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1951-10-25 第12回国会 参議院 電気通信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 恭一君    理事            新谷寅三郎君    委員            黒川 武雄君            山田 節男君            水橋 藤作君           深川榮左エ門君   委員外議員            千葉  信君   国務大臣    郵 政 大 臣    電気通信大臣  佐藤 榮作君   政府委員    電気通信省経理    局長      肥爪 龜三君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   説明員    電気通信省電気    通信監     山下知二郎君    電気通信省施設    局長      吉田 五郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電信電話料金法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○理事の辞任及び補欠選任の件   —————————————
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) これより会議を開きます。  電信電話料金法の一部を改正する法律案予備審査)の審議を続行いたします。この際お諮りいたしますが、千葉議員より委員外発言を求められておりまするが、これを許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 御異議はないと認めます。それでは発言を許します。
  4. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 山下通信監がお見えになつておりますので、主として工作工場の問題について御質問申上げたいと思います。現在の電話需要に対するサービス向上についての国民の要求というものは非常に熾烈なものがあると思いまするが、実際にサービス提供といつても、先ず根本的には現在の施設の中において起るところの故障を十分に修理するとか、故障を防止するという方向においてとられることが最も手近かなサービス提供施設のから見たサービス提供ということになると思います。ところが現在の電話故障状態を見ますと、全体の故障の約五三%というものが加入者宅内故障という形になつているのでございます。而もこういう宅内故障の起ります最も大きな原因というのは、大体が最低五年に一回平均清掃修理というような方法をとれば、こういう故障というものは非常に大幅に減少するのじやないか。こういう点から申しますと、例えば関東だけの場合を考えて見ましても四十万個の施設に対して、年間八万個の清掃修理を順調に行という方法をとれば、少くとも宅内故障というものは非常に減少する、而も八万個という一応の目標を達成する場合でも、現在の工作工場を全面的に動員するということによつてこれは年間約一個千五百円という計算をしても一億二千万円程度の予算でこういう状態というものは非常に正常な形に持つて行ける、こういう点から言いますと電気通信省としては、現在の故障に対する、特に宅内故障防渇ということについて工作工場のほうの活用ということをお考えになつておられるかどうか、この点を先ず承わりたいと思います。
  5. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) 只今お尋ね工作工場の件でございますが、御承知のごとく、只今電話のかからない一つ原因といたしましては、電話機故障相当ある、これを直すことによりまして相当程度故障は消滅するという見通しは御同様でございます。従いまして現在全国に十五の工作工場運営いたしておりますが、その工作工場では主といたしまして電話機故障修理に当らしております。大体只今お示しの数字に近いような数字考えられますが、現在年間二十二方程度電話機修理目標に鋭意やつておりますが、二十五年度の実績を見ましても二十一万八千個の修理をいたしております。この点におきまして我々の事業面工作工場が非常に寄与していると認めまして、なおこの上ともに充実する考えであります。
  6. 千葉信

    委員外議員千葉信君) そこで問題になりますのは、現在工作工場運営やり方を見ますと、これは昭和二十四年の十月からですか、非常に厳格な工場原価計算方式が採用されておるわけでありますが、大体民間企業なんかの場合には、割合に少い人員能率を上げているということが普通言われておりまするけれども、こういう原価計算と言うか、工場原価計算というような厳格な方式をとつて、それをどこまでも当はめて行く、独立採算制という建前でこれを当はめて行くということになると、これはやはり民間企業形態なんていうものを十分に考慮に入れて経営して行く、運営して行く必要があるのじやないかと思うのです。何か承わるところによりますと、工作工場の場合には人員の割りとか、或いは又所要経費割合には余り能率が上るとか上らないとかという批判なんかもあるようなんですが、こういう点についてよく聞いて見ますと、大体そういう厳格な原価計算を一方でとりながら、その他の例えば会計法ですとか、或いは事務規程などというのは、これは大体一般官庁と同じものが適用されている、而も恐らく人事院のほうから出された給与簿ども同時に厳格にこれは適用されておると思うのです。そういうことになりますと、非常に、こういう会計法であるとか、事務規程であるとか或いは給与簿等関係がら民間企業には比を見ないような、どうしてもたくさんの中間要員というものが必要になつて来るという形象が生まれて来ていると思うのです。例えば鶴見工場なんかの場合を見ますと、随分直接要員に振向けるという努力をやつてもなお且つ三五%ぐらいは中間要員を必要としている、その中間要員を必要としている理由というのは、今申上げたいろいろな煩雑な諸規定が、そのまま一方で原価計算をとりながら、なお且つ施行されているといろところに大きな私は矛盾があるのではないかと思うのですが、こういう点については改善の御用意を持つておられるかどうか、この点を承わりたい。
  7. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) 中間要員その他経営の面におきまして、民間企業官庁運営という相違点を御指摘でございましたが、これは私御指摘を否まないものでございます。その通りで肯定せざるを得ないのでございますが、これは純民営的にやることができましたならば、まだまだ相当改善の余地はあるかとも思うのでございます。なにせ現段階におきまして官庁機構の一面、且つ又こういつた修理工場……主とした修理工場は、民間企業に求めましても、十分に求め得ないものでございますだけに、自分の所で自主的に修理をするこの目的は非常にいいのでございますが、それをやりますためには、今度は官庁のあらゆる規定にやはり官吏としまして、公務員としてこれを縛られなければならん、この矛盾はこれは率直に私どもも認めております。併しこれは工場だけではなくして、我々のお預りしております電気通信事業それ自体が、実を申しますとまだまだ企業的にやれる面があると思うのでございます。これ又同様にいろ  いろな制約をこうむりまして、現段階ではその点が脱し切れんのでございます。幸いに将来機構を変えることができましたならば、そういう際には勿論事業全体も変えなければならんが、工場自身のことにつきましてもこれは十分に検討して、実際工場に即しました運営方法、特に事務煩瑣といつたような面は、これは改善しなければならんと思つております。
