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1951-10-27 第12回国会 参議院 電気通信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十七日(土曜日)    午前十時三十四分開会  出席者は左の通り。   —————————————    委員長     鈴木 恭一君    理事            村尾 重雄君    委員            黒川 武雄君            山田 節男君            尾崎 行輝君            水橋 藤作君   政府委員    電気通信省経理    局長      肥爪 龜三君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   参考人    元逓信省電務局    長       渡邊音二郎君    日本新聞協会編    集部長     江尻  進君    横浜商工会議所    副会頭     亀井信次郎君    東京証券取引所    理事長     小林 光次君    桐生貿易株式会    社社長     岩澤 寛一君    有線通信工業会    会頭      渡邊 斌衡君    東京商工会議所    副会頭     清水 康雄君    全国電気通信従   業員組合書記長  鈴木  強君    赤木屋証券株式    会社社長    赤木 康夫君    港私設電話会会    長       佐野 芳三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電信電話料金法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) これより会議を開きます。  電信電話料金法の一部を改正する法律案を議題といたします。最初参考人としておいでを願いましたかたがたの御意見をお伺いいたしたいと存じます。  参考人かたがたに申上げますが、皆様には御多用のところをおいでを願いまして誠に有難うございました。厚く御礼を申上げます、政府は今回電信電話料金法の一部を改正する法律案を提出いたしまして、電信及び電話料金をお手許に差上げました内容のように引上げようといたしておるのでございます。本委員会はこれを審査中でありますが、このことは一般的に関心を有する案件でありますので、審議の慎重を期するために各方面のかたがたの御意見を伺うことにいたしたのであります。只今から御意見をお伺いいたします。発言の順序はこちらで適当に定めましたので御了承願いたいと存じます。御意見賛不賛成を明らかにし、且つその理由をお述べ頂きたいと思います。一部反対、一部賛成、或いはこの案には反対であるが、こうすればこういう結果になつてこのほうが上策であるというお考えをお持ちのかたは、その辺もお話し下されば大変結構と存じます。お一人の発言時間は時間の関係上大体二十分以内にお願いいたしたいと存じます。  なお又委員諸君参考人かたがたに対する御質問は御意見の御発表が終つてからあとで一括してお願いいたしたいと思います。  それではこれから御意見のお述べをお願いいたします。最初渡邊音二郎君にお願いいたします。
  3. 渡邊音二郎

    参考人渡邊音二郎君) 私はこの案に賛成であります。その理由日本電信電話事業は誠に創業以来発育が不良でありまして、多くの病弊を持つたまま大戦の時期に入り、而も未曾有の災厄を受けまして終戦に至つた。従いまして事業財政も不健全であり、現在の時期も又頗る正常でなく、事業収支両面に亘りまして検討いたしますと、電話及び電信を含めまして企業性を十分に発揮できないばかりでなく、その公共性をも満し得ないのが実情なつております。従つて今回提案になりました料金引上げ理由理論的に批判するということになりますと、いろいろ批判の余地はあるかも知れませんが、この歴史的な事実というものを前提に、この案を審議すべきではないかと私は考えます。電気通信事業一つ公共性を持つ企業体であるということから、この現在のような事業強力性失つて投資計画も十分に立てられない。又資金及び信用能力を持つておらない官庁経営におきまして戦後の応急処理復旧とに追われて漸く今日まで事業の命脈を保つて来たというのが実情ではないかと察せられるのであります。この点は民間の諸企業におきましては、終戰直後或いは資産を切捨てるとか、或いは債務を棚上げするとか、或いは第二会社を作つて整理するとか、いろいろ企業体としての刷新整理を行なつたのでありますが、国家経営事業通信事業につきましては、かような思い切つた措置が講ぜられておりません。又一般産業といたしましても第一次世界大戦後の敗戰国ドイツにおきまするがごとくに、この企業企業体として生かすために講ぜられたような措置が、日本においては行われなかつたのであります。その結果既定経費を如何に節約いたしましようと努力されましても、恐らくその限界が極めて狭いのではないか、若し強いてこれを節約するならば、サービスの低下と労務の過重を招来し、他の経費却つて増加を来たす。而もこういう収益を見得る事業におきまして経費を徒らに節約するがために、却つて収入を失う。収支計算上ではますます赤字の原因を作る。第二にはみすみす収入が上る設備を抱えながら、これが保守及び運用に要する経費が不十分であるがために、設備が一〇〇%働けば収益力がそれだけあるにもかかわらず、遺憾ながら設備活用率が、遥かに持つておりまする能力よりも低く抑えられてしまう。その結果は収入源が次第に枯渇して来る。企業といたしましては一つの矛盾であります。又第三番目に基礎設備投資ができなくなつた結果、長期計画が立てられない。その場その場の応急措置に追われまして、既往設備を極度に酷使する。そうして当面の公衆需要に応ずるため奔命する結果は、間もなく保守費増加いたします。又取替えの必要に迫られる、迫られるのがこれはむしろ悪循環のようになつて参るのであります。戦後の電話の架設にはこうした無理が伴つて、今、戦後六年にしてその欠陷が表面に現われ、公衆の非難の的となつて来ておるのではないかと考えます。第四番目には、戦災によりまして設備がかように破壊され、又すでにその間の改良を怠りました結果、腐朽の時期に至つておる、加うるにこの傷んだ設備を抱えて努力しておられまする従業員年齢構成戦争の結果中断せられて、そこに深い断層ができた、老人と若い者、その間の健全なる中間従業員年齢構成上有力な分子が欠けておる。従つて経験及び適齢の期間にズレがある。それに加うるに待遇は、過重経営の結果、画一的であるために能率が上らない、而もその間戰後一般社会風潮と等しういたしまして、公共事業精神が低落した、勤労意欲が減退して参つた、かようなふうに企業の生きる遂に最も必要な従業員生活及び精神両面に亘る落調といいますか、調子の低くなつたといいますか、欠陷が現われ来たつたと思われます。かような幾多の悪條件が重つて参つた上に、戰後インフレが押しかかつて来ておるのが終戰後実情ではなかろうかと存じます。従いまして終戰後応復旧施設に努力奔命いたされました結果、先般発表されました実相報告書を拝見いたしましても、数量的にはやや戰前に回復し来たつた施設が多く見られますが、その実質を極めて見ますと、戦前の素質にまで回復しておるとは思われないのであります。この点は数字的に私調べてみますると、丁度一九三三年、我が日本におきましては昭和八年でございますが、当時のアメリカベルシステム電話機の数は一千六百七十一万でありまして、それが今日では一九五一年の六月末の調査によりますと三千六百五十万になつている。ところが、これは日本昭和十年の三月三十一日の調査によれば百一万五千三百七十二の加入者が今日においては百二十四万でございます。一言にして言うならば、この過去の十五年ばかりの間にアメリカにおいては電話が二倍以上になつたにもかかわらず、日本は十五年間に殆んど殖えておらない、かような結論になるのであります。従いまして日本電信電話事業は、アメリカ電信電話事業企業強力性というものについては全く問題にならんほど劣つております。従いまして日本電信電話の現状を何とか打開するためには、今度の料金引上げによつて生ずる増収、これを振向けただけでは、到底解決し得ないことは提案されました理由を読んでも明らかであります。要するに今回の引上げ理由は、当局の全く赤字対策一つとして取上げられたもののようでございます。従いまして若しこれを認めないとするならば結局多年の宿弊病いをますます重くする。そしてやがては今回提案になりました料金値上げ以上の不合理、不合理という言葉は訂正いたしますが、値上げ以上の多額の値上げ国民は甘んじて負担せざるを得ないようになるのではないかと心配せられるのであります。かように電信電話事業は、根本的な手術を施す必要に迫られている。若しこの手術をする前に衰弱し来たつた、この栄養不良の電信電話事業に何らかの輸血をしなければ到底手術に堪え得られない。而もこの電信電話事業の多年累積した宿弊は、一つ一つ積り積つて参るのであります。従いましてこれに対しまする物的な対策及び従業員の精神的な努力の毎日々々がこの対策なつて実を結ぶのでありますが故に、一日も早く輸血をして、少しでも健康体に近付けておくということがやがて今後日本の復興に必要なる電信電話施設根本的改善に資するゆえんではないかと私は考えるのであります。而も先ほど一言申しました通り、現在の経済社会情勢はたとえアメリカの大きな電話会社財政力を以ていたしましても料金値上げは避け得られなかつたのであります。十八年近く料金を据置くことによつて公共事業の成績を誇つておりました、ニューヨーク電話株式会社の、ごときも遂には料金値上げをせざるを得なくなつたのであります。アメリカベルシステム、このベルシステム戦争後において行いました料金の引上額は四億三千五百万ドルに上つております。かような企業力を持ち、しつかりとした基礎設備を持つておりますアメリカでさえ戦後のインフレ対策及び労銀の引上げ対策一つとしては公衆收入源を余計出してもらう、余計出してもらうための料金引上げに満足して頂くというほかになかつたのであります。而も一方において、アメリカにおきましては民営でありますが故に、施設改善等に対しまして、又新設に対しましては社債も発行でき、増産もやり得る。現に事業始まつて以来の大規模な建設費を賄うためには、多くの長期に亘る社債を発行し、又増資を行なつておる一面、経営費の節約を図つて、この収入の源を公衆の懐にお願いしておるというのが実情であります。然るに日本の場合は今申しましたように、結局は難破船インフレの波にもまれてどうにかこうにか航行を継続しておる、もうこれ以上放つて置かれては、これは難波船は進まなくなる、この時期に内部におりまする者が何とかこれを助けて欲しいというのがこの案の私は底に流れている気持ではないかと思われるのであります。従いまして国営事業国民の寄託によつて行われておりまする現在においては、これを寄託いたしました我々国民といたしましては、寄託されました事業経営者及び労働者諸君がどうしても乗り切れない荒波にもまれておる場合には、進んでその苦労を分け合うというだけの公共精神と現実の意識が必要ではないかと、かように存ずるのであります。従いまして私はこの案に賛成いたしますると共に、願わくば今後根本的なるこの事業の欠陥を衝いた案を至急御立案願いまして、もつと基礎のしつかりした安定のある公共事業にして頂けるよう希望する次第でございます。  なおその際の御参考までに、この案は理由そのものを拜見いたしますと、軍に赤字克服というふうになつておりますが、案の内容を逐一見て参りますると、料金構成料金理論にも触れる新らしき構想も盛られておるのであります。決して所要の收入を挙げるがために一率にこれを引上げたというのではなくして、やはり料金理論に立脚した料金構成を持つた案だと思います。従いましでこの料金理論及び料金構成に対して更に欲を言わして頂くならば、この案の根底にありまするところの物件費増加、これに対する対策といたしまして原価計算制度を早く確立して頂く。それから工事能率的な向上を図るためにいま少しく民間工事力を利用するということにお考えを向けて頂きたい。  又給与ベース改訂に伴う経費が見込まれておりますが、これ以外にもつと能率的な給与体系能率給といわれまするところの給与体系を加味して、本当に事業に日夜貢献せらております従業員に対し、その労に対して報酬し得るというような途を講ぜられたいと思うのであります。これは現場におきまする従業員諸君の恐らくは画一的な給与に対する改正希望をお聞き下されば具体的な案ができ上るのではないかと思われます。次は減価償却制度がしつかりしておらない。これだけの事業をやつておりながら、減価償却制を確立しておらないということは誠に危険であります。勿論減価償却はやつておられることは知つておりますが、その減価償却理論的に行われるということは、たとえ国営でありましても私は必要かと存じます。  次に電信収支電話収支との区別及びこの関係でありまするが、これにつきましてはもう少し詳細に具体的に両收支検討されまして、今後の技術の進歩に伴う電信電話共通施設増加というような点から、料金構成における新らしき検討も必要かと存じます。又電信電話収支郵政省に委託しておられまする特定局におきます電信電話事務経費との区別等も、将来の料金構成上はやはり深く具体的に検討して置く必要があると存じます。それから本案に盛り込まれました料金構成上の一つとして、電話收支において市外市内どの料金収支計算区別するか、サービス区別するかということが問題になり得るのであります。この点はアメリカにおきましても、今やはり市内電話はそれぞれの独立会社でやつておりまする関係上、市外電話料金市内電話料金との妥当性限界というものが大きく取上げられております。従つて今回の提案はやはりそこに一歩近付けられたものと信じまするが、更にこの点を深く掘り下げて頂く必要があるのではないかと思います。又この収支の中で電報及び通話を通じて考えられますことは、現在国民が利用しておりまする電報通話というものが、どの程度至急取扱に依存しておるかということであります。要するに二倍の料金を拂わなければ早く用が足りないというような実情である場合といたしますれば、料金引上げというものは、やはり至急電報、至急通話利用者にとつては相当負担が重くなるわけであります。従いましてサービスの改善によつてできるだけ普通の電報、普通の通話でも十分に用が足り得るように御検討を願うことが料金論としても望ましいと思うのであります。なお長距離電話料金につきまして、近距離長距離区別、それの段階の付け方でありますが、これなどはやはりもうそろそろ市内通話料、それから短距離通話料長短離通話料というものの間に総合された一つ料金体系が生れるような時期が来たのではないか、かように考えます。又料金引上率そのものでありますが、これは拝見いたしますと一部倍額のものが見られます。一躍倍にするということから国民の懐に受ける影響というものは相当大きいのでありまするが、比較的利用者の数及びその取扱の現在までの料金負担額から言いまして私は止むを得ないと思つております。  以上申上げましたが、結局料金引上げが妥当であるかどうかということだけを取上げて申しまするならば、サービスの裏付けのない料金の高低の批判意味がない。従いまして先ほど冒頭に述べましたような難航を続けておりまする電気通信事業経営者に対しましてかようなことを申上げるのは同情のない言葉かも知れませんが、取りあえずは暫定的なサービス基準国民に示されまして、そのサービス基準は原則として管理者従業員も守る、そのためにこれだけの負担国民は覚悟するということによつて根本的な改革までの一線を画されたらどうかと存じます。  以上意見を申しましたが、結局本提案は根本的な解決を待ち得ざる中間的な一つの止むを得ざる対策として私は賛成するものであります。
  4. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。次に江尻進君。
  5. 江尻進

