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参考人(安藏彌輔君) 私東京
電力の社長安藏でございます。風邪を引きまして
ちよつと声が聞えにくいと思いますが、お許しをお願いいたします。
先般来
電力不足で諸産業或いは一般の需用者に多大なる御迷惑をかけたことは何とも申訳がないのでございます。この点につきましては如何なるお小言も如何なる御批判も受ける十分な理由があると存じております。又比較的私のほうの
電力事情がよいために各地からいろいろと
融通応援を依頼されましたが、できるだけのことはいたしましたけれ
ども、その至らざるところは誠にこれ又申訳ないと思います。
私
どもの
会社は五月一日再編成に基きまして新発足いたしました。その当時私
どもが建設
工事を引受けたのが群馬県の流川のそばにある箱島という
発電所の二万二千キロと、東京のそばの、川崎のそばにある潮田の
火力発電所の
ボイラーを
増設いたしまして二万キロ増加する、合せまして四万何がしの
工事をお引受けいたしたのであります。
電気の需用というものは大体一割
程度の年々の増加がございます。私
どもが使
つておる
電気が百三十万キロほどでございますから、年々の増加は十五万キロほどあるのが当然でございますにもかかわらず、先ほど申上げました僅か四、五万の増加でございますから、当然
渇水がなくても足らなくなるのは当り前であります。従いまして私
どもは普段からこれを心配いたしまして、できるだけ新規の需用を抑制いたしまして、又私
どもが持
つておりますところの
設備を十分に活用いたしまして、できるだけ一キロでも多く出さなければならない。無駄があ
つてはならない。又無駄に流れるところの水があ
つてはならない。いろいろな
方面に注意をいたしまして
電源の不足を補おうといたしたのでございます。幸いにして五、六、七月に水がたくさんございまして、需用に応じて別に不足がございませんでしたけれ
ども、これに送つた
電気というものは、昨年に比較いたしまして僅かに五%ほど増したに過ぎませんように、私
どもは送ることに注意をしておりましたが、九月頃になりまして
渇水をして参りまして、私
どもは
石炭を焚きまして
火力を十分に動かしてや
つたのでございます。そのときは私
どもが持
つております
火力発電所では不十分でございまして、鉄道省の
火力発電所とか或いは横須賀にあります進駐軍の
発電所を借りまして、これに
石炭を送
つて焚いてもら
つたのでありまして、私
ども需用に応じ或いは他の
電力会社の応援をいたしたのでございます。私
どもは当時他の
電力会社から実は送電をして頂くのでございますけれ
ども、逆にこちらから送るというようなところまでや
つて、何とかや
つたのでございますが、いよいよ十月十日前後行詰りまして、この他地区への送りをだんだん減したのであります。他地区の非常
事態が一層緊迫したために、私
どもも私
ども自身の需用をも
制限いたしまして応援することにな
つたのでございます。こんなわけでして、
只今は雨が降りまして一息ついておりますが、今後の
渇水に会いますとまたまたひどいことが起るのではなかろうかと心配しておるのでございます。先ほど申上げました
通り普段でも手入れを十分にし、ロスの節約をし、あらゆることをや
つて参りました。
只今新潟に中津川
発電所という三万五千キロほどの
発電所があります。これは実はとめたくないのでありますが、将来のことを
考えましてこれをとめまして、約二ヵ月ほど前にとめて
修理をしております。この
渇水で
石炭の要る際に
水力発電所を、而も三万五千キロもあるのを、一日にいたしますと七百トンぐらいの
石炭に相当する
発電所をとめたのでございます。実は痛いのでございますが、止むを得ず覚悟いたしまして六十日間とめまして、やつと昨日できて運転に入つたような次第でございます。かくのごとくいたしまして、冬に対する
渇水に対してはできるだけ安全に送るように
努力しております。私
どもは能率的の運転とか或いはランナーの取替え、溪流の取入れ等にあらゆる手を皆様にや
つて頂いております。それから猪苗代湖の水というものがいつもに比較いたしましてずいぶん下
つております。これは一部には
使い過ぎがございまして、一部は御承知の
通り東北
方面の
渇水がひどかつたために、
数字で見ますと普通の年の雨の降り方の六割しかございませんでした。そんなために猪苗代湖の若干の
使い過ぎと天然の降雨が少なかつたために猪苗代湖の水位が非常に下
つたのであります。
只今ではいつもよりも二メートル近く下
つております。このままで行きますと猪苗代湖の水位は来年の三月二十日頃には全く零になるというような
計算が立ちますので、又
渇水の、非常に惡い場合を考慮いたしまして、これに対する対策を私
どもは
考えております。一方におきまして
石炭はあらゆる手を盡しまして、
