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1951-10-29 第12回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十九日(月曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————    委員長     和田 博雄君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君            古池 信三君            郡  祐一君            溝淵 春次君            白波瀬米吉君            深水 六郎君            上條 愛一君            山下 義信君            小林 政夫君            西郷吉之助君            岩木 哲夫君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   政府委員    物価庁政務次官 郡  祐一君    物価庁次長   熊田 克郎君    物価庁第二部長 永野 正二君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   説明員    経済安定本部財    政金融局長   坂田 泰二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)(内閣送付)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それでは開会いたします。  本日は資金計画国民所得物価についての説明を聞くことになつております。先ず資金計画国民所得につきまして、阪田財政金融局長から御説明をお伺いいたします。
  3. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) それでは国民所得及び総合資金需給につきまして一応御説明申上げたいと思います。只今資料を配付いたして置きましたが、先ずそのうちの昭和二十四年度乃至二十六年度分配国民所得推計、これにつきまして御説明申上げたいと思います。  国民所得につきましては、本年度の初めにおきましても一応二十六年度国民所得見込みを推計いたしたものを御提出してあるわけでございますが、その後いろいろ新らしい資料等を加えまして、今回新らしい推計をいたしたわけであります。大体この国民所得推計やり方といたしましては既往年度、大体今回の推計では、具体的には昭和二十四年度でありますが、これの国民所得をいろいろの資料によりまして固めまして、それをもとにして本年度のいろいろな指数等によつて本年度所得推計して出すというやり方をいたしておるわけでありますが、二十四年度状況につきましていろいろ新らしい新規の統計資料も固まつて参りまするし、推計方法等にもいろいろ改善を加えましたので、その数字前々回或いは前回等にお示ししましたものと大分変つております。それを元にしましたために変つて参りました点が一点。それから経済の推移につきまして年度当初に見込んでおりましたものと多少その後の状況によりまして変つて来た点がある。この二つの点から今回の推計が多少変つて来ておるわけであります。第一に勤労所得関係でありますが、これは一兆九千百二十億、こういう数字が出ておりますが、これは大体におきまして先ほど申上げましたように、二十四年度数字基礎にして雇用量増加状況、或いは賃金水準上昇というものを本年度末までの見通しを立てまして、それによりまして算出いたしたものであります。それから個人業主所得はこれは二兆三百十億、こういう数字が出ておりますが、これも大体におきまして同様のやり方でありますが、二十四年度基礎にいたしましてその後物価、これが大部分変つて来ております。それから生産状況変つて来ておりますが、この物価生産とを掛合せたもの、これによりまして基本額増加見込みまして、それの今年度における收益率が前年度に対してどの程度になるかというような、こういうような要素も取入れまして、なお個人につきましては個人から会社になるというようなものもありますので、そういうような要素も加味いたしまして算出したわけであります。そのほか三に個人賃貸所得というものが出ておりますが、これも大体いろいろ小作地の面積でありますとか、銀行支払利子とかいうものを基礎にして推算いたしたわけであります。それから四の法人所得でありますが、これは大体におきまして今まで申上げましたのとは多少違つた方法をとりまして、法人税の課税の実績等からいろいろその後の物価收益率、或いは会社増加、そういつたものを調整いたしまして本年度法人所得推計いたしまして出したわけであります。大体、官業所得はこれは予算によりまして大体の推計を出しております。以上を合計いたしまして四兆五千七十億、前年度比較しまして二割七分九厘の増加、前々年度比較いたしますれば四割七分七厘の増加、こういう結果が出ておるわけであります。この前々回国会の際に、提出いたしました四兆三千九百七十億、こういう国民所得推計をいたしましてその後のいろいろの資料関係によりまして多少増加しておる数字なつておるわけであります。国民所得のほうは大体そういうふうな数字でございますが、  その次に昭和二十六年度総合資金需給見込、そのほうにつきまして御説明申上げたいと思います。この総合資金需給見込はこれもいつも国会にも推計をいたしまして提出いたしておるわけでありますが、最近の今日までの実績、今後の見込等を参酌いたしまして新らしく今回立て直したわけであります。この表は大体立て方が政府資金出入り、どれだけ引上超過になるか、払出しの超過になるか。金融機関資金出入り、どれだけ入れて、どれだけ払出しになるか。それに対しまして日本銀行の発行します通貨増減、この尻がどうなつておるかというような点を対象といたしまして、全体の資金出入り勘定が合致するように合せて見た表であります。第一に政府資金の対民間收支でありますが、これは本年度は二百六十二億の引上超過というような数字なつております。これは大蔵省のほうでいろいろと調査いたしまして推計いたしました数字でありますが、多少内訳を申上げますと、一般会計におきましては千三百九十九億の引上超過ということになつておるわけであります。その他の食糧管理特別会計でありますとか、外国為替でありますとか、見返資金関係、或いは資金運用部資金関係、そういう関係を全部合計いたしまして、政府全体として本年度は二百六十二億の引上超過となる。こういう数字に相成つておるわけであります。なおこの関係で多少今後変つて来まするところの点があるわけでありますが、それはちよつと備考に書いておきましたが、第一に日本銀行ユーザンス制度が十一月一日から改正されることに予定されておりまして、これが実施をされますと、現在外国為替貸付甲貸付と、乙貸付と二段階に分けておりまして、乙貸付段階というのは書類の到着後の国内金融の形になつ貸付を言うわけでありますが、その分が今回は外国為替貸付という特別の貸付の形を変えまして、日本銀行輸入貿易手形に対する貸付、或いは割引、こういう形に変るわけでありますので、そういう意味からいたしまして、ユーザンス制度の改正が十一月一日から実施されますと、今まで外国為替関係貸付として政府支払としてこの表で表示いたしましたものが、これからは日本銀行貸出、更に市中銀行貸出としてこの表に載るわけであります。そういうような点で下に書いてありますように大体年度末までに一千三百六十八億ぐらいが政府勘定から民間のほうに勘定が変る。こういうことに相成つておるわけであります。なお同じく食糧管理特別会計関係政府收支も、一応当初の予算見込まれました三千万石を買上げする、供出するというようなことで見込んでございまするので、その方面も多少変つて来る可能性もあるわけであります。ただ供出石数変つた額だけ政府支払額変つて来る。こういうわけではないのありまして、支払額変つて来ますれば、それが又農業協同組合預金その他の預金なつて還流して参りまする割合等にも相当変化が来ると考えられますので、その辺いろいろとそういう條件見通しを織込んで数字を檢討して見なければならないと思いますが、一応そういうような変化が生ずる可能性があるわけであります。  政府資金の対民間收支の点はその程度にいたしまして、その次に金融機関資金需給の点でありますが、ここに金融機関としてありますのは、勿論市中銀行その他金融機関を含んでおるわけでありますが、先ほど申上げましたように、資金運用部、この関係政府資金收支の中に含んでおりまするので、これは市中銀行のほかに輸出銀行とか、開発銀行復興金融金庫とか、国民金融公庫、こういうものを含んだ收支数字なつておるわけであります。第一に一般預金の純増でありますが、これは一般預金と申しますのは、大体政府預金関係、或いは地方債関係でありまする地方公共団体預金とか、或いは金融機関相互間の預金といつたようなものを調整いたしまして、なお金融機関の手持ちの現金の増減関係も調整いたしまして、そういつたものの増減を充たすわけであります。大体本年度上半期はずつと昨年度よりは預金増加は好調であつたわけでありますが、大体昨年の上半期と下半期の預金増加趨勢等とも考え合わせまして、今後の増加見込みまして、この程度増加になるであろうと見込んだわけであります。昨年に比すれば成績はよろしいわけでありまするが、下に出ておりますような貸出増加相当大きくなつておりますので、なかなかそれを賄うほどには増加しないというような数字見込まれておるわけであります。その次に政府投融資でありますが、これは金融機関に対する政府投融資でありまするから、開発銀行輸出銀行国民金融公庫等が含まれておるわけでありますが、なおそのほかに農林漁業金融特別会計、これに対する融資もやはり農林中央金庫、そのほかの金融機関を通じて融資されます関係上、この中に含めて計算いたしてあります。年度初めのこの数字は二百五十億ということになつておりましたわけでありますが、補正予算関係でいろいろと増額されましたものを含めまして、今回四百六十億という数字に直したわけであります。その次に政府預金引上げ百五十億でありますが、これは政府預託金の百五十億は本年度内に引上げをいたす予定になつておりますので、それが載つております。それから金融債でありますが、これは金融債発行額のうち、金融機関相互間で引受けるものは除外いたしまして、資金運用部が引受ける分が二百九十五億、これは前年度から繰越しました引受分の二十億、本年度計画といたしておりまする二百七十五億の合計額であります。それから一般個人金融債を引受けるもの、この合計額を今までの情勢とこれからの計画によりまして計上いたしたわけであります。そのほか、その他資金と申しますのは、大体銀行利益金でありますとか、銀行の増資とか、或いは公金預金等増減であります。いろいろそういつたものの予想をここに全部一括して入れてあるわけであります。そこまで合計いたしまして、六千二百十億という数字になるわけでありますが、これだけでは銀行貸出その他の需要を賄うに足りないので、日本銀行からの信用供與増加八百九十九億というものをここに予定しておるわけであります。日本銀行からの信用供與増加と言いますと、一番大きいのは勿論日本銀行貸出増加でありますが、その他日本銀行国債買オペレーシヨンによる信用増加、或いは金融機関の、これは僅かでありますが、銀行日本銀行に対する預金要素も全部一括してここに入れてあるわけであります。合計いたしまして、金融機関資金需給の入るほうの側は七千百九億という金額であります。これに対しまして金融機関資金の払いのほうでありますが、貸出が六千六百七十六億、これは先ほど申しましたように市中銀行貸出、或いは農林漁業金融特別会計に属する貸出開発銀行輸出銀行、その他のものを含んでおるわけであります。それから株式及び社債、これはやはり株式及び社債の総体の発行額ではないのでありまして、金融機関が引受ける分だけをここに掲げてあるわけであります。大体今日までの社債発行状況、今後の見込等を見まして、この程度計上いたしました。年度当初の見込みました金額よりも社債発行状況が大分悪くなつておりますので、金額を減らしたわけであります。合計いたしまして七千百九億、收入支出が合致するようにいたしてあります。その他の資金尻、これはまあ以上の中に入れなかつた特殊の金融機関等收支尻でありますが、そういうものを全体加除いたしましたので、大体におきまして日本銀行信用供與増加が八百九十九億とありましたが、それに対しまして政府引上超過が二百六十二億、結局通貨本年度間に六百八十七億増加する。年度末の日銀券発行高は四千六百五十億、三月末の発行高でありますが、その程度になるであろう、こういうような見込を立てましたわけであります。大体日銀券発行高数字は、最近は四千百億台を上下しておりまして、九月末は約四千二百億、こういう状態でありますが、この数字は大体毎年九月末における通貨発行高、それに対しまして十二月末はどの程度増加しておるか、更にそれが三月末にはどんな程度まで收縮しておるか。