    参考人江尻進君) 簡單に申上げます。結論から申しますと、今回の値上案に対しては遺憾ながら賛成いたしかねる次第でございます。その理由を申述べます。  第一に、政府電信電話だけでなく鉄道郵便料金電気、ガス、水道料金など、その他米価など国民生活の根幹になるところのいろいろな物価を全面的に引上げる政策をとつて政府が先頭に立つてインフレ機運を助長するという状態にあります。我が国の電信電話事業はすべて政府の手で行われておる独占企業体でありますから、その料金引上げることは、そのまま全面的に利用者側負担とならざるを得ないわけであります。こうした実情ではアメリカなどと違いまして、経営当局合理化の熱意を失わしめる傾向がありますが、合理化を伴わないところの値上げインフレを促進することは言うまでもないところでございます。政府事業独占企業が相次いで価格とか料金などを引上げ目下先行きインフレを懸念されているところの日本経済の前途に対して、ますます不安を加えるということは避くべきことじやないかと存ずる次第でございます。これは国民生活を圧迫するだけでなく、独立の実現を目前に控え、目下何をおいても確立を必要としているところの日本経済国際的競争力を弱めるというような結果になるものと考えられるのでございます。これは従つて單電気通信当局の問題というものではございませんが、政府全体の問題としてその一環を成すところの重要な施策として、御考慮を願いたいところでございます。  第二に、同じ交通関係機関といたしまして、国営鉄道事業国営電通信事業、殊に電話につきましては、国民全般を通じて不満の声が遺憾ながら依然として高いということは、何人も認めざるを得ないところだと存ずる次第でございます。従つてこういうふうな状態で今回のような急激な値上げを行いますと、国民が果して納得できるかどうかという点について疑念がある次第でございます。  第三に、値上げ理由として挙げられております物価騰貴に伴う物件費増加給与ベース改訂による支出増加というものが、その理由の最も大きなものとされておりますが、他面定員の整理とか、経営合理化というような問題については、何の説明もないように見受けられます。若し自由競争の立場にある民間企業がこれと同じような処置をとつたといたしますれば、その事業は早晩崩壊せざるを得ないというのが一般意見のようでございます。ただ物件費が上り、給与べースを引上げなければならんからという理由で、料金をその都度引上げて行くということになりますると、これは経営として余りにも安易なやり方ではないかと考えております。  第四番目は、電信電話の間における独立採算制が不明確であるという点でございます。政府事業といえども独立採算制をとらなければならんということは言うまでもないところでございますが、一概に電気通信事業と申しましても、大別して電信事業電話事業とに分けられるわけであります。ところが事業收支を拝見しますと、電信事業赤字であるにもかかわらず、電話事業のほうは相当の黒字を出しております。それにもかかわらず、電信料金を四割、電話料金を平均して三割というように、一様に大幅の値上げを行いまして、電話事業で挙げた利益で電信事業赤字を埋め合せるという仕組になつておるのでございます。又その上に電話事業は全く別会計であるところの郵政会計にまで相当の金額を繰入れるということになつておりますが、そうなりますと、独立採算を唱える根拠が明確を欠くということになるのであります。若し電信電話郵政の間におのおの完全な独立採算制をとるといたしますれば、おのずからその結論は異なつて来る次第でございます。即ち極端に申しますれば、電話事業においてはむしろ料金を据置きにして、電信事業において先ず徹底的な合理化を行う、例えば外国と同じように、通信電信施設機械化、或いはそれによつて人員の減少を図るというような、いろいろ合理化処置をとりまして、それでもなお赤字が出るというならば、そのときに電信事業だけは値上げするも止むを得ないという結論になるわけでございます。  第五は、値上率に関する問題であります。電信関係はさておまして、電話関係改訂料金を見ますと、一部において据置かれておる部分もございますが、最も需要の多い加入電話市内電話通話料金度数制において一挙に一五〇%、均一料金でも三〇%、市外通話近距離通話は一〇〇%以上というような値上げなつておりますことは、大檐な値上率と言わざるを得ないのでございます。殊に報道関係市外料金については、基本料金上つた上、倍率をも引上げたために、二二%の引上げなつております。倍率においても従来同様の取扱を受けて来ました警察消防などを今回は据置きながら、報道関係だけ引上げて差等を付けたという点は、報道関係者においては特に不満とするところでございます。  最後に第六点といたしまして、新聞通信、放送などのいわゆる報道機関特殊性について再認識をお願いしたいと存ずる次第でございます。この郵便電信電話などの通信機関、及び鉄道、航空などの運輸機関は、広い意味で等しくそのよつて来たるところは、交通機関によりまして我々人間とか物とか、或いは人間の持つておる考えというようなものが一つ地域から他の地域に伝えられまして、これによつて初めて社会成立が行われる、即ち人間人間との相互の関係を媒介して社会というものを成立させる重要な條件になるというのが、この交通による伝達の機構でございます。その意味電気通信事業というものは、現代社会基礎的な最も重要な地位を占めるところの仕事でありまして、例えばいわゆる二つの世界というようなものを一つ世界にするといつたことにおいても、こういう基礎的な交通関係が最大の前提要件となるわけであります。併しこうした通信だけでは特定の個人とか団体とかの間の意思の交流を図るというに過ぎませんが、いわゆる新聞プレスというようなものは、こういう通信交通等手段を利用いたしまして、その目的とするところの社会成立社会の団結というものを更に広く強力に果すわけであります、従つてこの新聞電気通信とは相待つて我々の社会結合になくてはならない非常に重要な機能だと思うのであります。アメリカのプルツカーという人が最近出しました本においても、いわゆるジヤーナリズムというものはアメリカ政府の第四番目の機関である、機能であるということを言つております。即ちほかの三つは言うまでもなく、立法、司法、行政でございますが、その第四番目の政府機能として、ジヤーナリズム機能ということを挙げておりまして、その中に報道がなければ議会も、大統領も、裁判所も活動することはできないというようなことも述べております。又最近第二回の留学生がアメリカに派遣されて、各地で予備教育が行われておりますが、その憲法講義等日本の、学生に対してこれと同じようなことを予備教育で行われておりまして、アメリカではこういう事実が十分に認識されておるのであります。これは憲法の明文に書いているわけではありませんが、そのような社会的な作用を十分に認めて、社会的事実として確認しておるわけでございます。このような新聞社会的作用があるのでございますから、これは警察とか、消防等という、そういう機能の一部の破綻を生じた場合に、これを是正するという機能よりも先に来る基本的な働きであるというふうに考えるのであります。こういう点に将来とも十分御認識を得て、こういう電気通信の問題の処理に善処されんことを希望する次第でございまげ。
  6. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。次に亀井信次郎君にお願いいたします。
  7. 亀井信次郎

    参考人亀井信次郎君) 私はこの案に対しまして賛成をいたすものであります。その理由として申上げんといたしますることは、先ほど渡邊さんがお話になつたことと全く同感でありまするので、私ここに申述べることを略さして頂きます。更に裏付けの要望に対しましても、大体に渡邊さんのお話になりましたことに同感いたしておつたものでありまするから、これ又略さして頂きまするが、私実は団体を代表いたしております関係上、私のなぜかく賛成をいたしたかということにつきまして、少しく委員長よりお話になりましたことに外れる心も知れませんけれども、成るべく簡単に申述べまして、その理由を御了承を頂きたいと存ずるのであります。  私どもの横浜は、御承知のごとく軍の占領は勿論でありますけれども、軍司令部の所在地といたしまして、国家の代表といたして六年の間その任務を盡して参りました関係上、国家としてのその施設は、他の土地に劣らない程度に復旧をされたということになつておりましようけれども、百万に近い市民に対しまして、只今電話の開通いたしておりますものは一万程度であります。これに対しまして軍に使用されておるものが、殆んどそれに近いのであります。而も機械その他の設備につきましては、軍の使用のほうに重点をおかれております関係上、民間の使用いたしておりますものに対しましては、修繕その他は極めて劣つておりまする関係上、相手を呼出しましても、しよつちゆうそれは目的の違うところが出るような関係上、料金は常に用をたしたその倍若しくはその三倍を、知らずのうちに要しておるような次第であります。更に又私どもの土地の使命といたしまして、東京都の関係が非常に多いので、東京都の通話におきましても、普通の料金を以てする、普通通話を似てしては午前中、朝の間早くに申込みました電話は、普通の料金を以てしては終日その通話は得られないのであります。当然ここにあります倍額の至急報を以てしても半日ぐらいはかかるのであります。そこで特急という制度、即ち三倍の料金を以てして漸く用をたすのでありまするけれども、これ又汽車で東京に足を運んだほうが早いような状態でありまするので、かくのごとき状態では到底終戦後六年たちました今日、横浜の復興は到底期待できませんので、どうしてもそこで市民の声といたしまして、どうかして局を増設をしてもらいたい、この局の増設もすでに政府におきましても計画はありますなれど、延び延びになつております関係上、電話の新規な開設を希望いたしておりまする者が、只今のところで一万数千の数に達した。申込がそのくらいになつておるような状態で、その申込人は一人当り二万円程度の金を醵出をいたしまして、そうしてこれを市に提供をして、その局舎の建設を希望しておるようなところまで、状況が追い迫つております関係上、私どもここに参りまするにつきまして、団体でありまする関係上、団体の機構に諮りましたところが、今日の場合値上げは余儀ない、で、この機会にこの事情をよく申述べて、そうして速かに市によつて、局舎を提供する分について開設の速かならんことを希望するようにというようなことに実は申合せをした次第であります。かくのごとき事態で、この問題に対しましては、私は賛成をいたす次第であります。なおその上に、裏づけの要望に対しましは、私は極めて嚴密な意味におきまして、希望をいたしますることは、申すまでもなく従業員各位の何と申しますか、率直に申せば堕落によりまして、非常に能率の点について、殊にサービスというようなことにつきましては著しく低下いたしたままになつておりますので、この面に対して十分の実施につきましては御考慮を頂きたいのであります。取りわけ海外の電信等につきましては特にその誤りが多いために測らざる損害をこうむることが非常に多いのでありまするので、技術者等につきましては相当の御考慮が切実に要望されておることを御了承を願いたいのであります。私の申述べんとすることは、これで以て終るのでありまするが、繰返してどうか設備の改善ということについて折角値上げについて賛成をいたすのでありまするからして、これに対する裏付けにつきまして十分の御考慮を願いたいということを繰返して申上げまして、終ることにいたします。
  8. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。次に小林光次君にお願いいたします。
  9. 小林光次

