○
参考人(
鈴木強君) 私は
全国電気通信従業員組合の十三万の組合員を代表いたしまして、
電信電話料金法の一部を改正する
法律案に対して
意見を申述べ
委員各位の御
参考に供したいと思います。
先ず、私は案件に対する具体的な
料金改正の
意見に入ります前に、私ども率直に
従業員組合側から見ました現在の
電気通信事業の実態につきまして申上げてみたいと存じます。ただ特に
委員各位には或いは
電気通信事業の問題につきまして特に平素御協力を頂いておりますし、更に深い経験と知識を持たれておりますので、私くどくどしく申上げるというような気持はございませんが、ただ特に私どもが主張したい点だけについて簡単に申上げたいと存ずる次第でございます。
電気通信事業は運輸
交通事業と同じように、いわば
人間の神経系統にも匹敵するような
事業でございまして、国の政治、文化、経済、或いは産業等の各分野は勿論でございますが、我々
日本の
国民の日常
生活の面におきましてはなくてはならない
公共性を持
つた重要な国家の独占
事業であるように
考えているわけでございます。この
事業が今日まですでに発足いたしましてから八十二年の永きに亘りまして、我が国の発展伸長のために果して参りました先駆的使命というものは誠に大きなものがあ
つたというふうに確信しているわけでございます。併しながら今日の
電気通信事業の
経営の面、或いは
サービスの面、
施設の面を見て参りますならば、遺憾ながら非常に憂慮すべき
状態に立至
つているということを申上げなければならないのでございます。即ち先ほど
渡邊さんから御
意見のございましたように、第二次
世界大戰の敗戦がもたらしました結果といたしまして、我が
電気通信事業に対しましても致命的な打撃があ
つたことは事実でございまして、
終戰直後の
通信施設というものは局舎の
施設にいたしましても、或いは全国隅々まで張りめぐらされておりますところの
電信電話の回線にいたしましても誠に四分五裂いたしまして麻痺
状態に陷
つたというふうに申上げても過言でないというふうに私どもは
考えております。この
状態の中にありまして私どもは何とかこの
電気通信事業を再建しようじやないかという
考えの下に、組合といたしましても一致団結いたしまして、いわゆる
インフレと
生活苦にあえぎながら
事業愛に燃ゆる一念からあらゆる困難を克服して今日までや
つて参りました。その間特に
電気通信省になりましてから、大臣或いは次官以下省首脳部の各位の尻をひつぱたきまして、とにかく努力はいたして参
つたつもりでございます。幸いにいたしまして、
終戰後すでに六年このかた
国民各位の協力もございまして、やつと戦前の水準に近い
サービスを皆さんに提供することができるところまで漕ぎつけたのでありますが、併しまだ先ほどから御
意見がございますように
国民の皆さんからの
事業に対する痛烈な
批判、又
サービスの改善に対する熾烈なる要望というものは誠に大きいのでありまして、これらの
批判要望を充たすために私ども満足なる
サービスを提供することについての確信を問われますならば、遺憾ながら現在のあらゆる悪
條件の下におきましては、率直に申しましてよほどまだ前途ほど遠しの感があるというふうに申上げなければならないのでございます。私ども
従業員組合といたしましては、今後とも勿論皆様の御要望に副うべく官とか組合とか言わずに、一生懸命や
つて行くつもりでございますが、特にこの際申上げておきたいことは、現在の
電信電話の機器或いは
施設というものが
渡邊さんの御指摘になりましたように本当に老朽化しておるわけでございまして、中には耐用年数を相当にオーバーいたしまして酷使しているような機械もあるのでございます。それから戦時中、或いは戦後非常に資材が粗悪でございまして、故障が多か
つたのでございます。こういうふうな中で私ども
従業員が日々山積する
通信業と取つ組みまして、日曜も祭日も盆も正月もなく、晝夜を分かたず業務に取つ組んでいる我々
従業員の立場というものは、現在の
給与の問題、或いは作業
條件の問題等を
考えますときに、非常に困難なものがあることも
一つとくと御諒察を願いたいと思うのでございます。このことは
言葉を換えて申上げますならば、機械が古いために私ども
