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1951-11-20 第12回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十日(火曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            松平 勇雄君            溝淵 春次君    委員            楠瀬 常猪君            郡  祐一君            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            成瀬 幡治君            上條 愛一君            栗栖 赳夫君            三好  始君            三浦 辰雄君   委員外議員    厚生委員長   梅津 錦一君            高田なほ子君            荒木正三郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   政府委員    行政管理政務次    官       城  義臣君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      中川  融君    刑 政 長 官 草鹿浅之介君    外務省政務局長 島津 久大君    大蔵省大臣官房    長       森永貞一郎君    国税庁長官   高橋  衞君    文部省大臣官房    会計課長    寺中 作雄君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    通商産業大臣官    房長      永山 時雄君    資源庁長官   始関 伊平君    中小企業庁長官 小笠 公韶君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    法務総裁官房人    事課長     宮下 明義君    大蔵省大臣官房    文書課長    村上  一君   —————————————   本日の会議に付した事件行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  本日は法務府、外務省大蔵省文部省、厚生省の順に従いまして、定員法改正について審議を進めます。諸君に申上げておきますが、過日楠見委員からの御質問に対しまして、内閣官房長官岡崎君から昨十九日付で委員長宛にかような回答が参つております。「本月三日、四日の両日、静岡県、熱海方面に旅行した官庁用自動車については、調査の結果、各府省本部ともいずれも該当の事実がないので、この旨回答いたします。」かような回答が来ております。
  3. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今官房長官から内関委員長宛回答文と、私の承知しておるところと大分違いますので、改めて官房長官質問をいたしたいと思いますから、どうか適当の機会に官房長官出席を求めるように委員長からお取計い願いたいと思います。
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 承知いたしました。  それでは法務府の説明を求めます。
  5. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) 法務関係人員整理につきまして極く大ざつぱですが一言説明申上げたいと思います。  御承知のように法務府で扱つております仕事は、大体が治安関係と直接密接な関係を持ちます仕事と、或いは一般国民の権利に関しまする直接な仕事が大部分を占めております。そういう関係からいたしまして、これに携わりまする人員も、この事務に従つて配置されている人員でございますので、この人員を非常に大きな幅で殖やすとか減らすということは、性質上できないものであります。従いましてこのたびの人員整理におきましても、法務府といたしましては他の省に比べまして比較的整理の数が少なくなつていると聞いております。これは今申上げました通り法務府でやつております仕事性質上こういうことになつたのでありまして、今回の整理におきましても成るたけ政府方針に副うように検討いたしました結果、例えば解散団体財産買却理事会ですか、こういつたようなその仕事が全然なくなりますものとか、或いは又主としてこの管理事務をやつております部門におきまして、でき得る限りの人員整理いたすことにいたしたのであります。大体そういうことでございますが、なお詳細な点につきまして人事課長から詳しく御説明申上げたいと思います。
  6. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 私からお手許に配付してございます法務関係人員整理に関する表につきまして、数字的に少しく御説明申上げたいと思います。  法務府の機構を極く概略説明申上げますと、内部部局といたしまして、法務総裁官房のほかに、法制意見長官部刑政長官部民事法務長官部三つの部がございます。法制意見長官部には第一局から第四局まで四つの局が附属いたしております。刑政長官部には検務局矯正保護局特別審査局の三局が附属いたしておるのであります。民事法務長官部には、民事訟務局行政訟務局民事局人権擁護局の四局が附属いたしております。本府の附属機関といたしましては、検察研究所法務研修所矯正保護研修所、及び解散団体財産買却理事会四つ附属機関がございます。地方支分部局といたしましては、大体三つの大きな系統に分けられるのでありますが、一つ登記戸籍供託、訟務、人権擁護等仕事を所掌いたしておりまする法務局がございます。第二には矯正保護関係監獄少年院少年保護鑑別所支分部局が附属いたしております。第三には検察庁法務府の所管の支分部局としてあるのでございます。それ以外に法務府には外局といたしまして、中央更生保護委員会司法試験管理委員会の二つの外局がございます。  今回の行政整理を、只今申上げました各部局別概略説明申上げますと、先ず法務総裁官房につきましては、渉外課定員二十七名をその事務性質上全員整理いたすことにいたしてございます。それ以外の官房の各課につきましては、只今刑政長官が申されました通り人事会計等管理事務を極力整理することを前提といたしまして、その人員を極力圧縮いたしたのであります。従いまして官房につきましては、定員合計五百六十六人、現在員が十月一日で五百五十三人ございまするが、そのうち百三十六人整理いたすことにいたしてございます。  法制意見長官部は第一局におきましては、政府機関法律上の意見を発表する局でございまして、第二局と第三局が各省立案法律審議に当つております。第四局におきまして、主として法務関係の諸法律裁判所、或いは検察庁法務府等の関係法律立案審議をいたしておりまするが、この部におきましては、現在の法令改廃が非常に多い実情から見まして、なかなか事務が輻湊いたしておりまするので、お手許にございまする表の通り定員百四十一名につきまして十四人の整理考えております。  刑政長官部につきましては、第一の検務局は、検察庁を主管しておる局でありまするが、現在の治安状況に鑑みまして、公安関係を一層強化しなければならない関係もございまして、八十人の定員について十三人の整理考えております。矯正保護局は先ほど申上げました矯正保護庁監獄少年院少年保護鑑別所三つ地方支分部局を管理いたしておりまする局でありまするが、管理的な業務がかなりございますので、七十四人の定員中二十二人を整理いたすことにいたしております。特別審査局は、現在の定員が千百四十五人でございまするが、御承知のようにこの局は非常に開設いたしましてからまだ日の浅い局でございまして、何と申しましても人員が不足いたしておりまするし、現在なお整備の過程にある局でございます。只今いろいろな関係で更にこの特別審査局を強化する方向を考えておりまするので、欠員五十名を持つておりまするが、一応この局は整理をしないことにいたしてございます。  民事法務長官部につきまして、民事訟務局におきましては、国又は地方公共町体が当事者参加入となりまする民事訴訟法務総裁の代理として指定されまして、その訴訟を実施する局であります。行政訟務局は国父は地方公共団体当事者となつておりまする行政事件訴訟を実施する局でございます。この局におきましては、殆んどその局の仕事がそれぞれの裁判所に出廷いたしまして訴訟を実施する局でありまするので、人員整理がなかなかできかねる関係がございまして、御覧の通り民事訟務局につきましては四人、行政訟務局につきましては十人の整理にとどめてあるのであります。民事局につきましては、解散団体財産売却理事会人員を全面的に整理することを考えておりまするので、それに対応する仕事民事局の第五課が所掌いたしております。従いまして、その関係で第五課を大きく整理いたしました関係上九十四人の定員中二十七名整理することにいたしてございます。人権擁護局は、現在この局を一層育てて行かなければならない関係にございまするが、いろいろな事情を考慮いたしまして、二十人の定員中六人整理の案を立てておるわけでございます。このようにいたしまして、内部部局の総定員二千二百七人中、整理人員が二百三十六人となつておるわけでございます。  附属機関につきましては、検察研究所法務研修所矯正保護研修所等の研究、研修機関につきましては、極く少数の管理要員整理にとどめてあるわけでございます。解散団体財産売却理事会は、現在におきましては団体が新たに解散される事例も非常に少く、殆んどなくなつておりまするので、現在におきましては前に解散いたしまして、国が接収いたしました財産を処分して行く仕事だけが残つておるわけでございます。従いましてその仕事民事局或いは場合によりますれば、今後特別審査局に引継ぐ考え方から、解散団体財産売却理事会定員十六人を全部整理する案を立てておるわけでございます。  次に地方支分部局に参りまして、法務局について御説明申上げますると、法務局の組織は中央監督機関といたしまして、全国八カ所に八つの法務局がございまして、その下に各府県ごと地方法務局が四十一ございます。更にその地方法務局支局が二百三十三ございまして、その出張所全国千七百八十八あるわけでございます。曾つて登記所と申しておりましたのはこの出張所に当るわけでございます。この法務局におきましては現在登記戸籍供託、庶務、人権擁護等仕事を所管いたしておるわけでございまするが、何と申しましても、この局は非常にたくさんの独立官庁を持つておりまする関係上、例えて申上げまするならば、この出張所におきましては大部分事務官一人、雇員一人程度職員しか特つておらないのであります。なお本年春頃から登記事務が非常に遅れておるという非難が起つて参りまして、法務府におきましても折角努力をいたしておるわけでありまするが、今年の夏頃行政管理庁法務局を監査いたされまして、法務局事務の改善、或いは人員整理について勧告がなされておるわけでございます。この法務局関係について強い行政整理をかけますると、勢い出張所の或るものを廃止するような措置に出ませんと賄い切れない関係もございまして、現在立てております案といたしましては、八千五百十七人の定員につきまして整理人員を百七十九人と考えております。なおお手許の表にございまするように、欠員が現在、十月一日現在で九十四人ございまするので、これを差引きますると僅かの人員法務局、又は地方法務局管理雇員整理いたしますれば賄い得る数字と考えております。従いまして現在におきましてはこの出張所等行政整理のために廃止するというようなことは全然考えておりません。  次に監獄少年院少年保護鑑別所につきましては、お手許の表にございまするように、監獄定員は一万七千六百六十二人でありまするが、そのうちいわゆる刑務給を受けておりまする看守以上の職員定員が一万六千六十一人でございます。現在の監獄実情から考えまして、この刑務給を受けておりまする一万六千六十一人については全然整理考えておりません。それ以外の雇員傭人等につきまして定員千六百一人中三百五十八人の整理考えておるわけでございます。少年院につきましては全体の定員が千七百十二人中刑務職階者が千三百十一人でございまして、これも全然整理考えておらないわけでございます。それ以外の職員の四百一人中三十六人の整理考えております。少年院につきましては少年法が改正されまして、この施設に収容されまする少年年齢が満十八歳から満二十歳に引上げられました関係上、現在においては施設におきましても、職員数におきましても手不足を感じておるわけでございます。従いましてこの施設整理というものは最小限度にとどめて頂きたいと考えておるわけでございます。少年保護鑑別所につきましても、全体の定員千六十一人中、刑務職階給を受けておりまするのが七百五十四人で、これにつきましては整理考えておりません。それ以外の職員の三百七人につきまして二十四人の整理考えておるだけでございます。  次に検察庁につきましては、検察庁全体の定員が一万一千三百七十二人でございまして、そのうち検察官検事及び副検事定員が千七百十七人おるわけでございます。この検事及び副検事につきましては現在二百二十三人の欠員を持つておりまして、級別関係から申しましてこの欠員補充がなかなか困難な状況にございます。現在の犯罪情勢治安情勢から考えまして、検察官整理ということは考えておらないわけでございます。それ以外の職員検察事務官雇員及び傭員合せまして九千六百五十五人中四百六十五人の整理考えたわけでございます。これにつきましても、検察庁においては法務専用電信等を持つておりまするが、この法務専用電信職員等は全然整理対象外にいたしましてそれ以外について四百六十五人の整理考えたわけでございます。これも人事或いは会計等仕事が非常に複雑化いたして参りまして、そのための管理要員がかなりおりまするので、それを一応整理いたしたいという考えでございます。  次に外局中央更生保護委員会関係につきましては、中央事務局定員三十七名中、七人の整理考えております。地方機関といたしましてはその下に、地方成人保護委員会及び地方少年保護委員会併せて十六と、保護観察所全国九十八カ所あるわけでございますが、その定員両方合せまして千二百三十六人中百二十人の整理考えております。これも人事事務或いは会計事務等簡素化前提といたしまして、一応この整理考えておるわけでございます。他の外局であります司法試験管理委員会につきましては、現在定員の定めがございませんで、官房人事課においてこの仕事をいたしておりまする関係上、定員もございませんし、整理考えておらないわけでございます。  以上を合計いたしますと、法務府の全体の定員が四万四千百六十四人で、十月一日現在におきまする欠員が九百七十八人でございます。それを差引きまして十月一日の現在員が四万三千百八十六人、それに対して合計千四百六十二人の整理考えておるわけでございます。これにつきまして一言御留意を願いたい点は、先ほど申上げました検察官欠員二百二十三人と申しまするのは、資格要件関係から申しまして、この整理人員を転用することが不可能な欠員でございます。刑務官欠員三百二十四人につきましても、この刑務関係職員は特殊な職員でございまして、これも整理人員を転用することが非常に困難な官職でございます。従いましてこの検察官刑務官欠員を差引いてお考え願いたいと思うのでありまするが、なおこれ以外に法務府といたしましては、現在六カ月以上の長期欠勤者合計三百六十五人ございます。それらのものを差引きまして只今申上げました転用困難と認められまする検察官刑務官等欠員を差引きまして、法務府といたしましては、七百名前後の整理をいたさなければならないものと考えております。併しながらすでにこの措置が計画されました当時から、法務府におきましては現在新規採用を差控えまして整理に備えておりますので、自発的の退職者を勧奨する措置等によりまして、大体その程度でこの整理が実行できるものと考えておるわけでございます。
  7. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつとお伺いいたしますが、先ほどの御説明の中で、人権擁護局関係は将来育てて行かなければならないにもかかわらず定員のうちで三割の節減をする、ところが一方特別審査局は同様の事情からむしろ今後増大をして行かなければならん、こういうことで、如何にも人権擁護に関する法務府の考え方が軽々しいように思われるのでありますが、その間の事情をお伺いしたいのが第一点、第二点には、特別審査局はずいぶん活動せられておると思うのですが、併し世間ではその能力を疑つておる向きが相当あることはあなたがたも御承知通りであります。これをどういうふうに強化して行かれる御方針であるのか、その点併せて二点をお伺いいたします。
  8. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) 人権擁護局のここに上つておりまする数は、これは本局の数でございまして、実際の全国のいろいろな仕事は各地方法務局においてやつております。従いましてこれら全体の数からお考え願いますると、本局の大体管理部門をやつておる人で、できるだけ数を整理した数が載つておるわけでありますので、人権擁護局のやります仕事自体は、今後そのために非常におろそかになるというような虞れは先ずないのではないかというように考えております。  それから特審局でございますが、これは御承知のように、新らしい仕事をやりました役所でありまして、現在この特審局仕事を整備しつつあるような状態でございます。現在特別審査局は各府県、各地方支局がありますが、これは全国主要地に九カ所、東京、関東を入れまして九カ所支局がございます。この支局人員も極めて僅かな人員でございまして、殊にこれを府県別考えますと、各府県についての駐在員と申しますか、これが僅かに平均三名くらい、せいぜいそんなものであろうと思います。このほかに届出事務を扱つておりますが、これは各地方の自治体に委託してやつております。これらもいろいろな関係でそろそろ一つ特別審査局でやつてもらえないか、こういうようなこともございますので、各府県人員をもう少し殖やしてやつて行きませんといけないことと、それから届出事務なども将来特審局が扱つて行くということになりますと、現在の人員でも到底足りないことになります。これは特審局と申しますと、最近何か人権を、蹂躙とまでは行きませんが、何か人権をひどく扱うところのようにとかく見られがちなところもあるように聞いておりますけれどもこういうことのないように、特審局がむしろこの人権擁護するように仕事をやつて行かなければならん。こう思いまして、現在仕事を整備すると共に、仮にも人権を侵害するということのないように、こう考えまして各地方人員何かを整備して行こう。こういう考えから、現在のところは減員をしないことに考えておる次第でございます。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私がお聞きしたいのは、特審局が出ておるようですからお聞きいたしたいと思いますことは、前に内務省特高というのがありましたが、大体それがやつてつたのと同じ仕事をやつておると思うが、特高時代には大体定員がどのくらいおりましたか、それが若しわかつておりましたら一つお聞かせ願いたいと思います。
  10. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) ちよつと申上げかねます。特高時代のことはわかりません。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今お伺いしておりますと、この特審局が非常に人権擁護のような仕事をせねばならんと言われたが、それは「仕事も」ですか、「仕事を」ですか、その辺のことをもう一度伺います。
  12. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) 特別審査局でやつております仕事調査観察仕事をやつております。観察と申しますのは、現在でありますと、団体等規正令、それから公職追放者なんかの関係から追放者等観察をやりますことと、調査のほうは団体等規正令の違反の事実があるかないかといつた、こういう調査をやることになります。私先ほどちよつと言葉が足りませんでしたが、人権擁護仕事をやるのではありませんでして、こういう仕事をやりますので、人権を侵害するような虞れのないように慎重に仕事をやつて行かなければならん。こういう意味で申上げたわけです。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 特審局定員を見ますと、この資料ではわからないのですが、一回、二回と殖えて参りまして、例えば第一回が百五十名、第二回が六百六十二名に殖えて現在の定員になつておる。そうして今回はいろいろ事務関係のことがあるから整理しないのだ。こういうふうに資料で拝見をするわけですが、お尋ねしたい点は、特審局仕事というものは現状よりも発展をしましてだんだん強化して行かなければならん。だからこそ、今回の行政整理というような点についても協力をしたいのだが、こういうことをした場合には、非常に業務のほうに支障があるからこれはできないのだ、こういうお考えでしようか。
  14. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) 仰せの通りになるわけでございますが、特審局が御承知通りできましたときは、内務省調査局仕事をそのまま受継いで参つたわけでございます。ところがその後に至りまして、最初は主として旧軍人とか或いは極めて極端な国家主義団体といつたようなものだけを受継いで対象といたしていたのでありますがその後いろいろな方面情勢の変化に伴いまして、いわゆる極右のみならず極左と申しますか、そういつたほうの調査観察まで仕事の中に殖えて行つたわけであります。これらの関係から逐年扱います仕事の数が非常に殖えて参りまして、それでこういうふうな最初の百五十人から現在のような数に急激に殖えて参つたわけでございます。で今後も恐らくこれまでの傾向からいたしまして、仕事はなかなか減らないのじやないか。それと先ほど申上げました全国の各地方駐在員の数が今まで極めて少い数でやつております。そういう少い数でやりますと、勢い調査に疎漏がありましたり、或いは間違つた情報なんかも根拠にしていろいろな仕事をやる、こういう虞れもございますので、そういうことになりませんように各府県にも或る程度調査員を配置する、それと届出なんかの事務につきましても、地方機関に委託しておりましたのを、これをやはり特審局のほうで場合によつてはやつて行かなければならない。こういうことを考えまして現在の数では恐らくこれをやりますと足りないのじやないかというふうに考えております。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ内務省時代特高調査局になつて、こういうふうになつて来た。私たちは一つの歴史的な事実に基いて当時の特高のやられて来ていたような仕事が、私はやはり特審局の主たる任務だと思います。併しまあいろいろなことをおやりになる上において、而も正しい情報をつかむ、そういう点においても疎漏になつては大変であるから人員が必要である。こうおつしやる私は趣旨もわかるのです。併し届出のような細かいことまで私はおやりになるというようなことになれば、これはもうとてもかなわんと思いますから、恐らくそういう理由では私はないと思いますし、将来も私は特審局が若しそこまで出て、団体等規正令に基くところのそこまで特審局が受継ぐのだというようなことがあれば、私はやはりそれは少し干渉とか何と申しますか、そういう面において心配をするものですから、私はこういうことは是非思いとどまつて頂きたいと思います。そういうことまで仕事をやられて、あなたのほうが発展して来るということになれば、本当の人権擁護というようなことも叫ばれている折りに、人権蹂躙ということはやりたくないのだとおつしやいますけれども、あなたの御趣旨はその通り活かされて行くというのじやなくて、むしろ心配の私は傾向のほうが多いと思いますから、こういうことはやめて頂きたいと思います。これは将来のことの見通しなのですが、初めは極右のものをやつていた、それに対して極左もやるということは、この二年ほど前から私は入つて来たと思うのです。併しあのときの大きな追放に対してはテキ屋のかたですか、なんかと両方ともおやりになつたように私は考えております。あれ以後は大体極左傾向に、今のお仕事の大体中心と申しますか、右翼のほうはもうやつてしまつたのだから、極左のほうだけ残つているというような形において私は仕事が進められていると思いますが、そこで大体今まで調査された現状のものであるならば、毎年々々殖やして行くというようなことでなしに、届出というような仕事を若し任せずにやつたとするならば、来年も再来年もというようなことになるのだ。今の世情から大体判断されまして、人を殖やさなくてもいいような見通しなのか、或いはこの次もその次も殖やさなければならんというような見通しを立てておられるか。見通しということで大変恐縮でございますが、一応お伺いいたしたいと思います。
  16. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) 只今届出のことでございますが、これは現在ありますところの団体等規正令によりまして届出事務を扱うのは特別審査局になつております。これは人手が足りませんために、この届出事務の取扱いを審査局がやる仕事でございますのを、市町村等の窓口事務に託してやつているような状況でございます。これは今日も仕事自体は審査局の仕事でございますが、これを市町村の他の職員の人にお願いしてやつている状況でございます。これを市町村のほうの希望といたしましても、本来のいわば自分の所の仕事でないものだから、何とか特別審査局のほうでこれはやつて頂きたいというような相当強い要望がございますので、これは本来審査局の仕事でございますから、これはやはり今後特審局で扱つて行かなければいけないのじやないかというふうに考えているわけであります。  今後の見通しでございますが、これは何分にも今後の情勢の変化によりますことでございますが、我々といたしましてこれまでの経過から考えますと、今日よりもつと多くの特審局関係仕事が殖えるのじやないかというふうな予想は持つております。
  17. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほどお話の出ましたように、元の特高警察でやつておつた仕事と幾らか違つておるところもありましようが、大体同じものじやないかと思いますが、私などの記憶によりまするというと、特高警察時代には、その定員というものは、とても今の特審局と比較にならぬと思います。例えば警部級以上の者だけを合わせましても相当多数であり、そのほかに警部補、巡査というような考え加えましたならば、これは莫大な数字によつており、当時における府県庁の警察部のうちでは、特高というのは一番幅をきかしておりましたので、立派な人も人的に選ばれたということもありますが、その職員にしても相当多くの人を使つておりました。仕事の中に惡い部面の活動も今日から考えれば相当にあつたように思います。併し一方本当に立派な仕事をやつておつたということもたくさんあつたわけであります。それを終戦後一般の普通の考え方として、特高というと、何か惡いことばつかししておつたように誤解されている向きが非常に多い。いつか官房長官にも念を押したのでありますが、いい部面はしつかり残して、その当時よりも一層強力にやつてもらわなければならない時代だと私は思う。それが見逃されておる傾向がある。又政府としても一部極右というのは、少し言い過ぎかも知れませんが、私どもとしてはそうじやないかと疑われるくらいに遠慮しておられるかのような感じも与えられておるのであります。戦争中、又戦争前の状況と今とよほど変つておりまするが、減らしていい部面、減らさなければならない部面もありますけれども、又或る仕事につきましては、むしろその当時よりも余計に殖やしてもらはなければならない部面もあるように思うのであります。先ほど成瀬委員からその当時の特高ではどのくらいな人が動いておつたかということについて御質問がありまして、それに対して、いや、今わかつていないというお答えでありました。それは今ここでおわかりにならないのは仕方がないのでありまするが、成瀬委員のほうからも、あとでもいいからその資料を欲しいという御要求もなかつたようで、そのままで消えたような気持もいたしまするが、私といたしましては、これは非常に必要な参考資料であると思いますので、今日でなくても結構でございますから、ちよつと国費の関係のもののみならず、県費関係のものも提出して頂きたいと思います。
  18. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) 今ちようどここに持つております資料のうちから出してもらつたのですが、特高全員が何人という数でございませんが、これは昭和二十年の特高に従事していた職員として一齊罷免を受けました者の数は、四千人でございます。これは一齊罷免者の数でございますから、或いは実際仕事に携つていた者はこのほかにもあるのじやないかと思います。
  19. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それは専従しておつた職員だけじやないのですか。それだけですか。
  20. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) そうでございます。
  21. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ほかの仕事に兼務しておつた全部の数を入れましたら莫大な数に上ると思いますが、それが今日はみな消えていると思います。
  22. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 誠に恐縮ですが、この一齊罷免というものは追放にかかつてやられたことですね。私たち非常に心配することは、私どものほうの知人でも特高においてあなたのおつしやつた人権蹂躙の取調べを受けておられる人は事実あるし、証人でやつてもらうならば幾らでもあると思います。そういう点を非常に心配しております。そうして而も調査される点とか、それはそういう必要はたくさん認めます。併し過去において私は竹下さんがおつしやつたようにいい点もあつたということはこれは認めなければならないと思いますけれども、余りにも痛ましいことがあつたのですから、非常に心配をしている。この点は私は事実だから、今後大いに運営と申しますか、そういう点においては注意もしておいでになると思いますが、今後も厳重に私はやつて頂かなければならないと思つております。そこで特審局仕事は、大体四千名一齊罷免をされておつたのですから、私はこれは戦争中で、而もああいう時代ですから殖えた数だと思つております。やはりもつと昭和六年以前などに比べれば私は少い数じやなくちや嘘だと思います。ですからやはり今戦争中におけるああいう国家総動員法とか、或いは治安維持法というようなものができて、そうして、特高仕事が殖えて行つて、そうして人数が莫大に殖えて来た、そうして戦時立法などの関係で四千人あつた。ですから私は平常に考えて見まして、大体この一千百四十五人というのは大体において私は限界の線じやないか、こう思うわけです。そこでこれを殖やさなければならないというようなまあ御意見に伺うわけですけれども、それについては前の規則であり、又法律の上においては特審局が受付けなければならないことになつておるからそうやるのだ、こうおつしやるのですが、数は確かに人はそうなつておるかも知れませんけれども、まあ世上言われる言葉で申しますと、余りにも員数を殖やされると、何か特高警察の又復活になるのじやないかというようなやはりこうおびえた声もあると思います。ですから私は法律は確かにそうなつておる、市町村の要望もあるかも知れない、私はそれは経費の問題だと思います。ですからそこら辺のところを私はよくお考え願いまして、人員を殖やして行くというようなことについては、非常に慎重にして頂きたいと思います。こういうようなものは本当を言えば、言論とか、或いは結社の自由というものは憲法で認められておる。併しその憲法で認められておりますことをそれを破る人も私はあるだろうと思います。従つてそういつたものを調査しておかなければならないという点は認めますが、余りにもどんどん員数を殖やして行くというようなことについては、法律はこうなつておる、併しこうだというような点で、余り拡大解釈して員数を殖やされないように私はここが限界である、こういう点で実は賛成をして、これを実は修正も考えたいのですけれども、まあそういう意味でどうか今後の取扱について一つ慎重にやつて頂きたいことを心からお願い申上げまして、私の質問を打切ります。
  23. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほど一齊罷免された追放約四千人ということですが、この追放された人は特高事務に専従していた人何年以上という制限があつたと思いますが、それはなかつたのですか。
  24. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) ありませんです。
  25. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それはあつたのじやありませんか。特高専従何年という制限があつたように私記憶しておりますが、そうすると極端にいうと、一日やつても追放……。
  26. 草鹿浅之介

