○
参考人(島田兵蔵君) 私中国
電力の島田でございます。よろしく
お願いします。本日こちらにお招きを頂きまして現在の
電力事情又将来につきまするいろいろの諸問題を
お話をさして頂く機会を頂きましたことを私
ども厚くお礼を申上げます。
いろいろこの度の
渇水につきましては一般の
需用家の
かたがたにも大変御迷惑をおかけいたしまして、この点私
ども誠に申訳がないと
考えておるわけであります。
この
対策につきましては、特殊な
渇水は別でありますが、現在の
電力事情から
考えましているく将来に対する
計画も立てて、成るべく早くそれを実行に移したい、こういうふうに
考えておるわけであります。
これから中国の事情或いは将来の
計画につきまして
お話を申上げたいと思います。御通知によりまして実は四十分ぐらいというお言葉でありましたので、余り数字的に書きますと却
つて煩雑でありますので大体図表にして参
つておりますので順予といたしまして中国地方の
電力事情というのを先ず御覧を頂きまして、この中国地方のこの度の
渇水或いは現在の事情がどう
なつているかということを
お話申上げまして御質問の筋に移りたいと
考えております。
中国地方の
電力事情(説明資料)とありまする図表を一つ御覧を願いたいと思います。第一表は、
電力の減少いたしました
状況を八月以降九月の中旬までの時日におきまするカーブでありまするが、中国
地区といたしましては、七月は先ほど
関西の太田垣
社長から
お話がありましたようにやはり豊水でありまして、別に制限等いたしませんで供給を続けて参
つたのでありますが、八月に入りましてから水が枯れ出しましてこの図表にございますように八月の中旬には一四%ほど
供給力が足りなく
なつて、下旬には五%、九月の上旬には一二%、九月の中旬が大体一八・五%、九月の下旬が二六%、十月上旬が三一%、それから十月中旬とありまして、そこに大体二四%ぐらいのところがあるのでありまするが、十月の十四日にルース台風が参りまして、十日
平均でありまするというとそういう
程度に下るわけであります。この図表でおわかりになりますように一応八月の中旬まで雨がありませんで、中旬から下旬にかけまして少し雨があ
つたのでありますが、八月下旬以後は十月の十四日の台風が参りますまでは殆んど雨がなか
つたような
状態であります。
次に第二表に参りますが、こういうような
供給力の不足に対しまして
当社といたしまして打ちました手は、八月の五日から自社の
事業用電力の使用自粛、これは常にこういうような
気持で従業員にはやらせておるのでありますが、特に一般の消費を節約し、又制限をするような段階でありますので、特に自粛をいたさせたわけであります。それが五日から現在まで続いておるのであります。それから啓蒙宣伝によります昼間の消灯、使用禁止
需用、一家一灯と申しますような成るべく一つ電灯で御辛抱願いたいというような啓蒙もや
つたのであります。これは九月に入りまして九月の二十日からや
つたわけであります。それから深夜
電圧の低下、深夜は大体にどの御家庭におきましてもたくさんつけてはおいでにならないのでありまするが、その使用目的がただ或る
程度の明りを保つというふうな関係もありますので、こういうふうな逼迫しました時期にこういうこともや
つたのでございます。その次が単相送電、ホタル送電とも申しますのですが、そういうことも実は深夜或いは初夜或いは早朝等に分けまして九月の特に悪か
つた時代は行な
つたのであります。その次が停電日の設定、それからリレー式の停電深夜停電、それから
大口乙の制限、これは告示によるもの、それから自主的のもの、これは自主的と書いてありますのは、告示によります制限ではまだ
電力が不足いたしますので、特に
需用家に
お願いいたしまして、更に御協力を願
つた時でございます。それから自家用
発電の動員、これは東洋紡の岩国の
火力、鐘紡の防府の
火力、帝人の岩国の
工場、帝人の三原、協和醗酵、東洋ソーダ、宇部セメント、こういうふうな七
会社に御協力を願いまして、自家用の動員をいたしたわけであります。動員の対象となりました
会社の認可
出力、可能
発電力、動員可能の
平均電力というのは、その表にありますように認可
出力は五万八千キロへ七箇所の
会社でありまして、この可能
発電力は三万五千三百四十、動員可能の
平均電力は一万三千百キロ、こういうふうな
状態であ
つたのであります。八月分といたしましては、三百二十五万一千百八十八
キロワツト・アワーの
電力を頂きます。九月分では大体三百万
キロワツト・アワーほどの
電力を御援助願
