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1951-11-21 第12回国会 参議院 通商産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十一日(水曜 日)    午後一時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            入交 太藏君            松本  昇君            加藤 正人君            片岡 文重君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    大蔵省銀行局特    殊金融課長   有吉  正君    中小企業庁振興    部金融課長   谷敷  寛君   参考人    東京商工指導所    指導部長    鍋島  達君    合資会社金城商    会代表社員   三木 紀三君    西部鉄工機械工    業協同組合理事    長       山田 正作君    東京輸出金属玩    具商工業協同組    合理事長    野村 貞吉君    全国問屋協会専    務理事     有賀 祿郎君    松浦炭鉱株式会    社常務取締役  永野 芳辰君    中小企業振興会    会長      松沢 隼人君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小企業年末金融対策に関する件   —————————————
  2. 松本昇

    委員長代理松本昇君) 只今より委員会を開催いたします。本日の委員会最初通産委員会のうちの中小企業に関する小委員会において中小企業の実際のかたがたから年末金融について御意見を承わる計画であつたのでありますが、小委員会でなく本委員会として承わつておいたほうがよいとの御意見がありまして、通産委員会として御意見を拝聴することになつたのであります。その関係委員長席も本来ならば委員長不在のときは理事のかたが代行することになつておりますけれども、右のような行掛りから小委員会の長たる私に司会するようにという理事かたがたからの御申出がありましたので、僭越ながら委員長の席をけがさせて頂きたいと存じます。この点どうか悪しからず御了承願いたいと存じます。本日は参考人かたがたには御多忙のところ御苦労様に存じます。年末を控えて中小企業界金融は種々の問題に直面しておると思いまするが、実情の御説明と忌憚のない御意見とを伺いたいと存じます。只今委員会には中小企業信用保険法の一部を改正する法律案商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の二つが他の法律案と共に審議されております。本日の皆様の御説明なり、御意見はこの二法案の審議参考にも資したいと考えるのでありますから、どうかその点お含みの上御発言を願いたいと存じます。  なお本日は七人のかたの御発言を願うので、余り長くならぬよう、できれば一人が十分以内ぐらいに要領よくお述べ願いたいと存じます。それでできれば一通りの御説明の後に補足的な説明をお願いできるようにしたいと思います。  委員のかたに申上げたいのですが、この際参考人のかたの御説明を全部承わつてから後に一括して委員の質疑に移りたいと存じますが、議事の進め方はそれでお差支えありませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本昇

    委員長代理松本昇君) それでは只今から東京商工指導所指導部長鍋島さんに一つ早速お願いいたします。
  4. 鍋島達

    参考人鍋島達君) 東京郁商工指導所指導部長であります。与えられました時間内におきまして、主として商工指導所という相談機関を通じて見ました最初中小金融実情につきまして御報告申上げたいと思います。東京都は二十三年に商工指導所という相談所を作りまして、現在都内に約二十一カ所の各地区における同様な指導相談機関を設けておるのであります。なかんずく金融相談が一番圧倒的に多いような状況を示しております。で、お手許事業概況を差上げてございまするので、大体それに副いながらお聞取り願えれば甚だ結構かと存じます。金融相談内容はどういうものであるかと申しますると、現在本年の四月から九月までの統計をとつて見ましたところ、業種別にいたしまして、工業が四三%、商業が四〇%、組合その他の相談一六%、以上いずれも件数でございまして、さような実情を示しておるのであります。これを昨年に比較いたしまするに大体同様な傾向でありまするが、なかんずく注目されますことは組合金融というものが非常に多くあつたことでございます。金額におきましては本年度工業五四%、商業二四%、それから組合その他二一%と相成つておりまするが、昨年度におきましては融資斡旋をいたしまして成立いたしました総金額四億四千八百五十五万円のうち、約三億六千万円余が組合金融でございまして、この傾向からいたしましても中小企業者金融というものが、組織化を通じて組合金融ということによらなければならないというふうな、だんだん傾向が現われているように私ども考えておるのであります。これを金額別に見てみまするというと、事業概況に数字並びに図表で現わしてございますのでありまするが、五万円以下、それから五万円から十万円まで、十万円から五十万円までという三段階に刻みまして、要するに五十万円以下という相談の層が件数にいたしまして全体の五六%二を占めておるのであります。これは商工相談所におきまする金融相談一つの大きな特徴でございまして、五十万円未満の層がかくのごとく圧倒的な件数を占めておる。更に百万円の線で引きまするというと、実に六五%四という件数がかかる零細金融の層であるということが窺えるのでございます。この五十万円前後ということが、この中小金融の措置の焦点であるということがこれによつて窺えるのであります。然るにこの程度金額、即ち十万円から五十万円というこの層は信用組合、或いは国庫などの零細金融の対象としまして、現在のところやや上位に属しますると共に、普通銀行支店長専決金額の限度を超えておるにかかわらず、本店稟申融資といたしましては少額に失するという状態でございまして、いわば中小金融の盲点であるというふうに見られるのであります。で、かような傾向は本年のみならず設置以来の傾向でございます。で、商工相談に参りましてこの相談を受けまして、私ども斡旋をするのでありまするが、その斡旋をいたしまする結果、首尾よく金融機関から借りられたという率がどのくらいになるかと申しまするというと、本年上期の統計によりますと件数にいたしまして相談者のうちの二〇%弱というものが成立いたしております。又金融機関斡旋いたしましたものの数から見まするというと、四九・八%、件数にいたしましてさような率になつております。で、このような率、つまり百人のうちの二十人というものしかこれは借りられておりませんし、又斡旋したものの半分しか借りられていないという状況は何を意味するかと申しまするというと、これはあとで結論的に申しまするように、金融機関中小企業者に対して如何に狭き門であるかということを示すものであります。殊に私どもが診断をいたしまして、これは相当経理の内容も立派であり、又業種的に見ましても立派であるにかかわらず、半分は銀行から嫌われているということは、そういうことを立証するものであろうと思うのであります。  なおこれを金融機関に見てみまするというと、お手許附表として掲げてありまするが、附表金融機関別に見ました成立の状況を記してございます。借りられましたうちで普通銀行から借りられましたものは僅かに件数にいたしまして一割強、一一・〇%であります。それから中金から借りましたものが一・九%、国民金融公庫が実に八五・二%というふうに件数に示しております。これを金額で見てみますというと、銀行からの借受を受けておりますものが四一%という多額に上り、国民金融公庫件数においては八五%であるにかかわらず、金額におきましては二七%という率を示しております。つまりこのことは中小企業者希望零細金融が非常に多いという実情を示しておるのでございまして、同時に又この普通銀行中小業者から見まして非常に狭き門であるということを立証するものでございます。なお中小業者金融の途といたしましては、現在信用保証制度その他見返融資制度その他の信用保険制度等がございまするが、これの利用はまだまだ足りないように感ぜられるのであります。尤も現在東京信用保証協会保証の現在高は三十億に達しておりまするが、私どものほうで扱いました融資金額の中での利用率は甚だ振わないのでありまして、成立いたしました本年度件数百二十九件のうち、信用保証利用いたしておりまするのは一〇%、十三件に過ぎません。で、私どものほうの方針といたしましては成るべくこういう信用保証制度というものを利用するように奨めておるのでありまするが、なかなか信用保証制度というものが伸びないのが現状でございます。これを要しまするに、本年度金融相談窓口を通じて見ました傾向といたしましては、普通銀行の貸出が引締められておる傾向は依然として強いのでございます。従いまして中小業者はこれがために非常に苦しんでおるということが全般的に窺えますると共に、親工場その他からの売掛金の回収速度が非常に遅延いたしておりまして、受取手形が長期化し、又これを割引することが非常に困難を加えつつある。従いまして中小業者商業といわず、工業といわず、そのいわゆる固定的な運転資金が非常に増加しておるのであります。殊に最近の現象といたしましては電力不足ということがやはり中小企業者影響を及ぼしておるのであります。これがため工業におきまする仕掛品及び半製品が増加いたしまして、勢い運転資金固定化しておるということは大企業のみならず中小企業にも現われておるのであります。加えまして大企業における電力不足に基くさような運転資金固定化ということがやはり中小企業にもしわ寄せをいたしまして、二重の影響を受けておるということが目立つて感ぜられるのであります。更に商業の面について見ますというと、一般的な購買力の低下ということに加えまして、販売競争の激化が甚だしく、これがために、例えば小売店舗等におきまする店舗装飾の改装、或いは新規商品の仕入資金というふうなことで売上げの増加に腐心しておるものでありまするが、こういつた面からの金融資金の需要の増ということは依然として強いのであります。先ほど申上げましたような狭き門のために、中小企業金融が非常に苦しんでおるという実情は私ども相談窓口を通じまして現実に看取し得るのでございます。  以上は大体実情でございまして、これに対する諸種の意見というものも若干ございまするが、頂きました時間が只今過ぎましたので、あとで補足的に附加えます。  以上大体実情につきましての報告を終ります。
  5. 松本昇

