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1951-11-22 第12回国会 参議院 通商産業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十二日(木曜 日)    午前十時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            中川 以良君            松本  昇君            加藤 正人君            山川 良一君            佐多 忠隆君            片岡 文重君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            油井賢太郎君   国務大臣    通商産業大臣  高橋龍太郎君   政府委員    大蔵省銀行局長 河野 通一君    大蔵省管財局長 内田 常雄君    資源庁長官   始関 伊平君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省通商    振興局長    井上 尚一君   参考人    帝国石油株式会    社社長     酒井 喜四君    東京大学石油鉱    学科教授    上床 國夫君    帝国石油労働組    合副委員長   久保田正英君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○輸出信用保険法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (石油開発に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より委員会を開会いたします。
  3. 栗山良夫

    栗山良夫君 私二、三の点につきまして、通産大臣にお伺いをいたしたいと思います。  先ず最初にインドゴア鉄鉱山開発につきましては、我が国プラント輸出の形式を以て相互援助をすることになつておるようでありますが、通産省説明によりますると、開発用機械設備を五億八千万円予定をされまして、約鉄鉱石百五十トンの積出し完了を以て代金完済をいたす、そうして代金完済の時期はおおむね昭和三十年十月と、こう予定をせられておるようであります。私は我が国鉄鉱石を将来多量に電化などに要することは申すまでもないのでありますから、従いまして過日資料を提出された程度プラント輸出で以て問題が終るか終らないかという点にまだはつきり了解し難い点があるのであります。モロー調査団報告書によりますと、非常に広汎なる東南アジア開発計画構想が述べられておるわけでありますが、その中にインド鉄鉱石開発につきましては、鉄道の幹線を複線に直す点も考えて、又港湾荷役の諸設備等も改良されなければならんというようなことまで言及されておるのであります。従いましてゴア鉄鉱山開発につきまして、モロー調査団が申しておりますような点までも政府は将来お考えになるか、或いはそういうことは全然なくて、五億八千万円で打切りになるのか、その点をお伺いしたいと思うわけであります。
  4. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) インド鉄鉱山開発などもときどき問題になつておるのですが、ゴアにはまだ相当鉄鉱石はあるのです。それは事実ですが、いま栗山さんがお述べになつているような大規模のものはですね、これは個々のケースを検討しなければ決定ができない問題で、私は現在ではそこまでは考えておりません。これは又国内経済事情から考えなくちやいけませんし、プラント輸出を促進すればそれでいいというわけにも考えられません。
  5. 栗山良夫

    栗山良夫君 我が国鉄鉱石が年五十トンでは足りないことははつきりいたしております。従いまして若しインド鉱山開発をいたしまして有望であるということになれば、更に引続いて只今申しましたような鉄道或いは港湾設備等改良工事などまでも協力をして行くようなことにこれは必然的にならざるを得ないのでございますが、そういうお見通しは如何ですか。
  6. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 港湾設備のほうが先に起る問題でないかと私思うのですが、これは併し今の五十万トン計画をもつと擴張して行くということになれば、実際の事情は聞いておりませんが、当然港湾設備にも及んで行かなければいけませんと予想しております。鉄道のほうも程度問題で、非常に長い鉄道を敷設して奥地の開発ということになれば、その一つ一つの場合を検討しなければ鉄道もやれない問題と私は存じているのですが、今そういう問題は起つておりませんので、検討いたしておりません。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 このたび御計画になつている五億八千万円の内容につきまして、主なる機械と申しまするとどういうふうなものでありましようか。
  8. 井上尚一

    説明員井上尚一君) 今こちらに実はその機械の明細についての資料を持ち合しておらないのでございますが、鉄鉱山開発用コンプレツサーでありまするとか、モーターでございますとか、その他採掘用機械、そういういろいろな機械をこのうちに包含しておるものと考えまするが、詳しい正確な内容については、追つて資料について申上げたいと思います。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、只今計画されておりまするものは鉱山坑内用機械設備がその全部であると了解してよろしうございますが。
  10. 井上尚一

    説明員井上尚一君) 只今申しました通りに鑿岩機、或いはこれに関連しましてのコンプレツサーモーター、それからコンベア、そういうもの及び荷役用機械などもこううちに包含しておつたと記憶しておりまするが、正確な内容につきましては、先ほど申しました通り別資料について申上げたいと思います。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 輸送用の車両などは入つておりませんか。
  12. 井上尚一

    説明員井上尚一君) 入つていないと思います。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 今度は大臣にお尋ねいたしますが、ゴア鉱山の問題はまあこの程度にしておきますが、モロー調査団指摘されておるところによりますと、日本産業振興のために、更にもつと東南アジア産業振興のためにも、日本東南アジア開発に対して一つの分野を受持つように予定をせられておりまして、その原材料開発については、特に鉱物につきましては非常に各般なものの各国状況までも指摘されておるのは御承知の通りでありますが、今度の輸出信用保険対象にされておりまするものについて、ゴア鉄鉱山のほかに今日具体化されておりますもの、或いは将来具体化の御意思のありまするようなものはどのようなものでありましようか。
  14. 井上尚一

    説明員井上尚一君) 前回この委員会資料としてお配り申しましたはずでございますが、現在までの日本商社による開発計画の具体的な計画につきましては、ゴアのチヨウグリと申します会社日本鋼管工業との間、これが第一、それからもう一つ同様にゴアでありますが、これはゴアのビチヨリーという会社日本建設産業会社との間のゴア鉄鉱石開発関係契約であります。これ以外には今話合いと申しますか、進行途上にありますのが、インドのタタの鉄鋼会社と日商との間にこれも鉄鉱石につきましての話が内々進んでおるという程度であります。それからシンガポールのマライ・インダストリー・カンパニーという会社とこちらのマライ産業という会社の間に、マンガン鉱ボーキサイトにつきましての契約を話し中であります。このほかに少しあれが違いますが、奄美大島につきましても、沖縄の政府と日鉄鉱業との間にマンガン鉱についての開発話合いが進んでおります。大体そういう程度でございます、今日の段階としましては。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 ボーキサイトにつきましては、具体化しておるのがございませんか。
  16. 井上尚一

    説明員井上尚一君) 今日の段階ではまだ具体化したものはございません。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 四国の住友が只今精錬設備をいたしておりますが、あのニユーカレドニアですか、あそこの鉱山についてはそういう話は全然ないわけですか。
  18. 井上尚一

    説明員井上尚一君) 私振興局長としまして所管外であります関係上、私としましては只今のところ聞いておりません。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 この前の委員会のときに、局長からこういうような問題について更に一つ構想を質したのでありますが、私時間の関係もありますので、はしよりまして簡単に結論的のお考え通産大臣から伺いたいと思うのであります。そのうちの一点は、これは前回委員会のことを繰返すようにもなるわけでありますが、只今予定をされておりますプラント輸出の先は、大体ドル地域の以外の所が多いように私は考えるのであります。ところが我が国の外貨は、ドルが不足をいたしておるのであります。ドル地域以外へ輸出をどんどんいたして見ましたところで、我が国ポンドドル交換が不自由な現在におきましては、余り我が国経済の回復には直接役立たないというような現象が起きると思います。従いまして、我が国経済が非常に強靭でありまするならば、東南アジアドル地域外開発に大いに乗出すということも、我が国国際性から言えば意義があるかも知れませんが、我が国経済が非常に貧弱な現在におきまして、そういうような輸出をいたし、そうして而もその輸出に対しまして、国民の税金を以て一〇〇%の保険を付するというようなことは、少し今日の状況においては当を得ないような考えを私は持つわけでありますが、さようなお考えをお持ちになりませんか、伺いたいと思うのであります。
  20. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) これは非常にむずかしい問題でありますが、ポンドがどんどん殖えて来てドルが欠乏するのに、ポンド区域輸出をして見てもしようがないじやないかということは一応の意見で、私もそういう点は考えなくちやいけんと考えます。併し輸出貿易というものが無論ドル地域に一層増加することが望ましい。それには当局としてもいろいろ苦心をしているのですが、我が国立場から言つてそれでは幾ら輸出ができないのですから、ポンド区域にも利益になるものは奨励して行かなければいけない。今ポンドが非常に増加して使い途がないじやないかというような心配もいろいろそういう意見があるのですが、現に数ヵ月前の本年の春にはポンドが足らなくて困つたくらいな状態であるのでありますから、余りこれを大きく考えて、ポンド区域輸出を制限するというところまで行くのは、私は現在では賛成していないのです。そういう方針で行きますれば、綿布などは現在大部分ドル地域から原料を輸入し、大部分ポンド地域輸出をしている、これが我が国輸出貿易品の大宗であるわけであります。そうして現在の日本ポンドの在貨がだんだん予想以上に溜つて来たという現在の問題の根本は、この計画が齟齬した根本は私は本年度濠洲からの食糧の輸入ができなかつた、前年度、本年度濠洲からの小麦小麦が主ですが、小麦、大麦四百五十万トンぐらい輸入計画されておつたと思うのですが、それが殆んど一割ぐらいしかできなかつた。これは濠洲の不作の影響であつて、今年特に起つた現象なんであります。それさえなければ現在でもそのポンドが非常に殖えたということは今日のように深刻な問題にはならなかつたのだと私は考えるのであります。要するにポンド地域輸入を努めてドル地域への輸出を殖やすことに努めておるわけですが、なかなかこれは実際にむずかしいのであります。例えばポンド地方の、殊にアジア地方からの輸入と言いますと、まあ我々が望ましいのは食料品、或いは米がもつと輸入されることであるのですが、これも米穀の産地がやはりまだ復興していないので産額も伸びていないし、今年は幾らですか、僅かばかりの輸入に過ぎないのですが、これもだんだん私は回復して来るのだと思います。そのほかにまとまつた例えばパキスタンから綿花を輸入する、こういうことも紡績業の諸君に私希望するのですが、これも値段が三割も高くて品質が悪いというような問題があり、なかなか実際には困難な問題であります。
  21. 栗山良夫

    栗山良夫君 私が御質問申上げておりますのは、一般商品輸出入は大いに歓迎すべきでありまして、東南アジアといえども輸出振興を図り、而も輸入を促進いたしまして、収支のバランスをとるということについてはいささかも異存はないのであります。ただ先ほど申上げましたように、東南アジア資源開発我が国が買つて出るだけの余裕が今日あるかどうかということが問題になると思います。特に東南アジア開発につきましては、米国も非常な関心を持たれておりまして、朝鮮事変前の状況においては積極的な推進をいたそうということが決定されておつたように思うのです。私は東南アジア後進国資源開発を積極的にやるということならば、そういうような方面で大いに力を入れてやつて頂いて、そうして出た物を我が国輸入をして、そうして我が国の貧弱な経済状態に合うような恰好において貿易を行なつて行くということが正しいのではないか、こういうことを申上げておるわけであります。我が国経済力が十分であれば当然問題にならないことでありますけれども、こういう点をお考えになつていないかどうかということなのであります。
  22. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) そういう点も考えておりますが、ただ私はこの東南アジア開発ということは、やはりそういう地方産業が伸びる基になるのですから、自然に日本商品がだんだん輸出が増加するということ、それからこのプラントというやつは高度の加工品ですから、資材よりも輸出価格のほうが相当上廻る点、それからもう一つは、私はこれは非常に重く見ていいと思うのですが、プラント輸出される、そうするというとそれが土台になつて人も行くようになりまするし、或いは修繕の材料なども自然に日本から主として行くようになるし、それが基でそこでその機械が大変うまく動くというようなことで、又次のプラント輸出されるというような点でございますね。一つ日本輸出貿易の橋頭堡と申しますか、捨石が置かれることになる。そういう捨石がずんずん各地に殖えて行くということが日本の将来の輸出貿易の増進に必要だと私は考えておりますのです。で、今ドルとの関係の問題だとか何とかいうことは一面には考えて行かなくちやいけませんが、そういう問題はケースケースによつて考えて行きたいと思うておるのであります。
  23. 栗山良夫

    栗山良夫君 輸出貿易捨石になつて、もう十分日本としては歩があるというお話でありましたが、私が考えますのは、只今ゴア鉄鉱山等対象にされておりますプラント輸出というものは、これは仮に帳簿上においてはフアンドを相当に獲得いたしましても、これの回収に当りまするものは、鉄鉱石日本に入れることによつて回収をするわけであります。従つて帳簿上でフアンドというものはほかの商品に振替えるとか、或いは又ドルへ何らかの便法で以て為替交換をいたすというようなことは、これはできないことになるわけです。従つてこれは純然たる資本投資と私は考えてよろしいと思うわけです。そういうような我が国国内のまだ産業近代化も十分行えない、アメリカ産業規模に遅れをとつておる日本産業近代化も行えないというような状況の中におきまして、東南アジア長期資本投資をするような力が我が国にあると私はちよつと考えられないのでありますから、そういうようなことを我が国が今後行なつてまでも東南アジア開発に協力しなければならんかということが私は問題になると思うのです。
  24. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 私はゴア開発は、プラント輸出が非常に理想的のもので、非常に望ましいプラント輸出中のプラント輸出だと思うのです。今栗山さんが指摘せられたような点がありますが、併しゴアから鉄鉱石輸入するために現実に日本ドルアメリカ支拂の金額が著るしく減るのですから、消極的にドルを稼いだことになるのだと思うのです。このゴア開発につきましては……。
  25. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあこれはしばしば問題になつたことでありますが、鉄鉱石インドまでも渡らなくても、まだ日本の近辺には良質な鉄鉱石がたくさんあるわけでありまして、そういうような値段の問題から言えば、更に別途の考えを私はしなければならんと思うのであります。その問題は今日はここで触れたくないのでありますが、要するに私は東南アジアに向つて資本投資が、モロー調査団報告書に基いて将来いろいろと考えられるということになりますれば、これを契機にしてどうしても殖えて行くように見るのが至当ではないかと考える。従いまして、そういう場合に、今日平和條約においても賠償の点が問題になつております。従つて賠償につきましては、我が国経済の許す範囲内において、いわゆる支拂能力の限度において戦勝各国に対して賠償の責を負うと言う約束になつておるわけであります。従いまして、我が国がこういうような東南アジアについても資本投資を行うことさえできるというような状態我が国経済があるということが、フイリピンなり、インドなり、或いはインドネシアなり、その他東南アジア各国で認定をされましたときには、私は我が国の今後非常に困難な賠償額決定の場合には大変不利を招く、そういうことを非常に心配をいたしておるのであります。その点は政府としてお考えにならないかどうか。過日局長のほうにおきまして、この問題を私が指摘いたしましたときに、そういう問題に対してはやはり懸念があるということを明言されておるのでありますが、大臣はそういう工合にお考えにならないかどうか。
  26. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) そういうことは、私も大体あなたのお考えのような心配をいたしておるのでおります。そういうふうに考えなければいけん問題だと存ずる次第でおります。
  27. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあ大体私の考えと余り大きな意見の異つた考えのないことをお認めなつたわけでありますが、そういたしますと、私は賠償額というものはこれは日本がきめるのではなくして、飽くまでも主張者は諸外国であります。そうして我が国は受身の立場に立つて折衝をし、そうして額を決定しなければならないのであります。而もその額というものは、フイリピンの八十億ドル等を伝えられるところから勘案いたしまして、非常に……中共の問題は別にいたしましても、相当な額が私は外国から要求されて来るのではないか、そういう場合に僅かに五億八千万円ぐらいのプラント輸出、或いは更に殖えましてこれが五十億になり、百億になりましたところで、その額そのものは、プラント輸出そのものはそう大きな額にはもう勿論ならないと思うのでありますが、そういう資本投資長期資本投資東南アジア開発のためにやつたがために、丁度我が国東京東京温泉が華々しく営業したというので海外から問題になり、そうして賠償支拂わなければならない日本としては行き過ぎではないかという批判を受けたと同じようなことが東南アジア賠償要求国の中から起きて参りまして、そうしてそれがきつかけでプラント輸出、いわゆる資本投資の額とは問題にならないような大きな賠償額要求の足がかりを作るようなことになりますと、非常に私は問題であろうと思うのであります。只今認めになりましたことについては、そういう点を今後どういう工合に調整し、処理して行かれるお考えがあるでございましようか。
  28. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 今の御指摘の御意見はそれだけならば成立つのですが、それかといつて日本のやはり輸出貿易を増進することも或いはそれ以上に必要なのであります。その間の調和を適当に考えるほかないと存じます。ちよつと速記をとめて下さい。
  29. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  30. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 では、私締めくくりをいたします。このプラント輸出、わけてもこの性格がただ単なる稼動機械設備輸出ということを超えまして、東南アジア開発のための資本投資のような恰好のものが構想されておるように私は見受けるのでありまして、この点は将来我が国の一番大きな問題でありまする東南アジア戦勝各国との間に取極をいたさなければならんところの賠償額決定につきまして、我が国経済力の測定をせられるときに非常に問題をかもして行くように私は考えるわけであります。この点につきましては、大臣も、又担当局長におかれても大体異存がないように私は伺つたのであります。従いまして、若しこの法案が可決決定をみまして、実行をされるというような段階になりましたときには、これは非常に重要な問題でありますので、その運用については、とにかくそういうような疑いをいささかも残さないような高度の配慮を私は是非ともせられたい、こういう工合考えるわけであります。
  32. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 只今栗山さんのお指摘なつた御意見は、私は十分誠意を以て参照いたしたいと思います。
  33. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に油井君から質問の御要求がありますので、油井君に質問をお許しいたします。
  34. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この輸出信用保険法に関連しない件ですが、大臣が御出席になつているので、この際特に大臣の御意見を承わつておきたいと思うのです。実は最近繊維業界において各地に破綻が続出して、繊維業界の殊に中小企業界においては何か不安の状況が起きておるのであります。これに対して新聞等を見ますと、大蔵大臣或いは一万田日銀総裁等においては、積極的には救済策というようなことはとらない、こういうことを声明されておるように見えるのですが、通産大臣といたしまして、このような状況下において、日本産業の最も重要な繊維事業の将来の発展というようなことについて支障を来たすかどうかということをどういうふうにお考えになつておられるか、或いは又これに対して何らかの手を打たなくてはならないというふうにお考えになつているか、この点を一応お聞かせ願いたいと思います。
  35. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 今御指摘のようなかなり心配の情勢が業界にあるということは私も心配をいたしております。これに対して積極的に通産省として手を打たなけりやいけんか、或いはその場合にどういう方法をとるべきか、これは研究中でありまして、只今お答えできません。日銀総裁云々の今御発言がありましたが、総裁は現在では今のお言葉のように考えているように私は思います。
  36. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 御研究ということなら、いずれその結果が発表されることと思いますが成るべく早くこれの根本対策を御発表願いたいと思うのです。それから私はこういうふうに繊維業界不安動揺を来たした根本のものを遡りますと、繊維業界と限りませんでしようけれども、大体日本中小企業界のやはり経済の底が浅いという政府の発表にこれはぴつたりあてはまつておると思うのです。而も繊維業界におきましては、この根本原因を遡つて検討いたしますと、私は一昨年のシヤウプ勧告によるところの織物消費税撤廃に相当大きな原因があると思うのです。これは大臣もこの点につきましては、先だつて大蔵委員会等に席をおかれました際に、私が陳情、請願等について説明を申上げたり、その他業界からも大臣に対して特別にお力添えを願いたいということをお願いしておつたようなこともありますから、十分おわかりになつておると思うのです。ところが、大蔵大臣並びに大蔵当局におきまして、このことについての対策というものはまだ全然やつておらない。而も聞くところによりますと、大蔵当局としては繊維業界が三十三億といういわゆる負担しなくてもいい消費者が負担した、その三十三億というものに対しては何ら考慮を拂うことができないというふうに確定したというような噂もあるのです。業界にとつて、殊に中小企業家が多いのですが、この繊維手持品の問題につきましてはですね。その三十三億が拂われなかつたということについての影響というものが今日に及んでおると私は思つておるのです。これに対して大蔵省考え方通産省考え方はおのずから違うところはあると思うのですが、有力な通産大臣を得まして繊維業界は挙げて待望しているような状況になつております。これについて大臣といたしましてはどういうふうなお考えを持つておられ、この三十三億補償という点について何らか大蔵省当局あたりと御折衝になるようなお気持はおありになるかどうか、この際お聞かせ願いたいと思います。
  37. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) その問題は、私は在野当時にあなたからいろいろな御説明を聞いて、了承しておるのですが、突然今日私大臣としてどう考えておるかという御質問を受けても、就任後省内の成行き、意見なども一度も聞いておりませんので、ちよつと今御返事ができかねます。どうか悪しからず。
  38. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 実は大臣の御出席の前に繊維局長に専門的の立場から検討してもらいたいと思つて、或いはこういう点については了解を求めたいと思つて出席要求しておいたのですが、何か旅行中だというので、まだ会うことはできないのです。そこでいずれ繊維局長にもこの点はよくお聞きしたいと思うのですが、繊維局と大臣よく御相談下さいまして、業界のために何らかの措置を願いたいということを特に要望いたしておきたいと思います。
  39. 加藤正人

