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説明員(
近藤止文君) お
手許に二十六
年度主要物資生産の
見通しと題しました
刷り物を御配付申上げてございますが、この二十六
年度の
生産の
見通しがどうなるかという問題は、上期は大体
電気の
関係も非常に豊水に恵まれて順調でございました。又
石炭その他の
物資の
需給関係も比較的安定をいたしておりましたので
予想以上に
生産が
増加いたしたのでございますが、本年の八月頃から
電気の
事情が急激に悪化いたして参りまして、それに伴いまして
石炭の
需給も非常に窮屈に
なつて参りました。この下期の
電気及び
石炭の
状況がどうなるかということによりまして、二十六年の
年間の
生産の
数字というものが大巾に変動いたすわけでございます。このお
手許に差上げました二十六
年度見通しといたしまして
数字を入れましたのは、いろいろ
前提がございまして、上期は
実績通りを採用いたしたものでございますが、下期におきましては、いろいろな見方がございますので、ここに出ております
見通しにおきましては、水力の
関係が
平水の
ベースを保ち得るという
前提の下にそれぞれの
物資の
生産数量の
見通しをつけて見た次第でございます。従いましてここに載つております
数字が果してこの
通りに
生産できるかどうかという問題は、今後における主として
電力事情によりまして左右されるのでございまして、
電気の
事情が十月初め頃のような
状態を繰返すということになりますと、この
見通しを
達成いたすということは到底困難であろうと思われるのでございます。なお最近のように
数次降雨がございまして
渇水地帶が或る
程度潤うということになりますと、この
平水ベースによりますと
生産の
見通しの
達成ができるということになると思うのでございます。そうい
つた前提の下にこしらえました表でございますので、その点あらかじめお含み置きを願いたいと思います。この
平水ベースによりまして
生産の
見通しをつけますと、ここに載つておりますように、
石炭或いは
鉄鋼その他の
重要物資につきまして、
年度当初に
予想いたしました
生産計画というものはほぼ
達成されまして、なお多少の上昇を見るような余地があるのでございます。二枚目に
鉱工業生産指数の
見通しというのを掲げてございます。これで二十五
年度の
実績は
鉱工業生産指数は一〇四・六でありますが、二十六
年度は一三六という
数字に
なつておるのでございまして、本年上半期の
生産指数の伸びが非常に顯著でございましたので、下期
平水ベースと申しますと昨年に比べますとかなり
電気の量が減少するのでございますが、なお一三六
程度の
生産指数になるという
見通しになるのでございます。
そこでこれは
平水によりましての
生産の
見通しを一応作りましたのでございますが、若し
最悪の場合と申しますか、水が現在よりも非常に
状況が悪いというようになりましたような場合には一体どのくらいの
生産になるかということでございまして、これにつきましてこれはいろいろ
前提がございますので、
見通しをいたしますことも非常に困難でございますが、若し非常に悪い
状況になるということでございますと、今年の
年間の
生産計画指数は一二四ぐらいまでは下る
可能性があるというように思うのでございますが、これにはいろいろ今後の正確でございません
要素が入つて参りますので、お
手許には一応過去の長い間における
実績を加味いたしまして、
平水ベースによります
生産の
見通しの
数字を差上げた次第でございます。
でまあ本年の下期におきまして最も心配になりますのは水の
不足によります
電力の
不足ということでございます。これにつきましてはあらゆる
方面からここにしわを寄せまして、極力
電力を
増強するという手をいろいろ打つておるのでありまして、いろいろな
方面から次第にその効果が現われて来つつあるよう存ずるのでございます。一例を申上げますと、今年の九月頃におきましては各
電力会社におきましての
石炭の
貯蔵量は非常に僅かでございました。思い切
つて火力を焚くということもできなか
つたのでございますが、これもあらゆる
方面の
努力を集中いたしまして、最近におきましては徐々に
貯炭の量が殖えつつあるのでございます。大体下期におきまして
平水の場合におきましても四百七万トン
火力用の
石炭を必要といたしておるのでございます。現在のところでは
電力会社に対しまして、四百七十万トン
程度の
石炭を集中いたしまして極力
火力を
増強する、又
自家発電でなお余裕のあるものにつきましても、これに極力
石炭を注ぎ込みまして、大体三十五万トン