つたわけであります。十月は月末としてまだ統計がとれておりませんので、十月分はこの表に載せることができませんでした。
それからその次に第三の表でありますが、自然流量、川の水はどういうふうに動いたのか、これは十日
平均で出したのでありますが、点線の分が昭和二十四
年度であります。それから二十五
年度の分はつうちよんとい
つたやはり斜線であります。それから実線が昭和二十六
年度で、この実線を御覧頂きますとわかるのでありますが、七月は非常に水が出ておりまして、大体七月の中旬で設備の三十二万キロほど
水力があるのでありますが、大体一ぱい出ました、それから雨がありませんで、ずつと減りまして、八月の上旬の終りには十万キロ
程度に減
つて参りました。それからずつと雨がありません。これは十日
平均と申しまするか、極くひどいときには五万キロを割りまして、四万七、八千くらいの日があ
つたのであります。それから十月の十四日にルース台風が参りまして、このカーブで御覧になりますとわかりますように二十万キロほどに中旬の
平均が
なつている。こういうふうなわけであります。
第四表を御覧頂きます。第四表は貯水がどういうふうに変
つたかというのを昭和二十四年、五年、六年のものを書いて見たんでありまするが、極く薄く見えます点線が昭和二十四
年度であります。で下に高暮貯水路が落成いたしましたのが昭和二十四年の十二月二十日、貯水量が千七百九十三万
キロワツト・アワー、こう
なつておるのであります。昭和二十四年のカーブを見ますると、大体に九月の上旬におきまして相当減
つております。それから十一月、十二月が可なり減りまして、二千万
キロワツト程度に下
つております。ところが昭和二十五年は
増加でありまして、この十月、十一月、十二月は非常に水が多か
つた。本
年度を見ますというと七月の中旬これは今貯水が一ぱいであ
つたのでありまするが、その後雨がありませんで、ずつとそれを使いまして九月の二十日前後には四百十二万トン、即ち一割以下に貯水が落ちてしま
つたのであります。それから十月の十四日あの台風によりまして非常に少いところのものが四千九十六万、大体に全貯水量の八割
程度に戻
つたというのが現在の貯水の
状況でございます。
その次の五の発
受電の実績、これは昭和二十三年から二十六年までと
つておるのでありまするが、大体に私の
地区といたしましては常に普通の
状態でありますと、大体
火力は常に入
つておるのであります。この表で御覧を願えるとわかるのでありますが、昭和二十三
年度におきましても二月それから二十四
年度におきまして一月から三月まで二十五
年度におきましても十二月から三月までは零から下へこの
地帯間
融通が行
なつておるのでありまするが、これは他所の
地区へ送
つているものでございます。さようにいたしまして、この図表のトータルを御覧願いますと一番上の線でございますが、昭和二十四年の八月乃至九月を境といたしまして、大体の負荷が非常に殖えて参りましてこれは朝鮮の問題以後の傾向でありますが、非常に殖えて参
つておるのであります、それは昭和二十六年の七月以降、即ち八月以降になりますというと、御
承知のようにこの度の
渇水がありましたので
水力のカーブも極端に下りまして、これを
火力を以て補
つて来たとこういうふうな
実情であります。昭和二十五年におきまして十一月から翌年の三月までは
火力を相当焚いておりまするが、これは他社への送電のために焚いたものでございます。
それから第六表を御覧を頂きます。これは
電力用炭受入れ消費及び
貯炭の実績を昭和二十五
年度から六
年度について図に示したものでありまするが、
貯炭を御覧頂きますと非常によくわかるのでございまするが、この昭和二十五年の四月には
貯炭が十一万三千六百四十六トンあ
つたのでありまするが、このカーブの終いの二十六年の九月の末には一万六千百七十トンに減
つておるのであります。それで日発と分れまして、この度新らしく中国
電力ができました当時の
貯炭はこの図で御覧になるとわかるのでありますが、五万トンあ
つたのであります。ところが八月以降の
渇水に
石炭をたくさん焚きましたために、
貯炭がこのように減
つたわけでございます。それでは
貯炭はどう
なつただろう、
石炭が入
つてないのじやないか、こういうふうにお
考えになると思うのでありますが、入炭のほうも可なり入
つておりまして、この昭和二十五
年度のカーブと六年について御覧を頂きますというとわかるのでありまするが、七月以降の
渇水以来当
地区としては比較的用意が浅うございまして、
水力は枯れ勝でありますので、どうしても
