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1951-11-02 第12回国会 参議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二日(金曜日)    午前十時十一分開議     —————————————  議事日程 第十二号   昭和二十六年十一月二日    午前十時開議  第一 未復員者給與法等の一部を改正する法律案長島銀藏君外十八名発議)(委員長報告)  第二 日本国憲法八條規定による議決案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)     —————————————
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、未復員者給與法等の一部を改正する法律案長島銀藏君外十八名発議)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長長島銀藏君。    〔長島銀藏登壇拍手
  4. 長島銀藏

    長島銀藏君 只今議題となりました未復員者給與法等の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査経過並びに結果の概要について御報告申上げます。  未復員者給與法という法律は、昭和二十二年十月十五日、法律第百八十二号として、元の陸海軍に属しておりました軍人軍属で未復員中のものを対象とし、それに対する各種の給與規定した法律でありまして、これまで前後七回の改正を経ているものであります。この法律規定されておりまする給與の種類は、月額千円という未復員者本人の俸給のほか、扶養親族に対する扶養手当帰郷旅費遺骨引取経費遺骨埋葬経費、それと復員患者に対する療養及び障害一時金であります。今回復員患者に対する療養期間を更に延長すると共に、障害一時金を増額し、診療録その他帳簿を検査し、療養を適正ならしめることが必要となつて参与ました。これが本改正案が提出された理由であります。  先ず療養に関する改正について申上げます。この療養と申しまするものは、昭和二十三年十二月二十九日、法律第二百七十七号による本法改正で附加された規定に従つて実施されるようになつたものであります。即ち傷を受け、或いは病にかかつて引揚げて来た復員患者に対しまして、国はその患者復員してから三カ年間、又は昭和二十三年十二月二十九日から計算して三カ年間、必要な療養を行い得ることになつているのであります。この規定により療養を受けた件数を調査いたしましたところ、昭和二十四年一月以降五万一千余件に達しているのでありまして、現在もなお六千六百三十名の復員患者諸君療養を受けておる状態であります。然るにここに問題となつて参りましたのは、只今申上げました現に療養中の患者六千六百三十各の八九・三%に当る五千九百二十人の諸君であります。これらの諸君は、療養條項が未復員者給與法中に附加されました昭和二十三年十二月二十九日以前に復員しておられます関係上、規定によりますれば、本年十二月二十八日を以て療養期間が満了いたすのであります。而もこれら療養期間満了予定患者の大部分を占めまするものは結核性疾患患者、それに次いで精神病者外傷患者その他となつておりまして、今後なお若干期間療養を必要とする者が大部分であります、これらの患者諸君から、この間の苦衷を訴える声は、在外同胞引揚問題に関する特別委員諸君が、実にしばしば耳にされたところであり、又熱烈なる陳情書委員会には文字通り山積いたしておるのであります。特別委員会におきましては、すでに第十一国会におきましてこの問題の審議を開始し、休会中も継続審査に付し、数回に亘つて審議を重ねましたほか、国立病院等につき、つぶさにその実情等も調査をいたしたのであります。本国会におきましても、引続き審議を継続し、又各方面との折衝もいたし、漸くにしてこの改正案を得たのであります。  本改正法律案によりますれば、療養期間につき、現行規定による療養期間満了後も引続き更に三カ年間療養の必要があると認める者に対し国は療養を行い得ることといたしたのであります。それは他の法律との振合いも考え、又実情につき検討を加えましたる結果によるものでありまして、事実本年末から療養期間を更に三カ年延長いたしますれば、該当する大部分患者は回復いたしまして、社会復帰を準備し得る見込であります。のみならず、これら療養中の諸君は、例外は勿論ありまするが、大部分は将来自費を以て療養を継続するほど経済的に恵まれてはいないのでありまして、生活保護法の適用を受ける等、ためにいろいろと心配を重ね、結局は従来通り国費による療養を行うことになろうと予想される点もありまするので、この際、本法改正して、療養期間延長し、大方の輿望に応えることが最も妥当なりとの結論に到達したのであります。この療養期間延長のため必要といたしまする経費も二十六年度の当初予算五億一千六百万円の範囲内で賄えるのでありまして、本年度は別に予算の追加をいたさないでもいいという実情なつておるのであります。  次に障害一時金の改正について申上げます。障害一時金と申しまするのは、只今申述べました国で行う療養を受けた復員患者が治癒したとき、又は治癒はしないが療養期間が満了したとき、身心に残つている障害程度に応じ患者に支給する一時金のことでありまして、現行では最低八百円から最高一万九千円までとなつているのであります。元来この金額が定められましたいきさつを申しますると、指令によつて、非軍事的理由に基因する同程度不具癈疾者に與えられる最低額を超えてはならないとされましたために、厚生年金保険法中に規定してある障害手当金を採上げ、これと同率にその定額が定められているのであります。然るに厚生年金保険法障害手当金は本年二月一日からすでに二倍に増額支給されておりまするのに対し、障害一時金は従前通り据置かれておりまするので、それと平行し、四月一日に遡つて現行定額を二倍として支給するよう改正をいたしたのであります。これに要しまする経費といたしましては、前に申述べましたる療養期間延長が実現いたしましたる場合におきましては、その支給を受くべき該当者が著しく少数となりまする関係から、障害一時金の定額を二倍に増額しましても、昭和二十六年度当初予算一千百万円よりも遥かに少額の三百五十万円程度となる見込であります。  