    委員長代理松本昇君) では次に合資会社金城商会代表三木さんに一つ小売業中心として小売業者金融面について主として説明を願います。
  6. 三木紀三

    参考人三木紀三君) 私三木紀三でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私のほうは商業関係でございまして、工業のほうはよく存じないのですが、商業金融状態を実際に商売をやつておりますほうの側からどんなふうに金融がせられておるかということを申上げたいと存じますが、中小商業と申しましても、中のうちには大体大に近いくらいのものも相当ございまして、又中の下ぐらいのところと小というような工合で、中小の中には非常に大きな、割合に大きな商売をやつておりまするものと小さなものとがありますので、これを一つ金融状態はどうだということはちよつとはつきり申上げられないのでありますが、大体この中の上のほうに属します商業者は例外もありますけれども、大体において私は金融面では苦労しながらもどうにかやつておるということは言えるだろうと思います。そういう方面人たち銀行との取引もできておると考えまするが、この中以下の小の部類になりますると、銀行とは完全にシヤツト・アウトされておりまして、恐らく一銭も銀行から貸してもらつてないということが実情であります。これはこのお呼出しを受けまして三、四日東京都の山ノ手、下町、各方面へ電話をかけましてその状況を問合して見ますると、銀行というものは金を貸してくれないものだということを諦められておる。時折相談に行くこともあるけれども全然相手にしてくれないのだから、銀行というものは金を預ける所であつて、金を貸してもらう所ではないというようなふうに考えておるという答えを得ております。それでその小商業者一体金をどこへ預けるのかということを聞いて見ますと、それは銀行へ預けておる。銀行は預ける所であつて、貸してくれる所ではないというようなふうに言つておることは、これはもう実際偽りのない事実だろうと思うのであります。然らばそのそういつたような小規模のものはどこから金融を受けておるのかと申しまするというと、大体市街地信用組合でありまするとか、国民金融公庫でありまするとか、或いは協同組合中央金庫、これは組合を通して融通を受けておるのでありまするが、この融通を受けるのが極めて窮屈でありまして、なかなか簡単に融資を受けることができない。無尽会社からも融資を受けておるのもありまするが、これもなかなか簡単には参らない。この金融機関全体を通じまして、大体においてオーバーローンになつておるということが窺われますので、大きな銀行は勿論オーバーローンになつておりまするし、又中小金融機関全部を通じましてオーバーローンになつてつて、その融資に乏しいというのが現状のようであります。でありますから、銀行は、その金融機関は貸したくてもどうも余裕が乏しいというようなことでございますように感じられます。それでなおその金融の面でどういうほうから然らば融通を受けておるかと申しますると、問屋から借りて商売をやつてるというものがまあ大部分でありまして、又露骨な話でありますが、税金金融をやつておるということを言われるのでありますが、それは何かと申しますると、税金の払いをできる限り滞らして払わないでおくと延滞を日歩四銭取られるが、日歩四銭を払うということは高くないのだから二カ月でも、三カ月でも催促されてどうしても差押を受けて競売でもされるという程度に行くまで税金引延ばしてその金を融通に使うということが零細企業の上には非常にたくさんやつておるようであります。これが税金の滞納として現われておるのではないかというようなふうに窺われるのであります。それからなお参考ため東京を離れました地方の北国のほうの小都市、人口三万のところの商業状態を問合せて見ましたところが、そういう方面では非常に行詰つておる。これは都会地以上に非常に行詰つておるということは農業の景気が悪いがため購買力が全然ないというようなことで借金は勿論返すこともできないし、税金を払うことは到底できないというので、国税もできる限り引延ばす、もう地方税なんぞは全然払わんというような空気も非常に気持の上で悪化しておるということを聞いております。併し東京都内におきましてはさように困つておりまする一面、金融には恵まれてないという商業者状態でありまするけれども、これは都会地商売いたしておりまする関係上非常に行詰つておるというような面もありますけれども、それほどでないものも相当あると考えます。金融状態が、どれくらい銀行が貸さないかということの実例を申しますると、十九日の晩に銀座の先ず中くらいのところが三十人くらい集まりました。それは実質資本が先ず五百万円から一千万円ぐらいの実質資本を持つておるものでありますが、それが集まりました席上での話によりまするというと、銀行から融資を受けておるのは一割ぐらいしかない。頼んで見たけれども非常に面倒臭いことを言つて到底もう急場の間に合わんから、銀行というものは貸さないところだといつて諦めておるという状態でありまして、銀座のもうこれなら貸して差支えない、五十万、六十方の貸倒れの起ることがないというようなところでも金融を受けられてないということを以て、ほかの銀行が如何に中小商業に対する金融というものに対して冷淡であるかということが先ず御想像がつくだろうと考えます。それで大体東京商業者を露骨に聞いて見まして、二十三年頃の商業状態と現在の状態とを比較して見て懐工合はどうだということを聞いて見ますると、二十三年頃よりはやや苦しいながらにもよくなつておるということを申しております。これは事実のようであります。併し物価の値上りや何か、いろいろな関係がありましてそう楽ではないが、まあまあというところである。大企業資本金の十倍、二十倍の利益を挙げておるのに、中小商業者は辛うじて税金払つてまあどうにかやつておるという程度、こういうようなことが非常に中小商業者の気分を刺戟して、大体今の経済政策と申しまするか、何と申しまするか、大企業中心政治をやつておるのではないかというふうの僻みを起しておるというようなことが至る所に窺われるのであります。こういう点を一つ研究願いたいと存じますが、それから政府の当局なり、又参議院、衆議院におかれましても中小企業ために何とかしてやろうというお考えを以ちましていろいろ法律を御制定になつておる。この信用保険制度というものは非常に新らしい法律でありまして、これは結構な法律だと思うのでありますが、先刻お話がありました通り信用保険制度を実際において活用していない。銀行信用保険制度なんというものを利用しないというのでありまして、折角設けられた法律がここに活用されていないという点が一つ特に御注意をお願い申上げたいと思います。これはそんな信用保険なんというものをつけて金を貸さんでも、保険をつけないで安全なほうへ幾らでも貸すから、そんなものをつける必要がないということと、それから信用保険には手数料を取られるというようなこともありまするしいたすのでありますが、その信用保険制度の活用ということが真にできますると中小企業金融は恵まれるのではないかと思いまするが、これはむしろ政府預託金とかいうようなものとか、いろいろな日銀の特別の資金の枠というものと結び付けて、そういうものは信用保険につけなければならんというようなことにでもなりますると、この保険制度というものが相当活用されるのではなかろうかと思います。信用保険制度が活用されるということは、つまり担保力の乏しいものが金を借り得られるということになるだろうと思います。信用保険制度、これを活用しないということは、つまり中小に対するところの金融がここに円滑に行われていないという、こういうような一つの証拠ではないかと思うのであります。それから商業者意見を聞いて見ますると、金融問題については戦前のほうがむしろ我々は恵まれておつたように思われる。戦後政治でも経済でも民主化された後の金融状態はむしろ我々にとつては悪い。と申しまするのは、以前では不動産銀行がありまして、勧銀がありまして、勧銀の手で中小商業者に対して家屋を担保にとりますとか、土地を担保にとるというので金融の途は開かれておりましたが、今日ではそれがなくなつておる。それから商工証券によつて商品担保で金を借りるという途も塞がれておる。大企業は増資もできれば社債の発行もできるし、銀行方面融資も自由にできておるのに、中小商業者はそういう面で恵まれていない。これは何とか一つ考えを願わなければならん点ではないか。勿論今までは占領下でありましたからしてアメリカの指図を受けた場合もたくさんございましただろうと思うのでありまするが、もはや独立した自由国家になりました場合におきましては、この金融というものが民主化されて、小なりといえども融資を受けられるというようなことに一つ特に御考慮を願いたい。と申しましても私は大きな銀行オーバーローンになつて大きな企業に金を借すのは悪いということを申上げるのではないのでありますから、その点は誤解のないようにお願い申上げたいと思います。これは大きな銀行オーバーローンをしてでも大きな企業に金を貸さなければ日本の金融状態というものが円滑に行かない、この金融状態を円滑にしないということはやはり生産を妨げるということになりまするからして、銀行オーバーローンをしてでも金融をするということは考えてやらなければならんと思います。大きい企業でも中小でも全部金が忙しい、金がないないと言つてこぼしておるが、一体その通貨はどうなつておるのだろうということについて商業者が話合いますと、この通貨は大体商業者手許へ、都会地商業者手許へ大体流れて行くのではないか。こういう傾向を持つておるのではないか。その流れて来た通貨というものは大体箪笥預金に多くなつておるのではないか。というのは、現金取引を非常に喜んでおる、貸売りというものを喜ばんという傾向がありまして、物を仕入れるにいたしましても現金を以て仕入れたほうが楽である、そのほうが安く仕入れられるということでありますので、この通貨というものが金融機関のルートに乗つてなくて、そうして箪笥預金になつておるというようなことが多いのではないか。この箪笥預金吸上げるということが一つの御研究を願うことではなかろうか。これは貸さないで預かるだけをやるということではその箪笥預金は出て来ない。貸してやるからして預金をしろ、こういうことで行かんといかんではないかというふうにも申されております。  余り時間をとりますことは恐縮でありますから、この辺に……。
  7. 松本昇