石炭に依存しなければなりませんので、非常な
努力をいたしまして
石炭を獲得いたしましたわけであります。八月、九月はかなり入
つておるのであります。昨年あたりの例を見ましても今年のほうがはるかに
石炭の入りました量も多いわけであります。消費の面、点線の
部分を御覧を願いますと先ほど申上げました昨年の十一月から本年の二月まではかなり
石炭を焚いております。焚いておりますが、このときには
水力も相当ありましてそうしてなお
石炭を焚いて外へ
電力を送
つた結果であります。併し本年の八月以降におきまする
貯炭を使いましたのは、大体によそへ送
つたのではなくて
自分のところの消費を補充する、そういう意味でできるだけの
石炭を焚いたのでありまするけれ
ども、やはり
渇水のため、そういたしましても大きな制限をして一般の
かたがた非常に御迷惑をおかけした結果にな
つたのでありますが、それで二十六
年度のその次の七の図表を御覧頂きますと、本年の
石炭の使用及び消費及び今日までの実績と将来の
計画がそこに図示してあるのでありますが、先ほど
関西の太田垣
社長からも
お話がありましたのでありますが、本年の
電力用炭は六百三十万トン、それから
当社分が八十二万七千百トンとこう
なつております。同時に大体今年の
石炭が六百三十万トンで足りるのか足りないのかという議論がありまして、六百三十万トンという
石炭は殆んどとにかく獲得することができないだろうという
意見もあります。又司令部あたりでは七百五十万トンないと今年は足りないだろうという御
意見もあ
つたのであります。
当社の
計画といたしましては上期に三十五万八千五百トンというふうな
計画であ
つたのでありますが、実績は四十四万六千三百五十七トン得たのであります。それでこれは大体に八万三千トンほどの超過というものがあります。この調子で行きますというと、これを月割に大体五カ年
平均の
電力で何月にはいくら要るかというふうな予想を立てまして、その累計を書いておるのでありますが、
当社といたしましては宇部炭田がありまして、宇部炭が多いのであります。
九州炭はそこにございますように三六%、宇部炭が六四%こういうふうな
程度に入
つておるのでありますが、本年は大体に八十二万七千トンという予想が百万トンを越すのだというふうに今では
考えております。恐らくこういうことは実現してもらいますことは好みませんけれ
ども、現在の水或いは現在の負荷の
状況から申しますとどうしても百万トンを越すように私
ども考えて、この
石炭を入手いたすよう
努力をいたしておるのであります。
それから八の図表を御覧願いたいと思います。八の図表の第三水曜日と書いてありますほうの図表は、七月十八日の第三水曜でありまして、大体にその月のロード・カーブをとります場合には、大体第三水曜をと
つておるのが例であります。これで御覧を願いますというと、太い線が総
需用、その日にかかります
需用の
状態であります。零時から二十四時まであるのでありますが、深夜が大体に二十五万キロくらい、これは七月でありまして、実は荷の少いときでありますが、多いときこれから冬にかけますと四十二万乃至多い日は四十五万くらいかかるのであります。これはこの細い線はそれは
水力でありまして、これは下のほうを御覧願いますとゼロのところからマイナス五というところがあるのでありますが、そのゼロから下の大
部分は
水力を
自分のところの負荷で消費しきれない、要するに余りますとよその
地区に出ております。それから点線の分は
自分のところの
水力だけで足りませんので、
火力を焚いて補
つておる。これは本年の七月十八日の
需給の
状態でございます。それから十月の十日とありますこれは第二水曜日とありまするが、大体は第三水曜日をとるのが普通でありまするけれ
ども、制限をいたしておりました第二水曜をと
つたわけであります。第三水曜になりまするというと、ルース台風が参りまして流量が殖えまして自流が一ぱいになりましたために、この第二水曜日をと
つて比較したわけであります。これを見ますると
水力は非常に下のように
なつておりまして、この先ほど申しましたように五万キロを割
つている日があるのでございます。それで昼の九時から十二時まで、これは余計出ておりますのは、それから十八時以後の夜間のピークに対しまするものは、
調整して水を出しておるわけであります。でこの図と第三水曜日即ち七月十八日の図面それから十月の十日の図面を重ねまして大きな線と大きな線との間が制限をしておる
電力とすべてお
考え下さればかなり強いての制限をしなければ持たないということがこれではつきりおわかりになることと存じます。
