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1951-11-10 第12回国会 参議院 内閣・人事連合委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十日(土曜日)    午前十一時開会   —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            溝淵 春次君            山花 秀雄君    委員            松平 勇雄君            横尾  龍君            上條 愛一君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            三好  始君            三浦 辰雄君   人事委員    委員長     吉田 法晴君    理事            杉山 昌作君            千葉  信君    委員            加藤 武徳君            木下 源吾君            森崎  隆君            紅露 みつ君   政府委員    人事院総裁   浅井  清君    行政管理政務次    官       城  義臣君   事務局側    常任委員会專門    員       杉田正三郎君    常任委員会專門    員       藤田 友作君    常任委員会專門    員       川島 孝彦君    常任委員会專門    員       熊埜御堂定君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣人事連合委員会を開会いたします。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、これを議題といたしまして予備審査を行います。諸君に申上げておきますが、本日は行政管理庁長官がまだ差支えがあつてこの席に御出席ができません。只今人事院総裁出席せられておりまするから、人事院関係において御質疑があることを希望いたします。なお行政管理庁の次官も御出席であります。
  3. 三好始

    三好始君 人事院総裁にお尋ねいたしますが、第五回国会に提出された行政機関職員定員法では、今回の改正案附則第五項と同じように国家公務員法規定されておる審査請求権を剥奪しておつたわけであります。ところがその翌年、昭和二十五年でしたか提出されました定員法の一部改正案では、政府原案は同様に公務員審査請求権を剥奪しておつたのを委員会において修正いたしまして、原則通りに直したのであります。その直した結果公務員法に基く審査請求がどの程度つたのか、その実情を先ず承わりたいのであります。
  4. 浅井清

    政府委員浅井清君) 只今お示しのようにこの審査請求の問題につきましては、第一回の行政整理においてはこれを取除いてありましたし、第二回のときは、今回を第三回といたしまして、これを認めたりでありますが、私の只今記憶間違つていなければ第二回においては一件もなかつたように思つております。
  5. 三好始

    三好始君 今回提案されております法律案附則第五項に規定しておる公務員法審査請求権の剥奪といいますか、認めないというこの例外規定は、今までの例から申しましても別にこれを原則のままにしておいて差支えがあるようには思えないのでありますが、人事院総裁はそれでも第五項の規定が必要であるとお認めになつておるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  6. 浅井清

    政府委員浅井清君) 誠に御尤ものお尋ねだと思つておりますが、これは両方考え方があるように思いまするし、過去の実例只今お話のありましたように両方ございます。そこで一方から見ますれば公務員利益保護いたしまするために、首切られた者が人事院訴えて来る、人事院は無茶苦茶な首切りができないようにこれを監督するということも御尤もでございます。ところが他方からこれを裏返して考えてみますると、行政整理のように極めて多数の者を免職するというような場合に、ただそのまま人事院審査請求が参りましたのでは、何を基準にこれを審査していいかわからないから、そこでそういたしまするならば、つまりその制度行政整理のような多数の者が首を切られるというときに認めまするならば、どうしても整理基準というものを統一して先ずきめなければこれはどうも審査のしようがないと思つております。  ところがさてその整理基準をきめるということになりますると、どういう整理基準が存在するか、例えば勤務成績の不良な者であるとか或いは老朽職に堪えない者であるとか何とかということが出て参るのじやなかろうか、そういたしますると首を切られた者に、これは老朽であり、これは勤務成績不良であるという烙印を押してしまうことに相成ります。そういたしまするとそれらの者が今度は就職いたしまする場合に、非常に本人のために不利益になることがある、ですからこれはつまり両方考え方があるわけでございます。そこで若しこれを取除きました場合に、どうも任命権者というものは無茶苦茶な首切りをするのだということでございますれば、それは取去ることがまずいということに相成りまするが、過去の例を以て考えてみましても、どうも任命権者が無茶苦茶に勝手に首を切るということは、人事院の調べました限りにおいてはないのでございます。むしろ非常に人情を加味しまして注意をしてやつている状態でございまするからして、これを取除きましたらば直ちに任命権者が無茶苦茶な首切りをすることにはなるまいと思つております。  それからもう一つ申上げたいことは、これを取除きましたからと申しまして、国家公務員法のすべての規定を外して野放しで行政整理をするということにはならんのでございまして、御承知通りこの第五項というものは八十九條から九十二條までを取除くだけのことでございまするからして、その以外は国家公務員法規定でこういう場合に適用されるものがありとするならばそれは適用されているのでございます。即ち公務員法の七十八條第四号、これに当るのが今回の行政整理でございます。即ち御承知通りでございまするが、定員が改廃された場合、或いはその他予算の減少によつて過員を生じた場合、この場合は七十八條によりますれば任命権者本人の意に反して降任又は免職することができる云々の規定があるのであります。これはよく御存じのことだと思いまするが、それに該当するものと考えております。ところがこの七十八條はその場合は人事院規則の定むるところによるということになつております。そこでこのことをきめました人事院規則人事院規則十一—〇というのがきまつておりまして、その第四項によりますれば、この場合に誰を降任し、誰を免職するということは一応任命権者が自由に定めることができるということがありまするが、同時に但書がございまして、公務員法第二十七條の規定に違反してはならない。それから九十八條三項の規定に違反してはならないということが書いてございます。この二十七條と申しまするのはいわゆる平等取扱原則でございまして、これに違反いたしました場合は公務員法百九條によつて罰則の適用さえ設けてございます。それから九十八條三項というのは、いわゆる組合活動をしたために不利益をこうむらないという規定でございます。この二つは一番問題になるところであろうと思いまするが、それは十一—〇で押えてございまするからして、これを外したからといつて直ちに不公平な行政整理が行われるのだと、こういうふうには私どもは見ておらないのでございます。
  7. 吉田法晴

    吉田法晴君 人事院総裁人事院の使命から、国家公務員のためにこれはその任務があるんですが、この五項の問題について、五項を削るべきであるかどうか、こういう項目を置いておくべきであるかどうかということについて、これは削除するのが当然であろうと、こういう御発言があるかと思うと、案に相違して只今お話の模様では置いておつても何ら不公平は起らんかのような御意見でございまするが、先ほど三好君からも御発言がございましたように、二十四年の六月一日には同様な規定があつて、それから二十五年の四月に実施された行政整理の場合にはこういう條文はなかつた不利益処分保護規定が適用されたわけでありますが、そのときにも問題になつた。今回の場合に、三回目ですが、そのいずれによるかという点について人事院総裁としては、この政府原案であるこの五項を置いておくことが、言い換えますと不利益処分保護を奪うことが妥当である、人事院としてその不利益処分保護を受けさせることは、これは必要はないと、こういうようにお考えになつておりまするのかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  8. 浅井清