  8. 山田正作

    参考人山田正作君) 山田でございます。先ほど委員長からお話のございました今回この委員会審議されます保険法について一言申上げます。  信用保険法につきましては今回パーセンテージを九五%にし、又決済期間六カ月を三カ月に短縮する、これは金融機関方面からの注文でそういうことに相成るように審議中だそうでありますが、これはもう如何にパーセンテージを大きくしましても、又期間を短かくしましても、これを利用する金融機関が果してまじめにそれをやつているかということを考えなくちやならんと思います。商工中金は大体割当の全額を保険にかけております、六億五千万ですか……、それから地方銀行は約四億ばかりかけておりますが、十一大銀行は二十七軒で三億何がししか保険をかけておりません。只今お話のように、そういう保険をかけるようなところでは貸さない。これは如何にパーセンテージを大きくしましても恐らく利用しまいと思うのであります。それよりも、むしろこれを利用するような金融機関割当を多くして頂きたい。私の関係している信用金庫では六百万円の割当であります。六百万円の割当ぐらいはもうとうになくなつちやつてそれを利用することができない。そうして銀行あたりでは十分の割当がありながら利用しない。この点を保険法改正と同時に割当の点について一つ研究を願いたい。これがまあ私の信用保険に対する希望でございまして、如何に条件をよくしましても恐らく大銀行ではこれを利用しないという私は見解を持つております。  それから第二に、この中金法改正の問題でありますが、今度個人にもこれを貸付する、個人預金も扱うことができるということに相成るそうでありますが、この点につきましては、先般も信用金庫あたりから大分反対が出ているようであります。中金は一般の預金まで取扱つて我々の領分を荒すんじやないかというので絶対反対というようなことも言つておりますが、この中金の今までの貸出方が協同組合の手を経て個人にも貸すわけであります。その組合員に、ところがそのたびに役員の連帯保証が要るのです。個人保証が要ります。この個人保証というものが要るために、折角協同組合というものが大事なものであるということを知りながら、協同組合をこしらえてもいざ金融ということになつて中金に持つて行きますと個人保証が要る。そうすると、相当に資産のある役員はこれはもう個人保証までして皆さんのためになりたくないと言つて皆逃げるのです。そのため協同組合というものが折角できても途中で潰れる。現在協同組合が全国で二万五千何がしあるそうでありますが、中金の金を利用している協同組合というものは恐らくその二割ぐらいじやないかと思うのであります。これは今申上げたように個人保証というものが障害となつて途中で挫折するというようなことが実情であると私は考えます。ですから今回の改正によりまして組合員たる個人に対して貸付をする、役員の保証がなくても貸付ができるというような改正案は協同組合の育成上是非必要であるということを考えまして是非一つ御了承を願いたいと、こういうように考えます。  それから私どもは工場関係でありますが、工場にも、この中小企業と申しましても小企業と、それから中企業とはいささか趣が違うのでありまして、小企業に対しましては信用金庫とか組合とか或いは無尽会社無尽会社あたりでも大体その貸出状況を見ますと三十億から五十億くらいの程度らしいのですが、そういう小工業に対しては或る程度全国に亘る金融機関が貸付をすることができるように考えております、条件さえ備えれば……。ところが現在の状態考えて見ますると、一つの注文を受けますと五十人、百人、これは中小企業なんですが、一遍に五百万円とか千万円というような受注は絶えずあるのです。それに対して二十万、三十万の金を信用金庫あたりから借りたのじや到底問題にならない、やはり三百万円とか五百万円とかいうような資金がないと受注もできないというような実情でありますから、これはどうしても共同の力によりまして、お互いが責任を持つて中金からまとまつた金を借りるというようになりまするから、これはどうしても協同組合というものを一つなお一層奨励して頂きたい、それでなければ中企業というものは成立たない。仮に、三百人が中小企業になつておりますが、三百人としまして一人当り生産が十万円としますと三千万円、昔ならば大した工揚でなくてももう現在では貨幣の下落のためにもう千万円、二千万円というような注文はそういう百人或いは三百人使つている工場としては大した仕事じやないのですが、その金額は相当に要りますから、なかなか三百万円、五百万円という金を融資を受けるところがないのです。どうしても協同組合の力を得まして中金から融資を願うほかには途がないのであります。そこで中金から借りますには個人保証も要るというようなことで、先ほどのようなことにして頂かなければならんと思います。その他申上げたいこともたくさんありますけれども、現在切迫しました年末金融に対しまして、今回議会に提案されておりますものを拝見しますと、国民公庫に対して十億円の出資、それから裏付として二十億円の運用部資金が出るというようなことを承わつておりますが、只今申上げましたような、このような商工中金に対してはまだ一文も支出というような話を伺つていないのです。その点が誠に片手落で私は残念と思つております。是非ともこの年末金融に問に合うように国民公庫と同様に中金に対しても、只今申しておるような大事な金融機関でありますから出して頂きたい。県市、公共団体でも現在二十一億円の長期資金を預託しております。国家がこの大事な中金に対して殆んど預託していない。短期資金の十三億の預託がありますが、これは年末引揚というようなことでこの間大分心配しましたが、幸い皆様のお骨折りで二カ月延期になつたということを聞きましたが、これはむしろ増額して頂きまして長期にして頂きたい。地方の県市さえ二十一億の預託をしております。国家がこれに対して頗る預託が少いということは甚だ遺憾と思つております。  それから国民公庫の問題でありますが、国民公庫の貸出を二百万或いは三百万円にしようというような案が大分出ておりましたが、これは国民公庫はどこまでも中小企業、或いは庶民金融という建前で行つてもらいたい。二百万円、三百万円を貸すということになりまするとどうしてもたくさん金を貸すほうが楽ですから、調査も完全にできますし、結局普通の銀行と同じで、大きいところに貸して、そうして小さい零細企業ということにおろそかになるという心配があります。この意味からしまして、どうしてもその本来の目的である小企業金融ということに重点を置いて行つてもらいたい、こういう私は意見を持つております。なお余り長くなりますからこれで私の意見を終ります。
  9. 松本昇

    委員長代理松本昇君) 御苦労さんでした。  次は東京輸出金属玩具商工業協同組合理事長野村さん、お願いいたします。
  10. 野村貞吉

    参考人(野村貞吉君) 私は玩具のほうを輸出しておりまする組合の野村でございます。特に私のほうの組合は、金属の玩具を製造しておりまする組合でございますが、従事しておりまする組合員は約二百名ほどでございます。それで戦前昭和十二年度頃は約四千三百万ほどの輸出をいたしておりました。まあ今の金額にいたしますれば約百億程度でございます。昨年度は全体といたしまして約三十六億円の輸出をいたしております。大体そのうち九〇%までは米国でございます。この四つの小さな島に八千何百万の人口がひしめいている現状、特に食糧の問題を考えますと、どうしても外国から三百万トンからの食糧を輸入しなければ食べて行けない、こういう現状におきまして輸出をやらなければその食糧が買えない、然らば輸出をどうしても奨励をしなければならん、その一端を担つておりまする我々玩具業が、まあ玩具といたしましては僅かに三十数億円でございまするけれども、この輸出によつて幾ばくでも国家に貢献できるということは我々の最も光栄とするところであります。  さて昨年私もシカゴの国際見本市に参りまして、三十数カ国の各業者の種種の見本を拝見いたして参りました。勿論私は玩具の面を特に目をつけて参りましたが、日本の玩具は決して諸外国に比しまして遜色はないということを私は確信いたして参りましたが、いろいろ敗戦後の日本でありまするから、諸材料並びにその他のいろいろな不備な点もありましてなかなか思うようには参りません。まあアメリカあたりから帰つて来た人は、どうも日本のおもちやは悪い、粗雑だ、いろいろ不評をこうむつておりますけれども、我我としては一生懸命べストを尽してやつておるのであります。大変技術も進みまして、アメリカ並びにドイツあたりの玩具と比較いたしますと、多少は劣るところもございます。併しもう一歩というところで、アメリカあたりの玩具と比較いたしまして、決して遜色のないところまで漕ぎつけて参りました。ここもう一ふんばりいたしますれば、必ず将来は相当の金額、即ち戦前の百億になるのも決してそう遠いことではない、かように存ずる次第でございます。ところで一生懸命やつてはおりまするが、先ほどの皆様がたが縷々申しました通り、やはり一番困つておりますのが金融の問題でございます。私どもは主に市中銀行並びに商工中金、それから信用組合、そういうところの先ず金を使わして頂いておりますが、先ほど来皆様がたが申す通り、誠に我々のようなこの零細事業に対しましては市中銀行といえども、又は信用組合、商工中金あたりからの金融は誠に微々たるもので、どうもおもちや屋なんてものは相手にならん、こういうような一口におもちや屋とこうやられてしまう。本当に十分な金融はつかないのであります。やつと私も中金へ参りまして三百万円ほどの金を借りて参りました。ところが三百万円の金を借りるのにそれ以上の担保を取られるのであります。三百万借りるのに四百万、五百万の担保を取られて、そうして三百万借りるので、借りたんだか貸したんだかあべこべみたいで話が全然、その理由が立たなくなる。こういうふうな状態で、やはりそれは信用が薄いということになればこれは止むを得ないのでありますが、この我々玩具、又は延いては一般中小企業に対しまして、もう少し政府並びに諸機関の熱意のある御援助を頂けまいか。そうして輸出というものはとにかく日本の国としましては重大な産業である、もう少し輸出というものを内地産業と切離して考えて頂かなければ、私は誠に日本の前途は危ういとこう私は考えるのであります。ところで勿論内地の産業も大切ではありまするが、もう少し輸出や産業に皆さん重点を置いて頂きまして何とかこの不況を打開して頂きたい、これは私の切に念願するところでございます。  なおこの現在の輸出の状況を一言申上げますると、昨年度は非常にアメリカの貿易はよかつたのであります。丁度昨年の六月に朝鮮事変が勃発いたしまして、その結果アメリカの市場が非常に軍需産業並びに将来の第三次大戦が起きるのではないかというような懸念の結果、買溜めまあ買漁り、こういうようなことを大変やりまして、非常な好況に見舞われたのでございます。ところがこれも一時の夢と化したか、思うような景気が出なかつた。これは要するにできないだろうと思つた雜貨並びに玩具のようなものがどしどしアメリカでは又作れたのであります。その結果、事変の勃発する前よりも三割以上の増産になつちやつた、アメリカ事態が……。ところが又日本からはあべこべに又どんどん向うが買つたために、相当のストックができた、それで昨年十二月、本年の一月頃までは相当出たのでありまするが、今年の二月頃からぼつぼつキヤンセルが参りまして、本年度は非常な苦境に陥つたのであります。それでこの三、四月以降今日まで非常に苦しい中を辛うじて支えて参つたのでありますが、先ずいろいろの手を講じまして、中には内地へ転業する人もある、又は東南アジアのほうへ市場を開くものもある、いろいろあちこちの手を打ちまして、ようよう今日まで辛うじて支えて参りました。ここにおいて一番困つたことには今までの材料並びに持金、これを始んど食べて参りました。全部食つてしまつたのであります。これから先どうすればその資金が得られるか、こういうことに日夜苦心しておりまするのですが、何とかしてこの苦境を打開いたしまして、来年度のまあ諸外国の貿易に先ず一花咲かせたいと……勿論アメリカも来年度は或る程度回復する見込が大体立つております。なお講和後の東南アジア並びに英国、濠州方面も相当に来年度はできるのではないかと、こういうふうな見通しもついて参りました今日、一番悩みの種はやはり金でありまして、この資本がなければやはりいうことはきかない。何とかして資金の面において或る程度の手を打ちたい、これが我々の今日考えておりまする一番の念願でございます。どうか政府並びに諸機関におきまして、我々のこの輸出産業に対して十分なる御援助を頂いて……先ず私の望むところは各組合ごとに一、二億円の資金を廻わして頂きたい。まあ如何なる方法を講じてもそれはかまいません。まあ先ず以て我々のほうの組合に一億乃至二億の資金を廻わして頂きたい。これはそれに充てるべき不動産の担保は十分にございます。各業者一丸となつてそれに提供をいたしまして、そうしてその資金によつてこの難関を切抜けたい。これが私の只今考えておりまする第一の策でございます。何分よろしくお願いをいたします。
  11. 松本昇

