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1951-10-31 第12回国会 参議院 農林委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月三十一日(水曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            小林 孝平君            三橋八次郎君            赤澤 與仁君            加賀  操君            松浦 定義君   政府委員    法制意見長官  佐藤 達夫君    農林省農政局長 東畑 四郎君    食糧庁長官   安孫子藤吉君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○農林政策に関する調査の件  (農業共済組合連合会事業不足金整  理並びに農作物共済掛金率改訂に関  する件)  (米麦統制廃止に関する件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより農林委員会を開きます。  最初にお諮りいたしたいことは、御承知定員法が出て参りましたので、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に関しまして内閣委員会と当委員会との連合委員会の開催を申入れしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではさように決定をいたします。
  4. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 何とか早急にやつてもらうようにできますか。
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これは内閣委員会でこの問題を決定してくれればすぐ行いたいと思います。   —————————————
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に今日の議題は御承知のように農業共済組合連合会事業不足金整理並びに農作物共済掛金率改訂に関する件でありますが、この件は農業災害補償制度根本にかかわる重要な問題であり、当委員会としてはかねてこの問題に対して重要な関心を払つておりますので、曾つて政府に対して善処方を申入れ、政府から又対策に努力を払う旨の答えがあつたのでありますが、その後の経過及び今後の方針等につきまして農林当局から説明を聞いて、その上場合によつては当委員会として更に必要な処置をとることとしたいと考えるのであります。最初農政局長からその後の経過を聞きまして、それから質疑に入つて頂きます。
  7. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 今お示しになりました問題が二つございまして、一つ都道府県農業共済組合連合会不足金のその後の事情でございます。もう一つが来年度に控えます水稲共済掛金率改訂二つの問題であると思いますが、まあ初めの問題から一つ説明を申上げます。  連合会赤字につきましては、一応十九億二千万円というものを中央金庫その他の銀行及び県信連等から借入れることができたのでありまして、本年の六月末現在の借入残高を申上げますと、農林中金からは十六億七千九百十六万七千円、その他の銀行信連等から二億四千二百十万円、合せて十九億二千百二十六万七千円の不足金の借入れを実はいたしておるのであります。その後農業共済組合連合会等収入保険料がございますので、これを一時償還に当てるように農林省のほうからよく指導いたしまして、九月末現在で申上げますと、大分償還ができまして、農林中金から六億五千二百万円程度その他に五千五百万程度の未償還残高を持つております。なお収入保険料等が入りますので、極力この十九億二千万円の償還をいたしましてもなお二億八百万円程度償還不能になるかというような見込を立てております。なお十二月以降につきましては水稲或いは蚕繭の支払が又殖えますので、再び過去の連合会赤字につきましては借入金の必要が生ずるのではないかというように考えております。なおこの十九億二千万円の借入金等につきましては、今年度の補正予算で一億八千二百万円の利子補給金予算を計上しておるのであります。これは十九億二千万円の金に対しまして日歩二銭六厘の一カ年分の利子を補給するということにいたしておる次第であります。水稲料率改訂の問題を来年に控えまして、過去の十九億の赤字そのものをどうして消すかという問題と、将来又こういうものの不足の出ることに対応するいろいろの考え方二つに分れると思いますが、過去のものにつきましては、これは我々としましては来年度予算に一応国庫から、一般会計からこれを負担したいという形で来年度予算要求を実はいたしておるのであります。  将来の問題につきましては、次に申上げます来年度の水稲料率改訂の問題にからむわけでありますが、連合会といたしましては一応或る時期を短期に見ますと、どうしてもやはり赤字が出るのであります。保険はどうしても長期平衡理論計算をいたしますために、共済金に対しまして標準被害率といいますか、標準被害率を掛けたものがどうしても連合会責任になりますが、収入といたしましては、通常共済掛金と申しますか、そういうものを収入に充てる以外にない、そこで異常の災害が起りますと、必ずそこに若干の赤字を得るのであります。従いまして我々といたしましては、先に特別会計にも二十五億円の基金ができましたと同じ意味におきまして、連合会短期に生じまする不足分というものを一応予定いたしまして、何らかの形でやはり連合会基金というものを作つたほうがいいのではないかというので、来年度予算におきまして連合会基金制度というものを作つて短期に生じます連合会赤字分の金を貸すという制度を設けたらどうかというので只今予算要求をいたしておるのであります。大体十八億五千万円が水稲、陸稲、蚕繭、麦、家畜等考えました基金制度国庫負担分でありまして、大体所要基金はこれの倍額あればいいのではないか、あとの半分は農家負担で一応やつて頂くというような構想を以ちまして将来に対する制度考えておる次第であります。  次に水稲共済掛金標準率及び負担区分の問題が、来年度丁度五年目に当りまして水稲掛金率改訂の時期に参りました。これをどうするかということがいずれ通常国会で御審議を願うのでございまして、我々といたしまして考えておりますいろいろな問題点を御説明申上げまして御協力をお願いいたしたいと思います。お配りしました表の中に図がございますので、図表一つ御覧頂くとわかりやすいと思います。  現在の制度は一番右側に書いた図表でございまして、通常共済掛金標準率という赤い単線のあるのがありますが、これが二・一七五という数字になつております。通常共済掛金標準率算定方法は非常に技術的でございますので省略いたしたいと思いますが、二・一七五、それから異常共済掛金標準率が二・〇三一、超異常共済掛金標準率が〇・八五二、こうなりまして、この掛金率政府農家とが分け合つて負担しておるのでありますが、今の制度でいいますと、これは通常共済掛金標準率のうちで最低のもの、現実はこれは富山県でございますが、これが一・三一六となつております。この一・三一六は農家負担する分でございます。その以上に出ますもの、通常掛金標準率全国最低の一・三一六を引いた残り分と、異常掛金標準率の合計したものの半分を農家負担している。それ以上は全部政府負担するというので、全体として掛金が五・〇五八ということになつておりますが、そのうちの二・二九七を国庫負担し、農家が二・七六一を負担する反当共済金額平均が現在では五千三百円ということになつておりますので、これを金額に見ますと農家負担が大体三十九億三千万円国庫負担が三十二億七千万円、勿論異常事故等が非常に出ました場合等においては赤字一般会計からも補填して頂くということで、実際はもつと多い負担をしておるのであります。政府としては、こういう制度が現在の制度であります。丁度五年目になりますので、来年度はこの水稲料率改訂が問題になるわけであります。我我のほうでいろいろ過去の二十年の被害統計を精査しまして出しました一つ掛金標準率が、改訂と書きました一番左側にある赤、青、水色の線でございます。現在の五・〇五八が六・八二〇というように掛金率が全体として多くなつております。そのうちの通常共済掛金標準率というものがP1という数字でできておりますが、これが二・三五〇、そのうちの安全割増分が、〇・四七六、異常の分がP2でございますが、二・四二六でございます。本年からは異常共済掛金標準率、超異常共済掛金標準率にも前年度と違いまして安全割増分を加えるという実は閣議決定をいたしたのでありまして、その異常共済掛金標準率のうちで〇・五二三というのが安全割増分に当るものであります。超異常共済掛金標準率のほうは一・八四四でございますが、そのうちの〇・四〇二が安全割増分であります。この共済掛金標準率算定につきましては、御質問がございましたら担当官がおりますので、非常に保険技術を要する問題でございますが、御説明いたしてもよろしうございます。  結論といたしまして六・八二〇という掛金率になつたのであります。これまでは一つ保険数理の問題でございましたが、これを農家政府でどういう負担をしたらいいかということは一つの政策問題でございます。そこでこの負担をやります場合にいろいろな考え方が生じておるわけでございまして、先ず、今までと同じ式でやつたらどうなるかというのがこの改訂分の、(イ)(ロ)、(ハ)、(ニ)の(ニ)に書いてございます現行負担区分でございます。これは要するに通常共済掛金率全国最低分を引きました分、それから異常共済掛金標準率の半分を農家が持つ、最低分は勿論農家であります。そういう現行方式をやりました場合の負担区分の表でございます。これで参りますと農家負担が三・一七八でございまして、政府が三・六四一、五十三対四十七というような割合になります。現在から比べますと、農家負担の二・六七一が三・一七八というように大分上るのです。絶対額で申しますと、本年は反当共済金額平均を、米のパリテイを一応二五〇程度にとりまして、平均で申しますと五千七百円ということにいたしたのでありまして、五千七百円と考えますと農家負担が絶対額で四十八億九千万円、国庫負担が五十六億円ということになりまして、現在の三十九億程度農家負担から見ますと約十億円弱程度負担増になるという結果になるのであります。これは現行負担区分と同じようにすればかなり上るのであります。農林省といたしましては実は(ハ)で一応要求をいたしておつたのであります。その考え方を申しますと、通常共済掛金標準率表の中の全国最低分というのがございます。前年度までは富山県でございましたが、来年度からは鳥取県でありますが、その全国最低分の中の安全割増を、非常に技術的になりますが、除いた分、改訂の一番左の表の中に〇・二三〇という数字がございます。最低の、それを除いたそのほかのものを農家が持つて、それ以上の通常共済掛金率は半分々々になる。異常共済掛金率異常割増分を除いた分の半分を農家が持つ、こういう方式でありまして、要するに異常共済掛金標準率安全割増は〇・五二三、超異常の安全割増が〇・四〇二というもので、この安全割増というのは要するに国が一度に金を出さずに、年々或る程度負担一般会計から特別会計へ入れてもらつて、非常な赤字が出た場合に一度に金を出さないで、年々財政の安全を期するための安全割増である。こういう考え方を以ちましてこれを国庫で全部出して頂くという考え方をしたのであります。この点が財務当局となかなか話の面倒なところでございまして、若し割増分というものを加えたものを以て異常共済掛金率というものを半分にしますと、〇・五二三というものの半分の負担だけが農家負担になる。それを全部国で持つて行くという考え方が初めの農林省案でありまして、こういうわけでありますので、負担区分は結局農家が二・八〇二、政府が四・〇一八ということになりまして、農家負担が四十八億一千万円、国庫負担が六十一億八千万円ということになるのでありまして、現在の絶対額負担から比べますと、約四億程度負担を現農家水稲について余計に背負うということになるのであります。  それから(イ)に書いてあります会長会議案というものは、全国共済組合連合会会長がお集りになりまして、我々のところに政府にこういう案でやつてもらいたいというのが今の案でございます。これは結論を言いますと、農家負担が一・九八九、国庫負担が四・八三一、約七対三という割合になります。三のほうだけ農家が持つ、絶対額でいいますと、現在の負担三十九億よりもつと減りまして約三十億六千万円、国庫負担が七十四億三千万円ということになるのでありまして、これには通常共済掛金標準率最低分は全部農家が持つというのをやめまして、通常共済掛金標準率根本から一つ半分に持とうという案であります。その他安全割増国庫負担するのは当然であります。そういう計算でやりますと、農家負担が全体のものに対して約三割程度になるというのが会長会議案であります。折衷案というのは、その後各方面の話合いによりまして、我々としましても一応これでもう一遍考え直して見ようかという案が(ロ)の折衷案であります。この考え方は大体において保険水稲につきましてのパリティを上げまして、反当が五千三百円から五千七百円に上げましても、農家負担の絶対額を成るだけ上げたくない、即ち今までの三十九億三千万円程度は余り上げたくないという考え方から出ました一つの妥協的な案でございます。これで申しますと、赤字で書いてありますように三十九億四千万円の農家負担、率で申しますと二%五六四、農林省の第一案よりは若干減りまして約四億農家負担が減るのでありまして、これは要するにこの考え方では安全割増というものは全部国で持つてもらう、農林省の第一案は、異常と超異常の安全割増分だけを国庫負担するのでありますが、通常共済掛金標準率の中の安全割増分〇・四七六をも国庫で持つ、あと最低のもの、即ち鳥取県の一・八一から〇・二三〇を引いたものであります。それは全部農家が持つ、そのほかのものは異常のものまで含めまして半分農家が持つという計算をいたしますと、大体昨年程度負担額農家が持つという結論になるのであります。只今のところそういう案で一つ折衝してはどうかという案でございます。大蔵省との事務折衝についてはまだ実は要求いたしておるので、向うからは正式に話合いがないのでありますけれども、異常共済掛金標準率、超異常共済掛金標準率安全割増を加えるという考え方は、保険全体の掛金標準率から見ますと止むを得ないかと思うのでありますが、それをどこがどう負担するかということは実はきまつていない問題でありまして、これを国が持つか、今まで通り異常の分は農家と国が半分ずつ持つかということが、この負担区分の大きな実は問題になつておるのでありまして、仮にそういう面倒な問題をやめて、赤字特別会計から出た場合には、やはり政府が当然これは負担するのでありますから、そのときどきに応じて一般会計から繰入れてもらう。要するに異常と超異常の安全割増というものをやめてしまう、今まで通りという方式でやりますと、この左に書いてありますようになるのでありまして、異常、超異常の安全割増を加えたものについて現在のような負担区分でやりますと、農家負担が四十四億九千万円、国庫負担四十五億八千万円、それに対しまして(ハ)案と言いますと農林省の案でありまして、要するに全国最低のものの安全割増分を除いたものだけを全額農家が持つ、ちよつと今のと違いますが、そういう式でやりますと四十三億一千万円ということになるのでありまして、これは(ハ)案と農家負担は変りませんが、国庫負担安全割増分だけがなくなりますので、政府としては四十七億六千万円の国庫負担で済むということになるのであります。いろいろなこういう掛金率そのものに絡みまして負担区分の問題で今後一番大きな問題は、昨年と違いまして異常共済掛金標準率と超異常掛金標準率安全割増分を加えたもの、これは特別会計そのもの健全性国家財政の見地から加えたものであるから、この一部は従来通り農家負担してもらうかどうかということが、負担区分の実は大きな論争になつておる問題点でありまして、まだ折衝の過程でございまして最後の結論まで至らない点であります。御質問によりまして又担当官のほうから細かいことはお答えいたします。
  8. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 最初連合会事業不足金に対しまする利子補給の点でございますが、先ほどお話にありましたように、一時の収入保険料を以て償還に充てしめているというような関係からいたしまして、この利子補給配分は公平と申しますか、平衡を失わないような配分方法でなければならないと思いますが、それについてどういう案を先ずお考えになつているか伺いたい。
  9. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 十九億二千万円借入金をする場合に、この償還のことを実は我々のほうでやかましく言つた点でもございます。従いまして先の収入保険料で急いでやつた連合会と、言葉は惡いのでございますが、多少それを遅らした連合会と若干そこに不公平な点が出ましては誠に拙いのであります。そういう点をどう調整いたしますかはまだ実は成案を得ていないのであります。我々としまして償還を非常に真面目にやつた連合会償還を遅らしたために却つてむしろ利子を余計もらうということも拙いと思いまして、その間の調整につきましては今検討を加えている次第であります。
