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1951-11-12 第12回国会 参議院 文部委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十二日(月曜日)    午前十一時二十七分開会   —————————————   委員の異動 十一月九日委員川上嘉市君辞任につ き、その補欠として高良とみ君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            加納 金助君            高田なほ子君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            木村 守江君            平岡 市三君            荒木正三郎君            大野 幸一君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            高橋 道男君            駒井 藤平君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   政府委員    内閣官房副長官 剱木 亨弘君    地方自治政務次    官       小野  哲君   事務局側    常任委員会専門    員       石丸 敬次君    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君   参考人    日本教職員組合    副委員長    今村  彰君    日本教職員組合    教育財政部長  辻原 弘市君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (教職員給与改訂に関する件)   —————————————
  2. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 只今から文部委員会を開催いたします。  本日の議題教職員給与改訂に関する問題でございます。この件についてすでに前日の委員会関係政府当局に対して質疑をいたして参りましたが、未だにはつきりいたさない点もございますので、本日の委員会日教組の副委員長であられる今村さんを参考人としておいで願つて意見をお聞きいたし、更に文部省地方自治庁地方財政委員長内閣側関係者より説明を伺うことにいたしたいと存じます。本日の議題につきましては十日の理事会に各党派からおいで願いましてこれを決定したのでございますが、日教組今村さんから意見を聞くことについて御異議は、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 御異議がないと認めます。  今村さんから教職員給与改訂について御意見を御開陳願いたいと思います。今村さんどうぞ。
  4. 今村彰

    参考人今村彰君) 私只今紹介を頂きました日教組の副委員長今村であります。文部委員会が幾多の重要な案件があるうちに今日給与改訂につきまして私ども教職員組合参考意見を聴取されて善処されることになりましたにつきましては冒頭委員長初め各委員に厚く感謝いたします。  私は本日の意見公述いたしまするその態度といたしましては、私どもに組織されておる幼稚園から大学に至るまで全国五十万もの教職員給与改訂に関しましての基本的な態度は、すでに新聞や、或いは国会、各政府当局にも明らかにしてありますので、即ち当面この臨時国会におきましては補正予算において最低人事院勧告の一万一千二百六十三円を完全に実施してもらいたいということを政府要求し引続いて国会補正予算案が上程されるに及んでは最高の議決機関であるこの国会において、我々教職員並びに国家地方公務員生活実態から最低人事院勧告が実現されるように補正予算案修正並びに給与法案修正を行なつて頂きたいというのが基本的な私ども態度でございます。併しながらこの委員会に臨みます私といたしましてはそういう基本的な問題におきまして、問題になつておりまするところの地方教職員給与改訂に伴うその切替措置をめぐるところの問題について意見を申上げたいと思うのであります。  御承知のように第一に給与の、地方教職員給与改訂に必要な財源措置は、地方自治団体要求によりまして或いは私ども要求によりまして地財委が当初政府に対して予算要求をいたしましたが、この場合平衡交付金を以て財源措置をするに当り、政府に対しまして地財委等は今日議論になつておるところの地方教職員と、国家公務員との給与の高い低いというような論議は当初においては出なくて、却つて地方公務員のほうが国家公務員よりも給料が低いという立場をとつてつたのであります。文部当局も同様の態度をとつておりましたが併しながら十月五日の政府補正予算案決定を見しまたときには、遥かに現在の我々の要求を満たすような財源措置はされなくて、百億という平衡交付金決定したのであります。御存じのように百億の平衡交付金決定するに当りましては、政府部内においても種々異論が続出しておりまして、八月の知事会議以来この平衡交付金増額の問題が政治問題化して参りまして、全く政府の政治的な配慮を以て十月五日の閣議によつて百億が決定されたのであります。然るにこの百億の財源措置裏付として、今日教職員並びに地方公務員全般に対する給与改訂に当つては、現在の国家公務員に比べて地方教職員を含める地方公務員給与は高いからこれを引下げろという議論がその後政府によつて出て参りました。このことが当然地財委文部省当局と種々この問題について異論が出ましたが、私どもは明らかにこの平衡交付金百億の少額決定が、今回新たにその少額決定を合理化するために現在の地方公務員、なかんずく地方教職員について現行給与切下げ行くという、そういうような政策に出て来ておると思うのであります。第二にそのような政策をとつておるところの大蔵省当局がすでに明らかにしておりますように、地方公務員或いは地方教職員給料が高いという論議をいたしておりまするが、その論議を、私どもはこれに対しては、その資料というものは不当であり、間違いであるということを各委員皆様がたに申上げたいと思うのであります。およそ給料比較検討をする場合におきましては、本俸だけの比較検討を以てしては当然不十分であり、例えば地方教職員には超過勤務手当もない、或いは旅費等においてもその差がある。こういうような給与全体の面、それからその人間が勤務しておる場所も、地域産業経済状態、こういうものを没却して、ただ単に煽ぐ僅かの人数をこれを抽出して、而も本俸のみについて高い低いを論断するということは、給与政策としては私は誤りであり、而もその出ておる数字も不当である、こういうふうに考えるのであります。このような大蔵省数字が、地財委がこれに屈服いたしまして、自治庁におきましては、今回の財源措置に伴う地方教職員給与改訂については、岡野国務大臣初め地方自治庁首脳部給与切下げをやるという方針を以て、今回の都道府県に対してそのような指示を出す準備を進めて参つたのであります。このことは十一月六日に午後四時半から岡野国務大臣と私直接会つてこの問題を論議いたしましたときに、自治庁が明らかに給与をこの場合切下げるという方針を明らかにしておるのであります。ところが十一月の七日におきまして突如臨時閣議において重要な決定をいたしております。その閣議決定内容につきましては、お手許に配付いたしましたように、十一月八日自治庁鈴木次長名を以て各自治団体に対して通牒が発せられておるのであります。この通牒について言及いたしますると、各委員のかたがたもこの通牒を読む場合においては、その意図するところが那辺にあるかということについて、種種疑問を持たれると思うのであります。この通牒が一貫して今回の財源措置伴つて地方公務員給与国家公務員給与基準との間の不均衡の調整を期待し、それを前提として計算ざれたものであり、そのようなことを処置するようにという通達でございます。この通達を見る場合には、私どもはこれは先ず第一にこの通達決定をした閣議決定は、明らかに地方自治法第二百四条及び同施行規程の五十四条に違反するものであり、地方公務員法、昨年の十二月にきまりました地方公務員法二十四条に違反するものである、こういうふうに考えるのであります。と申します理由が、自治法におきましても地方公務員給与に関しましては、国の給與の例によつて地方条例において定めるものと規定しております。然るにこの通牒が左に掲げる措置をとることとして、右の趣旨地方公共団体に徹底せしめる、こういうような非常にあいまいな通達閣議決定になつておりまするが、その真意はすでに地方自治庁が明らかに我々に申しておりますように、この給与改訂を機会に現存の教職員給与切下げるということが、この通達の政治的な狙いであると私どもは考えるのであります。で、なお地方公務員法の二十四条を見ますると、その給与に関する規定におきましては、生計費並びに国及び他の地方公共団体職員並びに民間事業従事者給与その他の事情を考慮して当該地方公共団体条例で定める、このことが明らかに地方自治団体地方公務員について、その給与において他の国及び地方団体職員給与及びその地域民間産業に従事する労働者の賃金、そういうものを考慮して独自で給与条例決定して、その地域におけるところの地方自治団体人事行政給与政策を円滑にやらしめるという地方自治建前規定したものと考えるのであります。然るが故に地方公務員は、同じく国の国家公務員給与規定に関しましては人事院を設けておると同様に、四十六都道府県に、それぞれ地方にも人事委員という機関を設定して、地方公務員給与に関し、地方自治団体の長及び議会に勧告を出すことに、昨年の十二月の地方公務員法によつて決定しておるのであります。このことを考えますると、当然に地方公務員給与に関しまして、国がその実施面に干渉するということは、もはや人事委員が不要である。各地方都道府県経費を、相当の経費を以て常置若しくは非常置人事委員を任命し、事務局を設置しております。都道府県人事委員会は不要になり、同時に私どもが今回の政府のような地方公務員給与実施面まで規制しようとする政治的意図は、地方公務員法や、教育公務員特例法を御破算にして人事委員会等は潰してしまつて、すべて国家公務員にしてしまつたほうがいいという私が結論を出しても差支えないのじやないか。このような不当なものであつて、この通達の政治的な狙いはどこにあるかということを考えますると、明らかに現在の法を巧みに潜り抜けて、地方教職員給与を抜本的に切下げようとするところの狙いを持つておるものと私ども承知しなければならないのであります。従来二九ベースや、三七ベース、六三ベース、前回の七千九百円ベース決定するに当りましても、地方の独自の立場を拘束するような一切かような通牒文部省、或いは地方自治庁等からは出てないのであります。勿論国の給与の法律によつて計算規定した場合を除いては、今回のような驚くべき通牒が一切出ていないのであります。このようなことを皆さんに御検討頂きますときに、明らかに今回決定いたしました閣議決定は、地方教職員及び府県吏員市町村吏員に関しまして平衡交付金の額を少額にとどめたという、その不当な平衡交付金を合理化すると同時に、地方教職員及び公務員に対する反動的な給与政策の現われであると、こういうふうに私どもが考えるのであります。従つて委員会におきましては、この地方公務員給与改訂に関して、平衡交付金の額の検討は勿論でございますが、さしずめ十月七日に決定いたしました閣議決定一体内容が何であるか、この狙いは何であるか、ということを御賢察頂きますと同時に、八日に出しました地方自治庁通達についても十分御検討頂きましてかような地方自治を拘束し、又地方公務員が今日生活実態にい喘でおる、そして政府が合法的に決定いたしました教職員の独自の問題である級別推定表等に関しましても、実施されて今日に至るもなお都道府県においては十分に実施されていないというような現状において、かような通牒がなされた場合に各地方に起るところの教職員地方団体との摩擦と、その結果起るところの地方教職員生活切下げと、そして我々が戦後六年を経て今日漸く民主的な教育再建しようとするその熱意根抵から覆えして、我々に対して激しく政府に対し闘わなければならないというような情勢を生み出さして来ておるところの政府の責任に対しまして十分国会立場からこれに対する処置をお考え願いたいと思うのであります。  最後に私は各位がこれを検討されるに当りまして、当然政府諸君言分も私どもと同様にお聞き願えることと思いますけれども、私ども国会が今日教職員のみならず、公務員全体の給与が非常に悪い段階において、千五百円などという驚くべき少いところの給与改訂をするに当つて、なお辛辣な給与切下げを敢行するというような、こういう反動的な給与政策というものは、我々としては絶対に容認することができない。若しこういうようなものを容認するならば、民主的な日本再建のために努力しつつあるところの我が日教組におきましても、重大な決意を以て政府の反省を要求せざるを得ない立場に今日追い込められておるのであります。従つて国会の正当な……そうして正しい我々日教職員の今日の勤務状態や、生活状態等を御賢察頂きまして、これほどの少額給与改訂においてなおこれを抑えようとする、切下げようとする今回の閣議決定撤回かたの御処置がとられると同時に、参議院におきましてはどうか超党派の立場補正予算案を御修正頂きまして、併せて人事院勧告の実現に努力して頂きたい。さような場合におきましては、私どもは当然皆さんのそういう御意向に副つて日本の民主的な再建のために協力する十分な用意があり、そういうことをしなければならないという熱意に燃えていることを附言いたしまして公述を終る次第であります。なお質問等に関しましては、補助のものも参つておりますので、詳細に御質問にお答えしたいと思います。
  5. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 各委員のかたの御質疑をこれからお願いしたいと思いますが文部省のほうからも辻田局長内藤課長内閣のほうからも劔木氏が、地方自治庁のほうからも小野氏が御出席になつております。御質疑がございましたらば、して頂きたいと思いますが、今、今村氏からお話のありましたように、随行として補足をするために日教組教育財政部長辻原弘市さんが来ておいでになりますが、今村彰氏のほかに随行として御説明を願うことに御異議がございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) では。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 一応政府側からも簡単に説明してもらいたい、どういうふうになつているのか……。
  8. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) そういう御要望ならば……。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 地方公務員給与切替について特に教職員給与切替についてはどういうふうになつているか、簡単に一つ……。
  10. 辻田力