  8. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 御答弁至極尤もだと思うのです。実際こういう官庁機構の中にあつては、一挙に経営方式を、営利本位経営する民間企業状態に持つて行くということは、公共に奉仕する公務員という立場からもいろいろな制限がされるために、そう簡単には持つて行けないという御説には、私は全面的に賛成であります。同時にここで問題になりますことは、そういう形で一挙に民間企業のような形に切替えて行くことができないというような事情が一方にありながら、而も現在の工作工場なんかがあるということは、これは例えば国有鉄道なんかでもその例があるんですけれども民間との契約でいろいろな修理或いは営繕を行うというような場合よりも、実際国鉄なら国鉄の中に工作工場であるとか、向うのほうでは工作工場と言わないで工機部なんていう名前で呼んでおりますが、工機部とか機関区とか、こういう施設を持つておるということは、国鉄施設能率化ということには甚大な貢献をしておる組織だと思うのです。同時に又電気通信の場合にあつても、工作工場なんということは、あの工作工場の中で行われている作業の状態、殊に民間に供託した場合には到底修理をしてくれないような古めかしい傷んだようなものも、それから又部品なんかも全然ないようなものを探し廻つて修理するとか、そういう点では又現在もう殆んど部分品もなくなつているような旧式な機械なんかについても、八方奔走しながらどうにか部分品を調達しながら修理に当つている、参こういう状態考えますと工作工場の機能なんというものは現在の状態においては頗る仕事に貢献しているということが言えると思うのです。私はそういう貢献しておる施設を縮小するというような考え方には賛成できないし、ますますこれは拡大強化、必要があると思うのです。そこで一方問題になりますことは、そういう要望を満たしながらも、なお且つ原価計算方式を堅持して行かなければならんという場合に、私はその救済方法というのは、例えば工作工場運営のための救済方法というものが十分考えられなければならんと思うのです。何か承わりますところによりますと、最近全国的に原価計算方式について、平均した価格というようなものが設定せられたとか、設定せられるような用意があるとかというようなお話を承つておりますけれども、そういうような場合に、一体それではこういう中間要員を必要とせざるを得ないような国営であるために、若しくは又国家公務員であるために適用を受けるところのいろいろな事務規程であるとか、給与簿関係とか、或いは会計法に厳格に縛られる、こういう条件から来る中間要員の必要  という条件に対して、十分に原価計算方式上に考慮をお加えになつておられるかどうか、この点を。
  9. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) 工作工場只今指摘のように非常に重要性がある、殊に民間工場では引受けないような非常にむずかしいものも工作工場でやつておる、確かにその通りでございまして、私ども工作工場を持つておることを事業の強味と考えておるのでありますが、この運営の点におきましては、勿論先ほど申上げましたように現在の段階ではいろいろな制約を受けます。将来におきましては相当にこれは改善しなければならんということも考えております。併し独立採算というものにつきましては、これはどうしても私は堅持して頂かなければならんと思うのであります。そろばんを外してどうやつてもいいのだということでは、私は今後の工場あり方におきましても、火大きくは事業の面におきましてもその線は外すわけにはいかんが、只今の御指摘全国的に一つめどをつけておるということは、これは大体電話局あたり修繕費千五百円だというようなめどはつけておりました。併しこれは何にいたしましても、一応やりますからにはめどをつけざるを得ないのであります。併しそれは飽くまでもめどであります。その中で以て実績を挙げて頂きたい、実績を挙げたことに対しましては、これに対して報いる途も考えなければならんということで、私ども十分に考えて現在協議中でございますし、なお又幸いに報奨制度が実施されるようになりましたならば、こういう面を十分に適用いたしましてその労に報いたいと思つておりますが、各一場ごとに、一種の事業意欲によりますところの競争的意欲を持つて工場をやつて頂かなければならんということは、これは私も考えておるところであります。
  10. 千葉信

    委員外議員千葉信君)  只今の御答弁にありました独立採算制は堅持して行きたい、この問題については私はいろいろ意見もありまするけれども、今ここでこの問題について重ねて山下通信監とこの問題について論議する気持は毛頭ございませんが、ただ併しその独立採算制を強行するという、若しくは又どこまでもその方式を堅持して行きたいというお気持を持つておられるとすれば、私は簡単に独立採算制の強行ということについては賛成できない部分があるのではないか。それはどういう点からかと言いますと、例えば工作工場等の場合をますと、いろいろ年間修理計画というようなものが本省の工作課といいますか、そちらのほうで立てられるようですが、大体に工作工場は所管がこれは資材部のほうになつておると承わつております。そして而も工作工場が担当するところの設備その他についてはこれは施設部がこの問題を受持つておる、そういうことになりますと、もう工作課のほうで年間修理計画を立てたその計画通りに順調に、修理する品目等が時期的にも順調に提供されるかどうか、そういう点についてこの計画と実施と齟齬を来たしておるということが非常にたくさんあるのではないか、例えば一方は一カ月間にこれくらいの修理をするという計画が立つて人員の配置も完全にできておる。ところが実際に修理する品物は、これも計画するほうと、その修理品目を供託し或いは提供するほうとは離れるために、人員が常にフルに動員されないで遊ばせざるを得ないという現象が起つてやしないか、こういう点が、現在の組織の中にはつきりした欠陥としてあることが、私ども工作工場の視察の中から出ておるのですが、通信監はこの点どういうふうにお考えですか。
  11. 吉田五郎

    説明員吉田五郎君) 通信監に代りまして私からお答えいたします。只今指摘のような欠陥が確かに独立採算制にございます。従いまして実は今年から、去る九月から実施しております。今の矛盾解決いたしますために、全国平均として電話機を千五百円なり千六百円にプールしたのは今の矛盾解決のためであります。真の意味において工作工場だけ独立採算制にいたしますと、用意いたしますところの計画の半分しか注文がないことになりますと、原価が倍になりまして、高いときには一個当り三千五百円、四千円ぐらいの修理費に該当いたします。こういたしますと、注文したほうからは、そんな高いものは買わんと言つてそこにトラブルがございますし、やつたほうは、折角やつたのに買わんなんという、こういう矛盾がございますので、全国平均しまして、電話については千五百円にするというふうにいたしますと、工作工場としては安心して、需給のアンバランスのために出て来る部分だけは問題なしに解決できるだろう、その分の負担は結局施設部門が負担すべきである、こういうふうに直しました。こういうような見地に立ちまして、実は能率を上げて原価千円ぐらいで行つている所は非常に不満のところがある。千円の原価のところを千五百円とみなすのはけしからん、そういう工場もあるわけでありますが、これは全体を、各工場全部集めて考えまして、今度ほかのものに対して穴埋する場合もあります。非常にそちらの注文がありますれば、当然その分はカバーされますから、そういう総合計画的な面を或る程度入れませんと、今の矛盾は解かれないわけであります。この点の改善につきましては本格的に乗出したところであります。少し実績を見れば、今の点は解消するのではないか、かように考えております。この場合に今の間接要員の問題なんかもあるはずでありますが、それを十分考えまして、千五百円にするか千六百円に見かということを、従来の実績と比べまして勘案するようにしております。今御指摘のような点は確かに矛盾がございますから、その点の解決をしながら、いわゆる競争意識による能率向上の点を押して行きたい。只今通信監の申しました独立採算制の堅持という点で御指摘矛盾をできるだけ解決するように始めたところでございます。
