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1951-11-24 第12回国会 参議院 文部委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十四日(土曜 日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            平岡 市三君            高良 とみ君            荒木正三郎君            堂森 芳夫君            駒井 藤平君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   衆議院議員    浦口 鉄男君   政府委員    文部省社会教育    局長      西崎  惠君   事務局側    常任委員会専門    員       石丸 敬次君    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   衆議院事務局側    常任委員会専門    員      横田重左衞門君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○博物館法案衆議院提出)   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の会議を開きます。  日程第一、衆議院議員若林君外九名提出博物館法案、これを上程いたします。本法案衆議院を通過して本院に送付されておりますので、本日より本審査を開始いたします。先ず一般質問を始めます。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 提案者に伺いますが、この博物館法案社会教育の場としての博物館、それから図書館公民館これらは一貫したもので、その中の博物館法的基礎を与える趣旨においてこういう適宜な立案をされたと考えるのでありますが、この法案立案に当つてすでに法的基礎付けとしては公民館図書館との関連をどういうように考慮されて立案されたか、その点お伺いいたしたいと思います。
  4. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) 仰せの通り社会教育法に基いて図書館法なぞとの姉妹篇として考案いたしたのでございますが、特に博物館法の中で重く見ましたのは視覚教育聴覚教育、そういう面において図書館或いは公民館で行えない分をこちらのほうによつて補足強化して行こう、こういう狙いでございます。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 例えば図書館法との調整ですね、組立とこの博物館法案を調整するに当つて、何かその関連性を特別に考慮されたかどうか、そういうところを承わりたい。
  6. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) 先ず第一に図書館法関連を持ちまして職員制度一つ確立しようと考えました。そのほかほとんど全條文に亘り図書館法と表裏一体になるように、大体において骨子を同じような仕組で考えて組んで参りました。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで先ず政府委員に対する質問から入つて行きたいと思います。ここで若林君以下九名のかたから博物館法案なるものが提案されておるわけでございまするが、博物館我が国における設置状況については、この提案理由の説明の中におよそ公私立合せて二百ほどある。そのうち私立博物館が百四十くらいで、現在私立は極めて振わない、こういうことを提案理由の中に書いおりますが、私社会教育局長に伺いたい点は、世界における博物館の大よその設置状況ですね、世界的の情勢、それからその中における日本博物館社会教育面におけるところの状況はどういうふうな状況にあるかという、まあよく振わないということを言われるのですが、その隘路はどういうところにある、文部省としてはこれを分析され、対照されておるか、そういう点についての大まかな点を承わりたい。
  8. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 博物館設置状況欧米各国と比較いたしますと、大体欧米各国では人口十万について約一館ぐらいの割になつておると考えます。日本におきましては人口四十万について一館の割になつておりまして、設置数は非常に数が少いと言えるわけです。設置数余り差がないとも言えなくもないと思いますが、それに比較しますというと経費面内容面を見まするというと雲泥の差があるのでありまして、到底同一に論ずることはできないのであります。殊に甚だ遺憾なことは、欧米各国に参られたかたで異口同音に申されますことは、先ず博物館図書館充実振りでありまして、日本へ帰つて来て異口同音に嘆かれることが図書館博物館の非常に振わないことでありまして、我々もその点に鑑みまして文化国家建設の或る意味でのバロメーターはむしろ博物館図書館振興状況如何にあるとさえ言つても差支えないのじやないか、そういう意味で今後ますます図書館博物館というものを振興させなければならないと思つておるのであります。どういう点に隘路があるかと申しますと、要するにこういう方面に関する関心当局にも、府県市町村或いは文部当局その他にも一般に不足しておつたのではないかということが一つと、民間の一般の世の中の人々がこういうことに関する関心が非常に薄かつた、そのために外国の諸例では、いろいろの財閥がたくさんの経費をこの方面に惜しまずに出しておられるに対しまして、日本ではそういうルートは殆んどないということも一つ原因であつたと思います。まあ何と申しますか、国家的に見ましてこの方面に対してあらゆる層の関心が今までは薄かつたというのが大きな原因ではないかと思つております。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほど私申上げましたが、この提案理由の中に全国で大体二百ぐらいある。そのうち私立が百四十くらいで、その内容は極めて貧弱だ、こういう提案理由を書かれてあるのでありますが、私もちよつと博物館を覗いて見るのでございますけれども、まあ勿論本省直属上野にある国立科学博物館とか或いは文化財保護委員会の所管になつておるところの、やはり上野にある国立博物館、ああいうものは随分すばらしいものだと思いますが、それ以外に私はこれというものを見たことがないのでありますが、ああいうクラスのものは幾つぐらいあるのか。それから二百と更に私立が百四十と述べられていますが、どの程度の規模かということをちよつと承わりたい。と申しますのは、それを承わるわけは、この法案の中に博物館設置基準文部省のほうで設けて教育委員会に示すというような項目がありますので、余りにも現状博物館が貧弱なときに高度の設置基準なんかを定めて示しますというと、今細々ながらも設置して運営している博物館博物館と認められないということになつては困ると思いますので、我が国のその博物館状況が貧弱ならば貧弱な程度において、徐徐にこれを盛り上げて行かなくちやならんと思いますので、そういう大体の状況を承わるわけであります。
  10. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 大体どういう程度充実したかと申しますというと、只今御指摘になりましたように上野科学博物館国立博物館はまあ世界的な水準に行つておると思いますが、その他には殆んど見るべきものがないのであります。と申しますのは大体の運営費を見ますというと、私立博物館におきましては平均三十万円くらいの年額だろうと思います。それから公立につきましてもやはり府県立にいたしまして百万円程度市町村におきましてはまだうんとそれより下廻るような予想をされておるのでありまして、かような少額の経費運営するということは、立派な陳列品を揃えることもできないでありましようし、その他いろいろな活動面におきまして非常な制約を受けてうまく行かないと思います。併しながら只今おつしやいましたように、さような貧弱な現状でありますのに対しまして助長しなければならん現在におきまして、貧弱なるが故にこの博物館法保護を受けないというようなことがあつてはなりませんので、将来ますます育てるという意味でどこまでも面倒を見て行きたいと思つております。ただ設立者関係におきましては、この税金その他いろいろな保護を与えなければなりません関係上、法人宗教法人私立のほうは限つておるのでありまして、その点においては制約が絶対的のものでありますけれども、内容面におきましては助長によりましてレベルまで引上げて来るようにいたしまして、こういう内容で貧弱なるが故にこの法の適用を受けないということのないようにいたしたいと考えております。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に伺いたい点は、提案者も本法案を組み立てるに当つてはやはり社会教育の場である図書館法的基礎を与えたところの図書館法姉妹篇というような性格で関連付けて法の組立をやられた、こういうふうにまあ只今承わつたわけでございますが、私局長に伺いたいところは、図書館法が成立してから、どの程度図書拡充発展のために図書館法なるものが効果があつたか、その運営実情と更に本日まで法を運用して来た反省というものが、博物館法を審議するに先立つて私はお伺いいたしたいのであります。