    政府委員浅井清君) 前回行政整理の場合にはこれの訴えを認めたのでございまするが、それについて訴えて参りましたのは私の記憶によれば一件もないように考えております。ということは決して不公平な首切りが行われてなかつたということに相成ろうかとも思つておりまする。それからこれを削除する、つまり訴えを認めるということになりますと、只今申上げましたようにどうしても整理基準を統一化するということがなければ、訴えを認めましても事実審議ができかねるということになりまするのですが、その整理基準を認めました場合に、最前申しましたように本人に成績不良であるとか老朽だというような烙印を押してよろしいかどうか、こういうことが問題でございます。
  9. 吉田法晴

    吉田法晴君 昨年の整理の場合に一件もなかつた、一件もなかつたかどうかということについては記憶によるということでございまするが、これは不正確ですが、併し保護規定を設けて置いたけれどもそれは利用せられなかつた、若し真に利用せられないことであつたならば、それは不幸中の幸いであります。だからと言つてこういう基本的な規定、或いは公務員の側から言いますならば基本的な権利を剥奪してよろしいという理由にはならんのじやないか、むしろそういう昨年のような、公平かどうかわかりませんけれども、そういう事態が望ましいことはこれは人事院としてお考えになるかも知れませんが、それ故に不利益処分保護を認めないということを人事院自身が御賛成になるということについては、これは私どもとして賛成をいたしかねるわけであります。或いは国会の他の、これは非公式の意見でありますが、そういう意見も出ております。ただ多勢であるからこの申請をされたら手の著けようがない、こういうお話はこれは全く首を切るほうの政府と同じ立場で、人事院がそういう意見をお出しになるということについては、これは奇怪千万だと思います。公務員保護に任じようという人事院態度ではないと私は感じますけれども、これは議論になるから控えますが、整理基準が設けられなければ一律にやつて、そうして不利益処分保護はしなくともよろしい、人事院としてもそういう態度決定をしておる、そういうように了解をしていいのですか、重ねて一つ承わりたいと思います。
  10. 浅井清

    政府委員浅井清君) これは最前も申上げましたように考え方二つあるということでございまするが、人事院としましてはこれはどうしても整理基準をきめて頂かない以上は、極めて多数の訴え整理することは不可能でございます。その整理基準をきめるということが果していいことであるかどうかということが問題になるのでございます。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 整理基準を設けるか設けないかという二つの課題ではないのだと思いますが、整理基準を設けることについて、設けるべきだという意見を申上げておるのではないのであります。たくさんの人を首を切つて整理をして、そうしてたくさん出て来るだろうから始末に困る、ところが去年の例では記憶によるとなかつたように思うというならば、基本的な制度としてはこれを不利益処分の個々の申請を認めて置くというのが人事院立場ではないですか。この基本問題を人事院総裁に尋ねておるのですが、人事院としてこれは人事院総裁方針なのか、或いは人事院として人事官が皆寄つてそういうことに決定をされたのか、その辺を重ねて承わつて置きたいと思います。
  12. 浅井清

    政府委員浅井清君) 私は人事院を代表して申上げていいと思いまするが、この際問題になりまするのは整理基準を設けるか設けないかということが問題に相成るのでございまして、何もこの規定があつたから人事院が、若しくは公務員法公務員保護することを破つてしまうことには相成るまいと考えております。只今申しましたように二十七條、九十八條等における制限は、これがあるないにかかわらず存在いたしておる次第でございます。
  13. 千葉信

    千葉信君 浅井総裁にお尋ねいたしますが、今の古田君の質問に対するお答えを聞いておると、私は国家公務員法を実施し、従つて公務員利益を擁護する立場に置かれておるはずの浅井総裁のお答えとしては、私は誠に遺憾に堪えない答弁だと思います。今の御答弁によると、整理基準を作るとか作らないという問題は、これが作つてあれば人事院としてはやりやすいとかやりやすくないとか、極めて消極的な他人事のような考えを以て御答弁をされているように思うのです。そこで先ず第一番にお伺いいたしたいことは、最近における民主国家考え方として、公務員政府との雇用関係というのは、これは昔のように使つてやるとか使つてもらうとかいう考え方ではなくして、飽くまでも対等立場に立つて雇用協約であるという考え方に立たなければならないから、従つて一つの例としては、従来はやめる場合にも依願免官という恰好の、お願いして許してもらつてやめるとか、頼んで来たからやめることを許してやつたというような、ああいう発令形式のようなものももつと民主的に改めなければならないといういような考え方が出て来ているのであつて従つてそういう点から言うと、飽くまでも政府公務員との雇用條件というものは対等立場に立つて協約でなくちやならない、そういう考え方に進んで来ていると思うのですが、こういう点については浅井総裁同意されますかどうですか。
  14. 浅井清

    政府委員浅井清君) 従来のように官吏の、いわゆる明治憲法時代官吏国家の一方的な任免によるものであつて、ただ本人同意條件とするというような、いわゆる單独行為は今日適用されないであろうということは私も同感でございます。従いまして官吏任免関係一種契約である。これは無名契約であろうと思つておりまするが、併しそれは公法上の契約であつて私法上の契約でないのでありますから、私法上のように完全に契約当事者が平等の立場に立ち得るかどうかは、これはまだ疑問の余地があろうと思います。即ち契約につきましては、民法の契約のように当事者の平等な立場をそのまま認めて行くかどうかという点に疑問がありますが、当事者国家單独行為ではなくて、当事者間の契約であろう、その契約公法上の一種無名契約であるという限りにおいては同意でございます。
  15. 千葉信