予定の
石炭以上に手入れをいたしまして、或いは重油或いは外国炭、いずれ後ほど
燃料について申上げまするが、これらの手入れをいたしましてや
つても、なお且つ三割
程度の不足ではなかろうかと私
どもは心配しているのでございます。幸いにして
渇水がなかつたり、或いはわきの
電力会社から購入いたしますところの
電気が大体
予定通り来るとかしますというと、それほどのひどいことはないと思いまするが、最惡の場合を
考えますというと、三割近くの不足ではなかろうかということを
考えまして、私
どもは今からこれに対する手を打
つております。需用家にお願いいたしまして節約運動をいたしております。使用の合理化をいたしております。勿論私
ども社内においては、
電気の
使い方に対しては、どちらから見ても何らの非難の点がないように社会人として個人として注意をいたし、社内用の
電力のできるだけの節約をいたしております。というふうに結局はお客さんのできるだけの御協力によりましての節約と、私
どもがやる工作とによ
つてこの
危機を切拔けたいと存ずるのでございます。私
どもがロスの節約をどのくらいやつたかと申上げますというと、ここに
ちよつと
数字がございまするが、上期においては四千二百万キロワツトアワーやりました。下期においては四千八百万キロワツトアワーをやるつもりでございます。それでロスの率が青本といいますか、RB、
公益委員会できめたよりも少し下廻るように
なつております。これは私
ども社員があらゆる
方面に
努力した結果であると感謝しているのでございます。
石炭のことは後ほど申上げまするが、
電力融通について何か言えということでございます。私
どもは
電力融通につきましては大体の契約がございます。それによりまして
電力の授受をや
つたのでございまするが、他地区の
状態が悪かつたために私
どもは約束だけのものは無論もらえない、むしろこちらから応援するというような
程度であ
つたのであります。従いまして契約なんかは全く無視しておりまして、契約ではこれこれを送るというにもかかわらず、私
どもにはちつとも来ません、逆にこちらから送る、これも仕方ありません。お互いのことでございます。又私
どもも将来
渇水のときには援助してくれるのでございまするから、そういうことは言
つておりません。又一々そろばんを彈いてもおりません。できるだけ相互いに助けるべく私
どもや
つたのでございますが今後は私
どもも何とかこれを当てにするようなものでなければならない。当てにならないものではとても商売はできませんから当てにしたい。お互いにこれこれまでは何とか、いろいろ方法がございましよう、出水率がいいとか悪いとかいろいろございましようが、これまでは送
つてやろう、これまでは受けようというようなことをいたしたいのでございます。それから普通の場合でございまするというと、お互いの話合いによりまして、甲地区は水が一〇〇パーセント以上出た、他の地区は一〇〇パーセント切れたという場合には、もうお互いにすぐに
機械的に助け合うということは従来もや
つております。これは併し範囲が狭うございます。普通の
豊水、
渇水のときでございまするが、先般のような異常
渇水でございますというとこれは到底できません。この際におきましてはお互いに数日来話合いました結果、或る段段以上の差ができましたときには、これはすぐにやるように、又或る段段に
なつたというときにはお互いに平にしようじやないか、例えて申しますと、一番いい例は九州の門司と下関とこの間に格段の違いがあつたらば、これは何とい
つてもお気の毒であるからこれはすぐに応援しようじやないか。併しながら中国と東京となりますと、これは多少の段階があ
つてもいいじないかというふうな構想の下に、
数字的に今固めようとしているのでございます。又
融通を
考えるときには、無論おのおのの持
つているところの出水率或いは負荷の
制限、
石炭の量、
火力発電量、貯水量等いろいろのものを考慮してきめるべきではないかと思うのでございます。
次は
火力用燃料のことについて
ちよつと申上げます。先ほ
ども申上げました
通り私
どもは
石炭の入手にいろいろと手を盡しております。上期におきましては、私
どもは
予定したところの
石炭以上に入手をいたしました。私
どもが
計画したところの
石炭は、大体十八万トンほど消費する
計画でございました。それに対しまして
石炭を受入れようとして努めたのが三十一万トンでございます。即ちその差額十万トンは
貯炭に向けようとしたのでございますが、実際
石炭のほうは
予定通り入りました。大体三十一万トンの
計画に対して三十万九千トン、一〇〇パーセント入つた。消費のほうはと申しますというと、十七万八千トンでございましたのが三十万トン焚きました。十何万トンも余計に焚きましたために、不幸にして
貯炭が予期の
通りできませんでした。十何万トン
貯炭をしようと思