  12. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 今御答弁がありました解決策というものは私は非常に貢献する点が多いと思うのです。併しただ一方から考えますと、そういう修理費用額全国プール計算するというやり方は、解決策として貢献するかも知れないけれども、それだけではどうも十分でないという印象が強いのです。それはまあ全国にある工場間におけるお互い仕事は、それは順調にアンバランスなくやつて行けるだろうと思う。併しやはり問題として残るのは、先ほど申上げたように、計画する側とそれから修理品提供する側との計画が常にマッチすることができないような状態機構に今なつておるのじやないか。それは資材部のほうで大体修理を受持つて行つて、そうして施設のほうは別に施設計画を打ち立てられながら、而も両方で計画がうまくマッチしていても、今度は実際各月間における修理品提供をするようなことがお互い機構が別なために必ずしも順調に行かないような面が多いのじやないか。又従来の面から見ますれば、工作工場で立てた年間計画をスムーズに実行するために頭を下げて施設部のほうにお願いしておる傾向がどうしても従来あつたと思う。従つて機構上の問題も私はこの際解決策として十分取上げていい問題じやないかと思いますが、この点は如何ですか。
  13. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) 注文するほうと、その注文を受けるほうと内訳で申しまして、そういう立場でありますために、御指摘のような面が往々にして現われるということはあり得ることでございます。勿論機構の点につきましてのその支障がありますならば、機構は改めなければならんと、今まあ具体案として、確定案ではございませんが、資材部あり方というものにつきまして、全般的なあり方というものにつきまして今検討中でございます。恐らく御趣旨に副いましたような線に漕ぎつき得るのじやないかと思つております。
  14. 千葉信

    委員外議員千葉信君) それからもう一つお尋ねしたいことは、先ほど全国プール計算にするということで、一個当り千五百円というような額が一応決定を見たということでございましたが、実は関連する問題というのは、当面して現在公務員給与ベース改訂の問題がございます。そうすると、工作工場、少くとも工作工場で働いておる従業員諸君の俸給、給料というものが、近い機会に引上げられるはずなんです。そういうことになればやはりその修理原価に対する影響というものは相当大きく起つて来ると思う。そういう場合に修理計画というものに対して、十分考慮せられるかどうか、若しそれを考慮されなければ、やはり工作工場としては非常に運営上痛みを受ける問題だろうと思いますが、この点は如何ですか。
  15. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) 私ども部内における幸不幸、厚薄ということは一切考えたくないのであります従いまして公務員給与ベースが上りましたならば、上つただけのものは当然工作工場従業員のかたぐに対しましても当然見るというふうに考えております。そのために或る基準を動かさなければならんならば、その基準を動かすことも決してやぶさかではございません。
  16. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 重ねてですが、これは給与といいましても細かく言えば、例えば近く実施されようとしておる報奨制度の問題にいたしましても関連して来る問題だと思いますし、それから又何か事業能率上つた場合に、これはまあここで余り公言を憚る問題だと思うのですが、増産対策費というようなものもこれはまあ施設の完備という点に使われておるかと思いまするが、そういう点にも影響があるかと思うのですが、その点における十分御考慮を頂ける御用意があるかどうかという点をこの際最後に承わつておきたいと思います。
  17. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) 勿論一言で申上げますれば、その心がまえは十分にございます。ただ今御指摘のありました増産対策の問題は、能率向上対策の問題は、これは現金で給与しておるものではございません。厚生施設及びその他の方法でやつておるのでございますから、これは工作工場に特に一利な取扱をしておるということはございません。併し全般的には只今申上げましたように全部他の受けるところのいい面は、やはり工場におきましても受けるということにいたして行く考えであります。
  18. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 私の質問はこれで一応了解したということで質問を打切ります。   —————————————
  19. 山田節男

    山田節男君 私は昨日ちよつと所用があつて電気通信委員会に出席しませんので、恐らく大臣並びに関係諸官から提案理由説明並びに質疑応答を重ねられたことであろうと私想像しております。実は今回我々アメリカ行つて電気通信事業、殊に電信電話その他の電気通信をまあ相当詳しく視察したわけであります。それについてまだ資料も部分的にしか手許に届いておりません。抜萃したものは若干抽象的な範囲で持つておりますが、そういうわけで実は我々としては、殊に電信電話の問題について今後どうするかという基本的な問題について相当研究して我々三人の電気通信委員は帰つたわけであります。まだ帰つて来て国会に提出するべきレポートの作成が実はまだ骨子もできておりません。併しやがて電気通信委員三名のアメリカを視察した結果の報告を出すということになつておりますから、そのときに詳しく又申したいと思いますが、本国会に提出されました電信電話料金法の一部を改正する法律案、これもまだ十分研究しておりませんので、本日まとまつた質問をすることはできませんが、ただ私はここで極く抽象的な意味での質問を二三申上げたいと思います。電気通信大臣の御答弁をお願いしたいと思います。  実は我々が八月に出発する前に際して、電話事業を従来の官営から公共企業体、或いは私の、プライベートの企業に切り換えたいという意見政府にあるやに新聞にも伝わつており、まあそのとき大臣からも御所見を伺つたわけであります。我々としては大体今日の電話の非能率のいろいろな原因えて見て、企業形態ということもこれは大きな重要な問題でないか、こういう意図の下に、殊にベル・システムの経営方面においては詳しく仔細に調べたわけであります。それで今回こうして一般物価の、物件費の増加、或いは給与ベース改訂等で赤字が出たというので、電信電話料金改訂を要求されておるわけであります。重ねて私は大臣の所信をお伺いしたいのでありますが、電話を近き将来においてこれを公共企業体或いは民間会社に移譲したいという、そういうお気持があつてこれに関する諸般の準備がされておるのかどうか、この点先ずお伺いしたいと思います。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 電気通信省がお預りしております事業電気通信電話電信になるわけでありますが、その事業経営形態につきましてはいろいろの批判があるわけであります。