    政府委員草鹿浅之介君) そうらしうございます。
  27. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  28. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。  それでは次に外務省所管に移ります。
  29. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 外務省定員につきまして概要を御説明申上げます。  お手許に差上げました外務省定員の表でございますが、この外務省の構成は現在の外務省の機構でございまして、別に只今外務省の機構の改革も提案になつておるわけでございます。その新機構になりましても、この外務省定員の総数はこの表に掲げましたところと同一でございます。内訳が新機構に伴いまして組替えになるわけでございますが、全体は変わらないことになります。そこで外務本省全体の構成からいたしまして表にございますように、外局の入国管理庁というのがございまして、これは御承知のように外国人の出入国の管理の仕事に携つておりまして、この関係は本来の外務省仕事を多少趣きを異にした点もございますし、又非常に人員を多数要するところでございます。この関係は増減がございません。それ以外の本省の官房その他各局の定員、これを大体平和条約の調印以前の状態からいたしまして、でき得るだけ減員をするように研究をいたしました。ところが又これは頗る時間的に又技術的に複雑な行き方をしたわけでございますが、平和条約も調印になりまして、近く効力も発生するというような段階になつて参りまして、実際上正式の外交関係は再開はいたしておりません。形式上は再開いたしておりませんが、実質上は相当程度外交活動が始まつておるようなわけでございまして、従いまして新らしい仕事か又ここに加わりました。その結果通常の、従来の状態で減員を考えまして、それに新らしい事態に応ずるように、又最小限必要な人員を考慮いたしました。そういたしました結果、差引きが四十九名の減ということでこの減定員ができ上つておるわけであります。それぞれこの内局の一々の数につきましては、これは一々御説明申上げませんが、御要求がございましたなら又追加して御説明申上げたいと思います。大体の考え方は以上のような状況でございます。
  30. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは質疑がないと認めまして、一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩    —————・—————    午後一時三十六分開会
  31. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして大蔵省の部に入ります。昨日連合委員会におきまして或る程度審議をいたしましたが、なお御質疑がありますればこの際お願いしたいと思います。
  32. 上條愛一

    ○上條愛一君 印刷庁の現業庁でありまするが、八千七百五十七名のうち六百三十六名、五%以上の減員になつておるのですが、お尋ねしたいことは、この印刷庁関係仕事のうちで、国会関係の印刷でございますね、これは将来だんだん仕事が多くなりはしないかというふうに考えられるのですが、議会の開催も相当頻繁に臨時議会もあるわけなんですが、この仕事実情は如何でしようか。
  33. 村上一

    説明員(村上一君) お答え申上げます。印刷庁につきましては、お手許資料で御覧頂きます通り、現在の定員が約九千名ございます。八千七百五十七名ございまして、今回の整理によりまして縮減いたします予定の人員が六百三十六名に相成つております。これは主として管理部門人員につきまして予定せられておりますところの臨時事務、それから会計経理事務等が、相等今後事務簡素化されるということを予定いたしておりますので、これらの面におきまして、この程度人員縮減を予定いたした次第でございます。御質問になりました国会関係事務につきましては、現在相当に量はお説のように殖えて参つております。今後ますます増加することが予定せられておるのでございますが、この現業部門につきましては、今回の整理で殆んど実際の整理というようなことはなくて済むのではないかというふうに考えられます。と申しますのは、今回の整理におきましては、御承知のように長期欠勤者につきましては、定員外の措置を全体を通じまして予定せられておりますこと、又九千人の定員でございますので人事の操作上若干の欠員というものがございますわけでございます。それらを勘案いたしますと、実際現業部面にそう負担がかかるというようなことはなかろうかと存じますので、御指摘になりました今後の増加事務等に対しましても、管理面の事務簡素化ということが実際に行われて参りますならば私どもとしては支障ないものとこのように考えております。
  34. 上條愛一

    ○上條愛一君 そうしますと現業員には大体において今回の定員法は及ばないというお見通しでございますか。
  35. 村上一

    説明員(村上一君) 定員減少は現業といわゆる管理面を含めての六百三十六名でございますので、今後実際に整理をいたしますに当りまして、希望者を募ります等々いろいろ具体的な人選をいたしますわけでございますが、従いまして只今のところ現業部門が何名、管理部門が何名というふうにはつきり申上げられませんのでございますが、全体の見通しといたしましては、先ほど申上げましたようにそう現業部門に負担をかけないで済むものとかように考えております。
  36. 上條愛一

    ○上條愛一君 そうすると整理のやはり方法は第一には自発的の退職者を募集するということになると思いまするが、その際に現業部門から相当の退職希望者が出た場合にはどのような御処置をなさるおつもりですか。
  37. 村上一

    説明員(村上一君) 現業部門から後の事務に支障のあるようなそう大規模な退職希望者が出るというふうに只今のところ考えておりませんのでございますが、具体的な希望者の模様等を見ました上で、あとの事務を勿論考慮いたしまして善処いたしたい、かように考えております。
  38. 上條愛一

    ○上條愛一君 国会関係の印刷にいたしましても、議事録等も今少しく我々議員としましては早く印刷して手許に廻るようにして頂ければ便利だと思いまするが、今の現状では議事録その他会議録がもう少し早く手に入ることのできるためには現状でそういうようなことの促進ができる御予定でございましようか。実際の実状は如何でございましようか。
  39. 村上一

    説明員(村上一君) 現状が私どもは決して十分満足すべき状況にあるとは考えておりませんので、御趣旨のように今後ともますます能率を上げることについては鋭意努力いたすつもりでございます。ただ人数の点からのみ能率が増進できるというふうにも考えられませんので、やはり職員の能率向上、或いは熟練の程度の向上というほうにも相当今後重点を置いて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  40. 上條愛一

    ○上條愛一君 それは尤もだと思いまするが、やはり仕事の中心は労働力でありまするので、今後も仕事がますます殖えるという見通しであるのに、人員整理するということでは、国会関係の印刷物も現状よりも改善されるとは考えられないんです。  なおもう一つお聞きしたいのは、切手や葉書類の需要が去年と今年と比較いたしましてどのような傾向になつておりましようか、承わりたい。
  41. 村上一

    説明員(村上一君) 切手や葉書の需要状況につきましては、只今手許資料がごいませんので取寄せまして御返事をいたしたいと思います。
  42. 上條愛一

    ○上條愛一君 それからなおもう一つ、官報の印刷、これは英文の印刷も出しておるんですか。
  43. 村上一

    説明員(村上一君) 英文も印刷いたしております。
  44. 上條愛一

    ○上條愛一君 この官報関係も現在よりもやはり今後は仕事の量が殖えると思いまするが、どのような傾向でございましようか。
  45. 村上一

    説明員(村上一君) 英文のほうはまあ終戦後の状況を見て参りますると逐次ずつと増加して参つております。ただ講和後の状況を予定いたしますと、必ずしも今までのような程度に逐次増加して行くというふうにも実は考えていないのでございます。むしろ或いは相当減少し得るのではないかというふうに考えております。
  46. 上條愛一

    ○上條愛一君 大体私は今お尋ねしたことを以て見ますると、やはり印刷庁の現業の仕事というものは、今よりも減るという見通しはないと思います。まだむしろ国会関係の印刷その他にいたしましても、今少しく改善を要する余地があると考えられまするので、この印刷庁の、現業庁の人員を五%以上に減らすということは無理のように考えられまするが、これは印刷庁の所管のほうで、現状よりもむしろ今後この人員を以て改善して行けるというようなお見通しでございましようか。
  47. 村上一

    説明員(村上一君) 印刷庁につきまして定員といたしまして減少を予定されておりまするものは、六百三十六名でございますが、最近の状況で私どものほうで取調べました結果によりますと、九月一日の現在を以ちまして欠員が約三百名ございます。これは九千名の定員でございますから、普通の状態としてこの程度欠員はそう異常な状態ではないと思うのでございますが、これにいわゆる長期欠勤者、これが数十名ございまして、合計いたしますると三百名を超えるかと思うのでございまして、三百六、七十名になるかと思います。で、六百三十六名のうち半数以上は只今申上げましたように特にそのための出血を要しないものでございまして、従いまして、全体を通じまして九千名に対しまして二百名程度のものになるわけでございます。そこで最初申上げましたように、管理部面の人事、会計事務簡素化というような面から事務簡素化し、定員を縮小するというふうな点に主力を置きますならば、御心配頂きましたような点については、そう大した負担がかからないのでございまして、今後熟練程度の向上、資質の向上というような点に留意いたして参りまするならば、能率も一挙には参りませんが、逐次向上さして成果を挙げて行くということについては、私どもとしても確信を持つておる次第でございます。
  48. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと今の印刷庁の問題でお伺いいたしますが、いわゆる現業員といいますか、職工といいますか、現業員と然らざる人との区別ですね、八千七百五十七名の中でどういうふうになつておりましようか。
  49. 村上一

    説明員(村上一君) いろいろ見方もあると思いますが、大体管理部門が約六百名、現業が八千名、残りが病院でございますとかそういつた部分職員でございます。
  50. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう一度……。
  51. 村上一

    説明員(村上一君) 管理部門が約六百名、現業が八千名、残りの二百名ばかりが病院の看護婦、事務職員等であります。
  52. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、今上條委員からの御質問に対して現業は殆んど整理がないというお話なんですがと同時に現業部門はこれから仕事も決して減らないという場合ですね。実際の整理六百三十六人のうちで、欠員或いは長欠を引いた残りが実際問題としては大体三百人足らずの者が整理されるということになつた場合ですね、現業員の八千人というものは大体減らさずにやつて行くとすれば、管理部門を半減するにような恰好になるのですが、そういうふうな結果になりましようか。
  53. 村上一

    説明員(村上一君) 長欠それから欠員管理部門、現業部門別に正確にわかりませんのでございますが、今お示しのような振分けで参りますならば、管理部門を二割乃至二割五分程度の縮減で行けるのではないかと思つております。
  54. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますとですね、結局仮に管理部門六百人に対して二割五分という場合にこれは百五十人になりますかね。百五十人、そうすると残りの百五十人の整理は結局現業員といいましようか、職工といいましようか、そのほうを切ることに計算上なりますが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  55. 村上一

    説明員(村上一君) 計算上はお示しのようになると思います。併しながら今回行政整理が来年の六月末までに終了する建前になつておりますのでその間これだけの世帯でございますと、自然退職、自然の交替がございます。そういつたもので賄えるのじやないかと思います。
  56. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それに関連しましてですね、そうしますと、この管理部門約六百名、現業部門その他二百とこうおつしやつたのですが、それに対してまだ整理をどうするという、全然何人整理するのだか、この部面で何人整理するのかという具体案はあなたのほうにはないわけだ、こういうふうに思つていいわけですね。それからもう一つには現業には少くとも自然退職はあるけれども、かくかくであるからといつて、ここから一人も犠牲者を出さない、あくまでも自然退職者だけをやつて行くと、こういうふうに了承してよろしいのですか。
  57. 村上一

    説明員(村上一君) 第一点にお答えいたしますが、第一点の管理部門、現業部門、病院等に振分けました場合にそれぞれ部門は如何なる職場で何人を整理するかということはまだ決定しておりません。それから第二点でございまするが、従いまして現業部門につきましては、一般的な見通しを申上げますならば、先ほどお答えいたしました通りでございます。ただ一人も退職者を出さないかということになりますと、これはいろいろ本人の希望なりその他を問うておきませんと、今一人も出ませんというふうなお答えはいたしかねると思います。
  58. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どうもあなたのおつしやることは矛盾があると思うんだ、方針は大体出さない方針かも知れませんが、決定をどうもしておらないと私は思うわけです。そうして現業では出さないのだ、併し希望退職、自然退職はなかつたらそれはやるのだ、而もそれは六月までと云々とおつしやるが、三月までに一応の目度もある、もう少しそこを私は明瞭にして頂きたいと思います。そうでなかつたらこの六百三十六人のうち欠員が三百名もあるから、三百三十六名で僅かだからどうでも何とかなるというような甘い考えでは、私らは納得が行かないと思いますから、きまつているのかいないのか、きまつていないとするならば方針はどうだ、現業はやらんという方針があるなら、それは私はもう一度ここで明確にして頂きたい、重ねてお願いします。
  59. 村上一

    説明員(村上一君) 具体的にはきまつておりません。そこで方針といたしましては行政整理趣旨に従いまして管理部門に重点をおいて整理をいたしたいと思つております。ただ個人の希望でございますとか、その他を取ります関係上、管理部門については一人も退職者かないということは今申上げかねると思うのでございます。
  60. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が聞きたいのは現業のことを聞いておる。管理部門二五%やるならば現業を五%やるのかやらないのか。やるとか、やらないとか、ここを私は明確にお答えが願いたい、こういうことを要求しておるのです。あなたの答えは、現業のことについては全然触れていない、その点をどうするのだということを方針として私は明らかにしてもらいたい。こういうことを要求しておるから、要求しておることを一つ御答弁願いたい。
  61. 村上一

    説明員(村上一君) その現業何%、管理部門何%というふうに今予定はいたしておりません。従いまして現業は全然やらないというふうに今きめておるわけではございません。ただ見通しは先ほど申上げますように、長欠、欠員等の状況を見ますと、今後の現業の事務能率に影響する程度にそこに負担がかかるというようなことはないと思う、かような答弁を申上げておる次第でございます。
  62. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、まああなたのお考えを私のほうで了承すると、六百三十六名のうち三百名の欠員がある、従つて三百三十六名はなし崩しで大体行ける、希望退職者を募つて行けば大体それでやつて行けるのじやないか、こういう大体の肚であるのか、そういうふうに了解して差支えないかどうか。
  63. 村上一

    説明員(村上一君) その自然退職は人数の関係からいいましても、又仕事性質からいいましても、御承知のように現業部門が圧倒的に多いわけであります。併しながら又管理部門についてもさようなものが若干ながらあるわけであります。そこで九千名の定員に対しまして三百名ということになりますと、今後の希望退職或いは自然交替というようなことで大部分が行けるのではなかろうか、そのような見通しを持つておるわけであります。ただ具体的な職場につきましてまだ検討いたしておりませんので、その結果がはつきりどういうふうになるかは今申げられないと思います。
  64. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は今度の大体政府がやつておる方針を見ますと、一応いろいろなことがありますけれども、大体管理部門ではいわゆる庶務会計的なものでは何人、現場関係では何人というような、一応の率があつて割当てられておると思います。従つてあなたのほうにも私はそういうふうでこれを印刷庁一括して何人ということは渡されておるかも知れんけれども、少くともあなたのほうが折衝される場合には、これじや困る、或いはこれならば呑めるという場合には、逐一私はそういう検討の上に立つて私はやられたものだと、こう了承するわけです。又それをやるのが当局者としては当り前だと思うのです。そこでどうもあなたのお答えを聞いておりますと、さつぱりまあ何とかなし崩しで行くのだ、それでいいのだ、こういうような私は甘い考えだと思う。少くとも責任ある人は、これで仕事がやつて行けるかどうかという点と、それからもう一つは、職員が私は一人でも首を切られるというようなことについては、生活が脅かされるというようなことについては、私は、あなたはそう軽々しくは考えておいでにならないと思う。ですからどうするのだという点ですね。具体的方針はないのだと、大きな方針で言えば何とかなるのと、これでは私はなし崩しの方針しかないと思う。なし崩しにずるずるべつたりで行くという方針しかないと思うのですから、そういうようなのか、ここでは言えないのだけれども、何かこの数字について検討されておる、一応六百三十六名というものが妥当だというような、そこにあなたのほうに理論的な根拠と申しますか、仕事をやつて行く上において完全なる自信があるというような点で、もう少し私は具体的な数字と申しますか、そういうものを要求したいと、こう考えるわけですが、これは何遍押し問答しても同じようなことになるのですが、もう一度私はそちらの態度を明確にしておきたいのは、方針は全然立つておらん、方針が若し立つておるとするならば、それはなし崩しで行くのだと、まあ何とかなるだろう、こういう方針しかない。こういうふうに私は了解するよりほかはないのだが、それでよいかどうか、その点を明確に一つ御答弁願いたいと思います。
  65. 村上一

    説明員(村上一君) 先ほど申上げましたように、今回の定員縮減は、できるだけ内容的に洗つて行つたものでございます。従いまして、管理部門につきまして、人事事務、それから会計経理事務、庶務的な事務、そういつたものを極力縮減するという建前で、どの程度削減できるかということを検討したわけでございます。ただ事務がどの程度縮減した場合に、何人きつちり数字的に減るかということは、必ずしも数学的に正確に出ないと思うのでございますが、一応の目安といたしまして、管理部門につきましては、二割乃至二割五分程度の縮減は可能であろうと、かように考えた次第でございます。現業につきましても、八千人の世帯でございますから、先ほど来申上げましたように、絶対にこれを退職者は出ないというふうに明言することはできないと思いますが、八千名につきまして、先ほどの数字を用いますならば、二百名足らずの人員でございますので、今後の自然退職もございますし、又特に本人の事情で希望されるかたもございますし、具体的にどの職場で何人というふうな検討はまだいたしておりませんけれども、全体の見通しといたしまして、その程度の人数でございますならば、印刷庁全体としての業務運営に支障はないものと、かように考えておる次第でございます。
  66. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、若し仮に管理業務のほうで全然希望退職者がなくて、現業だけで希望退職者があつたとする、そうしてこれだけの六百三十六名の員数になつたとするならば、もうそれであなたは整理はできたものと、そういうお考えであるのか。
  67. 村上一

    説明員(村上一君) 希望退職者の数は、具体的にはこれから申出を聞くわけでございますが、極端に、例えば希望退職者が全部現業部門でありますとか、或いは管理部門に大部分ありますとかいうことでありますならば、私どもとしては、今後の印刷庁の事務運営ということを考えまして、その間の調整を図る必要があるのじやないかと思います。
  68. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その調整を図るという点だが、あなたはその仕事を一番よく知つておられるおかただから、大体現業部門は何人なければ業務がやつて行けんという目度があると思うのです。だからその目度をどれだけに押えておられるか。それで員数が、若し仕事の能率ということにおいてこれだけでやつて行けるという員数が出て来た、それから管理部門のほうで言うならば、会計とか或いは人事、そういつた庶務関係において事務整理を行うことによつて何人やることができる、その員数が即ち六百三十六名だと、こういうふうに私たちは了承せなければならんと思う。だから、どうもあなたのお答えを聞いているとわけがわからなくなつてしまうから、もう一度そういうかたよるようなことはないのだろうか、調整すると言つておられるが、そうではなくして、管理部門で何人、現業で何人、その他で何人、若しそれ以上の退職者があるならば、例えば現業で退職者が六百人も出たというならば、私は欠員の補充というものをせられると思う。ですから、一応の目度というものがあつて然るべきだと思う。そうでなければ、この六百三十六名というのは大ざつぱにひつくるめた何%とかいうような算術的な数字としか思えないと思うのです。そういうふうじや今度はないと思うのだから、どうも納得が行きませんから、もうたびたびこのようなことを繰返してあなたに御質問するのは実は不本意でございますから、今度一つ一言で納得の行くようなお答えが願いたいと思うのです。
  69. 村上一

    説明員(村上一君) 管理部門と現業部門、両方につきまして、これだけまでは減少しても事務に支障がないという人数を数字的に出すことは、非常に困難かと思うのであります。ところで先ほどの六百三十六人というものを基礎にいたしまして、それから長欠と欠員とを差引きまして、更に管理部門現業部門を分けました場合に、一番負担のかかる場合に、現業部門にそれではどれだけ負担がかかるかということを私どもといたしては検討いたしましたわけでございます。その数字は今後の長欠その他で多少は動きますが、大体最大限二百名足らずというふうに見ておるわけでございます。そういたしますと、現業部門定員八千名に対しまして、その程度仮に負担がかかりましても、事務運営の点からいえば支障なきものというふうに考えておる次第でございます。又退職者ということになりますと、自然退職者もございますし、又本人が希望する向きもございましようし、全体の見通しとして支障がないのではないか、かようなことを申上げておるわけでございます。
  70. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どうも納得が行かないわけですが、あなたのお考えだというと、私はあなたが印刷庁の仕事をやつて行かれる責任の地位にあるおかただと思う。或いはそれを補助されておる非常に大切な地位におられるかただと思う、責任のあるかただと思う。その場合に、何か現業部門でこれだけの人がなければやつて行けない、管理部門でもこれだけはなければやつて行けないという最低の人数があると、こういうように私は考えているのですが、そうではなくて、あなたのほうでは何人あつても人の員数に合せて適当にやつて行けるのだと、こういうお考えに立つているのですか。もう一度念を押さなければならんことになつて来たから、そういう点についてお考えを承わりたいと思う。
  71. 村上一

    説明員(村上一君) 逆にお答えしたほうがよいのかと思いますが、要するに、先ほど来申上げておりまする現業部門に対して二百名の定員縮減という数字は、あなたのおつしやるお言葉を使いますならば、つまり事務運営に支障のない最低限度というものに達しない数字であるというふうに考えておる次第でございます。
  72. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、事務運営に差支えないというと、もつと切れるというのですか。逆に言うならば二百名ではない、もつと定員を減らしてもよいのだと、こういうお答えなんですか。
  73. 村上一

    説明員(村上一君) その減らしてもよいという意味は、どういう意味で減らすかによりますが、私の申上げておりますことは、この程度定員縮減をしても事務運営に支障がないということを申上げておる次第であります。
  74. 上條愛一

    ○上條愛一君 簡単に最後に御質問したいのですが、私が先ほど質問いたした場合には、印刷庁の仕事は現在よりも殖えるという見通しがあると、こういうお話でありましたから、それでは現業員を殖やしてもつと改善してもらいたいという希望もあるのにやつて行けるかという質問に対しては、今度の人員整理は現業に及ばずして主として管理部門整理して行くつもりだと、こういうお話だつた。ところが楠見さんからの御質問で、現業員と管理部門との人員をお聞きしたらば、管理部門は六百人であつて、現業部門が八千人だ、こういうことであつたから、それでは六百人のうちから六百三十六名のものを整理するということに理論上はなる、こういうことになつた。そうしたらばあなたは今度は六百人の管理部門と八千人の現業員のうちで欠員が三百人ある。それから長期欠勤者が若干ある。だからして約三百人足らずの整理になる、こういうことになつたわけです。それでその三百人足らずの整理のうち管理部門は二五%程度整理したい、こういうことになつて、人数は百五十人程度になる、こういうことが明らかになつて来たので、従つて結論としては、それでは現業部門も百五十人程度は減員するということが現われて来たわけなんです。そこで私として御質問したいのは、先ほど私の質問に対しては、現業部門整理せずして管理部門だけでやるつもりだ、こういうお話であつたが、結局の結論としては、現業部門も百五十人程度整理するというお考えですか、どうなんですか。
  75. 村上一

    説明員(村上一君) 先ほどお答え申上げましたことは、要するに六百三十六人という総数が出ておりますが、これは整理性質としては、管理部門を主として整理するということを申上げました次第でございます。そこで絶対数ということから申上げますと、これは先ほど楠見委員にお答え申上げたように、管理部門の六百人に対しまして、現業部門は八千人でございますから、絶対数は六百三十六名というものを、長欠の人数ははつきりわかりませんけれども、管理部門だけで賄いまして、現業部門に及ばないというような御答弁を申上げたわけではないのでありますが、整理の内容といたしましては、管理部門を、人事会計事務等整理をいたしまして、その点に重点を置いて整理をしておるというわけでございます。これを例えて申上げますれば、九千名に対しまして六百三十六名と申しますものは七%ぐらいに当るわけでございますが、そこで然らば管理部門七%、現業部門七%という定員縮減を行うかと申しますと、そうではないのでございまして、内容の性質仕事性質考えまして、管理部門に先ほど申上げましたように、二割乃至二割五分の定員縮減を行いたいというわけでございます。従つて現業部門に対しましては、せいぜい定員の上におきましては、行いましても二%程度にとどまるこういうふうに考えておるわけであります。そこでその二%を定員として縮減いたしました場合につきましても、私どもとしては、その程度であれば今後の印刷庁の業務運営に支障がないものと考えておるということを申上げておるわけであります。
  76. 上條愛一

    ○上條愛一君 それでは結論として百五十人程度は現業にも及ぶということになりますね。但し及んでも仕事の上には差支えない確信があるということですね。
  77. 村上一

    説明員(村上一君) その百五十人の人数は、今後やつて見ませんとはつきりいたしませんが、要するに現業は全然退職しないということは申上げられませんので、或る程度退職することはあり得るわけでございます。
  78. 上條愛一

    ○上條愛一君 私の聞いておるのは、退職者があるかないかということではないのでありまして、結局結論としては、管理部門の六百名のうちから百五十名程度減らす以上に減らして、一体管理部門のほうが仕事がやり得る御確信があるかどうかという問題です。管理部門のほうが百五十名程度でおかないという仕事に差支えるということであれば、結局百五十名は現業部門から出さざるを得ない、こういうことになるわけですね。だからしてそれは退職希望者があるかないかというようなことは余り問題でない。結局結論としては、百五十名の現業員を減らさなければならんということになると私は思うのです。そこで私は先ほどから聞いておるのは、印刷庁の仕事というものは、いろいろ具体的にお伺いした場合に、現在の仕事より減るという見込みは立たんわけですね。そこで私の聞いたことは、そういう仕事はますます殖えるのに、現業部門の首切りをして仕事が満足に行くかどうか。殊に数十名が長期欠勤者だというが、これは印刷関係は印刷庁だけでなしに、結核患者が多いということはこれは一般の産業の性質なのであります。そういう結核患者がたくさん出ておる現状において、なお現業員も首を切つて仕事の量は減らないというのに、これは労働過重にならずにやり得るというお見通しがあるかということをさつきから聞いておるわけなんですが、これ以上議論いたしましても議論になると思いますから、この辺で私の質問は終ります。
  79. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 現業で百五十人という一つの想定が出て、今上條委員から言われておりますが、欠員が何名あるかということがわからんと、こういうふうにおつしやつておりますが、欠員が三百名ほど総計ではあるようですが、管理部門で三百人あるわけでは私はないと思う。やはり現業のほうに、その三百人は私は非常に多いと思う。そうしますと管理部門でどのくらいあるのかわかりませんが、一割にしましても六十人だと思います。あと残りの二百四十人に、今いう百五十人と申しますか、或いは二百人になるのか、それだけやはりここで現業で整理されて行く人は、希望退職とか何とかいうことは別個として、とにかく整理される員数はやはり四百乃至五百に近い数字なのか、こういうことに私はなると思う。ですから百五十人というふうには私はならないと思います。だからここの説明資料の中にもありますように、現業部門事務量が増加するので整理の余地は少い、仕事は増加するし、整理の余地は非常に少い、こういうことになるのですが、結論的に申しますと、私はやはり整理をされる人が相当数になると思う。ですから欠員が何名になるかというようなことを調べていなくて、こういうことをやられるということは、あなたがたの事務は非常に怠慢だと思います。ですからもう一遍とは申しません。一遍で済むかどうかわかりませんが、結論はあなたのほうとしては見当はどのくらいにつけておるか、全然わからんのか、大よその想像では、管理部門がどのくらいで、現業部門がどのくらいかという大よその想像はできないのですか。
  80. 村上一

    説明員(村上一君) 結論は先ほど申上げましたように、印刷庁全体として約三百名あるわけなんです。ただそれが、申上げましたのは、管理部門と現業部門は別に出ていないわけです。ただ全体の大勢を見るならば、大体定員の割合に比例しておるのじやなかろうかと、こういうふうに考えておるわけです。余り正確に区分して長欠者を振り分けたものがないわけであります。
  81. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、実質的にはやはりまあ管理部門の六百人のうちの二五%を落すとして、百五十名、それから二百人のその他の部門は全然ゼロなんですね。ゼロのつもりですか、ここからも少し出すつもりですか、欠員は別としてですよ。
  82. 村上一