それから最後の
あと二枚残
つております。ついでに
お話し申上げておきますが、これは中国
電力の
電源拡充
計画、
あとで御説明申上げまするが、大体に二十六
年度、七、八、九、三十、三十一年とこういうような順をおいて既設の
水力、これは
平均水量を六
年間の
平均水量をと
つて作
つたものでありますが、現在制限をいたしませんと大体に昭和二十六
年度で二十七億
キロワツト・アワーくらい要るのであります。それから昭和二十七年が三十億
キロワツト・アワー少し出る。二十八年になりますと大体に三十三億
キロワツト・アワーくらいになりまして、それが順次殖えまして三十一年には四十一億五千万
キロワツト・アワーくらいになる
予定であります。それでとれは先ほど
関西の太田垣
社長から
お話がありましたように、
需用の増を可なり厳密に調べまして、大きな
工場はその
工場の
計画等も十分考慮し、又建設規模に対しまする
電力量等も
考えまして、可なり慎重にや
つたものであります。既設の
水力、既設の
火力、新設
水力、
受電、
融通等を重ね合せましても、現在のところ可なり足らないのであります。年を逐
つてこの昭和二十八年頃までは足らなくなるのでありますが、今かか
つておりまするもの、これからかかろうとしておりまする
水力の
発電所、或いは
火力は、でき上ります。即ち五カ年
計画が大体完成します三十一年には、大体
需給が
バランスするとこういうふうな予想で五カ年
計画を立てたわけであります。
それから十頁を御覧頂きますというと、拡充
計画の五カ年
計画は三十一年の終りにできますから、三十二年から
発電所としては使えるわけであります。それを累積した表であります。三十二年には百二十五万六千九十一
キロワツト、水火を併せましてこういうふうにしたい
計画であるのであります。
大体以上申上げましたことが今度の
渇水に対しまする中国
電力の
状態、それにつきまする
会社のとりました
措置等でありますが、
委員会のほうから御質問がありました点につきまして「
参議院電力問題に関する特別
委員会への説明資料」というのを御覧願いますと、今後の
電力危機に対しまする
電源方策といたしましてはいずれにいたしましても
発電力が絶対に足らないのでありまするから、どうしても
電源の拡充をやらなければならない、即ち
発電所の
開発をやらなければいけないことは申すまでもないのでありまして、この次に御説明を別に申上げたいと思います。
それから「建設
工事中の
発電所の工期短縮並びに
計画地点の早期
着工」等につきましては、現在当
地区といたしましては新湯村の
発電所というのがありまするが、これは来月の四日に水を通しまして来月の十五日には運転に入りたいと
考えております。その次に森原という
発電所があります。これは来年の七月完成
予定でありまするが、これも二ヵ月くらい工期を繰上げまして成るべく早く、この
危機に一日も早くこれを利用したい、こう
考えておるわけであります。その
水力発電所につきましては、実はこの新湯村の
発電所と申しますのは、非常に土工の進行中、即ち掘鑿中に水が出まして、非常に困難を極めたのでありますが、大体完成
予定日になります本月末に完成させたい、こう思
つておりましたのでありますが、少し遅れまして十五日には完成の
見込みであります。これは八千五百十キロです。森原のほうは六千三百キロでありまして、これは二ヵ月間ほど工期を短縮いたしたい、こう
考えております。それから明塚の
地点があります。これは二万五千キロでありますが、これはもう請負もきまりまして近々
工事に着手いたす
予定であります。工期は二ヵ
年間でありまするが、これも成るべく早く完成させまして二十八年の暮の重負荷期には運転ができるようにしたいと
努力するつもりであります。長門峡
地点、これは山口県でありますが、これもすべての準備が終
つておりまして、できるだけ早く
工事にかかりたい、こういうふうに
考えております。なお明
年度着工の
予定であります。それからこれは岡山県でありますが、湯原
地点の五万三百、これも大体二十七
年度の
計画だ
つたのでありますが、少しでも早く
工事にかかりこの完成をみたい、こう
考えまして本
年度からかかることに大体私
どもは方針をきめておるのであります。この
地点を急ぎます理由は、現在中国
電力の貯水容量は五千二百万ほどでありますが、この湯原の
発電所は四千五百万ばかりの貯水が
キロワツト・アワーにいたしましてできますので、これができまするというと貯水量が約倍になる、こういう
考えでこれを急ぐわけでございます。これらの各
