも細かい数字に相成りまするので、何でございましたら資料としてお配りをいたすほうが適当かと思います。
  86. 岩間正男

    理事岩間正男君) 只今資料を早速提出してもらうことを確認いたしたいと思います。
  87. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 次にもう一つお聞きいたしたいのは、この予算の基礎となりました食管特別会計の収支計算におきまして、大体政府の買上米は二千五百六十万石という御推定のようでありますが、一旦中止にしました知事会議では到底二千五百六十万石は無理だという問題と、政府といたしましても二千五百六十万石は無理ではないかというので、最初予定いたしました数量はこれより少かつたはずであります。と同時に最近の新聞の伝えるところによりますと、この点についてもう少し上げようかというふうな傾向もあるという点から見ますると、実は二千五百六十万石の推定の基礎と、そうしてこれを動かし得る余地があるのかという問題と、そしてそれが動いた場合にはその食管特別会計の収支計算は違つて参る。こういう点についてどういうふうなお見通しか、事務当局から承わりたい。
  88. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 買入数量の点でありますが、新聞等で御承知のように、大体今年の買入数量は二千五百万石という程度のもので進みたいと考えておつたのであります。その後いろいろ経緯がありまして、二千三百五十万石という数字が出たこともございます。又関係方面等におきましてもつと二千五百万を上廻る数字の示唆も出たのであります。まだ決定をいたしておりませんが、大体二千五百万石から六百万石ぐらいの間できまるのだろうと思つております。大体予算に含まれておるような程度のもので行き得るものであろう、なお二、三日の今後の折衝が必要であろう、そういう見通しでございます。
  89. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私お聞きしたいのは、事務当局から見て、一応政府が買上げますものはこの程度は無理がないだろう、実際の今年の産米から見て、従来の経験から見てこの程度はできると、数字をいじるのは実はどうにでもいじれると、こう思うのでありますが、そういう点について御計算になついてる事務当局から見てどうお考えになつておりますか。それをいじるとすれば、変更するとすれば、その基礎についての推定の違いなのかどうか、つまり産米自身の基礎の推定が違つておるのかどうか、それをただ基礎は変らないんだが、買上げだけを殖やすんだ、保有米は減らして買上げは殖やすんだというふうなお考えなのか、その点についてお聞きしたいのであります。
  90. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) この供出割当数字は、御承知のように生産高から保有米を引きましてその全部を割当てるという建前になつているわけであります。ただ従来におきましては、消費地の事情もございますし、又輸入食糧の数量の関係もございます。そういう点からいたしますと、消費地の実情というようなものも十分考慮に入れて考えなければならん問題であります。従つて供出用といたしましては只今申上げたような筋途で行くのでありますけれども、全般の需給調整の立場からいたしまして、端的に申しますれば相当保有を場合によれば割つた供出数量の割当もいたしております。併しその間是非調整する必要がございまするので、一旦供出をしたものについて、或る時期に或る数量を農家に還元をするというような措置を講じまして、生産者の保有に事を欠かないような措置も講じて来ておるのであります。従つて話がちよつとそれるかと思いますけれども、供出数量が全部配給面に廻つたのではございませんので、供出数量から還元米を除きましたものが配給数量に廻つておる。そういう実情であつたのであります。今年の産米についてどういう数量になるかというふうなことを申上げますと、大体作柄を前提といたしまして、合理的な保有計算をいたしますれば二千六百万前後の数字に私どもはなると考えております。併しながら昨今におきまする供出意慾の動向というようなものも考慮に入れますと、単に割当をいたしただけでこの供出が完遂をされる性質のものでもございません。よく知事会議等において言われるのでありますが、手の届かないような数字を割当てられれば結局において非常に歩留りが悪い。やはり供出意慾が阻害されない程度において最大限の供出目標で割当をいたすというところに供出の面におきまするむずかしさがある。その点から申しますと昨今の状況からいたしまして、保有計算をして差引いた残りのものを全量取るという建前は、果して実行されるゆえんであるかどうかという点についての考慮を加えまして、新聞等に出ました二千三百五十万という数字を一応我々としては原案として関係筋と折衝をいたしている。こういう経過になつております。まあ結論から申上げますれば、大体二千五、六百万石というところが落着くところではないかという想像をいたしております。
  91. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 更にお聞きしたいのは、大体二千六百万石程度と、約三百八十万トンの輸入食糧とで端境期にどれくらい政府としては操作米をお持ちになることができるか。第二段としては三百二十万トンを三百八十万トンにお上げになつたのはそういう点についての考慮があつて上げられたのかどうか、この二点をお聞きしたい。
  92. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 四月一日から統制方式を変更するということに相成りますれば、従来私どもの立てておりました全量政府買取り、全量政府配給という形においての需給推算と相当変つて参ります。従つて今四月一日以降自由経済に移行した場合の需給推算をここでお示しする段取りに参つておりませんが、仮に今までの方式と同じ方式で年度を経過して、再来年の三月末日の最後がどうなるかというようなことに相成りますれば、ほぼ本年度末……成いは二千万石程度の持越しじやないかと思つております。そういう程度より若干殖えた持越し数量ということが考えられるかと思います。  それから輸入食糧を増強いたしました分は、お話のように一部統制方式を変更する場合の操作米等の事情も勘案いたしまして輸入食糧を算定いたしたわけであります。
