運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-17 第12回国会 参議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十七日(土曜日)    午後一時三十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十八号   昭和二十六年十一月十七日    午前十時開議  第一 常磐線電化促進に関する請願委員長報告)  第二 紀伊木本、尾鷲両駅間鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第三 国鉄既定計画線全通促進に関する請願委員長報告)  第四 銭函、軽川両観閲に簡易乘降場設置等請願委員長報告)  第五 大糸線全通促進に関する請願委員長報告)  第六 自動車運送事業免許制廃止反対に関する請願(十九件)(委員長報告)  第七 大宮白河駅間電化促進に関する請願委員長報告)  第八 岩内、黒松内両駅間鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第九 宮下駅、川口間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第一〇 荒海駅、滝原間鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第一一 荒海駅、滝原間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第一二 米沢、熱塩両駅間および荒海、今市両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第一三 浜名港修築工事促進に関する請願委員長報告)  第一四 小樽港第三号ふ頭工事施行等に関する請願委員長報告)  第一五 大宮仙台駅間鉄道電化促進に関する請願委員長報告)  第一六 相生、西大寺両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第一七 福島県郡山市、浪江町間に国営バス運転開始請願委員長報告)  第一八 東北、常磐両線電化に関する請願委員長報告)  第一九 磐越東線および水郡線に二等客車連結請願委員長報告)  第二〇 石灰石の鉄道運賃軽減に関する請願委員長報告)  第二一 小本線延長工事促進に関する請願委員長報告)  第二二 北海道船泊金田みさき航路標識設置請願委員長報告)  第二三 朱鞠内、羽幌両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第二四 元傷い軍人鉄道無賃乘車証復活に関する請願委員長報告)  第二五 三陸沿岸縦貫鉄道敷設促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第二六 門司港田野浦地区修築工事緊急施行に関する請願委員長報告)  第二七 大隅半島縦貫鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第二八 山川、枕崎両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第二九 唐津港石炭積出引込線高架桟橋急設に関する請願委員長報告)  第三〇 愛知県矢作町西牧内地内に停車場設置請願委員長報告)  第三一 茨城県長倉村、大子駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第三二 館山港修築工事施行に関する請願委員長報告)  第三三 関金、勝山両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第三四 岩船港築設工事施行に関する請願委員長報告)  第三五 木材の貨物運賃軽減に関する請願委員長報告)  第三六 農業関係貨物運賃軽減に関する請願委員長報告)  第三七 名洗避難港築設に関する請願(二件)(委員長報告)  第三八 兵庫県家島町大碇および尾崎鼻に燈台設置請願委員長報告)  第三九 隼人、古江両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第四〇 第七次船後期建造促進に関する請願(三件)(委員長報告)  第四一 雫石、生保内両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第四二 八戸、八木両駅間にガソリンカー運行開始請願委員長報告)  第四三 宮古、久慈駅間鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第四四 岩手県大川目村、夏井駅間の国営バス運輸延長に関する請願委員長報告)  第四五 階上、種市両駅間に簡易停留場設置請願委員長報告)  第四六 久慈避難港築設促進に関する請願委員長報告)  第四七 日本海浮遊機雷に関する請願委員長報告)  第四八 大衆魚貨物運賃軽減に関する請願委員長報告)  第四九 浜原、備後十日市両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第五〇 福岡下国鉄電化促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第五一 只見鉄道全通促進に関する請願委員長報告)  第五二 果実の鉄道運賃軽減に関する請願委員長報告)  第五三 白棚鉄道復活に関する請願委員長報告)  第五四 水産食料品貨物運賃引上げ反対に関する請願委員長報告)  第五五 小樽港しゆんせつ施行に関する請願委員長報告)  第五六 二俣、佐久間両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第五七 四国循環鉄道全通促進に関する請願委員長報告)  第五八 鳥取県下の電気通信施設整備拡充に関する請願委員長報告)  第五九 高知窪川川口地区電話架設促進に関する請願委員長報告)  第六〇 山形仙台両市間市外電話ケーブル架設に関する請願委員長報告)  第六一 ラジオ共同聴取料金引下げに関する請願委員長報告)  第六三 岡山津賀局集中局とする市外電話回線増設促進に関する請願委員長報告)  第六三 香川大見局電話交換事務等開始請願委員長報告)  第六四 兵庫宝塚電話局電話交換方式変更に関する請願委員長報告)  第六五 尼崎市の電話整備拡充促進等に関する請願委員長報告)  第六六 室蘭電話局電話交換方式変更促進に関する請願委員長報告)  第六七 吹田市を大阪通話区域編入請願委員長報告)  第六八 島根中野村に電話局新設請願委員長報告)  第六九 福岡電話局施設拡充に関する請願委員長報告)  第七〇 釧路地区鉄道改良計画実施促進に関する陳情委員長報告)  第七一 昭和二十六年度貨車増備に関する陳情委員長報告)  第七二 青森県深浦避難修築工事施行に関する陳情委員長報告)  第七三 いかおよびいか製品の輸送貨車増車等に関する陳情委員長報告)  第七四 するめおよびいか塩辛の貨物運賃等級改正に関する陳情委員長報告)  第七五 三陸沿岸縦貫鉄道完成促進に関する陳情委員長報告)  第七六 釧路測候所昇格に関する陳情委員長報告)  第七七 交通総合開発促進に関する陳情委員長報告)  第七八 東京港晴海ふ頭緊急整備に関する陳情委員長報告)  第七九 主要港湾荷役力緊急増強に関する陳情委員長報告)  第八〇 大宮白河駅間鉄道電化促進に関する陳情委員長報告)  第八一 清水港を特定重要港湾指定陳情委員長報告)  第八二 京都市内国有鉄道高架式改築等促進に関する陳情委員長報告)  第八三 しよう油鉄道運賃引下げに関する陳情委員長報告)  第八四 自動車運送事業免許制廃止反対に関する陳情(二件)(委員長報告)  第八五 若桜、八鹿両駅間鉄道敷設促進に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  先に院議を以て講和会議に派遣された議員を代表して、廣瀬與兵衞君から報告のため発言を求められております。この際発言を許します。廣瀬與兵衞君。    〔廣瀬與兵衞登壇拍手