    千葉信君 そこでお尋ねいたしますが、この際公法上の対等契約という考え方に立つてども現在の状態考えております。そこで問題になりますことは、今度の定員法による行政整理の問題を考えて見ますと、これは殆んど一方的に首切りを行おうとしている。而も大きな立場に立つて考えて見ましても、そういう一方的な首切りをやる場合に、失業対策も完全に行われておらない。而も失業者が巻には溢れている。そういう状態の中で首切りを行おうとしているし、それから又昨日の質疑にも現われておりましたように、何か就職することについて職業安定所を通じて或る程度の考慮を加えたいということを言つておられましたが、それに対しても具体的な考えをまだ殆んどきめておらない。そうして挙句の果には職業安定所職員も同時に減員されるという、そういう状態が出て来ております。而も一方においては行政整理をやるということになれば、当然の措置として実際上どれほど現在の機構の中で人が余るかということについて、殆んど頭割でその人員を算定するというような方法をやつておりまして、誰が考えても……、こういう行政整理をやるというような場合には機構の改廃を十分検討したり或いは又行政簡素化というふうな、事務簡素化というような方面にも十分な検討を加えた後に初めてこれだけの人が余るとか、或いは足りないという結論の上に立つてやるのではなくては、今度の場合にはそういうやり方についても随分矛盾撞着を犯しながらやろうとしているのが今度の行政整理やり方のようでございます。そういう行政整理やり方をするということについては、これは国民一般も容易には納得できないし、又実際にその首切り対象になる公務員諸君にとつては余りにもやり方が不当だということは、これは当然そういう不平が出て来ることはわかり切つたことだと思う。而もそういう計画をする政府の今度のやり方を見ておりますと、大体が行政管理庁のほうで中心なつてこの問題を考えられたようでありますが、その行政管理庁所掌事務の内容を見ますと、第二條に、行政機関機構定員及び運営総合調整を行うこと。」これは第二條の第一項の第二号です。それから同じく第三号には「行政機関機構定員及び運営に関する調査、企画、立案及び勧告を行うこと。」こういうふうになつている建前から言うと、今度の行政整理の問題に関して行政管理庁のほうで大体やるべき仕事というのは、その機構如何の問題その機構如何によつて定員はどれくらいが至当かということを考えることが大体の行政管理庁仕事だと思う。そうして更に今度同條第二項におきましては、「前項の所掌事務は、人事委員会に対する、」これは現在人事院ですが、「関係においては、これを適用しないものとし、且つ、他の法令により人事委員会法務庁及び会計検査院の所掌に属せしめられた事項を含まないものとする。」結局こういうことになりますと、行政管理庁のほうでやるべき仕事機構の改革若しくは又機構の変革というような問題と、それに関する定員がどの程度必要かどうかということ、これが行政管理庁仕事だと思う。そうして同條の第二項によるところの現在の人事院、この條文には人事委員会になつておりますが、人事委員会のほうでは、そういう決定された定員等に対する人事院仕事としては、これはこの場合国家公務員法というものが、飽くまでも公務員利益を第三者的な立場に立つて擁護するという建前で立法されたものであつて、而も先ほどの政府公務員との雇用協約におけるところの約束なんです。その約束したところの公務員法の第三條では行政整理の問題に関する今の機構或いは定員決定以外の、どういうふうにして職員を退職させるかとか或いは退職させるにはどういう條件で退職させるとか、こういう問題が国家公務員法の第三條には規定されておるんです。第三條の第三項によりますと、「人事院は、この法律に従い、左に掲げる事項について職員に関する諸般の方針基準、手続、規則及び計画を整備、調整総合及び指示し、且つ、立法その他必要な措置を勧告する。」こういうふうになつていて、そうして左の各号の中には公務員の退職或いは免職人員減少、こういう点を人事院所掌していることになると思うのです。これははつきり法文上そうなつております。そうなりますと、今度の政府の提案しました定員法によると、單に今度の人員整理による定員数決定ばかりでなく、その附則のほうに以て来て国家公務員法上による約束であるところの第八十九條から第九十二條までの規定はこれには適用しないということを、ここではつきり出して来ております。こういうような出し方が行政管理庁中心になつてやる場合に、若しこれを民主的にやるということになれば、当然人事院のこういう所管事項について人事院との相互了解なり話合いなりがなければならないと思うのです。それが全然なしに行われていると私は思うのですが、一体総裁としては公務員利益を擁護するという立場から、以上の問題に対してどういうふうにお考えになつておられるか、この点をもつと具体的に御答弁を承わりたいと思います。
  16. 浅井清

    政府委員浅井清君) だんだんと千葉さんの御論議よく了解をいたしまするが、要するに千葉さんのお立場におきましては、この人事院に対する訴え制度によつて政府は甚だけしからん、行政整理を防ぎとめよというような御激励のように存じておりますが、人事院といたしましては非常に迷惑なことでございまして、この規定が動きましたといたしましても、何も人事院行政整理に対抗するような措置ができるものではないと私は存じております。この公務員法の親定たるや、要するに不利益処分に対する誤りを是正するだけの仕事しかないのでございます。この点は一つ了解を願いたいと思つておりまするが、人事院といたしましては、たださつき申しましたように、そのような問題ではなくして、要するに整理基準を設けてやるのがいいか悪いかという観点から見ておりますので、この規定を、訴え制度を除きましたからといつて何も人事院公務員保護することを怠つているというようにはならんと考えております。即ち八十九條から九十二條を除いただけでございまするから、ほかの公務員法規定というものは決してなくなつたわけではないのでございます。
  17. 千葉信

    千葉信君 ただ八十九條から九十二條までの規定を除いたということを言つておりまするが、今度の行政整理の問題に関して公務員不利益処分を受けた場合に、もうすでに国家公務員ではなくなつた人たち利益を擁護する人事院立場としては、この八十九條から九十二條までの問題が除かれて一体どうして公務員利益を擁護する、人事院職責を全うできるかということになると思うのです。それ以外の條項が幾らあつても、これは整理対象に入れられた公務員にとつては何もその他の條項はやめて行く公務員利益を擁護する條項にはならない。そういう問題に対して人事院総裁が今のような御答弁をされることは私は誠におかしいと思います。そうして公務員法の第三條の点からいつても、こういう免職をするとかしないとかいう問題については、整理基準を作るのか作らないかという問題もあるが、人事院がそういう問題に関與しないで、一方的に作らしてそれでいいという態度は私は承服できないのです。どうしてそれでは人事院としては第三條によるところのこういう免職という問題について、人事院がこの條文にあるような自分たち職責を果そうという気特を持たれないのか、その点は私は納得できない。
  18. 浅井清