    ○加藤正人君 今栗山委員の御質問のうちにもありました通り、非常にドル不足でポンドは溜りつつある。これはいろいろな関係もあるでしようけれども、この間の日英会商でドル・クローズが廃止されたあの決定影響が大分あるように思います。現在では五千万ポンド以上にもなんなんとしておるというような状態でありますが、これは会商において英国にしてやられたということはもう明かであります。それがために一部修正を申出るというようなことを聞いておるのでありますが、恐らくそれはこのままにしておいては、これに対する何か適切な対策がない以上には、非常に日本貿易上困難を来す。先ほどもお話のあつたように、紡績業界などでは三割も高いパキスタン綿を無理に買えというような要求があるようなわけなんです。これはまあ我我のほうも絶対量の上から言つて買わざるを得ないものですから、これはいたし方がないといたしましても、ポンドは無制限に溜つて行く、これに対する対策を講ずるということが非常に急務じやないかと思います。通産省としては一部修正とか、又そうでなければこれに対する適切の手段をどう今後の日本貿易考えておられるか。ドルポンドのコンバートの問題のごときは当分我々は所期することができぬように思う。何かそこに方法を講じなければ私は非常に重大な事態に逢着するように思うのですが、貿易対策の上において通産省はどういうふうにお考えになつておられるのでありますか。
  40. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) この問題は、御指摘のように非常に重大な問題でありますが、まだ通産省としては結論に達しておりません。全体あの日英会談が、日本側からはドル・クローズと言いますか、これを強硬に主張したわけなのですが、それがためにあの会談も半年もかかつてどうしても結論に達しませず、最後に七月の下旬であつたと思うのですが、私丁度大阪へ出張しておつた時分に幾らか好転するような情報も得たのですけれども、結果はああいう結果になつておる。最後に香港だけは別の取極にしようという主張を熱心にしたのですが、それも成功しなかつたのであります。まあ決裂をするか、ああいう程度で話をまとめるかということでは、内閣でも非常に苦心をしたのですが、遂に成功しなかつた、如何にも残念でありますが。あの通商協約の成文には載つていないのですが、その時の話合いでは最高七千万ポンドになれば相手方も誠意を以て何かその解決を考えようというような申合せができておるんです。これでもう一つ極端な場合は、三ヵ月間の通知期間を以ていつでも解消することができるようになつておるんです。極端な場合にはそういう手段をとるか、或いはスターリング区域の輸出を制限するかということになるとなかなか政府としても決心ができないのですね。まだ私も結論を得ておりません。
  41. 加藤正人

    ○加藤正人君 併し決裂するか、或いはこんなことで我慢しようかという段階に達したときに、こんな程度で我慢しようかと思われたときには、何とかこれで行けるんだ、或いは行けなかつたときにはこうするからまあ決裂よりこの途を選ぼうという判断があつたように思うのですがね。
  42. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) その時分には、まとまつたのが八月の下旬で、丁度全権が立つ前の日かに漸く決定をしたのですが、その時分には私どもも何とか行けるだろうという見通しであつたのです。
  43. 加藤正人

    ○加藤正人君 当時は非常に併し大きな問題であつて、安本長官の発言が問題になつたり、相当政府もこれに関心があると我々はまあ安心しておつたのですが、結果は誠にどうもあつけない結果で、ああいうふうに取極められてしまつたのですが、現在になつてみると、これは非常に重大な問題になりつつあるわけなんですが、何とかこれは今から適切な御考慮を願つて、そういうふうに三ヵ月の予告でやめられるものはやめるとか、それが外交上非常にむずかしければその途を選ばない方法によつて何とか打開の方法を講じるとかということにしませんと、日々ポンドは殖えて行きますし、貿易上のトラブルがだんだん大きくなつて行く。今のところと又これから三ヵ月後とは問題が雪だるまのようにだんだん大きくなつて始末に困ると思います。解決の方法はその当時になればなお困難じやないか、こういうふうに我々は心配をするのですが。
  44. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) それは御同感でありますがね。ただそれで一言私が申上げておきたいのは、あの八月に決裂するか、ああいう程度にまとめるかという最後の場面に追い込められて、自然にああいうことにきめたのですが、八月の末に決裂したとして、どうでしよう、今日の場合そう好転はしていないだろうと私は思う。
  45. 加藤正人

    ○加藤正人君 これはむずかしい問題ですけれども……。
  46. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 今の御質問と御趣旨は非常に私も関心を持つておりまするが、まだ結請を得ておりません。もう一つ率直に申上げれば非常に困つております。
  47. 加藤正人

    ○加藤正人君 あれは英国対日本だけの問題であつたのですが、要するに対等な交渉であるならば、非常にこれが将来トラブルがあるとすれば、決裂という言葉なんですけれども、まあこちらも了承できん、向うも了承できんということで分れるというようになつてもよかつたと思うのですが、何かアメリカあたりの特別な要請があつたし、講和会議前でもあつたので、止むを得ず要するにこの交渉の問題で涙を呑んでということがちよちよいあるが、その涙を呑んでの種類の一つであつたのであるかどうか。
  48. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記をやめて下さい。    〔速記中止
  49. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。  では輸出信用保険法の一部を改正する法律案の質疑はこの程度で終了したものと認めまして、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では終了したものと認めます。   —————————————
  51. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に関し、境野委員から銀行局長質問の通告がありましたので、境野君に質疑をお願いいたします。
  52. 境野清雄

    ○境野清雄君 先般来、中小企業信用保険法の一部改正法案がこちらに出ているのでありますけれども、大体今度の法案の改正では、主だつたよう業界の期待しているようなものは殆んど何もなかつたよう考えまして、そのうちで特に中小企業庁自体でも考えておりました問題の一つとしまして、保険料負担の借入への転嫁というような問題がこの信用保険の活用の上に大きな原因をなしているというふうに考えますので、保険料転嫁の措置はどうだろうというようなことを私ども考えてみたのでありますけれども、たまたま昭和二十六年の一月二十六日に当時の銀行局長の舟山君から保険料転嫁の措置に関する銀行局長通牒というようなものが出ておりまして、当時この保険料転嫁の措置を講じたというように相成つておりますので、一つ原因であります、活用できない原因であります保険料負担をいわゆる中小企業側へ転嫁するというような点は、銀行局長通牒でできるのじやないかというようなふうに私は考えておるのでありますけれども、こういう大きな問題に対して、銀行局としてそういうことをおやりになる意思があるかどうかという点についてお伺いしたいと思うのであります。
  53. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 保険料の債権者たる銀行と負債者たる借入人との間の負担の割合等につきましては、お示しのように銀行局長の通牒によつてこれを実施いたしております。今御承知のように大体半々ということに相成つておるわけでありまして、かねがねこの金融機関の負担分を軽減してこれを業者と申しますか、借入人のほうの負担に加えることが、この保険制度を活用して参るために、非常に何といいますか、促進する上に非常に有効であるという御意見は従来から承わつておるのであります。この点につきましては、かねがね中小企業庁その他ともいろいろ御相談申しておつたのでありますけれども、現在のところ私どもといたしましては、今にわかにこの点を修正いたして参るようには結論を得ておりません。と申しますのは、先ず第一には金融機関の、これは銀行に限らずすべての金融機関でありますが、金融機関の貸出のうち、一件の金額百万円以下のものにつきましては、金利の調整の枠から実は外したわけであります。従来これが貸出金利が非常に抑えられておる、一方で抑えられておる、而も保険料の負担が金融機関にかかつて来るならば、まあ理鞘と申しますか、そういうものが非常に少いから、なかなか困難であるということが一つ原因になつてつたわけであります。この点につきましては、百万円以下のものを金利の調整から外しましたので、これによつて金融機関はその保険料の負担をしてもなお且つ適正なる程度の利潤を上げることができるように措置をいたしたのであります。尤もこれは勿論すぐ御指摘を受けると思いますが、保険対象になつておるのは五百万円まで今度拡張できるわけでありまして、この範囲の、百万円から五百万円までの間についてはそういう問題はないじやないかという御意見が出て参ると思います。この点は正にその通りでありますが、現在の銀行等で取扱つております中小金融の実態から申しましても、百万円以下というものは相当な数にも上つておりますので、事実或る程度の緩和はこれによつてできたと私どもは考えておるのであります。なお銀行の負担を軽くすることによつてこの保険制度の活用を促進するということがいいのか、更にほかの手で以てこの活用を進めて行つたほうがいいのかという問題が根本問題として実はあるわけであります。これはのちに又お話が出るかと思いますが、保証の割合が現在七五%、これを更に引上げるべきだという御意見をのちほど又伺わされると思つておりますが、これらの問題とも関連いたしまして、もう少しいろいろな点から検討を加えて参りたい。只今のところまだこの金融機関の側の負担の割合を軽減して行くということにつきましては、結論をまだ得ていないような次第でございます。御了承願います。
  54. 境野清雄

    ○境野清雄君 中小企業の信用保険は御承知の通り十五億の基金を持つておりまして、現在はこの保険対象が何も使つておらないということになつておるはずでありますが、この十五億の金を一応差迫つた年末金融に活用するというような意味で、何かの方法によりまして従来この保険を適用しておつた地方銀行なり何なりに預託するというような面は、銀行局自体としてはでき得るものかでき得ないものか、或いは又そういうようなことをお考えになつておるかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  55. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 御尤もな御質問だと思うのでありますが、今の法律制度から言いまして、そういうことは事実問題として困難である。私どもといたしましては、年末にかけましての中小金融の見通し現状から、できるだけ別途の方法で金融の梗塞に対して対処して参りたい、かように考えておる次第であります。
  56. 境野清雄

    ○境野清雄君 次に国民金融公庫の問題でありますが、国民金融公庫の今度の増額約三十億ばかりの金が出ましたのについて、何か大蔵省側としてはこの三十億の金のうち十五億を不動産担保にするというようなふうに聞いておりまして、何かそれによつて従来の百万円の限度を二百万円にしようというようなことが今明日中に大蔵省のほうの審議会か何かで決定するというような話を聞いたのでありますが、大体この国民金融公庫自体がこの一般市中銀行等から金融を受けがたい零細企業者のために事業資金の円滑な融通を行うことを目的とする金融機関である、こういうようなふうに私どもは承知しております。何かの雑誌にも国民金融公庫の総裁か副総裁の議論としまして、いわゆる商工中金は平均額は三百万円を超えておるじやないか、自分のほうは十万円以下だというようなことを相当主張しておりまして、いわゆる国民金融公庫はその目標にしておる零細金融というものに全力を挙げておるのだというようなことを極力主張しておるにもかかわらず、今度二百万円に引き上げるというようなことが近く行われるというようなことは、どうも国民金融公庫の本質的性格を離れるものじやないかというようなふうに考えるのでありますけれども、それについてどんなお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  57. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 国民金融公庫は御承知のように生業資金の貸付をいたしております。国民大衆に対する生業資金の貸付ということになつておるわけであります。それで実は一般の金融機関から借入がむずかしい場合にはこれを補完して行く、こういうような仕組になつております。零細金融というものと生業資金というものとがどういう関係になるか、これはなかなかはつきりした限界はむずかしいのでありますが、生業資金というものは必ずしも零細という意味に……、非常にむずかしいのでありますが、中小の小の金融はこれはやはり生業資金として考えて行かなければならん。小というのはどこまでが小というものかなかなかむずかしいのでありますが、現に国民金融公庫におきましては百万円までの金融をいたしておりますし、担保の金融もいたしております。金額的には五十万円以上がどのくらいを占めておりますか、三、四%くらいしかないかと思いますけれども、担保を取つて相当百万円程度までの金融はいたしておるのであります。今般国民金融公庫の資金の源を拡充いたしますために只今お示しのような法律案、或いは資金運用部の運用計画の変更という措置をとつたのでありますが、これによりましてできるだけ担保の付いたいわゆる不動産担保金融、不動産担保金融というのは御承知のように普通の中小金融の一つのやり方であるのでありますが、この方面についての金融を、而も一般の金融機関からなかなか金が付かないという部面につきまして国民金融公庫でやらして参りたい、かように考えておる次第であります。実は国民金融公庫からはこの三月、四月にもすでに現在の最高限度百万円というものをに百万円に拡充したいという実は申入があつたのでありますが、国民金融公庫の機構その他について検討をしておりました最中でありましたので、暫くこれを見合せしめたような事情が実はあるのであります。本日も只今私そのほうへ出席いたしておつたのでありますが、本日の国民金融審議会、これは法律によつてできておる審議会でありますが、この審議会において只今お示しのような点を検討を加えております。私が参りますまでにその点はまだ討議はされておりませんでしたが、その原案といたしまして、国民金融公庫の持つております原案は百万円以上二百万円までの、これはすべて連帯になると思いますが、連帯貸付については原則として不動産を担保にして参りたい。勿論それから以下の金額の金融につきましても担保がとれるものは担保をとつて行くのでありますが、百万円以上に亘りますものにつきましては、原則として不動産その他の担保をとつて金融をするというふうにして、連帯ならば二百万円まで行けるように図つて参りたいというようなことに国民金融公庫当局の原案ができております。これが審議会によつて決定されますならば、事業方法書の変更として大蔵大臣の認可を得て実施されることに相成ろうと思います。
  58. 境野清雄