従業員は自分の技倆の最大の
能力を上げましても、機械が思うように動いてくれません。
従つて一〇〇%私どもの最善の努力をいたしましても、如何せん九〇%或いは八〇%というような
能率しか実際には上
つて参らないのでございまして、この間の一〇%或いは二〇%のギヤツプというものが、我々
従業員或いは故障に対する
批判として
国民の皆様から出しておることは事実でございます。こういうような状況の中で、私ども、今回の行政
整理等もこの
関係の中に入
つておるようでございますが、少くとも私どもの現在の定員と言いますが、例えば一年にある年次休暇の補助定員とか、或いは生理休暇に必要な定員、或いは
電信電話等の各回線を担当する回線数といいますか、そうい
つたものをいろいろ
基礎にいたしまして算定されておるわけでございます。ただ單に
従業員側の
能率ということだけを
考えて、若し人員を算定するとするならば、そうい
つた矛盾が現在あるわけでございます。そういうような
基礎の上に立つならば、非常に私ども現場の定員というものが不足して来るわけであります。私ども十分間の休憩或いは二十分の休憩すらもらえずに、実際馬車馬のように働いているというのが事実でございます。従いましてこうい
つたことは、やはり
施設、機械が老朽化しておるということでございまして、私どもが幾ら努力いたしましても、
サービスの向上を阻んでおるというような原因があるのでございますし、更に
従業員に対しては必要以上の神経を使わせることになりますし、又努力を要求することになるのでありまして、こういう点につきましては、どうか
一つ深い御
認識を頂きたいと存ずるわけでございます。私ども組合といたしましても、真剣に
電信電話の再建の問題については
考えております。今年の二月には銚子で第一回の中央
委員会を開きましたし、更に七月には甲府で第二回の全国大会を開催しておりますが、その際にも私ども
従業員の待遇は非常に悪い、併し何とかして
国民の皆さん方の要望に副うべく
電信電話を再建しようじやないかというこの涙ぐましい
考え方の結集が、
電信電話再建闘争という形で決定を見ております。今日もなお私どもはこの再建闘争を闘い続けておるわけでありますけれども、私ども今から申上げる次の数点につきまして、若しこの実現方が遷延するならば、非常に
事業としても大きく影響がございましようし、今後皆さんの期待するような
サービスの提供は、非常に困難であるということを率直に申上げておきたいわけでございます。
先ず第一に申上げておきたいことは、先ほど申上げましたように非常に老朽化した機器、
施設、こういうものがあるのでござまいして、一日も早くこれらを更新改善し、更に多数の……、例えば
電話を本年度七十数万個の申込に対して、予算上、資金上、補正予算を組みましても、僅かに十万個程度の
需要にしか充てられないような
状態でございまして、こういう面からの
設備を更に擴先強化し、
サービスを向上するということが非常に必要でございます。このためにはやはりそれに必要なところの建設資金というものを大幅に獲得して頂かなければ、所期の目的は達せられないように
考えるわけでございます。
更に第二点といたしましては、
電気通信事業のごとき
企業官庁におきまして、現在施行せられておるところの予算、会計の問題についてのことでございますが、率直に申上げままして、予算、会計制度というものが、
企業に即応していないということであります。
従つてこれを一日も早く改めて頂きたいということを私ども申上げておるわけでございますが、現在の
一般会計に対して適用するところの基本法である財政法或いは会計法というものが非常に不
合理であります。予算の編成に自主性がないというようなこととか、或いは継続的な
事業でありながら会計年度の制約を強く受けているということ、或いは
建設費に関する継続費制度が認められておりませんので、大
企業であるところのこの
電気通信事業に遺憾ながら
長期継続
計画というものもできないような実態でございます。更に予算使用の制限、
強力性、それから認証制度或いは計算証明制度、契約方法等につきましても、いろいろ非
企業的な制約がたくさんあるわけでございまして、私どもは是非ともこうい
つた面を