    委員長代理松本昇君) それでは次に全国問屋協会専務理事の有賀さんに一つお願いします。
  12. 有賀祿郎

    参考人(有賀祿郎君) 有賀でございます。  問屋と申しましても実はピンからキリまであるわけでございまして、店員僅かに二、三人、それから家族で経営している問屋もあれば、数百人の従業員を抱えている問屋もあるのでありますから、その金融状態についてはいろいろでございます。併しながら一般を通観して見ると、やはり金に詰つておる、資金難に喘いでおるということは、これは事実であります。この状態を何とかしてもらわねば相成らんということは、問屋自体いずれも申しておるのでありますが、この歳末に際して世間伝うるごとく、金融の引締めをされてもらつた暁は、商店方面に対し特にしわ寄せとなり困難が加重するのでないかと、実は只今憂慮しているような次第であります。と申しますのは、先ほど来お話がありましたように、大企業に対する金融中小方面に対する金融よりもとかく重く見られ勝ちでありまして、そのしわが自然的に中小方面へ寄つて来る、これは事実であるように考えられます。大企業に対する尊重的の金融政策、これが国家という面から見て必要であろうと思いますけれども中小企業方面が若しも混乱という程度に至らずとも、相当深刻な不況に見舞われた場合、これは人心に不安を与える一種の社会問題を起さんとも限りません。そうした危険性の伴つておる方面に対しては、大企業もでありますが、特に政策上御注意を願いたいと、こう思う次第であります。  それから先ほど来信用保険制度お話がありましたが、これは七五%の保険率を九五%に引上げるというようなお話でありますが、そうしたけちなことでなくて、全額政府で面倒を見てやる。のみならず、場合によつては調査業務の面倒も見てやつてもいいのではないかというくらいにしないと、銀行のほうで進んでこれを利用いたそうといたしません。手続がとかく面倒である。この手続の面倒であるというのは、借りるほうの手続が面倒なばかりでなく、銀行それ自体も非常に面倒がつております。でありますから、実際金を借せるところの銀行の支店が毛嫌いして制限しておる状態であります。これじや政府がです、如何に利用しろ利用しろと言つて見ても実際必要なところへ流れて行かない。こういう事情にありますから手続を簡単にし、より以上銀行利用しても相当利用しがいのあるという程度まで御考慮を願わねばならんのじやないかとこう思います。  それから次には、この協同組合協同組合のほうを見ますと、商業面においては、二十人以下の従業員でなくては組合の組織ができないことになつております。然るに問屋さんには二十人以上の従業員を持つておる問屋が相当多数ある、そうして多数あるところの問屋協同組合ができない、作り得ない。先ほど来もお話がありましたが、これからの金融組合金融に移行するのではないかと、まあこう言われます。言われます。ところが協同組合ができないのじや、これは何にもならんのでありますから、従業員二十人以下という制度を拡大いたしまして、五十人なり百人なりの業者でも組織し得るということにお願いしたいと思います。それからこの問屋は店舗をおおむね持つております。又土地などもつており、不動産を持つておりますものが相当にあります。これは持つておるというだけで現在何の役にも立つていない。税金の対象になるくらいのところであります。こうした不動産を利用して金融の途を講じられるように御考慮が願いたい。前には勧業銀行などがありまして、不動産の担保もできましたが、今はそうしたことができない。これは御考慮願いまして不動産銀行でもよろしうございましよう、とにかく不動産を活用し得る途を開いて頂きたい、こう考えます。  最後に一言申上げておきたいと思いますが、戦争中或いは戦争直後においては問屋は中間搾取を行うところの不要な存在である、こういう声がありましたが、これは中には搾取した者もあるかも知れませんが、問屋全体から見ますと、決してこれは搾取の機関ではない。昨今日本の経済が敗戦の結果薄弱となつておりまして、物価が暴騰する、暴落する、その変動が極めて激しい。これはなぜかというに、商品のタンクがないためであります。商品のタンクがあつて、そこに商品を貯蔵し、そのタンクで調節したならば物価の変動もそう激変するものじやない。問屋はそうした機能を持つております。その他いろいろの機能がありますが、そうした機能も持つているのでありますから、問屋の、善良なる問屋の維持、育成には努めて御指導をして頂きたい。こう思われるのでありますが、それにつきましても、問屋資金というのは、昔にこれを比べれば非常に少くなつています。問屋は戦時及び戦後にかけて統制の結果、統制会社或いは配給組合、そうしたもののため問屋そのものの事業が全く機能を失し、破壊し尽くされていたのであります。従つてその間には資本を食い潰していたのであります。その後において物価が大暴騰を演じている。資産は少い、物価は高い、その結果は問屋経営に必要なる資金が現在非常に乏しいのであります。従いましてこの金融機関に依存する度が強くなつているのでありますから、金融機関におかれましては、問屋のいいところを御覧になりまして、問屋の維持、育成という方面にも力を入れて頂きたい。これは銀行ばかりでなく、政府においてもそうした方面に御考慮が願いたい、こう存じておる次第であります。以上お願いいたしまして私の公述といたします。
  13. 松本昇