    説明員辻田力君) 私から申上げたいと思います。給与切替によりまして一応第一次ベース改訂の問題と第二次ベース改訂の問題と分けて考える必要があると思いますが、第一次ベース……本年の補正予算におきまして第一次ベース改訂につきましては本年の四月から九月までを一応一期とし、現在の実情とそれから二十六年度の財源措置と比較いたしまするとなお千七円の不足を来たしておりまするので、千七円の財源を確保するように努力いたした次第でございます。それから第二次のベース改訂、即ち千五百円のべース改訂におきましては、これは十月から来年の三月までのことでございますがこれにつきましては千七円、十月から三月までの千七円の分に多少の改訂を加えてそれを八百三十四円といたします。それから千五百円に対しては千六百三十八円と計算して財源措置をいたしたのであります。それで合計して今回の補正予算におきましては、本俸並びに年末手当の問題、それから石炭手当とか、或いは勤務地手当とか、いろいろな給与を加えて合計して百七十億円の計算をいたしましてそれを平衡交付金算定の場合の基礎計算の上に算入したのでございます。その計算の下にできたのが今回の補正予算でありまして、それに対して平衡交付金の百億支出するということになつている次第でございます。なお今、今村公述人お話がございましたところについて触れて見たいと思いますが、これにつきましては文部省といたしましては、たびたびこの会議におきまして文部大臣から大綱を説明しておられまするように、公立学校先生給与つていは原則的には教育公務員特例法によりまして国立学校の教員の給与基準とするという規定がございますのでその規定によつておることは勿論でございまするが、併しその場合にいわゆる既得権というものをやはり考慮しなければならんという考え方の下に文部省におきましては、大臣以下全員が努力をいたしまして、その点を努力して参つた次第でございます。その結果先ほど申しましたようなことになつたのでございますが、只今国立学校公立学校との従来の給与の差額三百七十五円を、この際計算切下げるということになつて、種々御論議があつたと思いますが、この点につきましては計算の上では一応そういうことになつておる次第でございます。併しそれを本年度について考えますると、予算定員の上で、約二万人の欠員がありまするのと、それから給与財源昇給財源を見込んでおりまするので、それでおおむねいわゆる既得権を尊重して実施できるという見通しを持つておる次第でございます。で、又閣議決定の問題についてもお話がございましたが、これはそういうふうな計算をしたということの根拠一般に、一般と申しますか、知らせるという、普及徹底するという意味でございまして、それに基いてすぐに右から左に給与改訂せいというようなのではないことは勿論でございます。計算根拠を明らかにしてへその趣旨を普及徹底するという次第でございます。
  11. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 今政府並びに大臣がお見えになりますから、それまで参考人のほうに質疑があるかたを先にして頂きたいと思いますが、如何ですか。
  12. 加納金助

    加納金助君 今のお話ですね。供述されるかたの説明を聞きまして、そちらのほうを終つてから政府のほうに質問することにしたら如何ですか。
  13. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) それではそういうふうに、まとめて参考人のほうに各委員から御質疑を願いたいと思います。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私、それに異議はありませんが、今日参考人を招致して意見を聞いたのは、この前から委員会でやつてはつきりしないところがあるから、それを究明したいという趣旨参考人を呼んだということは、委員長が宣言された通り従つて只今文部省からも承わつたのですが、大蔵から来ておつたら大蔵からも、或いは次長からもそれぞれ意見を承わつて、それから参考人にもその意見に対して、参考人の見解と違うような場合には発言を許すという条件で私は進んで頂きたいと思います。そうしないと問題の盲点を究明する精神に副わない。
  15. 平岡市三

    平岡市三君 併し討論会じやないんだから、日教組代表者政府委員質疑応答するなんということは、委員会の性質に反するでしよう。
  16. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  17. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 速記を始めて……。  各委員から参考人に御質疑がありましたら……。
  18. 木村守江

    木村守江君 ちよつと今村委員長にお聞きしたいと思うのですが、大体日教組今村君の話を聞いていますと、この自治庁通牒、それから大蔵省閣議決定というものが根本的に不当であり、誤りであるというような問題ですね。断定的な考え方から論議されると私は思うのです。そこに私たちの非常に……考えがある。私は根本的に、この精神において私は何ら不当でもない、誤りでもないと思う。既得権を尊重しないということから、これを以て不当である、誤りである、特に又地方公務員法の第二十四条に反する、それは地方自治体は独自で決定して自治体の運営を円滑に図らなければいけないのだ、それに地方自治体なんとかいうような通牒を出すことは地方自治体の圧迫だというようなことを言つておりましたね。実際問題で、これは地方自治体皆様がた要求しているような、平衡交付金がまあなくては地方自治の円滑な運営ができない、そういう場合に、私は法律的に見たのではなくて、一つ通牒としてこれは正しくないことがあつたならば是正する、そういうような通牒を出すことは、何ら不当である、誤りであるというようなことは言えないと思うのでありますが、これはどういう意味で不当である、誤りであるというのですか。
  19. 今村彰

    参考人今村彰君) 只今の御質問最後、何か通牒をどこかいけなければ是正して出したらいいのじやないかというふうにちよつと聞いたのですが、よくないところは是正したらいいので、通牒を出すこと自体は不当であると思うかどうか、思わないかということですか。
  20. 木村守江