  93. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今のお話想像いたしますと、今度補正予算をなすつたのは、輸入食糧については一部四月一日から統制が撤廃になる、自由販売になるというふうな考え方が一部織込んであるようでありますが、全体の需給推算としては、やはり従来通り米については統制が行われるものと、こういう前提においてこの予算が、食管特別会計の推算ができておるように考えられるのでありますが、その点は如何でしようか。
  94. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) この補正予算は来年の三月まででありまするので、これは大体現在の統制方式を継続をするという前提で補正予算を取つております。
  95. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、さつきお話の輸入食糧三百二十万トンを更に三百八十万トンに増加するつもりだという、その三百八十万トンの輸入食糧買入分が入つておるわけでなくて、当初の三百二十万トンでいいと、それの買入れを見ているのだということに考えていいのですか。
  96. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) お答えいたしますが、大体の考え方は、昨年でありますと米の供出が二千七百万或いは二千八百万であつたわけであります。今年の米の供出は二千五、六百万ということになりますと、その分だけが需給の面から見ると来年と申しますか、減つて来るわけであります。そのほかに来年の四月以降自由ということにいたしますれば、その場合に相当操作米を入れて、こういう事情も織込んで本年度内の外国食糧の買入れを殖やしたいと、こういう思想で補正予算を取つておるのでございます。
  97. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると補正予算をお組みになるときにすでに輸入食糧の買入れは三百二十万トンから三百八十万トンに殖やすということは織込み済みでこの補正予算はできておると、従つてその問題は、米の統制を外さないことを前提にして……、これをお組みになつたときにはまだ外さないことを前提にしてお組みになつたのか。それで三百八十万トンに輸入を増加して、それはこれに織込み済みだというふうに考えていいのですか。
  98. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 来年の三月まではとにかく配給が続くわけであります。そのままの形で来年の四月以降も継続をいたしまするならば、これは三百二十とか三十とか、或いは四十とかいうことになるわけであります。併しながら来年の四月一日以降暫くの期間は相当経過措置といたしまして、政府手持の増強を図る必要がある。それから本年の物価の状況を考慮いたしまして外国食糧を殖やさなければならん、そういう前提でこの予算を組んでおるのでありますから、お尋ねの点を端的に申上げますると、補正予算は来年の四月以降米は自由と申しますか、統制方式を変更するという前提において、その準備措置を相当含んだ補正予算というふうにお考え願います。
  99. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 少くとも時期的な意味でこの補正予算なり何なりの計画がおきまりになつたのは、今みたような事情が殆んどまだ日程に上つてないでお組みになつ補正予算だと思うのですが、それにもかかわらずなおそれだけはすでに織込み済みだという点がよく呑み込めないのですが。
  100. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 補正予算に手を著けました当時はさようなことも言い得たと思いますが、その後いろいろその方針がはつきりいたして参りましたので、その方針に則つて急いでこれを直して本予算を組んでいるというふうに願います。
  101. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと未だに先ほどお話によると統制を外すことを前提としての需給推算なり何なりは示せないというふうにお話になつておる段階であるにかかわらず、予算だけはすでにそういうものを織込み済みであるというふうな御答弁だとすると、両方非常にちぐはぐな問題になつて来ておると思うのですが、少くとも予算としてお出し願う場合にはそういうものがはつきりきまつていて、そのきまつたものをここに挙げてもらう、そうしてあとで更にそういう問題がきまつたらその問題として、あと更に追加予算なり何なりの問題としてお示し願うのならば納得できるのだけれども、そういうことがどうなるかもまだきまりもしないうちに、そのことを含んでおるような予算であるとすれば、我々はどうもこれをそういう意味で審議するということはいたしかねると思うのですが。
  102. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) その点はどうせ日本といたしましては三百二、三十万トンのものは配給統制を続ける前提においても輸入をする必要がある。ここで三百八十万に殖したというのは、統制方式の変更を予定いたしまして、年度末において増強をして置く必要があるという一つの慎重な態度からそういう予算を編成したわけでありますが、そこで議論がございまするように統制撤廃の問題がまだきまらないのにそういう予算を組むことはおかしいじやないかという御意見になるわけでありますけれども、仮に統制が存続をするということになりましても、輸入食糧は三百万トン以上のものは入れなければならん。本年度末までに三百八十万トンの買付をいたしまして、その点が少し余計だということに相成りますれば、これは来年度予算でその数量を手加減をいたすことができますし、これが統制を廃止され、変更をされるということになつた場合に、本年度補正予算でその点の準備をしておきませんければ、国民生活に与える影響も大きいという意味におきまして以上のような予算を組んでおるような次第でございます。
