運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-10-24 第12回国会 参議院 文部委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十四日(水曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————   委員の異動 十月十七日委員河崎ナツ君辞任につ き、その補欠として堂森芳夫君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            高田なほ子君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            荒木正三郎君            梅原 眞隆君            高橋 道男君            山本 勇造君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部大臣官房会    計課長     寺中 作雄君    文部省管理局長 久保田藤麿君   事務局側    常任委員会専門    員       石丸 敬次君    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部大臣官房総    務課長     相良 惟一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (昭和二十六年度文部省関係補正予  算に関する件)  (提出予定法律案に関する件)  (行政整理給与ベース改訂教育  財政確立学校給食等の当面せる諸  問題に関する件)   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれから委員会を開会いたしますが、今臨時国会に提出されておりまする補正予算説明について承わることにいたします。
  3. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 一枚刷りにしてお配りしてあると思いますが、昭和二十六年度補正予算事項並びに金額、極く簡潔な説明を加えまして、御説明申上げたはずであります。それについて多少補足説明を加えたいと存じます。  第一に義務教育教科書無償配付費補助金増加でございます。これは一年の国語並びに算数教科書についてこれを無償配付することになつておりましたが、後期の分が多少値上りをいたしまして、そこにありますように値上り前と値上今後において約二十一円ばかり上つたのであります。その関係で千九百四十万円という金が必要になりました。これを補正予算に認めておるわけであります。それから次は第六回の冬季オリンピック大会派遣費でありまして、オスローで関催されることになつておりますが、これに選手を十五名派遣いたすことになつておりまして、その派遣費のことを計上したわけであります。大体一人当り五十八万円ばかりの、それの旅費の二分の一を補助する形になつております。その次が給食経費でございまして、これはいろいろやかましい問題がございましたが、とにかく今年度政府一般予算並びに見返資金を以て実施できるように経費を計上されたわけであります。その計画は、ミルクは今年十一月と十二月の分について見返資金四億七千七百万円が出ます。その他ミルクの来年度分並びにパンの十一月から三月までの分、それの経費が二十四億五百三十四万円になるわけであります。計画としましては、ミルクは現在八百万人分の給食をいたしておりますが、それが十一月から七百五十万人に減る。毎月五十万人ずつ減らして三月には五百五十万人分になるという計画なつておりますし、パンのほうは、十一月は四百万人分、それから百万人ずつ減らしまして、三月には百万人分にするという計画によりまして計上された国庫給食に対する助成金でございます。その次は、例の六・三建築費工事値上り分でございます。これが九億五千六百万円でありまして、値上り單価は、大体木造については一方二千八百円から二万三千円になる。鉄筋のほうは三万八千円から五万七千円に上つた関係で、それの四十三万坪の分の経費をその半額を補助するという形になつておるわけであります。この他の半分のほうは起債によりまして賄うことになるわけでありますが、この起債約十億について月下交渉中でありまして、現在必ずしもはつきりとした見通しがついておるわけではありませんが、地方財政全体の睨み心おいて、何とかしてこれを確保するように努力するつもりでございます。  それから、本省関係はそれだけでありますが、附属病院経費、これは六億八千万円余りでありまして、患者全体について完全給食をするための賄費、それから患者そのものの数が昨年に比して約一四%ぐらい多くなつて来た。又全体に、病院の薬価その他の経費単価増をしておるというような三つの要素によりまして、六億八千万円の経費補正する必要が起つたわけであります。これに対しては、勿論収入見込んでおるのでありまして、約同額の七億二千万円ほどの収入がこれに伴うものという見込みによつて六億八千万円と計上しておるのであります  それから、文化財保護委員会関係は千百十三万円でありますが、その内訳は、京都博物館の分館、それから奈良文化財の研究所、それを創設いたしますために、勿論創設と言いましても、京都関係京都恩賜博物館を移管いたしまするし、奈良関係奈良県の持つております商工館を移管するのでありますが、京都に関して五十四万七千円、奈良に関して五十九万一千円を、修繕費その他に当月は、国の附属施設として運営するという予定なつておるのであります。そのほかに海外流出の虞れのある文化財を国が買取るための経費約一千万円を計上いたしまして、併せて千百十三万円となつております。それから文化財保存に必要な経費と申しますのは、例のジェーン台風並びにキジア台風によりました災害復旧費であります。これは七千百六十一万円のうち、一般災害復旧が六千三百六十一万円、その他松本城に対して三百万円、日光に対して五百万円という経費なつております。それから、その下にあります共通の問題であります政府職員給与改善に必要な経費十六億でありますが、これは十月からの一入当り約千五百円に当るべース・アップ、並びに従前からありました給与経費不足を補う問題、それから年末手当半月分の計上になつておりましたのが八割の年末手当にいたしますための約三〇%の年末手当分、それから共済組合負担金、或いは育英会関係特研生日本芸術院関係の年金、外人教師の問題その他そういうふうな関係給与改善、その他の経費を引つくるめたものが十六億でございます。それから、その下の節約による既定経費減少とありますのは、これは本年度既定経費のうち、旅費を二割、物件費を五分だけ節約するということになつておるわけでありまして、そのうち必要な経費節約解除の形で戻してもらつたものも多少ございますが、その戻した残りとして三億円余り節約になることになつておるのであります。それから行政整理に伴う退官退職手当の金が二億円ばかりあるのであります。これは今度の行政整理によりまして、文部省は全体で約三千七百人ばかりの整理をいたすことになつておりますが、その退職金も、大体標準といたしまして、八級一号、勤続七年乃至八年の人を基準として八方四千円、それの三割増の十一万二千口というものを單価として退職金を計上しておるのであります。人数は三千七百人のうち、約半分を今年度中に一月から三月までの間に整理する、あとの半分は来年度措置するということになつております。その下の既定経費減少でありますが、これは二千四百万円ばかりでありまして、これもその半数の整理する者に関する俸給の一カ月分を減少するという形で補正予算に計上しておるのであります。合せまして、五十六億九千七百万円ということになります。これが本年度提出いたしております補正予算文部関係の分でございます。  それから、文部省所管とはなつておりませんけれども文部省と最も深い関係のある地方財政関係で、地方教員給与改訂の問題があるのでありますが、この関係も大体全体といたしまして、平衡交付金を百億増加するという形で地方教員並びに一般職員関係を解決することになつたのでありまして、その内容を地方方教員関係で申上げますと、先ず四月のベース・アップ関係で、これは一人当り千円のベース・アップでありますが、文部地方教員一般スタンダードよりも相当高い、千円に対して二千七円要るという計算なつております。それから十月から三月までの関係は、これはその従来の千七円のベース・アップについて国立教員とのバランスを考えまして、大体国立程度まで少し下げる、千七円に対して八百三十四円に見る。そのほかに今年の十月のベース・アップ、第二次分のべース・アップ、これを千六百三十八円に見ました。そうしますと、二千四百七十二円になるのであります。要するに四月から九月までは千七円で見ますし、十月から三月までは二千四百七十二円で見る。それから人員に関しましては、例の小学校については一・五、中学校については一・八、あの基準を採用して、定員として高等学校教員全部を含めて六十万九千人という人員を認めたわけでありまして、そういう單価とこの人員とによりまして計算いたしましたものが一般給与改訂に関しましては百二十八億、これは第一次、第二次の両方給与ベース改訂を合せて百二七八億三千四百万円。それから年末手当関係は百二十七億四千七百万円。それからその他それは関連して共済組合費、恩給、それから石炭手当寒冷地手当というようなものが附随的にございます。合せて全部で百二十八億というものを教員関係で確保するという計算なつておるわけでありまして、ここで地方の財源の関係平衡交付金としましては百億の増額でありますが、先ず税金関係では地方税で、府県税で二百九十八億、市町村税で百二十五億、合せて四百二十三億の税の自然増があるという見込をいたしております。  それから地方債関係は百五億、それから国庫補助金並びに雑収入関係ほ約四十七億、それから繰越金関係が入りまして、繰越金は当初に見積つてつたものを補正後にはそれは見込まないことにいたしました。ですから三百七十一億の繰越金がマイナスにたつて来るのであります。そういたしますと、收入といたしましては三百二十五億の収入がある。歳出の関係は四百三十七億の支出増加である。その中に給与改訂の分の百七十億が入つておるわけでありますが、こういたしまして、百十二億の事業繰越等による節約という関係を含めて大体地方財政の問題は解決できるという計画が立つておるわけであります。そういうような形で地方教員関係は第一次、第二次のベース・アップが或る程度円満に解決し得るものという見込を以て本年度補正予算が計上されております。
  4. 木村守江

    木村守江君 ちよつと今の説明のうちの、教員給与に関する第一次ベース・アップ、第二次のベース・アップについての全額幾らずつになつております。
  5. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 四月のベース・アップに関しては一般に千円ベース・アップになる。その千円分はすでに当初予算で計上されておるわけでありますが、千円では足らないので、教員関係は二千七円要るわけであります。それですから千七円一人当り見込んだわけであります。十月以降に関しましては、この予算構成の際に、国立学校附属学校教員のものとスタンダード一つにするという意味で、その平均ース・アップより下げたわけであります。約二百七十円ばかり下げたわけであります。それで千七円に上げまする部分が八百三十四円になる、それにこの第二次のベース・アップの分の千六百三十八円上に載せるわけであります。それで十月から三月にかけて二千四百七十二円の補正増見込まなければならない。こういう計算をいたしまして、人員は六十万九千人で計算したものが、給与としては百二十八億、年末手当として二十七億ということになつておるわけであります。
  6. 木村守江

    木村守江君 教員給与が都道府県と市町村全額負担金が第一次と第二次でどれくらいになつておりますか。合計は百二十八億三千四百万円になりますが……。
  7. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 單価でございますか。
  8. 木村守江

    木村守江君 第一次の合計、第二次の合計……。
  9. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 第一次の合計は八十二億五千九百万円であります。それから第二次の関係は四十五億七千五百万円。
  10. 木村守江

    木村守江君 この第一次には千七円、四月から九月までの間に上げたわけですね。それから第二次の十月から三月までの六カ月はそれを二千四百七十二円を上げるわけですね。そうして千七円上げたときよりも二千四百七十二円上げたときのほうが少いということになりませんか。第一次が八十二億五千九百万円ですね。第二次が四十五億七千五百万円なんですよ。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 結局あなたの説明はこうなんでしよう。四月のベース・アップ国家公務員千円上げたときに二千七円要つた。その二千七円は国家公務員平均千円に千七円アップしておつた。それがアップし過ぎておつたから、その千七円の上廻つてつたのを八百三十四円まで引下げたというわけです。それに第二次の十月以後を加えて行くというわけです。従つて総額がこうなつて来るわけですね。
  12. 木村守江

