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説明員(
佐々木義武君)
委員長から
お話のありました
質問の点に関しましては、順序が若干相違しておりますが、お手許に差上げてあります緊急
電源開発計画要綱というのがありますが、これに大体洩れなく載
つておりますので、これを簡単に御
説明したほうが便宜かと存じます。先ほど
委員長から
お話がありましたように、電源の開発に関しましては、
公益事業委員会のほうは主として
電力会社を主体にし、通産省のほうは自家
発電を、建設省、農林省の方面では公共事業費或いは地方起債等を中心としましたそれぞれの
計画を持
つております。そのほか運輸省といたしましては、鉄道電化の
関係上、
電力の開発の
計画を持
つておりますので、
関係各省のそれぞれの案を一応安定本部といたしましては一定の方針に従いまして
事情をよくお聞きしまして、それを一応国の資力その他の
関係から勘案しまして策定しましたのが、この関発要綱であります。併しながらこの開発要綱は、未だ各省との最終的な打合せというところまでは行
つておりません。同時に
従つて経済閣僚懇談会或いは閣議等で未だ決定という段階には至
つておりません。同時にそういう状況でございますので、この案を総司令部等に直接折衝をいたすという段階には到底まだ至
つておらない次第でございます。従いまして見出しにもありますように、試案という括弧付きの標題が付いておりますが、全くのまだ試案の段階を出ておりませんので、そのおつもりでお聞きとり願いたいと思います。方針に関しましては一応省略申上げます。
次に
計画の大要でありますが、電源の開発の目標は、なかなか
需用面を想定するということは非常に困難なことでございますので、これが確定した
需用だというふうに断言するわけにはなかなか参らんのでございますが、安定本部といたしましては、取りあえず現在昨年度の国民の生活水準を基礎にいたしまして、これを逐年合理的に上昇するという一定のカーヴを基礎といたしましてそれに現在の未稼動の設備を合理的に、フルに動かした場合には、大体どういう
需用想定になるだろうかとい
つたような観点を主にいたしまして、
昭和三十一年度を一応の目安にいたしまして、
電力の
需用量を睨みました産業構成から割出したわけなんでございます。その結果三十年の末までに
電力の
需用量は、四百六十億
キロワツトアワーというものほどうしても確保しなければならんというふうな想定に立
つております。次にこの
電源開発は第一期、第二期というふうに大別いたしまして、第一期の分は今までそれぞれのさつき申しました
関係箇所で継続工事としてや
つておりますものは、逐次これを早めまして完成する必要がございますので、先ずこれを第一に挙げまして、次に今年度、
昭和二十六年度並びに二十七年度、来年度に着工する
予定分を第一期といたしまして、第二期といたしましては、二十八年度以降に着工する分というように分けて
計画を作
つております。そうしてこの第一期の分といたしましては、
昭和二十七年度、来年の末までに大体着手が可能であ
つて、而も地点としても非常に適当だというものを選びまして、その第一期の
計画に完成の主力を注いだらどうだろうというふうに考えております。第二期の
計画といたしましては、二十八年度以降に着手する分でありまして、現在開発点、或いは着手準備等、まだ不明確なものが
相当ございまするので、第二期の分に関しましては、現実の経済の推移等に応じまして、開発の規模或いは着工地点等を更に検討を深めた結果組みたい、こういうふうに考えております。
それから開発資金でございますが、開発資金といたしましては、企業の自己資金の調達は勿論でございますが、主として政府資金といたしましては、
電力会社のほうに関しましては、従来見返資金から出しておりますので、その面を考え、それから自家
発電に関しましては、日本開発銀行から出しておりますので、従来
通りその方針をと
つてございます。その他建設省
関係或いは農林省
関係の公共事業費、或いは資金運用部資金等で出しております従来のルートはそのまま踏襲いたしまして、この面は極力従来の線を崩さずに強化して行きたいというように考える一方、更に従来のそういう投入の
方法を以てしては、とても水全般の総合的な処理と申しますか、或いは大規模な
電源開発というものがなかなか困難でございまするので、ほかに適当な機関を新設いたしまして、その機関に一般会計或いは資金運用部資金等から新たなる資金の投入の
方法を考えまして、新規の機関で以てその大電源の開発を並行的にや
つて行
つたらどうだろうかというような一応の考えでございます。作業の途中で取りあえず第一期といたしましては、急いでやる
関係上、水
火力併用の
方法を以て策案したのでございますが、三十年以降ぐらいになりますと、どうしても
石炭の面で
相当の行詰りが生じまするので、長期に亘
つてその後の日本の動力資源というものを如何にすべきかという問題になりますると、どうしても現在から長期の建設を要します大電源の開発も並行的にやりませんと、三十一年以降ぐらいの日本の鉱工業というものは持
つて行けんような計算になりますので、先ほど申上げましたように、新らしい機関を作
つて、そういう機関で大きい電源関発をや
つたらどうだろう、こういうような想定にな
つております。そういたしまして
計画いたしました電源の関発
計画の概要は次の表にございます
通り、第一期
計画といたしましては、事業用、自家
発電合せまして、事業用の中には
電気事業、或いは公営事業、と申しますのは先ほど申上げました建設省或いは県営でや
つて今
計画して一部実施に移