つたのが十何万トンほど少い。誠にこの点は遺憾でございますが、どうしてこの
石炭を焚いたかと申しますというと、需用が如何に抑制いたしましても五%殖えております。水も相当殖えましたけれ
ども、需用の殖えたことと、他地区のほうへの応援というためでございます。下期におきましては全体を通じまして、私
どもは先般の
電力料金値上げの
計算には、七十二万トンを織込んだのでございます。上期において約二十万トン
使いましたから、下期においては五十二万トンというのが常道でございますが、私
どもはそれでは満足いたしません。普通の方法で五十四万トン
只今買うように手配が、殆んど見込ができましてございますが、これだけでは足りませんので、私
どもはもつともつと焚きたいと存じております。そうして特別に増産のお手伝いをして、二万トンか五万トン余計に頂こうとしております。増産によりまして五万七千トンほど余計に殖やそうとしております。それ以外にインド炭を安本、通産省、資源庁のいろいろの御心配によりまして二万五千トンはできましたのです。更に私
どもは
燃料がだんだん悪くなります、カロリーが低下いたします。従いまして
ボイラーで燃えにくくなりますというので、この燃えにくくなるのを防ぐという方法と、一部は
石炭の補充という意味におきまして重油を二万五千トン頂くことになりまして、
只今すでにこれを燃やしております。そんなわけでして、かれこれ合せますというと七十万トンの見込ができたのでございます。先ほど申上げました、冬に
なつてひどいときには三割くらい減るだろうというときの
石炭は、私
どもが
予定に織込んだ、五十二万トンを予期したのでございますが、それ以上に十八万トンを余計に焚きますから、三割の不足というのはずつと緩和されると存じます。
それから建設
計画について申上げます。お手許に差上げました昭和二十六年度見返
資金工事計画概要というのがございます。それをお開き願いますと、先ず一番上のほうに
水力発電設備として小田切、笹平、三田、幸知、所野第三というのがございます。これはいずれも小さな
水力地点でございます。私
どもは大きいやつをやりたいと念願しておるのでございますが、私
どもの管内には大きいものが、而もとにかくやれるというのが遺憾ながらないのでございます。止むを得ずこんなちつぽくさいものをやるのでございます。これを合せたところで僅かに六万に達しません。五万八千キロに過ぎません。いずれも小さなものでございますが、すでに設計ができまして、先頃このお金がどうかということを心配したのでございます。無論見返
資金は当てになりませんが、この表にある、先ず今年着手するものは全体でこの下期、来年の三月までに六十三億のお金を要するのでございます。そのうち見返
資金として当てにいたしますものが二十七億でありまして、差引三十六億が足りないのでございます。これは私
どもが骨を折
つてやらなければならないのでございます。先般銀行にお願いいたしまして、年内に二十億円、十、十一、十二、二十億円貸して頂くことにしました。それで私
どもは安心してこれらの
工事に着手することができたのでございます。なぜ今こんなに急ぐかと申しますと、この冬の
渇水期を逃しますというと、先ず川の中の仕事が又一年延びてしまう。
渇水期に着手しないと又一年延びてしまうというような心配をいたしまして、
水力発電所の許可
地点を早速この
渇水前に着手いたしましようということにしたのでございます。この
地点についてはここにございますが、一々申上げてもよろしいかと思いますが、御迷惑でなければせいぜい
地点ぐらいを申上げておきたいと思います。
先ず小田切というのは長野県長野市のそばにあります。犀川を利用したのでございます。
最大出力は一万六千キロの小さなものでございます。それは五ページに大体その土地のところの
数字が書いてございます。それからそれに対する
工事費とかその他いろいろ書いてあります。それからその裏に行きますというと、六ページに行きますというと、笹平というのがございます。これも同じ図面の小田切の
上流にあります。これも一万数千キロのものでございます。
その次に七ページに三田というのがございます。これも一万キロぐらいの小さなものでございます。場所は八ページに書いてございます。東京府下の青梅でございます。多摩川を利用する小さなものでございます。
九ページに幸知というのがございます。これは図面が十ページに書いてございますが、水上附近の利根川を利用したものでございます。上越線のループに入る山のところにできるはずでございます。それから十一ページに所野第三というのがございます。これも四、五千キロのものでございまして、その場所は十二ページに書いてございます。日光線の今市のそばにできるのでございます。以上が
水力地点でございます。
それから又一ページに戻りまして、
火力発電所を二カ所やりたいと思
つております。川崎附近の潮田に
只今や
つておる
機械の