    木村守江君 いや、そうじやない。勿論大蔵省決定したものだけを考えて、通牒を特に出すというようなことは、これは地方自治庁通牒を出すということも不当だ、誤りだというような、決定的な判断の下にすべての議論がされておるように思うのですが、私はこれは不当だとか、誤りであるとか思われないんだが、どういう意味で不当であり、誤りであると思うんです。
  21. 今村彰

    参考人今村彰君) この地方公務員給与改訂について、という七日の閣議決定、それに伴う自治庁が八日に出しました通達というものに関しましては、これだけを見た場合には、恐らく誰もこの内容真意を把握することは私はむずかしいのではないか。むずかしい証拠に九日に当の通達を出した鈴木地方自治庁次長と相当私ども詳しく知つておるにもかかわらず、この解釈について二時間有余かかつてその意図というものがいろいろと説明されておるのであります。そのようにこの通牒というものは、今回の給与改訂に伴う給与法に従つて、或いは今回の平衡交付金財源措置に伴つて自動的に生れ出た、そして実に簡単にわかるような通牒ではないように私ども思うのです。と申しますのは、この改訂通牒が、すでに平衡交付金が、八月以来知事会議或いは地方公務員が、みずからの生活或いは自治団体財政運営建前から、強く政府平衡交付金増額要求して参りましたけれども、その間において御承知のように、大蔵省事務当局は、私どもの確信する限りにおいては、十月四日までの大蔵省事務当局との折衝に、公式の官公庁全体の組合代表大蔵省事務当局と会いました場合にも一十月四日まで平衡交付金は零でよろしい、併し明日の閣議決定で如何なる政治的配慮で以てそれが決定されるかわからない、その場合には財源措置基準については逆算して説明する、こういうようなことを申しております。そこで平衡交付金全体が百億の増額で抑えられた経緯については 私どもよりも先生がたのほうが十分御存じのことと思いますが、伝えられるところ、或いは新聞の報道されるところでは、野田調停案なるものがこの場合政治的にすでに取上げられて、平衡交付金はこれは組まなければならないが、そのときに地方公務員給与切下げをその場合にやつてはどうかというようなことがすでに報道された、そうしてその線に従つて組立てられる、そうして教職員給与切下げをやりますというようなことが、政府当局は公然とは言えないにもかかわらず、かような通牒を出すに至つた閣議決定を出すに至つた経緯を私は先ず皆さんに申上げたいと思うのであります。そのことを考えますると、この地方自治庁通達並びに七日の閣議決定は一体この内容が何を示しておるかということになるというと、地方公務員教職員給与切下げをやつてもらいたいというのでなければ意味がない、これは財源措置について、国の財源措置について明らかにするならば、担当であるところの主管たる地方財政委員会は十月十九日附を以て都道府県自治団体に今回の補正予算案財源措置は明らかにしてあるのであります。そういたしますると、国の財源措置を明らかにするという政府の権限内の仕事は、すでに十月の十九日の地財委通牒によつて明らかにされておるにもかかわらず、あえてここに実に読み取りにくい、措置することとか、調整するとか、何の趣旨なのか、徹底させるとか、こういうような文書は、これが地方公務員給与切下げを期待し、それを勧奨する通牒でなければ意味がない、そこに私どもはこれが地方自治法並びに地方公務員法及び同特例法に対する給与の、我々の給与について、政府実施面に干渉しておる通達としてこれは排除してもらいたい。不当である。若し政府当局が私どもに、これは地方給与についての実施面を拘束するものでもなければ、期待するものでもないというならば、すでに地財委通達で明らかな通りであるのであるから、かような通牒意味をなさないというので、すでに各県の知事と私どもとの間に不必要の混乱と切下げ新聞紙上に報道されておる。各県で只今問題になつておるこんなものはやめたほうがいい、こういうふうに私は考えておるのであります。
  22. 木村守江

    木村守江君 どうも私の聞いておることとちよつと違うのですが、私は只今言われておるようなこの閣議決定をしたことが不当であるとか、誤りであるというような断定の下にいろいろ論議されておる、特にこの通牒が簡単にわからないからと、わかるようなものではないと思うと、思うというような推定の下に誤りであるとか、不当であるということを断定するということは私は穏当でないと思う。そういう点で私は教職員給与を下げるとか、下げないとか、そういうことの問題を論じているのではない。初めからこの閣議決定誤りであり、不当であるようなことを申されましたが、閣議の実体が果してどの程度のものであるか、それはやはりこれも推定だと思う。その推定を基にして不当であるとか、それから誤りであるとかというようなことは、私はどう考えても承服できない、わかりにくいのですが……。
  23. 今村彰

    参考人今村彰君) 結局私もここで、閣議決定並びに通達の全部について御検討頂きまして、ここが不当でない、不当であるというような議論が出ると思うのであります。お手許に私どものほうから配付しましたこの写しによりましても、今回の教職員を含めた地方公務員給与改訂については左に掲げる措置をとること。そうして「今回の地方公務員給与改訂について、国がすべき地方財源措置は」云々「地方公務員給与国家公務員給与給与基準との間の不均衡の調整を期待し、」こういうことが……。
  24. 木村守江

    木村守江君 そういうことを聞いているのじやない。君の論議の根本が、初から自己の推定によつた、自己がどういうふうに考えていいかわからないからというような推定の下に、不当であるとか不法であるとかというようなことは、私はどうしても承服できない。
  25. 今村彰

    参考人今村彰君) 私どもは、不当であり、過ちであるという確信を持つておりますので、この意見によつて国会皆さんに、一つども意見誤りであるか、そこを一つおきめ願いたいというので、今日は出て参つたわけであります。
  26. 岩間正男

    ○岩間正男君 だからそれについて官房長官と自治庁の見解を聞きたい。どう思うか…閣議決定内容ですね。自治庁がどういうふうに……関連しないと話が駄目なんだ……。
  27. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) その点は保留しておいて、あとで説明しますから…ほかのこと者御質疑がありましたら……。
  28. 木村守江

    木村守江君 それから今村君にお伺いしたいのですが、私は「地方公務員給与改訂について(昭和二十六年十一月七日閣議決定)」ということは、やはり政府では、これは地方公務員とそれから公務員とが、非常にアンバランスであるような場合は、これをやはり調整することも私は一つの方法として考えなければいけない問題ではないかと思うのであります。これは根本方針として、基本方針としてはこういう線を出さなくちやいけないのであるが、併し実際の面で教職員生活がどうだというようなことであるならば、話はわかるのですが、この出したことこれ自体が誤りである、不当であるということに対しては、どう考えても承服できない。
  29. 今村彰

    参考人今村彰君) 私は、政府は根本方針をいろいろな点で、例えば教育費の国庫負担であるとか、いろいろな議論で、教員を全部国家公務員にしたらいいとかというような議論は、根本方針に触れて来ると私ども思うのですが、この通牒は私どもは実は地財委が各自治団体に対して、なお平衡交付金増額政府或いは国家要求をしているけれども、今回の財源措置はかくかくなつたという通牒を出されるということについては、問題は別個であると思うのであります。自治庁なり何なりの決定というものは、当然通牒というものは、今回国家公務員について次のような給与なつたから、地方自治団体がそれに準じて一つつてもらいたい、こういう従来の通達で十分足りる。ところがこの通達は基本方針でもない。大体私はこの通達狙いは二つあると思う。一つ平衡交付金が政治的な配慮によつて、とにかく十分地方要求を満たしていない。そこにこういう通牒を出さざるを得ない点が一つあるのである。それと、この閣議決定内容狙い教職員を含める地方公務員給与切下げを期待して、そうして或る方向に持つて行こうとしておる、この内容は……。次に第二に問題がある。こういうふうにこの通牒に対して私どもは考えるわけです。
  30. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 地方財政委員会委員長に今連絡中ですから、このことに対しては今そのかたがお見えになつた後で、御説明願いたいと思いますから……。
  31. 木村守江

    木村守江君 その前に今村君に聞きたいのですが、どうもこの平衡交付金決定されたのは政治的配慮がある、或いはこの通牒教職員の俸給を切下げるということが目的なんだというようなことなんですが、これは政治的配慮なんだというようなことを、私はあなたがたがそういうことを自分で勝手にきめて言えるべきものではないと思う。私は大蔵大臣が、それは何ですよ、平衡交付金は一文もやらないのだということを言つたから、これはいわばあなたがたに対する責任ある大蔵大臣の言葉として、而も政府の責任ある言葉としてあなたがたが聞いたかも知れませんが、それはそういうことを以てこれを政治的配慮で一遍にきまつたのだというような考え方をすることについては、少し考えが飛躍し過ぎているのではないかと思う。どうです、これは……。
  32. 辻原弘市

