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政府委員(河野通一君) お答え申上げます。第一の商工中金に対する恐らく一般会計だと思いますが、一般会計からの出資の問題であります。この点につきましては問題が二つあると思いますが、第一点には一般会計からこれを出資いたしますとこういうになりますと、狭い意味の財政資金の問題になりますので、財政収支の観点からいろいろ制約を受けて参るかと思うのであります。
それから第二の問題は商工中金というものの性格にも
関係して参るかと思うのであります。現在御承知のように商工中金は数年前に従来と違
つた形に実は資本構成が変
つて参
つておりまして、若干整理の残りがありますけれども、原則として
政府の出資というようなものをやめて参
つたわけであります。そうしてまあ完全と申うますか、民間的な機関にこれを切り替えております。これを切り替えることがいいか悪いかの御議論はいろいろあると思いますけれども、その当時からの経緯から
言つて、商工中金というものは純民間の機関である。併し普通の銀行とは勿論違う使命を持
つておりますが、資本構成その他の形から言いますと、純民間の機関である。ただそれに対して特別の使命し鑑みまして、或いは整理官を置くとか、その他の監督規定はありますけれども、今申上げたような形に改組されて参
つておりますので、この点について更に相当多額の
政府出資をいたしますならば、こういう商工中金自体の性格をどういうふうに持
つて行くかという問題が起
つて参るのじやないか、かように
考えております。この点についてはかねがね強い御要望があることを承わ
つておりますので、いろいろな観点から検討を加えておりますが、まだ結論に到達しておりません。
なおこれは余談でありますが、商工中金にも現在見返資金から出資いたしておりますが、これは商工中金だけではないのでありまして、一般の銀行であります興行銀行或いは勧業銀行等にも優先出資の形で見返資金から出資いたしております。この点だけから申しまして、商工中金に特別な性格を付與するということには相成らんかと思います。
第二点の、国民金融公庫の出資その他の増額に対する見解でありますが、この点も大体原則としては一般会計から出資をするよりほかないと思います。そういうことになりますと、やはり財政の問題にな
つて参りまして、財政の需要が非常に旺盛と申しますか、多額に上
つておりかす現在、財政との均衡を保持しつつこの方面へどの
程度の資金が廻されるか、この点についても私として今ここでにわかに結論を申上げることはむずかしいのであります。国民金融公庫は御承知のように完全なる
政府機関でありますので、
政府機関としての
立場からこれに一般会計から出資をするということは筋としては私は問題ないと思います。中小金融に対する資金の需要が旺盛盛な現在、私の
立場としてはこれが資金力の増強ができるだけ多額に、而も速かにできることを希望も期待もいたしているわけであります。
第三点は、商工中金の債券を資金運用部で更に既定の
計画に加えて持つようにすべしという御
意見であります。この点は先般も当
委員会でもたしか私から申上げたかと思いますが、この債券を持つとしますならば、恐らく現在の
政府資金の
状況から言いまして、資金運用部資金よりないと思います。一般会計で債券を持つということはなかなか困難であります。然るところ資金運用部の資金の運用
状況はこういうふうにな
つているかと申しますと、現在の
計画は今般のこの国会にお願い申上げている補正予算の裏腹に
なつた形で資金運用部資金の運用
計画の変更をいたしたのであります。この変更いたしました場合に考慮されましたことは、一般会計と資金運用部資金と見返資金と、これが大きな
政府資金の柱でありますが、この三つを総合的に睨みまして、その資金収支を総合的に勘案して、例えばAの資金のほうで
支拂超過に
なつた場合にはBの資金のほうでこれを何と申しますか、リザーブを取るというような形で、その三者を総合的に見て均衡財政といいますか、広い意味の
政府資金の収支を計算いたしております。その結果出て参
つたのが資金運用部資金としては来
年度に五百四十億
程度の繰越をいたすという、この繰越と申しましても、現金では勿論ありませんので、食糧証券を以て主として繰越す、食糧証券は御承知のように
政府の債務でありますから、これはすべて売拂
つて日本銀行に引受けさせるということでは、資金
計画として決して妥当でないのであります。現在のところはその
部分を食糧証券を抱えて来
年度に繰越す、そういう
計画にな
つているわけであります。これをやはりそういうことで処理を抑えまして、それでそれを収入に見合う支出を組んで参
つたのでありまして、現在のところはその五百四十億を来年に食糧証券をして繰越すという
一つの原則を覆さざる限り、商工中金を現在の規定の
計画に加えて持
つたということが相当困難である。併し目下ルースの災害
関係のいろいろな予算的措置、或いは金融的措置の問題の一環として、現在この運用
計画自体についても総合的な資金需給の観点から或いは考慮しなければならない場合が起
つて来るかと思いますが、現在のところは今申上げたような
計画の下に組まれておりますので、今追加して商工債券を持つという実は余裕がない、商工債券は短期の割引商工債券にいたしましても、
年度を越しますので、どうしてもこの運用
計画を変更して参らなければならない、短期の繋ぎで融資をすることはなかなかむずかしいという、こういう事態であります。
それから第四点の商工中金に対して資金運用部から借入ができるように法律を直してはどうかというお話であります。これは今お示しのような法律を直さないとできません。現在の資金運用部の法律はなかなか実は非常に見方によ
つては窮屈というか、ひじように固く実はできております。従いまして商工中金のような民間機関に対して貸付をすることは全部
認められておらんのでありますが、今後におきまして、そういうふうな途を開くことがいいか悪いかについては十分検討して参りたいと思います。ただその途が開けないにいたしましても、商工債券を引受けるという形が今できておりますから、資金の収支の
計画から
言つて余裕がありますならば、商工債券を引受けるという形で以て資金の需要に応じ得る途はあるわけであります。従いまして問題はむしろ資金運用部から借入れることができるという途を開くという問題ではなくして、資金運用部から債券の形であろうと借入の形であろうと、どの
程度の資金が商工中金の資金源の拡充に寄與し得るかということにかか
つて来るのであります。この点からは先ほど申上げましたような資金運用部全体の資金
計画から見まして、
只今のところなかなか困難である、こう申上げざるを得ない次第であります。