  10. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 次は異常災害に対しまする赤字分につきまして基金制度考えられていることはまあ非常に結構なことではございますが、今までの統計数字から見まして三十六億幾らに、先ほどの御説明では国庫負担分農家負担分とで実施いたしますとしますとこれだけの基金ができようと考えられるわけでありますが、これでもまだ足らんと思うわけでありますが、大体どのくらいの数字が一応過去の統計から見まして出るお見込でございますか。
  11. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 我々の今計算方式を申上げますと、通常被害率と申しますか、通常標準被害率というものを実は各県別作つてありまして、この通常標準被害率のきめ方につきましてはなかなかむずかしい数字をやつたのであるのでありますが、私自身よく説明できないのであります。通常標準被害率通常共済掛金標準率というものを実は算定をいたしまして、過去五年、二十五年から過去五年間の各県別水稲で申しますと被害率というものを算定しまして、これのうちの要するに通常標準被害率通常共済掛金標準率との改訂分計算したところでありますが、差を、いわゆる赤字になる率と申しますか、その赤字を全部出しまして、それを共済金額に加える、掛ける。そういうものを各県別に積み上げて参りまして出したものの半分を国庫負担するという計算をやりまして、各作物別に集計をいたしまして、その額が書き加えられまして約十八億円になつておる、こういうことになつております。だから長期平衡理論で参りましても、仮に五年とも全部異常であつたという場合にはこれは又先の話でありまして、足らないのであります。過去の一つ被害統計というものから将来を推定をいたしまして、大体その程度あれば今後の赤字分につきましてのつなぎ的なものは先ずできる。但し過去の十八億という、過去の料率による赤字分はこれは又別途の処理ができる、こういうように実は考えておる次第であります。
  12. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 実はその点をお伺いいたしましたのは、今料率改訂に関しまして安全割増を見るか見ないかということによりまして、政府農家負担割合が出て来るような関係がありまするので、若し将来基金制度を設けまして参りますと、資金操作の面におきましてこれをずつと長期的に見ました場合、或いは又保険というものを何と申しますか、共済的な考え方で見るか、保険学の言う保険として見るかというような点から考えましてこの安全割増というようなものを見るかどうかということにかかつて来ようと思います。こういう場合を考えました関係からお尋ねをいたしたわけでございますが、只今御答弁によりまして大体基本金制度によつてその資金操作ができるということになりますと、この安全割増負担分というものは一応除けて考えてもいいんじやないかというような考え方がいたすわけでございますが、これにつきまして……。
  13. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 我々としましても安全割増分というものを除けると言いますか、仮に除けましても国の負担すべき安全割増分というものは置いてもいいんじやないかというので実は考えておるのでありまして、この基金制度ができました場合にこれを農家にもこの基金分の一部を負担させるかどうかということが問題になつて来るじやないか、只今のところは半分は農民の負担にして頂くということで立案をしておるのでありまして、又安全割増と申しましても各連合会別にこれは自主的に又きめ得る問題でありまして、安全割増がなくてもいいという議論には、置いたから要らないというように私は考えないというように思つております。
  14. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 もう一つお尋ねいたしたいことは、この通常共済掛金標準率全国算定のとき、先ほどお話がありました、今後におきましては鳥取県だということなんですが、この対象の災害の所におきましても、やはり本制度運営して参ります場合に、具体的に申しますと保険料の徴収というような場合のことを考えました場合に、共済的な意味から考えまして幾分これらの県に対しましても、従つてその標準率においても国のほうで幾分の負担を見てもらうということが、考え方の上におきましても又運営の上におきましても非常に運営がしやすいように考えられるわけでありますが、この点につきましてのお考えを……。
  15. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 御説のような意見等がございましたために、今度の農林省案におきましては全国算定分安全割増分を取りました。要するに一・三八一から〇・二三〇を引いた分を農家負担にする、あと国庫負担をする、こういう実は案を作つておりまして、従いまして具体的に鳥取県等におきましても若干その点は従来の程度よりもよくなるのじやないかというように実は考慮した次第であります。
  16. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 制度を始めてから大体五年だと思いますが、不足金が出ないでうまく行くというのが非常に困難で、これをどうするかということを当局もいろいろ心配されることと思いますが、基金制度もありますし、それも惡いことではないという考えをもつくと思いますが、何らかの方法によつて今申しました農家負担にならないように考えて行くことができれば結構で、不足した金が出れば当然政府負担をするのが適当である。あつちもこつちもいろいろな議論をしたり、又無駄な金利を払うようになるので、政府負担をするのをほかで借りるのでは金利の鞘も違いますので、この際法律にも出ておりますが、農家負担が今より以上に高くならないで軽くして、ときどき不足金議論をしないような案にするのが一番いいと思いますが、政府もそういうようなお気持のようでありますが、それが大体通りそうかどうか、お聞きをしたいと思います。
  17. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) どうしても長期平衡理論をとつておりますと、連合会不足金短期的に出るのは止むを得ないと思います。連合会責任といたしましてはどうしても保険金標準被害率をかけましたものが責任になりますので、収入としましては通常共済掛金標準率、それは標準被害よりは甚だ低いのであります。そういうものが収入になりますので、異常の災害が起りますと必ずそこに不足金が出るのであります。料率改訂が考慮されるわけであります。長期になりました場合にはその赤字が消えるのであります。従つてその調節としてはどうしても特別会計と同じような意味において連合会におきましても基金制度が要るのであります。我々としましては補正予算等でこれを出したかつたのであります。財源その他の関係通常予算になります。農林省といたしましても、これは金額の問題は別でありますが、こういう制度ができるという実は確信を持つて折衝をいたしておるのであります。
  18. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 私からちよつとお伺いいたしますが、この根本的なアイデアの問題になるのでありますけれども、この農業災害補償制度というものが一種の社会保障的な意味として我々は理解しておるわけでありますので、この点は特にこの法律の第一条にも「農業経営の安定を図り、農業生産力の発展に資することを目的とする。」と明白に規定してある通りでありますので、特に農林省の農政当局として、この問題の取扱いの重点をそういう観点から、国庫負担分にむしろウエイトを置いて、農業の災害に対する基本的な補償というものを、農家自身の負担を成るべく軽減して、而もこの共済の目的が達成されるという点に十分のウエイトを置いておられるのかどうか。又そういう角度からすべての料率その他を割出されて大蔵省に折衝されておるのか、これは基本的なアイデアの問題になるのですが、この点をちよつとお伺いしておきたいと思います。
  19. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 最近のごとく災害が累年重なりますと、共済掛金標準率というものは遺憾ながらどうしても上つて来るのであります。標準率が上りますと、どうしてもこの負担をどちらが持つかという問題が起るのでありまして、農家負担を非常に軽くいたしますと、国庫が非常に負担が大きくなる、これが又財政の問題になるのです。又、現在災害が起りましても負担との問題等もありまして、必らずしも全部これを補償するということになつておりません。米で申しますれば半分が最高であります。これでは農業生産の再生産を保険制度でカバーするというわけになかなか実は理論的にも参らないのが一つの悩みでございます。この料率改訂の問題がこういうように災害が多くなつて参りまして、而も、一方農民経済上負担を多くかけられないということになりますと、今の制度でやつて参りますとどうしても或る程度行詰る点が出て参る。我々といたしましてはこの制度一つ、来年の改訂を控えまして考えつつ何か新らしい構想で突破口を開きたいというので、実は只今一筆単位のこういう保険制度から、更にそれを農家単位の保険制度へ切替えて行く構想で一つ考えてみてはどうか。勿論一筆単位の保険制度農家の所得保険というような理想にまで到達することは、これはなかなか技術的にも容易でございませんので、現在の水稲、麦等における一筆単位の保険制度を今度は農家単位に切替えたらどうか、米の共出その他でだんだんと農家単位の収量というものも、農民の考え方も変つて参りましたから、そういうものを一つ切替えて、或る程度農家自体で全体としてプールして補償をする、足らない分を又国と農家負担をするというような農家保険に切替える一つ実験をしてみてはどうか。勿論これは一挙にやることは資料もございませんし、料率そのものが非常に問題がありますので、全国一律にこれを切替えることは到底できませんので、来年度はこの一つの矛盾というものを、農家保険の実験ということによつて若干の村にこれを実行いたしまして、このむずかしい問題の解決をそういう方向で一つつてみてはどうかという構想を以ちまして通常国会等で新らしい一つ法案を出してみてはどうかという構想を持つております。
  20. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今委員長がお尋ねになつたことを大体聞いておると、私の実は心配と同じ問題なんです。そこでこの共済制度が立法化されたのは、非常に重点的に考えなければならん農家の増産に寄与する手段として考えられたわけなのでございます。これがだんだんうまく行かなくてときどき尻尾を出しておりますが、私は今の日本の政府考えておるところで参りますと、保険制度が必要でないという議論が起きて来る時代が必ず来やせんかという心配をいたしております。それは国内食糧、即ち自給食糧を重点にしなければならんと口だけで言つておる状態で、外国輸入食糧に依存をしておるような傾きが非常に多いのであります。今のような政府考えで参りますと、そう日は遠くなくして、損失も出ないで普通の国の負担であれば別でありましようが、相当に国が負担をし且つ農家はこの割合負担力が軽いということになりますと、重くすれば百姓が文句を言い、軽くすれば国が文句を言うことになつて、結局これは長続きのしないことになりそうな気分が出ておりますが、農政局長自体にいたしましても、今この際本当に国の食糧政策に対する努力をして、こういう方向でこうやつて、そうして従前より一層の食糧増産をしようという気がまえはないと私は見る。そうでなくともだんだん日本の食糧政策というものはすたれ気味になつて、ここの農林委員会がやかましく幾ら言つても、これは方法がつかなくなつて、やがては保険にまでも支障を与える時期が来る、私はこれを心配しておるわけなんですが、局長一体どうお考えになつておるか、一つ聞きたい。
  21. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 保険制度は日本の農業の災害を補償するという建前でありまして、根本で申しますとやはり災害を防止し予防するという制度とこれとが並びませんと、どうしてもこういう国庫負担がますます殖えまして、財政上の問題から岡村さんのおつしやいますような危険な段階に来るのであります。併し私といたしましては、保険制度というものが日本の農家の再生産に、或る程度の所得の補填をいたしておるということを実は確信をいたしておりまして、又今後農家の所得維持、再生産保障の制度として農民に災害の補填をする、これはいい制度であります。飽くまでこの制度は維持し守つて行きたい。又この制度自体に行詰りが来ました場合には、只今申上げましたような農家保険等に切換えまして、要するに農家災害が起つた場合に完全補填の方式を、農家負担も軽くし、国庫負担も軽いような形において切換えることによつて突破して参りたいというように実は考えておるのであります。
  22. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これは質問じやなしに希望でありますが、今岡村さんから御発言があつたように災害の非常に少い所とか或いはまあ殆んど見受けられない所というようなところが、掛金率の問題なんかでこの補償法に関心を持たなくなつて来た場合に、それが全国的な規模においてこの補償法全体の運営の上に相当大きな影響を与えると考えられますので、そういう点からもその負担区分の適正化が非常に必要になつて来るわけでありますが、それとほかにもう一つ私こういう問題があるかと思うのであります。それは例えば住宅というようなものになりますというと、鉄筋コンクリートにするとかいうようなことで火災を免がれるとか、或いは同じ農地に対しましても治山治水等で一応水害等は防止できる。けれども実際の風害或いは虫害等で非常に大きな災害をこうむるというような場合に、日本のようなこの脆弱な農業経営の態制では、国家が或る程度の補償を、相当規模の補償をしてやらなければ守れないという弱さを日本農業というものは持つていると思います。それを今申上げましたように普通の木造住宅を鉄筋で建て直せば永久建築になるというような形で防止できない面が日本農業の中にあるわけであります。そうでありますからこの脆弱な日本の農業経営そのものを守つてつて行くためには、どうやつても他の点では補えない、本年の災害については、どうしても政府が相当な財政投資をして、もとよりそれは予算運営上重大な問題はありますが、格別な配慮をして行かなければこの法の運営というものが将来非常な暗礁に乘り上げると考えますので、先ほど私お尋ねしたように、社会保障的な意味にウエイトを置いて、実はこの法律の適正な改正等に一つ御努力をお願いしたいと、こう思うわけであります。
  23. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 現局長は御存じでないと思いますが、これを作る時分に、災害、天災というものが全くないということはありませんで、災害の殆んどないという所はこれに反対で、非常な反対をして危くつぶれかかつた、これが……。そのときに非常に敢闘をして何とかなだめて実は通つたのでありますが、これは災害というものは全くないとは言えんのであつて、おととい私会いましたから申上げますが、愛知で災害を初めて見ている、これは六十二年目である、そこで陸稲が全く実つておらん、殻ばかりで、冷害になつている。六十一年前に冷害があつたそうであります。六十二年目に冷害をこうむつて非常な陳情を今やつているわけなんですが、そういうことで災害というものは明日のことがわからないので、ないということは断言は誰もできないから、いやいやながらこの法律が成立したのです。そこに行くと東北、北海道は殆んど年々歳々やられておつて、これは大変重要な法律で苦慮いたしておりますが、今委員長のお話のように社会保障的な見地で本当にやつて行くのでなければ、どうしても影が非常に薄くなつて来るし、そういう部面を見ることは今から何だか妙な気分がして、局長はそうおつしやつても心配をしております。これは日本の制度がそうでなければそんなことはありませんが、どうもその制度の根拠が非常に薄らいで来て、まあ取れるだけ取つたらいいじやないかというふうになりそうだということは……、話が変りますが、麦の増産が大鼓を叩いて、鐘や大鼓のような恰好でやつて見たが、増産できたかできないかわからないうちに、洪水になるとこれは減産間違いない。二十七年度は、それでも別にどうとも言わないという恰好は、実は災害補償金どころじやない、政府の言つた食糧増産の考え方はどこかへ行つちやつた。そういうわけですから、これは年々に応じて先を考えておかないといかんと思う。だから日本の食糧については災害がいつあるかわからん故、農家の再生産に事欠かないようにすることが社会全般に対する義務だと思うが、これを忘れかけておることを一つ局長は、あなたの在任中にそんな心配のないように一つ根本をでつち上げてもらいたいと思いますから、よくお願いを申上げておきます。
  24. 山崎恒