    参考人(小林光次君) 私が小林でございます。今回の電信電話料金値上げにつきましては、私も遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。一般論といたしましては只今江尻さんのお話につきまして私もこれに全面的賛成をいたすのであります。御承知の通り我が国の現在の経済状態から見まするというと、各方面が未だにアンバランスになつておる。このアンバランスを是正して行きますにはどうしても合理化した経営をなさなければやつて行けないにもかかわらず、今回政府が悪循環を率先して行うというような状態におきましては、私は全く賛成できないのでありまして、細かい点につきましては私は述べることを遠慮いたしまして、一言ここに証券業者という立場におきまして述べさして頂きたいと思います。  証券関係におきましては、戰前におきまして約七十年の歴史を持つておりまするが、当時の証券関係は殆んどその売買の七割はスペキユレーシヨンになつておつたという状態である。然るに戦後におきましては殆んどスペキユレーシヨンも皆無になりまして、全部売買が普通取引と申しまして現金の売買になつておるのであります。かような状態でありまして、この証券取引所の使命が産業資金の調達、資金の蓄積、投資家の保護と、この三点におきまして全面的にこれを行なつて参つたような次第であります。御参考までにちよつと売買の点につきまして申上げますれば、戰前におきましては証券が約四百四、五十億あつたのでありますが、そのうち財閥が二百五十億ぐらい持つておりますので、売買の対象になるものは二百億ぐらいしかなかつたのであります。然るに戦後におきましては、現在私の関係しておりますところの証券取引所だけにつきましても公称資本といたしまして千五百八十億、株数にいたしますると二十八億株ということになつております。御承知の通り戦後財閥解体による証券民主化の関係からいたしまして、現在株主の数といたしますれば約千五百万人というような状態なつておりますので、どうしてもこの資金の蓄積、産業資金の調達をいたしまするには、これは飽くまで証券の民主化を図らなければ我が国の経済界は殆んどいけないのじやないかというふうに私は痛感いたしておるのであります。勿論この点につきましては他のいろいろな客観情勢もあることでありまするから、一様にこの通信のみに関係することではないのでありまするけれども、証券業者が大口需要者といたしまして、如何に全国的に証券業者が使つておるかということを簡単に申上げますれば、現在日本の証券業者が約八百八十社ございまして、この八百八十社の経営をいたしておりますものにつきまして、通信費がどのくらいかかつておるかと申しますると、大体東京におきましては営業費の平均七%になつておる、地方は一一%乃至は二一%ぐらいの状態なつておる。アメリカは僅かに三%に過ぎない。最近投資信託が開設いたしまして本年だけで恐らく百億を突破することと思うのでありまするが、この投資証券の関係などは殆んど通信によることでございます。一流の大証券会社は多いところでは営業費の三〇%、少いところでは二〇%も使つておるというような状態でありますので、これを先ほど江尻さんからもお話のような工合に実に十五割も一挙に上げるということは、誠に我々から考えますと、少しく乱暴過ぎるように……、乱暴という言葉は悪かつたので訂正いたしますが、余りに高度に上げ過ぎやせんかというふうに考えるのであります。然らば証券関係におきまして顧客の手数料を引上げたらどうかという御議論もあるかと思うのでありますが、先ほど申上げました通り、この証券関係ほどアンバランスのものは、これは他にないように考えられます。御承知のごとく現在東京電力を初め電力会社が五百円の拂込に対しても、その拂込額を割つておる。証券民主化運動におきまして各方面に呼びかけて参つたのでありまするが、証券は昔の五十円が未だに五十円の拂込になつておりますので、ピース一個と同じだということすら殆んど全国的に知られておるような状態であります。この証券の僅かの価格に対して手数料の引上げというようなことになりますると、これは大きな投資家に対して迷惑をかけることになります。殊に証券業者の大半は、この引上げによつて恐らく経営が相当困難に陷るのじやないかということを痛感いたしておる次第であります。  かような点からいたしまして私どものほうも、この証券取引所が公共性を帯びて来たというような工合で、いわゆる競馬や競輪の事業とは違つておるのでありますから、従いまして市外通話とかいうような問題につきましては成るべく放送協会とか、或いは新聞社並にこれをやつて頂きたいということは、私どもの大いにこれはお願いしなければならんところであります。かような次第でありますので、今後証券関係が如何に証券の民主化を図らなければならんか。先ほど申上げます通り、現在東京だけで二十八億株、今後更に株数がどんどん増加して行く、資産の再評価によりましては恐らく三十億株には今年のうちになるのじやないか、恐らく来年になりますれば相当額の株式が増加して行くと、こういう点につきましては財閥のない今日におきましては、どうしても民主化を図つて行く以外にはもうすでに方法がない。これは証券関係といたしまして重大問題でございますので、どうかその辺につきまして十分なる御考慮をお願いしたいと考えるわけであります。併し先刻渡邊さんからのいろいろのお話も、誠に一応御尤もの点もございますので、どうしてもこれは政府において値上をしなければならんというような状態であつたといたしますれば、この大口需要者に対しては逓減制を布いて頂きたい。如何なる事業にいたしましても大きな売買、その他問屋業におきましても大量の売買につきましては或る程度の逓減制が布かれることが当然ではなかろうかというふうに考えますので、この電話料金値上げに対しては私は反対でございますが、政府がどうしてもこれをおやりにならなければならんということでありますれば、これに対しては飽くまで一つ逓減制を布いて頂きたいということが、私の本日お願い申上げる趣旨であります。本日は、私は誠にお話申上げることが下手でございますので、お聞き苦しい点があるかと思います。衆議院のほうでは午後一時から本会議にかけられるというような状態がちよつと新聞紙上で見受けられておりますが、衆議院のほうには遺憾ながら私は公聽会に出席することができなかつた次第でございますので、本日は我々証券関係者として本委員会に出席して、事情を申上げることのできましたことは、委員長に対して特に御礼申上げまして、どうか今後よろしく一つ御配慮を願いたいということで私の話を終ります。
  10. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。次は岩澤寛一君にお願いいたします。
  11. 岩澤寛一

    参考人(岩澤寛一君) 私は、御列席の皆様のように公共性のある仕事に携わつているものでございまませんで、全く私企業であります。強いて言えば貿易をやつておりますから、ドルを取つて来るので、日本の経済に役立つのだということは言えないことはありませんが、そういう意味から言えばどんな事業でも皆公共的なものでありますから、先ず第一に私企業の建前から話を申上げまするという一つ前提を置かせて頂きます。もう一つ前提をさせて頂きたいのは、私は極めて小さな会社でありますから、何本もの、たくさんの電話を持つて仕事をしているのではありません。私の使います電話に限つての話を申上げますので、或いはそれは普遍妥当的な意味を持たないかも知れませんが、日本橋局に一本、それから埼玉県の浦和の自宅に一本、群馬県の桐生に一本、この三本の電話を比較的数多く使つている一人の需要者という建前からお話申上げますので、その点あらかじめ御了承おき願いたいと思います。  このたびの値上につきましては、私遺憾ながら不賛成でございます。それはこれから申上げますいろいろな條件が若し満たして頂けるならば、むしろ双手を挙げて賛成なんでありますけれども、恐らく満たして頂けないと思いますから不賛成を申上げるのであります。で、我々が常日頃電話を使つております際に、電話器に向いましてこれを利用するのでありますが、その際に利用の方法を分けますと、先ず長距離電話であります。この長距離電話は先ほど亀井さんからお話がありましたが、むしろ今回我々が使つております特急と呼ばれているものが普通の状態でありまして、朝七時にかけた普通電話は、おおむね夜九時過ぎなければ群馬県の桐生は呼出せないのであります。普通急報で、いわゆる急報と呼ばれるものでありましても、朝七時頃かけましたものは午後の三時ぐらいが通常であります。勿論例外はあります。特急でかけまして、大体各会社がオフィスが開いておりますときに二時間乃至三時間、これが常態でありますので、桐生までは汽車で参りまして正味三時間でありますから、普通扱いの長距離電話をかけますならば、行つてつて来ても電話が出ないというのが常態であります。なお電報のほうが遥かに早い場合が極めて多いことを御了承おきを願いたいと思います。それから準即時でありますが、これはもう今日私はむしろ廃止して頂きたいのでありまして、皆さん大きな会社や役所のかたは、交換手を呼出されて、交換手に先を呼出させておられますから、御自身御経験がないと思いますが、我々のように小さなものは自分でダイヤルを廻します。一一八番を廻しまして三十分以内に出たら私は懸賞をかけてもいいと思います。(笑声)そういう状態でありますので、これはもうやめて頂きたい。むしろ一一八番で受取つておいて頂いて、待つていたほうが遥かに事務能率が上るのでありまして、この点は特に何とか御考慮を願いたいと思うのであります。それから市内通話でありますが、これは極めてひどい経験を味わつているので、実は昨日一日会社の者に頼みまして統計をとつて参りました。私のほうから呼びました回数が四十二回、そのうち一度で通じたものが二十一回であります。あとの残りは二度乃至三度違うところが出て、やつとその次に本当の自分の呼びたい番号が出る。而もダイヤルは、特に昨日は話しておきまして念入りに廻させて、間違いのないようにやつてつたのでありますが、そのような状態であります。このようなことでありますので、我々の私企業の立場から申しますれば、電話料金というものは、電話通話サービスを買取つているのでありますが、その買取つているサービスがかくのごときものであるとするならば、どうして普通の商売の観念から言つて、その値段が上るということは到底考えられないことだろうと思います。電話のかかります際の、もう一つは故障の問題であります。この故障の問題は、実は現在私自身が非常に困つている問題があるのですが、具体的な例で申上げますると、市内通話の場合には、只今の間違つた番号が出るということを除いては、通話は完全にできるのでありますが、市外にかけました場合に、どういう故障か私技術家でありませんからわかりませんが、大きな雷のような音がしてぽつつと話中に切れるのです。切れるだけなら又繋いでもらえばいいが、交換手になぜ切つちやうかとどなりつけられる。そうしてその状況を昨日調べて見ました。私のところは電話通話簿をつけておりますから調べて見ました。一一三番に十一回お願いしてあります。一一三番にたびたび申訳ありませんと頼むと、市外の故障は別な係で、そのほうに伝票が廻してあるから直しますという答えを受取つてから、すでに六回、それで未だに直らない。而も商売の関係で一日に少い日でも三、四本は桐生に向けて電話を入れておりますので、その不便誠にやり切れなくなつているような状態であります。どういう関係かわかりませんが、桐生局の交換手がつかまえられたときに、あの忙しいときに桐生の局ですかとつかまえられたときに故障の原因はよくわかつているのですが、これが直らない。この故障に対するところのサービスも誠に今日の状況は低劣を極めていると、私は思うのであります。もう一つ我々が電話機に向いましていろいろ問題になりますことは、東京からですと市外通話それから準即時通話、それから桐生の場合ですと桐生の市内における通話など、これが該当するのでありますが、交換手の応待の問題であります。で、一体我々が電話市外を呼んだり、或いは交換手に電話番号を頼みます場合に、こちらは一つの番号を考えて頼んでいるのでありますから、若し間違いが起るとすれば相手の側に起る場合が多いことは、これはおわかりだと思う。相手は何しろ非常にたくさんの番号を扱つているのですから、間違つた場合に、間違いを我々が咎めようとは思いません。人間ですから誰しも間違いがある。ところが自分のほうで間違つていながら、どなりつけるということが極めてしばしばある。殊に桐生局のごときは最近何か聞くところによりますと、自動局になり、この交換手が要らなくなるという話があるそうですから、そのためにサービスが悪いことは天下周知の事実でありまして、一度間違つた電話を継ぎ、君のほうが違つたと言えば、今度は受話機を外して何十分待つても出て来ない。この事実は桐生地方を御調査願えるとすれば直ちにわかる事実であります。受話機を外しても交換手が出なければ電話がないのと同じであります。このようなサービス状態をとくと御認識を願いたいと思うのであります。殊に不思議な事実なんでありますが、浦和から東京を呼出す、いわゆる準即時の場合、一一八を廻しまして、完全に信号が行つてつても、夜七時を過ぎますと十分乃至十五分交換手が出て参りません。これはどういう関係か、機械が悪いのか、勤務者が悪いのかわかりませんが、このような事態も、中央のお役所のかたには恐らくわからないと思います。直接電話を使用する者にとつては、身に染みて非常に不愉快なサービス状態だと思うのであります。  大体以上のような事実を考えましたときに、サービスの改善というものは今日のような官僚的な、ビユーロクラシーの下において、私は容易にこれが改善できるものだとは考えられませんし、又設備の不完全さから来る我々に対する低劣なサービスの改善をするのには、到底このような僅かな料金値上げを以てしてはできないであろうことは、素人の我々にも想像がつくのでありますので、従つてこの料金値上げによつて、今日のサービスが何ら改善されないとするならば、我々は今までと同じサービスでは高い値段と言わなければならないのでありますから、当然のこととしてこれは反対せざるを得ないのであります。大変お聞き苦しい、悪口のようなことばかり申上げましたが、最後に電信でございますが、この電信のほうは電話の場合と違いまして、我々は非常に感謝しております。殊に国内電報の場合には、非常に配達も迅速になりましたし、又「電信電話早わかり」という、あの電気通信省でお出しになつている表に載つている配達予定時間というようなものが極めてよく守られております。のみならず、例の「朝日」の「ア」で電報を託送する場合におきましても、出て参りますほうの男のかたに限らず、女のかたも極めて鄭重な扱いで正確にやつて頂きますので、このほうはむしろ私といたしましては料金を上げて頂いても、喜んで賛成できる部分であろうと思うのであります。  以上の点が私申上げたいところでございますが、只今申上げましたような諸般の点が改善せられるということが保障せられるならば、私はこのたびの料率よりも更に料率を大いに上げても無論賛成いたすのでありますが、今日の状態からすれば、それが不可能であろうということが推定せられまするので、この値上げ反対する次第であります。
  12. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。  次には渡邊斌衡君にお願いいたします。
  13. 渡邊斌衡

