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1951-11-05 第12回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月五日(月曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員           池田宇右衞門君            小野 義夫君            加納 金助君            古池 信三君            郡  祐一君            白波瀬米吉君            深水 六郎君            荒木正三郎君            内村 清次君            小酒井義男君            波多野 鼎君            松浦 清一君            小林 政夫君            結城 安次君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   政府委員    地方財政委員会    委員      菊山 嘉男君    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    文部大臣官房会    計課長     寺中 作雄君    建設大臣官房会    計課長     植田 俊雄君    経済安定本部建    設交通局次長  今泉 兼寛君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君   説明員    農林省農地局長 平川  守君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)(内閣送付)   —————————————
  2. 東隆

    理事東隆君) それではこれから委員会を開会いたします。  今日は公共事業費平衡交付金関係でありますが、例によりまして関係方面から説明をいたしてもらいます。最初に農林省農地局長さん。
  3. 平川守

    説明員平川守君) 農地局関係補正予算といたしましては、積雪寒冷地帶に対する対策といたしまして合計二十億円の公共事業費計上いたしております。内地北海道とに分けますると、土地改良事業として十八億七千五百万円、端数がございますが、それを内地十五億八千万円、北海道二億九千四百万円、そのほかに開拓事業といたしまして一億二千七百万円ほどの経費計上いたしまして、合計二十億でございます。この仕事の主な内容といたしましては大体考え方といたしましては、土地改良事業の、殊に従来の本予算計上されておりません小規模の土地改良事業に重点を置きまして計上をいたしております。総額二十億円のうちで小規模団体関係といたしまして、灌漑排水事業において内地で五億一千万円、北海道で六千四百万円、こう計上いたしております。このほかなお小規模の土地改良事業といたしまして区画整理でありまするとか、或いは暗渠排水、客土というような事業に対しまして総額約八億円を予定いたしております。但しこの細目につきましてはなお大蔵省と話合いをいたしておる点があるわけであります。それからそのほかに従来行なつております府県営灌漑排水事業等に対しましてはこの予算をつけることによつて急速に完成し、増産の効果を挙げるというようなものを主として狙いまして、府県営において約二億九千万円、北海道において四千九百万円を予定いたしております。そのほか開拓関係におきましては、開拓道路等建設工事に対しまして総額一億二千四百万円を計上いたしておりますことは先ほど申上げた通りであります。なお寒冷地帶に対する対策といたしまして、温水溜池施設が非常に重要でございますので、その施設といたしまして約七千万円を予定いたしております。これら全部合せまして、積雪寒冷地帶対策として総額二十億を計上いたしておる次第であります。  それからなお地盤沈下対策につきまして、本年度におきましては、全体として事業分量約十億円の事業予定いたしまして、これに対する国庫補助として五億五千八百万円ほどを計上いたしております。これは従来災害対策費として取扱つて考えておりましたが、これを補正予算計上いたしまして、土地改良事業の一部に加えましたわけであります。  以上簡單でございますが……。
  4. 東隆

    理事東隆君) 只今農地局長説明質問がございましたら……。質問がないようでしたら、林野庁……。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちよつと。今の農地局関係災害復旧、特に今度の災害復旧について何か特別にお考えなつた点があるかどうか。
  6. 平川守

    説明員平川守君) 災害復旧関係は御承知通り予備金が当初計上してございまして、本年度災害についてはその全体として八十億の予備金が組んでございます。その中に入つておる。今回の災害に対しましてはそれで全部賄い切れないのじやないかというので、なお今後どういう方法でこれに対処するか、なお研究中でありまして、差当りは繋ぎ資金を持つて、これに預金部資金等を一時出しまして、それによつて仕事を進めて行くことにしたい、かように考えております。
  7. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 八十億の本年度昭和二十六年度災害復旧の費用は、何か補正減額されて七十五億になつているかと思いますが、そのうちすでに使つてまつたやつもありましようし、それらの点については全体の問題として、後ほど建設省なり、安本にお聞きしたいと思うのですが、そのうちに特に農業関係に、而も農地関係にどれくらいのものを予定されているのか、予定し得るのか。それから而も現在きまつただけでは足りないので、更に追加として相当なものが必要になると思うのですが、それらの点をどういうふうにお見通しなつておるのか、もう少しその点を詳しく承わりたい。
  8. 平川守

    説明員平川守君) 本年度の八十億の全体の分け方につきましては、別に安定本部等からお答えなつたほうが適当かと思いますが、その中において、農業関係におきましては、只今ちよつと正確な数字を今調べて参りますが、二十億弱くらいの金を農業関係に充てるという予定で進んでおるのでございます。
  9. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その二十億のうちに、すでに二十六年度、今までに起きた災害ですでにお使いになつているもの、或いは使う予定なつているものがあるのかどうか、従つて、それらを差引いて残りが幾らであるのかという問題と、それから今度の災害によつて復旧を要する農地局関係資金所要額はどれくらいというふうにお見通しなつているのか、その点を……。
  10. 平川守

    説明員平川守君) 只今申しました二十億程度のものと申しますのは、すべて本年度起りました七月以降の水害等に対するものでございます。但し、全体の予備金の点につきましては、安定本部からお答えなつたほうが適当かと思います。まだ若干八十億の中に残りがある。それが或る程度今回の風水害に分けられるというふうになろうかと思つております。ただ、それが金額的にはまだきまつておりませんで、いずれ足りないので別途の方法でこれを補なつて行かなきやならんということになると思います。
  11. 東隆

    理事東隆君) 佐多君に申しますが、今経済安定本部建設交通局次長今泉君が見えています。
  12. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ではそつちを聞いてから……。
  13. 東隆

    理事東隆君) それでは経済安定本部建設交通局次長にお願いします。
  14. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 今主として災害関係のことについてお尋ねのようでございまするから、補正予算全体のことは後ほどにいたしまして、今の御質問だけ取りあえずお答え申上げたいと思います。御承知通り、今年の発生災害予備費といたしまして八十億の予算計上してあつたわけでございまするが、実はルース台風が起るまでの被害は、最近の災害といたしましては、割合に少い災害でございまして、当初の考えといたしましては、八十億の配分方法といたしまして約五十億ほどはこのルース台風以前の発生災害に向けまして、そうしますと大体国費で申しますると、国が査定した被害額として、国が当然国庫負担すべき額は、初年度の割といたしますれば、大体五十億の予算を出しますれば、本年災害に対しては約二〇%近くの復旧率になる、こういう次第でございます。それでも若干まだ残りますので、約二十億円は過年度災害のほうに振向けよう、それで七十億になりますが、それから五億円程度冬季風浪害もあろうから、予備費として取つておるのであります。それからあと残りの五億でございますが、この補正予算計上してあります緊急治山砂防事業費として四億六千五百万円廻してございまするが、この予備費から緊急治山関係に、これは従来は災害費で取つて参つたものでございまするが、施設のないものを災害費で取るということは適当じやなかろうということで一般公共事業費に廻わすということでこの四億六千五百万円を取りまして、あとの五億三千五百万円ほどは冬季風浪害に残そうということで、実はルース台風の来る前の閣議におきまして大体そういう方針をきめたのでございまするが、今度そのきめた約一週間後に、例年にいたしましては非常に異例的な大きな災害が参りましたので、その閣議決定を一応棚上げにいたしまして、五十億円ときめた中からら四十五億円は本年度災害に充てる。それからここに補正予算としてすでに計上いたしました四億六千五百万円は、これは国会のほうに提出済でございますので、これだけはやはり八十億円の予備費から出して頂く、こういうことに現在決定に相成つております。それから過年度災に二十億を振向けるという問題も、これもできればあとの本年度災に対しては補正予算を組むといたしまして、二十億円は、できればやはり過年度災に、当初閣議決定通り振向けたいということで、目下補正予算をどの程度組むかということにつきましては検討中でございまするが、損害は非常に今度のルース台風は多うございまして、大体いろいろ査定した結果にもよりますが、まだ目下査定中でございますので正確な計数は出て参りませんけれども、相当査定してもやはり五百億近くの損害額が今度のルース台風だけで出て来やせんか。こう考えております。従つて、今こういつた八十億から引き充ていたしました残を以ていたしましても、この四十五億円すでに決めた本年度災害は、すでにきめたと申しました四十五億で復旧いたしますと、大体一七%ほどの復旧率になりますので、その一七%程度復旧率を以てしてもあと残された八十億の残でこのルース台風被害を賄うということは到底できませんので、少くとも一七%、できれば災害本格的復旧率である初年度三〇%、次年度五〇%、三年度においては残の二〇%で全部完成する、こういつた元の平常の復旧率に返したい。そうすれば相当多額の補正予算、恐らく百億以上の補正予算になろうと思いますが、そういつたことも念頭に置きまして、目下どの程度補正予算を組めばよろしいかということで事務的に検討しておる。こういう状況でございます。
  15. 東隆

    理事東隆君) 佐多君、若し質問がなければ続けて安本から全般説明を……。
  16. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 聞いて後に今の問題を質問します。
  17. 東隆

    理事東隆君) それでは続けて建設交通局次長から全般について伺います。
  18. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) それでは公共事業関係の今度の補正予算全般について御説明申上げます。
  19. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 資料はどれに出ておりますか。
  20. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 資料昭和二十六年度公共事業費予算科目別内訳補正を含む)というのがたしか差上げてあると存じます。
  21. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 建設交通局のやつですね。
  22. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 建設交通局です。実はこの中には本年度から広い意味公共事業と、それから安本取扱公共事業予算と両方が入つておりまするので、昨年までは六・三の学校、その他の学校、それから営繕関係安本公共事業予算の中に入つておりましたが、本年度から取扱を変えまして、六・三の学校、それから官庁営繕関係は、大蔵省のほうの所管に移りましたので、私からは安定本部予算として組んでおります学校と、それから官庁営繕を除いた分について御説明申上げたいと思います。  第一は、先ほども農地局長から御説明ありました積雪寒冷單作地帶対策事業費として十億を計上してございます。これは今度の臨時措置法に基きまして、経済的に立遅れました積雪寒冷地帶における農業生産基礎條件を速かに整備する、それで灌漑排水事業開拓事業或いは耕地整理等の比較的小規模の土地改良事業を行うための経費でございます。対象となります地域は、北海道、東北、北陸等の十八道府県でございまして、当初予算大体四十二億円ほどこういつた方面計上してございましたので、今回の補正の二十億を加えますと六十二億円が積雪寒冷地帶に対して支出される、こういう次第でございます。それから第二は、奥地林道開発費といたしまして、七億五千万円計上してございます。これは当初の予算では七億四千八百四十三万円計上してあつたわけでございますが、木材需給緊急性と、森林法改正に基く伐採制限の強化に伴いまして、未開発資源の活用が必要となつて参りましたので、奥地幹線林道をこれによつて新設しようとするものでございます。この補正予算によりますると、新設延長は四百五十七キロメートルになりまして、当初予算も含めますと七百六十三キロになる予定でございます。それから第三番目には、地盤沈下対策事業費といたしまして六億八千三百九十三万円計上してございます。これは南海地震により地盤沈下のために漁港港湾耕地等の機能に重大なる支障を及ぼしておるところを、これによつて堤防かさ上げとか、排水、客土といつた改良事業を行なつて原形に復旧しようという、それがために土地改良に対する事業費を五億五千八百九十九万八千円。それから漁港関係の二千四百四十三万二千円、港湾の改修の関係は八千九百万円、都市計画事業費といたしまして一千百五十万円、合計六億八千三百九十三万円計上してあるわけでございます。これは元来が、大分まあ年度は大分過ぎました災害ではございまするが、元来は災害復旧費として取上げた問題でございまするが、昭和二十四年度南海震災関係は大体打切るというつもりでおりましたところが、だんだんだんだん二十四年度当時は発見せられなかつた地盤が、その後二十五年、二十六年というふうに引続いて出て参りましたために、これを災害復旧として見るということも、年度が余り経過しているために適当じやない、そうかといつて災害復旧費としてこれを見ないということも、又全然見ないということも、適当でなかろうということで、これはまあ災害復旧という面よりか、一般改良費で見るのが適当であろう、こういう関係災害復旧費から一般に組替えまして、こういつた特殊の地盤沈下対策事業費として計上した次第でございます。  ちよつと予算が混み入つておりましてあれでございますが、この資料の二枚目の土地改良の二十一億三千九百八十二万四千円。その中の五億五千八百九十九万八千円が土地改良関係地盤沈下ということになります。それからずつと下のほうに、中頃に行きまして、水産施設費といたしまして、この補正の二億四千四百三十二万円という計上がございますが、これが水産関係地盤沈下、それからずつと下のほうに行つて、下から三行目の港湾事業費として八千九百万円、これも港湾関係地盤沈下、それからその次の表をめくりまして、都市計画事業費として一千百五十万円ございます。これは都市関係地盤沈下、以上が地盤沈下関係でございます。  それから第四番目に、緊急治山砂防事業費といたしまして四億六千五百万円計上してございまするが、これは二十六年のケイト及びマージ台風等によりまして、新たに発生した山地崩壊の擴大を防止するため、山腹工事及び砂防工事等緊急工事を行うための経費でございます。国が直轄で行うものが三十六カ所、それから地方公共団体等に対する補助事業として行うものが二百九十八カ所施行する予定なつております。これも従来はまあ施設のない災害ではございまするが、災害復旧費の一環として従来まあ取扱つたわけでございまするが、災害復旧原則はやはり施設を元に返すというのが原則でございまして、こういつた施設のないものを災害復旧費として取上げることは、災害を純化する意味から言つても適当ではなかろうということに相成りましたので、本年度災害復旧予備費の八十億の中から一般のこういつた公共事業のほうに廻しまして、一応災害復旧費も本年度からは打切つて一般改良事業で行こうといつたために、予備費から廻して来年度からは一般公共事業費で組むという原則に戻したいために、ここに八十億の中から四億六千五百万円をここに計上した次第であります。以上であります。
  23. 東隆

    理事東隆君) 質問ありませんか。
  24. 波多野鼎

    波多野鼎君 積雪寒冷帶ですね、これに対する二十億ですか補正予算で組んでおりますが、これと例の米麦統制撤廃を含んでの、前提としての早場米奬勧金、これとの関係はどうなつておりますか。
  25. 平川守

    説明員平川守君) 直接には早場米奬勧金というものと必ずしも関連いたしておらないと考えます。
  26. 波多野鼎

    波多野鼎君 政府側只今説明によると、早場米奬勧金を廃止する代りとして積雪寒冷地帶公共事業をやるんだ、こういう説明をしておりますが、そういう含みがあるのですか。
  27. 平川守