  12. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 図書館法お蔭で制定されましたのによりまして相当飛躍的に振興に拍車をかけて参つたと私たち考えております。勿論不十分でありまして、今後ますますやらなければならんと思いますが、非常に振興の機運になつて参つたと思うのであります。これを具体的に説明いたしますと、補助金の面から申しますというと、図書館に対しましては今まで全然補助金というものがなかつたのでありますが、一千万円の補助金が初めて運営費のほうに取れることになりまして、勿論一千万円というのは全国図書館の費用から見ますというと極めて九毛の一毛に過ぎないのでありますが、国家が今まで全然考慮しなかつた補助金お蔭を以ちまして一千万円取れたということは一つ進展であると考えます。  それから従来公共事業費のほうの補助といたしまして図書館公民館というものが非常に等閑にされておつたのでありますが、図書館法規定ができましたために、これも図書館公民館を一緒にいたしまして九百万円の設立補助金が新たに計上されることになつたのであります。で、この九百万円も非常に貧弱なものでございまして、公民館図書館両方に対して九百万円でございますから問題にならん額ではありますが、併しながらこれが初めて制定されたということによりまして誘い水になりまして、各府県では相当図書館拡充に或いは新設に努力をして参つておるのでありまして、この方面に対しまして僅か二、三十万円ずつではありまするけれども、誘い水意味補助をいたしておるのであります。  更に図書館に対しまして専門職員講習によりまして再教育をしなければなりません。そういう意味で六大学においても講習をすでに完了いたしておるのでありまして、そのほうの経費も約八百万円くらいの経費でやりまして、受講済の者もすでに一千人に達しておるような状況であるのであります。なお図書館法施行後増加しました図書館数は、都道府県立で三館できております。それから市立で百館というように非常に画期的な躍進をいたしておるような状況であります。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大変結構だと思うのでありますが、この図書館公民館設立補助費は僅かでありますが、九百万円取れておるわけでありますが、これらに対しては図書館公民館というものはモデル的なものを指定して、特にそれに補助するというような形がとられておるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  14. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) モデル的な規格といたしましてはまだ研究中でありまして、こういう規格に副うものがモデルであるというような発表はいたしておりませんが、非常に各府県から申請されますところの内容を私のほうでその設計図について審査をいたしまして、そうしていろいろこちらの希望を入れて訂正等もして頂きまして、いいと認めましたものを大体図書館十五館、公民館十五館につきまして補助をいたしたのでありまして、今後は研究の結果モデル的な設計全国に表示したいと思つております。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ今まで法的に基礎づけられた図書館とか或いは公民館に処して来られたその基本的な態度というものは、今度博物館法なるものが成立した場合にも大体同じ構想考慮の下に進められる予定でございますか、それとも博物館法に対しては公民館或いは図書館、こういう方面に今まで処して来られたのと違つた角度で別のことをお考えになつておられるかどうか、政府委員の意向をお伺いしたい。
  16. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 博物館公民館図書館というものに比較しましても非常に何と申しますか発展を遂げていませんので、特に補助金その他につきましては格別の考慮を払つて振興さして行きたいと思うのでありまして、来年度予算にも相当額を要求いたしているのでありまして、併しながら我我は大いにそのつもりで努力をいたしたいと考えておりますけれども、公民館全国で分館を合せまして約二万三千の公民館に対して僅か二千万円の運営費補助しかございません。それから図書館は約千五百の全国図書館に対しまして一千万円の補助しかないのでありまして、果して全国二百、二百と申しましても公立にしか補助が得られませんから、公立約六十足らずでございますが、その公立の六十に対してどれだけの補助金が取れるかという点については多少の不安を持つているわけでありますが、成るべくたくさんの補助金が取れますように努力をいたしたいと考えております。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 図書館に勤務している専門職員については相互の講習もやられ、すでにその講習を了わられているかたも千人ばかりあるというような御答弁でございますが、この図書館に勤務している職員のうちで教育公務員特例法適用を受けている人がいますかいませんか。更に今度の博物館法におきましても相当にここに専門職員の資格と、更にその養成ということについて規定されているようでございますが、これらの博物館法に基いて博物館に勤務される専門職員に対して、その一部でも教育公務員特例法適用する所存であるかどうか、答弁して頂きたいと思います。
  18. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 図書館講習を受けました者につきましては教育公務員特例法適用を受けておる者はないのであります。それから博物館も今後講習をやりたいと考えておりますが、博物館専門職員につきましては教育公務員特例法適用を将来受けさしたいというふうに考えておるのであります。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 博物館専門職員には将来適用を受けさす、こういう御意見でありますが、図書館のほうにはどういう考えでありますか。
  20. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 受けさしたいという希望の下に今研究をいたしておるのでありますが、現在講習を受けました者は適用を受けておりません。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 博物館にしても公民館にしても図書館にしても、これは全く兄弟姉妹のような関係で、社会教育の重要な教育の場と考えるのですが、この振興はあなたの今言われるように予算的措置も極めて重大な問題でありますが、それと同時にやはり職員適確者を得るということが又他の面における重大な要素ではないかと思うのでありますけれども、図書館においても或いはここに提案された博物館におきましても、その職員の面とか養成について相当規定がされているようでございますが、これは将来大学講座においてこれらに通じた講座設置について何か構想を持たれているかどうか、又現在の大学講座においてはどの程度考慮されておるか、その点答弁を求めたいと思います。
  22. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 社会教育振興大学におきまして社会教育に関する講座を持たれますことは非常に必要だと思うのでありまして、私たち大学当局と懇談の機会にいつもそのことを申上げましていろいろ御考慮を煩すようにお願い申上げておるのであります。幸にだんだんと社会教育に関するものは各学校に考慮されるような状況でございます。只今質問図館のことにつきましては、現在講座を置いております所は、これも図書館法ができてからでございますが、東京大学、京都大学それから東京の学芸大学私立では慶応大学に置いてございます。そういうような情勢は非常に私たちは喜ぶべき情勢だと思いまして、今後その情勢をますます発展さすようにいたしたいと思います。ただ要するに図書館にしろ公民館にしろ博物館にしろ、御説のようにその振興には職員身分の確立ということが必要であると思うのでありまして、そういう点につきましては今後、公民館の問題につきましては今まだ法令上決定いたしておりませんが、博物館図書館は幸いにここで身分が確定いたしましたので、これらを優遇いたしますように今後努力をいたしたいと思つております。何分にも僅かな公民館と僅かな図書館、僅かな博物館でございますので、それにプロパー専門職員のみを養成いたしますということはなかなか需要供給関係で困難な実情にあるのでございまして、現在の我々の考え方といたしましては、教職課程と並びいたすことによりまして、彼此融通してやるような進み方ができ得ることにするよりほかにあるまいというふうに考えております。なおその設置の場所につきましても、多ければ多いほどそれに越したことはございませんが、需給供給関係から考えますというと、国立では一ブロツク大体一つぐらいの所にそういうふうな講座設置して関係職員養成するほうがいいのじやないかというふうな今考え方をいたしております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府委員に対する質問はここで打切りまして、提案者のほうに一言承わりたいと思うのです。最近我が国情勢世界情勢の影響を受けて、その結果、或る程度いたしかたないかとも考えますけれども、曾つて銃器を捨ててペンをとつた日本が、最近再びペンを捨てて銃器をとろうというような情勢下にあるときに、やはり文化国家建設という立場から社会教育重大性を認識され、ここに今まで等閑に付せられておりましたところの博物館発展のためにこういう法案提案されたということにつきましては、私個人としましては感謝の念と敬意を表する次第でございますが、提案者に伺いたい点は、提案者が申されますようにこの博物館法図書館法姉妹篇ということは、これははつきりしていると思うのでございます。図書館法が出て以来相当の実績があつたことは、政府委員が説明されておるところでございますけれども、併し依然として不十分であるし、特に図書館公民館においては……、博物館我が国状況というものは極めて低位にある。これからこの博物館設置運営をこの立法の精神に副つて遂行しようということになれば、やはり先立つものはどうしても予算、こういうことになると思うのでございますが、発議者は第二十四條において博物館設置する地方公共団体に対し予算の範囲内でその維持運営に要する経費について補助金を国から出すということをここに規定されておるわけでございますが、これらの奨励的国庫からの補助というものにつきまして、提案者大蔵当局あたりに或る程度の話合いをされておられるかどうか、今度又この予算確保につきましては、この法案提案されたその筋からいつて、どの程度の決意をなさつておられるか、まあ聞くのは野暮かとも考えるのでありますけれども、提案者に改めてその確信のほどを承わつておきたいと思います。
  24. 浦口鉄男