    木村守江君 それでも少いのじやないか。千七円でやつを八百三十四円にした。併しそれに千六百三十八円を第二次のベース・アップの今回の分を加えるのですからね。
  13. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 皆さんにお諮りいたしますが、大臣がこちらへ呼んで、待機しておられますので、会計課長説明を聞いて質問を保留し、それから総務課長提出法律案説明を聞いてその質問も保留して、それから大臣質問をしますか、両方とも質問を済ませてからしますか。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 会計課長説明を聞いたから、数の不明確なところだけ、事務的な点だけ聞いたらどうかと思いますが……。
  15. 木村守江

    木村守江君 細かい数字あとから聞くことにしまして、大臣が待機しておるから……。
  16. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 大臣は明日から天皇陛下に扈従して国体に行くので、できるだけ今日がいいということですから、一応今日大臣に聞きますか。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は大臣に聞く前に課長から事務的なことをちよつと確かめたいのですが、よろしうございますか。
  18. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) どうぞ。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 課長にお伺いいたしたい点は、この前我々は補正予算要求プリントを頂いたのですが、義務教育教科書償配希補助金増加ということが三億円であつたのが、今度一億九千万円になつた理由は何ですか、教科書が下つたのですか。
  20. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) これは細かく、この秋に出ます国語の中、並びに国語の下、それから算数の下という三つの書物につきまして、実際の單価を取り当てて計算した結果、こういう数字が出たのでありまして、例えば国語の中は四十二円から四十六円六十二銭に上つた国語の下は四十九円十三銭から六十二円二十一銭に上つたというような細かい計算をして見た結果出た数字であります。この前のはそういう單価がはつきりきまつていなかつたので、大体紙代について三割ぐらい値上りするというような極く大ざつぱというと語弊がありますけれども、多少見込をつけて計算されたという違いでございます。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはそこで止めておきますが、次に第六回冬季オリンピック補助費役員及び選手というのは、役員は何人行きますか。「役員及び選手に対して」云々と書いてあるが、役員は何人参りますか。
  22. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 役員の数を今ちよつとここに持つておりませんが、極く僅かだつたと思います。十五人のうち一人か二人だつたと思います。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それから次に公立小中学校建物整備補助金増加に必要な経費、これはこの前の我々に配付されたプリントでは十九億二千万円であつたのが九億二千万円になつておりますが、このあとはどうすることになつておりますか。
  24. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) これは要求のごとく約二十億のものが、とにかく四十三万坪の今年度予定を実施するために必要なのでありますが、その約半分ということで、いわば大蔵省財政の都合上きめられたわけでありまして、そのあとの半分は事業繰越の形で見るということになつておるわけであります。大体この六・三予算が認められたということも一般單価増は見ないという原則に対する例外であつて、六・三建築についてはすでにその予定で進めておるものが相当ある。柱の立腐れ、屋根の抜けた所などがあるので、その部分についてはこれはどうしても單価増を認めざるを得ないだろう、まだ手を着けていない部分については、まあ来年度に延ばすことも不可能ではないだろうというような意味合いから半分の部分について予算措置をしたという関係なつておるのであります。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはその点認めておつてさつき起債の十億について交渉中というのは、この十億というのは今度増加される起債百億のうちの十億、こういうふうに了承していいですか。
  26. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 十億と一般に申しましたが、この九億五千六百万円と同額のむので起債を認めることになるのでありまして、そのものについては今申しました百五億のうちには含んでいない形になつております。併し地方財政については、いろいろ事業繰延べ、その他節約によつてできるだけ節約をして行くということを本筋にして、それが大体百億くらいはあるという見込なつておりますので、学校関係は必要でありまするから起債をとつて、そうして他の事業関係でそれだけ部分ぐらい節約すれば、何とかできるのじやないかということも一応考えられますが、私どもとしましてはこの九億五千六百万円に見合うだけの起債を新らしく認めさせるように最善の努力をいたしておるところでございます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それから最後にもう一つお伺いいたしたい点は、この前の補正予算要求案の大綱の中には二十六年度発生災害復旧という項目があつたが、今度の事項調の中には消えておりますが、今年度災害、例えばケイト台風とか更に最近のルース台風、これらに対してはどうするつもりですか。どうして消えたのですか。
  28. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この文教施設関係の二十六年度災害復旧は見ることは見るのでありますが、これは予備費で見るということになつたのであります。文教施設以外の一般公共事業につきましては、予算的にすでに百億というものが予備費に入つておりますが、文教関係はその中から抜けておりまして、そこで一般予備費をそれに充てる、そこで文教以外の一般公共事業災害復旧標準と同じ標準で査定をして、そうして必要な災害復旧費を見るという約束になつておりまして、大体公立国立合せて二億円ぐらいのものが認められる見込なつております。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 三、四点ばかり聞きたいのですが、第一に給食をだんだん減らして行く。これはどういう方法で減らすのか、具体的に減らす事務的なやり方、それを簡單に持つている案を……。
  30. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今給食対象人員減少事務的な扱いをどうするかという御質問でありますが、これは予算計数上そういう形を出しておるのでありますが、事実船が遅れて入つておりまず関係から、実際にはこのことは或いは行わずに済むのじやないか、是非そう進ませたいものだと思つております。当初この六月ガリオア資金が切れまして、今日までの間に私どもそうした努力を続けましたが、又地方の現場の人たちが先の多少心細いということからだんだん努力をして来ておりまして、そういう物の滞貨が正直に申して相当溜まつて来ております。私どもの今計数上置いておりますそういう方式をどうやら年度末まで操作しないで、現在のままで行けるのではあるまいかというふうに思つております。最惡の場合には、そうした段階の履き方をいたしまして、事実上の扱いは、現在兒童負担しております負担、その分量が足らなくなつて来ただけの分だけ多くの負担兒童がしてくれるということで解決するつもりでおります。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 第二点は、さつき起債の問題ですが、この起債は今度の單価増の分だけは努力する、前は六五%で切れたために、起債の分がたくさん起つて来る、これはどうするのか。
  32. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 御指摘起債が前は六五%平均で大体切られておりました結果、非常に地方工事が遅延するのではあるまいかというような御不安ですが、その後地財委にできるだけこの枠を増すことを折衝して来ております関係から、今大体七七、八%程度に行つております。従いましてそのほかのための分はせいぜいあと五億見当の、不足ということになるのでありまして、今度の補正予算に伴います約十億のものと合して、あと十五億ほどのものが増されるならば、大体昨年の程度に落ちつく、或いは昨年以上になるかと思つておりますが、たまたま今御指摘もありましたように、全部の工事についてこの起債関係を見るのじやなくて、予定いたしましたものの約七割少々を超えます程度工事量ということになつておりますので、今度の百億の中からどれだけかを割くという考え方と、その百億があるために、前の四百三十億の起債の枠がそれだけ、百億の分だけ幾らか楽になつたという見方が成り立つわけでありますので、この四百三十億のうちからどれだけかを取り、百億の中からどれだけかを取るという形で、この十五億ばかりの起債の問題を解決しようというわけで、今地財委大蔵省と私ども三者で毎日のように実は折衝いたしておるわけであります。まだ結論に至つておりませんが、今度の災害復旧関係などがまだそれにくつ付いて起つて来ておりますので、この災害あたりとも睨み合せながら最後結論に持つて行きたいというふうに考えております。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 第三にお聞きしたいのは、この行政整理に伴う退官退職手当を支給するというのだが、三百七十人に切られているのですが、これはどういろ範囲内ですか、これに該当している、予定しているのはどういうのですか。
  34. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 今度の行政整理につきましては、最初まあいろいろその行政整理目的というものがあつたわけでありますが、それがだんだん変わつて来まして、実はその最初目的から言えば文部省といたしましては、全然この行政整理の必要もないし、又絶対にやるべきじやないという態度でおつたわけでありますが、だんだん変つて来まして、何が何でもこの際幾らかでも減らすのだ、だからその各省ともお付合いでとにかく協力しなきやいけないのだという形になつて参りましたために、文部省としましても本省学校、その他附属施設全体に、極く少しずつお付合、せざるを得なかつたというような形になつたわけであます。そういう意味で三百七十人は学校関係本省その他一般的に、まあ勝に低い率で以てこの行政整理に協力するというような形にならざるを得なかつた次第であります。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 この中で一番重いのはどこですか。これは大学だと思うのだが、どういうことになつていますか。大学のどういう、一体教授であるか、それから事務であるか、本省関係幾らか、三百七十の内訳……。
  36. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この比率の問題は、学校のほうは一般事務職員に比べまして、うんと低率になつておりまして、その上にいろいろ特別の事情を考慮してもらうという形で、特別の條件に当るものを更に低率にする、或いは枠外にするというような、いろろ工作を施しまして、教官等につきましては極く僅かの行政整理見込んで、おるという形になつております。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 この内訳はありませんか。本省分幾ら、それから大学幾ら、そうして大学のうち教授、それから事務官、こういうものの内訳は大体見当ついているのでしようね。三百七十人と押えておるのだから、これはわかつているはずだ。
  38. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) その総数、並びに学校本省との振分け等につきましては、今度提出されます定員法の中に謳つてあるのでありますが、その学校定員の中で、何人を教官から取り、何人を事務から取るというような細かい振分けにつきましてはまだ今後研究をしてきめるという形になつております。一応そのいろいろのパーセントを掛け、枠外を作つて出しました数字というものはございますけれども、これは実際の配当に当りましては、更に研究をして、それを実際に適合するごとくに配置し直すというつもりで現在考えておるのであります。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 すると先に行つてこれは何ですか、そういうような考慮の余地があるといろわけですか。事務官が非常に多いということを聞いているのですが、二千なんぼで、もう大部分を占めると聞いておるのですが、それが決定されているのですか、されてないのですか。
  40. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) それでは申上げます。本省関係ではこの現在残つておる定員は、本省と所轄機関と合せまして千五百六十人、それから国立学校関係では五万九千百二十八人、文化財委員会につきましては三百八十人、全部合して六万一千七十人というのが新定員なつております。で只今申上げましたように、五万九千の国立学校の職員の中で、教官、或いは事務官振分け等につきましては、来年度事業を考え、又学校のこの業態、その他、いろいろ條件を考えて、多少操作の必要があるのであります。この五万九千を出しました基礎としましては、教官が何名、或いは事務官が何名ということを出したのでありますが、その実際の配当につきましては、更に研究をし直して、具体的に実際に適するようにするというつもりでおるわけであります。
  41. 岩間正男

    岩間正男君 予算の何は出ているのですね。概算の数はどうでしよう。その中に振分けは取れないかな。予算のそれは出ているのでしよう。事務官幾ら教授幾らと……。
  42. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) それは出ておりますけれども、それはこの五万九千という数字を出すための方便でありまして、その内部の振分けは、その実際の配当はこれから研究するということにいたしておるのであります。
  43. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) よろしうございますか。……それじや提出法律案説明を簡単に願つて、そのあと大臣に対する質問を行うことにいたします。
  44. 相良惟一

