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山田節男君 丁度今
山下通信監、それから
佐藤大臣の御説、私も大体そう思います。殊に今
大臣がおつしやつた言葉ですね、これは私も全く同感で、
電話線というものが、
アメリカに
行つて痛感いたしましたことは、例えばこの間のサンフランシスコの講和条約の
会議の際に、東部のワシントン、ニユーヨークの
方面へ初めてテレヴイジヨンの放送中継をやつたわけです。これもマイクロ・ウエーヴ
施設の二十五マイルごとに設けられたラジオ・リレーによ
つているのですが、テレヴイジヨンは全くベル・システムの
電話の中継で連絡している。それから東部のニユーヨーク、ワシントン、シカゴ等のラジオも、西部海岸のカリフオルニアに対しましても、ベル・システムのラジオリレーにより、各放送局のネツトワークは、ベル・システム又はこれ以外の会社の有線、無線のリレーで放送連絡している。こういうような状況でありまして、もつと大きな
考えから見れば、日本の将来の
電話というものから見て、更にこれがテレヴイ放送、ラジオ放送、それからもう
一つこれは我々が技術的に、今
山下通信監は述べられなかつたが、私もこれは極く素人ですけれ
ども、
電話というものが、従来の有線の
電話がもうすべてエレクトロニツクの科学が進歩しまして、
電気通信事業界の
一つの革命を起しつつある。エレクトロニックの観念が向うでは殆んど常識にな
つている。例えば
電話の、日本語で訳しますと何といいますか、
料金通話時間、こういうものも全部機械化しているのを二三カ所見ましたけれ
ども、これはエレクトロニック・サイエンスの応用です。それからRCAの研究所や、ベル・システムのマレーヒル研究所を見学しましたが、
電信電話はエレクトロニツクの時代に入
つている。私はまだそういう
方面の利用された日本の
電信電話事業を見ませんが、
アメリカではそうな
つている。これはベル・システムの研究所長、RCAの科学研究所の所長なんかも、現在
電信電話はエレクトロニツクによ
つて革命を起しつつあるということを
言つている。そうしてこれは現に行われつつあるのです。そういう点から
考えて、それは結局前に
大臣が言われたように、官営ではいけない、
公共企業体にする、こういうことをおつしやいましたが、この点はこれは将来
政府としても慎重に
考えてもらいたい、かように希望申上げるわけです。
それからもう
一つ、私
大臣に所信を伺いたいことは、これは私前からそういうことを
考えているのですが、大体日本人はテレフオン・マンだということをGHQあたりの人も
言つているのですが、日本人は
電話にかじりついたら五分も十分もかじりついていて
電話を離れない。これは日本の
電話が安いので、
アメリカに行きますと非常に通話料が高い。例えば市内
電話にいたしましても十五セント、それにステートのタツクスが二セント、一通話十七センド、約五十五、六円のものになる。それで日本に長くいて日本の
電話事業を十年近くも研究したというシカゴのケロツグ・スウイツチ・ボード・エンド・サプラ・カンパニイのバンザントという人がいて、これがシカゴで
電話業者の年次大会があ
つて、これに日本の
電話の現状と将来という題目で講演するが、その原稿を私に見てくれというので見ました。そうして五人の
国会議員の
電気通信委員を集めて、日本の
電話事業を将来どうするかということについて極めて率直な
意見を言うてくれないか、これは私たちとして非常に感銘したのでありますが、その
一つの中に、日本の
電話は結局安かろう、悪かろうだ。
電話料金が安過ぎる。従
つて施設もいいのができないのだ。それからもう
一つは、日本人の言葉、大体
電話で話をする習慣があ
つて、非常に
電話を時間的に一回分を長く使う。先ほど
山下通信監が言われたように、日本の
電話一台の負担する分が
アメリカの五倍以上にもな
つている。これは二ユーヨーク、シカゴ、ロスアンゼルス、サンフランシスコなどの五倍から十倍くらいになる。こういう現状から見て
電話の
サービスが、安ければ安いで国民に対する
サービスですからいいが、安かろう悪かろうではいけない。どうしても
サービスがよくなければいけないという点から
言つても、やはり安かろう悪かろうではなくて、非常に高くてもいい
サービス、正確な、そうして早い
サービスをするというのが
電話事業の、殊に
サービスとしての本質じやないか。こういう点から
考えて、今回ここに提出されている
電話料金の改正
法律案を見ますと、成るほど一般の公衆
電話が二円から五円に、二倍半にな
つている。
相当高い。ほかの
料金を見ましても、
電話に関して上げられている指数から見れば
相当高いものでありますが、私は
電話というものを
改善する根本はそこにあるのじやないかと思います。ですから果して
大臣が今回改正
法律案を出される場合に、そういうことを頭におかれたかどうか、そういうことは存じませんが、併し今おつしやつたような
電話電信事業が将来テレヴイ、ラジオ放送に対して必然的に協力しなければならん。それからエレクトロニツク・サイエンスを応用して現実に
改善するということもやはり
電信電話、殊に
電気通信が中心にな
つてや
つてもらわなければならん。こういう点から
考えましてこの
電話というものに対しては、そういうような、安いほどいいということは勿論でありますが、
電話の
能率を上げるという点から見れば、もつと
料金を高くしても
サービスをよくするということに観点をおかれたほうがいいのじやないかと思います。これに対して
大臣は、これは御研究の必要があると思いますが、そういうことに対してどういうお
考えを持
つておりますか。