  103. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、我々のほうから言えばですよ、非常に予算に余裕があつて、そうして給与ベースその他百億か百五十億ぐらい更に殖せば人事院勧告が完全に実施されるのに、そういうものもカツトしなければならないような状態に置かれている予算だとおつしまるのに、まだきまりもしないようなものを三百二十万トン以上、三百八十万トンに殖やさなければならん、而もそれが、我々は今後反対し続けようと思つている米の、主食の統制を撤廃するかも知れんということをただ漠然と予定しながら、それのリザーブまで取つておられるということが、我々としては現在の日本の十分でない予算状態として、それらの措置としてどうもおかしいのじやないか。従つてそういうものがきまらないうちにそういうものを含んでおると言われても、我々予算審議上非常に困るということを申上げているわけなんですが。
  104. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) どうせいろいろ考え方の相違になろうかと思いますけれども、来年の四月以降もどうせ買うものなんです。一種のズレというような考え方をとれば、統制撤廃の問題を非常に強く個々の問題に結び附けなくても、年間の需給計画の安定を図る上において五、六十万トンのものを今年度予算で余計に入れておくか、或いは翌年の予算でその分を見るかというようなことは継続をしている問題でございまするので、その問題と非常に密接な関係を以てお考えになるほどのことでもないじやないか、これは私の考えですけれども、そういうふうに思つております。
  105. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうじやなくて、先ほどからの、或いは新聞で報ぜられている考え方によれば、無理な統制撤廃をやるために政府が操作米として相当なものを持つていなければそれに対処ができないという無理が出て来たので、その無理を輸入食糧を更に殖やすということで何とか措置をしようというために三百八十万トンという増加が来たんじやないか、そうでなくて、統制の撤廃をするしないにかかわらず、当初の三百二十万トン輸入予定を、更に需給計画その他から考えて、今三百八十万トン買つておいたほうがいいから三百八十万トンに上げたのだというお話であれば、それはそれとして一つ了承がつくのですけれども、そうでなくて、無理な政策をやられるために、その無理を更にカバーするために輸入食糧を相当増加しなければならんというような無理が来ているのならば、その無理のための予算その他をばここで織り込んで、この中に入れておかれるということが非常な無理な問題じやないかという点をお聞きしている。
  106. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 私御説明の仕方が少しちぐはぐで申訳ないと存じますが、三百二十から六十万を殖やす、なぜ殖やしたかという問題は、先ほど申上げましたようにこれには二つの理由がある。一つは本年の供出が割に少いだろう、これは根本的には作況が悪いということ、去年は二千七百五十万くらいの供出をやらしております。それが仮に二千五百という線できめましても、二百五十万石の供出減という形に出て参ります。二百五十万と申しますれば約四十万トン弱の国内産の集荷減というものが見られるわけです。これは当然需給計画上補填をしなきやいかん。それ以上に又二十万とか三十万というものを少し余計見てここで入れようという数字に相成りまするのは、以上いろいろ考え方が違うかと思いますけれども、統制廃止という場合の応急措置としてやはりその程度のものは握つておく必要があるというような考え方で輸入食糧を組んでおります。全部切替えにおける応急措置用じやございませんので、本年の作柄によりまする集荷減から来る供出量の減というものを含んでおるというふうに御了承願いたいと存じます。
  107. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 作柄、生産量が去年に比較して相当減になつているので、そのために供出が減になつておるということはわかるのですが、先ほどの御説明によりますと、供米意慾が非常に減退しているために、単に作柄が減少した以上に供出がむずかしくなつているので、その点を考慮して供出の数字もきめなければいけないというようなお話だつたと思うのですが、そうだとすれば、やつぱり何がそういう供出意慾をば減退させたかと言えば、申上げるまでもなく無理な統制撤廃をやろうとしていることに専ら起因しているので、そういう意味からいつても、どうしても外国食糧の輸入を増加しなければならんという問題は、どうもその無理な統制撤廃に直接関連していることだと言わざるを得ないし、而もそれはまだ先ほどからお話のように、はつきりきまつておらん問題である。そのきまつていない問題を、仮定のことを基礎にして予算に入れて頂くということはどうも困るのである。若しそういうものであるならば、予備とか何とかいうようなことで別途お考えになるか、或いは正式に言えば追加予算の問題として堂々と別途次に出して頂きたい。そういうふうに考えるわけであります。
  108. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 食糧管理収入の食糧売払代のうちには、聞くところによれば、麦の統制は一月から撤廃されるということであるのでありますから、麦の売払代はこれのうちに含まれていないのかどうか、それをお尋ねいたしたいと思います。
  109. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 売払代まで入つております。統制を撤廃したからと申しまして大体本年産麦は政府が殆んど全部買つております。
  110. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それでは次に価格差追払金の算出の基礎をお尋ねしたいと思うのであります。
  111. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) バツク・ペイのやつは、御承知のように昨年の予算で組まれましたのが、昨年のパリテイ指数は予算編成当時は一九五で弾いております。それが二五〇に上りました。この差についてバツク・ペイの金額を算出いたしております。
