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1951-11-20 第12回国会 参議院 農林委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年十一月二十日(火曜日) 午前十時三十三分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
羽生
三七君 理事
片柳
眞吉
君
山崎
恒君
岡村文四郎
君
委員
白波瀬米吉
君 北村 一男君
宮本
邦彦
君
赤澤
與仁
君
飯島連次郎
君
加賀
操君 溝口
三郎
君
江田
三郎
君
門田
定藏君
小林
孝平
君 三橋八
次郎
君
松浦
定義
君
政府委員
農林省蚕糸局長
青柳
確郎君
事務局側
常任委員会專門
員 安
樂城敏男
君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
農林漁業組合再建整備法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
、衆議院送 付) ○
繭糸価格安定法案
(
内閣提出
、衆議
院送付
)
—————————————
羽生三七
1
○
委員長
(
羽生
三七君) それではこれより
委員会
を開きます。
農林漁業組合再建整備法
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたします。
本案
については大体
質疑
も
終つた
と考えますので、格別の御
発言
がなければこれより
討論採決
をいたしたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
羽生三七
2
○
委員長
(
羽生
三七君) ではさよう
決定
いたします。それではこれより
討論
に入ります。御
意見
のおありの
かたは賛否
を明らかにしてお述べを願います……別段御
発言
がないようでありますから、
本案
について
採決
を行います。
農林漁業組合再建整備法
の一部を改正する
法律案
に
原案通り賛成
のかたの御
起立
を願います。 〔
賛成者起立
〕
羽生三七
3
○
委員長
(
羽生
三七君)
全会一致
でございます。
従つて本案
は原案
通り
可決することに
決定
いたしました。 なお本
会議
における
委員長
の
口頭報告
の
内容
は、本
院規則
第百四條によ
つて
あらかじめ多数
意見者
の承認を経なければならないことにな
つて
おりますが、これは
委員長
において
本案
の
内容
、本
委員会
における
質疑応答
の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
羽生三七
4
○
委員長
(
羽生
三七君) 御
異議
ないと認めます。 それから本
院規則
第七十
二條
によりまして、
委員長
が議院に提出する
報告書
には多数
意見書
の
署名
を附することにな
つて
おりますから、
本案
を可とされたかたは順次御
署名
を願います。 多数
意見者署名
赤澤
與仁
小林
孝平
片柳
眞吉
門田
定藏
溝ロ
三郡 三橋八
次郎
山崎
恒
松浦
定義
白波瀬米吉
岡村文四郎
加賀
操
江田
三郎
飯島連次郎
宮本
邦彦
羽生三七
5
○
委員長
(
羽生
三七君)
署名漏れ
はございませんか……
署名漏れ
はないと認めます。
—————————————
羽生三七
6
○
委員長
(
羽生
三七君) なお先般当
委員会
から
政府
に申入れました
農耕地土壤生産力増進対策
並びに
主要農作物
の
種苗改良対策確立
に関する申入に対して、お
手許
にお配りしたような文書を以て
農林大臣
から回答がありましたので、御了承をお願いいたします。
—————————————
羽生三七
7
○
委員長
(
羽生
三七君) それでは引続きまして、
繭糸価格安定法案
を
議題
といたしまして、取りあえず
政府
から、先日の
提案理由
の
説明
に引続いてその詳細について更に
説明
を求めたいと思います。
青柳確郎
8
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 先日政務次官から
繭糸価格安定法案
の
提案理由
を申上げましたが、今日は私からなお補足いたしまして逐條的に御
説明
いたしたいと存じます。 第
一條
は、この
法律
の
目的
でありまするが、これは
提案理由
で申上げましたことで盡きておると思いますから、省略さして頂きます。それから第
二條
は、
生糸
の
売渡
及び
買入
の
規定
であります。
政府
は繭及び
生糸
の
価格
の異常な
変動
を防止するために、
申込
に応じまして、
最高価格
で保有する
生糸
を
売渡
し、
予算
の
範囲
内で
最低価格
で
生糸
を
買入
れることにいたしております。即ち、
生糸
の
売買操作
によりまして繭及び
生糸
の
価格
の安定を図
つて
参るつもりであります。
戰前
におきましても、
繭糸価格
の安定につきましては、数回に亘り長い
間業界
で多大の努力が拂われて参りましたことは、御
承知
の
通り
であります。
帝国蚕糸株式会社
、或いは又
帝蚕倉庫
などによりまする
生糸
の
買入
並びに
共同保管
、銀行の
生糸担保融資
に対しまする
政府
の補償、
養蚕業者
の行いまする
乾繭保管
、又は
委託製糸
に対しまする低利資金融通等いろいろの
方法
が相次いで行われて来たのでありまするが、最後に結実いたしましたのが、
生糸
の
売買
による
繭糸価格
の安定を企図いたしました
昭和
十二年の
糸価安定施設法
でありました。数年来我々は繭及び
生糸
の
価格
の安定につきましては、
業界
の
人たち
とも数回に亘り協議いたしまして、いろいろと考えて参
つた
のでありまするが、少額の経費でその
目的
を達成するためには、結局
生糸
の
売買
による
方法
が現状におきまして最善であるという結論に達したわけであります。ここに申しまする
最高価格
、
最低価格
は、いわゆる
公定価格
とは
意味
が異なりまして、
政府
がただ
生糸
を
売買
する場合の
価格
でありまして、昔の
糸価安定施設法
で売
渡価格
及び
買入
価格
と
言つて
お
つた
ものと同様なものでございます。そうして
政府
はこの
最高
、
最低価格
の幅の中で
生糸
の
価格
を安定させようと企図しておるのであります。保有する
生糸
を
売渡
しという工合に書いてありまするが、これは当然のことを
規定
しておるのでありまして、
買入
の
申込
がありまして、そのとき
政府
が
生糸
を持
つて
いないときには
売渡
せないということであります。なお、
本法
で
政府
が
生糸
を保有するに至りまする場合は、
最低価格
で
生糸
を
買入
れる場合のみであります。
最低価格
で
生糸
を
買入
れる
限度
は、
予算
の
範囲
内であります。今度の
補正予算
で御
審議願
つて
おりまするが、
一般会計
から三十億円が基金としてこの
糸価安定特別会計
に繰入れられ、この三十億円を
限度
といたしまして
買入
ができるようにな
つて
おります。この三十億円で果して十分かどうかというような問題について少しく申上げて見ますと、お
手許
にお配りしてありまする
資料
を御覽願いますとおわかりにな
つて
頂けると思いまするが、
戰前
におきましてどの
程度生糸
を棚上げしましたら
糸価
が安定したかと言いまするというと、
最高
は
昭和
十五年から
昭和
十六年の場合で
年間
の
生産量
の二カ月分
買上げ
たのでございます。最少は大正十五年から
昭和
二年の場合で、
年間生産量
の〇・三カ月分を
買上げ
たのであります。
買入
数量
の多いほうから便宜三回のこの
安定施設
をと
つて
参りますというと、平均をして見ますると一・七カ月分くらい
買上げ
まして、一応
目的
を達したのでございます。三十億円で何俵の
生糸
が買えるかは一俵当りの
單価
によ
つて
勿論異な
つて
参りまするが、
戰前
と比べて参りますというと、現在は
生糸
の
需給
の規模がずつと縮小して参
つて
おりまするし、又
需要
に対しまして
幾分供給
が
不足勝ち
の
状態
にありまするので、従前に比較いたしますれば少い
数量
の
買上げ
によ
つて
も
十分価格
の
維持
はできるものと考えております。従いまして現在のところ三十億円の資金が用意されまするならば
十分目的
は達し得るものと存じておるのでございます。なお
生糸
の
売渡
、
買入
は
生糸
の二大
市場
でありまする
横浜
及び
神戸
で行うことといたしたいと思
つて
おります。 それから次に第三條は
最高価格
及び
最低価格
のきめ方の
規定
でございます。
政令
で定める
種類
、
纎度及び品位
の
生糸
、これは大体白二十一中
A格
とする予定でございまするが、この
生糸
を
標準生糸
といたしたいと思
つて
おります。この
標準生糸
の
最高価格
及び
最低価格
は
政令
の定めるところによりまして「
生糸
の
価格
、繭の
生産費
、
生糸
の
製造
及び
販売
に要する費用、
主要纎維
の
価格
並びに
物価
その他の
経済事情
を参しやくして
農林大臣
が定める。」と書いてございまするが、その場合はあとでも御
説明
いたしまするが、
繭糸価格安定審議会
に諮問いたしまして、そこでの公正な御
意見
を十分尊重いたしまして定めることといたしたいと思
つて
おります。
標準生糸
以外の
生糸
の
最高価格
及び
最低価格
は、以上のようにしてきま
つた
標準生糸
の
最高価格
又は
最低価格
に、
政令
の定むるところによりまして算出される額、即ちこれは
買入
又は
売渡申込
当時における実際の
取引格差
をとることにいたしたいと思
つて
おりまするが、この額を加減した額といたします。従いまして
標準生糸
以外の
生糸
の
最高価格
及び
最低価格
は、
売渡
又は
買入
の日に自動的にきま
つて
来るわけでございます。前以て
標準生糸
の場合のように何円ときめ得ないのは、
格差
というものは当座の
需給事情
によ
つて
相当な
変動
があるからでございます。
標準生糸
の
最高価格
及び
最低価格
をきめるに当りましては、先ほど申上げました
通り
いろいろの
要素
を斟酌して参るのでございまするが、これはどういう
意味
のものであるかということを一応御
説明
を申上げて見たいと思います。
本法
の
目的
は第
一條
にも書いてありまするように、
生糸
の
輸出増進
と
国内
における
蚕糸業
の
経営
の安定とにありまするので、安定しようとする
生糸
の
価格
の
最高限度
及び
最低限度
、即ち
最高価格
及び
最低価格
はこの
目的
に副うようなものでなければならないと考えております。
生糸
の
価格
は御
承知
のように
物価変動
の
影響
を大きく受けますると共に、他の
纎維
の
価格変動
とも密接な関連がありまするが、これは單に
日本
の
国内
の
物価
及び
纎維価格
について言えるばかりでなく、
生糸
の主要なる
需要国
でありまする
アメリカ
のそれらの
経済事情
とも全く同様な
関係
がございます。従いまして
最高価格
をきめるに当りましては
輸出増進
ということ、即ち
生糸需要者
の立場を十分考慮いたしまして單なる
生糸
の
時価
によらないで、
日本
及び
アメリカ
におきまする
物価
並びに
纎維価格
と均衡を得ておる
生糸
の
価格
を最近の
統計資料
に基まする
一定
の算式によ
つて
求めます。そしてこれを
基準
にいたしまして、その上に
物価
及び
生糸
の標準的な
変動率
を
参考
として、
一定
の
割合
をとり、その位置を
最高価格
といたしたいと思
つて
おります。次に
最低価格
につきましては、
蚕糸業
の
経営
の安定を図るというこの
法律
の
目的
からしまして、先ず前に申上げました
方法
できまります
最高価格
を
基準
として、
物価
及び
糸価
の標準的な
変動率
を
参考
として、その
下値一定割合
を
限度
として
経済事情
を参酌して定めまするが、この場合繭の
生産費
と
生糸
の
製造販売費
をも併せ考慮いたしまして、少くともその
合計額
、
生糸
のコストの
一定割合
を下らないように定めて参りたいと考えております。なお
只今一定割合
とだけ申上げましたが、これらは先ほども申上げました
生糸
の
輸出増進
及び
蚕糸業
の
経営
の安定という
本法
の
目的
に副うように
愼重
に
決定
して参らなければならないと存じまするので、各
方面
の権威あるかたがたから十分御
意見
を伺いまして最終的な
決定
をいたして参りたいと考えておる次第でございます。 第四條は
標準生糸
の
最高価格
及び
最低価格
の
決定
の時期及びその
適用期間
の
規定
でございます。
適用期間
から申上げますると、これは毎年六月一日から翌年の五月三十一日の一カ
年間
といたしておりまするが、これは一
生糸年度
中は
経済事情
に著しい
変動
のない限り、同一の
最高価格
及び
最低価格
を
適用
して行くということでございます。次に
決定
の時期でございまするが、これは毎年三月としておりまするが、これは二つの要件からきま
つた
のでありまして、
一つ
は
養蚕
の