    参考人渡邊斌衡君) 結論から申しますと、私は本案に賛成のものであります。すでに賛成者も数名ございまして、いろいろおつしやいましたので、もう私から特に申上げることもないと思いますが、一言蛇足を附加えさして頂きますと、現在この日本電話の工合が悪いとこういうは、遺憾ながら内外に定評のあるところでございまして、先般の日本タイムスにも、或る外国人が日本電話の悪口をうんと書きまして、先ず第一に電話というものは机の上の飾り物じやないところから書き出しまして、如何に悪いかということを書いたのがございますが、どうして工合が悪いかと申しますと、要するに設備、即ち電話機と交換機或いは電話線等の機能の不完全、或いは陳腐化というようなことがあるかと思うのでございますが、本当の原因は数量というものの、絶対数が足りない。つまり日本じやもつと電話が欲しいのだ、それに対して数量が足りんということになると思うのでございます。先ほどの渡邊さんの御説明によりますと、現在の日本電話総数は百二十四万というふうに伺いましたが、これは丁度アメリカのロスアンジエルス一市の電話の数とほぼ同様だと思うのでございます。GHQのCCSの人なんかも、日本はどうしても五百万くらいは電話が必要じやないか。まあアメリカから考えても三百万くらいは必要じやないかというようなことを言つておられるようでありまして、伺うところによりますと、本年度あたりこの電話を開設したいという希望者が七十万くらいあるとかいうふうなのでございますので、この三百万或いは五百万という数字も全然架空な数字じやないのだろうと、こういうふうに思われます。従いまして米国ではこの電話機一台当りの通話数というものが千三百十回くらいだそうでございますが、日本じや約三千回になつておるということでありまして、これはよく言えば非常によく電話というものが利用されているということになるのでございますけれども、半面から言いますと、非常に虐待されているということになりますので、先ほどからいろいろおつしやつているように、電話がうまくかからないということになるのだろうと、こういうふうに思つておる次第でございます。従いまして、こういう過度に使われております結果、通話完了率というものが非常に低いという事実は申上げるまでもないことだと思います。例えば曾つて我々が茅場町局の管内のほうに電話をかけようと思つて、六六というダイヤルを廻すときに、一遍でかかつたら奇蹟だと思いながら、そのダイヤルを廻すというのが実情つたろうと、こう思うのであります。併しそれが兜町に局ができましてから、兜町局は勿論のこと、又よそのほうからかける人も非常に助かる。又伺いますという、本所局というものが新設されましてから、その附近の局の通話完了率というものが、二五%から七五%に上つておる。つまり今までは四回かけて一回しか本当にかからなかつたのが、今度は四回ダイヤルを廻せばそのうち三回はかかるということで、これはやはりあらゆる面においても数量を殖やすということが必要だろうとこう思うのであります。で、これが数量を殖やすというためには、而もそれを早くするというためには、できるだけ多くの金を投資しなければならんということになるのでありまして、その意味から申しますと、料金の値上というようなものはほんの九牛の一毛ということになるのだろうと、こう思うのでありますが、併し電通省としましても、この独立採算制というものをおとりになる以上は、これがその九牛の一毛であるか否かは別問題といたしましても、そのサービス料と言うか、手数料と言いますか、これを妥当なものをおとりになるということが是非必要なんじやないか、こういうふうに思うのであります。現在のこの料金というものが一般物価の上昇率に比べますと、非常に低いということは、これは御提出になつておる資料でよくわかると思うのであります。飜つて少いということを考えて見ますと、一体この度数制というものが初めてできたときは、確か三銭で、普通の封書も三銭で一緒だつたんですが、それが現在はこの度数制の一回が二円で、それに対して郵便は八円ということになつております。又聞くところによると、米国でも度数制は十セント、また十五セントの所もあるそうでありますが、そういたしますと、これが三十六円、或いは五十四円ということになりますので、ここら辺を思い合せて見ましても、この料金の引上ということは止むを得ないことなんでありまして、妥当なことなんじやないか、こういうふうに思うのであります。勿論値上は国民の懐工合に響くことは申すまでもないのでありますが、国民所得に対する比率というものを見ますと、やはり一%までにならないじやないか、こう思うのであります。それから各企業というものについて見ましても、特殊の大事業を除きますと、原価のうちで電話料金の占める率というものは同じく一%までに至つていないように我々は思つておりますので、これらは何かの工夫によつて或る程度の値上りの影響を消すということができるのじやないか、いうことふうに思つております。従つてこの全般的に申しましても、節約その他によりまして、この値上りの影響というものは消えるのじやないか、こう思うのでありますが、余りオーソリテイのある数字ではないのでありますが、数年前に我々のこのエステイメーシヨンでは電信電話というものが、非常に不便のために先ほどからお話の出ておりますように、そういうものをかけておるより人が行つたほうが早いといつたようなことで、地方へ人が行つたり来たりするということで、このために汽車等も不必要に込み合うということもあるのでございます。商社だけの出張旅費が約四百億くらいということを見込まれたわけでありますが、この電話の質と、通話の質というものがよくなるということになりまして、人の動きというものが減りますというと、通話に対する支出というものは殖えるかも知れませんが、旅費といつた方面の節約というものが又考えられるのじやないか、こういうふうに思つております。まあ実際利用者から申しますれば料金もさることながら、質の改善、完全な通話のできる電話を望むということが多いのじやないか、こういうふうに思います。殊に東京近所の都市のかたで、電話が不便なんでどうも店をここで持つているわけに行かない、余り東京と通話なんかの多い人はむしろ店を東京へ移してしまおうというようなかたもあるというふうに伺いますので、そうなりますとこれはもう銭金の問題じやないというふうに考えられるのでございます。それから私は電話交換機というようなものを造つておりますメーカーでございますが、一言メーカーの立場を申上げさせて頂きますと、昭和二十一年の九月にマル公ができましたときを基準にしてみますると、現在我々が収めております有線通信機の価格というものは九三三%になつております。つまり九倍強上つておるということになるわけなんですが、その期間におきまする金属及び金属製品の値上りというものは二九七六%つまり二九・七六倍、約三十倍になつておる。一般物価も又約三十倍上つておるということになりまして、我々の最大且つ唯一というべき電通省も予算が十分でないということで我々のものを思うような値段で買つて頂けない、こういうような状態なつておりますので、実はこの値上げのような問題につきましても、我々としては先から度数制電話料金といつたようなものをむしろ上げて、少しでも独立採算の趣旨に適うようになさるべきじやないかというようなことを言つておりましたので、或る意味においてに値上にに賛成どころじやなく主唱者みたいな形になつておりますので、甚だ恐縮ですが、メーカとしての実情を一言附け加えさして頂きます。
  14. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。次に清水康雄君にお願いいたします。
  15. 清水康雄

    参考人(清水康雄君) 申上げます。この問題につきましては、東京の商工会議所でまだ皆さんにお集りを願つて意見の聽取をする暇がございませんので、今日申上げることは私副会頭個人としての意見とお聞き願いたい、こう存ずる次第でございます。この改正要綱にありますように、定員の整理或いは経営合理化、その他極力経費の節減を行うもなお本年度六百十六億を要し、差引き百二十六億円の不足を生ずるということでございます。これは皆様も先ほどからいろいろおつしやつたように、経営合理化その他を額面通りのものといたしまして、結局百二十六億円の赤字が出る以上は料金値上げは或いは止むを得ないんじやないかというふうにも考えられるのでありまするが、私ども、これを今日只今すぐ料金値上げによつてカバーするにつきましてはいささか反対なのであります。それは皆様申されたように、非常にインフレーシヨンに拍車をかける悪材料が山積しておる時期なのでありまして、この際に又政府事業でありまするものを、立て続けにお上げになるということは、インフレーシヨンに拍車をかけることになりまして、いわゆる悪循環のもとになるのではないか。民間事業ですと、どうもこれはものが値上げをしなければ採算がとれないときは止むを得ず上げまするが、官のほうのお仕事は大きな意味における国策、国の財政、或いは大きな意味におきましてものをお上げになる時期を適当にお選びになつたらどうかと思います。この半年の間いろいろなものが上りまして、特に又米の統制撤廃の問題もありまして非常な不安に駆られておる際に、これは少し延ばされたら如何かというふうに考える次第でございます。その間の足りない資金は借入と申しますか、繰入と申しますか、何か別法を以ちまして一時穴埋めをしまして、時期を見て値上げをなさつたらよくはないか。こういうふうに考える次第でございます。  又、我々企業者といたしましては立て続けにものが上りますというと非常に営業上に困るのでありまして、ものが上りましても少し時期がたちますとその値を消化いたしまして、それを商品なら商品の値に含んで参りますので、その含まないうちはその商社といたしましてはいわゆる利益に喰い込む、つまり営業費が膨脹するわけなんでありまして非常に苦しいのであります。これは少したつとこれを消化して参るのであります。立て続けに上げますと消化する暇がない、それを転嫁する暇がない、こういう問題でございますが、又聞くところによりますと来月からはガスも一割何分か値上げということでありまして、次々に上りますので、大業者は勿論中小業者もあらゆるものの急ピッチの値上げ経営上非常に苦しいのであります。どうぞこういう点も勘案されましてすぐの値上げは少し無理ではないかというふうに考える次第でございます。簡単でございますが、ちよつと意見として申上げます。
  16. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。次に鈴木強君にお願いいたします。
  17. 鈴木強