    衆議院議員浦口鉄男君) 実はこれを提案いたしまして固まるまでの過程におきまして、博物館の性質から申しまして、貴重な資料の散逸を防ぐということから、建物が特に耐火物でなければならないという意見相当強うございまして、そういう面に対する補助金を積極的に獲得するのだと、こういう御意見があつたのでございますが、御承知国家財政とのいろいろ大きな関連があるのでございますので、大蔵当局折衝の結果、額としては非常に少いと存じますが、本年度維持運営に対する補助といたしまして一千万円、なお講習費として二百万円を文部予算の中に繰込みまして只今要求中でございます。
  25. 若木勝藏

    若木勝藏君 提案者のほうに一つ説明して頂きたいと思います。先ほど来矢嶋委員からもお話がありましたが、いわゆる社会教育充実のために取残されておつたところの、社会教育博物館法を制定して、法の整備からしてこの充実にかかるというようなこの御気持に対して私も心から敬意を払うのでありまして、そういう点でいろいろまあ今もお話ありました通り、その提案が出るまでに至つては各方面亘つていろいろ御苦労なさつたろうと思うのでありますが、先ずそれらの点について、この法文に現われている以外に、どういう所にこう御苦心なさつたか、こういうことについて明らかにして頂きたいと思うのですが……。
  26. 浦口鉄男

    衆議院議員浦口鉄男君) 実はこれは第十国会から何回も随分法律の仮案その他について訂正がなされて来たことは御承知のかたもあると思うのでありますが、大体一番問題点は、例えば鉄道との交渉において輸送費の特典、或いは只今矢嶋委員にも御回答申上げましたような予算の問題、それから固定資産税或いは入場税に対する免除というふうな、そういう取り分けこの税金を免除するというふうな面に非常に隘路があつたということを考えております。それからいま一つ曾つてこれはこちらの参議院の立法によつたと思うわけでありますが、国立博物館をも含むべきであるというふうなもので一応折衝があつたわけでございますが、これは現在の段階ではいろいろな面からむずかしいということから除外されたというふうな、以上数点に亘つて交渉がなされたと承知しております。
  27. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は今のお話にもありました通り、この問題は前の社会教育法案或いは図書法、こういうふうなものと同様に法的にこういうものが整備されても、予算が伴わなければ十分その機能を発揮することができない、こういうことについてまあ社会教育法ができて以来考えておるものでありますが、先ほどの御答弁では、予算についても相当御苦労なさつたようなお話でありまして、その点から来年度予算については十分御考慮なさつたろうと思うのでありまするが、先ほどの御答弁で一千万円というのは本年度補正予算で以て要求されたのでありますか。
  28. 浦口鉄男

    衆議院議員浦口鉄男君) 明年度、二十七年度予算でございます。
  29. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではこの法律は公布されてから三カ月以内ということになるのでありまするが、本年度予算の獲得がなくても実施に差支えありませんでしようか。
  30. 浦口鉄男

    衆議院議員浦口鉄男君) お答えをいたします。二十六年度文部省既定予算の中から五十万円だけこれに流用するということになつております。
  31. 若木勝藏

    若木勝藏君 ああそうですが、余り多くないですな。先ず今のお話でもわかる通り予算の面においては非常に貧弱のように思いますので、前に産業教育法というようなものも衆議院のほうの議員提出で両院を通過しておるのでありますが、その後の模様を伺いますというと、あの当時相当衆議院文部委員長予算の点においては心配ない、十分打合せで以て獲得するというようなお話であつたが、現実は非常に危惧の念を深くするような状態であるわけで、これ又同じ運命にならないように一つ考えなきやならんだろうと思いますが、そういう点で提案者のほうでも今後御努力願いたい、こう考える次第であります。  次に政府委員のほうに御質問いたしますが、今私が提案者質問したようなことについては、政府委員のほうにおかれても十分一つ今まで御苦労なすつて下さつたことだろうと思うのでありますが、そういう点から見まして、先ず公民館運営状態が一体どういうふうになつているか、所期の目的のように行つているかどうか、これにつきまして概略でいいですから伺いたいと思います。
  32. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 公民館運営は、私は非常にうまく行つておると思つておりますが、併しながら設置状況が現在では約六二%の市町村設置しておりまして、あとはまだ未設置状況でございます。併しながらこれは昨年に比べますというと、昨年は約五〇%という設置状況でございましたので、この一年間で一二%殖えたという状況でございます。館数にいたしますと、分館合せまして、昨年に比較しまして約六千殖えまして二万三千になつておるのであります。かような数は進展をいたしましても、内容的に進展をしなければ何もならないわけでありますが、公民館の優秀なものを毎年十一月三日に表彰いたしまして、約十館の代表者が陛下の拝謁を受けるという光栄に浴するということが非常な刺戟になりまして、それぞれ公民館運営研究会をあちらこちらで催しまして、その線に沿いましていろいろ活躍をいたしておりまして、当面の社会教育の第一線の場としての使命は、大部分の公民館においては十分果されておると思うのでありますが、なお今後も我々はこの未設置の町村に公民館を普及することと、又運営社会教育の本旨に照しまして十分に間違いなく活発に行われることのために格別の指導をいたしたいと思つております。ただ併しこれに対しまする補助金は前にも御説明申上げましたように我々は非常に貧弱な補助金しか得られないことを非常に残念に思つております。大体社会教育といたしましても、理想を言うならば、少くも経費の半額補助ぐらいまで国が乗り出したいというふうな私は理想を持つておるのでありますが、現在の補助金を以ていたしましても、大体運営費の五%ぐらいの補助にしか当つておりませんので、社会教育公民館というようなものは御承知のように市町村自体の活動としてやるべきものではございますけれども、日本の国情ではもつともつと国が補助助成の手を差延べなければ発達することが困難であると考えますので、この点に関しましても今後とも大いに努力をいたしたいと考えております。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは公民館並びに図書館に対して現在教育で以ていろいろ応援しておる部面ですね。これは補助金お話は伺いましたが、そのほかにどういうようなことがあるのですか。
  34. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 御承知のように公民館にしましても図書館にしましても、社会教育全般は先ず指導者の養成ということが非常に大切でございますので、この指導者の養成につきましては講習会、研究会その他の行事をたびたび行いまして、その素質の育成に努めております。それからなお物資の斡旋、図書の斡旋、例えば優良なる図書につきましては、それを発刊と共にその内容をちやんと向うへ知らせまして、そうしてその購入の便利も図つておりますし、その他図書館或いは公民館で使います機械器具等というようなものにつきましても、いいものが出ますたびにそれを周知せしめるような措置を講じまして、運営上の便利を図るように努力をいたしておるのであります。なお又社会教育関係会議等につきましても、特に忘れられ勝ちな、まあ公民館は忘れられませんが、図書館博物館等につきましては特に強調をいたしております。それから我々のほうで作ります資料の作成ができましたならば、その資料は必らず漏れなく配布するというふうにあらゆる面から努力をいたしておるつもりでございます。
  35. 若木勝藏