地点はいずれも
工事の機械化を図りまして数カ月の工期を縮めたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。
火力発電所につきましては山口県の低質炭、これを使いまして小野田
発電所の現在の三万キロ二台のところを更にもう一台を増設したい、こういう
考えを持
つておりまして、着々諸準備を整えております。又既設の、これは岡山県にあるのでありますが、三幅の
発電所、これはボイラーを一躍据えますと二万五千キロ
出力が殖えます。ピークにおいて二万五千キロ殖えますことは今の時代におきましては非常に必要でありますので、
資金の
見通しがつきますればこれも着手をしたい、こう
考えておるのであります。
(三)は「重油燃料使用
計画」、これは先ほど
関西さんでも
お話があ
つたのでありますが、非常に最近
石炭事情が悪いのでありまして、特に炭質も下
つておりまして、非常にこの
発電所を運転をいたしますものは困りますので、できるだけ一つほかのものも焚ける、そうして
石炭の使用を減らそう、こういう
考えから混焼装置をつけるということを具体的に
考えておるのであります。これはいろいろもう機械も或る
程度注文いたしまして、そういうふうなことを進めております。なお坂の
発電所、これにも同様な装置をつける、こういうふうな
計画を進めておるわけであります。
四番目の「
火力用燃料の買付手配」、現在特に問題に
なつておりまする燃料の買付のことにつきましては、この項の
あとの分にございますので、その点で申上げたいと思います。
なお次に(五)の「
自家用火力発電動員」、これは先ほど
需用のところで
お話し申上げたのでありまするが、当
地区といたしましては、大体先ほど申上げました七カ所のほかには、大体あるのは幾分小さいのがあるのでありまするけれ
ども、動員できるような
状態に
なつておらないのであります。先ほど申上げました七カ所で可能
出力は三万五千三百四十キロであります。そのうち動員可能の
電力は一万三千キロでございます。本年におきましてこの一万三千キロの動員を願いまして非常に私
どもは助か
つたわけでありまして、将来におきましてもできるだけその自家用を
お願いいたしまして、動員を
お願いする
考えでおるのであります。
その次は「既設
発電所の
出力回復
計画」、これは水路の漏水とか、或いはランナーの摩滅、こういう問題をよく
調査いたしまして、これを水路の漏水はとめる、又ランナーの摩滅いたしましたものはこれを早期に取り替えまして、なるべく一キロでも多くこの
発電量を増すという
計画を立てておるのであります。本年におきましては二百六十万
キロワツト・アワー
程度のものを
増加し得ると
考えておるのであります。
その次は、損失
電力の
軽減対策でありまするが、これは非常に問題に
なつておる項目でありまして、私
どもこれにつきましても非常に関心を以ていろいろ研究をいたしておるわけであります。送
配電線の
電力損失というものは、戦前に比しまして
需用構成が変りまして、こういう関係がかなり多く響いておるのでありまして、それに
需用の
増加、又設備の劣化等のためにも相当この
電力損失は増しておる
状態であります。中国
電力といたしましては、二十六
年度に
キロワツト・アワーにいたしまして四千九百万
キロワツト程度の
ロスが減りますように
電力の軽減
工事を現在施行中であります。二十五
年度の損失実績は擅用を含めまして三一・二二%、これを三十
年度におきましては二六・八%
程度に下げたい、こういうふうな
計画を立てまして着々ごの問題も実行に移しておるのであります。この
ロスの問題は、日本の
ロスと称しますのは、
発電所のステーシヨン・サービス、或いは擅用等が入
つておりますので、ちよつと見ますとかなり多く見えるのでありますが、これを減らしますことは擅用を減らすということも一つの手段にもなるのでありまして、又ステーシヨン・サービスというものを別に
考えるという
考え方もないのではないのでありまして、ただこの数字が大きいから非常に外国の
状態よりも悪いんだということであるのでありまするが、そういう点を細かく分析いたしますれば、それほど極端に大きいことは実は私
ども考えておらないのであります。大体
電力損失は
当社といたしましてはそういうふうに
考えておるのであります。
それから二の
電力相互融通に関しまする
意見を申上げますると、
地帯間
相互融通の上期におきまする実績を申上げますると、中国の異常
渇水でありましたために
九州から頂きました
受電は、