    参考人辻原弘市君) 補助者として参つております日教組教育財政部長辻原でございますが、只今木村委員からの御指摘の点で、先ほどから今村参考人のほうから縷々申上げておりますが、私どもがこれを不当であると論断いたしました点につきましては二点あるわけでございます。一点は、平衡交付金給与の基礎算定におきましてこれを減額をしたという点については不当であるという点が一点でございます。その間の理由につきましては、この問題を論議するに当りましては、当然平衡交付金の基礎算定の問題につきましては、国が措置すべき財源の問題でありますから、従つて何が故に減額をしたかという理由についての問題が提示されて来ると思うのでありますが、その場合に現在減額をいたしました理由として、これを国家公務員に比して高いから減額をしたのだという点が理由として申されておるのでございますが、その点につきましては、高いか安いかという問題であつて、私どもの見解ではその点は高くないと、現在そういう論議をやりましても、決して今提示されている大蔵省の資料によつて見ても極めてあいまい模糊であるということを一点として申上げているのでございます。次の問題として、算定計算がかくなつたといたしましても、それを地方にその通り給与措置をとらしめようとするがごとき措置通牒その他の方法によつてやることは、これは地方自治の拘束であると、その論拠といたしまして、少くとも地方給与措置につきましては、これは地方公務員法の、先ほど申しました二十四条において明らかなごとく、地方には地方の独自の決定権を持つている。少くとも国に先ほど申しましたことく人事院が存在して、給与についての適切な勧告その他を行わしめるように、地方にはやはり人事委員会がその措置勧告を扱うことを法は規定をしている。その人事委員会が何らの勧告も示さない以前に、国が財源措置をする地方理事者に対して、財源の面から拘束をするというやり方は地方の独立性を喪失せしめる、若しくは地方公務員法趣旨を没却したものである。こういう点を先ほどから縷々申上げているのでありまして、従つてその通牒が拘束するか否かという論議が先ほどから木村さんから指摘されているというような見解もあれば、又如何ように申しても、この通牒によつてすでに地方理事者は拘束せられているし、又受ける私ども地方教職員にも非常な恐慌を来たしているという現実の面から見ました場合に、たとえどのような理窟をつけて見ましても、この通牒自体がすでに現実において拘束している、従つてこれは不当である、こういうふうに私どもは申しているのである。
  33. 木村守江

    木村守江君 どうも意見が非常に違うようですが、私としては只今今村君の説明、それから今の財政部長の説明に対しては承服できません。もう全く意見の相違であります。
  34. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 意見は又にして質疑を……。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今村さんに若干お伺いしますが、先ほど昇給ストツプのお話がありましたが、昇給時期が来ても昇給させるべく発令できないで、ストツプの条件にあるというこの件はどのくらいあるのですか。あなたがたで調査になつておりますか、調査ができておりましたら何件ぐらいありますか、この点を……。
  36. 辻原弘市

    参考人辻原弘市君) ここで具体的に申上げる点につきましては、多少私ども調査いたしました以後若干昇給がなされているものもございますので、後刻資料によつて提示いたします。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点お伺いいたしたい点は、先ほど文部省政府委員から欠員二万人という御発言があつたわけでございますが、この欠員はあなたがたの角度からは欠員の生じた原因、それが教育の現場に及ぼしている影響についてどういうふうに把握されているか、この点について伺いたい。
  38. 今村彰

    参考人今村彰君) 先ほどの文部省当局の責任者からのお言葉に若干重大な点があろうかと思うのです。教職員の定員の問題については、当然きめられた定員が見られるのが当然である。それが見られないとか、その財源がどこに行くという議論、これがそういうような給料が上るとか下るとかいうのは、首を切つたもので給料を上げてもいいということになる。定員は、速かにこれは生徒の数に応じてきめられた定員だけ確保するように努力しない限りにおいてはそこに大きな教育の破壊があるし、教員の労働強化がある。今日新聞紙上にも報道されつつあるように、非常に教員の結核患者が殖えてきているし、学童の長期欠席が非常に多くなつている。こういうようなことが明らかに定員減、定員が割当てられているにかかわらず、これを埋めることのできない財政的な裏付のない措置か、或いは故意に教職員の労働強化というようなものが行われている結果であり、又教職員給与が非常に低いという、そういう理由から人が集まらない、こういうような理由に基くのであつて、早急に定員を確保して、そうしてそういう教育の破壊を阻止しなければならんにもかかわらず、定員の欠員が何かそれが非常にいいことであつて、それで以て給与を埋めて行くのだという議論は私は工合が悪いと思う。そういうようなことを一般に明らかにされる場合には、文部行政のこれがあり方としては非常に不当である。そういうことを私ども率直に先ほど聞いておつて感じた。私どもは定員の減の理由はそういうところにあるのである。教員の給料が上る、下るよりも早く定員を確保して、そうして十分に教員を配置して行かないと、子供たちの教育が非常に低下する、又教師も労働強化が来て結核患者がどんどん殖えて行くという現状を克服することができないという点を申上げているのであります。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後にもう一点承わりたい点は地方自治庁次長名で各都道府県知事に流されたこの通牒によつて、各都道府県において、現在具体的に何か動きがあるような情報が若しキヤツチされておりましたらその状況を承わりたいと思います。
  40. 今村彰

    参考人今村彰君) すでにこのことがありましたので、本日も私のぼうには愛媛県或いは福島県、そういつたような数府県がすでにこの通牒を見ただけで、知事会議が現在行われておりますので、そうして教職員給与は絶対に高くないのだ、完全にべースを改訂してもらいたい、こんな切下げは駄目だ、というので、県の教育委員会職員と、そうして教員組合の代表がすでに早急に驚いて知事に交渉に行つておる。各県においてはそういうような事情で以て教員給与切下げが必至だ、ということが県の理事者から言われておる。そういう現状で、私の見通しとしては、常識で考えてもこんな給与切下げをやるというので、私は責任を持てないほどの混乱が起きるだろうと思うのであります。
  41. 大野幸一

    ○大野幸一君 先ほど公述された中に、地方では地方人事委員会勧告するわけですね。それで今まで勧告された県がありますか。又その資料はありますか。
  42. 今村彰

    参考人今村彰君) 山口県初め数府県の勧告がすでに昨今ありました。これについては資料がございますので、後刻提出いたしたいと考えます。
  43. 大野幸一

    ○大野幸一君 そういう勧告地方において尊重されて実施される可能性がありますか。
  44. 今村彰

    参考人今村彰君) 当然山口県は山口県の、例えば繊維の大きな工場があつたり、いろいろあつて山口県全体の財政規模、或いは民間産業の賃金等を考慮して、当然人事委員会が権威を持つて勧告いたしております。一万一千何がしどいう政府人事院勧告国家公務員人事院勧告よりも上廻つた勧告をしております。かようなことが山口県の生活実態、産業の状態、山口県の財政規模、それから教職員生活状態等から、権威を持つて第一回の勧告でございますので、私は尊重されるものだと確信しております。
  45. 大野幸一

    ○大野幸一君 ところが今後における人事院勧告がこれによつて非常に牽制される虞れがあると思いませんか。
  46. 今村彰

    参考人今村彰君) 私はこのことが若し多くの人々の協力によつて……、この通牒の狙つておる給与切下げが敢行された場合には、人事委員会は不当な影響どころでなくて、人事委員会は不要である。地方公務員法はやめてしまわなければならないという事態まで、たくさんの事務職員を抱えて、或いは非常任の人を抱えておいて勧告もしないでこんな通牒が出るということは、非常に驚いておる。これは非常に悪い影響を与えておるものと考えます。
  47. 加納金助

    加納金助君 今のに関連してお伺いします。只今地方勧告した人事委員会は、そこの地方公務員の俸給が他の国家公務員に比較して少いがために増俸しろというので請求したのか、或いはこんな俸給じやとても生活できない、これはひとり地方公務員ばかりでなく、国家公務員といえども現下の俸給では致底やつて行かれないというのが一般要求ですが、けれども特に今要求されるのは国家公務員地方公務員とを比較をして少いがために増額しろという要求なんですか。
  48. 今村彰

    参考人今村彰君) 只今のような理由が今回の数府県の勧告文を見ましても、全然ないのでございます。その主たる理由が政府の、人事院の浅井総裁の人事院勧告ベースや、それから山口であれば中国とか九州、四国の隣県の同種類の職員給与、特に山口県内の他の民間産業給料、そういう資料に基いて山口県の自治体に適当であるという観点から出しておりまして、勧告文の趣旨はそういうふうになつております。
  49. 加納金助

    加納金助君 要するに、一般的に見て低い、こういう意味なんですね。ここに関連したような、国家公務員地方公務員との……勧告には非常に差額がある、地方公務員は少いから考えようというこれは勧告ですね、こつちのほうは……。ところが今のあなたのほうのにはその参考にはならんわけですね。
  50. 今村彰

