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説明員(
安田善一郎君) 統計
調査部
関係について楠見先生からの御
質問の第一点にお答えいたします。
人員整理の政府原案による
整理でこれが行われますと、残存の
人員で統計が国際経済統計協定その他の国際
会議に入るべき際に、これに即応して国際性を持つた
日本として必要な統計ができるかという御
質問だつたと思いますが、これに対しましては、種々この
委員会でも、農林
内閣委員会でも、又FAO参加の承認に関しまする
委員会でも御論議もありました際に申上げましたように、まだ私どもの農林業統計は
終戦後非常に日なお浅くして、それ以前の統計は国際的に通用する統計方法や統計組織ではございませんでしたので、
終戦後やや確立を見出した組織が年々縮小されながら、特に二十四年以降五千人以上の人がすでに
整理されておりますが、本年度も六月までに一割、千五百人の人の
整理がされておりますので、やや見るべき成果を挙げつつある際に
人員、これに伴う予算等の節減を受けて、刻苦努力をいたしております際でありますから、今後なお必要な多数の統計と、なおたくさんの統計を作
つて参ります場合には、必らずしも自信はございません。ただどのくらいの統計がどのくらいの規模と
内容で行われるとよろしいかということにつきましての判断は、人によ
つて多少違いましようし、政府の首脳部のかたがたと
事務当局との
意見とで違いましようと思うのでありますが、私は農林省の統計
調査部長でありますと同時に、政府から任命されておりまする統計
委員といたしまして、なお非常に不十分であると
考えております。特に食糧
関係、農産物
関係の統計に関しましては、種々御高説もありましたように、
日本は食糧輸入国のかなり大きなものでありまして、食糧問題が非常に重要でありまするので、食糧輸入上必要な農業統計と申しまするものは、重要なる食糧輸出国との農業統計との
関係において、その精確度とか、
調査組織とか、
調査方法とかにおいて比肩することができるものでなければならないと存じておりますが、私どもはまだそこまで到達する過程にあると存じております。又日米加の
漁業協定が
会議中であるようでありますが、これに至りましては、本当の
意味においてぼつぼつものになるかと存じておりまする水産統計は、海面漁獲量につきましてだけでありますが、昨年の十二月から実施に着手された程度でありまして、それも沿海にあります私どもの出張所では半分について一人の職員しかおりません。半分は臨時の職員で賄
つて調査を続けておる程度でございます。その他も大体同様と存じて頂きたいと思います。
第二点の科学性を農林
漁業行政或いは政策乃至は政治に注入することができるであろうかどうかということについての所見を述べようということでありまするが、これもどのような統計をどのように使うかということの、お使いになるかたの政治家、又は行政官の知性にもよりまするので、或いは利用方法によりまするので、どの程度がいいか、私どもの立場から申しますと、大体いろいろな食糧需給計画におきましても、過般の供出割当計画におきましても、その他価格状況の見通しにおきましても、土地政策、共済制度の政策、或いは増産政策、各種につきましても、私どもの統計
調査が先ほど申しまする程度のものでありますが、これをよく検討して、利用して、それから政策なり予算なりを数字から導き出される科学的な、合理的な施策につきまして立案することが誠に少い現実を痛感いたしておりまするので、一方利用されるほうについても問題がありますと同時に、又統計自身についても、誠に御趣旨のような御
意見に浴うほどの統計にな
つておらない次第でございます。
第三点の、どのような統計になるかということでございまするが、これは御
承知のように今回の
整理案は、本来統計は食糧の統制上の資料ばかりでないので、本来はそうでなしに農林業に必要な農林
漁業統計を作ることを任務とし、そういたしておるのであるから、この問題に直接介入しないでお扱いを願いたい旨
事務的に申入れますると同時に、農林
大臣も当初からその主張を述べられまして、本
委員会でも再三その旨を御信念と見解を御表明にな
つておりますが、私ども
事務当局といたしましても同様に存じております。併しながら結果といたしましては、食糧庁と申しますか、食糧庁の定員と同様に、特に私どもの
調査人員のかなり大部分を占めまする農作物
調査に対しましての
人員に関しまして、食糧政策に関する食糧庁の定員と同様の扱いをする
方針の下にこれらの
取扱いが行われましたので、又中頃に至りましては半数ばかりの