    ○山崎恒君 今回の料率改訂の問題で論議の中心になる点はやはり安全割増の問題だろうと思うのでありますが、特にこの問題は自分は十分研究しなければならん点でありますが、先ほど赤澤さんから話されました従来長い間鳥取のごとき災害の全然ないというような所についてもその割増が最低の場合に〇・二三〇というようなものがつくのでありますが、これは地方財政制度の点から行きまして全国一様にこれは全部強制加入でありますので、そうした災害のない所が年々こうした積立をしなければならんというようなことになりますと、延いて結局この制度が一部から破綻を来たすような虞れがある。こういうような結果になるので、こうした鳥取或いは岡山等の災害のない地方に対する料率の問題はなお考える余地があるのじやないか、かように思われるのですが、そういう点についての局長の御意見をいま少しくお聞きしたいと思うのであります。
  25. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 鳥取や岡山のごとき災害の少い県につきましては、おつしやいましたようにいろいろな問題が実はございますので、先ほど申上げましたように安全割増分の、鳥取においても一部は国で負担をするという案で本年は実は考えております。従来でありますと、これは国庫負担というものがなかつたのであります。非常事故でもないと国庫負担はなかつたのでありますが、本年は通常共済掛金標準率最低鳥取県の安全割増の分も国庫負担をするという案が折衷案で出ておるのであります。農林省の原案においても半分を国庫負担するという案でこれはできておる。この点はよほど改善されたと思いますが、更に鳥取県の実情等については、担当官のほうで相当従来と構想を新たにしていろいろそういう事故のない村等に対する考え得る範囲の考慮はいたしておるつもりであります。
  26. 山崎恒

