○岩間正男君 私は(「総理の退席が早過ぎるじやないか」「聞く必要なし」「同じことを言うじやないか」「もつと新らしいことを聞かせろよ」「大いに頑張れ」と呼ぶ者あり)日本共産党を代表して本
補正予算三案に反対するものであります。(「それはわかつとる」と呼ぶ者あり)
反対の第一の
理由は、先ず本
補正予算が国連協力の名の下に、実際は全く自主性を喪失した奴隷
予算だからであります。池田蔵相は初め四百五十億の枠をきめて渡米したのでありますが、サンフランシスコから帰るや否やこれが忽ち三倍以上にはね上つた。その原因について本
会議での代表
質問以来しばしば我が党の追及したところであります。然るに
政府はこれに対しまして何ら筋の通つた
答弁をすることなく今日に及んでおるのであります。(「
答弁の必要はない」と呼ぶ者あり)それは一体何のためでありましようか。言うまでもなく
予算編成権がまだアメリカに握られておることの何よりの証拠であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)本年七月、かのリツジウエイ声明以来、我が国の自主性は大幅に
政府に譲渡されたことに
なつたはずであります。然るにそれは單に表面上のお体裁の、どうでもいいことだけに限られまして、一国の死命を制するほどの
予算編成権のごときは完全にこれを握
つて放そうとしないのであります。このことは、單にこの
補正予算に限らず、来年度
予算におきましても何ら変りはないのであります。果せるかな、ドツジ氏の来朝によりまして、講和
関係費、特に国防分担金の枠がまだきまらず、ために二十七年度
予算の大綱さえ
国会に示し得ない現状ではありませんか。
講和條約の発効は来年二月頃と伝えられており、従
つて四月以後の財政
経済を律するところの二十七年度
予算につきましては、大幅に日本
政府の主張が通らねばならぬはずであります。それにもかかわらず、全くその主導権がアメリカに握られておるのであります。一体ドツジ氏の資格は何であるか。
吉田総理は
委員会で、ドツジ氏は命令しない、
政府は專門家の
意見を聞いておるだけであると答えられておるのでありますが、これは全く
実情をごまかした
答弁であります。事実ドツジ氏は、我が国のさる銀行家に対しまして、私の勧告は講和発効後も或る期間は日本の財政
経済について
発言権を持
つておると述べたと言われておるのであります。而も事実はどうか。これはこのたびの米の
統制撤廃の
経過が何よりも雄弁にそれを物語
つておるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)即ち
政府があれほど力んで見せた米穀
統制撤廃の一大公約が、ドツジ氏との折衝によ
つて、あたかも春先きの霜のように消え去つたこの一事を見れば明らかであります。(「奴隷
内閣だ」と呼ぶ者あり)このように全く自主性を失つた
政府の態度に対しては、労農大衆はもとより、財界の各層からも種々不満の意が表明されているのである。現に
経済同友会の某幹部のごときは、ドツジが
予算編成の紐を握
つて離さないのは━━━━━、我々は何のために調印したのかわからないと、憤りの声を揚げているのであります。ところで、アメリカがこのように我が国の財政
経済の紐を握
つて離さないところの原因は何であるか。それは言うまでもなく、両條約によ
つてアジアにおける反共━━の第一線基地として再編したこの日本のすべてを挙げて、アメリカ戰略のために奉仕させんがためにほかならないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)これは、この本
補正予算の三倍の膨脹の殆んどが国内治安に名をかりたいわゆる軍事的支出であり、並びに
政府の出資、投資に名をかりた軍事的予備費であることを見れば、余りにも明らかであると言わなければなりません(「張り切ると危いぞ」と呼ぶ者あり)又、二十七年度の
予算が防衛分担金並びに
警察予備隊の枠の飛躍的増大により再軍備必至の情勢に追い込まれておることを見れば明瞭であります。これが和解と信頼の両條約締結後における日本の財政
経済の誠に有難い
実情であります。
政府は一体このような奴隷的態度をどこで切り替え、いつ改めんとするのであろうか。(「その点だ」と呼ぶ者あり)かかる態度をこれ以上持続するならば、和解と信頼を盲信して折角両條約に
賛成した
国民層といえども絶対に我慢することができないのであります。(「あんた方に心配をかけないよ」と呼ぶ者あり)
反対
理由の第二は、本