  112. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 行政整理に伴う既定経費の減少というところで七千九百六十二人、その金額が七千七百二十八万七千円、こういうふうなものを計上してあるのでありますが、これは何カ月の分の費用であるかお尋ねしたいと思うのであります。
  113. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 一カ月分でございます。  ちよつと私間違いましたので訂正しておきます。二五〇はこれは米のほうでありまして、麦のほうは二三八でございます。
  114. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次に行政整理に伴う退官退職手当に必要な経費として六億六千余万円を計上してあるのでありますが、これには七千九百六十二人の退職金を含んでおると考えるのでありますが、そういうふうなものであるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  115. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) お話通りであります。
  116. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 若しそうであるといたしましたならば、予定の通りに三月末日までに退職がなかつたと、こう仮定するというと、行政整理に伴う既定経費の減少は要らなくなる。行政整理に伴う退官退職手当に必要なところの経費はこれ又要らなくなる。こういうふうなことになるというと、一方のほうは支出しなくちやいけないし、一方のほうは要らないというようなことになれば、これは目内の流用であるから、目内の流用であつたならば農林省が、大臣の手によつて直ちに目内の流用ができるのであるかどうか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  117. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 農林省だけではできませんが、政府内部での連絡によつてできます。
  118. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今提案されている行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の附則第三項によつて見まするというと、「昭和二十七年四月一日までに米穀についての統制が廃止されるに至らなかつた場合においては、改正後の行政機関職員定員法第二條第一項の規定にかかわらず、予算の定める範囲内において、七千九百六十一人を限度として、政令の定めるところにより、食糧庁の職員の定員を増加することができる」と、こう書いてあるのであります。又、附則第四項によつて見るというと、「各行政機関においては、改正後の行政機関職員定員法第二條の規定による定員をこえる員数の職員は、昭和二十七年六月三十日までの間は、定員の外に置くことができる。」こういうふうに書いてあるのであります。この規定によつて見ますというと、食糧管理特別会計のうち、食糧研究所の定員を除いた現在の定員三万九百六十五人のうち、七千九百六十二人は昭和二十七年の三月までに、七千二百六十一人は同年の六月までに整理するということになるのでありますが、予算の定める範囲内において、七千九百六十一人を限度として、」とあるのは、明年度においては何人分の予算を計上しておるのであるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。又政令の内容はどういうふうなものであるか、統制が存続せられるとすれば、どういうふうにこれがなつて来るのであるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  119. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 政令の内容はまだきまつておりません。それから予算の定むる範囲内という場合は目の流用等でできると考えております。それから米穀の統制廃止の問題、これも書いてある通りでありまして、別にそれ以上の何はございません。
  120. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 仮に統制が撤廃されたといたしましてでも、需給調整のための食糧の買入れであるとか輸入食糧の管理であるとか保管であるとか、更に絶対量の不足の食糧の需給操作等の管理面においてもなお相当に人員を要すると思うのでありますが、国民の食糧を確保するためには何人ぐらいをこの方面に必要であるとお考えであるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  121. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 現在の状況におきまして何人必要であるかというようなことはいろいろ見方もございますので、いろいろな誤解を避ける意味におきまして答弁は保留させて頂きます。
  122. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今回の定員法を見て見ますというと、統制撤廃が前提となつていろいろの予算を組んでおられるようであるのでありますが、農産物の検査ということは主食の統制撤廃ということとは無関係で検査が励行されなければいけないのであります。殊に農産物の検査というものは第十国会で成立をしておつて、統制が撤廃されれば撤廃されるほど検査は厳格にやらなくちやできないのであります。然るにもかかわらず、検査員が整理されるということになつておるのでありますが、検査が励行せられないということであつたら食糧需給に非常に支障を来して来る。商品としての取扱いが困難になつて来る。従つて統制撤廃が需給に影響を及ぼして来ると、こう考えます。こう考えて来ると検査は必ず励行されなければいけないのが、今日のように整理されるということであるなら検査の励行はできない。励行ができなかつたれば繰返して申上げますが、非常に食糧の需給に困難を感じて来る。こう考えるのでありますが、この点について今回の整理がどのくらい食糧需給に影響を及ぼすのであるか、この点をお尋ねしたいと思うのであります。