契約受電量が八百八十万
キロワツト・アワーでありましたものを千三百三十万
キロワツト・アワー頂いておるのであります。それから送電
契約の
電力量は三千二百三十万
キロワツト・アワーであ
つたのでありますが、それは三千二百五十万
キロワツト・アワーを送
つておるのであります。又
関西からの
受電の
契約は八千八百四十万
キロワツト・アワーに対しまして九千二百八十万
キロワツト・アワー、送電は五百万
キロワツト・アワーに対しまして三百八十万
キロワツト・アワー、上期の実績はこういうような
状態であります。
本年下期におきましては、平水を仮定しまして、なお且つ
火力発電が完全稼動されたと仮定いたしましても、全国的には数%の
電力不足が予想されるのでありますが、上期の実績から見まして
出水状態がこれよりも一層悪くなるであろう、というようなことが
考えられるのであります。この間に処しまして
会社間におきまする
電力融通は現在では非常に困難となるものと想像されるのであります。これに対しまして各
会社間におきましては、
融通電力量をどうするかという問題について非常に真剣に
考えておりまして、上期までは
考えておりませんでした
出水率にスライドせしめる、こういうことを一応
考えまして
融通操作の円滑を期せんとする
契約が現在話を進めておる
状態であります。なお
電力制限実施の場合に
各社間の制限率を成るべく均等化する、即ち甲の
会社が制限をしないのであるが、隣の
会社が極端に制限をする、こういうようなことは成るべく避けたい、こういうようなことも
考えまして、
隣接地域の
電力事情を極端に悪くしないというような処置も
考えておるわけであります。
なお(二)の非常事態におまきする給電連絡会議の組織及び運用の強化、こういう問題につきましても非常に実は
各社間でこの問題につきまして心配をいたしておりまして、円滑を図るための組織或いは運用の強化策、又給電連絡会議につきましては
各社の給電部の部長であるとか、又はその代務者を出しまして、下期を通じまして大体に
東京におることにする、そういうような方針でおるのであります。なおその
責任も
会社の重役さんにその
責任を負
つてもらう、こういうふうな
考えを以ちまして定時或いは不定時に随時に参集をいたしまして給電連絡会議を指導するというような方針を立てておるわけであります。
なお、給電連絡会議の附属機関でありまする中央給電連絡所の人員は現在四十一名であるのでありますが、これも十名増しまして、その設備等も整備する、こういう
計画を目下立てまして話を進めているのであります。
その次に三の
火力用燃料の
入手状況及び
見通しについて申上げます。
上期におきましては
需用電力量の
増加と、八月以降の旱魃によりまする異常
渇水のために
水力発電力の減退が非常に甚しか
つたために、
石炭の入手には非常な困難を感じましたが、できるだけこの獲得に
努力を払
つたのであります。先ほど申上げましたように、上期におきましては
計画は三十五万八千五百トンであ
つたのでありまするが、それが約二五%も上廻りまして、四十四万六千五百トンと
なつたわけであります。入手しました量は四十一万二千二百トンでありまして、この差が、即ち
当社の
貯炭が五万トンでありましたものが一万六千数百トンに減
つたわけであります。この所要
石炭の買付に当りましては、
石炭の即ち産出量が不足しているという問題、或いは
石炭の価格の値上り等につきまして、非常にこの
石炭の買入
資金の調達には私
どもは困難をいたしたわけであります。
次に今後の
見通しにつきまして申上げますと、今期の
貯炭は今までにないように少いのでありまして、
需用の
増加又は冬期の
渇水等を十分
考えまして、
火力発電所を高度に運転する、こういうような
考えで
石炭計画を立てたのであります。その買付手配には万全を尽しまして、遺憾のないように
努力を続けているのであります。
最近の買付の手配につきましての、
状況を申上げますと、宇部炭につきましては十月から十二月までの分、これは大体買付
契約を終りまして、従来
通りの即ち上期
通りでありますとしまするというと、大体に一〇〇%入るのではないか。このトン数は十九万トンであります。又
九州炭につきましては、数量の
契約は大体に済んだのでありますが、まだ炭価の
契約はできません。目下交渉中であります。従来からの
状態より見まして、その
見通しは大体八〇%
程度九州炭も入るのではないかと私は
考えております。特に中国
電力といたしましては、日発から引継ぎました当時の実績によりまして、