企業に即応した形に改正をして頂かなければならないということでこれは強く要望しております。
更に第三点としましては、現在の機構が非常に複雑でございます。これは御承知の
通り一昨年
電気通信事業が発足をしたわけでありますが、
アメリカからの指導も受けたわけでありまするが、いわゆる
日本の現在の
実情に副わないということを組合としては率直に
考えておりまして、当初からこの機構については絶対
反対をして参
つたわけでございます。今機構はいわゆる五段階を持
つておりまして、本省から現場末端に行きますまでは非常に管理部門が多く
なつております。
従つて官庁の特性であるところの
事務処理というものが非常にこうい
つた形の中では敏速を欠くということを
考えておりますので、私どもやはりこの管理部門は或る程度簡素化しまして、本省の
考え方が直ちに現場に伝わり、現場の
考え方が直ちに本省に伝わるというような形のものを是非とも
考えて頂かなければならないであろうということを強く
考えております。特にライン間の連繋は非常にうまく行くようでございますが、遺憾ながら横の連繋というものは非常に欠けております。そうい
つた点からやはり非
能率的な部面が出ておるということを痛切に感じておるわけでございまして、私ども世上聞くところの
電気通信事業の公共
企業体化ということにつきましても、先般の松山全国大会におきまして真剣に討議いたしました結果、やはり現在の
電気通信事業というものは、私ども組合として
考える
社会化の方向に逆行するものではないか、いわゆる国有
国営という形自体は、私ども
社会主義を念願しておる者としては肯定するものではございますけれども、遺憾ながら資本主義
社会における変則的な国有
国営でありまして、いわゆる
企業体としての立派な成果を攻めるには非常に不十分ではないか、
従つて公共
企業体という形もいろいろと国会におきましても、取上げられ決議されておるのでございますが、かような
企業形態に対してやはり民営ということを
前提にしない範囲で、何とか
企業形態というものを変革して行
つたらいいのじやないかというのが、私どもの大会の
結論でございましたが、勿論いろいろと
政府政でもお
考えに
なつておるでございましよう。例えば
電信と
電話を切り離すということがあります炉、これは私どもとしては絶対に
反対でございまして、明治九年から発足いたしましたこの
事業が、
電信電話有無相通ずるところの連関性、切
つても切れないところの連関性の上に立
つて電気通信事業というものが運営されている以上、少くとも
電話を儲かるからと言
つて民営に移すことは絶対
反対でございまして、更に
電信電話を含めて、この
公共事業を民営にするということに絶対
反対をしておるわけであります。
次に第四点といたしましては、先ほど御指摘にもございましたように我々
従業員に対する待遇でございます。現在私どもは
一般公務員と同じような
給与を支給されております。僅かに調整号俸を見ましても一号乃至二号昨年の暮までは
一般の公務員より高い俸給をもら
つてお
つたわけでございますが、これも
政府の誠に理解ない
考え方から一挙にこれが削減せられまして、今では全く
一般の公務員と同じ形にありますので、これでは私ども先ほど申上げたように、本当に
事業愛に燃えるこの
考え方も、ややもすると
勤労意欲というものが殺がれるような形になりますので、是非とも私どもとしては
企業に即応したところの適正なる
合理的な
企業制度というものを確立して頂きたいということで、実はこれは本省、人事院、或いは国会の皆さんにも随分努力をして頂きました。幸い先国会におきまして、私どもの特別
給与別表というものが院議として、特に参議院で決定をして頂きまして、その結果、人事院からは特に私どもとしては
不満足でございますけれども、一応頭打を是正するという形の勧告が出ております。願わくば、私ども組合側が当初皆さんにお願いしておりますような、
一般公務員より少くとも三号俸のアンプを
考えて頂きたいというのが今でも私どもの要求でございますので、
給与準則或いは
給与別表の御審議の際につきましては、どうかその点を強く御留意頂きまして、私ども安んじて
事業に専念できるような