この種の事業といたしましては当然最高のパブリック・サービス提供するものであるから、国家自身経営するがよろしいではないか、又そのような意味も持ち、又国の発展の途上においては力を貸すべきではないかというような意味も多分にあつたことだと思いますが、今までの経営は国がやつて来たということであります。ところがいろいろの事情がそこにも伏在するわけでありますが、一概に非能率というわけのものでもないが、もつと事業の性質からこれを企業化したらどうだ、いわゆる企業的経営を取入れたらどうかという意見が各方面から持上つて来ているわけであります。私自身も長いこと国有鉄道におきまして、仕事の内容は違いますが、公益事業携つた経験から申しまして、特殊の意図がない限り、企業である限り国営に捉われる要はないんじやないか。その意味においてはもつと企業的な能率を挙げ得るような組織にすることが望ましいではないかという考え方を持つているわけであります。数年に亘りましてごの種の国営事業については、国の直接経営というものから少し形態を変える方向で検討して見たいというので準備を進めて参つたわけであります。この前一度当委員会においてもお話申上げたと思いますが、かような意味合いにおいて今回電気通信仕事公共企業体に移行するという決意をいたしましてその準備をいろいろ進めているわけであります。この国会に法案を提案いたしまして御審議を頂く程度には準備が整つておりません。すでに鉄道は公社になつているし、或いは専売も公社になつている、公社になりますと、その実情等を見ますともつと企業的機能を発揮し得るように中身を変えるわけに行かないか。一例を取つて申しますれば、非常な強い制約を国家予算からも受けるような状況になつておりまするし、民間資金を吸収するというような面においても現存の公社は不十分のようにも感ぜられます。従いまして常に計画をいたす者といたしましては資金調達上においてはもつと自由闊達なものでありたい、これを第一に狙つているようなわけであります。そこで公共企業体に移行するという事柄においては、当参議院は別といたしましても、衆議院のほうはすでに委員会でさような決議も頂いているという状況でありますので、国会の御趣旨にも副うゆえんではないかというわけで検討を続けておりますが、今のお尋ねの中にありました更にこれを私企業へ移す考えはないかという問題になりますと、私ども勿論まだ検討をいたしているわけではない、ただ茫漠として考えて見ますと一口に電気通信事業としては考えますものの、今回料金改訂においても御審議を頂いておりますように、電報は、これを切り離して考えるとこれだけでは採算がとれない状況であります。アメリカのシステムを考えて見れば、電報と電話を分けているという考え方で、日本にその考え方を持つて来て見ようとすると電報は事業としては成り立たない。而も電話電信関係におきましては設備を共用しているものも多分にある。これらの財産の区分ということも実は容易ではない。或いは又電話の総体と申しますか、国全体の電信電話を一緒にしての一会社を考えるといたしますれば、これ又独占的形態であつて、何のために会社にするのか理解に苦しむ。更に又今度は東京電話株式会社、或いは大阪電話株式会社を作つたらどうかという議論も聞くのでありますが、大都市だけの電話会社を作つた場合に地方の電話は一体どうなるか。殊に運賃改訂で御審議を願つておるので御承知だと思いますが、今回の料金改正でやや是正するとは申しますものの、市内と市外との収入割合は、市外のほうで利益を上げておるような状況であります。かように考えますると、この収入の問題から見まして、いわゆる遠距離通話というものが非常に大きく出て来るわけであります。又国内電話運営の面から見ましても国内幹線と申しますか或いは中継設備、これは金もかかるが、同時に市外通話を円滑にするという観点から見ると、これも非常に大きく出て来る問題であります。かように考えますと、民営というのが一体何をいろいろ言つておられみのか、私どもには非常に理解に苦しむのであります。過去の例で申しますれば、国際電信電話に関しては設備保有の国際電信電話会社というものがあつた。これだけは若し分離するとすれば分離可能かもわかりません。併しながらこれも、今回の料金改正で御審議を頂くように、相当の収益が上る。それが国際電信に対しての援助になつたり、或いは又国内の総体の企業の黒字の部分にもなつておる。かように考えますると民営形態に移すとい議論はしばしば各方面から聞くのではありますが、余りにも事業の実態についての知識が不十分なんじやないか、従つて民営形態の議論はありますが、私並びに今日の電気通信省の管理者といたしましては積極的な検討は実はしておらないという状況であります。今日のところは総体としての運営、これはやはり国家的な使命を達成する意味において公共企業体程度には是非とどめておきたいし、同時に又国家的予算だけに縛られるような仕組みでなしに、もつと民間資金をも吸収し得るような経営形態にする、又従業員自身も一般公務員の法規の適用を受けるというようなことなしに、企業的な事業体に従事する従業員としての待遇を受け得るような方向に持つて行く、それが企業の本来の使命を達するゆえんじやないか、実はかように考えまして、公共企業体移行への準備只今進めておるという状況であります。
  21. 山田節男

    山田節男君 今大臣の御説明で大体よくわかりましたが、この公共企業体にこれを転換するということも、成るほど事業の性質から考え、又貸金面から考え公共企業体にするということは、一応これは最も常識的な考えだと思うのです。ただ我々過去鉄道を公社にし、それから専売局を公社にして過去一年有余の経過を見て、果してサービスと言いますか、日本国有鉄道公社のサービスが果して改善されたかどうか、これは私は決して資本主義的な自由競争における私企業を是認するという意味で申上げておるわけではないのですが、これは申上げるまでもなく日本の電話というものは歴史的に見て、日本が極めて近代国家としての歴史が浅いために、資金上或いはその他の理由から考えてやつたものだろうと思うのですが、過去八十年余の伝統、歴史を持つて今日よくなつておる。併し世界的に見て能率の点において一流の国とは言えない。貧弱なサービスで今日国民が困つておるわけです。これをどうするかというと、企業形態の場合に、公共企業体がいいかどうか、観念的に言えば或いは企業を転換するという意味においては、資金的にこれを円滑化した場合に、大臣もスターズ・アンド・ストライプスに三億八千万ドルの価格評価をされたように発表されておる。そうするとこれは今日の国家予算より、一年の国家予算よりは多くなつております。これを民間に小分けして配電会社を九つに分割したようにできるかどうか、これは資全的にはこれもむずかしいのじやないかと思う。そこで公共企業体というものでおやりになるのだつたら、従来の鉄道公社とか或いは専売公社に基くような公共企業体のようなものでは、やはりこれは相当資金面においても自由のようであるけれども、なかなかでない。これは鉄道公社あたりが現実に困つておる。そういうような点から私はいろいろこれはもつと詳しく調査し、又資料を収集、研究した結論でないと確信を以て申上げることができないのですが、私今日ここで申上げることは、この日本の電話の非常に能率が悪いということは、これはもう私は結局施設の問題になると思う。まあ外国において日本の我々がいろいろ実地見学さしてもらつて見たなにから言うと、これは結局施設の問題じやないかと思う。例えば日本の遠距離再話は非常に能率が悪い、時間がかかる、結局これは施設の点であります。殊にこれをもつと端的に言えば、スイツチ・ボードが非常に貧弱である。今日まで全然改良されていないと思います。スイツチ・ボードに非常に欠陥があるということを向うに行つて痛感したわけであります。