こういうような趨勢を見まして、今年度見込を大体立てて見たわけでありますが、二十四年度について一応申上げますと、二十四年度は九月末に比して十二月末は五百七十一億日銀券増加しておりまして、その十二月末に比して三月末は四百四十億だけ收縮いたしておるようなわけであります。二十五年度状況を申上げますと、九月末に比して十二月末は九百三十三億、大分増加は甚だしくなつておるのであります。それから十二月末に対して三月末には二百五十七億の收縮收縮率は二十四年度よりも少し悪いというような状態なつております。本年度見通しについては、いろいろ考え方があるわけでありますが、大体今回見込を立てました際におきましては、十二月末の状況は大体五千百億程度になるのであります。即ち九月末に対して九百三十七億の増加、それに対しまして三月末はここにありまするように、四千六百五十億、四百五十億程度收縮するであろう。昨年度の、昨年度と申しますか、二十五年度の十二—三月までの収縮率はやや異例で悪かつたと言いますか、やや収縮状況が常態でなかつたように見込まれまするが、一昨年の状況も参酌いたしまして、この程度見込みました。ここにあるような数字で適当であろうと見込んだわけであります。なお年度末の通貨数字を算定する際には、国民総生産数字国民総生産に対して通貨発行高がどの程度割合なつておるかというような檢討をいたしまして、大体そういうもので推計を出しておつたのでありますが、そういうような見方をいたしまして算定いたしますると、これは基準にとる年度によりましていろいろ数字が違つて来るわけでありますが、大体におきまして、まあこれに近い数字にやはり落着いて来るというようなことになつております。大体国民所得及び総合所得見通しにつきまして、現在までの資料、或いは将来の見通しを参酌いたしましてとりましたわけでありまして、一応の御説明を申上げた次第であります。
  4. 平岡市三

    理事平岡市三君) 御質問はありませんか。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今説明して頂きました分配国民所得についてですが、二十四年度国民所得実績ですが、実績は大体わかつているはずですが、それはどうなつていましようか。二十四年度国民所得実績……。
  6. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 二十四年度国民所得実績は三兆五百五億と、資料に差上げてあるはずでございますが、その数字が最近大体まとめ上げました実績数字でございます。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この数字は二十四年度実績で、この前の補正したやつですね、補正というのは変ですが、訂正してあるのを書かれているわけですね。
  8. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) さようでございます。過去の二十四年度実績前回御報告いたしましたが、変つて来ておるわけでありますが、それはその後いろいろ統計数字がまとまつて参りましたので、そういう新らしい数字を取入れて算定をし直しておりますので、そういうようなことからいろいろ変つておるわけであります。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、二十六年度でありますが、この二十六年度の当初予算を編成するときの推計分配国民所得は約三兆八千億というわけですね、一応その三兆八千億は……、二十四年度実績を元にして改訂した数字幾らになるわけですか。
  10. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 御質問の趣旨がちよつとわからないのでございますけれども、三兆八千億というものをそのままで、最近の指数等を用いて概算した数字というようなものは別に作つておらないわけであります。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最初ですね、只今も御答弁がありましたけれども、最初二十四年、五年、六年度は一応安本で前に推計を出されたのですが、この二十四年度の三兆五百五億というのは二十四年度実績を元にしてその後変えられたわけですが、二十五年度、六年度もこれまでの推計変つて来ているはずです。そこで四兆五千七十億というふうに二十六年度なつておりますが、そうしますと、当初予算を編成するときに一応推計した三兆八千億に対してこれだけ殖えたと、四兆五千七十億に殖えたというふうに見てよろしいのかどうかという問題が起るわけです。最初の三兆八千億が、昭和二十四年度実績がわかりましたので、それを元にして三兆八千億を考える、これは又改訂されなければならないはずでして、もつと多かるべきであつたの最初一応当初予算を編成するときに、三兆八千億ということになつているのです。坂田さんは当時ほかの所管におられたかと思いますけれども、そうなつているのです。それでお聞きしたいことは、実はこういう問題なんです。その四兆五千七十億というのはどうも少し少いのではないかというような疑問なんです。それでお尋ねしたいのです。
  12. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) ちよつとお答えが悪かつたので改めて申上げますが、当初予算を提出いたしましたときに、三兆八千四十億というふうに申上げました際の、二十四年度国民所得実績は二兆八千七百四十七億、こういう数字なつておつたのであります。今回はその二兆八千七百四十七億という数字が三兆五百五億というふうに、いろいろ新らしい数字を用いまして、改めて算定しました結果、増加したわけであります。その三兆五百五億からその後における物価上昇生産状況等で、いろいろの新らしい数字、これも又予算を出しました当時とはその後の実績によりまして指数を変えて来ておりますが、この変えた指数で算定いたしました結果、只今申上げました四兆五千七十億とこういう数字が出て参つたわけであります。元の変つた要素と、それからその後それから推計する指数両方とも変つておるわけであります。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これで二十六年度の三兆八千億は、その二十四年度実績を元にして改訂した場合は幾らになるのですか。
  14. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) ちよつと聞きとれなかつたのですが。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いわゆる三兆八千億をその後二十四年度実績を元にして変えられているわけですね、それは幾らになるのですか。それとこの四兆五千億を比較すれば当初予算を編成したときと、最近の国民所得増加幾らかということがわかつて来るわけです。それを知りたいわけです。
  16. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) この点につきましては、先ほど申上げましたように、そういうふうに要素を取分けて推計するといつたやり方を実は使つておらないのでありまして、ただ一応御参考までに申上げますと、二十四年度と二十六年度比較でありますが、当初予算を作りましたときの考え方では、二十四年度国民所得に対しまして、二十六年度国民所得は三割二分三厘の増加というような数字なつております。今回は元が変つた、その元を変えた数字に対して新らしく推計せられた二十六年度国民所得は、四割七分七厘の増加と、こういうふうな数字なつておるので、元が変つたので増加した率も殖えておる。御参考に二十五年度比較を申上げますと、二十五年度に対しまして、前の推計では一割四分八厘の増加を見ておりましたが、今回の推計は二割七分九厘の増加、こういうふうになつております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはもうそちらに数字があると思いますが、大体三兆八千億を修正されて四兆一千億というふうになつて、そういう数字が出て来たと思うのです。それはそちらのお手許にあるはずだと思うのですが、そういう数字にならないのですか、二十四年度実績を基にして計算し直したときに、あれが幾らかということです。お聞きしておるわけです。
  18. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) その点につきましては、先ほどから申上げております通り、基本の二十四年度所得変つた関係と、その後物価上昇生産状況等で、その他の数字変つて来ました、見通し変つて来ました関係上、両方同時に考慮に入れて新らしい数字を作りましたわけです。片つ方だけの要素を取つて調和したというような数字は実は使つておらないのであります。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは実はあすこにお見えになつておるからお聞きしたいのですが、私この間必要があつて聞きに参つたわけですね、そのときに大体三兆八千億を元にしたときに、数字は二十四年度実績変つたからこういうふうに変つたというふうに、こういうふうに説明して頂いたんです。それを元にしまして三兆八千億というのは確か四兆一千億、そういうふうな数字なつていたと思うのです。それと四兆五千七十億に比較すると、大体四千億足らずの、四千億程度増加なつておるのです。そこを私はその程度国民所得増加の見積りでは、寡少ではないか、当初予算編成当時から最近までの国民所得増加、これは物価騰貴率を見ても大体常識で見て、私はどうも少く見積つておるのではないかと思うのです。これは自然増收ともいろいろ関係が出て来ますのでお聞きしておるのですけれども、その点はどうなんでしようか。
  20. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今お話の四兆一千億というような数字はどうも私記憶はないわけですが、実はこの前の国会に当初予算を提出いたしたときでありません、この前の前の国会ですが、こちらから国民所得のことを御説明申上げましたときも四兆三千九百七十億という数字を言いましたが、その後四兆一千億、それを下廻るような数字を作成したような記憶はないわけであります。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはおかしいですね。それではもうあとでももよろしいです。ここで議論をするわけではないのですから、資料を出して頂きたいのですが……、この前に頂いた二十四、五、六年の国民所得推計表があるのです。二十四年度実績を基にしたらそれがどういうふうになるかという計数を出してもらえばよろしいのです。そうしますとそれと比較のあれができるから、それを出して頂けますか。
  22. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今お話の点はよくやり方を承わつてもう一度やつてみたいと思います。ただ併し当初予算のときにやりましたと同じ方法で行きますと、先ほど申上げましたように二十四年度に対しまして二十六年度は三割二分の増加、こういうふうな数字なつておるわけですから、これと同じような指数を用いて二十四年度実績引伸しをいたしますと、現在の推定は四割七分の増加という推定なつておりますから、それより下廻る数字が出て来る、お話のこの四兆五千億というような数字は少な過ぎるのじやないかと思います。お話ちよつとうまく一致しないことになるかと思います。併しなお推定やり方、どういう方法で計算をいたしたものを出したらよろしうございますか。ちよつとはつきりその点をよく伺いまして、こちらでもう一度やつてみたいと思います。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと誤解されておるようですが、三兆八千億というのを当初予算当時の推定がその後二十四年度実績がわかつたから、それは計算し直してみると四兆一千四百億になつて、それかれ又物価騰貴或いは又朝鮮動乱後における生産増加による所得増加等々を入れれば、四兆五千億より以上もつと多くなるのではないかという、こういう意味なんです。下廻る数字というのは四兆一千四百億というふうに、三兆一千億を二十四年度実績でやり直した場合の数字がその程度じやないかと、こういう意味です。ですからもつと四兆五千億より多かるべきではないか、そういう質問なんですが、それはあとで資料を出して頂ければよろしいのですが……。
  24. 平岡市三

    理事平岡市三君) ほかに御質問ございませんか。