程度の
石炭でございますがこれも極力利用をいたしまして、幾らかでも
電力の
増強をいたしたい。かような
努力をいたしておりますので、今後要するに
降雨の問題に大部分かかるのでございますが、水の
見通しが
平水とあまり変らない
状態でございますならば、あまり悲観した
生産にはならないように存ずるのでございますが、いずれにいたしましても、今年の七月ぐらいまでは
うなぎ上りに
生産指数が上りまして七月は一四二という
数字まで出ておるのでございますが、その
数字にまでは到底達しません、よく参りまして一三六というぐらいの
生産指数に落着くのじやないかというように考えておるわけでありまして、水の
関係が悪ければ先ほど申しましたように、一二四・五ぐらいのところまで下る
可能性があるということでございます。
なおこの
生産見通しのうちで主なものにつきましてごく
概略の御
説明を申上げますと、何と申しましても
生産のいろいろな
要素の中で一番大きく現在
影響いたしておりますのは
電力でございます。その次に
石炭が
相当大きな
減産の
要素に
なつております。その他の
物資につきましては、比較的昨年の暮から本年の上期にかけまして原料といたしまして海外から
相当量の
輸入がございました。又国内のいろいろな資材といたしましても急速に
需給関係が悪化するというような
状態のものがございませんので、
生産を一番大きく規制いたしておりますのは
電力、その次が
石炭ということになるのでございますが、
電力につきましてはいずれ後ほど
公共事業委員会のかたも御
出席になるようでございますから、そちらのほうのかたから
説明を頂くことにいたしまして、
石炭以下の
物資につきまして
概略のことを申上げますと、
石炭につきましては当初四千四百万トンという
生産計画を持つてお
つたのでございますが、それを中途におきまして四千五百万トンに
増産をいたすことにいたしました。これに対するいろいろな
増産態勢を整備する施策を現在
資源庁におきましてとりつつあるのでございまして、
年間の
見通しといたしましては四千五百万トンの
生産を
達成いたしますことは比較的容易にできるのじやないかというように思われるのでございます。ただ
需要の面におきまして
電力の極度な
不足から
電力用に廻します
石炭が非常に殖えております。そのほかにいろいろ
産業用に廻りません、どうしても削減できない
石炭も
相当量に上りますので、全体の
需給関係から参りますと四千五百万トンの
生産では、或る
程度不足をいたすということが計算をいたしますと出て参るのでございます。これにつきましては或いは
重油をこの
石炭の代用に転換いたしまして
重油によりまして
石炭の
不足を補う、或いは
亜炭その他の燃料を
代替いたしまして
石炭の
不足を克服するようにいたしておるのでございまして、多少の
不足がございますけれども、結局
石炭につきましては
電気と違いまして
代替し得るものがなおございますので、それらで何とか本
年度中ぐらいの
需給は切抜けて行けるものではないかというように考えておる次第でございます。
なお
鉄鋼の問題でございますが、これはこの
見通しにございますように四百十二万トンの
普通鋼々材を作るということに
予定されておるのでございまして、最初の
予想は四百二十万トンという
数字を
予想してお
つたのでございます。ただ
鋼材の面におきましては実は
電力が
不足いたしましたことが直接
生産に響いて参りまして、今日の
見通しでは当初の四百二十万トンの
鋼材を作ることは
相当困難があるというように思われるのでございまして、銑鉄、
鋼塊の面におきましては大体
予定通り参るのでございますが、圧延の部面におきまして、
電力不足が
影響いたしておりまして、現に九月、十月における
生産がかなり落ちておるような
状況がございますので、かつかつ当初の
生産計画が
達成できるかどうかと、こういう
程度でございまして、むしろ多少減少を見る恰好にあるのでございます。
それから次に
アルミニウムでございますが、これは三万六千トンという当初の
予定計画が大体
達成し得るものと考えておりますが、これは主として
自家発電を持つておりますために
電力による
影響をこれ以上にはこうむらず、大体
予定通りの
生産になるというように思われるのでございます。元来から申しますと
アルミにつきましてはなお一層の
増産をいたしましてこれを輸出するというようなところまで持つて参りたいわけでありますが、現在の
電力事情では、よそから
アルミに
電気をつけるということが非常に困難でございまして、結局当初に
計画されました
程度のものが
生産されるという
見通しに
なつておるわけでございます。