  123. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 農産物の検査が統制事務関係がないという御意見、私もさように思います。それから自由取引になりますると検査の重要性がますます加わつて来る。これも御所見の通りと思います。今回の整理が米穀の需給統制等にどの程度の影響を持つかということにつきましては、私算定しかねます。
  124. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 米の専門の安孫子長官にお尋ね申しますが、統制が撤廃せられますと、大体米の値段はどのくらいになるとお考えになりますか。
  125. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 米の値段はどの程度になるかというようなことはいろいろな観点から研究をしなければならん問題でありまして、又その年の作況等にもよりますし、人気にもよりますし、又消費者の購買力の関係もあります。又時期的にもいろいろ違いが出て参ります。幾らになるかということを私ここに申上げる自信を持つておりません。大体今までの研究からいたしますれば、これは農林省として正式にきめたものではございませんが、新聞等に出ましたものは一升百十円とか二十円でございますね、そういうような計算もできるということでございます。ちよつとこれは神様でないからなかなかわからないと思います。
  126. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 やはり新聞でそういうことを伺つておりますけれども、今までこの問題につきましては、諸説誠に紛々として不安を持つているのでございますが、極く最近の新聞に出たところによりますと、お米の統制が撤廃されますと、大体そんな生やさしい額ではない。二百円くらいになるだろう。その理由は尤もらしく思われる節もございますが、例えば鮨屋さんとか料理屋など、食糧を取扱うお店ではお米がなくなりますと商売が上つたりになりますので、資金の続く限り一齊に買付をするだろうというわけで、又労務者の加配がなくなりますと、大勢の職工を抱いている工場では一齊に買付をする。外国人なんかでも千五百万円という大金を以てこういう物を買込む者もあるだろう。お酒は今八十何万石も作つているのが、統制解除になると戦前並みの七百万石にも殖えるという見通しであり、お米を配給するときは米食率が五五%だそうですが、統制撤廃になると戦前並みの八八%になる。そうなりますと現在の二千七百万石配給しているのが四千二百万石にも需要が殖えることになる。更に一番恐しいのは、戦前に一度、日本の今のお金に直しますと大体二億円くらいの金を出して価格の操作をなさつた経験もあるそうでございますが、どうもそれではうまい価格の操作ができなかつたというようなことも聞いております。南京米や麦の値段が下りますけれども、これではどうも抑えられないようにも聞いておりますし、更に最後に外米の輸入に対して少し見通しが甘いのじやないかということを聞きます。例えば電力饑饉であるので、鉱工業の生産高のごとき三〇%にも行かない。それは対日援助の打切りのためドル収入の不足もありますし、外債利払いや国際通貨基金加入などを見込みますと、どうも国際収支の上では赤になつて来る。食糧輸入は予定のごとくにならないということを聞きますが、こういうことを材料になさいまして二百円ほどになるようにお考えになりませんでしようか。
  127. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 米価が二百円になるか百五十円になるか、それはそれぞれその人の感じもありますし、又そのときになりまして、上るだろうと思つておりましてところが下る場合もありまするし、下るだろうという場合に上るということで、大体ものの動きというもとは逆を行く場合も相当でございます。従つて二百円になるかならんかというようなことは、而もその二百円になるということは一年間を通じての意味であるか、時期的な意味であるか、或いは一つの相場としてそういうものができるだけのことであつて、大量の実物取引がそれで行なわれるという意味であるか、その辺は一つも固まつていない問題じやないかと思います。従つて幾らになるというようなことはこの際なかなか申上げにくいと思います。私どもといたしましては需給調整方式をとるにいたしましても、消費者の価格安定が最も眼目とすべき問題であるというふうに考えております。この消費者の価格安定というものを如何にして実効を収めるかという点に対していろいろ検討をして苦心をいたしておるということだけを申上げておきます。
  128. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どうも価格がどうなるかわからんというようなことのお答えなんですが、実は一番それが問題なんであつて、今おつしやるように需給調整をやる等々のことも、要は一体価格がどれくらいで我々消費者に米が確保されるのかという問題であると思うのです。そこで今輸入食糧或いはその他国内の買入価格等を通じて需給を正確に見通し、それで対策を立てて行こうとしておられますので、それらの統制を外すか外さないかというような問題の一番キイポイントになるのは、米の価格が幾らになるか、又こういう措置をとつたら幾らに抑え得るから外してもいいとか、外すことがむずかしいのだというような判断の資料になると思いますので、早急にそれらのお見通し、それらに対する明細書を詳細にしたものをば資料として一つ御配布願つて、それに従つて説明を近い機会にお願いしたいと思います。  それからもう一つ、価格差補給金の問題でありますが、先ほどお話によりますと、輸入食糧が殖えると思うが、殖える前に、仮に三百二十万トンとした場合に、輸入価格、ドルは相当実績としては上つておるのではないかと思いますが、それにもかかわらず二百二十五億の補給金でいいのかどうか、それから更にそれを三百二十万トンから三百八十万トンにした場合もなお且つそういう補給金はそのままでいいのかどうか、その辺もどうお考えになつておるのか。
  129. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 二百八十億に補給金を殖やすという考えであります。