生産計画
を立てる点から言いますれば、できるだけ早いほうがよいと思うのでございます。又次にはこの
価格
は一
年間
原則として据置かれますので、
適用
を始める六月一日に最も近い時期までの経済的な諸
要素
を取入れることが望ましいのでありますが、これらは
業者
の兼合いで一応繭の
掃立て等
を目標といたしまして、三月といたしたのであります。この三月という時期につきましては、そのときの
経済事情
が
変動
している場合等には四月又は五月まで延期できることといたしております。それから
五條
は
標準生糸
の
最高価格
及び
最低価格改訂
の
規定
でございます。
経済事情
に著しい
変動
があ
つた
とき、又は生ずる虞れがありまする場合には
改訂
ができるということといたしております。これは例えば
物価
が著しく
変動
しました場合とか、或いは
為替レート
に変更があ
つた
場合等を想定しているのでございます。次に第六條は
標準生糸
の
最高価格
及び
最低価格
を
決定
又は
改訂
いたしましたときの告示の
規定
でございます。これは
一般
に周知してもらうために必要であるからでございます。 第七條は
政府
が
買入
れます
生糸
の
種類
、
纎度及び品位
についての
規定
でございます。
種類
というのは白とか黄色の糸とかということでございますし、纎度というのは十四中とか二十一中ということでございます。又
品位
というのは
A格
とか
B格
とかいうことでございます。これは
蚕糸業法
第十六條第一項に
規定
しておりまする
検査
即ち
輸出生糸検査規則
によりまして、
検査
を受けたもので、
省令
で定めるものといたしておりまするが、現在のところでも大体十四中、二十一中を通じまして、十
程度
のものを考えて参りたいと存じております。これは
生糸市場
において最も多く取引されており、又
糸価
の安定を図る上に最も適格なものを買うという
趣旨
でございます。第八條は
政府
に対する
生糸
の
買入
又は
売渡
の
申込
に対しまして応じないことができる場合の
規定
であります。第一は
申込
の
数量
が
省令
で定めておりまする
荷ロ
を單位としていないときでありまするが、これはいわゆる
半端荷口
を
買入
れたり
売渡
したりすることは、
政府
があとでこの
生糸
を処理する場合に非常に困るからでございます。
買入
の場合は
荷單価
は五俵
程度
以上といたしたいと考えておるのでございます。これは大体
一般
の
商習慣
に基いておるのでございます。第二は
売渡
の
申込
のあ
つた
生糸
が
輸出生糸検査
を受けてから六カ月以上た
つた
ものであるときて、これは長期に亘
つて
保管しなければならない場合がありまするので、できるだけ新らしいものを買おうという
趣旨
であり、これ又
一般
の
商習慣
におきましても同様な
條件
が附されておりまするのでそれに
従つた
次第でございます。第三は
買入
の
申込
が買占等不当な利得を得ることを
目的
としておる場合であります。これは
本法
における
政府
の
売渡
の
目的
に副わないからでございます。それから次に第九條でございまするが、第九條は
輸出確保
のための
條件附売渡
の
規定
でございます。
蚕糸業
は
輸出産業
であり、
蚕糸業
の振興は
生糸
の
輸出
の消長と密接な
関係
があることは御
承知
の
通り
でありまするが、
政府
がその保有する
生糸
を
売渡
す場合に
輸出向
を優先的に取扱うことは斯業の発展のためによい
影響
を與えるものと考えておる次第であります。ここに
言つて
おります
條件
というのは、この場合の
生糸
は必ず
輸出
しなければならないとか、或いは
輸出
しなか
つた
場合にはどうするとかいうことなどでございます。 それから第十條は
繭価維持
のための
特別措置
の
規定
であります。私どもは通常は
生糸
を
買入
れることによりまして
生糸
の
価格
のみならず
繭価
をも
維持
し得るものと考えておるのでございます。
生糸
を
買入
れるということは、繭並びに
生糸
の
価格
の安定のための單なる
一つ
の手段に過ぎないのでありまして、決して
製糸家
に厚く、
養蚕家
には薄いというような
趣旨
のものではないことを御了承願いたいと存じます。殊に現在は
製糸設備
に比べまして繭は
不足
の
状態
にありまするので、
最低価格
による
生糸
の
買入
のときが繭の出廻り時期と合致いたしました場合にも繭が買いたたかれ、その
価格
が不当に釣下げられることは普通は考えられないと思
つて
おるのでございまするが、万一
生糸
の
買入
によりましてもなお繭の異常な低落を防止できない場合には特別な
措置
を講ずることといたしております。必要な
措置
の
具体策
につきましてはそのときの
事情
によ
つて
異なると思いまするからそのときの
事情
に最もふさわしい
方法
によ
つて繭価維持
を図
つて
参る考えでございます。第十
一條
は
政府
の
保有生糸
の貯蔵などについての
規定
であります。この中で「
整理
のために売り渡し、」というのは
政府
の保有する
生糸
が
相当量
に上りましたとき
既存市場
において
生糸
の
価格
に新たに惡
影響
を與えないように
売渡
す場合であります。
戰前
の
糸価安定施設時代
にはインド、
ブラジル等
に新
販路
を求めまして
売却
したことがございます。 第十
二條
は
生糸取引
の
届出
についての
規定
であります。これは公正な
生糸
の
市場価格
を把握するために必要な
制度
でありまして、これによ
つて
調査
されました
価格
を利用して
標準生糸
の
最高価格
、
最低価格
を毎年きめるときの
基準
となります
生糸
の
価格
、
標準生糸
以外の
生糸
の
最高価格
、
最低価格
をきめるときの
基準
となる
格差
、
整理売却
又は
新規用途
、
販路等
への
売却
のときの
時価
というようなものが
決定
されることになるのでございます。これは
政府
が
本法
を
適用
して参りまする場合に、現在拠りまする正確な信用される
価格
の
調査
がありませんので、新たに実施して参りたいと考えておるのでございます。又
関係業者
にとりましても、日々この
制度
によりまして
価格
が発表されることは大いに便利があろうかと考えております。
横浜
、
神戸
及び大阪において受渡しされます
生糸
に限りましたりは、大
部分
の
生糸
がこれらの地域で取引されまするので、これらについてのみ
調査
をいたしますれば十分であるからであります。第十三條は繭及び
生糸
に関する
調査
についての
規定
であります。
本法運用
のために必要な
調査
をして参るという
趣旨
でございます。第十四條及び第十
五條
は
繭糸価格安定審議会
についての
規定
であります。
本法
の
運用
にはいろいろむずかしい問題がありまするので、
繭糸価格
安定の
重要事項
につきましては、
政府
の独断に陷らないように各界の御
意見
をお聞きした上で
愼重
に
決定
して参りたいというのがこの
審議会設置
の
理由
でございます。従いまして
委員
の構成につきましては、公正な御
意見
を伺いまするように意を用いて参りたいと思います。なお
審議会
は
諮問機関
ではありまするが、その御
意見
につきましては十分尊重して参りたいと考えております。 それから十六條及び十八條は
罰則
についての
規定
であります。第十
二條
、即ち
生糸取引
の
届出
の
條文
でございます。それから十三條、これは繭及び
生糸
に関する
調査
の
規定
でございます。これらの
條項
の違反の場合に
罰則
を
適用
するという
趣旨
であります。次に附則の中で、第
二條
の
規定
を除く
本法施行
の期日を
公布
の日から十五日経過した日からとしてありまするのは、いろいろと
事務
上の
準備
からの必要でございます。第
二條
の
規定
は
本法公布
後六十日までに
施行
することといたしております。これは
標準生糸
の
最高価格
及び
最低価格
がきまらないうちはこの
法律
が働き得ない
規定
であります。
最高価格
、
最低価格
の
決定
のためには
審議会
の開催、
資料
の
準備等
に若干時日を要するからでございます。なお特に
本法施行
の日から
昭和
二十六
生糸年度
末までの
標準生糸
の
最高価格
及び
最低価格
の
決定
の日を第
二條施行
の日、即ち遅くとも
本法
が
公布
にな
つて
から六十日後といたしておりまするのは、第四條で毎年三月にきめることとしておりますることの
例外規定
で、これは
本法
が
昭和
二十六
生糸年度
の途中で
施行
されることとなるためでございます。 以上で本
法律案
の各條につきましての御
説明
を終りまするが、おわかりにくい点又不十分な点もあろうかと思いまするので、これらにつきましては後ほど御
質問
を頂いた上で
お答え
申上げたいと存じます。
羽生三七
9
○
委員長
(
羽生
三七君) それでは御
質問
を願います。
小林孝平
10
○
小林孝平
君 この
法案
の第
一條
に「
生糸
の
輸出
の
増進
及び
蚕糸業
の
経営
の安定を図るため」、こういうふうにあるのでありまするけれども、この
内容
を見ますると、
繭価
の安定を図るという
措置
が殆んどないのでありまして、十條にそういう項目がありまするけれども、その実質的な
内容
は非常に微弱である。こういうように思うのでありまして、私はこの
法案
が
繭糸価格安定法
、こういうふうにな
つて
おりまするけれども、その実体は要するに
糸価
の安定を図るということが大
部分
にな
つて
おる。こういうふうに考えておるのでありまして、この第
一條
の
目的
を達するためならばもつと
蚕糸業
、
養蚕
、
製糸
の両
方面
に亘りまして、その技術を改善し、
経営
の
合理化
を
図つて生産
を高めて、
蚕糸業
の
経営
の安定を図るというような
措置
を図らなければならないと思いまして、この
内容
が第
一條
の
目的
に余り合致しておらない、こういうふうに全般的には考えておるものであります。そこでこの点については、更に後刻いろいろ御指摘いたしまして、
お答え
を願うことといたしたいと思うのでありまするけれども、この際に基本的な三、四の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。第一の
目的
にも書いてあるように、
生糸
の
輸出
の
増進
というのがこの
法律
の主なる狙いであろうと思うのでありまするが、一体この
法律
を
施行
することによ
つて
、今後どれだけ
輸出
の
増進
が図り得るのであるか、その
見通し
をお尋ねいたしたいのであります。私は
生糸
が、最近ストツキングの、靴下の
用途
から殆んど
アメリカ
においては引離れてしま
つて
、この
大衆的消費
から離れたということによ
つて
、今後の
輸出
の
見通し
というものは、そうここにこの
法律
の
施行
によ
つて
、
生糸
の
輸出
の
増進
ということを積極的に、非常に過大に望むことができないのではないかと思うので、特にこの点をお尋ねいたします。
青柳確郎
11
○
政府委員
(
青柳確郎君
) この
法案
によりまして、
生糸
の
輸出
の
増進
ができるか、それならどれぐらいできる
見通し
かというような御
質問
のようでございますが、従来
海外
の
需要者側
で一番
生糸
に対する経済的な欠点といたしましては、とにかく
価格
が
暴騰暴落
をするという面が、非常に
生糸
の
需要
の促進の大きな原因にな
つて
おるのでございます。従いまして、この
法案
の
一つ
の
目的
でありまする
輸出
の
増進
につきましては、この
価格
の安定をいたしますれば、相当私は
輸出
が伸びるのではないか、こう思
つて
おります。従いまして我々は本
委員会
の御要請に基きまして、実は
蚕糸業
の五カ年
計画
というものを先回立てましたのでございまするが、今年を
基準
にいたしまして、五年後の
昭和
三十年には大体十五万俵ぐらい出せるのではないか、こう考えておるのでございます。現在、そんならどのぐらい出ておるかと申しますと、お
手許
に配
つて
おります
蚕糸統計月報
を御覽になるとわかるのでございまするが、昨年は大体九万俵
程度
まで出ております。
海外
の
需要
は漸次好転して参
つて
おるのでございまして、この
程度
くらいのものは出るのではないかと思
つて
おります。併しこの
数量
は單に我々だけの想定ではございませんので、
海外
の
業者
も、
価格
さえ安定いたしますればこの
程度
のものは出るのじやないかというような保証さえも、
海外
から来ておる
人たち
の話を聞きますと、伺う次第でございます。
小林孝平
12
○
小林孝平
君 今の御
説明
では、要するに
価格
の安定を図れば
輸出
の
見通し
は非常に有望である、こういうふうに
お答え
になり、更にこの
法律
の
目的
が、
価格
の安定を図るということに重点があるのでありまするが、その点に関連しまして第三條では
価格
の
決定方法
が
規定
されておりまするけれども、その詳細は
政令
で以て定める。こういうふうにな
つて
おりまするけれども、私はこの
法律
が今後うまく
運用
されるかどうか、又この
法律
によ
つて
この第
一條
の
目的