    ○山崎恒君 安全割増の分については資金操作の面のために、これから先の需要というような点から積立てをするわけでありますが、この制度そのものが年々そのときの災害によつて、従来からその災害ごとに処理されて参つておるので、この基金の積立そのものはやはり長期の積立になるものでありますので、この調整の積立金というような性質のものについては別個にすぐ何とか考えてみる方法はないだろうかという点を一つお尋ねして見たいのでありますが。
  27. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 連合会基金の問題……。
  28. 山崎恒

    ○山崎恒君 いや、安全割増です。
  29. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 安全割増分を一律に取らずに……。
  30. 山崎恒

    ○山崎恒君 料率から出さずに、別途に何か積立てる方法はないかというのです。
  31. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 現在の折衷案で参りますと、これは全部国庫負担をしてくれ、こういう実は要求になつております。農家負担にこれはならない計算がこの(ロ)の折衷案であります。農民の負担にはこれはなつていないというのが(ロ)に書いてある折衷案の三十九億四千万円の問題でございます。
  32. 山崎恒

    ○山崎恒君 この通常共済掛金標準率で〇・四七六というのは、これはやはり農家が積立てる安全割増の積立のものじやないのでございますか。
  33. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) (ハ)に書いてあります農林省案は、おつしやいましたように通常共済掛金標準率であります。安全割増金の一部は農家負担つておるのでございます。その後検討の結果、(ロ)の折衷案というのが今の実は案でございます。通常共済掛金分も国で持つという実は考え方になつておりますので、仮にそういう案で行きますれば、農家負担の問題にはこれは関係がない、国庫負担するものでありますから……。毎年料率負担として出して頂いたほうがいいのではないか、こういうふうに考えております。
  34. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 保険料率の合理化と、この農家負担が限度に来ているというようなことから考えまして、先ほど来お話がありましたような社会保障的な立場から考究さるべきで、単に保険企業とか保険学で言われるような事柄であつてはならないというようなお話もあり、又そういうような趣旨で農林省においてもお考えになつておるというようなことでございますが、この料率改訂に伴いまして今後本制度の改善を図るために御研究になつているようでございまして、先ほどお話がありました農作物についての引受につきましても一筆単位から農家単位というような収獲保険制への道を辿られるというような事柄は結構なことと思うわけなんでございまして、そのことに併せて、今日御研究になつて結論でも出ているような事柄がありましたらお漏らしを願いたい。例えて申しますと、共済組合の連合会におきましても支払保険金額というものを或る場合によつては削減してもいいのじやないかということも考えられておつたというようなこともあるわけなんでありまして、この際お漏らしを願いたいと思います。
  35. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 負担がひどく多くなりますと、共済金額をむしろ低くしてくれという要求が出るのでありますが、共済金額そのものを低めますと、いわゆる災害を完全に補填して農家の再生産を確保するということに又矛盾が実は参るのでございます。我我といたしましては、そこで一応農家単位保険によつて、成るたけ災害が起つた場合に災害の起つた農家災害を填補する。同時に料率そのものも成るたけ低くして負担を軽からしめるというのでいろいろ構想を練つているのでありますが、遺憾ながら農家単位別の資料等が従来の一筆単位等の資料を積上げる以外にございませんし、又果してどういう料率が合理的であるかということをはつきりと資料的に言うわけにも参りませんので、一応只今のところは今までやつておりました一つ制度の上に積重ねまして農家単位のものをやろうとしておるのでありまして、少くとも従来三割以上に対しまして補填をしたものがもつと低い、二割と申しますか二割程度農家の減収があつた場合に補填をする。又八割以上の減収があつた場合にこれを補填するというような形において或る程度従来の欠陥もこれによつて若干は是正できるのではないかというように実は考えておるのであります。問題は如何なる農家別の料率にするとかということ等については資料等がございませんので、実行いたします場合におきましても農家の、その共済組合の希望によつて実験的なやり方で来年から一つつて見てはどうか、そうしまして或る程度の実施の過程におきまして、これをできれば切換えて行けばより安全ではないかと考えておるわけであります。詳細な内容等につきましてはまだ研究中でございまして、次の通常国会の際には詳細な御説明ができる段階に行くのではないかと考えております。
  36. 山崎恒

    ○山崎恒君 この折衷案でありますが、この折衷案について見まするというと、国庫負担が六十五億五千万円農家負担が三十九億四千万ですか、こういうことになつておるのですが、これと睨合せて先ほど来からいろいろ考えて見ますと、やはり災害が最も少い地帯、これはもう相当、数府県あると思うのですが、そうした地域に対するところのいま少し軽減をするところの案というものについて何かいい案を考えておらないかどうか、その点を一つお尋ねしたいと思います。
  37. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) これは実は全国平均の話を申上げておるのでありまして、ちよつと鳥取県の資料を持つておりませんのではつきりいたさないのでありますが、鳥取とか岡山のごとき災害の非常に低い地方というものは、率そのものが実は非常に低くなつておりまして、農家負担も従いまして只今までよりはもつと低くなるという結果になつておつたと考えます。ちよつと今日は資料を持つておりませんのではつきりした数字を持つておりませんので、担当官から御説明申上げても結構です。
  38. 山崎恒

    ○山崎恒君 只今局長のもつと低くなるというのは、この折衷案で行きますというと、折衷案の率でいつて現行法よりも、例えば鳥取とか岡山という所はこの折衷案を見て現行法の率よりも低くするという御説明でございましようか。
  39. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) さようでございます。
  40. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 ちよつとお尋ねいたしますが、甚だ幼稚なことなんですが、何ですか、鳥取とか岡山は非常に災害が少いのですが、そういう県は農家掛金だけを更によそに補つておるというような実情になつておるのですか。
  41. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 資料がございましたので申上げますが、従来の鳥取県が通常共済掛金標準率が一・九一五となつておりますが、今予想しております改訂率に参りますと一・三八一、大分低くなります。岡山が二・二〇一に対しまして一・七五七ということになります。只今の御質問でございますが、通常共済掛金はその県以外には全部出ないのでありまして、県に蓄積される金であります。仮に被害が非常に少い場合にはそれが剰余として残つて参ります。異常が非常に多い場合は赤字となつて問題が起る。非常に災害の低い場合はその県の剰余として残るのであります。だからその県にプールされることになるのであります。要するに共済金額に対しまする通常被害までは連合会中の保険責任になりますので、それだけの範囲における掛金というものがその県に蓄積されるということになるのであります。
  42. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 非常にこれは大事な制度ではあるのですが、併し実際に各県各県で真の災害がそれで共済されておるようなふうになつておるかが非常に疑問のところが多少あるのですが、そうすると農家掛金というものはその県だけにおける共済に使われておるわけですね。
  43. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 通常共済分はさようでございます。
  44. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 そうすると国庫負担の分だけが、いわゆる災害の重し軽しによつてそれが活用されておるということになるわけですか。
  45. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) そうでございます。
  46. 山崎恒