  4. 廣瀬與兵衞

    廣瀬與兵衞君 御挨拶を申上げます。去る八月十八日、院議によりましてサンフランシスコ講和会議に派遣されました議員一同を代表いたしまして御挨拶をかねて御報告を申述べたいと存じます。  終戰後まさに六年を数えます今日、和解信頼に満ちた平和條約が無事調印を終りましたことは、邦家のため誠に御同慶に堪えません。私ども一行は親しく会議に臨み、幸いにも大過なく重責を果して帰ることができた次第でありますが、これはひとえに皆樣方の御支援のたまものと深く感謝いたしている次第であります。ここに皆樣方の多大なる御支援と御好意に対し厚く御礼申上げます。  六年間の占領に終止符を打つ歴史的な平和会議は、太平洋を隔てた日本対岸サンフランシスコにおいて、参加国五十二カ国の全権団約六百名、その他報道陣多数を迎え、九月四日の開会式を以て爾後五日間に亘り開催せられたのであります。ヨーロツパから、アフリカから、アジアから、又アメリカから、あらゆる民族が日本との友好平和関係の再開を希望して一堂に会し来たつたのでありますが、この間において日本全権団に寄せられた各国好意は、予想していたより邊かに大きなものがあり、且つ又各国代表日本の将来に期待しているところは、我々が考えているよりもつと大きなものがあるように見受けられたのであります。殊に敗戦国代表である我が全権団を、極めて温かい待遇で迎えた米当局態度は、曾つて講和会議にその例を見ない寛大さでありました。会議は九月四日午後六時、サンフランシスコの中の中心にあるオペラハウスにおける開会式によつて始められました。式上、トルーマン大統領各国全権団を前にして平和会議に関する演説を行い、米国態度と條約の意義説明されました。大統領は、先ず各国全権団に対する歓迎の辞を述べた後、日本における占領行政の成功と日本民主化の実績を覚讃し、更に「併しながら日本は、直ちに各国の完全な親愛と信頼を得るに至るとは思われない。日本は今後なお長期間に亘り努力を続けなければならない。」旨を強調し、最後に「現在太平洋方面には侵略による重大な脅威が存在し更に拡大する虞れがある。日本は自国の防衛と太平洋諸国の安全のために、できるだけ早く太平洋地域における適当な安全保障機構の中に包含さるべきである」と述べ、米国平和確保に対する強い所信を披瀝したのは、我々に多大の感銘を與えたところであります。  議事は五日より八日まで四日間に亘つて進められたのでありますが、五日午後は米英全権による條約案の説明が行われましたが、ダレス全権演説は、数カ月に亘りみずから手がけて来た経験に基く説明だけに、綿密にして懇切、その内容といい、調子といい、強く聴衆に訴えるものがあつたのであります。次いで六日午前から七日午後に亘つて條約案に対する各国全権意見開陳が行われました。共産国を除く各国全権見解を分類しますと、その主なるものは、第一に、日本平和国家として成長することを希望するもの、第二に、日本賠償を要求するもの、第三に、ソ連の態度を非難するものなどであります。そして今回の平和條約が新らしい戦争を阻止し、世界平和に貢献することを確信している点は、これらすべての全権の一致した見解であつたのであります。賠償の支拂を要求したのはフイリピン、インドネシア、オランダ、ヴイエトナムなどであります。併しこれらの国々にいたしましても、日本が疲弊する結果として共産化を招く危険は大いに認めており、ただ日本支拂能力の認定について若干米国と異なつた見解を示しただけであります。いずれにしましても、東南アジア諸国との友好関係の回復と賠償の問題は、今後日本に残された最大の課題であり、我々も相当の覚悟と努力を以て解決に臨まなければならないことを痛感いたした次第でございます。  各国全権演説は七日午後、アルゼンチン代表を以て終りまして、同日夜、我が全権吉田首相発言を求められ、本條約の受諾演説を行われたのであります。吉田全権は、先ず本條約は懲罰や報復のためのものでなく、我が国に完全な主権と平等と自由を回復し、自由且つ平等なる一員として国際社会に復帰させる和解信頼の條約であることを述べ、日本は二の公正寛大なる平和條約を欣然受諾することを宣言したのであります。次いで本條約について若干の注意を喚起したい旨を前置きした後、領土処分問題として、特に色丹島及び歯舞諸島の帰属について訴え、経済問題として、領土の喪失と人口過剰、都市荒廃による経済力の低下を強調し、又未引揚者問題について、今なお抑留されている三十四万同胞の引揚促進に各国の援助を願つたのであります。更に近時増大せる極東における侵略的脅威に対し、日本の自衛の必要と国際的集団安全保障制度の必要を説き、最後に、我々は平和、正義、進歩、自由に挺身する国々の間に伍し、これらの目的のために全力を捧げることを力強く誓つたのであります。  かくて平和会議議事は完全に終了し、九月八日午前十時より対日平和條約の調印式が行われたのであります。調印を拒否したのは僅か共産三国のみ。四十八カ国の調印の後、日本全権調印に対して寄せられた割れるがごとき拍手は、日本国際復帰を帆福して誠に力強いものがあつたのであります。  平和條約は、日本が独立と自由を回復し、国際社会に復帰する第一歩を画したものであります。我々はこの公正寛大な講和を強力に推進された米国初め好意ある連合国の厚情と努力に対し、深い感謝の意を表明すると共に、この平和條約の意義をよく理解反省し、且つサンフランシスコにおいて、列国によつて表明された日本国民に対する理解と信頼と期待とに応え、又日本の将来に対し表明された懸念に対しては、その当らざるを事実を以て示すべく、決意を新たにし国民の総力を結集して、民主日本の発展に努力をいたさなければならないと思う次第であります。  以上平和條会議模樣を御報告いたし、併せて皆樣方の御支援に対し重ねて感謝の意を表明するものであります。(拍手)      ——————————
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第一より第五十七までの請願及び日程第七十より第八十五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員会理事岡田信次君。    〔岡田信次登壇拍手
  7. 岡田信次

    岡田信次君 只今上程になりました日程第一より第五十七までの請願及び第七十より第八十五までの陳情につきまして、委員会における審査経過並びに結果を、詳細は委員会速記録に譲りまして、簡単に御報告いたします。  本日上程になりました請願及び陳情は、合計請願八十件、陳情十七件でございまして、それを分類いたしますと、鉄道敷設に関するもの請願二十五件、陳情三件、鉄道電化に関するもの請願六件、陳情一件、国鉄サービス改善に関するもの請願七件、陳情四件、国営バス関係請願二件、国鉄運賃軽減等に関するもの請願六件、陳情二件、自動車運送事業免許制廃止反対に関するもの請願十九件、陳情二件、港湾施設整備避難港築造及び航路標識設置に関するもの請願十一件、陳情二件、第七次造船後期建造に関するもの請願三件、日本海浮遊機雷危険防止に関するもの請願一件、測候所昇格主要港湾荷役緊急増強並びに特定重要港湾指定に関する陳情おのおの一件でございます。  委員会におきましては、請願並びに陳情に関する小委員会を設け愼重審査いたしました後、更に委員会審査の結果、いずれも議院会議に付するを要し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  以上極めて簡単でありましたが、御報告いたします。(拍手
