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1951-11-15 第12回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)    午後一時四十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            石原幹市郎君            古池 信三君            三輪 貞治君            結城 安次君            小川 久義君            須藤 五郎君    委員            秋山俊一郎君            岡田 信次君            清澤 俊英君            椿  繁夫君            加賀  操君            田村 文吉君            山川 良一君            油井賢太郎君            水橋 藤作君   政府委員    公益事業委員会    委員     松永安左エ門君    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    公益事業委員会    技術長     平井寛一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       渡邊 一郎君   説明員    建設省河川局長 目黒 清雄君    経済安定本部総    裁官房経済計画    室長      佐々木義武君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電源開発計画に関する件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今より委員会を開会いたします。  本日の電力問題の調査といたしまして電源開発計画に関する件を議題といたします。暫く懇談に入ります。    〔午後一時四十一分懇談会に入る〕    ——————————    〔午後二時五十三分懇談会を終る〕
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは委員会に戻ります。お諮りをいたしますが、次回から電源開発の問題につきまして、今まで御説明を願いましたところによつて問題の所在点も明らかになつたことでありますから、更に研究を続行いたして参りたいと存じます。そこで本日はあと時間がございませんが、今後の研究の続行につきまして御意見がありましたならばあらかじめ伺つて置きたいと存じます。
  4. 結城安次

    結城安次君 私は電源開発ということの根本方針ちよつとお尋ねして置きたいのですが、電源開発、即ち利水の問題ですが、従来の電気業者は大抵はつまり採算によつて、例えばダムを作るにしてもダム建設費とその利用水量というものが、基準になつてダムの高さもすべてが決定したのであります。併し現在の我が国状態はこの河川荒廃というものが甚だしいので、このまま従来のような利水本位電源開発でいいのか悪いのかという問題でありまするが、私はむしろ治水というものを根本基礎とした利水でなければならない。例えて申しますれば、或る川において百メートルのダムが丁度その川の利水基礎から言えば一番いいのだけれども、仮に百二十メートルのダムを作れば、その川の治水というものは非常によくなつて、いわば極端に申しますならば、その上流の水は全部そのダムで貯めて、一年中にコンスタントフローで、オーヴアー・フローがない。これは根本理念でございますが、そういうふうなことが若しできるとしたならば、これはそこまで持つて行つて、川の水を暴れさせないように、完全に利用するというような方面に行くべきじやないかと、これは理想でありまするが、少くとも治水根本とした利水でなければならん。河川荒廃を救うにはどうしてもここへ持つて来なければ行かんのじやないかと思うのでございますが、建設省安本、又公益事業委員会のかたがたの御方針をお伺いいたして、今後の皆様とお話合いの基礎にしたいと思います。
  5. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) この前の委員会のときに申上げた、丁度私の理想の姿をちよつとお話になつて、非常に同感なのでありますが、この前も申上げました通りに、アメリカの例をとりますると、フエデラル・パワー・アクトがありますが、これは公益事業の法律でしよう。それの第一番目に、多目的のダムを優先すべしということになつているのであります。その辺のところは日本でも少し噛みわけて研究して頂かなければならんじやないか、こう思う節があります。アメリカは殆んど河川改修方式ダムによつて先ほどお話コンスタントフローのほうに持つて行くという行き方をとつておりまして、そこで発電に役立つている。御承知通りTVAは三百万キロやつておりますが、その西部のほうにおきまして、TVA以外の官庁といいますか、そのフエデラルのエーゼンシイがある。これは開拓局と陸軍の工兵隊がやつておりますが、これで約三百万キロ近く現在発電しております。もうすでに六百万キロ発電しております。でありますから、これが将来だんだん伸びて行く傾向を持つております。そうしますとアメリカ水力発電の千六百万キロが将来伸びて行くのは、大部分はこういう方法電力が伸びて行くのではないか、こういうふうに考える。殆んど最近におきまして、この十年間に水力発電に関する限りは、民間企業は非常に衰微しておるという事実を申上げて……。
  6. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 安定本部におきましては、御承知のように昨年度から国土総合開発法につきまして、その法の執行の状況といたしまして、今話にありましたように、水の総合利用といつたような問題を中心点といたしまして、目下研究を進めております。今度の電力の開発問題に関しましても、建設省、或いは農林省方面から、今御要望のありました水の総合利用という観点から、電源を開発したらどうかという話がございまして、各省からも同じ御要望が強うございますので、主として特殊会社等でありまする、大きいと申しますか、水の総会利用の点から考えまして、どうしても錯綜した関係を調整しながら、単に電力の面からのみ電力の利潤というか、コストというか、そういう面からのみ考えダム方式じやなくて、もう少し治水利水等を全般的に加味した方策をとつて行きたいというふうに考えて、実は進んでおります。
  7. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 今お話のように、電源開発の問題と、治水利水の問題は非常に関係の深いところでありまして、その間のいろいろ総合調査については考えて行かなければならんことは、十分我々としても考えられますが、併しながら今日の状態におきまして、やはりすべての産業の基盤でありますところの動力源というものについて最重点を置いて考えて行かなければならんということは、今日の我が国自立経済を達成して行く上の一番の根本ではないかと思うのであります。そういう意味で単に治水利水ということについて仮に重点を置いて行くならば、恐らく全国的に言いまして相当方面に散在をして、ダム建設も必要になつて来るのではないかと思いますが、この際折角国費を投じ、相当電源の規模を開発しなければならんという場合におきましては、やはりどういう地点にどういう方法によつて最も効率を挙げてやつて行くか、仕事の上から申しましても或いは資金の用途の上から申しましても、最も効率を挙げて電源開発に必要なダムというものを考えて行くべきじやないか。勿論その際に合せて治水利水等の問題も十分考慮に入れて、できるだけそういうことについての調整もしなければならんということは強く考えるのですが、それをただ治水とか利水ということのみに重点を置いて行きますというと、やはりそこに全国的な、地理的な関係その他から見まして、どうしてもそこに重点的な行き方がどうもむずかしくなつて来るのじやないかというような私どもとしては感じを持つております。そういう意味から申しまして、やはり今度の問題を解決しますためには、大きく電源開発という点から見て、ダム効率その他をどういう工合に又どういう地点考えて行くかということに中心を置いて、それに今申しましたような治水利水の点を十分加味する上においては加味して参つたわけでありますが、その考え方といたしましては、今私どもとしてはお話申しましたような線で考えて行くことが、少くとも現在の日本経済を安定させる上においては必要ではないか、かように考えております。
  8. 結城安次