    若木勝藏君 次にお伺いしたいことは、先ほども御質問がありましたが、いわゆる基準を設けて一つ博物館の整理が行なわれることになるであろうと思うのでありますが、そういう点から考えまして、現在相当宗教法人とかそういう方面相当の成果を挙げておるものが、そういう基準の設定によつて自発的にやつてつたものが整理されてしまう、そういうふうな憂いはありませんか。
  36. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 先刻もお話申上げましたようにその点は特に考慮いたしまして、設立者方面では特に法人を限定いたしまして厳重にやりますけれども、その内容的なことに関しましては、現在非常に不振を極めておる博物館に対しましては高い基準を設けるというようなことは不可能のことでありますから、特に基準を設けるにつきましても、厳格な、最低線以下に下ることのできないような厳しいものではなく、実情によりましては十分斟酌できるような案といたしまして、そして成るべく上のほうに引上げるように助長をやつて行きたいと考えておりますので、只今御心配になりましたような点が特にないように努力をいたして、既設のものを引上げることに尽力をして行きたいと思つております。
  37. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは最後に一つ伺いたいのは、この法律が若し両院を通過したとすれば、直ちに政府としてもいろいろ地方公共団体に対するところの援助とか或いは設置基準とか、そういうことで以て計画を進めて行かれるだろうと思うのであります。その博物館拡充を図るために大体今これに対する拡充計画というふうなものについて概略どういうふうな案を持たれておるか伺いたいと思います。
  38. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) この法律が幸いに両院を通過いたしましたならば、我々は直ちに所管課長会議を開きまして、その内容を詳しく説明すると共に各府県実情を承わりまして、そこで各府県即応の博物館振興対策を講じて着々実行に移したいと思つております。
  39. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは大体の方針でしようが、実際において全国にどれだけの設置をやるとか、そういうふうな一つの御計画はありますか。
  40. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) これは先刻御説明申上げましたように欧米に比較いたしまして大体異常な開きがございますので欧米並みにこの文化施設を拡充するということは非常に急務だと思うのでありますが、併し日本実情ではなかなかそこまでも参らないと思うのであります。  そこで私たちはどの程度これを普及せしめることが日本実情から見て妥当であるかということにつきまして、独善的でも困りますので、最近さような社会教育施設のための審議機関を設けまして、すでにこれは発足いたしまして、第二回目も先日やつたのでありますが、この学識経験者を集めましたところの人々に、私は日本における社会教育を実施する場所、即ち公民館図書館博物館等の設置の根本方針的なもの、或いは運営の基準、そういつたものをはつきり御研究を願いまして、而もその御研究は早急にお願いするように今お願い申上げておるのでありますが、そういうふうなことによりまして私たちの案を独善的でなく民主的に、而も衆智を集めた方法によりまして出発いたしたいと考えております。
  41. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に総括質問……。
  42. 高良とみ

    高良とみ君 今までの教育が六三制の非常な急速な整備のために殆んどそちらのほうに力が入つておりましたのに対しまして、漸く建設的なこういう文化的な方面に整備がされることは私ども発議者に対しまして敬意を表すると共に誠に喜ばしいことと思うのであります。ただこの博物館法ができ、これが整備して行きまするときに二、三、先ほどお話通り社会教育審議会というようなものの中に、基本的なこういう面がどう扱われておるかということを伺いたいのであります。それはここにあります通り、第三條の中にあります通り「実生活の向上に資し、」「土地の事情を考慮し」と書いてありますが、従来の博物館というと、如何にも古くなつたものを博物館へ入れるというような、非常に古色蒼然とした、又陳列場所等もとかく日蔭の、採光なども十分でないような古い過去的な印象を与えて来たと思うのであります。そうでなく、これはもうこういうものの運営の理念にかかわるのでありまするが、どうしても明るい又幅のある、それを見ることによりそこへ行つて勉強することによつて地方の実生活の向上に資するというような方向に御計画が立つておるかどうか、そういう面は本案の中に私どもは見付けることはちよつと困難なのでありますが、これが根本の理念の上に立つておると思うのであります。殊に最近まで日本の戦災等によりまして過去の生活歴史或いは民芸的なもの、生活史的なもの、郷土文化的なものが随分破壊されたのでありまして、これらがいわゆる博物館学というような学科が将来大学設置されますときに、人文科学学芸員の考えの中に十分に組織立てて取入れられて行く可能性があるかということを一つ先ず伺いたいのであります。
  43. 浦口鉄男

    衆議院議員浦口鉄男君) お答えいたします前に、先ほどの若木委員の御質問にちよつと関連いたしますので補足さして頂きたいと思います。それは法律案は御承知のように設置案でございませんで、任意登録制ということになつておりますので、現在あるものの維持運営について国家が特に補助をされて、成るべくこれを引上げて行きたい、こういうことにありますので、行く行くは何か基準を設けまして積極的に設置すべきだと思つておりますが、現段階はこの法律の趣旨はそこにございますので、一応御了解を願いたいと思います。  只今の御質問に対しましては大変御尤もと思うのであります。何かもう余り役に立たないものは博物館行きだというふうな、そういう印象もございますことはお説の通りと思います。そこでまあこの対象になりますのは動物園でございますとか或いは科学博物館、或いは産業、芸術というふうなものを含んでおりますので、何と申しますか、動く博物館というふうな面で積極的に進歩的な運営を助長して行くというふうに我々は考えているわけでございます。
  44. 高良とみ