    説明員平川守君) これは私どもが單に事務的にお答えするだけでございますけれども積雪寒冷地帶振興に関する法律に基いてその振興対策に対して調整するということだけに私どもとしては考えております。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今安本関係一般公共事業費及び今度補正の場合、今御説明願いました範囲での追加ですが、物件費のほうのほかの分のこれについては何にも考えなかつたのでございますか。安本関係一般公共事業費関係物件費があるわけです。これは何%くらいですか、大体お聞きしたいのですが、それについて物件費補正というものを何ら考えなかつたかどうか、それはみんな補正しないで物価値上り分だけは工事を減らす、こういう建前でやられておるのかどうか、この辺ちよつと伺つて置きたいのです。
  29. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 実は本年度公共事業予算を組むときは、昨年の十一月あたりが大体きまりかけておつたという状況でございましたので、当初の考えといたしましては、十一月あたり物価が基準となつてこ予算が組まれております。ところが今年の四、五あたりからえらく物価に変動がございまして、大体去年の十一月あたりに比べますと、人件費物件費を含めて公共事業全体についてたしか三割乃至三割五分くらいの変化があるはずでございます。併し大体今年の当初はすでにこの予算を施行する場合におきましては四月五月という当初になりましたので、当初の施行の計画は大体四月五月あたり物価状況を加味して施行しておりますので、従つて当初昨年の十一月あたり予算を組んだときに比べましては三割乃至三割五分くらいの値上りなつておりまするが、それだけ事業費を減らして今年の事業関係計画して、それに基いて現在やつておる、こういう状況でございます。従つて当初昨年の十一月当時の計画をその通り実行するとなれば、やはりこれに対して三〇%何がしの或いは補正を組まなくちやならなかつたかも知れませんけれども、なかなかそうなりますと相当の、約千億余りの三〇%の三百億乃至四百億の補正ということになりますので、なかなかそこまで織込むことも無理な状況もございますので、本年当初においてすでに織込済事業も縮小した、こう状況であります。できれば、財政事情が許せばそれだけの三、四割のあれは見たいのでありますが、なかなか手が廻りかねて、更に新らしい災害が出ている、こういう状況なので、実は増したくても、そういつた諸般事情から物価値上りだけは差控えて補正関係では遠慮した、こういう事情でございます。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 参考のために伺つて置きたいんですが、まあ全体の予算の中では一応物件費としてはつきり出ているのは約二千億と出ている。当初予算ですね。六千五百七十四億、物件費とはつきり出ているのは約二千億と出ている。公共事業費関係で、これはラフでいいんですが、約一千百億のうち物件費としてどのくらい入つているか人件費としてどのくらい見積られているか。
  31. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 詳細の資料はちよつと今日持合せございませんので極く概略な数字で申上げますれば、大体公共事業関係物件費が全体の六割程度人件費が四割程度というふうに大体考えております。そのうち物件費値上りが、物によつて違いますけれども、物によつては非常に、建設機械なんといいますとこれは鉄の塊りみたいなものでございますから大体これはもう倍乃至倍以上上つているものもございます。それから單なる土木工事で非常に人件費、まあ失業救済的な道路事業といつたようなものはむしろ物件費より人件費のほうに依存する関係が多うございまするので、一概に申上げられませんけれども、平均いたしますと物件費が三五%乃至四〇%程度値上り人件費が一五%程度、こういうのを引つくるめまして、先ほど申しました公共事業費の平均で申しますと大体三五%程度値上りと、こういうふうに承知をいたしております。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは大蔵省関係になりましようが、文教施設費追加ですね。この追加の理由を見ますと、これには物価事情変化のため当初計画は相当圧縮を受けて追加補正をした、こういうふうになつている。文教関係についてはとにかく物価補正考えている。ほかのほうは考えない、これはまあどういう事情なんですか。
  33. 東隆