    説明員(相良惟一君) お手許に差上げております一枚の紙を、第十二臨時国会提出予定法律案の用紙を御覧頂きたいと思います。この国会に文部省から提出したいと考えております法律案はは、二つそこにございます。これは教職員資格審査法案と、外国及び外国人の著作権に関する法律案でございます。これはいずれも名称はまだ仮称で、多少名称を変えることがあるかも知れないという程度でございます。資格審査法案と申しますのは、現在いわゆる教職追放令と申します。ポツダム政令によつておりますところの、教職員の資格適格審査をやつております制度を、恒久的に必要な最小限度の制度として残したい。そのために法律の根拠を与えたいという考えで以てかような法律案を目下原案を検討中でございます。で現在の制度を、必要最小限度の教育民主化のため欠くべからざる制度として残す、そういうような目的で以て、極く対象も現在よりも非常に狭め、又審査の方法も簡素化したい。こういうような考えでございます。その要綱にございますように審査の対象も現在では教育行政に携わつております官公吏全部、学校教員のみならず社会教育に従事しております職員までも全部審査の対象としておりますが、それを非常に狭めまして、ここにございますように、法律に定める学校の校長、教員と申しますのは、各種学校を除きまして学校教育法第一條に言うところの学校の校長先生だけにするということでございます。  それから現在共同省令の根拠で以て定められておりますところの審査基準を法律できめる。法律で謳おう。この基準についてはいろいろ議論もございましてまだ決定しておりません。それから審査機関につきましては現在の通り二審制、当初三審制をとつておりましたが、現在二審制になつております。それから不適格の指定を受けた者は先生になることができない。その次に審査機関の決定、不適格という決定につ、て不服がある者は現在では審査委員会の決定が最終の決定でございまして、裁判所に出訴できないということになつておりますが、それを出訴できるというように、こういうような救済の方法を、司法的救済の制度を別に考えるというようなことを考えております。今のところ大体結論に到達いたしましたのはかような点で、そのほかまだいろいろな問題、基準をどういうふうにするか、こういうような問題についてはまだいろいろ議論を重ねております。できるだけこの国会に提出し、御審議を仰ぎたいと考えております。  第二の外国及び外国人の著作権に関する法律案、むしろこれは特例に関する法律案であると言つたほうが適当であるかも存じませんんが、これは目下国会で御審議に相伐つております講和條約第十五條(C)、これは日本が連合国人の著作権を尊重しなければならない。そういうような大体の概要はこの十五條にあるのでございますが、それを法律の形で以て制定しよう。これは現行の著作権法の特例に相成りまするので、かような法律的措置が必要と考えたのでございます。その要旨はそこにございますように、連合国人の著作権が戰時中又は占領中に有効であつたということを承認するということ。第二にはこれは著作権法の特例になるのでございますが、著作権法では、著作権は死後三十年間、翻訳権は死後十年間、その三十年、十年という保護期間をこれは戦争中、太平洋戦争が勃発いたしましてから占領が終るまでの間約十一年間はこの三十年、十年には加算しない。それの以外に、つまり四十一年、それから二十一年、こういうふうに保護期間を延長する。こういうようなことを規定するのがその内容でございます。  以上二つが政府から提出する予定法案でございますが、そのほか博物館法、文化財保護法の一部を改正する法律案がそれぞれ純粋の議員立法として提出されるというふうに聞いております。
  45. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは法律案に対する質問なり、それから予算質問を保留いたしまして、文部大臣に対する質疑を行うことといたしたいと存じます。
  46. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは全般的な御質問大臣にお伺いしたいのでありますが、補正予算の中では私ども重要な問題と考えておりましたのはやはり学校給食の問題でございます。それから行政整理の問題、それからベース・アツプの問題、それから平衡交付金の問題、この四つは補正予算関係した問題として非常に重要な問題であるというふうに考えておつたのであります。幸い学校給食の問題については大臣の非常な御努力の結果であると思いますが、明年四月まで、大体現状において実旋できるということについては、非常に私はその御努力に対しまして厚く敬意を表する次第であります。  その次に行政整理の問題でございますが、ここにいわゆる大学関係の三千人余り行政整理が考えられておるようであります。この問題についてはもう少し詳しいことをお聞きしてから質問することにいたしまして、この国立関係以外の公立学校の教職員についても、聞くところによりますと一割程度整理をすべきである。こういう勧告を出すような考えがあるということを聞いております。これは別に正式に聞いたわけではありませんので信頼性はないのでありますが、私はずつと前でございましたが、大臣にこの問題についてお伺いしたことがありますが、その際大臣公立学校の教職員の整理ということは事実上できない問題であるというふうな御答弁を頂いておつたわけであります。私も全くその通りであると感じておりまして、この問題については私は安心をしておつたのでありますが、併し先ほど申上げたように、やはり只今公立学校の教職員に対しても一割を基準として整理するというような勧告を行われるというふうなことを聞いておるのであります。この点はどういうふうにお考えになつておるのか。それをお聞きしたい。かように考えます。  それからベース・アップの問題でございますが、これは平衡交付金関係がございまして、これに必要な経費平衡交付金において見込まれるということを私ども期待しておるわけですが、先ほども聞いたのでありますが、教員給与は少し高い。従つて少し切下げて、現在もらつておる給与を少し切下げて、そうして新らしく切替をするというふうに聞いておつたのでございますが、これは私は甚だ遺憾に感ずるのであります。私は教員ベース一般の公務員に比べて高い。こういうことについては数字的な説明を今まで聞いておりませんので、これが間違いであるとか、どうかということは申上げにくいと思います。併し今日多少一般公務員に比べましてベースが高いという事実がありましても、これはやはり常識的に認めらるべき問題ではないかと私は思うのです。大臣は常々教職員の生活保障の問題についてはできるだけの努力をしたいということで今日まで努力して来て頂いて、その結果がやはり地方自治団体においてもいろいろのことも影響しておるだろうと思うのですが、そういう大臣の方針も私は確かに影響しておると思う、そうしてそのことが排除されて、多少ベースが上つてつたのではないかと思うのです。ところが今度のベースアップの切替に当つてその上つておる分を差引いて切替えるということになれば、今まで多少ほかの人たちに比べて優遇されておつたこういうふうなことが全く御破算にされる結果になる。このことは私といたしましては非常に残念に思います。このことにつきまして大臣のお考えをお伺いしたいと、かように思います。  平衡交付金の問題につきましては、これはベース・アップとの関係において私はこの際申上げましたので、平衡交付金一般的な増額ということを先ずして、而してベース・アップができるかどうかということを心配しておりますので、この点を又改めてお伺いします。即ち行政整理においては、公立学校の教職員は事実上整理ができないじやないかということ、第二番目は、ベース・アップに当つて、現在支給されている給与を基礎として今度の新らしいベースに切替えられるのかどうか、こういう点、これが予算関係でございます。まあ一度にお伺いするのはどうかと思いますが、その次は教職員資格審査法案、これは只今説明を承わつたところで、この内容については質疑もいたしておりませんので、今御質問申上げることはどうかと思うのですが、併し概括的に申しまして、こういう法案が必要であるかどうか、こういう問題について私は今疑念を持つております。これは戰争前の教職員に対してもこういう資格審査というものはなかつたのじやないか、なかつたと考えております。それが今度民主化された日本においてこういう法案が必要であるという理由がどこにあるのか、非常に疑問に思つておるわけです。又こういう法律がいろいろの束縛をするのではないか、そういう点は、内容がもう少し明らかにならないとわかりませんので保留しておきますが、とにかくこういうものが必要であるという理由が十分私にわかりませんので、その点をお伺いしたいと思います。
  47. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 第一の教員の、何と言いますか、人を減らすというような問題ですね、そういう問題につきまして私は頭から一割とかそういうことでなく、一つの級の数を調べ出して、そしてその級の数にはどれだけ教師が要るかという現状を調べ出して、そしてこれだけの級があるのだからこれだけの人数は要るのだと、こういう方法で以つてそれに対処しようと思つております。そういう方法で出すと、現在の人員を減らすということは、少くとも小学校、中学校ではできないと思つております、そういう立場から言つて。初めから教員は減らしてはいかんのだ、そういう立場でなしに、合理的な根拠を出して、現状はこれだけ要るんだと、こういうようにやろうと思つております。けれども仮にそういう計算をして見ても、非常に多いということがあれば、勿論それは整理してもらわなければなりませんが、併し多くないと思つております。少くも小学校、中学校においては現在より減らすということはない、こう考えております。それから第二の点につきましては、私は教員が普通の官公吏よりも優遇されるということは望ましいことだと思つております。現在もその考えを捨てておりませんが、今荒木さんのおつしやつたように、決して地方教育公務員が普通の公務員より高いということが問題にされているのじやなくて、中央の国家公務員よりも高いということが問題にされているのだと思います。その点は、だから教育者を優遇するという考えは少しも変えているわけではないのであつて、今問題になつていることは、公務員と教育公務員の関係ではなくして、国家公務員地方公務員の関係について問題になつていると思います。  それから第三の点につきましては、こういう審査というようなことはもう必要がないというお考えも、確かに理あることで、誰でも先ずそう考えることだと思うのです。ただ、例えばこういろ点ですね、私が一番感じておりますことは、戰後追放ということが起つて来るというと、すぐやめてしまつた人たちがたくさんいるのです。そういう人たちは何にも審査にかからない。やめないでいて審査にかかつた人は今以つて解除されないという人もいるのです。そういうように、むしろ一層ひどい極端な国家主義などを唱えていた人ですぐやめてしまつたために一度も問題にならないでいる人はたくさんおるのです。そういう人を今度なんにも審査しないでそのままそのかたがすぐ教職に就くということになつては、初めに解除された人との間に余りの不公平がある、やはりそういう潜在的なかたはもう一度審査することが是非必要ではないか、私はそういう考えを抱いております。
  48. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 行政整理の問題ですが、大臣のお考えであれば私も十分了解できることであります。併し来年度予算編成に当つて平衡交付金の額を決定する際に、大体今の人数の一割減を基準にして算定されるのではないかということを私は聞いております。これはまだ決定されておらないことでありましようけれども、併しそういう虞れが十分にあるのじやないか。私は自治庁関係からも文部省からも事務的には聞いておるわけです。従つてこの点については事実に即してやつて頂きたいと思うです。私も頭から一割とか八分とか六分とか、教職員についてはそういう整理の仕方というものは非常に不合理だと思う。従つて事実に基いて最小限度の一学級一人というものは必要なんですから、そのほかに養護教育とかいろいろありますが、そういう最低の基準を割らないように、事実に即して考えて頂きたいということを希望として申しておきます。  それからベース・アップの問題ですが、これはまあ抽象的にお伺いしないで、具体的にお伺いいたしたいと思うのですが、現在もらつている給与を切下げないで、現在もらつている給与でそのまま新らしいベースに移り変るようになるのか、切下げて移り変るようになるのか、それはどうなつているかということをお聞きしたいのです。
  49. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は希望としては現在のままで行きたいと思います。けれども国家公務員地方公務員との差が余りに大きいということになれば、そこに幾らかの手心が加えられるということも、そうはしたくないけれども、場合によつては止むを得ないところではないかという考えを抱いております。問題は決して公務員と教育公務員の問題でなくして、国家公務員地方公務員の問題であります。
  50. 木村守江