    ○山崎恒君 この制度につきまして、料率改訂につきましては十分私どもも研究いたしまして、いろいろ我々の意見も十分忖度されて政府の案に一つ織込んで頂きたいということを特に御希望申上げておきたいと思います。と同時に私はこの際この制度について、特にこの制度の改正に直面いたしまして、従来激しい災害があつたために非常なる打撃をこうむり続けておることはもう年々でありまして、我が国の農業の維持発展のためにはこの制度の拡充こそ極めて重要な事項である、かように思われておるのであります。かような見地から今回の水稲共済掛金率の改訂農業災害補償制度根本に触れる重要問題であるというような点からいたしまして、これの取扱を誤ることこそこの制度に重大な影響を及ぼすという心配がありますので、政府の善処を十分促すために、皆さんの御質問を得て皆さんの御手許に廻しましたような「農業災害補償法に基く水稲共済掛金率の改訂等に関する申入」というような案をお配りしてありますので、ここに委員会の名を以ちまして農林大臣と大蔵大臣に一つ申入れて、同時にこの制度の、料率改訂制度につきまして十分私ども検討いたしたい、かように思いまして皆さんの御賛同を仰ぎたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  47. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の山崎委員の御動議に御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこの案文は今山崎氏の試案でお配りしたようなことになつておりますので、これに基いて一つ御了承願つて、朗読をやめさせて頂きます。案文はこれでよろしゆうございますか。    〔「結構です」と呼ぶ者あり〕
  49. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それじやこの案文に基きまして御決定を願い、これを農林、大蔵両大臣に申入れすることにいたします。   —————————————
  50. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは引続きまして米麦統制廃止に関する問題と関連して、現行食糧管理法において米麦統制廃止は命令又は命令の取扱等行政処置で実施することができるか、又は法律の改廃或いは制定等、立法処置によらなければならないか等の法制的解釈につきまして参議院法制局長及び法務府法制意見長官から意見を聞きたいと思うのであります。それでは最初に参議院の法制局長から意見を承わることにいたします。
  51. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 食糧管理法は御承知のように第一条におきまして「本法ハ国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ管理シ其ノ需給及価格ノ調整並ニ配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」というふうにございまして、これは我が国の国民食糧を確保するというその目的を達するために、先ず食糧を管理して而して需給価格の調整を図り、更に配給の統制を行うということによつて食糧の確保ということを実行するという趣旨を明確に表示したものであると考えます。即ち立法者と申しますか、この法律制定によりまして食糧の統制の実施を意図しておるものであることが明らかであります。従いましてこの法律がそういう趣旨をここに明らかにしておりますのでありますから、この法律を執行いたします政府といたしましても、それは食糧確保のために食糧の管理、需給の調整、配給の統制ということをやるべきことが、いわゆるこの法律を誠実に実行する政府責任であろうと思うのであります。而してこの法律では御承知のように先ず第三条によりまして米麦等の強制買入れをいたしまして食糧を管理する、なおそのほかにいろいろな補助的な食糧管理の方法がありますが、これは第三条によりまして大体食糧の買上げを行いまして管理をする、なおそのほかに輸入食糧の管理等によつて食糧の管理ということも行われることは勿論でありますが、而してその管理食糧に対して八条の二以下の規定によりまして食糧の配給計画を立ててこれを配給の統制を行うということになつており、又需給の調整及び価格の調整につきましては九条等の規定によりまして価格及び需給の調整を行なつて行く、こういう管理並びに需給の調整及び配給の統制という三つの方法によつて我が国の国民食糧の確保を行なつて行こうというのがこの法律でありますから、この法律を施行すべき政府といたしましては、この三つの方法によつてこの食糧確保の目的を達して行かなければならないと考えられるのであります。そこで食糧の管理に関するいわゆる三条の規定によります米麦等の買上げの問題でありますが、この三条の規定は相当命令に委任されておるのであります。即ち米麦その他のものについて「生産者ハ命令ノ定ムル所ニ依り其ノ生産シタル米麦等ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」というので、命令を以て定むるものを強制買上げをすることによつて管理して行こうというように考えられます。而してこの命令を以て定むるものというのは米麦、米穀、大麦その他のいろいろな米麦の種類及び数量双方を命令で以て定め得る、委任されておるものと解釈し得ると考えます。従いまして現に雑穀等については命令を定めてないような実情であるようであります。即ち命令によつてどういう種類のものを強制的に買上げるか、どういう数量を買上げるかも命令によつて委任されておるというふうに一応考えられます。そういたしますとこの命令によつて、それでは命令を出さなければ全部買上げなくてもいいことになるかということが問題になろうと思います。或いは又逆に米穀とか米麦というようなものを買入れないで、雑穀のようなものを少し買入れるというようなことによつてもいいのかということが問題になります。或いは米というようなものをやめて麦だけにするとか或いは雑穀だけによつてもいいかということが問題になるわけでありますが、形式的に申しますと種類及び数量は命令で委任されておるというふうにまあ形式的に考えれば考えられるのでありますが、併しそれにはやはり第一条の国民食糧の確保という目的を達するための手段としてこの強制買上げによる管理ということを規定されております。でありますから食糧確保という制約はこれは動かし得ないものとして存在しておると考えます。その目的を達するために政府の裁量によつてその目的を達するに必要なる数量、その目的を達するに必要なる米麦等の買入れということを認めておるものと解釈するのが正しいのではないか。従つて全部これを、命令を全然出さないで、米麦その他全然買上げないとか、尤も他に輸入食糧等によつて非常に豊富に政府の管理の食糧があつて、配給等に事を欠かないということであれば又別であります。要するに国民食糧の確保という目的を遂行する手段でありますから、この目的を達成するに必要なる限度のものを買入れるなり或いはその他の方法によつて管理するということが、やはりこの法律を運用して行く政府責任であろう。そうでなければ又誠実なる法律の執行ということが言い得られないのではないかというふうに考えるのであります。即ち食糧の管理の点、第三条の点についてはさように考えます。  又配給統制に関する事柄は八条の二以下にございます。即ち八条の二によりますと、「農林大臣ハ毎月主要食糧ノ配給計画ヲ定メ之ヲ都道府県知事ニ指示ス」それから又購入券を発給するといつたような手続によつて、第八条の二以下の手続によつて配給の統制を行うのだということが、この食糧管理法によつて定められたる配給のやり方であろうと考える。でありますからこういう法律が現に存在しておる以上は、農林大臣としてはこれに基いた配給のやり方をやらなければならないのではないかと思います。ただこの場合におきましても、それでは主要食糧の配給計画を定める云々という、主要食糧というのはこれは第二条にありまして、米穀から甘藷、馬鈴薯、雑穀等皆含んでおりますから、全部それらのものについて行わなければならないが、例えば現に雑穀等或いは馬鈴薯等については配給計画を定めるといつたようなことをやつていないようでありますが、全部の主要食糧、二条に掲げておる主要食糧の全部についてやらなければならないかというと、これもやはり先ほど言つたものと同じように、結局国民の食糧の確保という枠内において必要なるものというふうに考えていいのではないか。要するに日本国民の食糧の確保に必要なるという、目的を達成するに必要であるという制約の下に、配給のやり方は八条の二以下の手続によつてやらなければならないのではないかというふうに考えます。  なお需給の調整或いは価格の調整等につきましてはこれは九条等によつて「特ニ必要アリト認ムルトキハ政令ノ定ムル所ニ依り」云々というので、これは政府の任意に任されておるようであります。これとてもやはり結局はこの法律の趣旨、言い換えれば第一条の関係からして、国民の食糧の確保並びに国民経済の安定ということの必要性を以てこの九条の働きをしているというふうに考えます。  結論的に申しますと、現に食糧管理法というものがあつて、廃止されないで現存する以上は、やはり食糧管理法によつて国民の食糧の確保のために食糧の管理と需給の調整と配給の統制、この三つの方法を以て国民の食糧の確保を図れ、こういう法律でありますので、政府の自由によつてこれをやめるということは、この法律のある以上は責任上、法律の誠実な執行をすべき政府としては、この法律に基いて食糧の管理をやつて行かなければならないものであつて、その内容については先ほど申しましたように相当の範囲において裁量の余地、或いは命令に委任されている点があります。やはりこれとても結局は国民の食糧の確保というものの制約を受けているというふうに考えます。
  52. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは引続き法務府法制意見長官からの御意見を伺います。
  53. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 折角のお呼び出しでございましたけれども、実は私なかばお詫び申上げるようなつもりでここに参上いたしたわけであります。  この米麦の統制の撤廃ということについて法律的にどういう手段をとるかということにつきましては、政府といたしましてはまだ決定をいたしておらないのでございます。従いまして只今の御質問にありましたような点をも含めまして目下研究をしているという実情なのでございまして、今日ここで政府の意見としての御説明を申上げる段階には実は至つておりませんので、その点御了承を願いたいと思つて実は来たわけであります。
  54. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと私から長官に伺いますが、政府の意見としてでなしに、長官個人としてどういう法制的解釈をされるかという御意見をお述べ願えませんか。
  55. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 政府委員としてでなしに純粋の佐藤個人としこの発言が仮に許されるといたしますれば、研究は勿論徹底はいたしておりませんけれども、大体の考え方はこれは申上げることができると思います。それでよろしうございましようか。
  56. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  57. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて。
  58. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 実は先ほど申上げましたようなことで材料も何も持つてつておりません。且つその中身自体が研究の過程でありまして、私の個人の立場におきましてもなお若干の迷いは持つているということを率直に申上げ得ようと思います。但し只今政府委員としてでなく参考人としてでもよろしいからというお許しも出ましたから、漠然とした考え方ではございますけれども一応申上げさして頂きます。  率直に私の只今の気持を申しますというと、今奥野法制局長の御意見を拝聴しておりましたが、同感の部分もございます。と同時に多少違つた考え方も成り立つのではないかというような気持を持つているのであります。食糧管理法の条文の中で問題になりますのは、さつきお話にもありましたように第三条の問題であります。供出の問題であります。これは法律技術的に見ますならば、「命令ノ定ムル所ニ依リ」且つ「命令ヲ以テ定ムルモノヲ」とございますから、先ほどのお話にもありましたように、これは法律の問題としては割合に楽なんで、命令に大幅の委任をされているということを申述べてあります。それからその次に問題になりますのは第九条でありましたか、流通の、統制に関係した条文でございます。これは今の三条よりも更に広く政府の裁量に御委任になつておりますので、これも法律的の問題はないと思います。私どもが純粋な立場から考えまして多少の気になるという点を言えば、これは例の配給割当の、八条の二項でありましたか、割当関係、配給計画の関係がまあ一つ問題があるであろうというふうに思うのであります。これにつきましては実はその先例といいますか、雑穀だつたと思いますが、これがその主要食糧に法律上指定されております。率してこの配給計画の面においては雑穀の配給計画はたしかやめになつていると思います。これは相当その期間が長くなつておりますが、すでにそれはやめになつたという問題が一つある。これについて私どもは決して違法とは思つておりませんし、又世間からの非難というのも全然聞いておりません。やはりそういうふうに考えて来ると、雑穀についてはゼロの配給割当ということで、これは形式論で恐縮でありますけれども、数学的に考えればその他の主要食糧というものについてもゼロということが考えられるということになりやせんかというふうに考えております。法律的には許されるとしても、それでは法の精神に反するかどうかという問題が一つの批判として出て参ります。即ち違法ではないとしても不適当、不妥当ではないかという批判の問題が起ると思います。この批判については、これは食糧事情その他の客観的な情勢と組み合せて起ることであつて、今の例えば雑穀の場合で申しますれば何らの少くも私は別段の非難を聞きませんでした、これはやはり食糧事情との関連において許されることであるのであろうと思うのであります。それから推して来て食糧事情の好転に伴つてその計画の幅をだんだんと締めて行く、幅によつてはゼロになるということも数的には成立ち得る考え方ではないかと、これはまあ漠然たる今の心境でございますから、将来の保障はできませんけれども、率直に考えれば個人的にはそういう気持を持つております。結局食糧管理法の第一条の精神というものがどこにあるかという問題になると思いますが、これは勿論食糧の逼迫によつて国民生活の安定が害われることのないように一つつて行くという観点から、本来ならば憲法上は取引の自由として保障されておる本来の自由権をここでそういう要請からこの法律が制限するというふうに考えておるのであります。それが事情によりましてその本来の自由にこれを戻すということも十分考えられるのじやあるまいかという、「か」の字がついておるわけでございますが、今日の私の率直な個人的の考え方を申上げますればそういうような気持を持つております。但しこれは政府の意見でないことははつきりと添えて御了承を願いたいと思います。
  59. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御質問がございましたら。
  60. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私はまあ曾つてこの食糧管理法の立案に実は関係した者といたしまして、先ほど奥野局長からのと大体同じ実は考え方で現在おるわけでございます。で佐藤長官がまあお立場上はつきり言えないことは止むを得んと思いまするが、これは佐藤長官にお聞きをしたいのですが、農林大臣は本会議等においても食糧管理法は戦時中の立法である、更に言いますれば国家総動員法と同じような惡法であるということを実は言つておられるわけであります。まあこれはいろいろの見方があると思うのでありまして、食糧管理法を作る際の提案理由の中にも、たしかこれは平戦時を通ずる立法であるということがはつきりこれは言われておると思うのでありますが、まあそういうことは別といたしまして、根本さんの、農林大臣のようにこれが惡法であるということを認めておるわけでありますが、惡法であるということは、法律に殆んど内容的規定を盛らないで、白紙委任状的に政令に譲つておるということがこれが国家総動員法と同じような類型のものであるということを実は自認されておるわけであります。その惡法であることをはつきり自認しておりますれば、少くとも現在の民主国家においては惡法でもできるだけ良法に向けるように運用することが私は少くとも良心的には必要ではないか、これは実は屁理窟のようでありますが、そういう理窟は私は成立つと思うのであります。そうなつて来ると、仮に雑穀等で外しておるが、もう形式論としては麦も米もゼロにすることができるという形式論理は成立いたしましても、このさつき奥野局長の言われた法律の精神なり、これに政府当局がこれは惡法であるという、惡法を惡法なりに運用することはおかしいのであつて、惡法を少くとも可及的でき得る限度においてはこれを良法的に運用するということが、私は我々の義務ではないかというふうに思うのでありまして、そうなつて来るというと惡法を更にそのまま運用する、要するに政令でどんどんこの食糧管理法の実体を根本から覆すようなことは、これは実は佐藤長官にお聞きすることはどうかと思うのですが、これははつきりしばしば根本大臣は、これをあらゆる機会に言つておるわけであつて、こうなつて来ると、惡法だからできるだけこれを良法的に運用するということが必要になつて来れば、そういう見地からも政令にできるだけ委任しなければならないという、こういう方法があつて私は然るべきだと思うのですが、これに対して、これは或いは根本さんにお聞きすることであるかと思いますが、佐藤さんが御出席でございますから、そういう考え方についてお聞きをしたいと思います。
  61. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 食糧管理法の立案については片柳委員も相棒でありまして、何と申しますか、いろいろな感慨無量な考え方を持つておられるわけでありますが、只今の惡法論議につきましては、私農林大臣の説明も聞いておりませんし、これは見る人々の感覚による表現でございますから、惡法と言い或いは良法と言い、例えば或る見方から申しますれば、今の惡法ではあるけれども良法的に運用したいから今度のような措置を取りたいのだというふうに見る人もありましよう。これは結論として総体的の議論でありますから、私個人としては敬遠さして頂ければ大変仕合せと存じます。
  62. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 それからもう一つ向を若干変えて奥野局長と佐藤長官に御質問いたしたいと思うのであります。今はその全部外すという、実は主として御意見だつたと思うのでありますが、そこで全部は外しませんが、今問題になつておるような割当をいたしますと、割当が完了したならば、あとは供出完了後は自由販売にする、こういうことは差支えないかどうか。と言いまするのは頗るデリケートな問題であると思うのでありまして、さつき奥野さんのお話のように雑穀だけをちよつぴり買つてあとは全部外しますと、それで極く一部でも買えば第三条はいいかというと、それはいけないということからすると、そこで割当数量を極めて少くして、食糧管理の観点からすれば殆んど言うに足らん僅かな数量にして、あとは自由販売にする、大体従来程度のものを割当をされて、あとを自由販売であれば、それは多少の理論の向は変つて来ると思いますが、これを極端に少くして、名目的に少量の割当にして、あとは自由販売にする、これは政令でできますが、実体論でありますけれども、この辺につきましても御意見を頂ければ幸いであります。
  63. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 私の考えを申しますと、成るほど三条ではすべてどういう種類のものを買上げるか、どういう数量のものを買上げるか、すべて政令で委任されておりますから、ほんのちよつぴり雑穀だけを買上げても形式的には或いはそういうことも言い得るかと思いますが、これはやはり先ほど申しましたように国民食糧の確保のためにこういうことをやるのだということなんでありますから、その観点から殆んど骨抜きのようなやり方ではいわゆるこの法律の誠実なる執行と言えないのではないかというふうに思つております。
  64. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私の純理論から申しますれば極めて割切れた話なんでありますが、法律の誠実なる執行になるかどうかということは、最初に申しましたように社会的の批判の問題になると考えております。従いまして実体の点についてはこの際申上げる事柄でないと私は思います。
  65. 江田三郎