    政府委員浅井清君) 千葉さんにお答え申上げますが、要するに政府部内においては公務員保護する立場にあるものは人事院だけであつて人事院がその立場にあるということをお認め下さつたのは誠に有難いのでございますが、任命権者その他の者はもう一切公務員利益保護するものでないということは、人事院の調べによりましてはそうはなつていないのでございます。現に行政整理に関しましても、任命権者それ以下の人々は非常にいろんなことを気を配つて、成るべく整理人員を少くすることに、又整理された者に対しての就職斡旋等には十分心を使つておるわけでございまするから、この規定がなければ非常に不公平な取扱いを受けるということは私は考えられません。最前申しましたように前回整理にこの規定を、訴え制度を認めましても、殆んど訴えのなかつた実例に照しても御了解が願えると思つております。
  19. 千葉信

    千葉信君 任命権者公務員不利益考えないで、非常に公務員のためを考えて行動しておられるというお話でありまするが、その任命権者は一体誰ですか、その任命権者が今度公務員を十二万八千人首切ろうというのじやありませんか。而もこういう非常に悪條件の揃つておる社会におつぽり出そうという任命権者じやないですか。一体浅井総裁言つておられる任命権者というのは誰ですか。
  20. 浅井清

    政府委員浅井清君) それは公務員法上における任命権者ですから、各省大臣その他の者を指したわけでございます。そこで只今千葉さんはその任命権者が首を切ること自体が公務員保護しない、こういうのでございまするが、これは少しく考えて見なければならんかと思つております。我々は一般論として行政整理に反対すべき理由はないように考えております。と申しまするのは、我々公務員の給與はこれ皆国民の重い負担になつておりまするからして、成るべく少い人員で能率を挙げて行くということは、これは当然のことであるように思つております。故に公務員の数が多ければこれを減すということは、これは一般論としては成り立ち得るように考えております。その一般論をとりましたからこれはけしからんということにはなるまいと考えております。
  21. 千葉信

    千葉信君 今の浅井さんの言葉を聞いておりますと、私は人事院総裁としての立場から御答弁されておる言葉を聞いておるような気がしないのです。一体人事院総裁は今度の行政整理について、一般論的には賛成するというような態度でありまするが、実際に公務員諸君の実情を知つておられるはずの浅井総裁が、さながら現在の政府機構の中では仕事以上に公務員が多いというような気持を持つておられたり、それから又現在の公務員の給與は、或いは総体の人件費等において何か国民に余分な税負担をかけておるようなお考えを以て御答弁されておることが私は誠に納得できない。一体浅井総裁人事院総裁として現在の政府機構の中に公務員は、成るほど一般職の職員は九十万人となるかも知れないけれども、現在の政府機構の中に二カ月の臨時者という形で採用されておりまするけれども、実質上は二カ月以上四年、五年という恰好で臨時者として採用されて、而も全く完全な公務員としての利益も享受できないような恰好で採用されておる人員が二十四万人以上もあるということを、私は浅井総裁は知つておられると思う。而もそういう人たちはどうしても現在の行政都内における仕事運営のために必要なために雇われておる人たちであります。そういう人たちがいるということを浅井総裁は御存じないのですか、そういうことを御存じの上で総裁公務員が多過ぎるとか何とかいう今の御答弁をされておるのですか、その点を私は御質問したい。
  22. 浅井清

    政府委員浅井清君) でございまするから私は一般論であると断わつておるわけでございます。但し行政整理一般論としてはこれは否定すべき理由はないのでございまするが、それには二つ條件があるだろうと申すわけでございます。第一は、憲法によりましても、内閣国会の作りました法律を誠実に執行しなければならんわけでございますから、その法律の執行に支障がないということが第一の要件であろうと考えております。第二の要件といたしましては、失業対策その他に十分考慮を拂わなければならん、そういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 吉田法晴

    吉田法晴君 総裁のお言葉を聞いておりますと、任命権者である各省大臣その他において十分公務員保護に任ずるであろう。或いは行政整理に当つてもそういう何と申しますか、十分の考慮がなされるであろうから、人事院としては保護の任に当る必要がないかのような御答弁でございましたが、そういうように解していられましようか、問題は先ほどの公務員法改正法の五項に関連するのでありますが、重ねて一つお尋ねします。
  24. 浅井清

    政府委員浅井清君) 決してさようには申していなかつたつもりでございます。即ち任命権者がやるといたしましても、公務員法上の制限を受けるのでございまして、決して任命権者は不公平な首切はできないであろう、又事実決して過去におきましてもそのような不公平な首切りはしていないと、こういうことを申上げたにとどまるのでございます。
  25. 吉田法晴

    吉田法晴君 不公平はやらないだろう、或いは過去においてもやらなかつたように思うということで、先ほど公務員法二十七條、或いは八十九條を挙げられたのでありますが、そういう想定の下に人事院国家公務員に対する保護規定を排除することに賛成になるわけでありますが、そういう期待に反して若しこの不公平が行われ或いは公務員法保護を受け得ないような事態が起つた場合に備えてこそ八十九條から九十條の適用があるわけですが、その不確実な想定の下に人事院公務員に対する保護の機能を喪失しても、或いは放棄してもよろしいという人事院総裁の御意向のように思うのでありますが、そういうふうに解してよろしいのでございますか。
  26. 浅井清

    政府委員浅井清君) そういう御解釈は人事院として甚だ迷惑に存ずのでありまするが、私が申上げたいことは、この訴え制度を取除きましても、それは決して人事院公務員保護することを放棄してしまつたことには決してならない。なぜならば任命権者公務員法の他の條項によつて縛られておるからでございます。その場合にその他の條項に対する人事院の権限というものは決して失われていないということでございます。これは例を挙げればわかると思います。若し任命権者公務員法二十七條に反しまして不公平な首切りをいたしましたならば、それは罰則の規定の適用があるのでございまするから、人事院としてはこれを告発することも可能でございましよう。九十八條三項に違反いたしまして、組合活動をしたということのために首を切られたと言いまするならば、人事院任命権者に対して指令等の拘束力ある方法によつて善後の指置も講ずることができる。決してこの訴え制度、而もこれは公開審理の制度をとりますること、統一した基準を前提とすること、相当長い時間を要しますること、この制度だけが唯一の公務員保護する制度ではなかろうと、こう申すだけの次第でございます。
  27. 吉田法晴