    木村守江君 ちよつと第一番目に義務教育教科書無償配付、これに関係した問題ですが、地方学校におきましては、最善いろいろな教科書ができまして、展示会において並べられる教科書の数は実にもう五、六十種を超えるという状態になつております。それで実際問題として、その教科書の展示会において選択するのに、もう一カ月も二ヵ月もかかるというような状態になつております。そうして又各社が非常に自由競争をいたしまして、或いは裏面的な工作というようなことも行われるし、そういうような関係から、非常に教科書が高くなつております。而も展示会においていろいろ検査いたしまして、これでいい、きれいな立派な写真の入つている本がいいというようなことで、その教科書を選定してそれを使うことにいたしましても、その定価が決定されてありません。それでこの本はよいと決定いたしまして、それを使用することにいたしましても、値段がわからないので、あとから幾ら取られるかわからないというようなことがあることに鑑みまして、私は少くとも算数とか、国語とかそういうものに対しましては国定教科書をきめまして、そうして安価な、安く兒童生徒の手に入れるというようなことによつて教育費の節減をすることが目下の急務ではないかというふうに考えておりますが、これに対しまして文部大臣はどういうふうな考えを持つておるか。なおこれに対して積極的に成るべく早い時代にそういうふうな方法をとる考えがあるかどうか、第一にお聞きしたいと思います。  それから第二の問題は学校給食の問題ですが、最近米の統制の問題が非常に叫ばれております。この米の統制が果していつから統制が廃止されるか私はわかりませんが、この米の統制の問題とくるめまして一番大きな問題は日本人の食生活の観念であろうと思うのであります。いわゆる日本人は麦がなくなつたと言われましてもこれは死刑の宣告を受けたような感じはいたしませんが、少くとも米がないというようなことになりますとあたかも死刑の宣告を受けたと同じような考えになるのであります。ところが実際問題として米食が人間の健康保持上、体位の向上上麦その他の雑穀の攝取よりもいいか惡いかというような問題になりますと私は必ずしも米食は麦食その他の雑穀の攝取に勝るものではないと考えるものであります。かような観点からしてこれは米麦併せていわゆる国内生産物によつて日本人の食生活を解決しようという点から考えましたならばこれは根本的に日本人の食生活の改善を図り、食生活の観念を変えて行くということによりまして日本人の体位の向上を期さなければいけないのじやないかというように考えるのであります。そういうところから考えますと、これは私は少くとも米の統制が近き将来において外れるというような場合におきましては先ず第一に米と麦とが並行して日本人の主食として取上げられておるからには日本人に米と麦とが、決して麦も米に劣らないような栄養価があり、又その体位向上上必要なものであるというような観念を植え付けることが最も重要であると考えるのであります。かような観点からその教育は私は社会人に、まあ、成人教育の面において、或いは婦人会や青年団等に普及することがいいでありましようが、本当にその効果を現わす面から考えましたならば私は学校給食が最も効果を現わすのではないかと、かように考えるのであります。かような観点からこれは教育に対するウエイトの問題は別といたしまして本当に日本人の食生活を変えて、そして日本の国内の農産物によつて日本人の食糧を補填し得るというような方向に導くためにこの給食を強力に続行することが私は日本としても、文部省だけではなくして大きく取上げなければならない問題じやないかと思うのであります。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)勿論この問題につきましてはこれは厚生省等も非常に関係がありまするが、これは文部大臣において厚生大臣と御協力の上これを強力に推進するところのお考えがあるかどうか、お聞きいたしたいと思います。  それから地方、特に地方公務員、殊に教職員の給与の問題ですが、この給与の問題においていつでも地方の教職員の不安に感ずることは、いわゆる平衡交付金並びに地方起債において地方に渡つて行くところの金がもう教職員の教育の地域的に弱体化と言つては惡いですが、弱いというような点からどうしても後廻しになるというような不安から教職員は常に給与問題で大きく叫ばざるを得なくなつているのじやないかと考えるのであります。そういうようなことを、これは実際問題として今回の百億万円とそれから地方起債の百五億万円とその他地方財源等から計算して参りますると、只今会計課長からお伺いいたしましたように何ら不安がないような計算になりまするが、而も不安がないような計算になりましてもなお下積みになつ給与問題で心配しなければいけないということは現行のこの平衡交付金の中にやはり教員の身分、教員給与に関する裏付がはつきりしていないというところにあるのだと思うのです。私は勿論こういう問題は大蔵省とも関係がある問題でありまするが、少くとも教育の効果を現わさんがためには文部大臣地方の教職員に給与の問題について何ら不安がなく教壇に立てるような方法にしてやらなければいけないと考えるのであります。そういう点からこの点について文部大臣はどういうようなお考えを持つておられまするかお伺いいたしたいと考える次第であります。  それから第四番目に地方公務員、殊に教職員の行政整理の問題ですが、先ほど文部大臣が申されました通り、私は頭から一割天引というようなことは勿論やらないと考えております。若しも一割天引をやるというのであつたならば、文部省地方に再三示しました小学校においては教員定数が一・五、中学校においては一・八というような線を確保しておるならばこれは一割天引というようなこともできるでありましようが、現在のような状態におきましては、辛うじて一・一から一・二というような状態におきましては私は到底その天引的な行政整理はでき得ないと思いますので、(「その通り」と呼ぶ者あり)どうぞその点をとくと御調査の上教職員にそういう点で不安のないようにお願いいたしたいと考えております。それからとの教職員の給与の低い点につきましては私は申し上げませんが、その低い給与を心配なく受けられるというような、而も定員の点において最低の線を割るようなことのないような私は給食の点において、定員の点において確保を願いたい。これについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  51. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 第一に教科書のことでございますが、教科書は今お説の通り現状のままには到底放置できないと私は思つております。併しこれをどういう方法によつて改善するかということは今事務当局によく研究してもらつておりますから、これは非常にむずかしい問題だと自分は考えておりますが、十分研究して善処したい考えでございます。  それから第二の給食でございますが、これも御意見に全く同感であつて、ここで仮に米の統制撤廃というようなことが起るならば、その際に子供にパンを食べさすとかというようなことによつて食糧の考え方というようなものをも改めて行くというようなこともこの際大いに考えなければならないかと思つて、そういう考も目下調べております。  それから第三番目の給与のことでございますが、給与が不安だということですね、これは平衡交付金制度そのものに欠陥があるのであります。どういう方法で以て、もつとこの国庫負担制度というものを成るべく新らしい構想の下にやることはできないかと思つて、これも他の省とも連絡をして今研究しておることであります。その根本は、平衡交付金制度というものの欠陥にあると私は考えております。新らしい考えでそれを研究しておるところでございます。  それから第四番目の整理については、先ほど荒木委員に申上げた通りであつて、少くも義務教育の先生がたを頭から一割とかそういうことは決してすべきではない。私どものほうは合理的に調べ上げてしまつて、そして何級あつて、その級にはどれたけ教員が必要だということの合理的な根拠に基いてこれに対しておるわけです。だからして現在の数は私は減らないと考えております。義務教育につきましては減らないということであります。大体そういうことであります。
  52. 木村守江

    木村守江君 ちよつと簡單に……その平衡交付金制度に欠陥があるというんですが、この欠陥があるというだけじや不安らしいので、成るべく早く、仄聞するところによりますれば、文部省においてはこれに代るべき非常に先備した法案を用意中だとお話を聞いております。何らかの方法によつて低い給料を安心してもらえるような方途を講じてもらうように一段の御努力を願いたいと考えております。
  53. 高田なほ子