    高良とみ君 大体そういう方向にお進みになるものと期待して、将来は明るい、又子供たちが喜んで行くような教育的価値のある博物館運営を基本的な理念に十分入れて頂きたいと思うのであります。とにかく今までも、鉄道博物館とか逓信博物館とかいうようなものはこの中に入つていないんでありましようが、そういうものもとかく過去の問題ばかり取扱いまして、将来の鉄道なり輸送なりをどうして行くかとか、将来の鉄道なり輸送なりをどうして行くかとか、将来の鉄道、逓信行政を、或いは民間の協力をどうして行くかというようなことになりますると、そこに何か欠けていたものがあると思います。殊にこの地方の実情に即した生活の向上に資すというようなことは、目下の急務でありまして、殊に私ども農村の生活水準を高めて行きます上にも今までの織物、料理の仕方或いは住いの仕方、納屋の置き方、動物の飼育法などや、そういう問題から始めまして、農業生産に繋つたものがたくさんあると思う。それをこれは科学でないとか学問で取扱いにくいというふうになつてしまうと、博物館というものが非常に幅の狭いものになるということを考えまして、是非一つ若い人たちが喜んで見に行く博物館運営して頂きたいと思う。つきましては先ほど百万円の補助費の話がありましたが、地方公共団体としても、中央からそれだけの熱意を持つて補助して行こうということに対して、各府県市等がどれだけぐらいの、それに対する何割ぐらいの補助を出す予算を今まで取り、又将来取り得るような御奨励をしておられるか、その点を伺いたい。
  45. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 高良委員からの御質問の点は重々御尤もでありまして、我々はこの博物館を生きた博物館といたしまして、生活に即応するように博物館職員がサーヴイスして行くというところまで行かなければならんと思つております。只今質問の最後の部分の補助金の問題でございますが、これは国が図書館なり或いは公民館なりに対しまする市町村補助金を交付いたします場合に、どれだけ水増しをして府県がやつておるかという御質問だと思うのでありますが、これは各府県によりまして非常にまちまちになつておりまして、非常にたくさん出しておる所もありますし、全然出していない所もございまして、一概には申せないのでありますが、大体我々の常識といたしましては、国が出します補助金より以上の補助を県のほうでも市町村に対してやつぱり出して頂けるように、会議等の席ではお願いを申上げておるのであります。
  46. 高良とみ

    高良とみ君 もう一つ、そういうふうにして地方が熱心に図書館及び社会教育の費用を出すようにならなければならないと思いますが、ここに既設の私立博物館拡充いたして参りまするのは、廃止のこともありますが、新しく寄付行為として設置することの御奨励につきまして何か案がおありになると思うのです。殊に地方では生産の形態も変つて参りまして、大きな養蚕室とか或いは祖先伝来の大屋敷を持つておるけれども、今日はそれに対する固定資産税もかかり、その中にはいろいろな古いもの等もあつて、倉庫等もあつて、そういうものを寄付して行きたい、その場合に常にそれが民間の商取引の対象になりますよりも、何かそういうものを御奨励になりまして、そしてそこに新しい社会教育的な機関に設置して行くような、そういう動きが地方に起り得ないものであるか、或いはそういう御奨励を協議なすつたことがあるかどうか、伺いたいと思います。
  47. 浦口鉄男

    衆議院議員浦口鉄男君) 只今の御質問立案の過程におきましてもそういう意見が大分出て参ります。個人で非常に価値のある物をお持ちのかたも非常に多いのでありまして、これを何とか急速にこの対象にする方法はないかという御質問でありましたが、御承知のように私有財産といろいろ紛更を来たしますので、そういう特別に価値のある物は財団法人を作つて頂いて、私有財産と分離をして頂いて、成るべく早くこの法の適用になるように勧奨したい、こういうふうに考えている次第であります。
  48. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ほかに御意見がなければ、一般質問は終了いたしまして逐條審議に移りますが、便宜上各章ごとに質疑を行うことにいたします。第一章について何か御意見ございませんか。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私これは勉強して来なかつたので、ここで承わるほうが早いからお聞きしますが、この第一章の第九條の「国有鉄道運賃法第八條の規定適用があるものとする。」という、この国有鉄道運賃法第八條の概略を示して下さい。
  50. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) 第八條、ここでちよつと読上げてみますると、(運賃料金の軽微な変更)という見出しがついておりまして、第八條「全体として日本国有鉄道の総収入に著しい影響を及ぼすことがない運賃又は料金の軽微な変更は、日本国有鉄道がこれを行うことができる。」というようになつております。
  51. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと只今関連でありますが、国有鉄道による輸送賃金等は無料になり得るのでありますか、それとも何割引になるのでございますか、その点を伺いたいと思います。
  52. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) その点は細かいことは運輸省の省令で規定してあるのでございまして、割引が主でございます。
  53. 高良とみ

    高良とみ君 何割ぐらい……。
  54. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) その限度も運輸省のほうで規定されております。その都度によつて違うようでございます。
  55. 若木勝藏

    若木勝藏君 この第九條ですね、九條はこれはこの法案には特別関係はないのでしようけれども、この規定国立博物館とか或いは国立科学博物館にも適用されるようなことがありますか。
  56. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) 国立博物館なぞの場合は現在行われておるようでございます。
  57. 若木勝藏

    若木勝藏君 現在行われておる…。何かそれは法的な根拠があるのですか。
  58. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) それは全体的なことであつて、何か特殊なそのときそのときの場合で申出或いは届出によつて行われておるようでございます。総括的に何もかもだというふうにはまだなつていないようでございます。
  59. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういうふうなところは現実にそうなつておるということを前提にして、この場合も運輸省とかそういうふうな方面にあなたがたのほうから、提案者のほうからお話合いでもあつたんですか。
  60. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) その点只今申上げましたように国立博物館の場合は主として特殊な事例で、展覧会のような場合はやつておるようでございまして、全般的ではないので、この法案の場合にはそれを一つ全般的にこういう特典を与えてほしいということで交渉いたしました。そして大体運輸省の了承を得まして、この條文を入れることができたわけでございます。
  61. 若木勝藏

    若木勝藏君 ああ、そうですか。
  62. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 一章よろしうございますか。二章に入つて、第一章に返つて又自由に質問してもよろしうございますよ。では第一章、第二章で……。あと返りして質問しても差支えございませんから……。
  63. 若木勝藏