そういうことになりますと、果して全国的な公共企業体にして、そうして鉄道公社のようにやられること、これは一番簡易の方法だろうと思うのです。併し国民の要望する電話能率サービス改善という点から言つて、今日の鉄道公社の歩んだような段階にするのだつたら、これは国民の失望を来たすのじやないか。そこに電話料金、鉄道もそうですけれども、これは向うで言うコン・モン・キヤリアであつて、国民へのサービスのために実に周到親切なベスト・サービスをする、これは鉄道公社と同じ、鉄道公社然り、この電話というものは鉄道以上のスピードを必要といたします。経費を安くする、而も復旧を行わなければならん、こういうことになつた場合に果して公共企業体というものは、独占的な事業として、これが我々の要望し得るものになり得るかどうか。  それから施設改善が先ず第一だということから考え、又やはり一種の独占形態、競争がない、競争がないとここに必ず害が起つて来て、国民の要望に答えられんということが多分にあると思う。そこで日本の四つの島を一体の公共企業体でなくして、例えば本州、北海道、四国、九州というような、丁度日発を九配電会社に分割したような小さい単位の公共企業体、或いは私企業、非常に何と申しますか制限を受けた、政府の監督を受ける、監督の下に経営される私企業です、これは私は大きな問題だろうと思うのです。この点は今後政府公共企業体形態にするという案をお出しになる場合にも、大臣はこれに対して相当考えて頂きたい、私はそういうように念願するわけであります。  それからこの電話がこうして八十年以上の歴史を持ち、又日本のいわゆる電話サービスについては、これは私は誇るべきものもたくさんあるということを十分存じております。ただ私の憂えますことは、この公共企業体に移譲するにしましても、今の日本の電話サービスが非常にひどいと申しますか、国民の要望する、或いは時代の進運に歩調を伸ばし得なかつたという根幹は一体どこにあるのか。先ほど申上げたように私たちは私たちとしての極めて常識的観念を持つておりますが、公共企業体サービスにしましても、従来の電話サービス状況というものは、官営においてどこが一番ハンデイキヤツプと言いますか、ネックされておつたのか、こういう点についてこれは大臣でなくても、ほかの政府委員でよろしうございますから一つ率直にその点をお教え願いたいと思う。
  22. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) 只今電話事業における一番ネックが何かというお尋ねでございましたが、先ほど御指摘がございましたように、施設が十分でない、古い、傷んでおる、使い古しておる、無理をしておるという点がサービスを非常に妨げている点でございます。ところがその施設を取替えますためには十分なる減価償却を用いなければならない。が、在来減価償却は非常に施設全体に対しましては低い割合の金額のものでございました。このたび料金の改正によりまして、まあ将来の見通しにつきましては或る程度の減価償却費を持つているかと思うのでございます。これを以ちまして現在の悪い施設をできるだけ改善するという点が第一点でございます。それから次は、世間にはよくもう拡張なんか考えなくていい、今ある電話の設備をよくしてくれ、それが第一義だという希望が私どもの耳に入ります。ところがこれは電話の拡張という面と電話サービスの増進という面とを見ますと、これは表裏一体のものでございます。かからない電話というのは、今申上げましたまうに施設の悪い点もございますが、又電話が足らないためにかからない電話というものが起るわけであります。アメリカで御調査になられたと思いますが、アメリカ電話は大体一日平均の使用度数は三回と出ております。日本はこれが平均八回以上であります。この東京の中心地あたりは一日十六回以上になつておるのでございます。こういうように一つ電話が受持つておる負担量が非常に多いのであります。この負担量を減らすということは電話の架設を余計にすること、電話の増設をするということであります。その電話の増設にはどうしても建設資金を十分に獲得いたしまして、その建設資金によりまして電話の拡張をする、その電話を拡張をすれば、在来の電話もよくなるということに相成るわけであります。先ほど御指摘のございました市外通話がかかりが非常に悪い、遅いということを言われておりますが、これは見ようによりましては、長距離の連絡は早くつきまして、市内に入りましての連絡が遅くなる。丁度鉄道で申しますというと、鉄道の遠距離の運輸は早く行くけれども、市内の小運搬で手間取るといつたようなことに相成るわけでございまするからして、どうしましても私どもとしましては電話改善をしますためには、建設資金を十分に拝借いたしまして、そして急速にこの電話の拡張をするということに相成るわけであります。そういうことを希望するわけでございます。従いまして一方におきまして、在来の施設を取替えて非常に能率のいいものにすること、他方におきまして電話の基礎的設備の拡張をするというこの二点をいたさなければならないと思うのでありますが、在来それが非常にネックになりまして思うように行かなかつたわけでございます。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は素人でありますので素人的な感じを申上げて見たいと思いますが、今の山下君の説明程度ではやや私は不十分ではないかと思うが、電話が架設ができない、或いは今ある電話がうまくかからない、こういうまあ要望が非常にあるので、その面からだけ割出して見れば、現在の架設本数が非常に窮屈だ、或いは又現在あるものの通話がうまく行かないのは今の中継線が足らないのだ、こういう点がすぐ気付くわけでありますが、非常な大きな問題として特に今後気を付けて行かなければならない面としては、戦時中並びに戦後における技術の非常な遅れと申しますか、近代化が遅れておるという点に帰するのじやないかと思うのであります。この点を連合軍あたりの相当の指導を受けましていろいろやつて参りましたものの、やはり技術の面としては自分たちが今までやつて来たことについての相当の自信を持つておる。殊に電気通信省の研究所あたりは権威のあるものであります。けれどもこれは国内的に権威を持つというだけで、もつと広く眼を世界先進国のほうへ移さなければならないのじやないか。御承知のように私どもが預つておる電信電話の面において利用者にいろいろの不便があるばかりでなく、最近新らしく起りました施設の面から見れば、例えば民間放送が盛んになり、或いは又最近はテレヴイを持込まれておるわけですが、これの問題は直接の関係としては電気通信省が持つわけではありませんが、テレヴイが始まることになりますれば、必ず電気通信省の中継施設の不足ということにぶつかつて来る。この中継施設そのものにつきましても、在来のような中継方法だけでは不十分ではないか、実はこれは私専門家でありませんから、専門家は専門家的な説明を必ずされることだと思いますが、もつと軽便にしてもつと中継の役に立つような方法がきつとあるに違いない、そうでなければアメリカのような電信電話の普及はできつこはないのだということを私は感ずるわけであります。まあそういう意味において関係技術者等にはいろいろの素人らしい注文をしております。これらのことが根本的な問題になる。それを実施に移す場合におきまして初めて資金の問題になる。どれが一番ネックかと言えば、現在の電気通信省が預つておる事業の内容から申せば、よほど時代的には遅れておるではないか、計画されたもで相当新らしいものもあります、ありますが、それは非常な部分的の計画であつて、これを実施に移すというのには相当の期間とそれから資金を必要とする、同時に資材も必要とするというような状況になつておるように思うのであります。これは非常に率直に申上げて御参考にいたしたいと思います。
  24. 山田節男