    高田なほ子君 先ず四つの問題について御質問申上げたいと思います。  先ず第一に今も木村委員から御質問があつたのでありますが、教育財政の確立の問題であります。これはかねがね文部大臣も義務教育は憲法上の義務としてこれは行わなければならないということを言つておられるのでありますが、今前質問者の質問の中にもあつたように、平衡交付金制度による現在の教育事情というものが、財政の逼迫によつて非常に圧迫されて、従つてこういう問題が世論を非常にゆさぶつた六・二制というような問題も出てたのだと思うのであります。これに対する文部省の対策というものは、かなり具体的に進んでいるやに聞いておるわけであります。この教育財政に対する基本的な方針、そして具体的な対策がどの程度まで進行し、而もそれは実現の見通しをいつ頃に置いておるのか、こういう点について先ず伺いたいと思うのであります。  第二点は学童給食の問題であります。文部当局の非常な御誠意によつて一応明るい見通しを受けたような印象を私どもはというよりは、一般のかたがたが持つておるようでありますが、努力努力といたしましても、必ずしもこれが明るい見通しのようには考えられないのであります。先ほど担当者のかたからも給食の問題について極めて明るい御答弁がございましたが、年度末まではそのまま給食児童を減らさない皆そのままに進めることができるであろうが、併し最惡の場合においては幾ら兒童負担になり得ることもあるというような御答弁がありましたが、この最後の御答弁が今後学薫給食にもたらす一つの回答のように考えられるのでございます。そのことは九月十一日の衆議院の文部委員会において水谷政務次官が閣議或いは自由党の幹部の間においても、来年度給食を打切るということをやれば、本年度予算は相当取ることは可能性があるように認められる、これが速記録に載つておる次官の言葉でありますが、こういうことから考えて見ましても、本年度補正予算の中で先ず幾らかは楽観を許すような予算が取れたような印象を与える、而もそれが来年度もずつと継続して行くような印象を与えるのでありますけれども、どうも水谷次官の当時のこの衆議院における御発言にしても、又今後見車の負担によらなければならないという最小限度の御答弁によつても、或いは又二回ばかりこの給食問題について閣議が持たれたやに聞いておるのでありますが、その閣議決定の場合においても当の財政の紐を預かつている大蔵当局が国庫の補助でなしに、学童給食は継続するという意味で閣議は決定されたのだというような御発言を速記の中に私は見出すのでありますが、こういうような点から見ても学童給食は継続されるのだというような明るい一面のみここに表現されないで、この問題はもう三月限りで、実際的には打切られてしまうのだと言つてあげたほうがむしろ親切であると共に、若し仮にそうであるとするならば、文部当局としてもこの際の下部における混乱ということについても相当の指導性を今のうちからこれは十分に考えてあげなければならない問題だと思うのであります。これについて率直な大臣の御答弁と将来への御見解というものを承わりたいのでございます。  第三番目に行政整理の問題でありますが、この行政整理の問題は挙げて現在教員各位が非常な不安に襲われている問題でございます。特に今までの歴史から、歴史と申しましては言葉が大きいかも知れませんが、今までの行政整理の対象になつた者は教育者として極めてよい教育者であると思われるようなかたも、時の考え方の中に押されてあれは極めて偏向的なものだというような、思想的な偏向だというような烙印を押されて閉め出される場合と、もう一つは婦人の教員が婦人なるが故に共稼ぎであるとか、お前の主人は校長であるというような、女性なるが故の閉め出しをされて来たのであります。こういうような間違つた見解から行われる行政整理がこの際あつては断じてならないと考えられるのでありますが、併し先ほどの御説明によりますと、さながら今度の教員行政整理は他の各省とのお付き合いで削減するのだというような極めて不真面目な考え方がここに出て来ておるのでございます。私は現在の教員の定数というもが、如何にこれが不合理なものであるかということは申上げるまでもなく大臣御自身もこれは十分に御存じのはずであります。然るにもかかわらず、付き合いで教員をやめさせる、而も一応予算のトータルをきめておいて、その予算の枠に当てはめて削減するというような、こういうむちやくちやなやり方に対して、私は何としても納得が行きません。どうかこの点は私の納得の行くような御答弁を一つお願いをしたいと思うし又大臣の当初からの御所信も曲げられるようなことは断じてないと信じますけれども、この点についても又お伺いしたいと思います。  次にお伺いしたいことは、教育理念の問題でありますが、今次国会におけるいわゆる道徳的の中心の問題は、非常な反響を呼んでいる問題であります。これは、大臣の本会議における御答弁のお言葉が足りないところから来ている私の誤解であろうかとも考えておるのでありますが、少くとも日本の道徳の中心が天皇であるということについては、誠に奇つ怪至極なお言葉であろうと思う。天皇の名の下において、神格化された天皇の名の下において、日本のあの軍国主義的な侵略が遂行されたということは、これは論を待ちません、而も神格化された天皇の名の下における祭政一致の建前から、教育がこの天皇の名の下において、一つの道具として使われ、而もこれを理論化するために教育勅語というものが、この日本の軍国主義教育の最も大きな根源をして来たと思うのであります。少くとも過去の過ちを清算する日本の民主化への大きな使命を果すところの教育の理念、私はこの教育の理念を大きくやはり道徳という問題にも結びつけて考えたいのでありますが、少くともこの道徳の中心理念が天皇であるなどということは、これは今の新らしい教育の理念を冒涜する考えではないであろうか。(ノーノー、違う」と呼ぶ者あり)少くとも(「その通り」と呼ぶ者あり)日本の新らしい誕生のために、教育は先ず個人の完成を主張します。個人の完成を主張するゆえんのものは、正しい社会の完成をすべての国民の上に希求するが故に、教育の新らしい理念が私は生れたのであろうと思います。(「日本の教育者じやない」と呼ぶ者あり)こういう考え方から一つの(「ソヴイエトの思想だ」「何言つてるんだ」と呼ぶ者あり)道徳の集約的なものを(「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)過去の過ちであつた神格化された天皇に結びつけて考えるということは、これは、どうしても納得が行きません。これはとくと大臣の懇切丁寧な御解釈をお願いしたいと考えるのであります。  最後一つ、補足的な問問になりますけれども、私どもは、誰しもが教育の機会均等の確立のために努力をして来たと思うし、教育の水準を高め、国民の知的水準を高めるためにこそ努力して来たと考えられるのでございます。その義務教育六・三制の中において、アチーブメント・テストが行われるということは、教育の水準を高めるという意味合いにおいては、私も又了承する一人でございます。併しながら、昨今のアチーブメント・テストの実態は、さながら過去の入学試験の逆戻りの観を呈しておる。この具体的な例を挙げますれば、子供たちは、上級学校に進学するための教育が、又進学させるための教育が正しいのだというようなあり方に現実的にこれは引きずられて来ておる。能力別の教育が施され、而も上級学校に行く子供が、学校の授業が済むと、何とかしてアチーブメント・テストに合格しなければ上級学校に入れないというので、家庭教師の下に余裕のある子たちはせつせと通つている。而も教員各位の中には、家庭教師という、この忌わしい教育を切売りするようなことが現に幾らかずつ現われている。(「教員が惡いぞ」と呼ぶ者あり)これは、教員の待遇の非常な冷遇から来ておる問題と、もう一つは、親がどうしても上の学校に入れなければならないという親の考え方をこれは汲んでやらなければならない教師の立場、又子供がアチーブメント・テストに失敗すればこれはもう浮ぶ瀬がないという子供の切なる誤つた考え方が、教師をそういう間違つたところに追い込んで来ているのだろうと考えられる。どうかこのアチーブメント・テストの施される真実の意味をもつともつと下部に九分に滲透させて、こうした過ちを犯すことがないように、みんなで子供たちの教育水準を高めて、みんなで教育の機会均等の線を守つて行くような努力がされなければならないと思うのであります。これに対する御所見と、又対策についてお伺いしたいと思うのであります。
  54. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 第一は教育財政確立の問題でございますが、これは文部省としては非常に研究をいたしまして、そうして通常国会に出すつもりで今準備いたしておるところでございます。  それから第二番目の給食でございますが、これは今年度中は今まで通りにやるが、来年度は今までのように予算を取つてやるということはできないということになつております。非常に遺憾千万でございますが、併しこれはいたし方ございませんです、今のところ。ただ今年度については、十五億に更に八億を足して二十三億というものを計上したということは、これは相当な額だと思うのです。だからその点は一つ了承して頂きたいが、来年度については、今のところ、今までのやり方ではやれない。従つて、何か先ほど木村委員のお話もあつたようなふうな点で、どうにか工夫はないものかと思つて今研究をいたしておる際でございます。  それから第三番目の人員整理のことでございますが、人員整理はそういう一つの偏見を持つて、実際力量があるのに、婦人なるが故に整理をするとか、又思想的なことにかこつけて整理をするとかいうようなことは是非ないように、教育委員会のほうでも十分考えて頂きたいと思つております。国家公務員については、文部省のほうとしてはそういうことは決してしないようにしたいと思つております。又先ほど来申すように、ただ一律というのではなく義務教育の場合などは合理的な根処を示して行こう、そうすればほぼ現在の数を保持できるのではないか、これはできるというのではないですけれども、できるのではないか、できるように努力したいという考でございます。  それから次は四番目、天皇の道徳的中心ということについては、これは私の言葉が足りないために、高田さんからは非常な誤解を私は受けておるわけです。哲学などでは、道徳的と簡單に言う私などは癖がついておるものですから、大変自分も言葉が足らず、大変な誤解を起したことを相済まなく思つております。決して道徳の中心ということではない。私は国家に中心がなくなつちやつた、何を国家の中心と考えるかという。その間に答えたということを先ずお考え頂きたい。問われたから私は答えた。国に中心はないというわけはない、そうなればやはり天皇が中心ということに私はなると思うのです。ところがその中心は、権力の中心であつてはならない。天皇が又宗教的崇敬の対象であつてもならない。天皇が中心であるというのは、国民の親愛と申しましようか、親しみ愛する対象でなければならない。親しみ愛するということは道徳的なことだから天皇が中心だということは、道徳的意味における中心であつて決して権力の中心ということでもなく宗教的対象の意味の中心ということでもない。ただ国民親愛の意味の対象なんだ、中心なんだ、こういうことを申すはずなのでありますが、ただ言葉が足りないために、道徳の中心というふうにとられたということは私の考えとは全然反するところでありましてえ、私の趣旨は、高田委員のお考えと何ら違うところはないと自分は思つております。  もう一つ、アチーブメント・テストについても私も非常にお説に同感するものでございます。こういうようなことで以て生徒が力をとられてしまうというようなことは教育の本質を害することだと思つておりますので、この点も事務のほうで以てよく研究してくれと私は言つている一つの点でございます。  以上お答えいたします。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 このたび補正予算案がここに出されておるわけでありますが、この補正予算は当然来年の本予算とも関連して、いわゆる天野文政の推進的角度から政区部内において交渉を続けられておられると思うのでありますが、私はこの際天野文部大臣にお伺いいたしたい点は、天野文教政策は、いわゆる六・三義教育の推進と、それから育英事業の推進、科学教育の振興、更に現段階においての重要産業教育の振興、これが天野文政の筋金だ。こういうふうに私は了承しておるわけでありますが、今度の補正予算並びに来年の本予算を通じて、この天野文政の基本制というものは推進されるところの見通しを立てておられるかどうか、又現在におけるところの大蔵当局との交渉においてそういう軌道に乗つているかどうか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  56. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今年度予算が私は非常にむずかしいと思つておりますけれども、併し今申されました四つの点は私は極力推進しようと考えております。義務教育の点もすでに補正予算であつてもほかの関係においては全部認められないにかかわらず、六三建築だけは九億という少いですけれども併し同種類のものは他においては一切認めていない。ただ教育だけ九億ということを認められているということも、義務教育の尊重ということの一端をそこに私は現わして棄ておるものではないか。新予算においては、更にそういう点を推進いたしたい。又六・三制などに対しても、いろいろのことが言われても断じて六・三制は動かんという点においても義務教育の推進ということに力を注いでおるということは認めて頂けるのではないか。それから育英資金の増額等も、これも必ず私はやりたいと思つております。年々これを推進して来たことも御承知だろうと思います。九億を十五億に、十五億を二十四億に、更に今年はそれを進めて行きたいと思つております。それから学術の振興ということはこれは私は是非やらなければいけない。昨年度大学の究研費などは約倍になつて来た。今年は一般の研究費は五億というのを是非これを多額にしたいと考えております。それから産業教育についても、これは皆さんとたびたび論議しておるように、産業教育は何も六・三制のシステムと矛盾するわけではなく、六・三制のシステムそのものを補う意味においてこれも是非ともやりたいという考えを以て、この四つの点を推進するということに全力を傾ける考えであります。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は時間が少し延びるかも知れませんが、二條約の批准国会でもありまするし、今後の我が国の動向を決定する重大な段階に現在我が国は当面しておる。その時に当つてこの国の文教政策の問題というものは極めて重大だと思いますので、あえて私は大臣にお伺いするわけでありますが、天野文部大臣が誠心誠意懸命に文教政策の推進のため努力されておる点は私は心から敬服し多といたします。併し私の言葉は少し失礼かとも考えますが、私は民主政治家としての天野文政というものは崩壊しつつあるのではないかと感じますので、その立場から質問申上げるわけであります。先ず第一には教育理論的な立場、第二は財政的な立場から一応お伺いいたしたいと思うのであります。  先ず第一における教育理論的な立場から申上げるというと、本会議における中山議員の質問に対するところの天野文部大臣の本会議場における答弁、これは先ほど若干修正敷衍されたのでありますが、親愛の意味の中心が天皇である、こういうお気持であるということを今言われましたけれども、あの本会議場における中山議員のあの質問の内容、あの瞬間に発せられた天野文部大臣の答弁というものはどうしてもそういう意味に私はとれなかつたのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)その点については大臣の私は心中に動揺するものがあるのではないかという点に、私は信頼しておるだけに一抹の不安を感ずるのであります。更にこの点は今高田委員から質問されましたらこれと関連したことを申上げるのでありますが、あの答弁の際に、大臣は批准国会の終了或いは両條約の発効の時に国民実践要領を出すつもりだ、こういう公式発言があつたわけでありますが、この点について私は質疑を展開するに当つて、先ず大臣にお伺いいたしたい点は、あの際に天野個人として参考に出すのだ、こういうふうに発言されたのでありますが、この発表の形式という立場について、天野個人というのは文部大臣としての天野個人なのか、それとも曾つての疑獄事件に関係した社会党の元書記長がよく西尾個人ということを言つたのは耳新らしいことでありますが、ああいう意味の天野個人なのか、その点を先ずはつきり承わりたいのであります。
  58. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は何も動揺いたしておりません。私の「今日に生きる倫理」というものを若し御覧頂けますならば……象徴論をいたしております。そこに今申したのと同じことを申しております。私は少しも動揺しておるところはありません。ただ私どもが「道徳的」と言えば道徳的な意味におけるということであつて、「道徳の」ということでないというのが私どもの慣用でございます。ですからその点については矢嶋さんは私が動揺しておるだろうと言われるが、ちつとも動揺いたしておりません。  それから第二の点は、天野個人というのは表現が少しまずかつたということは私も認めます。文部大臣としての天野貞祐でございます。ただそれを訓令とか或いは何かそういう形で出さないで……、そこが個人という言葉を使いたかつたわけであります。文部大臣としての自分でありますが、文部省の訓令とか何とかいうような言葉を使いたくなかつたのであります。例えば私は地方に呼ばれまして、そうして地方の県庁などの要求によりまして私は幾らでも自分の説を述べることがあります。それと同じことでございます。そういうことは文部大臣だから、文部大臣の言うことは世間を圧迫すると言われても、私はそういうことはないと思います。自分はどういうところでも招かれれば自分の意見を言うのと同じことであります。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ではお伺いいたしますが、国民実践要領というようなそういうものを政府から国民に押しつけるというようなことについては、大臣はどうお考えになりますか。
  60. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は元来私の「今日に生きる倫理」を御覧下すりたらわかりますが、私はこういうような教育勅語に代るものというような意味のものには反対して来ておるのであります。文教審議会においても私はそれを反対しておるのでありますけれども、その後国会議員の諸君からも、諸方からそういう何か道徳的な目じるしになるようなものを編纂してくれんかという非常な要望があります。併しどこを主体として一体これをすべきかというならば、これは天皇であることのできないことは当然であります。それを内閣総理大臣ということにすれば、)(やはり圧迫という意味が伴う、内閣としても困る、一番何も圧迫しないで以て、それで世間の要望に応える仕方ほどういうことだろうかということを私どもは非常に研究して、文部省の省蔵にも諮つてよく研究してもらいまして、その結果としてやはり文部大臣として出す、併し訓令でも何でもないという形で出すのが一番圧迫するとかいりような、押しつけるとかいうことに考えられないで、而も多くの人の要望に応え得るのではないか、こう考えたわけであります。矢嶋委員にお願いをしたいことは、何でも私どものやることは圧迫するとか押しつけるとかいえような考えでやつているのじやない。自分たちは戰前から戰時を通じていつでも民主主義精神のために努力して来たつもりでおります。今日といえども別な人間になつたわけではありません。そういうような考えは毛頭持つておらないということを御了承頂きたいと思います。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 新らしい時代において国民要領というものを或いは命令……或いは圧迫してはならないという文部大臣のお考え方はよくわかりました。了承いたします。ところがそういうお考えである大臣ならば、私は文部大臣としての天野さんとしては出されないほうがいいと思うのです。天野文部大臣が文部大臣を退官した後に私は出して然るべきではないか。(「見解の相違だ」と呼ぶ者あり)と申しますのは、文部大臣としての天野さんがこれを出された場合に、国民はこれを如何に受取るか、国民に如何なる影響があるかということについてお考えになられたかどうか。私はこれは実質的には命令的なもの、圧迫的なものとして国民に及ぼされるであろう。そうしますればこれは決してこういうものは命令或いは圧迫すべきものでないという基本的な立場に立たれる天野文部大臣としては、私は心外の事態を惹き起す虞れが多分にあると考えるのでございますが、御見解如何でございますか。
  62. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 若し矢嶋委員のお考えのごとくだとすると、私は県に呼ばれて行つて自分の意見を述べたり、社会に向つて自分の考えを述べるということはできないと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そうなるというと文部大臣だから私の考えが社会を圧迫するというようなことと同じで、こういう場合に自分が道徳上の考えを述べるということは何も差支えないことではないかと自分は信じております。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 頭のいい文部大臣が、私は今の発言は心外なのでございます。(「見解の相違だよ」と呼ぶ者あり)大臣が個人的に会つて発言するとか、或いは講演会に招かれてお話になるのと、今度の二條約は発効し、国が独立した機会に国民の拠るべき道、国民実践要領というものを文部大臣天野個人としてここに発表するというのとは私は全く違うと思うのでございますがね。そういうことをお考えになりませんか。
  64. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はその間に何も性質的な違いはない。私はどこへ行つてでも自分の道徳上の考えを述べて、そうして国民を、甚だ潜越かも知れませんが、自分が年もとり、いろいろな経験もして来た人間として、又東西古今の人の考えも或る程度まで学んだ人間として、こういうように行くのがよいと思うということを、私が世間でどこででも述べるのと何も変りはない。(「終始一貫している」と呼ぶ者あり)自分はこういう機会において我我はこういう考えを持つてつて行きたいと思う、何もそれを訓令として出すわけでも何でもない、必要なかたはこれを採用して欲しいということが、それほど悪いことだというふうには私はどうしても考えられません。それどころではなく私は文教の首脳者としては、やはり国民全体の、僭越かも知れませんが、道徳的帰趨というようなことについては深い関心を持つて行くのが私の責任でもありはしないかと私は思うのでございます。事を好んで何もそういうことをやるわけではなくして、世間の要望が非常に強いから私はそれに応えようとするのであります。而もその応え方は非常にこれを慎重に考えて、そうして押しつけがましくならないようにということをどこまでも頭においてやつておることでございます。頭から押しつけるというふうにとられることは、矢嶋議員のごとき公平なかたからそういうふうにとられることはむしろ私のほうが心外とするところでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 我が国が民主主義に踏み出して六年くらいにしかならない。国民は民主主義の理念においてもその実践においても極めてまだ幼稚なものである。こういう段階に先般来発表された形に出されるということは、私はやはり妥当でない、こういうふうに私は考えるわけなんです。最近確かにお互いの努力によつて(「見解の相違だ」と呼ぶ者あり)教育界も振興し、学校教育にしても、社会教育にしても振興して来て、そうしておのずから落着くところを見出だしつつある。こういう段階に二條約発効と同時にそういう自然に育ちつつあるところのものに一歩先んじて、大臣の立場において(「議事進行々々々々」と呼ぶ者あり)そういうものを出されるということは、外国新聞記者あたりは、最近の日本の動向から日本には民主主義は育たないのじやないかということを殆んど心配されておるようでございますが、そういうことも併せ考えるとき、私は大臣としてはその内容においても、(「議論は止めたほうがいい」と呼ぶ者あり)形式においても再検討されて、慎重に善処されるほうが、我が国の民主主義の育成のためにも私は最も肝要なことじやないか。こういうように考えるわけでありますが、再考するお考えはございませんか。
  66. 木村守江