    若木勝藏君 第十二條の第二号です。「第二條第一項に規定する目的を達成するために必要な学芸員その他の職員を有すること。」これは大体どのくらいの、どんな機構になるのでしようか、どのくらいの職員を置いてこれを運営して行くということになるのですか。
  64. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) 一つのはつきりしたきまりはないのでございまして、博物館がいろいろな多種多様なものがございますし、先ほどからのお話がございますように、維持経営、内容の大小、さまざまなものがございまして、一概に従事職員の数を規定することはできないようでございます。その博物館実情に応じた従事職員というふうに、大体向う本位にいたしてあるのでございます。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほど私ちよつと総括のときお伺いしたんですが、この第一章の学芸員は教育公務員特例法適用されたんじやございませんか、政府委員答弁を……。そう言う訳は、この前社会教育法を改正するときに、国立博物館及び研究所の長及び職員のうち専ら研究又は教育に従事する者を附加えた、あの改正のときに、ここで言われておるところの学芸員という者はそれに入るのではございませんか。
  66. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 国立の場合に教育公務員特例法のうちの職員に入れるかどうかということが問題になりましたのですが、過般あれはああいうふうにして入つたわけでございますが、地方におきましては我々は是非とも入れるべきであるという考えをいたしておりますけれども、現在の法令の下ではそれは入つていないのであります。将来只今のようなお説もございますので入れたいと考えております。大体現在入つていないというのはどういうことかと申しますと、まあ専門的で余りないというような意味がまあ相当あるんじやないか、これからこういうふうに学芸員というように身分上の名称も確立いたしまして、そして専門的の教育を受けたならば当然入つていいものだろうと、まあ入るべきものであるというふうに考えております。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もうちよつと明確にしたいのですが、先般社会教育法を改正した場合に、社会教育主事とも関連して教育公務員特例法の枠を拡げたわけですね、あの改正によつて国立博物館並びに国立科学博物館に勤務しておる職員のうちにはどの程度に対して、まあ数ですが、特例法適用することになつておるのですか。何人か適用されておると思うのですね、私は改正した以上は。
  68. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) ちよつと人数の点は今はつきりしないのです。専門職員にだけ限られたものですから、全体の数から申しますというと三分の一程度じやないかと思いますが、極めて専門職員だけに限られております。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じやこの法律が通ればそういう人はやはり学芸員に入るんじやございませんか。
  70. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 国立博物館にはこれは適用されないのです、この法律は。公私立博物館には適用されるわけでございますが、国立博物館には適用されないわけです、この法律は。
  71. 若木勝藏

    若木勝藏君 第二十一條について伺いたいと思うのですが、博物館の協議会ですな、これは協議会の委員教育委員会が任命することになつているのでありますが、これは実際において何か推薦した者から任命するというような手続があるのですか。推薦母体によつてそれによつて推薦した者を任命する、そういうような形になるのですか。
  72. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) 別にそういうことはないんでございます。推薦母体をきめるといつたそういつたことはないのでございます。
  73. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 第三章に入つてよろしうございます。
  74. 若木勝藏

    若木勝藏君 それからこの協議会の委員は有給になりましようか、無給でしようか。
  75. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) これは無報酬です。まあ簡単に申しますと名誉職のようなものでございます。
  76. 高良とみ

    高良とみ君 その名誉職であるということはどこかに謳つてありますか。
  77. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) これは別に謳つてはございませんが、次のほうに実費弁償ということできめております。その実費弁償の額は地方の條例できめるように……。
  78. 高良とみ

    高良とみ君 何項ですか。
  79. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) 第二十二條の第三項の「社会教育法第十五條第三項及び第四項並びに」という所で……。
  80. 若木勝藏

    若木勝藏君 第二十六條について伺いたいと思うのでありますが、これはまあ罰則規定のようなものでありまするけれども、私非常にここで疑問を持つのは、第四号になるですね、一等おしまいです。「地方公共団体が虚偽の方法で補助金の交付を受けたとき。」というのがあるのですが、実際においてこれはあり得ると想定されておるのですか。
  81. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) これは非常に悪意に出た場合のことを予想しておるのでございます。例えばここに免税規定がございます。それを利用しようと思つて、最初から悪意に出て虚偽の報告をした場合があるということを予想してここに入れておるようであります。
  82. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は一般人の場合はそういうことが考えられますけれども、恐らく地方公共団体の責任者、知事というような者がそういう悪意を持つたこういうことがあり得るかというようなことを考える。僕はあり得ないと思う。そこでこれは非常に地方公共団体というふうなものに対してこの第四号は何と言いますか、独立の人格ある者に、これに対して非常に不信用なものを示しておるのじやないか、こう考えられますので、実際においてこれはありと想定されて出されたように思うのでありますけれども、私はこういうことがあり得ないと思います。無用の規定でないかというように考えるのですが……。
  83. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) そういうことは考え方として実は持つておりますが、社会教育法にも図書館法にも同一規定がございます。それでまあ入れたんですが。
  84. 若木勝藏

    若木勝藏君 前にもありましたかな。
  85. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) あつたんだそうです。
  86. 高良とみ

    高良とみ君 関連して伺いますが、一体そういう虚偽を予測してするような立法を、これは別に刑法等のものでない、社会教育のものですね。世界各国の図書館法などにこういう虚偽の申請的なことを立法してある例がありますか。
  87. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 外国の例を余りつておらんのでありますが、補助金を交付いたします場合に非常に厳格な規定を設けるという慣習があるのでございまして、大蔵当局のほうにも安心して補助金を交付して頂くというような意味で、特別の利益を与えるということでありますので、その内容は極めて峻烈苛酷なことを書く前例があるのでございまして、これがあるからと申しましても……例になつておりますので、非常に自尊心を傷つけられたとかいうふうな考え方はしていないであろうと考えております。
  88. 高良とみ

    高良とみ君 先ほど地方公共団体がこれに対して十分援助するような水増しもし、大いに盛り上つて来るのであるということを申されましたが、他の半面として、地方公共団体等が増しても社会教育というものは自発的に将来伸びて行こうとしているときに、こういう法律で以て僅かな補助金を与える、それについてはこういう大学出の人を雇い、そうして又若しも虚偽の申請があつたときにはこうだというようなことを立法するために、地方の公共団体がそれによつて非常に苦しむというような傾向は全然ないとお認めでございますか、それともどうです。
  89. 浦口鉄男

    衆議院議員浦口鉄男君) 誠に御尤もなんですが、その点につきましては、これは飽くまで登録制でございますから、地方公共団体がこの法の適用を受けることが社会情勢、或いは博物館そのものの進展を阻害するというふうな危惧があります向きは登録を進んでしない、従つてこの法律適用から除外されるということになりますので、そういう御心配はそういう意味でこれから除いて考えてよろしいのでないか、こういうふうに思うのです。
  90. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 只今の御質問でございますが、これの地方団体に恐らく少いと思いますのは、この種の会合が幾たびか催されますが、この條項について未だ曾つて質問をしたり意見を述べた者は一つもないのでありまして、全然そういうことは考えていないから御心配は全然ないと思います。又私どもから見ますと、ここまで行かなくてもいいように思いますけれども、只今申します通り補助金をやるとか或いは税金を免除してやるとかいうふうな場合は、最悪の場合も予想しまして相当書くほうが前例になつてもおりまするし、又気安めにもなるというような意味で書いておるのでありますが、併しながら今申上げましたように、今までに全然問題になつておらんところを見ますと、そのような心配はないかと存じます。
  91. 高良とみ