    参考人鈴木強君) 私は全国電気通信従業員組合の十三万の組合員を代表いたしまして、電信電話料金法の一部を改正する法律案に対して意見を申述べ委員各位の御参考に供したいと思います。  先ず、私は案件に対する具体的な料金改正の意見に入ります前に、私ども率直に従業員組合側から見ました現在の電気通信事業の実態につきまして申上げてみたいと存じます。ただ特に委員各位には或いは電気通信事業の問題につきまして特に平素御協力を頂いておりますし、更に深い経験と知識を持たれておりますので、私くどくどしく申上げるというような気持はございませんが、ただ特に私どもが主張したい点だけについて簡単に申上げたいと存ずる次第でございます。電気通信事業は運輸交通事業と同じように、いわば人間の神経系統にも匹敵するような事業でございまして、国の政治、文化、経済、或いは産業等の各分野は勿論でございますが、我々日本国民の日常生活の面におきましてはなくてはならない公共性を持つた重要な国家の独占事業であるように考えているわけでございます。この事業が今日まですでに発足いたしましてから八十二年の永きに亘りまして、我が国の発展伸長のために果して参りました先駆的使命というものは誠に大きなものがあつたというふうに確信しているわけでございます。併しながら今日の電気通信事業経営の面、或いはサービスの面、施設の面を見て参りますならば、遺憾ながら非常に憂慮すべき状態に立至つているということを申上げなければならないのでございます。即ち先ほど渡邊さんから御意見のございましたように、第二次世界大戰の敗戦がもたらしました結果といたしまして、我が電気通信事業に対しましても致命的な打撃があつたことは事実でございまして、終戰直後通信施設というものは局舎の施設にいたしましても、或いは全国隅々まで張りめぐらされておりますところの電信電話の回線にいたしましても誠に四分五裂いたしまして麻痺状態に陷つたというふうに申上げても過言でないというふうに私どもは考えております。この状態の中にありまして私どもは何とかこの電気通信事業を再建しようじやないかという考えの下に、組合といたしましても一致団結いたしまして、いわゆるインフレ生活苦にあえぎながら事業愛に燃ゆる一念からあらゆる困難を克服して今日までやつて参りました。その間特に電気通信省になりましてから、大臣或いは次官以下省首脳部の各位の尻をひつぱたきまして、とにかく努力はいたして参つたつもりでございます。幸いにいたしまして、終戰後すでに六年このかた国民各位の協力もございまして、やつと戦前の水準に近いサービスを皆さんに提供することができるところまで漕ぎつけたのでありますが、併しまだ先ほどから御意見がございますように国民の皆さんからの事業に対する痛烈な批判、又サービスの改善に対する熾烈なる要望というものは誠に大きいのでありまして、これらの批判要望を充たすために私ども満足なるサービスを提供することについての確信を問われますならば、遺憾ながら現在のあらゆる悪條件の下におきましては、率直に申しましてよほどまだ前途ほど遠しの感があるというふうに申上げなければならないのでございます。私ども従業員組合といたしましては、今後とも勿論皆様の御要望に副うべく官とか組合とか言わずに、一生懸命やつて行くつもりでございますが、特にこの際申上げておきたいことは、現在の電信電話の機器或いは施設というものが渡邊さんの御指摘になりましたように本当に老朽化しておるわけでございまして、中には耐用年数を相当にオーバーいたしまして酷使しているような機械もあるのでございます。それから戦時中、或いは戦後非常に資材が粗悪でございまして、故障が多かつたのでございます。こういうふうな中で私ども従業員が日々山積する通信業と取つ組みまして、日曜も祭日も盆も正月もなく、晝夜を分かたず業務に取つ組んでいる我々従業員の立場というものは、現在の給与の問題、或いは作業條件の問題等を考えますときに、非常に困難なものがあることも一つとくと御諒察を願いたいと思うのでございます。このことは言葉を換えて申上げますならば、機械が古いために私ども従業員は自分の技倆の最大の能力を上げましても、機械が思うように動いてくれません。従つて一〇〇%私どもの最善の努力をいたしましても、如何せん九〇%或いは八〇%というような能率しか実際には上つて参らないのでございまして、この間の一〇%或いは二〇%のギヤツプというものが、我々従業員或いは故障に対する批判として国民の皆様から出しておることは事実でございます。こういうような状況の中で、私ども、今回の行政整理等もこの関係の中に入つておるようでございますが、少くとも私どもの現在の定員と言いますが、例えば一年にある年次休暇の補助定員とか、或いは生理休暇に必要な定員、或いは電信電話等の各回線を担当する回線数といいますか、そういつたものをいろいろ基礎にいたしまして算定されておるわけでございます。ただ單に従業員側の能率ということだけを考えて、若し人員を算定するとするならば、そういつた矛盾が現在あるわけでございます。そういうような基礎の上に立つならば、非常に私ども現場の定員というものが不足して来るわけであります。私ども十分間の休憩或いは二十分の休憩すらもらえずに、実際馬車馬のように働いているというのが事実でございます。従いましてこういつたことは、やはり施設、機械が老朽化しておるということでございまして、私どもが幾ら努力いたしましても、サービスの向上を阻んでおるというような原因があるのでございますし、更に従業員に対しては必要以上の神経を使わせることになりますし、又努力を要求することになるのでありまして、こういう点につきましては、どうか一つ深い御認識を頂きたいと存ずるわけでございます。私ども組合といたしましても、真剣に電信電話の再建の問題については考えております。今年の二月には銚子で第一回の中央委員会を開きましたし、更に七月には甲府で第二回の全国大会を開催しておりますが、その際にも私ども従業員の待遇は非常に悪い、併し何とかして国民の皆さん方の要望に副うべく電信電話を再建しようじやないかというこの涙ぐましい考え方の結集が、電信電話再建闘争という形で決定を見ております。今日もなお私どもはこの再建闘争を闘い続けておるわけでありますけれども、私ども今から申上げる次の数点につきまして、若しこの実現方が遷延するならば、非常に事業としても大きく影響がございましようし、今後皆さんの期待するようなサービスの提供は、非常に困難であるということを率直に申上げておきたいわけでございます。  先ず第一に申上げておきたいことは、先ほど申上げましたように非常に老朽化した機器、施設、こういうものがあるのでござまいして、一日も早くこれらを更新改善し、更に多数の……、例えば電話を本年度七十数万個の申込に対して、予算上、資金上、補正予算を組みましても、僅かに十万個程度の需要にしか充てられないような状態でございまして、こういう面からの設備を更に擴先強化し、サービスを向上するということが非常に必要でございます。このためにはやはりそれに必要なところの建設資金というものを大幅に獲得して頂かなければ、所期の目的は達せられないように考えるわけでございます。  更に第二点といたしましては、電気通信事業のごとき企業官庁におきまして、現在施行せられておるところの予算、会計の問題についてのことでございますが、率直に申上げままして、予算、会計制度というものが、企業に即応していないということであります。従つてこれを一日も早く改めて頂きたいということを私ども申上げておるわけでございますが、現在の一般会計に対して適用するところの基本法である財政法或いは会計法というものが非常に不合理であります。予算の編成に自主性がないというようなこととか、或いは継続的な事業でありながら会計年度の制約を強く受けているということ、或いは建設費に関する継続費制度が認められておりませんので、大企業であるところのこの電気通信事業に遺憾ながら長期継続計画というものもできないような実態でございます。更に予算使用の制限、強力性、それから認証制度或いは計算証明制度、契約方法等につきましても、いろいろ非企業的な制約がたくさんあるわけでございまして、私どもは是非ともこういつた面を企業に即応した形に改正をして頂かなければならないということでこれは強く要望しております。  更に第三点としましては、現在の機構が非常に複雑でございます。これは御承知の通り一昨年電気通信事業が発足をしたわけでありますが、アメリカからの指導も受けたわけでありまするが、いわゆる日本の現在の実情に副わないということを組合としては率直に考えておりまして、当初からこの機構については絶対反対をして参つたわけでございます。今機構はいわゆる五段階を持つておりまして、本省から現場末端に行きますまでは非常に管理部門が多くなつております。従つて官庁の特性であるところの事務処理というものが非常にこういつた形の中では敏速を欠くということを考えておりますので、私どもやはりこの管理部門は或る程度簡素化しまして、本省の考え方が直ちに現場に伝わり、現場の考え方が直ちに本省に伝わるというような形のものを是非とも考えて頂かなければならないであろうということを強く考えております。特にライン間の連繋は非常にうまく行くようでございますが、遺憾ながら横の連繋というものは非常に欠けております。そういつた点からやはり非能率的な部面が出ておるということを痛切に感じておるわけでございまして、私ども世上聞くところの電気通信事業の公共企業体化ということにつきましても、先般の松山全国大会におきまして真剣に討議いたしました結果、やはり現在の電気通信事業というものは、私ども組合として考え社会化の方向に逆行するものではないか、いわゆる国有国営という形自体は、私ども社会主義を念願しておる者としては肯定するものではございますけれども、遺憾ながら資本主義社会における変則的な国有国営でありまして、いわゆる企業体としての立派な成果を攻めるには非常に不十分ではないか、従つて公共企業体という形もいろいろと国会におきましても、取上げられ決議されておるのでございますが、かような企業形態に対してやはり民営ということを前提にしない範囲で、何とか企業形態というものを変革して行つたらいいのじやないかというのが、私どもの大会の結論でございましたが、勿論いろいろと政府政でもお考えなつておるでございましよう。例えば電信電話を切り離すということがあります炉、これは私どもとしては絶対に反対でございまして、明治九年から発足いたしましたこの事業が、電信電話有無相通ずるところの連関性、切つても切れないところの連関性の上に立つて電気通信事業というものが運営されている以上、少くとも電話を儲かるからと言つて民営に移すことは絶対反対でございまして、更に電信電話を含めて、この公共事業を民営にするということに絶対反対をしておるわけであります。  次に第四点といたしましては、先ほど御指摘にもございましたように我々従業員に対する待遇でございます。現在私どもは一般公務員と同じような給与を支給されております。僅かに調整号俸を見ましても一号乃至二号昨年の暮までは一般の公務員より高い俸給をもらつてつたわけでございますが、これも政府の誠に理解ない考え方から一挙にこれが削減せられまして、今では全く一般の公務員と同じ形にありますので、これでは私ども先ほど申上げたように、本当に事業愛に燃えるこの考え方も、ややもすると勤労意欲というものが殺がれるような形になりますので、是非とも私どもとしては企業に即応したところの適正なる合理的な企業制度というものを確立して頂きたいということで、実はこれは本省、人事院、或いは国会の皆さんにも随分努力をして頂きました。幸い先国会におきまして、私どもの特別給与別表というものが院議として、特に参議院で決定をして頂きまして、その結果、人事院からは特に私どもとしては不満足でございますけれども、一応頭打を是正するという形の勧告が出ております。願わくば、私ども組合側が当初皆さんにお願いしておりますような、一般公務員より少くとも三号俸のアンプを考えて頂きたいというのが今でも私どもの要求でございますので、給与準則或いは給与別表の御審議の際につきましては、どうかその点を強く御留意頂きまして、私ども安んじて事業に専念できるような企業制度を確立して頂きたいと思います。なお現場の末端の職場を見て頂きますと、非常に労働環境が惑うございます。寝室もない或いは休憩室もない現場で営々として事務を執つている。我々の組合員は椅子を動かさなければ寝られないというような形の中で、狭いところでやつております。こういう点もどうか一つ早急に改善して頂くようにお願いするわけでありまして、こういつた要求を出しておるわけであります。  更に第五といたしましては適正なる料金制度をやはり決定する必要があるということでございます。これは先ほどからいろいろと御批判がございますけれども、国営事業でございましても、その事業自体が独立採算制を布かれて、收入によつて支出を賄うという事業の中におきましては、少くとも私はその作業がコストを割つてまでやるということについては多大の疑義を持つております。従つて若し公共性を強く要求する国民的な事業であるとすれば、やはり一般会計から或る程度の支出をして頂く、繰入れをして行くという形のものを是非とることが必要ではないか。これは勿論企業形態としての大きな形態の変革とも関連するのでありますが、現在の国営の中においては、やはりそういうことをして頂かなければ円満なる事業発展はできないのではないかと考えております。  第六点といたしまして、先ほどから申上げましたが、現場の定員が非常に少いわけでございますが、これは管理部門、或いは現場部門というようなパーセンテージの面を申上げてもわかるように、非常に現場の定員が少いのでございます。これは先ほどから非常に痛烈な批判がございまして、私どもとしても深く考えさせられたわけでございますが、やはり戦後の従業員の数というものは、私ども十四、五万近い従業員がいたわけでございますが、この中の大多数のものはいわゆる青少年、女子でございます。こういつた人たちが僅か九カ月或いは三カ月程度の暫定的な訓練を受けまして現場に配置されるわけでございまして、やはり能率と言いますか、熟練度といつた面は確かに低下しております。私どもはこの問題についても強く要求しておるのでありまするけれども、なかなか解決ができない現状でありまして、こういつた例えば三人おりましても実際には二人分の能力しか発揮できないということもございましようし、先ほどから申上げましたように、電気事業の特性からいたしまして、特別の技術を要する従業員は一朝一夕にはなかなか確保することができないのであります。少くとも昔は逓信講習所というものがありまして、ここで二年間或いは一年間で卒業して来ましても、実際に相当の能力を発揮して誤謬もない、而も間違いもなく正確な程度になるまでには三年間は必要であります。そういつた形でございますが、一朝一夕にできない。この従業員を而も機構そのものから考えましても、企業そのものから考えましても、更に擴充発展して行く事業に対して今回九千三百八十三名ですか、その程度の行政整理考えられておるようでありますが、こういつたことはもう少し事業の実態を考えて行くならば、ただ一律に現場二五%とか或いは現場は五%とか、或いは二〇%、そういつたふうの形で機械的に定員を整理するということについては非常に問題があるのではないかというふうに考えております。  更に最後に私は七点として、予算を合理的に使用して、少くとも国民皆さんに危惧の念を抱かせないように、不正の撲滅を十分期さなければならないというこの七つの事柄を、私どもは決定いたしまして、その後、大臣に宛てまして要求書として出しております。こういうふうなことを考えましたときに、やはり私どもとしてはこの七つの事項が、現在電気通信事業というものが私ども従業員がいろいろ努力しておるにもかかわらず、頭打の状態なつて皆さんの要望に副えないという原因になつておりますので、この事業が皆さんに御満足を頂けるように十分のサービスを提供するためには、少くともこの問題を早急に解決して頂きたいというのが組合の態度でございます。  大体以上のような私どもの現在の電気通信事業の概況を考えながら、今回の電信電話料金値上げ法案を考えて見ますならば、当然先ほどから御指摘にもありますように、労働組合の立場からいたしまして基本的な態度と申しますか、そういうものはやはり日本の経済情勢、或いは社会情勢、現在の段階において利用者各位の負担を加重するような、或いはインフレヘの高進に拍車をかけるような要素のある電信のみならずあらゆる諸物価値上げということについては反対の態度をとるということは勿論であります。特に電気通信事業公共性を強く要請をされるものについては慎重を期さなければならんと思うわけでございます。併し私どもといたしましては先ほどから申上げますように、事業の実態というものをよく承知しておる立場から申しまして、特に再建闘争というものを推進して行きます過程におきまして、やはり料金制度というものは適正なものを設定する必要があるのじやないかということを考えておりまして、いろいろその後組合としても調査機関を動員して作業を調べておるわけでございますが、今日遺憾ながら適正料金は果して幾らになるということの結論は出ておらないことは遺憾でございます。併しこういつた中で、私ども今回の料金改訂を十分検討をしてみますと、先ほど渡邊さんからも申されておりましたように、今回の改訂は本当に当面赤字を克服するだけの暫定的な姑息的な手段でありまして、もつともつと根本的な料金対策というものを考えて行かなければならないことは前段でも申上げた通りでございます。今回の料金改訂理由といたしましては、御承知の通り物価騰貴に伴う物件費増加給与ベース改訂による人件費の増嵩、これに伴う郵政会計への繰入額の増加減価償却の実施と保守の改善に必要な経費増加、こういうようなものになつているわけで、ございまして、電気通信特別会計の収支の中で運行されておる段階におきましては、現行料金によりまして本年度大体収入が四百九十億見込んでおりますのに対して、支出は六百十六億になりまして、差引百二十六億の收入の不足になるわけでございます。従つてこれによつて料金値上げし、この補充のために料金値上げいたして、その不足分を補つて行こうというのが今回の提案の趣旨であるように思います。先ほど江尻さんからの御意見もございましたが、誤解があつてはいけませんから私から特に申上げておきますが、いわゆる郵政会計への繰入れの問題でございますが、これは御承知の通り特定郵便局というものがございまして、本来ならば電気通信事業者が直接その事業を遂行しなければならない性質のものでございますが、全国に多数あるこの特定郵便局に直轄局を設けるというのは非常に困難な面もございまして、現在郵政業務としてお願いしているわけでございまして、そこに働く人たちは二十万人でございますが、そのうち五万人に近い人がいるわけでございます。この人たちの給与というものも電通省が賄つているというような実情でありまして、こういう点からも郵政会計の困難がありますので、この点も一つ御了解頂きたいと思います。私どもこの案を見ますときに、やはり率直に考えられますことは、私どもが今日まで指摘して参りましたいろいろな欠陷がございました。その欠陥をなぜもつと早く改めて成果あらしめてくれなかつたかということであります。更に今更申上げても愚痴になるかも知れませんが、若しこういう要求が解決しているならば、この料金値上げというものも国民大衆は相当の納得できる点があつたのではないかということを考えますと、非常に残念に思いますし、同時にいろいろ省も努力しておりますが、政府自体も企業官庁に対するこういつた欠陷を除去いたしまして、軌道に乗せる施策を生み出さなかつたことに対しては、私どもは非常に念懣やるかたないものがあるわけでございます。独立採算制の建前からいたしまして、特に私ども先ほどから申上げているように、一般会計からの繰入れによつて百二十六億円というものを賄つて頂くということを私ども強く要請するものでございますが、但しその問題がどうしても駄目であるならば、料金値上げによつてこの収支を補うということについては、又考えなければならないということについては、組合としてもこれを認めて、そして料金値上げについて賛成をしなければならないような立場にあるわけでございます。私ども一つ考えとして先ほどから申上げますように、電信電話というものは非常に公共性を強く要求される事業でありますし、なくてはならない事業でございます。そういう観点からいたしまして、やはり或る程度の予算というものを一般会計から繰入れたらどうか。これは又税負担の問題で問題が出て来るかと存じますけれども、どうかこういう点を十分お考え願いまして、若しそれが絶対に駄目だということになりますならば、先ほどから申上げておるような事態の中では私どもはどうしても料金値上げというものは或る程度やつて行かなければ電気通信事業をやつて行けない。更に私ども先ほどから申上げておりますように、経費の不正使用の問題でございますが、こういつた問題については幾度となく私ども大臣にも進言いたしておりますし、要求もいたしておりますが、最近の新聞紙上にもあるごとく、私どもこの内容についてはまだ明確に調査はいたしておりませんし、確信は持つておりませんが、若しそれが事実とするならば、ああいう経費の使用不正というものは絶対に許せないのでありまして、この対策というものが十分できなければ、今回のような料金値上げに対しても国民大衆は率直に納得してくれないだろうということを考えますときに、どうか私どもも努力いたしますが、省内におきましても、政府におきましても、こうした悪質従業員の再び出ないような嚴重な監視と、出たものに対しては厳罰主義を以て臨んで頂きたい。一部悪質官僚のために、まじめに働く全電気従業員が不信を持たれ、或いは国民に対して電気通信事業が信用を失墜することのないようにしなければならないのではないかというふうに考えまして、甚だ遺憾なことでございますが、このような問題についての解決をやはりする必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。  次に若干個々の料金値上げについて申上げますが、先ず電信関係でございますが、先ほど江尻さんから御指摘がございましたが、約四〇%の値上げなつております。これは果して適正な料金であるかどうかということは先ほどから申上げているように、組合としても結論は出ておりませんが特に電信というものは電話より公共性が強いのでありまして、この料金というものをちよつと見て四〇%というふうに考えることは非常に値上率が多いのではないかというように考えられますけれども、やはり私ども政府改訂料金の資料というものも十分検討して見るならば、やはり先ほど申上げたように、一般会計の繰入れということができませんならば止むを得ず賛成をしなければならないような立場にあるわけでございます。特に諸外国においてもそうでございますが、電信電話というものが非常に国の隅々まで、而も僅か十通、二十通の電報を扱うところにも従業員を二、五名配置しなければならないというような事業の性質から、人件費というものも相当に嵩んで来ておりますが、この点は公共性、或いは国の事業としての電気通信事業の性質から御了解を願いたいと思います。私ども昨年度三十八億の電信事業赤字を出しておりますが、これはいろいろ努力したにかかわらず、料金制度というものが私ども非常に不合理であるというふうに考えておりまして、料金制度が合理的に改正せられなければ、幾ら私ども頑張りましても、赤字というものは消えて行かないというように考えておりまして、今回の案の内容には出ておりませんが、経済問題としてはいろいろ考えました結果、やはり単一料金制度というものを今後策定することが必要ではないかと思います。要望として委員会にお願いする次第でありますが、現在の料金が東京から埼玉県に打ちましても三十円でございます、十字が……、北海道、九州に打ちましても三十円、この間におきまして中継受理をとつて行きますので、コストを考えて行きますならば、果してこれが電報料金の適正であるかどうかということには疑問が生じます。そういう建前からやはり単一制をとりまして全国を府県別ブロックにして、取扱として非常に不便でございますが、こういつた形の合理的な単一料金制度というようにいたしましたならば採算がとれるのではないか。勿論私ども採算だけを考えるわけではありませんが、仕事の健全を考えればこそそういうことを考えるのでありますが、そういう単一制料金考えて頂きたいということでございます。すでにアメリカあたりはそういう制度も採用しているようでございます。この電報料金の中で特に私ども申上げたいことは、先ほどから出ておりますように、一般商業用の電報と、それから慶弔用の電報、或いは人命に関するような電報、或いは安否を質すようなものだとか、着いたとか、発送とかというふうな問題、無事であるかどうかというような電報、或いは新聞電報通信社の電報というようなものについては公共性が強いのでありまして、本当にそういつたような電報については或る程度料金の定額制をとつて頂いたらどうかということを考えております。勿論従来も新聞電報等につきましては相当な安い値段でサービスを提供していることは事実でございますが、同時に改訂料金に関連してサービスの改善の面から考えて、私どもの考える新制度もとつておられるようでございますが、できるならばもう少し検討を加えて真に庶民階級が必要欠くべからざる電報についてはそのようにして頂きたいと思います。  それから電話関係でございますが、平均三〇%の値上げなつておりますが、電話は先ほど申上げましたように黒字経営でありますが、やはり局舎の設備、或いはそれぞれの電話機その他を考えますときに、やはり東京で一つ電話を設けるのに二十五万円程度の金が実際にはかかつております。それが僅か四万円足らずの金で設備をしているという形の中で、果してその間の価格というものを、私どもが営々として働く事業の中で出て来る收入によつてそれまで賄つて行かなければならないかどうかということについては、私どもとしても十分な検討をする余地があると考えておりますが、必ずしも私ども電話が黒字だからということだけでこれを値上げしなくてもいいのだという考え方には賛成できませんし、それから電信電話の相関性というものを八十二年の昔に遡つて考えますならば、或る程度関連性の中で有無相通じて行くという形は、やはり電気通信事業の中では必要ではないかというように考えております。それから電話使用料金の問題でございますが、度数料金制と均一料金制の中で、単独、共同加入ともそうでございますが、基本料金の中で住宅用と事務用に分れておりまして、これの差別がついております。それを住宅のほうは非常に安くなつておりますが、私ども組合としてはこれは逆ではないかというふうに考えます。大分失礼な話になりますが、少くも現在住宅に電話を備えているようなかたは或る程度有産階級ではないかというふうに考えられるのでありますが、事務用に使う一般の中小企業のかたが使用する電話より住宅を引いてあるところの住宅電話を安くするということは非常な問題があると思いますので、あえて差をつける必要もないし、つけるならばむしろそういつた一般中小企業かたがたが使用されるようなものについては、むしろ逆に安くして行くような方法を考えたらどうかということが二、三出ております。  それから公衆電話料金でございますが、五円に値上げなつておりますが、これは御承知の通り非常にその取扱がむずかしいのでございまして、ガラスを割られ、或いは電話機を盗られるというようなこと、或いは料金を入れずに紙屑を入れてあるというようなことがございまして、全く採算がとれないのであります。趣旨はよくわかりますが、実際の面について硬貨制度を採用するということも考えておられるようでございますが、取扱を十分注意して頂かなければ、結局無料奉仕のような形でいつまでたつて公衆電話の採算制というものはとれないというように考えております。  以上大体私どもの意見を申上げたわけでございますが、先ほどからもいろいろと意見がありましたように、料金値上げというものは、全く当面の赤字を克服するものでありまして、私どもこの問題についてやはり考えることは、皆さんへのサービスの一段の向上ということであろうかと思いますので、その面については私ども組合としても今後十分の努力をして行くつもりでございます。非常にまとまらないことになりましたが、以上私ども組合を代表しての意見を申述べて終りたいと思います。
  18. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  19. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を始めて。それでは次に赤木康夫君にお願いいたします。
  20. 赤木康夫