    木村守江君 議論に亘らないようにお願いします。
  67. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 矢嶋議員のお考えはよく私も考えてみるつもりでございます。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 無駄に長く時間を潰さないつもりでございますから、なお暫らくお願いいたします。教育の理論的な精神的な方面から、天野文政が、大臣になられた当時並びにその以前における天野文部大臣個人の言動から、これは崩壊するのじやないかという危険を今その点で申上げたわけですが、もう一点は先ほどちよつと出ましたが、教職員資格審査法案というものを提案されることになつておりまするが、先ほどの大臣の答弁の程度では、曾つての天野文部大臣と心てはこういう審査法案には反対ではないかというように私は考えるのです。世界情勢なり或いは国内情勢の推移によつて、自由人としての民主人としての天野文部大臣に相当私は動揺があるのじやないか。先ほどの天野文部大臣の見解程度でありましたならば、実に私は二條約発効後においてもこの資格審査法案というものは必要ないのじやないか。そういうことを考えるのでございますが、心境の変化かどうか、その点を伺いたい。(「終始一貫している」と呼ぶ者あり)
  69. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は同じ人間なのですけれども、ただいわば野にあつて文筆を持つていたときと、現在この文部大臣という位地にあるときとでは、いろいろ考えに底らかの変化を来たしたことがあるということは御指摘の通りであります。併し少しも、それは私が無理に変えるのではないのであります。例えば先ほども申すような道徳の要領のようなものでも、私が民間におつたときには、文教審議会の一員としては、これはそういうものは必要ないということを申しておつた人間ですが、併し文部大臣の位地について諸方からそういう要求を出されて、そうして今までは、とかく私の視野にあつたものがインテリゲンツイアでありますけれども、今国民一般というものが自分の視野に入つて来たという点において、幾らかそこに私の考えに変化が来たということは私も否定するものではございません。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 天野文部大臣が政党人でなくて、吉田内閣に、内閣に入つておられるというところに私は非常に意義があると考えるわけでありますので、この今まで質問した点につきましては、今後も大臣の、今後の御善処に私は大きく期待いたすものでありますが、次に……。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 関連、ちよつと関連するから、その問題に……。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、今途中になつているんだから……。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 ちよつと関連するんだ。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もうちよつとで、経済のほうが終つてしまうから……。もう一つ経済的な方面からの崩壊でありますが、大臣は六・三制堅持ということを盛んだ本日まで唱えられておられますが、私は六・三・三・四の形が内容的に崩壊しつつあるのではないか。例えば産業教育の振興の意味において予算を取る、この條件としては六・三制にしわ寄せをしないという條件であつたわけでありますが、或いは戦災校の復旧の問題、或いは老朽校舎の問題、それから先ほど問題になりました給食の問題にしても、これは六・三新教育の、新らしい教育の場としての非常に価値あるものでありますが、来年の四月以後はやめである。こういうようなことを考えますというと、この内容的にいわゆる六・三堅持天野文政の四本柱というようなものは崩壊の虞れがあるのではないか。でもう少し具体的に申上げますならば、大臣は義務教育教員は絶対に減らす余裕はないということを曾つて委員会でも言明されたわけでありますが、先般記者団との会見談を拝読いたしますというと、教員は減らせないが全くやらんというわけにも行かない、だから考える。こういうことを記者団に話されておるわけでありますが、確かにこれだけの数字が要るとして出して、併しそれを堅持するなら話はわかるのでございますが、それはそれとして、教員は全くやらんというわけにも行かんから、だから寺中課長の言葉を借りればお付き合いというような恰好でやつて行くということは……今度の行政整理というものが、終戰後膨れたところの事務整理という立場から出発した吉田内閣の行政整理であつて見れば、基本的には私は崩れて行くのではないか。こういう点につきましても曾つての天野文部大臣、信念の人としての天野文部大臣としては、私は国家公務員整理にしても、或いは地方公務員の地方行政簡素化本部と言われるところの整理にしても守れるのではないか。それを大臣が一歩退いて文部省だけやらんというわけに行かないからと、こらされておる点は、私はいわゆる天野文部大臣文教政策、六・三制堅持という経が内容的に崩壊しつつあるのではないか。こういうふうに考えるわけでございますが、それに対する大臣の見解なり信念を……。
  75. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は教員といつて広く考えれば、教員というものの中に、若しも整理すべきものがあるならそれを整理をしなければならない。わきが整理する以上、こちらに整理すべきものがあるなら整理しなければならない。けれども果してそれがあるかどうか、ただ空論をしてもしようがないからして、事務当局に、詳しく調べでくれ、一体あるかどうか、調べてくれろと言つて調べてもらつたのであります。その結果によれば、現在のところでは私は整理する余地はないというふうに考えるからして、是非自分の考えが通るように努力をしよう、こういうわけでございます。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長くなりますので、国立大学関係並びに地方公務員の整理に関する数字的なものについては、迫つて質問申上げたいと思うのでありますが、今日はその点はやめますけれども例えば国立大学関係整理にしても、事務職員が大多数だ、こういうことになつておりますが、政府部内におけるところの事務職員と、国立大学におけるところの事務職員というものは、御承知のように蛸の足大学なつておりますというと、なかなか事務はスムースに進捗しない、そういう特殊性のところに一般政府部内の事務職員整理基準と、国立学校の特殊性からの整理基準というものは、おおむね差等があつて然るべきじやないかと思うのでありますが、そういう点も殆んど考慮されていないように、私は数的にはとつておるものであります。更には科学の振興ということを大きく掲げられた大臣としては、現在国立大学は宿舎の関係とか或いは適格者等の関係で配置転換も十分できないというような関係も絡み合つて、そうして相当の欠員があるわけでありますが、それは便乗させられたような形で、千名近くもいわゆる教授に携わるところの国家公務員整理されるということは、私は日本の学術文化の向上という立場からも遺憾なことではないか。こういう点については私は今度の政府行政整理の基本方針から言つて、まだまだ緩和できるのじやないか。こう考えるわけでありますが、それを大臣はどうお考えになつているか。
  77. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 国立学校事務系統と普通の事務系統とは私は同じ率になつていないと思つております。こちらが少くなつていると思います。又すべて実施計画というものは、先ほども会計課長が言つておりますように、まだきまつていないのであります。今俄かにこうだああだということは、私はお答えできないと思つております。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 岩間君あれですが、もう一点だけ……これは大臣或いは寺中課長で結構でございますが、今度の地方公務員のベース・アップに当つて、第一次、第二次のベース・アップを通して考えて、国立学校の教職員との均衡をとる意味において若干切下げて、そうして第二のベース・アップをやるということを、説明を承わつたわけでありますが、これは極めて私は重大なことだと考えるのでございます。お伺いいたしたい点は、平衡交付金を算出する基礎としてこういいものを考えられて、あとの操作は地方に自由にさせるのか、即ち切下げるとか切下げないということを自由にさせるのか、或いはこういうよろな基準というものを地方に流して、それを指示するつもりなのかどうか、その点を承わりたいと思うのであります。
  79. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 只今御説明いたしました中で、国立学校のいわゆる教育学部附属小中学校教官との振合いから、少しベースを下げるということを申上げましたが、これは給与表その他において、ベースを下げた給与を出すという意味ではないのでありまして、現在高等学校を含めて六十万余りの教師、数目貝がいるわけであります。それぞれの現給による計算を全部いたしました。そしてそれによつて計算したものが一般に千円上るところが二千七円上る関係になる。又国立学校附属小中学校関係ではそれが千八百三十四円くらいになる。そして今度その計算の基礎におきましては国立学校ベースに合せるということでありまして、合せるということは成るべく実際の運営におきましては高給の人がやめた場合には新らしい新人を以て埋めるというようなこと、その他によつてそのベースに近付けるような実施の方法をやればそれが百六十円くらし下つたべースでやつて行けると、そういう見込の下に下げるという表現を用いたわけであります。でありまするから今お話のように指示をしてそれだけ下つたベースでやるという命令をするわけではないのでありまして、実際のこれは平均でございますから、実際の運営の方法でそういう形で、要するに平均幾らか下で収まるように持つて行けばやつて行けるという見込が立つている。それからもう一つ申上げたいことは、実はこの定員計算におきまして実際の現在いる人間よりも二万人くらい高い、二万人くらい多い人数で計算されておりますということは只今申し上げましたように、小学校は一・五、中学校は一・八で計算した人数で百二十八億という数字がでているのでありますから、まだ二万人くらい充実する余地があるわけであります。そういうようなところを全部引つくるめて幾らか下にやつてつてもまあ間違いなく実施ができるという見込でこのいわゆるベース切下げというようなことになつているのであります。でありますから御心配のようなことはないつもりでおるのであります。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 課長は大変机上の算出をやつて安心されておりますが、私はこれはとんでもないことだと思うのです。命令をしない、操作上やれると、こういうことを申されますが、こういう基準平衡交付金が流れて行つたならば絶対にやれない。ましてやあなたが今指摘された二万人、これは地方公務員の定額が政府の算出された定額との差額を埋め合せるために定員を減らしてそれを賄つてつてるわけなんです。即ち定額の差ですね。その定額の差と、それから今度千七円を八百三十四円と見るとこの両面から圧迫が加わつてつて、ベース・アップというものはあなたが期待されているようなものは絶対できんと思う。地方財政委員会及び自治庁当局さえ今の百億程度では……更にその財源の自然増収と政府で甘く見ている。こういう点からはベース・アップはできないとこう言われているわけなんでございます、それを文部当局から先になつて今のような説明をされたのでは現在でさえ労働過重になり、定員不足で悩んでいる教職員、延いては可愛い子供の教育に支障を来たして、教育界に重大な支障を来たすと思うのでありますが、それでよろしいのですか。
  81. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 只今申上げました人数の関係でありますが、人数は成るほど基準通り要るわけでございますから、七万人現在少い、それを充実しなければならないのでありますが、併しこれは十月からすぐベース・アップ、今年の千五百円のベース・アップをやる、この補正後の数字でやつて行くので実際の充実にはやはり二万人の教員を埋めようと思えば多少の時間がかかるわけでありまして、その間にも人数の関係では余裕が出ることも考えられるわけであります。又ベース関係におきましても現にこの国立学校附属小中学校においては幾らか低い形でやつておるのでありますから、それに下げる、と言いますか、国と公立との関係を公平な一線でやつて行くという方向に揃えるということは、これは必要なことであると思うのでありまして、そういう意味から今申しましたように、実際の操作において、年をとつて高紬を取つておる人がやめられた場合に、若い人で埋めるというような操作を、これは全体的にそういうことは実際に行われておるわけでありますから、やつて行けば実際上間違いなくやれるというふうに信じておるわけであります。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点については大臣に特に要望して私の質問を終りたいと思うのでありますが、寺中課長が今一応そういう説明をされておりますが、是非要望しておきたい点は、人事院は一万一千二百六十三円を勧告じて、それを政府は取上げないで千五百円平均のべース・アップをする。こういうふうに発表されていますので、地方公務員も苦しい中で千五百円程度のベース・アップはできるだろうと首を長くして、不満足ながら待つているわけです。ところが定額との関係で押えてある定員、それに持つて来て今寺中課長説明されたところの千七円に対する八百三十四円というのが出て来ますというと、この定額の定員と、この個々の理論上の切下げ、これが三つ重なり合つて地方公務員のベース・アツプは重大支障を来たすだろうと思う。従つて私は地方行政簡素化本部における地方公務員の整理に当つては、文部当局としてはその定員の面においては徹底的に教育を守るために強く出て頂きたい。そういうことを大臣に強く要望いたしまして、お願いをいたしまして、私の質問は終ります。
  83. 岩間正男