企業制度を確立して頂きたいと思います。なお現場の末端の職場を見て頂きますと、非常に労働環境が惑うございます。寝室もない或いは休憩室もない現場で営々として
事務を執
つている。我々の組合員は椅子を動かさなければ寝られないというような形の中で、狭いところでや
つております。こういう点もどうか
一つ早急に改善して頂くようにお願いするわけでありまして、こうい
つた要求を出しておるわけであります。
更に第五といたしましては適正なる
料金制度をやはり決定する必要があるということでございます。これは先ほどからいろいろと御
批判がございますけれども、
国営事業でございましても、その
事業自体が
独立採算制を布かれて、
收入によ
つて支出を賄うという
事業の中におきましては、少くとも私はその作業がコストを割
つてまでやるということについては多大の疑義を持
つております。
従つて若し
公共性を強く要求する
国民的な
事業であるとすれば、やはり
一般会計から或る程度の支出をして頂く、繰入れをして行くという形のものを是非とることが必要ではないか。これは勿論
企業形態としての大きな形態の変革とも関連するのでありますが、現在の
国営の中においては、やはりそういうことをして頂かなければ円満なる
事業発展はできないのではないかと
考えております。
第六点といたしまして、先ほどから申上げましたが、現場の定員が非常に少いわけでございますが、これは管理部門、或いは現場部門というようなパーセンテージの面を申上げてもわかるように、非常に現場の定員が少いのでございます。これは先ほどから非常に痛烈な
批判がございまして、私どもとしても深く
考えさせられたわけでございますが、やはり戦後の
従業員の数というものは、私ども十四、五万近い
従業員がいたわけでございますが、この中の大多数のものはいわゆる青少年、女子でございます。こうい
つた人たちが僅か九カ月或いは三カ月程度の暫定的な訓練を受けまして現場に配置されるわけでございまして、やはり
能率と言いますか、熟練度とい
つた面は確かに低下しております。私どもはこの問題についても強く要求しておるのでありまするけれども、なかなか解決ができない現状でありまして、こうい
つた例えば三人おりましても実際には二人分の
能力しか発揮できないということもございましようし、先ほどから申上げましたように、
電気事業の特性からいたしまして、特別の技術を要する
従業員は一朝一夕にはなかなか確保することができないのであります。少くとも昔は逓信講習所というものがありまして、ここで二年間或いは一年間で卒業して来ましても、実際に相当の
能力を発揮して誤謬もない、而も間違いもなく正確な程度になるまでには三年間は必要であります。そうい
つた形でございますが、一朝一夕にできない。この
従業員を而も機構そのものから
考えましても、
企業そのものから
考えましても、更に擴充発展して行く
事業に対して今回九千三百八十三名ですか、その程度の行政
整理が
考えられておるようでありますが、こうい
つたことはもう少し
事業の実態を
考えて行くならば、ただ一律に現場二五%とか或いは現場は五%とか、或いは二〇%、そうい
つたふうの形で機械的に定員を
整理するということについては非常に問題があるのではないかというふうに
考えております。
更に最後に私は七点として、予算を
合理的に使用して、少くとも
国民皆さんに危惧の念を抱かせないように、不正の撲滅を十分期さなければならないというこの七つの事柄を、私どもは決定いたしまして、その後、大臣に宛てまして要求書として出しております。こういうふうなことを
考えましたときに、やはり私どもとしてはこの七つの事項が、現在
電気通信事業というものが私ども
従業員がいろいろ努力しておるにもかかわらず、頭打の
状態に
なつて皆さんの要望に副えないという原因に
なつておりますので、この
事業が皆さんに御満足を頂けるように十分の
サービスを提供するためには、少くともこの問題を早急に解決して頂きたいというのが組合の態度でございます。
大体以上のような私どもの現在の
電気通信事業の概況を
考えながら、今回の
電信電話料金の
値上げ法案を
考えて見ますならば、当然先ほどから御指摘にもありますように、労働組合の立場からいたしまして基本的な態度と申しますか、そういうものはやはり