    吉田法晴君 この八十九條から九十二條だけが国家公務員保護する方法でないということについては私も言つているわけではありませんが、昨年の実績から考えて見ても、昨年七月一日の整理の場合に整理基準があつたわけではないようでございます。そうして実際には訴えがなかつたように記憶する。そこでこれは今度の場合に八十九條から九十二條を適用しないということになつても実質的には差支えないだろうという点が一つ。それから公務員法の二十七條、八十九條なり或いは九十二條の適用を除外しても別に保護し得るからということでございます。問題はその八十九條なり二十七條の問題は別にして、その他の問題について問題があつた場合にも、八十九條なり九十二條規定を除外したならば、これは訴えることができない。不利益処分申請をすることができない。そこでそういう八十九條から九十二條規定を適用することを通じての途をも塞ぐということによつて、その面での人事院保護は少くともこれはなくなるわけでありますが、そういうことをなくすることについてこれは賛成でありますから、その面での人事院保護の機能は喪失する、放棄するという、これは当然の結果になると思うのでありまするが、そういう点に御賛成になるのではありませんかというのであります。
  28. 浅井清

    政府委員浅井清君) 最後のところちよつと私御論旨を取り違えておるかも知れませんが、第一置いておくほうがいいのか置いておかないほうがいいのかという問題は、只今申上げましたように、これは置いておかなければ公務員保護が全滅するというような、そのような問題ではなくして、整理基準をこの際設けることのほうがいいのか悪いのかという点だけの問題のように私ども考えております。
  29. 吉田法晴

    吉田法晴君 だから昨年の場合には整理基準を設けないで整理が行われたが、八十九條なり九十二條の適用は……今年は整理基準という問題を今出されましたけれども整理基準を設ける設けぬということを離れてもこの問題は論議し得るはずです。そこで人事院としては二十七條は別として、八十九條なり九十二條を置いておくべきであるか、或いは人事院としてはそれを取つたほうがよい、こういう話であるか、整理基準という問題を除けても、置いておくことのほうがこの條文を通じての人事院保護機能を残すゆえんではないか、それを人事院としては放棄することによつて、置いておくこと、言い換えますれば八十九條なり九十二條の適用を除外することに賛成することによつて、この面での人事院の機能を放棄せられるという意向であるか、こういうことをお尋ねしておるのです。
  30. 浅井清

    政府委員浅井清君) これは整理基準の問題がなければ、離してこれを考えることは殆んど不可能でございます。数万人もの整理者がございまする場合に、整理基準を設けませんければ、人事院訴えて参りましても、それは殆んど、どうして何を基準審査していいかわからなくなるのでございまするから、只今もおつしやつた整理基準を除外して云々はちよつと了解いたしかねるように思います。
  31. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほどから総裁の御意見を承わつておりまするというと、整理基準を作る、それによつて裁くということになるというと、却つてこの者は能率が悪いとか或いは性格が悪いとか、そういうふうなことについても烙印を押されるような結果を生ずるので、却つて公務員保護にならないという思いやりを十分持つておられるように承わつたのでありますが、各官庁で整理する場合には、やはり何らかの整理基準というものを作らないというと整理ができないのじやないか、こういうふうに思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  32. 浅井清

    政府委員浅井清君) それは私の申しました整理基準と少しく違うように考えております。私どもの申しまするのは統一した整理基準でございまして、而もこれはどうしても公表されていなければならんように思つております。そういたしませんと、公開審理においてそれを基礎として、或いは証拠として取上げることは困難であるように思います。各官庁の内部におきましての取扱いということは、これは私の申しました整理基準とは少し違うように考えております。
  33. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 大体私などの考えまするところでは、各省の事情によつて整理基準が幾らか違うかもわかりませんが、併し大体やめさせられる人は、事務整理があつたために、その人が優秀もあると無能であるとにかかわらず整理されるという人があります。それは少くとも今度の整理における場合を考えて見まするというと、それに該当する者は割合に少いのであつて、実際はやはりほかの人に比べて能率が余りよくない、或いはその他の事情でやめてもらつたほうがいいだろうというような人が勧告を受けるということになるのだろうと思うのですが、そうしますると各官庁が幾らか標準が違うにしましても、大体は同じと見ていいのじやないかと思います。それから若しそれが幾らか違うからというところで、人事院のほうでそれを統一した標準をお作りになるということができない、非常に困難だという事情がありましても、その解職についての審査の請求をした者の各個について、そうして各官庁の事情をその審査の請求書に基いてお調べになりまして、その解職が正当であるか否かということをお裁きになるということは、これは面倒は面倒だろうと思いますけれども、その面倒はやはり人事院としては見ておやりになるべき性質のものではないかというふうに考えるのが一つ。それから世間では今度の、まあ今度に限らず解職される人は事務整理のために、事務がなくなつたから整理されるのだという人以外の場合においては、大体余り成績がよくない人だということを考えるのは、これは世間の常識であります。そのときにそれにもかかわらず審査の請求をするという人は、すでにその烙印を押されてもやむを得ないということを覚悟の上で請求する人もありますから、そこに人事院でやはり烙印を押されるということになりましても、その人の受ける損害というものはやはり同じようなことではないか。思いやりが深いという点についてはよくわかりますけれども、結果から申しますると、私の今申したようなことであつて、その思いやりが本当に効果的な思いやりであるともちよつと思われないわけでありますが、その点は如何ですか。
  34. 浅井清

    政府委員浅井清君) 御論旨よく了解いたしまするが、基準と申しまするのは、人事院基準をきめました場合は、若しその基準に反する行為を任命権者がいたしました場合は、その訴えによつて取消すわけでございます。従いまして任命権者を十分拘束する形でこの基準がきめられておりませんと、それは殆んど問題にはならないわけであります。従いましてこれはどうしても公務員法建前から言いまして、人事院規則でこしらえますか、人事院指令でこしらえますか、相当嚴正な形で出る。則ちそれが公表されるわけでございます。従いまして只今竹下さんの申されましたように、あいつは勤務不良でやめられるのだとか、或いはそうでなければもはや老衰職に堪えないのであるというような烙印を押されると、こういうことでございます。只今竹下さんはどうせやめられる者はあれは何らか悪いのであるというような印象でやめられておるからとの仰せでございましたけれども任命権者といたしましてはそれは迷惑いたします。その者の就職の斡旋等について非常に困つてことを生ずる。従いましてやめる者が決して悪い者でない、これは事務の都合で今回は止むなく整理されるのだという印象をどこまでも與えたいい、こういう思いやりの立場からいたしますならば、これを取除きましたほうがよろしいように思つております。それから又若し不公平なことを任命権者がいたしました場合は、これは只今申上げましたように別の手段があるわけでございまするから、必ずしも訴え制度が唯一のものでない、かように考えております。
  35. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今申しました私の気持というものは、とにかく不公平な措置があるか杏かはそのときどきによつて違うわけであります。一概に政府やり方が不公平な処分をするということを初めから断定するわけにも行きませんが、併しやめられた人の立場になつてみますと、やはり自分に無理が来ておるような気持をするというのは、これは人情だろうと思うのです。そうするとやはりもう一遍調べてもらいたいという気持も起つて来るのが当然だと思つております。それが或いは当つているか当つていないかは別として、そういう気持が起るのが当然だとすれば、やはりとにかく言いたいことは言わせて一応又聞き直してやるという、そういう広い態度政府がとるということが必要じやないか。如何にも言いたいことも言わせないのだというようなふうに少くとも世間から誤解をされる、又そういう解職の処分を受けた人に非常な不満を抱かせるというようなことは、社会問題としても又一応考えなければならないことじやないかというふうに思いまするので、今先ほどから申したようなことをお尋ねしたような次第であります。なおこの点につきましては人事院総裁のほうでももう一応お考を願つておきたいと思つております。
  36. 浅井清