  130. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 只今食糧庁長官から二百二十五億から二百八十億に殖やそうと申しました趣旨は、予算といたしましては二百二十五億でございますけれども、二十五年度における価格調整補給金の繰越した金額が五十五億あります。それを併せまして二百八十億になると、こういう趣旨でございますから申添えておきます。
  131. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると前年度のやつを繰越して五十五億を殖やして使うというお話しですか。
  132. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) ちよつと説明が足りなかつたのでございますが、二十五年度の価格差補給金の繰越しましたうちで二十六年度に使い得るものが五十五億あります。つまり五十五億というのは歳出といたしましては二十五年度予算に計上いたしました分でございまして、それの繰越されるものが五十五億でありまして、これは二十六年度における価格差補給金の財源といたしまして自由に使えるものである、こういう趣旨のものでございます。
  133. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それはその普通の歳出でしたら前年度の剰余として一般会計に受入れて、それから又歳出に入れるのではないかと思いますが、それは何か特別会計というような特別な措置として、そういう前のものをそのまま受け継ぐというようなことになり得るのですか。
  134. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 二十五年度予算におきまして、価格差補給金は二十六年度、翌年度に繰越し得るという国会の議決を頂いておりまして、その繰越規定に基きまして使用しようと、こういうことになつております。
  135. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 先ほどお尋ねした輸入価格ですね、ドル価格、これは大体今までの実績だと小麦或いは米、大麦等等について各地域別について、大体のところ実績としてはどれくらいになつていますか。それから小麦協定に入つたためにどれくらい安値で買えたのか、その辺ちよつと御説明願います。
  136. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 小麦協定のものは八十五ドル承知いたしております。それからちよつと今前のほうの御質問の御趣旨がわからなかつたのですが……。
  137. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一般的に輸入価格、ドルの価格で小麦、米各地域別にどれくらいのもので入つておるのか。
  138. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 米はタイが百三十五ドル、最近は少し上つていると思います。それからエジプトが百五十ドル見当、これは実績を申上げております。台湾が百五十七ドル、香港スルーで入りますものが安いのですが、百三十五ドル
  139. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから濠洲米ですが、今幾らぐらいするのですか。
  140. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 濠洲米は現在やはり百七、八十ドルするのじやないかと思います。  それから小麦を申上げますと、ガリオアの分が大体百六ドル見当です。それから濠洲物が九十ドル、アメリカ物が百ドルちよつと出ます。百三、四ドル、カナダ物が、ものによりますが九十ドルくらいであります。それから大麦を申上げますと、ガリオアのものが八十五ドル、アメリカ物が約九十ドルであります。カナダが八十六ドル見当、濠洲物がやはり九十ドル見当、そういうようなことであります。
  141. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると我々がこの前予算審議をした場合と比べると相当高くなつていると思うのですが、それで一つ資料として先ほど輸入食糧の各地域別実績をお出し願うように申上げましたが、それと一緒に一つ各地域別のそういう買付実績、従つてそれの金額と、それから出て来るところの補給金の算定の基礎、そういうものを三百二十万トンの場合にどうなるかということと、それを変えて、三百八十万トンにした場合にどうなるかという数字を一つお出し願いたいと思います。
  142. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 実はさつき途中で話を取られてしまつたんですが、もうほかの委員に大分聞いて頂いたのでありますから、私は重ねて聞くことはいたしませんが、結局もう一遍だけお聞きしたいと思いますのは、統制撤廃というようなときには、この食管特別会計のほうは九月末パリテイ指数が二五〇として、そうして特別加算額五%というようなことを基礎にして計算されているのでありますが、統制撤廃ということになりますと、先ほど長官として非常に含みのある上つたり下つたりと、こう言われるのですが、誰が見ても上ることは農林、安本、大蔵皆考えておつて、ただ上る工合がどれくらい違うかという見込の差だと私は思いますが、少くとも統制が撤廃になるとすれば上るだろうという常識になつておる。そしてそれがそういうふうな情勢になりますと、供出するほうから見ますると、これは米価というものはそういうふうに上るだろうと思えば、何も四月一日から撤廃になりましても、その前に価格には直ちに変動が出て来るわけであつて、そのときに二千六百万石を供出させようとしても、その点については相当無理が生じて来るんじやなかろうか、こういうふうに考えておりますが、その点についてはどうお考えになりますか。
  143. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 堀木さんのおつしやる通りに非常に無理がかかつて、その点が非常にむずかしい問題になつておるのであります。