    ○境野清雄君 中小企業は年末金融を控えまして相当各方面で焦慮して対策を講じておるようでありまして、当委員会宛でも各方面から相当陳情その他が来ておるのでありますが、これは具体的には大体次の通常国会におきまして大蔵省当局に詳細な質問をしたいと思うのでありますが、大体今具体的対策として各地から要望されておりますものの二、三を拾いまして、そういうものに対して大蔵省自体がどうお考えになつておるか。それから又そのことが可能のものであるかどうかということについて一つ簡単に御返事を願いたいと思うのであります。  その第一といたしましては、大体商工中金に対して現在の資本金の十億円を二十億円に増額してもらいたい、こういう意向が非常に強く出ておりますことと、それから国民金融公庫については現在の資本金六十億を百五十億くらいに引揚げるというような要望も出ておるようでありますし、商工債券の消化促進のために資金運用部から七十億、一般会計から二十億、計九十億を貸付けることによつて引受増加を図るほか、資金運用部資金の借入の途を図ること、こういうようなことが大体この三つの点に各地からの要望がまとまつておるようでありますが、これに対して一応政府当局の御意向だけ承わつておきたいと思います。
  59. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答え申上げます。第一の商工中金に対する恐らく一般会計だと思いますが、一般会計からの出資の問題であります。この点につきましては問題が二つあると思いますが、第一点には一般会計からこれを出資いたしますとこういうになりますと、狭い意味の財政資金の問題になりますので、財政収支の観点からいろいろ制約を受けて参るかと思うのであります。  それから第二の問題は商工中金というものの性格にも関係して参るかと思うのであります。現在御承知のように商工中金は数年前に従来と違つた形に実は資本構成が変つてつておりまして、若干整理の残りがありますけれども、原則として政府の出資というようなものをやめて参つたわけであります。そうしてまあ完全と申うますか、民間的な機関にこれを切り替えております。これを切り替えることがいいか悪いかの御議論はいろいろあると思いますけれども、その当時からの経緯から言つて、商工中金というものは純民間の機関である。併し普通の銀行とは勿論違う使命を持つておりますが、資本構成その他の形から言いますと、純民間の機関である。ただそれに対して特別の使命し鑑みまして、或いは整理官を置くとか、その他の監督規定はありますけれども、今申上げたような形に改組されて参つておりますので、この点について更に相当多額の政府出資をいたしますならば、こういう商工中金自体の性格をどういうふうに持つて行くかという問題が起つて参るのじやないか、かように考えております。この点についてはかねがね強い御要望があることを承わつておりますので、いろいろな観点から検討を加えておりますが、まだ結論に到達しておりません。  なおこれは余談でありますが、商工中金にも現在見返資金から出資いたしておりますが、これは商工中金だけではないのでありまして、一般の銀行であります興行銀行或いは勧業銀行等にも優先出資の形で見返資金から出資いたしております。この点だけから申しまして、商工中金に特別な性格を付與するということには相成らんかと思います。  第二点の、国民金融公庫の出資その他の増額に対する見解でありますが、この点も大体原則としては一般会計から出資をするよりほかないと思います。そういうことになりますと、やはり財政の問題になつて参りまして、財政の需要が非常に旺盛と申しますか、多額に上つておりかす現在、財政との均衡を保持しつつこの方面へどの程度の資金が廻されるか、この点についても私として今ここでにわかに結論を申上げることはむずかしいのであります。国民金融公庫は御承知のように完全なる政府機関でありますので、政府機関としての立場からこれに一般会計から出資をするということは筋としては私は問題ないと思います。中小金融に対する資金の需要が旺盛盛な現在、私の立場としてはこれが資金力の増強ができるだけ多額に、而も速かにできることを希望も期待もいたしているわけであります。  第三点は、商工中金の債券を資金運用部で更に既定の計画に加えて持つようにすべしという御意見であります。この点は先般も当委員会でもたしか私から申上げたかと思いますが、この債券を持つとしますならば、恐らく現在の政府資金の状況から言いまして、資金運用部資金よりないと思います。一般会計で債券を持つということはなかなか困難であります。然るところ資金運用部の資金の運用状況はこういうふうになつているかと申しますと、現在の計画は今般のこの国会にお願い申上げている補正予算の裏腹になつた形で資金運用部資金の運用計画の変更をいたしたのであります。この変更いたしました場合に考慮されましたことは、一般会計と資金運用部資金と見返資金と、これが大きな政府資金の柱でありますが、この三つを総合的に睨みまして、その資金収支を総合的に勘案して、例えばAの資金のほうで支拂超過になつた場合にはBの資金のほうでこれを何と申しますか、リザーブを取るというような形で、その三者を総合的に見て均衡財政といいますか、広い意味の政府資金の収支を計算いたしております。その結果出て参つたのが資金運用部資金としては来年度に五百四十億程度の繰越をいたすという、この繰越と申しましても、現金では勿論ありませんので、食糧証券を以て主として繰越す、食糧証券は御承知のように政府の債務でありますから、これはすべて売拂つて日本銀行に引受けさせるということでは、資金計画として決して妥当でないのであります。現在のところはその部分を食糧証券を抱えて来年度に繰越す、そういう計画になつているわけであります。これをやはりそういうことで処理を抑えまして、それでそれを収入に見合う支出を組んで参つたのでありまして、現在のところはその五百四十億を来年に食糧証券をして繰越すという一つの原則を覆さざる限り、商工中金を現在の規定の計画に加えて持つたということが相当困難である。併し目下ルースの災害関係のいろいろな予算的措置、或いは金融的措置の問題の一環として、現在この運用計画自体についても総合的な資金需給の観点から或いは考慮しなければならない場合が起つて来るかと思いますが、現在のところは今申上げたような計画の下に組まれておりますので、今追加して商工債券を持つという実は余裕がない、商工債券は短期の割引商工債券にいたしましても、年度を越しますので、どうしてもこの運用計画を変更して参らなければならない、短期の繋ぎで融資をすることはなかなかむずかしいという、こういう事態であります。  それから第四点の商工中金に対して資金運用部から借入ができるように法律を直してはどうかというお話であります。これは今お示しのような法律を直さないとできません。現在の資金運用部の法律はなかなか実は非常に見方によつては窮屈というか、ひじように固く実はできております。従いまして商工中金のような民間機関に対して貸付をすることは全部認められておらんのでありますが、今後におきまして、そういうふうな途を開くことがいいか悪いかについては十分検討して参りたいと思います。ただその途が開けないにいたしましても、商工債券を引受けるという形が今できておりますから、資金の収支の計画から言つて余裕がありますならば、商工債券を引受けるという形で以て資金の需要に応じ得る途はあるわけであります。従いまして問題はむしろ資金運用部から借入れることができるという途を開くという問題ではなくして、資金運用部から債券の形であろうと借入の形であろうと、どの程度の資金が商工中金の資金源の拡充に寄與し得るかということにかかつて来るのであります。この点からは先ほど申上げましたような資金運用部全体の資金計画から見まして、只今のところなかなか困難である、こう申上げざるを得ない次第であります。
  60. 境野清雄

    ○境野清雄君 只今のお話で商工中金の性格というようなものも非常に私ははつきりして来たんじやないかと思います。要するに民間的機関に切替えるといういわゆる資本構成の面から見ましても、大蔵省の見解は私は非常に妥当なものと思うのでありまして、現在むしろ十万円だというような小額のものが出ておること自体がおかしいくらいに私は感じておつたのでありますが、丁度中小企業庁の金融課長さんもお見えのようでありますから、御答弁は願はなくとも結構なんでありますが、そういうような商工中金の性格というようなものがはつきりして参りますと、そこで商工中金の役員というものを政府任命にしておるというようなことに私は相当に難点が出て来るのじやないかと思いますので、こういう点に関しては又通常国会で結構だと思いますが、日を改めて十二分に中小企業庁の意向も私は伺いたいと思いますので、その点一つお含みおきだけ願いたいと思います。
  61. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の銀行局長のお話を聞いておると、お話としては非常にすつきりしておりますが、問題はやはり年末に向つて非常な金融梗塞、特に中小企業について金融梗塞がある。それに対して何か別途特別なことをお考えになつていないかということが出て来た問題だと思います。その点は今のお話を聞いておると何も対策考えていない、別途に考慮はしていない、何とか考えなければならないだろうがというお話ではあつたようだが、具体的にそれではどういうふうに何かをお考えになつておるかどうか、もつとその点積極的に今の問題ではできないのだが、ほかのこういう手を考えておるというようなことがおありなんですか、その点を伺いたいと思います。
  62. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 佐多さんの御質問にお答え申上げます前に、境野さんからのお話がございましたので、一応私から申上げておきたいと思います。商工中金の機構の問題につきまして、現在は準民間の機関になつておりますが、将来の問題としては、これは商工中金の性格如何ということで十分考えて行きたいということを申上げておるわけであります。それからその際もちよつと申上げましたように、商工中金というものの制度が特殊の意味を持つております関係上、監理官を置きますとか、或いは役員の政府任命の制度というようなことで、普通の金融機関とは若干違つておるということを実は申上げておいたつもりであります。御了解を頂きたいと思います。  次に佐多さんの御質問でありますが、年末にかけての中小金融がなかなかむずかしい問題に当面いたして参つておるということは私も十分承知いたしております。一般的な年末にかけての金融情勢、国庫収支の状況等につきましては、これは別の機会ですでにお聞き取り願つておると思いますので、只今は省略さして頂きたいと思いますが、私どもは例えば商工中金の資金を殖やすとか、或いは国民金融公庫の資金を殖やすとかいうことは中小金融全体から見れば、実はヴオリユームから言つても非常な僅かなものである。やはり本当の筋は相互銀行、或いは信用公庫でありますとか、そういうふうな本来あずかつておる中小金融機関が大いに自分の資金を吸収して資金力を拡大して、これを以て中小金融を賄つて行くという措置をとつて参らなければならん、かように考えるのであります。そのほかにそれはどうしても手の届かないところに或いは国民金融公庫について増資をしたり、或いは資金運用部資金からの貸付をしたりして、その手の届かないところを補つて行く、こういう補うほうの金融であろうと思うのであります。そのための措置としては、只今申上げましたように国民金融公庫について資金源を拡充いたしまして、年末にかけてのそういう意味の金融の梗塞をできるだけ緩和して参りたいという措置を講じております。又商工中金につきましてはにわかにこれは期待はできませんかと思いますけれども、現在議員提出によつて商工中金法の改正が実は御提案になつておるような点も御了承頂きたいと思います。  なお政府の資金としてどういう措置を年末にかけてとつたかということにつきまして御説明を申上げたいと思います。第一は政府資金の預託指定の預金の問題であります。これは今年の八月に百五十億中小金融の金融に寄與いたしておりまする機関に対して政府資金の預託をいたしたのであります。これはその当初三ヵ月、つまり今年の今月の中頃で期限が参りまして、一斉に引揚げる予定であつたのでありますが、その後における金融情勢に鑑みまして、普通の銀行のような日本銀行との取引によつて調整ができるものを除きまして、相互銀行、或いは信用金庫、信用組合、無盡会社等に対しては半額だけ引揚げを延期いたしまして、そうして来年度に持越して年末の金融にできるだけ支障のないように緩和を図つたのであります。なお先ほど来お話の出ております商工中金に対しては十三億でしたか、十三億の指定預金を八月にいたしたのでおりますが、これは商工中金自体の金繰りの点から考えまして、これを全額来年に繰越して据え置くということにいたしましたのであります。又災害関係の地域に対しましては信用組合、無盡会社、相互銀行等に対して今申上げました半額の据え置き、半額の引揚げを更に緩和いたしまして、全額の据え置きをいたしました。又これらの地域にありまする銀行等に対しては新たに相当程度の金額を指定預金を追加いたしました。又農林中金、商工中金に対しましても据え置きの指定預金の追加をいたしたようなわけであります。こういうふうなわけで、金額的には余り実は対した額にも上つておりませんが、できるだけ政府資金としてこれを預託いたしまして、金融の疏通に寄與いたしたということで努めて参つております。なお災害地の関係の中小金融関係では日本銀行からの別枠の融資をやつてはどうかという意見が実は出て参つております。これは只今日本銀行で検討がなされておりますが、まだ結論に実は到達いたしてはおらんような次第であります。なお日本銀行といたしましては、そういう災害地その他に対する地方銀行の支持と申しますか、それにつきましては今申上げました指定預金とは別個にできるだけこれらの金融に対して支障のないように配慮を加えて行くように話合いができておる次第であります。具体的な措置として甚だ貧しい措置とお叱りを受けるかと思いますけれども、現在までやつて参りました点を御説明申上げました。
  63. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 政府預託金の問題ですが、今のお話ですと、一応まあ金額だけは残すと、それから更に災害地あたりの銀行には追加したというお話なんですが、銀行だけに追加して、もつとなぜ相互銀行や或いは信用金庫等々に単に金額を残すだけでなく、もつと追加をお願いできないのか。それを特別に銀行に限らずに別途お考えになることが必要なのではないか、その点をどうお考えですか。  更にもう一つ、無盡とか信用金庫に国庫の余裕金を預託なさるのですが、これまでの実績からいたしますと、無盡なり信用金庫はそれをもらつても直接に中小金融に使わないで、銀行だとか信託銀行に預けて、そのまま利鞘稼ぎをしておるというような問題が非常に多いし、或いは信用金庫のごときに至つては、中央のほうに保管をして置いて、地方のほうには現在までちつとも流していないというような実情で、所期の目的をちつとも果していないのじないか。それらの点を大蔵省としてはどういうふうにもう少し所期の目的を達せられるような方途を講ぜられるのか、その点をもう少し詳しく御説明頂きたい。
  64. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 第一点の問題でありますが、これは銀行については全部十一月十五日前後に引揚げたわけです。従つて引揚げてゼロになつてつたものが、災害地に限つて或る程度これを災害の実情等に鑑みて再預託をいたしたわけであります。従いまして、地域によつては、特に鹿児島等非常に災害のきつかつた所につきましては、従来銀行に預託いたしておりましたものよりも金額は多くなつた向きもおりますが、大部分は従来預けておつた金額と大差ない金額、或いは少い金額に相成つておるわけであります。従いまして、信用組合、相互銀行等に対しまして行いました指定預金の据え置きと実質的にはそう差違はない。ただ、今申上げましたような地域によつて、特に被害の大きい地域に対しては従来よりも若干殖やして預託をしたような次第であります。なお、それでは信用組合とか、信用金庫とか、相互銀行等にも更に増加して預託をしたらいいじやないかというお話でありますが、この点はいわば多ければ多いほどいいわけでありますが、まあいろいろ国庫の事情等もありまして、そう多額にはこの際として預託はできないということでありますので、今申上げましたようなことで、全額据え置き程度に止めたような次第でありまして、御了承頂きたいと思います。  それから第二の点ですが、これは御指摘の点は、私もこの国会でたびたび実はその点を御指摘を受けたことがあるのであります。必ずしも全部の信用組合なり或いは相互銀行等がその資金を自分のプロパーの仕事に使わないで銀行等に預けておるわけではないのでありますが、そういう部面がままあるように承わつております。これらはこの預託の制度の趣旨等を考えまして、十分その点の是正は図つて参りたいと思つておるのでありますが、この点について二つの問題があることだけを一つお含み置き願いたいと思います。一つは、国庫の指定預金でありますから、国庫としては非常にこの回収の確実性ということを何よりも先ず考える。そういたしますと、それが万一回収できないというようなことになりますと、非常に心配なことになりますので、これらのために回収の確実性を図るという意味で、或る程度担保的にこれらの指定預金の一部を……、金の収支はないのですから、それが必ず右か左に残つたということにはなりませんが、或る程度連合会のほうにこれを預託しておるという事実はございます。それからもう一点は、そういう意味で、指定預金をいたしました当初の目的は、将来数ヵ月に亘つて預貯金その他の資金が充実して来ると、その充実して参りますものを当てにして実は前貸をするということができるようにしたわけであります。従つて今後の預貯金の増加その他の趨勢と睨み合せて信用金庫でありますとか、相互銀行は金融をして参らなければならん。そこまでどうも預貯金が伸びないということになりますならば、その返す場合にすぐそこでつかえて参るわけでありますから、これらの点を睨み合せて、或る程度はリザーヴして取つて置く、或いはコールへ出すという処置をとらざるを得ないようなことになると思つております。ただ聞きますところによりますと、それが非常に度が過ぎておつて、殆んど地方の中小金融にその金が廻つておらんというような例が多々あつたようなことも聞いております。この点は甚だ遺憾でありまして、十分注意はいたして参つたのでありますけれども、今後におきましても、これらの点については遺憾のないように十分是正して参りたいとかように考えております。
  65. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 あと見返りの中小融資の問題なり、銀行の大口融資偏重の問題なりについてお尋ねしたいのですが、時間も経過しておりますので、いずれ別の機会に譲りたいと思います。
  66. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それでは休憩をいたしまして二時から再開いたします。    午後零時四十七分休憩    —————・—————    午後二時十八分開会
  67. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。  先ず最初に石油開発に関する件を議題といたします。本件につきましては、島委員より前回委員会において要望がありましたが、本日は参考人といたしまして東京大学教授上床国夫君、帝石社長酒井喜四君の御両名の御出席を煩わしました。誠に御多用のところ恐れ入りました。島君に質問を許します。
  68. 島清