    参考人赤木康夫君) 私は事案にはサービスの改善と設備の改善ができますならば御賛成したいと思います。  電話は「出んわ」と申しまして殆んど出ないということになつております。それがために五本の電話の要るところは七本の電話を使うというような実情にありまして、これは実際サービスが改善されたならば、いわゆる出る電話、又出た電話ということになるのじやないかと考えます。そのサービスの点につきましても、皆さんからお話になつたんでありますが、只今施設が非常に要求せられておるということを聞いておるのであります。電話の個数につきましては、電通当局も常に設備の老朽ということをおつしやつておりまするが、一番市民にとり、又営業者にとつて重大である度数料を生み出すところの度数計器の故障、或いは老朽化ということはいずれも聞いたこともないのであります。この料金基礎となるべき度数計というものも恐らく老朽しておるに違いないと思うのであります。電話の故障のごとく度数計も故障が出る、老朽化しておるに違いないと思うのであります。今回幸いにこの設備の改革ができますならば、私どもは安心して正しい度数料を度数計によつて生んで頂いて、それをお拂いすることができると、かように考えております。その他設備の改善によりまして、実際話ができるならば或いは三通話のところは一通話で済むというふうに考えております。もう皆さんで十分論議を盡されておりますから私はこれで終りたいと思います。
  21. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。次は佐野芳三君にお願いいたします。
  22. 佐野芳三