  144. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 更にお尋ねいたしますが、そのときに何らか特別の処置をしなければ供出米も確保はできないというふうにお考えになりませんでしようか、その点をちよつと……。
  145. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 何らかの措置を講じなければいかんかと考えております。
  146. 岩間正男

    理事岩間正男君) ほかにございませんか。それでは農林省統計調査部の管理課長が見えておりますから……。
  147. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 農林省の統計調査のことでお尋ねしたいと思います。最初は人員整理であります。一万四千九百四十三人のうち、六千五百二十人が整理せられて八千四百二十三人が残ることになつておるのであります。それからその内容を検討して見まするというと、農作物調査では一万一千百四十四人のうち、五千八百六十九人が整理せられて五千二百七十五人が残るということになりますために、その整理の率は五二・七%となつておるのであります。こういうふうに統計調査部のほうの整理をせねばならないところの理由がどこにあるか。又農作調査というものは一体どんな調査をしておるのであるか、先ずこの点からお尋ねしたいと思うのであります。
  148. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 御説明申上げます。統計調査部は、本省のほうは統計調査部でございまして、それから地方のほうの実際に調査をいたしておりますところは県に統計調査事務所が四十九あります。その下に大体現在において五カ町村平均に二千百十三の出張所を設けて調査いたしております。それで今藤野委員が申されましたように、この統計調査部におきましては農作物調査とそれから農林経済調査と農林統計と水産統計、それからそれに関連いたします気象感応試験とか被害試験とか、そういうものを担当いたしておりますが、現在において一番その重点を置いて調査しておりますものは農作物調査でありまして、これについては米、麦、甘藷、馬鈴薯、その他大豆、菜種等、合せまして八十三品目に亘る農作物の生産高を調査いたしております。それで今度の整理につきまして、特にこの農作物調査が現在中央地方合せまして一万一千百四十四名という者がこの農作物調査に従事いたしております。これにつきまして合せまして約五三%の整理率になつておりますが、これは米麦の統制を撤廃する、こういう前提の下に整理がなされております。それで二十六年度は現在の陣容でやつております。調査に対しまして五十三%の整理になりますと約半数以上になりますので、現在の調査の方法等を相当に簡素化しなければいけない、こういうことになりまして、この政府の整理案によりまして我々が調査の設計を今検討をし研究をいたしておりますが、その大体の内容について御説明いたしたいと思います。  それで現在は食糧統制、特に米麦の統制ということで、米麦につきましては生産高調査が町村別に生産高の資料ができるように調査いたしております。現在農作物調査でとつております調査方法は標本調査と申しまして、任意に標本をとりまして、それを実測いたしまして、それによつて作付面積を調査いたしまして、そうしてそれに坪刈によつて反収を調査いたしまして、反収を作付面積とを相乗いたしまして生産高を推計する、そういうような方法をとつて、そうしてそれによつて町村別資料ができるような調査をやつております。こういう五三%の整理になりますと、その標本数を大巾に削減しなくちやならない、こういうことになりまして、特に米麦につきましてはこの標本を大切に削減する、こういうことになります。先ず水稲から申しますと、水稲については作付面積の調査につきまして、作付歩合の現地調査と、こういうことをやつておりますが、大体標本数を二町歩を一標本といたしまして、それを県で現在は二千四百単位を今平均いたしましてとつておるわけでありますが、整理案が通りますれば、それを約七割程度削減しなくちやならない、現在の三割程度でやらなくちやならない、こういうことになります。今までの現在の調査の設計では二千四百単位が五百単位、こういうことになります。それから水稲の作付面積の実側のほうといたしまして、やはり面積の平板側量を以て面積を実側いたしまして、台帳面積との違い、例えば縄伸び率或いは縄縮み、或いは実際に植付けてあります本地と畦畔の歩合、そういうものを平板側量で実側するわけでありますが、そういう平板側量による実側調査を全然廃止しなくちやならない、こういうことになります。それから作況のほうの調査でございますが、収量のほうの調査も今は予想収穫高を米につきましては二回やつておりますし、それから最後に実収高を推計する調査をやつておりますが、予想収穫の調査につきましても、標本数を筆数で約五割六分程度削減しなくちやならないし、それから推計実収高調査におきましても、坪刈をやる標本数を五六%現在よりは削減せざるを得なくなります。これは結局職員が減りますので、労力の点からサンプル数がとれなくなるわけでありまして、こういうように水稲につきましても平板側量が実際やれなくなりますし、そういう坪刈数を減らすと、こういうことのために現在町村別資料を作つていたのが、大体県段階の推計になりまして、その誤差も大体現行の府県別統計で誤差率が一・八%でございますが、これが整理後におきまして県段階で約三%程度の誤差の大きなものになつて参るわけであります。それから陸稲、麦類、それから甘藷、馬鈴薯、こういつたものにつきましては、畑作でありまして、水田のように固定いたしておりませんので、相当に作付の転換がある。こういうようなわけで、畑作については水稲のように平板測量を全廃するということは非常にその精度を落すわけでありますので、陸稲と麦については作付歩合の調査と、それから平板測量というものを両方を継続することにいたしますが、やはりその人員の点から大体四割三分程度で、現在の二十六年度の調査から標本数が減るわけになりまして、そのためにやはり県別資料といたしましても二十六年度に比べますと相当正確度が落ちると、こういう止むを得ない状態になります。