    ○島清君 順序はどなたを先にお聞きしたほうがいいでしようか。
  69. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) どちらでもいいでしよう。
  70. 島清

    ○島清君 先ほど専門委員の話では、帝石側のかたは何か御事情がおありのようですがかまいませんか。
  71. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 大変勝手なことを申上げて恐縮でございますが、いろいろ会社の内部が労働問題等で紛議の最中でございまして、中央労働委員会との連絡その他でちよつと非常に繁忙を極めておりますので、できますれば私のほうからお願いいたしますして、三時前後ぐらいに私の分を終らせて頂きたいのであります。なお純技術的の問題につきましては、取締役の山内開発部長を伴つて参りましたから、それらの点については私に代つてそのほうから御答弁願うというようなことのお取計いを願いたいと思います。
  72. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今の酒井君のお申出に御異議ございませんか。
  73. 島清

    ○島清君 結構でございます。
  74. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ではさようにいたします。では酒井さんに対する御質問を。
  75. 島清

    ○島清君 それじや折角お越しを頂きましたが、会社側のほうにおかれましても内部の事情でそう長時間私たちの質問に答弁もできないようでございまするからして、私も極く問題の要点だけをお尋ねすることにいたします。  先ず第一点まつ先にお伺いいたしたいことは、先般私が資源庁長官のお越しを頂きまして、帝石のほう、あなたのほうの会社資源庁長官から勧告を受けなければならない状態をお招きになつた、招来された、こういうことにつきまして資源庁長官にお尋ねをしたのでございまするが、第一次の勧告をお受けになつたときには、文書を以て何か通産省に対しまして勧告を忠実に実行する旨を御回答に相成つたようでございまするが、これに即応するような人的機構的に、機構を改革されて即応態勢を整えられたかどうか、先ず一点これからお聞きしたいのです。
  76. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 帝国石油の内部組織といたしましては、従来の機構を以てしまして只今お話のような事柄は十分実行できると考えておりまするが、現に実行いたしておりまするので、特別機構上の措置をそのためにどうということはございません。
  77. 島清

    ○島清君 それはそうといたしまして、コンサーベーシヨン委員会の答申に基きまして勧告をされた。その委員会の結論を見てみますると、あなたのほうの会社、即ち帝石が我が国最大の八橋油田において好ましくない生産を行なつて来たのは甚だ遺憾であると、こういうふうに指摘しておられまするが、只今勧告を受けられても、これに即応するような人的にも機構的にも改革はされなかつた。こう言つておられるが、勧告前の態勢で勧告を受取られて、そうして委員会の結論にも出ておりまするように、好ましくない生産を行なつて来たのは遺憾である、こう指摘されておりまするが、今あなたの御答弁とこの指摘されておるところの面から見ますると、何らか勧告を受取りになりましても、おろそかにしておられたような印象を受けるのでございまするが、この勧告をお受取りになりまして、どういうようなことをおやりになり、それからどういうような心境と責任感を持つてこの勧告に対応されようとしたかどうか、その辺のいきさつをお伺いしたいと思います。
  78. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 八橋の技術管理の問題につきましては、少し計画的に申上げたほうがいいかと思いますが、資源庁長官からの勧告を受ける以前におきまして、我々のほうにおいても、かねてその問題について内部で検討を重ねて参りました。何分にも我が国の油田における新らしい問題でもありまするし、資料等も非常に不十分でございましたので、確信のある結論を早く得られずに検討を続けておつた次第であります。たまたま天然資源局のスケンク中佐が現地のほうを視察されまして、そこでいろいろな示唆がございました。その示唆に基きまして我々は不十分とは思いましたが、現に存する資料に基きまして自主的な採油調整案を立てました。これを天然資源局並びに資源庁のほうに御報告申上げたのであります。そして直ちにそれに実施しておるのであります。その後その我我のやつておる事柄を資源庁におきまして委員会にかけて検討されて、委員会の答申、それに基く勧告、こういう段取りになつたのであります。併しながらそのすでに我々は立案実施しておりましたものと、それから資源庁から勧告されましたものとは多少の上下はございまするが、大体において実質的には殆んど同一なものでございまするので、我々は直ちにその勧告の線に沿つて計画を立てその実施を現にやつておる、かような次第でございまして、従いまして勧告がありましたことによつて、人的にどう、或いは機構的にどうということよりも、現在の機構並びに技術陣を活用することによりまして、十分な実行ができる、かように考えておる次第であります。
  79. 島清

    ○島清君 スケンクさんからの示唆を受けられたのはいつごろでありますか。
  80. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 七月の初めであります。
  81. 島清

    ○島清君 今酒井さんの御答弁を承つておりますると、勧告が出る前から何か今あなたのほうの持つておられまするところの技術陣とそれから機構を以てして、勧告の線に沿うような努力をしておられたというような印象を受けます。さように了解してよろしうございますか。
  82. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 勧告以前からつまり八橋の八層、九層の本格的な開発に伴つて、それらの面についての技術的な研究を続けておりました。
  83. 島清

    ○島清君 その研究をしておられたということは、勿論技術によつて左右されることでありまするからして、これは技術の研究を怠つてはいけないことでありまするからして、当然に研究しておられたに違いございませんが、この勧告に指摘されるようなことの事態が発生するであろうということを予想されて、そしてそれを防ぐために研究しておられたとこういうことでございますか。
  84. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) さようには考えておりません。
  85. 島清

    ○島清君 そうすると研究しておられたということは、どういうことなんでございますか。
  86. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 八橋の技術管理の問題を逐次集めて、あの油田に最も適合した標準を逐次立てて行くという面についての研究であります。
  87. 島清

    ○島清君 どうもわかつたようでわからないような御答弁でございまするが、何かあなたのところでは年初にお立てになりました日産一千キロでございまするか、年産は三十六万でございますか、こういうものをお立てになりまして四月、五月、六月はその計画量よりも二百五十キロも上廻るような採油をしておられるのでありますね、それで七月のスケンクさんからの示唆を受けられまして、あわてて減油をいたしまして、今は九百を割つたのでありますか、爾来成績が余り年初の当初計画通りつていないようでありまするが、そういう場合に採油量が減つたということは、スケンクさんからの勧告があり、更に引続いて資源庁の勧告があつたが故に減つておるのではないのでございますか。
  88. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 年初には、おつしやる通り計画を立てました。併しながら我々としては私企業の立場からいたしまして、技術的に許し得る最高限度の増産を図りたいということも一方における要請でありまして、そういう面を考えておりまして生産を続けて参りました。併しながらその当時といえども全然制限をしておらなかつたわけではありませんので、一定の制限下に採油をして参つております。それと計画以上に出たということは、一方において非常に作業能率が進んでおりまして、これは昨年度以来秋田方面における仕事の機械その他が非常に促進して参りまして、かなり仕事が予定以上に進捗した、新らしい井戸が非常にたくさん早くできたというようなことが予定線を上廻つた一つの大きな理由になつております。
  89. 島清

    ○島清君 技術的な方面につきましては、あとでちようど幸いにも上床教授もお見えでございまするからお尋ねいたしまするといたしまして、そういたしますと酒井さんの今の答弁によりますと、あなたのほうの年初の計画と、更に勧告を受けても、なんらあなたのところでは授油量には影響を来さなかつたと、こういう工合に受取られる御答弁でありますが、さように了承してよろしうございますか。
  90. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 採油量については、おつしやる通り影響が来ております。つまり制限の強化をした結果、採油量の影響はおつしやる通りに来ております。
  91. 島清

    ○島清君 そういたしますると、勧告を受ける前の採油管理というものは、コンサーベーシヨン委員会のほうで指摘されておる通り好ましくない生産を行なつて来たのは貴憾であるということを、そのまま御承認になりますか。
  92. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) その好ましくないという言い方については、私はそのまま承認できないと思います。ということは、成るほど制限強化後と以前と比較すれば、制限が不十分であつたということは言えるかと思います。併しながらその結果、それならば八橋の油田にそういう影響をその当時及ぼしたかという点を考えて見ますると、制限強化後における数らしい井戸の竣工したその出油の状態、或いは制限をした地点の井戸の抗内の事情、そういうような点、これは非常に技術的ではつきり私申上げかますが、そういうような実例から申しましても、八橋油田の出油能力そのものに悪影響を及ぼしてはいない。八橋油田はやはり健全に今後育つて行くというように私は確信しておりまするので、従つて好ましくない採油であつたという表現の仕方については、そのまま私は承服できないと思います。
  93. 島清

    ○島清君 そういたしますると、コンサーベーシヨン委員会のほうの結論に対しては御異議があると、こういうわけでございますね。
  94. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) いいえ、そうではありません。出ました最後の調節はかくかくあるべしという最後の結論的なものについては、先ほど申上げました通り、我々が自主的に限度を決定したものと殆ど大差のないものでありまして、これはその線に沿つて現に実施し、今後も実施すべきものと考えております。
  95. 島清

    ○島清君 八橋の油田に対して、ちつとも資源を最高限度に活用して、少しも打撃を與えていないというような印象を強く受けまするが、併し私の得たところの情報によりますると、コンサーベーシヨン委員会のほうの結論に指摘されておりまする通り、好ましくない生産を行いました結果、無駄に空中に放出されたガスは二千万立方メートルに及び、その金額にしても七億二千万円になると言われておる。この自然の濫費というものは、私は好ましくないという言葉が酒井さんにお気に入らなければ、適当でなかつたという言葉を以てしてもいいと思うのですが、こういう工合にその資源の濫費について、当然に防げたものが防げなかつた、損しておるのだというような結論を出しておる向きもありまするが、これについてもやはりそれは誤りであると、こういうようなことがはつきりと言えますですか。
  96. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 只今の放出されたガスの量、金額については、私正確な数字を記憶しておりませんが、最初におきまする仕事の、掘鑿作業の進捗状態と、それからガスを利用すべき圧入装置の進捗状態との間に時間的なずれができて、その間にガスの一時的な放散があつたという事実は、おつしやる通りであります。その事実については、その仕事上の齟齬があつた点は誠に遺憾であつたと私は考えております。
  97. 島清

    ○島清君 わからなくなりましたのですが、この委員会のほうで指摘された、遺憾であると指摘されまして、その意味からは遺憾であつたということを言つておられるのです。その遺憾の持つておりまするところの概念というものを僕はちよつと把握しかねるのですが……。更にですね、あなたのほうの採油管理の誤りによりまして、或いは又言葉が誤りであるということに御抗議があるならば、適当でなかつたという言葉に訂正してもよろしうございまするが、とにかく適当でなかつたというので、八橋油田に與えた今後の採油不可能……取れなくなつた油というものは、金額にしても七億二千万円、ドルに直せば二百万ドルになる、こういうふうに指摘をしている向きもあるのでございまするが、あなたがそれを以てしましても、やはり八橋油田に打撃を與えてない、こういうことが言い切れますのですか。
  98. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 只今のお話の数字は、私どういう根拠からのあれか存じませんが、八橋の油田に対してどういう影響が起きるかというような点についての判断というものは非常にむずかしい問題であり、恐らくはそう正確な数字というものが出ないのじやないかと思います。従つてその数字が、果して我々が受入れられる数字であるかどうかという点については、甚だ私として疑問を持つ次第であります。
  99. 島清

    ○島清君 今私が申上げた数字は、両方とも総司令部筋の責任のありまするセクシヨンから、日本の各新聞社に渡しましたところの声明書の中に指摘されてある。こう言われておりますもので、ここまで申上げますると酒井さんも大体御見当がつくと思うのですが、仮にこの八橋の油田に対して、将来取れるであろう石油が取れなかつたということに対する七億二千万円というものが大げさ過ぎるといたしまするなら、それはさておきまして、こういつたような権威筋からの指摘を受けておりまするので、而も新聞社に発表してもよろしい数字だそうでございまして、その七億二千万円というものをあなたが御承認にならないといたしまするならば、それに近いようだということはお認めになりますかどうか。
  100. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) その数字は如何なる影響があるか。つまり量、数字というものについては、秋としても如何ようにでも計算のできる数字じやないかと思います。従つて現在におきましては、先ほど申上げましたようにその後における毀損性並びに侵掘性の状態から見て、そういつたような大きな影響が……例えば非常に大きな数量が八橋油田から取れなくなつてしまつたのだというような談話は、そう軽々しくできるものじやないと思つております。それからなお今の声明は私まだ存じておりませんが、従つてそういう点について直接話を伺つたこともございませんで、その総司令部云々という問題に触れることは、秋は避けたいと思います。
  101. 島清

    ○島清君 そうですか。まあ酒井さんも、こういつたような数字は或いは将来への損害を與えてないということの数字の御肯定はなさらなくとも、全然損失を與えてないというような否定のことはちよつとおつしやりかねるのでございましように。どうなんでしようか。
  102. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) これはたびたび同じことを繰返すようでありますけれども、その後における油田における井戸の状態というものから判断して見ますと、そういう影響がないというふうに私は確信しております。併しながら先ほど申上げましたように、現在制限を強化している状態から、四、五、六の状態を見れば、少くとも制限が暖かつたという批判は成り立ち得るわけでありますが、その限度において影響が全然なかつたのだということは、これも又私技術の面はよくわかりませんが、はつきりは言い切れないものじやないかと思います。その辺はどう判断していいものですが、非常にむずかしいのでございますが……。
  103. 島清

    ○島清君 まあ実際はお聞きをしている私もわからないのですよ、わからないからお聞きするわけですが、それは専門家の上床教授がお見えでございまするから、後刻上床教授にお教え頂くとして、併し私はどうも何かしらん、酒井さんは非常に私の質問に対してですね、思い過ごしをされまして、予防線ばかり張つておられるような気がするのですが、どうぞ一つそういうことをお考えにならないで、別に私はあなたがどういう立場にあられようが、私は国家資源の愛護の立場からお尋ねするのであつて、今あなたの言うような、あなたの御答弁を全面的に私が肯定するということになるますというと、このコンサーベーシヨン委員会の答申、それに基きまする勧告の線と、あなたと正面衝突をせざるを得ないという格好になる。この権威というものは、資源庁長官我が国における最高の権威であると、こういうことを認めておられる。最高の権威であるということを認めたればこそ、やつぱりそういう委員のかたがたにお願いしたと、私もそう信じておるのですよ。ですからこのコンサーベーシヨン委員会のほうで、まああなたの言葉に重複いたしまして大変恐縮でありますが、少くとも好ましくない生産を行なつて来たという点を指摘しておられる。この点について今あなたの御答弁を承わつておりますと、すなおにどうも承認をされないような線が出て来ておるのでありまして、そうするとあなたは何ですか、この勧告を受けられなくとも、今のあなたたちの経営者面、陣営において、勧告の線に従うような採油管理ができたと、こういうふうに思われるのですか。
  104. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) そう思つております。
  105. 島清

    ○島清君 そうすると、これはどういうわけなんですか。この年初にあなたのところでは日産一千キロという数字を出されて、年間三十六万ですか、そういうふうにお出しになりまして、その勧告を受取りになりますと、すぐ穴を小さくしまして、そうしてずつと採油量を減らしておるのですね、これはどういうわけですか。
  106. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) これも先ほど申上げました通り、私どもの社内でも八橋がだんだんと本格的に開発されるに連れて、あそこに適合した合理的な線というものを見出さなければいかん、又その線に向つて研究を続けなければならんということで進めて参つたわけであります。少し細かくなりますが、一つの議論としては、例えば八橋のあの大油田に一つの線と、一つのスタンダードというものだけでこれを調節するのがよろしいか、或いは層別或いは地域別というような一つ段階が、そこに存在するのじやないだろうかというようなことが、実は社内における疑問であり、研究対象になつてつたのであります。何分にも資料が不十分であるために、そういつたところまで深く入つた案ができないために、少し遅れておつた、こういう事情がございますので、勧告があり或いは示唆があつたということが、この制限強化を促進したということは、これは認めざるを得ないと思います。併しながら勧告がなかつたならば、全然こういうことを考慮外において置くつもりでなかつたという、若しも御質問でありましたならば、それに対しては、我々は研究を続けつつ逐次合理的な線に持つて行くという努力をし、恐らくはその実施の段階にだんだんと入つて来ておつたと思うのであります。
  107. 島清

