○兼岩傳一君 私は
通産大臣にお尋ねしたいのでありますが、私のこれからお尋ねしようとする問題は、去る本
会議の総理に対する
一般的な
質問におきましても、又この
委員会の劈頭においても行いましたところの総括
質問におきましても、繰返し私が
質問いたしました中国との交易の
日本の
経済において占める重要性、
従つてこの平和條約が
締結されました今後の
日本の
経済的な歩みにおいて、中国との
経済提携においてどういうやり方をするかということが、私は今後
日本の
経済的な運命に対して、
従つて政治的な運命に対しても決定的に重要であると考えますので、この点を
通産大臣から明らかにされたいと思うのがこれからの私の
質問の骨子なのであります。ところがこの重要極まりない
経済的な問題に対して吉田首相は常に答えようとしない。彼のサンフランシスコにおける演説を引用いたしましても、事実よりも重要性を誇張されておることはいけないとい
つたまでだというような、抽象的な言葉の遊戯というべき答弁をしておられ、内容は挙げて
通産大臣以下に一任しておられる。ところが
通産大臣は高齢且つ最近台閣に列せられたかたでありますので、私はこの
経済問題は、これは科学的な問題でありますし、同時に非常に政治的な問題でもありますけれども、精密な
統計資料の上において論議せられるべき問題であ
つて、徒らに声を大にすべき問題ではないと思います。
従つて私は必ずしも
通産大臣の御答弁を求めません。雲のごとくおられる
通産省の
局長以下の担当官、或いは
経済安定本部のこれに関連する吉田内閣の持
つておられます官吏群の中で、最も俊英を
一つ繰り出して頂いて結構でありますから、私の以下の幾つかの
質問に対して、綿密な、且つ科学的な答弁が頂きたい。ところが
通産大臣は、今日お聞きしますと、もうすぐこの席をお立ちになるようでございますので、ただここでは答弁を頂くと言うよりも、私のこれから申上げます
質問の骨子だけを大臣に理解して頂きまして、具体的な一問一答は、午後大臣が最も適任と認められる
局長なり、課長、場合によれば担当官でも結構でございますから、十分科学的にこの私の
質問に納得できるようなかたをお手配頂く
意味において私の
質問の骨子だけを申上げます。細かなことはあとで申上げますが、大きな骨子はこういうことなのであります。
第一の
質問は、中国との交易を、過去の戰争から戰後現在までを通した一切の
日本の
経済の足取りから考えて、およそどのように考えておられるか。総理が事実よりも重要性を誇張してはいけないというならば、誇張しない重要性をどう見ておられるか。その重要性をそう見られるためには、どのような数字的根拠と、どのような
経済的な将来の見通しの上に立
つておられるか。或いは現在や
つておるような
アメリカから高い重工業
原料と、地中海の
方面から高い化学工業の
原料を得て、これを東南アジアに売
つて行くというような形で、果して
日本の
経済が今後維持できて行けるかどうか、こういう点が第一点でございます。
それから第二点といたしましては、これは今日の五日のワシントンから坂井特派員が発しておりますところのソ連圏
貿易についての電報でございますが、これによりますと、去る九月二十七日ホワイト・ハウスの
国家安全保障
会議の報告において、
日本のこの問題について論じておりますが、その報告によりますと、
日本と中共
地域との
経済関係を検討いたしまして、今のような状態で
日本の
生産品が中共に
輸出されない場合には、恐らくは中共はソ連ブロツク内にその
供給を求めるようになる。こういう事態を長く続けて行くと、中共の
市場に対して
日本が
原料を買うにしろ、
製品を出すにしろ、
市場を永久的に失う危險性を持
つており、これは
日本経済にと
つて極めて重大である。例えば鉄鉱石をマライやフイリピンから
輸入するには、先ず東南アジアを開発しなければならない。それからコークス用の石炭や鉄鉱石を
アメリカ又はインドから
輸入しておると、船舶不足と運賃高で非常に高いものにつく。それから落花生、樟脳のごときも東南アジア、南アジアから継続的に今後
輸入して行くということは非常に適当でない。それからチエツコスロヴアキアから昨年
輸入した肥料用苛性加里も、これを他に求めることは非常に困難である。それから大豆も中共以外から得ることは非常に困難である。それで、今後
日本の自立
経済を達成する上において必要な
原料を、中共又はソ連ブロツクから
輸入し、その代償として
製品を外国へ
輸出する場合に、バトル法、現在
アメリカがバトル法によ
つてこれをやろうとしております。この第一次重要戰略
物資品目、第二次戰略
物資品目、こういうふうな点も明確にされまして、
一つこの
講和條約との関連において、
日本が果して、
経済自立を達成する上において、吉田内閣を
代表されるところの総理がこのサンフランシスコにおける演説、こういう
考え方で本当に
日本の自立が達成できるかどうかということに対して、私は衷心から疑問を持
つておりますし、私自身といたしましても、
日本の復興と建設の
根本的な基礎が
経済にあり、この
経済の基礎は大陸、特に中国との
経済提携を基礎にする以外にはできないという点においては、この十数年来自分としては勉強して参
つたつもりでございますので、こういう点につきまして
一つ明確な御教示がありたい。これが
通産大臣に対するこれから午後ずつと、必ずしも大臣でなくても結構でございますから、具体的に
質問を展開したい二つの要点でございます。取りあえず何か
通産大臣から一言聞かして頂けるならば聞かして頂きたい。