    参考人今村彰君) ただ根本なんですが、山口県の教職員給与は大体低いというのです。地方公務員給与は低いから、どの程度の額を地方自治団体の正式の機関である人事委員会勧告をしておるかということの示唆になると思います。
  51. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど文部省のほうの説明を伺いますと、給与切替えに当つては実際切下げなくてもやつて行ける、こういう御説明があつた。その理由としては、定員が二万人ほど不足しておる、その財源を充てることができるから給与切下げはしなくても済むのだ、こういう説明があつたのです。ところがこの問題について教組のほうでは給与切下げが行われない安心ができるかどうか。文部省のほうでは切下げなくても済む、こう言つておるのですが、私も多少不安なわけですが、そこで教組のほうではどう見ておるのか、説明を聞きたい。
  52. 今村彰

    参考人今村彰君) これはもう不安というよりも、切下けが決定的に、このままで行けば文部省のそういうお考えに反して切下げが行われる、こういうふうに考えます。
  53. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部省のほうでは理由を挙げておりますから、二万人の定員の余剰がありまして、だからそういう点から切下げをしなくても行けるのじやないか、こう言つておるのですが、そういうことは不可能だというなら理由を挙げて説明をしてもらいたいと思います。
  54. 辻原弘市

    参考人辻原弘市君) 今公述人から申述べました結論として、非常に文部省の御説明では不安の念に堪えないと考えております。その理由といたしましては、御承知のように文部省説明せられておりますのは、これは平衡交付金の基礎算定の基準財政需要額の中から給与の問題に関してのみこれを取上げておるので彫りまして、地方で実施する場合は、私から申上げるまでもなく平衡交付金全体の総額の問題が問題になりまして決して只今のような百億乃至起債を含めて二百億どいつたような、地方ではとても問題にならんというふうに考えられておる。この平衡交付金の額で以てしてはやはりこれはベース・アツプは不可能であろうという点が一番大きな問題であるわけであります。いま一つは、仮に定員と昇給財源で以て内容的には埋つてあるという説明をいたしましても併しながら一方においては財源的に引かれておるという論拠が、地方に廻わつた際にどちらが地方で受取りやすいかといつた場合には、やはり引かれてあるではないか、そうした場合に定員と昇給財源というのは地方では明確に補助金とは性格が異なる、これだけだという実際の金額を受取るのではないのでありますから、従つてやはり財源的に引れてあるということのほうが優先的にとられる可能性が強いということが一つ。それから次には、今度は内容的に二万名の欠員と、それから二・五%の昇給財源で以て完全に引かれたものを財政的にこれを補填しているという論拠につきましても、確かに欠員の点についてはお説のように補填がきくであろうと思います。併しながら昇給財源に関しましては、これは机の上の計算では二・五%ほぼ二百二十円という計算が出て参りますけれども、併しながらただ二五%のこの昇給財源というものが慣例として従来これが見られておらなかつた。そうして全体の需要額の中において、この昇給財源というものは見込まれるのだという一つの慣習の上に立つて、ものを申しておるのでありまして、ところが現在地方ではどういう状況になつておりますかと申しますならば、御承知のように一方において首切り問題というのが提示されて、地方教育委員会では非常に恐慌を来たしておる。所によつてはこの首切りが必至であるというふうな、非常に悲観的な見方から現在採用をストップしている所もある。又教職員につきましては、これはうかうか現在ではやめられない、再び復帰することはむずかしいといつたような点で、人員の異動というものが逐次減少しておるような現状であります。そうした場合に、果して人員は完全に固定した場合には、動かなかつた場合においては、その中から昇給財源を生むということは、理論的には不可能になつて来るわけでありまして、その度合というものは従来よりも非常に少い場合に、完全にその中で二・五%というものが確保できるかどうかという点については、非常に私どもとしては見方として悲観的になるわけでありまして、従つて完全にその中で昇給財源に廻わすことができなかつた場合においては、当然この枠外にある二・五%というものを加えなければならない。そうした場合に二・五%というものを、いわゆる三百七十五円引かれたほうの財源に充てるということが至難である、こういう点から必ずしも三百七十五円全部について財源的の補償をしているということには決してならないのであります。
  55. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあ私も大体切下げなしに給与の改善ができるとは考えられないのです。この点は文部省なり、その他の政府関係機関に十分質問する考えです。そこでこの給与切替えに当つて教職員給与切下げ切替える、こういうことをすれば、どういう結果が起つて来るか、こういうことをまあお尋ねしたいのです。私のお尋ねしている理由を明らかにするために、もうちよつと補足しておきますが、現在私の知つておるところでは、教職員給与を少しでもよくしたいという地方自治団体の責任者が、給与を若干上げることに努力している。併しどういうふうにしておられるかというと、予算全体を拡げるのじやなしに、高給者の整理をして、そうして助教とかそういう人たちを雇つて来て、安い給与の人々を雇つて来て穴埋めをしておられる。そのために最近の教員の構成を見ると、非常に助教のかたが多くなつて来ている。そういうことによつて、とにかく地方の責任者は切抜けておられるようです。このことが教育に如何なる影響を及ぼしておるかということは言うまでもないことです。ところが今度給与切下げてやるということになれば、再び私は今のような事態が更に大きく起つて来るのじやないかということを心配しているのです。そういう点がどういうふうに教育の実際面においてなつて来るか、教組のほうでもいろいろ検討されておるのじやないかと思うのですが、若し検討されておればそういう点を一つお話願いたいと思います。
  56. 辻原弘市

    参考人辻原弘市君) 御指摘になりましたように、当然この事態が実際問題として取扱われるというふうなことになりましたならば、地方におきましては、それだけの平均給を落して現在の定員を確保しなければならない。特に教職員の定員につきましては、これは普通の事務官庁の定員と異なりまして、対象というものが生徒児童という対象がはつきりいたしておりますので、ぎりぎり結着の定員というものはどうしても切下げられないという点から、その定員を確保するために勢いその質を変えなくてはならない。いわゆる或る程度中堅層以上の優秀なる教職員を抱えているということが困難になつて、いわゆる安い教員とすり換えるという点において教育上実質的なやはり教育効果というものを低下せしめて行くのではないか。更に重要な問題は、特に教職員に対するこの給与の取扱いに関しましては、地方では非常に大きな政策的な意味を持つておるのでございまして、御承知のように教職員の志願者が昨年度も一昨年も、いわゆる学芸大学において募集をいたして見ましても、片一方の曾つての高等商業であるとか、或いは高等工業であるとかいつたふうな大学を総合いたしました経済学部の志願人員と比べまして、殆んど問題にならない、こういう点があるわけでありまして、それが更に給与が低くなるということになりましたならば、現在の何とか優秀教員を養成したい、或いはすぐさま優秀教員を教職員として確保したいという地方の考え、これが全然意味が成立たなくなつて来る。こういう点から全般的にやはり教員レベルと申しますか、そういう点が非常に下つて来る。これが又地方の父兄或いは一般国民のかたがたの教育に対する関心度合、或いは教育者に対する信頼感というものを非常に低減して行く一つの傾向を生むのではないか。こういう点について私どもとしてはこの問題は考え方によりましては、小さな問題でありますけれども、非常に将来としては大きな発展をするのではないかということを恐れておるものでございます。
  57. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで、私最近の事情を知りませんのでお伺いしたいと思うのでありますが、まあ子供を託しておる父兄にとつては何とか教育者の生活を守つて行きたい、こういう気持があることは私もよく知つております。そういうために教員の生活費として何がしかの金がPTAなどから出ておつたということを聞いておるわけなんです。組合のほうではこれについては、非常に反対をしておられる。私もそのことは知つております。併し実情はまだそういうことが起つておるか、今日ではそういうことが全然なくなつておるのか、そういうことについて若し御調査でもあれば最近の事情をお伺いしたい。
  58. 辻原弘市