    説明員(村上一君) 病院関係約二百名ありますが、その中にも若干事務がございます。事務職員が七、八十名あると思うのでございますが、これについては一般と同様に人事事務、会計事務というものがあるわけでございます。そこからも若干は今回の管理部門と同様の趣旨を以ちまして整理するつもりでございます。
  83. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、これで欠員があるとかないとかいうことは全然別個として、とにかく定員が六百三十六名落ちるのですから、仮に管理部門から二五%にすれば、これが大体百七十人になると思います。百七十人というものを管理とその他で落す。ですから六百三十六名から百七十名を取つたところの四百六十六人というものは現業から結局やる、こういうことになるのですか。
  84. 村上一

    説明員(村上一君) 定員管理部門、現業部門というふうにはつきり区分して融通のつかないようなわけではございませんが、振合わした場合の定員としては、現業からもおつしやる程度は縮小することになると思います。ただその場合長欠、それから欠員等は先ほど申上げましたように三百数十名のうち大部分がまだ定員の割合であると考えますならば、現業員が多いわけでありますので、実際の出血はそうなるのじやないかと私は先ほど言つたわけであります。
  85. 楠見義男

    ○楠見義男君 この問題は、こういうふうなことを明らかにすれば、問題の所在というか、検討がしやすいと思うのでありますが、六百三十六名を欠員にされた根拠を一つお伺いします。そうすればだんだんわかつて来ます。
  86. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 行政管理庁の一般的な方針に従いまして、印刷庁につきましても、管理要員につきまして二割五分見当、現業職員につきましては五分見当、大体かような基準で整理案を立てております。病院等につきましては、例えば事務職員も数が少いことでありますので、管理職員でありましてもやはり一〇%程度でとどめるというような調整をいたしておりまして、基本的な方針行政管理庁方針に準拠いたしておるわけであります。
  87. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと管理要員六百人に対する二五%、百五十人、それから八千人に対する五%、四百人、それで五百五十人になるのですが、残りの八十六人というのは病院その他から切るわけですか。
  88. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 大体そのような内訳になつております。
  89. 楠見義男

    ○楠見義男君 病院のほうは八十六人も取れるのですか。
  90. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今大体の計算の方針を申上げましたが、詳しく内訳で申しますと、管理要員が百三十六人でございます。それから現業関係が三百九十六人です。それから病院関係事務関係が八人、その他が三人でございます。  そこにもう一つ附加えて申上げなければならないことは、以上の合計が五百四十三人でありますが、本省関係その他大蔵省内部の各部局の割振りを考慮いたしまして、若干の調整流用をいたしました結果、ここにございます六百三十六人という数字が出ているわけでございます。本省関係における流用と申しますのは、大蔵省から部外に相当の員数が派遣されておりますが、それらの中には、今回の整理によりますと、相当縮減する役所も少くないわけでございまして、そういつた役所から帰つて来る人の数を考慮いたしまして、本省全般につきまして只今申上げましたような調整を加えました結果、ここに出ておりますような数字になつているわけであります。
  91. 上條愛一

    ○上條愛一君 今の内訳を聞きますと、印刷庁のような現業庁を中心としたものに対して、今御説明を聞くというと、管理部門の二五%とそれから現業庁の五%という大体の標準よりも以上の人を六百三十六人というふうに以上の減員をするという案になつているのでありますが、これは非常に御無理な案ではないかと私は思います。一般の標準よりもなお以上の、こういう現業庁の仕事が多くなるという見通しをつけている印刷庁のごとき現業庁に対して、標準よりも以上の首切りを見込むというようなことは、非常に御無理じやないかというふうに私は勘案いたします。併しまあ如何にここでくどく申上げてもこれは解決がつきませんからこの辺で私は打切ります。
  92. 楠見義男

    ○楠見義男君 実は連日こういふうに朝早くから夜遅くまでやつているのは、それぞれの事務についてその事務の軽重繁閑の度合を検討して、この程度整理が妥当であるかどうか、或いはなお整理の余地がないかどうか、或いは整理がきつ過ぎやせんかということを一々克明にやつているつもりなんであります。ところが今お説のようにほかの部面の整理の尻拭いをさせられているようなことになつて来ると、これはまあ我々の今申上げた審議の何から行くと実は非常に困るわけなんですが、大蔵省にはそういうものがほかにありますか。
  93. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今印刷庁と造幣庁でございますが、これは多少この際附言さして頂きたいと思うのでございますが、大蔵大臣が部内における職員の適正配置を考えますと、そこに例えば印刷庁における事業計画の将来の推移を考えますと、千円札がでまして、五百円札が出る、或いは五十円札が出るというようなことによりまして、印刷の総数量は従来よりも減つて来るというような事情もございましようし、又造幣庁について考えましても貨幣の資材でありまする鋼とか、そういつたようなところから関係して事業計画を縮小せざるを得ぬといつたような場面も出て参りまして、そういつたような点も併せて考慮いたしまして、大蔵省全般として事務がより合理的に参りますようにという観点から、極く僅かな程度の調整をいたしまして、大蔵省全体の行政整理を円滑に実行しようという趣旨から出ているわけであります。行政管理庁で一般的にお持ちになつておりますところの五%、二五%、それを著しく上廻つているわけではございません。このぐらいの調整は却つて全般の整理を円滑に実行する上におきましては必要であるという観点から、そういう道も開かれているわけでございます。そういう観点から私どももそれをお願いしているわけであります。その点について何とぞ御了承頂きたいと思うのであります。
  94. 楠見義男

    ○楠見義男君 その点で実は先ほど文書課長のお答えになつた点と、それから今官房長のお答えになつた点に多少差違があるように思いますので改めて承わりたいのですが、今森永官房長が言われたように、印刷庁の仕事は将来こういうふうにだんだん減つて行くのだとか、そういうようなことで現業員が減るならこれは私は当然だと思います。ところが先ほど森永官房長がお見えになる前に上條委員からの御質問で、現在の、例えば国会の議事録等も遅れがちだ、これはもつと能率を上げると同時に早くやつてもらわなければいかん。或いは又葉書とか、切手類とか、こういうものの印刷数量というものは将来殖えることがあつても減らない。そこで文書課長のお話は、非常に苦しいけれども、そういうまあ百人か百二、三十人のものならば、何とか全体の運営上やつて行けやせんかと、こういう御答弁であつたわけであります。ところが今の、官房長のお話で行くと、将来の事業分量が印刷庁の業務企画の上からいつて減るということのようなふうに感ぜられたのですが、その点どういうことなのか、明らかにして頂きたいのです。
  95. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 私が申上げましたのは、そういう今般の仕事の按配を大蔵大臣が考慮してこういう案を作つたということを申上げたわけでございまして、印刷庁の事務の絶対量が減るというふうには必ずしも考えておりません。五%現業部門が減ることによりまして、能率を上げなければ、どうしてもその事務を処理し切れないということにはなつておるわけでございまして、絶対量として減るということを申上げたわけじやないのでございます。そういつたような事情考えまして、この程度のことならば何とかやれるのじやないだろうかという能率増進に期待を持ちつつこの程度の調整を実行したい、こういうふうに御了解頂きたいと思うのであります。
  96. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 森永官房長は私はよくわからないが、あなたな造幣庁乃至印刷庁のことを非常によく御存じですね、文書課長よりあなたのほうがよく知つておるような調子でございますが、こんなことに自信満々ですが、実際よく御存じなんですか。
  97. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 文書課長のほうが詳しいかも知れませんが、私も官房長といたしまして一通りのことは心得ておるつもりでございます。
  98. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 九十三名のしわ寄せは恐らくその印刷庁乃至造幣庁の人が……造幣庁にもこういうふうにやつぱり押しつけておるのですか。この点楠見委員からの御質問に御答えがなかつたのですが、どのくらい押しつけておるのですか。
  99. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 押しつけたといいますと非常に語弊があるのでございますが、調整いたしました数が二十三人でございます、造幣局の関係で……。
  100. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは私が少くともこの造幣庁乃至印刷庁というのは私はやはりどう考えて見ましても私は現業がかつておると思う。又もつといえば現業だといつてもいいと思うのです。だからこそ今度の併し仕事を減らす場合には管理部門に二五%というような大きな数字をやつておるわけです。現業五%というような非常にぎりぎりのところまで来ておるから、この%を下げてやられるのが政府方針だと思うのです。ところが大蔵省はそうじやなくて逆に管理部門の人数はここへ出しておきまして、それの尻拭いをしてこういう現業部門に押しつけるというのは、政府方針とはまるで逆に行つておるのです。どう考えても森永官房長はやはり造幣庁とか、印刷庁の味方じやなくて、これは一つつてやれというような誠にけしからんことだと私は思う。実際問題としてこの九十三名を一つのこの%にしたのですが、この九十三名はあなたはどこから首切つて行くつもりですか。管理部門の百三十六人を、このうちから九十三名のうち五十人をこつちに持つて来て、管理部門をどういうふうに九十三名をさばくのか、そういうことまで考え文書課長は全然計画がないといつておる、わからないといつておる。あなたが逐一ここはこうだと指図をしておられるようだからあなたにお聞きしたいのは、今度は百三十六名、百三十九名、六名というふうに分けられたのですが、どういうふうに割当てられるのですか。どういうふうに指図をしておられるのか、お聞きしたい。
  101. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) この法律によりましてきまります新らしい新定員に基く部門別といいますか、課別といいますか、そういう新定員がまだ印刷庁のほうで折角策定中でございまして、まだ決定をいたしておりませんが、今回のこういう原案にいたすにつきましては印刷庁当局とも十分相談をいたしまして、印刷庁の行なつておりまする業務の全般の状況考えつつこの程度のことでございましたら、能率を増進することによつて、何とかやつて行けるのじやないかということでここに落ちついたわけでございまして、例えば管理部門と申しましても本庁にも管理部門がございますし、各工場の中にもどちらかというと事務的な仕事をやつておる現業員もおるわけでございますが、そういつた全般の状況を印刷庁長官が十分勘案いたしまして、この程度なら印刷庁の業務運営を遺憾なく円滑にやつて行けるのじやないかということで、そういう結論が出たということをお答えいたしたいと思います。部門別の新定員はまだ実はきまつておりませんので、その点をお断わり申上げておきます。
  102. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この程度でやつて行けるというのがあなたの結論ですか、造幣庁か印刷庁の結論かどちらですか。
  103. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 造幣庁、印刷庁と十分相談いたしまして大蔵大臣の出した結論でございます。
  104. 楠見義男

    ○楠見義男君 今回の整理で各省庁の間において抵抗力の強いところ、弱いところがある。或いは要領のいい大臣があり、要領の惡い大臣があるということが公聴会でも述べられたのでありますが、私もこういうところに大蔵大臣の要領の良さというのか狡さがあるのかということを、変な筆法から感ずるのですが、今の印刷庁の九十七人とか、造幣庁の二十三人とか、合計すれば百二十人になりますが、こういうのは大体本省の整理のしわ寄せをここへ、こういうところに持つて来ておるのじやないかという疑惑を持ち出したのですが、一体頂いた大蔵省資料で本省の内部部局の実際の整理、血の出る整理というものはどういうふうに今予定されておりますか。
  105. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほどちよつと申上げましたのですが、この百二十人は主として省外の他の各省等において人員が縮小される場合にその引取りに充用するといつたような、大蔵省全体としての調整定員という考え方でできておるわけでございまして、これを含めました大蔵本省の整理定員といたしましては、資料に差上げてございます二百十二人の減員ということになつております。
  106. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これではつきりしたわけですが、現業部門は事業量が増加するので整理の余地が少いのだ、こう書いた説明資料は嘘であつて……このことは確認して置かなければならん。嘘であつて、やはり内閣の基準の現業五%はやる、それ以上に印刷庁は九十三名、それから造幣は二十三名のプラス・アルフアがくつついておる、こういうふうになるのですね。
  107. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) この資料に書いてございます現業部門として整理の余地が少いということは、まさにその通りでございまして、ですからこそほかの一般の整理率が例えば一割とか二割とか三割にもなります場合に、五%ということになつておるわけでございまして、大蔵省におきましては、その五%が六%になるというぐらいのことはあるかも知れませんのですが、ここに書いてある通り整理の余地が少いからこそ整理率は少くしてある点には間違いないわけでございます。
  108. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の言うのはそうじやないのだ、グランド・ルールとして大体管理部門は二五%、現業は五%というのが今度のこれを見て大体出て来るわけだ。だからそれの私は整理の余地は少い、五%よりも非常に少い、そういうふうに実は了解しておつたのです。ところがあなたのほうはそうじやなくて、そのグランド・ルールというような、そういう他の現場は比較して少くなつている。あなたのほうは他の現業面よりも余計首切るのだと、そういう結論になつている。こういう点を確認したい。
  109. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 五%なり、二五%というものは大体の目安でありまして、恐らくそれがそのまま画一的に適用されているのじやないんじやないかというふうに私は想像します。国鉄とか専売、これは公務員外でございますが、その他の官庁につきましても、大体の目安としてはこういうものが持たれておりますけれども、実際出て参りました結論は、その部局の特殊の事情によりまして若干の増減はあるのじやないかと思います。ここに書きました気持は一般的原則として現業部門はほかよりも整理の余地が少いという原則を繰返したつもりで実は書いているわけでございますが、若しこれが誤解のもとになつているようでございましたら、文章の書き方が実は意を尽していなかつたわけでありまして、現業部門のここに書いてありますつもりは、そういう特殊性を謳つたということでございます。
  110. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 森永官房長はこういうことについて全部当られて、あなたは他の現業のパーセントはそうなつていないのだろうと、こうおつしやると思うが、私が調べたのとあなたと全然逆の結論が出て来る。大体現業はグランド・ルールの五%でみんな来ている。そうじやないというのが若しあなたが調べられて若しあるなら具体的な例が示してもらいたい。
  111. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 大蔵部内では現業に類するものとしてはほかに専売があるわけでございますが、……。
  112. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 専売は違うのだろ。
  113. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) いや専売につきましてもやはり同じような事情にあるわけでございますが、その決定の経過を振返つて見ますと、大体の気持といたしましては五%、二五%ということが頭に置かれて案が出て参り、又それが査定されるという経過になつているのでございますが、出て参りました結論はそれに対して若干の増減がある、そういつたような私自身の経験がございましたものでございますから、原則はそこに置かれつつも、実際出て参りました場合には必ずしもそうなつていない場合があるということを申上げたのであります。
  114. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 特別な位置にあるというなら私はわかるのです。位置にあるのですから……。公共企業体のそういうものは別として、一応そうじやないものはやはりグランド・ルール五%でみんな来ておるわけです。そういうものが多い。特別なものはあるけれども、私は全部がそうだと言いませんが、殆んどが五%で来ているという点と、それからもう一つ、これ以上突込んで見たところがしようがなし、お答えも出ないと思うのですが、文書課長のいわれたのは、私はこういうふうに現業を五%切つてしまつて三百九十六人だというようなふうに出してしまうと、非常にあとのいろんな事務折衝とかいろんなことをやつて行く場合において非常に困難なものがあるから、決定をまだ見ていないのだ、このことはまだコンクリートされていないのだとこういうふうに実は了承したいのです。そうではなくて森永官房長の言われたように若し決定しておるというのなら、文書課長はそういうことを知らないと言つた言葉は、この九十七名と二十三名をこれから割振つてプラスせんならんから、それできまつておらんと言われたのか。その点は一つ明瞭にしてもらわなければならん。そこでまあ私はこういうふうに実はしたいのだ。文書課長の言われたように、例えば現業に、三百九十六名にプラス、アルフアがあるから決定ができないのだ。だから結論的なことが言えないのだというふうじやなくて、希望退職とかいろいろなものを見つつ、とにかく何とかして強制退職めいたことのないようにしてやつて行く。ですから少くとも現業関係とか何かに、或いはその他というようなところにおいては強制退職めいたことは一つもないのだというふうに、文書課長も努力し、森永官房長もそういうふうに努力して行きたい、こういうふうで結論が出て行きたい、出て参るのだ、こういうふうに了解し、今後の造幣庁なり印刷庁の整理もその大方針に基いてやつて行かれる、こういうふうに了解したい、こう思うわけです。
  115. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 九十七名なり二十三名なりは、調整いたしましたもので定員法が提案されておるわけでございますが、実際に整理を実行して参ります場合に、例えば管理部門と現業部門との整理の比率をどうするか、これはやはり現業部門をできるだけ減らさなければならぬと思いますが、そこで管理部門が二五%上廻るとか何とかいうようなこともございましようし、そういつた運用上のいろいろな問題はあるわけでございますが、そういう部門別の定員の割振りはまだ実はきまつていないのでございます。その点を先ほど文書課長が申上げたのだと思うのでございます。それから整理の実際のやり方については、只今お話もございましたように欠員状況、病欠の状況等を考えますと、そう苦しい整理ではない。而も長年勤続いたしました老齡の職員で、退職希望をしております者も相当程度あるようでございまして、現実の問題として、自己の意に反して失職し、路頭に迷うというようなものはできるだけ起らないように、非常に円滑に整理ができるのではないかという期待も持つておりますし、極力努力をいたしておるわけでございます。
  116. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうではなくて私が言いたいのは、その三百九十六名はもう決定してしまつているというふうじやなくて、百三十九を含めて一応目度としてやられていますが、併し何とか、病欠も三百人もあることだから、何とかしてその長欠と希望退職だけで何とかやつて行きたいというような気持でこの整理が行われるものだ、そういうふうに了解したいし、そのほうに私はやつて頂きたい、こう思うわけです。
  117. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) その点も含めまして、実は現業部門管理部門の新定員、従つて何人整理しなければならんかということをまだ実はきめていないわけでございます。今後長官とよく相談いたしまして、むしろ長官が部内の情勢をよく勘案いたしまして、整理が円滑化するように部門別の定員もおきめになりますし、整理の割振りも行われる、さようなことになるわけでございます。その意味ではお説の通りだと思います。
  118. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この九十七名と二十三名というものは、どこまでも確定ではございませんでしよう。若しこちらのほうで希望退職が多ければ、押しつけられる数が少くなる、こういうことでいいのですね。
  119. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 九十七とか二十三を調整いたしましたものが定員法として提案されておりますから、ここに提案されております印刷庁の新定員、全体としての新定員は、これは決定で働かないわけでございます。それを実行して参ります場合に、管理部門と現業部門の割振りをどうするかというような問題は、今後の問題でございまして、その点はまだきまつてないわけでございます。
  120. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それではちよつと納得できない。
  121. 楠見義男

    ○楠見義男君 大蔵省を代表して或いは大蔵省のために省外に出られたかたを受入れるための態勢を作ること自体は、私は反対ではなくて、むしろその人たちのために賛成なんですが、そこで非常に細かいことを私申上げるのですが、そういう人をカバーするために、例えば印刷庁になつておるとすれば、印刷庁とか、造幣庁とかいうものが本省と区分されておるのですが、その省外に出られたかたは恐らく本省にお帰りになるかただろうと思うのですが、そうすると一応印刷庁勤務ということになつて、それで本省兼務というような恰好になるのですが、今私は実は細かいことを知らないのですが、最近は兼務というものを認めないということらしいのだが、印刷庁もやはり大蔵事務官というのですか。
  122. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 印刷庁も造幣庁も大蔵事務官でございます。でございますが、多少話がこんがらがつておるようでございますが、その百二十名は調整をいたしまして、本省のほうの定員の中に移しておるわけでございます。従いまして、印刷庁で本省を兼務というような形にはならないと思います。
  123. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると又おかしいのですが、九十七名を加えて六百三十六名に整理をして、そうして八千百二十一名になつているわけですね。
  124. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) そうです。
  125. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると九十七名余分に取つた分だけは本省で殖えるわけですね。
  126. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) そうです。
  127. 楠見義男

    ○楠見義男君 それでは国税庁長官にお伺いしたいのですが、極めて簡単なことなのですが、昨日所得税関係で申告制度がだんだんと馴れて来て、従つて事務的にも能率化が期せられたというような御説明を伺つたのですが、同様のものが他の税関係で若しあれば参考のためにお伺いしておきたいと思うのですが。
  128. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 昨日もちよつと御説明申上げましたが、滞納整理をいたします徴収関係仕事におきましては、これは外部事務に属する問題でありますが、滞納整理をいたします際に、一つの流れ作業方式を採用いたしまして我々英語で呼んでいますが、インターナル・コントロール・システムというものを導入いたしまして、本年の七月から全国の五百三の税務署のうち、三百八十程度の税務署に実施に移して参つておるのでございます。これらのことによつて全部の滞納について内容審査をいたしまして、而もいろいろ索引その他の方法をとりまして、洩れなく而も極めて円滑にこれが遂行できるという方式を導入いたして参つたのであります。尤も只今のところはまだ不馴れの状況でございますので、ここ三カ月、半年の経過によつて、他の税務署において実験した結果によりますと、相当に能率が向上し得るものと私どもは考えておるのであります。  なおその他の面につきましても、実はまだ実施の段階に入つておりませんけれども、別途に即日審査整理方式という一つの内部事務整理方式を実験的に東京の芝の税務署、小石川の税務署並びに大阪の北野税務署、阿部野税務署に只今実施をいたしておるのでございます。これも只今までの経過によりますと、相当能率化並びに数字を正確ならしめ、並びに内部監査によつて不正の防止もなし得るという面において相当いい点も持つておりますので、なおこれを研究いたしまして、更にこれを省くべき点がないか、更に又これを完全なものにする点がないかということを検討いたしまして、近い将来にこれを実施に移して行きたい、そういうふうに考えておる次第でございます。  なお更に別途全国に二十二の基準税務署というものを設けまして、この基準税務署におきましては、現在税務の仕事を賦課、徴収の区分をし、更に賦課の問題におきまして間税、直税の区分をいたしておるのであります。この仕事を或る程度一体化して行くというやり方も別途に実験をいたしております。米国の制度におきましては、賦課徴収は完全に一体化されておりまし、全部同じ税務官吏が賦課の調査もし、又滞納整理もするという方式をとつております。そのような方式と現在の方式といずれか妥当なりや否や、又その合併する場合においてどの段階においてこれを省いたほうが一番能率的であるかという実験もいたして参つておる次第であります。
  129. 楠見義男

    ○楠見義男君 それから税別に、例えば所得税とか、資産税とか、それから徴収関係で源泉税とか、法人税とか、或いは又酒税とか、消費税とか、こういうようなもので租税客体の把握が丁度所得税の場合におけるごとく漸次簡易化されたとか、或いは仕事が簡単になつたとかいうようなものが若しあれば、それもこの際お伺いしておきたいと思います。
  130. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 現在税法の部面において考えておりますのは、只今提案しております税法において改正案を出しておりますように、従来は扶養控除を申告した人についてのみ認めるという法律上の制度に相成つておるのであります。従つて扶養控除をせられれば当然失格になる納税義務者におきましても、一応申告をして、その申告が妥当であるという是認を受けなければ、やはり扶養控除を受けられないという結果からいたしまして、納税義務者とならざるを得ないという法律上の制度になつております。併しながら実際の運用としてはどういうことになるかというと、そういうような一番下の階級の納税義務者につきましては、どうも申告がなかつたからこれを課税するというふうなことは如何にも人情に反しますし、妥当ではないのでありますから、無理をいたしましてそういうような下層の所得階級のかたにつきましても、わざわざ非常な苦労をしてお願いをして、申告書を出して頂いて、そうして納税義務者ではないという失格の決定をしているという状況でございます。これは今回の法律の改正によりまして、扶養控除によつて失格になる者は申告書の提出を要しないという制度にいたしたいと思いますが、これは主として農業所得に関連する納税義務者の多い地域にあつて非常に顕著でありますが、そういうような農業地帯における税務署におきましては、これらの失格者のための申告書が四割、五割に達する地域も相当ございます。それから、これはまだ税法の改正に提案をしてございませんが、私どもの大体只今研究し、この次の通常国会等において御審議をお願いしたいと考えております点は、現在七月に予定申告を出して頂く建前になつておるのでございますが、この予定申告というものは、税法の建前から申しますと、前年の所得金額程度お出しになれば、これに対して仮更正決定をしないということが法律上規定されておるのでございます。従つてそれ以上お出しになることも稀れにございますけれども、殆んど大部分のかたが前年度の所得金額を機械的にお出しになるというような建前に相成つておるのでございます。ところがこの仕事が、やはり一々全部計算して申告書をお出しになるということのために、納税者にとりましても相当手数でありますし、税務署といたしても、その申告を慫慂したり、その他のことで相当手数をとつておるのでございます。これを今後は申告書の提出を要しない。税務署からむしろ新らしい税率に基いて昨年の所得金額によるところの税額を通知して差上げるということに改めたいと私どもは考えておる次第でございます。その他報告事務整理を今年相当思い切つていたして参つておるのでございます。従来はなかなか統計事務が急速に能率化することのできなかつたということもございまして、二重、三重に、時々刻々にその移り変りを報告として取らざるを得なかつたという状況にあるので、内部における報告事務が非常に多く相成つてつたのであります。又本庁が要求する報告を我々が要求する報告と重復しておりましたり、又は非常に冗長なものも相当多数ございますので、今年度に入りましてから、これを一々検討いたしまして、思切つた切捨て方をいたしつつあるのでございます。その他相当多数の点に、細かい点ではございますが、税法の改正、又は様式の改正等によりまして、仕事の能率化をいたしたいと考えておるのでございます。なお根本的なものの考え方といたしまして、今年度の本庁の仕事のあり方という点について、今年度当初いろいろ検討いたしました結果、今年度は事務の定型化ということに非常に力を入れまして、事務を定型化するということによつて、そう熟練者でなくても、間違いなくすべての仕事を円滑にやつて行けるという企画をいたしまして、これを着々一つづつ片付けて参つておるような状況でございます。
  131. 楠見義男