九州炭については炭坑との直接取引量が非常に少か
つたのでありまして、殊に大手筋との取引量は毎月六千トン
程度でありまして、全消費量の一五%くらいにしか当
つておらなか
つたのであります。中国
電力となりましてからは、できるだけ大手筋の炭を余計入れたい、こう
考えているのであります。幸いに資源庁の斡旋によりまして大手筋の
石炭を
電力方面へ増量の
計画が着々進められておるということを承わ
つておりますが、その増量の
各社別の割当につきましては
石炭の消費量に応じまして分配されるものと私
ども考えておるのでありますが、分配の如何によりましては入炭量に大きく響くのではないかと、こういう心配を私
どもはいたしておるわけであります。
次に中国
電力といたしましては、今期上期におきまして最大の
努力を
石炭買付に払
つたのであります。
石炭の消費量が
予定数量よりも先ほど申上げましたように非常に多く使
つております。下期と同様の
努力を払わなければならないと
考えておるのでありますが、これに対しまする金融の問題、これは当事者といたしまして非常に苦しんでいるのでありまして、これが事態が非常に悪い場合には、即ち
石炭の買付が困難であるために
電力の不足というふうな問題にからま
つて来るのではないか、こういう問題を非常に心配いたしておるわけであります。
それから
電源開発の
現状と今後の
年次計画につきましては別表につきまして御説明申上げます。
五の
電気事業経営上の諸問題につきまして申上げます。
電気事
業者は前の値上のときに積極的な
開発であるとか、或いは設備であるとか、設備の改善、サービスの改善、こういう問題等も
考えまして料金の適正化という問題から七〇%の値上、これを当局へ申請したのでありますが、結果は三割六分二厘の値上を認められまして、本年の八月十三日から実施されておるのであります。かような
状態であるのでありますが、次のような原因によりまして収支の均衡を得るということは極めて困難な
状態であるのであります。それを申上げますと、即ち異常
渇水或いは
需用の
増加、
石炭費の
増加値上り、そういうふうな問題、又
火力の動員所要資材の値上り、こういうような問題が非常に大きく、この我々の経営を脅かしておる
状態であります。なおこの度中国
地区におきましてはルース台風が参りまして、これの非常な被害を受けまして、突発的なものでありまするが、こういうものの修繕費に非常に出費が多いのであります。かような
状態でありましてただ単に勿論やらなければならないのでありますが、社内の
合理化ということだけでは解決はできないのでありまして、これは解決の策といたしましては、どうしても料金の適正化ということを
考えなければならないとこういうふうに
考えておる次第であります。なお二番目といたしまして
電源の
開発とか設備の改善、それに要しまする
所要資金、並びに当面の
電力危機突破に必要な
石炭買付
資金等は非常に巨額に上るのでありまして、その調達は
当社が当面しております深刻な問題なのでありまして、これは先ほど来縷々申述べておるところであります。こういう問題につきましてこれの解決策といたしましては、即ち収支の是正のための料金の適正化は勿論お
考えを願わなければならないと思います。次のような事項を必要と
考えておるのであります。
即ち見返
資金であるとか、或いは国家の融資
措置が強力に行われなければなかなか将来の
電気事業というものは経営が困難である。で又
資金の調達を一般金融に求めまする場合におきましても、これを優先的に融資を願いたい。又
渇水とか或いは特別な台風のごとき被害等のあ
つた場合がございます。即ち偶発的の経費に対しても特に何かの融資の
方法が講ぜられたい、こういうふうに
考える次第であります。
大体以上を以て五項につきまして申述べましたが、残りました五カ年
計画を申述べたいと思います。この中国
地区電力拡充五カ年
計画改訂案抜萃というのを御覧願いたいと思います。
この第1表は
電力需用予想表でありまするが、昭和二十四、五年は実績であります。昭和二十六年はこれは予想とありまするが、実績の出ておるところまでは実績は入
つておると思
つております、どこかに書いてあると思いますが……、それから二十七年、八年、九年、三十年、三十一年、こうありまするが、電灯及び
電力の
需用状況を書きまして、それから下に
発電端の換算
電力量と
ロスがその下に書いてあります。大体に先ほど申上げました
ロスも年を逐うて少くするよう
努力いたしておる次第であります。かような構想の下になおその次の二頁のところに2の表に
需給平衡表というのがございます。これが総