    委員長代理松本昇君) それでは次が松浦炭鉱株式会社の常務永野さんに一つ
  14. 永野芳辰

    参考人(永野芳辰君) 問屋のほうのお話にもありました通り、私日本石灰鉱業連合会を代表して参つたのでありまするが、一口に中小企業と申しましても、石炭鉱業は非常に幅が広いのであります。下は月産百トンから上は月産三万トンというような大きな世帯でありまして、これらの中小企業を総括して金融問題を論じますことは、非常に困難になりますので、或いは脱線気味なところもありますが、時間の節約上、すでに専門的な各界のかたがたからお話もありましたので、特に石炭鉱業として、どういう点の得失と申しますか、そういう見地から金融問題をお話いたしまして御参考に供したいと思います。  二、三日前の朝日か毎日かの新聞に不渡手形の問題が出ておりまして、年末金融を控えて不渡手形がどんどん出て来る、従つて産業が、いわゆる劣悪産業というものが脱落して行くというような記事を見まして、さなきだに年末を控えまして金繰りに苦しい思いをいたしております我々といたしましてはひやつといたしているのであります。その原因はどこにあるかと申しまするというと、大蔵省、日銀等の金融政策の一端としまして、今後金融を引締めて行く、それはどこから来るかと申しますると、皆さんの御承知の通りのドツジ・ラインが、又ドツジ旋風が再び吹いて来たという結果にあるのじやないかというふうに考えるのであります。丁度どの内閣でしたか確かにはわかりませんけれども、二十四年の下期から二十五年の上期にかけまして、日本の産業界というものは、いわゆる経済安定政策というような線から、政府は終始均衡予算というものを強硬に実施する、又従来時に石炭鉱業に力を入れました復金の融資というものを打切るというような政策がとられまして、二十四年の下期から五年の上期にかけまして石炭産業は非常な苦境に立ち至つたのであります。この危機を切抜けたのは、皆さん御承知の通りの朝鮮動乱であります。この朝鮮動乱の結果漸く石炭鉱業というものが息をついたというような実情にあるのであります。その経験も浅い矢先に又一つの風が吹いて来た、銀行が締出しを食わせる、金融面から物価を引下げるという政策をとつておられるのでありますが、私はこれは国会としてよほど慎重に論議すべき問題であるというふうに感じたのであります。元来、終戦直後におきましては、日本の石灰というものは僅か二千二百万トンの生産しかない、従つて政府としましては、いわゆる傾斜生産の方式をとりまして、鉄鋼なり石炭なり電力なり造船なりというようなものに集中的に資金を投入したのであります。その結果石炭に対しましては、復金から約四百億以上の投資が行われているのでありまして、今日三千九百万トン、或いは四千五百万トンという線を出し得たのは、過去におきまして政府が思う存分に十分に資金を投じた結果以外の何ものでもないというふうに考えるのであります。然らば、現在三千九百万トンなり或いは四千五百万トンという線を出しておりまするが、二十五年度には三千九百万トンの生産を挙げている。二十六年度におきましては、政府は四千五百万トンを要求しているにもかかわりませず、恐らく二百万トン乃至三百万トンというものが不足する、従つて電力の危機も起る、或いはガスのピンチにも見舞われるというような状況であります。こういう機会におきまして政府が再び金融の引締めによりまして物価を下げるというような政策をとりましたならば、我々の所属しております中小炭鉱の生産というものは直ちに停止するという憂目に相成るのであります。然らば中小炭鉱が全国の炭鉱の生産において占むる歩合はどの程度かということを申上げまするというと、二十五年度の実績で行きまするというと、三千九百万トンのうち千二百万トンというものが中小炭鉱の生産になつておるのであります。そのほかはいわゆる大手炭鉱と申しまして、三井、三菱、井華、古河というような十八社が二千七百万トンの生産を挙げているというような実情であります。併しながらこのいわゆる大手炭鉱というものは、先刻以来お話がありました通り銀行に行きますれば潤沢とは申上げかねまするが、資金が出る。併しながら中小炭鉱は本当に独自の力で金繰りをつけなきやならんというのが現在の石炭鉱業における実態であります。若し仮に二千七百万トンなり或いは三千万トンで日本の石炭が足りるんだということになりますれば、何にも中小炭鉱の金融とか或いは生産とかいう問題は必要はなくなるわけでありまするが、二十七年度におきましては二十六年度の四千五百万トンから四千七百五十万トンというような厖大な数字を安本では出しておるというようなこの際に、金融の引締めによつて生産を低下するという事態が起きますれば、これは物価の問題、或いは単に国民の経済問題というのでなくして、国家の存亡に関するということを私は一言申上げて皆さんの御参考に供したいと、かように考えるのであります。然らば現在この中小炭鉱に対しましてどういう金融の政策が行われておるかということを申上げますというと、先刻来のお話通り制度しかないのでありまして、資金面から申上げまするというと、いわゆる日銀の別枠融資、高率適用を除外した別枠融資という問題と、最近実施されておりまする大銀行の特別店舗、それから市中銀行と抱合せをしておりまする見返資金融資五〇%、従来は五〇、五〇のものが、最近は七〇、三〇というふうになつておりますが、この資金面からしまする融資の問題を、信用力の補強という点から考えまして、信用保証協会の機能と、それから中小企業信用保険法の実施というこの五つの制度がとられておるのでありまするが、この制度が果して我々中小炭鉱に利用されておるかということを検討いたしまするというと、遺憾ながら殆んど利用されていないという実情であります。なぜ然らば利用されていないかということを申上げますというと、先刻来のお話のあつた通りでありまして、重複を避けますが、私はこの機会に特に皆さんにお願い申上げたいというふうに存じまするのは、政府、例えば信用保険法の問題にしましても、政府は二五%のリスクを市中銀行に負わせるのだ、負わせるから銀行は貸さないのだということになつております。私はなぜ一〇〇%のリスクを政府が負担しないかということを申上げたいのであります。九〇%とか或いは九五%という議論が出ますが、私は当然一〇〇%政府がリスクを持つべきだ。例えば災害が起りますというと、災害復旧に対しましては、政府は補助金を出す、或いは農業生産、農林生産その他に補助金を出すというのと同じでありまして、若し国家において四千五百万トンなり、四千七百五十万トンなりの生産が必要なら、それに必要なリスクを政府自身が負うべきだ。補助金を出しながらこういうリスクを負わないというような考え方自体が私は誤りじやないかというふうに思うのであります。元来、先刻来のお話にも出ました通り銀行というものは、営利銀行である以上は、信用がないとか、或いは担保がないとか、或いは又経理面が不備であるとかいうような企業に対して金を貸さんのは当然であります。これは貸せというのが私は無理だ。よつて、若しも政府が本当に中小企業というものを育成し、又国の経済の存立上必要であるという立場からこれを見ますれば、当然信用保険法のごときは一〇〇%保証して然るべきだというふうに考えるのであります。なお一歩を進めまして、私は新らしい問題としまして、今の論旨から進めまして、中小企業に対する一つの特別の金融機関を設けて頂きたいということであります。現在商工組合の金庫とか、或いは信用保険制度とか、信用保証協会とか、いろいろのものがありまするが、その上にそれを抱き込んだところの機関を設けて頂きたい。新聞の報道によりますると、六月の十八日でしたか、中小企業庁では、中小企業金融金庫というものを作る、そうして中小企業金融金庫というものは、直接に貸出を行わずに、その傘下に商工組合中央金庫なり、或いは信用保証協会なりを抱き込んで、そうしてこれをバツクして再保証を行うことによつて中小企業金融の円滑化を図ろう、こういう制度のようにちよつと記憶いたしておるのでありまするが、この中小企業庁の立案したこの案は現にお流れになつております。なぜこういうような特別の機関を設けて頂けないのかということを、私たちは中小企業で金繰りに呻吟するの余りに勝手なことを申上げるのかもわかりませんが、こういう特別な機関を設けることが必要である。市中銀行に依存するということは非常に困難であります。例えば、年末金融なり、或いは盆の金融、その他ここには入交先生なり小松先生のような専門家がおいででありまして、石炭問題を私が論ずるまでもないのでありますが、いろいろな緊急増産のたびごとに日銀に参りますと、日銀の斡旋によつて市中銀行から貸出しするという線が必ず出ます、出ますけれども、市中銀行とすれば、日銀が保証しない限り危険な企業に対して金を出すということはなかなかしぶるのであります。これは私は市中銀行を責めるのはむしろ無理じやないかというふうに考えるのでありまして、この見地から行きましても、どうしても国家機関が必要である、政府が国民の負担においてリスクを負うべきだというふうに私は考えるのであります。最後に主として年末金融というようなお話でありまするが、年末金融について一言申上げまするというと、御承知の通り、炭労のストによりまして賃金が大幅の値上げが認められ、恐らくトン当り三百円乃至三百五十円、四百万トン、月産三百七十万トンから三百八十万トン程度と思いまするが、四百万トンとしまするというと、百二十億、中小だけで考えましても、月産百十万トンですから、三百円上るとしまして、月に三億三千万円でありまして、十月から十二月までの金になりますから、合計しますというと、九億九千万円という金が必要であります。なおこのほかに年末資金として相当な金を要する。期末手当の問題もありますので、相当の金が炭鉱方面じや必要になつて来ます。よく世間から、今炭鉱は景気がいいからいいだろうということを言われます。成るほど現在は炭鉱は黒字を出しております。併しながら、冒頭に申上げました通り、終戦直後のあのみじめな姿を受けて立つた石炭鉱業としましては、四百億の厖大な復金の借金を背負つております。そのために、仮に石炭鉱業会で調査しました数字を申上げまするというと、トン当り千八十円乃至千百円の利潤を生まなければ現在の背負い込んでおる借金金利を償還し、或いは元利を償還すると、なお明日の生産費、設備資金を償うことができないというような数字になつておるのでありまして、よくこの点を、景気云々と言われまするが、この十数億に達する金額というものは、炭鉱自身が恐らく持つているところは殆んどなかろうと、かように存じます。従つて金融機関に頼らなければならないというような状態でありまして、どうしてこの年の瀬を越すかということが特に中小炭鉱では議題にされまして、近く又政府或いは日銀と折衝を行われなければならないというような実情になつておるのであります。大分余計なことを申上げたようでありまするが、私は、もつと政府がこの中小企業というものに対する情熱を持つてもらいたい。中小企業というものは、よく一口に中小企業と言われますというと、まあ社会的見地から、例えば資本力が少いとか、或いは従業員が少いとか、社会的の信用が少いというふうに片付けられ勝ちなのでありますが、これは大きな誤りでありまして、国民経済的な視野からこれを論じて行かなければならない。私は先ほど来三千九百万トンのうち千二百万トンという生産を挙げておる石炭産業というものに対する認識と理解を深めて頂きまして、中小企業の育成に努力されますよう、特にこの機会におきまして参議院のかたがたにお願い申上げる次第であります。
  15. 松本昇