    ○楠見義男君 それから極めて簡単で結構なんですが、御説明を煩わしたいのですが、それは国税庁及び国税局関係で、監督官それから監察官、調査官、査察官、実査官、徴収官、こういうような大体似通つたような職名のものが多いのですが、それらの職はどういう仕事をやるのか、極く簡単でいいのですが、御説明頂きたいと思います。
  132. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 国税庁内でいろいろ実は官名をつけておるのでございますが、このうち、これはまあいずれも全部大蔵事務官でございます。このうち法律に基礎を持ちますものは監察官だけでございます。この監察官は、国税庁、並びに附属の機関におけるところの、所属職員に対するところの身分上の監督をなす職員でございます。而してこの監察官に対しましては、昨年春の国会において設置法中改正をお願いいたしまして、或る程度の警察権を持たすことにいたしておるのであります。従つてそういうふうな関係からいたしまして、監察官に対しては、その監察官本来の仕事以外の仕事をしてはならないという制限を付けておるのでございます。それから監督官は、これは総合的な見地から税務署、並びに国税局の仕事を能率化し、又は運営を改善するというために置かれている職員でございまして、これは本庁の長官直属の職員にいたしております。全国で四十名置いておりまするが、税務職員中長老と申しますか、非常に経験も深いし、人格も高潔な、いわば本当の長老級の人を一緒に集めまして、そうして税務署において成績の惡いと申しますか、能率が余りよくないとか、いろいろ苦労をしているというふうな税務署を、一々具体的に指導をやるというための職員でございます。それから調査官は、これは御承知かと存じますが、申告所得税につきましては、所得金額百万円以上の納税義務者、又法人につきましては、資本金三百万円以上の法人は国税局の主管と、その調査に関しては国税局の主管ということにいたしておるのでございます。そうして国税局の手管になるところの納税義務者の所得の調査をいたします官吏を、全部調査官という名前を付けまして、これは税務署には置いてございません。全部国税局並びに国税庁、国税庁も直接なし得る制度になつておりますので、国税庁に設置、配置いたしておるのでございます。それから査察官は、これは昭和二十三年度から開始いたしました制度でございますが、国税犯則取締法に基きまして、脱税の刑事犯罪として脱税犯を刑事訴追する場合におけるところの仕事を専らいたしますのが査察官でございます。これも税務署には全然配置いたしませんで、各局に調査査察部というものがあり、その中は査察課と調査課に分れておるのであります。この査察課に配置しているのが査察官でございます。又その次に徴収官のことを申上げますが、徴収官は従来滞納処分、並びにそれの整理は全部税務署においていたしておつたのでございますが、特定の税務署におきましては、その仕事が余り累積しており、又滞納処分をいたします際に、財産の所在とか、又事業所の所在もあつちこつちに散在しておるということのために、むしろ国税局において直接これを処分したことのほうが、非常に能率的であるというふうな事態になりましたので、局に徴収官を置きまして、この徴収官が税務署と並行して、又は別個に国税局にそのケースを取上げて処分をなし得るという制度にいたしまして、その局に配置いたしました滞納処分の実行に当る官吏を徴収官と申しておるのでございます。それから実査官は、これはまあ必ずしも概念がはつきりした官吏ではないのでございますが、大体において直税の調査に当るところの、外部に出て調査に当るところの一つの名称として、実査官というような名前を仮に付けておるような状況でございます。
  133. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 大体大蔵省関係は……。
  134. 梅津錦一

    委員外議員(梅津錦一君) ちよつとお聞きしたいのですが、大蔵関係で私は地元におつて非常に問題になつておる徴税の問題ですが、徴税者が非常に手不足で滞納処理が殆んどできない、特にその工業地帯ですか、まあ大蔵職員が非常に真剣でやつておるのですが、なお且つ処理ができない。今年度の処理すべき件数は相当残つておる。このままの定員で行くならば、又来年度も累積される。従つてその累積がずつと重なつて行けば、最後に、しまいになつてから間に合わなくなつて定員を殖やしてみたところが、これはもう及ばないことで、こういう点から政府はどういうような滞納の処理に対する定員考えておるか、その御所見を伺いたいと、こう思うのです。
  135. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) お示しのように滞納税額、並びに件数が非常に厖大になつておりまして、私どもはこれが処理に非常な苦心をいたしており、又非常に悩みも持つておる次第でございます。而してお話のありました滞納の税額件数は累年漸次増大して参りました。数字を申上げますと、二十三年度から二十四年度に繰越しました税額が八百二十二億、件数が五百六十万件でございまして、二十四年度から五年度に繰越しました金額が千二百五十八億円、件数にしまして七百六十万件というふうな厖大な数字になつておるのでございます。ところが昨年度中相当税務職員にも御苦労願つて、努力をいたして頂きました結果といたしまして、二十五年度から二十六年度に繰越しました税額は、九百四十五億円でございます。件数は六百十三万件でございまして、とにかく税額も、総税額としてはむしろ多少殖えた傾向でございますが、繰越の滞納額としては三割程度減つた、件数においても相当減つて参つたという状況でございます。而して昭和二十六年度当初からは、本年の春の国会において御協賛を得ましたところの国税徴収法の改正によりまして、例えば分納の制度でありますとか、徴収猶予の制度であるとか、又は執行停止の処分というふうな新らしい制度を創設いたしまして、これが整理を促進するというようなことをいたしますと同時に、先ほど楠見さんからの御質問に対して御答弁申上げましたように、滞納整理について流れ作業方式を採用いたしまして、これらの事柄が漸次軌道に乗つて馴れて参りますれば、だんだんと能率を増進し得るのではないかというふうに実は期待いたしておるのでございます。勿論現在相当大きな滞納を擁しておりまするので、これを例えば一年の間とか、二年の間に全部整理するということは、到底困難でございます。併しながら漸次改善の方向に向つてつておりまするので、近い将来には平常な状態に戻し得るであろうという期待を実は持つておる次第でございます。
  136. 梅津錦一

    委員長外議員(梅津錦一君) そうするとあれですね、その新らしい徴収方法で、例えばその分納の形式だとか、いろいろなことを考えておつてですね、言い換えればなし崩し方式のやり方をとる。これはまあ非常に結構だと私は思うのですけれども、これは非常に親切な指導が必要なので、そのために定員が私は減るとは考えられない。むしろ増員してですね、一々この内情をよく知つて、内情をよく知らないと、こういうことは徴税技術としては非常にむずかしい。だから内情をよく知らなきやならないとすれば、定員が減る理由は私はないと思うのですけれども、そういう点について一つ御見解をお聞きしたい。
  137. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) その点は私どもも非常に実は苦しんでおる点でございますが、ただ滞納の整理がこういうふうに、とにかく昨年のような非常にまだ混乱しておつた時代においても、相当整理が進んで参つた。それから新らしい制度も漸く今年度から法律の改正なり、又いろいろな制度を踏襲いたしました等の点から考えまして、それから三カ月、半年と経過を経るに従つて、新らしいやり方に馴れて参つて来ると考えられまするし、従つてまあだんだん能率化されて整理が促進されて行くであろうという実は期待を持つておる次第でございます。  なお只今も御指摘の通り、滞納の整理に関しましては、本人の財産の状態であるとか、又は現在の状態、資力というようなものをよく知らなければなりませんし、又とにかく相当事情に通ずるところの円満な常識を時たなけりやならんというふうな観点からいたしまして、必ずしも人数の多いということだけがこれを促進するゆえんではないと考えておる次第でございます。
  138. 梅津錦一

    委員外議員(梅津錦一君) 今の点はよくわかると思うのです。滞納を処理することに対してはですね、非常に結構な方式だと思うのですけれども、その滞納の処理をする形は私わかるのですけれども、この税務職員のですね、研修機関というような……、いつかも問題になつたのですが、現在においては研修機関というものがないとすれば、そうした特殊の技術を養成する機関がないとすれば、今の税務職員がこの指導に当るということになればですね、結局そういうような徴税技術面が変つたからといつて、特別にその定員が減つてですね、定員減になつてもやれるという、そういう理由が立ちますか。
  139. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 税務官吏につきましては、昨日も御質問がありまして、御答弁申上げたのでございますが、とにかく相当の経験を必要とする、又円滑な常識と絶えざる訓練とを必要とするという見地からいたしまして、私どもは特に教育に、又は訓練に非常な力を入れているのでございまして、現在今年度の大体の計画を申上げますると、年間、長期のものは一カ年、それから短期のものも三週間程度、又は五十日程度というところにいろいろ区分をいたしてございますが、それらの講習をいたします人数が今年度約五千人に上つております。それからそのほかに通信教育をいたしておりますが、これが年間三万人程度対象にして、通信教育をいたしております。これは国税庁創設以来、教育、訓練ということが非常に重要だというところから、特に教育面を非常に充実いたしまして、これに非常な力を注いでおる次第でございます。従つてその効果が漸次現われて来るであろうということを期待いたしておるのでございます。
  140. 梅津錦一

    委員外議員(梅津錦一君) もう一点、これは政治責任になると思うのですが、今度の行政整理の問題が新聞にああいうふうに大きく出てから、大体どこの官庁でもそうだと思うのですが、特に整理対象になつておる者の、俗にいう労働意欲というものが非常に低下して、とにかく定員法さえ決定すれば俺たちは首になるかも知れないと、特に首の対象になつておるような人は殆んど仕事をしておらない。  これは恐らく行政整理をやる前提となる事務量の問題については検討がされてない、事務内容の問題が仔細に検討されていない。そういう基本的なものは調査されていないのに頭から行政整理をやる、こういう政治責任が政府にあるかどうかです。それがないというなら、ないで結構。あるというなら、はつきりその御見解を伺いたいと思うのです。
  141. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 私どもも行政整理によつて労働意欲を減退させるということがあつてはならないということを常々考えまして、実はその点について絶えず注意をいたして参つておるのでございます。只今までのところこれは下部からの報告等によりますと、そういうふうな現象は全然現われていないという実は報告に接しておるような次第でございます。なお国税庁全般として一万二百八十名の減員でございまして、相当大きな数の減員と相成つておるのでございますが、実際の整理につきましては、すでに九月三十日現在で千三百二十人の欠員がございます。又長期欠勤者は定員外の扱いにできるということによりまして、約二千名程度それで救われるわけでございます。というふうなこともございまするし、又平均いたしまして過去の実績によりますと、大体月四百五十名程度の自然減がある、それは退職その他のこともございますので、実際上どうしても政府の都合で以てやめて頂かなければならんという人の数は割合に少いというふうに考えておるのでございます。それからなお今回の行政整理に当りましては、実は四月から新規の採用を全然ストツプいたしておりますことと、それから終期が来年の六月末というふうに相当長期間に亘つておりますので、それらのことも相寄りまして、そういう割合に無理をしないでできやしないかというふうな気持を以ちまして、職員にも落ちついて働いて頂くという方針をとつております。
  142. 梅津錦一

    委員外議員(梅津錦一君) 配置転換の問題ですが、要するに新らしい定員法によつて、俗にいう首切られた者の職場に対する目度がついておるかどうか、そのことを一点お伺いしたいのですが。
  143. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) この自然に退職をするかた、又は長欠者、又は欠員等を除きました多少の数のかたは、どうしてもこれはやめて頂くというかたが出ざるを得ないようでありますが、私どもとしてはできるだけ就職の斡旋を個々に具体的にいたしたいということで以て、只今行政整理がきまりますと同時にそういうふうな手配をいたしておるのでございます。併しながら、全部を全部斡旋できるかどうかという問題は、これは具体的なケースの問題として必ずしも安心はできにくいと思うのでありますが、とにかくそういうふうな方向にあらゆる努力をいたしたい、そういうふうな気持を持つておるのでございます。
  144. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 賃金傭員ですね、この間新聞に出ましたように、法人税額の基礎算定というものは学生アルバイトを頼んでやつておるということが新聞に出たのでありますが、ああいう人をどのくらい傭われるようなふうに予算を計上しておられるか、或いは延員数をどのくらい予定しておられるか。
  145. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) いわゆるアルバイトの人員のことだと存じまするが、法人税の基礎をアルバイトを使つてやるというようなことはこれは絶対にいたしておりません。私どものほうは、やはり非常に多数の納税者に対して、例えば通知を差上げるとか、又はいろいろな謄写を刷る者が必要であるというふうなことが相当多数ございますので、例えば封筒を書いて頂くというふうなこと、又は内部の単純な引写しをやつて頂くというようなこと、又はカードの整理をしてもらうということ、そういうふうなことに主としてアルバイトは使用しておるのであります。併しながら何と申しましてもそういうふうな仕事が非常に多いというようなところからいたしまして、これは時々刻々しよつちゆう変つておりますので、確実な数字等も実は持つていないのでありますが、最も繁忙期で、多いときには恐らくは五千人程度になるのではないかというふうに推定をいたしておるような状況であります。
  146. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは、非常に私は滞納を督促に行かれることもむずかしいと思うのですが、大体いろいろな議論もされておるようであるし、批判もあるようですが、大体平均勤続年数はどのくらいになつておるかということの何か資料的なものがございましようか。
  147. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 昨日も菊川委員から資料配付の要求がございましたので、只今原稿を作りまして御配付申上げたいと考えておるのでございます。それから平均勤続年数は今年の一月一日現在で四年三カ月となつております。昨年の一月現在が三年三カ月でございましたので一年の間に勤続年数が一年一カ月だけ延びておるのでございます。この一年一カ月の延びということが私どもとしては仕事の経験をそれだけ増したという意味で非常な能率のほうにも好影響を来たしておると見ておる次第でございます。
  148. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは同僚の菊川君からいろいろと質問をされておると私も思いまして、重複することを避けておつたのですが、えらい失礼いたしました。もう一点、これも重複しておりましたら重複しておると言つて頂かなければならないと思いますが、退職して次に又新規採用するという年間の転退職の移動というものは何割くらいに相当しておるのかというようなことは御調査になつていますでしようか。
  149. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 過去の実績によりますると、大体四千乃至五千程度が年間やめられまして、その補充をして参つておるのでございます。
  150. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 少し意見に亘つて恐縮でございますけれども、国税庁は昭和二十三年度のときから比較しまして二十四年度の行政整理でこれが一遍落ちて、二十六年度で殖えてずつと来ておるわけです。そうして今日こういう段階に来ておる。そして片一方に滞納とか納税というようなものを見ると、私は国民の期待を裏切つた方向にあると思う。すべてのかたの期待に対しても私は裏切つた方向で滞納は殆んど殖えておると思う。件数は減つたとか何とかおつしやるけれども、まだまだ私はやつて頂かなければならない。全体こういうものに対して十年計画とか、二十年計画で片付くものじやない。これだつたら私は非常に不満足だと思うのです。こういうものは相当な程度に目度をつけて頂かなければならない。ところが片一方では減つて来ておるのですが、基本的に申しまして滞納を何とか私は押えて頂かなければならないと思うのです。これは非常に意見があると思いますけれども、そういうふうなことについて、一応これだけの人員を云々される場合、或いは楠見さんの質問に対しましていろいろなものを整備して行くということでございますと大体なし崩しで行かれるのか、およその目度を立てて、何年計画でこれをやるというような大きな基本方針を立てておられるなら、この際御説明願いたいと思います。
  151. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) どうもこの厖大な滞納の税額と件数を擁しておりますので、これが実は私の苦の種でございます。従つて一日も早くこれを整理して行きたいと考えておるのでございますが、先ほども御説明申上げました通り滞納整理仕事は新らしい人ではなかなかできにくいのでございます。どうしても相当に経験のある人に当つてもらうということが問題を円滑に且つ能率的に整理して行くという方針であろうかと考えておるのでございます。而して、然らば現在あるところのこの厖大な滞納をどの程度の年数を以て整理できるかということに対しましては、実は確たる計算をいたしておりません。と申しますのは、先ほどもちよつと申上げましたように、例えばインターナル・コントロール・システムにいたしましても、七月漸く大部分の署について切換えをいたしました状態でありまして、今後やはり三カ月乃至六カ月程度を見てみませんと、それが果してどの程度に能率増進になつて行くかという確実な見通しはなかなかつけにくいのでございます。勿論これは渋谷の税務署において昨年の末から実験をしてみました結果、非常に成績がいいものでありますからこれを押し広めて参つたのでありまして、仮に渋谷の税務署のような程度で行くとすれば、非常に能率が上ると思うのでございます。併しながらどうしても訓練の期間とか、又はその他の慣れるための期間が相当要るものでありますから、その点の確たる見通しを付け得ない。併しながら何とかして三年乃至五年の間にはいわば平常の状態に、どうしても或る程度の滞納は避け得られないという、平常の健全な状態にまで何とかして持つて行きたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  152. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そういう点よくわかりますが、実は私は名古屋なんですが、名古屋で滞納件数を調べて見まして、そして非常に優秀な人で大体一日に二件片付けられる、それで非常に優秀だということがわかつたのです。一年を三百六十五日として、一人一日二件で一年七百件片付ける。それを百九十八人実はこういう業務に携わつておるということを知つたわけです。計算して見たら七、八年かかるのです。昭和二十四年末の滞納だと私は記録しておりますが、それからまあ殖えておるわけなんです。そういう場合に人を減されて行くと、強権発動されるというようなことがあるとするなら、それは別個だと思いますけれども、そうでない限りにおいては非常に困難なことだと思う。併し強権発動なされてもらつても、差押えでぱつぱつとされてしまつても、これも非常に困難だと思います。そこでまあ私は人を減されても、これを人が減されてずつと行つて、これはあなたが言われたように五年乃至六年で解決するようなことじやないと思う。そうしますと片一方では滞納をしておる人のほうがどうも得だというような観念が非常に強くなつて来ると思うのですよ。ですから私は何とか処分して頂かなければならない。但し差押えというような点も、これは我々は考えものである。ですからそれに対して訓練などをやつて非常にやかましい。こういうお話でございますが、意見めいたことを申上げるなら、私どものほうとしては整理は実際おやりになつても非常に困難じやないか、訓練に集められることによつて非常に困難な支障を来たさないかということを考えておるわけです。そのことはそれといたしまして受講される人が約五千人あるというお話ですが、警察なんかは警察学校に入つた人を大体定員から除外したような形でこうやつておるわけです。あなたのほうの五千人はこれは一年も長期の人があるとおつしやつたが、短期の人は三週間くらいの人もあるとこうおつしやつたから、全部五万九百二十人から除くということは困難かと思いますが、やはり五千人のうち何割になるか一割くらいのかたはやはり実務ができないというようなことになるわけですね。
  153. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 最初の滞納整理のことについて説明ちよつと補促させて頂きたいと思いますが、御指摘になりました二十四年の末は我々の日本の税務においては最も困難なときでありまして、滞納の税額が千五百二十八億というもう実に驚くべき数字に上りましたし、件数が七百六十万件という件数に上つておるのであります。それを二十五年度末においては、とにかく三割程度より少く整理することに成功いたしたのでございます。それからなお先ほども国税徴収法の改正をいたしまして停止処分等の制度を新らしく始めるということを申上げましたが、これは資力のないかたには執行を停止するという制度でございます。これは仕事簡素化をいたしまして、実は個々の納税者について具体的に当るべきはずでございますけれども、政府が具体的に一々調査をするということは困難でございますので、納税義務者のうちで所得金額が十万円以下であつて滞納金も割合に少いというようなかたにつきましては、簡易な調査でそれを停止処分に移すことができるというふうにいたしておるのであります。ところが或る税務署において調べて見ますると、例えばずつと以前に廃止になりました取引高税の僅か三百円とか千円とかいう滞納の件数が五千件に上るというふうな署もございまして、私どもはそういうふうな整理の方策を講ずることによつて、件数としては非常に多く処理ができるのじやないか。件数は成るほど六百十三万件ございます。この六百十三万件は同一の人が何件か滞納している件数が相当含まれておるのでございます。従つて先ほど申上げました新らしい整理の方式は、全部個人ごとに過去の滞納から今日の滞納に至るまで全部名寄せいたしまして、そうしてその一々について過去の面まで遡つて整理をするという方式をとつておるのでありますが、名寄せいたしまして滞納の人員にいたしますると、約四割程度これよりも少くなるのであります。従つていろいろな計算をして見まする場合において、私どもはそれほど悲観はいたしていないのでございます。何とかしてこれを我々が努力をし、能率を増進することによつて割合に近い将来において平常化することができるのではないかという期待を持つておる次第でございます。  それから只今税務講習所で講習を受ける人数が年間五千人程度というふうに申上げましたが、これは全部国税庁の定員のうちに入つております。一年間の講習を受けるものにつきましても、国税庁の定員の中でやつておるのでございます、現在の定員六万一千二百人のうちに含まれております。減員のうちにもそれが含まれて行くというふうに御了承を願いたいと思います。
  154. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 極く簡単なことをお尋ねしたいんですが、この滞納する人ですね、とにかく納税の義務はあるわけです。それに正当に計算して課税されておるんですから、納めなければならんわけでございますけれども、実際に一ぱい一ぱいで生活している人で、本当にこれだけの税金を納めたら、実際困るというような人が相当に多いだろうと思うのですが、ところがそうでなくて相当に持つておりながらやはり納めないんだというふうな人も相当あるようにも私どもは想像されるんですが、そういうふうなことはあなたのほうは毎日々々実績がわかつていらつしやるんですが、どういう傾向にあるんですか。
  155. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 只今お尋ねの、善良な納税者であつてなかなか納めにくいというものと、それから惡質であつて納め得るにもかかわらず滞納しているというかたとの比率は、実はとつておりませんので見当が付きません。併しなから件数から申しますると、前者に属する人が相当多数あるように思われます。と申しますのは、新らしい年度の滞納額は割合に少くて二十四年度以前の分に属するところの滞納が非常に多いのでございます。これはあの当時インフレの進行事情もありましたし、税務自体といたしましても、調査が必ずしも行届いていないという点も、私どもは率直に反省をしなければいかんと考えておるのでございますが、それらのかたの中には相当多数やはり非常に気の毒な状態であつて、これでは成るほど納めにくいだろうというふうなかたが相当多数いるのでございます。それでそういうふうなかたは、簡易な調査で以てどんどん停止処分に移して行くということにいたしておるのでございます。ただ惡質なかたは、これは税務の仕事が充実して参りました結果といたしまして、財産はあちこち分散されましても、又に最も常套的に使われる手は、よく事業所を移転されたり、父は家屋を移転するかたが随分多いのでございますが、これらのかたも事務が相当進歩し充実して参りましたので、割合によく捕捉できるという状況になつておるのでございますので、滞納の処分も物件の引上げなり、差押えなりということをどんどん積極的にやつておる次第でございます。
  156. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今お答えのように惡質なものと惡質でないものとの計数的に比率を出してお答えできることはこれはもうできないと思つておりますが、この金額の点から申しますと、私は大きい所に惡質な所が多いのじやないかというようなふうの想像をしているんです。それで実際良質のもので差支えて、いつかあなたにお話したこともありましたが、トラツクに積んで、これは差押物だとか言つて方々税務署なんかに廻つたりするようなことがあるので、そういうのを私どもは見ますと、本当に気の毒だと思う。私の想像では惡質のかたのほうが数は割合に少くとも、併し金額はよつぽど多いことだつたらですね、その滞納の処分のことについてもよほど運営の点においてお考えを願わなければならんことでないかと思つております。どういう方針でやつていらつしやるのか知りませんけれども……。
  157. 高橋衞

    政府委員(高橋衞君) 只今御指摘になりました通り私どももいろいろ抜き検査的に調査して見ますと、やはり滞納税者に洩れが多いのでございます。調査の面におきましても徴収の面においても納税者のほうにむしろ惡質と申しまするか、とにかく洩れが多いということははつきり申上げられると思うのであります。これは恐らく世界的な傾向でございまして、先般アメリカにおけるところのオーデイツト・コントロール・プログラムという仕事をやられた成果の報告書が参つておりますので、それを読んで見ますと、やはり滞納税者ほど洩れが多いし、又滞納関係につきましてもケースが多いということに相成つております。従つて私どもは調査の面におきましても、徴収の面におきましても、その方面に主たる力を注ぎたいと考えておるのであります。ただ滞納整理は非常に困難な事柄でございまして、一々現場に臨んで判断するということはむずかしい、又第一線の官吏にそういうふうな権限を全部与えますると、つまりその場において適当になし得るというような権限を与えますと、これが不正の原因になつたりする等の心配もございますので、できるだけ画一的な方法をとつて命令の通りに実行させるという以外にないというような状況にもございますので、必ずしも本当に適切に行つているかどうかという点については、まま行過ぎの点があつたりいたすかと考えます。なお物件の差押え並びに引上げ等に関しましては、私どももときどき引上げた現場に行つて見ているのでございますが、こんなものを引上げて来て気の毒じやないか、又余り差押え価格がないのにもかかわらずなぜそんなものを引上げて来たかということを言つているんですが、これはどういうことかと申しますと、差押えたときと引上げのときとの間に或る程度期間がございます。例えば相当立派な家具類を差押えました場合に、本人に保管いたさせますと、その間に中味をすり換える、そういうことが行われるために而もそれがなかなか厳重に監督し捕捉して行くことが困難であるというふうな事情のために、例えば立派な机を差押えたにかかわらず、その中味をすり換える人がある。そして役に立たんような机を持つて来て置いてそれに差押えの証紙を貼り換えて置くというケースがございまして、而もこれがなかなか追及しにくい。保管させるところの証紙にはどういうふうな机一脚、椅子一脚というふうにしか載つておりませんので監督がしにくい。それらの点に非常な苦心を払つておるわけですが、とにかく何とか惡質なかたと然らざるかたとを分類して適正な執行をいたしたいと努力いたしておる次第でございます。
  158. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はまあ百十六名大蔵省から外へ出られたおかたが本省へ帰つて見える。帰さなければ、個人的にはそういう点については非常に御同情申上げるわけですが、併しそれがために片一方の造幣庁、印刷庁に働いているかたが首切られて行くということはこれはどうも納得が行かない点なんです。そこでまあ惡く言えば、これは大蔵官僚の何とかと私は言えると思うのですが、こういう考え方はやはり森永官房長にあるのか知れませんが、こういうことは私は個人的には非常に御同情申上げるけれども、私はどうも納得の行かない点なんです。ですからそんなような人の指図でやられたら、私はどうも働いている人たちが、無力な人たちが非常に虐待されたような形で首切られて行きはしないかということを非常に心配しているんです。ですからそういうことのないように十分一つつて頂かなければならない、こういうことを一つお願いしておきます。
  159. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に文部省所管に移ります。諸君に申上げますが、文部大臣は只今予算委員会に出席しております。ほどなくこちらに見えることと存じます。  次に内閣委員の諸君にお諮りいたします。文部委員荒木正三郎君、矢嶋三義君、高田なほ子君、この御三人が御発言の要求があります。許可して差支えありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。さように取計らいます。  先ず文部当局からこの定員法改正につきまして説明を求めます。
  161. 楠見義男

    ○楠見義男君 文部省説明を伺う前に、昨日要求した資料が参りましたから、その資料についてちよつとお伺いしたいことがあるのですが……。
  162. 河井彌八

    委員長河井彌八君) どの政府委員から。
  163. 楠見義男

    ○楠見義男君 公益事業委員事務局のかたです。その関係職員のかたがちようどお見えになつておりますから、別の機会だとわざわざ又呼ばなければなりませんから簡単に……。
  164. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは文部省に入ります前に……。
  165. 楠見義男