それから
繊維の
関係につきましては
綿糸、
毛糸、或いは
スフ、
人絹等ございますが、これは
電力の
影響もございますけれどもあまり大きくこれは響きませんので、ここにございますように
綿糸につきましてはやはり七億ポンド
程度の
生産が大体考えられる。で八月、九月等の
生産を見ましてもそう極端に減少いたしておりませんので、この
程度の
生産は可能ではないかというように考えられるわけでございます。
それから、次に
肥料でございますが、
肥料は特に
電力を多量に使いまして
電力が足りなくなりますと
肥料が早速
減産をするという
状態になるはずでございますが、実は八月九月までのところでは当初の
予定よりは或る
程度生産は
増加してお
つたのであります。十月におきましては多少の
減産に
なつておるようでございまして、今後の
電気の
事情如何によりまして全体の
生産がどうなるかということはわかりませんけれども、極力
安定本部といたしましては、
ガス等によりまして
電気を余り多量に食わずに
増産のできる
といつた面に極力
生産を集中いたしまして、そうして当初の
計画をできるだけ下廻らないように、できればその
計画以上に伸ばしたいという
方法におきまして、現在
電力の面におきましても特別の
措置をいたしまして
努力をいたしておる次第でございます。ただ何分にも
電気の問題が
相当今後の水の問題に関連いたしますので、この下期の
生産がどうなるかということを現在見通すことは甚だ困難でございます。併し我々といたしましては、できるだけ当初
計画を
達成いたしたい、かように考えて
努力いたしておる次第でございます。
大体以上のような主なる品目につきまして
概略申上げますと、今のような
状況でございまして、今年の上期におきましては非常に水が豊かだ
つたということに加えまして、原材料その他の
関係はどちらかと申しますと、
工業生産が
電力乃至は
石炭というような
動力源の
増加に比較いたしまして、甚だアンバランスな
伸びかたといたしたのでございまして、それが八月以降だんだんにそれらの
動力源が減少するということと加えまして、もともとの
指数の開きが次第に狹められて来る。そういうことで
生産が七月に比べますとだんだん落ち気味になるという恰好に
なつておるのでございますが、その結果といたしまして本年全体を平均して考えてみますと、先ほども申上げましたような一三六くらいの
指数のところに落着くというように考えられるわけでございます。問題はこの下期の水の問題、
石炭の
需給の問題ということに非常にウエイトが大きくかかつておるわけでございまして、これに対しまして現在外国の
石炭を
輸入する、或いは特に
重油を繰上げて入れるというようなことに
努力をいたしておる次第でございます。
大体二十六
年度はこうい
つたような
状況で推移いたすであろうという
見通しを持つておるのでございますが、二十七
年度になりますと、それではどういうことになるかということでございますが、これは実は非常に
作業が困難な点が多いのでございます。と申しますのは、やはり来
年度におきましても
電力が急速に
増強されるということに相成りません。
電力の
増強はやはり三年ぐらいから先になりませんと余り多く
なつて参りませんので、何と申しましても
工業生産を一番大きく規制をいたしますのは来
年度の
電気の問題であると存ずるのであります。同時に
石炭の問題につきましても、これは
地下資源の
関係もございまして、ほかの
工業生産のように一挙に何割も
増産するというようなことは物理的に不可能な
関係がございまして、
電気の次に
工業生産を大きく規制いたしますのは
石炭の
生産の問題であると思うのであります。これらの
二つの
要素をどう想定するかということによりまして、それぞれの
物資の
生産見込が変つて参るのでありますが、いろいろな
作業を現在やつておりましてまだ
結論が出ないのでありますが、極く大ざつぱに申上げますと、本
年度の
生産に比べまして来
年度も大体横這いと申しますか、本
年度の
実績から見れば多少はいいというぐらいのところへ落着くのではないかというぐらいに思われるのでございます。余り急速に、昨年と本
年度の違いのように急激な
生産の
増加を来すということには甚だ困難があるのじやないかというように思われるわけでございます。この
作業につきましては現在実施中でございまして、まだいろいろな
要素の検討も済んでおりませんし、
結論も出ておりませんので、これらの
作業が終りましてから
委員会のほうに具体的に詳細な御
説明を申上げたいと存ずるわけでございます。極く概要でございますが、
生産の
見通しにつきまして御
説明申上げました次第でございます。