    高良とみ君 更にそれを確かめて置きたいのですが、その二十六條の規定はともかくといたしまして、この図書館博物館法の建前から、地方に立派なものがあるからこれを保護育成して行く、それによつて社会教育発展させて行こうじやないかといつて中央から僅かながら補助金をやる、それについてはお前のほうではこの基準でやれ、申請したい者はしなさい、これが民主主義的行き方だと言つても、その点は地方の受取りようにもよると思うが、その他の問題等でも中央の少しくらいの補助では何もできないから、うんと補助を求める声ばかり多いということをしばしば聞くのですが、そのような傾きがこの博物館法には全然慮れがない。地方から非常に盛り上つて来ておるのであるから、これに少しく水をさして行けば更にこれは大きく反応して行くようなお見通しですか。如何でございましようか。
  92. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 終戦後かような文化施設に対する国民の認識が非常に高まつて参りまして、御説のように各市町村では相当関心が深まつておりますので、この法律が公布されますならば、ますますそれに拍車をかけまして、盛上る力でいろいろの計画を出して来ることと我々は期待をいたしております。そういうことに只今申上げましたようなことが、御質問を受けましたようなことが、却つてそういうような情勢をチエツクするようなことになりはしないかという御懸念は御尤だもと思いますけれども、私たちはさような御懸念は実際問題といたしましてはないのでございまして、補助金の條件についていろいろもつとやかましいことを言つてもいいが、要はもつと補助金をたくさんくれるほうがいいというような考え方をしておるだろうと思いますので、今後補助金の獲得のために格別の努力をいたしたいと考えております。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第二十條ですが、ここに博物館協議会の設置規定しておりますが、図書館法にも図書館協議会というものがございますが、一般的に私はこの協議会とか委員会は全く洪水だと思うのです。そうして有名無実のものが随分あると思いますが、図書館法図書館協議会というものがあるので、それとの釣合上博物館には博物館協議会というものが必要かと思いますけれども、私は方法としてはこの公民館図書館博物館にしても、一環として運営さるべきものであるし、社会教育審議会というものががつちりしたものがあれば、それで一切よろしいのではないか、こういうように考えるのですが、図書館協議会あたりの実際の運営実情あたりから反省して局長はどういうふうにお考えになつていらつしやるか、お伺いいたします。
  94. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 非常に御尤もな御質問でございまして、実は市町村に関しましては、今おつしやるように社会教育審議会と公民館の審議会、それから図書館の審議会或いは博物館の審議会、これは一体のものでいいというふうに我々も考えておるのでありまして、今度の行政機構の改革の点につきましても、先方との話合いでその点を今研究いたしておるのであります。ただ私立の場合にはそうは参りませんので、やはり運営を民主的にするためにはどうしてもこれらのものが法令的には置くことができるようにしておくほうがより適切であろう。公立の場合は、今申上げたようないろいろなものは同じような目的でありますので、これは一本でいいであろう。こういうような大体考え方をいたして、只今研究いたしておるような次第であります。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点はまあ諒といたしますが、  次にお伺いいたしたい点は、二十四條でありますが、これは提案者にお伺いいたしたいのですけれども、この図書館法によりますというと、予算の定むるところにより云々と規定されている、この博物館法では「予算の範囲内で、」こういうふうに字句を殊更に変えられておりますが、何か立法的な立場から差違があるのかどうか、念のために承わつて置きたい。
  96. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) 別にその点の差違は実は考えておりませんでございます。予算の定めるということも、私ども実は言葉の上の解釈で、予算の範囲内と同様に解釈して、「予算の範囲内で、」こういうようにいたしたのであります。
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最近予算的裏付のない法律がたくさん出るのについてはいろいろ議論もありますし、従つてまあそういうことを繕う意味か、最近の法律にはよく予算の範囲内とか予算の定めるところによりというのが附いているのが非常に多いのですが、まあ別に統制したからといつて悪いことはないでしようし、こういう字句というのも、同じ日本の国の法律なら最も適当なものに私は統一したほうがいいのじやないかと思いますが、一体どちらが多いのですか。
  98. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) おつしやる通りに私も実は考えております。例から申しますと、こういう言葉が入つているものの例が多いように考えております。
  99. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ小さなことをお伺いしているのですが、予算の定めるところによりという表現の仕方と、予算の範囲内という表現の仕方と、どちらが多いのですか。
  100. 横田重左衞門

    衆議院専門員横田重左衞門君) 予算の範囲内の言葉のほうが多うございます。
  101. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。それじや第四章と附則全部をお願いします。御意見ございませんか。
  102. 高良とみ

    高良とみ君 ちよつと前へ戻りますが、二十五條ですが、「博物館維持運営に要する経費等の前年度における精算額を勘案して行う」というのは、地方公共団体の非常に博物館維持運営経費がかかつた所はたくさん補助する、こういうことになるのですか。そうすると強い所はますます集中的に強くなつて行くことができるというか、ここでもたくさん学芸員を置こうとかいうことになつて来るので、何か補助金の交付の基準というふうなもの、或いは全国に対する公平にして又穏当なやり方というようなものはないですか、この補助金の交付の率は精算額を勘案して行うというのは、内容はどういう……。
  103. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) これはこの法律が出ますというと省令で詳しいことを定めるわけでありますが、例えば前年度職員費に幾ら使つたか或いは資料の購入費に幾ら使つたかというような内容を詳しく書いて参ります。我々はこれによりまして、まあこれが非常に必要であるから、これには大体何パーセント重きを置く、これには何パーセント重きを置くということを研究いたしましてきめまして、そうしてそれによつてその按分をいたすのであります。でありますから、まあ何と申しますか、博物館活動プロパーに必要な経費には相当パーセンテージがよくなるし、そうでない極めて附随的な軽い意味経費には少くなるというようなことになつて来るわけでありまして、詳しくは省令で定めるようになつております。
  104. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと、これは博物館学会というようなものがあつて、どの地方にどういうものがあつたとか、どういう記念的なものがあるというようなことによつて相当な中央における学会的な価値附ける所があつて、それによつてあすこでああいうものを買つてあすこに置くことが適当であるというようなことで資料購入費等が判断取捨されるわけでございますか。
  105. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 資料を購入いたします場合に、あそこではこういう資料を買つたらこれにはたくさんやらなければならない、ここではこういう資料を買つたから、この博物館には余りやらなくてもいいというふうにはなかなか行かないのでありまして、大体大まかに分けますというと、職員費でありますとか或いは建物の維持費でありますとか、資料購入費でありますとか、そういうふうなものを大まかに見ましてやるようになつておるのであります。併しながら僅かの補助金ではありますが、相当将来補助金の額も殖えて参りますというようなときには、つまらん資料を買つたとか、非常に有効な資料を買つたというようなところまで審議できれば、これに越したことはないと思いますけれども、現在の考え方といたしましてはそこまでは考えておりません。
  106. 高良とみ