日本の経済情勢、或いは
社会情勢、現在の段階において
利用者各位の
負担を加重するような、或いは
インフレヘの高進に拍車をかけるような要素のある
電信のみならずあらゆる諸
物価の
値上げということについては
反対の態度をとるということは勿論であります。特に
電気通信事業の
公共性を強く要請をされるものについては慎重を期さなければならんと思うわけでございます。併し私どもといたしましては先ほどから申上げますように、
事業の実態というものをよく承知しておる立場から申しまして、特に再建闘争というものを推進して行きます過程におきまして、やはり
料金制度というものは適正なものを設定する必要があるのじやないかということを
考えておりまして、いろいろその後組合としても
調査機関を動員して作業を調べておるわけでございますが、今日遺憾ながら適正
料金は果して幾らになるということの
結論は出ておらないことは遺憾でございます。併しこうい
つた中で、私ども今回の
料金改訂を十分
検討をしてみますと、先ほど
渡邊さんからも申されておりましたように、今回の
改訂は本当に当面
赤字を克服するだけの暫定的な姑息的な手段でありまして、もつともつと根本的な
料金対策というものを
考えて行かなければならないことは前段でも申上げた
通りでございます。今回の
料金改訂の
理由といたしましては、御承知の
通り物価騰貴に伴う
物件費の
増加、
給与ベースの
改訂による人件費の増嵩、これに伴う
郵政会計への繰入額の
増加、
減価償却の実施と
保守の改善に必要な
経費の
増加、こういうようなものに
なつているわけで、ございまして、
電気通信特別会計の
収支の中で運行されておる段階におきましては、現行
料金によりまして本年度大体
収入が四百九十億見込んでおりますのに対して、支出は六百十六億になりまして、差引百二十六億の
收入の不足になるわけでございます。
従つてこれによ
つて料金を
値上げし、この補充のために
料金を
値上げいたして、その不足分を補
つて行こうというのが今回の
提案の趣旨であるように思います。先ほど
江尻さんからの御
意見もございましたが、誤解があ
つてはいけませんから私から特に申上げておきますが、いわゆる
郵政会計への繰入れの問題でございますが、これは御承知の
通り特定郵便局というものがございまして、本来ならば
電気通信事業者が直接その
事業を遂行しなければならない性質のものでございますが、全国に多数あるこの特定郵便局に直轄局を設けるというのは非常に困難な面もございまして、現在郵政業務としてお願いしているわけでございまして、そこに働く人たちは二十万人でございますが、そのうち五万人に近い人がいるわけでございます。この人たちの
給与というものも電通省が賄
つているというような
実情でありまして、こういう点からも
郵政会計の困難がありますので、この点も
一つ御了解頂きたいと思います。私どもこの案を見ますときに、やはり率直に
考えられますことは、私どもが今日まで指摘して参りましたいろいろな
欠陷がございました。その欠陥をなぜもつと早く改めて成果あらしめてくれなか
つたかということであります。更に今更申上げても愚痴になるかも知れませんが、若しこういう要求が解決しているならば、この
料金値上げというものも
国民大衆は相当の納得できる点があ
つたのではないかということを
考えますと、非常に残念に思いますし、同時にいろいろ省も努力しておりますが、
政府自体も
企業官庁に対するこうい
つた欠陷を除去いたしまして、軌道に乗せる施策を生み出さなか
つたことに対しては、私どもは非常に念懣やるかたないものがあるわけでございます。
独立採算制の建前からいたしまして、特に私ども先ほどから申上げているように、
一般会計からの繰入れによ
つて百二十六億円というものを賄
つて頂くということを私ども強く要請するものでございますが、但しその問題がどうしても駄目であるならば、
料金の
値上げによ
つてこの
収支を補うということについては、又
考えなければならないということについては、組合としてもこれを認めて、そして
料金の
値上げについて
賛成をしなければならないような立場にあるわけでございます。私ども
一つの
考えとして先ほどから申上げますように、