  25. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の問題に関連するのですが、二十四年度実績が三兆五百五億と出て、それを基礎にして四兆五千億の数字が出た。従つてその基礎、基準になるものの実数が違つたことが一つと、もう一つは更に物価なり或いは生産見込は当初予算を作つたときと相当つておる。そつちの変化からも四兆五千という増加が出て来たのだというお話だつたと思うのですが、そこでお聞きしたいのは、二十六年度当初予算をお出しになるときの三兆八千億という数字を出された場合の産業生産指数、鉱工業生産指数なり、農林水産の生産指数或いは物価上昇指数、それらはおのおのどういう数字でお出しになつておつたのか、それらの予測が当初の予算を作つた場合とどういうふうに狂つて来たか、それを一つ一つについてもう少し御説明を願いたいと思います。
  26. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今お尋ねの点は大体国民所得関係につきましてはいろいろな指数を使つておりますので何でございますが、一応申上げますと、例えば鉱工業生産指数、これにつきましては二十四年度生産指数は八〇、それに対して当初予算提案のときには二十六年度は一一四・一、こういう指数見込んでおつたわけであります。これが今回の推定、二十六年度は一三六という数字が使つてあるわけであります。それからその他、例えば物価関係、CPIの指数を申しますと、二十六年度当初予算提案のときにおいては一三一・一というような数字が使つてあつたわけでありますが、今回の推定においては一五八・五、こういうような見方をしておるわけであります。いろいろそういつた米価等においても勿論のことでありますが、六千百六円という数字を使つてありましたが、今回は七千三十円、こういうような仕組になつております。
  27. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると三兆八千億の数字が出た場合、それに関連して税收の問題をこの間論議しましたときに……、というのはベース・アツプその他でもう少し金を出すべきだということを我々が言つたときに、財源がないから出せないのだというような御説明つたのですが、併し我々は租税收入その他の見積りが少いじやないかということを言う場合に、その際に物価騰貴等をばもう少し見込まなければならないのにかかわらず、そういうようなものを何ら見込んでいないじやないかということをやかましく言つたのですが、政府は、そういうものは今見通し得る限りはちやんと見込んであるので、そんなに大きな狂いは来ないというようなことで押し切られたと思うのですが、今の御説明によると、例えば生産指数ですら一一四も見られたものが、半年か一年もたたないうちに、それが一三六になり、殊に物価のごときは一三一と見られたものが、一五八というような大きな狂いが出ておるという結果になつていると思うのですが、これははつきりそういう意味では政府の当時の見通しは誤つておつたということを御承認になるかどうか。この点一つ承わりたい。
  28. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今予算におきまする税收見積りと、国民所得との関係について御質問がありましたが、今回補正予算におきまして租税について相当自然増收を見積つておりますが、その基礎になりました数字と、今回先ほど御説明申上げました国民所得数字は、その間それぞれ国民所得の算定の方法、或いは税の收入見積の方法は、必ずしも同一の方法でやつて見たわけでありませんが、併しその間、矛盾のないように調整いたしてあるわけでありますが、一々につきまして申上げるわけに参りませんが、例えばここに見てありまする勤労所得関係と給與所得増加数字、税收関係で見積りました源泉所得関係数字、その間の調整は一応とつてあるのであります。
  29. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 両者にはおのおの技術的な相違点、その他があることと思いますが、そういう技術的な相違その他を別にして、租税の自然増收にしても、成いは国民所得増加にしても、とにかく非常にその当時我々はもつと増加すべきだと言つたのにかかわらず、そういう非常に大きな見通しはやる必要はないのだ、我々のこの見方で、物価の見方も、生産の見方も、殆んどそう大きな狂いはないのだということが、政府の御主張だつたと思うのですが、実績から見ると、さつきお話のように、明らかに非常に大きく食い違つておるので、当時の見通しが誤まつていたというふうにお考えになるかどうかということを、先ず事務当局がこの数字そのものについてそういうことをお認めにならなけばならないのじやないかと思うので、その点を一つはつきりしておきたいと思います。そこをお尋ねしているわけです。
  30. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今の御指摘の点でありますが、先ほど申上げましたように、当初予算編成の当時におきましては、昭和二十六年度の鉱工業生産指数も一一四・一くらいであろうというように推定しておつたようなわけであります。当時におきましては、朝鮮事変の影響その他によりまする生産増加というものにつきましても、十分はつきり見通しが付かなかつたという関係、或いはこの二十六年度初めにおきましては、電力の関係その他非常に好調でありまして、生産指数が一四〇を突破するという辺まで伸びたわけでありますが、そういつたような事態につきまして、十分まだはつきり見通せなかつた、こういう事態がありまして、主としてそういうような関係から大きく違つて来ておるわけであります。当時の事情といたしましては、その辺のところまでは確定ができなかつた。こういうことでありまして、生産増加というような見通しにつきましては、なかなかそこまで的確に見て行くということも困難であろうと思います。そういうような事情でありまして、誤つておつたというようなことではないと思います。物価変化ということは或る程度織込まれて来ることは止むを得ないのじやないかと思います。
  31. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点に関しましてはどうももう少し、例えばあの当時、朝鮮事変の影響その他を考慮に入れない予測じやないかというようなことをやかましく言つた場合に、いや、そういうことを十分に考慮に入れた、従つて年末に物価その他の騰勢を考えて、考慮に入れた上でいろいろな数字を積算しておるので、そんなに大きな狂いはないのだということを少くとも当時はいろいろと公言しておられたようでありますが、この問題は後に別の機会に更に御質問をしたいと思いますので、この程度にとめておきます。  そこで私どもが是非知りたいのは、当初の見積りと現在の見積りとがどういうところ、何を基礎にして、どこらがどう狂つて、こういうような大きな違いになつたかということを、もつと個別的に、仔細に検討したいと思いますので、その検討のできるような資料、例えばさつきの鉱工業生産指数を一一四に見たとか、或いはCPIを一三一に見たとかというような、いろいろな積算の基準になる指数、或いはその他実数にいろいろな相違があると思いますので、それを当初予算のときの数字と今度の数字を対比したものを一つ詳しくお示しを願う。これは資料で是非配付して頂きたい、それをお願いしておきます。  それからもう一つお尋ねしたいのは、この分配国民所得推計の表によりますと、法人所得は二十四年度の千六百四十億から四千四百六十億、指数にして二七二という非常に大きな増加をいたしておるのでありますが、同じ期間に勤労所得は一五〇、個人業主所得は一三六という程度増加にとどまつておる。個人の賃貸利子所得は一八四に殖えておる。それらの点から見ますと、法人所得或いは個人の賃貸利子所得というようなものが非常に大きく殖えていて、勤労所得その他が、それに比較すればそれほど殖えていないという実績がはつきり出ておりますが、これは法人所得その他に対する政府の過重な、何と言いますか保護助成の結果であるというふうに考えられるのじやないかと思うのでありますが、その辺の事情を政府のほうではどういうふうに判断しておられるか、御説明願いたい。
  32. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今、各所得別の前年度に対する増加率が違つておる点につきましての御指摘であると思いますが、これは先ほど来御説明申上げましたように、一昨年以来の勤労所得におきましては雇用量賃金水準、こういうものの増加した状況から推定して、そういう結果が出ておるということでありまして、結局その間にどういうわけでそういうような数字なつておるかという事情を分析して見ますると、それぞれ理由があるわけでありますが、この只今御指摘がありましたような賃貸利子所得関係増加しておる、増加が大きい。これは主として基本については余り差が出ていないのでありまして、例えば土地の面積、家屋の面積であるとか、こういうようなものは余り変動を見ていないのでありまして、主として公定価格の改訂とか、こういうような関係で、いわば機械的に殖えて来ておる、こういうような要素が特に出て来ておるわけであります。法人所得につきましても増加率が非常に大きいわけでありますが、これは先ほど来申上げておりまする生産指数増加或いは物価の値上り、こういつた面がやはり法人企業の方面に非常に大きく影響が現われておる。こういうような結果から、全体として見ればそういうことであるというふうに考える次第であります。
  33. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 生産が非常に殖えたり、価格が騰貴したとかというようなことが基本なつているのだと思うのですが、その場合の分配の政策よろしきを得るならば、必ず勤労所得個人業主所得法人所得が一応のバランスをとりながら増加して行くことが適当なものだと思うにかかわらず、異常なバランスを失するような結果の増加が、数字にはつきりと現われているというふうに考えられるので、そういう点もどういうふうにお考えになるかということを聞いているわけなんですが。
  34. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今お話の点でありますが、勤労所得或いは個人業主所得法人所得、こういうふうに分類しました各分類が、必ずしもバランスをとつて伸びて行かなければ適当でない、こういうふうにも考えられないと思うのでありまして、殊にこの所得の種類別の金額の構成というようなものは、御承知のように戰前、戰時中からしまして、戰後は又非常に異なつた体制になつて来ておるわけであります。法人所得等はこの数年を比較しますれば非常に伸びて来ておるということは顯著に見られるわけでありますが、戰前等に比較しますると、法人所得の全体の所得に対する割合は非常に落ちておる。こういうようなことが見られるわけでありまして、それだから法人所得を戰前の割合に持つて行くのが適当であるというのではありませんが、一概に現在の所得の種類別の配分が適当であるから、これを同じ比率で伸して行くべきだ。こういうこともちよつと言いにくいかというふうに考えておるわけであります。
  35. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いや、勿論今お示しのように勤労所得法人所得との構成比率から見て、現在のような比率はいいとは思いませんし、特に法人所得所得構成比率はもつと上るべきであるということは、お話の通りだと思うのですが、併し現実の出発のときには非常にその比が少かつたので、それを上げなければならないとしても、相当計画的に逐次上げて行くべき問題であつて、問題は勤労所得が最低生活水準すら不可能な状態に置れているときに、それを顧みず、こういうふうな急激な法人所得増加を図ることが政策上よろしきを得ているかどうか、むしろ問題は勤労所得の部面における最低生活は保障するというような配慮をした上で、なお法人所得の構成比が低いならばそれを上げるような、相当長期な配慮の上に計画的になされなければならないにかかわらず、そういうことが何ら考えられないで、勤労所得のほうは最低生活水準すら確保しないで、法人所得だけが徒らに伸びて、法人所得税あたりは幾ら抑えてもなおどんどん自然増收が上つて来るというような、この状態を放置して置いていいのかどうかという点をお尋ねしているわけなんですが。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはなかなか正確には出ないと思うのですけれども、まあ生産国民所得がはつきりわからない、正確にはわからないと思うのですけれども、大体、いわゆる名目的な国民所得と、それから実質的な国民所得増加割合、これはまあ大まかでいいのですがわかりませんですか。自然増收自然増收と言つておりますけれども、自然増收関係しておるのです。今度の御承知の千五百億に上る自然増收国民所得増加から来ておることは明らかですけれど、その国民所得増加の中には、この生産が殖えたために、実質的に国民所得が殖えた分が勿論あるわけです。それ以外に物価が上つて、それで名目的に殖えて来ている分があるはずなんです。それを大体国民所得の面から見たいわけなんです。生産国民所得がはつきり出て来ればよいでしようが、何か便法で大まかでいいのです。大局観でいいのですから何かできたら、その結果を知らせてもらいたいのです。大体でよろしいから、そういう調査も必要だと思うのです。若しそれができなければもつと人員でも殖して、予算でもたくさんとつて、そうしてそういう調査もできるようにすべきだと思うのです。御承知のようにイギリスなんかではこの所得の分布については徹底的なことをやつているのですから、税金をかけた後に、国民所得がどうなるかということですね。そういうことまでも本当は国民所得調査としてはやるべきなんです。税制改正前の国民所得と、税制改正後の国民所得はどうなるか。これは社会政策の上から言つたらば重大な問題なわけなんですから、手がないとは言えませんから、若しかなければ人員を殖して、予算を十分、この予算にはやぶさかじやないのですから、そういうものもできなければいけないと思うのです。それでなければ本当の自然増收の檢討なんかもできないわけですから、大ざつぱでいいですから一つテストみたいなことになるのですが、一つその作業をやつて見てくれませんか。