    高良とみ君 中央における学会のようなものは如何でございましようか、今日の発達過程においてそういうものが……。
  107. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 学会と申しますより、現在は博物館協議会というようなものが全国にありまして、それに博物館関係の有識者がいろいろ役員の形でやつておるのであります。そういう所に諮問をいたしまして決定いたしております。
  108. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御意見ございませんか……。それでは本法案に対する質疑は終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは質疑は終了したものと認めまして、討論に移ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにして御発言を願います。
  110. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は社会党を代表いたしまして本法案に賛成するものであります。併し前に社会教育法を制定する場合におきましても、社会教育団体の自発的な活動を抑制するというようなことがないようにということについては各委員ともそれは一致した見解であつたように私は記憶しているのであります。この博物館法ができまして、いわゆる博物館運営が進められる上におきましても同様のことが私は考えられると思うのであります。いわゆる地方の博物館の自主的な運営を、政府のほうにおいて抑制するというようなことがないようにして頂きたい。十分その機能を発揮させるようなふうにこれを振興さして頂きたい、こういう希望を持つているのであります。同時に又もう一点といたしましては、地方財政が非常に今逼迫しているのは御承知通りであります。この博物館が十分振興発展するかどうかということは、懸つて私は国の補助支援ということが必要になつて来るかと思うのでありまして、それによつて初めて所期するところの目的が達せられるだろうと思うのであります。政府はこの法案が成立した場合においては、十分予算の獲得その他あらゆる援助に対して御努力を願いたい。この二点を希望いたしまして賛成する次第であります。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は只今議題となつております博物館法案に対しまして賛成の意を表明するものでございます。先ほどから質疑応答を繰返して私痛切に感じた点は、政府委員の申される通り我が国において非常に社会教育は振わない、その中においても特に博物館方面設置なり運営というものは非常に振わない状況である。この原因政府委員の発言の中にもありましたように、国民全般もこの問題について無関心であると同時に政府側が非常に関心が薄いという、そういうところに社会教育の不振の大きな原因がある、こういうふうに発言された点につきましては私も反省し、全く同感の意を表明するものであります。今までの欠陥としては、博物館に対する法的基礎がなかつた点とか或いは専門的職員養成、確保という点に不十分な点がある。更に又運営管理の点についても研究不足というような点が、社会教育の面において殊に視覚、聴覚教育機関として最も整備充実を図らなければならないこの博物館教育発展を阻害した大きな原因だ、こういうふうに考えるわけでございますが、ここに博物館法的基礎をしつかり確立し、更に専門的職員養成確保、そういう点についてここに本案が提出されて、そういう方面が今後滑らかに進捗するようになるということは、私は誠に結構なことと考えるものであります。更に現在我が国にある博物館の中で、私立博物館は最も弱体であり而も数が多いのでございますが、この私立博物館保護助成に対して、例えば固定資産税の減免とか入場税の減免、こういう措置を考えるということは最も適宜なことである。こういう意味で私はこれに賛意を表するものでございますが、切に要望しておきたい点は、先ず第一番に要望いたしたい点は、提案理由の中にもございますが、確かに我が国博物館は国柄からいつても歴史的なものとか美術的なものが非常に多くて、科学、産業に関するところの博物館が非常に少い、内容的にも貧弱である。我が国の自立経済というようなことが叫ばれておりますが、科学精神並びに知識の培養というようなことか、或いは産業の改善振興というような立場から考えましても、先ほど質疑の中にありましたように、古色蒼然たる動かないところの博物館でなくて、我々の実際生活に即応した、動くところの実物教育資料展示としての博物館という方面に今後進んで行かなければならないものと考えまするので、特に科学、産業の博物館充実努力して頂きたい。  次に第二点として要望いたしたい点は、これは質疑のときに私申上げましたが、何と言つてもやはりこの博物館運営するところの職員において質においても、これを適宜に確保するということが最も重大だと考えまするので、この勤務職員養成並びに身分の確立についても特に意を払つて頂きたい。その中におきましても先ほど問題になりましたように、国立博物館並びに科学博物館におきましては、先般の社会教育法の改正によりまして、この法案に言うところの学芸員は教育公務員特例法適用されることになつておるわけでありますが、この博物館法というものは、この法案に示すように地方公共団体、並びに宗教法人、民法で定めるところの法人が設立する博物館にのみ適用することになつておるわけでございますが、この地方公共団体の設立されるところのこの博物館の学芸員に対しましても、国立博物館の学芸員の一部と同様に教育公務員特例法適用されるべきものと私は確信いたしますので、次の機会におきましては教育公務員特例法の改正を提案して頂きたい。こういうことを勤務職員身分の確立という立場から強く要望いたしておく次第でございます。  最後に要望いたしたい点は、国からの補助金の交付に必要なところの予算の確保につきましては、政府におきましては十分我が国博物館の実態というものを調査され、適切なる予算提案を国会に次の機会に出されるよう強く要望する次第でございます。なお提案者に対しましては、この法案提案されたことに対しましては私は敬意を表するものでございますが、補助金の適正なる予算化については今後ともこの法案提案された熱意を以て努力されたいと同時に、この法の運用につきましては政府当局を激励され指導されるよう強く要望いたしまして、私は本法案に対する賛成の意を表明する次第でございます。
  112. 加納金助

    ○加納金助君 私は自由党を代表いたしまして本案に賛成いたします。
  113. 高良とみ

    高良とみ君 この博物館法を制定するために御尽力になつた発案者に敬意を表しますが、この運用及び経営の面において今後の関係者の善処を特に希望して私は緑風会を代表いたしまして本法案に賛成するものであります。殊に個人の所有慾を満たすいわゆる書画骨董歴史的なものというようなものを専有するのでなく、一般公衆のためにこれを公開して行くという機運を作ることの非常に時宜に適したものであると共に、これが歴史的に考えましても、日本民族が自分の持つておる文化や生活の美しさを忘れかけようとしておりますときに、重大な自己発見の道であるというふうに考えるのであります。従つてこの博物館は一面休養の場所でありますと同時に教養の場所でもあり、それを見たことによつて生活なり精神が向上するような方途をお講じ下さることを希望したいのです。というのは、世界各国並みというお話が先ほど専門委員より一、二回出たのでありますが、世界各国におきましては非常に博物館というか、ミユージアムというようなところは楽しい所になつておりますので、どうか今までのようながらくたの押込んである過去のものでなくやつて頂きたいということを希望する次第であります。特に防火施設等につきましても十分の御奨励を頂きませんと、折角民族の残しました文化財、生活財というものが烏有に帰することが余りに多いことによつて一般の国民や末端の市民はもう殆んど失望状態でありますから、その点を特に御訓令願いまして、更に中央の補助金及びここに働く職員身分の保障、その動的な方法等につきましては画期的な指導を図られんことを希望いたします。  更にもう一つ附け加えておきたいのは、先ほどからお話のありました教育関係の審議会や或いは一般博物館協議会というようなものが余りに繁多でありますために、その間に連絡がなくて、而も同じこと、同じ目的にたびたび招集される地方の町村の名誉職の人たち実情考えまして、特にそれが重複いたしませんように、円滑に又能率のいい運営を図られたいと思うのです。地方のそういう指導者はそれぞれ生業を持つておりますので、中央なり或いは府県の県庁所在地等へたびたび招集されている実情余りに煩瑣であると考えますので、その点を希望いたしまして本案に賛成いたします。
  114. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。別に御意見もなければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議がないと認めます。それではこれより採決に入ります。博物館法案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  116. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 全会一致でございます。よつて法案は原案通り可決されました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書の件につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     加納 金助  木内キヤウ     若木 勝藏  堂森 芳夫     平岡 市三  荒木正三郎     高良 とみ  駒井 藤平     矢嶋 三義  岩間 正男
  118. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 署名漏れはございませんか。……署名漏れはないと認めます。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後零時三十一分散会