補正予算が再軍備への橋渡し的
予算であることであります。日本の再軍備につきましては、安保條約の條項精神から見ても早晩これが現実化するであろうことは想像にかたくないところであります。あたかもこれと符節を合せたように、最近バークレー副大統領、ラスク次官補等アメリカ要人の相次ぐ渡日があり、それに加えて来月の上旬にはダレス氏の四度目の訪日が伝えられておるのであります。ダレス来朝の目的が何であるかについては、今日もはやこれを知らない者はないのであります。又伝えられるところでは、
政府はすでに再軍備の構想をワシントン筋から求められ、目下
検討中とのことであります。あたかもこれに応えるかのように、二十五日附の朝日新聞は防衛力漸増計画なるものを発表しておるのであります。これによれば、
吉田首相は去る二十二日外相官邸に軍事專門家を交えて重要会談を行い、席上、防衛力漸増計画とその
予算措置に対する打合せがなされたと言われておるのであります。本
補正予算における
警察予備隊費百五十億の支出のごときも、かかる態勢強化への過渡的支出にほかならないのであります。而も予備隊はすでに迫撃砲、ロケツト砲を持ち、最近の訓練では渡河作戰、バリケード、トーチカ構築、敵陣の探索爆破などまで行われておることは、何を意味するでありましよう。表看板に再軍備を謳うかどうかは別としまして、
警察予備隊の強化が実質的に
国民負担を著しく
増加せしめておることは
既定の事実であり、現に池田蔵相もこれを認めておるのであります。即ち
警察予備隊の費用は本年度の三百十億から来年度は数倍にはね上ろうとしております。第十
国会以来、
吉田首相は、再軍備はしないし、又できないとしばしば言明していますが、その
理由とするところは国家
経済がこれを許さないということであ
つたのであります。ところで、このように
経済的
理由を楯としまして再軍備を否認し続けて来た
政府が、一方に実質的に
警察予備隊の名によ
つて著しく
国民負担を増大せしめて憚からぬのであります。その結果、これらの軍事費に対するアメリカ側の要求は防衛分担金と合せて約二千億、これは
政府の千二三百億円の線を遙かに突破しているのであります。これに賠償、外債支拂等を加えれば、来年度の講和
関係費は三千億近くとなるのであります。その結果は、池田蔵相のいわゆる八千億内外の枠を拡大して増税を断行するか、或いは国内費にしわ寄せして超々均衡
予算を組むよりほかに方法がないところに追い込まれていることは明らかであります。一方アジアにおいては朝鮮戰争がまさに休戰に入ろうとしています。こうした現段階において、なぜこのような軍事費が必要であるのか。日本の防衛といい、安全保障というのも、すべてがウオール街の戰争屋どもによ
つて昨年夏仕組まれた朝鮮戰争を
理由として国内の不安を煽り立て、輿論を形成してのことではなかつたか。(「言葉を気を付けろ」と呼ぶ者あり)然るに今休戰が実現せんとするに、軍備はいよいよ強化され、
国民負担はますます重くなろうとしているのであります。この矛盾の原因は一体何でありましようか。言うまでもなく、帝国主義者どもは、休戰によ
つても━━━━━をいささかも放棄しないのみか、むしろこれを機会に━━━━━━━━に廻す必要を生じ、そのあと釜として━━━━━━━当てこんでいるのであります。あたかもこれと符節を合せるかのように、二十五日のINS電は、韓国外務長官ピヨンヨンテの記者会見談を報じているのであります。即ち、これによりますれば、日本は共産軍との戰争を援助するため朝鮮に日本人部隊を派遣しようと
提案したとのことであります。
政府はこれを否定していますが、傀儡国とは言え、いやしくも一国の外交責任者が公開の席上で嘘をつくとは思われないのであります。(「それは共産党だ」と呼ぶ者あり)
吉田首相は事ごとに、再軍備はしないし、又できないと言い、又朝鮮休戰は望ましいと言いながら、事実は全く逆のコースを歩んでおるのであります。
第三に、本
補正予算は日米
経済協力の名において国際収奪の強化を図らんとするものであります。本
補正予算の枠の膨脹の原因が軍事的支出と
政府の出費投資にあることはすでに指摘した通りであります。即ち、外為特別
会計、食管特別
会計への繰入四百億、国際通貨基金、国際開発銀行への出資分担金二百億、これこそ国際独占資本に日本
経済を挙げて奉仕せんとすることにほかならないのであります。言うまでもなく、外国の大資本家どもは、過去六カ年の間日本の
占領状態を利用しまして(「何だそれは」と呼ぶ者あり)見返資金に紐を付け、金融