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第五十八より第六十九までの請願を一括して議題とするごとに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。電気通信委員会理事村尾重雄君。    〔村尾重雄登壇拍手
  12. 村尾重雄

    村尾重雄君 只今議題となりました請願について、電気通信委員会審査経過及び結果について御報告申上げます。  鳥取県下の電気通信施設整備拡充に関する請願高知窪川川口地区電話架設促進に関する請願山形仙台両市間市外電話ケーブル架設に関する請願ラジオ共同聴取料金引下げに関する請願岡山津賀局集中局とする市外電話回線増設促進に関する請願香川大見局電話交換事務等開始請願兵庫宝塚電話局電話交換方式変更に関する請願尼崎市の電話整備拡充促進等に関する請願室蘭電話局電話交換方式変更促進に関する請願吹田市を大阪通話区域編入請願島根中野村に電話局新設請願福岡電話局施設拡充に関する請願委員会は以上の請願につきまして、愼重審議の結果、いずれも願意を妥当なものと認めて、これを採択し、議院会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  議事の都合により暫時休憩いたします。    午後一時五十三分休憩      ——————————    午後三時十三分開議
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。    〔松原一彦発言の許可を求む〕
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 松原一彦君。
  17. 松原一彦

    松原一彦君 私はこの際国会権成国会議員身分尊重に関する緊急質問動議を提出いたします。
  18. 木村守江

    木村守江君 私は只今松原君の動議賛成いたします。
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 松原君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。松原一彦君。    〔松原一彦登壇拍手
  21. 松原一彦

    松原一彦君 私は、世界の将来はたとえ幾多の困難なる過程を踏まねばならぬといたしましても、結局平和に徹底した日本国憲法の精神を基調とする世界連邦的大構想の上に築き上げねばならんものだという堅い信念を持つておるものであります。この意味から申しましても、老首相が遠くサンフランシスコ会議に臨まれて、「世界のどこにも、将来の世代の人々を戦争の惨禍から救うために全力を盡そうとする決意日本以上に強いものはない」と声明せられたることに共鳴と敬意を表するものであります。(拍手)このことは、世界恒久の平和を念願として日本国憲法を創定されました吉田首相としては誠に当然至極なことでありましよう。併しながら口に平和を唱えることは極めてやすいことでありますが、進んでみずから平和行動を実践することは、実は戦争をするより以上の至難なものであるのであります。(「そうだそうだ」「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)私どもはこれを覚悟して、この憲法を創定する際にも臨んだものであります。首相がかねてたびたび言われる通りに、平和といえども相手国があつてのことであります。平和に徹したはずの吉田首相の御苦労によつて今次結ばれようといたしておりまする條約が、その当然の推移としても、やがては再軍備へのコースを辿らねばならん運命に置かれておる一事によつて見ましても明らかであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)併し私は、憲法は改正せぬ、再軍備はやらぬと強調せられる吉田首相を信じて一応は安心いたしますが、果して吉田総裁の率いられる日本自由党が何年間この方針を堅持し得られるでありましようか。政道信を失えばその国亡ぶ。(「その通り」と呼ぶ者あり)平和は一片の口頭禪ではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)あの憲法は、最初から日本国世界平和の先駆者として戦争放棄のすつ裸にしたのであつて、今頃真室状態になつたことに驚いた振りをしたり、国民を代表する国会が知らぬ間に軍隊の借用を外国にお願いするような、いい加減なものではなかつたはずであります。(「そうだそうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)但しそれは本日は申しません。只今私が如何にも不安に堪えないことは、民主主義政治根本原則である国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会の権威と国会議員身分尊重とが、現内閣の下にあつては如何にも危ぶまれるかのごとき震れを抱かざるを得ないことについてであります。(「その通り」「心配ない」と呼ぶ者あり)  御承知の通りに、憲法の前書の冒頭には、日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する旨を明らかにいたしております。正当に選挙せられるということは、主権者たる国民によつて公選せられるということであつて、一票の投票は厳粛なる国民至上命令であります。(「そうそう」と呼ぶ者あり)従つて公選によつて当選したる我々国会議員は、法律に規定せられたる以外のことによつて断じて身分を侵されることはないという確固不動身分を獲得いたしておる。従つて又法は特に議員に対して厚くこれを保護いたしておるのであります。然るにもかかわらず、政府はこの国会議員たる身分に対して、往々にしてその取扱愼重を欠き、明白なる理由もなくしてこれを逮捕し、或いは法治国にふさわしからん国内法上の根拠のない例外措置的取扱をせられているかのごとき事実を指摘いたさねばならんことを私は悲しむものであります。その一例を私は同僚議員たる細川嘉六君に対する逮捕追放に見たのであります。  私は本年九月六日、細川君を含む幾人かの共産党関係者が突如として逮捕せられ、且つ追放せられたという新聞記事を見ましたが、又共産党が不穏な行動を起したのかくらいのことで、私も又世間並みに驚きも怪しみもいたさなかつたのであります。然るにその後二十日余りを経て、これ又細川嘉六君は釈放せられたという記事が現われたのであります。逮捕は刑法上の問題であり、追放勅令第一号による行政命令でありますから、必ずしも相関関係はありますまいが、逮捕は釈放によつて一応解消するといたしましても、追放は又再審査の要求によつて解かれる場合があるといたしましても、追放によつて生じたる国会議員たる身分は絶対に取返すことができないのであります。昨今平和を叫べば直ちに逮捕せられるというような声も伝わつている。私も平和を信念といたしております関係上、念のために九月二十六日特審局を訪れて、その追放理由を質したのでありますが、一向に要領を得なかつたのでありました。念のため私申上げますが、私は共産主義とはおよそ対蹠的な自由主義信奉者であります。従つて共産党の言論、行動、特にややもすれば暴力革命を煽動するがごとき策動に対しましては、絶対にこれを否とするものでありまして、明治憲法時代に性格ずけられました融通のきかん極めて型の古いリベラリストだと自分では信じております。(「その通り」と呼ぶ者あり、笑声)その点では恐らく私の尊敬する老首相も、又明治期にその骨髄を養われておられますいささか頑固な自由主義者でおありではないかと思うのでありますが、(「ノーノー」と呼ぶ者あり、拍手従つて明治憲法から平和憲法を通じて一貫する自由民主主義政治の拠点である公明な近代的な議会制度を死守せねばならん義務を痛感するのであります。と同時に、正しい選挙によつて合法的に選挙せられました国会議員身分に特に尊重いたしたいのであります。たとえ主義政見においては嫌いであろうとも、国民は法の前には平等でなくてはなりません。