    参考人辻原弘市君) PTAの会費の問題でございますが、私はこれは文部省の調査によりましてもたしか私の聞いたところでは、昭和二十四年度において約百四億程度のいろいろな公費外の経費が注ぎ込まれておるということが明らかにせられておりますが、私どもの当時の調査では、約三百億程度のそういうものが費やされておる。これは六・三建築、いろいろな方面に亘つてでありますけれども、その中でやはり教職員給与面についていろいろの補助があつたのであります。それは父兄自体から当時の教職員生活状況が余りにも気の毒であつて到底これではやつて行けないだろう、だからそそういう点で補助をしたいということからPTAの援助といたしまして廻わされておりましたが、その後私どものほうから自主的にこのPTAの会費乃至は援助を以て教職員自体の生活にタツチすることはこれは我々としては正しい行き方ではないということで、この問題につきましては、殆んど現在では各府県とも直接給与面に対するPTAの援助というものは辞退いたしております。但し部分的には、そういうこちらの意向はよくわかるけれども、なお是非これは子供のためにもらつてもらいたいという非常に積極的な好意を持たれるPTAのかたがたのなにもだしがたくて、現在高等学校或いは中学校の一部においてはそういう形で援助がなされておるところもありますけれども、併しながら主としてこれは旅費面、或いは直接研究費というふうな形で若干出ておる程度であります。我我が積極的にこれを辞退しなかつたらなばPTAのかたがたとしては是非やりたいという気持を持つておられるということを私ども地方に参りましたときにもいろいろ聞いております。そういう状況でございます。
  59. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) ちよつとお諮りいたしたいことがあるのですが、参考人の御質問は続けて結構だと思いますが、政府当局のほうのこれから御質疑があるはずなんでございますが、この会が、本会議がありました関係で非常に開会が遅くなりましたので、政府側のかたが皆予定があるので、もうお帰りになつたかたもあるし、もうお帰りにならなければならないというかたもありますのでどういうふうに取計らつたらいいでしよう。皆さんちよつとお諮りいたします。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 政府委員のかたが見えているのですか。
  61. 岩間正男

    ○岩間正男君 その前に何時までやつて……、これは続けるのですか。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 さつき僕は政府委員にと思つたけれども、見えなかつたので……。
  63. 岩間正男

    ○岩間正男君 政府委員に出てもらつてやらなければやつぱりまずい。それでやつぱり参考人の話を聞きまして関連した質問が非常に出て来る、その両方を聞いて我々は判断しなければどうも不明瞭なのです。そういう点から午後からこれを再開してもらうことにして必ず政府委員出席を求め、殊に天野文相なんかは今まで答弁が食い違つている。問題にならん。
  64. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 昼からのほうは予定してないのです。それですから連絡をとらなければちよつとわからないのです、政府委員が……。
  65. 岩間正男

    ○岩間正男君 成るたけとつてつてもらいたい、非常に重要な問題であるから…。(「連絡して続行」と呼ぶ者あり)
  66. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 皆さんそういうに取計らいましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 御異議ありませんね。続行するならばもう大変お昼の時間も過ぎているようですから、ここで休憩して如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) それならここで休憩して一時半に再開いたします。    午後零時四十三分休憩    —————・—————    午後二時二十四分開会
  69. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 午前に引続いて委員会を開会いたします。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 参考人にお聞きしたい点は、今この地方公務員ベース改訂に当つてこれを切下げてやる、この問題が非常に問題になつておるのでありますが、この問題は単に今度のベース改訂によつて、実質的にこれは少くなると、こういう問題もあると思うのですが、この影響するところは単にそれだけではなくて、やはり一つのそういう賃金の改訂というものが今後非常に不利になつて来る、非常にこれは影響を持つ、こういう点があるのじやないかというふうに考えられたわけです。この点現在日教組のほうでは、今要求されている額としては飽くまでも人事院勧告を最低線として、何とかこれを実施して欲しい、こういう要求を出されておるのですが、この点と関連して、今の切下げの問題というものは、先にそういうふうな大きな問題と関連して一つの賃金のそういうプリンシプルが壊れる、こういう点を問題にされておるのかないのか、この点はつきり伺つておきたいと思うのです。
  71. 今村彰

    参考人今村彰君) 我々の基本的な生活費をどうして行くかという問題に関しましては、私ども日本教職員組合は勿論、官業従事するところの全逓にいたしましても、国鉄等の公企業等に従事する者にいたしましても、全体といたしましてすでに政府に、今年の初頭以来少くとも美質賃金としては一万二千円ベースがなければならない、これは今年の一月から実施してもらいたいという要求政府に出しておるのであります。なお国家公務員法という、引続く昨年十二月の地方公務員法の制定ということは、我が国の官業労働者に対する政府政策として、占領下にある実情から、私どもにストライキとか、或いは団体交渉権とかいうようなものも否定いたしまして、諸君の生活については十分心配のないようにしてやるというのがマツカーサー書簡の意味であり、それを受けて立つた政府国家公務員法、地方公務員法によつて、私どもに対しましては団体の交渉権すら認めないという現状になつておるのであります。私どもは法の範囲内において行動するという建前をとつておりまするので、今日まで政府に対して一万二千円の要求を一生懸命に掲げて参りましたけれども、併し昨今の政府のやり方というものは、そういう国家公務員法や地方公務員法を制定した、同時に内外、国際的にも、日本の官庁職員に対する公約である生活を見てやる、そのためには公平な人事院というものを設定して、そうして絶えず民間給与や、物価の生計費の高騰等と睨み合せて、至当な給与を支給してやるというので今月まで参りました。併し政府人事院の今回の一万一千二百六十三円にいたしましても、過般の七九ベースの際にいたしましても、或いは六三ベースにいたしましても、一体この法律できめました生活を見てやろうという人事院決定すら、今日なされていないということは、この政府職員並びに地方官庁の職員である私どもに対し、一体生活を見てくれるかどうかという非常に重大な岐路に立つておるのであります。同時に私たちが皆様がたに申上げたいことは、院大体今日参考人として参りまして、千五百円しか上らない、これで一体米も上るし、運賃も上るし、あらゆる物価が上る段階で、平均千五百円が上つて、そうして一体十分に私ども仕事ができるのでしようか。にもかかわらず更にその千五百円ですら、私どもの現在の給与、低い給与をそれぞれ三百七十五円とか、七百円とか、九百円とか切下げるというような事態は、一体私ども生活に対して基本的な考え方が、私は政府考え方はどうであるかということについては、残念ながら私どもの属する教職員組合は勿論でございますけれども、理解に甚だ苦しむわけなんであります。私どもが法律で規定されました人事委員を一応尊重する建前からそういう基本的に給与に対する政策というものは行われるべきであつて、それができないまでも、今度は私どもの低い給与を更にこの機会に切下げるなどということについて今非常に政治問題になつてどもはここに来て先生がたに訴えなければならない、意見を申出なければならないということは、これはもう岩間委員質問よりももう遥かに私ども生活を本当に見てもらつて一生懸命に働くという基本的な給与生活を見るような給与というものが今日政府政策としてとられておるかどうか、非常に私は残念なので、却つてそれを低いところへどんどん切下げて行つて、この給与政策は更に午前中に質問が、ございましたように、私どもは残念ながら非常に生活が低い、低いが一生懸命にやらなければならない。ところがPTAの皆さんが見るに見かねて私どもに対して何とか援助しようとする、私はこれは非常に表面上は教育を維持して行くPTAの努力かも知れませんけれども、これは到底日本全体の将来の教育の面から言つたならば教授たちを卑屈にし、教授たちを悪くし、私ども政府に国民の責任において教育再建したいという立場をとつておる私たちは、もうどんなになつてもPTAの援助というものは断らなければならない、そういう決心で非常に悲惨な私どもとしてもそういう今まで受けて来た、残念ながらそういう援助を断わつて今やつておるそういうような状態において、こういうような切下げをするということは基本的に私たちの生活を見てくれないばかりか、大変なことが、教育界に混乱が起る。で、私どもとしては併し飽くまでもこういうような問題については各委員の賢明なる、又同情ある御意見によつて速かに克服されることを国会に期待しておるような状態なんです。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 一応局長の答弁がありましたが、ああいうことを、問題を非常に糊塗して、而も一つの賃金のそういう体系まで壊してプリンシプルとして生れて来る、これが影響するところが非常に大きい、こういう点が考えられる。これに関連してお聞きしたいのですが、天野文部大臣は教員の既得権というものを、殊に今の問題ですね、これは認める、そうして飽くまでそれを失わないように努力する。こういうことをしばしば当委員会においても我々の前でも述べられ、組合のほうにも言明されたと思うのです。ところがその事態が今度の通牒によつてどうも確保できないというような情勢が出て来ておると思うのですが、これに対して組合側ではどういうふうにこれを考えて、そしてどういうような意見を持つておられるか、この点を伺つておきたい。
  73. 今村彰

    参考人今村彰君) 私ども委員の御先生がたに申上げたいのですが、実は文部大臣にも非常に誠意を以て努力して頂いて、先月の三十日三十一日には随分長い時間文部大臣とお会いしまして、今日まで努力して参りました。併し文部大臣は私どもに対して給与既得権を尊重するという建前をとつて相当同情的に私たちに給与既得権は尊重する、こういうことを言われておりますけれども、併しこの問題の閣議決定通牒通達の及ぼすところは当然これは給与切下げるという以外の何ものでもなくて、そうしてこのことが現在の給与政策として私どもとしては重大である、今後こういうことがやられるということになりましては到底教授たちは安心してやれない。で、私どもは国民全体にこのことは訴えなければならない問題だと思うのです。で、そういうような事態で、何と文部大臣が尊重すると言われましても、この通牒或いは閣議決定というものの方針が覆えるか乃至は修正されなかつたならば切下げは必ず起る、こういうように私どもは考える。私どもとしても更にこの問題が文部委員会において善処されることを期待すると同時に、私どももこれが修正或いは撤回されるように、そして又教職員生活が完全にできるように政府に対して善処を要望して行きたい、こういうふうに考えております。
  74. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) ほかに御質問ございませんか。
  75. 平岡市三