    理事東隆君) 木村君、大蔵省主計局次長が見えています。
  34. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お答え申上げます。今回の補正予算におきましては、只今安定本部のほうからお答えを申上げましたように、原則として物価騰貴は見ない。例外的に考慮いたすものといたしましては、一般会計には直接の関係のございませんものも相当ございますが、国鉄でありますとか、或いは電気通信でありますとか、そういうような資材関係の部門で、一定の事業計画を遂行いたしますがためには、是非ともその騰貴具合を考慮いたしませんと事業計画支障があるというようなものでございますとか、それから一般会計について申上げますと、主食値上りがありますと、その場合刑務所の收容食糧費でありますとか、或いは病院の主食費でありますとか、経費の効率的な使用ということでは何とも繰廻しのつかない、計画の繰延べということでは対処して行けないものというものに限定いたすという方針をとつておりました次第であります。従いまして先ほど来お尋ねのございましたように、公共事業につきましても物件費騰貴資材値上りに対しましては補正予算計上いたさない、こういう方針原則としてとりました次第であります。ただ六三制、いわゆる義務制の中学校建設費單価の増につきましては、單に国が義務教育につきまして、従来の不足教室坪数につきましては諸般事情から特別の考慮をしなければならぬというのみならず、地方公共団体の種々の実情考えて見ますると、いろいろ当初六三制の予定坪数割当をすでに各地方公共団体にも通知を事実上いたしまして、各府県団体でもその割当を織込みました上でいろいろと工事設営その他の計画を進めておられるという実情もございまするし、六・三制の教室不足ということにつきましてはもとより、ほかの公共事業の各部面極めて重要ではございまするが、事柄の重要性に鑑みまして、右申上げましたいろいろの事情考えました末、本件につきましては特に單価値上りを或る程度考慮しよう。これもすでに御手許の予算説明書その他につきまして御承知通りでありまして、値上りのすべてを補正予算計上するということではございませんで、その一部につきまして真に止むを得ないと思われるものにつきまして、値上りにつきましての補正を考慮しようということに相成つた次第でございます。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもよく納得行かないのですが、皆敗戰後の日本の経済としては相当逼迫しているのですから、どの経費も緊急止むを得ないものを相当計上しているはずなんでして、殊に公共事業などはこの日本の経済復興にとつて非常に重要なものですから、今一時的にやり繰りできるから緊急でない、こういうように考えるべきじやないと思うのです。やはり計画的に日本の経済を復興して行くために今やり繰りできるからこれは緊急でないと、こういうふうに解すべきじやなく、やり繰りできてもこれは緊急性の点については又問題が別にあると思うのですが、これは議論になりますから、只今のただ緊急止むを得ない、やり繰りできるものはやり繰りして頂いてもらつて、どうしてもやり繰りできないものだけを補正したという説明だけでは、一体今度の補正というのは何を補正しようとしておるかわからないのです。補正予算と言いますが、何を補正しているか、どこを見ても……。一番重要なのは物価補正だつたわけです。当初計画よりはそれが補正されてない。殊に一番大きいのは公共事業関係なんです。これが物価補正されてない点については非常に疑問なんですが、議論になりますからやめますが、財源がない、ないというお話ですが、これは衆議院でもいろいろ今例えば天狗橋事件を調査しておるようですが、この公共事業費の使い方についてああいう問題が起つているのですから、当然これは調査されたと思うのですが、我々は何県のどこのことをどうだということについては重要でありますけれども、そう大して社会的興味を我々は持つわけじやないのですが、全体としてこの千百億の公共事業費関係でそういうようなああいう不当支出、不正支出、そういうものはどのくらい見込まれるか、若しかすると例えばまあこれは或る一つの県の例ですからこれが全般を測れないかも知れませんが……福島県の例です。大体実際に公共事業費に使われるのは六割五分ぐらいで、六五%であとの三五%は談合費とか或いは接待費とか、そういうものに向けられる。純粋に使われるのは六五%だと聞いておる。そうすると千百億のうち仮に三五%がそういう不当支出、不正支出みたいなものだと、物件費補正ができないことはないと思う。そういうものを若しかないとすればですね。こういうものを全体的に御調査になつたか、これは調査してなければ非常に怠慢なわけです、安本としては。ですから何か御調査があるわけです。それをちよつと伺いたいのです。何県の何ということには興味は持ちませんが、大体どのくらいの、そうして今後ああいう問題についてどういうようにして行かれるつもりか、何か研究されているに違いないと思いますからそれを伺つて置きたい。
  36. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 公共事業費の使い方について先般来新聞その他にの使い方について先般来新聞その他に出ておりまして、かなりルーズな面があるのじやないかという点につきましては、実は私どものほうでやはりこの公共事業あとの監査関係につきまして、監督課という一課を設けて始終府県関係の監督をやつている次第でございまするが、伝えられるがごとく三五%というような金額がそういう不正関係に使われて、実際が六五%、こういうことは私どもの調査、それから会計検査院の調査等に、それから大蔵省でもやつておりまするが、その結果から見てそういつた過大ななには認められません。若干はやはりいろんなものがあるということは我々も是認せざるを得ないわけでございまするが、三五%もあるというようなことは我々の調査ではそういう調査が出て参りません。伝えられるように天狗事件等につきましても実はこれはああいつた橋を落して、そうして災害復旧費を余計取りたいということであの事件が起きたのでありまして、あれに不当な支出がなされたというのじやございませんので、むしろあの橋を是非直したい、直すについては相当県負担ばかりではなく、国の災害復旧事業として相当の金額を補助してもらわななければなかなか立派な橋に直らないということで、県負担以上の国の補助費をもらいたいというためにああいつたことも一部企てられた。又そのことの正否はまだ判決を待たないとわかりませんけれども、これは伝えられたごときが真相といたしますれば実は災害復路費が思うように廻らないために、国からの予算を引出すためにやつたのだと、こういうふうに伝えられている事件でございます。我々も事業費予算を組んで各省に流して、実際の監督をやつているのは各省がやつているわけでございまするが、監督課という一課を設けてしよつちゆう府県の監査もやつております関係上、こういつた事件がままほうぼうに起るということについては非常に恐縮に存じておる次第でございます。現在会計検査院、それから私どものほう、それから大蔵省、この三つが検査をやつておるほかに、実は各省自体も自体監査ということで建設省、農林省、運輸省なりが自体監査をやつている。こういう次第でありまするが、今後につきましては、御指摘のようなものが伝えられるがごとく三五%はないにしても、若干でもこういつたようなものが起るということについては、私ども非常に相済まない次第だと存じておりまするので、できれば今度の機構改正を機に、この監査関係が余りに複雑になつておつて、必ずしも本当の意味の監査ができていないという一部の非難もありまして、余り監査々々ということでむしろ地元、地元と申しますか、事業執行者あたりが非常に監査関係にむしろ時間を取つてしまつて、実際の執行の面について却つてエキスパートが手ぬかりになつておる、こういう一部の又非難もございまするので、今後こういつた事業執行の而については、監査機構を統一して、もつと強力な手を打ちたいということで、行政機構の改革と同時に併せて考えられておる次第でございます。我々も今後十分この点に気を付けまして、こういつた事件の再び起らないように努力して参りたいと思つております。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省のほうの見解を伺いたいのですが……。
  38. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 公共事業費に不正乃至不当支出の金額が、木村委員の一応にお話のごとく、巨額の金額に達しておるというふうには大蔵省のほうでも考えておりません。これは安定本部只今の御説明通りでありまして、私ども政府といたしましては、金額につきましてはさほど大きなものではない、こういうふうに考えておるものであります。ただ私ども予算編成の事務に当り、又その執行の結果を見、又決算の内容を見まして、最近特に感じておりますることは、只今お話の出ておりまする予算執行が最近不適正に行われ、又は不当に経理せられる実例が非常に多い、これはひとり公共事業に限つた問題ではございませんで、国費の全般につきましてそういう傾向が非常に多いということは、実は私ども非常に遺憾とし、又恐縮に存じ、何とかこの改善方策を是非行わなくちやならんというように実は痛感をいたしております。そうしてその原因も実は時間的に申しましても、或いは種類から申しましても、極めて広汎に亘り、又非常に深刻な問題を包蔵しておりまして、單に監査をやつて行くとか何とかいうような局部的な一つの方法では、到底この会計経理の適正、これから会計経理を建直して参るということでは、もとより不十分でありまして、物心両面についていろいろな手を本当にこれは日夜常にたゆまずに、地味な手をあとからあとから皆で協力をし戒慎をし合いましてやつて行かないことには、経理の適正化ということは言うべくして極めて困難だというように痛感しております。くどくど申上げて恐縮でございますが、最近数十年に亘りまするところの小切手の不正使用の内容を少しく調べて見たのでありますが、どういう人が不正を行う事例が多いかと申しますると、比較的若い人が多い、これは勿論年寄りから或いは若いかたもありますが、比較的弱年の者に不正事件が多い。それから給与が非常に苦しいということもよく言われることでありますが、不正事件が行われておりますところの金の使途が、どういう面に使われているのが比較的多いかと申しますと、遊興、その他のいわば贅沢奢侈方面にその金が費消せられておるという割合が一番多いのであります。それから監督者の、上司の監督に遺憾がなかつたかどうか、監督不行届の個所がなかつたかどうかということを調べて見ますると、やはり相当上司の監督が不行届であつたという事例の割合が多うございます。それから会計経理に当つておる者の担当者の数が比較的、例えば一人ですべてを切廻しておるというような場合に多いのか或いはお互いに相互チェック・バランス制をとつておる場合に多いのかと申しますと、これは常識的の話でありますが、一人で経理の切廻しをやつている場合に発生の事例が多い。これはまあ非常につまらんことをくどくど申上げておるのでありますが、私どそれらの事例から考え、又過去の会計検査院のいろいろの検査の内容を拜聽いたし、各省自己監査をやつておられまする内容等をあれいたしますると、この問題はもうくどくど申上げることは省略いたしますが、私ども非常に遺憾に存じますると同時に、事前事後物心あらゆる面において皆で大いに官紀の振粛を図り、何とかこの絶滅を期するという皆がそういう意欲、強烈な考え方を以て対処して参らねばならんというふうに実は確信をいたしております。甚だ及ばずながら私どもも、大蔵省のものもそういう線に沿いまして、もとより公共事業の問題は大事でありますが、公共事業のみならず国費の全般に亘りまして、只今いろいろと政府の部内でも研究いたしておりまするし、できるだけ実効を挙げて参りたいというふうに努力いたしておる次第であります。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は只今の御答弁は了承いたしますし、当然そうでなければならないと思うのですが、併しそんなに一般に言われておるほど、そういう不正不当支出、不適正な支出というものが大したものじやないという御答弁がありましたから、私は最後に一言言つて置かなければならないと思うのです。私もあの天狗橋の不正事件が起つたのは、新聞で見まして、又衆議院で取上げられたのを見まして、多少調査して見たのであります。公共事業費関係でも、その他政府の補給金の出し方、国有財産の拂下げ方、いろいろ政府支出について全般的に乏しい資料で調べて見た、特に公共事業費関係が大きいから、只今御答弁になつたような生やさしいものでないということは、調べれば調べるほど、だんだんはつきりして来るのですね。こういう事件が起つておるのは、全県、全部です。福島、新潟、山形、佐賀、秋田、宮城、岡山、長野、福井、滋賀、宮崎、大阪、釧路、広島、大分、高知、熊本、山口、殆んどこういう事件が起つてないところはない。そこらの新聞をずつとお取寄せになればわかります、地方新聞を……。地方新聞に皆出ております。各県にそういう問題が出ておる。特に顯著なのは、福島県の事件で、これは御承知と思います。これは大変な問題だと思うのであります。十何件ですか、そういういろいろな問題が、例えば大川筋護岸工事事件とか、伊南川工事事件とか、荒川護岸工事事件、松川護岸工事事件、下明戸護岸工事事件等々十何件、こういうものをだんだん調べて見ますと、驚くべきものでありまして、大体そういう結論として、請負工事費の一割は談合、一割五分は地元の有力者や河川関係者の接待費、一割は業者に、残り六割五分で請負工事を行うことが業者の常識となつておる、こういうように言われておる。ですからもうできたことは止むを得ないと思いますけれども、今後殊に公共事業費は金額も大きいのです。又他にこれからいろいろたくさんの費用が出て来て、給与ベースを上げようと思つても、そつちの官吏が困つて不正事件を起すから、特に今給与を増して生活を安定させる、そういうことをさせないようにそつちに振向けようと思つてもその財源がない、それはなくしてしまうわけです。よそへ不当に支出するからですね。今度の給与関係は百億足らず、だから片方でそうたくさんの不正不当支出をしているということですと、我々決算委員でないのですから詳しくよくわかりませんが、やはり予算委員としてもどうしても責任があるわけでしてそんなに甘いものじやないと考えられるのです。従つてそう大した金額じやないというようにお考えにならないで、やはり私は相当になると思うのですよ。そういうつもりで一つ御努力願いたいと思います。
  40. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 先ほどの物価騰貴に関連する問題ですが、物価騰貴はならして三〇%或いは三五%あつたのだけれども予算計画を立てるときに比較してそれだけの高値であつて、その後施行計画を別に作つたんで、その施行計画については支障はないというような御答弁だつたと思うのですが、我々はこの予算を審議し、承認したときには、予算計画の裏付になつている——予算の当時その金額の裏付けになつているところの計画を前提にして、これを審議し、承認するものは承認し、反対するものは反対したので、金を取るときだけ予算計画だけを、一つ何でもかんでもいい加減な計画を立てておいて金が取れたらあとで又施行計画は便宜その後の事情変更によつてどうにでも変えられるのだというふうなことをおやりになるのであれば、我々が予算を審議する意味は何らないと思うのです。而もその物価事情の変更が当時予見されなかつたものであるならば、或いはそういう非常の措置も或いは恕せられるかも知れないけれども、そのときにすでにこの予算に賛成されたかたがたも異口同音に物価騰貴があるから今後それを見込んで、もう少し改訂する必要があるのじやないかというようなことを非常にやかましく追及したときには、いや、自分たちの見通しではすでに年末くらいまでの物価値上りを見込んでいるのだから、今度はそれほどの支障なしにこれでやつて行けるものだと思うと、それは我々を信頼して任して欲しいということを頻りと言つておられたのです。で予算を通すときにはそういうことを言つておいて、予算がいよいよ通ると、今度は物価が非常に変つて来たので施行計画て別途作りましたから、その施行計画だけは何とか行くと思いますというようなことで恬然としておられるのでは、我々予算審議の責任が持てない。そうして又政府は單にそれをその場を通すだけの便宜に使つておられるに過ぎないのじやないか。余り予算審議を馬鹿にしておる態度じやないかと思うのですが、その点について特に大蔵省のほうの御答弁を願いたいと思います。
  41. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お答え申上げます。二十六年度の当初予算の御審議を煩わしましたときに、いつ頃の物価が基準になつておるかというお尋ねに対しまして、一般的には秋頃の物価を基準にしておるということをお答えを申上げたと存じておるのであります。ただその際公共事業につきましては、多少単価の基準のとり方が一般の他の歳出予算が秋頃を基準としておるというのに比較いたしまして、公共事業事業計画を具体的に政府部内で練り上げまする際の時期が、一般の歳出予算に比べましてずれました関係上、私の記憶では十一月の終りから十二月くらいの物価が、価格が、公共事業につきましては、経費の基準になつておつたと、かように存じておる次第でございます。先ほど安定本部のほうから御答弁を申上げました一般経費と比べまして、その後物価騰貴関係が或る程度つておるのだという趣旨のことは、その辺のこととも併せて申上げた趣旨なのだろうかと、こう存ずる次第でございます。佐多委員のお話のように当初の物価見通しと、その後の物価見通しとが狂つた場合に、その補正予算、その調整的な措置をどうするかということにつきましては、なかなか困難な問題がございまして、経費によりましては補正予算をお願いいたしまして、又御審議を頂くという必要がもとよりございましようし、経費によりましては当初国会で御審議を頂きました当時の計画に比べまして、止むを得ず計画の縮小或いは繰延べを図つて参らなければならないということもございましよう。私どもといたしましては当初予算を御審議を頂きましたときの審議の模様を十分拜承いたしておりまするし、国会の御審議の内容を承知いたしておりますので、予算の執行につきましては十分国会の御審議の趣旨に副うように努力を重ねておる次第でございます。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと関連して。只今この補正を組むとき、佐多さんの質問に関連してですが、物価補正をまあしなかつたのですが、その理由としてほかに緊急な支出が出て来たからと、こういうお話ですが、その緊急性というのをどういう形で考えているのか。我々は例えば警察予備隊の費用をどうしても計上しなければならんと、そのために本当は物価補正をしなければ当初計画はできないのだけれども、警察予備隊のほうに廻すと、或いは外為のほうへ、インベントリーへ三百億廻すと、本当は三百億廻らなくても外為も何とかできるかも知れないけれども、三百億廻して置けとまあそういつたこと、或いは又平和回復善後処理費を百億円計上したり、まあいろいろしていますが、その中ですぐに要るかどうかもわからないものもあると思うのですが、この補正を組むときにその緊急性というものをどういうふうに考えておるのか。当初計画物価補正しないで、やめるということもこれもそういうことと関連して考えなければならないのですが、どういう考えでどういうふうに緊急性というものを考えて或るものを増し、或るものを補正しないで、総体的に削ると、これは事業を削るという意味です。実質的にその基準をどういうようにお考えなつておるのかということですね。
  43. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お答え申上げます。或いは先ほど申上げようが悪かつたのかも存じませんが、私先ほど六・三制の単価増をどうして見込んだかというお尋ねに対しまして、原則といたしまして一般会計におきましても収容費の食糧費の増加というような、計画の繰延べとか何とかいうことではこれはどうしてもやつて行けないというものにつきましては、単価増を見込みました。併しながら一般その他のものにつきまして計画の繰延べでありますとか、縮小でありまするとか、そういうものにつきましては、今回の補正予算では経費追加をいたさないのを原則といたしました。ただ六・三制の問題につきましては、すでに政府、文部省方面で一定の坪数を地方の公共団体に割当てまして、その実施状況等を考えまして、何とも極めて当初の坪数を変更するのが困難なような実情もございまするし、いろいろな事情考えまして、六・三制につきましては一部単価の補正計上いたしまして御審議をお願いしておる、かような趣旨のことを申上げたつもりでおります。今回の補正予算におきまして、より緊急度が高いものが多いから、原則として物価騰貴補正予算計上しないという趣旨ではございませんで、むしろ今回の補正予算におきましては、物価騰貴計上しないものを原則とした。こういう趣旨のことを申上げましたつもりでおつたのでございますが、若し初め間違えまして申上げておりましたならば訂正させて頂きたいと存じます。
  44. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、先ほど安本のほうからのお話で、予算計画を変更して施行計画を作つたというふうにおつしやつたんですが、そこで私がお聞きしたいのは、予算計画のときの事業計画と、施行計画を作られるときの計画とが、どういうふうに変更になつたか。特に今の単価増のためにどういうふうに事業が縮小され、或いはカツトされ、或いは変更されたかということを、一つ詳しい調査資料を御提出願つて、両方の比較したものを御提出願つて、改めて詳しいそれに関する御説明を願いたいと思います。  それからもう一つは、現在までにすでに三〇%なり三五%の物価値上りがあつたために、施行計画を変更されなければならなかつたというのですが、今後の物価見通しを、公共事業費に関してはどういうふうにお考えなつておるか。今後更に若干の物価騰貴があるとすれば、それに応じて又更に変更をされなければならないのかどうか。その辺をどういうふうにお考えなつておるか。このあとの問題は別に資料を要しませんので、今でもお答え願いたいと思います。
  45. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 前の問題について一言ちよつと御答弁申上げて置きたいと思いますが、大体昨年の、主計局次長から申上げましたように、二十六年度予算を組むときの単価は、大体十一月から十二月当時の単価で組んでおります。従つて先ほど私が御説明申上げました現在執行している大体単価と申しますと、今年の四月、五月、六月とこのあたりを平均した単価になりまするから、三割程度事業の縮小、こういうことになりますので、これを例えば河川関係のダムの関係にとつて見ますと、当初昨年十一月あたりで組む際は、まあすでに着手しているダムであれば、あと二年かかれば大体でき上るだろうというような予定で組みましたのが、今日においてはあと二年で完成できませんので、やはり三年計画に変更して頂くということになつております。大体こういつた年度の繰越しでやるものが大部分でございます。それからそうじやなくて、年度を単年度でどうしても完成しなくちやならんといつたようなものにつきましては、やはり、例えば道路等の事業になりますると、例えば当初、昨年度は、十一月等においては、仮に千メーターの道路の補修を予定しておつた、ところが、それが単価が少くなればやはり七百メーターか八百メーターに切詰めざるを得ない、こういう状況であります。それぞれの事業によつて当初意図したことと、今日現に実行しておることについては、大体三割内外の差がある。それから資料と、こういうお話でございましたが、実は昨年の十一月当時はいろんな計画がございましたが、だんだん予算関係で減つたり増したり、結局まあ細部まではきまらずに大きな項目だけがきまつた。それに基いて今度だんだん今年になつてから計画を進めて参つた、こういうことに相成りまするので、全般的に今言つたように二年計画が三年になる、三年計画が四年になる、それから個所数がそういつたふうに非常に短縮されると、こういうような事情がございましたが、昨年の十一月の細かい計画があるかと申しますと、その計画の今資料はございませんので、例えば個所数を減らすとか、それから一個所の施行するメーター数を減らすとか、それから二年計画を三年、三年計画を四年に延ばしたと、こういつた大ざつぱな資料はございますが、一々個所ずつについてどうといつた資料はございませんので、資料は作りますが、あらかじめそういつたところを御了承おき願いたいと思います。  それから今後の問題につきまして、どういうふうに考えておるかというお尋ねでございましたので、年度内の補正ということについては、よほど今後大きな物価の変動がない限り、物価変動に基く補正ということは今考えておりません。併し来年度公共事業の施行につきましては、これも予見できないような物価状況はわかりませんけれども、大体今の、現在昭和二十六年度において施行している單価で組みまして、明年度は実行して参りたいということで、現在二十七年度の編成をまあ固めていると、こういう状況でございます。
  46. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 物価の問題は大蔵省のほうではどういうふうにお考えなつておりますか。
  47. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 御承知のように経費の内容がいろいろでございまして、例えばお話の、只今出ておりまする公共事業費のようなものにつきましては、セメントでありまするとか、鋼材でありまするとか、そういう資材が主要なるものを占めると思います。それから先ほど来断片的に申上げておりますように、例えば事業特別会計でございますると、そこに消費いたしまするところの鋼材或いは非鉄金属というようなものが、どの程度なつておるかというようなことを取調べまして、明年度の一応編成の只今準備をいたしておるような次第でございますが、食糧関係が中心になりまするところの刑務関所でありまするとか、病院でありまするとか、そういうものにつきましてのそれぞれの食糧でありまするとか、或いは薬品類でありまするとか、或いは薬品類でありまするとか、私ども予算を実際積算いたします場合の実務的の取扱といたしましては、そういうふうに各部門々々の主として関係のございまするところの資材、或いは商品の価格を取調べまして、事務を急いでおるわけでございます。一般的に二十七年度予算編成に当つてどういうふうに考えておるのかという点でありますが、これも只今申上げましたようなことで御推察頂けると思うのでありますが、主食について申上げますれば、今後価格の変更は二十七年度予算におきましては一応見込まない。それから薬品類でありますれば、最近の状況に鑑みて、そう今後騰貴を見込む必要はないのではないかというようにやはり各資材別に検討をいたしまして、それぞれ考えておるわけでありまするが、極く一般的な方針といたしまして、私どもまだ二十七年度予算を成案を得るに至つておりませんが、只今準備をいたしておりまするところの作業の心がまえといたしましては、二十七年度予算は、極く一般的に申上げますれば、只今のところとほぼ大差ないというような、一応の前提の下で作業をいたしておる次第でございます。
  48. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その二十七年度物価の見込の問題もありますが、私は最も直接に聞きたいのは、これから、二十六年度の下半期における物価上昇をどういうふうにお見通しになつているか従つて例えば安本あたりでは今後殆んどもう今のお話のように物価上昇はないから、今後立ては施行計画は大体支障なくやつて行けるというふうにお考えなつているのか、或いはなお今後も若干の物価騰貴があるので、その物価騰貴があれびまだそれに応じて施行計画なり何なりを繰延べたり、短縮したりというようなことで対処しようとしておられるのか、今度こそはもうそういう物価が上つたとなれば、金額の補正をしてもらわなければならんというふうにお考えなつているのか、その辺のお考えを聞きたいと思います。
  49. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 大体今の率直な考えを申上げますと、若干年度末までには主食値上りその他の関係で若干の事業費関係單価値上りはあるということは、これは予想せざるを得ないのでございまするが、その関係で申干の値上りもそれでは当然見込んで、又事業案の縮小をするかどうかという、又補正予算をやるかどうかというお尋ねになりますと、今見込んでおるような程度ではまあ若干の事業の繰延べは止むを得なかろう、その点で切拔けて行こう、若しも今後又国際情勢その他なりの関係物価が相当大幅に変るようであれば、まあ今まで我慢したところの補正予算事業の繰延べも到底限度がございまするので、これ以上大きなる変化があれば当然補正予算をやらなければ繰延べでこれを糊塗して行くということは参りませんので、そういつた時代は又違つた角度から、或いは年度内でも補正しなければならんと考えられますが、今の状況主食値上りその他の関係で若干この点については繰延べで今後はやつて行こう、それでその遅れた分は新年度予算においてカバーしよう、こういうふうに考えておる次第であります。
  50. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 先の二十六年度災害予算の問題ですが、先ほどのお話のよりますると八十億の予備費があつて、その五十億をルース台風以前の災害に使つて、二十億は過年度分に使う予定にしていたという、すでに閣議決定までとつたというお話ですが、併し今度まあルース台風が起きたので、それを改めて検討し直して、別に考えようというようなお話もありましたが、若しそうだとすると、過年度分をお考えなつていたのは、必ずルース以前の災害で大体今年度災害は終りになるんで、今後はもう大きなあれはないだろう、そういうことの予測の下に二十億を過年度のほうにお廻しになつたんじやないかと考えます。ところが今お話のように一週間か十日しないうちにルース台風がやつて来て、今おつしやつたような、損害額が五百億以上にも上るようなものになつたとすれば、この過年度災にお廻しになるはずの二十億も、勿論その後非常に異常な災害が出て来たのでありますが、而も予定はそれを引つくるめて八十億とお考えなつていたのだから、当初の予定通りに過年度に廻すということでなくて、今年度分として特にルース台風分としてこれをお使いになることが至当じやないかと思うのですが、その辺をどういうふうにお考えになつているか。殊に更に御説明を聞くと何かルース台風以前のものを五十億と考えていたが、ルース台風が起きて、その後最近で考えているのは、今年度災害分に四十五億だけ廻わすというようなお話だと、ルース台風以前にすら五十億をお廻しになる予定なつていたやつが、ルース台風があつた後に更にそれより五億ぐらい減額したり、四十五億しか廻さないというふうなお考えでは、今度の台風その他に対する手当は少しもできないじやないか。尤もそれはそれとして、補正予算について百億なり二百億なり、相当な分を組んでやるから、それでそういう考え方で我慢しろというお話であれば、それも一応わかりますが、若しそれならば、そういう自信か決意がおありになるのかどうか。それからこれはいつものことでありますが、非常に急ぐ問題でもあると思うのですが、一体補正予算はどれぐらい、いつ頃お出しになるつもりなのか、非常に早く出してもらわなければ、災害地その他ではそれが早く出ることを非常に希望しておると思いますので、その時期あたりについてどうお考えなつておるか、伺いたいと思います。
  51. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 先ほどの本年度災に四十五億廻した点につきまして、ちよつと説明が足りなかつたと思いますが、或るほどルース台風前に一応五十億は本年度災に出そうという閣議決定はあつたと思います。それには但書がございまして、やはり十月末までに或いは災害が来るかも知れんから、五十億というものを本年度災に廻すことにきめて置くけれども、そのうちの五億だけはまだ出すことは留保しよう、そうして四十五億は閣議決定があつたらすぐに認証しよう、こういう但書の閣議決定でございました。従つてまだ十月が終らんうちに今度のルース台風が来ましたので、当初の但書の分から除いた分の四十五億は閣議決定通りルース台風前の災害に出して、十月末までと留保した五億はやはり留保しようということになりまして、四十五億だけは出した、こういうことに相成ります。それから二十億は過年度災に使うという以前の閣議決定でございますが、これも御指摘の通り、私どもは当年度災でさえもまだ足りないのに、過年度災に廻すということは筋が立つていない。これは御指摘の通りであろうと私ども考えております。従つて今日まだその点ははつきり閣議でも未決定状況でございまして、それでは如何ほど足りない分について補正予算を組むかということを見極めた上で、この二十億を過年度災に廻すか廻さんかという問題は、最後的にきまる問題であろうと考えております。それから差当つて非常に困つておるものはどういう措置をしておるかという問題でございますが、これは取りあえず災害の非常に多かつた県、特に公共事業を対象として、十億以上の損害のあつた県につきましては、取りあえず応急の繋ぎ資金としまして、預金部資金から先般十億余りを出しております。それからまだ調査未定の所もございましたので、その後の調査も判明いたしつつあるのでございますので、近くこれに第二次繋ぎ融資として、やはり預金部資金のほうから応急の復旧費が出ることに相成つております。補正予算の問題は、これは只今のところでは各府県の一応の報告だけが出ておりまして、まだ建設省なり農林省なり運輸省なりの正確な査定が済んでおりません。従つて單に各府県の報告だけを基にして予算を組むことができませんので、目下各省の予算査定を進めておりますので、この査定の大体の輪郭がまとまるのにはまだ若干の期間が要るのではなかろうか。従つてできれば今臨時国会開会中に補正の問題も計上して、或いは御審議願いたいのでございますが、実際問題としてその査定が、なかなか今度広汎で損害も多うございましたので、そう半月やその他で済まんと思います。従つて今臨時国会の会期の問題もございますので、恐らく今臨時国会には間に合いかねまして、通常国会の問題として補正予算の問題は御審議願うような恰好になるのじやなかろうか。金額等につきましては、今一応各府県からの報告を基礎といたしまして、復旧率をどのくらいにするかというようなことを予想は立てておりまするが、それを四十五億出したときの一七%程度に、初年度復旧率を一七%程度にするか、先ほどもちよつと申上げました通り、三・五・二といつたような理想的な復旧率にするかというふうなことによりまして、かなり大幅の差がございますので、建設省なり、農林省等においては、このルース台風を機会に、三・五・二の正常な状態に戻してくれという熾烈なる御希望もございまするが、これは又大蔵省とも今後財政全般状況で打合せなくちやなりませんので、その程度まで行きますか、或いはこの一七%、或いはその中間ぐらいに行きますか、それによつて金額も三十五、六億乃至百二、三十億というような幅があろうかと思います。その点についてもまだきまつておりませが、通常国会までにはその点もはつきりと御提案できるような運びになるのではないかと思います。
  52. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、今の四十五億というのは、ルース台風以前のものにお廻しになるので、きまつているので、あとルースにはその五十億のうちの五億しか今きまつたものはない、過年度分をどうするかによつて若干違つて来ましようが、確実に現在のところで廻せるのは五億であとは全部補正予算に待たなければならんというようなことになるわけですか。
  53. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) はつきり今閣議決定をいたしまして、もう支出すべき時期に達しておりますものは、ルース台風以前の四十五億だけでございます。この今御審議頂いております二億六千何がしという砂防関係に廻す予算、これは御審議を得なければまだ支出できませんから、現実には四十五億だけで、仮にまあこれがこの補正予算が通るといたして、五十億足らず、従つてあと三十億何がしというものはまだ未決定状況でございます。それで各府県の査定が済んですぐにも予算を出せるとすれば、この三十億余りは本年度災に出し得るという状況にはあるわけでありますが、先ほど申しました通り、非常にルースが被害が多かつた。仮に全部これをルース台風に廻すにいたしましても、復旧率は先に申しましたルース台風以前に廻した一七%という比率にもとても及びませんので、その間やはりまだ査定までには現実に日にちもございますし、補正予算をどう組むという問題に関連いたしまして、過年度災に廻す問題等も併せて研究する。こういうことに相成つておる次第でございます。
  54. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、四十五億のルース以前の損害額は全部合してどれくらいになるのですか。
  55. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 概算約三百二十億程度と記憶しております。
  56. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうですか。これは大蔵省にお聞きしたいのですが、今建設局の御説明通りに、八十億の二十六年度災害復旧費はすでにルース以前の三百二十億に対して四十五億を決定済になつているので、あとつているのはその中の五億と、それから過年度分の二十億、それから予備費として考えておられる五億、それ以外の五億はさつき予算の今度の補正で緊急治山のほうに廻しておりますから、これはもうないものとして、そういうふうに大体三十億しかないのですが、先ほどの御説明によると、三百二十億の損害額に対して四十五億出している。今度は、今度の損害額は今わかつているのでも五百億だとすると、而もまあパーセントをどう見るかによつても違いますが、かなりたくさんな補正予算を組まなければならないような状況なつていると思うのですが、その点について大蔵省はどういうふうにお考えになつているか。而もその時期的な問題も、今は事務当局のほうで査定その他が遅れているのだというお話ですが、これはもう少し急いで頂けば本国会にでも間に合うような問題であると思うのですが、それらの点について大蔵省はどういうふうにお考えになつているか
  57. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 本年度の当初予算予定いたしておりまするところの八十億円の災害復旧費につきましての閣議決定内容につきまして、只今安定本部のほうから御説明がございました。今回のルース台風被害につきましては取りあえずいろいろと御報告を頂いておりまするが、関係各省で現場に臨まれまして、地元の御協力を得ていろいろと今実地の災害の調査、災害復旧費の査定に日夜努力を頂いておるところであります。大蔵省といたしましては、すべての問題はその災害復旧費の、各省の復旧費の査定の確定を待ちました上ですべての問題を決定いたしたいように考えております。
  58. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私のお尋ねしたいのは、三百二十億に対して四十五億までルース台風以前の分をおきめになつておる。ところが今お話によると、今度のルースだけで損害が今わかつておるものだけで大体において五百億予定されておる。そうすると、先の三百二十億に対する四十五億の災害復旧費、比例的に考えれば相当大きな災害復旧費を出さなければならん、而もそこに出すべき災害復旧費は、もう八十億の中には余り残つていないのだ、そうだとすれば、相当多額なものを出さなければならないということになつて来るが、具体的に言つて、すでに損害額がわからないからとおつしやつたけれども、大体において、五百億程度のものはわかつておるので、それに照応して出される今日のお見通しがあるかどうか。
  59. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 仰せのように、災害復旧は極めて大切な事柄でありまして、一日早く災害復旧はいたさなければならないのでございます。ただ單に今回のルースの場合のみならず、過去の幾多の災害が起りました場合の復旧費の金額の査定確定につきましては、事柄がやはり相当技術的に困難でございまて、当初各地元から報告がございましてから現実に政府部内の専門家が現場に臨みまして、御相談の上でこの災害復旧費の金額を査定いたしまして確定いたしますまでには相当の日子を要するのが常でございます。今回のルース台風の場合に、果してどの程度災害復旧費を技術的に見て必要とするか、若し災害復旧の速度と申しますか、進捗歩合と申しますか、そういうものをどの程度に出すか、これは大蔵省といたしましては、各省の十分の検討の後の結論を承わりました上できめたい。従いまして、ルース以前に起りました災害復旧費と、それから只今まで一応予定いたしておりまするところの復旧費との割合がそのまま行くか、或いは上廻るか、下廻るか、それらの問題につきましては、私どもといたしましては、各省の専門家の十分な検討の上での技術的な結論が出ました上で各般の情勢を見て考えたい。ただ御説明のように、災害復旧ということが極めて大事なことであるという点につきましては仰せの通りであると存じております。
  60. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その災害復旧費の比率の問題等々については、各関係部局の技術的な検討を得た上でというお話でありますが、先ほどからの安本のほうのお話によると、その比率も今度は相当高く引上げてやつてもらいたいという御意向のようですが、特に大蔵当局にお願いをしたいのは、今までは災害復旧その他も逐次やつて来られたと思うのですが、現在の予算を見て、過去三、四回の予算を見て、今度くらい或る意味においては財源に余裕のある予算はないのじやないかと思いますので、そういう点も考え併せながら、どうしても災害復旧率、経費の配分率というようなものについては、成るべく今までの無理をこの際是正して、相当高めに引上げるということも特段に一つお考えを願いたい。これは私の希望として申上げて置きたいと思います。  それから先ほど繋ぎ融資としてすでに十五億何がしのものを出したというお話ですが、何か建設大臣が新聞でか話したところは二十五億差当り出すというようなことのように記憶しているのですが、その問題は、金額としてはもうすでにきまつているかどうか、きまつているとすれば、それはいつ頃更にあとの十五億程度のものをお出しになるのか、その辺の事情を一つ伺いたい。
  61. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) まだきまつたものとしては先ほど申上げました十五億何がしでございます。これは預金部資金のほうから本年度に出るであろうところの公共事業予算を担保として預金部資金から年度内の繋ぎ融資をする、こういう建前になつております。従来大体担保力は五〇%に預金部資金のほうでは見ておりまして、例えば或る県について本年度十億の公共事業予算が行くであろうと予定された場合は、その半額の五億円を繋ぎ融資として出している。それからどの県にも、災害のあつた県に全部これを一律に融資するということにはいたしませんで、大体従来の慣例は、一県で公共事業費の対象となる損害額が十億円を越した県について繋ぎ融資を認めている、こういう状況でございます。従つて損害額は非常に多うございますけれども、十億円以上の県と申しますと、そう全国のうちでは多数ございませんので、おのずから県のほうで限定される。それから今言つた公共事業で出すであろうところの予算額の半額、こういうことに相成りますると、大体残額が今申上げまして、仮りに残額全部を配るといたしましても三十億何がしでございまするから、三十億を担保として預金部が貸すなら、従来の担保力の算定からいたしますと、大体十五億程度が限度と、こういうことに相成るわけでございます。建設大臣は、もつと現実に今予算できまつているものだけじやなくて、もつと補正ということも見込んで、そうして繋ぎ融資ができないかどうか、この問題について十分事務当局も検討し、閣議等においてもこれを検討した上で、できればもつと予算がきまるとか、補正予算の問題は通常国会になるであろうから、その通常国会を待たずして、何か従来の慣例はそういう慣例であるけれども、今回の災害は非常な異常な災害であるから、そういつた慣例を抜きにして、もつとそれの何倍かの繋ぎ融資を出したいということで、この間あたり御言明になつておるように拝聴しております。従来の建前はそういう建前でございまして、五〇%という比率ついては、何も法律で規定しているわけではございませんから、預金部資金からのほうで十億行くというのだつたから、十億まるまる貸してもそれは大蔵省考えで一〇〇%と見れば、今言つたように三十億程度は貸し得る担保力はあるのじやなかろうか。その比率を若しも六〇%か、七〇%かに見ればもつと貸し得る能力が出て来ると思います。ただなぜ五〇%ということにしているかと申しますと、取りあえずこれは繋ぎ資金でございまするから、貸しました資金は府県知事が自分が緊急だと思つたところにこれを使う、ところがあとで査定した結果は、建設省なり、農林省なりの査定の結果は、必ずしも地方長官が緊急だと思つたところと、今年度の緊急として建設省なり、農林省なりが取上げるところと必ずしも一致しない。その間にズレがございまして、あとからの公共事業費予算のつけ方が知事さんが使つたところに行かなかつたり、一旦そういう食い違いがございますると、そのあとから裏付になる公共事業予算が行かなかつた場合に、知事さんが年度内に返せないという問題も起きたんでは困るからということで、そういう担保力を五〇%に見ておる次第でございますが、この問題は必ずしも五〇%そのまま見なくちやならんかという問題につきましては、こういう緊急な場合にも問題がございますので、目下安定本部大蔵省の銀行局のほうで相談しておりまして、担保力についてはいま少しもつと上の見方をしたらどうかということで今寄り寄り相談を進めておる次第でございます。
  62. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 住宅金融公庫のほうからお金を貨して頂くことになつておりますけれども、肝心かなめの土地がなくて忙しい人が困つております。農村では自作農が創設されましたけれども、都会ではまだこういう方法が講ぜられておりませんので、たくさん宅地に適当な所が横たわつておるようでありますが、戦災で家庭の経済状態とか、或いは職業関係、或いは家族の事情にも非常に変化が来たされておりまして、地方に疎開いたして、当分都市で家が持てそうにもないかたが多いようでありますけれども、それでもやはり父祖伝来の宅地でございますので、なかなか手放すことが踏切りがつかなくて、高い固定資産税を拂つてつておる向きも非常に多い。一方都市でどうしても住宅を構えなければならない人がございますので、もうそろそろ国家が仲に立つて、強制権発動と言つては悪うございますが、何らか話合いででも必要な人に廻す時期ではないかと思いますので、これに対しまして、何か政府のほうで御計画があるかどうか、お尋ねいたすことが一つと、第二は折角家が建ちましても、水道とかガス管を引込みますには、少々のお金では間に合いませんで、折角家ができましても、非常に非文化的な生活をいたしておる者がたくさんございますので、土地にそういう施設をつけまして土地の世話をやられます親心があつてよいのではないかと思いますのと、第三には住宅金融公庫の予算が少うございまして、なかなかなかじが当りません。この計画通りならば百年もかかるじやないかと思いますけれども、一方住宅難のために多勢の家族が雑居いたしまして、犯罪の温床にもなりますし、青少年の不良化する原因にもなつております。政府は長期資金に廻してよいお金を相当持つておいでになるのですから、もう少し予算を出してもよいじやないかと思います。第四番目には、続々とビルが建ち並びつつあります。今日本では長期建設計画といたしましての電力資源の開発などにはセメントも必要でございましようし、遊休施設の改良には鉄は何より急ぎます。そういうふうにビルよりも急ぐ仕事がございますので、何とかそこらは制限をかけてもいいじやないか知らんと思いますけれども、これらに対して政府はどう考えるか。第五番目に、来年度におきまして、何でも官庁センターができるらしいですけれども、庶民住宅は後廻しにしまして、どんどん官庁の建物が先にできますことを非常に国民は反感を持つておるようでございます。天皇陛下の例を引くまでもなく、やはり最近まで天皇陛下は防空壕で我慢しておいでのことでございますので、成るべく庶民住宅を先に先にとなさるようにして頂きたいということ。最後に私どものために国会図書館を大分大きく計画してくれているらしいのでございますけれども、私ども暇がございませんので遠方に大きな図書館があつてもなかなか参れません。雑誌を買おうと思いましても、自分の金を出していたしておりますので、ここの図書館でもいいし、衆議院会館でも参議院会館でもいいから、あそこらに雑誌や單行本を買つて有効に使わして頂きたいと思うのでございますけれども、こういうことについて一つ御意見を伺いたい。
  63. 植田俊雄