    ○江田三郎君 佐藤長官のほうから先ほど雑穀が数字でいうと幾らか知りませんが、そこから数学的に行くというと全部を外してもいいようなお答えでありましたが、その際食糧事情が緩和されたならばという条件がついておるのであります。そこで食糧事情の緩和ということは具体的にどういうことを指すのでありますか、或いはこの戦争前のように米が欲しいと言えばいつでも買えるということが食糧事情の緩和であるというのであるか、或いは米が何日分で、クーポンが何日分で、外米が何日分という状態で、すでに食糧事情が緩和されておると見るのが妥当であるかどうか、その食糧事情の緩和ということをもう少し具体的に教えて頂きたい。
  66. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私の身に余る御質問でございますが、(笑声)私の申しますのは極めて素直な、素朴な気持で申上げておるのでありまして、食糧事情の逼迫ということはだんだん緩かになつておる、その方向を申上げたという程度に御承知願いたいと思います。
  67. 江田三郎

    ○江田三郎君 ただ方向だけでは困るのでして、その条件があれば数学的に何とかという説明があるのですから、その条件というものは、ただ食糧事情の緩和という言葉だけではわからんわけですから、それは具体的に言えばどの程度我々が物を食えるような状態になつたことを以て食糧事情の緩和と言うのかということです。
  68. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) ますますむずかしくなつて参りましたが、(笑声)私の申上げましたのは、私限りの考えとして違法であるか適法であるかという問題について先ず申上げたわけです。違法であるか適法であるかというのが私の本職の仕事でございまして、私の立場から申しますれば違法とは言えないであろうということを申上げました、先ず第一段に。それから第二段にその措置が不適当であるか、不妥当であるかという問題に関連して、只今の食糧事情の緩和という条件等も、この批判についての材料になるだろうということを申上げましたので、実は私の分際からは実は越えた発言なのでございます。従いましてその点は大きな良識の問題であり、或いは国会における御批判ということにもなりましようが、要するに大きな良識問題となつて来る、法律問題とは考えませんというふうに一応申上げたわけであります。
  69. 江田三郎