人員を復活することができるとか、或いは復活してしまうという修正に関しまする扱いにつきましては、私どもはその扱いにつきましては受けませんでしたので、ただきまりました結果がどういう統計になるかということの短
期間における
部長としての判断を申上げるよりしようがないので、お許しを願いたいと思いまするが、一番多数の
人員を占めまして、目下のところ
差当り食糧問題が重要でありまするし、農業政策の基本になりまするから、重点を置いておりまする農作物生産の統計に関しまして、辛うじて府県別の生産高を推定をし得るにとどまりまして、本年度よりも遥かに精確度が低下いたしまして、府県内の反収が平坦部、山地、或いはどのような作物が適しておるかどうかというような農業政策に必要な農業
地域別生産統計とか、或いは市町村別の生産統計ということはできないことになります。従いまして、農作物の作付面積、反当収穫高、被害、それらに関しまして、それが基礎とな
つて行政が行われておりまするし、又行われるべき土地改良、耕種改善、農業共済制度、或いは単作地帯の対策等に関しましては、十分な利用価値が出ない統計となりまして、又食糧の特に米麦の統制に関しましては、過般も知事
会議等で種々問題が出まして、世上論議せられまして、
事務当局としても恐縮に存じておりますが、その供出制度又配給にもどのくらいの生産があるかということが配給制度上必要でございますので、配給上にも必要な市町村別の食糧統制上の資料を今日のようには作れなくなるのを遺憾と存じております。又統制の農作物の範囲が狭くなりますと、統制されない作物の有利性或いは適地性に応じまして作物の転換が種々行われましたり、大豆、桑その他の商品作物等はいろいろ今後の農業政策上必要になりますが、これらの収量、面積の
調査は今回の
整理案では殆んどできなくなるのであります。新らしい国際的に通用するような方法による
調査はできなくなるのであります。又水田の耕地面積を二十四年から五ヵ年計画で実施中でございましたが、今年はその三年目でございますが、これをやめるということを以て食糧統制撤廃に伴う
調査を放棄するという扱いがされましたので、その
調査は中途で放棄いたさなければなりませんが、水田の耕地面積
調査につきましては、これはおよそ農政の基本でありまして、戦時末期から今日までにおきまして、統計上では九州一円の水田と畑地との面積が消えてしま
つて、農業政策の重点がぼけてしまうというような実態にな
つておりまするから、これができないことを遺憾といたしております。又それらの生産量とか農林水産物の生産量の
調査を従来重点を置いて参りましたけれども、流通の統計とか消費の統計とかいうものにつきましては、過般農林
大臣からも、統計
調査部に将来は米麦等の在庫、流通等の
調査をせしめるという御
答弁がありましたが、これは将来のことでありまして、来年以降やりたいと思
つておりましたが、従来
通りやらないことにな
つてしまうのであります。又農家経済
調査につきましては、現在僅かに全国を十一農区別にいたしておる。そうして国際的に通用し得る誤差率と申しますか、精確度で農家の経済収支、その中の各種の項目別の収入支出状況を判断し得るように
調査いたしておりまするが、実はこれは都道府県別に推計をいたしませんと、少くともそのくらいにいたしませんと、農業事情に即した農家経済の事情とか、地方税とか、その他の市町村税等に参考にすることもできませんのを、更に一層ニ割方縮減しなければならないということになります。養蚕統計、林業統計、先ほど申述べました水産統計はいずれもまだ未整備でございまして、例えば未整備の
意味を申上げますと、養蚕統計は戦時末期から今日まで養蚕飼育農家数、その掃立卵量数、本当の桑の面積数、経営規模別の養蚕飼育農家数等は一度も一齊
調査をいたしたことがございませんので、僅かにこの数年繭の収繭量
調査、生産高
調査だけをぼつぼつや
つております程度であります。林業統計に至りましては、これは古来の
日本の国際的に通用しない統計でありまする表式
調査と申しまして、部屋の中におりまして、山がどこにどのくらいある、山林がどのくらいある、薪炭木材がどのくらい生産されたかというようなことを部屋の中で作るというような方法によります程度の
調査をいたしておるわけでありまして、これすら二割
整理されることになる次第であります。おおむね楠見先生の御
意見について私の所見を申述べますと以上の
通りでありますが、そのような経過になりましたのは、昨日農林
大臣からも御
説明がありましたように、三浦先生の御
意見に対してだつたと思いますが、林野庁の営林局
関係等のものは
事務的によくこなされたのであるかという
お話でありましたが、私どもは食糧庁と共に
事務的には最終までこなされていなくて決定された結果のせいであります。