  37. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今のお尋ねの点は、国民所得は言うまでもありませんが、これは貨幣計算もやつておりますので、これを実質的に見るのにはやはり物価関係、これを取りのけて見なければならない、物価指数でこれを見なければならないわけなんですが、国民所得は御承知のように非常にいろんな所得を総合した観念ですから、それぞれそのときの物価の騰落を写象するための指数が違つて来る。いろいろな指数をつかまなければならないということで複雑な作業になるわけです。なかなか実際問題としてむずかしいですが、お話のような、結局国民の消費水準がどういうふうに具体的に上つているのか、こういうような点に帰着するのじやないかと思いますが、そういうような調査になれば簡單なものが一応はあるのですが、そういうような意味の調査ではなくて、国民の所得のうちのいろいろ投資されるもの、税として吸收されるもの、いろいろありますが、消費されるものについて、これを物価要素を写象した推移を見て行くというような檢討もお話のように必要なことであろうと考えます。今の御趣旨によりまして、やり方なり資料の点いろいろの一応檢討をいたしてみまして、適当なる結果と言いますか、参考となるような数字が得られましたら又申上げるようにいたしたいと思います。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは非常に細かいのは今後十分研究されて結構なんですけれども、至急ラフなもので結構なんですから、我々この国会で税を檢討する場合に、自然増收の問題を檢討する場合に是非必要なんですから……。そうしますと本当に実質的に殖えてない国民所得から、そうした自然増收を持つて、これをほかに使つても、意味はないということはないのですけれども、その影響というものはいろいろに違つて来ますし、そういう名目的な国民所得でその財政を賄うというようなイージーな財政の編成の仕方について我々非常に異論があるものです。非常に重要な資料なのですからラフでいいですから早く結果をお知らせ願いたいと思います。  それからもう一つ簡單ですが、先ほどこれは私の推定が間違つているかも知れませんが、佐多委員から法人所得が非常に多くなつている。こういう御指摘があつたのですが、私はまだこの推定は足りないのではないかと思う。こんなどころではないのじやないか。四千四百六十億と言いますけれども、私はこれどころじやないと思います。それから国民所得全体の当初予算当時からの殖え高計算が過小に過ぎると思うのです。それで故意にこれを曲解すればですよ、法人自然増收というものを、法人の税金を成るべく少く取るために、こういうように少く推定しているのじやないかという、これは曲解かも知れませんが私はそういうようなあれが出て来るのじやないか。どうもこれどころではないので、もつと私は法人所得増加というものが非常に多いのじやないか。特にこの税金を逃れるために個人法人組織になつたものが相当あるわけです。非常に殖えているはずなのです。従つてそういうものも考慮すれば、法人所得というものは私はこれより相当まだ大きいと思うのです。法人自然増收というものはあれどころではなく、もつとこれは、八百億どころではない、もつとあるべきはずだと思うのですが、この点についても御檢討願いたいのです。我々は余り素人考えでそれは間違つておるのか、安本で御調査になつたのが正しいのか、その点一つ御調査なすつて、何も私自分の説を固執するわけではありません。正確なところを知りたいのですから、その点お調べ願いたいと思います。
  39. 平岡市三

    理事平岡市三君) ほかに御質問ありませんか。
  40. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 この表によりますると、昭和二十四年度から、五年度、六年度に進むに従いまして、国民各職業に従事しておる人の所得は全部相当に殖えております。それだのにただひとり農村で、日雇だろうと思うのですが、その人たちの收益だけが非常に少くなつております。同じように農村でも、この個人業主の、農林水産業者の收入は相当殖えておりますのに、雇われている勤労者の所得だけが非常に減つております。この頃木材も非常に値上りしておりますのに、一体やはりおつしやるように、雇用量が非常に多い、雇われる人が非常に多うございますので、需要供給の関係で日雇賃金が値下げになつておりますためなんだろうと思うのですが、都会労働者は労働基準法というものがあつて保護されておりますけれども、農村の労働者はこの恩惠がなかつたのじやないかしらん……、それとも国民所得を何によつて調査なすつておいでになるのかしら。勿論こんなものは申告通り信用なさつたわけでもないでしようけれども、何を基準になさつてお調べになつていらつしやいますか。
  41. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今勤労所得のうちの農林業の関係所得が前年度よりも減少しておるように見られる、この点についての御質問であると思いますが、この勤労所得の集計方法は、最初に申上げましたように、雇用量、どれだけの人数が一年を通じて雇われているかという関係と国民の水準、これを推定いたしまして、まあ掛け合せてできたような推定の水準になつているわけでありますが、農林業につきましては、労働力調査ということを労働省のほうで毎月調査をいたしておりますが、そういうようなほうの数字を見てみますと、昨年度よりも雇用量が少し減少いたしておるというような数字なつております。賃金の関係は、むしろ昨年よりも増加しておるように数字では見ておるわけであります。雇用量の減少が甚だ著しかつたために、総体の数字は減少して来たという結果になつているわけであります。
  42. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 もう一つ営業所得相当つておりますけれども、何割下げたのですか。
  43. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) この官業所得というものの中に、大体国鉄でありますとか、印刷庁でありまするとか、專売公社の專売益金の関係は除外してあるわけでありますが、專売益金以外の事業所得関係であるとかというようなものを集計して、予算によりまして大体見込を立てて載せてあるわけであります。大体官業につきましては現在非常に利益を出している、利益を得る目的で経営しているというような会計は殆んどないわけでありまして、單純に予算によりましてその見通しを立てた結果、こういう数字なつたということでございます。
  44. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつとお尋ねしたいのですが、この個人業主所得というのは、個人の企業体といいますか、実業などの所得だろうと思うのですが、これは違つておつたらおつしやつて頂きたいのですが、基準はどういうことで、どういう所を調査したのでありますか。  それから先ほど木村委員からもお尋ねがありましたが、例えば農業などの場合においては、昭和二十四年度、五年度は肥料はマル公で取得されたことによる、それの配給による農業所得であつた。ところが本年度はマル公が解除されて、倍以上に肥料の購入価格が上つた、こういうものはこの所得のうちにはどういう工合に現わしているか、現わしておらんのか。これは一例でありますが、そのほかにもたくさんありますが、この点をちよつとお伺いしたい。
  45. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今のお尋ねでありますが、個人業主所得は、お尋ねのように個人が業主になつている個人の商工業者であるとか、いろいろな経営主体になつている農業者であるとか、こういつたものを全部含めているわけであります。農業関係につきましては、例えば米穀の関係について見ますると、米を公定価格で供出いたしたもの、それから一部には闇で売つたものがあると思います。それから自家用消費にしたもの、こういうようなものが所得基本に入つているようであります。供出したもの、自家用で消費したもの、或いは一部の闇、こういつたものの推計につきましては別途農家経済調等査を参考といたしまして、そういうものがどの程度の比率にあるものかということを調査いたしまして、そういうものを基礎に算定いたしております。そういうものは農家の収入を調べまして、それに対してやはり農家経済調書でどの程度の収益率があるものかということを算定いたしまして、それを掲げて、ここにある農家の所得というものを出してあるわけであります。
  46. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それは私のお尋ねを申上げたことに当つているようですけれども、それでもなさそうです。第一番の個人企業の所得は、どこを調査してどういうような点でこういうふうに殖えたのかということを聞いているので、例えば私が八百屋をしておつたとして、八百屋が昨年より本年度はこれほど増加したという根拠はどこをつかんで、どこを調査してそういうようなことを言うているのかということを、一例でいいですから具体的に承わりたい、こう思うのです。  それからもう一つは、農業所得は農業関係の調査資料基礎資料としているようですが、農業関係資料は各種各様に跨つていることは御案内の通りであります。どこを調査したのか知りませんが、これはマル公で売つたものの、例えば米麦、ところが闇でなんぼ売つたと申しますか、麦のごときは闇のほうが安い、マル公のほうが高い。米もマル公以外で、例えば十俵で販売する十俵販売の農家は闇を何割持つているのか、三十俵販売、つまり供出を含んでの販売農家は闇としてどのくらいの割合を持つているか、それから肥料が昭和二十四年、五年はマル公であつたが、二十六年の肥料はマル公が解除されて倍以上になつている。これは肥料ばかりではない。再生産資材でいろいろ上つている物がたくさんありますが、そういつたものは差引いているのかどうか、こういつた点をお尋ねしているのですが、一つ。
  47. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今のお尋ねの点でありますが、商工業につきましては、調査といたしましては大体経済安定本部のほうで商工業につきまして一定のサンプル調査をやつております。それに基きまして毎年の収益率の推移等を見ているわけでありますが、それに対しまして生産なり物価なり、そういうものの伸び方を取入れまして、二十六年度所得推定して出して来ているわけであります。農家の経済の調査につきましては、農林省でやつておりまする農家生計費調査というようなものがございますが、それが基礎なつております。それに対しましてその内容を分析して、いろいろ先ほどお話のありました米穀を販売している割合でありまするとか、或いは販売高に対する収益の割合といつたようなものを出して来ているわけであります。大体やり方といたしましては、なお農家全体を平均して出しているというやり方ではありませんので、北海道その他の地区別になお耕作反別の段階をつけまして、平均の所得を出して、それに農業センサスその他による農家の戸数を乗じて出しているというような状態で、大体を従来通りで算定しているわけであります。