    山田節男君 丁度今山下通信監、それから佐藤大臣の御説、私も大体そう思います。殊に今大臣がおつしやつた言葉ですね、これは私も全く同感で、電話線というものが、アメリカ行つて痛感いたしましたことは、例えばこの間のサンフランシスコの講和条約の会議の際に、東部のワシントン、ニユーヨークの方面へ初めてテレヴイジヨンの放送中継をやつたわけです。これもマイクロ・ウエーヴ施設の二十五マイルごとに設けられたラジオ・リレーによつているのですが、テレヴイジヨンは全くベル・システムの電話の中継で連絡している。それから東部のニユーヨーク、ワシントン、シカゴ等のラジオも、西部海岸のカリフオルニアに対しましても、ベル・システムのラジオリレーにより、各放送局のネツトワークは、ベル・システム又はこれ以外の会社の有線、無線のリレーで放送連絡している。こういうような状況でありまして、もつと大きな考えから見れば、日本の将来の電話というものから見て、更にこれがテレヴイ放送、ラジオ放送、それからもう一つこれは我々が技術的に、今山下通信監は述べられなかつたが、私もこれは極く素人ですけれども電話というものが、従来の有線の電話がもうすべてエレクトロニツクの科学が進歩しまして、電気通信事業界の一つの革命を起しつつある。エレクトロニックの観念が向うでは殆んど常識になつている。例えば電話の、日本語で訳しますと何といいますか、料金通話時間、こういうものも全部機械化しているのを二三カ所見ましたけれども、これはエレクトロニック・サイエンスの応用です。それからRCAの研究所や、ベル・システムのマレーヒル研究所を見学しましたが、電信電話はエレクトロニツクの時代に入つている。私はまだそういう方面の利用された日本の電信電話事業を見ませんが、アメリカではそうなつている。これはベル・システムの研究所長、RCAの科学研究所の所長なんかも、現在電信電話はエレクトロニツクによつて革命を起しつつあるということを言つている。そうしてこれは現に行われつつあるのです。そういう点から考えて、それは結局前に大臣が言われたように、官営ではいけない、公共企業体にする、こういうことをおつしやいましたが、この点はこれは将来政府としても慎重に考えてもらいたい、かように希望申上げるわけです。  それからもう一つ、私大臣に所信を伺いたいことは、これは私前からそういうことを考えているのですが、大体日本人はテレフオン・マンだということをGHQあたりの人も言つているのですが、日本人は電話にかじりついたら五分も十分もかじりついていて電話を離れない。これは日本の電話が安いので、アメリカに行きますと非常に通話料が高い。例えば市内電話にいたしましても十五セント、それにステートのタツクスが二セント、一通話十七センド、約五十五、六円のものになる。それで日本に長くいて日本の電話事業を十年近くも研究したというシカゴのケロツグ・スウイツチ・ボード・エンド・サプラ・カンパニイのバンザントという人がいて、これがシカゴで電話業者の年次大会があつて、これに日本の電話の現状と将来という題目で講演するが、その原稿を私に見てくれというので見ました。そうして五人の国会議員の電気通信委員を集めて、日本の電話事業を将来どうするかということについて極めて率直な意見を言うてくれないか、これは私たちとして非常に感銘したのでありますが、その一つの中に、日本の電話は結局安かろう、悪かろうだ。電話料金が安過ぎる。従つて施設もいいのができないのだ。それからもう一つは、日本人の言葉、大体電話で話をする習慣があつて、非常に電話を時間的に一回分を長く使う。先ほど山下通信監が言われたように、日本の電話一台の負担する分がアメリカの五倍以上にもなつている。これは二ユーヨーク、シカゴ、ロスアンゼルス、サンフランシスコなどの五倍から十倍くらいになる。こういう現状から見て電話サービスが、安ければ安いで国民に対するサービスですからいいが、安かろう悪かろうではいけない。どうしてもサービスがよくなければいけないという点から言つても、やはり安かろう悪かろうではなくて、非常に高くてもいいサービス、正確な、そうして早いサービスをするというのが電話事業の、殊にサービスとしての本質じやないか。こういう点から考えて、今回ここに提出されている電話料金の改正法律案を見ますと、成るほど一般の公衆電話が二円から五円に、二倍半になつている。相当高い。ほかの料金を見ましても、電話に関して上げられている指数から見れば相当高いものでありますが、私は電話というものを改善する根本はそこにあるのじやないかと思います。ですから果して大臣が今回改正法律案を出される場合に、そういうことを頭におかれたかどうか、そういうことは存じませんが、併し今おつしやつたような電話電信事業が将来テレヴイ、ラジオ放送に対して必然的に協力しなければならん。それからエレクトロニツク・サイエンスを応用して現実に改善するということもやはり電信電話、殊に電気通信が中心になつてつてもらわなければならん。こういう点から考えましてこの電話というものに対しては、そういうような、安いほどいいということは勿論でありますが、電話能率を上げるという点から見れば、もつと料金を高くしてもサービスをよくするということに観点をおかれたほうがいいのじやないかと思います。これに対して大臣は、これは御研究の必要があると思いますが、そういうことに対してどういうお考えを持つておりますか。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お説の通りだと思います。実はこの前のニユーヨーク州知事のデユーイさんが来たときに、あすこのあれは何と申しますか、公共委員会委員の人ですが、そういう人が来て、日本の鉄道なり電話なりの料金の話をしておりました。当時ニユーヨークは、いろいろの段階はおりますが、大体十セントと考えればいい。その人と話したときに、日本の電話は一体幾らだ、現在一通話二円だ、ニユーヨークはテンセント、日本に換算すれば三十六円です。向うで目をきよろきよろして実に安い大変結構だね、ところが実はこの国のほうの高い三十六円の電話はすぐ通じすぐ話ができる。又架設しようとすれば二三日のうちに架設ができる。おれのほうは二円の通話だがなかなかかからない。殊に市外通話となつて来たら非常なものになる。サンフランシスコとワシントンの間で三分で通じたと日本に帰つて言うけれども、その通話料はどうしても四千円前後となつております。日本の市外通話でそんな高い通話はないが、半日待つて通ずるか、或いは朝から待つて夕方になるかわからない。従つてこれは安いということは、結局現在のサービス程度を現わしておるのではないかと思うのです。料金が安いという自慢は一切できない、今お説にありましたように、安かろう悪かろうである。そこでこの電話を立派な電話にするということが自分に課せられた一番の使命である。そういうことで第業自身が成立つということは取りも直さず利用大衆が満足するということなんだから、そういうものを取上げて頂きたいというようなわけで料金改訂もいろいろ計画しておるというような、そういうようなお話をしたのでありますが、その点の感じは全然問題にならないのであります。ところが今回料金改訂をいたしますに際しまして一番管理者として心配しておりますることは、現在の電話はとにかく悪い電話なんです。その電話料金を上げる。将来整備するということは、我々の意気込みなり計画から見て、十分国民の期待には副い得るであろうと思いますが、料金が上ることによつて受ける負担増を現在の加入者なり、利用者なりが受けるという場合に、このサービスは非常に辛いと申しますか、薄いものじやないかという感じ、その責任を実は私ども痛感をいたしておるわけであります。