が達成できるかどうかということは、一にかか
つて
価格
の
決定
の如何にあると思うのでありますから、先ほどの御
説明
では非常に空漠としておりまして、具体的にどういうふうに
価格
が
決定
されるかということがわからんのでありますので、できればこの
政令
で
規定
される
価格決定
の
方法
はどういうものであるかということをお尋ねいたしたいと思います。
青柳確郎
13
○
政府委員
(
青柳確郎君
) この
最高価格
、
最低価格
をどうきめられるかということは、
蚕糸業
の将来に非常に大きな
影響
がありまするので、
政府
といたしましては一応の案は
準備
しておりまするが、最終的には
関係業界
その他
経営
者のかたがたの
意見
を十分お伺いいたしました上できめたいと考えております。現在考えておりまする
価格
のきめ方の大体の構想をお話申しますと、
標準生糸
の
最高価格
、
最低価格
をきめるに当りましては、二つの
要素
が考えられるのでございます。
一つ
は
物価
参酌値でありまして、他は繭の
生産費
及び
生糸
の
製造販売費
、つまり
生糸
のコストの問題でございます。それで先ほどもお話しましたように、
最高価格
は
生糸
の
価格
の
物価
参酌値を
基準
といたしまして、その上値の
一定割合
を標準として当時の
経済事情
を斟酌して定めます。又、
最低価格
は、第一次的には、この
最高
を、きめられました
最高価格
を
基準
として
物価
並びに
生糸
の標準
変動率
というようなものに基きまして、その下値の
一定割合
を
基準
として
経済事情
を斟酌してきめるのでございますが、この場合繭の
生産費
と
生糸
の
製造販売費
を併せて考慮しまして、少くともこの
生糸
のコスト、つまりこの二つの
合計額
の
一定割合
を下らないようにいたしたいと思
つて
おります。それで問題は
物価
参酌値ということでございまするが、実は米穀統制法なり或いは又
糸価安定施設法
の当時、この
基準
になります
物価
参酌値はどういう観念で定めたかと、こう申しますというと、いわゆる率勢
糸価
とか率勢米価とか申しまするように、過去の長い期間のその商品の
変動
状況から将来を予測するという形で参
つた
わけでございます。従いまして、その材料にいたしまする過去の長い経済
変動
が将来とも繋がるならばこれは問題ないのでございまするが、現在のように経済
変動
の激しい場合には、こういう
方法
は、いわゆる率勢
糸価
式な考え方では、なかなか困難ではないかと思いまして、私たちといたしましては別な
方法
をとろうかと、こう考えております。それは現在の
生糸
の
価格
の
変動
と最も平仄を合せるような、申しますれば相関
関係
の深い経済的指標はどんなものがあるかという点をいろいろ検討して参
つた
わけであります。それを考えて見まするというと、一番関連性の深いものは、何と
言つて
も
日本
の
国内
の
物価
並びに主要
纎維価格
の
変動率
と
生糸
の
価格
の
変動
というものが、相当密接な相関
関係
にあるわけでございます。又
海外
の面を見まするというと、先ほども御
説明
いたしましたように、
アメリカ
の
纎維価格
指数の
変動
とかなり似た面があるわけでございます。従
つて
そういう最も
生糸
の経済
変動
と
変動
期に近い指標から相関
関係
の面を考え出しまして、それで最も均衡のとれた
生糸
の
価格
を編み出したい、こう考えておるわけでございます。従いまして考えておりますることは、成るべく現在の
価格決定
の時期に近い数年のこの相関
関係
を調べまして、そうして
生糸
のほかのこれらのものとの間に均衡のとれた
生糸
の
価格
を一応出しまして、それを
物価
参酌値といたしまして、それから
経済事情
を考えて上値をきめ、又下値をきめて参りたい、こう考えておる次第でございます。それで現在
業界
で問題にな
つて
おりまするのは、上値と下値の間の、つまり値幅の問題でございまするが、これは我々といたしましては、現在
市場
で言われておりまするが、
アメリカ
方面
及びヨーロツパ
方面
の本当の
生糸
のいわゆる
海外
の一種の
輸出
の大手筋と輸入の大手筋と申しまするか、それはこの全体の幅は大体二割くらいの
程度
にして行く。中心値から上一割、下一割、平均二割くらいにしてくれという要望もございます。又
国内
におきましては生産者
方面
、つまり
製糸家
及び
養蚕家
は一割なり一割五分というような
程度
のことを申しております。又上下、つまり中心値を押えまして上下一割乃至一割五分と申しております。又
国内
の流通機構を担当しておる
人たち
の部面から見まするというと、上下二割幅
程度
くらいにはしてもらいたい、こういうようなことを申しております。まあこれらの
事情
を十分斟酌いたしましてきめて参りたい、こういう工合に
価格
の面は考えております。
小林孝平
14
○
小林孝平
君 この三條の「
政令
で定めるところにより、」こういうふうにな
つて
おりますが、この
政令
でお定めになる際に、この
生糸
の
価格
はそのうち
価格決定
の際に何%参酌する、繭の
生産費
は何%参酌するか、或いは
主要纎維
の
価格
は何%参酌するか、こういうようなことを
規定
されるものでありますかどうか。それに関連いたしましてこの問題が一番基本的な問題でありまして、これによ
つて
この
法律
がどういう本当に
繭価
の安定に役立つかどうか、或いは
養蚕家
に余り犠牲をかけないでうまく行くようになるかどうかというように非常に重要な
関係
がありますので、できればこの
政令
の
内容
を発表して頂くわけに参らんかと思います。
青柳確郎
15
○
政府委員
(
青柳確郎君
) これは先ほどもお話申上げましたように、非常に重要な事項でございまして、我々としましても今ほどお話申上げましたように、一応の構想はできておるのでございまするが、十分
業界
、利害
関係
者その他の権威者の意向も十分考えましてきめて参りたい、こう考えておるのでございます。お話のようにこの
一定割合
というものは
政令
できめられることになるわけでございまするが、そういうふうに現在のところ考えておる次第でございます。
小林孝平
16
○
小林孝平
君 その
内容
が、試案がございまするならば
業界
その他権威者の
意見
を聞かれると同時に、国会の
意見
もお聞きになることが適当であろうと思うので、是非この
法案
の審議の途中において御発表頂くようにお願いいたす次第であります。
青柳確郎
17
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 御
趣旨
に副うようにいたしたいと思
つて
おります。
小林孝平
18
○
小林孝平
君 それから第十條の
規定
に関連いたしましてお尋ねいたしたいのは、先ほども御
説明
にもあり、又この
法律
の名前が繭
糸価
安定とな
つて
おりますけれども、具体的の問題はこの十條に関連をいたすのでありますけれども、この
繭価維持
のための必要があればこの十條の
規定
を発動しておやりになることにな
つて
おりますけれども、先ほどの御
説明
では必要な
措置
というのが非常にあいまいでございますが、具体的にどういうことをおやりになるのかお尋ねいたします。
青柳確郎
19
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 先ほども私の逐條
説明
の中に申上げておりますように、私たちは現在の繭並びに
生糸
の実需の
状態
におきましては
生糸
の
売買操作
をやりますれば
生糸
の
価格
の安定だけではなしに繭の
価格
も完全に安定できはせんか、こう考えている次第でございます。而もここに書いてあります
繭価維持
の
特別措置
でございますけれども、勿論この
法律
は恒久法でございまして、現在の
状態
がよしんばそういう形であ
つて
、将来必ずしもその考えている
通り
にならない場合もなきにしもあらずでございますので、我々といたしましてはここに考えております
最低価格
といるのはいわゆる暴落の時期でございまして常時あるわけでもございません。言い換えますれば非常事態と申しますか、そういう事態でございますので、そういう事態に対処いたしますためにこの
規定
を設けたわけでございまして、従来そんならどういう
方法
が行われてお
つた
かということを考えて見ますというと、
養蚕
者に対しまする
乾繭保管
に対して
政府
は融資をやりまするとか、或いは又
養蚕家
が
委託製糸
をやりますために
政府
が低利資金の融通の
措置
をやりまするとか、或いは又従来はやりませんが、繭の
買入
というようなこと、いろいろのことがまあ考えられようと思うのでございます。併しその
最低価格
を割ります場合におきます
事情
の、原因の如何によりましてとるべき
措置
もおのずからきま
つて
来るのではないかと我々は考えているのでございまして、そのときそのときの
事情
に即応した適当な
措置
を講じて参るというのがここの
規定
でございます。
小林孝平
20
○
小林孝平
君 局長の御
説明
では非常にいろいろの
措置
ところおつしやいますけれども、もう少し具体的に、こういうときはこうするという具体的の
内容
がなければこういうような第十條
一條
を設けてあるという
趣旨
に合致しないと思うのでありまして、今申上げたような、局長がおつしや
つた
ような事柄でもこれらの或るものは相当多額の
予算
的
措置
を必要とする、こういうふうなことにもなるのでありますので、單に漠然とこういう十條で以ていろいろなことをやらしたというのでは甚だ不十分だと思うのであります。要するに先ほども申上げたように、この十條を附加えて更に
法律
の名前が糸の上に繭という字をくつつけて
養蚕家
のほうにも少し顔を立てたという
程度
の感じをこれは誰にも與えるだろうと思うので、なお
一つ
本当に
養蚕家
のことも考えておられるなら具体的な必要な
措置
というのはどういうことをやるか、その際は
予算
的に必要があれば
予算
も計上するというような具体的な御
説明
がなければちよつと納得しかねると、こういうふうに思うのであります。又今の御
説明
のようにこういうような現在の、この
提案理由
にもありまするけれども、現在のような繭の
需給事情
の下においては、この三十億でいいと、こういうようなことが書いてあるのでありまするけれども、これに関連いたしまして先ほどのお話でも、現在の
製糸
施設では繭が
不足
だと、そういうふうな御
説明
でありますので、そうしますとこの
価格
の
決定
の際も、こういうような
状態
であるのに、こういうような
一定
の
価格
を設けるということは
繭価
を徒らに圧迫するようになるのではないか、これがあるために却
つて
繭の値段というものが抑えられて、
養蚕家
は非常に不利になるのではないかと、こういうふうに思うのでありまするけれども、その点は如何ですか。
青柳確郎
21
○
政府委員
(
青柳確郎君
) この
価格
の安定の
方法
は、終戰後とられました
物価
統制などにとられました一本値で安定するという形ではございませんので、いわゆる最低値の
範囲
で安定しようという考え方を持
つて
おるのでございまするので、むしろその繭の値段或いは
生糸
の値段というものは、いずれかと申しますと、
需給
の
関係
によ
つて
主として左右されまするので、たとえこういう
価格
が一応公示されましても、
最高
値段にくつつくとか、或いは又最低値段にくつつくというようなことはなかろうと思うのでございます。
羽生三七
22
○
委員長
(
羽生
三七君) ちよつと今の
小林
さんの御
質問
に関連して私からもお尋ねしておきたいのですが、この今の第十條の必要な処置を行う場合というときに、その繭の
価格
の異常な低落の原因と
なつ
た問題を考慮して、その都度必要な処置というお考えでありますので、その場合に例えばという、例えばこういう場合にはこうという何か
一つ
二つの事例として具体的な問題をお取上げ願うようなことはできませんか。
青柳確郎
23
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 実はその事例として現実にどういうのが一番簡單にやりやすいかというようなことになろうかと思いますが、これは先ほどもお話しましたように、過去におきましてこういう事態に対処して
政府
がやりましたことといたしまして、
養蚕業者
が繭が自分の売る値頃でないという
意味
合いから、繭を手離すことがいやだというために、実は
乾繭保管
をや
つた
のでございます。それに対して
政府
は低利資金を供給したという例がございます。又現実に現在乾繭倉庫が、
養蚕家
自体の持
つて
おります乾繭倉庫は全国に約百カ所近くもございまするので、こういう
方法
が一番現状に即したやりやすい
方法
ではないか、こう考えておるのであります。
小林孝平
24
○
小林孝平
君 今のそういうことをやるにしましても、いろいろの金融の面とか、或いは施設を拡充するというような点で
予算
的
措置
が必要なのでありますけれども、局長はそういうふうな意思があるといたしましても、この
法律
だけでは実際それがやろうと思
つて
もできないということになるのでありますので、この点はどういうふうにお考えにな
つて
おるか。従