    政府委員(植田俊雄君) 只今都市の住宅資金の運営のお話がございまして、お話の点誠に御尤もで、私ども個人として家を建てようといたします場合に、焼跡の土地を何とかして売つてくれればいいがというような感じを持つのであります。この点につきましては数年前から只今の住宅局、元は建築局と申しましたが、建築局でも研究いたしますし、只今も住宅金融公庫でこの問題を真劍に研究はいたしておるのでございます。併し何分にも土地というものは只今のお話にもありましたように、農地がああいうふうに開放されました後におきましては、非常にその家族にとつても大きな財産でございますので、これを強制措置とか何とかいうことで取上げて現在家に困つている人に廻すということも、法的にはなかなか困難な問題でございます。又斡旋という問題にいたしましても、斡旋の機関を国で作つたらどうかという議論もたびたび係のほうから私どものほうにも申し出、又大蔵省のほうにも交渉したこともございますが、役人の土地斡旋業が果してうまく行くかどうかということについては、私ども自身といたしましても相当不安を持たざるを得ないわけであります。住居の建設が遅れておる原因といたしまして、土地が一つの隘路であることはお話の通りでございまして、この問題につきましてはなかなか成案は困難ではございますが、今後の重要な問題としまして、関係の係員にもよく話しましていい案ができますように努力いたしたいと考えております。庶民住宅のほうでございますとこれは公共団体が土地のお世話をいたしますし、又場合によつては土地收用法等で解決のつくものでございますが、個人住宅につきましてはこの点は確かにお話の通りむずかしい問題であると御承知願いたいと思います。なお水道、ガスの問題がございましたが、これは直接建設省の所管というわけではございませんが、確かにお話の点はございますが、これは公庫のほうにもよくお話いたしまして何とかそういうようなことで斜旋のできる途がございますれば、解決する方策を研究さして見たいと考えております。それで公庫の予算でございますが、これは私どものほうの住宅を殖やすという立場から申しますというと、非常に多いことを希望するわけでございます。この補正予算におきましても出資金が三十億増額になつております。そのほか預金部のほうの資金を三十億、合せて六十億でございまして、我々としましてはもう少し多いことを期待するのでございますが、現状ではこの程度しか止むを得ないのじやないか、かように考えております。次に都市のビルデイングの建つている問題でございますが、これは建築統制が外されたからどうこうという問題ではございませんので、民間の資金があのほうに廻つておるのじやないか、こういうふうに私ども新聞紙等で拜見しておるわけでございます。これは新聞紙などで見ますと銀行の設備資金に対する融資の引締め、こういつた方向で解決さるべき問題じやないか、かように考えております。それから来年度官庁営繕の問題でございますが、私ども官庁営繕法が成立いたしまして非常に官庁の計画につきまして壯大な計画、或いは官庁センターの計画でありますとか、いろいろ計画をいたしておるわけでございます。又官庁につきましては合同庁舎を造りますとか官庁センターを造りますということは非常に便利で、これに執務しております者にも便利でございますし、又おいでになるかたにも便利でございまして、こういつたことについての計画は進めておりますが、併し私どもとしましても、官吏の執務場所を一般標準よりも特によくしなければならんというふうな考え方を持つているわけではございませんので、その点は計画は立派なものを出しましても、来年度予算等の制約もございますので、すぐそれを実行に移すというわけでもないのでございます。ただ従来の官庁計画が余り計画的でなかつた点がございますれば、官庁センターとかそういつた計画の線に沿いまして将来の官庁が一つのブロツクとなつて有機的に動きますように、計画的に予算の許す範囲におきまして官庁を建てて行くということについては、今後注意して参らねばならんことかと、こう考えております。なお図書館の問題につきましては建設省所管でございませんので、これだけで……。
  64. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 直接の所管でございませんが、国会関係予算にも多少関係のあることでございますから、便宜私が承知いたしておりますものとして申上げたのでございますが、国会関係の図書館が現在の赤坂では非常に議員の皆様がたの御不便が多いということは、かねがね実は耳にいたしておることであります。それで国会図書館側の考え方では、三宅坂の参謀本部のございました、現在一部国会図書館が立つておりまするが、あそこの所に相当大きな計画で以て国会議員の皆様がたが御使用になりますところの国立国会図書館の建造をいたしたい、こういうお話がございます。ただ私どもといたしまして、計画といたしましては誠に結構な計画でありますが、何分先ほどもちよつとお話のございましたように、現在のところではむしろこの大きな図書館ができれば非常に便利なことではございますが、何とかしていま少しあとに廻して頂きまして、営繕関係経費がございますれば、そういう経費に廻しますよりはもう少しほかの費途に流動するほうが適当ではなかろうか。国立国会図書館の大規模な建物は後廻しにして頂きたいという趣旨を以てかねてからお願いいたしておるる次第でございます。それではそれに代る案としてお言葉のございましたような書籍類をほかの便利な所に持つて来て利用するようにしたらどうか、こういうお言葉だつたのでありますが、御趣旨は誠に結構だと思います。ただ私ども承わつておりますところでは、現在のここらの庁舎或いはいろいろの部屋もなかなか手狹でございまして、そういうお言葉のような趣旨が実現できますかどうか、私は余り具体的に現在の庁舎の配置状況等はつまびらかにいたしておりませんので、明年度予算で又相談をいたしますような場合につきましても、只今お言葉のございました趣旨を国会の事務当局側にも伝えましてよく検討して頂きたいと存じます。   —————————————
  65. 東隆