  48. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 もう一つそれじやお尋ねいたしますが、零細商工業は一定サンプルの調査によると言つているのですが、二十五年度に対して約三割ですか、三割近く、三割も行つてないですが、三割近くも収入が増加しているといつたようなことについてはちよつと疑問が第一にあるのですが、一定のサンプル調査なるもののサンプルを一遍出して頂けませんでしようか。それから農林省で調査している農業関係の問題につきまして、基準とされたような点などもやはりこれもサンプルをお出し願いたいと思います。  それで更にお尋ねしたいことは、二十六年度の収入となつているのですが、二十六年度のは予想収入であるが、その後いろいろ電気が上る、ガスが上る、又米も上る、又今後は何も上る、こういつた状態で、そういつた値上げによるものはこの所得にはどういう工合に含んでいるのか、含まれないのであるか、嚴密に言えば二十六年度における一般生活というものはずつと継続されているし、見込を立てた以後において公定価格が変動されたようなものに対してはどういう考慮を払うべきであるか、こういつた点をお尋ねしたい。
  49. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今お話のいろいろの物価、料金等の変動の関係でありますが、これは大体最初に申上げましたように、今回の国民所得推定をいたしますにつきましては、今までの実績のほかに、これからの予想を入れまして、その結果例えばいろいろの料金の引上げ等ありまして、現在すでに予定されているものはこれも織込んで、例えばCPIの上る状況等をも推定して出してあるわけであります。今お話になりましたような事情は一応この数字には織込んであるという形になつております。
  50. 平岡市三

    理事平岡市三君) お諮りいたします。国民所得の問題、資金の問題等につきましてはまだ御質問があるかとも思いますが、物価庁次長が参つておりますから、物価の問題で一つ御説明を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  51. 岩間正男

    ○岩間正男君 その前にちよつと一つだけ聞いておきたいと思うのですが、ちよつとお聞きしたいのですが、二枚目の主要経済指標の賃金の項なんですけれども、この中で全産業の賃金が一万一千四百八十九円と、こういうことになつているわけですが、ここでお聞きしたいのは大体この官公吏ですね、この人数と、それから全産業の中で民間の比ですね、これは官公吏はどのくらいに見ておるわけですか、全産業では一千四百四十六万人と、こういうふうに見ておるようですが、官公吏はこれは全部でどれくらいですか。
  52. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今お尋ねの点でございますが、民間の一般賃金につきましては、現在までの状況を見て、これからの別々の賃金の推移を安定本部のほうで推計して出しましたわけですが、年末はいろいろ賞與その他の変動の多い月でありますので、前年の状況等を見て、今後の推移を大体推計いたしまして、その年間平均でこういう数字を一応出しましたわけであります。これに対しまして官庁のほうの給與でありますが、これは主計局のほうその他にもいろいろ見積りがあると思いますが、一応私どものほうといたしましては、只今までの給與ベース、それからこの十月以降千五百円、ベースが上りますが、そういうもの、それに年末の手当或いは超過勤務手当その他を合計いたしましたものとしまして、年間平均一万二百六十円という程度金額になるものと一応算定いたしましてここに織込んだ、こういうことであります。
  53. 岩間正男

    ○岩間正男君 私のお聞きいたしておるのは人数なんですけれども、この全産業の中には官公吏も入つておるわけですね、入つておりますか、入つていないのですか。これは入るわけでしよう。
  54. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) この全産業、つまり一万一千四百八十九円と書いてありますが、これを適用して算定した人員の中には官公庁は含まれていないわけであります。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 含まれていないのですか、そうすると下の賃金もそういうことになりますね。そうすると大体この全産業の、民間のそういう産業の賃金の大体これは推計かどうかまあよくわからないのですが、推計にしましても、一応これは人事院勧告を相当上廻つておるようですね。これに対して官公吏の場合は非常に人事院勧告よりも千二百円も開くと、こういうことになつておるのですが、この問題ははつきりこれがこの統計の上から認められるわけでございます。そうするとそういう開いても差支えないという理由、こういうものは一応政府のほうで檢討されておると思いますが、こういう点について、伺いたいと思うことが一つ。それからそういう明らかに千四百円も民間と違う、低い、こういうような点についてどういうふうに……これはその欠陷というものを補正するか、官公労働者の場合はそれを補正するか、こういう点についても一つの見通しがなければならないと思うのですが、こういう点についてはどういうふうに考えておられるか、ちよつと承わりたいと思います。
  56. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 先ほどお答えを申上げましたように、官公庁のうちで国有鉄道関係或いは電気通信関係こういつたようなものは全産業のほうに含まれております。その他の官公庁は先ほど申上げましたような数字なつております。それで民間の全産業の中で見ると、官公庁の賃金の平均額との差については内容を分析して見ればいろいろ理由もあると思いますが、ちよつと私どものほうの所管でないので、まあ大蔵省か人事院ですか、そちらのほうから申上げるようにしたほうが適当ではないかと思います。
  57. 岩間正男

    ○岩間正男君 一つだけ確かめて置きたいのは、国鉄、電通というようなものが民間に含まれておるとすれば、その部分を考えると、それを除いた平均額というものはもつと上るわけですね。民間給與というものは……、その点はそういうことになりますね。
  58. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) 只今お尋ねの国鉄だけを取りまして見た場合に官公庁のベースが上るかどうか、こういうことであろうと思いますが、只今ちよつとそこまで計算した資料を持合せておりませんので、後刻申上げます。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資料ちよつと要求したいのですが、二十六年度総合資金需給見込資料のことですね。第一の政府資金民間收支の内訳です。一般会計と特別会計と政府関係機関と、この三つの内訳の資料を出して頂きたい。それから二十五年度の内訳と、それから二十六年度についてはこの当初予算を編成するときの最初数字と、それから今度出された引揚超過二百六十二億ですか、これの内訳ですね、よろしうございますか、これを出して頂けますか。
  60. 坂田泰二

    説明員坂田泰二君) よろしうございます。
  61. 平岡市三

    理事平岡市三君) それではこれより物価問題につきまして物価庁当局よりお話を伺うことにいたします。
  62. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) 物価状況について概要を申上げます。  朝鮮動乱の勃発以来物価は全般的に上昇傾向を辿つて参りましたが、本年の三—四月以降、いわゆる景気の中だるみが現われて参りまして、物価はおおむね横這いの傾向を続けて参つたのであります。お配りいたしました表につきましては後刻御説明を申上げる点は別に申上げることにいたしまして、これらの傾向について大要申上げたいと思います。  かように物価の動きが緩慢になりました原因はいろいろ事情があろうと思いますが、その事情を考えて見ますると、第一に国際物価が全般的に頭打ちの傾向を示しまして、特にこれまで異常な騰貴を示しておりましたゴム、錫、綿花等の原材料物資についての急激な価格の下落が現われて参りましたこと、第二には我が国の輸出市場におきまして従来の高値に追随できませず、買疲れの傾向が現われて参りまして、その結果繊維、鉄鋼等の輸出価格が低落するに至りましたこと、第三には緊急輸入促進が効を奏して参りまして、原料輸入確保の見通しがつき、今日ゴム、皮革のごときはむしろ一時的には過剰在庫を抱えるような状態に相成り、綿糸布につきましては内需向けの供給増加の措置を講じたことが効を奏したと申しましようか、従来の思惑的相場を一応鎭靜せしむるに至つたこと等が理由であります。このような理由から一部の物資の市場価格は三、四月頃から反落に転じたのでございますが、この間におきましても値上り要因は依然として続いておりましたため、一部の物資の価格は引続き強調でありました。即ち昨年暮以来国際価格も上昇し、又海上運賃も大幅に騰貴いたしましたので、輸入原材料の価格が騰貴いたしましたことは、漸次我が国の鉄鋼、ソーダ、石油等の製品の原価高を招きました。これが更に高次製品の価格に波及して来ましたこと及び石炭、コークス、肥料、セメント等一部の物資につきましては、その需給関係を反映いたしまして価格が強調を続けて来たことが指摘いたされるのであります。  次の最近の、十月中旬とお考え頂いていいと思うのでありますが、最近の主要物資の価格を今年三月当時の価格と対比いたしまして眺めますれば、相当の数の主要物資について値下りいたしておるものがあるのであります。即ち繊維のうち綿糸が本年三月当時の価格と対比いたしまして六〇%に相成り、綿布が五九%に相成ります。尤もこれは三月当時の闇価格と対比いたしたのでありますが、人絹糸は六三%に相成り、ゴムは六五%、油脂が七九%、鋼材の棒鋼が七八%、非鉄金属のうち錫は六四%、銅が九二%、鉛八四%、亜鉛八四%という工合に相成つております。併しながら他方では物資によりましては三月以降値上りをいたしておるものがありまして、石炭では三月当時の価格に比べて一二四%、硫安が一一六%、セメントが一三二%、かような状態に相成つております。  以上のような情勢から最近の物価指標を眺めることといたしますると、卸売物価指数につきましても消費者物価指数につきましても、本年四—五月以降やや低落の傾向を辿りまして、そうして八月に至つて反騰の気配を示しております。即ち卸売物価指数で二十五年の四月乃至六月を一〇〇といたしますると、本年の四月には卸売物価指数の総平均が一五三・五でありましたものが、八月には一五二・九となり、九月には一五四・八と相成りまして、五、六、七と漸次下つて参りましたが、八月に至つてちよつと反騰し、九月に至りまして四月を僅かに凌いでいる状況に相成つております。そのうち生産財について見ますと、四月は一七七・五でございましたが、これも各月漸次下つて参りまして、八月に一七三・四となり、九月には一七六となり、四月に比べてまだ低位ではありまするが、これに近く相成つております。消費財について見ますると、四月は一二八でありましたものが八月には一三〇・九となり、九月には一三二・一と上つておるのであります。物価の全般的情勢は以上のようでありますが、この間主食及び塩の価格、電気料金を八月から改訂いたしましたし、更に御承知のように運賃、通信料金、ガス料金につきましてそれぞれ価格の改訂を行うことが必要になつて参りました。これらの価格改訂は経済の全般に対しましても国民生活に対しましても、その直接、間接に及ぼす影響は極めて広汎でありまするし、又その影響の程度も少なからんものがあると認められまするので、その取扱については努めて愼重な考慮を払つてつたのであります。  これらの価格や料金のうち主要なものにつきまして公定価格改訂の理由を申述べることにしてみまするが、これらはすでに御承知のところでありますので、極めて簡単に申しますならば、主食については本年一月消費者価格を改訂しました際に本年度のパリテイ指数を一九五と予定いたしておりましたが、そのパリテイ指数が急激に上昇しました結果、この消費者価格をそのまま据置くものといたしますれば食糧管理特別会計相当の赤字を生ずることに相成りますので、このような事態に対処いたしまして消費者価格の改訂については生産者側の事情をも十分考慮いたしまして、更に一般会計より食糧管理特別会計に対する繰入れを実施することによりまして主食の消費者価格が急激に高騰しないように努めたのであります。その結果御承知の通り主食の消費者価格は八月一日から平均一八・四六%の引上げに相成つております。次に電気料金の改訂についてはこれ又御承知のように再評価による償却費の増加を織込むと共に火力用炭についても相当量の増加見込み、且つ動乱後の物価騰貴に基きます物件費、人件費の増加を織込んだのでありまして、全国平均では三〇・一%の値上げと相成つております。