    委員長代理松本昇君) 次に松沢さん、どうぞ。
  16. 松沢隼人

    参考人(松沢隼人君) 私は中小企業振興会の松沢隼人でございます。本日は特に参議院の通産委員会の先生がたが、年末を控えて非常に苦しんでおる中小企業ために民間の声を聞いて頂く機会を与えられたことを衷心からお礼を申上げたいと思います。  私は、年末の緊急金融対策と、それから次は恒久的な金融対策、次は一般行政に関して意見を申上げたいと存じます。お手許に差上げてございます事項について申上げたいと思いますので、この点御許し願いたいと思います。差詰め年末を控えまして、どういうふうにお願いすれば金が出て、実際日もない年末の年が越せるか、これはもう抽象論や先の問題では、理想論では解決がつきませんので、実際政府で肚をきめればやつて頂ける実行性のある問題についてお願いを申上げたいと存じます。先ず年末金融に関して緊急措置をお願いいたしたい、そして少くとも今日本中の中小工業者の取りあえずの年末資金といたしますれば最小限度三百億はどうしてもなければならんと思うのであります。そこでその三百億円余りの資金一つこういう方法でお願いしたならばどうかと考えておる点を申上げますれば、資金運用部の資金中小企業専門金融機関即ち最末端の信用金庫並びに信用組合等が全国の各都市に大体できておりますので、これが数において六百八十を算しておるのであります。これを動員して政府から三百億の金をこれに一つ預託をしてもらつて、そして公平に全国的にこれを流れるような措置を講じて、是非出して頂きたいと思うのであります。金額は、この六百八十の機関に平均五百万円程度を預託してもらう、その合計は三百四十億になるのでありますが、これを六カ月の期間で預託をして頂きたい。法律を作つたりいろいろやれば予算措置等が問題になりますが、一応運用部の資金をくれるのでなくして貸付、いわゆる預託をする、預入れをしてもらうということに、政府がこれは肚をきめれば実際できる問題だと思いますから、是非ともお願いしたいと思うのであります。理由といたしましては、極度の金詰りに苦しむ、中小企業者の年末の危機を救うためには、少くとも三百億円余りの資金を必要としますので、従来のやり方を改めて、中小企業者に公正に実際に渡るようにするためには、従来の大銀行銀行等に預託して、すでに八月十四日に百四十億の預託をされて、年末に一部これを政府が回収したのでありますが、そういうことのために一層金詰りがひどくなつておるのでありますが、このやり方を改めてもらいたいということは、実はこれは預託に際して大阪の一つの例を申上げますが、或る信用組合がこの預託を三カ月間の預託を受けたのでありますが、これを三カ月で貸付けて、三カ月に返すときに間に合わないと困るという心配から、銀行にそれを預け放しで、遂に一銭も貸出さなかつた、そして利鞘稼ぎしたということが大阪、関西方面の新聞に叩かれて問題を起しておる事実もございまして、どうも三カ月ぐらいでは、やつぱりその回収等が心配になりますので、やはり六カ月ぐらいの期間をどうしてもこれは見て預けてもらいたい。これは無尽会社等も中小企業機関としてはあるのでありますが、無尽会社は相当資金量もあり、又この組織がやはり無尽に入らなければ出さないというような、やはりそこに抱合せがありまして、とかく問題がございますから、一層そのすつきりこれを実際にすぐ貸付け得るところの、やはり能力ある信用組合を活用することが一番効果的であるという趣旨で、これを是非御採用を願いたいと思うのであります。すでに政府はこれをやや大形の組合についてはやつておる実例がございます。それを少し拡張して頂きまして、やはり地区的な問題を考慮して、必ずしも大蔵省は預金高が二億なければいかんとか、四億なければいかんとかいうような考え方をやめて、やはり小さいケースでもその土地に重要な機関である以上、これをむしろ認めるというやり方で、六百八十余りの信用金庫なり、信用組合なりを活用して、紐付で流してもらうということにして頂くならば、三百億円余の金が実際に年末に役立つという見通しがあるのであります。是非ともそうした方法を一つ第一案としてお願いいたしたいと思うわけであります。次の案といたしましては、それがどうもいろいろ問題だ、困難だという場合でありますならば、第二案として、国民金融公庫に更に一つ見返資金等から六十億程度を注入して、現在の今度の補正が通りますと、九十億に資金量がなるのでありますが、更にこれを六十億をプラスして百五十億として、窓口の拡張を図つて信用組合等を代理所として流すような措置を講じて、年末に是非間に合せて頂きたい。これは過日の委員会でも銀行局長がすでに、見返資金から中小企業の分を公庫に流すことを考えておるということをすでに言明されておるのでありますから、これも可能なことじやないか。これは大蔵省が肚をきめればできることだ。何も法律改正せんでもできることでございますから、この点特に御考慮を願いたい。もう一つの方法は同時に商工組合中央金庫に対して百五十億程度政府資金を、割商引受或いは預託、まあどつちでも、要するに商工中金資金量を百五十億注入してもらつて、これも一つ窓口信用組合まで一つこれを便うことにして、年末に間に合せてもらう。そうすると公庫と商工中金とを通じて、同じやはり三百億程度が流れることになりますから、これを一つ政府考えて頂きたい。この一案二案いずれかを採用して頂きまして、是非とも年末の危機を乗切るために御考慮をお願いいたしたいと思うわけでございます。  次に中小企業信用保険法に基く特別会計、即ち信用保険基金というものが十五億円積立てられてあるのでございますが、これがまだ保険事故がありませんから、そつくり眠つているわけであります。そこでこの十五億円の基金だけでも是非とも一つ従来の保険法で貸付けた実績に一つ睨み合せて、この基金を預託するという方法を講じてもらいますならば、やはり資金量の関係等もあつて、この保険法による保険の貸付が相当遅々として進まないのでございますから、これを打開する意味にもなり、又これを奨励し、促進する意味にもなりますので、せめてこの基金だけでも預託の途を一つ講ずるように御配慮を願いたい。まあ以上が年末に間に合うところの、一つ実際間に合う金融対策として御採用を願いたい点でございます。  次は、ややこれは恒久対策の面になるのでありますが、中小企業金融体系の確立を是非一つこの際お考え頂きたい。中小企業金融行政は、複雑多岐に亘つておりますので、農林金融のようにすつきり整備する必要があるわけであります。中小企業金融一つにまとめて行く構想で、商工中金をこの際農林中金と同じ機構に改正し、農協と同じように信用組合の親銀行としての系統関係を確立して、商工中金は卸をやる、直接貸しをせず卸をやる。信用組合は小売として中小企業金融に筋金を通すことにして頂きたい。これは現行でも商工中金の傘下に信用組合は入れることになつておるのでありますが、商工中金資金量が余りに不足しておるので、実際は有名無実になつておるという現状でございます。そこで今国会に商工中金法改正が提案されておるので、この機会に是非ともこの点御考慮を願いたいと思う点でございます。  次は、中小企業金融通法の制定の必要性についてお願いしたいと思うのであります。中小企業の、産業の合理化を促進するために、長期且つ低利の資金の必要があるので、農林漁業資金融通法に倣つて中小企業の振興のために特別会計を制定して、少くも農林漁業に出しておる額と同じ百二十億円を出して、我が国の輸出産業の中核をなし、輸出産業の八割の輸出実績を持つておるところの中小企業の育成増強を図つて頂きたいのであります。輸出を促進して外貨獲得に役立たせるために産業の合理化は必要に迫られておるので、この際中小企業金融通法の制定を切望して止まない次第であります。又本法の制定によつて中小企業金融体系が確立され、その裏付ができ上ることにも重大な関係を持つので、この点特に一つ御考慮を願いたいと思うのであります。  次は今、国会に提案になつて審議になつておるところの中小企業信用保険法改正について申上げます。中小企業金融難打開のために、画期的な立法である保険法が昨年の十二月十五日施行以来約一カ年を過ぎた今日、年額百四十四億、これを月割にして十二億の枠があるのでありますが、十月末日で十六億円余りしか金融機関から流れていない。この法律が完全に運営され、中小企業者の福祉となるためには、今回の改正に際して左の点を改正して頂きたいと思うのであります。現在提案になつておる改正案は誠に結構でございますから、これはそのまま呑んで頂いて、そのほかに一つお願いしたい点は、中小企業信用保険基金法の改正を行なつて、先ほど申上げましたように、金融機関の貸出の実績に応じて基金から預託する途を一つ考えて頂きたい。次は保険の貸付を六カ月以上の貸出に限られておるのでありますが、これを三カ月以上の貸付に引下げてもらつて、又保険金の支払を、事故発生後六カ月とあるのを三カ月に改正してもらう。これは保証協会がこういうふうになつておるのであります。これと同じことに直して頂ければ非常にこれが楽になります。次は銀行の自由保険を強制保険に改めて、政府金融機関との保険契約によるところの枠は必ず消化する途を講じてもらいたい。次は政府保険契約をする際、先ほどもお話がございましたが、大銀行保険利用しないから、その範囲を中小企業専門の金融機関に限定するように改正して頂く。即ち熱意のない大銀行等は枠をやつても無駄にいたしますから、これを集中してもらうように改正してもらいたいという意味であります。次は保険法の取扱機関に指定する場合に、中小企業庁と大蔵省とが協議してこれをきめるのでありますが、これをきめるのに際して、どうも従来の預金実績が相当高いウエイトを持つていなければいかん、或いはその機関が預金が少い、出資が少いという場合には、なかなかこの指定が困難である。熱意があつても困難、こういうことは非常に、ただ額だけできめるということは、非常にこれは公平をむしろ欠くのであります。地域的に事情を十分考慮して、やはり熱意のある経営機関に対しては、どんどんこれを指定するように一つ大蔵省の方針と中小企業庁の方針が一つこの点で改められるように特に御処置を願いたいと思うのであります。  以上の措置によつて中小企業信用保険法が完全に運営されて、中小企業金融の不安が除去される、立法の精神が活用されるので、この際各位の御協力を是非お願いし、この改正に際してこの点を更に追加して修正等をお加え願えれば有難いと存ずるわけであります。  次は一般行政の関係でありますが、最近不正金融会社等が非常に続出しまして、中小企業の金詰まりにつけ込んで、又法の盲点を衝いて、届出受理というふうな、あたかも大蔵省が認可しているかのごとき大きな看板を下げて、最近金融機関の類似行為をするいわゆる金融会社が続出して参りました。いわゆる掛金さえすればすぐ金を貸すというふうな甘言を以て加入をせしめているのであります。そこでいよいよ約束の通り借入れしようとして業者が参りますと、いやあれは預金じやない、あれは出資の、いわゆる掛金である、分割払である、よく証書を見て下さい、そこにあなた判こを押しているじやないかというようなことで、泣くに泣けない羽目になつて、金を借りることはできないことはおろか、掛金さえも戻してもらえない。どうしても戻してくれ、こう言えば、それでは損害金をよこせというので、大体二割、三割の解約手数料というものを取るという始末で、実に各地にひどい問題が絶えないのでございます。私の住んでいる群馬県の高崎でもそういう問題があります。毎日三十人も五十人も押掛けて揉んでいるのでありますが、もう当事者は逃げ廻つて会わないというのでいろいろ問題を起しておるような事実もあるのであります。又月五分の有利で利殖をするというようなことを、非常に有利だというようなことで、投資信託のようなことを大新聞で堂々と広告して資金を集め、そうしていざとなるとこれを返さない。これはまあ少し慾にはまつてつけ込むのを慾で廻そうというのですから、そこへ預けることも、少し、預ける者もどうかしているのでありますけれども、実際問題としてこれらの、事件になつているのもすでに東京にもたくさん出ております。出資者を泣かしている詐欺的なものが相当あるわけです。まあ名前を挙げますと、鈴や金融とか、日本融資納税代弁会社とか、東邦殖産、大和金融、日本融資産業、いろいろな名前を使いまして各地に看板や広告が出ております。外交員が飛廻つているという実状であります。地方地方でそれが行われて、そうして高い金利で、これを金融機関の、いわゆる正当な活動にまで障害を起しておるというようなことが相当起つておるのであります。従いまして、商工業者の被害も大きいからして、これの取締策を緊急に一つ樹立して頂きたいのであります。先般大蔵省は、この点について、いや、もうなかなかこれはむずかしい問題だというので、考えてはおられるのでありますけれど、御神輿を上げないのでありますが、こういう点について特に委員会としてお考えを願いたいのであります。そうした取締の対策と同時に、まあこれは根本的な問題としては金詰りが大きな原因をなしておるのでありますから、消極的な対策として都市中心信用組合の育成、これと、員外貯金制度の制限を廃し、員外貯金は扱つてはいかんというような制限を撤廃してもらつて、簡便な小形な機関として生きられる、育つような処置をやつて増強の途を開いて、これに先ほど来申上げておりますような政府資金を注入して金融難打開の途を講じてもらう、こういうことによつて金融会社の不当な進出を防止することができるのであります。国民大衆に簡便な、正当な金融の途を開くことによつて自然解決する対策の必要が切実なものがありますからして、この点特に重ねてお願いを申上げたいのであります。  次は銀行法の改正中小企業金融でありますが、大蔵省の調査でわかるように銀行資金の公共性を失つて営利本位となつて大口に資金を貸付けて、中小企業金融等には資金を出さない。そこで大蔵省の方針の通り大口融資や不急不用のようなものの融資をやめて、資金の公共性が発揮されるような小口金融に重点を置くよう銀行法を一つ進んで改正する必要があると思うのであります。今回の改正案がとかく銀行界の反対に会つて非常に難航しておるというようなことをちらちら新聞で見ておりますが、この際一つ政府を鞭撻してこれを断行してもらうようにむしろお考えを願いたいと思うのであります。  次に中小企業の減税対策でありますが、これは資金とは違うのでありますが、実際問題としてこの重い税金ために非常な苦しみをしておりますので、この機会にこの点も触れてお願いしたいのであります。国民負担の均衡から見て中小企業者の負担は実に全体の七割に達しておるので非常に無理がありますので、中小企業者の負担に堪える範囲に引下げるような点を特に御考慮願いたいのでおります。政府の減税対策において中小企業に大幅引下げを特にお願いしたい。所得税のいわゆる課税率、標準について三五%今回の国会に出てこれが変更されるようにはなつておりますが、中小企業者には二〇%程度に課税率を、標準をきめてもらう、そうして資本力のある大企業の課税率を大幅に引上げてバランスを取つて頂き、更にこれは先般大蔵大臣が車中談等で発表しておりましたが、超過所得、即ち地方税の制定の際に廃止になつたところの超過所得の制度、即ち臨時利得税を復活するようにして、いわゆる取れる者から取つて負担の均衡を図つてもらうように御考慮を願いたいのであります。  最後に中小企業庁の存廃論がときどき論議されているようでございますが、今回の行政整理に際して中小企業庁を存置して内局に若しした場合には大企業との対立行政は一体誰がするかということになるのであります。大体中小企業と大企業は対立的な立場にあるのでありまして、この行政庁がなくなるということは中小企業の非常な不幸であります。どうにか中小企業が目鼻がついて行くまで、少くとも中小企業行政の一元化を期して行く意味からいつても、是非とも中小企業庁は一つそのまま存置されて一層機能が発揮されるようにこの際むしろ御考慮を願いたい。  以上の八点につきまして特に通産委員会の賢明な各位にお願いを申上げて、私のお願いを終りたいと存じます。よろしくお願いをいたします。
  17. 松本昇