機関を初め、日本の基幹産業のすみずみまでその支配的実権を握
つて来たのであります。又外貨割当の操作を通じまして、日本の対外貿易を全く左右し、日本が売りたい国に売れず、買いたい国から買えず、安い時に買えないで高い時に押付けられるという、こういうからくりが行われたのであります。これは皆さんの中にも非常に(「嘘を言うな」と呼ぶ者あり)胸に覚えのあるかたがいらつしやるだろうと思います。(「そうだ」「嘘だ」と呼ぶ者あり)こうして貧慾極まりない外国の大資本家どもは、国際物価の大きな変動を利用して、日本の貿易
業者並びにメーカーの犠牲において大規模の収奪を繰返して来たのであります。而もこうした背後の操作の間に、日本全体がいつの間にか戰争謀略の網にがんじがらめにされているのであります(「嘘を言え」と呼ぶ者あり)国際開発銀行、国際通貨基金の
制度こそは、弱小資本主義諸国から、なけなしの金を巻き上げて、戰争商売人の祭壇に供せんりとするものであります。
吉田内閣は、日米
経済協力の名の下に、この━━━━━戰争屋ともの前にひざまずいてもその分け前にあずからんとしておるのであります。にもかかわらず、本年度内に国際通貨基金への加盟が許されるかどうかは未定であり、更に外為特別
会計の繰入金も恐らく年度内に使うことはないものと
考えられるのであります。そうだとしますと、この数百億に上る厖大な
経費は、いわゆるリサーヴ・フアンドとして備蓄されることになるのであります。これだけの大金を遊ばせておきながら、一方、
給與ベースの
改訂は、
人事院の勧告を遙かに下廻
つており、六三制の校舎建築は御破算の状態であります。又
失業対策も、戰争犠牲者、遺家族の援護費も殆んど問題外である。特に平衡交付金の増額については、満場一致の決議案が両院を通過しており、我々はその実現を目ざして連日折衝したのにもかかわらず、
政府は遂に財布の口を開けようとはしないのであります。池田
大蔵大臣はこの小
委員会の席上で、平衝交付金は
国民の血税だから十分に
検討しなければならないと漏らしているのでありますが、それなら、一方、数百億に上るところの
政府出資投資は
国民の血税ではないと言うのでありましようか。又最近の
汚職事件で不正のために浪費された数十億円は日本
国民の血税ではないと言うのでありましようか。アメリカ側の要求さえあれば、日本の
経済には到底間尺の合わない厖大な支出さえやすやすと承認する
政府も、一方、
国民の血の出るような要求に基く僅か百億余りの支出を出し渋
つているのであります。これでは、全国の知事
会議、市町村長
会議を初め、
関係者全部が憤激するのも無理のないことであります。これをなだめるために、
政府は一方繋ぎ資金を出し、糊塗的手段をとろうとしているのでありますが、これはすでに政治ではなくて、自由党の選挙対策以外の何ものでもないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)とにかく両院の満場一致の決議がこのように
政府並びにその背後の力によ
つて拒否されることは、
国会の機能の喪失であり、まさに奴隷
国会への転落であります。これでは今から今後が思いやられるのである。我々は、両條約発効後の
国会運営のためにも、ここで民族的決意を結集して、さような暴圧に最後まで闘わんとするものであります。(「どうぞ御自由に」と呼ぶ者あり)
第四に、本
補正予算案は、国際收奪の一切のしわ寄せを
国民の血税に求めんとするものであります。本
補正予算に計上した
経費は、いわゆる国内費たると講和
関係費たるとを問わず、本質において国際收奪者への奉仕を第一とし、これに従属する国内の特定買弁資本に若干の従属的超過利潤を保証するものでありまして、この厖大な
経費のしわ寄せは言うまでもなく
国民の血税であります。そのからくりは簡單である。
政府は
国民所得を昨年度より一兆一千億も水増と、これによ
つて差詰め一千五百六十億円の水増し増税をあて込んでおるのであります。この手品を
国民の目から隠すために、
政府は一方で四百五億の減税なる「おとり」を用いているのであります。併しそれが真の減税でないことは、減税がドツジ氏の来朝によ
つて非難されるや、自由党吉武政調会長は、減税でなく、税の調整だと言明したことでも明らかであります。(「財政論がわかるのか」「黙
つて開け」と呼ぶ者あり)これは
政府並びにその與党自由党が、国内的には 減税による公約
実施なりと宣伝これ努めながら、国際的にはその正体を暴露せざるを得なか