    理事東隆君) 皆さんにお諮りしますが、まだ質問公共事業費関係もおありだと思いますが、時間も大分過ぎておりますから、平衡交付金関係をお願いしたいと思います。それで最初に地財委から菊山嘉男委員が見えておりますから説明を求めます。
  66. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 来年度平衡交付金につきましては、政府より提出せられておりまする案と並んで地方財政委員会からも意見を提出してあるのであります。これはとくと国会の御審議を煩わさなければならんことと存じまするが、政府の原案は百億の増ということで提出されておるのであります。併しながら地方財政委員会の見るところによりますというと、地方財政の窮乏が相当深刻でございまするので、この際二百億の平衡交付金の増を頂きたいという意見を提出いたしておるわけであります。それは地方財政委員会の見るところによりますれば、地方財政は現状のまま進みまするならば、大体において四百三十八億の欠陥を生ずる、そのうち平衡交付金は二百億、それから地方起債は百五十億、残りの八十八億程度を節約によつてつて行かなければならん、こういう判断をいたしまして平衡交付金の二百億増ということをお願いをいたしておるのであります。この地方財政がさように窮迫を告げておるということにつきましては、大蔵省側の見られるところと、地方財政委員会の計算をいたしまするところとそれだけの差があるのでございまするが、これはよく財政委員会の事務当局等におきまして比較をいたしましたる数字を持つておりまするので、詳しく御検討を願つて地方財政の窮乏を救い、健全なる地方の発達に寄与いたすことのできまするように御配慮を願いたいと存じております。なおその他いろいろ細かいことにつきましては御質問によりましてお答えをいたしたいと存じます。
  67. 東隆

    理事東隆君) 主計局から一応…。
  68. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の数字の詳しく調べたものは地方財政のほうで御提出願いたいのですが……。
  69. 東隆

    理事東隆君) 地財委はよろしうございますね、資料は……。
  70. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 資料は後ほど提出いたしたいと思いますが……。
  71. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) それでは私から内閣側におきまして地方財政平衡交付金の増額を百億、地方債の増額を百五億と考えるに至りました理由、それと只今地方財政委員のほうからも御言葉がございました数字の比較対照いたしますればどうなつておるかということにつきまして簡單に御説明を申上げたいと存じます。  只今御手許に昭和二十六年度補正後地方財政計画表、地方財政委員会の算定額と内閣算定額を比較対照いたしました表。それからいま一つ、昭和二十六年度地方財政推計という調で、昭和二十六年度の当初予算の御審議を頂きました場合の地方財政の推計と、その後補正予算におきまして今回御覧を頂いておりまするところの補正予算におきましてそれに伴つてどうなるであろうかという当初推計と、補正後の推計との対照、この二種類を御手許に御配付申上げたのでございまするが、最初の補正後の地方財政の見込の推計でございまするが、これで御覧を頂きますると、一番上が既定財政規模の関係でございます。これは地方財政委員会のほうでは四千五百八十一億と考えておられまするに対しまして、内閣側といたしましては、既定財政規模といたしましては四千四百十二億ということで百六十八億円のここに相違を来たしております。それから第二はその後の昭和二十六年度の新規財政需要におきまして、地方財政委員会側は一千四百六十五億と見ておられるに対しまして、内閣側の算定額は一千九十九億でございます。従いましてここに三百六十六億の違いが出ております。あと三のところで予備費に百億の違いがあり、既定財政規模の圧縮によつて八十億違いがございます。既定財政規模の百六十八億九千三百万円の差異と申しますのは、前回昭和二十六年度の当初予算を御審議を頂きました場合の地方財政委員会の計算せられましたところと、内閣側の算定いたしましたところとがその後数字の違いの幅は狭まつておりますが、今回の補正予算におきましてもそのまま持越されておる。この内容につきましては前回すでに申上げたところでありまするが、二、三の例を申上げますれば、戰時中に放置されておりましたるところの各種の施設関係の復旧の速度をどう見るかとか、或いは六・三制の学校建設費の金額を国の予算計上いたしておるものだけで一応見込むか、或いはそれ以上に災害の復旧をしたいと見るか、或いは行政費の金額をどの程度に見るか、或いは失業対策事業、主として日雇関係の副資材関係をどういうふうに見るか、或いは児童人口の増加に伴いますところの既定経費の増加の関係と、單独事業経費をどういうふうに見るか、或いは予算外寄附金の関係予算に織込むことをどう見るかというような数項に亘りますところの違いでございます。この点につきましては本予算のときに詳細に申上げました点であります。  それから第二の昭和二十六年度新規材政需要の三百六十六億の違いでありますが、給与改定による増加でここで御覧頂きまするように約五億程度なつております。併しながらこの給与改訂によつて幾らの増加経費が必要となるのであろうかということにつきましては、地方財政委員会と協力いたしてその後大蔵省で各地方団体につきましていろいろの資料の御提出を願い、特に約七万人に及ぶところの府県市町村の公務員の経歴、過去の経験年数でありまするとか、学歴でありますとか、そういう各個人別の調書の提出を願いまして、一般国家公務員並の給与切替基準を適用したならば如何相成るであろうかということをいろいろ調査いたしました次第であります。その結果を地方財政委員会から一応今回の計算基礎になつているところの切替の基準は、こういう基準を適用した。そうして各都道府県の計算の結果はこうなつておるということを参考までにお知らせを願うという措置をいたしたのでありまするが、その結果只今のところは、給与改訂によつて幾ら増加するかということにつきましては、地方財政委員会大蔵省の間に意見が一致いたしております。この五億五千万円と申しまするのは、地域給の極く一部につきまして技術的な点で計数の不一致がございまするが、これは地方財教委員会のほうと私どものほうともう少し資料の突き合せその他をいたしますれば、必ず意見の一致を見るという……いわばちよつと過去のかすが残つているというようなものであります。これはそういうことでございまして、ただ技術的な食違いで、意見の一致を見るものであります。それからずつと下に行きまして、政府施策に伴う経費増、(A)の十七億三千万円の違いがあります。これ又本予算を御審議頂きましたときに申上げましたように、社会福祉主事の経費の定員の増加をどの程度に見るかとか、食品衛生関係経費をどの程度に見るかというような国の補助費を伴わないところの地方の独自の行政に必要な経費をどの程度見るかということによつて違いますところの金額が十七億であります。次の頁に参りまして、失業対策費の増加の十二億一千万円の違いは、一番の既定財政規損のところで申上げましたのと同じ恰好になりまして、日雇関係所要額をどう見るかということによる違いであります。それからその次の物価騰貴によりますところの一般物件費の増が二百億、これが地方財政委員会と内閣側の考え方で最も違う点の一つでございまして、地方財政委員会におかれましては、その後の物価、当初予算の編成乃至成立の時から今日に至るまでの物価騰貴の情勢を織込むならば、二百億程度物件費の増加というものに対しまして、内閣側の考え方は、今回の補正予算におきましては、真に計画の縮小乃至は繰延べによつて対処して行けない部分についてのみ物価騰貴を認めるという方針をとつております。先ほどもちよつと申上げましたように、この物件費追加ということは、物価騰貴に伴いましては認めておりませんので、今回の補正予算関係におきましては、地方財政につきましても極めて困難であるとは考えられまするけれども、この際は物件費の増加ということは見合わして頂きたい、こういう趣旨で以てやつております。これは意見が一致いたしておりますが、次は過般の自治体警察廃止に伴います経費であります。それから富裕団体の超過財源によりますところの経費の富裕団体の超過財源は、通常の財政需要を必要とするところのものを超過している。それによつて百二十九億円の経費が必要であるというのが地方財政委員会の見解であります。あとから申上げまするように、内閣側としましては、地方財政全体といたしましては七十七億の黒字であるという推定をいたしております。但し地方団体によりまして富裕の財源の関係にいろいろの変化がありまして、これは現在の地方税及び現在の平衡交付金配分方法では、只今直ちにこれを調整することは困難であるという考え方で、その考え方を数字的に地方財政委員会の見られたところは百二十九億円でありまするが、この百二十九億のうち、主として農村関係の府県の財源が非常に不足しているという状況は、地方財政全体といたしましてはバランスがとれておりましても、今年度の問題といたしましては財源を賦与する必要があるという考え方で、結論的にあとから申上げますように、百億の平衡交付金の増額、地方起債の百億と相成つている次第でございます。それから次に予備費の欄でございますが、これは内閣側は二十六年度の当初変算におきましても、いろいろ見込でおらないところの経費の需要が殖えるであろうということで百億を計上いたしておりまするが、これは引続きまして今回も計上いたしております。それから既定財政規模の圧縮でありますが、当初予算にもこの八十億計上いたしておりまするが、地方財政においても極力経費の節約を図りまして、財政規模の圧縮を図つて頂きたいということで当初から八十億を計上いたしてございます次第であります。  歳入の欄を御覧頂きますと、ここで御覧を頂きますように、地方財政委員会の算定いたしておりまするところと内閣の算定いたしておりまするところと、歳入の合計欄の五千六百九億というところでは差異がございません。そこで收支の過不足額におきまして、地方財政委員会におきましては四百三十八億の不足があるとせられるのに対しまして、内閣側では全体としては七十七億の黒字になる。但し先ほど申上げましたように、財源に片寄る関係があるので、その補填方法として百億の地方財政平衡交付金の増額と、百億の地方起債の枠の擴充をいたしたという趣旨であります。  もう一枚の昭和二十六年度地方財政推計のほうは、只今申上げました当初予算補正後の補正予算とおのおのの地方財政の推計をいたしておる次第であります。詳しく申上げることは省略さして頂きますが、ちよつと御参考までに申上げますのは当初予算におきましては歳入の面におきまして、繰越金の三百七十一億円を計上いたしておりましたのを、備考一に書きましたように、只今のところでは百七十五億円程度の繰越金が見込まれるのではなかろうかと思われ、又次の頁に書いて置きましたように、使用料、手数料、雑收入におきまして、ここの欄に計上いたしておりますより少し多額の財源が見込まれるのではないかと思われますが、それはそれといたしまして、五千四百八十四億という数字が五千八百九億に相成つたのであります。大体差引の欄におきましては、地方財政全体として推計いたして見れば、二百七十七億程度の歳入剰余が生ずるのではないか、こういう数字を示してあるのであります。一応計数につきまして御説明申上げた次第であります。
  72. 東隆