    委員長代理松本昇君) どうもいろいろ有難うございました。  以上で参考人のかたの御発言は一応終りました。実情と御意見を有難く拝聴いたしました。中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について参考人のかたの中には同法案が貸出された金額の七五%を保証保険する現在の制度を九〇%まで引上げ、更に保険金の支払を三カ月に早くすることが盛込まれておつたようでありますが、只今ども手許に集まつておる法案には残念ながらその項目がないのであります。只今の法案では信用保証協会保証を国家で五〇%まで再保険する、それから保険する貸出額を一人当り三百万円から五百万円まで引上げるということ、この二項目を主眼とするものであります。念のために申上げておきます。  それから委員各位の質問に移りたいと存じますが、まだ参考人のかたで補足的説明又は御意見を開陳されるかたもあると思いますから、どうかこの点お申出を願いたいと存じます。
  18. 永野芳辰

    参考人(永野芳辰君) 先ほどちよつと申忘れましたので、中小企業信用保険法改正案について只今お話がありましたが、私は石炭鉱業の特殊性という見地から中小企業信用保険法の第二条の第二項におきまして、この法律において中小企業者とは資本金額五百万円以下、従業員数二百人以下というふうに限定されておるのでありまするが、現在なぜ石炭鉱業がこの信用保険利用していないか、全然ないのであります。と申しまするというと、二百人以下の従業員、或いは五百万円の資本金というものは石炭鉱業には殆んどないのであります。私の所属しておりまする炭鉱に六百六十口ほどありますが、二百人以下の従業員とか五百万円以下の……資本金の点は別ですが、二百人以下の従業員で切られますというと、約一割しかそれに該当しないというような実情でありまして、石炭鉱業としましては是非この際第二項を改正して頂きまして、資本金を一千万円、従業員を七百人以下というふうに、枠を一つ拡げて頂きたいということを特にお願い申上げたいと存じます。
  19. 松本昇

    委員長代理松本昇君) それでは委員かたがたから御質問……。
  20. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほどのお話中小企業の一応の定義でございますが、これは現行法の審議のときにも問題になつた点でありまして、あの二つの条件はそれぞれ独立して成り立つということが言質にとつてあるわけであります。結局従業員が仮にあの当時五百人でありましても、資本金の限度があの程度以下であるならば適用する、又資本金が多くても従業員が二百人以下ならば適用するというような工合に、確かに独立して解釈するという考えになつておつたと思いますので、若し両条件を満たさなければ中小企業の枠に入らない、そういう御解釈であるならば、それはお間違いかと思いますので、念のために申上げておきます。
  21. 永野芳辰