国鉄運賃の改訂については別途審議されておるところでありますが、最近におきまする諸資材費の値上り、給與ベースの改訂等の理由によりまして、旅客運賃につきましては平均二五%、貨物運賃については三〇%の引上げを必要とするものと認められるのであります。  以上述べました主食、電気料金、国鉄運賃のほか、差当り公定価格の改訂が予想されるものを総合いたしまして、これが生計費に及ぼす影響について一言いたします。これらの価格の改訂に当りましては、極力値上りを抑えるように努力しておること勿論でありますが、価格改訂の生計費に対する影響を緩和するため、所得税の軽減がどのように作用しているかということを申述べてみたいと思います。一々の数字は煩わしいと思いますので、一例で申しまするならば、夫婦、子二人の家計の場合におきまして、月収一万五千円でありまするならば、現行の所得税額を差引きまして家計消費に向けられます金額は一万三千五百八十三円と相成るのであります。家計費に向けられます一万三千五百八十三円に対しまして、すでに述べました各種の価格改訂によりまする生計費の増加額は総計五百二十七円と相成るのでありまするが、他方今回の所得税の改正案によりますれば七百一円の減税と相成りますので、差引百七十四円だけ生計費の負担が軽減されるのであります。従いましてこの改正案によりまするときは、少くとも今回の価格改訂による直接の影響については家計負担の増加を来たさないということが言えるのであります。  次に国際物価との関係について一言いたしますると、我が国の物価が国際的に見て割高であるということはしばしば指摘されるところであります。その原因を考えて見ますると、貿易面に基く諸事情によるところが極めて大きいのであります。商品類別に上昇度を見てみますると、化学製品とか食糧品とか、主として国内市場を対象といたしておりまする商品の値上りが遅れております半面に、繊維、金属及び金属製品、建築材料のごとく貿易及び特需と関連の深い商品の値上りが顯著でありましたことは、今日までの横這いの状態についてみますると、そのような商品類別の結果が出ておりますということは、この間の事情を示したものということができると思うのであります。  冒頭に述べました通り中だるみの影響は、全般的に見て輸出価格の下落として国際物価との調整が行われておるところであります。輸出の状況につきましては私からこの際申上げることをいたしませんが、特に我が国の輸出の中心となるべき二、三のものについてちよつと事情を見てみますると、繊維類などにつきましては従来の市場関係等によりまして現状程度の価格によりましても、今後も相当の輸出の増加が期待されると考えられるのであります。機械、造船、車両等につきましては一部のものは輸出可能であり、現に輸出が行われておりますが、他の一部のものにつきましては輸出市場の開拓が日なお浅いこと並びに原材料側の事情もありまして、その輸出は必らずしも容易ではないのであります。併しながら輸出の確保につきましては、単に価格のみの問題ではないのでありますから、これらの物資につきましても今後において市場の開拓に意を用い、設備の近代化、経営の合理化等の企業努力と政府の施策とによりまして価格の安定を図ることが極めて必要であると考えておるのであります。今後の物価見通しといたしましては、最近までの状況に徴しますると、若干強含みの傾向があるように思われるのでありますけれども、財政金融面からする施策と併せて考えてみまする場合に、国際物価の動きと遊離いたしまして、我が国の物価がひとり激しく変動するということは予想されない状況であります。  お配りいたしましたその資料につきまして必要な説明は他の政府委員からいたします。
  63. 熊田克郎

    政府委員(熊田克郎君) 只今物価の動向、それを支配する要因等について政務次官から特徴的な点を御説明申上げましたが、お配りいたしました資料につきましてなお物価の最近の情勢を御説明申上げたいと思います。この資料は大体新聞或いは官庁の出版物等に載つておる資料のみでありますが、それを少しく全体をまとめてあるということと、多少つかみやすくしてあるという点をお汲み取り願いたいと思います。殊に各項別の第二欄、真中の欄にあるのが朝鮮事変以来の動きを示しておりますので、これを御覧になりますと最近の動き、特に動乱以後の動きというものがおわかりになると、こう思うのであります。それでこの真中の欄は大体朝鮮事変前の、昨年の四月から六月という間を一〇〇といたしましてそれを基準とした数字なつております。  それで各項目でありますが、第一に通貨、その次には各種の物価指数、それから第三には生計費、第四には賃金、第五は家計収支の状況、それから第六が鉱工業生産指数、こういうことになつております。  第一の通貨の面でありますが、第一欄は申すまでもなく億円を単位にいたしておりますから、主として月末をとつております。昭和二十五年六月三千百十八億円、これがだんだん増加いたしまして、最近の二十六年九月におきましては四千百六十三億、こういうことになつております。それの増加率、即ち事変前を一〇〇といたしました増加率がその次の欄にありまして、最近の九月におきましては一三二・六、即ち三割二分六厘増加いたしております。それからその下の欄には各月の増減が書いてあります。この最近の一三二・六、これは先ほど次官から申上げました通貨政策、財政政策の現われでありまして、この間最後のページにありまする生産がこの九月には一四九に伸びておるにかかわらず通貨がこの程度にとどまつておる、ここに通貨政策の影響が現れておる、こう思うのであります。次は物価でありまするが、第一は日銀の調べによる卸売物価指数でありまして、二百四十八ほどの品物を加重平均しておる数字であることは御承知の通りであります。そのうち最初には総平均指数が載つております。その第二欄に御覧になりまするように、最近は五割四分ほど事変前より騰貴いたしております。大体四月頃に一時ピークになりまして、それから低落をいたしましたが、八月から又若干強含みになつたということが現れております。次にこの卸売物価生産財及び消費財に分けまして、生産財のほうが騰貴率におきまして割合に大幅でありまして七割六分、それから消費財のほうの騰貴率がそれほどでありませんで、事変前に比しまして三割二分、こういうふうなことになつております。その次は小売物価指数でありますが、これも日銀の統計により百ほどの品目を算術平均したものであります。その騰貴率が三割七分、こういうふうになつております。これが第一ページ。次は第二ページ、実効物価指数でありまして、これは最初のほうは日銀が調べました生産財の実効物価指数、即ち闇とマル公、これらの商品を実際に生産方面において買う生産財の実効指数でありますが、これは六月を以て予算関係で打切つております。これは説明を略します。  次は消費者物価指数、即ちCPIでありますが、これは百九十五ほどの家計消費の商品を実際の購入数量、購入価格を以て示したものでありまして、全都市の分は上のほうにあります。その次に東京都だけを拔出して書いたものがありますが、全都市におきましては一二七%の騰貴、それから東京都におきましては一二〇%の騰貴、こういうふうになつております。  その次は自由及び闇物価指数でありますが、これらは最近マル公が大幅に撤廃されましたので、闇と自由というようなものの重要性がだんだんなくなつて参りました。日銀の生産財の闇物価指数、これも最近やめました。それからその次の物価庁が調べておりました生産財の非配給物資も最近調査をやめました。その次の日銀の消費財闇物価指数、これは最近において一三〇という数字でありまして、一時の四月頃の一四一よりは非常に低下しておるわけであります。その次の物価庁調査の消費財非配給物価指数、これは最近において一〇九ということになつておりまして、やはり三月、四月の一一二或いは一一四より低落しておるわけであります。  次に内閣統計局が調べておりまする生計費C・P・Sでありますが、最初には実数が出ております。次に二十五年四月、即ち事変前を一〇〇とした上昇率が出ておりますが、このうち生計費については全都市において一一九・八でありますが、二割ほど上昇しておる。東京都におきまして五%ほど殖えておる。それからこれを実質生計費に直したのがその次にありまして、全都市においては事変前に比べて九四、それから東京都において八七と、こういう数字なつております。これは名目生計費を、C・P・Sは家族構成がいろいろありますので、それを物価庁においては五人ということに換算し、それをC・P・Iで除したものであります。  それから第四が賃金であります。前のほうには名目賃金、その次には税引の実質賃金をそこに載せてありますが、事変前に比べますと賃金が約三割七分ほど騰貴しております。それは名目賃金から所得税を引きまして、そしてC・P・Iで除したものがその次にあるわけでありますが、この実質賃金は約五%ほど上昇しておるわけであります。このうち六月、七月は非常に殖えておる。これは大体毎年のボーナス月に当るというようなことから現われておるわけであります。これは第三ページでありますが、第四ージは勤労者世帶における家計收支状況であります。これにつきましては特に説明を申上げる必要もありませんから省略いたします。それから第五ページ、鉱工業生産指数、これは総司令部の経済科学局の調べがここに載つておりますが、九月は四割九分より約五割事変前に比較して増加したということが現われております。  以上簡單でありますが資料について御説明いたしました。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 郡次官にお伺いしたいのですが、先ほどのベースアツプ後のそれと関連して、主食並びに運賃、電力料金、こういうものの値上げが今度のベース・アツプ並びに減税によつて、先ほど御説明の例は夫婦と子供二人で大体百七十四円のプラスになると、こういうふうにお話になつたのですが、このうちで直接値上げの電力料金、国鉄、主食、そのほかにこれは五百二十七円だけと見ておられるのですが、こういう基礎的な物価の値上りによつて当然一般物価にはね返る値上りというものは莫大な数になると思うのであります。例えば国鉄運賃の値上りによつて或いは薪炭が上るとか、あらゆる物資が直ぐにこれは影響して上つて来るだろう。電力料金の値上げによつてパンを燒く代だつて、そういう微細なところだつてこれは影響して行く。こういうものはこれはお調べになつてこういう一つの統計は出されておるのでありますか。或いは説明用で、そういうところは考えて行かないで、そうしてこういう説明用として作つておられるのですのか、その点が非常に不明瞭なのですが、ちよつと承わりたい。
  65. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) 先ほど申しましたのは今回の、且つ直接と申しましたように、主食品、電気、ガス、水道、運賃、郵便料金、電信料金、これらは私先ほど月一万五千円の階層を取上げると申上げましたが、そのほかに細かくいろいろ階層を取上げて計算して出しております。併しこれは申上げたように直接の影響で、間接のはね返りというものは確かにあるのであります。併しこれはこの程度の値上りでそれぞれの産業に実際はね返るかどうか、私どもむしろ今警戒しておりますのは便乗的値上げの起ることを警戒しているのであります。  それから薪炭の点などは運賃よりはむしろ薪炭自身が相当激しく上つて参ります。これが今後の家計費に響いて来る。恐らく今後の家計費に響いて参る大きいものは光熱費だと思います。薪炭が上り電気料金が各料金になる、そういう点があるのであります。併しながらお話のようにはね返りというような点は、これは産業などによつていろいろ違いますけれども、便乘的な値上げは極力抑える。又合理化によつてできる限り吸收させるというような方法によつてその影響をできるだけ少なくしようと思つております。併しこれについて影響がないとは申せません。ただそれをはね返つた影響というものを一々出しますことは、かなり困難、殆んど不可能に近いと思います。直接且つ今回の分ということで御了解を願います。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ間接的ですが、そういう影響はあるということはこれは認めておられると思うのですが、従つて政府の政策としては、便乘的な値上りについてはこれを極力抑える、こういうことでありますが、併し今申しましたように相当基礎的にいろいろな物価が上つて参りますと、当然生産コストにこれは影響して来ると思う。それをどのような政策で抑えるというように考えておられるのですか、これは完全にそういう政策として成功するならば、今のような御説明を我々は承わつていいのでありますけれども、当然コストが上つて来るものに対してどのように政策としてこれは抑えることができるか、この点はどうでありますか。これはやはり今の説明を業者が聞かれれば、相当やはり承服できないような点があるのじやないか、便乘的値上りと言いますけれども、成るほど電力が上つたというので、三割一分の値上りに対して或いは物価を、ものによつては五割ぐらいこれに即応して上げるということもあると思います。併し又ものによつては今言つた電力だけの影響ではない、やはり運賃、電力、それから主食、いろいろなものがからまり合つてそうしてその総計の結果としてはね返つて来るということも出て来るのであります。ですから非常にこれは無論複雑な様相を呈して来るのでありますけれども、そういう問題に対してこれは今の政策で極力これを抑えるといいますか、どういう方法によつて抑えられるのでありますか、この点はつきりこれは承わつて置かないと、業者なんかも非常に恐慌を来す問題だろうと思います。この点お伺いいたします。