つたのであります。国内的には減税、国際的には増税という、自由党の発明したこの二枚舌にこそ、このたびの税制
改革の正体がはつきり現われておるのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)
政府が如何に收奪を強化しているかは、池田
大蔵大臣が先に血税という言葉を自分から使
つていることでも明らかである。(「その通り」と呼ぶ者あり、
拍手)ドツジ氏は、来年度の
政府の減税
政策を了承したというのも、かかる事実を認めたからにほかならないのでありましよう。
第五に、私の挙げたいことは、今度の
予算審議を通じて最も遺憾に堪えないことは、米穀
統制撤廃中止の責任を何ら明らかにしないということであります。
吉田内閣の最も重要な
政策であり、現にこの壇上を通じまして
吉田総理によ
つて明らかにされた米の
統制撤廃は、その後、労農階級を中心とする
国民大多数の猛烈な反撃に会いまして、最初から動揺せざるを得なか
つたのであります。而も最後の頼りの綱であるドツジ氏の了解が、別の意味から得られず、
政府は来年四月からの
実施を見合せねばならなかつたところに追い込まれたのであります。そうでありませんか。然るに、この責任を痛感し、
国民の前にその不明を謝まるべきであるにもかかわらず、
政府は一片の声明書を発表して事態を糊塗せんとしているのであります。池田蔵相のごときは、その責任を感ずるどころか、
却つて威丈高にな
つて基本方針には何ら変更がないのだと力み返
つているのであります。併し我々の聞かんとするところは、実現見込のない今後の方針などという、よく
政府の使う仮定のことではないのであります。現実に四月一日から
政策が実現されなかつたということについての責任であり、更にこれによ
つて惹き起されているところの国内の混乱であります。一体、
政府はこれから供出をどう裁くのであるか。一度緩められた農民の供出意欲と不作を前にして、二千五百五十万石の供出に自信があるのであろうか。又その奨励金はどうするのか。更に地方では四月からの
統制撤廃を見越して
業者などが暗躍し、思惑買いの態勢が準備された事実もあり、而もこれは自由党と決して無
関係ではないと思うのであります。(「然り」と呼ぶ者あり)これらすべての
條件が重な
つて、今後
吉田内閣の土台骨を足下から揺り動かす要因になることは必至であります。公党の
政策が、こういう形で、何らその責任を明かにせず運営されるところに、日本政治の植民地的現実がはつきり現われておるのである。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これは
国会の威信を傷け、内外の信用を損うものと言わざるを得ないのであります。よろしく
政府はこれらの責任を負
つて内閣を投げ出し、罪を天下に謝すべきであります。
更に見逃すことのできない問題に、横田基地の爆発被害
事件があります。(「
補正予算に
関係がない」と呼ぶ者あり)十一月十八日午後六時二十分、両條約が衆参両院を通過して、
政府並びに自由党の
諸君が盛んに乾盃を挙げておつた真最中であります。横田航空基地ではB二九爆破による惨事が起
つたのであります。十二名の全搭乗員は無事であ
つたのに、これが救助に駈けつけた日本人が、爆弾の炸烈により或いは惨死し、或いは重傷を負い、又附近の多数家屋が非常な損害を受けたのであります。私はこの損害の補償について
関係大臣の
意見を徴したのでありますが、池田
大蔵大臣は、こういう被害に対しては、声明か何かが出ており、
占領軍はその責任を負わないようにな
つておるとのことであ
つたのであります。私はそこでこれに対する資料の提出を求めたのでありますが、
政府は到頭この
予算委員会の終るまで未だにこれを提出することなく、今日に及んでおるのであります。(「アメリカぼけだよ」と呼ぶ者あり)これは一体何のためであるか。今仮にそういう声明が事実であつたにしましても、それは
占領政策に属する上のことである。言うまでもなく
占領軍の目的は、ポツダム宣言によりまして日本の徹底的民主化と非武装化以外にはないはずであります。然るに、これはこの戰争目的の爆弾による被害であり、補償の責任は米軍にあるはずであります。然るに
政府はこれを米軍
当局に交渉することなく、
特別調達庁や厚生省の費用を以て見舞金を賄
つているのであります。曾
つて日米が交戰状態にあつた
昭和二十年四月といいますと今から六年半前のことでありますが、交換船阿波丸は米国潜水艦の不法攻撃によ
つて撃沈されたのであります。この
事件に対して、米国