    ○島清君 そうなりますというとですね、私はあなたの経営者としての良心的なものについて私はお尋ねをしなければならなくなるのでありますけれども、年初において日産一千キロという計画を立てておられながら、而も四月、五月、六月は二百五十キロも上廻るような採油をしておられて、その勧告を受けられるやすぐ採油量が減つておるのですね。あなたたちの年初の計画よりも減つておる。この事自体が、私はまあ勧告を受けられ、非常に良心的にこの勧告の線に従われて、そうして採油量を減らしてまでも、この勧告の線に沿いたいのだという努力の現われだと、私はこういう工合に解釈しておる。ところがあなたの御答弁を承わりますと、そういう印象を受けないので、なぜこういう工合に四月、五月、六月は計画量を上廻つておりながら、七月からは今九百減つておるのでしよう。そういうふうに年初において全然見通しのつかないような計画を立てられたかどうか。若しこの計画を立てられてですね、それで会社の経営ができるといたしまするならば、私はなたの会社の経営最高責任者としての、あなたの経営の良心的な手腕にまで疑いを持たざるを得なくなるのですが、勿論私はそういつたような線をあなたに追及しようという考えもありませんし、又その立場にありませんので、そういう追及はいたしません。そこらの矛盾ですね。これは我々内外漢に、第三者にでも説明してわかるように、一つ折角ここまでお越しを願つたのですから、説明して聞かして頂けませんか。
  108. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 採油の調節の問題につきましては、これは私技術のほうは専門でありませんから、少し違つておるかも知れませんが、私の気持といたしましては、データをだんだん集めて、そしてそこでいろいろな線を出しつつ、逐次その最も理想的な線に近付けて行きたい、こういう考え方でいろいろな技術的な研究について疑問を差しはさみ、更にその研究より一歩先へ進めてもらうという行き方をとつてつたのであります。併しながら先ほど申しましたようなNRSのサゼツシヨン、或いは資源庁の勧告は、現段階において直ちに一斉に一定の線に調節をしたらよかろうと、こういうことでありましたので、そこに我々はなだらかに持つて行こうというのと、一時的にやつたというところに確かそこに違いが出て参つたという点ははつきり私申上げますが、併し全然そういう点について年間を通じての何らの見通しもなしに計画を立てておつたのかと言われますれば、それは我々としても一応の計画の線については、確信を持つて進んで参つたつもりであります。
  109. 島清

    ○島清君 私は今の酒井さんの御答弁によりまして、どうも満足な理解を深めるわけに参らなかつたので、幸い今日は労働組合の諸君が見えておりまするからして、あとで労働組合の諸君にお尋ねをするお許しを委員各位から頂きまして、果して酒井さんの今の御答弁がそうであつたかというようなことについてお尋ねをしたいと思つております。  併しそれはさておきまして、時間もないようでございまするからして、あなたのところの会社はいわゆる非常に少いところの国家資源を高度に開発して頂こうというので、国策会社からあなたのところの民間会社に切換えるときにも、通産省はやはり国策会社であつたときと同様に、適当な指導をやつて行きたいと、こういうことを言つておられまするし、更にその線に沿いまして、国庫の費用から一億の金を、助成金をまあ出しておるわけなんですね。この助成金を出し、更に原油の価格というものは政府がきめまして、更にその価格というものがいわゆる日本の地下資源の石油を保護するという建前から、輸入油よりも五百円も高いと、こういうようなきめ方をしておるのです。そういたしまするならば、勿論あなたの会社経営というものは、国家の親心に対しましてこれに即応するような経営の仕方でなければならんと、まあ思われるし、そうでなければならないと思うのですが、あなたのところの会社で四割の配当が非常に問題になりまして、資源庁長官もあなたに対しまして、四割の配当というものは少し行過ぎだからして、何か考慮の余地がないかと言うて行政的な勧告をされたようでございまするが、この問題に対してもあなたはお断わりになつたようでございまするが、今でもそういうような御心境にあるのかどうか。この点について、いわゆる国家の適当な保護と指導を受けて、助成を受けておられながら、行政官庁から配当の問題について勧告を受けられました場合に、それをお断わりになり、その関係におけるところの帝石の使命の遂行に対して、これで十分だとお思いになるかどうか、その点について御答弁を頂きたいとおもいます。
  110. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 我々が日本の石油資源開発という重大な使命を持つておる。従つて、石油資源という大事な国家の資源を、積極的に且つ合理的にこれを開発して、公共の福祉に寄與せしめなければならんという信念においては、私もほかの人に負けない強いものを持つておるつもりであります。そうして日本の今の石油資源の現状から見まして、或いは助成金、価格政策等において助成の方策を受けておることについても、我々は感謝すると同時に、又今の日本の全体的に見て、外国に比較して劣る日本の石油資源状況であつては是非そういつた国家的な配慮を加えもらいたいという強い希望も持つております。そこで只今お話になりました配当の問題でありますが、これはやはり会社一つの私企業として、経済界に各その他の会社と伍して場合において、おのずからその全体的な考慮を、経済界全体に考慮が拂われて然るべきだという気持も又私企業の立場から一方に持つております。で実を申しますると、もうすでに御承知だと思いまするが、帝国石油会社としては、過去においてかなり長い期間無配の時代もあり、配当も非常に低かつたというようなころから株主の諸君に対しては相当不利な事情を甘受してもらつて今日まで来ております。で幸いにしてこの二、三年来皆様の御協力によつて業態も好転して参りました。今期の純益の状況から見まして四割程度の配当をすることは可能であり、又一般経済的な観点からしても、決してそれは高過ぎるというふうには私どもは考えておらないのであります。殊に丁度今期は帝国石油の創立十周年にも当りますので、まあその意味合のお祝いの意味も、漸く好転して来た現在の会社状況と照し合せて、これも含めて実は普通配当二割、特別配当二割というような処分案を重役会で決定しておりました。資源庁の長官からの政府としての意見の伝達も確かにございました。それも十分考慮をいたしましたが、只今申上げましたような事情で、我々としては今期四割の配当をすることは不適当じやないという結論に到達しておるような次第であります。
  111. 島清

    ○島清君 配当というものは、利潤がなければ配当はできないわけでございまするからして、四割も配当をするような会社に、儲けておるところの会社に、国家から助成金を出さなければならないという理窟はないという議論が生れて来ると思うのであります。こういうようなことも考慮に入れられて行政官庁である資源庁の意思の伝達に対してお断りになつたかどうか。将来の見通しでございますね、それについてお答えを願いたいと思います。
  112. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 将来の日本の石油鉱業に対するいろいろな国家的な御配慮を頂くという問題については、今回の一時的な四割の配当というものと、それほど強く結びつけて考えるべきものでもないように私は考えました。ということは、むしろ日本の石油鉱業の助成という問題は、資源の賦存しておるいろいろな何といいますか、客観的事情から見て、これを国家的に更に促進せしめるかどうかというような観点でいろいろ御配慮が願えるんじやないか。これが一つの企業として、或るときには相当の配当もやる、或いは或るときには配当も非常に少いという事情がありましても、帝国石油がすでに純然たる民間会社なつた以上は、そういつた消長というものは当然あり得るのではないだろうかというように考えておるのであります。従つて今回の措置とそれとを直ちに結びつけて非常に強い意見関係の下に全体の問題を判断されるということについては、私はどうかなというような感じを持つておるのであります。
  113. 島清

    ○島清君 非常に酒井さんの御答弁ですね、誠に結構のようでございますが、一つ抜けているところがあるように思うのです。と申上げまするのは、それは国家は非常に少いところの資源、金に直しますと四十億に近いような、少い資源をあなたたちのほうで生産をして頂いているので、この少い国家資源を高度に活用しないと、外国から輸入をしなければならないので、そうしてあなた方に国家的使命の遂行を期待して助成金を出しているわけです。その出しておりまするところの会社がコンサーベーシヨン委員会から指摘されておりますように、好ましくない生産を行なつていると、こう言われている、生産面において……。而も配当というものは、今日その四割は、不適当であると思うから再考してくれないかということを監督行政官庁から言われた場合に、これも断つている。而も一面民間会社でありまするならば、利益のないところに配当はないはずでございまするが、まんざら酒井さんが経営されるような会社に特配なんというものは我々想像もいたしませんので、儲けがあられるから四割を配当しておられるに違いありませんので、これは民間会社の建前からいたしまするならば、或いは当然とあなたは御主張なさつておるようでございまするが、半面いわゆる国家があなたのところの会社に対して非常に保護を與えているということが言えるわけです。而も保護を與えておりまするところの監督行政官庁としての通産省としては、反対の意思を表明しております。そういたしますると、この通産委員をやつている私たちといたしましても、こういつたよう会社に対して助成金を出す必要はない。今私たちは中小企業の年末金融対策に対して金がないといつて非常に苦心をしている。その矢先に儲けた、四割も配当するような会社に助成金を出す必要はないじやないかという議論の起つて来ることは当然なんです。ですからあなたが期待しておられるような状態にはならないと思うのですね。それに対しまして今でもやはり、只今御答弁に相成つたようなお考え方でございますか。
  114. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 最初の勧告の点でございますが、地下資源の重要性の問題に鑑みまして、私どももできるだけ理想的な合理化の線に持つて行きたいということから、委員会の答申に基く勧告を受諾して、それを実行しておるということは先ほど申上げました通りであります。それで一面配当の問題になりましても、これは無論我々も慎重に考えました。考えましたが、併し殊に石油業界等を通観した場合におきまして、価格的な保護を受けているということが、単に帝石だけの問題じやありませんで、石油界全体として、価格統制による一定の保護を受けておる。又関税の保護があるということは、ひとり私どもの会社だけではないと考えるのであります。従つて私どもの会社だけについての配当の問題を御指摘されますると、そうしてそれとはかの問題とを結びつけますると、成るほどおつしやるようなことにもなるかと思いまするが、我々としては私企業の立場におきましても、当然聞かなければならんと思うような勧告は十分聞いております。配当の点については、先ほど申しましたようなな考え方から我々は当初の考えをそのまま実行する、かように考えたのであります。なお助成金の問題でありますが、助成金はすでに御承知のように、地質の調査、或いは試掘というような私企業としてやつて行く場合に、なかなか新規のところに多額の投資をするということが、殊に当るか当らないかわからないというところに、大規模に積極的にやる場合においては非常に大きな危険性を持つ。どうしてもそのほうに手が自然廻りにくくなるというような面について、つまり普通の会社としては採算的にどうも手が出ないというようなところへ、積極的に開発すべく調査なり、試掘なりを促進せしめるというのが今の助成金の目的であろうと思いますので、やはり今後非常に不利な條件を甘受しても、積極的な開発を促進しなければならんという日本の石油資源状況の存続する限りにおいては、やはり助成金の問題はその面において考慮されて然るべきじやないかというような意見を私は持つております。
  115. 島清

    ○島清君 私は酒井さんの御答弁を頂きまして大変満足いたします。併しながら約束の時間が七、八分も経過いたしましたので、これ以上お聞きしたいとは思つておりませんが、最後にただ一点だけ酒井さんにお話をしておきたいと思いますることは、コンサーベーシヨンのほうから、好ましくない生産を行なつておるということを指摘され、而もこれを資源庁においても我が国におけるところのそのことに関する限りの最高の権威あるものである、こう言われております。更に又総司令部筋あたりからも、只今私が申上げたように、金額にいたしまするならば七億二千万円の損失を将来に與えておると、こういうことを言つております。こういうふうに指摘されておつて、そうしてあなたはなお且つ勧告が出なくたつて、勧告の線に我々は努力すべくやつたであろうというようなことの勧告の無視すら行われておる。更に行政官庁である通産省から四割の配当は今日不適当であるというような勧告をを受けながらこれを退けられる。而も助成金は将来も出るであろう、それは試掘のために助成されたものであるからして、将来も出るであろう、こう言つておられまするが、あなたのほうの年初の計画と下半期の計画を見ますると、試掘もあなたのところは減らされておる。つまり放漫な、誤れるところの採油をして、放漫な採油をやりまして、勧告を受けてから利益が少ないというところへ、あなたのところは下半期においては試掘のほうも半減をしておられる。而もあなたは勧告を忠実に受け入れたようなことを言つておられまするが、私の受けまするところの情報によりますると、抗底圧の測定は二十四時間機械をかけねばならないところを、あなたのところの本社は、現場に向いまして十二時間でやれという指令を発したとかいう情報を私たちは取つております。それから見ましても、あなたのほうがこの勧告に対しまするサボは明確であり、更に勧告以前から勧告の線に採油管理を最高度にするであろうという技術的な努力と研究を重ねておつたということは、どうも我々は受取れない。併しあなたの御答弁の中からは、全面的にこれを否定されるような御答弁がございまするので、私は何をか言わんやでございます。技術の面につきましては又上床教授がお見えでございますからお聞きいたしますが、そういうふうに数々のそういう御指摘をされましても、なお且つ酒井さんは、言葉は妥当じやないかも知れませんが、あなたに課せされた国家的の使命を良心的に忠実に果して来たとお思いでございますか。
  116. 酒井喜四

    参考人(酒井喜四君) 最初の試掘の計画の問題でありますが、これは大体年初に立てますときには、一年間を通じて地域を指定して一定の本数をきめます。併しながらその場合においては、例えば或る地域においては一号井をやつた、その結果によつて二号井をやるというようにA、Bというような計画を立てて、或いはA、B、Cというような計画を立てるところもありますし、本年度のごときは状況の如何によつては、十二本も掘る。併しそれは数本掘つた経過如何によつては、あとの数本は打切るというような含みの下に立てられた計画もあります。そういうようなものは試掘の進捗状況に応じて逐次改変されて来るのが通例でありまして、これはひとり今年のみのあれではございません。昨年においても年の途中におきましてそういつた面を考慮して計画を中止したものもあるというようなことでありまして、これはやはり仕事の進行に伴つて本数が必ずしも年初に立つたものと一致しないというようなことは一つ御了承を願いたいと思うのであります。  それから第二の点の、勧告を無視しておられるようなふうに聞き取りましたが、私どもは決して勧告は無視いたしておりません。はつきり文書を以て資源庁長官にも受諾の旨を出しております。その後の実施計画につきましても、資源庁のほうにそれを提出して誠実にこれを実施いたしております。今の坑底圧の測定の時間の問題でありますが、これは私よく存じませんが、これは二十四時間でなければならんというものじやないのだそうでありまして、それはその状況に応じて何時間でよろしいかということはその状況々々によつて決定されて行くものだ、ですから場合によつては六時間でいいものもあるというように私は伺つておりますので、これは決して採油管理の問題、或いは勧告に基く制限強化の指示をサボつているという実例にはならないように私は考えております。いずれにいたしましても私どもとしては勧告を無視しましてその実施をサボつているということは心持の中にも全然ございませんし、技術のほうにおきましても逐次その指示の線が現地において現れていることを、お出でになりましたら、はつきり御認識を願えると思うのであります。誠実にその線を実行しているということを重ねて申上げます。なお私の信念といたしましては、日本の石油鉱業の積極的且つ合理的進展というものにつきましては、私として最善を盡して参つており、又今後も良心的にその心持を実現さして行きたいという信念を持つておるということをここではつきり申上げたいと思うのであります。
  117. 島清

    ○島清君 委員長ちよつと動議を出したいと思うのでありますが、労働組合の諸君に私は今日の委員会のほうでお出でを頂きまして聞きたいと思つておりましたが、その必要がなかろうと思いまして実は遠慮していたんです。ところが今酒井さんの御答弁を伺つておりますと、どうしても労働組合の諸君の社内の人の意見も私は聞かなければなりませんので、たくさん聞きたいところがありますが、二、三点にとどめますが、そのお許しを頂きたいと思いますが如何でございましようか。
  118. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 皆さんどうでございましようか。この時間が余り長くなりまして……。
  119. 島清

    ○島清君 十分くらいでようございますが、二、三点でとどめますが……。
  120. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) まあ時間は十分くらい、皆さん御異議ありませんか。
  121. 島清

    ○島清君 労働組合のかたに傍聴に来てもらつているんですがね。たくさん聞きたいところがあるんですが、二、三点にとどめますからね。
  122. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 十分至十五分……。
  123. 中川以良

    ○中川以良君 一応本委員会で御決定になつて進めておられますので、あとなお今日は法案も残つておりまするから、次回にでもお廻しを頂いたら如何かと思います。私はそういう意見を持つております。
  124. 島清

    ○島清君 委員長少し懇談会に移つて下さい。
  125. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  126. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  127. 島清