    理事東隆君) 御質問ございませんか。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 地財委のほうに伺いたいのですが、地方税ですね。当初推計二千八十七億、補正後推計二千五百十億ですか、殖えておる。主としてこれはどういう形での増收を見込まれておるのですか。
  74. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 計数の結果は同じでございますから、便宜私から……。結局当初の二千八十七億の推計が四百二十三億殖えまして二千五百十億に相成つた次第であります。二千五百十億の内容は都道府県税において、都道府県の普通税におきまして千百十一億を見込んでおります。この千百十一億は当初の推計におきましては八百三十七億九千万、八百三十八億でございます。それから市町村の普通税は補正後の推計におきましては千三百九十七億でございます。それに対しまして当初におきましては千二百四十七億を考えておつた次第でございます。それで道府県の普通税の大きなところを申上げて見ますると、千百十一億のうち事業税が七百二十億になります。それからこれは特別所得税が十五億、それから入場税が百八十三億、遊興飲食税が百五十一億、自動車税が二十億、こういうのが十億以上の大口に相成つております。それから市町村のほうへ参りまして、千三百九十七億の大口は市町村民税におきまして六百三十億でございます。それから固定資産税におきまして五百七十三億、自転車税におきまして十四、荷車税におきまして十二億、電気ガス税におきまして百三億、鉱産税におきまして十五億、木材引取税におきまして十四億と、その他御承知のようにたくさんのものがありますが、主な内訳はさような次第であります。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのうち住民税、市町村民税のほうですね。前年度との比較ですね、若しあれでしたら資料を出して頂きたいと思います。
  76. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 四百二十三億を都道府県と市町村に分ければどうなるのですか。
  77. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お答え申上げます。都道府県の普通税のほうで二百七十四億、それから市町村の普通税におきまして百四十九億でございます。
  78. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 去年の暮から平衡交付金のことはとてもやかましうございますが、固定資産税が各県の産業の相違によりまして非常に差があるようでございます。あり余る県もあり余つているとはなかなか言いにくいでございましようし、足りない県はとても猛烈に要求して来るようでございますけれども、どうも運動を激しく行えば余計もらえるようなことを考えるのか、どうもその間の運動方法、陳情の方法にもどうかと思われるような要素が窺われるのでありますが、むしろシヤウプさんがあんなことをおつしやつたけれども、固定資産税は以前のように国家に收納するほうがいいじやないかと考えますけれども、どうお考えでございましようか。
  79. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 固定資産税は御承知のようにその固定資産の所在地で賦課いたします関係上、各地の実情によりまして、その非常にたくさん入りまするところと入らないところとのありますことは御承知通りであります。この不公平というと語弊がございまするが、このアンベランスを調整いたします手段として、関係のある地方にこれを分割することをいたしております。併しながらこれを分割いたしましても、なお且つ固定資産税が或る一局地に偏する傾向のありますことは、この税の性質から申しまして止むを得ないことと考えております。今日のいわゆるシヤウプ勧告に基きまする今日の地方税制はそういうことにできておりますので止むを得ないことと考えております。併しながらその弊害も多少認められますので、成るべく弊害を少からしむるために目下それぞれ研究中であるということを御承知おきを願いたいと存じます。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 地方税制の改革がいろいろ問題になつておりますが、政府側でも研究しているようですし、地財委としてはこれは来年度二十七年度ぐらいとして、結局いろいろ研究されているのじやないかと思うのですが、何か今どういうような地方税制改革についての考えを持つていられるか伺いたい。
  81. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 地方税制を一年間実施をいたして見まして極めて不合理と申しまするか、不都合であると考えられまするほんの瑣末な点と言つちや語弊がございまするが、二、三の点について改正をいたしたいとして、近く御審議を願わなければならぬかと思つております。併しながら地方税制の全般に関する改革はこれはああいう大改革を経ましてまだ年を経ておらないのでありまするし、よほど根本的に研究をいたす必要があると思いまするので、なお研究の段階にありまして、いつこれを国会の御審議を煩わし得るに至るやというようなことにつきまして、地方財政委員会といたしましてはなお何とも申上げることのできない、研究中であるということで御了承を得たいと思います。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 東條氏は専門が違うかも知れませんが、大蔵省のほうで何か考えておられませんか。
  83. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お答え申上げます。専門外のことをこういうところで申上げますことは遠慮さして頂きたいと存じますが、ただ先ほどもちよつと申上げましたように、現在の地方公共団体の財源のあり方と申しますか、財源の配分状況に相当凸凹がございますので、これを調整するということは必要ではなかろうか。調整をする手段といたしましては、地方税制の内容というようなものは極めて深い関係を持つ、かように考えております。ただ地方税制の内容を如何がいたすべきであるかということにつきまして、その時期、方法、内容等大蔵省といたしましてもまだ研究中であるということを申上げることにとどめまして御了承頂きたいと思います。
  84. 小林政夫

    ○小林政夫君 地方財政委員会お尋ねをいたしますが、大蔵委員会で審議の際に特に法人税の問題でありますが、主税局長の言明として本年度法人税を四二%、二〇%引上げても市町村民税については普通で行くならば今までは五・二五%であつたのが六・三%になる。こういう計算になるわけでありますが、それを少くとも据置く、むしろ下げる、五・二五よりも下げたいというような意向を漏らされた。而もその点については地方財政委員会とも十分話済みである。近く立法的措置によつてそういう方法をとりたいということをはつきり言明をしておるのであります。その点についてそういう主税局と地財委との間に打合せがあつたか、そういうお話合いがついているのかどうかということについてお尋ねをいたします。
  85. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 住民税のうち、法人税割の率を如何にすべきかというようなことは、地方財政委員会の事務当局が大蔵省と打合せをいたしていることは承知をいたしておりまするが、まだ地方財政委員会といたしましてこれを公式にどうするということをきめてはいないのであります。ただ併しながら地方税は相当に地方民の負担の上から申しまして、重圧を加えておりますることも事実でございまするので、成るべく合理的に改正をいたしたいという考えは持つておりまするが、まだ具体的にどうするということを申上げるところまで至つておりませんことを御了承願いたいと思います。
  86. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると、主税局長の大蔵委員会における言明がちよつとあやしくなるのですが……。これは法人税法の改正案をまあ審議する場合において非常に問題になる。重大な問題になるのでありますが、只今の言明は正式な地財委当局としての言明と了承してよろしうございますか。ちよつと敷衍して……少くとも現在の絶対額と申しますと……ここに今日配られておる資料がございますが、参議院大蔵委員会の要求資料で法人税の表面税率と実効税率という表がありますが、これによつて大蔵委員会で主税局長が説明をしたわけです。その場合に市町村民税の実効税率としては従来と変りない四・六九%という数字が上つておるわけです。で少くともこの四・六九%で行くのであるか、或いはそれ以下になるのかと言うと、絶対これより高くならないという、まあ言明があつたわけです。そういう点についてはつきり打合せがついておるのかどうか。
  87. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) まだはつきり打合せがついておりませんのです。ただ研究中でありますことを御了承願いたいと思います。
  88. 小酒井義男

    小酒井義男君 地財委員のかたにお尋ねをしたいのですが、隣り合せた地方の自体で工場会社等のある自治体と、そうしてそれの全然ない地域との住民の負担する住民税の均衡が非常に相違をしておる個所をほうぼうで見るわけですが、こういう事実に対して何か是正をするようなことの必要をお考えなつておらないかどうかということ、もう一つは給与所得者とそうでない住民の地方税の負担が、税負担の実体とは相当相違したものをかけられておるようなふうに私ども考えますが、そういう点について何かお考えなつたことがあるかどうか、この二点に一つお答えを願いたい。
  89. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 住民税が地方団体を異にするに従つて多少変つた負担をしておりますることは、或る程度止むを得ないことと考えております。これは各自治体の実情に応じまして、自治体の人たちの決するところによつてつて行くのが自然でございまするから、名目上の負担が多少変つて行くということは止むを得ないことと考えるのであります。ただ併しながら隣り合せ等の町村等において余り甚だしき開きを生じますることは如何かと思われますので、これらは平衡交付金その他の制度でできるだけの是正はして行きたいと考えております。併しこの一年間実施をいたして見ました結果、先ほど来お説のありましたように、莫大な固定資産税等がその一カ村のみで取れる結果、殆んど住民税等の負担がなくても済んで行くというものが隣りにあつてその近くの村が非常な重税に苦しんでおるという状況ならば如何に自治体が別々のものであつておのおのその欲するところに従つてつて行くという原則はそういう原則でありましても、甚だ不均衡のように考えられますので、それらの点は将来とくと研究をいたしまして、できるだけの改正を考えて行かなくちやならんのではないかと思つております。  それからもう一つは何でございましたでしようか。
  90. 小酒井義男

    小酒井義男君 地方にやはり住民税で給与所得者が非常に生活の負担に均衡のとれないものを現在実際には課税されておるというような点について、そうした実情を御存じか、或いはそうした問題を御存じでしたら何かこれを是正するようなことを必要とお考えなつておるかどうかということです。
  91. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 収入の元がはつきりいたしまする給与所得者に対してどうかすると負担が重くなるという傾向は往々にして見受けられることを遺憾に考えております。これはできるだけこの給与所得者等の負担も他の所得者に比べて公共な負担がかかつて行くように、税制の上において考えなければならんと思つておりますが、何分この地方税は各地方団体において賦課をし徴收をするのでありまして、地方財政委員会等といたしましては極めて原則のことだけしかきめられませんので、各地方団体間、或いはその給与所得者と他の所得者との間の負担の均衡を絶対に図つて行くというような手段はとり得ないまあ実情にあるのでありますが、これも成るべく各自治体の内部においてそれぞれこれらの点を考慮して、適正なる税制の執行に当つて行くように希望をいたしておる次第であります。
  92. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 近頃麻雀とパチンコがとてもはやつております。私たちは本来ああいう勝負事はやめさせてもらいたいと……。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の質問に関連しておるから先聞いて下さい。
  94. 東隆