選挙の前には大道無門、公選によつて細川君に寄せられたる十五万一千六百二十一人の信頼投票には絶対に服従いたさねばならんのが公選の大原則でありますから、(拍手細川君がどのような人であるか、何党に所属いたしているかはこの際には問題ではない、問題となりますのは、主権者たる日本国民によつて六カ年間参議院議員たる身分を與えられていたという厳然たる事実のみであります。私は選挙こそ民主主義政治の厳粛なる出発点である。この源泉を清めねば憲政の美果は得られないと信じまして、半生を選挙粛正のために投じて参つたものでありますために、投票の質を特に重く観察して参つておりますが、恐らくはこの十五万余票の中には買収や饗応等のいわゆる腐敗的なものは含まれていないのではないか。むしろ一部の圧迫や威迫に対抗しまして、たとえそれが好ましからん偏見でありましようとも、信念投票であつたとすれば、これを時の政府の好惡によつて葬り去らるべきものではない。若しこれをしも侵すならば、往年の翼賛議会を再現いたすのであつて、民主主義は室文となり、議会制度それ自身が自殺となるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)そこで問題となりますのは、第一、細川君の刑法上の被疑の事実であります。若し共産党の幹部として治安を撹乱し、暴力革命行動があつたといたしまするならば、これは明らかに刑法上の重大犯罪者であつて逮捕投獄は申すまでもなく、峻厳なる科刑を要することは申すまでもありません。然らばその事実を明らかにいたされたい。私は一片の弁護もいたしません。併し細川君は釈放せられておる。第二は、追放令の該当事項であります。恐らく政府は追放は単なる行政命令ではない。占領治下において最高司令官の至上命令によるものであつて、マ元帥書簡の趣旨に基いて行われねばならん絶対不可避なものであるとお答えになると思うのでありますが、勅令第一号によるいわゆる追放令には、かようなことは私の知る限りではどこにも記してはありません。現行追放令は、終戦前の軍国主義的、暴力主義的な該当事項をA項からG項までとして明らかに限定列挙してあります。私の信ずるところによれば、占領軍の統治方式は飽くまでも直接の統治ではなく、日本国政府をしてこれを行わせる間接統治方式をとり来たつておるものと思つております。若しA項乃至G項以外にマ元帥書簡の指令によるものをも含める必要があるならば、法治国の建前上よるべき根拠を示すために、勅令第一号に該当條項を附加いたさねば、これを国民に施すことは断じてできないのでありますが、一体政府は国内法的根拠をどこに持つておいでになるのでありましようか。更に、マ元帥書簡の内容は、左記のものを追放せよと二十四名の氏名が列挙されておると聞いておりますが、最近別個の指令があつたとは聞いておりません。元帥書簡の延長としての漠然たる解釈のみにより、本指定は調査表を徴し、審査して行うという追放令の規定をも顧みることなく、国会議員たる身分を剥奪するというごとき行為には、ひとしく議席を持つ同僚議員としては何としても私は良心が黙過を許さないのであります。  そもそも民主主義国における議会制度は、原則として国民の抱くあらゆる意見を徴して、これを国会の坩堝に投じ、互いに論難検討することによつてその帰結を国会の表決に求めるものであつて、その形態と運営とは誠に手間のかかる無駄の多い極めて煩瑣なものでもあり、或いは厄介千万なものであります。即今の国会の動きから見れば、議会至上主義的な信念を持つ私ですらも、往々題を投げたくなるのでありますから、短気な老首相の勘に障ることも多いでございましよう。これは誠に御同情申上げます。併しこれを抑圧して猫のごとく安易なものにしてしまえば、おのずから独裁となり、フアツシヨとなる。欝屈したる民心は遂に爆発しておびただしい犠牲を拂わねば暴力革命へと移行いたすことは万人周知の通りであります。たとえどのように厄介であろうとも、議会制度暴力革命を防止する唯一無二の安全弁であることは、これは近代民主政治上の鉄則となつており、私どもが議会主義を重んずるのは、一にかかつて暴力革命への移行を憂うるからであつて、若し説かれるがごとく首相が真剣に平和を念願とせられまするならば、選挙によつて現われる限りの政党も党人もこれを国会から拒んではなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)よしんば共産主義者の言行に偏狹過激なものがあろうとも、これが国会の議場においてなされる限り、断じて非は理に勝つものではない、正々堂々とこれを論破して国民の批判に訴うれば足るのであります。濠洲政府は先に共産党を非合法化して国会から閉め出そうといたしましたが、政治常識の高い英本国から遠く離れた僻遠の濠洲国民ですら、国民投票によつてこれを拒否いたしております。日本共産党がたとえ闘争の手段であろうとも、国会を認めて、法に従つてその代表者国会に送る限り、その革命的危険性は極めて少いのであります。若しそれ、これを追放して地下に潜らせるようなことを行なつたならば、その結果は恐らくは測り知られぬものがあるのではありますまいか。殷鑑遠からず、徳田君以下の者を地下に潜らせた後の政府の徒労と国民の不安とがどのようなものであつたかは、これ又世間周知の通りであります。国会という唯一無二の安全弁を塞いではなりません。公選による国会議員は堅く尊重されねばなりません。吉田首相自由主義を堅持せられ、大政治家を以て自任せられるならば、好まぬ者は一喝し去るがごときことなく、勘の虫を噛み殺しても、私は議員議員として平等に尊重し、その言説に耳を傾け、非は非として懇切に論破せらるべきではありますまいかと思うのであります。公人にとつて追放は死刑であります。共産党たるが故に切捨御免の措置をとられるならば、やがては平和や全面講和を説くすべての議員が不安にさらされるのでありますまいか。国の唯一最高の立法機関たる国会はさようなことは許されません。  最後に申上げますが、国会議員国会から追放する権能は主権者たる国民のみが持つておるのであつて、近く行われたる英国の総選挙は、見事に国会から共産党を拒否いたしております。條約を批准して独立国となれば、国内の情勢もおのずから異なつて参りましよう。もうこの辺で一つ衆議院の解散を御断行になる御意思はありませんか。私の質問は、平和のため暴力革命を避ける国会を権威あらしめ、公選による議員は飽くまでも尊重せらるべきである。先に逮捕追放せられました細川嘉六君に対してとられた政府の態度は、どうもこれに背き、国内法的根拠を欠いた不当の措置であるがごとき懸念があるのであります。この点につきまして、首相と大橋法務総裁の御明答を願うものであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇拍手
  22. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) 松原君にお答えいたします。国会議員身分は政府において十分尊重いたす覚悟であります。併しながら先般の共産党関係者の公職追放は所定の手続によつて適法に行なつたものであります。詳細は主管大臣から説明いたします。     —————————————  この際、先に行われた質問に対して答弁をいたします。  重盛壽治君から、定員法改正により行政整理を強行する意思があるか。お答えをいたしますが、国民負担の軽減のためにも、又行政を簡素強力にいたすためにも、行政整理は是非行いたいと考えております。詳細は関係大臣から申述べた通りであります。     —————————————  江田三郎君から、主食の統制撤廃に関し、政府のとつた措置とその責任を説明せよということがありますが、お答えをいたします。主食の統制は成るべく速かに撤廃すべきであると考えておりますが、その方法、時期については最善の方途を講じたいと考えておる次第であります。     —————————————  小泉秀吉君からの質問でありますが、外航船腹の増強は絶対必要であるが、海運政策に関する所見を問うという質問であります。これに対してお答えをいたしますが、全く御同感であります。政府は従来から船舶の改造、新造、外国船の買船に努め、外航船の整備を図つてつたのであります。今後も新造は優秀大型船に重点を置いて進めて参りたいと考えております。そのために必要な建造責金は、極力民間資金の蓄積によつて賄うことが望ましいと考えるのでありまするが、なおそれを促進するような奨励すると共に、民間のみによつて賄い得ない部分に対しては、今後は財政の状況と睨み合せて、できる限り財政資金の融通を付けて船腹整備の促進を図りたいと考えております。(拍手)    〔「誠意を以て答弁してもらいたい」と呼ぶ者あり〕    〔国務大臣大橋武夫君登壇拍手