つて
私はこういう十條の
規定
を設けられるならば、こういうことを予想されるに必要な
予算
的
措置
を同時に考えなければならんのではないか、こういうふうに考えておるのであります。これだけでは本当にちよつと体裁につけただけに過ぎないという感じを受けるのであります。
青柳確郎
25
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 先ほども
お答え
いたしましたように、我々といたしましては
生糸
の
売買操作
によ
つて
十分繭の値段も安定ができるのではないかと、現在のところ想定しておりまするので、こういう工合に書いたのでございまするが、若しこういう事態に
なつ
たというようなことになりますれば、現在の今議会に提案されておりまする例の
糸価安定特別会計
法、この中には、
生糸
の
買入
、
売渡
に伴う
予算
だけしか現在考えられておりません。おりませんが、甚だくどいようではございますが、我々はそれによ
つて
繭
価格
をも現在の事実では安定できるという工合に考えておる次第でございます。若しそれが情勢の変化に基きまして将来でき得ないというような事態になりますれば、
政府
はその
事情
に対処して更に研究を進めて参りたいと、こう思
つて
おります。
小林孝平
26
○
小林孝平
君 この第十條の
規定
につきましてはいろいろ問題がありまして、只今の御答弁では不満でありまするけれども、又時を改めてやることにいたしまして、先ほどちよつとお聞きするのを忘れましたが、この
糸価
の安定で
輸出
の
増進
はできると、これに関連いたしまして、ただ安定すれば何でもどんどん余計できる、
輸出
できるものとは考えられないので、大体どのくらいの
程度
に安定すれば、先ほど御
説明
に
なつ
た十五万俵というものが出るのであるかという点をお尋ねいたしたいと思います。
青柳確郎
27
○
政府委員
(
青柳確郎君
)
海外
からのいろいろの情報を総合して参りますというと、勿論
小林
さんのお話のように買手側といたしましては
価格
安定をすること、その値頃が自分たちの経済にマツチするということ、この両方がやはり要望されると思うのでございます。併し或る一部の見解では、この両方を望んでもなかなか困難であるとするならば、とにかく
価格
の安定だけでも先ずや
つて
もらいたいというのが
海外
の
業者
の一致している
意見
のようでございます。従いまして今度の
糸価
安定
法案
が世界の
生糸
の供給の大
部分
を占めております
日本
で、公開の討議がされるという点が
海外
に伝わりますにつれまして、
海外
からの要望といたしましては、いろいろ
意見
が出ております。
意見
が出ておりまするが、その面につきましては先ほども申しましたように、両方を望むことが、これは一番よいことではあるが、
価格
の安定ということと値幅ということと比較すれば値幅が一番大事であるという情報が伝わ
つて
来ております。
小林孝平
28
○
小林孝平
君 もう
一つ
、最後はこの
審議会
の点でございまするけれども、これは先ほど数回申上げておるように、この
価格
をどういうようにきめるかということは、一番基本的な問題になりますので、私はこの
審議会
の重要性というのは他の
審議会
と非常に異な
つて
おると、こういうふうに考えておるのであります。それでこの
審議会
の
価格決定
に関連いたしまして、どういう人々を大体この
審議会
の
委員
にするのかという
政府
の大体の構想を今日でなくてもいいから
一つ
示して頂きたいと、こういうふうに考えております。それに関連いたしまして、私はこの
価格
の
決定
のやり方に、こういう
審議会
で案を作
つた
ものを私は国会にかけて、最終的には国会においてこの
決定
をする。これは丁度この三月
価格
を
決定
することにな
つて
おりますが、三月は国会の開催中でありますので、国会において最終的
価格
を
決定
するというようにすべきであろうと思うのでありまするけれども、これに対して御
意見
を承わ
つて
おきたいと思います。
青柳確郎
29
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 初めに
審議会
の構成でございまするが、これは先ほどにもお話いたしましたように、こういう重要な事項につきまして公正な
意見
が吐露さるるような機構を考えておるわけでございまして、一応
條文
には
関係
行政庁の職員並びに学識経験者と、こう書いておりまするが、我々の考えておりますることは、この学識経験者の
内容
でございまするが、これは利害
関係
者を中心にいたしまして、更に中正な考えを持たれまする学者なども中に入れまして、そうして構成をして参りたいと考えておるのでございます。而も、一面又この利害
関係
者の
業界
の中で国
会議
員にも
関係
しておいでになるかたもございますので、成るべくそういう
人たち
も入
つて
頂きまして、公正な
意見
を出すことができるようにして参りたい、こう考えております。そうして一面今の国会で
価格
をきめたらどうかというような御
質問
でございまするが、これはやはりその
価格
の
決定
の
方法
、これは国会できめて頂きまして、この部面は
審議会
の運営の部面でございまするので、これはやはり
政府
並びに
政府
の独断に陷らないように、この
審議会
を利用してそうして運営が円滑に行くようにして行
つた
ほうがいいのじやないかという考え方から、こういう工合に考えた次第でございます。
小林孝平
30
○
小林孝平
君 ちよつともう
一つ
、まあ国会で
決定
の
方法
をおきめにな
つて
と、こうおつしやいましたけれども、先ほど申上げておるように、三條のこの
規定
では非常に漠然としたもので少しも
決定
の
方法
を
法律
できめてないのでありますから、私はこの
審議会
の
委員
に国
会議
員を入れるというようなことではなく、
審議会
は
審議会
として研究をし、その最終的
決定
は国会においてやると、こういうやり方にすべきであろうと思
つて
おるのであります。まあそれはそれといたしまして、今のこの
審議会
の問題に関連いたしまして、この
審議会
令というようなものが出るのでありますから、その
内容
を要綱でもいいのでありますからそれを
一つ
御発表願いたいと思います。
青柳確郎
31
○
政府委員
(
青柳確郎君
) いずれ御要望に副いましてお届けいたします。
山崎恒
32
○
山崎
恒君 第
一條
の「繭及び
生糸
の
価格
の異常な
変動
を防止することを
目的
とする。」というようなことが書いてあるのですが、
政府
は第
二條
のこの「
最高価格
でその保有する
生糸
を売り渡し、」或いは「
最低価格
で
生糸
を買い入れる。」この操作のみによ
つて
第
一條
の繭及び
生糸
の
価格
の異常な
変動
を防止することができるという確信があるかどうか、その点を
一つ
伺いたいと思います。
青柳確郎
33
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 逐條
説明
の際にもお話申上げましたのですが、お
手許
に配
つて
あります
繭糸価格安定法案
資料
第三編
価格
調節に関する立法例というのでございますが、これの十三頁を御覽になると大体おわかりになりますが、この下から二行目を御覽になりますと、これで大体そのときの
生糸
の総生産
数量
に対しまして
買上げ
の上、棚上げいたしました
数量
のこの比率を出しておるのでございます。大体少いところは〇・三カ月分ぐらい買いまして一応その
目的
を達しておるわけでありまするし、多いときは二カ月を大体買
つて
その
目的
を達しておるのでございます。この時分は御
承知
のように、
生糸
の
需給
の状況を見まするというと、
日本
の繭の生産額並びに、従
つて
生糸
の生産額は
最高
に達しておる時期でございまして、その時代におきましての
生糸
の競争
纎維
であります人絹が破竹の勢いで伸びて参
つた
のであります。人絹との非常に抗争が甚だしき時分でございまして、併しそれに即応して生産製品も困難であり、桑は永年作物であるが故に、その
需要
にマツチした供給力を添えるということがなかなか困難であるという時期で、なお且つこの
程度
で大体系価の安定ができ、従
つて
繭の
価格
の安定ができたわけでございます。従いまして、我々といたしましては、現在の情勢で見まするというと、これは今の
需給
の情勢でございますが、
蚕糸統計月報
、これを御覽になりますと、現在の
需給
の情勢がよくおわかりになると思うのでございます。
蚕糸統計月報
の二頁を御覽になりますと大体おわかりになると思うのでございますが、戰後におきまして、
日本
の生産
数量
がこういうように順次増加して参
つて
おるのでございます。併し一方、引渡高という面を御覽になりますというと、
輸出
及び
国内
の消費の
需要
は、こういうような変化をして参
つて
おるのでございまして、その結果はどう
なつ
たかと申しますと、期末在庫の合計欄を御覽になりますとよくおわかりになるのでありますが、一九四七年には十三万三千俵、約一カ
年間
の生産
数量
さえも滯貨にな
つて
おりましたのが順次その滯貨が減りまして、現在一九五〇年の十二月末には六千七百七十五俵になり、現在の九月末の数字ではそんならどうかというと四千九百俵と、五千俵足らずの
需給
の情勢にな
つて
おるのでございます。従いまして戰後におきまする
需給
の情勢はどうかと、こう申しますというと、
需要
と供給を大ざつぱに見ますれば、供給はなかなか
需要
に副わない、年々二十万俵も消費する能力があるにもかかわらず、生産が十五万俵しかないというような情勢でございまして、むしろ在庫の面から見まするというと非常に減
つて
おる、
需要
が窮迫しておるというような状況になろうかと思うのでございます。従いまして
生糸
の
売買操作
をやりますれば、繭の
価格
の安定ということは十分可能だと我々は考えておる次第でございます。
山崎恒
34
○
山崎
恒君 只今
需給
関係
によ
つて
の御
説明
でありますが、成るほど
予算
の
範囲
内の三十億を以てして、現在の生産状況から考えますれば、数字的にはそういう結果になると思いまするが、これはまあ
生糸
の安定には直接考えられんですが、然らば繭の異常な
変動
という面につきましては、この
生糸
を
買上げ
る、或いは
売渡
ししたのみによ
つて
繭価
、繭の
価格
というものが直接関連的には操作できるかどうかということが、ここがまあ疑問であ
つて
、そこで先ほど
小林
さんからも最初
質問
されましたが、十條の問題でありますが、この十條の問題で、單に
価格
の必要な
措置
によ
つて
できるというような
説明
ではありまするが、私は
生糸
はそれで三十億の
範囲
内では或いはできるかもわからないと思いまするが、繭の
価格
の操作というものは直ちにそれによ
つて
できるとは考えられない。かように思うのですが、これは、先ほど或いは
乾繭保管
等の問題も出ましたが、然らば
政府
は
乾繭保管
等に対しまして融資の
方法
を考えておるのかどうか、考えておればどういう特別の融資の
方法
を構想されておるか、そうした問題がここにやはり関連的にはつきり
説明
がないというと納得できないと、かように思うのですが、これはむしろ先ほども
小林
委員
から話されました繭はつけたりであ
つて
、
糸価
安定法というような單行法のほうがむしろ私どもは納得行
つて
、
繭価
安定法というものを別に
一つ
作
つた
ほうがいいと、こう思うのですが、その綾を
一つ
お聞かせ願いたいと思います。 〔
委員長
退席、理事
片柳
眞吉
君
委員長
席に着く〕
青柳確郎
35
○
政府委員
(
青柳確郎君
)
生糸
の
価格
の安定をやりますれば我々といたしましては、現在のところ
繭価
の安定も可能だという面は、一応
生糸
を三十億円で
買上げ
れば
生糸
の
価格
は安定できるという面は、今の
需給
の情勢から見ればおわかりになるかと思います。それから一方そんなら
生糸
の価路と繭の
価格
の面はどうかという面のお話を申上げますというと、御
承知
のように現在の
製糸設備
を申しますというと、繭の
生産量
に比較いたしますれば
生糸
がこの
通り
需給
の情勢が逼迫しておるにもかかわらず三割も余分に
製糸設備
が現在用意されておる
状態
でございます。従いまして繭と
生糸
との面の
価格
を考えて見ますれば、その
生糸
を買われまする時分の
糸価
から見ますれば繭が
割合
に割高に買われておるという点が現在世間から言われておるような
状態
でございます。これはやはり
製糸家
といたしましてのいわゆる
需要
と繭の
数量
との間に或る
程度
のアンバランスがあるのではないか、こう思われるのでございます。従いまして現在この
法律
に基いての
乾繭保管
に対する融通
方法
というようなものはまだ第十條に基いてのものは考えておりません。おりませんが、普通の事態におきまする繭の
売買
につきましては、我々といたしまして、
養蚕家
が若し
乾繭保管
をしたいという場合につきましての資金の融通
方法
は現在きめておるのでございます。その
方法
は農林系統の金融機関を通じまして、中金及び信連を通じて末端の
養蚕
農業家が
乾繭保管