    岩間正男君 時間がないようでありますから、いろいろな問題がありますけれども、これはあとに譲りまして、二、三点だけ当面した問題をお聞きしておきたいと思う。大臣はいずれ国体からお帰りになりましたらもう一遍詳しく一日かかつてやらなければならぬ問題だと思う。これはさつきから問題になりました天皇を道徳の中心にする。これは文相の厳密な意味では道徳的中心というようなふうにそこのところは規定されているのであります。いずれにしましてもこの問題であります。この問題は、これはまだまだいろいろ研究しなければならないので、ここで討論する段階ではありませんが、二、三点お聞きします。  第一に、この問題を文相が発表される前に天皇に相談された事実があるかどうか。天皇の了解を得られてこのようなことを国会の議政壇上において答弁されたのであるかどうか。と言いますことは、この点は非常に重要であります。何故かというと、天皇は御承知のように高田君がさつき指摘しましたように、これは太平洋戦争の前後を通じまして非常に利用された。むしろそのために非常に迷惑をされたという形が出ていると思う。こういう点から言いまして、これは天皇に十分に相談をされ、そうしてその了解を得て、よろしい、道徳的中心になろう、こういうふうな了解を得なければ、これは発表できない問題であると私は思うのですが、この問題は非常に重要です。この点につきましてどういうような経緯でありましたか、この点お伺いしたい。
  84. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 勿論天皇に相談はいたしたことはございません。私は日本の憲法がそういうふうに規定していると信じているのであります。
  85. 岩間正男

    岩間正男君 これは憲法論には時間がございませんから後にしますが、私は憲法違反であるとはつきり思います。こういうような道徳的中心、これは宗教やその他の権力、こういうものの中心でないからいいだろう、こういうふうにお考えになるかも知れませんけれども、これは終戦前の様子を見ますと、道徳的とか権力とか、或いは宗教的な天皇中心主義こういうものが一体になつておる、非常にそういうような一つの複雑した形で以て天皇が君臨しておつたのであります。そういう点は非常にこれは憲法で明確に分けられ、そうして天皇の現在の憲法上の地位というものはきまつたのであります。これは憲法論議を十分にされ、文学界あたりもこの問題についてはすでに論議されていると思うのでありますが、この点について私は非常に不明瞭であると思う。而もそうなりますと個人的な天皇、その天皇の了解ということは非常に重要であります。日本の国家の道徳的中心になるかどうか、これは他のいろいろなジャーナリズムで論じておりますように、天皇が非常に迷惑するかも知れない問題なんです。こういうふうに担ぎ出されまして折角個人としての天皇、神権から落された天皇という形で安定されている天皇が、今度は引張り出されて又再びそういうようなことに祭り上げられるということは非常に迷惑かも知れない。従つて個人としての天皇にこれは当然相談され、了解されなければ、私は少くとも国会においては発表できない問題であると思うのであります。こういう点について……この点は私は非常に重大問題であろふと先ず第一に思います。  第二にお伺いしたいのはこの道徳実践要領でありますが、これを天野個人として発表するというお話でありましたが、文部大臣天野個人、こういうことでありましたが、文部大臣天野個人と天野個人ということは私は非常に違うと思う。その証拠には文相が文部大臣の地位を下がられてそういうものを発表されたならば一番明確である。文部大臣であるが故にこれについてやはり文部大臣の見解としてこれは非常に威力を持ち、又これに対して問題になつておりますようにいろいろな圧迫も出て来る、拘束も出て来る、こういう感じを受け取るのであります。ところが天野個人として民間の一学者がそういうことを発表したつて世の中でそれほど問題にするかどうか、この点を明らかにして見るならば私は非常にこれは明らかだと思うのでありますが、そういう形で文部大臣の地位で、つまり天野個人がそういうような説を発表する、こういうようなことは非常に私は、先ほど矢嶋君も指摘しましたように重大問題であると思うのでありますが、これはどうお考えになりますか。この区別があるとお考えになりますか、ないとお考えになりますか。
  86. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 勿論区別があると思つております。区別があると思います。文部大臣としてはそういう一つの責任を負うている人間でありますからして、自分はこういうように考えておるのだということを述べても何も差支えないと今私は考えを持つております。
  87. 岩間正男