    理事東隆君) 今の質問に関連してですか。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の給与所得者における地方住民税の非常に高い、即ち不均衡なことに対して今まで税制を変えなければどうもいたし方ないという心細い御答弁です。そうしてややもすれば、そういう不均衡があるというお話ですが、そうでなく、只今の御質問は非常に重要だと思うのですよ。これは我々も地方によつてはいつでも問題になるように我々は現に感じでおります。地財委として或いはこの点を根本的に私も考えてもらわなければならないと思うのです。この根本の原因は勤労控除にあるのです。シヤウプさんによつて従来二割五分が一割五分に削られた、結局所得の捕捉の問題であるわけです、ここに根本の問題があると思うのです。ですから地方財政委員会では、その税制改革に無論関連して来るのですが、この点は強く要望して頂きたい。ここに問題が出て来るわけです。勤労所得税について勤労控除が従来の二割五分が一割五分に引下げられておることは御承知通りであります。それが地方税にも大きく響いて来る。この間大蔵委員会大蔵省のかたに伺つたところによれば、負担均衡というところから行くと、勤労控除を大体地方税をも含めての負担の均衡を考える場合には、大体三割乃至四割ぐらい勤労控除をしなければ住民税を引つくるめての勤労者とほかの業種所得者との負担の均衡はとれないという御説明があつたのです、大蔵省の税のほうの担当者から。現実はそうなんです。それが一割五分しか勤労控除されていない。ここに問題があると思うのですから、それで五%勤労控除を引上げる場合には二百億円減收になるのであつて、財源上大蔵省としては非常に困つているというお話があつた。現実は確かにそういうふうに不均衡なんですね。この点は少くとも地方財政委員会でただ漫然と極力地方において税の負担の均衡を図るために努力すると、こう言つてもそれはできないのですよ。根本はここにあるということを十分御認識になつて、そうして政府のほうに対しても強くこれを要求して頂きたいと思う。そうでなければ勤労控除はできないのです。勤労控除に問題があるわけです。それをここで一つ言明して頂きたい。これは、むしろ事業方面でもそうであると、こう言つております。こんなに不均衡にしておいて、もう御承知と思うのですが、これまで農民或いは中小業者は税が高いというのでいわゆる反税闘争を非常にやつて、不均衡がやや緩和された。ところが勤労者のほうは緩和の措置が行われず不均衡が非常にひどくなつた。今度の補正予算において、或いは税制改革で負担の均衡を図るというのですから、当然勤労控除を殖やすと思つた。ところが税制改革については、今度何ら触れておらない。ただ基礎控除と扶養控除をちよつぴり殖やしただけなんですよ。この点地方財政委員会でも十分御認識を願つて、今後政府に要求して頂きたいのです。これに対してどういうお考えですか。
  96. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 只今のお説の勤労所得者が税源を捕捉される上において極めて便利な地位にあるという関係で、勤労所得者に対する課税は他の所得者と比較して公正を得るということは非常にむずかしき状態になつておりますることは私どももよく認識いたしているのであります。ただ併しながらこれを如何にすれば他の所得者との間における公正を得る点において遺憾なきを得るやということにつきましては、なおよく研究をする必要があると考えておりまして、今直ちにこれを如何にすべきかということのお答えのできませんことは御了承を願いたいと思うのでありますが、ただ理窟で申上げますると、地方の市町村等の住民税を考えまする際においては、市町村議会において最も住民の財政状態を懐工合を最もよくわかつている自治体の人々が議決をいたすのでありまするから、余り無理のないところにきまるのであろうという予感をしている次第でありまするが、併しそれだけに放置いたしておきましてはならんと思いまするので、財政委員会といたしましても将来よく研究を続けたいと思います。
  97. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんな心細い御答弁では困る。もうはつきりしているのです。勤労控除にあるのです。ですからそれを御研究にならなければ駄目です。地方財政委員会で中央で研究しても駄目なんです。政府に要求しなければ、この税制改革をやらなければならないので、それは強く要望する必要があるのですよ。研究々々と言うけれども、もうはつきりしているのですから、勤労控除に問題があるとすれば、どうしても事業者やその他の法人の所得の捕捉を一〇〇%にすると言つたつて困難ですから、事実上できないのですから、均衡をとるためには勤労控除のほうを引上げるのは、これは実際問題としてそれよりほかない。この問題について御答願つたのですから、ほかにいろいろ研究するつたつてないのです。やろうとしたつてできない。はつきりしているのですから、勤労控除について地方財政委員会もこの率の引上げについて努力するということを、これを御言明願いたい。それが当然で、それよりほかに方法はない。あとはみんな言い逃れになつてしまうのですから、一つここで御言明して頂きたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  98. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の回答に一緒に私回答して頂きたいので、参考までに一つ発言を求めるのですが、実は私の知つておる範囲で最近地方の勤労者が続々と会を結成しております。その第一の目的というのは、やはり住民税の問題にあるのですが、それを結成して、別に税法上の間違つたことをやつておるのではないのですから、これを直してもらわん限りは何ともできないというのが自治体のほうの回答なんです。これは一カ所や二カ所ではなしに、私の知つておる範囲でも相当ありますから、全国的にこの問題は関心を持たれておるわけですから、そういう実情も一つ御認識の上で御回答頂ければ結構だと思います。
  99. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 勤労控除の問題は地方財政委員会といたしましては直接この問題を取扱う地位におりませんので、これは所得税等を所管される所で、お考えを願わなければならんことなのであります。従いまして今ここで地方財政委員会としてはこう考えるということを申上ぐることのできませんことを御了承願いたいと思います。私どもといたしましては、それらのこともよく研究をいたしまして、丁度地方税制そのものの改正を研究をいたしておるところでありまするから、その際併せて一つよく研究をするということで御了承を得たいと存じます。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど当面地方財政については二、三の具体的な改正を考えられたと言つていますね。それに併せて政府に要求して頂きたいと思うのです。それは所得税のほうで所管をしておるのだから一応地方財政委員会としてはそういう立場にないと思うのでありますけれども、一体地方税を取る場合に税の負担の均衡というものを考えながら取るのが当り前です。地方財政委員会はそういうことを考えるのが当然なんですね。それをそのための具体策を考えていないと言つたら非常に怠慢ですね。政府にも責任がありますけれども地方財政委員会にも怠慢がある。地方税は不均衡なんです。今の御指摘の通りなんです。こんな不均衡なものはないのです。あの住民税……この不均衡をどうして是正しようかということを考えられたことがあるのですか。ずつと今まで不均衡がそのままになつておる。これを放つて置くというのは、それは怠慢です。特に民主的な時代に民主的な税法を地方税についてもお考えになるのが当り前です。その根本が勤労控除にあるということは……そればかりではありませんけれども、極めて明白なんです。それを立場が違うから、所管が違うからと言うのでは駄目です。もつと地方財政委員として権威のあることを述べて頂きたい。自分は個人でも飽くまで頑張つて政府に改正を要求するという、そのくらいの熱意と責任を持つて頂かなければ、今の御答弁は心細くてしようがないのですが、もう一度御答弁願いたい。
  101. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) これらのことも地方財委員会といたしましてはよく研究をいたしたいと思います。ただ理窟を申上げて恐縮なんでありますけれども、住民税をどれだけ徴收しようかということは地方財政委員会仕事ではなくして、これは各地方団体のきめることなのであります。従いまして住民税を非常に軽減するということも地方団体としては議決可能で当然考えなければならんことなのであります。ただ今日の制度といたしましては、余りに住民税を安くいたしますと、いわゆる平衡交付金割当が少くなるという制度にできておりますので、その点において地方団体といえども自由に住民税を安くすることができいなというその立場に置かれていることは事実なのであります。そういうふうにこの地方税全体が非常に関連を持つておりまするので、よく研究をいたしたいと考えております。
  102. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 近頃麻雀やパチンコというのがとてもはやつておりますが、元来私はああいうものが賭博行為になるから早く取締つてもらいたいと思うのです。たばこなども現物で、その場でやり取りしておるようでございますが、いずれにいたしましても経営者が利益が多いからどんどん殖えるのだろうと思いますけれども、ああいうものの税のとり方はどういうふうになさつておるのか、それが一つ。それから競馬でございますけれども、競馬は二割五分税金を取つておるらしいのですけれども、芝居や映画は五割でございますね、地方財源のためなんでしようけれども。それならばもつと取つてもよさそうなんですけど、残り七割が勝負の懸賞、賭博の資本金になつておるらしいので、ここらはどういうふうにお考えなつていらつしやるのか。第三番目は、これは私の知つてる魚の小売をしておるところのおばさんが頻りに税金が高くて困るとこぼしておりましたけれども、最近倒頭その店をやめて、主人公が魚の問屋に勤めて店を借したらやつと暮せるようになつた。それにヒントを得て考えて見ましたが、どうも勤め人に対する税金のかけ方と、特に小売店、生鮮業者に対する税金のかけ方は不公平でございますね。免税点の引上げとか、扶養控除なんか多く減らすようになつておりますけれども、第一売上高に対して利益をどれくらいに見積つておるか。これが根本になるのだろうと思いますが、生鮮業者に対します利益の見積りは少し大きくなさり過ぎていやしませんかと思いますので、実情お尋ね申上げます。
  103. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) パチンコ屋等がだんだんはやる傾向にありますることは、社会風教上その他取締るべき必要が発生しつつあるのではなかろうかと私ども考えております。地方財政委員会といたしましてはこれらの業種を奨励するがごとき政策はとつていないことを御承知おきを願いたいと思うのであります。地方財政委員会といたしましてはああいうものができました際においては、これらより税金を徴収するという立場にあるのでありまして、税金を徴収いたしますることは税金を徴収するというだけの立場でございまするので、これを奨励するとか、取締りますとかいうことは財政委員会とは別の立場から考えられるべきものと思つているのであります。又競馬のごときも同じことでございまして、入場税等をこれから徴収いたすのでありまするが、これに入場をいたした者から規定の入場料を徴収するというだけのことでございまするので、この競馬を奨励すべきや否やということは別の立場からお考えを願うべきものであると考えている次第であります。御了承を願います。
  104. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 そういうことは聞いておりません。私は税金のかけ方の実情お尋ねいたしたのですけれども…よろしうございます、いずれ又……。
  105. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この給与改訂によるこれだけの金額によつて地方公務員の給与は千五百円引上げられる予定であるか。引上げることができるのであるか、どうであるか、最初にお尋ねしたいと思います。
  106. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) お答え申上げます。お手許に提出をいたしてございます地方予政の歳出の推計の通り行われまするならば、地方公務員に対しまする今回の十月以降の国家公務員について平均千五百円でございますが、それの給与の引上げは可能でございます。なおやや補足的に申上げたいと思いまするが、過般の一月から実施いたされておりまするところのいわゆる平均千円の給与の引上げと今回の予定いたしておりまするところの千五百円の給与の引上げ、共に勿論可能でありまして、都道府県の一般職員につきましては両者を第一次、第二次を通じまして二千五百八円、それから都道府県の教育職員につきましては三千三百六十五円、市町村職員につきましては二千五百七円、全体に人員は百三十七万人千八百二人というものを予定いたしております。右に申上げました二千五百八円、三千三百六十五円、二千五百七円という給与の改訂の幅は、先ほどもちよつと申上げましたように、国家公務員について適用いたしておりまするところの給与の規定を、過去の経験年数、学歴等給与を決定するに必要なる前提に置換えまして、正当なあるべき数字であるというふうに判定いたしております。
  107. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 聞くところによれば、教員の俸給は千五百円のベースよりも三百七十五円、県庁関係の者は四百六十円くらい減じて計算をして、この数字なつておるという話を聞いておるのでありますが、そういうふうなことはないのであるのか、更に重ねてお尋ねしたいと思うのであります。
  108. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 先般地方財政委員会の御協力を得まして地方公務員の給与の実際を調査いたしたのでございます。私ども前国会におきまして特にこの給与改善に必要な経費の問題は極めて重要なものでございますので、いろいろと調査いたしたのであります。その結果、従来の地方公務員の給与は国家公務員に比しまして比較的割高であるという結論を私どもといたしましては得ましたので、この間申上げました第一次、第二次の給与の引上げを通じまして過去の割高であつた部分は調整をいたす、国庫一般会計の負担におきまして地方財政に財源を賦与いたす意味におきましては調整をいたす、かような建前の下に計算をいたしてございます。その意味におきまして只今お挙げになりました数字かどうか、なおチエツクはいたしまするが、一部その意味におきましては財源の賦与の場合におきまして、従来割高でありまするものをそのまま続けてやろうという方針はとつておりません。
  109. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次に住民税の問題でありますが、住民税の問題は前年度の所得に課せられる結果、異動が多いところの地方であれば課するときにはすでに課すべきものがおらないためにそれだけの税金は入らない。こういうふうなことになるのでありまするが、こういうふうなものがどのくらいいるというお考えであるか、或いは炭鉱地帯とかその他こういうようなもので違うでありましようが、住民の異動によつて課税不可能の率を平衡交付金を算定せられる場合にはどのくらいに考えておられるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  110. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 住民税を賦課いたしますときと議決をいたしますときとで住民に異動を来たし、又同じ人でありましてもそれの収入状況等に異同を来たしますることは、これは相当数あるであろうと推定されるのであります。その正確なるところは材料を持つておりませんですが、相当に異動があるだろうと思われます。従いまして平衡交付金の算定につきましてはそれらを全額見るのではなくして二割程度を少くとも見積りもりまして、いわゆる基準財政収入額というものを算定いたして、その基準財政収入額によつて基準財政需要額に及ばないものを平衡交付金として渡すという方針をとつているのであります。
  111. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 業態別に差があるかどうか。
  112. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 業態別にもこれは千差万別でありまして相当差があると思われます。又各地方によつても相当の差があると思われますが、それらの差を大体二割程度と見ているわけであります。
  113. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 普通のところは二割程度でいいかわからんのですが、そういう炭鉱地のようなものは非常にたくさんの異動があつて、或いは半数ぐらいの異動がないとも限らないのであります。従つてこういうふうな所に若し平衡交付金割当てるとしたならば、その収入は非常に少いと、こう見なくちやならないのでありますが、特に炭鉱地というようなものに対してそういうふうなお考えを現在とつておられるかどうかお尋ねしたいと思うのであります。
  114. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) いろいろな異動は先ほど申しました程度考えでやつているのでありますが、特別に非常な変動のありました際においては、これは実情に応じましていわゆる特別平衡交付金というものを配付いたしまするときに考慮をいたすことにいたしております。それからついでにもう一つ、先ほどの御質問のように地方公務員の給与ベースのお話がございましたが、これは大蔵当局からお答えになりましたことで盡きているのでありまするけれども地方財政委員会といたしましては、例えば大阪でありますとか、東京でありますとかいう繁華な地方におきましては以前より国家公務員に比べて相当多額の給与をいたしておりますることは実情でありまするし、又沿革から申しましても国家公務員に比較して上廻つた給与をいたしているのであります。従いまして大蔵省の算定されましたものは、先ほどもお答えがありましたのでありまするが、国家公務員は千五百円上ることで計算されておりまするけれども、地方公務員はその土地々々によつて違いまするけれども、それに及ばないことに相成つております。それらの計数の違いがいわゆる百億円の平衡交付金の増額ということと二百億円を要求いたしておりまする地財委の案との差の一つの主なる要素でございまするから、それらの点も御考慮置きを願いたいと思ひます。
  115. 小林政夫

    ○小林政夫君 平衡交付金の配付額でありますが、二十五年度の配付の実績と二十六年度の千二百億円になつた配付予定を対照してお知らせ願いたいと思うのでありますが、先ず府県別、府県とそれから大都市、市、町村別の配付額、これを二十五年度の実績と千二百億円になつた場合における配付予定額の対照を、今ここでおつしつて頂ければそれでもよいし、言われなければ資料をお出し願いたい。
  116. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 平衡交付金の配付はいわゆる基準財政需要額と基準財政収入額とを比較いたしまして、収入額の足りない分を配付いたすというのが原則でございます。従いまして各地方団体に参ります配付額はそのときの細かい計算によつて出て来るのでありまして、基準はこういうふうだと言つて一律にお示しすることは、むずかしいのであります。二十五年度の、並びに二十六年度の今までの仮決定等をいたしました資料はございまするから、これは後刻差上げることにいたしたいと存じます。
  117. 小林政夫