をするという場合の資金の融通
方法
は
決定
しておるのでございます。それは大体の構想といたしましては、組合
製糸
を行う場合におきまする率と大体同じ率で乾繭をおやりになる場合に、その農協に対して
乾繭保管
の融資の
方法
は講じておるはずでございます。然るにもかかわらず、なかなか現在乾繭倉庫というものは相当多いにもかかわらず御利用にな
つて
いないというのは、やはり今申しました
生糸
の
需給
関係
並びにそれに伴いまする繭の
需給
関係
、これらのものが乾繭倉庫があ
つて
、而もそれに対しての資金の融通の手段を我々は講じておるにもかかわらず利用されない大きな原因ではないか、こう思います。
山崎恒
36
○
山崎
恒君 この問題は十條にかか
つて
来るのですが、そういうことになりますというと、只今この十條の直接繭の操作に対する点は考えていないという御答弁ですが、これは乾繭倉庫の利用というものは、
政府
自体が
生糸
の操作というものはもう三十億の以内においてできるのですから、直接関連して局長の御
説明
では、
生糸
の
買入
、又は
売渡
をすれば操作をする繭が必ず上るという確信を持たれておるのですが、そこで次の例を見るというと、従来とられております
糸価
安定法というようなものがあ
つた
のでありますが、
養蚕
農家というものはいつもしてやられておるというのが従来の例であります。これはもう
製糸
業者
のほうがいつもうまく乘切
つて
おるというような状況でありますので、そこで十條に対するところの裏付の
方法
をみつちり考えないというと、これは
養蚕
農家というものは、單にこの
法律
は繭というものはつけたりに過ぎないということにな
つて
しまうので、そこでそれに対する
政令
等によ
つて
乾繭倉庫を必ず利用をして、そうして
政府
は
糸価
安定法とタイ・アツプして繭の
価格
の操作もするのだと、而も特別融資というものを、これだけするというようなはつきりしたものがなければこれはならんと思う。そのお考えを
一つ
もう少しお聞きしたいと思います。
青柳確郎
37
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 先ほどもお話いたしましたように、現在のところそういう事態は起きないものとこう考えまして、この十條に基くいわゆる
措置
としての考え方はまだや
つて
おりません。併し
一般
の
養蚕家
が繭の合理的な処理をやりますために乾繭で取引をしたいという面につきましては、
山崎
さんも御
承知
のように統制会社が
整理
されまする際に元の持主であります
養蚕業者
に対しまして乾繭倉庫をお渡ししておるわけでございます。而もその補修、並びに又新たに
養蚕家
といたしまして繭を乾繭にしたいという
部分
がありまする際におきましては、新設に対しましても我々といたしましてこの固定資本に要しまする資金の融通、これにつきましては最近できました農林漁業資金融通法に基きまして長期の低利の資金を御用立するというような考え方で対処して参りたい、こう思
つて
おります。これは固定資本の
部分
でございまするが、又流動資金につきましても先ほどお話ししましたような資金
計画
は十分立てまして繭の取引前に金融機関を通じまして末端の農協にその
趣旨
の徹底を図るようにして参りたい、こう思
つて
おります。 〔理事
片柳
眞吉
君退席、
委員長
着席〕
山崎恒
38
○
山崎
恒君 だんだんわか
つて
来ましたが、結局問題は私は蚕糸局が糸のほうの操作はまあこれでできるんだと、ところが
養蚕
農家自体が糸の操作によ
つて
のみ繭の
価格
の安定というものができるかどうかということがやはり不安なんです。そういうような観念からやはり蚕糸局が繭の安定のためには例えば乾繭倉庫を利用するものに対してはこれだけの資金を融通するんだと、或いは一時前渡金を出すんだというようなことを、はつきりした点をやはり発表するような
措置
がないというと、
養蚕
農家というものは私は非常に心配されるだろう、こう思うんです。十條のこの問題を裏付ける
方法
で確乎たるところのやはり方針を作
つて
頂きたい、かように思うのです。
飯島連次郎
39
○
飯島連次郎
君 時間も大部経過いたしましたので私は詳しい
質問
は次回に讓ることにいたしますが、私は繭の生産者という立場においてこの問題について
小林
委員
と同様蚕糸の
質問
を留保したいと思います。ただ私の県が屈指の繭の生産県であるということと、それから局長も御
承知
の先般の全国農民大会その他繭の生産をめぐる諸団体等からこの
法案
については繭の生産者の犠牲において
製糸
業の安定を図るという大体の狙いであるから断乎この案については
一つ
修正なり、或いは反対せよと、こういう強い刺激が頻々と来ておりますので、只今までの
法案
なり
説明
では私どもは納得できませんから、重要の問題については後の機会に
質問
を改めていたしたいと思いますが、以上
一つ
予告を申上げておきます。
宮本邦彦
40
○
宮本
邦彦
君 先ほどの
小林
さんの
質問
の継続みたいんですが、
一つ
だけここで申上げておきたいんですが、いずれあとでほかの問題もありますけれども、先ほどの
小林
さんの御
質問
のこの
審議会
の問題ですね、この十
五條
、十四條を見ますと、繭及び
生糸
の
価格
の安定に関する
重要事項
を審議する、こうな
つて
いるんですね、繭及び
生糸
の
価格
なんですな。ところが十四條のほうの
審議会
の
委員
が
関係
行政庁の職員及び
蚕糸業
、こうな
つて
いるんですね、それで繭の
関係
者というものがぼけているんじやないかというような気がするんですが、先ほどの局長の御
説明
にも何といいますか、
蚕糸業
に
関係
のある人ということで以て利害
関係
のある人で御
説明
にな
つて
いるんですが、繭の生産者の立場がちつともここに入
つて
いないように思うのですが……これは先ほどの
小林
さんの
質問
の延長なんでございます。
青柳確郎
41
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 実は
蚕糸業
と書きまして、我々のほうの事業の関連者のいわゆる通念といたしまして
養蚕
、
生糸
、勿論
養蚕
はもう大株主というような工合に、この字で十分現わされているわけです。蚕というのはかいこでございますから、
養蚕家
がこれを代表しておるというような形でお考えを願いたいと思います。
羽生三七
42
○
委員長
(
羽生
三七君) それでは暫く休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩 —————・————— 午後一時四十八分開会
羽生三七
43
○
委員長
(
羽生
三七君) それでは午前中に引続きまして
委員会
を再開いたします。ちよつと速記をとめて下さい。 午後一時四十九分速記中止 —————・————— 午後二時三十七分速記開始
羽生三七
44
○
委員長
(
羽生
三七君) 速記を始めて下さい。
片柳眞吉
45
○
片柳
眞吉
君 ちよつとその
説明
は理解しがたいのですが、いろいろなフアクターを総合して
最低価格
がきまるわけでありまするから、総合した結果、そういうことになると思いますが、これはまあなんでありますが、字句の解釈としては、やはり「繭の
生産費
」と、こう言い切
つて
おる以上は、この中に
一定割合
というものを入れると……、少くとも旧法との対照においては、やはり
生産費
は一〇〇%見る、勿論ほかの農業と兼業しておりまするから、その負担
割合
は当然出て来ますが、ここはやはり
生産費
一〇〇%見ることのほうが、私は正しいと思うのですが、如何でしようか。
青柳確郎
46
○
政府委員
(
青柳確郎君
)
法律
の表現法としては前と同じようでございますが、現在考えておりますることは、この繭の
生産費
と
生糸
の加工費、これを寄せましたいわゆる
生糸
のコストと申しまするか、これのまあ
一定割合
というようなものを現在考えておる次第でございます。
片柳眞吉
47
○
片柳
眞吉
君 ちよつとまあその点はおかしいのですが、まああとで更に或いは再
質問
いたすかも知れませんが、それからもう
一つ
、第三條で
標準生糸
の
最高価格
、
最低価格
をきめる場合に、今度の
法案
では、「
生糸
の
価格
」という字句が……、
生糸
の
価格
をきめる場合に「
生糸
」という、これはどういうふうに理解したらいいのでしよう。
青柳確郎
48
○
政府委員
(
青柳確郎君
) これは午前中にもお話いたしましたように、いわゆる
物価
参酌値を出しまする場合に、
生糸
の
価格
とそれからほかの内外の
主要纎維
の
価格
の相関
関係
を調べまして
物価
参酌値を出しております
関係
上、そこで
生糸
の
価格
というものを入れたわけでございます。
片柳眞吉
49
○
片柳
眞吉
君 これは又あとで
意見
として申上げたいと思います。それから
物価
参酌値とい
つて
、主要食糧の米等については
一般
物価
と相当密接して考えるという思想はいいと思うのですけれども、
輸出
品であり、又
国内
的には概して奢侈品のようなこういう
生糸
を
一般
物価
との
関係
を余り強く見るということは、やや適切でないと思うのですが、それはそれといたしまして、米とか麦とかその他の農産物
価格
との
関係
を、或る
程度
これを
一般
の
物価
参酌値に入れるよりも、そういう特に競合
関係
のある麦の
価格
等と相当見合う必要があると思いますが、これはやはり
物価
参酌値という大きな枠に入
つて
しまうのでありますか。
青柳確郎
50
○
政府委員
(
青柳確郎君
) ほかの農産物の間の関連は、今回のこの
価格決定
の
方法
の中には考えておりません。ただまあ強いて考えますれば、この
最低価格
の場合に、繭の
生産費
及び
生糸
の加工費というようなもののコストを考えまする場合に現われて来るのではないかと思われます。それから大きく言いますれば、
物価
というようなものを考えますので、その面で入
つて
来るのではないか、こうも考えております。
片柳眞吉
51
○
片柳
眞吉
君 それからその次には、先ほど白波瀬
委員
から非常に適切なお話がありましたが、第
二條
で、
最低価格
で
政府
は
生糸
を
買入
れるわけでありますが、併しこの
法案
がスタートするときには手特の
生糸
はないわけでありまするし、又昨今の
需給
関係
から見て行けば、むしろ
生糸
の
価格
が上るという方向のほうが強いと思うのでありますが、そうな
つて
来ると、先ほど白波瀬
委員
が言われたようにどんどん上
つて
、而も
政府
は何ら現物を持
つて
おらないということで、経過的に見ても将来
生糸
を
政府
が掴み得る、或いは
最高価格
と言いますか、シーリング・プライスを或る
程度
設定しないと何としても理窟に合わないのではないか。或いは
政府
が或る
程度
の
生糸
を持
つて
お
つて
も、或いは補正的の手段としてシーリング・プライスを設定するという必要があるとも言えるのであります。少くとも
政府
が相当
数量
の
生糸
を現実に掴むまではこれはやはり
最高価格
と言いますか、これをチエツクしないと
輸出
も振興せんし、收拾がつかないことになると思うのでありますが、それは
物価
統制令で三月まではできるというのですが、三月に失効することが明瞭なこの時期に、そういう
規定
を置かなくてよろしいのかどうか、私も頗る同様の疑問を持つわけであります。これはもう御答弁は要りません。あとで我々も考えます。そこでその次には、
政府
は
最低価格
で買
つて
最高価格
で売るわけでありまして、その値幅はまだきま
つて
おりませんが、併し少くとも二割
程度
の幅はできるわけであると思います。そうすると最低で買
つて
最高
で売るわけでありますから、その間、相当の利益が生れて来ることは予想されるわけでありまするし、勿論或る
程度
のコストはかかると思いますが、過去の例から推しましても、米等と違いまして相当の利益を現に上げておるわけであります。この利益金がどうなるかということについては特別会計
法案
に
規定
があるわけでありまして、これは積立をする。積立をすることは非常にいいと思いますが、ところが第八條第三項で、折角できた積立金を
政府
が必要があると認めたときはこれを
一般会計
に繰入るということにな
つて
おりまして、これは隣席の岡村
委員
等は、供出
価格
で
政府
が買
つて
、競争入札で高く売
つた
場合はこれを農家に還してくれということを
政府
に
言つて
おられますが、私も差益が出れば、これを
一般会計
に繰入れるということはどうもおかしい、少くともこれは積立金として管理しておいて、この差益を
蚕糸業
のためにこれを使うということのほうがいい、安い
価格
で買
つて
、儲けた分を又
一般会計
に返すということではならんと思いますが、その辺はどんなふうでありますか。
青柳確郎
52
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 実は特別会計法の
規定
でございますが、これは普通の書き方で、こういうような形にな
つて
おるわけであります。それで勿論利益がありますれば、先ずこの会計を充実する
意味
で積立に入れることは当然でございますが、なお又
政府