    ○楠見義男君 責任ある答弁ができないということですから別の機会にいたします。取消します。
  166. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それじやそれは取消します。それでは文部省当局から委員関係についての説明を求めます。では文部省政府委員の来るまで待ちます。暫く休憩いたします。    午後三時四十六分休憩    —————・—————    午後三時五十八分開会
  167. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは改めて内閣委員会を開会いたしまして、文部省関係から審議を進めます。  文部当局から人員整理に関する御説明を願います。
  168. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 文部省行政整理につきましては、他の省のように、特に戦後特別の事項について膨脹をしたが、事務が減つたためにこれを切るというような事情は別にないのでありまするが、教育の少くとも責任を持てる程度にできる限りの整理に協力するという建前で以て、行政管理庁ともいろいろ相談をいたしまして、その数を決定いたした次第でございます。  大体の事情を申上げますと、文部本省につきましては、大体一般の事務職員整理の標準に従いまして、その中で特別の事項に関しましては、特別の枠外或いは定率の整理をするという建前で、現在の定員千四百名のうち二百人が整理されるという計算になつております。文化財保護委員会は、これは特殊の技術的な職員もおりますので、その率も割合に軽くなりまして、四百十名の定員に対する二十八名の整理でございます。  次に国立学校でありますが、国立学校は学校と病院と研究所という三つ部分に分れておるのでありまして、国立学校の中では各職種によりまして、おのおのその職種にかけるに適当な率を出してもらつて、特に教官の整理については特別の考慮を払つた次第でございます。教官の中でも大学院を設置する大学であるとか或いは医科、歯科、水産、商船、獣医、薬学科というふうな計画養成の教育を担当する大学について、特別の考慮をし、又教員養成大学について特別の考慮をしたのでありますが、一般大学については普通の教官の整理率を出しまして、二万二千六百七十一人の教官のうち、六百九十二人の整理をするという形になつております。なお学校の職員といたしましては、船員、業務職員、農場等の作業員、それから守衛、小便のような現業員、そういうふうな職種に従つて、特別の定率の操作をいたしまして、学校に関しては四万八千六十三人の定員に対する二千九百六十四人の整理、附属病院に関しましては、看護婦は現在非常に足らないのでありまして、これは特に枠外にするというような操作をいたしました結果、附属病院一万七百九人に対しまして三百六十人の整理数、研究所につきましても、特に研究員の立場をよく考えまして、三千八百二十八人に対する百四十八人の整理数というような形になつておるわけであります。  それからそのほかに文部省の所轄機関といたしまして、教育研究所、国語研究所或いは科学博物館というような六つの機関があるのでありますが、それは総員が現在三百七十四人でありますが、整理数は十四人であります。そういたしまして六万四千七百八十四人の総職員に対する三千七百十四人の整理数ということになつておるのであります。  以上が大体文部省整理の計画でございますが、特に文部省関係は従来各省においていろいろ増員があります際にも、増員することなくむしろ減らされて来たというような事情で、国立学校の事務職員等につきましては、非常に苦しい仕事をやつておりますので、この行政整理を実施するということはなかなか困難であるというふうに考えております。
  169. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと最後の言葉が気にかかるのですが、この整理をしてもやつて行けるというのじやなくて、この整理では実施上困難を感ずるということなんですが、その点をもう少し詳しく御説明頂きたいのですが……。
  170. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 実は国立学校の事務職員につきましてここに資料を持つておるのでありますが、実は昭和十三年と、昭和二十二年と、昭和二十六年と、それから来年度の整理と、この四つの年度を比較いたしまして、事務職員と学生数の比率におきまして、昭和十三年は学生数百人に対して一七・六人の関係、二十二年は百人に対しまして一四・五人の関係、二十六年度、今年は百人に対しまして十六・一人、で来年度のこの整理数を見ますと、来年度は学生が非常に殖えますし、大学が三年制から四年制に移行する関係で百人に対して一二・六人というように、非常に学生数が必ずしも事務量を計るメーターになるというわけではございませんけれども、そういうような形になつておるのであります。で只今申しましたのは、この整理を実施するということは事務を切り詰め、能率を挙げてやるならばやり得るということで了承をした数字ではありますけれども、併し実際その数の人間でやつて行くということは、非常に苦しい、又相当困難であるというふうに感じておるのであります。
  171. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 本法案の重大性に鑑みて文部委員会のほうでは当内閣委員会に対しまして連合委員会を申出たのでございますが、審議の都合上当委員会の拒否されるところとなりました。ここで皆様お疲れと存じますけれども、委員外発言をお許し願つた次第でございます。  先ず承わりたいことは、行政管理庁の政務次官がお見えになつていますので、そちらのほうから先ず承わりたいと存じます。このたびの行政整理の基本方針については、もう当委員会においては再三論じられたことと存じますので、私あえてそれをお尋ねいたしませんが、本会における行政管理庁長官の答弁、こういうところから察するところ、このたびの行政整理というのは、昭和六年に比べて現在国家公務員が約二・五倍程度に膨脹しておる、戦後において非常に事務の膨脹したのがあるが、条約発効と共に自然発生的に廃止されるものもあるし、又積極的にこの政策の面から事務を廃止して、そこから冗員のできるものもあるだろうし、更に行政を簡素化してそうしてできるだけ国民負担を軽減したい、こういう自由党内閣の方針によつて今度貫かれている、こういうふうに私は了承しておるわけでございますが、若しそれに見解の相異があつたらあとで訂正して頂きたいし、私このたび政務次官にお伺いいたしたい点は、文部省関係行政整理をやるに当つての基本的な方針、まあ行政整理全般にわたる基本的な方針は今申上げた通りで了承しているのですが、誤つていたら訂正して頂きたい。それから打出されたところの文部省行政整理の基本的方針というものを先ず承わりたい。
  172. 城義臣

    政府委員(城義臣君) 総括質問の際に、基本的な今回の行政整理方針につきましては十分御検討頂いたのでありまするか、文部委員会との連合委員会が行われませんでしたので、只今矢嶋委員の御質疑があつたのも当然と存ずる次第であります。只今矢嶋委員の申されましたように、政府といたしましては、矢嶋君自身御発言のように、戦後、昭和七年当時に比べまして二倍半にも膨脹しておるこの現状からいたしまして、行政の機構も簡素化し、同時に不要不急の事務等を徹底的に整理いたしまして、それに所要の人員を算定し、整理を国民の要望に従つて行いたい。こういう考え方であるのでありますが、勿論この船脚とは申しましても、ただに文部行政に限らず、それぞれの行政部面におきまして、いわゆる事務の分量を無視いたしましたいわゆるこの天引整理というようなことをいたしますと、一応は整理を強行いたしましても、所要の業務量があれば当然それがいろいろな形で、例えば俗に申しまする枠外定員であるとか、或いは事業費等から支弁いたしまして、闇定員と申しまするか、そういうものが派生いたしまして、本来の行政整理の目的と相反するという現象が起きたがるものであります。そこで今回はそういう整理方針ではなくして、前回行いました一律整理と申しまするか、まあ俗な言葉で申上げればおつ取り刀で一応整理したというような形でしたものですから、今回は正しく事務の分量を査定して、それぞれの業務分量に応じた所要人員を積み上げて、そうして極めて合理的な立場に立つ人員整理をいたしたいというのが整理の基本構想の一つであります。従つて文部行政に限界して申上げれば、飽くまでも文部行政に支障をなからしめるようにというのは勿論でありまして、いわゆる一般論的に申上げる事務行政整理という建前に立ちまして、今回の文部省関係整理も行なつておるのであります。  然らばどういうところに整理が行われたかと申上れば、御手許資料も差上げてあります通り、例えばこの渉外事務、或いは指定生産費材の配給と申しまするか、そういう業務は当然これはなくなつて参るのであります。更にこの非常に複雑を極めておりまする今日の人事事務、或いは繁文縟礼であるとも一面評されますような会計事務等を能率的に簡素化いたしまして、その面に寄つて行く冗員を整理する、こういうような基本的な考え方簡素化をいたしたのであります。この整理の過程におきましては、今申上げたように一〇〇%そういうことによつて業務がなくなるもの、或いはまるで反対に整理対象外としなければならないような業務、こういうふうにいろいろ種別がございまするが、国立病院の看護婦というようなものなどは、全然その整理対象外にいたしておるというのは、今申上げたような今日の現状からして、当然これは対象の外に置くべきであるという考え方に基きまして決定をいたした次第であります。  先ほど来文部事務当局の御説明では、私の或いは多少聴き間違いかも知れませんけれども、今回の整理で十二分にこの程度整理でも文部行政を遂行する上について、何ら支障がないという確信の点が、どうも少し言葉が何と申しまするか、あやふやと申しまするか、多少如何かと思われるような御発言がありましたが、行政管理庁といたしましては、只今まで申上げましたような趣旨に基きまして、各省と事務折衝いたした結果、一応この線を出して提案をいたしておるような次第であります。さよう御了承願います。
  173. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 次官から大変御丁寧に一般的な行政整理方針まで余分に承わつたようでございますが、その趣旨については大体諒とするわけでございますが、私どうしてもこの際わからないのは、この政府の基本方針文部省にこれを適用した場合に、どういう基本方針に従われましたかということに対する明確なる御答弁をして頂けなかつたと思う。今次官が申されました中に、或いは戦後水脹れしたところの人員整理するとか、或いは不要不急の業務整理する、業務量を科学的に否定する云々ということを述べられておりますが、文部省に関する限り、先ほど文部省の寺中課長が説明なつたように、文部本省の事務員は他の省を増すときにも減じて次第次第に減つて来ておる。それはデータではつきりわかつておるのでございますが、それ以外に更に戦後水脹れしたものもなし、不要不急のものもなし、別に学制体系というものが変るということを予想しての整理でもなければ整理するところがないと思うのです。先ほど次官は文部行政に支障のないように、教育に支障のないようにやりたいという言葉がありましたが、もう当然のことだと考えるのでございます。現在果してこの大学教育に支障がないかどうかということですね。これは教育に相当御熱心で関心のある次官としては御存じだと思いますけれども、現在大学は教官が不足で、一校内に平均一人くらいな欠員を生じております。それが如何に教育に支障をもたらしておるか、更に研究所の方面においては研究費は少い、施設も不十分である、それを若干の研究費とか何とかによつてカバーして行つておる現状においては、研究所費が不足で、教授みずからがその準備をしているというような状況で、資材的にも人員的にも研究は十分行つていない、現在すら支障のあるのが大学の教育、更に研究所の実情だと思う。更に附属の中小学校に対しましても、これは恐らく御存じだと思いますけれども、附属中小学校の使命を果すのには、どうしても定員が足りないというので、PTAあたりで金を出し合つて、そうして教員を余分に雇つて、そうして附属の中小の教育を継続している。こういう実情は現在定員ですら支障を来しているのに、更にこれを教官の場合に六百九十二名という大量整理をしております。更にこの附属研究所の研究員についても六十六名という整理をやつておるのでございますが、こうなりますと先ほど政府行政整理の基本方針から打出されたところの文部省行政整理の基本方針というものは、私はどうしても納得できないのですが、その点について次官の御所見を承わります。
  174. 城義臣

    政府委員(城義臣君) 矢嶋委員の言われることは一々御尤もであります。但し寺中課長が云々といわれましたが、これは総体的にこういうふうに私はお考え頂いていいのじやないかと思います。政府として整理をするという建前をとる側と、整理されるほうの事務当局というものは、やはりもつと整理してくれというようなことは事務当局者としては、楽屋話でしたら、そういうことが仮に話されるものとしても、なかなかもつと整理してくれというようなことは、恐らく気持としても申上げにくいと思います。そういう非常に御熱意が今のお話のように、文部省に関しては何ら水ぶくれもなければ整理するところもない、というのは、やはり人情の然らしめるところだろうと私は思つて、決して課長の言つたことをかれこれここで批判はいたしませんが、そういう事情に相成つておりますので、各省ともそれぞれ会計なり、人事なり等の事務簡素化するということによりまして、ここに余剰人員の出るということはこれは基本的に御了承願えると思うのであります。なお大学等の今お話もございましたが私も平素そういう点につきましては、もつと大学教育というようなものについても講座を充実し、立派な教授を得まして、日本の最高学府として立派にされることを私も希つておる一人でありまするが、相当実情等を伺つてみまするというと、適当な教授が得られないというような今の段階であるようでありまして、欠員等もあるように伺つております。先ほど私が申上げましたように、然らば管理庁のいわゆる基本的な構想というものと、現実の整理の数字とは甚だそこに食い違いがあるのではないか、こういう御質疑が出るのは当然であります。従つて私が個々の問題につきまして具体的に御答弁申上げるのが趣旨でありますけれども、すでに御承知のように、今回の各省庁に亘りまする非常に広汎な、そうして又業務別に見ましても数千部類というような項目に分れますので、私率直に申上げますれば、私から直接個々の項目についての、勉強が足りないとおつしやれば私甘んじて受けますけれども、私が御説明申上げまするよりも、具体的にその事務の個々の面について折衝いたしました事務当局から御説明をするほうが妥当ではないかと思いますので、大野木次長が参つておりますから、御説明をいたしたいと思います。
  175. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 大野木次長から答弁のある前に、問題を二つに分けてお伺いいたします。教官と事務職員に分けて、先ず教官の問題でございますが、現在大学で教官が欠員のために講座の運営が不如意である、これは事実です。来年度は新制大学が四年まで延びるということもこれも事実である。それから先ほど申上げましたように、附属中学校、附属小学校の教官が不足しておるということも事実であります。然るにこれだけの教官をどういう角度から整理したのか、講義という点から考えたならば、何も私は不要不急とか、余剰の事務整理するというような問題は起つて来ないと思います。この点については文部省行政管理庁との両者から私は答弁を頂きたいのでありますが、あなたがたも曾つて誤まれる教育勅語の下ではあつたけれども、大学で教育を受けて、そうしていい先生を得たい、講師を得たいという点については優秀であつた政府委員としては、その気持はわかるだろうと思います。現在あなたがたが親となつておられますが、子供さんが中、小学校へ行つた場合に、今日は先生がおられないで自習であつたというような場合に、自分の子供には何とか先生をつけておきたいという気持も政府委員のお二かたともおわかりになると思う。現在これだけ困つておる実情下において、こういう教官を整理するということについて大野木次長からその見解と、それから文部省側からはどういう立場においてこの教官の整理をしたか。更にそれに対する今後の教育に支障ないという如何なる自信があるかという点について、はつきりと答弁して頂きたい。
  176. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 国立学校の教官につきましても、今回の行政整理趣旨に鑑みまして、成るべく講座その他の整理を願いまして、できるだけの人員の縮減をして頂きたいということで、文部当局と折衝をいたしまして、先ほど会計課長から御説明申上げましたように、一般の大学につきましては、その一〇%を整理をして頂くようにした次第でございます。その他の、先ほど御説明のありましたような大学院を持つ大学でありますとか、特に講座の限定されております大学でありますとか、或い又教員養成をするというような大学につきましては、どうしてもその整理をすることは無理だという御趣旨を体しまして、整理をいたさないことといたしました。なお教官以外の教務系の職員につきましても、一般の大学については教官に準じ、その他の大学につきましてはそれを五%にする。それからまあその他農業とか事務関係職員とかはございますけれども、大体教官につきましては、そういうような方針で御無理を願うように折衝をいたしまして、ここにありますような数字になつた次第でございます。
  177. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 只今行政管理庁次長からお答えになつ通りでございまして、文部省といたしましては、この人員の配置をいたしまする場合において、各教育機関の機能に応じてその配置の適正を期しますれば、教育の機能を低下することはないと考えておる次第でございます。
  178. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) この度の文部省行政整理に当つては、新学制と申しますか、その学制の変更というようなものは考えられておらないわけでしよう。そうして基本的にいつて文化国家の建設にも大学の数は多いほどよろしい。まあ国家経済ともバランスをとらなくちやなりませんが、そうして研究機関においても、人文科学においても、自然科学においても、設備もあり研究員もおつて、自由な立場において研究されるような環境を作つて行くことが民主主義日本の建設に必須欠くべからざるものでしよう。そういう立場においてこそ、初めて現政府が言うておるところの国内の民主的自立態勢、具体的に言つて警察予備隊も本当に再軍備もない民主的なものができ上るわけです。けれどもそういう基本線から外れているかのような私は印象を受けるわけです。で今大学学術局長の見解では如何にも配置転換云々と言われておりますが、大学の数でも減らせば別だけれども、そうでなければこの六百九十二名にしても、殊にこの附置研究所ほどのくらい研究に苦労しておるかということは御存じと思いますが、この研究員を六十六名を切つて、それから今の大野木次長の見解ではまあ御遠慮なさつたのかも知れないが、御無理というような言葉が出ていらつしやいます。どうも納得できん発言をされております。更に文部省の寺中課長、これも遠慮したのかも知れませんが、文部省として責任を持てる範囲内で協力する、何に一体協力するのですか。でこの文部省の教官の減員に関する限りは、基本的な態度というものはどうしてもはつきりしていない。ともかくも文化国家の建設という方向を曲げて、そこから少しでも金を割り出さなければならん。それにはまあ警察予備隊とか国内の防衛費、そういう方面の支出が増大するからそれでその方面の費用をあらゆる方面から捻出せにやならんので、まあおつき合いに御無理でも協力して、そうしてこの教官の減員をやろうというような、非常に安直な私は天引的な立場をとられていると思うのですが、その点についてはどうしても私は納得できないのですが、もう少しこれは吉田内閣の私は根本政策に繋るものと考えますから、政務次官はつきり答弁して下さい。吉田内閣総理大臣は、事あるごとに経済自立と文教とが日本再建の二本柱だと、教育を重視し、文化の向上を図るのだということを常に総理は言われておる。この吉田内閣においてこういう整理をされるということはどうしてもわからないのですが、政務次官に重ねて答弁を願います。
  179. 城義臣

    政府委員(城義臣君) これは何も私が吉田内閣を云々ということでなしに、本当に祖国の再建を希う人であるならば、日本が新憲法下教育文化という面について最善の努力を傾けるということは、私はこれはもう常識だと思います。  従つて然らばなぜこういうふうに整理をするかということになりますが、これは矢嶋委員自身よくお認めの通りに、日本の国情並びに財政力にふさわしい制度、並びにこの行政機構を作り変える、又それに適応した定員を設けるということになりまするというと、残念ながら日本の今の財政力といたしましては、理想は高きに求め、又それに近きことを政府としても努力いたしたいのでありますけれども、止むを得ず今日の段階では、いわゆる行政整理という大きな基本線を打ち出しました以上、簡素化し得るものは極力簡素化し、定員減も配置転換とその他において教育に支障のない程度には持つて行くことのほうが適切ではないか、こういう観点からいたしておりまして、財政力が許し、又日本の国力が伴いますれば、そういう方向に向つて更に政府といたしましても内容を充実し、機構も拡大するということに努力するというようなことは私は当然だろうと思うのでありまして、今の矢嶋先生のお話は、決してその吉田内閣が教育に不熱心である、従つてつたのだという結論が直ちに出るというふうには、私たちは考えておらないのであります。
  180. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 教育の場合に、この教官なり事務職員を減員するということは、私は他の省の事務系統の定員を減らした場合と、その影響性、影響というものは相当違うと思う。例えば一点を挙げますと、公務員を適当な質と量において確保する、国民にサービスをする、そのときに過分に整理して、公務員を少くするとサービスが下りましよう。一日でできる仕事が二日も三日もかかるということになりましよう。まあその程度で済むかも知れませんサービスの低下ですね。ところが教育の場合は、研究の問題を取上げた場合には、質と量において適当な研究員、更に施設がなかつたならば、研究は未完成になります。更に子供を相手として考えた場合は、子供ができそこなうのです。こういう立場を考えるときには、当然教育の場合の行政整理と、他の一般行政部門における行政整理というものとは当然私は別の角度から考えなければならん。具体的に個々に問題を取上げまして、大学の研究機関、更に大学の講座、これはさつき申上げた通りであります。附属中学校、附属小学校の問題を取上げた場合に、皆さん方もお子様で或いは附属あたりに行かれておるお子さんを持つておられるかたがいらつしやるかも知れませんが、附属の教官は、ああいう研究的な性格を持つた学校だけに、どれだけ苦労なさつておるか。一般教育の指導もせなければならん、研究もせなければならんという立場で、常に、日に三、四時間の超勤はやつておるのが例だと言われております。現在それが非常に困つて、御承知のようにPTAの費用などで教官を雇つて、そうしてできるだけの使命を達成しておるのが実情でございましよう。これは大学学術局長はその責任の立場において知つておられるだろうと思いますが、これを更に一〇%を切るということは、教育の破壊でなくて何んでしようか。これをどういうふうにお考えになつておりますか、大学学術局長は御存じなくていらつしやるかどうか。若し知つていらつしやつて、これを十〇%減をここにやつたとするならば、どういうお気特なのか、それを承わりたい。
  181. 城義臣