    ○島清君 久保田君は傍聴席で傍聴しておられるようでありますからして、私から酒井さんにお聞きした一問一答をお聞きのことだと思います。  そこで余計なことは申上げませんが、年初の計画におきましては、日産一千トンの計画を出しておりながら、更に勧告後におきましては採油量が非常に減つている。四、五、六月は二百五十キロも上廻つておりながら、その後は九百キロを割つたやに私は聞いておりますが、これはいわゆる勧告の影響と思うのか思わないのかということが一点と、更に今酒井さんも言つておられたように、下半期における試掘の半減というものは、必ずしも採油量が減つたから、利潤が減つたからということじやないということを言つておられましたが、私なんかの聞いておるところによりますと、利益が減つたから試掘を半減するのだというふうに聞いておりますが、この点がどうであるかということと、更に坑底圧の測定は、二十四時間は機械付けなければならない、こういうことを私たちは素人ながらも聞かされておりますが、本社から十二時でやれというそういうふうな指令を発したやに聞いておりますが、あなたがたはこの指令を現場において受取つた事実があるかどうかというような点について御答弁を願いたいと思います。
  128. 久保田正英

    参考人久保田正英君) 私中央副委員長をやつております久保田でございます。今の三点についてお答えいたします。  年初の計画は、日産一千キロで、一年間三十六万五千キロであります。それには今度の勧告の線に基きましたガス油比、坑底圧、あの基準を三十六万五千と組んだわけであります。このことはここにおられる山内開発部長が組合との生産協議会においてはつきりと明言されております。但しそれは開発部として計画を積むときの基準であつて、重役会ではその基準を用いなかつたといいますか、重役会までは行つてなかつた、まあこういうことなのであります。それで従つて三十万キロというのははつきりした基準に基いて出ておりましたから、その通りつて行けば、やはり今年は三十六万五千キロ出たわけなんです。ところが勧告によりまして採油制限を強化いたしました結果、本年度は大体三十二万九千キロと大体このくらいが最大限です。会社で非常に多くしようとしまして最大限にしても、大体それだけの量しか出ないということは、私たちは勧告の影響によつて、今まで会社考えていた以上に初めの放漫採油の影響を考慮せざるを得なかつた、とこういうふうに解釈しているわけであります。で年初に技術家としては一定の基準はあつた、併し経営者としてはこれを採用しなかつたということで、これは技術家としてはあつたということだけは、ここいる山内開発部長が組合との正式な中央生産協議会において明言したわけであります。  それから二番目に試掘をやめるという点につきましては、先ほど酒井社長は、これはだんだんやつて行くうちに技術的にこれはもうやらないでもいいというような形においてやめたのだということを言われておりましたが、これは組合に対しては、採油制限の強化によつて非常に収入が減りますから、資金が非常に足りなくなる、従つてこれは中止じやなくて、その次に繰延べなのだ、要するにこの半期間の繰延べなのだから、労働組合は一つ了承してくれということを、はつきり中央生産協議会で私たちに言つたわけなのです。従つて先ほどの社長の答弁は非常に私たちをごまかした、或いは委員会をごまかしたというように解釈いたします。  それから坑底圧の問題につきましては、これは今上床先生やその他にもいろいろ御意見もあると思いますが、ただ私たちが勧告が出ましたから、現場のこれは組合員でありますが、そういう担当者に聞いて見ますと、是非そういう工合にやつて完全な資料を作りたい。併し会社としては十二時間でいいという指令が来ているから、これは不可能だというので、非常に歎いているわけなんです。八橋の問題につきましても、個々の点をもう一回コンサーベーシヨン委員会が御調査になれば、決して社長の言うように誠実にやつていたということが必ずしも当らない状況で、私たち組合員が本当に日本の石油工業とこの前の失敗を取返えして、一日も早く元の状態に回復したいということを皆んな考えておりますから、この点ではもつと完全な資料を作つて、その上でやつて行きたい、その点では坑底圧をもつと長い時間測つて、そうしてその圧力をきめたい、こういうことをやつておりますから、これは私のほうから判断した資料であります。  以上三点について大体……。
  129. 島清

    ○島清君 時間がないようでありますから、労働組合の諸君のお話によりまして、酒井さんの御答弁も大体において委員各位におかれましても御判断がついたと思いますので、私はもつと聞きたい点がありますけれども、これは後日に留保いたしまして、今日はこの程度に労働組合乃至会社関係質問を打切りたいと思います。  更に上床先生にお聞きしたいのでございますが、コンサーベーシヨン委員会の第一次、第二次答申が出るまでの経過及びその趣旨を簡単にお述べを頂きたいと思います。
  130. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) 私東京大学の上床でございます。  コンサーベーシヨン委員会を作つて答申してくれという資源庁長官からのいろいろないきさつは御存じだろうと思いますが、それでお答えしますのは、経過と申しますと、どういう点を特に申上げたらいいでしようか。
  131. 島清

    ○島清君 何故にコンサーベーシヨン委員会資源庁の長官から答申を求められたか、そうして最初求められて、あなたたちが結論をお出しになるまでの間の経過、そうしてその後のあなたの関係される限りにおけるところの帝石への影響率といいますか、答申並びに資源庁長官から勧告のあつたことは申上げるまでもないことでありますから、この会社側の動きといいますか、影響といいますか、そうして又答申をされました趣旨といいますか、これは資源庁の長官から要求があつたから技術的に答申したまでだとおつしやればそれで盡きるかも知れませんが、もう少し幅と深みを加えて頂きまして、その趣旨というものについて承わりたいと思います。
  132. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) コンサーベーシヨンという問題は、これは昨年私がアメリカへ参りまして、各油田を廻りましたのですが、この大戦以来アメリカばかりでなく、ヨーロツパのほうにおきましても、コンサーベーシヨンという問題が非常に盛んになつたということを聞いておるのです。まあ非常に学ばされたわけです。それでアメリカは御案内だろうと思いますが、各州ごとにこのコンサーベーシヨンの委員会があります。州の規則がない所は、例えばカリホルニアみたいな所は、各石油業者がいわゆるコーポレーシヨンを作りまして、コンサーベーシヨンという問題を非常に自治的に協調して実施しております。そのくらいコンサーベーシヨンというものは石油の開発につきましては、これは現在では常識になつているのです。  昨年帰つて参りまして知つているところへ、今度は資源庁のほうで石油開発合理化の、いわゆる石油開発の新らしい法律を出すのだというお話がありました。それで、それは非常に結構だということで、アメリカからもカリホルニヤ大学のサンマートン教授も見えられまして、そうしていろいろ相談しました結果、そうして法律ができる、今度議会に出すということであつたわけでありますが、そういうことを考えておりますところへ、今の話があつたものですから、これはどうしても我が国の油田についても、このコンサーベーシヨンというものを実施せなければいけないという思想が非常に強くなつて来た。そうして資源庁の長官からの諮問に対しまして、実はこういう問題を帝石の八橋の問題を取上げて審議して欲しいのだがということでありました。それで私といたしましては、これは私個人の力ではできない。だから委員会一つお作りになつて審議をお委せになつたらどうですかということで、そこで委員会ができた。それでコンサーベーシヨンということは、これはやはり鉱利保護という問題ではなしに、コンサーベーシヨンというものは、地下資源を十二分に取るのだと、そうして業者も、国民も、全部これの利益にあずかるのだという思想なんです。ですからただ鉱利保護とかいう、そういう消極的な意味ではないのです。それでその辺がちよつと誤解されている点もありますけれども、今度の法律もその点非常に広い意味を含んでいると思います。  そういうことで私どもも委員会ができて、それをお引受けしたのですが、今度はその次の実際八橋の問題に入りまして、一体どういう点を取扱うか、或いは八橋のどの点を調査するかということになりますというと、これはなかなか非常にむずかしいのでありまして、それで私どものほうに全然資料がありません。従つて委員会といたしましては、こういうことを決議いたしました。それは委員会要求するすべての資料は、これは帝石としては出して欲しい、隠しだてなく実際の数字を出して欲しいということを資源庁長官を通して会社に申入れました。それに対して、会社は喜んでそうしますということになりまして、そうしてその資料によつてできたのであります。その資料は全部ここに持つて来ております。非常に多量の資料でありまして、なかなかこれも、十分なのもありますが、非常に不十分なのもありまして、非常に委員会といたしましては苦労をしたわけなんですが、ところでこの委員会をやるにいたしましても、ただ資料を帝石からもらつて来て会議室で議論をしていただけでは埒があきませんので、一遍八橋に参りまして、そうして現地を視察しまして、そうして一本々々の井戸に当つてその情勢を調べて、そうして各井戸ごとに調べたのであります。その結果差当り急を要する処置と、それから急を要しますが、そんなに急を要しない、まあ差当りとにかく一日を争うくらいの急を要する問題と、それと分けてやろうじやないかということで、その急を要する問題を第一答申といたしまして答申しました。それは長官に答申しましたいわゆるロータリー四十四号の問題、それを差当り答申しました。その次に全般的な問題として全部調査した結果を答申したわけです。
  133. 島清

    ○島清君 先生を中心にされまして八橋の現地を御覧になつたようでありますが、その結論といたしまして、採油管理が適切でないという御答申をされたようでありますが、これは事実でございますか。
  134. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) そのことにつきましては、あなたは答申案を御覧になりましたでしようか。
  135. 島清

    ○島清君 まだその正式なものは拝見しておりません。新聞等については拝見をしております。
  136. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) 実は答申案全部に書いてあります。全部数字的に書いてありまして、結論は今委員のほうからお話になつておりますようにいわゆる油田開発としては十分でなかつた、いわゆる非常に遺憾な点が多かつたということを指摘してあります。それは数字的に結果が出ましたので、そういう結論を生んだわけなんです。その数字的と申しますのは、専門的に亘りますけれども、いわゆる八橋のいわゆる油田の性質からいたしまして、油とガスとの関係、それから油層圧との関係から検討いたしました結果、現在油を出しております八橋の油田の採油状態は、これは不合理な採油状態という数字的な結果が出ましたので、ああいう結論を出したのです。
  137. 島清

    ○島清君 資源庁長官の委嘱を受けられて八橋までお越し下さいまして実地に御検討下さつた結果、如何なる点があつたかという結論を数字的にお出しになつたということでございまするが、その結論をお出しにならなければならなかつたというこの事態というものは、帝石側の知識の貧困に基くものによつて生じたことでありまするのか、乃至は又無知であつたということに基いてできたことであるのか、乃至は非常な善良な経営をやつておりながらも、なお且つこれは他においてもありがちなことであるかどうか、その点を承わりたいと思います。
  138. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) なかなかむずかしい御質問ですが、技術的に申しますと、数字的に見ますと合理的でないのであります。それで従つてその結果を招いた理由と申しますのは、今いろいろ御質問がありましたが、これはいわゆる知識的な問題じやなくて、いわゆるどちらかと申しますと設備の問題であります。設備が十分でなかつたということもあります。それからもう一つは結果から見ますというと、生産を急いだのじやないかというようなふうにも見受けられるのです。知識がなかつたということはありません。もう知識は会社といたしましても昨年来数名の人をアメリカに派遣しまして、十分こういう技術的な問題は検討しておりますし、又アメリカからも人が来ておりまするし、それから司令部のほうでも特に石油の関係のものは技術者が二、三名毎年六年間おりまして、非常によく注意を拂つて指導もしますし、又現場も見ておりますし、ですから知識的にこれは劣つてつたということでなしに、この結果はやはり設備が不十分であつたのではないかというふうに考えられます。
  139. 島清

    ○島清君 大体先生の御答弁でわかつたような気がしますが、先般資源庁長官をお呼びいたしまして私たちがお聞きしたときに、二回に亘つて勧告をしたけれども、どうも行政的な処理であつて、それを受取ることは会社側の自主的な判断に待つ以外にない。そこで法律的なことを考えて立法の構想を持つておるのだというようなことでございましたが、どうも今先生からお聞きいたしましても、技術的な面になりますると、特にこの地下資源という問題は法律的なことの適用をするよりも、その会社が持つておりまするところの頭脳とか誠意というようなものによつて地下資源は高度に有効に開発されなければならないと私たちは考えております。ただ形式的な法律ばかりではどうもその期待が薄いように思えるのでございまするが、果して先生が八橋を中心にして御覧下さいまして、今先生は設備が不十分であつたんだと、こういうような御答弁でございましたが、果して帝石自体の今持つておりまするところの技術陣乃至又将来設備を変えるといたしましても、そういたしまするならば十二分にこの国家資源というものが高度に開発できるということの確信が先生においてもお持ちになられるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  140. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) その点は御案内のようにこういう地下資源開発というのは、技術会社ですから、幾らいわゆる設備を十分にいたしましても、経営者が石油鉱業という本質を理解しない限りにおいては、それは無理なんであります。先ず第一に、コンサーベーシヨンというものはどんなものであるかということを会社経営者が知らなければ、幾ら設備をしても駄目なんです。ですから法律を幾らお出しになりましても、委員会幾らお出しになつてこれの罰則を何億円の罰則にするんだということを言われましても、結局経営者が十分に石油鉱業なるものを理解しなければ駄目で、問題はそこなんであります。経営者が十分理解すれば、いわゆる従業員或いは技術者の養成もいたしますし、それから又設備も十分にいたしますし、或いは又外国に技術者を派遣して十分に勉強もさせるし、合理的な資源開発ということができるのであります。特に石油鉱業というものは、他の石炭や金属と違いまして、こいつは鉱物が流体でありますから、これは非常に開発が特異性を持つておるわけであります。従つて特に経営者のほうで目前の利益をあせつて濫掘しますというと、急に油が殖えます。併しながらそのためにどれだけの地下に取り得る油が残るかということがわかるのでなければ、それはもう石油会社のいわゆる経営者としては無理なんであります。ですからアメリカあたりの経営者というものはコンサーベーシヨンということをよく知つております。技術的にもよく知つております。ですから何期間、何カ月の間にこれだけの利益を挙げるということのためにはどれだけの油を出す。併しどれだけの油があとへ残る、そうしてその油はどうして取るんだという技術的な問題を十分考えておる。ですからそこがやはり経営者として一番大切なところで、残した油を又取るという方法もあるのでありますから、いわゆる二次回収というのが今度新らしい法律に出て参ります。御案内だろうと思います。現在八橋が取つておりますのは一次回収であります。一次回収が済んでから二次回収というふうに二段になつて参りまして、そうして石油の埋蔵量の七、八十%を取りたい、或いは少くとも六十%くらいは取つて行きたいというふうな技術的に考慮されるものでありますから、いわゆるそういうことを考えること自体がコンサーベーシヨンなんであります。ですからそのことを十分採用しなければ到底これには設備をいたしましても無理です。問題はやはり石油鉱業の本質をつかむということが一番経営者の大切な点だろうと思います。
  141. 島清

    ○島清君 わかりました。先生にはそのことを聞いて、先生の御答弁に、先生に教えて頂くというようなことは少し酷なような気がしますけれども、お許しを頂きまして、……。八橋を御覧になりまして、今の帝石の首脳部の諸君がいわゆる石油資源に対する愛の感がなくて、これはいわゆる設備の不完全といいますか、何といいますか、コンサーベーシヨンから御覧になりましたところの遺憾な点を、事実を招来したように先生は思われたかとどうか。若し何でしたら御答弁下さらなくてもようございますけれども……。
  142. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 上床先生に申上げますが、あなたに責任が起きるようなことは拒否せられてもかまいませんから、どうぞお願いします。
  143. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) そういう点は答申案を御覧になつて御判断願いたいと思います。
  144. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) この程度でいいですか。
  145. 島清

    ○島清君 私は上床さんに対する質問はそれでよろしうございます。
  146. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  147. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  148. 片岡文重

    ○片岡文重君 教授にお尋ねいたしますが、八橋をこの委員会として最初に調査するようにということが資源庁から依頼をされたというお話でございましたが、これは関知しないとおつしやれば別ですが、八橋を第一回に取上げたという理由はどこにあつただろうかとお考えになられるでしようか。資源庁としてその八橋を取上げた理由を、成るほどこれでは、というふうにお考えになるところがあつたかどうか、その点を……。
  149. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) 八橋油田がまあ我が国で一番大きな油田なものですから、それで私どもといたしましても、長官からの諮問に対して一応八橋油田というものを検討しようという考えから出たわけです。
  150. 片岡文重

    ○片岡文重君 すると、設備がといいますか、規模が最大であるからということであつて、その内容についての指摘ではない、こういうふうにお考えですか。その八橋を選ばれた理由が、規模の最大というところから資源庁として目を付けられたのであつて、経営の方法或いは採掘方法等についての点から資源庁は指摘をしたというのではない、こういうふうにお考えでしようか。
  151. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) 勿論それは技術の面が非常に資源庁として理解できないところがある。それからもう一つは、司令部のほうからこういうことを調べたらどうかというサゼツシヨンがあつたというようなことで、一つ調べて欲しいというようなお話だつた
  152. 片岡文重

    ○片岡文重君 細かいことで大変恐縮ですが、そうすると最大な八橋でもこの通りであるとするならば、ほかの会社は大体同じであろうというふうにお考えになられるでしようか。それで大きなそういうものは手をつけておられないかどうかが一つと、おられないとすれば、それに対する見通しと申しますが、先生の勘はどんなところでしようか、大変恐縮ですが。
  153. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) ほかの油田は或いは御案内だろうと思いますが、まあ八橋に比較いたしまして非常に小さい油田ですし、それからもう一つは非常に昔は大きな油田だつたのですが、今は非常に衰微しておりますし、ですからコンサーベーシヨンという問題は、むしろ油田の余り古くならない割合に新らしいときに考えなくちやならない問題なものですから、ほかのほうの油田に対しましては技術的な別な方法で以て、例えば二次採油法というものを考慮しなければならんと、こう考えております。
  154. 片岡文重

