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竹下豐次君 先ほどからカニエ
委員が経済
調査庁の
減員の反対についての
意見を詳しく述べられ、殊に平素この問題についてはカニエ君関心を持
つておられて、深く研究されておる結果、今日は詳しい
数字までもお述べに
なつて反対の
意見を強く主張されたのでありますが、それに対して橋本長官、それから
政府委員の御
答弁を承わ
つて政府方面の御意向も大体私はこの上そうたくさん長く承わる必要はないと思
つておりますが、私自身も実はこの問題につきましてカニエ君の先ほどからの質問の中に述べられた御
意見と大体同じ意向を持
つておるのでありまして、従来たびたび繰返された国会におきましてもそういう意味の
意見を私は強く主張した一人であるのであります。先ほどからの御
答弁を承わ
つておりましても、この
法律、経済
調査庁法というものは統制経済に関することを目的としてこしらえたものであ
つて、その統制が外されたのが非常に多い今日の状態においては、その
関係の
人員を減らすのが当然のことであるというお説のように承わ
つたのであります。成るほど経済
調査庁法を見まするというと、大体それが当
つておるようでありまするが、今日まで経済
調査庁で査察しておつた事項はどの方面に多かつたかということを見まするときに、法の第一条の二の規定の特調の
関係、それから公団の
関係、そういうことに相当に大きな力を注がれておつたように思
つております。第一条に例拳してある各項目については
仕事が非常にたくさんあるのにもかかわらず手が届き得なか
つたのだというのが今日までの経過であろうと私は理解しております。特調の
関係は今年一ぱいで
調査の権限がなくなる、公団は廃止されたというので一条の二の規定に該当する事項だけは大体において
仕事がなく
なつたということになるのでありますけれども、第一条の例拳事項に関する
調査というものは、そのまましつくりしていないでありましようが、関連した点もあるでありましようが、大体残
つておる。今日まだしつかりや
つてもらわなければならなかつた部分が非常に多く残
つておる。先ほど来の御
答弁を承わ
つておりますと、従来
調査が完全であつたということを前提として行くならば、或いは一部正しい点があろうと思
つておりますけれども、恐らく従来の
調査が十分であつたとは
政府もお
考えないだろうと思います。元来この
法律案ができたのは第一条の事項が目的でできたのであります。第一条の二は後で追加されたものと思います。追加されたものがなく
なつたけれども、もう作られた当初の
調査目的事項はそのまま残
つておるわけです。どうも先ほどの一応十分に今日まで
調査ができておつたということを前提としておられるような
意見は通らないのではないか、かように
考えるのが私の見方であります。それからこの
調査庁法を見ますと、第一条には経済
調査庁は国民経済の調和ある復興を図る
ため云々と書いてありまして、その後に経済に関する法令の円滑な運営を確保するとかありまして、別に統制法令という言葉はここには使
つていないのでありまして、統制法令以外の法令を含む広い意味の法令という言葉を使
つておるのであります。併し別表に書いてある法令は大体統制
関係の法令であろうと思
つておりまするが、必ずしもそう制限された
法律じやなく、まだこの他に加えて行かなければならない事項が、例えばこの
委員会で曾
つてからたびたび問題に
なつておりましたように、
公共事業費
関係の
地方の
仕事等に関するようなことも、経済
調査庁が手を伸ばさなければいけないということを、これは強く主張されたのであります。それは未だそのままに
なつておるのであります。しなければならんことが非常にたくさん残
つておる。それを打切る、そうして而も五割に近い四割七分に相当する人人の首を切る。こういうことに
なつておるのは、如何にも私は合点が行かないのであります。先に読上げましたように、国民経済の調和ある復興を図るというのがこの法の目的でありまして、綱紀粛正ということは、これは根本の中心の目的とするところではないと解釈するのが正当だろうと思
つております。併し実際の場面から見るというと、この経済
調査庁の監査というものが綱紀粛正にどんな成績を挙げておるかということは、これは疑うべからざる事実だろうと思
つております。非常にその
ために役人のほうでも、或いは公共団体や公団あたりでも気を付けてや
つておる。それでもたくさんの犯罪人などを
出しておるのは遺憾なことでありまするが、目に見えないところで相当に綱紀粛正の効果を裏から挙げておるだろうと思
つております。
政府のほうでも綱紀粛正の問題は大きな問題として御心配に
なつておるということは、私も平素
考えておるのでありますけれども、ただ
考えておられるだけで今日までその実は殆んど挙
つておらない。又具体的に綱紀粛正の
ためにどんな手を打つたかということを聞きましても、なかなかそれは具体的にわからないと思います。その粛正の目的を達する手段、直接の目的ではないのでありますけれども、その効果を挙げておる。粛正の方法を講じておるのはひとり経済
調査庁のみであると言