  67. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) 運賃なり電気料金の値上り、これがそれぞれの産業別に当つて行きますと、これのそれ自身の影響は私はさして大きいものはないと思つております。むしろ今日起つてつておりますのは電力の不足、石炭の値上り、こうした点に事柄は私はあると思うのであります。従いましてこのたびの八月以降に改訂されました価格なり料金なり、それについての対策を切り離して如何いたすということは、お尋ねではありまするが、それだけの方策というのはやや困難だと思うのであります。根本は現在起つております電力の不足というものが、一方価格の引上げの作用をいたしまするけれども、同時に電力の不足によつて買控えの現象も起つて参ります。それから建設投資が最近やや下火になつて参つたという点もございます。併し方策といたしましては、どうしても企業の合理化を図つて参らなければならず、又方策として繰返し申されておることでありまするけれども、財政面と金融面からできるだけ不急不要なほうに物が流れませんようにいたすという根本的な対策が私は必要だと思うのであります。むしろ財政面金融面において輸出の問題もございます。そういう根本的な面で価格の安定というのを図つて参るということであり、その点については私は業者等にこのたびの価格なり料金なりの引上げによります影響についてそれほど大きい不安というものはないように考えております。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 調査をお持ちにならないというのでしたら仕方がないのですが、我々としてはやはりこのたびの値上げの一般物価に及ぼす影響というものをこれははつきりやはりつかむ努力をされなければ、我々予算審議にも非常に差支えると思うのであります。只今のこの便乘価格についてこれを抑える方針だ、値上げの一番大きな原因は石炭とか鉄鋼の値上げ、それから電力、こういうような点を挙げられたので、そのほかの点はそれほど大きな影響を持たない、そうしてそれは単にこれを単独に根本的な点から、この問題について企業整備の問題であるとか、金融財政の面でこれを根本的に建直さなければならない、そうして物価政策をとるのだというお話でありますが、一応それはそういう政策についてもこれはなお詳しくお聞きしたいのですが、今はその問題は別といたしまして、併しその効果が現われて来るというのは、実効が現われて来るというのは、非常に先の問題であります。ところが問題はすでに当面しております。当面してすでに一方においては独占物価を吊上げてどんどんこれは高くなつている。それがぴんぴん響いて来ている、これは業者なんかは非常に響いて来ている問題なんだ。今の根本的な対策というようなところでこれを説明しても、これは現実の政治にはならんだろうと思うのであります。ですから只今説明については、これは非常に恐らく業者も満足できないだろうと思うのであります。而もそれが便乘的な値上げたというふうな政府説明だけでこの問題を糊塗されたことは、これは私は困るだろう、こういうふうに思うのです。それでこういう点についてはこれは議論になりますから先に譲ることにしまして、私は是非お願いしたいのは、やはり今度の諸物価の値上げによりまして影響するものをどの程度に押え、どういうふうにこれは調査によつてでこういうものをつかんでおられるかという点を、この予算審議に間に合う時間のうちに是非そういうものを、これも先ほど木村委員が話されましたように細かいのは困難でありましよう。併しこれについても本当は我々慾を言えばこういうものが調査できるようなもつと科学的なプランというものがすでに出ておらなくちやならないはずであります。併しそれを要求しても無理なようでありますから、荒つぽいものでいいのでありますけれども、そういうものについては政府が一応これについて出す義務がある、いやしくも先ほど説明されたように所得税の減税によつて、そうして今度の勤労者の家計に及ぼすところの影響というものはむしろマイナスでなくてプラスになる、こういうような説明と、そうしてその説明資料というものがこういうものであつては、これは全くためにするところの説明資料としか考えられない、絶対に納得できない。こういうような子供だましの資料を以てそうしてこの事態を一応何とか急場を逃げるというようなことは、これは余り現実を無視ししたやり方だと思いますので、是非その点について、少くともその実態にもう少し突込んで行くという形で、荒つぽいものでいいのでありますからそういう資料を頂きたい。そうして我々の論議を先のほうに引延す、いわば留保しておきたいと考えるのですが如何でしようか。
  69. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) 子供だましでも何でもないのでありまして、直接出る数字はお出し申上げたのであります。お話のように各種産業に電力や石炭等がどの程度に、どういう産業にどの程度に響いて参るか、これはわかるのであります。併しながら更に運賃の問題等もございましよう。併しながら、そのおのおのの産業についてこれはどういう工合にしてこのたびの価格、料金の引上げ部分を抑制することができるかということ、それだけを切り離しての資料、それは誠に困難なもので、やはり全体として一つお考えを願うより仕方がないと考えております。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のはちよつとおかしいのです。私は、先ほど次官も申されまして説明の一応数字を出された。併しこの数字見通しがあつて、これは一般物価へのはね返りというものを見込まなければ非常に不完全だと思いますので、一般物価へのはね返りというものをどの程度に押えられるかという結論だけでもやはり一応示してもらわなければ、実に何といいますか、子供だましの資料だと言わざるを得ない。その点を努力をされて、或る程度押えられて来ます。例えば今の子供二人と夫婦で一万五千円の月收で百七十四円黒字になるのだ、こういうようなことが、これは実際減つて来るでしよう……、だからこの説明というものはこのままでは成り立たなくなつて来る。そういう工合に、これは先ほど次官もはつきり認められたわけです。一番最初の答弁の中で、少くともその点をどの程度に認められるのかという点からだけでもこれは資料として頂きたい。これがなければ実際困る。何ぼ何でも実態を余りに無視した説明資料ということになりますから、この点は承認頂けるかと思うのでありますが、如何でしよう。
  71. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) 繰返して申上げるのでございますけれども、恐らく岩間さんのおつしやることを分析して行くとCPSの中にいろいろなものがある。その中で一体こんなものを、罐詰を買つておる。その罐詰に一体電気の値上りなり運賃の値上りなりがどの程度響いて来るかというような点を、一つ一つCPSに現われて来るところで推計して見るようにというお話だと思うのです。ところがこれはちやんとわかつておられるだろうと思うのですけれども、それがわからないので、直接のCPSに現われた影響でこの標準の家庭、こういう家庭では運賃はどういう割合なつておるか、その割合に今度の上つた運賃を掛けたら直ぐ出て来ます。ところが一々……一体炭の値上りを心配される、併しこの炭の値上りのうちに運賃の影響がどれだけあるかというような、これは事柄がないとは申しません、ないとは申しませんけれども、これを資料化することは極めて困難であり、むしろこれからの物価の動きというものの中にそういう要素を考えて行かなければならないというのであります。それは勿論おつしやるようにすべての価格なり料金なりの値上りを一々の物資について的確に捉える方法があれば誠に事は明瞭になつていいのでありますけれども、現在の恐らく資料、現在の調査でそれが数字なり割合の上で出て来るということは私は困難であろうと思います。この点は併し繰返しましても同じことになると思います。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 くどいようですが、困難ということとそれを出すことができないということは、不可能ということとは違うと思います。そういう意味からこれはその点をやはり押えられていなければ、単に説明用の資料に出すとかいうことでなくて、実際は政府全体のやはり物価政策の問題と関連して来るのです。ですからそこは何か一つの逃げ道にされては私は困ると思います。少くともとにかく直接の、例えば今の統計説明によりますと、五百二十七円プラス・アルフアというのがあるわけです。アルフアの間接の値上りの面だけは一応とにもかくにも、政府はそのアルフアを示すだけでは、実態に近付いたところの説明をしなければ、これはやはり国民を欺瞞するという説明にしかならんのじやないかと、こういうことを私は申上げておるのであります。この点からこれはやはり作業困難とは思いますが、大体荒つぽいものでいいのです。これはやはりそういう点を示される責任があるのじやないか、こういうふうに私は申上げているのですが、如何ですか、やはり同じですか。
  73. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) やはり同じと言われれば大体同じなんでありまして、そういう捉え方ができれば非常に面白いと思うのであります。現在その捉えようがあれば私どももそれを隠すつもりじやない。捉えようがあれば面白いのでありますけれども、これが実際それぞれの新らしい原価計算でもやるようなつもりで当つて見ましても、その影響というものを一つ一つのものについて出すということは私は非常に困難というか、今の状態では不可能でございます。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今後の物価対策のことについて事務当局はどう考えているかをお伺いしたいのですが、その前にちよつと先ほど電気料金の値上げのことを言われましたが、三〇一%ですか、これは料金だけの値上げだと思うのです。例えば超過料金なんかも、割当を減らしますね、冬になると四十五から二十五に減らす、こういうようなことを含めてないのですか、小さいことのようですが、併しこれは実質的な値上げになるでしよう。こういうようなことはやはり計算の中に入つているのですか。
  75. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) これは若し細かい点でしたら事務のほうから申上げますけれども、そういう点を一切入れましてそうして見たのが三〇・一%だそうです。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これまで政府はだんだん自由物価の政策をとつて来たわけです。公定価格も統制も殆んど外しまして、そうしてそこで今後の物価見通しとも関係あるのですが、今後どういう物価対策を立てて行こうとしているか、例えば日本の国内物価が国際物価より割高になつている。これを国際物価に鞘寄せしなければならんという問題が出された。これに対して一体どういう対策をとるのか。先ほどお伺いしていますと、財政金融面からこれを調整して行く、或いは産業合理化をやる、丁度ドツジさんが来られて声明したのを今繰返されているようですけれども、併し今後の物価の騰貴はどういう性格のものになつて行くというふうにお考えか。財政のバランスを合せても、或いは金融を締めても、物価は、価格は上らざるを得ないような状態なつて来ると思うのです。というのはそれは殊に財政面から行けば、不生産的支出が相当殖えるために再生産から脱落する価値部分が多くなるのです。これは理窟みたいですが、そういう形で価格は騰貴せざるを得ない。これは財政のバランスを合せても不生産支出が多くなるという形において物価は上らざるを得ない。これはいわゆる戰時経済なんかの特色だと思うのですよ。そういう形の価格騰貴が来ると思うのです。こういうものに対して財政面、金融面を締めることによつてその価格騰貴を抑えることができるかどうか、その点ですね。金融面で利率を上げ、財政面はそのバランスを合せてもやはり価格は上るのです。今後の財政経済の性格がそうなんですから、物資の需給関係自体を調整して行かなければならない。今までの自由経済じや行けない。だんだん統制経済に行かなければ私はこれは調整できないと思うのですけれども、やはり自由経済でやられるかどうか。それから国際物価に対する鞘寄せは一体自由経済という形でどうしてやつて行くか。どうしてそこまでこれを鞘寄せして行くのか。今まで通りの物価対策では今後は行けないと思うのです。講和後の経済の考えは……。何か事務当局或いは又郡さんあたり、自由党あたりで大まかな大綱でいいですから、どういうような構想で今後の物価政策を考えているか。今度の池田大蔵大臣の財政演説でも物価対策が一つも出てない。何も出てないんです。而も今後物価対策は非常に重要なんです。けれどもそれが何ら触れてない。自由経済で行くつもりであるからそうなのかも知れないが、今後の情勢はそれでは行けないと思うのです。その大綱だけでも構想を伺つておけば参考になりますから……。