  23. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 細川嘉六君の逮捕につきましては、本年九月一日特別審査局の告発に基きまして、東京地方検察庁において、昭和二十五年政令第三百二十五号違反の相当な容疑ありと認め、裁判官の令状を得て同月四日逮捕したのであります。同君に対する同事件は現在なお捜査中に属しておるわけでございます。政府といたしましては、国会議員身分についてはもとよりこれを尊重すべきことは当然と心得ておりまするが、刑事訴訟法の適用につきましては、憲法第五十條の特権以外には、やはり一般国民と平等に措置するのが然るべきである。かように考えておる次第であります。  次に同君の公職追放につきましては、一九五〇年六月六日付内閣総理大臣宛書簡によりまして、連合国軍最高司令官は「かれらは同じ意図をもつて、法令に基く権威に反抗し、法令に基く手続を軽視し、そして虚偽で煽動的な言説やその他の破壞的手段を用い、その結果として起る公衆の混乱を利用して、ついには暴力をもつて日本の立憲政治を転覆するのに都合のよい状態を作り出すような社会不安をひき起そうと企てている。」云々、「従つて私は日本政府に対して、日本共産党中央委員会の全員を公職から罷免し、排除し、かれらをして一九四六年一月四日付の指令(覚書第五百四十八号及び第五百五十号)並びにこれを施行するための命令に基く禁止、制限並びに義務に服せしめるために必要な行政上の措置をとるように指令する」と述べられているのであります。従つて一九五〇年六月六日付の同司令官の書簡は、覚書第五百四十八号の條項、即ち団体等規正令に違反した個人に対しまして、覚書第五百五十号、即ち昭和二十二年勅令第一号の公職追放の制限が加えられるという法的根拠を明示し、且つその法律上の先例を設定いたしたものでございまして、これは最高司令官の有権的解釈であるわけでございます。  細川嘉六君に対する公職追放は、この指令が適用されたものでございまして、同君が覚書第五百四十八号の條項、即ち団体等規正令第二條に該当する行為をなしたものでありまして覚書第五百五十号、即ち昭和二十二年勅令第一号により公職追放を受けるに十分の理由があると認められたからなのでございまして、政府のとりましたる公職追放の措置は、これを要するに最高司令官の意思に基いてそれをなしたものでございます。  なお同君ら十八名に対しまする検察庁の処置は、個人の刑事上の責任の有無を捜査するものでありまして、その証拠の採用その他手続等一切は、刑事訴訟法の制約を受けるものであります。然るに公職追放は、右の司法措置とは異なる純然たる行政措置でございまして、その証憑資料の採用及び理由の認定等は、刑事訴訟法の制約を受けることなく、司法措置とは関連なく独立して行われるものであります。その措置の効力は、司法処分の有効無効、又はその進展及び結末如何とは何らの関係なく持続するものでございます。(拍手)      ——————————
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事に報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日衆議院から、左の内閣提出案を受領した。よつて議長は即日これを外務委員会に付託した。  旅券法案  国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件本日委員長から左の報告書を提出した。  国際小麦協定への加入について承認を求めるの件議決報告書  国際労働機関憲章の受諾について承認を求めるの件議決報告書  公衆衛生国際事務局に関する議定書を受諾することについて承認を求めるの件議決報告書  国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件議決報告書旅券法案可決報告書      ——————————
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、旅券法案(内閣提出、衆議院送付)、国際小麦協定への加入について承認を求めるの件、国際労働機関憲章の受諾について承認を求めるの件、公衆衛生国際事務局に関する議定書を受諾することについて承認を求めるの件、国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)、以上を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。外務委員長有馬英二君。    〔有馬英二君登壇拍手
  27. 有馬英二

    ○有馬英二君 只今議題となりました(「外務大臣どうして退席したのだ」と呼ぶ者あり)旅券法案につき、本委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本件につき、政府側の説明によりますと、平和條約の調印により、この平和條約の発効に先立ち、最近連合国最高司令部は、従来最高司令部が保持していた日本人の国外渡航に関する許可権を日本側に返還する意向のあることが明らかとなりましたので、占領下に適合するよう制定されました旅券に関する現行二政令を廃し、至急日本政府が自主的に渡航行政を行い得る新旅券法を制定する必要が生じ、この法律案を提出いたしたとのことであります。  本件の内容につきましては、お手許に配付の文書につき御承知願います。本委員会は、十一月十七日外務委員会を開き、質疑の後、討論を経て採決を行いましたところ、全会一致を以て本件は承認を與うべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。  次に議題となりました国際小麦協定への加入について承認を求めるの件につき、本委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  この協定の目的は、公正な安定した価格で小麦輸出国には市場を、小麦輸入国には供給を確保することで、一九四九年三月二十三日にワシントンで署名され、その存続期間は約四カ年後の一九五三年七月三十一日までと定められており、加盟国は現在までに四十六カ国で、この協定に基いて取引される小麦量は世界における小麦取引員の全体の約七割になつております。政府側の説明によりますと、我が国は毎年百五十万トン以上の小麦を輸入しなければならず、この協定に加入し、食糧輸入の一部としてこの協定の規定に従つて毎年小麦五十万トンを買入れる場合には、この協定によらない現在の市場価格による小麦の買付の場合に比較して、約七、八百万ドルの外貨を節約することになります。このことは、在来食糧輸入に重大な役割を占めて来たガリオア資金がすでに事実上打切られたため、食糧輸入が商業資金に依存しなければならなくなつた折柄、外貨資金の節約の面で大きな役割を果すものであるとのことでありました。このような見地から、我が国の希望が本年六月国際小麦理事会において承認され、(「関係大臣どうした」と呼ぶ者あり)輸入保証数量は五十万トンとし、我が国は本年八月一日までに加入書を寄託するという條件が附せられました。