増設以外に、今度は
ボイラー二つ、タービンを一台
増設いたしまして、土地はすべてございます。水路、
貯炭場、すべてございますから、
工事費も安く期間も早くできます。それから鶴見というのはやはりその後の隣にございます。これも大体
発電所に
ボイラー若干を
増設いたします。これも建物と
機械だけでよろしいのでございます。その他の
設備もございますから、これによる
出力に比較して
工事費は安くできます。それからそれだけでは足りませんので、更にその中に六万キロの
火力発電所を作りたいと思
つております。これもすでに土地等は買
つてありますから、普通のものよりも安くできるのでございます。そんなわけでして、
火力で十五万キロ、
水力で五万八千キロ、合せて二十万八千キロを近く着手したいと用意をしております。その他これに関連して送電線、変電所等を建設するのは勿論でございまして、それに要する金額その他はこの表にございますから略させて頂きます。
只今申上げましたのは本年着手するものでございます。更に来年度におきまして着手するもの等は一枚の表がございます。
水力開発予定計画一覧表というのがございます。これを御覧願
つて頂きたいと思います。その表の一番上のは
只今申上げました
地点でございます。それから中頃から下がこれからやろうという
地点を掲げてございます。これを一々御
説明するのも如何と存じまするので、この表を御覧頂きまするというと、これによ
つて出力が年々どのくらいできるかというのは、右のほうの下の欄を御覧頂けば、何年度に一番下の何キロできるかということがおわかりかと存じます。
このようにして私
どもは建設
工事に着々進んで行きたいと存じますが、何分にもこれに要するお金が莫大でございます。私
どもの力では到底できないのでございます。御承知の
通り私
どもが集め得るお金というのは社債でございます。社債を発行する力というのは、先般値上げのときに御承認を得ました再評価による積立金を目当として社債を募集するのでございます。先ほど申上げました銀行から差当りの金二十億を借りたのも、これはほんの短期間でございまして、これは来年募集いたしまするところの社債を目当とした前借でございます。来年は二十億乃至二十四億の社債を募集したいと思います。その前借で借りたのでございます。社債の発行能力というものは四百ほどございますが、これをどの
程度に発行し得るかということもよほど疑問であると存じます。それ以外に私
どもは見返
資金をお願いする。これは見返
資金でございますから日本国全体の
計画と睨合せまして分けて頂くのでございます。誠に気ははや
つておりましても、建設
工事がどうも思うように行かないのは何と言
つても
資金面でございます。この前もこの席に伺いましたときにお願いいたしましたが、如何なる恰好でもよろしうございまするが、国家
資金の出るようにして頂きたいのでございます。又一方
只今の料金では十分なる償却もできません。償却は足りんのでございます。又
只今の
状態では満足な配当は到底できません。殊にこの
渇水においては配当どころの騒ぎではないのでございます。従いまして建設
資金を如何に募集するか、全くわからないのでございます。又外債の声もございますが、私
どもの経営の内容を見ますというと、外債に応ずる資格がないのではなかろうかと私は思うのでございます。それは私
どもが言うことは出しやば
つていやしないかと思いまするが、東京電燈で募集した外債がまだ始末がついておりません。あれの金利も払
つておりませんし、むしろ元金も期限が来ているのに払
つておりません。始末がついておりません。又一方私
どもの経理内容を見ますというと、私
どもの修繕費及び償却費合せますというと、これはまあ修繕も償却も同じようなものでございまして、修繕できないものは償却でやる、償却できないものは修繕でやる、この合せた金額というものは私
どもが先般値上げして頂いた総収入の二七%に当
つております。
ちよつと
考えますと非常にいいように見えます。が、私
どもが外債をこの前お願いしたときは修繕費プラス償却は一五%に
なつております。たしか大同のインデンチユアにも償却が七%、修繕費が八%だか、とにかく合計一五%に
なつている。二七%あるのならいいじやないかとおつしやいますけれ
ども、それは少し違
つておるのでございます。
只今は私
どもが扱
つておる物価というものは三百倍以上に
なつています。木材にいたしましても電線にいたしましても、鉄材にいたしても何でも三百倍以上のものを、マル公のない自由価格で買
つてや
つているのでございます。然るに私
どもが売
つている
電気というものはマル公でございます。これも三百倍に上
つているのならばそれこそ二七%は多過ぎます。私
どもは一五%で結構でございますが、
電力は先般上げたところで六十倍か七十倍にしか
なつておりません。少くともこれは倍になれば、即ち先ほどの二七%が半分になります。つまり一三%であります。その点から行きましても私は