改正の第三点は、未復員者給與法による復員患者診療に当つている病院等につきまして、必要がある場合には診療簿等の検査を行い得るようにいたしたことでありまして、その目的とするところは療養の実施を更に適正ならしめんとするところにあるのであります。  なお、ここに一言附け加えたいことがあります。もとの軍人軍属という身分を持たなかつた在外一般邦人対象とする特別未帰還者給與法という法律がありまするが、この法律では、いわゆる特別未帰還者に対し、未復員者に準じて諸給與を行うよう規定されてあります。従いまして、只今議題なつておりますこの改正法律案が実施されれば、これはそのまま現在療養を続けている特別未帰還者に対しても適用されることになります。が、その該当患者は十七名であることを報告いたします。  以上が今回未復員者給與法の一部を改正せんといたしておりまする要点と、その理由概要でありまするが、御承知のごとく、戰傷病者戰歿者遺族に対する世人の関心は、只今非常に強くなつて参つております。今、この案のごとく未復員者給與法改正されまするならば、現在療養中の六千余名の患者諸君及びその家族、その関係者の安堵と喜びは申すに及ばず、戰傷病者等の問題に関心を持つ人々の喜びも察するに余りあるものがあると確信いたしておるのであります。  本改正案は、去る十月三十一日、在外同胞引揚問題に関する特別委員会委員発議者なつて提案されました法律案でありまして、即日在外同胞引揚問題に関する特別委員会に付託せられました次第であります。併し委員会としましては、本法律案につきましてはすでに愼重審議済みでありますので、委員会を開き更に審査いたしましたが、別段発言もなく、直ちに採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定した次第であります。  以上簡單ながら御報告申上げます。(拍手
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、日本国憲法八條規定による議決案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。    〔河井彌八君登壇拍手
  8. 河井彌八

    河井彌八君 日本国憲法八條規定による議決案内閣委員会においての審査経過並びに結果を御報告申上げます。  内閣委員会は、本件につきまして予備審査と共に二回委員会を開いたのであります。そうして昨日の委員会におきまして、これを承認すべきものと議決いたしたのであります。この案の内容と審議経過とを概略御報告申上げます。憲法八條には「皇室財産を讓り渡し、又は皇室が、財産を讓り受け、若しくは賜與することは、国会議決に基かなければならない。」と規定せられております。この規定を執行するために、皇室経済法第二條の規定並びにこれを受けました同法施行法第三條及び第五條の規定が設けられておるのでありますが、これらの規定によりますと、皇室に属する同一のかたが、一年内になされる賜與総額は、天皇陛下及び内廷にある皇族におきましては、それらのかたがたを通じまして百二十万円、その他の皇族におきましては十五万円に達した後は、その後の期間においてなされるものは、すべて国会議決を要することになつております。而して本年度におきましても、すでに二百五十万円までの額を賜與することができると議決されてあります。  本議決案提案理由として政府の説明するところによりますと、去る五月十七日に貞明皇后が崩御せられましたので、天皇陛下及び秩父宮雍仁親王、高松宮宣仁親王三笠宮崇仁親王、三殿下が貞明皇后から相続なされました御遺金を救癩事業の資に当てるために、この御四方から賜與されるのでありまして、この際、御四方昭和二十七年三月末までの間において別に二百万円を賜興することができるように国会議決を求めるというのであります。なお、この二百万円は、御遺産即ち動産、有価証券現金総額五百八十九万二千余円の中から、御遺産に課せられますところの相続税等を差引きまして、これは現金及び有価証券から出しまして、その残余の百九十七万六千五百余円というものに内廷費の中から端数金額を附け足しまして二百万円とするのであります。  内閣委員会は二回委員会を開きまして、愼重に審議をいたしまして、次の諸点を明らかにいたしたのであります。その第一点は、現在の癩病患者の総数は概算一万五千人ぐらいあるということ、そうして現在これに対しまして病床が一万二千ベツドぐらいあるということであります。第二点は、皇室憲法八條議決に基いてなされる賜與は、お見舞と御奨励ということに大別されるものでありまして、現在までに賜與せられた金額は、昭和二十四年度におきましては百二十三万円、二十五年度には二百七万余円、それから二十六年度には十月までの分が百九十一万円であるというのであります。これはすべて内廷費の中から支出されておるのであります。第三点といたしましては、今回この議決案によりまして賜與の予定されておりまする団体は財団法人癩予防協会であります。この癩予防協会は、特に貞明皇后が非常に御関心を持つてお盡しになられた尊い事業であります。そうして昭和五年十一月に御手許金十万円を御下賜せられましたので、それで、その時の安達内務大臣子爵澁沢榮一氏とが設立者なつて、昭和六年の三月にこの協会が設立せられたものであります。この協会は今日は資力も乏しくなり、組織も十分でないという事実がありまするので、このたび、この賜與機会といたしまして、厚生省と民間有志とが協議いたしまして、民間から二億円の資金を募つて、そうしてこの仕事を十分に実行するように、即ち貞明皇后の御遺志を一貫して徹底するように計画が立てられているということでありました。  これらの諸点を明らかにいたしまして、討論の段階に入りましたところが、竹下、三好両委員から、本議決案によるところの賜與は我が国の現状に照らして最も適切なことであると認め、又これを機会として、貞明皇后の思召に十分副い得るように、癩予防事業について政府が一層の努力をすることを要望するという意味の賛成発言がありまして、本案採決いたしましたところが、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。  これを以て報告を終ります。(拍手
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時三十三分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 未復員者給與法等の一部を改正する法律案  一、日程第二 日本国憲法八條規定による議決案