意気込みといたしましては、只今山田委員のお話のごとく、とにかく事業といたしましてサービスを整備して行く、そのために必要なる資金には違いない、今回の料金改訂に際し同時に又御審議を頂くことになります電気通信省の補正予算を御覧になりますれば、減価償却費も相当高く見込み得るようになる、これで初めて独立採算の基礎ができる、これによつて減価償却等を見込むことによりまして設備の交代と申しますか、老朽を新らしくすることも実は可能なわけなんであります。そうすれば只今のお話にありましたようなサービス提供し得ることになる、だから問題は、ただその時期的の問題といたしまして、然らばサービスを十分して、そのサービスができた後に料金を上げたらいいかということも一つの議論かと思いますが、これはどうも事業の性質上先に借金をしない限りそうは参らない、ここに私ども企業形態としての実は悩みがあるのであります。従いまして私ども今回の料金改訂計画して参りますものの、これはその料金が国際的に見て、アメリカから見て非常に安い、こういうことを自慢する考え方は持つておらん、むしろこの料金上つた、これに相応するサービスを現在の状態において電気通信省は国民に提供し得るかどうか、これを現在の状態においては右から左にはできませんが、短い期間において必ずこれに相応するサービス提供するのだ、そういう実は強い決意を持つておるわけであります。従いましてお話のごとく、事業の性格から申して当然料金そのものも議論になると思いますが、問題はこの事業経営し管理しておるもの、又従業員が如何なるサービスを利用者に提供してくれるか、このサービスが非常に問題になりますならば、料金の高いという感じは持たれない、又安い料金であります場合においては非常な感謝を受けることになるのじやないか、これが私ども事業を扱つておる者の実は狙いなんであります。そういう意味では只今山田委員のお話になつたことと全然同感な感がいたしておるわけであります。
  26. 山田節男

    山田節男君 了承いたしました。もう二三点ばかり質問いたします。これは今大臣のお気持はわかりますが、今回のこういう電信電話料金の一部改正法律案の根本的な理念と申しますか、これはやはり今おつしやつたような政府考慮があり、又一方から言えば、これは一つのインフレを助長するということも言えるだろうし、又サービスを受ける側の非難もあるということを考慮いたしたであろうと思うのでありますが、先ほど来私が申上げたことを結論すれば、日本の今の電話事業というものは、一つの悪循環と申しますか、ヴアイシヤス・サークルがある、山下通信監が、あなたがおつしやつたことく、これは日本の電話が発達しないのはヴアイシヤス・サークルに陥つて、そのリングをどこか切らなければ電話の非能率改善できない。今おつしやつたようにこの電話料金を上げるということについても、やはり一応安かろう悪かろうということでは、これは従来のやはり電話の非能率の悪循環は切れない、この悪循環のどこかで切らなくちやならない。施設改善、それには金が要る、それには加入料金を上げなければならない。先ほど申上げたように日本はベル法である。数も少いから従つて電話一台に対する負担料は、負担率としても高い、又政府から十分の金を取れないから建設もできない、こういうふうなことでは、これは依然として悪循環がぐるぐる廻りしているに過ぎない。そういうふうであるなら如何に弥縫的な改善をしようと思つてもこれはできない。ですからどこかでリングを切つて一つ電話事業に対する思い切つた革命的な政府が手段を施さん限りは、この悪循環はいつまでも廻つておる。従つて国民は迷惑する。同時に電話に対する国民の観念と申しますか、テレフオン・ブローカー、電話ブローカーがあるというような、こういうような時代錯誤的な観念を断つためには、私はこれはどうしても悪循環を断たなければならない。それには電話料金を改正するというような場合に、その責任は政府が責任を持つて、先ず一部分でもいいから電話サービスを非常によくするようなことをやらなくちやならない。併しこれを一体やる場合には一時は苦しいかも知れんけれども、これは一つの革命であり、悪循環を切るのですから、切つて電話料金改善の突破口を作る。そういうことになれば今おつしやつたような大臣の心がまえ、並びにそういう方針には私は極めて賛成です。ですからこういう一つのチヤンスを契機として、そういう方面一つ電話政策というものの転換を図つて、悪循環を切るということが大臣の責任である。一時的にはどうあろうとも政策はそういう一つの悪循環を断つということが、電話事業改善の第一歩であると思う。今おつしやるようなことだと、これは依然としてやはり電話事業の極めて非能率な悪循環が堂々めぐりをしている、これは私誠に情ないと思う。これは大臣の政治的活動も相当考慮しなければならん問題かと思いますが、これは経済的にも、政治的にも、社会的にも非常に重要な問題がある。電話サービス改善ということは国会でも、参議院のごときは二度も決議をして出しておる。関係政府の職員が最善を尽しているけれども、今山下通信監がおつしやつたようにいろいろボツトル・ネックがあつてなかなか実現できない。それを作るのが大臣大臣たるゆえんである。この悪循環を切ること、これはもう直接間接の電話を設けるということは、非常に私はそこに幸福をもたらすのじやないかと思う。ですから大臣はこれは速急に実行される意図があるやに考えておりまするが、私は必ずしも十一月一日からでなくてもいいと思う。こういうことを国会にかけないで出すということは、これ又大臣の将来のために私は遺憾です。十一月一日から実行するという、国会に出さずに出すという、大臣としては国会軽視の上にこういうあり得べからざることが行われておる。これもやはり私は間接的に一言えば、電話事業サービスのいかない一つの悪循環なりと思う。ですから悪循環を絶つということが大臣として最も重要なことであり、幸い大臣も大局的においてそのお考えをお持ちの、ようであります。私はこれは質問の事項においてこういうことを申上げるのは何ですけれども、悪循環を断つのが佐藤電通大臣のこれは最も重要な使命だと思うのです。この点を一つ勇敢に党派を問わず、このことについては国民へのサービスに対する問題に対しては、やはり私は党派を挙げて賛成するだろうと思う、一つ勇敢に思い切つてこの悪循環を断つて頂くことを強く希望しておきます。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今のお話、大変私どもを激励して頂きまして感激に堪えない次第であります。そこで一つお話の中にもありましたが、この点お詫びを申上げて御了承頂かなければならないと思いますことは、只今料金改正案を十一月一日から実施すると、かような法案の提出が、非常に期日の迫りました今日御審議を頂いておる、この点であります。この点私どもも実は非常に恐縮をいたしておるものであります。一応弁解がましくなりますが、その点につきましてお話をいたしたいと思うのであります。今回の料金改正が補正予算の審議と関連を実は持つものであります。そこで期日を如何にするかということでいろいろのことを考えて参つたのであります。できますならば、給与引上げ等の関係もありますのでもつと早い時期に改正を実施いたしたいと思つたのでありまするが、国会開会、又準備等もあり、殊にサンフランシスコの講和会議のために準備が非常に遅れました。そのためにここに一カ月の先送りに実は相成つたような次第であります。政府の案のできました後にも手続上、講和條約が調印されたとは申しましてもなお在来の手続を取つておりますので、それらの関係もありまして大変遅れて皆様に御迷惑をかけておる次第であります。この点はこれが先例になるわけのものではなく、山田委員のお話のごとく、この種の法案はもつと自然に提案し、皆様がたの御審議を十二分に頂くと同時に、又政策から見ましても、それぞれ参考人のかたがたの意見を聞くなり、その他の慎重なる手続をとつて頂くべき種類のものと思つておるわけであります。今回の特例についてのお詫びを申上げ御了承をお願い申上げます。
  28. 山田節男