    平岡市三君 政府委員がお見えにならんようですから皆様の中にはもう日教組のかたへの質問もおありにならんようですから、一応本日はこれで閉会することの動議を提出いたします。
  76. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちよつと、私お伺いしたいのですが、今日政府委員の人たちが見えない理由ですね。政府委員にも大蔵委員或いは自治庁関係の委員、或いは地財委委員文部省委員、各方面に亘つて事情を聞くことになつておると思うのです。然るにどの委員もお見えにならないということは、私は非常に不思議に感じておるのですが、その事情を一つ明らかにして頂いて、その上で今日はやめるかどうかきめて頂きたい。実はこの問題は私は相当差迫つた重要な問題であると考えておるのです。前に免許法の問題でありますか、あのときに非常に事態はよくなかつたのです。併し今度の場合、更に私どもとしても何とか事態を円満に解決するような方向へ持つて行きたいと考えております。その意味で今政府委員出席は当然あるべきものだと考えておりました。ところが全然ないからやめておこうということでは、私は委員会としてもどうかと思うのです。ですからその点明らかにして頂いて、出席できない理由がよくわかればそれは別に……。
  77. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 委員長から申上げますが、今日御存じのように本会議がこちらのほうが長引いたので各委員のお揃いがなかつたために待機していらつしやつた各官庁のかたが午後予定がおありになつたので、なかなかその予定がつかないので、おいでにならないので、事務のほうからもその交渉を再三しておりますが、文部大臣だけは三時になつたらここに来る予定になつておりますが、あとのかたはどうも都合がつきかねるというのがまあ現在のところなんです。
  78. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その予定と申しますのは、国会の関係の予定なのでしようか、各委員会出席しなければならん予定でしようか、政府の事務関係の都合の予定なんですか。
  79. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) ちよつと速記をとめて…。    〔速記中止
  80. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 速記を始めて……。
  81. 高良とみ

    高良とみ君 私はこのほかのほうの予算委員会に出ております関係上、ほかのほうを伺うのであります。日教組の証人のかたがた、財政部長のかたに二、三資料を提供して頂くことも希望したい。それは予算委員会等でもいろいろな意見が出ておりまして、今日こういう財政事情の上から行きまして地方公務員の俸給が中央の公務員より本給において多いというような意見さえもこの間打ち出ておつたので、そうでないという証言、証言というよりもそういう議論も又地方財政に詳しいかたがたからも出ておつたのです。その辺にちよつと中央におきましても大分混乱した考え方があるのではないか。その方面としては中央官庁におきましてはいろいろな調査費とか、旅費とかその他の費用がありまして、本給でないものがあるために実際においては中央官庁のほうが増しておるのにかかわらず、地方に参りますと、実際地方財政を調査して見ますと、この間一千円を上げたときに地方では千四百円上げたとかいうようなことで以て大分地方財政の貧困状態に対する基礎が不十分な点が私どもの頭には少くともある。それにもつて来て今度は教職員諸子の俸給については又その地方公務員の俸給と比べられて帳面づらで本給面だけを見たときにそういう声が出て来る基礎があるのではないかということを私は憂えておるのであります。そういうことでは水掛論になりますからもう少し中央の各官庁の同年齢、同家族、同経験等の上に立つて、同学歴等の上に立つてそうして皆さん教職員の俸給がどういう実情であるかというようなことを計数的にはつきり出して頂きますればこれから予算委員会及び地方行政委員会等における論拠が確立するのではないかと思うのでありまして、誠に迂遠な話で、今問題がけりが付いて来てからそういうことを申上げるのは恐縮に思うのでありますが、最近そういう誤解に基いた一般の輿論がありまするので、それはまあよく了解するとしないにかかわらずそういう面がある。先ずそれについてどうお思いになりますか。今回のようなこういう平均すべきであるというような考えの出た根拠はどこから出ておるのか。数字的に言つてどうお考えになるか。ちよつと伺いたいのです。
  82. 今村彰

    参考人今村彰君) 御説明を申上げますと長くなりますから簡単に申上げて見たいと思うのでありますが、午前中の私ども公述におきまして本俸の単位自体が給与の高い安いを論ずる基礎にはならないという点を申上げた。只今高良委員のほうからその点を非常に御心配下さつておる通りの私どもは見解を持つておるわけであります。それからいま一つは前に千円のベース・アップの際に非常に中央における財源見積りが誤まつておつた、こういう点についてその後地方の実際の状況を見ました場合に国が予算措置をいたしました千円を遥かに上廻つておるという原因でありますが、この点はすでにもうそれぞれの当局から発表せられておりますように、決してこれは平均で以て不当に上げたとかどうとかいうような問題ではございませんで、結局するところは一律に画する考え方が、それぞれ教員なり、或いは一般都道府県職員なり、或いは市町村職員なり、警察官吏なり、消防官吏なりそれぞれ職種によつて年齢構成が違い、家族構成が違うという点に一律の考え方誤りがあつて、その点においてこれが現在是正しなければならないような段階に来ておる、こういう問題であります。それから最後に高いか安いか、どうなつておるかという豪いろいろ問題になつて、具体的なデータがあるのか、あれば出してもらいたい、こういうふうなことが絶えず言われるのでありますけれども、御承知のようにこの給与実態ぐらい複雑極まるものはないのでありまして、いろいろな年齢構成、或いは勤続年数別、職種別と言いました場合には、およそ何百種類に上る分類ができる。こういう点についても現在のそれぞれの官庁の力を以ていたしましても、主たる責任であるところの人事院においてすら完璧な資料は出されておらないわけであります。そういう観点から今回の大蔵省の調査を見てみました場合にはいろいろ欠陥がありまして、私どもとして第一点に指摘いたしますことは、この当初のいわゆる調査方式の出発の問題でありますが、この点におきまして本俸のみを対比したというその調査でありましてもいわゆる対比すべき二つの職種のうち国家公務員の場合にはこれを理論的に置替える、そうして一方地方公務員の場合にはこれをピツク・アップいたしまして、教職員にいたしましても、六十数万に上る教職員のうち極く僅かしか対象人員をとつておらないという点が必ずしも全体を証左するものではない。最初に申上げましたこの理論的に切替、えて行く切替式というものを採用いたしました場合には、それが必ず国家公務員の現在の実態であるかというとそうではないわけであります。なおその切替方式によりまして、そうして同一勤続年数、同一学歴というものを抽出いたしておるわけでありますけれども、例えば教職員の実際の切替方式と見てみました場合には、高い安いということでありますから、高いということは不当に高いという見解が出なければ調整するなどというような考え方は起らない。そこで不当かどうかという問題もここでは論じて見なければならない。高いというのは……。ところが実際大蔵省切替をやつておりますその一番出発の千六百円ベースという年があつたのですが、その当時におきましてはやはり既得権を尊重とするという立場を十分活かされておりまして、いわゆる合法的に当時設置されておりました給与実施本部という機関においてそれぞれ地方が承認を求められた金額というものがあつたのです。その金額は必ずしも理論的に切替えたものではなしに、地方既得権を尊重した立場においてこれならば国の方針にマツチして妥当であるという点において認めた各県の実績というものがあるわけでありまして、従つて切替をやるにいたしましてもそれぞれのその当時合法として認められておりましたその切替からやつて行かなければならない。そういう点が大蔵省でやりました場合にそういういろいろな曾つて合法的に認められたそれをも全部除いてしまつて、そうして切替方式をとつておる。そういう点が積み重なつて来てやはり若干の差が出て来るのは当然でありまして、従いましていわゆる何の味付けもない単なる機械的な切替方式をとつてつておるというところに大きな問題があると思います。そういう点はそれぞれ知事会あたりの資料にも十分指摘されてあるわけでありますが、そういう根本的な方針が、誤つておる調査に対しましても私どもとしては勿論信用できないわけであります。それで一体実態がどうであるかという実態の把握の問題でありますが、この点に対しましても私どもの持つております資料においては、これは全国的ないわゆる都道府県において妥当だと認めて、而もその間現在の切替までに御承知の再計算措置をやるというのが政令で出ておりましたが、その問題をめぐつていろいろ論争があつて、併しながらその点に対しても都道府県知事が承認を与えたものについてはこれは合法である。こういう点のその後における実施本部との間の公開審査において結論が出ておりますので、従いまして現在法律的に申しましても妥当であるという点の実績が私どもの掴んでいる給与実態でございまして、どこを見ましても切下げなければならないというそういう論拠はここには出て来ないわけであります。
  83. 高良とみ