政府はいさぎよくその責任を認め、日本
政府の損害賠償請求権を承認したのであります。戰争下においてさえ不法行為はどこまでも不法行為であ
つたのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ましてやポツダム宣言に基く
占領下にあ
つて、外国軍隊の作戰行動によ
つて引き起された損害の賠償請求権があることは当然のことであります。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)然るに、
政府はその権利を主張しないのみか、
国民への税金によ
つて形ばかりの見舞金を支拂い、そりまま泣き寝入りしようとしているのであります。(「それが日本
政府だ」と呼ぶ者あり)なお、この質疑におきまして、池田
大蔵大臣は、外国の飛行機が何を積んで歩くかは日本
政府の知つたことではない(「その通りだ」と呼ぶ者あり)と放言第何号かに属する言葉を放
つておるのでありますが、(「それが日本の
大蔵大臣だ」と呼ぶ者あり)こうした、どこの国の
政府かわからない
政府を戴いている限り、日本人は一刻も日本の国に安心して住めないということになるのであります。これが
吉田内閣の国連協力
政策の実体であり、安保條約調印後の日本の現実であります。(「ソヴイエトへ行け」と呼ぶ者あり)早晩行われる
行政協定によ
つて(「お前がアメリカへ行け」と呼ぶ者あり)これらの
條件がどうなるかについて不安の念を禁じ得ないのが、現在の日本の
国民の立場であります。以上述べたように、このような立場に立
つて組まれた今次
補正予算であ
つてみれば、
国民反撃は到る所から盛り上
つて来るのは当然のことと言わねばならないのであります。米穀
統制撤廃反対や地方財政平衡交付金増額運動が、全国知事会や市町村会は(「又蒸し直しか」と呼ぶ者あり)勿論のこと、広汎な
関係者を網羅して今や全
国民運動として盛り上
つていることは、先に述べた通りであります。又学童給食打切りに対しては、教員、PTA、父兄たちがいち早く街頭に立
つて反対運動を展開している。(「同じことばかりじやないか」と呼ぶ者あり)べース・アツプに対しては、官公庁の
労働組合は、今や、やむにやまれぬ要求から、総蹶起大会、定時退庁を断行して、連日
国会に押寄せているのであります。炭労、電産等の基幹産業労組のストは大きく
政府の屋台骨を揺り動かしているのであります。又不合理極まる首切りに対しては首切り絶対反対の大衆行動が活発に展開され、そのために、各省の局長、部課長すらが、首を切るなら大臣みずからや
つてくれと申出ている有様であります。更に社会保険医は
労働組合と力を合せて、健康保険
制度を守れと(「時間々々」と呼ぶ者あり)全国大会を開いているのであります。(「
議長、時間」と呼ぶ者あり)
このように、
政府の戰争協力財政はあらゆる面で
国民の抵抗と反撃に出会
つて、心底から動揺しているのである。而して
政府はこれを鎮圧せずには戰争
政策を遂行することができないのであります。だからこそ治安
警察費を増額し、団体等規正法、ゼネスト禁止法を次期
国会に上程せんと企らんでいるのであります。併しその結果は更に
国民に負担と犠牲を強い、ますます抵抗と闘争を拡大するのであります。
吉田内閣こそは、目下こうしたジレンマの真只中に動揺し、よろめき、蠢動しながら、末期的不正腐敗と堕落の渕に落ち込んでいるのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)而してこれらの売国
政策は必ずや失敗せずにはいないでありましよう。すでに国際帝国主義者の戰争計画は、ヨーロツパにおいても、中東においても、アジアにおいても破綻しているのであります。朝鮮戰争は、新たに奮起した朝鮮や中国の人民たちが、戰争屋の暴威に屈することなく勇敢に闘い続け、ソ同盟を中心とする広汎な世界の平和愛好勢力の断乎たる威力によ
つて(笑声)まさに休戰が実現しようとしているのであります。(「
議長、時間々々」と呼ぶ者あり)朝鮮で通日示されているこれらの人々の勇気ある行動は、平和のために闘わんとする全世界の人々に力強い教訓を與えているのであります。(「わかつたわかつた」と呼ぶ者あり)
すでに、講和、安保両條約に対し、かかる観点から反対し続け、平和と民族の独立のための全面講和を主張する我が日本共産党は、これら戰争準備のための橋渡しである本
補正予算に対しまして断乎反対するものであります。(「よろしい」「御苦労様」「大変よかつた」と呼ぶ者あり、
拍手)