    政府委員(城義臣君) 先ほど申上げました趣旨でありまして、矢嶋委員の御意見も私誠に立派だと思いますし、私どもそうありたいということは願つておりますけれども、先ほど申上げたような趣旨の下に、こういうことに一応いたしたのであります。
  182. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) お話のように附属学校の教官は一般の中、小学校の教官と異る職能といたしまして、或いは教育実習或いは実験学校としての経営、又は観察等いろいろ教育研究のありますことは確かな事実でございます。併し又、一面附属の学校としてどの規模の学級を要するかという問題につきましては、一般の学校が児童数等から必然の要求として或る学級を要さなければならないというようなのとは異りまして、こうした附属学校が本校でありまする教員養成施設、学部の教育施設であるという意味合においてその機能を果すためにどのくらいの規模を持つていなければならんという点を考えらるべきものだと考えております。この点からいたしますれば、各附属学校の現在の規模という問題につきましても、相当まあ検討を要すべき問題があつて、そういうようなことを勘案いたしまして、個々の附属学校の実態によつて定員の配置を考慮いたしますれば、附属学校としての機能を低下することなき措置ができると考えております。
  183. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 政務次官は体よくまあごまかして行こうというような上手な答弁をされておりますし、それから稲田局長実情を知つておりながらこの場において変な記録をとられたらというので、そういうような御心配で、随分私は遠慮なさつている答弁をされている。一体大学の学長会議をやつてこの附属を一〇%減して附属の教育を継続できるかどうかと言つて大学の学長に聞いたら、どの学長だつてイエスと言わんと私は確信を持つている。私の接した大学の学長はみんな大学の教授の定員を増してくれと言つているし、殊に附属の中、小学校の定員については、常に陳情を受けております。大学の学長諸君は稲田大学学術局長がこの席上において附属の教員を一〇%減じても何とか適当にやつて行けるという自信があるなんて答弁しているというようなことは、私は夢にも見ていないだろうと思うのです。まあこの教員の定員についてはほかの人も質問がありますので、ここで打切りまして、簡単に事務職員定員についてお尋ねして私の質問を打切りたいと思うのでございますが、文部省は枠外におきまして、大学の事務職員についてお伺いいたしますが、新制大学は七十一あるわけでございますが、東京大学あたりは昔の帝国大学の名残りを汲んだので、まあ事務局はまとまつておりますけれども、いわゆる戦後にできた新制大学は蛸の足大学といわれているのです。これが如何に分散しているかということは御存じだと思うのです。例えば城次官は九州の人ですから九州の例をとるならば、長崎大学というのは大村にもあるし、諫早にもある、長崎市にもあつて、汽車で二時間ぐらいかかるのです。そういうふうに分散しているところの大学の事務職員の苦労というものは並大抵じやない。そういう純事務職員にとつても特殊性がある。そういう点が殆んど考慮されていないのです。更にこの事務職員の中でも技術職員でありますが、御承知のように農学部に行けば農業実習、工学部に行けば工業実習、そのいう学生の指導面、更に大学の教授の研究の手助けをするところのそういう技術事務職員というものは、これ以上減じては実際研究は続けられないと思うのです。そういう技術職員につきましても大幅の整理をされておられる。こういう角度から考えるときに、他の省と同じ率でこの事務職員を一括的に整理したということは、この点も私はやはり大学の教育を守るという立場から納得できないのでございますが、これは実際に具体的にこの整理案を作られた次長のほうから見解を承わりたいと思います。
  184. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 事務職員につきましては、一般の方針に従いまして人事会計等事務を極力簡素化することに相成つておりまするが、それによる事務の軽減と、それからなお一層の能率を挙げて頂くという一般方針によりまして、学校の職員のかたにも御勉強願うという意味で一般と同じ扱いをいたした次第であります。
  185. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) どうも次長の答弁は私耳が惡いのですが、どうもはつり聞き取れないのですが、要点をはつきり言つて下さいませんか。(「自信のある答弁を願います、自信がなさそうに聞こえますから」「静粛に願います」と呼ぶ者あり、笑声)
  186. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 今回行政事務簡素化を極力図るということで、殊に会計事務人事関係事務等は法律及び人事院規則等の改正によりまして、極力簡素化することに相成つておりますので、その面とそれからできるだけ能率を挙げて頂くということで、学校の事務職員のかたがたにも他の一般官庁の事務職員と同様な御勉強を願うという意味でほかの官庁と同じような扱いをいたした次第であります。
  187. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 只今の次長の答弁は、いわゆるおつき合い論と協力論でありまして、特殊性に対するところの答弁は何もないと思うのでありますが、ここで私は事務的な方面に明るいところの寺中課長にお伺いいたしたい。新制大学はさつき私が申上げたように蛸の足大学になつてつて、相当事務をとつて行くのにも私は苦労なさつているだろうと思うのです。更にその純事務的なものをのけても、技術事務職員、こういう方面においてこれだけの減員をやつて、果して研究助手の使命も十分達し、又非常な複雑化したところの大学の事務というものは円滑にとり得るのかどうか。寺中課長のさつきの言葉はこの事務は苦しい仕事をして来ていて困難であるのではないかと思うというように非常に微妙な表現をされたようでございますが、あなたは責任を持つてこれをお引受できるのかどうか。その実情なり更にその交渉の過程においてあなたが主張された見解というものを参考にここで承わつておきたい。
  188. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 大学の事務が従来通りの量がありますれば、私はこの整理は不可能であると思うのでありますが、今大野木次長からもお話がありましたように会計事務人事事務、大体大学の事務職員はその方面仕事をしておるのでありますが、その方面で相当仕事簡素化ができる、又私どもの関係仕事におきましても、その方向の手続を進めておりますので、それが実施できるという前提の下にやりますれば、これは大体支障のないようにやつて行けるということは感じておるのであります。ただ相当苦しいことは考えられるのであります。それから大学の事務職員につきましては、一般の官庁の行政整理の率よりは低くなつておるのでありまして、これは学校の事務が相当多岐多量に亘り、又従来も相当過重な事務を背負つて来たということを認識して頂いて、幾らか低率の整理をやつておるということになつておるのでありまして、只今お話の点につきましては、相当苦しいけれどもとにかく仕事は間違いなしにやつて行けるであろうという責任のぎりぎりのところであると感じております。
  189. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 寺中課長は東京の文部省において、若干実状を知つて同情はしているようですが、私の考えることはひがんでいるかも知れませんが、やつぱり行政整理をやるときに、朝晩顔を見ていつも鼻突合わせている連中は、かわいくはあるし、又仕事実情もわかる。従つて行政整理する場合に、どうもその足下のほうはいくらか軽くなつて、遠方におる、地方にいるところの国家公務員のほうに行政整理がしわ寄せされて行くということは、私は各省を通じて、私のひがみかも知れませんが感じられる。地方の大学の事務職員は、教務職員にしようが、純事務職員にしようが、技術職員にしようが、相当過重労働をやつていると思うのです。それに対する認識も寺中課長としても不十分なところがあるようです。それにもまして私は遺憾なことは、今度の行政整理文部省に対してこれだけの行政整理をおつ被せて来た場合に、日本の文教政策を護るべき立場にあるところの文部省が、余りにも私は腰か弱かつたのじやないかと思う。吉田総理の考え方、それから橋本行政管理庁長官が叫ばれているところの行政整理の基本文針から行くならば、再軍備はやらない、文化国家を建設するのだと、こういう立場から言たならば、この度の行政整理において、文部省関係行政整理というものは、大幅にやらないでもう少し縮減できたと思う。その点については私は遺憾の意を感じているものなのです。  もう一点お伺いたしますが、これは文化財保護委員会のほうでありますが、これは考え方によるというと、今国家経済も国民経済も苦しいから、文化財というよりも、食うほうが大事だというような考え方もあるかも知れません。併しながら敗戦後の苦しい中にも、平和と文化を愛好する新らしい日本として、ここに文化財保護委員会というものを設けて発足したことは非常に意義があると思いますが、発足早々まだその仕事も十分緒にもつかない現段階におきまして、この文化財保護委員会を三〇%も整理する、これで果して文化財保護委員会法の狙つているところの文化財保護というのはやられるのかどうか。この点については、文化財保護委員会の事務局の責任者は来ておりませんか……。その責任者、更に行政管理庁のかたの文化財保護に対する見解、そういうものを承わりたい。
  190. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 文化財保護委員会の仕事の重要性についてはこれは申すまでもないのでありますが、只今三〇%の整理だと言われましたが、それはそうでありますが、専門的な仕事をやる人が非常に多いのでありまして、又いろいろ特別な研究をやつておるような人もございます。そういうかたについては特別低率、或いは枠外の操作をいたしておりますので、実際はそういう率にはなつておらないのでありまして、これも文化財保護委員会と十分連絡をとりまして、大体この程度ならば整理可能であるという数字を以て行政管理庁と話合いをした次第であります。
  191. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 責任者は来ていませんか。
  192. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 只今お話がございましたように、文化財保護委員会につきましては、行政管理庁におきましても、その意義を十分感じまして、整理は極力少くいたしたつもりでおります。本庁で十八人、それから博物館、美術研究所等におきましては、守衛等の人は除きまして、極めて僅かな整理しかしないつもりであります。
  193. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 今日お伺いしましたことに対しまして政府委員の答弁がございましたが、その答弁、更にこれから他の委員から質疑をされましよう。それに対する答弁等承わりまして、更に本法案を検討して何らかの結論を得ましたならば、当内閣委員会にも何らかの意思表示をいたしたいと思いますので、その節は然るべくお願いいたしたいと思います。これを以て私の質問を終ります。
  194. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 大部遅くなりましたので、納得の行かない点を二、三点お伺いしたいと思います。先ほど行政管理政務次官から行政整理の基本的な方針が明らかにされたと思うのでありますが、この基本的な方針は伺つておれば、極めて筋の通つたどこへ行つてもこれは文句を言われる筋合いのない方針だと思うけれども、この方針を実際にどういう方法で整理して行くかというところに私は大きな問題があると思う。そこで先ほど次官はこの整理の方法の基本的な考え方を、国情並びに日本の現在の経済情勢に沿つて簡素化して行くのだ、これも又私は御尤もな御答弁だと思うのであります。けれどもここに忘れてならないのは、現状をどう把握して行くかという問題になつて来るのではないでしようか。私はこの現状の把握の問題については、いろいろと見方があると考えられるのでありますけれども、先ず第一に基本的な方針から申上げれば、戦前戦後を通じて各階層における事務の複雑化、並びにそれに伴う増員をこの際簡素化するのだというのでありますが、然らば戦後において新制大学、それが七十校も現在殖えて来ているのに、昭和二十三年以来刻々に教員の数が減つて来ているということが現状であります。数字を挙げて言えば、昭和二十三年には二千八百十一名の教員が減つているのであります。これは新制大学に移行する場合に減つた数であります。それから翌年の二十四年度には四百六十五名、これは定員に満たない欠員のうちの半分に相当するものが減つて来ている。それから二十六年度には更に三百七十六名、こういうふうに学校が殖えているのに、それと反対に教員の数が減つている。これは大変に現状を無視されたやりかたであつたと考えるのであります。私がお伺いしたいのは、こういう現状というものと、それから今度の行政整理というものについての調整ということをどういうふうに一体やるのか、現状にウエイトを置いてとつて行くのか、経済状態にウエイトをおいてとつて行くのかというところを私は先ずお伺いしたいと思います。
  195. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 新らしい大学が出発するに際しまして、新らしい大学は旧制度の専門学校、或いは高等学校を統合していたしたわけでございます。統合いたしました関係上、統合の利によりまして、事務職員の組織の簡素化が図られたという点で、少数の定員を以てしても従前以上の事務能率を発揮し得るということになつて来たわけであります。その後におきまして、県立大学の合併であるとか、或いはその他一部の特殊の学年進行等で学生数の増した部面はありますけれども、大体において新制大学の擁しまする全学生定員は、旧制高専、或いは師範等を総合いたしました学生数と比べて大体増していないわけであります。学生数が増したのに比して、事務職員が殖えないというのは、こういう特殊の部面において学生数が殖えた関係であろうと考えるのであります。
  196. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 殖えないということについてはそういう御説明が成り立つかも知れませんが、併しこの国立学校事務職員と学生数に関する調査から見ましても昭和十三年度においては学生百人に当る職員数の比率が一七・六、二十二年度にはぐつと減つて一四・五、二十六年度には一六・一、これは少し多くなつています。そして二十七年度は、これは見込みでありますけれども非常に減つて一二・六という、これはもう私どもちよつと納得の行かない、ここにまあ数が出ているのであります。この納得の行かないというのが私は現状ではないかと思います。そこで結局納得の行かないというのがどういうふうな一体形で現われているか、これは私よりもそちらさんのほうが十分私はおわかりだろうと思うのですが、一体業務運営に支障がない、教育行政を遂行する上において支障がない、こういうような確信を持つためには、これはどうしても無理算段をして行かなければならないと思う。その無理算段は一体どういう形でこれからやつて行かれるか、それを先ず伺いたい。
  197. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 二十二年と二十六年の間におきましては先ほどお答え申上げました学校の統合があつたわけでございます。それから戦後におきまする二回の行政整理のうち一回につきまして欠員の半数を落したという事実があるわけでございます。二十七年度におきましてこの比率が落ちておりますのは、今回の行政整理数等を考えた次第でございます。この行政整理を行いました場合において如何にその事務の支障を来たさないようにするかという点につきましては、先ほど他の政府委員からお答えいたしましたように、会計事務人事事務等の整理を予想すると共に、更に事務機構の改良を考えまして能率の低下を来たさないようにいたしたい所在でございます。
  198. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) そういう御答弁は、私はもうあなたおつしやると思つているんですよ。けれども兼務ということは先ほど認めないという多分高橋長官の御答弁の中にあつたと思うんですが、基本的には兼務ということは認めない方針だとこういうことを言つていらつしやる。そこで私は具体的に先ず寺中さんにでもお聞きしているんですが、ここに船員の定員が書いてあるわけですが、この船員の定員は十一名でありますが、これは明らかに船舶定員法によつて定員がさまつておると想うのです。現在この船舶定員法によつても船員の数というものが確保されておらないはずであります。然るにかかわらずこの十一名減らすといことは具体的にどうなつて行くか、これは商船大学あたりでは練習船を一遍に五はいも六ぱいも出すわけじやない、一ぱい出した場合にですね、こういうふうに船員を十一名減らして行つた場合に火夫とか水夫とか舵夫とかいろいろ皆業務の内容が違つているわけです。その場合にこういうふうに天引に数を減らして行つたならば、五はいあつて一ぱいだけ練習に出るという場合には、その操作をする場合に、火夫をやつているものに水夫をやらせてみたり、これは結局兼務をして行かなければこれはやつて行けないという私は実情が来ると思うのです。おつしやることは立派でも現実にそういう問題にぶつかるというと兼務もさせなければならない、しなければならない、こういうことになつて行くのでありますが、大体その兼務というものは認めるのか、認めないのか、それをお伺いいたします。
  199. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 事務職員の兼務は認めない建前でおるわけでございます。
  200. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 兼務を認めないといつても、現実に認めなければできないということに追込まれて来た場合に、当然この行政整理というものは空転して行く、足もとについていない考え方、こういうことが言えると思う。  それから第二に、私は教務職員ですか、技術者の整理の問題について私は伺いたいのですが、こういう工合に一律に整理をして行つた場合には、これは教育の特殊性ということから私は考えなければならないし、特に大学教育の特殊性というものは普通の中小学校の特殊性とは異なつた内容を持つて来ると思う。で、例えば技術者の中にはレントゲン技師もいるでしようし、薬剤師もいるでしようし、或いは機械工作に関係するものもいるでしよう。それから実習の指導員もいるでしよう、非常な特殊技術を持つているかたが技術員の中では約八〇%から九〇%を占めると言われておるのであります。特に医学部あたりの技術員というのは、人体実験もできないという場合には、動物実験をする。その動物実験をするという人はもう特殊なこれは技術を持つていなければならない、そういうような人を十把一からげにして頭から天引して行くというようなことは、これは現実にもう大学の研究というものを破壊して行くのではないか。而も現在の大学行政の欠陥というものは、適正な教職員の配置が行われていないということは、稲田さん御自身も御存じのはずです。私はどういう観点からこういう大学の研究に重大な技術職員をこういうふうに頭から天引して切つて行くかさつぱり私にはわけがわからない。こういう大学研究の特殊性というものと今度の人員整理というものとどういうふうにお考えになつているかこれを伺いたい。
  201. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 第一段につきましては、私高田委員の御質問を誤解いたしました。兼務とおつしやられましたから、国家公務員は兼務であつて任命権者を異にする部局に亘つての兼務という御質問かと思いましたので、それは建前としていたさないとこう申上げました。同じ部局におきまして二つの仕事を持つ場合に、一定時間の間において能力のあるものが二つ以上の仕事に関連するということは、これはあり得ることだと考えております。  第二の問題につきましては、まあそういうような意味合いからいたしまして、一般職員のうち学校の職員、殊に研究所等の現業員等につきましては最も低率な整理にとどめたような次第でございまして、なおこれを配置する場合におきましては、個々の機関の機能を十分考えまして、機能の低下のないように按排いたしたいつもりでおります。
  202. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 結局これは運営の問題になつて来ると思うのでありますが、現場の研究に支障がどうしてもあるという場合に、この出した数字は一体変つて来るのか変つて来ないのかそれを伺いたい。
  203. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 部局の間におきまして、実際これを配置いたします場合に、それぞれの機能に応じて配置することができようかと考えております。
  204. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 更に具体的にお伺いしたいのでありますが、この病院の定員整理、教官の場合に八十七名というものが上つて来るのでありますが、これはどういう観点からこれだけの数を持つて来られたかそれを伺いたい。
  205. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 病院におきまする診療に従事いたします教官は主として学部に所属いたしまする臨床の教官を以て充てるわけでございます。で、ここに計上いたしておりまする教官は非常に特殊なものであつて、病院についておりました副手を教官として直したその職員でございます。病院機能全体から考えまして、この程度整理をいたしましても、機能の低下なしと考えた次第でございます。
  206. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 大変にこれも又現状無視の空論であります。現在のような生活水準の低下で患者の数というものは各国立大学病院附属病院では約一・七倍の患者増を来しているといわれている。又群馬大学の例で申しますと、教授が三名それに看護婦が十七名、看護婦はアメリカ流のいわゆる合理的な方法によると三交替にやつて行かなければならん。三交替にやつた場合には、これは看護婦は約四割増加してもなお且つ逐次患者の増加する現在のような場合において、これでも楽ではない。そこで看護婦のほうの現状は一応認めてこれは枠外に出されておる。これは全く結構なことであります。併し看護婦だけをこういう枠外に出すとするならば、もう一歩進めて、この病院に勤務する教官の現状というものをもう少し私は十分に見つめらるべきではないかと考える。大体この病院におられる副手の先生方も教授陣、教授の数が極めて少いために一日中患者の共にお世話をし、そうしてやはり夜の十時、十一時にならないと家へ帰ることができない。そうして又患者さん、急患のかたが来られればこれに伴つてお手伝をして夜中に飛び起きて飛んで行くというふうにして、誠にこれは現在の医学部の運営が極めて困灘であるということは、たびたび私どもも陳情を受けて、これ以上減された場合には到底これはやつて行けないという悲鳴を現在聞いておるのであります。こういうような現状であつてもなお且つこういうふうな天引式な一体整理をしなければならないのだろうか。これは余りに宙に浮いた、現状に即さない私は考え方だと思うのでありますけれども、こういうような状態を十分に当局は御認識になつておるのでしようか。それをお伺いいたします。
  207. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 御引例になりました群馬大学医学部のごときは、新設医学部でございまして、現在定員が非常に窮屈でございます。将来これは伸ばして行くべき過渡的な段階にあるわけでございます。これらの学部につきましては先ほど申上げましたように病院の移管、即ち臨床の教授は適用除外をいたしておりますし、病院所属のここに上つておりまする従来副手でありました教官につきましても特に現実の配置におきましては特殊の考慮を用いたいと思つております。
  208. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 最後に私はお伺いしたい点は、それは理屈をおつてこういうことを通せば、これは無理にだつて通ると思う。併し無理がれば道理が引込むの例えに洩れませんから……。特に従来でも事務職員が、これはもう大学の事務職員というのは、実に業務内容が非常に多い。具体的に言えば総員約六千名を越えるところに、業務内容の異なつた種別が約三百七十種程度あると言われておる。そういう業務内容の非常に異なつ事務職員を一律に天引した場合においてはどういう一体ことが起つて来るか。これは某医科大学の学生からの誠に私はお気の毒な陳情を聞いたのですが、学校に現業員が非常に少い。そのために運動会だとか、何だとか、かんだとかいうような場合には始んど全部学生が講義を休ませられる。そうして庭の掃除をさせられたり、学校の掃除をさせられたり、こういうような状態に追込まれている。而も現業員が少いために大人の学生をただ使つちや申訳ないというので、学生に学校が講座を休んでアルバイトをさせておる。一体こんな馬鹿げた現状を、大学の現状を放置しておいて、そうして表面では教育行政に支障のないように円滑にやつて行くというようなことをつべこべ言つてつて、私は一体学生に本当に申訳ないと思う。学生ということをもう少し頭において私は考えてもらわなければならないと思う。それをほかの省がこれだけだからおつき合いをしなければならない。基本方針が立派だから協力をしなければならないというようなことで、具体的な現実に眼を蔽つて、そうして学生にそういうことまでさせて、そうして天引しなければならないという理由は、これは日本の教育の歴史に私は大きな汚点を残すものだと思うし、折角文教政策の革新的な実践を主張される吉田首相の非常な私はこれは政策上の黒星だと思う。若しその吉田内閣の文教政策に協力しようとする執意があるなら、文部省はもう少しこういう現実をはつきりとやはり主張されて、そうして学生の立場に立つて、本当の教育の本質的なあり方というものを外らさないようにしてもらいたい。私はこういうことを希望いたしまして、このくらいでやめますが、学生アルバイトのことについては、ちよつとそういうことを知つておるか知つていないかだけお伺いしておきたい。
  209. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 今日経済上、社会上の状況からいたしまして学生がアルバイトに従事しなければならない現実であることはまあ申すまでもないわけでありますが、それにつきまして学校当局といたしましては最も適切なアルバイトを斡旋するということに心を使つております。そのうちにおきまして若し学校において一般に人を募集して学校を綺麗にする、或いは学校をよくするというような仕事があつて、そうしたことが教育的に非常に適当だと思われる場合におきましては、むしろ進んでそういう場所に学生に働いてもらつて、学生にアルバイトとしての報酬を与えるということも又教育上適当なことかと考えております。
  210. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) これは大変誠に奇怪なことを聞くものです。そういうことを学校でやらせる。これが当然であるというような主張は、私はこれは誠に本末顛倒したことだと思う。こんなのはちやんと正規の現業員を学校に置けばこういうことをさせなくても済むと私は思うのです。それを生活水準が低下して、そして学生諸君が学費に困つておる。この学生に良い餌を与えるような格好をして、講座を休ませてまで学校の整備をさせるなんということは、私の母親としての心情が許しません。少くとも教育を守るものだつたら母と同じ立場になつて、もつと良心的に考えるべぎだと思う。あなた初め、こういう馬鹿気たことを言われるのには実は私は実に驚くのほかありません。
  211. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 私も文部委員の一人として、若干文部省関係行政整理の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。今度の文部省関係行政整理の中には、教官の分として六百九十二名が上げられております。で、先ほどの政府側の説明を承わりますと、これは講座の整理をやつて、そうして教育に支障のない範囲で行うのである、まあこういう説明がございました。そういたしますと、今度の六百九十三名の教官の整理は講座の整理、統廃合ということが前提になつているように思うのですが、そういうふうに解釈して差支えないものかどうか、先ずお伺いしたいと思います。
  212. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 講座の整理、統廃合ということは私は申しませんでした。会計課長に聞きましたが、申さないと申しておりました。で、これにつきましては実際各大学において教員のいろいろ持時間数等の調査がございますので、まあ第一段階といたしましては教員の適正配置することによつて支障なく措置ができるはずと考えております。それから、講座の整理等につきましては、現在学年進行中でありまして、学生の志望の状況、或いは又一般社会の要求、又個々の学校の性格等が今形成しつつある間でございまするから、そうした意味合において今年度におきましても考慮いたしましたし、明年度以降におきましても講座の統廃合或いは新設廃止というようなことが行われる機会があるだろうと思つております。そうした際にもやはり適正配置ということを考慮いたしますれば、機能の低下を来さない努力が払えると考えます。
  213. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) それでは先ほどこの問題について御説明なつ行政管理庁の次官にお伺いしたいのですが、先ほどのお話の中には間座の整理などをやつてもらつて整理などを実施して、そうして人員整理をしてもらうように話をした、こういうまあ御説明がありました。そういう点と今の文部省回答とは多少まあ食い違つておるように私は感ずるのです。そういう点を政務次官のほうからもう一度御説明を願いたいと思います。これは速記録がありますし、私の記憶に間違いないと思います。前座の整理等やつてもらつてそうして人員整理をやつてもらいたい、こういう話をしたのだ、こうおつしやつておりました。
  214. 城義臣

    政府委員(城義臣君) 荒木さんにお答えいたします。今私は丁度講座の統廃合をやるという何といいますか、時間的に申上げれば今考慮されているという、こういう意味で私申上げたので、やられたからというような気持で申上げたのじやございませんので、前に私がそういうふうにやつたから結論としてこうなつたということであれば、私の説明が足らないのでございますから、さよう御承知願いたいと思います。
  215. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 講座の整理廃合をやつてその上で人員整理をやるとするということになれば、筋としては一応成立つのじやないかと思います。これもやらない、これは前提になつておらないということになれば、大学関係の教官の整理の理由というものが、今までの説明では明らかでないと思います。そこでもう一度ですね、大学関係の教職、教官の整理ができる理由、それを明らかにして頂きたい、こう思うのです。
  216. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 講座の組織分子といたしましては、申すまでもなく教授、助教授、講師等ございまして、仮に講師一人を整理いたすという場合におきましては、講座の整理まで及ばないわけでございます。そうしたような次第において、又新らしい大学におきましては必ずしも講座組織をとつておりません。教室制度でございますので、その辺において教員の適正配置を期することが第一に考慮せられることと思つております。又同時に先ほど城政務次官からお話の通りに、今日講座についての再検討を各大学でやつておりまする機会でございまするから、それと関連して実施をすることができる、こういうふうに考えております。
  217. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) そうするとまあ主たる理由は教授の適正配置をやる、そのことによつてこれくらいの人数の整理はできるだろう、こういうことになると思うのです。併しこれは大学の今の実情を知つておられるかたの御意見としては私は受取りにくいのであります。私が申上げるまでもなく、現在大学の教官にはかなりの欠員があるわけなんです。その欠員はどうして起つておるか。いろいろの事情があると思うのですが、昨年の学年末にいわゆる三千名以上に及ぶ整理が行われた、大学関係の教職員についてはまあ三千名に及ぶ整理が行われた。これは大学に昇格した際にその資格を喪失して、いわゆる専門学校が大学に昇格をした場合、資格を喪失してそのためにまあ三千名に及ぶ人々が実質的には整理されておるわけなんです。今日大学においてかなりの数の欠員があるということは、その人を得がたいところにあると思うのです。決して不必要であるから欠員が起つておるのでなしに、必要ではあるけれども、七十余りにも殖えた大学の教授として有資格者を求めることが困難な実情から私は来ておると思うのです。こういう実情において適正配置ができるかどうか。現に大学においては設けなければならない講座さえ設けることができない実情にあることは御承知通りであります。これは一にかかつてその人にあるわけなんです。この人は私は容易に得られたいということは、他の部門とは全く事情が違うと思います。そういう事情にあつて現在でも相当数の欠員があるということはその人を得られないというところにあるのである。そういう人の不自由な中において、適正配置をして人員整理ができるという考えは私は実情から見て相当無理な考え方ではないか、こういうふうに考えるのです。それから更に講座の整理も近く行われるだろうということを暗にやはり理由として挙げられておるようなんです。私先ほど講座の整理ということを前提としてこの人員整理考えておるのかといつたら、いやそうでないという答弁があつたけれども、いや近く行われてそれをも考慮しておるのだ、こういうことになると、やはり理由に挙げられておるということになると思うのです。こういう点を私はもう少し明確に御説明を願いたい、こう思うのです。
  218. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 適正配置と申しました分につきましては、第一に定員の配置に当つて適正を考慮する、第二にこの配置せれらました定員について、或いは欠員等は続くかも知れませんけれども、それを充員する場合に、又実人員の適正の配置を考慮するという意味で申上げたわけであります。
  219. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) この問題に関連して我々の聞いておるところでは、先般文部省は大学の教官関係欠員を補充することを留保するようにという通知を出しておられるように聞いておるのですが、そのことは如何ようになつておりますか。
  220. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) あれはあの当時の特殊の事情でございまして、この行政整理を行う前でございましたか、級別定数を固定する必要がありましたので、そういう意味合いにおいて極く短かい間そういう措置をとられたように聞いております。
  221. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) このことは実際に非常な障害を来たしておつたということも事実であります。大学関係の教官というものはそう容易に得られる性質のものでない、そういう関係にあつて一時的であつたかどうか私はよくわからないのですけれども、そういう通知によつて、大学教官の採用というものが一時ストツプを食つておつた、こういう事情があるわけであります。従つて大学教官というものが今日かなりの欠員があるということは、私は教育に不必要であるから、支障がないからというようなことによつてつておるのではない。このことは明確にしなければならん問題だと思うのです。そういう立場からやはりこの際教官関係定員を減らすということは将来教育上に相当な支障を来す虞れが十分にある、こういうふうに考えておるわけであります。この点はまあ質疑をいたしましても押問答になると思うのです。これは見解の相違というようなことになつてしまいますので、私はこの点では質問はいたしません。  次に、この教官の中には二百九十四名の附属学校の教官が含まれておるわけです。このことについて若干お尋ねしたいのですが、現在教育の最小限度を維持する教員の定員としては、小学校、中学校においても理論学級一学級について一・五人、これが小学校の場合であります。中学校の場合になりますと、理論学級一学級について一・八人、これが教育を行う最少限度の定員として従来実施されて来たものであります。そこで私は附属の各学校の定員の現状につきお伺いしますが、この最少限度の定員が現在確保されているのか、確保されていないのか。そういう点について一つお尋ねをいたします。
  222. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) お言葉でございましたが、附属学校の定員基準といたしましては、小学校については一・三人という計算になつております。中学校については一・八、高等学校におきましては、高等学校設置基準の数にいたしておるようなわけでございます。これらの数につきましては、極く特殊の附属学校におきましては、その基準に達しない部面もあるわけでございます。これらにつきましては、それぞれの特殊の事情がございまするので、明年度以降の予算におきまして充実いたして参りたいと考えておるわけでございます。
  223. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 特殊な事情を私は聞いておるのではなしに、一般的に、平均して定員に達しているのか、定員に達していないのか、今の現状を聞かせてもらいたい。
  224. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 全体の附属学校を現状から離しまして、一・三人及び一・八にならすといたしますれば、これだけの数を整理いたしました数でも充実し得る状況でございます。
  225. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) そうすると、附属小学校の場合は一・三、この基準がどこから出ておるのか、この際明らかにしましようとは思いません。併し一般的に、一般の小学校においては一・五、こういうことになつておるのは事実であります。附属小学校が一・三になつておるというのには特殊な事情にあるのだろうと思いますが、そのことは言いませんが、そうしますと、今の稲田局長の答弁は私は信じたいのであります。併し一応念を押しておきたいというのは、この問題については、文部委員会でも政府委員質問した。ところが政府委員の答弁では、確か一・二程度にしか達していない、こういう説明があつた。ここに食い違いがある。私は甚だこのことは遺憾に思います。稲田局長整理をしても尚且つ一・三、一・八がある、こういうふうな御説明ですので、私は資料を要求します。この問題については、同じ政府側の説明について、かかる数的な差違が起るということであつては、私ども審議をいたす場合に非常に困ります。そういう点で正確な数的な資料を私は御提出を願いたい。このことを申上げておきます。  次に文部省関係事務職員の問題でございますが、これについては、先ほど来いろいろな質疑がありまして、私はこれを重複することを避けますが、私が実際現場に働いてる教官或いは事務職員のかたから聞いておるところによると、学校の事務職員は現状においても手薄であつて十分な事務はできない。  そこで教官の手を借りておるような実情である。こういうお話を聞くわけです。これは抽象的なことであつて計数的には挙げることはできないのですが、ただ私どもの持つておる資料からいたしまして、学校の事務職員の数というものはこれは漸次縮減されて来た。こういうふうに見るべき数字が私どもの手許には提供されておるわけです。それを申しますと、昭和十三年度において、事務職員が五千余り、昭和二十七年のこの整理を行うことによりますと一万三千七百三十四人、こういうようになつておるのですが、この間に六・三・三・四の学制改革がありまして、学生数において約三倍に増加しておる。これは学生数が三倍に増加したというのではなしに、学校数が三倍以上に増加しておる。こういうことから考えますと、事務職員も大体において三倍程度増加して均衡がとれるものと考えることができるわけです。ところが事務職員のほうは大体二・五倍程度にとどまる。これでは私は事務をやつて行くのには非常な支障を来すのじやないかと考えておる。このことについて、これは抽象論になりますから、もつと具体的にお聞きしたいのですが、私の聞いておるところでは、大学の附属のいろいろな施設、この施設の細かい施設のところには事務職員が配置できないという現状がある。そういうところでは、研究員とか、そういう人たちが事務を代行してやつておる。そういう所にまでそういう小さい施設には事務職員を配置することのできない、配置されていない現状がある。こういうことですがこれは事実ですかどうですか。私は文部省にお伺いしたい。
  226. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 大学のいわゆる本部と称せられまする部面におきましては、主として事務職員事務人事、会計でございます。  お話のように、いろいろな研究施設、臨海実験所とか、或いは農事試験場といつたような面におきましては、その事務と申しましても、その研究業務に非常に関連の多い内容の事務であるのは自然でございます。そういうような次第でございますので、そういう部面におきましては、純粋のいわゆる人事、会計の事務職員以外の者が事務をとる場合も相当あるわけでございます。
  227. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 私が尋ねておる点に答えてもらいたい、こう思うのです。そういう施設にも事務職員を配置できない現状がある。事実そういう陳情をたびたび受けております。事務職員が配置されておらないので困るという陳情を受ける、そういう事実があるのかどうかということだけをお答え願えばいいので、余分のことは私は求めておらん。
  228. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) お話のその研究施設にもいろいろございまするので、その研究施設業務内容によりましては、お話のような事務職員の配置のない場面もあるだろうと思います。
  229. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) あるだろうですか、どうなんですか。
  230. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) それ以上の事実を今日つまびらかにいたしません。あり得る性質のものだと思います。
  231. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) そういうことを調査されないで、私は事務職員行政整理ということを強く進められておる文部省の態度に対しては、甚だ遺憾と言わざるを得ないと思うのですが。
  232. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 若し仮に或る研究施設の部面において、現在事務職員の配置がなければ、それは今までそれでやつて来たものであつて、勿論行政整理の問題には関連しない、行政整理に当つて事務職員の配置につきましては適正を期する考えでございます。
  233. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 私が言つておることを正直にとつてもらわないと困る。そういう所に配置することさえできない現状であるから、更に事務職員整理するということは相当な無理があるのではないかということを言つておるわけです、そういうところで質問していないですよ。そのことを私は趣旨を言つておるわけです。だからここで事務職員を相当な整理をしても大して事務に支障はないのだ、こういうことについては私はかなりの疑問があるという例証をここに列挙しておるわけです。ですから別にそれは支障があるかないかということについて私は答弁を要求しておらない。それは見解の相違になるのですね。こういうところにも事務職員が配置されておらない現状があるかどうかということを尋ねているのですから、そういうところもあるということであればそれで私は十分であります。私は総括的に言つて、それは国家財政の困難な事情下において、できるだけ事務の合理化を図つて整理し得るところは整理するということについては別に反対でも何でもない。むしろそれは当然すべきことである。併し学校関係においては、そういうことができない事情にあるのではないかというふうに考えましたので、まあ以上若干質問をしたような次第です。  それからこれは文部省関係事務職員ですが、事務職員と申しますか、文部省関係では大体二百名、定員千四百名に対して二百名の整理ということになつております。これについては私は詳しいことを知らないのですが、私どものところに提供されている資料では、昭和十七年度において文部省定員が二千四百二名であります。昭和二十年度において千五百七十二名、昭和二十六年度において千四百三名、今度の整理になると千二百三名に減少する。これは他の省と文部省とは非常に性質が違うということを私は現わしておると思うのです。他の省ではかなりの人員の増加を来たしておる。これがまあ普通であります。大きく言えば今度の行政整理は、やはり人員の膨脹だ、公務員の膨脹を何とか整理したい、こういう点にあると思うのです。併し文部省においてはそういう実情とは逆行した実情にあるということですね。私はこの中においてもなお整理し得るところがあれば整理するということに反対ではないわけなんです。併しこういう数字を見ると、これが天引整理じやないかというふうな疑念を多分に抱くわけです。整理し得ないところも整理するようなふうになつているのではないか、こういう疑念を抱くわけです。で、やはり文部省がある限り、文部省が要るか要らないかは別問題として、文部省がある限り、而も教育行政をやつて行く責任の立場から申しまして、今日文部省整理対象になるということもかなり無理があるように私はこの数字から判断するのであります。こういう点については私は文部省質問しても仕方がないのですが、一応政務次官のほうからお答えを願いたいと思うのです。
  234. 城義臣