  77. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) 参考のために構想とおつしやいますけれども、改まつて御披露するような材料を持ち合わせておりません。ただおつしやつた中に講和関係の諸費等で不生産的な面が現われて来るというお話で、その点は確かにおつしやる通りだと思うのです。これは併し政府として国民全体の経済と見合つて、財政上可能な限度においてこれを調整して参ることは当然でございます。その面の影響というものが非常に強く私は現われて来るということはこの際考えないでいいじやないか、従いまして前に極く平凡なことを申上げましたけれどもやはりそのような対策で私はこれからの物価というものを只今いろいろ見通して見ましても、そう著しい騰貴というものは来るというようなことを予想せずに私は推移できるのではないかと思います。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いつも予算審議のときには大体保合とかまあ強調を迫るとか、その程度でお茶を濁してしまいますけれども、併し今度は講和後の経済見通しについてはよほどこれは愼重に檢討しなければならないわけですね。大体まあそう大して上らんではないか、この程度というのでは心細い。現在を見ても御承知のように政府資金が非常に引上超過のときでさえ通貨が一千億も殖えて来ておる。引上超過のときに……。これからどんどん撤布超過になり、年末にかけて相当殖えて来る、これが又来年になつて、先ほどお話なつた通り順調に第四四半期で吸收されればいいけれども、私は又吸收困難であると思います。殊に申告納税なんか非常に徴收困難になると思います。その当面だけ見ても、それ以外に貿易の問題もありますが、どうしたつて通貨は殖えます。それから更に今後のことを考えれば、この程度のやや強調程度で保つのではないかというそんなのんきなことは言つておられないと思います。当然物資の需給関係からいつたつて、もうすでに中だるみ段階を超えて強調を辿つております。アメリカの物価つて予算を出されれば上昇傾向を迫る、上らざるを得ない。世界的の軍拡競争から又物価は上らざるを得ない。わかり切つておる。国内情勢も今言つたように、不生産支出が殖える、それはわかつておる。これに対してどういう物価対策をこれからとらなければならんかという、いわゆる大体のあれを持つていなければならない。今ここで我々に披露するほどのあれもないと言うけれども、それじや成行き次第、物価対策は無為無策何もないということなんです。従つてそういう自然放任で、自然に調整できるだろうというような調子ではいかないだろうと思います。これは今後もいろいろな問題について論議の種になると思いますけれども、それじや物価庁は廃止してしまえばいい、何のためにあるか、廃止したらいいと思うのです。むしろこれから物価庁は又活躍して行かなければならんと思う。ドツジさんも大体暗示しておる、財政金融面だけで調整は取れつこない。どうしても統制問題が起つて来ます。主要物資の使用制限、そういう形において統制の段階に入ると思うのです。ここは一つ今お持合せなければ又檢討されてで結構ですから、何もないというのではどうも芸がないですから、その点又次の機会でよろしうございますからお示し願いたいと思います。
  79. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) お話の中に今後の物価引上げ要因幾つか考えられるというお話がございました。同時に又木村さんがよく御承知の通りこれは引下げます要因も相当にあるものだと考えております。それで勿論財政、金融、貿易、あらゆる面から物価の安定ということを常に非常に大きい点に考えて、そうして均衡のとれた政策を進めて行かなきや相成らんと思いますけれども、お話のそれは、例えば現在ニツケルでいたしておりますようにいろいろな要求から使用制限等もありますものはございましよう。併しながら全般的に統制をもう一遍考えるとか或いは現在の段階におきまして国際価格を遮断する方策をとらなければならないとか、そういうような意味合での私は対策はまだまだと申しまするか、こういう現在の日本におきましてとるようなことは考えられてない、こういう工合に考えております。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ、物価庁では主食統制廃止の物価に対する影響をどうお考えになつておるか、それは物価庁としてこれは重大な問題だと思うのです。物価行政の上においてどういうふうにお考えになつておりますか。
  81. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) 主食統制撤廃については物価庁と申しますよりは政府全体としてこれをでき得る限り滑らかに且つ消費者へ急激な影響の及びませんように考えなければ相成んと思います。かような意味合で物価庁では政府の一部門として極力努力いたしております。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう希望論をお聞きしているのではないのです。これを撤廃をした場合大体どの程度値上りするであろうか、それが一般物価にどの程度の影響を與えるであろうか、そういうことなんです。これはなくちやならんと思うのです。物価庁はこんな大きな問題、物価を左右する大きなエレメントなんですから、それに対して何ら見識がない、研究もしていないではこれは怠慢だと思う。希望論じやないのですよ。今後滑らかにそういうことをやりたい、これは希望論です。そいうことでなく、今の論議の中心になつております物価行政の点から一つの見識がなければならんわけです。その点一つ。
  83. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) どの程度の影響を持つかというようないろいろ内部で作業はいたしております。又各種の産業、殊に石炭等に対する影響も調査いたしております。併しその点はまだここで御披露申上げる程度まで固まつておりませんので、さよう御了承願います。
  84. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今の木村さんの質問に関連してちよつと一言だけ。今郡さんの言われたことはいずれも私不思議に思うのです。米の統制を撤廃するということをきめる前にそういうことが研究されて、そうしてその上に立つて統制を外していいかどうかということがきめられるのであつて、統制を外すことはきまつているのだ。併し物価の問題はこれからどう影響するか考えるのだと、これは本当の政府としての御答弁でしようか。この点はつきりさしたいと思うのでありますが、御答弁願います。
  85. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) これは政府の内部におきましてもいろいろな段階でいろいろに作業をいたし研究はいたしておるのであります。併しながらそれを今日までまだ物価庁としての考え方をここで御被露申上げるまでの段階に至つておらない。併し政府として誠に重大な問題でありまするから責任を十分感じていたしてはおります。ただ今日まだ物価庁として申上げることはできませんということであります。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に簡單にお伺いしたい。物価庁としては今度の主食の統制撤廃は物価行政の上からいつていいものとお考えになるか、悪いものとお考えになるか、物価行政の上からですよ、これはやはり見識がなければならんですよ。農林省は農林省の立場があるでしよう、物価庁物価庁、それで我々総合的にこれを判断いたしますから、物価庁としては物価行政としてどうだ、こんなに物価を動かす大きなエレメントはないのですから、この主食の統制について物価庁として一つの意見がないというのはおかしいですから、その細かい作業は今後でよろしいですが、一体これを是としているのか非としているのか、その点お伺いしたいのです。
  87. 郡祐一

    政府委員(郡祐一君) 統制撤廃の前提と考えられておりまするあらゆる施策を最も政府として合理的に行なおうとしておるのでありまするから、それが行われまする限り物価の面におきましても結構なことと考えます。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 くどいようですけれども、併しそれはおかしいですね。僕はもつと真面目、まあ直面目でないという意味じやないのですけれども、例えば農林当局の事務当局なんかの御意見伺つても必ずしも手放しに賛成するとか何とかいうことは言われておりません。こういうふうにすればこういう弊害が起る、こうやればああいう弊害が起る。そういうことは私率直に言われていいと思うのです。特に政治的答弁でなく、事務当局の率直な……、事務当局自体もこれは影響あるのですから、食糧価格が上つたら困るのですから、やはり勤労者であるし、我々と同じ立場にあるのですから、率直に賛成ならば賛成、反対でもいいのです。併しそれは政府の政策としてきまればそれは政治的な問題になりますけれども、作業としてこれは大変だと、この物価の問題については簡單にこういうものを撤廃したら大変だと、そういう作業大体あると思うのです。そんなに政治的にならないで、予備審査の段階なのですから、成るべく我々は具体的にデータを與えて頂いて、事務当局からそれを参考にして、大局的な判断、政治的質問はこれは大臣にいたしますから、事務当局として事務的な一つ率直なお考えを伺いたい。
  89. 永野正二

    政府委員(永野正二君) 只今、今回の米の統制撤廃に関して物価庁の事務当局としてどうであるかというお尋ねでございますので、私第二部長でございますが、御参考になるかどうかわかりませんがお答えをいたしたいと思います。勿論この米の統制撤廃をした場合に米の価格関係がどうなるか、従つてそれが勤労者の生計費にどういう影響を持つか、又それが賃金その他いろんな物価を通じて日本経済全体にどういう影響があるかということは当然その政策の決定と関連しておる問題でございます。ただこの米の統制撤廃をいたしました場合に米価がどういうふうな成り行きを示すかという点は、これはいろんなほかの要素と関連いたしております。例えば差当つて申しまするならば、本年産の内地米がどの程度どういう値段で政府にどういう数量が供出ができるかというような問題、それから又外国からの食糧の輸入が今後どれだけの数量で又どれだけの価格で入つて来るかという問題、又それに伴いまして現在まで外国からの輸入食糧に対しましては輸入補給金を支出いたしまして、国内産と同じベースまでその価格を引下げておるのでございますが、今後この輸入補給金の制度をどういうふうに運用して参るかという問題、こういういろいろな問題と関連いたしまして今後の米の値段がどうなるかという予測ができるわけでございます。と申しまするよりはむしろそういう方面の政策を順次はつきりきめて行くことによりまして、今後の食糧の価格がどうなるかということがきまつて来るわけでございます。現在事務当局といたしましては、只今申上げましたようないろいろなほかの政策をどうきめて行くか、米価をどのくらいに押えるためにどういう政策を、どういうふうにきめて行くかという点についていろいろ関係各省で相談をいたしております段階でございます。従いまして結論として賛成か反対かというようなことはちよつとこの席では申上げかねるのでございます。御了承を頂きます。
  90. 平岡市三

    理事平岡市三君) 物価の問題につきましては多々御質問があるかとも思いますが、時間ももう四時半近くになりますから、本日はこの程度委員会を閉じたいと思いますが、御異議ございませんか。
  91. 平岡市三

    理事平岡市三君) では本日はこれで散会いたします。    午後四時二十三分散会