電信電話というものは非常に
公共性を強く要求される
事業でありますし、なくてはならない
事業でございます。そういう観点からいたしまして、やはり或る程度の予算というものを
一般会計から繰入れたらどうか。これは又税
負担の問題で問題が出て来るかと存じますけれども、どうかこういう点を十分お
考え願いまして、若しそれが絶対に駄目だということになりますならば、先ほどから申上げておるような事態の中では私どもはどうしても
料金の
値上げというものは或る程度や
つて行かなければ
電気通信事業をや
つて行けない。更に私ども先ほどから申上げておりますように、
経費の不正使用の問題でございますが、こうい
つた問題については幾度となく私ども大臣にも進言いたしておりますし、要求もいたしておりますが、最近の
新聞紙上にもあるごとく、私どもこの
内容についてはまだ明確に
調査はいたしておりませんし、確信は持
つておりませんが、若しそれが事実とするならば、ああいう
経費の使用不正というものは絶対に許せないのでありまして、この
対策というものが十分できなければ、今回のような
料金の
値上げに対しても
国民大衆は率直に納得してくれないだろうということを
考えますときに、どうか私どもも努力いたしますが、省内におきましても、
政府におきましても、こうした悪質
従業員の再び出ないような嚴重な監視と、出たものに対しては厳罰主義を以て臨んで頂きたい。一部悪質官僚のために、まじめに働く全
電気従業員が不信を持たれ、或いは
国民に対して
電気通信事業が信用を失墜することのないようにしなければならないのではないかというふうに
考えまして、甚だ遺憾なことでございますが、このような問題についての解決をやはりする必要があるのではないかというふうに
考えるわけでございます。
次に若干個々の
料金値上げについて申上げますが、先ず
電信関係でございますが、先ほど
江尻さんから御指摘がございましたが、約四〇%の
値上げに
なつております。これは果して適正な
料金であるかどうかということは先ほどから申上げているように、組合としても
結論は出ておりませんが特に
電信というものは
電話より
公共性が強いのでありまして、この
料金というものをちよつと見て四〇%というふうに
考えることは非常に
値上率が多いのではないかというように
考えられますけれども、やはり私ども
政府の
改訂料金の資料というものも十分
検討して見るならば、やはり先ほど申上げたように、
一般会計の繰入れということができませんならば止むを得ず
賛成をしなければならないような立場にあるわけでございます。特に諸外国においてもそうでございますが、
電信電話というものが非常に国の隅々まで、而も僅か十通、二十通の
電報を扱うところにも
従業員を二、五名配置しなければならないというような
事業の性質から、人件費というものも相当に嵩んで来ておりますが、この点は
公共性、或いは国の
事業としての
電気通信事業の性質から御了解を願いたいと思います。私ども昨年度三十八億の
電信事業で
赤字を出しておりますが、これはいろいろ努力したにかかわらず、
料金制度というものが私ども非常に不
合理であるというふうに
考えておりまして、
料金制度が
合理的に改正せられなければ、幾ら私ども頑張りましても、
赤字というものは消えて行かないというように
考えておりまして、今回の案の
内容には出ておりませんが、経済問題としてはいろいろ
考えました結果、やはり単一
料金制度というものを今後策定することが必要ではないかと思います。要望として
委員会にお願いする次第でありますが、現在の
料金が東京から埼玉県に打ちましても三十円でございます、十字が……、北海道、九州に打ちましても三十円、この間におきまして中継受理をと
つて行きますので、コストを
考えて行きますならば、果してこれが
電報料金の適正であるかどうかということには疑問が生じます。そういう建前からやはり単一制をとりまして全国を府県別ブロックにして、
取扱として非常に不便でございますが、こうい
つた形の
合理的な単一
料金制度というようにいたしましたならば採算がとれるのではないか。勿論私ども採算だけを
考えるわけではありませんが、仕事の健全を
考えればこそそういうことを