この期間は国会が閉会中であつたため、この協定への加入については、国会の承認をばこれを事後に求めることとして、政府は七月二十三日に正式の加入書を米国政府に寄託し、この協定の加盟となつたのであります。つきましては、以上の事情に基いて、この案件について国会の承認を求めるというのが本件の趣旨であります。  本委員会は、本十一月十七日委員会を開き、政府の説明を聽取上、質疑討論を経て採決を行いましたところ、全会一致を以て本件は承認を與うべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(「議長定数を欠いています」と呼ぶ者あり)  次に、議題となりました国際労働機関憲章の受諾について承認を求めるの件につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  国際労働機関、略称しILOは、世界の恒久平和はただ社会的正義の上にのみ樹立され得るという立場から、多数の人民に対する不正、困苦及び欠乏を伴う諸種の労働條件を国際的協力によつて改善して行くことを目的としている国際機関であります。今次大戦までは国際連盟の一機関として活動して参りましたが、大戦後連盟の解消と前後して、その憲章を改正して独立の国際機関となり、且つ国際連合とも協定してその專門機関となつているのであります。その基本文書たるILO憲章草案は一九一九年四月ヴエルサイユ平和会議で採択され、新機関として発足いたしました。その後第二次大戦となり、勝敗が明らかになつた一九四四年五月、フイラデルフイアにおいて開戦後初めて正式の第二十六回国際労働総会が開催され、戰後の新情勢に応じ、国際労働機関の目的及び使命に関するフイラデルフイア宣言を満場一致で採択し、越えて一九四六年九月、第二十九回総会はこの憲章の全面に亘る改正を行い、十月九日改正案を採択し、一九四八年四月二十日に発効したのが現行の国際労働機関憲章であります。現在この憲章に参加いたしておりまする加盟国は六十四カ国であります。政府側の説明によりますと、この機関の使命とするところは、一つは労働條件の国際的な基準、つまり国際労働立法の創設を通じて社会正義を確立して行くことであり、他の一つは更に積極的に世界のすべての国民に完全雇用、生活水準の向上、経済の発展等高度の社会的経済的発達をもたらすことであります。それで我が国がこの機関への加盟が実現いたしますれば、これによつて我が国労働者の福祉が増進されるばかりでなく、更に進んで労使間の関係の円滑化、産業の高度化が促進され、以て我が国の発展に寄與することが大となり、且つ日本の労働條件が法制上完全に国際的水準に達していることを示すことが可能となるとのことであります。かかる見地から政府はこの機関の憲章の当事国となることを申請しておりましたところ、去る昭和二十六年六月の第三十四回国際労働総会において、賛成投票百十七、反対投票十一を以て承認せられましたので、受諾について国会の承認を求めるというのが本案の趣旨であります。なお加盟の効力は、憲章の義務の受諾を正式に国際労働事務局長に寄託したときに発生するものであります。  本委員会は労働委員会と十一月十日連合審査会を開き、政府の説明を聴取し、各委員から質疑がありましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。次いで本十一月十七日外務委員会を開き、質疑討論を経て採決を行いましたところ、全会一致を以て本件は承認を與うべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。  次に議題となりました公衆衛生国際事務局に関する議定書を受諾することについて承認を求めるの件につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  この公衆衛生国際事務局は、公衆衛生、特にコレラ、ペスト、黄熱等に関する事実及び文書並びにこれらの病気を撲滅するためにとつた措置を収集し、締約国に報告することを主なる任務としていて、これが公衆衛生国際事務局設置に関するローマ協定には、我が国は一九二四年三月七日に加入いたしております。政府側の説明によりますと、我が国は去る五月十六日に世界保健機関に加盟いたしましたので、一九〇七年十二月九日に署名された公衆衛生国際事務局設置に関するローマ協定に基いて設立されました公衆衛生国際事務局を解散し、その任務及び機能を世界保健機関に引継ぐことを規定した一九四六年七月二十三日の公衆衛生国際事務局に関する議定書を受諾することが必要となつたので、国会の承認を求めるというのが本案の趣旨であります。  本委員会は本十一月十七日委員会を開き、政府の説明を聴取し、各委員より質疑がありましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。次いで討論を経て採決を行いましたところ、全会一致を以て本件は承認を與うべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。  次に議題となりました国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  国際連合食糧農業機関、略称FAOは、各国民の栄養及び生活を向上し、各国の食糧及び農業の能率を改善しようとすることに努力しておる国際連合の專門機関であり、その基本文書たるFAD憲章草案は一九四三年十二月作成され、一九四五年十月十六日効力を生じ、現在の加盟国は六十六カ国に達しております。政府側の説明によれば、この機関に加入することになりますと、FAOが主催する諸国際会議に参加し、栄養、食糧及び農業の問題について我が方の希望、主張又は要求を述べ、又各国代表と直接折衝する機会を得、世界の食糧及び農業問題について情報及び資料の提供を受け、食糧及び農業問題に関して技術の相互交換を行い得る等の種々の利益するところが多いのであります。こうした見地から政府はFAOの憲章の当事国となることについて手続中のところ、今般FAOの事務局長から日本の加盟申請書を受領したこと、日本の加盟申請は来る十一月十九日からローマで開かれるFAOの総会に提出されること及び我が国によるこの機関の憲章の受諾書は総会の開会前に事務局長に送付することが望ましいことを通知して来ましたので、国際連合食糧農業機関憲章を受諾したい。よつてこの案件について国会の承認を求めるというのが本案の趣旨であります。なお加盟の効力はその国が憲章の受諾書を寄託したときに発生するものであり、その他この機関の目的、事業等についてはお手許に配付の文書につき御承知を願います。  本委員会は本十一月十七日農林委員会と連合委員会を開き、政府の説明を聴取し、各委員より質疑がありましたが、詳細は速記録に譲りたいと存じます。次いで外務委員会を開き質疑の後討論を経て採決を行いましたところ、全会一致を以て本件は承認を與うべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。    〔「定足数なし」「定足数ありません」「進行」「定足数」「数えて下さい」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 只今議員の出席を求めておりまするから、暫らくこのままお待ち下さい。    〔「進行々々」「議事進行」「共産党がいないね」「正確に数えて下さい」「もうあるだろう」と呼ぶ者あり〕
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより採決をいたします。先ず旅券法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、国際小麦協定への加入について承認を求めるの件、国際労働機関憲章の受講について承認を求めるの件、公衆衛生国際事務局に関する議定書を受諾することについて承認を求めるの件、国際軍官食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件、以上四件の問題に供します。委員長報告通り四件に承認を與えることに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて四件は全会一致を以て承認を與えることに決しました。      ——————————
