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参考人(
今村彰君) 御
説明を申上げますと長くなりますから簡単に申上げて見たいと思うのでありますが、午前中の私
どもの
公述におきまして
本俸の単位自体が
給与の高い安いを論ずる基礎にはならないという点を申上げた。
只今高良委員のほうからその点を非常に御心配下さ
つておる
通りの私
どもは見解を持
つておるわけであります。それからいま
一つは前に千円の
ベース・アップの際に非常に中央における
財源見積りが誤ま
つておつた、こういう点についてその後
地方の実際の状況を見ました場合に国が予算
措置をいたしました千円を遥かに上廻
つておるという原因でありますが、この点はすでにもうそれぞれの当局から発表せられておりますように、決してこれは平均で以て不当に上げたとかどうとかいうような問題ではございませんで、結局するところは一律に画する
考え方が、それぞれ教員なり、或いは
一般都道府県職員なり、或いは市町村
職員なり、警察官吏なり、消防官吏なりそれぞれ職種によ
つて年齢構成が違い、家族構成が違うという点に一律の
考え方の
誤りがあ
つて、その点においてこれが現在是正しなければならないような段階に来ておる、こういう問題であります。それから
最後に高いか安いか、どうな
つておるかという豪いろいろ問題にな
つて、具体的なデータがあるのか、あれば出してもらいたい、こういうふうなことが絶えず言われるのでありますけれ
ども、御
承知のようにこの
給与の
実態ぐらい複雑極まるものはないのでありまして、いろいろな年齢構成、或いは勤続年数別、職種別と言いました場合には、およそ何百種類に上る分類ができる。こういう点についても現在のそれぞれの官庁の力を以ていたしましても、主たる責任であるところの
人事院においてすら完璧な資料は出されておらないわけであります。そういう観点から今回の
大蔵省の調査を見てみました場合にはいろいろ欠陥がありまして、私
どもとして第一点に指摘いたしますことは、この当初のいわゆる調査方式の出発の問題でありますが、この点におきまして
本俸のみを対比したというその調査でありましてもいわゆる対比すべき二つの職種のうち
国家公務員の場合にはこれを理論的に置替える、そうして一方
地方公務員の場合にはこれをピツク・アップいたしまして、
教職員にいたしましても、六十数万に上る
教職員のうち極く僅かしか対象人員をと
つておらないという点が必ずしも全体を証左するものではない。最初に申上げましたこの理論的に
切替、えて行く
切替式というものを採用いたしました場合には、それが必ず
国家公務員の現在の
実態であるかというとそうではないわけであります。なおその
切替方式によりまして、そうして同一勤続年数、同一学歴というものを抽出いたしておるわけでありますけれ
ども、例えば
教職員の実際の
切替方式と見てみました場合には、高い安いということでありますから、高いということは不当に高いという見解が出なければ調整するなどというような
考え方は起らない。そこで不当かどうかという問題もここでは論じて見なければならない。高いというのは……。ところが実際
大蔵省が
切替をや
つておりますその一番出発の千六百円
ベースという年があ
つたのですが、その当時におきましてはやはり
既得権を尊重とするという
立場を十分活かされておりまして、いわゆる合法的に当時設置されておりました
給与実施本部という
機関においてそれぞれ
地方が承認を求められた金額というものがあ
つたのです。その金額は必ずしも理論的に
切替えたものではなしに、
地方の
既得権を尊重した
立場においてこれならば国の
方針にマツチして妥当であるという点において認めた各県の実績というものがあるわけでありまして、
従つて切替をやるにいたしましてもそれぞれのその当時合法として認められておりましたその
切替からや
つて行かなければならない。そういう点が
大蔵省でやりました場合にそういういろいろな曾
つて合法的に認められたそれをも全部除いてしま
つて、そうして
切替方式をと
つておる。そういう点が積み重な
つて来てやはり若干の差が出て来るのは当然でありまして、従いましていわゆる何の味付けもない単なる機械的な
切替方式をと
つてや
つておるというところに大きな問題があると思います。そういう点はそれぞれ知事会あたりの資料にも十分指摘されてあるわけでありますが、そういう根本的な
方針が、誤
つておる調査に対しましても私
どもとしては勿論信用できないわけであります。それで一体
実態がどうであるかという
実態の把握の問題でありますが、この点に対しましても私
どもの持
つております資料においては、これは全国的ないわゆる
都道府県において妥当だと認めて、而もその間現在の
切替までに御
承知の再
計算の
措置をやるというのが政令で出ておりましたが、その問題をめぐ
つていろいろ論争があ
つて、併しながらその点に対しても
都道府県知事が承認を与えたものについてはこれは合法である。こういう点のその後における実施本部との間の公開審査において結論が出ておりますので、従いまして現在法律的に申しましても妥当であるという点の実績が私
どもの掴んでいる
給与の
実態でございまして、どこを見ましても
切下げなければならないというそういう論拠はここには出て来ないわけであります。