の必要がある場合は
一般会計
に繰入れるという形にな
つて
おりますが、我々といたしましては、
片柳
委員
のおつしやいますように過去の例がございまするし、非常にそういう工合になるということを希望はするのでございまするが、何分にも
政府
全体の財政
関係
からきまることと思いますので、そのときにな
つて
から善処して参りたい、こう考えております。
片柳眞吉
53
○
片柳
眞吉
君 それから第九條の
関係
で、これ又先ほど他の
委員
からも御
発言
があ
つた
点でございますが、この
法案
が
輸出
の
増進
が大眼目にな
つて
おりますが、單に
政府
が
最高価格
で売る場合に
條件
をつけることだけで、果して
輸出
の
増進
という
目的
が達成されるかどうか。
国内
でも相当私は現在でも売れるという情勢もあるのではないかと思いますが、
国内
消費を或る
程度
調整するというようなお考えは全然ないのでありますか。
青柳確郎
54
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 我々といたしましては現在のところ配給までも規制しようというようなことは考えておりません。
溝口三郎
55
○溝口
三郎
君 只今
議題
にな
つて
おりまする
法案
の名称とその
目的
についてお伺いいたします。名称は
繭糸価格安定法案
とな
つて
おります。その
目的
は第
一條
で、「この
法律
は、
生糸
の
輸出
の
増進
及び
蚕糸業
の
経営
の安定を図るために、繭及び
生糸
の
価格
の異常な
変動
を防止することを
目的
とする。」ということにな
つて
おるのでございます。十月の十七日の公報で、農林省は臨時国会に提出を予想される
法律案
の中に
糸価
安定
法案
を予定しておるのだということを発表しておるのでございます。その要綱案によりますと、
糸価
安定
法案
の
目的
は、
本法
は、
生糸
の異常な
変動
を防止することによ
つて
、
生糸
の
輸出増進
と
蚕糸業
の
経営
安定を図り、
蚕糸業
の健全な発達に寄與することを
目的
とするということにな
つて
おるのでございます。
糸価
安定
法案
と、只今
議題
にな
つて
おります
繭糸価格安定法案
とは、その
目的
が非常に異な
つて
、構想においては根本的に違
つて
おるようでございますが、只今
議題
にな
つて
います
法案
におきましては、繭の
価格
の異常な
変動
を防止することを
目的
とするということを附加えてあるのでございまして、そのために、先ほど来問題にな
つて
おります第十條の
繭価
の
維持
のための
特別措置
を入れて、「繭の
価格
の異常な低落を防止するため必要な
措置
を行うものとする。」という
條文
も、
糸価
安定
法案
にはなか
つた
のを附加えてあるのでございます。半月ばかりの間にどうしてこういうふうに
法案
の
内容
が、名称も変
つた
のか。従前に発表していたのでは、これは
目的
の上にも、農業のためにするというような思想は少しも入
つて
いない。
糸価
安定の
制度
が、これは
蚕糸業
の振興の重要な施設であるのだということは言うまでもないのでございますが、それは
生糸
の
輸出増進
のためであると同時に、農業経済の改善という、この二つの明確な
目的
を有するものでなくてはならないのが、どうも農林当局は
養蚕
業に対しては甚だ軽視しているようなふうに見えるのでございます。先ほど局長の
説明
では、
製糸
業に厚くして農家に薄いということは決してないのだというように言明されていたのでございますが、十月の中頃に発表していることから今度改変して、
繭糸価格安定法案
というようなものに
なつ
た。その心境の変化を
一つ
お伺いいたしたいと思います。
青柳確郎
56
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 今お話になりました
通り
、当初はこれは
糸価
安定法でございました。それがこういうように変
つた
と、こういうような御
質問
でございまするが、私たちはその当時におきましても、
生糸
の
価格
を安定するということは、これは繭及び
生糸
の
価格
を安定する
一つ
の手段である。
生糸
の
売買操作
によ
つて
やることは
一つ
の手段である、こう考えておるのでありまして、飽くまでもその当時におきましても、單なる
製糸
の
経営
安定だけではなしに、
蚕糸業
の
経営
安定を図ることを目途にしてお
つた
わけであります。併しその後
一般
民間からのお話もございましたので、我々はこういう事態は近く起きないと思いまするが、恒久法でありまするだけに、やはり何らかの
繭価
の
最低価格
になりまする場合に、更に
繭価
が買いたたかれるという場合を防止する
意味
合いで、十條を加えた次第でございます。当初の案におきましても私たちといたしましては、
蚕糸業
の
経営
の安定を目途にしておるのでございまして、單なる
製糸
だけではなしに、
養蚕
及び種、桑苗というような工合に、この蚕糸に関連する産業のすべての
経営
の安定を目途にしてお
つた
わけでございます。
溝口三郎
57
○溝口
三郎
君 私がお伺いいたしましたのは、突然こういう半月くらいの間に
法案
の名称を変えて、
目的
も農家のためにもやるのだというようなことは、表現はしたけれども、その
内容
については第十條でも従来
通り
の融資はやるのだ、その以外には殆んど現在は考えているような手段はないというようなことで、ほんのつけたりにや
つた
ようにな
つて
、甚だ農業のために、農家のためにも……、私は農家には決して薄くないということの御
説明
はありますけれども、
糸価
が安定すれば、必ず繭の値段も安定するというように局長は
言つて
おられますが、逆に繭の値段が安定すれば、
糸価
もおのずから安定するということも考えられるのでございます。そうして繭の値段を安定させるということのためには、先ほど他の
委員
からもお話がありましたように、
生産費
を安くして、良質のものを豊富に低廉に生産を増加して行くという手段が最も重要な手段かと思うのでございます。
蚕糸業
の振興五カ年
計画
というものを農林省で立てておられる。そうして五カ
年間
に桑園を二十五万町歩に殖やす、繭の生産を三千三百万貫、
生糸
を三十万俵くらいにしたいのだという立派な案を持
つて
おるのでございますが、それらについては現状では、ただ案を持
つて
いるという
程度
で、
養蚕
のほうのためにや
つて
いる施設というものは非常に少いような気がするのでございます。十七日の参議院の本
会議
でも、農林業振興基本政策確立に関する決議があ
つた
のでございますが、これは一貫した長期不動の農林政策を確立するために、
政府
の断乎たる
措置
を要求したものであるのでございますが、本決議に関しましても、
蚕糸業
、殊に
養蚕
業等は、これは
日本
の農業経済のために非常に重要なものであると考えるのでございますが、この
蚕糸業
振興五カ年
計画
、これはこの決議にも即して、是非とも実現させる必要があると思うのでございますが、本決議に関する農林政策については、これは近いうちに
政府
から参議院に回答しろということにな
つて
おるのでございますが、こういう基本政策の中にこれを織込んでや
つて
行くという確信を持
つて
おられるかどうか、この点をお伺いいたしたいのでございます。
羽生三七
58
○
委員長
(
羽生
三七君) ちよつと速記をとめて……。 〔速記中止〕
羽生三七
59
○
委員長
(
羽生
三七君) 速記を始めて……。
溝口三郎
60
○溝口
三郎
君
法案
の名称に関連しまして、特別会計
法案
は、これは
糸価安定特別会計
法案
ということにな
つて
おるのでございます。先ほど申しましたように、
糸価
安定
法案
が急に
繭糸価格安定法案
ということに
なつ
たのでございますが、そんならば特別会計の、やはり
繭糸価格
安定の特別会計
法案
というようにすべきだと思うのでございます。名前はどうでもいいというようなことは、非常に私は注意しなければいかんことだ、名前はどつちでも、中身さえあればいいのだという考えで、粗雑に乱暴にこういう
法案
を出されることは私はどうかと思います。特に特別会計
法案
は、繭糸安定という字にしておかなければならん
理由
がどこにあるか、そういうことを
一つ
お伺いしたいと思います。
羽生三七
61
○
委員長
(
羽生
三七君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
羽生三七
62
○
委員長
(
羽生
三七君) 速記を始めて……。
溝口三郎
63
○溝口
三郎
君 蚕糸局長は中身はちつとも変
つて
いないのだから、名前はどうでもいいのだと言われるけれども、これは将来残る
法律
なんで、
青柳
さんは
青柳
さんなんで、白柳さんじやないのですから、それは大蔵省によく言うて、適当な機会に改正なさるのがいいと思います。第十
一條
で、
政府
はその保有する
生糸
を貯蔵し、加工し、
整理
のために
売渡
すと書いてありますが、この
政府
が
生糸
を
買入
れ、
売渡
したり、貯蔵したりすることについては、これは直営でおやりになるのですか。又代行というような形式でおやりになるのですか。それをお伺いしたいと思います。
青柳確郎
64
○
政府委員
(
青柳確郎君
) この貯蔵の問題でございますが、これは
政府
みずからがや
つて
参りたい、特別会計でみずからや
つて
参りたい、こう考えております。勿論この貯蔵に当りましても、現在
横浜
、
神戸
に設備等の十分な倉庫がございますので、それに寄託いたしましてや
つて
参りたい、かように考えております。それから加工の
部分
でございますが、これは
新規用途
というようなことを大体想定して、加工というような工合に考えておるのでございますが、これはそのときの事態になりましたら、
政府
はやはり委託しまして、
新規用途
の加工をして参りたい、こう考えております。
溝口三郎
65
○溝口
三郎
君
生糸
の貯蔵は直営でやられるという御
説明
でございますが、
売渡
し、
買入
れ等も直営でおやりになるのでございますか。又それを若しおやりになるならば、この責任者としての官吏の数も相当に私は必要じやないかと思うのでございますが、そういうものの官吏の、公務員の定員や何かの増加
措置
はと
つて
おられるのですか。
青柳確郎
66
○
政府委員
(
青柳確郎君
) これは今年度の
補正予算
には、この特別会計に基きまする増員は要求しておりませんが、来年度の
予算
からこれに基きまする定員は増加して行こうと考えております。それで我々はこの
買入
れ、
売渡
しをして参りますものの、午前中に御
説明
申上げましたように、大体
横浜
、
神戸
のこの二つの
市場
で行いますれば、十分この
目的
が達せられまするので、非常に人数も少くて済むのではないか、こう考えております。而も
横浜
、
神戸
には
販売
業者
なりそういう
売買
関係
、それに伴う保管
関係
、そういうようなものの整備したものもありますので、我々としましては、この会計を動かしますために現在考えております定員は、二十四、五名ぐらいを目途にして現在考えております。
溝口三郎
67
○溝口
三郎
君 本年度内に三十億の
予算
で約二万俵の
生糸
を
買入
れるという予定にな
つて
、二万俵という
生糸
の
数量
は相当なものだと思うのですが、こういうものを検收して、そうして引渡しを済ますのだというようなことは、二十五人の定員を増加するのは、これは本省における
事務
の人ぐらいのものだと思います。私の特に関心を持
つて
おりますのは、現在の物品会計と言いますか、そういうものについては、これは会計法でもはつきりしたものが実はないので、
買入
、運搬、貯蔵、加工というようなものを、すべて作業労務の請負を、大体運送や倉庫
業者
とか、
政府
がや
つて
おるのが、今まで人がないものだから、そういうものを皆代行さして契約をや
つて
おる。併しそれが非常に不正な事項が起
つた
り、国費の濫費に
なつ
たりするという
事情
がたくさん出ておるのでございます。御
承知
の木炭特別会計でも、これは日通等に運搬から貯蔵、供給というようなものを
一つ
に代行さしておる、そうして何十億という赤字が出て来た、
政府
には人がないから、皆そういうものに任しておる。
農林大臣
が直接の職権の一部をそういうものに代行させるという
制度
が、これが今の物品会計じや一番癌にな
つて
おる元だと思います。私は特に何十人でも、何百人でも、これが必要があるならば、定員を増加して、本当に物品を納入した場合には、農林管の管理の責任者として、どれだけの
数量
がきちんとこの倉庫に保管されておるのだということをはつきりするような
制度
を、新らしい
法律
が若しできるならば、立派な物品会計
制度
というものを立
つて
頂きたい。そうでないと空の検收なんということをせずに、ただ千俵入
つた
とか二千俵入
つた
とかというような書類で、金の引渡しなどができておる例が非常に多いのでございます。そういう
意味
で是非とも直営でやるのだ、直営に必要な定員は、これは確保してもらうのだということをはつきり
一つ
や
つて
頂きたいと思
つて
いるのでございます。併しそれについては現在行政
整理