    山田節男君 ちよつと関連してもう一言だけ……。それからこれはいずれ詳しく派遣された議員からまとまつた報告書なり、意見書なりが出されるだろうと思いますが、幸い大臣もおられますからこの際質問しておきますが、電信電話という電気通信に関して、電報それから郵政、こういうことも関係あると思いますが、国営でやつております。それ以外の電気通信事業は御承知のように私企業でやつております。その私企業会社の各幹部に会い、研究者について実際聞いたのですけれども、技術的に見ても日本に対してもう何と申しますか、メーカーに対して、政府に対してもあらゆる援助を惜しまない、こういうことを言つております。それからまあ例えば国際電信といいますか、電信電話というものに対しても、殊にRCAとかマツケーでも、サンフランシスコにおいてもニユーヨークにおいても日本に対してはあらゆる犠牲をも顧みない、技術の交換の意思を持つておる、或いは技術者の派遣はもとよりあらゆる犠牲を惜しまないということを言つておる。それから例えばRCA或いはマツケーの施設を、こつちが同じサンプルを使つて、そうして行使すれば実際収入もどんどん殖えて、お互いに半々で儲かるのじやないかということをニユーヨークで、或いはサンフランシスコで現実に言つておる。こういうふうなことは今日我々初めて知つたことではない。従来電気通信省に対して、或いは電波監理委員会に対して、向うからそういう意思表示があつたであろうと思う。電気通信省として、こういうアメリカ政府、並びに民間業者が電気通信に関する援助と申しますかを、十分やりたがつておる。私はこのことを知らずにいたのでありますが、そういつたようなアメリカの空気を我々看取しまして、日本政府としてそのくらいのものを今受け容れて、そういつたようなものが今アメリカから直接の、いろいろ技術の交換なり或いはパテントの考慮をしておる。国務大臣が若し御答弁なければどなたでもいいですから、そのどれとどれということでいいと思いますから、それをお知らせ願います。
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いずれ山下君のほうから詳しいことを申上げると思いますが、大体の経過を申上げて見たいと思います。今お話のありましたRCAなりマッケーなり或いはプレス・ワイアレス、これは私どもとの長い契約によりまして国際電信電話を担当して、くれておるわけでありまして、御承知のようにアメリカは数会社挙げてお互いに共同しておる、こちらのほうは一つであります。併し今回サンコランシスコにおける講和会議の通信は大変立派な成績を挙げることができたのであります。この前の水泳選手のときの報道は非常に早かつたと言つてスポーツ関係の人からは非常に喜ばれたものでありますが、今回のサンフランシスコの会議の模様の報道につきましたは、そのときより更に短縮して、大変な成績を挙げたものであります。殊に肉声の放送ができた。或いは写真電送にいたしましても、又新聞社の記事にいたしましても非常に早かつた。これは国内において勿論でありますが、GHQの担当の人も大変早くできたというので非常に喜ばれておるわけであります。私ども関係者に対しましては、従業員に対しましては、その際に感謝の意を表したわけでありますが、これは国内における従業員が不眠不休で働いてくれたというばかりでなく、外国の関係においてRCAなりマツケーなり或いはプレス・ワイアレスなりが非常なる努力を払つてくれたことだと思います。これらの会社は御承知のように営業をやつております。これはまあ非常に実は戦前からの長いつき合いでございまして、双方信頼し合つておるという状況なのであります。最近も新らしくそのうちに参加したいという希望を持つ会社もあるやに聞いておるわけでありますが、私どものほうといたしましては、只今のところ新らしい会社が加入してくれることによつて回線でも殖えるならともかくも、現在までの回線の状態においては、あの一番多忙であつたサンフランシスコの会議も円滑にこれを報道し得たのでありますので、情誼上と申しますか、今までの関係上から見まして、新らしい会社を殖やして相手方の競争を激甚にすることも実は如何かと思つて只今いろいろ検討いたしておるような次第であります。これらの会社のかたからいろいろ技術上の問題についても話は持込まれておると思いますが、私どもその技術上の問題はまだ知らないので、ただ相手方が自由競争をやつておる会社である。そして対日本の国際通信の関係只今申上げた三社がやつておるというような状態でありますので、今後更に通信が殖えて来て、新らしい回線が得られるというような時代になれば、又それは幾分か考慮してもいいのではないかというような感じを持つておる次第であります。技術の面は一つ山下君からお聞き願いたいと思います。
  30. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) 国際通信のことに関しましては、RCAとかマツケーとかプレス・ワイアレスとかいうのが非常に強力に援助してくれまして、お話のような意思の表示は徹底して出ておりますし、又実行もいたしております。例えて申しますというと、今まで一回線電信を使つておつたのを、これを機械化いたしまして、印刷電信化する、或いは一回線をそのまま二回線に使う、或いは四回線に使う方式なんかが、アメリカのほうで十分に活用されておる。そういうものの機械類は我々のほうに原価で以て提供してもらう。更にそれを日本でコピイを作つてもよろしいということに相成つて話は進みつつあります。なお又そういう実際の実情を見学させるという意味におきまして、向うもこちらから出しますものを大いに歓迎してくれて、手を取つて十分に教えてもらうというように今現実に連絡をやつております。
  31. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 本日の質疑はこの程度にとどめまして、明日に引継ぎたいと思いますが、如何でしよう。
  32. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 私も二三質問したいのですが、明日に譲ります。   —————————————
  33. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) この際お諮りいたしますが、理事新谷寅三郎君から、理由を付して理事辞任の願いが出ております。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 御異議ないものと認めます。許可することに決定いたしました。
  35. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 辞任されたあと、理事を直ちにきめられるのですか、この次にお廻しになるのですか。
  36. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 只今のお話でございますが、理事の補欠互選をいたしたいと存じますが、どういたしますか。
  37. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 理事を互選される場合、成規の手続を省略いたしまして、委員長において指名されんことの動議を提出します。
  38. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 只今の水橋君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 御異議ないものと認めます。それでは私より尾崎行輝君を理事に指名いたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時二分散会