それから甘藷、馬鈴薯につきましては、従来通り……、従来からすでに相当簡素化しておりまして、県段階の推計をやつておりますので、これ以上はもう統計としては精度を落すわけに行きませんので、ここは従来通りどうにかしてやつて行くと、まあこういうような段階にありまして、農作物調査につきましては従来の正確なものが全国的にはやはり誤差率が1%くらいになると、こういうような設計でございます。こういうようなわけで、この統計といたしましては、従来五カ年計画で二十四年度からやつております耕地面積調査の町村別の耕地面積統計を作る、こういうのが丁度現在三カ年目で、もうあと二カ年継続いたしますれば耕地面積の町村別の推計ができる、こういう段階になつておりますが、それが水稲でさつき申しましたように平板測量を全廃せざるを得ないと、こういうふうな状態になりまして、この三カ年がどうしても中断しなければならんというような状況で、何とかしてこれは我々としては現在工夫いたしましてやつて行きたい、何とか出したい、こういうようなことで検討いたしております。そうしてなおこの五二%ということに削減になります場合には、やはりさつき申しましたような県単位に三%程度の誤差率を保つことについては相当程度非常勤職員或いは常用人夫、そういつた労力補充をこれは今後お願いいたさなければならんのではないか、こういうふうに考えて、目下大蔵省のほうに折衝いたしておる段階でございます。
  149. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 サンフランシスコにおける講和條約の際に、経済統計に関する宣言を吉田全権ほか全員がやつておるのであります。こういうふうに講和條約を締結する場合においては経済統計を強化するということを宣言しておきながら、今回のような人員整理をしたならば、この宣言に従つて調査ができると考えられるのであるかどうか。今後人員整理の結果は、九月の八日にサンフランシスコで宣言書に署名をしたが、その後の情勢で調査はできない、こういうふうな結果に陥つてしまうじやなかろうかと思うのでありますが、この点について、この宣言と人員整理との関係についてお尋ねしたいと思うのであります。
  150. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 今般の講和條約の宣言の中に、日本として今後経済統計に関する国際議定或いは協定、こういつたものに加入をする義務を負う、こういうふうに宣言されておりまして、この経済統計に関する協定或いは議定書、こういうものはジユネーヴにおける経済統計に関する議定書でありますし、或いはパリーにおける協定、こういうものに加入する義務を宣言されたわけでありまして、これに加入いたします場合において、日本としては日本の経済統計を報告する義務を負うわけであります。そういう場合に日本といたしまして義務付けられた統計というものは、国際的に調査……、産業分類なり或いは調査方法なり、調査項目が比較できるものを調査して、それを報告しなければならぬ、こういうことになるわけでありまして、やはりその正確度においても相当のものを出す必要があろうと考えられるわけであります。そういうわけでありまして、この整理案によつて農作物調査にいつたものが大幅に整理を受けた場合にどうなるか、こういうようなお尋ねであろうと思うわけでありますが、現在現段階において誤差率が大体三%、全国の統計においては誤差率が一%になりまして、これが上下それぞれ巾がありまして、二%の誤差率になるわけでありますが、そういうような場合にこれは国際統計としては、まあ国として比較する場合には、どうにかその基準に適うものができるのじやないか、こう思つておるわけでありますが、更に我々といたしましては十分に検討いたしまして、調査方法等を検討いたしまして、その基準に適うものを作りたい、こういうふうに考えております。
  151. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 大分苦しい答弁のようでありますが、今までお伺いしたところによつて見まするというと、誤差率が相当出て正確を欠く、こういうふうなことになりますというと国際信用を落してしまつて、食糧の輸入にも支障を来すじやなかろうか、こう考えるのであります。又国内における食糧はどのくらいできているのであるか、こういうふうなことも正確を欠くようになる、需給の推算もできないようになる。こういうふうなことになつたならば今回の行政整理というものは却つて我が国における食糧需給、その他農林統計に関する点について悪化を来し、悪くなつて、却つてサンフランシスコにおける経済統計の宣言に反するようになりはしないかと心配するのでありますが、食糧の輸入或いは食糧需給推算、こういうふうなものにどのくらい支障を来すもののようにお考えになるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  152. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 現在の設計で考えますと、先ほど申しましたように全国のまあ米麦につきまして誤差率が一%程度になるというので、まあ国の段階といたしましては辛うじて国際的基準に適合する、こう思つております。で差当つて外国食糧の輸入量の算定というようなものには、一応その基礎になり得ると我々は考えて、更にこの現在の考えております設計方法をもつと研究して行きたい、こういうふうに考えております。
  153. 岩間正男

    理事岩間正男君) ほかにございませんか。それでは御質問がなければこの委員会はこれで終りにしたいと思います。  最後にこの資料提出の要求があつたのでありますが、これを確認する意味で一応速記にとめておきたいと思います。第一に特調関係では、終戦処理費以外の米国負担占領費の総額各年度別、これを出して頂きたい。農林関係では堀木委員から今年度の輸入食糧の輸入計画と輸入実績、第二に佐多委員から来年度の食糧需給並びに米価の見通し、第三には同じく佐多委員から輸入食糧の各地地域別輸入食糧価格及び補給金について、この補給金については三百二十万トンの場合と三百八十万トンの場合がどうなるか、こういう点について資料の提出が求められておりますので、関係官庁では早急に予算の審議に間に合うようにこの資料の提出を確認して欲しいと思います。  以上を以ちまして本日の予算委員会を終ります。    午後四時二十一分散会