つても必ずしも過言でない。間接に非常に綱紀粛正をや
つておるわけであります。
政府の立場から見ましても、表向きに綱紀粛正の
ための特別の機関を作るとかいうような体裁の悪いことをなさるよりも、こういうふうな間接の方法でふんわりとや
つて、そうして実際綱紀粛正の成績を挙げられる方法をおとりになるのが極めて賢明である。国民から見てもそれは品がいいのです。
自分の家の子供を
監督する
ために特別の機関を作るということより、そんな機関を別に作らないでも、こういう手で実際効果を挙げるというほうがどんなに品がいいかわからないと私は思う。それを四割七分も減らさなければならんとはどうしても私は腑に落ちないのであります。尤もその
監督の点につきましては内部
監督の方法もあります。これは当然やらなければならないことでありまして、これは従来からや
つておることであるにもかかわらず、内部
監督というものが成績が挙らないということは皆様長く官吏をや
つていらつしやるからよく御
承知のことと思
つております。先ほど何かの
お話の中にもこういうような意味の
お話がちよつと含まれておつたと思います。それはそれとしてやらなければなりませんけれども、やはり本当の
監督する、査察をするということでありましたならば、これはやはり第三者の立場において冷静にや
つて行くということが、効果を挙げるのに大変ふさわしい方法と思います。たまたま下の者が不正を働いたということが上官にわかつたといたしましても、内部
関係の
監督でありましたならば、それは
自分自身の失態になるわけであります。多くの事例のあるように、いわゆる腐いものに蓋をするという態度でうやむやにして握り潰されておる実例は昔から何遍となく繰返されました。これは役所の弊害ですが、その点もお
考えになりまして、やはりこの際は成るべくこういう方面の能力のある、そして従来新らしい官庁であつた
ために査察の方法にちよつと無理な点があつたとか、或いはその
職員に検察官上りの人とか、或いは警察上りの人が多かつたということの
ためになお受けるほうの立場から如何にも意地悪く不愉快な監査をされるというような不愉快な場面もあろうと思います。併しそういうことは近頃慣れて来られましたから、そんな悪辣な検挙というような態度は改ま
つて行つたと私は聞いておるのであります。折角こういう方面に慣れて来まして、そうして清々成績を挙げておられるこの
職員をむざむざ大勢揃えて半分切るというようなことは、私はどうも了解することができない。
政府のほうでは綱紀粛正の問題等につきましては特別に御考慮に
なつておるということは、先申しましたように私も
承知しておりますが、第十国会でしたかで特別調達庁の
監督を今年十二月三十一日までで打切るという場合に、
政府のほうでは何にもそんな期限を切らないで、そうして当分の間
監督機構を続けて行こうという提案をされたのです。ところが修正されたのは衆議院であります。それを今年一ぱいという期限附に修正されたのです。それに
政府は同意された、参議院の
内閣委員会におきましてはこれに正面から反対いたしまして、修正案を可決したのであります。参議院はそうだつたと記憶しております。これが衆議院の三分の二の多数でやられたのじやなかつたか……、(「潰れるのでやめたんだ」と呼ぶ者あり)潰れる
意見でやめたのでしたか、私の記憶の思い違いか、とにかくこちらのほうで修正しなければならないということに
なつてお
つたのが通らなか
つたのでありますが、そのときに衆議院の修正案に対して、
政府はこれに御同意の意思を表示されました。それは私が質問したことでありまするので、同意されるのは不都合じやありませんかということを私が質問したのに対して、答えられたと思うのであります。これは古いことでありまするが、そういうふうにしてどうも
監督を厳重にするというと何だかうるさいことだというような気持を持たれるというようなことでは各方面においてもこの綱紀粛正どころじやない、逆転して逆にますます犯罪人が多く殖えて行くということに
なつて行くだろうと思います。で長官が言われますように、本当に悪いことのないようにするには、
監督だけではいけないということはもとよりのことであります。これは根本的に国民の教育からやり直して行かなければならないということは当然のことでありますが、それを今言
つておつちや今の間に合わないのです。それはそれとして、清々とや
つて行かなければならない私は日本の建直しの根本は教育の問題だと思
つております。幾ら産業をやろうと思
つても
人間ができなかつたならば、産業のほうにも執心にならないのであります。そういうところは私もよくわかるのでありますが、そういうことを今言
つてお
つては間に合わない。今は今に間に合うようにやはり教育の方面と、
監督を厳重にする方面と両方を並行してや
つて行くということは止むを得ざる必要であると、もう私は確信して疑わないのであります。私はいろいろ申しましたが、これに対して長官が先の
説明を急にお変えになろうとは今想像しておりませんけれども、これはよくお
考え直しを願わなければならないと、かように
考えておる次第であります。若し何か今の私の
意見につきまして、反対の御
意見でもお持ちでありましたならば、この際お述べを願いたいと思います。