考えるのでありますが、そういう単一制
料金を
考えて頂きたいということでございます。すでに
アメリカあたりはそういう制度も採用しているようでございます。この
電報料金の中で特に私ども申上げたいことは、先ほどから出ておりますように、
一般商業用の
電報と、それから慶弔用の
電報、或いは人命に関するような
電報、或いは安否を質すようなものだとか、着いたとか、発送とかというふうな問題、無事であるかどうかというような
電報、或いは
新聞電報、
通信社の
電報というようなものについては
公共性が強いのでありまして、本当にそうい
つたような
電報については或る程度
料金の定額制をと
つて頂いたらどうかということを
考えております。勿論従来も
新聞電報等につきましては相当な安い値段で
サービスを提供していることは事実でございますが、同時に
改訂料金に関連して
サービスの改善の面から
考えて、私どもの
考える新制度もと
つておられるようでございますが、できるならばもう少し
検討を加えて真に庶民階級が必要欠くべからざる
電報についてはそのようにして頂きたいと思います。
それから
電話関係でございますが、平均三〇%の
値上げに
なつておりますが、
電話は先ほど申上げましたように黒字
経営でありますが、やはり局舎の
設備、或いはそれぞれの
電話機その他を
考えますときに、やはり東京で
一つ電話を設けるのに二十五万円程度の金が実際にはかか
つております。それが僅か四万円足らずの金で
設備をしているという形の中で、果してその間の価格というものを、私どもが営々として働く
事業の中で出て来る
收入によ
つてそれまで賄
つて行かなければならないかどうかということについては、私どもとしても十分な
検討をする余地があると
考えておりますが、必ずしも私ども
電話が黒字だからということだけでこれを
値上げしなくてもいいのだという
考え方には
賛成できませんし、それから
電信電話の相関性というものを八十二年の昔に遡
つて考えますならば、或る程度関連性の中で有無相通じて行くという形は、やはり
電気通信事業の中では必要ではないかというように
考えております。それから
電話使用
料金の問題でございますが、度数
料金制と
均一料金制の中で、単独、共同加入ともそうでございますが、
基本料金の中で住宅用と
事務用に分れておりまして、これの差別がついております。それを住宅のほうは非常に安く
なつておりますが、私ども組合としてはこれは逆ではないかというふうに
考えます。大分失礼な話になりますが、少くも現在住宅に
電話を備えているようなかたは或る程度有産階級ではないかというふうに
考えられるのでありますが、
事務用に使う
一般の中小
企業のかたが使用する
電話より住宅を引いてあるところの住宅
電話を安くするということは非常な問題があると思いますので、あえて差をつける必要もないし、つけるならばむしろそうい
つた一般中小
企業の
かたがたが使用されるようなものについては、むしろ逆に安くして行くような方法を
考えたらどうかということが二、三出ております。
それから
公衆電話の
料金でございますが、五円に
値上げに
なつておりますが、これは御承知の
通り非常にその
取扱がむずかしいのでございまして、ガラスを割られ、或いは
電話機を盗られるというようなこと、或いは
料金を入れずに紙屑を入れてあるというようなことがございまして、全く採算がとれないのであります。趣旨はよくわかりますが、実際の面について硬貨制度を採用するということも
考えておられるようでございますが、
取扱を十分注意して頂かなければ、結局無料奉仕のような形でいつまでた
つても
公衆電話の採算制というものはとれないというように
考えております。
以上大体私どもの
意見を申上げたわけでございますが、先ほどからもいろいろと
意見がありましたように、
料金値上げというものは、全く当面の
赤字を克服するものでありまして、私どもこの問題についてやはり
考えることは、皆さんへの
サービスの一段の向上ということであろうかと思いますので、その面については私ども組合としても今後十分の努力をして行くつもりでございます。非常にまとまらないことになりましたが、以上私ども組合を代表しての
意見を申述べて終りたいと思います。