    政府委員(城義臣君) 最も痛いところを突かれたような気がするのであります。と申上げるゆえんは、文部省の今の具体的な数字、私は実は存じておりませんけれども、お話のごとくであるといたしますというと、誠にどうも天引ではないかと仰せになることが、そうでないという反駁もしにくくなるのであります。私率直に申上げておりますように、その、今、先生、お引きになりました具体的な数字の根拠等も私存じておりませんので、それはそれなりといたしまして、お話のごとくであれば、天引のような印象が甚だ強くて私も遺憾に思います。けれども私は、先ほどのお言葉を繰返すようでございますけれども、私はすなおにそれぞれの官庁を通じての非常に入り組んだ今日の人事制度であるとか或いは民間から常識的に考えて、随分手のこんだ非能率な現在の会計制度というようなもののために整理すべきである、こういう一般的な考え方からいたしまして、当然人事院規則を改正するなり、或いは会計法を改正いたしまして、簡素化されるものにつきましては、文部省からも一定の剰員と申しまするか、それに関連した整理を行い得るのだ、こういうふうに私は一般的に考えておりますので、先ほど来のことを申上げておる次第であります。そこでその原則的な線を外れ孫して、いわゆるおつき合いと申しますか、不合理な、科学的な検討に堪えないような整理が強制されるというようなことであれば、私はそれは遺憾であると思います。十分その辺は、私はまあ数字的にも、先ほど申上げましたようによく存じておりませんので、更に次長からでも御説明申上げますが、私といたしましては、今の先生のお話については、そうであるとすれば誠に遺憾であると思います。
  235. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 今日私が用いました数字は、すべて私が正式に文部省に要求をいたしまして、文部省から提出を求めた資料であるということを附け加えておきます。なお若干質問したいこともありますが、相当な時間も経過いたしておりますので、この際総括的に私は内閣委員のかたがたに十分御理解を頂いて、お考えを願いたいという点を申上げて、甚だ僭越で申訳ないのですが、このことについては、いずれ文部委員長も皆さんにお願いを申上げるということになるかと思うのですが、私どもとしては、まあ教育をできるだけ大きな支障を来さないようにして行きたい、こういうまあ考えに基いて文部委員の一人といたしまして、今度の文部省関係整理案を検討してみたわけなんであります。どうも私どもの考えではかなりの無理があるというふうにまあ感じておる。特に教官関係整理附属中学校に至つては一〇%という整理が出されておる。こういうことはかなり無理がある。又事務職員についても、いろいろ戦前からの経過を見ましても、その数字を見ましても、決して膨脹した跡はなんにもないわけなんです。そういう点にも、一律に、一律ではありませんけれども、それぞれ相違はありまするけれども、或る一定のパーセンテージを以て整理が行われておるということについては、私はかなりの教育に支障を来すのではないかということを感じておるわけなんです。従つて内閣委員の各位におかれましても慎重に御審議を頂いて、十分御考察を、御賢察をお願いを申上げまして、質問を打切るわけであります。
  236. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) 一点明確にしたい。先ほど私質問して、それから高田君と荒木君の質問に対する答弁を聞いておつて、一点更にお伺いしなければならん点が出て参りましたので……。それは先ほど私政務次官並びに次長それから稲田局長に教官の問題をお伺いいたしたときは、次のように私は了承されたわけです。即ち六百九十二名の整理は、配置転換とそれから講座の整理をやることによつて教育に支障がないようにやれる自信がある、こういうふうに私は答弁を承わつて、さがつた。ところが高田君と荒木君の質問に対しては、講座の整理ということは言つておらない。まあ将来講座の整理とそれから配置転換をやればできるであろうというように答弁されておる。前者が本当か後者が本当かどちらか、答弁して頂きたい、どちらですか。
  237. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) まあ配置転換については御了承頂いたと思います。講座の問題につきましては、申上げましたように今日新制大学に発足間もない時期でございまするので、学生の思潮であるとかその他の点につきまして用意すべき講座が如何なる講座を用意するかということを本年度も明年度も研究する必要がございます。従つてそうした問題と関連いたしまして定員の配置の適正を期すれば支障なきを期し得るだろう、こういう意味でお答え申上げました。
  238. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) それでは教官一人の整理でも教官自身にとつては生活権の剥奪でありますよ。学生、生徒、児童の立場で見れば自分の恩師を、教師というものを失う、こういう事態なのでございます。それでは今あなたさまの御答弁では配置転換とか講座整理というものは仮定の問題になつている。それでは私は多く申上げませんが、六百九十二の二という数字はどういうふうにして出したのか。それを答弁して頂きたい。
  239. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 一番最初会計課長からお答え申上げたと存じまするが、それらの教官の性質に応じまして一定数を掛け整理数を出し、或いは適用除外をいたしました結果を推計いたしました結果においてそういう数字が出たわけでございます。これを配置いたしまする場合におきましては、その総数の中においてそれらの機関の機能を見合つて各大学に配置する考えでございます。
  240. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) それは次のように了承していいわけですね。配置転換の具体的な事項を考慮することなく、講座の統合についても具体案を持つことなく、机上のプランにおいて立案をされたのが六百九十二、こういうふうにあなたの答弁はとられるのですが、そういうふうに了承して差支えありませんね。
  241. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 計算の基礎においては総体的にそういう数字を出したわけでございます。それから配置する場合におきましては、それらの機能を考慮しよう、こういうわけでございます。
  242. 矢嶋三義

    委員外議員(矢嶋三義君) では次官に一つお伺いいたしておきますが、かくして出した数字はこれは一律的に天引整理によつて出された数字である、こういうように認めざるを得ないのでございますが次官如何でございますか。
  243. 城義臣

    政府委員(城義臣君) お答え申上げます。私の申上げておるのは行政管理庁として各省庁の総括的な立場からそういう方針で進んだことを御説明申上げているのでありまして、各省庁におきましてはその方針によりまして一応の目安といたしまして、例えば先ほど来申上げましたような簡素化すべき業務については一体どの程度であるだろうか、それは一割とか五分とか、一割五分とかいうふうな適当な目安を一応作業の過程においては置いたかも知れませんけれども、結局におきましては先ほど申上げておりますようにそういう基準を設けて査定しましても実情に応じたように勘案して最後の線を得た、こういうように私どもは思つております。
  244. 岩間正男

    委員外議員(岩間正男君) この講座の整理統合の問題でありますが……。
  245. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつとお待ち下さい。規定によりまして、岩間君から発言の御要求がございますので、内閣委員の諸君にお諮りいたします。岩間君の発言を許可してよろしうございますか。
  246. 楠見義男

    ○楠見義男君 若し簡単でしたらやつて頂きたいと思います。長ければ内閣委員が済んでからやつて頂きたいと思います。
  247. 岩間正男

    委員外議員(岩間正男君) 簡単です。
  248. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。岩間君。
  250. 岩間正男

    委員外議員(岩間正男君) 今の講座の整理統合につきましては、これは数の問題が出ておるのでありますが、その内容、性格の問題についても近頃ずいぶん問題が出ておるのです。これはどういうことかといいますと、大学の講座のうちで基礎学科的な面、そういう面については非常に軽視されておる。そうして現実に即した応用的の部面、そういう面は日本の学問の傾向として非常に強化して行く、こういう形で出ておる。その点については非常に大学当局あたりでも心配しておる。そういうことは今度のやはり人員整理とからんでそういう性格が出て来るということは、これは非常に重要な問題だと思う。こういうことについてはどういうふうな見解を持つておられますか、次官から伺いたい。
  251. 城義臣

    政府委員(城義臣君) 只今岩間君のお話でありますが、基礎方面を軽視するというような考えは毛頭持つておらないのであります。
  252. 岩間正男

    委員外議員(岩間正男君) そういう御答弁でありますが、傾向としては非常にそういうことが最近時折問題になつておる。やはり日本の今後の科学的な研究においても或いは又一部アメリカあたりに移るというような、そういうような問題になつたりしております。そういうものが今度のやはり整理統合というものと直接関係するかどうか。全然無関係だというふうには考えられない面が出ておる。人員を先に先ず減らしておいて……、併しこれは具体案を聞かなければならないわけでありますが、これはいずれ文部委員会のほうでお聞きしたいと思います。具体案としてどういうふうな講座の整理統合をやるのであるかそういう方向についてはこれははつきり伺つてから、いずれそういう点との関連、今度の人員整理についても我々は一つの見通しを持ち、又そういうことについてもお願いしたい。こういうふうに考えております。いずれにしろ、今までの伝統とか日本のそういう特殊の民族的の研究というもの、そういうものを破壊しない、こういうことを建前に置いて頂きたいと思うが、この点、御意見を伺つておきたい。
  253. 城義臣

    政府委員(城義臣君) 岩間委員のおつしやつたこと全く同感であります。基礎的学問を軽視して、そこに日本の将来の学問というものが打建てられるとは考えられません。全くお話の通り同感でございます。
  254. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 本日は非常に貴重な時間を頂きまして、我々文部委員のために長時間を割いて頂きまして我々にも質疑の機会を与えて頂いたことに対しまして、内閣委員長初め内閣委員の皆様に厚く御礼申上げまして私どもの質問を打切りたいと思います。どうも有難うございました。
  255. 楠見義男

    ○楠見義男君 文部省それから行政管理庁に伺いますが、先ほどからの質疑応答を伺つておるとよくわからないのですが、教官の六百九十二名というものは、文部省のほうでこれだけ整理ができますということで、自発的にお出しになつた数字か、或いは一定の基準をきめて行政管理庁のほうから、これこれの教官を整理せよということで、その指示に基いて作業をせられた数字であるのか、それとも空から出て来た数字であるのか、これを行政管理庁文部省にお伺いいたしたい。
  256. 城義臣

    政府議員(城義臣君) 私は率直に申上げまして詳細な点は存じませんので、事務次官から御答弁申上げます。
  257. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) この教官の縮減ということにつきましては、非常にむずかしいので、文部省のほうとも協議いたしまして、そうして大体先ほど申上げましたようなやり方をすれば、実情に合つた整理ができるだろうということで、文部省と相談の上で計算をいたしまして出た数字でございます。
  258. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 大野木次長の答えました通り文部省考えております。
  259. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、具体的に先ほど伺つた大学院設置の学校の教官とか、或いは医師とか、歯科医とか、獣医だとか、こういう特殊の特別に考慮したところは、教官は整理は零になているのですか、それとも整理しているのですか、その点を一つ……。
  260. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 零です。
  261. 楠見義男

    ○楠見義男君 零ですか、そうすると、そちいう特別考慮をした学校の教官の数は何人になりましようか。
  262. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 特別に考慮をいたしました教官の数は一万五千七百三十九名であります。併しこれは稲田局長も答えられたと思いますが、実際の教員配置に関しましては、これらの学校について零にするかどうかということは、これは別の問題として研究いたしております。
  263. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、この二万二千六百七十一名から一万五千七百三十九名を引いた残りの教官に対して、一定の率が掛けられて六百九十二名が出ているのですか、それとも六百九十二名を出した根拠はどうなつているのでしようか。
  264. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 只今質問通りで、その残りのものについてやつたわけです。
  265. 楠見義男

    ○楠見義男君 それはどういう率を掛けられておるのですか。
  266. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 一〇%であります。
  267. 楠見義男

    ○楠見義男君 その一〇%というのは、文部省のほうで自発的に一〇%は削れるという理由に基いてお出しになつたのか、或いは行政管理庁から整理基準を示されてお出しになつたのか、その点をお伺いいたします。
  268. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) それはこの人員整理の参考といたしました政令諮問委員会の答申等を参考といたしまして、文部省と相談をいたしまして、その間に出て来た数字でございます。
  269. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は別に攻撃するつもりでも何でも(笑声)ないのです。あとでどうこうしようという何でもないのです。ただ事実だけをお伺いしたいのです。ですから率直にお答えを願いたいと思います。
  270. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 率直に申上げまして、今申上げましたような経過で、大体そういう数が出て来たのであります。
  271. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、行政管理庁のほうでは一〇%くらい切ろうじやないか、文部省のほうでは一〇%はよかろう、こういうことできまつたと了解していいですか。
  272. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 初めは率直に申上げますと、大学全体としていろいろ話しておつたんでありますが、そのうちどうしてもその整理はできないという……、そのうち、先ほど申上げたような除外すべき教員が出て来まして、それで結局それ以外のものにつきましては、いろいろ検討いたしました結果、この程度やれるだろうということで一〇%というものが出て参つたのであります。
  273. 楠見義男

    ○楠見義男君 それはその程度ならやれようというのは、行政管理庁意見ですか、文部省意見ですか。
  274. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 両方でそこで一致したわけであります。
  275. 楠見義男

    ○楠見義男君 大体その事情だけはわかりましたが、そこで次にお伺いするのですが、先ほど来文部委員会のかたがたとの質疑応答の間に附属の中学校、小学校の教官の整理一割というものが既定の事実のようになつて、それを前提として論議されたように私拝承したのでありますが、文部省のほうでは附属の中学校、小学校で一割教官の整理を行うということなんでしようか、どうなんでしようか、それをお伺いいたします。
  276. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 本来はこういう一〇%に決定いたしておるわけでございますけれども、事の性質上一方において地方教官の整理に対しまする実情等をも睨合せなければならない問題だと考えております。
  277. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、実情に即応してという、こういうお話でありますが、現在の附属中学校なり小学校において、一〇%の整理の余地ありとお認めなんでしようか。その点を伺います。
  278. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 先ほど他の質問にもお答え申上げましたように、附属学校の機能についての問題でございまするが、教育実習、或いは実験学校その他の特殊の機能があるわけでございます。ただ一般の公立学校と異なりますことは、公立学校のほうは児童数に制約されまして、或る町村に或る学級数だけは必らず維持しなければならん。附属学校のほうが何学級維持するかということは、その機能から勘案すべきものだと思います。而して教育実習につきましては、一部の教育実習では学校外において、実際の公立学校、農山漁村の学校においてやることが教育的に必要だという論も非常にあるわけでございます。そういう点と見合まして、この教育施設として各部に役立つ学級数というものを編み出すわけでございます。ところが現在の附属学校の学級数は、いろいろな事情で旧制師範学校から継続いたしておりまするから、これは新たな観点から見まする場合におきましては、或る附属学校におきましては、学級の減少等も考慮してやる、整理するものだと考えております。
  279. 楠見義男

    ○楠見義男君 実は附属の学校の問題については、内閣委員会でも公聴会を開きました際に、最初の公述人の石三次郎というかたでありましたか、詳細事情を承わつたのでありますが、そこで今の稲田さんの御説明を伺うと、一〇%というものを先ず切つて、そしてその切つた残りでこの附属学校のあり方をその範囲内できめて行くというような、むしろ本末顛倒したような御議論に窺えたのでありますが、そういうふうに了解したのは間違いであるかどうか御説明頂きたいと思います。
  280. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 附属学校の機構につきまして、一定基準を用意いたしておるわけでございまするが、基準以上の学級を要する附属学校等も相当あるわけでございまするから、こうした附属学校の機能の最小限度考えました場合には、整理も可能だ、こういう意味で申上げたのであります。
  281. 楠見義男

    ○楠見義男君 附属学校について、もう一つお伺いしたいのは、現在附属学校のPTA等が相当負担をして講師なり或いは事務員等を設置している実情を御存じなのかどうか、この点を伺いたい。
  282. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 実はそのPTA等が負担いたしまして作る学級につきましては、文部省には打合せられないで作ることになるわけでありまして、若しあらかじめ御相談があればそうした点についてはおとめする立場にあるわけでございます。なぜこういう象が出るかと申しますると、一般に附属学校に入れたいという地方のかたがたが非常に多い。そこにおいてそういう無理があるだろうと思います。ただ附属学校それ自身の機能から考えますれば一定の学級数以上のものを附属学校には殖やす必要はないと私どもは考えております。
  283. 楠見義男

    ○楠見義男君 それで学級を一〇%減少することによつて、それに即応したようにやつて行くということになれば、それは明年度からの一年生といいましようか、その点からこれを改めて行くと、こういうことになるのでしようか。
  284. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) それは具体的の、学校の規模におきまして相当定員の余裕のありますところは非募集、或いは学級減というような方法をとらないでもなし得る場合もありましようし、或いは又一年について一学級を幕集しないとかいうような方法をとる部面もあろうかと思います。
  285. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほどから数名の委員の諸君の御質問に対しましてのお答えによりまするというと、ただ最後に楠見君も言われましたように、どうも事務整理、実質から考えたその結果としての人員整理ではなくして、或る数に或る数を掛けた減員というようなことが先になりまして、あとでその範囲内においてなんとか融通して行こうというようなふうに聞えたのであります。その説明によりまするというと、先ほど来たびたび管理庁の長官が言つておられることとは逆なことになりまして、私どもとして了解ができないのであります。併しその問題につきましては、何遍お尋ねしてもやつぱり同じような御説明があるだろうと思つておりますから、重ねて御答弁はお願いいたしません。一つお尋ねしたいのは現業職員について大体の標準として五分減ということになつておるようであります。現業と申しましても現業によりけりで、他人を以て替えることのできない現業もありますし、替えられる現業もある。少い例で言うならば十人の定員のところに一人欠員になつても、一人だけほかに二人分働く人があれば十人の働きができるというような現業もあるだろうと思つております。そういう分も包括して、先ず一括して今度はどういうようにするがよいかということを言つておるのでありますが、学校の教官というのはそういう種類の現業員に比べて一層本当の現業ともいうべきで、余人を以て取替えることのできない部面が非常に多いだろうと思います。普通の現業員を五分減ということでありましたならば、それよりはずつと少い数でなければならんというように一応想像されるのですが、この点は如何でございましようか。何か御審議のときに確かにその話は出たはずで、文部省のほうから御主張になつたはずだと私はたしか思うのですが、ほかの現業と比べましてこれはよほど厳重でなくちやならん。こういうことを質問いたしまするのは、私平常日本の今後の建国はどうしても文教から先にやつて行かなければならない。経済の建直しももとより急ぎます、大事でありますけれども、それを建直すためには、先ず文教のほうが先行しなければならないということを平常私は考えております。大体今から意見を言うのは早いようでありますけれども、文部省もこういう減員についてはどうも気が進まないようでありますが、本当に打ち割つた気持で一つざつくばらんな御答弁をお願いしたいと思います。
  286. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 非常に御尤もでございますが、文部省のまあ部内におき柔する現業員につきましては、これは多く研究施設の小規模な現業員でございまして、総体としても少いし、又個々に見ますると非常に少い人数でございまするから、そういう点を考えまして、これの整理数はまあ少くとどめたわけでございます。学校の教官につきましても、もとより非常に窮屈ではございまするけれども、学校全体を見ました場合に、この程度整理数を計上いたしまして、個々の配置につきましては規模の大小、機能、性質によつて配置の適正を期したい、こういう気持で用意いたしたわけであります。
  287. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 現業ということを申上げましたが、文部省内における現業を言つたのではございません。全体に関係した現業を……。
  288. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 私どものほうは全体の現業につきましては存じませんけれども、学校教官につきましては非常に窮屈ではございますが、なんとかこれで配置ができ得ようという気持でおります。
  289. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ほかのほうは存じないとおつしやるけれども、現業というあれが、まあ一応の標準があるということにできておるならば、ほかの現業、ほかの省の現業とあなたのほうの学校の教官の、いわゆる現業という言葉が当るかどうか知りませんけれども、それと比較されることはもう当然のことでありまして、ほかのほうは知らないとおつしやいましても、それでは随分無責任ではないかと思います。
  290. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 現業につきましても、恐らく個々の業態を御覧になつて行政管理庁で査定せられた結果、この五%に到達したものと私ども心得ております。そういう意味合いにおいて、どうしてその五%に到達したかという点につきましては、この経路を知らないという意味で申上げたわけであります。
  291. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうしまするというと、現業の五%ということについては余り深い関心を持たれないで、ただもう初めから一〇%ということで出発されたことになりますか。
  292. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 私どもの了解いたしますことは、最初から各省に対して現業は五%というふうなお示しを受けたんじやないと心得ております。個々の問題についてつとやつて来て、それをまあ彼此勘案せられた結果、最後において或いはならしに五%になつたのではないかと考えます。
  293. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 大野木さん如何ですか、私どもは現業大体五分というものが建前になつているので、それが御方針であつたかのように了解しておつたのですが、そんなことはないのですか。
  294. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 積上げて来たのでございますけれども、その積上げるにつきましても、やはり或る標準をつける必要がございましたので、大体主として特別会計のほうの現業官庁につきましては、いわゆる現業のものは五%、それから管理部門は五%というような一応の標準を立てておるのでございます。それで教官につきましては、先ほどから申上げましたように、〇%の部分も相当多いのでございまして、こういう表現の仕方は好ましくないと存じますが、ならしますれば三%くらいになるのでございます。併しどうもそういうふうな言い方をするのは、甚だ好ましくないと存じますので、控えておりましたのですが……。
  295. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 この問題は何遍お尋ねしましても、結局はつきりしたところまでは行けないだろうと思つております。はつきりされない理由も想像もつくように思いますので、それから先は私どもの仕事として処置したいと思いますから、私の質問はこれで終ります。
  296. 楠見義男

    ○楠見義男君 続けてそれじや伺いますが、私よくわからないのですが、稲田さんにお伺いいたします。来年は新学制による大学の四年が充実するときで、従つて通常の場合だと、教員が相当増加しなければならないだろうということを聞かされているのですが、よく実情はわかりませんが、そうかどうか。若しそうだとすれば通常増加を必要とする教官の数は何名予定せられているか、その点を伺います。
  297. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) その旧高専、或いは師範学校の定員を基本といたしまして、新らしい大学七十一を作ります場合の定員構成でありますが、最初の年において五割を移し、次の年において三割を移し、次の年において二割を移す。ここにおいて十割の転換を行いまして、それによつて新らしい大学を構成したわけでございます。従いまして御質問のように、純粋な学年進行形態を以て定員を作つたのではないのでありまして、本年即ち二十六年度におきまして、新制大学の定員は一応充実した形でございます。併しそのほかに特に府県立大学を学年進行で移しまするとか、或いは旧制医大の転換等、学年進行形態によりまする特殊の例もないではないのであります。
  298. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、前半の御説明になる分については、教官は特に増員の必要がない、但し後段の場合については増加を要するというようなお話ですが、その増加を要する教員の数は何名くらいになりましようか。
  299. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) その特殊の学年進行に明年約束しておりまする数につきましては、あとで調べてお答えいたします。
  300. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは甚だ不十分な聞き方なんですが、大ざつぱな数でいいのですが、例えば何百何十何人という正確な数字でなくていいのですが、大体の頭を作る必要上お伺いするのですが……。
  301. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 極く僅かでありまして、百人には上らんと思つております。
  302. 楠見義男

    ○楠見義男君 それじや次の点を伺いますが、一般職員事務職員それから教務職員、それから技術職員とこういうような区別があるようですね、この区分はここに書いてある、この頂きました説明資料による三は、これは教務職員、四のその他の一万五千百二十六名の中に、今申上げた事務職員、一般の事務職員とそれから技術職員が包含されているとみてよいわけですか。
  303. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) その他の職員の中に一般の事務職員並びに現業員等が入つております。
  304. 楠見義男

    ○楠見義男君 私の伺つておるのは、一般職員の中に教務職員事務職員と技術職員がある、こういうふうに承知しておるのですが、技術職員というようなものは、今おつしやる守衛とか何とかのことなんですか。それとも例えば研究室の研究の手伝いをするとかというような、いわゆる技術関係の人があるのかないのか、若しあつたら何人ぐらいこの中に含まれておるか。
  305. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) お答えいたします。一般職員の中にはおつしやるような教務関係の技術職員は入つておりません。それは教務職員の中にあります。技術職員も入つております。これは建築関係、営繕関係の技術職員が入つております。それを内訳いたしますと、農場、実験工場或いは演習林等の作業員、それが千四百二十九名、それから守衛、小使、運転手、交換手、丁夫、丁夫というものがおりますが、そういうものが八千九十七名その他が事務職員であります。事務職員とそれから建築、営繕関係職員それが五千六百名ございます。
  306. 楠見義男

    ○楠見義男君 それから元に戻りますが、教官の二万二千六百七十一名の中で、先ほどの附属の中学校、小学校等の教官は同名おりましようか。
  307. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 附属の教官の数は二千九百四十七名でございます。
  308. 楠見義男