    参考人(佐野芳三君) 私は港私設電話会会長、東横百貨店の佐野でございます。この百貨店は東京急行電鉄会社の姉妹会社なつておりまして、東京澁谷電話局の大口加入者なつております。従つて本月申上げることは、私設電話会の会長として、又大口加入者の一員として意見を申し上げたいと思います。本日の参議院の電気通信委員会に出席さして頂いたことを感謝いたします。  今回の電話料金値上案を拝見しましたら、まあいずれの事業にしましても独立採算制ということは事業の生命でありますから、これは申すまでもありませんが、併し政府事業民間の営利会社と違いまして、いずれも公共性を持つておりますから、或る程度国家の犠牲は止むを得ないと思います。料金改正に伴う値上げ率及び増収額、調書を拝見しまして、一番しまいの電信電話値上げ率でありますが、それは二二・四%になつておりますが、これは必ずしも不当の値上げとは思つておりません。併しその値上げ内容を拝見しますというと、市内通話の度数料金の二円が一躍五円になつております。これは現行の二倍半、即ち二五〇%になつております。終戦直後のインフレ時代はともかく、現在では経済状態も大体安定しておるのでありますから、そのとき二倍半に値上げするということは、常識的に考えまして妥当を欠いておると思います。尤も公衆電話のほうの値上げは五倍になつております。これは従来の料金が余り安過ぎますし、又基本料金もありませんので止むを得ないわけでありますが、公衆電話施設も今非常に不完全なものでありますがこれは自動式に改善しまして、五円の硬貨を使うようにしますと、不正使用も防止することができようかと思います。この市内度数料金はまあ三円ぐらいが妥当ではないかと思います。即ち現行の一倍半、一五〇%になります。その辺が妥当ではないかと思います。その結果この表の値上率及び増収調書の表でありますが、市内のほうが値上げによる増收が五一・四%になつておりますが、それを五円を三円にしますとこれが二二%であります。市外のほうはそのままでありまして、結局その表の一番しまいのほうの電信電話値上げ率の三一・四%が、市内の度数料金を一倍半にしますというと二四%になるのであります。まあとにかく度数料を一躍二倍半にするということは、私には穏当を欠いているように考えられます。そうして値上げ理由に、朝鮮動乱の問題による物価騰貴、それから給与ベースの向上を挙げておりますが、給与ベースの向上は職員の生活の安定を得る程度の、これは給与は是非とも必要であると思います。併し朝鮮動乱は、これは只今過渡的現象であると思われます。から、半永久的の料金に織込むということは不当だと思います。でありますから全体の値上げ率は少々低下いたしましても市内の度数料金は五〇%ぐらいの値上げとしたい。まあ一部修正を條件として賛成するのであります。  次に、本日は私設電話会の会長として出席さして頂いたのでありますが、私設電話会の性格につきましてちよつと皆さんに御披露申上げて置きたいと思います。このことは本省の市内電話課長の堀越事務官が「電気通信業務研究」のうちに、先月あたり非常に詳しく全国的にお調べになつたのが書いてありますから、これを御覧になりますとわかりますのでありますが、簡単に申上げますというと、東京都市通信部内に最近各管理所に私設電話会が生れました。一例として私のほうの例を申上げますと、港私設電話会は昨年四月地元の港管理所長及び幹部のかたの御援助によりまして、港管内の赤坂、澁谷、三田、芝、世田谷五局の大口加入者、二十社があります。主なものを挙げますと、昭和電工、日本ソーダ、日本鉱業、東京急行、協和銀行本店、東京瓦斯会社本店、それから日本電気、沖電気というような一流会社が入つておりまして、これが発起人になりまして結成したような次第であります。一年半になつておりますが、通信官署の御援助と会員の熱心なる協力によりまして、事業は円滑に進んでおります。この一年半の事業の主なものを申上げますと、議会を通りました電気通信関係の法令でございます、これは今まで法令だけに載りまして、なかなか民間のほうに徹底しません。こういうものの要点を抜萃しまして説明会を開いて、そうして運用を円滑にするという仕事をやつております。それは二回ほどありました。又管理所の幹部、各扱局の幹部と、大口の加入者、私のほうは港でありますが、今の五局で以て交換台を持つておるもの、加入者は二百軒あります。そういう加入者事務上の打合会を開催しまして、それが数回ございます。それから市外通話の問題、先ほど桐生貿易の岩澤さんからも不平がありましたが、全く市外通話というものは非常に面倒な問題でありまして、こういうものを解決するために、市外電話局の見学、それから市外電話局の幹部と管内のチーフ・オペレーターの懇談会を開きました。若い御婦人が多いので懇談会を開きました。お互いの気持を聞きまして交換業務の能率を向上さしてやりたい。そういうようなこともやつております。又私設電話会では技術向上を図るため電話技術の講習会を今春でありますが、二カ月開いております。これも非常に電気通信官署の援助を頂きまして、誠に効果がございます。その他官署の変更、その他につきましてはすぐ印刷して配布しておる次第でございます。そういう工合にして官民協力して疏通の改善を図つておりますが、相当な実績を挙げております。これは港の例でありますが、各地管内におきまして、各管理地帶に私設電話会が開設されたわけであります。これが擴充しますと、都内に連合会を作りまして、連合会を通して又民間の声を聞いて頂きまして、政府のいろいろこれからの施設改善、そういうものに民間意見として織込んで頂きたいと思います。とにかく東京は政治経済すべての中心でありますから、どうか東京のお膝もとの電話疏通を図つて頂きたいということが急務であろうと思います。どうか電気通信の本省のかたは言うまでもなく、委員会におきましても、今後とも御協力下さいまして、一つ疏通の改善に御援助頂くようにお願いしたいと思います。
  23. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 有難うございました。これで参考人かたがたの御意見は全部終了いたしました。この際、委員諸君において参考人のかたに対して御質疑がありましたらお願いします。但し時間が非常に経過いたしておりますので、大体一時までには終りたいと思います。
  24. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 いろいろ非常に参考になる御意見を各部門から仰せ願つて、我々これからこの法案を審議する上において非常に参考になるのであります。そういうものを基礎といたしまして十分検討をしたいと思います。そこで賛否いろいろありますが、一つ、二つ我々もう少し深くお互いの持つておられるところの遠慮のないところをおつしやつて頂きたいことがありますので、その点のみを簡単に御回答願つて結構だと思います。  先ず最初に、江尻さんにちよつとお伺いいたしますが、江尻さんの御意見ではこの電話及び電報料金改訂国民生活に大きな支障を来たす、なお又インフレを助長するものであるという御意見、我々も同感であります。ただその意味において、この料金値上げ反対という御意見のように拝聽したのでありまするが、もう一歩を進めまして、それは一応我々も納得できまするが、然らばこの電話を現在の姿のままでは皆さんに満足を与えることは無論できない。それから先ほどからいろいろ言われるところの電話の本当の機能を一〇〇%発揮していない、これを満足に……電話でなく「出んわ」では困るからして、先ず十分のものは八分でこの電話が間に合う。或いは督促の電話をかけたり、督促の電報を打たなくても済むようにするというような面からの節約を図るような方法も、やはりこの電話施設及び従業員の待遇が伴わなければなかなかむずかしいと、かように思うのでありますが、そういう意味から見まして、ただ国民生活から困るという考え方、又インフレを助長ずるというような考え方、成るほど一部はいささかは国民生活に影響もありますし、インフレなしとは考えませんが、併しほかの企業及び国家の予算から考えまして、との日本の経済及び文化、或いは国際的にこの電話及び電報の我が国におかれておるこの姿を改善するためには、何かほかの方法が考えられておるかどうか。ただ国民生活インフレが助長するが故に電話はこのままではよろしい。値上げしないでこのままでよろしいという結論は十分でないと思いまするが、参考的にお聞かせ願えれば幸いだと思います。
  25. 江尻進

    参考人江尻進君) 一面において経営合理化ということがやれないかということです。それから第二には独立採算を建前とすべきでありますが、先ほど組合の鈴木書記長から言われたように、一般会計からの繰入れというような問題も考慮して然るべきじやないか。それからこれだけではインフレに影響がないということは、数字的に見ると影響は微弱であるかも知れませんが、他のものと相待つて全面的に影響を来たして来る、即ち最近値上げを予想されている国鉄、電気、ガス等を合わせますと、統計では大体五%の値上率、小売物価に対する影響は五%、一応そうなつておりますが、これが又他の物価に反響しまして、もつと多くの二倍、三倍の影響となつて撥ね返るというふうに考えるので、先ずそういう施策はやめるべきじやないか。それから、値上げ内容においても電信の面で或る程度解決して、電話の面は差しとむべきじやないか、こういうような考え方であります。
  26. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 御意見電報電話は、電報料の赤字電話料金にしわ寄せするということについての御意見は私も同感であります。で、一般会計からの繰入れによつて予算措置をとつて、そうして電話を「出んわ」でなく「出るわ」に、先ほどの御意見のようにするべく政府は努力すべきであるというふうに拝聽してよろしうございますか。
  27. 江尻進

    参考人江尻進君) 必ずしも一般会計から絶対に支出せなければならんと考えておるわけではございませんで、それしか方法がないというならば、そういう方法をとられたらよかろうというだけの問題でございます。
  28. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 次に小林さんの御意見に、ちよつと参考までにお伺いしたいのですが、先ほどの説明では米国と日本の例、それから市内及び市外の例を引きまして、市内は七%或いは地方では一一%という数字が現われて、それから米国では三%ということを申されましたが、我々そこで納得できないことは、アメリカ通話料金基本料金及び度数料金から行きまするならば、数字が合わないのであります。その数字の合わない原因はどこにあるかというふうに考えまするときに、要するに通話の使い方が無駄があるとか、或いは何かはかの欠陷があるが故に、そういうパーセンテージが出るのじやないかと、かように考えますが、如何でございましようか。
  29. 小林光次

    参考人(小林光次君) 証券業者の立場から申しますというと、地方が余計使いますことは、やはり東京、大阪、まあ東京は何といたしましても、私どものほうの調査によりますと、平均が六%、今年の四月に六%七になつておりまして、最低が五%、最高が三〇%になつておるのでございますが、東京よりも地方のほうはどうしても電話が数が多少少い関係ではなかろうかと思うのございますが、これは地方から全国のその点を取寄せて調査しただけのものでございますので、詳細のことはわかりませんが……。従つて長距離電話からすでに流れが市内電話に流れて行くものでございますから、どうしても東京のほうが少い点は止むを得ないと思います。ただ何といたしましても、証券界は通話料金が非常に高いということになりますると、やはり民主化の線に副わんものでございますから、先ほど逓減制をやつて頂きたいと、こういうことを申上げたわけでございます。
  30. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 御尤もで、その点は私も了解できるのでありまするが、ただそのパーセンテージにおいて、地方と都内との差はこれは一応了解できるのですが、米国の三%に対して都内及び地方が七%及び一一%という比率がちよつと腑に落ちないので、例えて申上げるならば米国では基本料が千八百円に対して我が国では五百四十円だと、それから度数料は五円に対して十八円であるというこの比較からするならば、このパーセンテージがあべこべのように考えまするが、この点如何でしようか。
  31. 小林光次

    参考人(小林光次君) この点は、私どもまだレベルと貨幣価値の相違というくらいの調査でございますが……。
  32. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 いや、結構です。それから赤木さんにお伺いするのですが、我々も気の付かないところをおつしやつて頂いて、私も非常に参考になると思うのですが、度数料金の収納方法はいろいろ国民の間でも言われておることと思います。これにつきまして我々としても十分当局と懇談いたし、又方針を聞くつもりでおりまするが、この度数料金の収納方面とか、或いは設備の完全、不完全と……、これは委員長への質問でありますが、完全、不完全と、或いは今後如何に電信電話が皆さんの期待に副うように準備しておられるかどうか。この料金によつてどういう方面が改善される見通しを持つておられるか。又組合側から先ほど御意見が出たのですが、それらに対してどういう考えを持つておられるか。又渡邊音二郎さんの言われるように能率を上げる、又はその仕事の成績を上げるために能率給をもう少し擴大強化する意思はないかというような御希望がありましたが、これに対して政府側の説明を求められる意思を持つておられるかどうか、委員長にお伺いいたします。
  33. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) お答えいたします。本日は参考人の御意見を当委員会が聞きますので、いろいろ皆さんのほうでいずれの機会にか政府のほうにお質しになるということで、本日は政府の側からは直接御答弁をお願いしておりません。
  34. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 了解。
  35. 山田節男

    ○山田節男君 私は後から来て、各参考人の御意見を殆んど聞き得なかつたのですが、東京証券の小林参考人にお伺いしたいのですが、証券業者は殊に長距離電話、それから電報の使用される量が多いのではないか。まあこういうふうに思うのですが、実際業者の中で電報の往復のためにテレタイプを持つておる人が何人ぐらいあるか。それを一つお聞きしたい。
  36. 小林光次

    参考人(小林光次君) 現在ではまだテレタイプを持つておる人はありません。
  37. 山田節男

    ○山田節男君 一人もありませんか。
  38. 小林光次

    参考人(小林光次君) 一人もありません。
  39. 山田節男

    ○山田節男君 大阪には。
  40. 小林光次

    参考人(小林光次君) 大阪にもおりません。これからその方法をやりたいとは考えております。
  41. 山田節男

    ○山田節男君 それは今までどうしてテレタイプを使用しなかつたのですか。
  42. 小林光次

    参考人(小林光次君) それは現在私どもの証券取引所ではテレタイプを使つておりますが、やはり経費関係上、業者がこれを置くということについては相当経費がかかるのですから、経費関係でやり得ないのです。
  43. 山田節男

    ○山田節男君 経費だけでやり得なかつたのですか。
  44. 小林光次

    参考人(小林光次君) そうです。併し今後改善するつもりでおります。
  45. 山田節男

    ○山田節男君 そうですか。それから長距離電話を使うことが勿論多いことはこれは常識ですが、現在の電通省で扱つておる東京大阪、或いは福岡東京、こういつた長距離電話に対してサービスの状況は戦後と今日とでは非常に改善したものと言われるかどうか。それから若しできれば、東京大阪間の呼出電話の時間は現在どのくらいかかつておりますか。
  46. 小林光次

    参考人(小林光次君) 証券業者のほうといたしましては四つの大証券会社は殆んど直通電話を持つております。証券取引所は直通電話を持つておりますが、他の人は直通電話は持つておりません。それで大体におきまして定期通話をやつております。御承知の通り取引所の売買時間は午前九時から十一時、午後は一時から二時半ということになつておりますので、この時間内でないと全然売買ができませんので、殆んど定期通話を使つております。その点については非常に料金が高うございますが、サービスの点は差支えございません。
  47. 山田節男

    ○山田節男君 定期通話というのは一般料金からいつて、直通、特別、何といいますか……。
  48. 小林光次

    参考人(小林光次君) 定期通話は四倍になつております、普通料金の。
  49. 山田節男

    ○山田節男君 それは時間でやるのでしよう。
  50. 小林光次

    参考人(小林光次君) そうでございます。ですからその時間に当てはまらなければ長距離電話をかけても役に立たないですから……。
  51. 山田節男

    ○山田節男君 そうですが、今の皆さんのは、電信電話料を引上げることについて反対という意見に私は解釈しますが、それはどういうのでしようか、業者の経費が上るという……。
  52. 小林光次

    参考人(小林光次君) つまり私が先ほど申しましたのは、一般論といたしましてはこれはやはり悪循環を来たすから反対だ、併し経営合理化図つて、そうしてこれをするには或る程度は上げなければならんということは、私もそれは認めております。従いまして、ここに大口需要に対して逓減制を布くことは当然ではないかという考え方を持つております。
  53. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記の都合がありますので、整理したいので、委員長の許可を得てから発言を願います。
  54. 山田節男

    ○山田節男君 電報で、殊に証券業者の扱う電報ということになれば相当数字の誤謬ということが……、大きな数字ですね、金額とか或いは株数とかいうことの数字の誤謬、これは相当重要な問題ですね、この証券業者間におきまして電報の誤謬率といいますか、誤つている、例えば字が違つているとか、こういうような誤謬率の傾向はどうですか。
  55. 小林光次

    参考人(小林光次君) これは余り聞きません。
  56. 山田節男

    ○山田節男君 そういうことはないということですか。
  57. 小林光次

    参考人(小林光次君) 皆無かどうか存じませんが、そういう点余り聞きません。大体証券業者といたしましては、電報を使うことは極めて少いのであります。
  58. 山田節男

    ○山田節男君 赤木屋証券株式会社は、これは電話取扱つておるのですね。
  59. 赤木康夫

    参考人赤木康夫君) はあ。
  60. 山田節男

    ○山田節男君 この電話の売買ですが、東京の電話を売買されているので、今日扱われたうちで、現在扱つている電話の中で、最も値段の高い局と金額を一つ……。
  61. 赤木康夫