だなんということで、現在の定員さえも減らされているのだ。二十六年度の補正では一人も増員を要求もしていないのだから、誰が一体二万俵なんという大量のものを、
一つ
ずつ検收するというようなことをどなたがおやりになるつもりでいるのでしようか。恐らく私はそういうことは実行不可能だろうと思う。皆
業者
の代行なんということに任してしまうのじやないかと考えるものですから、私は非常に不安に考えているのでございますが、そういうものについてははつきりと
一つ
処置をとるようにして頂きたいと存じます。
青柳確郎
68
○
政府委員
(
青柳確郎君
)
生糸
のほうはほかの商品と違いまして、とにかく
横浜
、
神戸
におきまする倉庫も先ほどお話ししましたように、非常に経済的にも又設備的にも充実したものがございます。而もその商品自体の検收に当りましてはほかの商品と違いまして、国立の
生糸
の
検査
所におきまして
検査
をや
つて
おり、而も、それは封印されて、はつきり商品としては中身を見なくとも十分できるわけであります。従
つて
検收などにもそれほど人も要らないというような工合に考えられます。而もこういう事態はいわゆる最悪の事態でございまして、常時起き得る事態ではございませんので、我々といたしましてもこの国家財政から考えまして、でき得る限り少数な人間で現在の取引
事情
にマツチして、国有財産を管理して行くという面から見ますれば、今の二十五名ぐらいで十分や
つて
行けるのではないかという工合に考えております。
江田三郎
69
○
江田
三郎
君 いろいろこの
質問
と答弁とを聞いておりますというと、この
法案
では
繭価
なり
糸価
の安定が図り得ないという
質問
に対して図り得るのだということで、而も問題になる点の具体的なことは、これは必要な
措置
をとるというだけで、具体的には一向お示しがないので、何か聞いておりますと、安全保障條約の行政協定みたいなような気がいたすのであります。(笑声)それは別問題にしまして、先ほどの溝口さんの
糸価安定特別会計
法という名前について
質問
がありましたが、これはまあ何かの間違いで繭という字が落ちておると、こういうことですけれども、やはり間違いじやないと思うので、これで行きますと、大体
生糸
の
買入
れなり
売渡
しをするだけで、やはり繭のほうは何もや
つて
おらんわけですから、何かそういうこの特別会計のほうとこちらとを見比べますと、慌てて繭の字を加えただけで、本来の目標は
糸価
にあ
つた
のじやないかという気がするわけです。そういう点があ
つた
からこそ全国のいろいろな
養蚕
農家のほうからこれに対する午前中の飯島
委員
の御
意見
のようなことが言われるわけなんです。そこで私はもう少し
繭価
の、繭の
価格
の安定の問題についてお伺いしたいのですが、先ほど
片柳
委員
の
質問
に対しまして
生糸
の加工費と繭の
生産費
の
一定割合
を補償するのだと、こういうまあ
お答え
があ
つた
わけです。併しそういうような両方の
一定割合
を元にして、仮に
価格
をきめましたところで、その際糸を作る
製糸家
が自分の加工費をみすみす赤字が出るということを、
一定割合
しか補償されないということを算盤において買うことがあるかどうか。私は恐らく
製糸家
としては、自分の加工費は全部ペイできなければ、或いはそれに近いものでなければ買わんというのがこれは常識ではなかろうかと思うのでございまして、そうなるというと、価額をきめる場合に、
最高
、最低の
価格
をきめる場合には、
一定割合
で補償されてお
つて
も結局はその犠牲というものは、繭の生産農家のほうへばかり片寄
つて
来はしないかと思うのですが、そういう点はどうお考えになりますか。
青柳確郎
70
○
政府委員
(
青柳確郎君
) これは
最低価格
でございまするので、その場合におきまして、その後におきまする
生糸
の
価格
の上げ下げがどうなるかというような問題で必ずしもしわ寄せであるとは思
つて
いないのでございます。現在におきましても、繭の
売買
の際を見まするというと、先ほども
お答え
申上げましたように、その繭の
売買
をやりまするその当時の
糸価
から見まするというと、
割合
に繭のほうが高く買われておるというようなことが世間から言われております。それはどうかと言いますと、
買入
した繭からできます糸の今後の情勢によりまして非常に違
つて
来るのではないかというような気がいたすのでございます。それからいま
一つ
、
製糸家
といたしまして、一応加工費というものが出ます。出ますが、併し最低値段になりまして、とにかく
蚕糸業
全体が難澁しておる際に、その加工費の
内容
を調べて見ますれば、必ずしも
製糸家
のほうでは今現金を出さなければならんという部面だけからこの加工費が成立
つて
おりませんので、
製糸家
のほうでもその面は今おつしやいましたようなことにはならないと思うのでございまして、或る
程度
製糸家
もその情勢において負担するようなことを考えられると思うのでございます。
江田三郎
71
○
江田
三郎
君
製糸家
としてはすぐに現金を全部にかけるのでないからして必ずしもそうならんと言われるが、そうするというと
製糸家
の
経営
というものは非常に不安定なことになるわけで、さようなことで一体
製糸
業というものは、将来の投機的な計算だけで
経営
して安定し得るかどうか、私非常に疑問だと思うのですが、その点はともかくとしまして、今、この今まで比較的繭の場合には、よ過ぎるほどいい値で買われておるのだ、比較的
割合
から言うといい値で買われておるのだということであるが、ここに出ておりますところの「繭及び
生糸
の
価格
及び
生産費
に関する
資料
」の中の、この
価格
というものは、これは蚕糸局でお調べに
なつ
たでしようが、一貫目二十五年で千六十七円という、この相場でいいわけですか。十五頁にあります。
青柳確郎
72
○
政府委員
(
青柳確郎君
)
繭価
の千六十七円というものは、春蚕、夏秋蚕ごとに、例の
養蚕
価格
、
製糸家
との間に団体協約を結んでおりますが、それで各府県で行われました団体協約によ
つて
できました
価格
の加重平均をやりますと千六十七円になるのであります。
江田三郎
73
○
江田
三郎
君
価格
のほうがそう
なつ
た場合に、
生産費
調査
が八頁に出ておりますが、それで行きますと、二十五年度は千二百十九円、繭の
価格
のほうが千六十七円で、
生産費
調査
で行くと千二百十九円ということで、これでは
生産費
を
つて
おるということに考えざるを得んのですが、この点はどうなんですか。
青柳確郎
74
○
政府委員
(
青柳確郎君
) これは全国たしか五百戸の
養蚕家
の
生産費
を調べたのでございますが、その面から見ますれば、お話の
通り
に思います。
江田三郎
75
○
江田
三郎
君 今まで、先ほどの御
説明
のように、比較的繭が高く買われておる、そう言われるのに、この統計で見ると、二十五年度で行くと、只今のように
生産費
が千二百十九円なのに、
繭価
のほうは千六十七円、二十四年度は
生産費
が千五百七十九円なのに
繭価
のほうが九百円というようなことで、これは私が作
つた
ものではなしに、蚕糸局のほうから出された
資料
の中にこういう数字が出て来るわけです。そうすると、先ほど言われたようなことにはならないのじやないかと思うのです。而も
生産費
について、先ほどの御
説明
のように、
生産費
は非常に大きな幅がある、少くともその中庸的なものは
合理化
の進んだ農家の
生産費
を保証する
程度
と言われましたけれども、これはやはり平均的な数字でして、その次の表にありますように、千二百十九円というものは、小、中、大の
経営
規模別を見たその平均値で千二百十九円にな
つて
いるのですが、それさえも今出された
資料
から行くと保証されてはいなか
つた
ということになると思うのでして、そうなるとこれは繭の
価格
の安定について先ほど来の何ら別に心配がないというようなことじやなくて、別なことになりやしないかと思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
青柳確郎
76
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 先ほどお話申上げましたが、繭が割高に買われておるということは、
生産費
よりも繭が割高だというようなことを申したわけじやございませんので、繭の
価格
がきまりまする際に、その当時の
生糸
の
価格
から見ますると、原料代としてのいわゆる繭代の
部分
が高く買われていやせんかということを申上げたわけであります。
江田三郎
77
○
江田
三郎
君 だから私は言うのでして、糸に比べて繭のほうが比較的高く買われておると言われながら、実態においてはこういう数字が出たわけです。そうすると、将来繭と糸とが割高に買われないで普通に買われた場合には、もつと
繭価
というものは安くなるというように、常識的にそういう結論にな
つて
来ると思うのです。そうするといよいよ矛盾が大きくなるのじやないですか。
青柳確郎
78
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 先ほどの二十五年度の千六十七円という数字は、実は先ほどもお話いたしましたが、これは全国の
繭価
協定できまりました
価格
そのままを見ておるわけでございます。併しこれに例の
養蚕
団体が集荷費といたしまして一貫匁三十円或いは三十五円ばかり取
つて
おりますので、これより実際の
価格
は上
つて
おるだろうと思います。
江田三郎
79
○
江田
三郎
君 これは三十円や三十五円加えても大したことにならんのですから、この表が違
つて
いるのなら、もつと我々の肯けるような
資料
をあとから出して頂きたいと思うのです。それからなお第十三條によりますと、今後も繭の
生産費
調査
をすることになるわけですけれども、この
生産費
調査
というものはどこでおやりになるのか、又その際一体米価の場合にもいつも問題になるのですが、労働費の問題なんです。特に統計
調査
部の調べを見ましても、労働費は
養蚕
の場合には雇用労働が少くて、家族労働が非常に多いわけですけれども、この家族労働の
單価
というものはどの
程度
に見て行かれるのかということです。これは米価の場合でも一体農村の実際支拂賃金で行くのか、或いは他の産業の労働者の受ける賃金と少くとも釣合いのとれたものであるかというようなことが非常に問題になるわけですが、将来この点はどういうようにお考えになるのですか。
青柳確郎
80
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 現在ここに
生産費
と、こう書いておりますのですが、米のほうは
生産費
という形においていろいろ考えて見ますれば、まあパリテイがいいか、或いは実際のこのような
生産費
調査
というような形をとればいいかということが非常に問題にな
つて
おるようなわけでございます。従いまして我々のほうといたしましては、パリテイの理論によ
つて
出しますか、或いは又こういうような
調査
に基いてやりまするか、これは十分研究をしましようかと、こう思
つて
おります。それで若し
生産費
の
調査
をやるということになりますれば、現行
通り
農林省の統計
調査
部で行われると思います。それから現在農林省の統計
調査
部におきまするいわゆる労賃という部面は、たしかその地帶におきます日雇労賃の費用をそのまま掲げておるように思います。従
つて
それらの問題につきまして、これが必ずしも公正な
生産費
じやないというような点もありますれば、十分それらの面は統計
調査
部と話合いをしまして研究して参りたいと、こう思
つて
おるわけであります。
江田三郎
81
○
江田
三郎
君 それが不合理だということなら十分
調査
するということでなしに、一体どういう考え方を今持
つて
おられるかということなんです。少くともこの
生産費
の
調査
から見ますと、自家労働
部分
というのが全
生産費
の半分以上を占めておるわけです。そのはじき方如何でどういう
生産費
でも出るわけです。それをどういう
基準
でや
つて
行くかということは非常な違いが出て来るわけですから、蚕糸局のほうでこういう
法案
をお作りにな
つて
、そうして十三條によ
つて
繭や
生糸
の
生産費
を
調査
するんだということを言われるならば、どういうような
生産費
調査
をせられるかということは、もつとはつきりしておらなければならんと思うのです。そういう点につきましても、若し考え方の正確な
資料
を頂けましたら頂きたいと思います。それから私は今のような形で繭の
生産費
を補償するということについてのその点から考えますと、どうもこの
法案
は至
つて
不十分のように思いますので、従
つて
第十條によるところの必要な
措置
というのがもつと具体的なものでなければならん。そういうことについて例えばということで若干お話がありましたけれども、そういうことをもう少し次の
委員会
までに、一体
政府
が考えている具体的な
措置
としては、こういう場合にはこういう
方法
があるんだということをはつきりとお示し願いたい。或いはそれによりまして、片一方のこの
糸価安定特別会計
法というものも繭
糸価