    岩間正男君 この点もこれは議論に亘りますからお聞きするだけにして置こうと思うのであります。併し先ほどからそういうようなものは自分で発表する意思がないと言われるときに、文部大臣個人というような実にあいまいな、鶴的な性格を以て、そうして不明瞭な形で以て、こういうような要領というものを発表されることは私は非常に重大問題だと感ぜざるを得ない。この点についても又後刻十分に所信を質したいと思うのであります。  第三に学校給食の問題でありますが、今のこの要領の発表の問題とも関連いたしまして、私はこういうような要領などという一つの概念的なことをやるよりもむしろ文部省の足下を正してもらいたいと思う。学童給食で私どもは九州に国会の調査のために出掛けたのでありますが、実態を調べて見て驚きました。なぜかというと、文部省の曾つての訓令があつたのでありますが、随分学童給食には反対があつた、反対がありましたけれども文部省が奨励して継続する、こういうことであるからして反対者をも理事者のごときは説得して、そうしていろいろ苦しい財政め中から捻出して、そうしていろいろなこれは設備をしておるのであります。ところがここで文部省は前言を飜えして、学童給食を来年からやらないというので非常な窮地に追込れた。そういうことになりましたならば、一体文部行政というものの一つの倫理性というものはどういうことになるか。継続するからやつてくれと人に勧めておいて、犠牲を沸わして、そうして土壇場に来てやれないということでは、これは一体文部省の言う主張というものは通るとお考えになるかどうか。更に学童給食については今問題になつておる不正、第二の不正問題がはつきり出ておる。こういう足下の問題をこそ一々お正しになるのが……私は少くともそういうような文部行政の方面を扱つておる文部省、その大本である文部省の最も重大な問題だと思う。然るにそういう問題はこれは放置する、そうそう政治的な問題については、これは背後に飽くまで職を辞しても守り通すという一つの高い倫理性を示すことなくして、そういうことは止むを得ない、であるからしてこうなるんだ、上から今の情勢では仕方がないという立場をとられておつて、そうして天野文部大臣が道徳要領を発表されたということについては、私は天下の一体国民がこれを信頼するかどうか、こういう点について山文部大臣はお考えになつたか。もう少し足下をしつかりお洗いになつたらどうかということを大臣にお尋ねいたします。
  88. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 地方にそういうようないろいろな設備を作つておいて、そうしてこの給食をやめるということは、これは私も非常に遺憾だと思つております。それでありますからして、どうかしてこれをやめないようにと思つて非常に努力して来たわけですけれど、それが日本の今の実情からして、財政事情からできないということであればこれはいたし方ない。けれども何らかの仕方においてそういう設備が利用されるようなことを研究しようとしておるわけであります。
  89. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると過去の文部省の見通しの不完全、それからそれによつて起る混乱というものの責任はどうなんですか。責任の帰趨についてお伺いしたい。責任の帰趨について今日その問題を放擲しておいて、止むを得ない、これは止むを得ないというのでは、幾ら倫理を説いて見ても、逆立ちした、倒錯した問題と私は考えざるを得ない。少くとも私たちは天野文相を信頼して、天野文相が関係閣僚の中で今日立つておる一つ意味というものは、そういう倫理性を、つまり天野さんが今まで事あるごとに言われて来たそういう倫理性について期待しておる。従つてその問題を解決せずして、その問題は止むを得ないんだから仕方がないと言つて大勢の流れるままにしておいて、そうして一方で倫理要領を発表されておつても一体どういうものになりますか。こういう点について責任の帰趨は一体どこにありますか。政治的責任と倫理的責任について…。
  90. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は、事ごとに倫理性ということを言われるけれども、この倫理ということをこの委員会において口にしたことはないと思います。私は道徳とか倫理とかいう言葉は止むを得ざる場合以外口にいたしません。只今御指的の、責任は誰かというと文部大臣たる私でございます。
  91. 岩間正男

    岩間正男君 私はそういう責任を貫いて頂きたいと思う。今の政治を見ると、責任のある政治がなつていないと思うから、その中で一つの何と言いますか、石ころの中心一つの玉が入つておるようなことがあるとすればそれは天野さんであると考えておる。それを、これを貫くというお考えはないと言うのですか、仕方がないと……今日政府はそういうことになつておるから、それを貫いて、そういう責任をはつきりしようとお考えになつておるかどうか。
  92. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 責任の所在は文部大臣たる私にあることは言つております。それを貫こうと努力したけれどもできないできないから、その責任は私が負う、こういうことです。
  93. 岩間正男

    岩間正男君 わかりました。次にお聞きしたいのはたくさん問題がありますけれども、二、三点でやめます……。
  94. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 岩間君来週の火曜日に続行しますから……。
  95. 岩間正男

    岩間正男君 今のベース・アップの問題でありますけれども、先ほどから繰返されましたようにここで切り下げる。それから教員地方公務員として国家公務員より幾分高かつた。だからこれを切り下げるという論議に対してはこれはお認めになるのでありますか、どうなんですか。
  96. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その点についてはよく私も事務当局と相談いたして見たいと思つております。どういうことになつているか、今のところはつきりしておりません。
  97. 岩間正男

    岩間正男君 実質的には私は既得権の切り下げという形で切り下げて、これは事務的な操作でなくて実質的には切り下げることは明らかであります。国家公務員には仮に千五百円出するいうときに、一方は少し下げて持つて来るのであります。ところがこれは今まで文相も言明されたと思うのでありますが、今まで教員の特殊性、これはすでに中央労働委員会の当時の末弘会長からもこれは表明された教員はやはりその特殊性を認めなければならない。待遇の面においてこれは十分に考えてやらなければならない。それは研究費とか、それから教養を高めるとか、そういうような意味から言つても、いろいろそういうようなものが必要である。こういうようなことが非常に主張されて来たのであります。それからもう一つ教員が高いというのは、年齢或いは学歴、こういうような面から見て教員というものが一般平均の水準よりも幾分高くなつているかも知れない。こういう点については十分にこれは主張されて来たのであります。即ち教育のそういう姿を本当に守るかどうかということはこの問題と関連するのでありますが、こういう点は文相はどういうふうに今まで処置されて来たか。又今後どういうふうに処置されて行くおつもりであるか。
  98. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) ちよつと釈明いたしますが、一般に千五百円のべースーアツプがある場合に、それより下げたベース・アップをやろうというのではなくて、一般に四月に千四百円のペース・アップがあつたときには、二千七円で計算をしておつたと、それを今度の十月以降は、一般に千円の場合に千八百三十四円に計算し一文十月の第二次ベース・アップについては、千五百円のベース・アップに対して千六百三十八円の計算をする。それは現在の実際の給与平均を認めて、そうしてそれをそのまま予算に盛り込んで行く。こういう意味でありますから、一般よりも低いベース・アップを我慢して行くということではないのであります。
  99. 岩間正男

    岩間正男君 私は額について言つているのではなくて、一つの比率について言つているのでありますから、今の御説明では納得が行かないが、この問題も時間の関係上この次にしましよう。  最後にお聞きしたいのはいろいろ財政的な、地方財政との関連で平衡交付金を百億増加し、これについて又地方財政にそれをうまく今度のベース・アプッを賄つてもらうという方法が挙げられたのでありますが、非常に困難だと思う。なぜかというと地方税の四百二十三億なんという自然増、これが、今の地方財政は全く破綻に瀕している、これで取られるかどうか。これも昨日財政質問の中で論議を展開したのでありますが、国税の厖大なところの自然増と関連して国税における約一千二百億の増税、それに対して地方税において四百二十三億という大増税。これは一体財源として確保されるとお考えになりますか。若しもこれが不完全であれば、当然これは教員のベース・アップというものが混迷する。この前の春のベース・アップも混迷してなかなかうまく行かない。別表によるころとのいろいろな切替の問題についても、なかなかうまくできなくて今日までまだ十分でないというところが随分多い。こういう形に追込むことが今後はつきり見えていると思う。もう少しこういう問題について、直接責任でないとこれは法制的な建前から文相はお考えになるかも知れませんけれども、もう少し教員の実態をもつと把握されて、又それに対して責任を持たれる文相の立場として、こういう問題についてもう少し徹底的にお考え願いたい。そういう不安をなからしめるように、さつき木村君からいい発言があつたのでありますが、教員の地位の問題、不安のないように努力される責任があると思うのでありますが、地方財政の現状と百億円の平衡交付金の中に何もかも含めてやるというやり方、こういう大蔵省数字的な説明、こういうもので出万全にこのペース・アップが吸收されるとお考えになつておりますかどうか。更にもつとこれは現在の生活実態から見ますと、人事院勧告の線に組まれることを最低として公務員は要求しているのであります。そうしますと、この問題は政府の押しつけにもかかわらず、問題はもつと広汎多岐に亘つて来ると思うのでありますが、こういう問題について文相に非常な御努力を願わなければならないやはり問題だと思う。こういうふうに思うのでありますが、これはどういうふうに処置されるのでありますか。
  100. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは私も決して十分だとは思つておりません。が併し、現在では政府の中の経済閣僚のかたがたがいろいろ相談をされて、そうして一応これでやろうということになつ文部省でもそれに基いた計算を出していると思つております。
  101. 岩間正男

    岩間正男君 この点についてはもつと細かくいろいろ伺いたいのでありますが、時間がありませんからこの次に讓ります。  なお教職員の資格の問題とか、老朽校舎の問題、こういう問題についてもまだまだ問題を持つているのですが、これは又改めてもう一度伺いたい思といます。
  102. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは大臣に対する質問は来週の火曜日以後にいたしまして本日はこれを以て閉会いたします。    午後一時十七分散会