    ○片岡文重君 この委員会の取上げた調査並びに勧告は最初のものであつたとすると、これからこの委員会の行うべき点等が相当問題になつて来ると思うのでありますが、先ほど島委員の御質問に対する会社側の御答弁を伺つておりますと、これに対して何かしら暗影を投げておるのではないかという感じがいたされます。そこでこの勧告者の立場からの所管と申しましようか、委員会の今後の運営と申しますか、権威と申しますか、それらに対してどういうふうにお考えになりますか。又この調査並びに勧告の取扱われた経過から見て、どんなふうにしてやつたならば、日本の石油資源確保の上によろしかろうかというようなことがありましたならば、簡単で結構ですが、お聞かせ頂きたいと思います。
  155. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) その点につきましては、実は委員のかたにお願いしたいと思うくらいなんでして、今度新らしい開発法が議会を通りましてあの中に技術委員会を設置するというのがあるのです。ですからこの委員会一つ設置することをお願いしまして、そうして油田に限らず、天然ガスのほうも勿論そうですが、こういう資源開発について合理的に開発して行くということを委員会で以て調査しながら進めて行く。その委員会には、ただ単なる学校の先生だとかというような、我々ばかりでなしに、或いは官庁の技術者ばかりでなしに、実際に仕事をしております会社側のほうの技術者も加わりまして、そこで皆が十分検討した、いわゆる検討し得る委員会、いわゆる民主的な委員会、かような委員会を作つて進めて行つたら非常に合理的に行くのじやないか、こう考えております。ですからこういう点は一つ委員のほうにおかれましても今度新らしく法律が通りますから、あれを活かして頂いて、活かすように一つつてつて頂けば、少い日本の地下資源、石油資源或いは天然ガス開発というものが非常に合理的に行くのじやないかと、こう考えておりまして、勿論この点はただ、今開かれておりましたコンサーベーシヨン委員会、これは一時的なものでなしに、むしろこれをずうつと続けて行つたらどうですかと、まあ私は個人的ですが。考えております。
  156. 島清

    ○島清君 もう一点だけ上床先生にお聞きすることを忘れまして、先ほど私も酒井さんの一問一答中にもありましたわけでございますが、坑底圧の測定の時間でございますね。酒井さんは何か六時間くらいでも結構よろしいのだというような御答弁でございましたが、私たちが素人ながらも聞いたところによりますと、二十四時間くらいはかけなければいけないだろうということを聞かされておるのですが、この点如何なものでございましよか。
  157. 上床國夫

    参考人(上床國夫君) その方法でございますけれども、時間や何かの問題は、長くかければいい結果が出ると思いますが、やはり油層の状態によりまして何時しなくちやならんということをきめますのは、これはなかなか面倒でして、何ですかまあ帝石のほうで十二時間でいいだろうと言われましたけれども、二十四時間にしたらどうだろうということになるのでありますが、二十四時間かければ確かな結果は出るかも知れません。併しまあ十二時間やつたからといつてそれが過つた結果が出るというふうには考えないのです。ですからその点はまあ油層の状態にもよりますけれども、事情によつてまあそうこだわらなくてもいいのじやないか、こう思つております。
  158. 島清

    ○島清君 それじや今度大蔵省の管財局長お見えでございますか。大蔵省の管財局長ちよつとお尋ねしたいと思いますが、よろしうございますか。管財局長ちよつとお聞きしますが、先日の委員会におきまして、通産省資源庁長官をお呼びいたしまして、政府は帝国石油に対しまして一億の助成金を出しておられる。そこで帝国石油としては資源庁長官から採油管理が適当でないという勧告を受けておられる。それにもかかわらずなお且つ四割の配当を確保するために、試掘を半減をして国家資源の高度の開発の採油管理を、過つておられる、こういうことで四割の配当は適当ではないから断念したらどうかという行政的の勧告をされたそうでございまするが、帝石側においてはそれをお断わりになつておる。従いまして私たちが調査したところによりますると、まだ政府は帝石の二六%の株を持つておられる、この今までの二六%の株というものは、国策会社からで……。大蔵省といたしましては有難迷惑で、これは手離したい株でございましようが、併しながら現実においては二六%の株を保有しておられまして、会社のほうの何ですか、株主総会のほうに白紙委任状を出しておられると思うのですが、併しながら帝国石油のほうがこういう工合に、我が国におけるところの最高の権威あるものとして、資源庁長官が本委員会において言明しておられまするところのコンサーベーシヨン委員会のほうから、適当でない採油管理をやつておると指摘され、而も採油量が減り、収益が減りますると、試掘を半減しておる、こういう事態に対して、更に資源庁長官が四割の配当は適当でないというような行政的勧告をしたにかかわらず、断わつておりますところの事実に対しまして、大蔵省といたしましては、株を保有しておられまする大蔵省としては、これに対してどういう考え方を持つておられるか、その所見を承わりたいと思います。
  159. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) お尋ねの大蔵省は、只今帝国石油株式会社の株式の二三%、二六%ではございませんで二三%、金額にいたしまして二億三千万円、株数四百六十万株というものを持つておるのでございます。これは御承知のように帝国石油株式会社が特殊会社として生れました際に、政府が資金的援助をする一つの方法として、政府が進んでその株式を持つた時代の名残りでございますが、すでに本会社は特殊会社法を廃止されまして、本質は全く商法上の通常の会社に形を変えておるわけであります。従いまして政府が持つておる株式は、政府が株式を持つことを通じまして会社の事業乃至経理等を指導する、こういう建前は今日全くなくなつております。その一つの現れといたしまして、一昨年でございましたか、会社が資本金四億六千万円から企業再建整備法に関連いたしまして十億増資いたしました際にも、政府はその現株主の立場からの増資新株の割当分を政府みずから引受をいたしませんで、それを市場に向けて処分いたしたのでございます。現在持つております旧株式につきましてもさような立場の延長といたしまして、我々大蔵省といたしましては、一つ会社指導に関連する政策上の財産、こういう考えは持ちません。全く普通財産、雑種財産といたしまして、かような考え方で、かような処理をいたして、この財産を保有いたしておるものでございます。勿論大蔵省といたしましてこの会社の監理のため、或いはその株主権行使のために特定の監理を命ずる監理官というようなことはいたしておらないのでありまして、全く国の財産として利益の分配、配当、賞與等の分配等を受ける財政利益の建前からこの株を持つております。さような建前からいたしますと、会社が経理上利益を出しまして、社内留保と社外流出との関係において適当な割合に配当があるとするならば、大蔵省立場といたしましては、この配当の実行を阻止するとか、指導するということは全く適当ではない、かように考えまして、純財政上の反射的利益を受ける立場においてのみ従来行動をいたしております。殊に今回の会社の決算等から、会社から株主である大蔵省に対する報告を見ますと、大体半期で五億円からの利益を上げておるようであります。そのうち配当は二割を普通配当とし、他の二割は、丁度会社が創立十週年に当るので、その記念配当ということで二割を配当する。而もこの会社が従来は無配の時代が大部分でございまして、その後、昨年あたりから配当が開始されましても、たしか一割程度の配当で、政府は勿論保有の株式を通じまして多額の配当を貧る立場にもないのでありますが、他の一般の株主の場合を見ますと、これは大蔵省が必ずしも他の株主の立場考えて見る必要はないのでありますが、従来相当無配が続いて苦しかつた。又会社の増資の際等におきましてもかなり高い価格でこの株式の応募或いは買入をしておるようでありまして、大蔵省を除いた一般の株主の立場からすれば、このような会社の現在の利益の状況におきましては、かような配当を望むところもあろうと存じます。従いまして大蔵省としては、株式を通じまして特に指導的な立場をとらない、かようなことで処理しておるわけでございます。
  160. 島清

    ○島清君 持ち株の保有に対しまして別に大蔵省のほうが積極的に利潤を得るために株を持つているのではないということはよくわかりますが、併しながら株主であるということには間違いないわけでございまして、そこでこの株をお持ちになることによつて四割の利益配当を受けられる。併しながら帝石の持つておりますところの国家的の使命から考えますと、政府は一億かの助成金を出さなければならん。片つぽうにおいては出して片つぽうにおいては取るというような矛盾した立場があなたのほうにあるわけであります。而も資源庁長官は今日においてはそういうことは余り好ましくないという行政的な意味から断念の勧告をされ、再考の勧告をされた。同じ政府部内におられながら、あなたは今の会社の処置を認めておられるようでありますが、立場によつては或いは考え方も違うかも知れませんが、通産省はこれを否定して再考を促しておる。だから片つぽうにおいては出し、片つぽうにおいては取るというようなこの矛盾についてどう考えておられるか。
  161. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 御質問の趣旨よくわかるのでありますが、繰返して申しますと、この帝石の株を現在大蔵省が保有いたしておりますか形は、財産税の物納によりまして一般の民間の会社の株式を保有するのと同じ形でありまして、財産税物納によつて保有しておる株式につきましては、その会社の株式を相当割合持つておる立場から大蔵省は、その会社の運営に積極的に関與しない建前をとつております。そこでお話のように石油資源の助成等に関連して国の支出がある。これは恐らく石油資源開発法というようなものに基くのであろうと存じますが、国の今日の政策或いは国会の立法によりまして、帝国石油株式会社を特殊会社でなくしたということになりました後においても、お説のような補助金が出る会社につきましては、国が政策上の立場から監理する必要がある場合には、私は石油資源開発法などの運用或いは改正によりまして、会社の事業の遂行或いは経理につきまして、その立場から国の監理ができるような仕組であるべきじやなかろうかと思いますが、その方面に欠陥があるといたしますときに、大蔵省が先ほど来申しますような立場から通産省の監理上の欠陥を補い、或いは石油資源開発法の規定のないところを補うという立場をとることは非常に混乱を生じて適当でない。大蔵省は全く株主たる立場において今日はこの株式を持つておる。こういう立場をとらざるを得ないと思います。
  162. 島清

    ○島清君 それは大蔵省が保有株の性質上消極的の立場を堅持しておられるということについてはよく了解します。併しながらそれは何ら問題が起らない場合にのみ言えるわけでございまして、只今申上げましたように我が国最高の権威のある専門的な委員会において、好ましくない採油管理をやつておる。而も配当については資源庁長官が考慮の勧告をなしておる。こういう事態に対処するのにあなたの所見を聞いておるわけです。ただ私は形式的のことを聞いておるわけでなく、而もその会社が国家の助成金を受けておる。この新らしい問題の発生したこの事態に対して如何に対処されんとするか。ただ単にこういう問題が発生しても、そういうような意味の株式であるから、ただ白紙委任状で委せて放つておけばいいというような態度をおとりになるかどうかということなのです。私はそうすべきじやない、こういうような見解によつてのお尋ねです。
  163. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) なかなかむずかしい点だと存じます。採油会社の事業上の監督は、通産省がする立場に立つてつて通産省の監督の及ばない点は、大蔵省が株式を持つておるという点を通じて、その監督の不足を補完する、こういう立場に今の形はなつておらん。このことは一つ御了承願いたいと思います。
  164. 島清

    ○島清君 あなたは管財局長であり、資源庁長官とは同じ家、同じ部内だというように見ておるわけであります。それは所管事項が違えば考え方が異なるということはわかりますけれども、併しながら委員会に問題になつて取上げられた場合においては、少くともその問題に関する限りは、通産省大蔵省とが相談をいたしまして、やはり何といいますか、委員会に出しまするところの一致したところの見解というものがなければならんはずと思うのです。それでは改めてお伺いいたしますが、あなたはこの委員会に出られる前に資源庁長官が四割配当は断念したらどうかという行政的勧告を出されたということ御承知でございますか。
  165. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 承知いたしておりません。
  166. 島清

    ○島清君 この委員会がどういう問題でお呼び立てをしておるかということの内容は、出席の理由はおわかりでございますか。
  167. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 大体了承いたしておりました。
  168. 島清

    ○島清君 了承されておりながら、何かこの委員会通産省資源庁所管関係のことを我々が審議しておるということを承知しておられながら、大蔵省大蔵省の勝手なことを言い、通産省通産省で勝手なことを言うというようなことになるとちよつと困るのですね。
  169. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 私が了承しておらんと申しましたのは、今の御質問に対しては、予め御質問に対して口裏を合せるために、私の知らんことを資源庁長官から四割配当はかいしやに対して適当でないという勧告があつたということを、今ここで私は作り話のように知つたことにするわけに行きませんから、私は聞いておらないのでありますから、恐らく資源庁長官立場は、事業監督の立場からいろいろやられたのでありましようが、大蔵省立場とすると、先ほど申しますように株主としての反射的利益を受けるだけの立場であります。ただ大蔵省といたしましてこういう点はございます。これも私管財局長としての立場ではありませんが、採油会社の利益が継続的にある、又相当高率の配当が継続的にできるというような事態の下においては、この試掘その他に関する助成金等の出し方について、当然全体の問題として考慮しなければならん。こういうことはあり得ると思います。主計局次長が先ほども一緒に、別の委員会でこの問題に触れましたが、同一の答弁を主計局次長はしておりましたのです。
  170. 島清

    ○島清君 どうも管財局長はなかなか頭が良くて、更に私の質そうと思つてつたことについて、前に御答弁になつてしまつたようでありますが、あなたからはその程度お聞きいたしまして、やはり私は管財局長は、管財局長立場からしか言えないと思いますので、あとは高度の政治的な問題でございましようからして、大蔵大臣を呼んでお聞きするなり、通産大臣を呼んでお聞きするなりいたしまして、この程度にして質問は私は打切ります。
  171. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 大体島さんの御質問石油開発に関する件は本日はこれで打切りたいと思います。特に上床教授におきましては、御多用のところをお呼び出しいたしましていろいろ有難うございました。どうぞお引取りを願います。ちよつと速記をとめて下さい。    午後四時十六分速記中止   —————————————    午後四時三十二分速記開始
  172. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて。  輸出信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。本法案につきましては、休憩前に大体質疑が終了しておりますので、これより討論に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それでは討論に入ります。
  174. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は輸出信用保険法の改正法律案につきましては賛成をいたすものでありますが、二つの点について私は重要規しなければならんと思いますので、その運用については当局の善処を強く要望いたしたいと思います。  第一点は、いわゆるプラント輸出機械類等のプラント輸出に当りましては、その輸出先がおおむね今日予定されるところでは、ドル地域以外の地域になつておるのであります。従いましてそういう所の輸出は今日も相当旺盛でありまして、ポンドの手持ちも相当にあるわけであります。併しポンドは御承知のように、ドルとの交換が自由でありませんので、輸出が促進せられましても、我が国経済に益するところはないとは申しませんけれども、ドル地域ほどは重く見るわけにはゆかないのであります。従いまして、そういうような所へ国の保険をしまして、そうして輸出の促進をいたしますることは、即ち得られたポンドが十二分に我が国経済の再建に役立つようにしなければならないと思うのであります。従いましてプラント輸出に当りましては、どうかドル地域外の地域からの輸入の促進に、通産省といたしましては全力を挙げられることを強く要望いたしたいと思うのであります。必要とありまするならば、輸入確保についての別途の施策も講じられなければいけないのではないかと考えるのであります。  第二点に重要視いたしまする点は、この法案が当面狙つておりますのは、インドゴア鉄鉱山開発共同経営ということが問題の対象のようであります。私は同じプラント輸出でありましても、こういうような長期に亘る東南アジア地域の資源開発のために我が国が乗り出して行くと申しますることは、いろいろな意味において重要性を持つておると思うのであります。すでに質疑のときに局長並びに通産大臣から御所信も私は承わつておるのでありますが、若しこういうような東南アジア地域に対しまして、貧弱な我が国経済力を以て長期に亘る設備プラント輸出という名前の下におきまして、資本の投資を行うということになりますれば、これは我が国経済界としても重要な関心を持たなければならないことでありまして、どうか我が国経済の力に相応した程度においてこれは是非とどめられたいと思うのであります。特にモロー調査団指摘するところによりますと、我が国東南アジア開発に期待されておる向きは、相当広汎に亘つておるようでありますが、そういうことを行う実力は、我が国経済にはまだないのではないかと考えるのであります。更に重要視しなければなりません点は、講和條約成立後、我が国は直ちに東南アジアの旧敵国と賠償の問題において折衝に入らなければならないわけでありますが、そういうような国から見て、日本資本投資の形において東南アジア開発にまでも乗出す実力を持つておる、そういう経済力を持つておるということを一つの理由にいたしまして、賠償額決定に当つて我々の耐えられないような額が要求せられ、そうしてそのために好ましくない又いろいろな紛議が起きまして、我が国が苦境に入るというようなことは、厳に我々自身が戒めなければならない問題であろうかと思うのであります。この点は通産大臣もお認めを頂いた点なのでありますから、従いまして十二分にそういうようなことの起りませんように、慎重にその運用については当つて頂きたいということを切望してやまない次第であります。  以上二点を私は強く要望申上げまして、この法案に賛成の意を明らかにいたしたいと思います。
  175. 境野清雄