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して農林業振興基本政策確立に関する決議案(羽生三七君外二十六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  本決議案につきましては、羽生三七君ほか二十六名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  37. 羽生三七

    ○羽生三七君 只今議題となりました農林業振興基本政策確立に関する決議案の提案理由を御説明申上げます。  先ず案文を朗読いたします。    農林業振興基本政策確立に関する決議   かねて政府は、わが国が国際連合食糧農業機関に加盟することを希望し、今回これが憲章を受諾することについて国会の承認を求めた。   この憲章は、その前文において、この憲章を受諾する国の決意を明記している。然るに、わが国の農林業政策は果してこの決意に副つているか、かえりみて甚だ忸怩たるを得ない。   講和後におけるわが国自立経済の確立と民生の安定を図ることは政府の重要使命である。然るに、政府の施策中、特に農林業政策を見るに、及ばざるところが尠くなく、且つ一貫性を欠き、ために農業者は不断の動揺にさらされ、生産に対して積極的熱意を持つことが困難と思われる状態にある。かかる條件の下においては、自立経済の基盤は確立せられず、ひいては民生の安定を期待することも至難と言わなければならない。   年間千数百億円にのぼる食糧の輸入を最大限に節約するに足る食糧自給度の向上は、わが国農業が当面する重大な課題であると共に、経済自立の緊切な要件であつて、これは決して狹隘なアウタルキーを意味するものではなく、寧ろわが国工業が要求する重要原料の確保に必要な外貨に余裕を與えるという積極的役割を果すものというべきである。   かかる意味において、政府は農林業生産力の発展強化を図るため、速やかに、一貫した、長期不動の政策を確立し、これを完遂するに足る経費を確保すべく財政的、資金的処置を講ずるの要切なるものがある。   わが国が国際連合食糧農業機関憲章を受諾し、世界農業機構の一環につらならんとする今日、右の趣旨に沿つて政府の断乎たる措置を要求する。   なお政府は右に関する具体的方針を決定し、できるだけ速やかに本院に報告せられたい。   右決議する。  以上がこの決議案の趣旨でございます。只今外務委員長報告にありましたように、国際連合食糧農業機関憲章を受諾し、且つ又国際小麦協定への参加も我々は承認を得たわけであります。こうして日本農業がいよいよ国際農業の一環としての役割を果さなければならない時期が到来したわけでありますが、顧みて今日の日本の経済の状態を見まするならば、講和の批准はいよいよ成立せんといたしておりますが、講和成立後の日本経済の状況を展望いたしますに、その前途は極めて多難なるものがあると想定されます。即ち朝鮮、台湾、満洲、樺太等を失つた今日の日本が、この資源の大部分を外国からの輸入に依存しなければならず、加うるに国内における人口の過剰は戦前に比べて非常に多く、今や八千数百万の人口を数えるに至つております。この際、私ども日本の農業生産力の基礎を拡大いたしまして、年間千数百億円に上る輸入食糧費を節減することは、我が国自立経済の緊要なる條件であると考えております。今や日本の手持外貨は約五億ドル程度と想定されておりますが、若し政府が食糧統制撤廃の前提といたしました輸入食糧の総額約三百七十万トンの確保ということが現実の問題となつて参りますならば、これに要する経費は年間約四億数千万ドルであります。これは日本の手持外貨五億ドルの大部分を消費するものでありまして、このような経済の中で、日本の自立が達成され得るや否や極めて疑問なるものがあります。本月八日の新聞を見まするならば、イギリスは内閣が更迭をいたしましたが、イギリスの大蔵大臣の最初の施政方針演説におきまして、イギリスはイギリス国家の経済再建のために極力輸入を節減し、でき得べくんば食糧についても重大な規制を加えるということをイギリスの新蔵相は声明せられております。我々は今日イギリスと引比べまして、更に困難なる経済的地位にある国であると、この国を判断をいたしておりますが、この日本においてこのような莫大なる食糧輸入費を、年間その都度支拂い得るや否やということは、これは困難であるということは申上げるまでもないことであります。  然るに先に政府は食糧統制撤廃を企画いたしまして、諸般の事情によつて一たびはこれが中止せられましたが、私どもは経済の合理性というものは自由経済によつて確立せられますが、社会的合理性は必ずしも確立せられないと信じております。これは日本の農業生産の基盤を十分に拡大して、一面においては農業生産者の地位を確保し、農業の拡大再生産を図つて、先ず農業者の地位を安定し、延いては食糧増産の結果として、この一般消費者大衆にも十分な経済的余裕を與えなければならないという立場から見まして、政府の食糧統制撤廃案とは非常な大きな違いを我々は持つておるのであります。併し今日私はその問題を論議するのが趣意ではございませんので、これについては多くを申上げません。ただここで申上げたいことは、これらの政策を見ておりまするに、政府の施策に必ずしも一貫性がない。例えば過ぐる国会におきまして、曽つて食糧確保臨時措置法の一部改正案を議会に出したことがありますが、これは審議未了に終りました。その際に、一面においてはやはり食糧統制の一部解除を計画された。又今回におきましても同樣に、一面においては食糧統制撤廃を企図されながら、而も今回やはり二千五百五十万石というような過大な割当を農民に背負つてもらわなければならないというような矛盾した政策がとられておる。この一貫性のない政策では農民は十分に安心をして農業生産にいそしむことができないのであります。この意味におきまして、私どもは消費者大衆と農業生産者の立場との両面から見ましても、日本のこの政府が確乎たる農業政策を立案いたしまして、この立案に基いて或いは土地改良を行い、或いは農業技術の改善を行い、或いは畜産を導入し、その他農業政策万般に亘りまして、確固不動の政策を立案いたしまして、これに要する経費を年間相当額国家財政のうちから支出してもらいたいというのが我々の念願であります。年間千数百億円に上る莫大な輸入食糧費を出すことを思いますならば、この何割かを節約することによつて日本の農業再生産発展の基礎に国家資本として投下することは必ずしも不当なる要求ではございません。(拍手)なお又、当院の去る本会議において私触れたことがあるのでありますが、しばしば政府は資本の蓄積ということを言われておりますが、資本の蓄積は必ずしも大資本の蓄積を意味するものではないと思うのであります。農家が或いは土地改良を行い、或いは農業技術の改善を行い、或いは家畜を導入し、或いは台所を能率的に改善する等、農業者が明日の生産力を高め得られるような、そういう施策に対する国家の助成というものは單なる涙金ではなしに、これは農業再生産力の発展を通じまして、何年か後には再び利潤を伴つて政府の懐ろに跳返つて来る国民的資本の蓄積であると、私どもは解釈いたしております。  この意味におきまして、政府が相当額の予算を計上して、この日本の食糧自給度の向上を図るということは、決して単なる国家の損失を意味する財政的負担ではなしに、将来の日本の自立経済の基盤を拡大し、延いては日本経済の発展のために重大な寄與をなし得るものと私は解釈をしているのであります。こういう際に、只今申上げましたように国際連合食糧農業機関憲章を受諾し、或いは国際小麦協定に参加をいたしましたが、この国際小麦協定への参加は日本農業の将来に又重大なる課題を與えております。