    ○小林政夫君 配分がいろいろ基準測定単位、並びに基準単位費用によつて配分が考えられていることは承知いたしております。そこで二十五年度は過ぎたことである。その実績と、今度千二百億円になつた場合に、それが最近きめられた測定単位並びに基準単位費用とを掛け合わして行つてどういう配分になるか。特に今問題になつておりますのは、町村に対する平衡交付金が著しく前年度と比べて低額になるということで町村長は非常に心配をしている者が多いのであります。そういうような点も見たいと思いますので、仮決定が一応今やられるところでありましようが、百億殖えるとすればこれが総額においてどうなるのか。先ずこの百億なるかならないか、これを殖やすか殖やさないかということもこれからの問題でありますけれども、一応千二百億円となつた場合に、二十六年度は、先ほど私がお話いたしました府県と大都市と市と町村別にいつてどういうふうな額になるのかという資料をお出し願いたい。
  118. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) この予算通りました後に、例えば百億増加の際にはどういうふうになるか、或いは又地財委の案によりまする二百億が通つたときにはどういうふうになるかというお尋ねのようでございますが、これは先ほど申しましたように地財委の計算によりますと、四百三十八億円の不足を来たすという計算をいたしておるのであります、地方財政は……そこでそのうち二百億円は是非とも平衡交付金の増額によらなければならないという意見を立てているのでありますが、その個々の団体に対する、或いは府県に対して幾らとか、或いは市町村に対して幾らとかいうことは区別をいたしていないのであります。各団体の、個々の団体の収入と支出との状況に応じて、その足りないものを殖やそうというのでありまするから、府県に幾ら行くとか、市町村に幾ら行くかということの資料を今出しますことは、ちよつと困難であることを御承知を願いたいと思うのであります。足りないところへ出そう。足りない額は総額四百三十八億円と見積られているのでありまするけれども、それに対して二百億の平衡交付金の増、それから百五十億の起債の増、それからあと八十八億程度の各団体における節約を見込んで、四百三十八億というものを地方財政委員会としては出しているのであります。その範囲で平衡交付金法の命ずるところによつて、これを配分をいたしたいというのでありまして、どの団体に対しましてどれだけ行くということをここでお示しすることはちよつとできないということを御了承願いたいのであります。
  119. 小林政夫

    ○小林政夫君 これからその額がきまる問題でありますから、そういう御答弁になるのだと思うのでありますが、併し一応二十五年度の実績と、それからすでに仮決定として、各県並びに市町村へ御通知になつておる額、それはもう仮決定として一応各団体へ、地方団体へ御通知になつているのでありますが、その数字はお知らせ願えるのか。更にできれば地財としての要望の額だけ平衡交付金がきまつた場合にどうなるか。どうしてもこの原案通りに行かなければならんのか。千二百億で抑えられた場合にどうなるのかということがわかれば、大体の数字でいいわけでありますから、相当細かい基準測定単位並びに基準単位費用というようなふうに精密に計算方法がきめられておるようであります。全国各町村が数多いことであるから早急にできないことでありますけれども、併し緻密な計算によつて平衡交付金が分けられる点から、逆に行けばちよつと算盤を弾けば出そうに私は思う。どうしてもできないとおつしやるならば、今までの二十五年度の実績と、すでにきめられた二十六年度の仮決定額を、先ほど申上げました四つに分つてお知らせ頂きたいと思う。
  120. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 二十五年度の実績並びに二十六年度の仮決定の額は、後刻お示しをいたすことに取計らいます。将来この増額が認められました際にどういうふうになるかということにつきましては、先ほど申上げました通りに、資料が出揃いまして各地方からの要求が、予算額、収入額等を揃えました要求が出て参りまして細かい計算をいたしませんと、出て参りませんので、この点はお許しを願いたいと存じます。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も一、二点お聞きしたいのですが、先ほどの藤野委員質問に関連してですが、このベース・アツプの財源の問題ですが、これは大蔵省説明では、地財委との間に殆んど意見の同意があると、食い違いがないというふうなお話があつたと思いますが、これは只今菊山さんのお話だというと、この高い、国家公務員に比べて地方公務員が高いということについては異論がある。それは大蔵省のほうでは東京や大阪のような高いところを調査して見たのであつて、地方の現状はこれと非常に違つている。こういうお話がありましたし、先ほど文部委員会でありますが、野村委員長のやはりこれに対する見解としては、この高いということは首肯できない。そのために百億の要求をしているのだ、こういうことが述べられたのでありますが、これはどうもお話が食い違いがあるようなんですが、これはどうなつておりますか。これは大蔵省の意見から聞きたい。
  122. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 私先ほど地方財政委員会経費を必要とお考えなつておられまする金額と、内閣の一応算定いたしましたところの金額との対照表を基礎にいたしまして、御説明を申上げました次第であります。そうして私が地方財政委員会の算定額というところでこういう数字だと申上げましたのは、十月二十二日附の地方財政委員会委員長の国会に対する意見書の給与の数字をとつているわけであります。それらを対照いたして見ますると、給与改訂による増といたしましては、第一次の分が三百十五億という地方財政委員会の御意見に対しまして、こちらは三百十二億、それから第二次の分といたしましては八十四億に対しまして八十二億ということで、両者の減を合せますると五億五千七百万円であります。これは先ほどもどもこの席から申上げましたのでありまするが、私どもといたしましては、大綱といたしましては地方財政委員会大蔵省との間に意見が一致いたしている。地域給関係の極めて技術的な問題につきまして、まだ完全に調整しておらない点があるということを申上げました次第でありまして、私はこの地方財政委員会からお出しになつておりますところの勧告書の給与に上つておりますところの数字を基礎にいたしまして、又一面私どもが計算をいたしましたところを基礎にいたしまして、両者の差異を比べたのでありまして、若しこの五億五千七百万円の数字が、或いは私ども考え違い……これが五億五千七百万円が給与の差異であるということが、或いは私ども考え違いでありますれば、御意見の通りかと思いまするが、今までいろいろと打合せいたしましたところによりますれば、五億五千七百万円が給与改訂の差異である。従いまして全体の給与の所要総額からすれば極めて技術的な金額に過ぎない。完全にこれはもう少しよく資料の打合せをすれば意見の一致を見るものであろう、かように存じておりまして、その御趣旨を御説明申上げた次第であります。
  123. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 私の申上げましたのはこういうことなのであります。国家公務員におきましては平均千五百円の給与の引上げが行われるのに対しまして、地方公務員におきましては財源上は都道府県一般職員にあつては九百七円、教育職員にあつては千三百二円、市町村吏員につきましては七百二十六円の増俸が行われるにとどまることになつているという意味なのでありまするから、御了承を願います。
  124. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると大蔵省と打合せて、つまりそういう意見の中ではこれは食い違いがない。併し地財委としては、先ほどお話のように、地方のほうでは必ずしも国家公務員より高くない点がある。こういう点については首肯できない。こういう点はどうなんですか。それについて新らしいやはり百億の全部……百億全部であるかどうかわかりませんけれども、その中に含まれている、こういうわけなんですね。そうすると両者のやはり資料が私たちとしては必要だと思うのです。今度の勧告についても、国会に対する地財委の勧告に基いた資料、それから大蔵省のほうでこれをやつていた資料、こういう点を我々としては打合せて検討してもらわなくちやならないので、これは御提出願えますか。それから従来大蔵省の場合は、国家公務員よりも地方公務員が高いとされた根拠として、どういうところを調査されたか。聞くところによると、ピツクアツプして全体の調査をしたのではなくて、或るところ、何万かある少数についてこれは調査されたということを聞いておるのでありますが、そうするというと非常にそれは便宜的な調査になるのじやないか。こういう裏付になつた点も伺つておかないというと、高い低いということの判定ができないわけであります。この点伺いたい。
  125. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 多少補足して申上げておきまするが、第一次、第二次を通じまして都道府県一般職員については二千五百八円の給与引上げに必要な財源を認めます。教育職員につきましては三千三百六十五円の給与引上げに必要な財源を認めます。市町村職員につきましては二千五百七円の給与改訂を行うに必要な財源を認めます。そこでそれではこの第一次と第二次の割振りをどういうふうに内訳を考えるかという問題であります。これは過般政府部内でもいろいろと意見が闘わされた点でありまして、或いは従来地方公務員の給与が割高であるかも知れん、併しながら過去割高であつたという事実は事実として、それからスタートしようではないか、こういうことに相成つておりまするので、例えば第一次一般職員の二千五百八円の場合においては第一次の分といたしましては、計算の基礎といたしましては千六百六十円を考えております。それで従つて第二次の分といたしましては八百四十八円を考えております。それから教育職員につきまして申上げますれば、三千三百六十五円の分のうち二千百十四円が第一次であつて、第二次は千二百五十一円であります。それから二千五百七円という市町村につきましては第一次は千七百四十二円であり、第二次の分としては七百六十五円であります。併しながら調整の仕方として、つまり一般会計から財源を繰入れる場合の調整の仕方としてそれは十月以降といたしますれば、第一次をどう、第二次をどうということはどちらでもいいようなものでありますけれども、四月から九月までの地方財政の必要な財源を考える場合におきましては、第一次が比較的高かつたと考えるならば、地方財政に財源を比較的多く渡す、若し第一次の分を比較的小さく見るならば、四月から九月までの間の地方財政経費はその前の場合に比べれば多くならないという結果に相成るのでありまするけれども、従いまして考え方によればまあ余り第一次の分を多くするということは純粹にその金を引締めるという観点からいたしますれば如何かとも思われるのでありますが、要するに既成事実は既成事実として見て行こう、こういう考え方から第一次の分に比較的多く見ておるわけであります。従いまして第二次の分を取上げてそれが千円に達しておらんから、こう言われますと、それはそもそも地方公務員の給与が比較的割高であるから、今回の千五百円引上げのところまでを通じまして全体の調整をいたそうという趣旨からいたしまして、私のほうから申しますれば、まあ割高ということを是正いたそうではないかという考え方をとるといたしますれば、第二次の分を比較的小さく見ておるということは、むしろ地方財政の財源の需要額を比較的大きく見ておる、地方財政の財源としては比較的同情的な立場から見ておるという結果に相成ると考えております。それから先ほど私ここから申上げたような次第でございまして、私どもといたしますれば、百億の違いは対照表で御覧頂きます通りであります。そのうちに上つておりまするところの給与に必要な金額は給与引上げの分といたしましては五億五千七百万円であります。何ら資料の不一致はないと考えております。それから給与を調べたというが、どういう方法で調べたのだというようなお尋ねでありまするが、これは私ども地方財政委員会の御協力を得まして、いつも全体の地方公務員の給与はどうなつておるであろうかということを調査をいたしておるのでありまするが、今回は地方財政委員会とも御相談の上で、人数は約七万人程度であります。七万人程度でありまするが、中央からサンプル的に選んだというのじやなくて、各地方のほうで各階層に分けまして、例えて申上げますれば府県では課長以上は全部出してもらいたい、それから係長とか係員はそれぞれ一課で三人を出してもらいたい、それから教職員につきましては、小、中、高等学校につきましては各校ごとに百人ぐらいを出してもらいたいというような人数を、一応これもいろいろ集計の関係もありまするし、又こういう調査をいたしまするのには、相当これを調査をいたして頂くほうの手数を考えなければなりません。そういう観点からこの程度のサンプルを取りました次第であります。ただ私どもはこれは思い違いかもわかりませんが、給与の問題というのは、一つの地方団体内部におきましては相互の権衡が非常にやかましい問題でありまして、甲の人の給与は比較的割高にいたしておる、併しながら乙の給与は下げておくということは、よほど特別の事情がない限り、一つの地方公共団体の内部ではできない相談でありまして、一つの基準を作りまして、甲にこういう扱い方をしたから乙も同じような扱いをいたすというふうな給与の実態調査をいたします場合のサンプルが数は比較的少数でありましても、その階層、階級或いは経験年数、そういうところの選び方さえ適当でありまするならば、そう全員の一〇〇%というものを取らないでも、比較的正確な数字が出るということは私どもは過去の経験からさように考えております。従いまして七万人程度の各個人別の調査ではありまするが、これを以て地方公務員のかたがたの給与の状況を知るのにはそう大した誤謬は犯しておらないのではなかろうかと、かように存じておる次第であります。
  126. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは地財委のこれに対する意見を伺いたいと思うのでありますが、只今の調査の基礎、こういう問題、それからこれはもつと具体的にやつぱりもう少し細かいところをあとで見せて頂きたいと思うのです。資料として若しできたらこれを出して頂きたいのです。それから地方公務員が高いとか低いとかというものは、これは一般論で、絶対額を比較したというようなことだけではわからないので、同時に年齢の構成とかそういうようなもののいろいろな比較をされたのでありますが、そういう点はもつとこれは細かにやつぱり資料として我々は必要だと思うのであります。それからこれに対する地財委のほうの意見はどうでございますか。今の説明通りということになるのですか。非常におかしいのですけれどもね。この点伺いたいのです。今のお話では今度の百億の要求勧告の中には地域給による差額の五億五千七百万円、これだけのものしか見込んでいないのだ、こういうような説明がありましたけれども、この点はどうなんですか。大変さつきのお話とは食い違いがありますが、この点は如何ですか。
  127. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 百億の食い違いの中に含まれておりまするこの給与の面はそれほど大きいものではございません。
  128. 岩間正男

    ○岩間正男君 どのくらいですか。
  129. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 全体の数字が先ほど大蔵省の側から御説明もあつた通りであります。ただ併しながら私の申上げましたのは、国家公務員が千五百円上るのに対して、地方公務員はそれほど上らないという今度の財源措置は、それほど上らないということに含まれておるのだ、従つて地方財政委員会としてはやはり国家公務員が上るならば、地方公務員も相当に上げて行かなければならない。これに要する費用は相当額見積られなければならない。それで個人的に、個人的と言いますか、職種別に申上げますと、先ほど申上げましたように、例えば市町村の一般吏員におきましては七百二十六円しか増額が行われないことになるのだろうということを申上げたいのであります。
  130. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、この勧告の中には、つまり新たなる千五百円の引上げということを予想されて、そういう勧告をされておるのですが、どうもその点がわからない。それはどうなんですか。何だかさつき大蔵省では百億の勧告の中にはさつきの差額の分、食い違いの実に少い五億五千七百万円分だけしか組んでいないのだというお話ですけれども、今の御説明を聞きますと、それはそうだとあなたおつしやつて、それからそうでないとおつしやつた。そこのところどういうわけなんですか。もう一遍明らかにして頂きたい。
  131. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 勧告の中に、勧告と申しまするが提出いたしました意見書の中の二百億円増を見込んでおりまする中には、給与も今回政府において計画されております国家公務員並みに上げたいということを考えておる次第であります。その他の詳しい数字その他につきましては丁度財政委員会の事務局のかたが見えておりますから、そのほうから……。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間もありませんから、いずれ又明細に伺うとしまして、今の数字的な資料を出して頂きたいと思います。余り時間もありませんから一々伺つて後又質問するというわけにも行かないと思いますから、資料を頂いて又検討したいと思います。
  133. 菊山嘉男

    政府委員(菊山嘉男君) 御要求の数字は、成るべくこれを明らかにし得るような数字を提出いたしたいと思います。
  134. 岩間正男

    ○岩間正男君 大蔵省のほうもお願いします。
  135. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) はい、提出いたします。
  136. 東隆

    理事東隆君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会