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高田なほ子君 先ず四つの問題について御
質問申上げたいと思います。
先ず第一に今も
木村委員から御
質問があ
つたのでありますが、
教育財政の確立の問題であります。これはかねがね文部
大臣も義務
教育は憲法上の義務としてこれは行わなければならないということを言
つておられるのでありますが、今前
質問者の
質問の中にもあ
つたように、
平衡交付金制度による現在の
教育事情というものが、
財政の逼迫によ
つて非常に圧迫されて、従
つてこういう問題が世論を非常にゆさぶ
つた六・二制というような問題も出てたのだと思うのであります。これに対する
文部省の対策というものは、かなり具体的に進んでいるやに聞いておるわけであります。この
教育財政に対する基本的な方針、そして具体的な対策がどの
程度まで進行し、而もそれは実現の見通しをいつ頃に置いておるのか、こういう点について先ず伺いたいと思うのであります。
第二点は学童
給食の問題であります。文部当局の非常な御誠意によ
つて一応明るい見通しを受けたような印象を私
どもはというよりは、
一般のかたがたが持
つておるようでありますが、
努力は
努力といたしましても、必ずしもこれが明るい見通しのようには考えられないのであります。先ほど担当者のかたからも
給食の問題について極めて明るい御答弁がございましたが、
年度末まではそのまま
給食児童を減らさない皆そのままに進めることができるであろうが、併し最惡の場合においては
幾らか
兒童の
負担になり得ることもあるというような御答弁がありましたが、この
最後の御答弁が今後学薫
給食にもたらす
一つの回答のように考えられるのでございます。そのことは九月十一日の衆議院の文部
委員会において水谷政務次官が閣議或いは自由党の幹部の間においても、来
年度の
給食を打切るということをやれば、本
年度の
予算は相当取ることは可能性があるように認められる、これが速記録に載
つておる次官の言葉でありますが、こういうことから考えて見ましても、本
年度の
補正予算の中で先ず
幾らかは楽観を許すような
予算が取れたような印象を与える、而もそれが来
年度もずつと継続して行くような印象を与えるのでありますけれ
ども、どうも水谷次官の当時のこの衆議院における御発言にしても、又今後見車の
負担によらなければならないという最小限度の御答弁によ
つても、或いは又二回ばかりこの
給食問題について閣議が持たれたやに聞いておるのでありますが、その閣議決定の場合においても当の
財政の紐を預か
つている大蔵当局が
国庫の補助でなしに、学童
給食は継続するという
意味で閣議は決定されたのだというような御発言を速記の中に私は見出すのでありますが、こういうような点から見ても学童
給食は継続されるのだというような明るい一面のみここに表現されないで、この問題はもう三月限りで、実際的には打切られてしまうのだと言
つてあげたほうがむしろ親切であると共に、若し仮にそうであるとするならば、文部当局としてもこの際の下部における混乱ということについても相当の指導性を今のうちからこれは十分に考えてあげなければならない問題だと思うのであります。これについて率直な
大臣の御答弁と将来への御見解というものを承わりたいのでございます。
第三番目に
行政整理の問題でありますが、この
行政整理の問題は挙げて現在
教員各位が非常な不安に襲われている問題でございます。特に今までの歴史から、歴史と申しましては言葉が大きいかも知れませんが、今までの
行政整理の対象に
なつた者は
教育者として極めてよい
教育者であると思われるようなかたも、時の考え方の中に押されてあれは極めて偏向的なものだというような、思想的な偏向だというような烙印を押されて閉め出される場合と、もう
一つは婦人の
教員が婦人なるが故に共稼ぎであるとか、お前の主人は校長であるというような、女性なるが故の閉め出しをされて来たのであります。こういうような間違
つた見解から行われる
行政整理がこの際あ
つては断じてならないと考えられるのでありますが、併し先ほどの御
説明によりますと、さながら今度の
教員の
行政整理は他の各省とのお付き合いで削減するのだというような極めて不真面目な考え方がここに出て来ておるのでございます。私は現在の
教員の定数というもが、如何にこれが不合理なものであるかということは申上げるまでもなく