    政府委員浅井清君) 御論旨よくわかるのでございまするが、もはや私のほうの考え方は繰返しませんが、ただこの行政整理に対する不公平な取扱等については十分注意をいたしております。そのつもりであります。
  37. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと伺いますが、先ほどの総裁お話では、八十九條以降の適用は除外するけれども、ほかの例えば七十八條のようなものは残つておるのだ、七十八條の、今回の場合で申しますと四号に当るわけなんですが、官制若しくは定員の改廃云々、これについても人事院規則の定めるところによつてつておるんだ、その人事院規則には平等の原則が謳われておる、こういうことなんですが、その平等の原則が仮に失われておるという場合には、これは官庁のほうの処分のことはお話のようにあるようでありますが、職員のほうは七十八條の四号で而も平等の原則に違反した取扱を受けた、こういう場合の審査請求権というものは八十九條で本来ならば行われるわけでありますが、この改正法律の五項で行きますと、今回の定員法の改正によればそれはできない、こういうような解釈になると思うのでありますが、その点はどういうことになりましようか。
  38. 浅井清

    政府委員浅井清君) その通りでございます。
  39. 楠見義男

    ○楠見義男君 そこで実は今竹下さんから御質問になつた点に関連して私ももう一度重ねてお伺いしたいのでありますが今竹下さんからもお話になりましたように、その仕事自体がなくなるという場合には、これは世間も何とも思いませんが、併し常識上その事務が残り、例えば二十人なら二十人の職員のうちで六人がやめて十四人が残るという場合に、世間の常識から見れば当然有能な人がやめて然らざる人が残つたとは思わない。そこでそういう場合に官庁任命権者のほうの善意を期待しておられますけれども、問題はその善意が過失によつて或いは錯誤によつて不平等な取扱がされたときにこの請求権の問題が起るわけですから、従つて最も最悪と申しますか、ぎりぎりに詰つたときの請求権の問題になるわけでありますから、そこで整理基準を設けることが困難のようなお話でありますけれども、その困難をあえて忍んででもやはり整理基準をお設けになつて、そうして最後の一人でもそういうような任命権者側における不公正な取扱というものを救つて上げるということが、これがこの審査請求権を認めた趣旨ではなかろうか、特に先般もこの委員会内閣委員会で公聴会を開きましたときに、地方行政調査委員会議議長の神戸先生は、今回の行政整理の問題で一番の唯一の欠陥とも言うのはこの審査請求権が放棄されている点に、排除されている点にある。こういうような証言をせられたのでありますが、私どももその証言については傾聴すべきところがあると考えておるのであります。従つてそういう意味から申しますと、困難をあえて忍んでもこれを残すべきであることが人事院として当然御主張になつて然るべきではないか、これは余談でありますけれども公務員立場から申しますと、罷業権は否認されておる、それから一生懸命になつて人事院のほうで御調査になる給與ベースの改訂というものは、人事院ができてから、或いは最近なくなるとかなくならんとかいろいろ噂がありますけれども、その存命中に一回も聞かれたことがない。而も又こういうような土壇場の整理のときにこの請求権すら認められない。何によつて自分たち立場は擁護されるかということで、非常にこの点については不満に思つておるのでありますが、その不満は不満として別といたしましても、これを保護する立場から申せば、困難だからこれは適用できないということではちよつと納得できないのじやないか、こういうふうに思うのでありますが、重ねての質問で恐縮でありますけれども、もう一度お答え頂きたいと思います。
  40. 浅井清

    政府委員浅井清君) 誠に御趣旨御同感に存じますが、過去のいろいろの経験から見ましても、こういう場合に画一した整理基準を立てますことはどうもむずかしいことでもあり、又結果がどうも面白くないようにも考えておる次第でございます。只今楠見さんの御引用になりましたこの訴えのころでございますが、只今或る一つの職場全体についての不公平というようなことが起りました場合には、何もこの訴え制度ではなくて、行政措置の要求の制度が別にあつて、これはこの公務員法では、この定員法では排除されていないように思つておりまするから、これはできるのではないかと思います。
  41. 楠見義男

    ○楠見義男君 行政措置の点というのはそうすると何條に当りましようか。
  42. 浅井清

    政府委員浅井清君) これは八十六條以下でございます。
  43. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、この八十六條で、審査請求が、八十九條に規定しておるような内容と殆んど同じような内容が八十六條以下の規定によつてできるというのですか。
  44. 浅井清

    政府委員浅井清君) 行政措置の要求は、この定員法でどこにも外したように私考えておりませんので、これは活きておるように思つております。従いまして、この八十六條以下によつて行政措置の要求がありました場合は、人事院としてはこれを審査いたします。その審査規定は別に規則に一三—一によつて詳細に規定されております。ただ八十九條と違いますところは、八十九條のように任命権者措置を取消すことができないのでありまして、これは任命権者に対する勧告にとどまるのでございます。併しこれまでやりました勧告で、任命権者が採用しなかつたものは一つもないのでございます。それからこれは只今職場全体というようなふうにも申しましたけれども、これは或る一人の者が訴えて参りました場合にも取上げるような慣例になつております。
  45. 楠見義男