つておるものでございますが、そのほか先ほど申しましたような特殊法人というものを考えましてそれを全部合わしたものでございますが、それと自家
発電と合せまして、
出力といたしましては四百二十六万キロワツト、それから所要資金といたしましては四千四百七十五億というように策定してございます。第二期の分は先ほど申上げましたように、二十八年度以降着手するものでございまして、これは自家
発電のほうはまだ
計画としては十分二十八年度以降のものは練れておりませんので、取りあえず事業用の分だけを載せてございますが、
出力といたしましては百八十五万キロワツト、所要資金といたしましては二千七百一億円というふうにな
つております。両方合せまして
出力といたしまして六百十二万キロワツト、所要資金といたしましては、七千百七十六億円というふうに作
つてございます。
次に措置でございますが、こうした
計画をどうして実行するのかという問題でございますが、第二番の点は、開発形態の問題で、ございまして先ほど
委員長から
お話になりました担当者というのは、恐らくこのことじやなかろうかと思いますが、開発主体といたしましては従来の民営
電気事業者、或いは自家
発電をいたしております一般私企業、並びに地方公共団体等既存の企業体の分は極力有効適切な活用
方法を考えまして、これを強化して行くという線は勿論変らないのでありますが、特に大規模特定地点で、特に立地等が総合開発の効果の大きいと思われるような地点に関しましては、先ほど申しましたように新たに特殊法人というものを設立いたしまして、これによ
つて開発を考慮したい、こういうふうに考えてございます。
それから次は資金対策でございますが、資金対策に関しましては、電源の開発資金は非常に長期に、而も多額に亘りますので、インフレ等に対する
影響も十分考慮して投下を図らねばなりませんので、そういう点も総合資金需給
計画といたしまして考慮しつつ、この
電源開発の資金を確実に確保したいというふうに
計画を立ててございます。
従つて電源開発資金の調達に当りましては、極力民間資金の活用を図るということは勿論でございますが、早期に、主として来年度等に主力を置きまして巨額の資金を確保しようといたしますと、どうしても政府資金に
相当強力な出資を仰ぎませんと、そういう開発
計画は実行不可能になる慮れがございますので、先ほど申しましたような見返資金、或いは日本開発銀行資金等の政府資金を重点的にこれに投ずるというばかりでなく、従来ありませんでした一般会計或いは一部資金運用部資金等の出資ということも考えながら、この
計画の資金的な裏付けといたしたい、こういうふうに考えてございます。資金対策の主たる内容といたしましては、次に五項ばかり掲げて書いてございますが、第一といたしましては資金を極力電源の開発対策に確保し得るように措置いたし嘉して、
従つて他部門との調整等も
相当考慮しながら、この部面からの投資によ
つて、摩擦を醸し出さないようにや
つて行きたいという面が第一でございます。第二点といたしましては
電力債とい
つたようなものを、新らしく考えてみたらどうだろう、こういう問題に対して或いは政府保証等の措置をも同時に考えざるを得ないのではないかというふうに考えておるのでございます。それから三番目といたしましては、先ほ
ども申しましたように、特殊法人というものを新たに作りまして、これに対しては一般会計、或いは資金運用部資金等から一部出資をしたら如何かというふうに立案してございます。四番目は、長期而も継続的に資金を出さざるを得ない
関係上、途中で資金の量その他に上げ下げがあ
つては非常に工事その他に差支えがございますので、何とかして継続的な投資を確保するような
方法というものが考えられないものだろうか、というので、この点もそういう意図に沿い得るように目下考慮中でございます。それから日本開発銀行の資金は従来
通り自家
発電に重点的に投資したいという考えでございます。そういう考えを基礎にいたしまして、資金の需給
計画を立案してございますが、所要資金といたしましては先ほど申上げました
通りでございましてその民間資金と政府資金の内訳は最後の表にある
通りでございます。
次は資材対策でございますが、所要資材量に関しましてはまだ十分案は練れておりません。従いまして極くラウンド・ナンバーで弾いた
数字でございますが、大体先ほど申しましたような
計画を毎年実行いたしますというと、セメント百万トン、鋼材二十万トン、電気銅、これはアルミによる一部代替を含んでございますが、二万トン前後を必要とするように考えられます。或いはこれより若干上廻る
数字が出て来るのじやなかろうかと思いますが、この問題に関しましては特に電気銅或いはセメント等に関しまして、若干今までと違
つた施策というものが考えられる必要があるのではなかろうかというふうにも考えております。
最後に
関係機関の協力の問題でありまして、主として水の管理の問題等に関しましてはどういうふうな
関係を各省と結びながら円満にこれを解決して行くかとい
つたような問題、或いはこういう
電源開発に必要な道路或いは土地改良、水浸補償等の諸問題に関しましてもそれぞれ
関係する箇所が非常に多うございますので、こういう
計画の遂行に伴
つて、それを達成するがごとく各省の協力も得ながら実施したい、こういうのが最後の項でございます。
大体以上が案の概要でございまして、特にこの開発主体の問題、或いは資金
計画の問題、或いは最後の水の管理を如何にすべきかという問題に関しましては、目下各省とそれぞれ折衝中でございまして、まだ当初に申上げましたように、最後的な決定には至
つておらんのであります。大体以上で
説明を終ります。