大臣御自身もこれは十分に御存じのはずであります。然るにもかかわらず、付き合いで
教員をやめさせる、而も一応
予算のトータルをきめておいて、その
予算の枠に当てはめて削減するというような、こういうむちやくちやなやり方に対して、私は何としても納得が行きません。どうかこの点は私の納得の行くような御答弁を
一つお願いをしたいと思うし又
大臣の当初からの御所信も曲げられるようなことは断じてないと信じますけれ
ども、この点についても又お伺いしたいと思います。
次にお伺いしたいことは、
教育理念の問題でありますが、今次国会におけるいわゆる道徳的の中心の問題は、非常な反響を呼んでいる問題であります。これは、
大臣の本会議における御答弁のお言葉が足りないところから来ている私の誤解であろうかとも考えておるのでありますが、少くとも日本の道徳の中心が天皇であるということについては、誠に奇つ怪至極なお言葉であろうと思う。天皇の名の下において、神格化された天皇の名の下において、日本のあの軍国主義的な侵略が遂行されたということは、これは論を待ちません、而も神格化された天皇の名の下における祭政一致の建前から、
教育がこの天皇の名の下において、
一つの道具として使われ、而もこれを理論化するために
教育勅語というものが、この日本の軍国主義
教育の最も大きな根源をして来たと思うのであります。少くとも過去の過ちを清算する日本の民主化への大きな使命を果すところの
教育の理念、私はこの
教育の理念を大きくやはり道徳という問題にも結びつけて考えたいのでありますが、少くともこの道徳の中心理念が天皇であるなどということは、これは今の新らしい
教育の理念を冒涜する考えではないであろうか。(ノーノー、違う」と呼ぶ者あり)少くとも(「その通り」と呼ぶ者あり)日本の新らしい誕生のために、
教育は先ず個人の完成を主張します。個人の完成を主張するゆえんのものは、正しい社会の完成をすべての国民の上に希求するが故に、
教育の新らしい理念が私は生れたのであろうと思います。(「日本の
教育者じやない」と呼ぶ者あり)こういう考え方から
一つの(「ソヴイエトの思想だ」「何言
つてるんだ」と呼ぶ者あり)道徳の集約的なものを(「黙
つて聞け」と呼ぶ者あり)過去の過ちであ
つた神格化された天皇に結びつけて考えるということは、これは、どうしても納得が行きません。これはとくと
大臣の懇切丁寧な御解釈をお願いしたいと考えるのであります。
最後に
一つ、補足的な問問になりますけれ
ども、私
どもは、誰しもが
教育の機会均等の確立のために
努力をして来たと思うし、
教育の水準を高め、国民の知的水準を高めるためにこそ
努力して来たと考えられるのでございます。その義務
教育六・三制の中において、アチーブメント・テストが行われるということは、
教育の水準を高めるという
意味合いにおいては、私も又了承する一人でございます。併しながら、昨今のアチーブメント・テストの実態は、さながら過去の入学試験の逆戻りの観を呈しておる。この具体的な例を挙げますれば、子供たちは、上級
学校に進学するための
教育が、又進学させるための
教育が正しいのだというようなあり方に現実的にこれは引きずられて来ておる。能力別の
教育が施され、而も上級
学校に行く子供が、
学校の授業が済むと、何とかしてアチーブメント・テストに合格しなければ上級
学校に入れないというので、家庭教師の下に余裕のある子たちはせつせと通
つている。而も
教員各位の中には、家庭教師という、この忌わしい
教育を切売りするようなことが現に
幾らかずつ現われている。(「
教員が惡いぞ」と呼ぶ者あり)これは、
教員の待遇の非常な冷遇から来ておる問題と、もう
一つは、親がどうしても上の
学校に入れなければならないという親の考え方をこれは汲んでやらなければならない教師の立場、又子供がアチーブメント・テストに失敗すればこれはもう浮ぶ瀬がないという子供の切なる誤
つた考え方が、教師をそういう間違
つたところに追い込んで来ているのだろうと考えられる。どうかこのアチーブメント・テストの施される真実の
意味をもつともつと下部に九分に滲透させて、こうした過ちを犯すことがないように、みんなで子供たちの
教育水準を高めて、みんなで
教育の機会均等の線を守
つて行くような
努力がされなければならないと思うのであります。これに対する御所見と、又対策についてお伺いしたいと思うのであります。