電力代がまだ安いのではないか。即ち外債を引受けるのにはもつと上げて行かなければ完全なる修繕、完全なる償却ができないのではないかと思うのであります。従いまして六十倍の
電力の値上げというものはまだまだ足りないのではないかと思うのでございます。私
どもは今そういうことは申上げません。與えられた金で以て一生懸命
電気の
供給に全能力を注いでおります。又私
どもの社員は五月の発足以来、成るほど発足までは日発だ、
発電だといろいろ長い間喧嘩しておりましたが、これが出発になりましてからはもうそういう空気はございませんで、ともかくスムースに仕事ができるということに
なつたと私は思うのでございます。社員一般が
努力いたしましてこの難局に最善の
努力をいたしておるつもりであります。
次に
最後の問題について
ちよつと申上げます。私
どもは経営を預る以上、どうしても
会社の経理というものは健全でなければならないと思うのでございますが一方又私
どもは社内においてやるべきことは飽くまでもやりたいと存じます。先般もお約束し、或いは又各公聽会においても申されました
通り、合理化ということについては先ず第一に手を打
つております。お手許にたしか合理化運動の要綱が差上げてあると思うのでございますが、社内挙
つてあらゆる
方面に合理化を行い、先ず事務の簡素化とか或いは事務のやり方を、運行を円滑にする方法とか、或いは資材面の無駄排除或いは活用、或いは営業
方面における合理化、或いは
発電から送電、変電に至るあらゆる合理化ということに專門的に部門を分けまして、不肖私が
委員長となり、各重役がおのおの担当となりまして、ここに
一ぱいの労力を
只今や
つております。いずれこの結果が
数字に現われることと存じます。一方又この冬におきましては、従来とも電燈は消してございません。私は電燈を消してはならないというので、従来は少くとも夜間においてはつけでございます。或いは暗いかも知れません。むしろつけたために非難をこうむ
つております。東京は明るいではないか、俺の所は暗いではないか、もつと消せという非難も受けておりますが、私は灯は節約しても消すべきものではないというのでつけております。下半期の
渇水期におきましても、成るたけ灯数は減らしてもできるだけ消さないようにといたしたいと思うのでございます。と同時に一週間に三日以上の停電なんかは到底許すべきものではないというので、これも極力避けたいと
努力いたしておりますが、今後の
渇水状態によ
つては、或いは先ほど申上げました三割足りないというようなことがありはしないかと常に心配しておるのでございます。私
どもも常に猪苗代
方面の貯水のあれを観測し、これによ
つて計画を毎日変えております。注意しております。又経営のことにつきましては、上期についてはどうということはございません。大したことはありません。赤字があ
つても大したことはないと思います。まだ決算のことはわかりません。併し下期に行きますというと、もう相当の赤字が多いのだろということを認めております。それは
電力制限により販売
電力が減
つておることと、他方におきましては
石炭の料金が殖えておること等でございます。従来は、去年、一昨年は稀に見る
豊水でございました。従いましていろいろと出費はございましたけれ
ども、それの赤字というものはわからなか
つたのでございます。先般料金改訂に当りまして、そういう不明朗のものはあ
つてはならないと私も思うのでございまするが、例えば
予定の
石炭を織込んでお
つたのがたまたま
豊水に惠まれまして
石炭費の節約があり、剰余金がございましたらば、これをすく利益処分にすることは私
どもは避けたいのでございます。これもここで申上げました
通り、いわゆる
渇水準備金といたしまして翌期に持越し、翌期の準備金にいたしたい、幸い規則にもそういうふうに織込んでございますから、今期豊永でございましたらば恐らく
渇水準備金が翌期に持越し得たのでございますが、不幸にして、反対に
渇水が先に参りました。従いまして今期は赤字の
渇水準備金ができるのではなかろうかと思います。これも普通の
渇水として一割、二割というならば、これは毎年
平均してございますから、一年で、
渇水準備金で埋合せがつくと存じますが、今度のような何十年も見ないというような
渇水では、非常な
渇水ですから、この
渇水準備金を埋合せする機会というものはなかなか今の料金では来ないのではなかろうかと心配するのでございます。私
どもは如何にして行くか、実は
考えさせられるのでございますが、幸いにして大きな赤字の
渇水準備金が認められ、或いはこれを政府に何らかの方法で一時埋合せて頂きまして、将来の長い間に、
豊水時に返すというようなことが
考え得られますならばこの上ない仕合せと存ずるのでございます。以上お聞き苦しいところ誠に申訳ございません。以上で終ります。