    ○楠見義男君 八十六條、七條、八條は勤務條件に関する行政措置の要求で、例えば自分の役所ではこれこれの仕事があるにもかかわらず、その設備が整つておらないとか、或いはこういうような超過勤務状況ではとてもやり切れない、何とかしてくれとか、こういうふうな勤務條件に関する行政措置の要求で、従つてお話のように、一人の公務員でも要求でき、その要求に従つて任命権者と言いましようか、その場合には任命権者というよりも一つの、一箇の行政官庁に対して人事院総裁からいろいろの勧告をせられるわけなんでありまするが、私の先ほど来聞いており、又竹下さんからもお話のありましたことは、そこに勤務しておる公務員立場からの問題であつて、而も今回の場合においては、その公務員整理された、その整理やり方が不公正である、従つて任命権者に対してそういうような不公正な取扱を是正するようにという請求権を問題にしておるのであります。従つて八十六條以下でおやりになることとは全く性質、立場が違うように思うのでございますが。
  46. 浅井清

    政府委員浅井清君) それで最前私は職場全体について不公正が起つた場合と申上げたわけでありまして、(笑声)罷免された者が訴え制度ではないのでございます。
  47. 木下源吾

    ○木下源吾君 総裁一つ、又首切りが始まつたんだが、天引首切り総裁はどう考えていますか。止むを得ないとでも考えておりますか。
  48. 浅井清

    政府委員浅井清君) これは私政府委員立場といたしまして、内閣の提案しております法律案を批判することは私はできない。そこで最前から一般論としてと申上げておるわけであります。(笑声)
  49. 木下源吾

    ○木下源吾君 それならばよろしい。だんだんそれでは。この前にこの問題がやはりあつて整理基準の問題があつたのだが、そのときは人事院としても職階法の施行がまだできておらない、それがだんだん整備して来れば基準ができるのだと、こういうようなお話があつたので、御尤もだと思つてそのときは我々は了承したのですが、すでに職階法も二年間ぐらいやつとるわけなんで、もうそろそろ今のような一般論でなく、実際論としてできそうなものなのに、それが一体理由はどこにあるのですか。
  50. 浅井清

    政府委員浅井清君) まだ格附が完了していないから、職階制はできましたが、その職階の引出しへ入れる格附ができていない。それで……。
  51. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうするとそれができればあなたのほうでこの基準というものを作るつもりなんでしよう。それをお伺いしたい。
  52. 浅井清

    政府委員浅井清君) それはちよつと御論旨が飛躍するのですが。
  53. 木下源吾

    ○木下源吾君 忙がしいから飛躍してもいい。(笑声)
  54. 浅井清

    政府委員浅井清君) 職階制ができたから整理基準ができる、できないから整理基準を設けないということではないように思つております。
  55. 木下源吾

    ○木下源吾君 さつきから聞いておると、そんなものは面倒だから……、却て枠をはめちやいけないからということ、私はこの前の話と大分違うと思う。まあそれは併しときどき違うこともかまわない。そこで今じつと聞いておると、今の附則の問題ですが、これは附くほうが当然いいのだ、こういうような話で、理由としては余りそういう請求もないというようなことで、そんな話だが、この前、二十四年五月十三日のこの内閣と我々の連合委員会総裁こう言うておるのですね。この規定の適用をしないようにすると、行政整理整理された者は全く国家公務員法できめた救済の途がないということになる。数十万になるとすれば、人事院としては技術的な困難が非常に伴つておることも事実である。恐らくは内閣といたしましてはそういう立場からこの規定を設けたものと考えておりますと、こう言つております。そして最後に私ども立場から、というのは総裁立場といたしまして、この苦情処理の條項が入らないということは大変遺憾に考えておる次第でありますと、こう言われておる。今のは逆に入らないほうが都合がいいのだというような話つぷりなんですが、これはどういうわけでそういうように変つて来たか、その理由を一つ聞かして下さい。
  56. 浅井清

    政府委員浅井清君) それは前回行政整理においてこの訴え制度を認めまして待ちかまえておりましても、一つ訴えはないのでございます。そういうふうなところから見ましても、この規定を入れなければどうしても遺憾であるということは少しく観念論的になりやしないかと思うのです。
  57. 木下源吾

    ○木下源吾君 それが観念論どころじやないのです。実際にはこの前出さないのは、出したつてろくに動いてくれないし、ちつとも動いてくれないから泣寢入りするか、或いはどうでもいいと、勝手にしやがれというような気分がたくさん出ておつた利益になることを放棄するのは、役に立つならば使う。ところが実際はそうでない。今くれんものが一年も半年もかかつてくだくだ言うておつても、そんなことを言つてもやつてくれないというところに原因があるので、そんなことは理由にならないのです。やつぱりこの前あなたが言うたようにこれは原則としてこの條項を入れるということは、この入らない今のようなつまり法案であるということは大変遺憾なことなんだ、これは申すまでもないのです。そういうように申請があつたから、ないからという問題は、動かす当局の考え方によつてこれは違う。こんな政府にこんなことをやつたつてつまらない、却つて皆絶望的になつているのですよ、皆はこういう点をですね。これはあなたに関係したことではないかも知れませんけれども、あなたの立場から言えば、この規定があるほうが当然だと思う、それはこの前のあなたの御答弁のほうが私は良心的であり、そうして人事院として当然だと考えてそのとき承服しておつた。今のような理由は承服できませんな。殊にこの規定のできた根本は、あなたおわかりの通り、そうでございましよう。今一般論でいろいろなことをおつしやつておるけれども、この規定はこの前のあなたの御答弁では、一体この苦情に対する訴願の規定というものは国家公務員の同盟罷業或いは団体協約というようなものをなくした代りに、そのような不利益な処分に対しまして人事院訴えることの途を開いてあるということが立法されたのであつて、こう書いてある。これはその当時も今も嚴然とした事実である。そういうことなんです。今回のあなたのお話を聞いておると、その当時のことは皆流れていないのだ。これは別なんだということに聞かれて、甚だどうも私には了解できないのです。やつぱりあなたは、この規定についてはこの前のようにこの條項が入らないということは大変遺憾なことであるということをもう一度そこで言われることが非常に私は良心的だと思うのですが、どうですか。
  58. 浅井清

    政府委員浅井清君) 誠に私の申したことは御期待に反いて甚だ遺憾なんであります。従来の経験から見まして、こういう大規模の整理基準を求めるということは、その後の経験上非常に困難である、そういうふうに考えてそう申しましたわけでございます。
  59. 木下源吾