併し時間がございませんので、私はその詳細に触れることは避けますが、諸般の点からいたしまして、政府がこの際一貫した農業政策を立案し、これを保障するに足る財政的支出を十分考慮せられることが、私どもの心から念願してやまないところであります。  今回この国際連合食糧農業機関憲章の受諾に当りまして、この憲章の第一條の3の(c)項を見ますると、次のように書いてあります。「一般に、前文に掲げるこの機関の目的を達成するために必要且つ適当なあらゆる行動をとること。」ということが各国に要請されております。従いましてこの憲章を受諾した今日、日本の政府におかれましては、特に農林省を中心に適切な農林業の振興の基本的な対策をとつてもらいたいと念願しているのであります。私ども委員会審査省略で当議場に発案をいたしましたが、農林委員会におきましては、與党野党の差別なく、若し確固たる政府の一貫した農業政策が立案せられますならば、政府の更迭等の有無にかかわらず、あらゆる政党、あらゆる内閣が、十分この日本の基本的な農業政策の確立に値するような立派な政策案ができましたならば、すべての人がこれに協力するということが懇談的に話合われたのであります。これらの意味をお考え願いましても、これが単なる一党一派の党略によるものではなしに、飽くまで日本農業の基盤の拡大と再生産力の発展が、重大な日本の自立経済の基礎を確立する上に役立つという大きな意味も含めておりますので、政府もこの点については十分な対策を立ててもらいたいと思いますし、我々の提案の趣旨を諒とせられまして、議員の皆樣におかれましても、絶大なる御賛成を念願してやまないのであります。  以上を以ちまして提案の理由といたします。(拍手
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通知がございます。発言を許します。池田宇右衞門君。    〔池田宇右衞門君登壇拍手
  39. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 私は自由党を代表して、只今議題となりました農林業振興基本政策確立に関する決議案に対し賛成いたすものであります。  内外を通じて社会情勢の大転換期に際し、特に我が国といたしましては、講和の成立と共に国の建直しをしなければならない極めて重大なる時局に当つて、あらゆる惡條件と闘いながら、営営たる努力を以て重要国策の樹立実行に邁進している政府の労は、これを多とするものであります。併しながら政府においても、必ずしも現状を以て満足しておるものではなく、更に適切なるところの政策を立案し、これが実行を期しておられることと確信するのでありますが、かかる努力にもかかわらず、悲しいかな戦争によつて国力を消耗し蓋し、経済力が極めて貧弱であつて資力に乏しく、ために宜しく雄図を抱いて、徒らにこれが実行に手をこまねいていなければならない政府の意中は誠に同情に堪えないのであります。(笑声)併しながら農林業は国本培養の基礎でありまして、経済の自立も民生の安定も、すべてその源をここに発していると言つても過言ではないのであります。従つて農林政策は他に優先して確立しなければならないと存じます。政府はかねて国際連合食糧農業機関に加盟を決意し、今回これが憲章の受諾について国会の承認を求むるに至つたゆえんも、その意図はまさにここにあるものと考えるのであります。  然るに今や我が国の農林業は、外は外国農業との競争におきまして、内は累積する惡條件のために漸次衰退の途を辿り、今日これが根本的対策を確立しなければ禍根を将来に残すこととなり、実に重大なる局面に当面していると存ずる次第であります。次々と起つて来る幾多の大きな困難を思い合せますとき、各方面に亘つて今日ここまでやり遂げて来た政府の労は買われなければならないのであります。(笑声)併し農林政策に対する政府の不断の努力にもかかわらず、この問題の重要性に鑑みますとき、その施策は遺憾ながら未だ必ずしも十分とは申しがたいのでありまして、農林政策の不振は過去において歴代内閣を通じて蔽うことのできない事実であるのであります。問題は極めて重要でありまして、困難に籍口していやしくもその対策を忽かせにすることが許されないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  かような際におきまして、而も国際連合食糧農業機関憲章受諾の意義ある日に今回の決議案が提案され、政府を鞭撻して我が国農林業振興のため一貫した長期不動の基本方策を樹立せしめ、これが完遂に対して断固たるところの措置を講ずるということを促すに至りましたことは、誠に機宜を得た取計らいと考えまして(「その通り」と呼ぶ者あり)衷心より賛成するのでありまして、政府におきましては、よろしく決議の趣旨を尊重し、速かに適切なるところの措置をとり、内外の輿望に応ぜられるよう切望いたす次第であります。(拍手
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。  只今の決議に対し、農林大臣から発言を求められました。根本農林大臣。    〔国務大臣根本龍太郎君登壇拍手
  42. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 本日国際連合食糧農業機関憲章受諾並びに国際小麦協定参加に関する承認を契機といたしまして、本院におきまして、我が国農林業振興基本政策確立に関する決議案が成立いたしましたことは、誠に時宜に適したものでございまして、政府も又この趣旨を体しまして、あらゆる施策を集中いたしまして、我が国農林業振興基本政策の樹立に当りたいと存じます。(「大臣をやめんうちにやれよ」と呼ぶ者あり)なおこの基本政策は農林省が主体ではありまするけれども、御指摘のごとく我が国自立経済確立の基本的條件であり、又政治的安定の基礎問題であると存じます。この意味におきまして政府は一体となりまして、御趣旨に副いましてこの決議の実現を期する次第でございます。(拍手
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 議事の都合により暫時休憩いたします。    午後四時二十九分休憩      ——————————    午後十時五十七分開議
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。  この際、日程に追加して、会期延長の件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。議長は衆議院議長と協議の結果、国会の会期を十一月二十八日まで十日間延長することに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  46. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて会期は全会一致を以て十一月二十八日まで十日間延長することに決しました。  次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後十時五十九分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、講和会議派遣議員報告  一、日程第一乃至第五十七の請願  一、日程第七十乃至第八十五の陳情  一、日程第五十八乃至第六十九の清願  一、国会の権威と国会議員身分尊重に関する緊急質問  一、旅券法案  一、国際小麦協定への加入について承認を求めるの件  一、国際労働機関憲章の受諾について承認を求めるの件  一、公衆衛生国際事務局に関する議定書を受諾することについて承認を求めるの件  一、国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件  一、農林業振興基本政策確立に関する決議案  一、会期延長の件