    結城安次君 只今松田総長の御答弁は、つまり発電動力ということが目下の急務だからこれを本体と考えてのお話でありましたが、併し私ども考えることは、各発電会社の各水源の利用を見ますと、殆んどすべてが利水限度というところでとめているという計画のように思われたのであります。併しそれ以上大きくするということは電力会社としては負担し切れますまい。採算は合わんということがありましようが、併し国の大きな面から見れば、この際は非常な大きく或いは馬鹿らしいというぐらい大きくしてもいいのじやないか。併しその現在の状態においては採算ということは無視できませんので、そのために要する費用はこれは国が背負うべきじやないか、治水費として背負うべきものじやないか。ですから私の考えは、若し例をとりますならば、百メートルが利水限度だ。併し百五十メートルは治水の極致だという場合に、五十メートル上げるためにはダム建設費用は倍以上になりましよう。併し倍以上になりますが、利水の面も又相当利用率がよくなるはずでございますから、その差が或いは仮に百メートルが五十億、百億、百五十メートルが二百億とした場合に、百二十億或いは百三十億を背負う力はそこに出るはずだ。そしてその差の七十億でも八十億でも、或いは治水費なり或いは別の何らの費用で国が負担して行くようにしなければ、今後石炭も或る限度になつている。折角の水をどんどんいわば石炭の代用になるものを捨てる、無駄に流すということは国のためにもなるまいし、治水として各河川に出す治水費は容易ならんもので、一昨昨年におきましては、利根川におきましては一千三百億の水害があつたという。そのときには、国としても何百億或いは千に近い金ぐらいはこのダム建設ということに電力採算以外に放り出してやるべきじやないかということを私は申上げたのでありますが、建設省のほうではそういうお考えだという御答弁がありました。又安本も極くこれに近い御答弁でありましたが、今後この自由党案その他を皆さんが御相談する場合には、この点もやはり頭に置いて御相談願いたいという私の希望を申上げます。
  9. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今結城君の御意見は誰しも御異議ないと思いますから、この委員会におきましてやはり重要問題としまして取上げてみたいと思います。御賛成願いたいと思います。特に御承知かと思いますが、日本の雪の権威者である北大の中谷博士は文芸春秋の十一月号に相当痛烈にこの問題を取上げて警醒しております。中を御覧になりますと、政府も、電気事業者も、土建業者も、とにかく科学者を無視していろいろなことを考えているので、これでは幾らダム作つても忽ちにして埋没してしまう。そしてちつとも治山治水にもならないし、又国費を無駄に使うことであるということで警醒をしておりますが、やはりああいうような権威者がどういう観点に立つてそういうことを考え治山治水をやろうとしているのかというような点も必要だと思いますので、この点は一つ十二分に研究いたしたいと思います。
  10. 古池信三

    ○古池信三君 今の委員長の御発言に関連して私ちよつとお尋ねしたいのですが、成るほど日本ダムはいろいろな理由で、例えば戦時中濫伐したとか或いは砂防工事が必ずしも完全でないとか、いろいろな理由で早く埋没するということがこの頃言われているのですが、併し果してその通りであるかどうか。これは川にもより、地点にもよつて、これは区々まちまちだろうと思うのですが、併し今後やはり我が国水力地点というものは、国の割合には非常に多いと言いながら、やはり限定されているわけですから、これを開発する上においては相当こういう点も十分に留意をしてやらなければならん問題だと思うのです。それでこれに対して政府としては相当調査がなされているかどうか。その調査の結果はどうであるかということについてお尋ねをいたしたい。若し現在そういう調査がないということであれば、至急これは調査をすべきではないかということを考えているのであります。御答弁は今日は時間がないそうでありますから、次回に留保いたします。次回に御答弁を願いたいと思います。
  11. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 中谷先生お話が問題になつておりますので、一言弁明といいますか、中谷先生には……。
  12. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それならば、いずれこの委員会只今結城委員の御意見で取上げることになりましたから、その機会に一つお譲り願いたいと思います。
  13. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 私はその調査の資料を持つておりますからあとで……。
  14. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 本日の委員会はこれで散会いたします。    午後三時九分散会