    ○楠見義男君 附属の中学校、小学校、先ほど稲田さんのお話では、何だか学級数を殖やしたり減らしたりするのは、附属の中学校、小学校が勝手にそういうことをやつておるようなふうに伺つたのですが、実は父兄の……私の子供は別に附属には入れておりませんけれども、大体あの附属の学校は何学級とるとかということで大体皆予定をして、小学校ならば小学校のときからその計画を立ててやつておられるのだろうと思うのですが、それを中学校は勝手にやつておるのだから減らすものは減らせるというようなことだと随分父兄は迷惑する、迷惑するほうが勝手かもわかりませんが、随分変な話だと思うのですが、その辺はどうなんでしようか。
  309. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 既存の学級の上に、そのPTA等の要望の下に学級を増補する場合がある。その点についてのお話かと思つたのです。これは私どもの知らないうちにできた学級であつて、そういう学級は附属の本来の機能からいえば余分なものであるというのであります。
  310. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、現在の附属の中学校、小学校にはそういうように勝手に作つたものがあるとお考えになつておるのか、ないとお考えになつておるのですか。
  311. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) そういうことででき上りました学級があるわけでございます。中には……。
  312. 楠見義男

    ○楠見義男君 その調べはお持ちでしようか。若しお持ちだつたら一つ出して頂きたいのですが……。
  313. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 調査いたしまして、お目にかける資料ができましたらお目にかけたい、調査いたしたいと思います。
  314. 楠見義男

    ○楠見義男君 今そういうものがあるというお話だつたから、そういうものを出して頂きたいということを言つたのですが……。
  315. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 楠見さんの御質問がPTAの寄附によつて、何というか、学級が設けられるというお話があるので、私お答え申上げたのは、そういうものは私どもの存じないうちにできたものだ、若しあらかじめ設けることに御相談があればおとめしたはずだ、こういうことからずつと始まつた問題であります。
  316. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は実はそういう意味のことをお尋ねしたことはないのです。ただ国なりまあ公立学校には随分あることは御承知通りなんですが、そこで私は国立の附属学校のことは知らんから公立の学校に関する知識を以て、まあ乏しい知識ですが、その知識でお伺いしたのです。というのは、結局必要なる教官を配置をしない、或いは経費を国のほうから出さない、公立の場合には自治団体が出さない、そこで例えば絵の先生だとか、或いは体操の先生だとかというような人を費用まで国が出してくれない、学校としては十分な教授をしたい、教育をしたいということで、そういう費用を特別の講師という名目で入れてその費用を負担している、或いはその事務職員については十分な用意を、国の側において、或いは自治団体の側において用意をしないから、従つてその不足分はどうしてもPTAで負担せざるを得ない、こういう実情があることから先ほど申上げたのです。従つて勝手に学級を殖やすとか何とかいう問題じやないのです。
  317. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) よくわかりました。例えば非常勤の意味におきまして、特殊の音楽を教えるとかいうような意味、或いは絵画を一定の定職員以外に助ける意味でやるというようなこと、或いはPTAと学校との相談でやつておる部面もあるかも知れません。  これはどうも私どもそういう事実を承知いたしていないです。
  318. 楠見義男

    ○楠見義男君 それは不必要な、或いは贅沢と思われるような教育をやつているのじやなくて、最低限の教育をやるためにそういうものをやつておる。従つてPTAにおいてもまあ会員が全部余裕の金を持つておるのじやないけれども、無理を忍んでやはり子供のためにと思つてまあそれだけの負担をしておるのです。そこで私が先ほど申上げた意味は、附属学校の実情について先般の公聴会で聞いたのにも、決して無駄な教育はしておらないと思うのです。これは恐らく皆さんもそういう印象を得られたと思うのですが、そこで一割なら一割の教官の整理をすれば、そういうような負担がPTAに行かざるを得ない。こういうことで伺つたのですが、具体的にそれでは伺いますが、先ほど申上げたように、石三次郎というかたの公述を伺つたのですが、東京教育大学の附属中学校或いは小学校は、先ほどおろしやつたように、文部省の意に反して、その余分の学級を設けておるかどうか。これはもう直ぐお膝元だからおわかりになると思います。
  319. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 学級を設けるという事実につきましては、私ども承知しておりませんし、ないと信じております。
  320. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、具体的に東京大学の附属中学なり或いは小学校の教員が一割減ぜられるということになると、これはどういうことになりましようか。結局、さつき申上げたように、その負担分はPTAで負担をせざるを得ないということになりましようか。
  321. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 小学校なり、中学校がその課程を実施いたしまするに必要な定員は、現在まで維持して参つて来ておるわけでございまするが、従いまして、若し仮にPTAが特別に心配するとなれば、非常勤の講師というような意味の性質の者だけだと考えております。従いまして、正常な課程を維持し、又教育実習等を実施いたします場合におきましては、私どもの考えておりまする基準以上、勿論東京教育大学の附属中小学校は用意しておることと信じております。
  322. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 教官の欠員が大分多いという話でございますけれども、この原因はいろいろありましようが、主に何ですか。
  323. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) これは大学によつて性質が異なるのでございまするが、従来の大学を転換いたしました学部、東大とか京大あたりにおきましては、一つの講座の教授が欠けました場合に、助教授なりその他後進者が或る程度、何と申しまするか、成長するというか、或る時期を待つという意味において、特別に空けている事例が非常に多いのでございます。それから、一方専門学校のほうの転換いたしました新制大学におきましては、これは形成の過渡的の現象でございますが、方々から適任者を探して参るのに多少の時日が要ります。と同時に、適任者が見つかりました場合に、こうした大学においては、大学設置審議会において教授の資格審査をいたしまして、その審査の時間、或いは審査が合格しないので、次の候補者を探す間の時間の欠員でございます。  こちらの欠員はこうした過渡的の特殊の現象であるわけでございます。特別に研究を充実しし、大学院を置く大学あたりにおいて常に或る数の欠員があるという前の欠員の例は、これは昔からある例でございます。
  324. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 一番初めに挙げられました事例ですね、それなどは、伺いますると、一種の学閥といいますか、一種の身分があるというようなことで、ほかは適当な人がおるにもかかわらず、徒らに空けておくというようなことがあるじやないかと思いますが。
  325. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 大体において、例えば論理学の教授がいないで、そこの教授会の選考においては、まだほかの関連においては教授にするには早い、暫く助教授の資格において講座を維持するというような事例が大部分でございまして、お話のように、ほかに適任者があるのに、場所を塞げるということは、今日の状況としてはないと考えております。
  326. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それから、大学は地方にもたくさんできましたのですが、資格者が担当にあるにかかわらず、田舎のほうには行きたがらないというので、田舎のほうの大学に欠員が多くおるということも、これは全く私は事実は存じませんけれども、想像しておるのでありますが、その点は如何ですか。
  327. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 前申上げました中には入つておりますが、そうした事由によりまして、当分地方の大学においては欠員があるというのは確かに事実でございます。併し、もうすでに学年も三年に進行して参りましたので、大体そういう点が少くなつておりまして、この欠員の所在から申上げますれば、比較的に大きな大学のほうにおいての欠員が多いわけでございます。
  328. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 この大学が同じ国立の大学である、名義だけは同じでありますけれども、実際東京の大学等と田舎の大学等を比べてみると、非常に質が違うというのが実際の状況であると思いますが、私などの希望するところは、どの大学も全く同じというわけには行きませんけれども、その間の隔りが非常に狭くなつて行かなくちやあならないと思います。併し田舎では本を読むにも都合が惡いし、いろんな不便な点も多いので、若い教授たちが行きたがらないということは、これは当然のことだろうと思います。今のようなままで行きましたら、いつまでたつても田舎の大学は二流、三流、四流というようなことになつて、本当の大学らしい大学に進むことはできないと思う。それでどうすればいいからいうことであります。これはあなたがたのほうにいいお智慧があるだろうと思つておりますけれども、私はこの待遇の面もよほど考えてやらなくてはならない。地域給の関係等もございましようが、大体今の地域給というものが、都会地は生活費が余計要る、それで高い。田舎のほうは大体少くて済むから安いというような建前になつておるように伺いますが、併し私はそれがすでに間違いである。田舎にいい先生を持つて行くためには、何か地方に行つたら、本を買うにも、読むにも、そうして同僚と意見を闘わすにしても、都合が惡いというような不利益も、何かほかの方面で補つてやる、或いは住み心地がいいとか、生活が楽になるとか或いは図書館に行く不便が多いのは、本を買つて補うとか、そういうような面で補うということをしてやるだけの配慮をしてやるということが極めて必要じやないか。それができなかつたらいつまで経つたつて、ろくな大学にならない。六三制だつて失敗に終つてしまうだろうと私は思います。何かそういうような御研究を文部省でおやりになつておりませんでしようか。お伺いいたしたいと思います。
  329. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) すべての大学に共通いたし事する大学の使命といたしましては、勿論高等教育を施すと共に学術研究をその機能といたすわけでございますけれども、併し大学の間におきまして、おのずからいずれに重点を置くかというまあ目標が置かれて参ることだと考えております。一部少数の大学におきましては大学院を設置して学術研究は非常に重点を置いておる。そうした大学は講座を充実して行くということに私どもも努めて行きたいと思います。その他の大学も勿論学術研究も非常に重要な機能でございまするけれども、差当り職業人、社会人を養成するという機能、ここに重点を置いた大学として経営して行くというような観点においては、その目的に適合するような教授を集中したいという方針であるわけであります。それにはお話のように、それぞれの大学の研究施設或いは図書の充実、或いは教員住宅の設置というような点につきましても、まあ努めておるわけでございますが、現在の財政上、非常にそこに急速に充実することができない憾みがございますが、そういつた点を今後とも十分考慮して参るつもりであります。
  330. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 田舎に参りますると、まあ学問好きな先生が大体学校の先生になると思いますが、そういう人たちは本を読む機会が与えられないということが一番苦痛のように思います。まじめな若い先生ほどそれが一番苦痛のようでありますが、そうしてその待遇がいわゆる地域給の関係から見ましたら東京におつて自由に本も読める、友だちの本も借りられるというような者よりも惡い。物質的の待遇も欠けて、いやが上にもいじめられるということになるわけなんです。だから東京に就職を求められないからそんな人は田舎に行つてしまえ、それじや済まないので、いい人が行くようにしなければならない。それについては、今までのやり方もよほどお改めになるように御尽力願いたいと思つております。別に御返事は頂きません。
  331. 楠見義男

    ○楠見義男君 一つだけお伺いしたいのですが、公立学校の船員の整理で、先ほど高田委員でしたか、船舶定員法の関係について御質問があつたのですが、これは船舶定員法による法規に従つた定員を備えるという上からいつてこの十一名は整理が可能なんですか、可能でないのですか。船舶定員法との関係をお伺いいたしたいと思います。
  332. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 可能であると考えております。
  333. 楠見義男

    ○楠見義男君 現在船舶定員法による定員以上にこの定員がおつたと理解していいのですか。
  334. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 極く皆小規模の船でございまして、定員以上におつたということはないと思います。
  335. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最初に城政府委員にお尋ねするのでありますが、私は行政整理をやるという一つの基本方針が決定した。従つてそれを尊重してやつて行かなくちやならない、こういう言葉を聞いたわけでございます。併し何と申しますか、政策として私はその前にやはり文教政策というものを非常に尊重されて行くというほうが私は重点だと思います。それが若し崩れるような私は行政整理が若し行われるとした場合に、それまで例えば文部教官とか、国立学校の先生までにそれを及ほそうというようなふうには私は考えたくないのです。又政府委員も私と同じ気持だと、こういうふうに考えるものでございます。ですから基本方針が二つあると、こうおつしやるが、私はそこにはおのずから主と従のものがある。こういうふうに考えるわけですが、如何でございますか。
  336. 城義臣

    政府委員(城義臣君) いずれが従でいずれが事だというようなことは、これはそういう仮定を置けば議論になるかも知れませんが、私どもといたしましては、勿論文部政策の確立は願つておるところでありますし、そのことと、それから先ほど申上げております行政整理をして国民の願望に応えたいという、この二つのことは必ずしも矛盾しないのではないか。といいますのは結局程度の問題になるわけでありまして、私は冒頭に申上げましたように、無理に借問してどちらが有利であるかということになりますと、いろいろ議論が分れると思いますが、そういうことでなしに双方の重要性に鑑みて適当にやるということでいたしますると、先ほど申上げげたような結果で、先ず事務整理簡素化できるものについてやる。そうしますると委員会でもいろいろ問題がございましたが、やはりバランスというようなことも一応考えなければならんというようなことで、一応の整理基準等をその過程において設けてやつたような次第であります。
  337. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どうも私は城政府委員と押問答のようになりますが、それは私は城政府委員が少し違うのだと私は思います。やはり政策というものを内閣を担当されて遂行されて行く上において、私はこういうようなことも必要であろう。従つて私は行政整理というものは大きな政策でない。例えば経済の自立であるとか、治安の確立であるとかいうような政策とは私は並列に考えない。やはりそれよりも私は主と従という言葉を使いましたが、それを使えば、私はそこにはおのずからそうしたものは主の立場をとられなければならん、こういうふうに私は考えているわけです。それに対して城政府委員は何か並列的なようなお考えのようでありますが、それは余り行政整理をやられる担当の次官として私はそれは違うのじやないかというふうに考える。私が違つているのかわからないが……。この点について重ねて御意見を伺うのもこれは私も如何かと存じますから、やめますけれども、これは又私も考えて見ますから、一度城委員もお考えを願いたい、こう思うのです。  もう一つ稲田局長か、或いは寺中会計課長どちらでもよろしいのでございますが、私は六・三・三・四の制度が確立するのは何と申しましても来年度だと、こう思つております。そこでその場合に教官が、大学の先生が欠員があるということは私は認めますので、なんにしましても完成後に入る、そうして新制大学の四年制度は完成するために教師は百人くらい殖えればいいのだというお話もございましたが、そういつたときに、片一方では約百人殖やさなければならないというときに、とにかく六百九十二名落すということは、他の負担においてこの百名が殖えるわけですから、七百九十二名、約八百名の人員というものの負担を先生たちがやらなくちやならない、こういうことになると思います。そこでこの整理がどうしても可能であるというようなふうでなくて、私は寺中会計課長が先に言われましたように、非常に困難である。政府一つ方針として決定されたことだから非常な協力をしなければならない立場に追い込められて行つ、遂に止むに止まれずそういうことになつたのだ、こういうふうに私は了解したいわけですが、稲田局長は何かやれるというようなふうに非常に自信満々でございますが、如何なものでございましよう。実際やれましようか。
  338. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 先ほど他の委員の御質問にお答えいたしましたように、新制大学の教官定数の構成は二十六年度を以て完成いたしているわけでございます。ただ極く僅かの例外といたしまして新設講座であるとか、或いは途中から公立学校を合併いたしました分につきましては、学年進行の予定を以て明年なお充実を要する。この部分につきましては明年新規増として予算の要求をいたす約束になつているわけであります。一般の行政整理とは別に考えておるわけでございます。行政整理一般の教官の問題につきましては決して楽だとは申しません。非常に窮屈だとは考えておりまするけれども、この定数の適正配置を行うことによつて教育に低下を来たないように努力したい、こういうことで申上げているのであります。
  339. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 附属教官と、私は大学とか或いは商船学校とか或いは水産大学というようなふちに分けてお聞きしなければならんと思いますが、附属教官のほうは、いろいろと私たちは聞いて或る程度のものを了解しておりますからやめまして、仮に大学で二千九百七十余人のうちの一〇%ですから二百九十五人附属教官である、そういたしますと六百九十三人から二百九十五人を取つた残りの三百九十八人というのが具体的に大学の先生でやめて頂かなければならん数字、こういうふうに了解ができるわけですね。そこでこちらのほうのこれは私たちの調べた資料でございまして、文部省の必ずしも数字ではないのですから間違つておつたならば即座に御訂正を願わなければならんことですが、教授と助教授を見ますと、すべて欠員がございまして、教授で一千三百八十二名、助教授で一千四百十六名ある制師はそれに比較しまして定員よりも四百四十名多い、こういうふうになつていると思います。そういたしますと、欠員の人を云々するだけでやつてつて、ともかくも私はそういうつもりなのか、欠員だけで落して行くというつもりなのか、或いは講師の四百四十名をなくしてしまうというようなふうに私は参らないと思いますから、どういう整理方針をとつているのか、その点お伺いしたいと思います。
  340. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 必ずしも欠員を落すという方法はとり得ないと考えております。これはたまたま今日欠員がありました恰好であつても、それを固定いたしました場合には、そこの講座の教授組織が妙な形になつて参ります。飽くまでも教育的見地からその機能に応じた定員の配置をいたしたいと考えております。でそれでは講師からのみ落すかという御質問でございますが、大体学校の定員の配置といたしましては、講師から落す分が多かろうと考えております。
  341. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は今講師がこの定員分よりも四百四十名多いということは、結局教授とか助教授がいないために講座がやつていけないために、私はこういう人を頼んでやつておいでになると思う。そこで仮にそこから講師を落すということになると、その講座というものを廃止するというようなことに私はなると思う。廃止して片一方に統合して行くというような形になると思いますが、それはどうなのですか。
  342. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 講座は、御承知のように教授、助教授、それから助手で構成いたしております。それに非常勤講師を配するわけであります。必ずしもただ前師を落したからといつて、講座の廃止ということにはならないと考えております。
  343. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、今度の問題において講師にやめてもらつても、絶対に講座が廃止になるというようなことはあり得ない、こういうふうに了解していいわけですか。
  344. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 講座の構成としては、教授一、助教授一、或いは助手二或いは臨床或いは人文、自然と違いますが、それが講座を構成をするのでありまして、講師一人落したからといつて一つの講座がなくなつてしまうというようなことはございません。
  345. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は講座というのは、一つの基準がございまして、今おつしやつたような基準があつて講座ができて、そうして欠員があると思うのです。ですから講師が余分にあるということを私が考えるのは、どこかの穴を教授や助教授で穴を埋めて置くために、講師が四百四十人多い、こういうふうに了承するのですが、この基準の教授一、助教授一、講師一、助手二又は一という基準以上に講師が雇われているのは、教授や助教授の穴埋めとして雇われていないわけですね。
  346. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) むしろ講師が多いのは、新制大学が高等専門学校から転換してまだ間がない現実の状態から来ているわけであります。先ほど申上げましたように教授或いは助教授になりますには、大学設置審議会において資格の審査があるわけでございます。然るに従来高専の先生は成るべく大学に引受けたいという大学当局のお気特もあつて、教授になれない、或いは助教授になれないかたも、当分講師として大学に包容する。而して大学の定員構成は、教授何名助教授何名にしておりますが、定員定員として予算を使用いたしまして、当分の間講師を使つている、こういうわけでございます。これらは時がたつと共に講師のかたが助教授になるというような機会が多かろうかと思つております。或いは又大学それ自身の機能から考えまして、過当な余裕を以てこういうかたがたを転換して非常に教授力の強い教授を以て充実するという方策も又必要かと思います。
  347. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと関連しているのですが、そこで結局今のお話のような現状だから、実は不完全講座ということがやかましく言われておるわけですね。そこで例えば六百九十名ですか、こういうものを万遍なくやつて行きますと、結局完全講座にするためには、現在ある講座数が幾百あるか知りませんが、その講座を整理しなければ現在の不完全講座を完全講座にはできないのじやないか。こういうことから先ほど文部委員との間に御質疑があつた講座の整理の問題は、前提にしないけれども、結果としては講座の整理になるのであつて職員の適正配置ということをおつしやるけれども、実はこの整理によつて講座を廃止するの結果になりはせんか、こういうことが問題であつたと思いますが、その点はどうでしよう。
  348. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 不完全講座という言葉を正確に考えますれば、定員としての不完全ということがあります。これは或る大学において教授一、助教授一、助手二という基準の講座が、助手が一人欠けているというような定員を持つておる場合があります。これをまあ定員的の不完全講座と申すわけでございます。仮に又そういう定員がありましても、先ほど申上げましたように、教授適格者がないために、教授の席を空けて肋教授を二人置いておくというような不完全なものもあるわけであります。この行政整理に関連いたしますれば、先ほどあちらさんからのお尋ねにお答えいたしましたように、これ以外の常勤講師の定員が相当あります。大よそ常勤講師の定員を落すというようなことが或る部分考えられるのであります。その次には、一つの講座構成のうちに、更に又いわゆる不完全講座を作るというのが第二の段階でございます。講座全部を抹殺するという点までにはなかなか至らないで済むのじやないか。ただ別途教育的の観点から見まして、今或る大学に哲学の講座を四講座設けられておる。その大学構成の授業を受ける状態から見れば、二講座で済むというような場合でありますれば、その講座を落すというようなことも考えられる。その問題は、現在考えつつある問題でございますから、いずれを減員ということもなく、同時にこの問題は考えられる。その意味においては講座の整理もあり得るということになると思います。
  349. 楠見義男

    ○楠見義男君 今のいわゆる不完全講座の二つの場合の一つですね。教授或いは助教授の資格がないから、それを講師の人の資格を待つて、昇格といいますか、そういうふうにしようという場合は、仮に現在教授助教授について欠員があつても、それは当然空けて置かなければならんあれであつて、従つて欠員があるから整理ができるとかできないとかいう問題ではなしに、飽くまで……丁度いらつしやる前に法務府の関係をやつておりまして、検察官なら検察官というものが、現在資格がないから、欠員があつても当然空けて置かなければならないという問題にぶつかつたことがあるのですが、それと同じような関係で、それはどうしても空けて置かなければならないということになると同時に、一方では大学基準で以て講座についての配置ですね、そういうものをお考えになつてつておるのだから、結局その教官の整理ということは無理じやないかという結論になつて来るのですが、どうでしようか。
  350. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) そうなつて参りますると、大学院大学或いは新制大学等でよほどまあ教官構成が違つて来るわけであります。新制大学におきましては、講座と申しましても、或いは教室といつていいくらい統合的な教官方式でいたしております。従つてそこに教授力を減殺しないで定員整理ということも相当考えられるというふうに私どもは考えております。
  351. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は少し意見を混えて一応政府委員にお尋ねしたわけでありますが、今度の行政整理のことを考えて見ますと、まあ第一に人員が戦後非常に厖大に殖えたと、こういうわけです。それを文省関係の教官に充てた場合に、やはりむやみに膨れ上つておらないということはお認めになると思うのです。整理をやられる理由としては、事務一つ整理に基くところの人員整理、例えば会計であるとか、人事とか、そういうものの事務整理の問題、こういうふうに考えておるのであります。もう一つは、能率を上げるという点にあつたと思います。ところが教官は、生徒が五人おつても能率を上げるということは、子供によく教えるということが私は能率を上げることだと思います。それを、能率を上げるということは人員を私は減らすことではないと思います。ということは、例えば消防関係において人員を落せないと同じような、或いは警官において人員を落せないごとく、それとやはり同じ立場に置かれておるものだと、こういうふうに考えるわけです。警官は例えば田舎に参りまして、一つの村に一人しかおらない、いわゆる学級には一人しか先生はおらないのだといつたときに、能率を上げるために二村一緒にしてやつてそれでいいのだ、五十人の生徒は、或いは田舎に行けば三十人くらいの小さな学級もある。それを二つ一緒にしてそれをやるというのが能率を上げるという意味じやないと思います。それで私は能率を上げるということで教官が整理対象になるという理由は実は見出し得ないのです。ですからそれに対しまして何か聞きますと、校長さんなんかか非常に遊んでおるから、校長は授業をやらずに遊んでおるからそういうかたに修身の講座でもやらしたらいいじやないかということを、前に橋本管理庁長官の御意見として理由として承わつたのですが、まあ大学の校長さんはどんな地位にあるからそうしてこの人にどうだということはむちやなことだと思う。或いは附属の、校長に相当するところの主事の人にどうこうするということもむちやな話だと思う。仮に地方実情と睨合せてどうかといことをお伺いしたのでありますが、地方の校長さんも今の地方行政下においてどういう任務を以て働いておられるかというような点も、私は城さんにおいては賢明にして知つておいでになると思う。ですから、橋本長官の私はお言葉通りに昔のような学校に私たちも戻して頂きたいということは私は教員が全部望んでいるだろうと思う。若しそうだとするならば地方行政下におけるところの学校の果しておる任務、或いは校長さんや教頭が自治団体に協力していることを全部切離してやつて頂いてはならないわけです。若しそういつた具体的な方針がなしに整理されるということはどうしてもやはり天引整理ということは免れないのですから、私は城さんにもう一度警官乃至消防と一緒に……、どう考えても整理をするというのは納得できないわけですから、考え直して、と言つたところがしようがないかも知れませんが、どうにも納得が行かないのです。ですからこれについて納得のする理由を、私は説明を承わろうとしたところで、これは私はわからぬと言えばそれまでの話だし、困つたことなんですが、寺中会計課長さんのおつしやつたように困難だということで、一つ私もそれを認めて実はこれは質問というわけじやなくて、意見めいたことですが、私の質問はこれで打切ります。
  352. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと参考のために伺いたいのですが、欠員ですね、国立学校の教官、船員乃至教務職員その他これについて各項目別の欠員をお伺いしたいのですが……。
  353. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 資料を用意してお答えいたしたいと思います。
  354. 楠見義男

    ○楠見義男君 できるだけ早く明日にでも御提出願います。
  355. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  356. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。
  357. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 さつき新制大学などで大体二十六年度で講座などは充実したけれども、場合により地方によつては充実しなければならんものがあるというふうにちよつとお話があつたと思うが、そうでございましようか。
  358. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 新制大学は二十六年度専門教育に入ります年において定員を完成いたしたわけでございます。ただ新制大学が補足の面において県立大学を学部として合併いたしたような事例が一、二あるわけであります。或いは新設の講座等があつて大蔵省との約束において年次的に所管の職員を出しながら新設講座の約束の部面があつた。これだけは新規増員として予定しておるというわけであります。
  359. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうすると、増員すべきものは定員の中に入るのでしようか、外でしようか。
  360. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 我々は外に考えております。
  361. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうすると又一度定員法が改正されるという問題が起りますか。
  362. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 年々通常国会におきまして、国立大学設置法における各学校別の定員の改正を行なつております。これは予算成立の後において、それに照応する措置をいたしておるわけであります。
  363. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうすると、それがどれだけの数字であるかわかりますでしようか。
  364. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) これは今大蔵省に予算を要求いたしておりまして、予算が確定いたさないと決定されないのであります。
  365. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 併し、それは予算にからむと思つて私はお聞きしておるのですが、そうすると今要求して出しておるものをお示し願えましようか。いや、なんなら今日でなくてよろしうございますが……。委員長、時間も遅うございますから、これぐらいで今日はどうでございましようか。
  366. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと文化財保護委員会がまだ残つておりますが、明日やりますか。
  367. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 時間がかからないならば……。
  368. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 一応できるだけ伺いたいと思います。委員諸君何か御質疑があれば……。
  369. 楠見義男

    ○楠見義男君 もう少し内容を詳しく説明してもらいたい。今から時間が余りかからなければ……。
  370. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  371. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。  外局になつておりまして、そのほうの政府委員が見えておりませんか……。
  372. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 時間も遅いですからこの辺でどうでしよう。
  373. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今栗栖君からも今日はこの辺でやめようというお申出がありましたから、さようにいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  374. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないようでございますから、それでは本日はこれで散会いたします。    午後七時十二分散会