    高良とみ君 わかりました。その不当に高いということを拒否なさる根拠がよくわかりましたが、そうしますと先ほどおつしやつた二つの既得権であるということ、それからもう一つ地方財政に対する中央の干渉である。地方人事委員が殆んど無用になるというそういう地方自治の根本に立つた御主張であると思うのであります。私ども大ざつぱに考えましても学校職員の永年勤労されたかたに対して一万二千円ベースという俸給も払うことができないというような実情は、実に教育上の憂うべきことでありますのみならず、今度のこういうことに対してどんな混乱が起り、又二方への欠員の重荷が残つた人たちにかかつて来るということ、又それを若し二万人の欠員のものをそちらに廻して一時を糊塗して行くということは、つまり皆様の教員諸君の生活権が脅かされているという意見皆さんの御主張通りよくわかると思うのであります。なお私としては更に人事委員等の細かいことを研究いたしますと共に、できるならば先ほど申上げました通り日教組は全加入会員の生活実態を掴んでおられると思いますから、ほかの大蔵省文部省等の調査にかかわらず、団体としての調査をお出しになつて頂けば私どもここに実態があるということが言えると思いますので、そういう材料を今後御提出になることを切に希望する次第であります。
  84. 平岡市三

    平岡市三君 私も発言するつもりはありませんでしたけれども、今高良さんが質問したことに関連いたしましてちよつとお聞きしたいと思います。実は予算委員会で、大蔵並びに地財委が密接な関係をとりまして、七万人の調査を、地方公務員の調査をした。その調査の方は学歴、年齢、職種というふうな緻密な調査を七万人いたしまして、その結果がこの教員のかたがたでは三百七十五円、この地方の教員のかたが高いというこういう結果が出たということを聞いておるわけです。それで事実高良さんはよくわかりましたと言われましたけれども、僕にはわからない。皆さんがたがどの程度の調査をなさつてつて、これを覆えすだけの資料がおありになるかどうか。日教組というところは聞いたところでは非常に立派な団体で、大きなスケールを持つておるということを聞いておるので、どうかその点を、私も皆さんのほうで地財委、並びに大蔵省で七万人お調べになつた、これは間違いだ、高くないのだという資料でも御提出頂きますれば、我々としても甚だ仕合せだとこう思うわけであります。
  85. 今村彰

    参考人今村彰君) 先ほど私のほうの辻原君から申しましたように、この職種、それから年齢別、学歴別などを調査いたしますると、二百数十種類のものを出さなければならない。これには相当の日月と人力が必要だ。私ども生活実態調査と給与実態調査を行なつておりますが、これはすでに日教組ができまして、以来やつておりますけれども、これを全国の六十万人を全部握るということはなかなか至難であります。政府がたくさん人間を抱えておつてもできない。低いところもあるし、或いは高いというようなところもあるだろうし、それより、私がこの機会に非常に申訳ないのですが、申上げたいことは、大体七万人調べて、本俸だけ、例えば埼玉に行きまして何十人か県庁に行つて調べる、そうすると、先頃の知事会議では、大蔵省のデータはこれは嘘だ、自分たちの人事担当者の会議を開いて集めて見た資料は決してそうではない。知事会議はそういう主張をする。これは到底私ども皆さんに、率直に言つてそんな厖大な、政府よりも、政府のは私どもにはそういうふうに信頼がおけないということは、皆さんも、そんな厖大なものを用意していないし、私どもが現在作つている調査もいずれ必要があれば、これについても皆さんが信憑性を持つか持たないか、これも又見方によるわけであります。あとでよく説明に上りたいと思います。相当詳しく……。それからただこの機会に明らかにしておきたい点は、何か地方公務員国家公務員給与の差というようなことを考えて、或いは国家公務員給与の差というなら、地方公務員には、もう随分私どもは相当たくさんの金をかけまして、公判でいろいろ争つて、超過勤務があるから教員に出してもらいたいと申しましても超過勤務は一銭もくれない。日直料も非常に安い。こういうふうな教師全体が受けている給与総体、全体について調べられないでそういう議論をされる。それから私はこれは先生がたに聞きたいほうなんですが、一体地方自治建前だというなら、町村のAならAの町、非常に富裕な町の町村吏員と、CならCという非常に貧弱な町の吏員、生活規模が全然違う、財政規模も違う、それを何だか均しにするというような議論が一体成立するのでしようか。そのことが同時に、例えば島根のような貧弱な県と東京のような富裕都とこれを均しにするというようなことがあるのでしようか。これなら皆国家公務員にしてしまうほうがいいのじやなかろうか、私はこういう高い低いを論議する前に、一体その論議をなぜしなければならないかという点に、政府はそれほどうかつに、ちよつと大蔵省の役人が都道府県に行つて何十人かずつ調べて行つた、そういう資料を平衡交付金の大きな政治的論争の合間に行われて、そいつを資料にして何かおつしやるのは、大体非常に問題じやないだろうか。そういう点が私どもには明らかにならない。で、結局政府平衡交付金の算定基準において、平衡交付金の全体総額を低めるために、知事会議地財委要求とうまく合わないから、そこでここに切下げをやろう、切下げを合法的にやるために、大体合法的にやるなら今の給与は全部合法的であつて、昭和二十四年の三月、四月に人事院で浅井総裁が、一体教員に闇昇給があるかないかというので論争をやつて、闇昇給は一つもないという結論が出ているにもかかわらず、今ここに問題になるのは、これは何であろうか、ここにやはり非常に今回の問題がある。その証拠に先生がたにお配りいたしました。私どもの学校の先生なんかが、この文章を、閣議決定通達は何と読んでも読み切れない。これは何を狙うているのかわからないのです。そういう点をどうか一つ検討頂きたいと思う。なお私どもが持つている資料等については必要に応じまして御説明に上ります。
  86. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) ほかに御質問ありませんか。
  87. 高良とみ

    高良とみ君 私がわかりましたと申上げたのは、御主張がわかりましたという点なんでありまして基礎資料がまだ十分手に入つておらないこと、これは又事実なんですから、ですからその点で御主張のあるところはわかりましたけれども、基礎がないことを両方で水掛論をやつていることは実に非科学的であり、何とか寒々しい感じを持つのでありましてどうか一つ実態調査ということもなかなか困難だ思うのであります、金のかかることでありますが、それなら地区別でもよろしいのでありますから、この地方財政においてこれだけはどうしても最低給与でなければならない、そこのところはどうしても三百七十五円どころではなしに一切切下げられてはいけないし、闇昇給もないことでありますから、日直、旅費、その他もこれだけは要るということについて正当な科学的な要求をすることに末端の日教組の分子を御訓練になることも一つの途ではないかというふうに考える。それだけ又それが地方自治というものを育てて行くゆえんだと思う。中央に持つて来られてそれで六十万人の教員の獲得を言われても、やはり知事会議決定などにおいてばらばらになるのではないかと思うのであります。地方に力が入つておれば地方で以て言われることは科学的なことだと思うのでありまして、何でも払う賃金というものを、バスの代金がこことこことごう違いがこれだけあると、いうことがはつきりわかるわけでありますから、何でも日直や時間外手当の居残り手当が少いなんということは、ここで聞いてもちよつと私どもには非常に不合理に考えられる。当然正当なものを要求して正当なものは与えられるように私ども地方自治を指導して行つて頂きたいというふうに考えるのでありまして、何となしにまだ材料を頂かんことにははつきりわからないという感じを持つのであります。なお希望としてどうかできるだけの材料をお出し願つて、サンプリングでも結構ですから、島根県の何村の教員はこうで、その村の吏員はこうでという……或いは東京において、或いは同じ広島県でも隣の村は非常に裕福であつて他の町は貧困であるということがある。地方自治においてもそういう御尽力を願いますれば……、図表か何かでやつてもらえれば、非常によく実態がわかる。教員の俸給並びに生活実態については、皆さんと一緒に深甚な憂慮をいたしておりますので、その点は御了解願つて、非常な大きな、何と言いますか、幽霊の影を追つかけて行くというようなことでなく、科学的に、末端から末端に着々とやつて頂くということは大切であるという希望を申上げておきます。
  88. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) ほかの委員のかたには御質疑ありませんかしら。……今文部大臣は三時になつて、今連絡に行つておりますが、文部大臣お一人ではやはり審議の御質問にも、要領を得ないことがあるだろうと思いますので今日はこれで打切りまして、明日、十分に連絡をとります。ことに御了承願いたいと思います。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 今日は大変お忙しいところを日教組のかたいらつして下さいまして、資料を与えて下さいまして、お礼を申上げます。大変長い時間有難うございました。これで委員会を閉じます。    午後三時三分散会