    ○木下源吾君 その困難であるということやら、そういうようなことは別なんだ。あなたのお話を聞いていると、全くレールの上を走つたようなことを言われる人に似合わないと思うのです。きちんとしたことをあなたがいつも言われておるのに、困難だとか数が多いとか、そういうことの問題ではなく、人事院の性格として、そうして人事院というものが公務員法による精神でおやりになる以上は、これはやつぱりこの條項の入つておらんということは遺憾だということに私はなると思う。そのようないろいろなことを、これはこういうわけだからこうだとかああだとかいうことは拔きにして、あなたの本来の、いつものお話のようにきちんとして立場からお話なつたほうがいいのじやないか。そうでないというと非常に雑音が入つてですね、いつまでたつてもここでの話が盡きないと私は思う。どうですか、それはやはり人事院としてはこの前のほうが本当だと私は思うのです。
  60. 浅井清

    政府委員浅井清君) どうもこれ以上申上げても仕方がないと思いますが、私はここで申上げましたことを別に取消そうとは考えておりません。実際、私が最前から繰返しましたように、この規定が入つたからといつて整理基準なくしては到底やれないということを経験上考えるに至つたものであります。
  61. 木下源吾

    ○木下源吾君 それは実際には整理基準というものがあなたのほうから出さんでも、何ほどかあるうちから一部分を整理するのですから、それは実際は整理基準があるわけなんです。これはお認めになるわけ……でなければできないことなんですから。実際はあなたが基準を作つて実際に持つて来て、そうして現在あるところの公務員全体の整理から幾らでもこれは適用できると思う。字句に、文字に書いたことばかりがあれじやないと思う。実際は整理基準がないといつても、たくさんある中からやるのですから、これは基準があるということは私は認められるだろうと思うのですが、どうですか。
  62. 浅井清

    政府委員浅井清君) その点最前申しましたが、やはり任命権者を拘束する基準を出さなければ、任命権者が自分でこしらえた基準でございますし、いつでも自分で変えるものでございますから、任命権者の行為を取消す効力を持つた訴え制度においてはそれは不適当と思つております。
  63. 木下源吾

    ○木下源吾君 拘束するような状態整理基準でやるかもわからん。あなた何も任命権者を拘束しないようなことばかりでやるように言われるけども、拘束されるようなことでやるかも知れん、それを審理するのがあなたの役目、私はそう考える。
  64. 浅井清

    政府委員浅井清君) それはちよつと御論理がわかりかねるのですが、公務員法規定いたしてありまするところは、こういうことはいかんということであつて、積極的にどういう者を整理するというようなことはないように考えております。
  65. 木下源吾

    ○木下源吾君 とにかくあなたの先ほどからのお話で、大分盡きておるように思うのであります。併しながら同じ政府部内で今度の整理に対しては、この前のあなたのお話もあるので、政府としてはやはり何らかのあなたのほうにお話があつたものと思う。又行政整理をやるということは、随分いろいろ手続をやつておるのでありますから、その間においてあなたのほうからもやはり積極的に出て何か話しされたことがあると思う。そういうことについての事実を一つお話を願いたい。
  66. 浅井清

    政府委員浅井清君) 行政整理、今回の行政整理自体について政府から何も相談を受けたことはありません。
  67. 木下源吾

    ○木下源吾君 それでさつき人員が多いのは減らすのは当り前だ、殊に税金で皆やつてるのだから当然、こういうお話でありましたが、人員が多いか少いかは一体どうしてこれはわかるのですか。人員が多いか少いか、一方では必要な者でも首を切ろうとしておる、これは必要な者でも首を切ろうとしておる。そこで必要な者を首切られてそれだけ行政能率が挙らん、事務能率が挙らんということになれば国民は迷惑する、逆にそういうことをやろうとしておる。あなたは何でも今度の首切りを合理化するように、それに賛成するようなことばかり言つておられるのですが、逆なんです。そこで我々は人事院として、公務員に対する職階制の提案も認め、いろいろそういうことをやつておるわけなんですが、政府の場合は、ただ人員が多いという問題よりも金を少くして、今八時間のところを十時間も働かせるということが必然に起きても止むを得ないのだという、この見解に立つて首切りをやる、殊に有能な人間でも整理基準がないために、何かその任命権者の主観的な感情によつてでもやり得る、そういうような状態になつております。あなたが今切られる人間はことごとく国家のためだと考えておられることは誠に私は違うと思う。この前の状態においても同じことだ。だからして仕事の量はこれだけあるのだ、同じ仕事の量でも、こういうように組立てて行けばこれは人間を減らしてもいいのだというような、いろいろそういうことができてからでなければ、あなたの是認される人間が多い、それから首切りということも是認されるということも違う。ただ税金をこれは少くするのだから国のためになるのだ、これはもう全くあなたのお考えとは違う、こういうように我我は考えているのです。それ故にあなたにいろいろ今お尋ねしておるわけなので、あなたはやはり今度の定員法によつて切られるのはこれは国家のためになるのだと、こういうふうにお考えになつておるか。
  68. 浅井清

    政府委員浅井清君) 私は未だ曾てさような発言はいたさんつもりであります。私はそもそも行政整理ということについてだけ抽象的に申上げたのであつて、今回の行政整理については私は何も発言してはおらんつもりであります。それを木下さんの今回の行政整理について一緒にお考えになつておる。ただ私が申しましたことは、一体行政整理というものは人間が多いのを少くすることであつて、国民全体の費用で賄われておる公務員といたしましては、多過ぎる者はこれを減らすということは、これは一般論として当然であろうと申上げたのであります。ただそこに二つ條件がある。第一は憲法において内閣国会の制定した法律を誠実に施行しなければならんのであるから、その法律の施行に支障のあるようなことはしてはいけないだろう、第二は失業者に対する就職斡旋その他について気をつけるということが必要であろうということを申上げただけにとどまるのであつて、然らば今回の行政整理人事院如何に思うかという仰せに対しましては、私は政府委員立場上それはお答えを申上げかねると言つただけであります。
  69. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君にお諮りいたします。農林大臣なり労働大臣が御出席がまだむずかしいのでありますが、時間も大分過ぎて参りましたから、本日はこれを以て散会しようと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると人事院総裁に御質問をする機会はあとで又あるわけでございますか。
  71. 河井彌八

    委員長河井彌八君) おありになれば無論もう一遍……。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後零時二十四分散会