    ○境野清雄君 私も本法案に賛成するものであります。  これによりまして、プラント輸出に伴う長期の信用が保険されることは、プラント輸出のごとき危険性の多い貿易に安定性をもたらすものでありまして、非常に結構なものであると思うのであります。プラント輸出によりまして、将来長い期間に亘つてプラントばかりでなく、関連商品輸出ができ、併せて我が国の過剰と言われておりまする技術者の渡航が期待できること、更にこれによりまして原料が輸入できるようになりますれば、日本経済の大きなプラスであると思うのであります。併しながら今回の改正に際しまして、若干の注文を申上げたいと思うのであります。その第一番は、本法案の狙つておりまするプラント輸出は、一件当りの金額は非常に大きいので、保険事故の金額も大きいから、保険による危険分散の作用が十分に働くとは思えないのであります。従いまして不健全なるプラント輸出保険を附して国庫に損失をかけないように、又不急不要のプラント輸出を奨励して飢餓輸出などにならないように運営に十分に注意して欲しいということなのであります。  その第二番目には、本法案によつて輸出信用保険制度が一歩前進したことは認めるのでありますが、最初この制度創設のときから問題になつたように、貿易業の安定を図るためには、更に一段の進歩が必要であると思うのであります。英国の信用保険制度では、バイヤーの破産或いはキヤンセルに対する保険、広告宣伝費等の保障制度等が行われておるようでありますけれども、我が国貿易業者が弱くなつておる際、英国の制度に学ぶべきところが非常に多いのじやないだろうかというようなふうに考えるのであります。そうして次に成るべく早い機会にこれらの改正をして欲しい、こういうことを要望したいのであります。  第三番目には、輸出信用保険に望むのはどうかと思うのでありますけれども、我が国貿易を阻害しておるものに為替の危険がある。これはもう皆さん御承知の通りなのであります。ポンドの切下説のごときに対応いたしまして、貿易が安心して行われるような制度を是非考究して欲しい、この三点を私は注文申上げまして、本法案に賛成するものであります。
  176. 片岡文重

    ○片岡文重君 私も結論には賛成でありますが、今申上げたいことは、両委員から述べられましたので余り申しませんが、ただこの際プラント輸出に重きを置くということも結構でありますけれども、こういう制度を、中小企業者に対しての保護政策に更に政府が力を入れるように、この際大臣も見えておられるようでありますから、特に附加えてお願いしておきます。そういう法案を私どもも出すことを考えますが、政府としても中小企業保護の点に更に熱意のある法案を少くとも次の国会あたりまでに提出されるぐらいの具体的の努力をされるように要望して、條件附賛成をいたします。
  177. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかに御発言はありませんか。ほかに御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。輸出信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、採決をいたします。輸出信用保険法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  179. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容と爾後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。次に本案を可とせられましたかたは、例により順次御署名をお願いいたします。  多数意見者署名     古池 信三  廣瀬與兵衞     栗山 良夫  中川 以良     松本  昇  片岡 文重     小松 正雄  島   清     加藤 正人  山川 良一     境野 清雄  西田 隆男     油井賢太郎   —————————————
  181. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のあるかたは、御質疑を願いたいと思います。
  182. 栗山良夫

    栗山良夫君 三、四点について大臣の御所見を伺いたいと思いますが、実は昨日中小企業関係の各代表のかたが参考人として委員会出席をせられまして、意見を開陳せられたのでありますが、その中には当信用保険法の運用につきまして、やはり直接その衝に当つておられる中小企業者の真の意見として十二分に忖度をすべき点が多々あつたと思うのであります。そこでそういうような点を主にして質問申上げたいのでありますが、先ず第一に、この保険法の第二條におきましては、中小企業者というものの定義がございまして、資本金五百万円以下の会社、常時使用する従業員の数が二百人以下の会社ということになつて、「若しくは個人」ということになつておりますが、中小企業者の範囲はこれでは狭過ぎる、特に石炭業のごときにおきましては、従業員二百人以下というような炭鉱は恐らくないであろう、人数だけにおきましても、少とも五百人以下にせられなければ意味がないということが強く力説せられたのであります。資本金におきましては、やはり一千万ということが強調をせられたのでありますが、そういうような工合に、この法律案の改正の機会に、中小企業者の枠をいま少し実際の運用面に合いまするように拡張される御意思はないか。従業員の数におきましては、特に石炭業の特殊的な事情考えられて、石炭業だけにつきましても、枠を拡められる御用意はないか、この点を伺つておきたいと思います。
  183. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) この法案は内容におきましては、最初通産省で案として我々が主張したものが一、二通過しなかつたのです。で、私自身非常に遺憾に思う点があるのですが、只今御注意の炭鉱業者の件でありますが、それは率直に申しまして、その点は私は気が付かなかつた、至極御尤もな御意見と私は考えます。十分研究いたしまして、いずれこの法案はだんだんもう一層改善したいと考えておりますから、その際は十分研究し、考慮いたすことにいたしたいと存じます。
  184. 栗山良夫

    栗山良夫君 その次にやはり第二條に関連する事項でありますが、この法律の対象になりますのは、中小企業者の法人又は個人のほかに中小企業等協同組合、農業協同組合、農業協同組合連合会、水産協同組合、森林組合、又は森林組合連合会等が対象に相成つております。ところがこれにただ一つ抜けておりますのは、生活協同組合がないわけであります。いろいろ伺つておりますと、生活協同組合は中小企業ではない、個々の組合員が集まつて協同組合を結成しておるけれども、それは利益を中心にして結成されておる組合ではないのであるからして、中小企業と同格に扱うわけには参らないというような御説もあるようであります。併しながら農業協同組合の実際のあり方等を御覧になつてもわかりまするが、生活協同組合そのものは、やはり単位組合としては一つの純然たる企業体であります。配当するかしないかは別として、少くとも赤字を以て経営するわけには行かないのでありまして、若干の利益は生まなければならないのであります。そうしてそのために資金も必要であるわけであります。生活協同組合を中小企業者と考えまするときには、単位協同組合そのものが中小企業者と私は考えて差支えないと思うのであります。なぜこれを抜かれておるのか、意味がよくわからないのでありますが、この生活協同組合を本法の適用になりまするように入れることに御同意を願えないかどうか、この点を伺いたいと思うのであります。
  185. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) その点はこの生活協同組合は何と申しますか、消費者の組合であつて、少し性格が違うと存ずるのでありますが、今の御質問の趣意は一つ十分研究をいたしまして、次回の改正案までは結論を得たいと存じます。さよう御承知願いたいと思います。十分今後研究いたします。
  186. 栗山良夫

    栗山良夫君 その次の問題は、やはりこれは信用保険法を一番最初にこの委員会で審議する時から問題になつたものでありまして、やはり当時問題になりましたことが、昨日の参考人の口からも繰返して力説せられた問題であります。例えば第一点は、第八條の保険の率でございますが、これを百分の七十五から九〇%へ、できれば一〇〇%まで上げてもらいたい。仮に一〇〇%に上りましても、銀行団は、特定の産業融資と違いまして、こういうようなものの所へは條件が整いましてもなかなか融資されにくいものであります。従いまして先ず保険の場合には一〇〇%、それが無理でありますならば、九〇%程度まで上げられるようにいたしまして、そしてこの運用が中小企業者に利益するようにせられたいというのであります。  それから第二の点は、第四條にありますところの保険の貸付け期間の問題でありますが、「六月以上のものに限る。」こういう工合になつておりますが、三ヵ月以上のことにせられまして、短期の融資を是非とも認められたい、こういうのが熱心な主張でありました。又保険金の支拂も事故発生後六ヵ月ということに現行の法律は相成つておりまするが、これを三ヵ月に縮められたいというような希望が述べられております。それから金融機関に対する保険料は、これは現行の状態におきましては、百万円以下は中小企業者に負担させることができるようになつております。第五條でありますが、これを全額金融機関から徴収することでなくして、借入者から支出させるようにしたほうが却つて銀行としては心よく融資ができるのではないか。そういう配慮を是非とも願いたいというような意見もございました。その他たくさんございましたが、以上申上げました四点につきましては、もうすでに何回となく話題になつた問題でありまして、今度の改正案にそれがいずれも取入れられなかつた点が私どもの不満に思つておるところでありますが、この点はどういう工合にお考えになつておりますか。こういう説がやはり不当な要請である、こういう工合にお考えになつてお取上げにならなかつたのか、その点が甚だ明瞭を欠いておりますので、私も理解に苦しんでおるわけでありますが、一応御説明を伺いたいと思います。
  187. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 今の保険程度を或いは九〇%に上げるとか、六ヵ月を三ヵ月にするとかいうような今御指摘になりました点は、実は通産省案では極力そういう主張をしたのですが、遺憾ながら同意を得られなかつたので、今回はこの程度で提案をしたわけです。この法案は中小企業者の年末の金融にも相当有効であると思いまして、私どもも多少不満足な点がありますが、急いで提案をしたような次第なのであります。適当な機会に通産省の案を又出したいと思いますから、その際はどうか御支援をお願いいたします。
  188. 栗山良夫

    栗山良夫君 年末金融を控えてこの法案の審議が遅れるということは、いささか中小企業者にとつて気の毒であると思うものでありまして、その点は大臣と所見を一にするものでありますけれども、ただ今後この委員会にも協力をせられたいというお申出がありましたので、私どもとしては協力の仕方について一つ質問申上げておきたいと思うのでありますが、というのは、この前から問題になつておるのでありまして、その時にもこの保険法が改正になるときには、今申上げたようなことは十分に考慮せられる約束になつてつたと思うのでありますが、それらが関係各省の同意を得られないので、こういう原案になつて出ましたからどうぞ委員会よろしくというお話でありますけれども、それじや何回やつてつても同じことだと思うのであります。そこで若しこの次に改正されまするときには、そういうような原案を一応この委員会にもお見せ願つて、そうしてこの委員会と十分に下相談をなさつて、若し通産省の意向がうまく通りませんときには、やはりこの委員会も他の関係各省に委員会としての注文を出すなり何なりいたしまして、そしてこの中小企業の信用保険法が、本当に中小企業者が喜んで扱うことのできるようなものに仕上げたいと私は考えるわけであります。従つて大臣にお確め申上げておきたいのは、この次の改正は大体いつ頃おやりになる御予定であるのか。それからその改正をせられますときには、今申上げましたような内容の問題について、これは今御賛成を得たわけでありますから、通産省原案には必ず入ることと私は確信をするものであります。そういう原案ができ上りましたならば、この委員会にお諮りを願いまして、一応説明をせられて関係各省もこの委員会に呼びまして、よく我々も関係各省に直接意見を質すことができる余地を是非残しておいて頂きたい。そういうことが御同意が願えるかどうか。二点について伺いたい。
  189. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 現在では通産省として今私が述べたような案を支持しておりますのですから、次回には御要求通り一応事前に御協議を申すことにいたしましよう。それから改正案をいつ、いつまでに出すかということはちよつと今私御答弁しかねますが、せいぜい早くというところで一つ御辛抱を願いたいと思います。
  190. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 別に御発言もごいませんようですから、質疑は盡たものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  192. 境野清雄

    ○境野清雄君 私は本法案に條件を附けまして賛成したいと思うのであります。と申しますことは、本法案の改正点は「保険関係が成立する貸付金」の額が三百万円から五百万円に、一千万円から二千万円に引上げられたことと、並びに保険協会の保証業務を五〇%保険するという右二件が本法案改正の骨子であるように見受けられるのであります。本国会の当初政府も考慮しており、我々もそうあるべきであるというふうに考えておりましたところの保険限度の引上げ、それから保険支拂期間の短縮、保険料負担の借入人への転嫁というような重要な三点が今回の改正に現われておらなかつたことは全く遺憾の極みであると存じておるのでありまして、政府は次の通常国会にでき得るだけ早い機会に速かに政府部内の意見を統一いたしまして、この三点の改正案を提出するよう強く要望するものであります。申上げるまでもなく信用保険政府が財政資金を投じまして、中小企業の信用を補完する制度として画期的なものであるということは、政府みずからが自画自讃いたしまして、昨年の十二月制定せられたものでありまして、保険額は二十五年度三十六億、二十六年度は百四十四億と定めたにもかかわらず、二十五年度におきましては僅かに四億三千万円、二十六年度は九月末日即ち半期をたちましてもこれ僅かに十六億八千八百万円、成果は全く挙つておらないのであります。この原因の奈辺にあるかは政府みずからが十二分にこれは私は承知しておるものと思うのであります。そういうふうな関連からいたしましても、改正案は一日も早く提出せられるように要望したいのであります。本法案の完全遂行に関しましては、金融機関と資金不足が保険の十分な活用を妨げておりますことは明白な事実なのでありまして、資金源の対策を急速に樹立せられるように希望いたしまして私は賛成するものであります。
  193. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 他に御発言はございませんか。
  194. 小松正雄

    ○小松正雄君 大体に今境野氏から申されましたので盡きたと思うのでありますが、私はこの法案に賛成するのでありますが、賛成するのにつきまして要望として申上げておきたいことは、先般の委員会で業者代表のかたがたが年末融資に関する問題について話されていることを聞きましても、この中小企業の金融に関する法律案が昨年できまして、そうして今日になるまでの間に、この金融を以て借りようとしていろいろ相談をいたしますけれども、何にしても中小企業の人たちに対しては、この法案によつてでき上つたこの金融が実を結んでいないというような苦しい訴え方がありましたので、即ち、この改正法案が通りましたならば、政府はこれらの関係のかたがたに通達して頂きまして、すぐ金の借入られるように中小企業の年末金融のために施策されんことを懇願しまして、賛成するものであります。
  195. 栗山良夫

    栗山良夫君 私も賛成はいたしますけれども、いささか意見を述べてその実現に努力されたいという條件を附したいと思うのであります。  実はこれが昨年に審議し成立をいたしまするときに、丁度十二月末でありましたが、当時首藤政務次官がこれを通して頂くならば年末金融にすぐ役立てるというので随分の張切り方であつたのでありますが、当時年末殆んど役立たなかつたことがありました。それから三月末まで眺めておりますと、十五億かの保険予定額に対しまして僅かに一、二億の状態であつたようであります。そこで今年の春の国会におきまして、参議院は全会一致を以て中小企業金融に対する決議案を提出したような状態になつておるのであります。こういうことを考えますと、中小企業の金融ということは依然として打開されないという一言に私は盡きると思うのであります。特に来年度、二十七年度の国家予算等を眺めましても、講和條約に関係する費用、或いは電源開発に投ぜられる費用、その他重要産業向けの資金計画等を考えて見ますと、中小企業に廻る資金というものはやはり依然として極めて苦しい状態になると一応考えなくちやならんと思うのであります。従つて最近国家予算の中で、公共事業費などは新聞の伝えるところによると、一千数百億円の金のうちで三百億ぐらいはとにかく不正に使用せられておるというようなことがやかましく言われておりますが、まさにスキヤンダル事件の続発であります。そこで私は中小企業等に仮に国が保険をかけまして、そうして中小企業が熱心に営業をやりつつもなお且つ貸倒ができたとしましても、それは官吏等の汚職事件に我々が税金を提出するよりはよほど諦めが私はつくと思うわけであります。そこで百億やそこらの金を別に惜しむ必要はないのであります。中小企業振興のためにもつと積極的に政府は乗出さなければならんと思うわけであります。そこでいろいろと質疑のときにも私は希望事項を述べて大臣の御賛成を得たのでありますが、そういうものを全部包括せられまして、境野君が言われた通りに、通常国会には是非とも我々の希望するような各般の新らしい要求を盛入れました法案を改正法案として提出せられ、そういう中小企業者の真の要望に一日も早く応えられんことを強く希望いたしまして賛成いたします。
  196. 古池信三

    ○古池信三君 私は自由党を代表いたしまして本改正法律案に全面的に賛成をいたすものであります。  ただ運用の面につきましては、中小企業者が特に年末を控えまして金融の面において最も必要といたす時期に向つておりまするので、通産大臣におかれましては、大蔵大臣と十分なる協調を保たれまして、これが実際に取扱に当つておりまする金融機関に対しまして指導、督励を十分ならしめて、この制度の機能を完全に発揮できるように御盡力あらんことを切に希望いたしまして、賛成討論といたします。
  197. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかに御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして採決をいたします。中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  199. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以つて可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等爾後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。次に本案を可とせられたかたは例により順次御署名をお願いいたします。  多数意見者署名     古池 信三  廣瀬與兵衞     栗山 良夫  中川 以良     松本  昇  片岡 文重     小松 正雄  島   清     加藤 正人  山川 良一     境野 清雄  西田 隆男     油井賢太郎
  201. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会