    ○江田三郎君 私ちよつとわからんのでして、意見長官という人がどういうことをせられるのかというのが実はよく知らんので聞いているのだから、とんちんかんになると思いますが、大体読んで字のごとく意見長官ということになると、ただ食糧事情が緩和されたならばということで……緩和していないのですよ。政府のほうで政府の誰かが緩和していないのを緩和されたのだと言つて勝手にやつて行く、そういうことがあつても意見長官としてはそういう説明があるのだからいいのだと言つてつておればよろしいのか、或いはそういうことについては意見長官としてはやはり具体的な判断を持つて意見を申されるのか、どういうことになるのか、若し具体的に一つ一つのことを考えて行かなければならんのならば、食糧事情の緩和ということはいわゆる具体的な内容を持つて来なければならんことになる。
  70. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私の商売のほうを先ず御了解を得ておかなければならないのでございますが、(笑声)私の官名は法制意見長官と相成つておりまして、法制関係の、即ち法律の問題の意見を申上げるということになつております。従いまして統制撤廃のポリシイがいいか惡いか、それの意見を申述べる立場でないことは、これはもう申上げるまでもないことと存じますが、それ以外の今の御指摘の問題等につきましても、先ほど申しましたように違法か適法かということ、それを判断することが私の職分と心得ております。当、不当の問題はそれとは外れた、と申しますと言葉が過ぎますが、その外廓に漲つておるものであるという意味であります。
  71. 江田三郎

    ○江田三郎君 どうもわからんのですが、(笑声)あなたのほうは食糧事情が緩和されて来たならばこういうことをしてもいいということを言われたわけです。そこで私お尋ねしておるわけでして、食糧事情の緩和ということは一体誰がそれでは認定するのか、政府の中の誰か一人、或いは政府が一方的に食糧事情が緩和した、こういう宣言をしたら、たとえ我々が何を食つておろうと食糧事情は緩和したのか、或いは食糧事情が緩和したというのは政府以外のどこが一体きめたらいいのか、その条件があるならば、こうしてもいいのだということがあるならば、その条件はどこがきめるのかということを教えて頂きたい。
  72. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 例を申しますならば、例えば物価統制令というものがございまして公定価格の制度をきめております。その公定価格の制度は主管のほうで、例えば物価庁というようなもので勘案して適切なる公定価格の制度をきめるわけであります。私のほうの立場といたしましては、物価統制令で委任をされていないような物について公定価格を仮にきめたと言つたら、これは違法ですよと意見を堂々と申します。ただこの公定価格をきめない、法律上はきめない問題について、或いはきめなかつた、或いは社会的に見てもう公定価格を撤廃してもよかろうと思うにもかかわらずまだそれが残つておる、或いは価格の上り下り、或いは何円に公定価格をきめるか、これはその裁量の問題といいますか、適当か不適当かの問題だと思います。それらのことまでには我々は喙を容れておらないというわけであります。
  73. 江田三郎

    ○江田三郎君 うまいこと逃げられるのですから困るのですが、いやしくも食糧ということになると大変なことでして、そうして一方に政府のように食糧事情が緩和されたという意見がある。そうして片一方には食糧事情が緩和されてないという台所からの叫びもある。そういうときにあなたの数学的な発展というものは非常に無理な議論なんでして、片柳さんの言われる、いわゆる惡法を良法たらしめなければならんというお互いに責任があるわけですから、そういう二つの意見が対立しておるときに、政府の一方的の意見だけで政令や命令でかけてやることができるのか、そういうことはこの法律の精神から見て、本当に民主的に皆の意見を聞いて、国会においてこの法律自体を取上げなければやれんことかということになつて来るかと思います。それはどうです。
  74. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 要するに先ほど来のお尋ねのごときはこれは農林大臣なりその他の閣僚級に対する御質問と思いますので、私からの立場で一応御説明したわけでございますが、国会と政府との関係ということになりますれば、これはもう憲法に明らかにありますように、国会は国権の最高機関でありますし、又唯一の立法機関なんでございますから、政府はその下に従属しておるもので、国会の立法権の下には勿論従わなければならんという立場にあるわけであります。国会で法律を作ればそれを遂行せざるを得ないという立場にあります。そのことだけを申上げます。
  75. 江田三郎

    ○江田三郎君 余り意見を言われん長官ですから。(笑声)初めから何も言われんのならいいのですけれども、食糧事情の緩和ということがあるのならばということを言われたから、その問題だけは一つ明確に解明して頂かんというと、如何に佐藤個人といえどもちよつと無責任になる。それ以上言わんということになれば仕方がない。
  76. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それは非常に害をなすようなことでありますれば、その緩和という言葉は私撤回しても一向差支えございません。
  77. 江田三郎

    ○江田三郎君 少くとも食糧事情が緩和されていない限りは、あなたのさつきの議論から行くとできないというこに解釈していいですね。
  78. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これはたびたび申上げておりますように違法か適法かという問題を申上げるのが私の本職であります。従いまして食糧事情の緩和というような周囲の情勢というものは、その措置が不適当であるか適当であるかという判断の基準になるだけのことなんで、私の実は分際から越えておるということを申上げておるわけです。その点は従いましてお気に障るということになれば、これは撤回しても一向私の議論には差支えないわけです。
  79. 江田三郎

    ○江田三郎君 撤回しないほうがいい。(笑声)
  80. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 一点お尋ねしたいと思います。命令とか自由裁量によりまして、三条とか八条が算術的にゼロになる場合も考えられる。そういうことは結局この食管法自体が骨抜きになつてしまうわけでありますから、むしろそういうふうなことで算術的に形式上ゼロに政令で以てするよりは、食管法自身を廃止したほうがむしろ望ましいのではないか、こういうことが考えられるわけなんでありますが、その点について法制意見局長官のお考えはどういう工合になりますか。
  81. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 最初の御出題がこの法的措置としてどういうことがあるか、殊に命令の限りにおいて処置ができるだろうかどうだろうかというような点が含まれておつたように思いましから、このやさしいほうの問題はお答えしなかつたのでございます。一番最初に申上げましたのは、法律の手段としてどういう処置をとるかということを研究しておる。その研究の中身になりますのが、今のやさしいほうの法律を以て簡単に処置する場合もその研究題目に勿論入ります。それからそういう処置をとらずどういう方法があるだろうかというので、先ほど来いろいろ問題が出て来たというわけでございます。両方含めた意味で研究をしております。
  82. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 お話の点もわかるわけなんですが、一応三条なり八条の二というものが白紙に返るような実態があるならば、むしろ私どもといたしましては食管法というものを外してしまうことが望しいことと思うわけなんですが、そういう法律を置いておいてその委任命令によつて法自体の効用をなくしてしまう虞れがあるというような場合におきましては法自身を廃止すべきことが望しいと考えるわけですが、その点についての御意見を伺います。
  83. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつとそれに関連して併せてお答え願いたいのですが、つまり先ほど来問題になつてつて、特に江田委員から御指摘の点もあつたのですが、つまり他の条項で漸次統制を廃止して或いは配給計画を変更して零に近付けて行く、ところが第一条に規定しておる食糧の安定なり確保にマツチするか或いは背反するかというような観点で、非常に今赤澤委員のおつしやるように違いが出て来ると思います。そういう点で、この法律にあえて限定しないで、どの法律でもよろしうございますが、本年の法の根本精神に規定したことが背反するようなことが他の条項でしばしば行われてもそれで法律が守られるか、又確保されると解釈してよろしいですか、その点併せてお答え願いたい。
  84. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 法の精神に背反するかどうかという問題でありますが、私の先ほどから申上げておりますことは、背反しないという立場で申上げておるわけでございます。  それから法律を以てするとか或いは命令限りの措置を以てするとかいうことは、仮にこの法的手段が二つ或いは三つという場合に、どの途を選ぶかということは立法政策の問題と考えますので、これは私の所管の外であります。勿論これは個人としては申上げるべきでないと考えております。
  85. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 今の赤澤委員のむしろ食管法は廃止すべきではないかという御意見に対しては……。
  86. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それについても今含めたつもりでございます。(笑声)
  87. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 佐藤さんにお尋ねいたしますが、私の解釈によりますと、第三条と先ほどの第八条の二、この規定は裏腹になつておると私は思う。片方は政府に必ず売りなさい、それを今度は毎月政府が配給計画をきめて指示する、これがその表裏の関係になつておると思うのですが、そうなつて来ますと第三条の解釈では、命令で形式的に零にできる、こういうことに解釈も立つかも知れませんが、第八条の二のほうは、これは命令とか何とかいうことはなくて、毎月配給計画をきめて、これを都道府県知事に指示する、こうなつております。この第八条の二のほうは零にするということはあり得ないと思うのです。そうなつて来ると、やはり第八条の二と関連しないでも、第三条が零になるということは、要するにバランスが立たないことになるのではないか。或いは輸入食糧を買うからいいという御意見があるかも知れませんが、併し食糧管理法からすればやはり第三条と今言つた配給計画の第八条の二とは当然裏腹になつておると思うのですが、その観点から第三条を零にしてもよろしいということが言えますかどうか。
  88. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) その点は実は最初に申上げましたときに触れておるわけでございます。それを更にここで折角の御質疑ではございますけれども、だんだん深入りして行きますと、如何にも私が確信を持つて、而もだんだんそれが政府の意見であるかのような印象を受けられる虞れも私はあるじやないかというふうに考えておりますので、当座の私の考え、つまり個人的に一応申上げろという御質問でございましたから一応正直に現在の心境を申上げただけでございまして、そろそろこの程度でよさして頂きたいと思います。(笑声)
  89. 小林孝平