    参考人赤木康夫君) 只今は一番高い局でありますと、京橋あたりは二十二万円しております。
  62. 山田節男

    ○山田節男君 それは何ですか、あなたのほうから譲り渡される金額ですか。
  63. 赤木康夫

    参考人赤木康夫君) それは業者の仲値でございます。
  64. 山田節男

    ○山田節男君 それからさつきあなたのほで、度数計器が相当老朽化して、数字が非常にあやふやだという、非常に多くなつたり、少かつたりというような……、多過ぎるというような誤りがあるということを指摘されたのだろうと思いますが、今あなたのおつしやつたのは、あなたのお持ちになつている電話機で、そういう御意思ですか、それとも一般にあなたが電話を扱つて一般的にそういう非難があるということですか、それをお伺いしたい。
  65. 赤木康夫

    参考人赤木康夫君) 一般にそういう非難がある。それは御承知のように電話の度数料と申しますのは、その月の二十五日が納期でありまして、その翌月の一日までに拂わないと通話を停止する。そういたしますというと、只今書記長さんがおつしやつた、ごとく、非常に老朽化されたものですから、果して当局に確信があるかどうかということは、これは皆さんが持つておる疑問だと思う。非常に老朽化されておるのでありますから、これは普通の電話機が故障があるかどうか。度数計に故障があるということは想像される。だから度数計の故障というものは、御当局でこれを考慮されておらないということについては、全体の業者が不満を持つております。
  66. 山田節男

    ○山田節男君 それからもう一つ、この電話担保能力と申しますか、例えば今の京橋の電話の仲値が二十二万円しておる。これを担保に入れる場合に、大体何%、何割ぐらいがまあ常識になつておりますか。
  67. 赤木康夫

    参考人赤木康夫君) 只今担保というようなことは行われておりません。
  68. 山田節男

    ○山田節男君 ありませんか。
  69. 赤木康夫

    参考人赤木康夫君) はあ。
  70. 山田節男

    ○山田節男君 私はこれで終ります。
  71. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 時間が大分経過しておりますから……。
  72. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 今日の課題と少し外れるのですけれども、組合の鈴木さんにちよつとお伺いしたいのですが、先ほどのお話の中に、私ははつきり聞きとれなかつたのですが、現在問題になつている電気通信省の機構の改革について、当然時間的な問題だろうと思いますが、民営を前提としないこの公共企業体への意向については御賛成なんですね。
  73. 鈴木強

    参考人鈴木強君) ちよつとその点明確でなかつたと思いますので補足いたしまして、お答えいたします。私ども先ほど申上げましたように、現在の国有、国営電気通信事業というものが、あらゆる形で七つの欠点があるということです。従つてこれを本当に直して頂くならば、私どもあえて公共企業体にしなくても、形はどうであろうともいいんじやないかということです。ですから仮にその問題が、公共企業体という形で我々が考える点が全部解消して行くなら、公共企業体になろうと私ども国有の中において何ら異存はないということでございますが、まあ可能性の問題から考えますとなかなか国有国営と言いますか、政府の附属の事業としてやるような場合には私ども考えるような考え方が通らないので、むしろこの際思い切つて企業形態を変えて行く。その中で私どもの考え考え方を実際に活かして行くこと、そういつたようなことが行われるならば、私どもは形態はどうなろうといいということでございますので、若干ピンぼけのような形がありますけれども、これだけ……。
  74. 山田節男

    ○山田節男君 渡邊音二郎参考人にお伺いしたいのですが、これは恐らく電話関係の曾つての行政に携わつてつたかたであろうと思うから質問するのですが、そうでなかつたら御返答に及びません。日本電話が非常に能率が悪い、サービスがよくない、これはもう我々国会としても何とかしなければならんということを常に念頭に置いて、殊に電気通信委員会として今これに努力をしている。参議院も二回に及んで電話の改善に関する決議までしているわけです。ところが今日依然としてなかなかすサービス改善はむずかしい。若しあなたが過去において電話電信行政に携わつておられたかたとすれば、今日のこういう非常に国民の要望に応じ切れない電信電話、殊に電話、これを改善するのにはどういうポイントが……、これはもう極く簡単でよろしいのでございますが、そのポイントだけ一つサジエストして頂きたいと思います。
  75. 渡邊音二郎

    参考人渡邊音二郎君) 先ほど私が賛成の冒頭に述べましたように、日本電信電話事業の発育が不良である。その原因は電話事業が基本計画に基いて資金を適時適所に投下して行くことによつて初めて成長し得るものであるにかかわらず、基本計画に基く投資ができない、又投資をする場合に、適時適所にこれができない。これをなし得る途を講ずるということが、今日の電話事業の行詰りを打開する解決策であると考えます。それで過去において日本電信電話事業は或いは公債財源により、或いは益金を還元いたしまして、この問題に応えようとしたのでありますが、需要には到底応じ切れなかつた。その結果電信電話設備だけを民間資本により、民間工事力によつてやる、いわゆる設備民営計画案というものが、昭和五年から六年にかけて作案せられ、閣議に上程されたのでありますが、時の政治上の理由からこれは見送られまして、その結果通信事業特別会計制度というものができ上つたわけであります。その実施されましてから以来、やや見るべき成果はありましたが、この特別会計條件ともいうべき一つとして、一般会計へ八千余万円の繰入金を背負つてスタートしたのであります。その結果、この繰入金を負いながら電話を普及して行くということになりますると、資金面における隘路というものが解決されておらない結果、一般会計時代とほとんど異ならない問題を始終持つてつたわけであります。他方におきまして、経費の節約が收入増加従業員の面に非常に重大な影響を持つ事柄が絶えず起きて参りまして、結局は電信電話設備民間資本と民間工事力でやろうとした目的とは相反する傾向になつて来て、その間戰争が起り、ますます財政に行詰りを来たしてしまつた。それが終戦によつて設備が破壊され、而も需要はますます増しておる。従いまして、資金の合理的な獲得手段と、工事能力の確保、これに対応する施策といたしましては、昭和六年当時の作案以上の、もつと徹底した対策が必要じやないかと、かように考えております。
  76. 山田節男

    ○山田節男君 今おつしやつたことは、いわゆる国営といいますか、政府の直営では例えば資金面においても非常に伸縮性を欠いておるから、なかなか思うように行かない、こういう御意見のように承わるのですがね、で、まあこの点は事業を公共企業体にするか或いは民営にするかとこういう世論も、或いは政府の一部にもさように考えておる者があるやに伺つておるのですが、あなたのこういう公共企業体が、或いは民営にしたほうが、いいかどうかという御意見はどうでしようか。
  77. 渡邊音二郎

    参考人渡邊音二郎君) これはほんの私の私見として受取つて頂きたいと思うのです。公共企業体というもののこの持つ能力は必ずしも概念上規定されません。従いまして一概に公共企業体にしたほうがいいかどうかということよりも、先ず国営から民間企業体に移すのがいいかどうかということが根本だと思うのですが、これについては、私としては国営若しくは国家の嚴重な監督の下に置くということについては、是非必要である。従つて単純なる会社経営にこれを移すということには反対であります。併し現在の国有国営の形態そのままでは先ほど申したような問題は解決できないから、民間経営の最も長所を極度に採用した形における企業体を創造しまして、そうしてこれに移す。それが今日日本にすでに行われておりまする公共企業体と称せられるものであるか、或いはイギリスの放送協会のいわゆるBBCの形態であるか。それはその場合の名の付けようでありまして、要するに現状打開の途としては国有国営は何とかこれを打開して、国家の企業意思はそのままにしておいて、経営能率の増進は、民間の長所を極度に入れて頂いて、結局ナシヨナリゼーシヨンよりもソーシアリゼーシヨンに主体を置いて考えて行くというふうに私は思つております。
  78. 山田節男

    ○山田節男君 この有線通信工業会会長の渡邊参考人のメーカーとしての御意見を伺いたい。実は私は過去二ヵ月ばかりアメリカに参りまして、通信機具のメーカーを、有名な人、有名な場所を訪問しました。で、電信電話サービスの改善ということは、勿論人の問題も非常に重要ですが、やはり施設機具の進歩発達ということも、これはもう非常に重要なことだということは申すまでもない。渡邊さんから御覧なすつて、今のアメリカの例えばベルシステムでやつており或いはウエスタン・エレクトリツク、或いはマツキー・デイオの研究所、RCAの研究所、相当有線、無線の施設、機械というものが発達しておると思うのですが、あなたの目から御覧になつて、日本の今の有様通信工事だけでもよろしうございますが、大体そのレベルというものは、アメリカとどのくらい遅れておるのか、これは極めて大ざつぱに、時間的にどのくらい遅れておるかということを、若しお示し願えれば一つおつしやて願きたい。
  79. 渡邊斌衡

    参考人渡邊斌衡君) 口今の御質問実は私技術者でもございませんので、殊に又戰後アメリカを見ておりませんので、何とも申上げかねますのでございますが、先ほどもちよつと申上げましたように、日本では現在のシステムでももつと数量を殖やすということによつて、相当カバーし得るんじやないか、そうして現在アメリカのやつておりますようなクロスバー・システムのようなものを、日本にそのまま持つて来るのが妥当であるかどうかという問題があるんじやないか、こういうふうに思いますので、まあ日本の現在のシステムは、よその国の同様のシステムと比べれば、そう劣つてないんじやないかと、こう思うんですが、アメリカなんかではこのクロスバー・システムを持つておるので、相当進んでおる。そこの点から見れば相当開きがあると思うんですが、日本で今すぐそうしたシステムをとるということが、事情に合うかどうかという問題が前提になるんじやないか、こういうふうに思うんですが、お答えになりますかどうか……。
  80. 山田節男

    ○山田節男君 渡邊さんがまあ技術家でないからという御意見ですが、これはいろいろあなたのお立場もあるだろうと思いますから、これ以上お尋ねしませんが、有線通信工業をやつておるかたの、その製品の殆んどは政府——電通省関係或いは郵政関係に行くものでないかと思うのです。そうすると、今の国営政府直営であるがために、メーカーの立場からこういうものと一生懸命研究し、こういう立派なものを造りたいと思つても、相手が政府である、主たるカストマーが政府である、政府は御承知のように会計その他予算等において、殊に会計法の上において非常な煩瑣な何があるというようなことから、今の政府の直営では民間のそういう通信工業の発達或いは研究を十分にやろうと思つてもできない。できないといつては極言ですが、むずかしいというようにお考えなつているかどうか、この点を一つ
  81. 渡邊斌衡

    参考人渡邊斌衡君) この点につきましてはアメリカなんかでは運営者と申しますか、通信事業をやつている人と研究所と、それから製造者とが皆同じ所におりますから、非常に連絡がいいということがあると思います。それに対しまして、日本ではこの三つが分れているものでございますから、なかなかアメリカほどうまく行かないということはございますけれども、まあ日本ではこういうような状態で、もう明治の初めからやつて来ておりますので、やはりそこは全然別のものでありながら、別のものであるにしては非常によく連絡がとれているということがあると思います。この三つの関係というようなものは、政府であるからどうの、公共企業体になつたからどうのということはできないのじやないかと、こう思いますが、むしろこの三つが本当にうまく競合して行けるかどうかということは、大きく言うと国民性にかかつて来る問題じやないかと、こういうふうに思います。
  82. 山田節男

    ○山田節男君 これは有線通信工業会の会長としての渡邊さんの御意見として伺えれば非常に結構であります。そうでなければ個人としてでもよろしいのでありますが、電信電話政府直営よりも公共企業或いは民営に移管したほうがいいと、こういうものに対する何か会としてのまとまつた意見はございませんか。
  83. 渡邊斌衡

    参考人渡邊斌衡君) 我々といたしましては公共企業体にお移りになるということを伺つております。それに対して別段不賛成をいう点はございません。それから私個人の意見を申さして頂きますと、考え方が少し間違つているかどうか知りませんが、これが仮に国有国営でおやりになるときには、一般財政法とか会計法とかいうものの制限を受けるということで、非常にやりにくいということがおありになることは御尤もだと思うのですが、まあ戦前は一般会計に繰入れるとか、何とかいういろいろな重荷を背負わされたかも知れませんけれども、今よりは国営であつてももう少し楽にやつておられたのじやないか。こんなにふうに思われますので、単に今申上げたように財政法とか会計法とかいうものは、これはもう宿命的なもので、どうにもならないというものであるなら、これは別でございますけれども、若し国営であつてもそういうものの適用というふうなものに伸縮性を持たせるというようなことができるならば、国営であつても構わないのじやないかということを、私個人としては考えるのでございます。
  84. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 大変時間も経過いたしましたので、参考人かたがたに対する質疑は、この程度で打切りたいと思うのでございます。  この際、私は電気通信委員会を代表いたしまして参考人かたがたにお礼を申上げます。本日は皆様におかれましては非常に御多忙のところをお繰合せ下さいまして、委員会のために御出席を頂き、有益なるお話を承わることができましたことを重ねて深く感謝いたします。  なお、委員各位に申上げますが、明後二十九日は午前十時より本法案の質疑を続行いたしたいと思います。本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十五分散会