のほうに変えなければならんということも出て来るわけでありまして、少くとも今までのままだ
つた
ら繭の字がないほうが本当ですけれども、私は
内容
的にも繭の字を入れなければいかんと思うのです。
岡村文四郎
82
○
岡村文四郎
君 各
委員
からいろいろお尋ねがありまして、
お答え
がありましたが、どうしてもこの
法律
は繭よりも糸に重きを置いておると見ざるを得ないような
法律
であります。そこでこういうことができるかと思うのでありますが、
最低価格
に買
つて
最高価格
に売る。言いようにおいてはどつちも同じです。
法律
には、注文に応じて
最高価格
に売り、
予算
の
範囲
内において
最低価格
に買うと書いてある。これは商取引において絶対有利な
條件
なんで、
最低価格
に買
つて
最高価格
に売るということは取引として最もうまく行かないのでありまして、第三條にそれが書いてありますが、こんなことでは
最低価格
に買
つて
最高価格
に売ることは不可能だと思う。恐らく
法律
になくても、
一般
通念として
売買
するものを
最低価格
に買
つて
最高価格
に売るというそのことは非常に面倒だと思うが、どうしておやりになるか、一応お聞きしたい。
青柳確郎
83
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 我々といたしましては、こういうような工合に考えました。大きなポイントは午前中にもお話申上げましたように、過去何回にも亘りまして、
政府
なり或いは又民間なりで
生糸
の
価格
なり、或いは繭の
価格
なりというようなものの安定を期しまするために、いろいろの方策が講ぜられてお
つた
わけでございます。併しそのうち最も成功をいたしまして妥当と思われるのがこういうような
方法
ではないかと私たちは現在のところ考えておるのでございまして、而もこれは過去において成績を挙げておる
方法
でございまするので、或いは蚕糸に限
つて
特殊の例かも知れませんが、こういう
方法
を採用するというふうに
決定
したわけであります。
岡村文四郎
84
○
岡村文四郎
君 これが最低である、これが
最高
であるというその境なんで。どこを見てこれが……。実は私は糸をや
つて
おりませんが、
輸出
を何年もや
つて
お
つた
ものでよくわか
つて
おりますが、外国では
生糸
だとか、或いは
日本
のその他の
物価
の毎日のように相場の
変動
するのを非常に嫌
つて
おります。なんとかそうしないで安定することはできないか、どうも
日本
の相場は毎日のように変
つて
非常に困る、向うではそんなに相場は毎日余り変
つて
おらん、非常に買うのに困るから、一応そうしないで、毎日のように相場を変えないで報告をしてくれることができないかということを今でも
言つて
来ておりますが、
生糸
もそうだと思います。そこで
糸価
の安定ということは、損もしない、得もしない、まあ喜んで買い得る、喜んで売り得る相場をきめることが僕は安定の相場と言い得ると思う。ところがこの
法律
には最低に買
つて
、
最高
に売ると書いてあるのだから、これはどうしても私にはわからない。そこでそうなると、損は絶対にしないで売る、最低に買
つて
は
最高
に売る、損は絶対にしないという原則で行かなければならんと思うが、それはどうか。
青柳確郎
85
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 過去にこういう
制度
をやりました場合に、大体利益を計上しております。それでこの
方法
といたしましては、ただ
最低価格
になれば
政府
はこれだけの金額を以て買うんだ、又
最高価格
に
なつ
た場合にはこういう
措置
を以てやるんだということを世上に一応公表しておきますれば、そのときの材料如何によりまして、その
範囲
内において適当な
価格
のところで調節されて来るのではないかと、こう思われます。それで白波瀬
委員
もお話になりましたように、
最高価格
とこう申しましても、或いは
最低価格
とこう申しましても、必ずしも我々としては実勢がそういうことであるものならばこれはや
つて
行かないのでございまして、従
つて
、
最高価格
の場合に実勢がどうしても上るというような場合におきましては、第
五條
でございまするか、
価格
改定の
措置
もございまするので、その
方法
でやりますれば、何も
一般
に迷惑をかけないで
運用
して行けるのではないかと、こう思
つて
おります。
岡村文四郎
86
○
岡村文四郎
君 私の狙いが
一つ
あるのでありまして、これは
片柳
委員
もお尋ねにな
つて
おりましたが、これで見ますると、
最低価格
で買
つて
最高
で売る、必ず利益金が出る、出た利益金は一方の合計法で積立てる、こういうふうにな
つて
おりますが、会計に繰入するが、損失が出た時分にはそれから減額をすると
法律
は書いてありますが、損にする心配のない仕事をおやりにな
つて
、必ず利益金が出るのにきま
つて
おると思います。
片柳
委員
は雑穀を引合にしてお話にな
つて
おりましたが、あれは売
つて
見ねぱわからん、結果において売
つた
利益があれば生産者に戻すと、こういうことを要求いたしてお
つた
のでありますが、これは恐らく結果を見なくても利益金の出ることは間違いないと思います。そこで繭の生産者が、白波瀬さんからもお話がありましたが、繭の生産時期で売る時分にはいつでも安い繭を売
つて
しま
つて
から
生糸
の
価格
は高くな
つて
行く、こういうお話をされておりましたが、今
江田
委員
はそう繭の
価格
は安く売れておらん、表はそうでないと、こういうことを
言つて
おられましたが、確かに繭は生産されたときに即時売るとこれは当然安いと思います。そこで思うようにうまく売れればそれでいいのでありますが、
生糸
から逆算をして繭の
生産費
の足らないような時期にはこの利益金はバツク・ペイのように戻す
方法
も講じてや
つて
やれんことはないのじやないか。これを、利益金は国の特別会計に繰入れて、そして若し損があれば減額をすると、こういうふうに書いてありますが、誠にそれはこの
法律
から言えば健実な
方法
でいいかも知れませんが、損をしないという建前でやる以上はそういう心配は要らんので、利益金は生産者に返す、こういうこともや
つて
やれんわけではないと思うのですが、どうか
一つ
お聞きしておきたい。
青柳確郎
87
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 利益がありました場合に
養蚕家
全部に対してそれを返すというようなことを考えますと、なかなか技術的には困難ではないかというような工合に考えられるのでございます。なにしろ少額な繭ならとにかく、八十万戸の農家がすべてや
つて
おるという面からいたしまして、技術的にはなかなか困難ではないかという工合に考えられておるのでございます。従来そういうような儲けのありました際にどんなことが講ぜられておるかと、こう申しますというと、最近の例から申しますと、
養蚕家
に対しまして生産
関係
の施設に使
つて
参りますとかというようなことが最近例の業会の利益金の際にとられたわけでございます。それから過去におきましては、現在
横浜
にございますあの例の倉庫なり或いは
検査
所というようなものは、利益金を民間側で
政府
に寄附いたしまして、そうしてできているような経過がございます。又今の中野の試験場、あれなども、やはりこういう
関係
で利益を得ました際に、必ずしも紐つきかどうかは存じませんが、とにかく建てられておるというふうな従来例がございまして、我々蚕糸局のほうといたしましては、先ほども
片柳
さんの御
質問
のように非常に希望したいことでございます。併しこれは
政府
全体の財政の面から考えられることでございますので、私からの答弁としてはその
程度
しか現在
お答え
ができないのでございます。
岡村文四郎
88
○
岡村文四郎
君 利益金を戻すことは非常に面倒だろうと、こういう御心配で、今までもあ
つた
利益金はいろいろ施設に使
つて
おると、こういうお話でありまするが、それは、成るほど朝から出た
生糸
、それを処理する場所に使いますことは繭を還元したと同様になるということも考えられますが、最初から利益金があれば還元するのだ、こういうことにな
つて
おりますと、
買入
の時分からその態勢で行
つて
りますから、何も面倒ではないと思います。すぐ金額さえきまれば返せると思いますが、併しながら僅かな金を返すわけには参りませんから、それは相当の返すだけの金額にならんといかんと思いますから、これはできるなら……、局長をそう攻めてもわかりませんが、そうすることが適当と思います。それから先ほど繭に対する資金の面のお話をされまして、局長のほうからは繭の融資は中央金庫をしてやらしめておると、こういうお話がありましたが、や
つて
はおりますが、これは中央金庫の自己資金でや
つて
おりまして、銀行と中央金庫と両方でや
つて
おりますが、殊に長野県のような非常に組合
製糸
の盛んなところでさえも非常に困
つて
、金庫の持ち込んでは金庫から自己資金を持
つて
行
つて
おりますが、繭の金の要ります時期は、中央金庫として
一般
農家の資金の非常に多く要る時期に向
つて
おりまして、非常に迷惑をいたしておりまして、これが今より以上に繭に対する資金が要ることになりますと、
政府
が何かの
方法
で預託をしてやらなければいかんと思います。そこで今まで
通り
のお考えで、中央金庫がや
つて
おるというお考えでおられたのでは非常に困りますので、是非今後繭の資金を融通いたしますために、金庫に
政府
の預託をしてもらうことをお願い申上げておきます。それから施設の
方面
で農林漁業特別融資の金で乾繭倉庫なり、その他の施設ができるというお話をされましたが、金額を殖やして年重なればそういうこともできましようし、考えられましようが、現在まだ二十七年度あたりでは絶対に考えられませんし、又考えても入
つて
参りません。普通農業倉庫が、米麦の統制が外れますと農業倉庫が非常に必要になり、不完備であるから新築をしたいと思
つて
も現在はできません。二十七年度では何とかしたいというのでや
つて
おりますが、まだまだ入る粋がないというのであります。二十六年度は僅かに二億円の修理の金しか見ておらんようなわけで、これも
一つ
蚕糸局のほうで、農林省のほうで、特に必要のある乾繭に対しまするものは、あの枠にそのつもりで入れて参りませんというと、まだここ二、三年はそういうものに非常に廻
つて
行きにくくて、要望いたしましても、貸すこともできない実情にありますから、是非その方画も蚕糸局のほうからこういう資金が要るから、これも枠がとれるようにしておけと、こういうのでないと、そのまま置かれると駄目だと思いますから、その点もお願い申上げておきます。
青柳確郎
89
○
政府委員
(
青柳確郎君
) その面につきましては、今年度はすでにこの乾繭倉庫につきましては四千万円ばかりを認めておるのでございます。現に借入れが来ておるのでございます。大体総額としては八千万円ぐらい、今
申込
が来ております。我々といたしましてはこの
制度
に附随いたしまして、とにかくそういう面から考えて行く必要もございますし、又
養蚕
面からも本当にそういう御希望があるならば極力副いたい、こう思いまして、我々のほうでは来年度も枠をと
つて
参りたい、こう思
つて
おります。
岡村文四郎
90
○
岡村文四郎
君 金の話ばかりして誠に相済みませんが、
日本
蚕糸業
会に計上されておりました封鎖機関に指定されて以来の清算後の手特の
生糸
が、インフレで莫大もなく高く売れたというので相当の金があ
つた
つもりでありますが、その話はさつぱり出ておりませんが、一体あればどうな
つて
おるか、それを聞きたいと思います。
青柳確郎
91
○
政府委員
(
青柳確郎君
) 岡村
委員
のおつしやいました
通り
相当の金額に達しておりまして、その金額の
内容
を見ますと、
価格
差益金と申しますか、統制
価格
の変更に伴いまして、当然差益金としまして
政府
に納めるべき
部分
と、それから本来の出資に戻すべき金額と両方にな
つて
おるのでございます。それで我々の考えといたしましては
価格
差益金のほうの分は直ちに国税庁を通じて納めさせて行きますし、あとの残余財産につきましては、出資者の御希望によりまして、勿論これは出資者の自由意思でございますが、自由意思に基きましてでき得れぱこの
糸価安定特別会計
の基金として指定寄附をして頂きたい、こういうような気持で実は昨年からその問題を考えておるのでございます。幸いに出資者の
人たち
の御
意見
では、大体はでき得れば、こういう
方面
に、若し
糸価
安定法でも通れば、そこに寄附したいという御希望のかたが非常に多いのでございます。そんな
関係
からいたしまして、現在の心組みといたしましては、法的の
措置
をとりまして、勿論これは強制する
意味
の法的
措置
ではございませんが、出資者の自由意思に基きまして寄附するような
法案
を作りますか、或いはそうでなしに、自由の意思に基いて
政府
に寄附するような
方法
があるか、それを目下検討しております。そういうような現在段階にな
つて
おるわけでございます。
羽生三七
92
○
委員長
(
羽生
三七君) それでは本日はこの
程度
で散会いたします。 午後三時四十八分散会