    ○小林孝平君 ちよつとお尋ねいたしますけれども、この食管法の政令で実質上なくしてしまつた際に、今度政府が来年の農家米麦の売渡申込を政府が買うということは食糧管理特別会計法でできるかどうかという点を一つ。私はこの食管特別会計法第一条ではそれはできないと思うのですが、その点の御意見を承わりたいと思います。
  90. 羽生三七

    委員長羽生三七君) どちらに伺うのですか。
  91. 小林孝平

    ○小林孝平君 両方からお伺いします。それは農家から麦なり米なりを買つてくれという申込があつた際に、政府は買うことができるかどうかということなんです。
  92. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 勿論任意の売買というようなことも考えられますが、強制的に買上げるということになりますと、やはり食管法三条によつて命令で定めなければちよつと買えないのではないかと思います。
  93. 小林孝平

    ○小林孝平君 私の質問は、政府が今度自由にした後で、農家が米が余計できて困る。或いは麦が余計できて困る。それを政府が買うという考えを持つておる。食糧需給調整法か何か法律を出してそれを買うことにしようという考えを持つておるわけですけれども、その法律が出ないで、単にこの食糧管理特別会計法で買入れができるかどうかということなのです。強制的ではないのです。
  94. 羽生三七

    委員長羽生三七君) つまりこういうことですね。供出割当に基く買入れと別に自由販売の形でそういうものの買入れができるかどうか。
  95. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 普通の売買で……。
  96. 小林孝平

    ○小林孝平君 普通の売買でやるわけです。それが食糧管理特別会計法に基いて買えるかどうか、私は第一条に「食糧管理ノ為ニスル食糧ノ買入、」とあるから、供出割当もしないし何もやらない、自由にしていいのはこの法律では買えないだろう、こう思うのです。それを確めているのです。
  97. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) それは研究してからお答えいたします。
  98. 小林孝平

    ○小林孝平君 研究するほどのこともないと思うのだけれども……、まあ一つ御研究を願うこととして、それから食管……。(「意見長官はどうした」と呼ぶ者あり)
  99. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 僕は結構です。
  100. 小林孝平

    ○小林孝平君 じや一つ佐藤さんに念のためお伺いいたしますけれども、甚だ……、後学のためにお聞きいたしますけれども、法制意見局というものは政府の方針がきまらなければ法律の解釈はわからんと、はつきりしないという所なんですか。私は法律の解釈というのは政府の方針とは別にあるものだろうと思うのだけれども、その点を一つお伺いいたしたい。
  101. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 申上げるまでもございませんが、法制意見長官というのは法務総裁の補助機関でございます。政府の最高法律顧問というのが法務総裁ということになつておりまして、実は残念でありますけれども、私はその一属僚に過ぎないという立場にございます。従いまして政府といたしまして、政府の内部にこの法務総裁の意見を申上げる場合には、これは便宜指示と申しますか、御指示を受けまして、私どもみずから処理することもありますけれども、重要な問題については法務総裁の決裁を経て、政府部内においても政府の他の省へ意見を申上げている次第であります。いわんやこれが国会に対しましてその政府側の意見を申上げるという段になりますと、これは正式に申上げますならば、法務総裁といえども閣議の意向というものによつて最終的の意見がきまるというものであります。というところから申しまして、私などは実は微々たる存在に過ぎないということになると思います。
  102. 小林孝平

    ○小林孝平君 非常に謙遜されておられますけれども、政府委員にもなつておられますし、そうすれば何でも返答はできないということになるのじやないかと思うのです。特に最近の雑誌で見たのですけれども、法制意見局長官は政府委員になられた回数は他のどの委員よりも多いというようなことをお書きになつておるが、私は非常に今日期待しておつたわけですが、こんなことではもの足りないと思つて非常に失望したのですけれども、それは又改めてやることにいたしまして、この第八条の四にですね、販売業者又は消費者は、購入券と引換又は購入券と引換でなければ主要食糧を販売業者から買うことができないという規定があるのです。この販売業者という者は生産者をも含むのですけれども、こういう規定がありますと、これはみんな供出割当も何もなくなつたと、政令でやつたといたしましても、この規定があれば消費者は買えないと、自由に買うことは違反だということになりますか、その点解釈は如何でしよう。
  103. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) お答えします。若し仮に食糧管理法そのものを残しておいても、政令を命令も出さないというようなことで配給の統制ということをやめることができるという、仮にそういうことができるものという前提を取つた場合の問題ですね、その場合は八条の四の第三項等のことによつて、農林大臣が指定をいたしますならば前二項の規定を適用しないということになりますから、購入券と引換でなくてもよろしいことになるかと思います。若し仮にそういう……、前提がちよつと違いますけれども、若しそういうことがあつたらば……。
  104. 小林孝平

    ○小林孝平君 今の第三項とおつしやいましたけれども、これは「前二項ノ規定ハ災害ニ困り已ムヲ得ザル場合其ノ他農林大臣ノ」……、(笑声)それはおかしいな。(「勉強が足りないぞ」と呼ぶ者あり、笑声)
  105. 江田三郎

    ○江田三郎君 ちよつとくどいようですけれども、先ほど委員長がお尋ねになつたこの命令とか政令とか何とかいうことで、実際上の執行を零にした場合に、この零にするということは第一条の目的ということとまるで背反してしまつて、そういうことをやつてもいいのかどうか、これは赤澤さんのお尋ねもあつたのですが、あの答えが私聞いておつて一向訳がわからんかつたのですが、委員長赤澤さんはそれではつきりしておつたのならばそれでよろしいのですが、私は聞いておつてわからなかつたのです。委員長ははつきりしたからそれでやめられたのですか。
  106. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これは私からその問題を申上げたいと思いますが、私ははつきりいたしません。私承わつてつて法のこの解釈という点をどういう所に基準を求めるか知りませんが、私といたしましては明らかにこの食管法の、この法規の精神から言いまして、この国民食糧の確保と安定のために本法が制定されておると考えておりますので、この国民食糧の確保と安定ということが具体的にも理論的にも成り立つた場合には、場合によつては零というようなことも出て来るかも知れませんが、その解釈が我々においては、我々と言いますか、国会の中においては、或いはその他の分野におきましてもまだ必ずしも国民食糧の確保と安定が期待されておるとは考えられない点もありまするので、そういう点から考えて行きまするならば、私どもは本法の根本的な精神に反すると考えて、先ほどの佐藤長官の違法、適法という上から来る解釈では満足できませんが、今責任を持つて答弁できないというお話でありまするので、それもかれこれ論議しても仕方がないので、私の質問はあの程度に終つたわけで、問題は依然として第一条の根本精神に副うや否やという基本問題が残つておる限りこの問題は未解決であると私は解釈しております。
  107. 江田三郎

    ○江田三郎君 これは何もこの今の食糧管理法の見通しについて問題になるのではなしに、他の一般的な場合にも問題になると思うのですが、法というものがあると、これはその執行面から見ると、内容を零にしてしまうと……こういうようなことがあり得ていいのかどうかということは、これは一般的な問題としてお答えが願えるのじやないかと思う。そこだけはつきりお答え願つたらどうかと思う。
  108. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それは果して法の精神の見方という問題になるわけでございます。その点につきましては最初の私の発言の際に申上げましたところで十分御了承願えるのじやないかというふうに思つております。言葉を重ねることはお許し願いたいと思います。
  109. 江田三郎

    ○江田三郎君 その最初言われたことで了解できないから聞いておるのでして、法というものがある、ところがその執行面から見ると内容は零にしてしまう。それならば法そのものを廃止したほうが妥当なのではないかということなんです。問題は簡単なので、それだけのことなんです。そうでなしに法というものはやはり看板だけに置いておいて、中身は全部外して行く、その行き方のほうが……それでもかまわんのかどうかということです。私はただ食管法だけの問題で聞いておるのではなしに、あらゆる法の場合においてそういうことが問題になるから参考のためにお聞きしておるわけであります。
  110. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それは一般問題といたしましては法律の趣旨がどこにあるかということでございまして、例えば国家総動員法というものが何もその勅令を出さなかつたということは、法の趣旨が当然それを容認しておるということになると思います。そういう場合はいろいろな法律にあるのでありまして、この食管法の関係では先ほど申上げた通りということで御了承を願います。
  111. 江田三郎

    ○江田三郎君 わからない。
  112. 羽生三七

    委員長羽生三七君) この問題はまだ研究の余地があると思いますので、なお我々としても或いは政府側としても十分御研究を願いたいと思います。どうも甚だ私見を差挾んで恐縮ですが、私の今受けた印象で言うと、先ほど佐藤長官からお話のあつたように全く政府の補助機関としての法的解釈というふうにとれて誠に遺憾でありましたが、併しまあそういう立場にあられて、これ以上かれこれ申しても仕方がございませんので、本日はこの程度で散会をいたしたいと思います。    午後四時二分散会