需用それからそれに既設新設とありまして他社
受電、
委託発電、合計とあります。それが(B)マイナス(A)というのを(C)といたしまして
地帯間の
融通、それから過不足というのがあります。そこの過不足というのを見て頂きますというと、昭和二十五年は大体に過不足は零でありまして、他社からの
受電或いは
委託発電をや
つて頂きますれば、この制限等なしに済んだというわけであります。昭和二十六年は
キロワツト・アワーにいたしまして一億七千七百万
キロワツトほど足らないのであります。昭和二十七年におきまするというと、五億七千三百五十万
キロワツト・アワー、昭和二十八年におきまして五億四千七百八十万
キロワツト・アワー、昭和二十九年には三億二千七百二十万
キロワツト・アワー、こういうふうな五カ年
計画をや
つて行きましても、今
発電所の
工事にかかりましても、来
年度即ち二十七年、二十八年、二十九
年度には相当に即ち
電力は不足するものと
考えられるのであります。
それから三頁に設備の
計画というのがありまして、こういうふうな
考え方の下に次のすべての五カ年
計画を立てたというわけであります。
水力発電設備新増設
工事というのがあります。(a)の1というのがございますが、御覧を願いますと
継続工事で新湯村、森原それから新規のところで明塚、長門峡、向道、湯原こういうふうに新設
工事の
計画がございます。で
年度別の所要
工事費というと、なおそこに横に線の太いところと割方横に線の細いのがありまするが、太いところは大体
発電所の大きなところでありまして、こういう
工事は
会社といたしましても非常に急がなければならない、この
需給状況から見ますというと急がなければならないものと、こう
考えております。その線の上にこの明塚の例を見ますというと、二十六年の十月に始めて、そうして二十八年の十一月に終ると、こういう
計画であります。昭和二十六
年度におきまする
所要資金が七億四千八百万円、これは二十七年、二十八年と書いてありますが、それは
所要資金をその
年度に書込んだのであります。
それから(a)の2でありますが、これは
水力発電所の設備強化ということでありまして新設でないものでありまして
出力の回復、そういうふうなことをやります問題であります。或いは水路のセクシヨンを大きくする、或いは
発電機だけを、
水力発電機だけを換える、そういうふうなものであります。その次は、損失
電力の軽減
工事その他基礎の小口
工事というのがございます。これも各
年次別にその支出を
考えておるわけであります。それから(b)の1というのに
火力発電設備新増設
工事というのがありますが、小野田の三号機五号罐、六号罐の増設
工事というのを一番早くやる
考え方でおります。即ち昭和二十六
年度からかかりまして、二十八年の八月に完成させたいこう
考えております。なお先ほど申上げましたように、三幅の即ち六号罐七号罐の増設によりまして二万五千キロを多くする。この問題も本
年度にかかりたい、こう
考えております。一番下の小口
工事でございますが、これは現在あります
発電所の七千
キロワツトを松江の
発電所に移設する
工事であります。これも最近
工事にかかる
予定をいたしておるのであります。
それからその(b)の2の
火力発電所設備の強化。これは坂或いは松江という所の附属機械の改良
工事でありまして、それによりまして
出力を
増加させようというのであります。その他というところの小口
工事というところに小野田、宇部、三幅、坂というのがございますが、それもいろいろやはり小さな問題がありまして、それを改造することによりまして少しでも
出力を
増加させよう、こういうふうな
考え方のものであります。
それから(C)の1というところに送電設備
工事が書いてございますですが、これは
発電所の完成に伴いまして送電容量の少い所は
送電線の
電圧を上げるとか、或いは新らしく
送電線を作るという
工事をここに挙げたわけであります。これもここにございますように、
年次別にやりまして、そうして書き上げましてそこに
所要資金も大体に書入れてあるのであります。
それから二枚ほど飛びまして(C)の2の変電設備の
工事というのがございます。これはやはり先ほど申上げましたように、
発電所の新設、或いは
送電線ができますと、地方の事情によりましてやはり変電所の設備を変えて行かなければならないというものもございます。又新らしく変電所を作らなければいけない
地点もありますので、そういう所におきまする変電所の設備の
工事及びその期間、工費等を拾
つたものでございます。