    参考人(永野芳辰君) いや、そういう意味じやないのであります。ここに小松先生も入交先生もおられますが、二百人以下の従業員というのは殆んど斤先掘と申しますか、極く部分的な事業をやつておる業態でありますからいわゆる中小企業のカテゴリイから行けば零細企業というような程度の何であります。従業員の二百人以下というのは殆んどないのでありまして、この点も普通の産業とは……商業では二十人以下というふうになつております。普通の産業とは趣きを異にしております。御承知の通り、古いと言われるかも知れませんが、日本の石炭鉱業というものは機械化が非常に遅れておる、特に中小企業では機械化が遅れているためにただ労働力を以て炭を出すというような関係にありますので、是非これを七百人、少くとも五百人以下という程度にこの枠を拡げて頂きたい、或いは資本金の問題は五百万円のところが相当あるかもわかりませんが、従業員のほうで縛られますので、今の御解釈のどちらか該当すればいいというお話でありましたら、資本金の問題は留保してもよろしうございますが、従業員の員数の問題は是非御再考願いたいと存じます。
  22. 松本昇

    委員長代理松本昇君) それから皆さんにちよつと申上げておきますが、政府側からは中小企業庁長官が見えるはずになつておりますのですが、只今他の委員会に出席いたしておりますので、あとからこちらへお見えになることになつております。又今は大蔵省の特殊金融課長の有吉君と中小企業庁の金融課長の谷敷君とがこちらに見えておりますから、若し質問があれば……。
  23. 山田正作

    参考人山田正作君) 今の信用保険の問題でありますが、御提案の趣旨はよくわかります。ただ先ほど私が申上げた通り金融機関に対して枠があるわけであります。商工中金は六億五千万とか……その枠のため利用したいところも利用ができない、普通の信用金庫あたりでしたら五、六百万程度……五、六百万ぐらいのことではやつたところがすぐなくなる。現に信用保証協会のほうは枠がないのですね、それで殆んど二百億ぐらいの保証をやつておる。信用保険は一年になつて十五億ぐらいだ。結局枠というものが大銀行に余計行つて肝心な信用保険を必要とする金融機関に行つていない。その点を考慮して頂きたい。
  24. 境野清雄

    ○境野清雄君 二、三点お聞きしたいのですが、今の山田さんの御質問、何か考え違いをなすつているのじやないかと思うのでありまして、各銀行への割当というものは勿論先ほどどなたかからお話のありました通り、本年度は百四十四億に対して僅かに十六億八千万円しかまだ保険契約はできておりませんので、枠というものはそういうような厳格なものではないのでありまして、申請さえあれば私は出すというようなふうに承知しておりますので、これはあなたのほうから申請さえすれば私はその銀行が出るのだ、こういうふうに思つております。それについて丁度政府側も来ておりますから、政府側の一つ御答弁を願いたいと思うのであります。それから続いてもう一点お尋ねいたしたいのは、東京都の鍋島さんでございますが、鍋島さんのこのお出しになりました表を拝見しますと、普通銀行金額において四一・一%、こういうふうになつている。中央金庫が一八・九%、以下そういうようなパーセンテージが、金額比率が出ているのでありますが、これが全国の貸出比率と比較しますと、普通銀行は全国比率が六七・二%というので東京都は非常に低いというようなふうに私考えておりますので、これは何か特殊な事情があるのかどうか。こういうような点と、それから中央金庫のほうを見ますと、全国平均は二・七%なのに、一八・九%、それから信用金庫のほうは七・八%という全国平均に対して一二・九%というような形になつており、又国民金融公庫も全国平均の一・四%が二七・一%、これは非常に東京都はむしろ中小企業金融という面では一般的には相当恵まれているのじやないか。それから特にこの中の全国平均を見ますと、先ほど私の申上げました普通銀行の六七・二%に続いて大きいものは、無尽会社の一九・五%というものがありますので、東京都が無尽の金融がないということも私はないと思いますので、この点も相当率パーセンテージは上つているのじやないかというふうに思いますので、この特に今の普通銀行が何か特殊の理由があるのかどうかという一点、並びに無尽に対する統計がどんなふうになつているか、この点をお聞きしたいと思います。
  25. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) 只今の問題になりました保証保険の枠の問題でございますが、中小企業信用保険につきましては、各金融機関と総枠の契約をいたしまして、その枠内で現実の保険がつけられているわけであります。そこで金融機関に対しては一応枠をきめまして契約をやりますが、若し枠を一ぱい使い切りまして、足りないという申出がありました場合には、若干保留をとつてありますので、その保留の中から廻すということを現実にやつておりますし、又枠の割当を受けても殆んど使つてないというような金融機関に対しましては、その枠を削減をしてほかへ廻すということもやつておりますので、これはどんどん申出て頂ければ殖やすということは可能でございます。それからもう一つ信用保証協会の問題でありますが、これは各信用保証協会に主として地方公共団体が出資しました基金がありまして、原則としてその基金の十倍まで保証をするという建前になつているわけであります。従いましてその基金が十分でないために、保証に対する申込がたくさんあつても、それを引受けることができないというような事情は相当あると思われますので、今回の中小企業信用保険法改正によりまして、この信用保証協会保証の半分を政府で再保険をする、こういうことを考えているわけでありまして、これが通りますれば保証協会としては五〇%を国で再保険してもらいますから、現在のままの基金の状態で行きましても、現在より二倍だけ保証ができるということになるわけであります。なお信用保証協会保証につきましては、大きな都市では一件三百万円乃至五百万円というふうな制限をしており、小さな都市なり府県では大体百万円から二三百万円が最高限度になつておりますので、保証協会の保証は大企業のほうにとられて行くということはないと思います。
  26. 鍋島達

    参考人鍋島達君) 只今の御質問に対してお答えいたします。お手許に差出しました統計附表第三表でございますが、商工指導所が本年の四月から九月までの間に金融相談中小企業者のかたからお受けいたしまして、そうして各金融機関に御斡旋をして、成立しました金額が九月末までに四千五十九万円、十月末までに四千八百七十三万円、件数にいたしまして十月末までに百五十五件と相成つておりますものを、金融機関別に分けて見ますというと、先ほど指摘されましたような数、件数比率及び金額比率を示しておるのでございます。この比率が普通の全国比率と只今御指摘になりましたように食い違いがございます。これは無尽等の金融機関に対しましては、只今商工指導所としては斡旋する比率が皆無な状況に基くものでございます。それから全国比率といたしましては、金額におきまして無論普通銀行はこれよりやや上廻ると思われますが、全般の相談金額層を御披露いたしましたときに御理解願えたかと思いますが、大体五十万円以下、或いは十万円以下という、いわゆる零細金融相談が非常に多いのでございます。従いまして普通銀行の比率が全国の比率よりもやや下廻つておるかと、かように考えるのであります。これに比しまして、商工中金に対する金額の比率は一九%弱という強い比率を示しておりますし、且つ又国民金融公庫の比率も実に金額にいたしまして二七%、件数にいたしまするというと八五%の多額に上つておるのであります。これは先ほど説明いたしましたように、近来いわゆる系統機関の金融、つまり組合金融団体融資というふうなものの傾向にずつと移行しておりますということが中金の比率に現われておりまして、なおこれは本年度の比率でありますが、昨年度二十五年度のごときは、殆んど大部分が金額におきまして中金の御厄介になつておる。従いまして中金のこの中小金融に対する効用、役割と申しますか、は極めて高く評価されて然るべきものというふうに考えるのであります。又同じ理由に基きまして、いわゆる銀行に相手にされない、国民金融公庫というところに行つてやつと金を借りたという向きが非常に増加したということも、この比率が物語るのでありまして、従いましてこういつた特殊金融機関に対するいわゆる財政資金の預託というふうな必要が裏付けされるかと……かように存ずるのであります。
  27. 境野清雄

    ○境野清雄君 もう一つ問屋側の有賀さんに御質問したいのですが、先ほどのお話では、協同組合の組織からいいまして、二十名以下のために大体問屋協同組合ができないというお話でしたが、これは御承知の通り法案そのものではそうなつておりますが、これは公取の了解を得ること、或いは公取から突込まれましても問屋自体が協同組合を作るだけの要素を持つておるというふうなことによつて、これはでき得ないというような断定的なものではないのでありますけれども、そういう面に関して一応公取との折衝を今までにおやりになつたことがあるかどうか、そういう点に関してちよつとお伺いいたしたいと思います。
  28. 有賀祿郎

    参考人(有賀祿郎君) 只今の御質問でございますが、商人というものは只今の公取、その他役所の方面についての折衝は誠に憶劫がつております。これは或いは通弊かも知れませんが、手続が面倒だ、何を聞かれる、いろいろなことがありまして、そういうむずかしいものならば、公取と折衝すればいいという途が開けていても、そういうむずかしいものならよそうじやないかと、こういうようなことに実情はなつておるわけであります。
  29. 境野清雄

    ○境野清雄君 同じ問題について中小企業庁にお伺いいたしたいのですが、今有賀さんのお話にありましたように、そういう面倒なものはなかなかやれん、これはまあ一応問屋さん側としては御尤もな議論だと思うのでありますけれども中小企業庁自体としてそういうものに対しまして斡旋の労なり、或いはその他そういうものに対する隘路を打開するということに対して、何か方法を講ずるというような御用意があるかどうかを一つ中小企業庁のほうへお伺いいたしたいと思います。
  30. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) 中小企業庁では只今協同組合法の改正考えておりまして、できれば今度の通常国会に御提案したいと思つておりまするが、そのうちで小業者についての現在の二十人という線を相当程度引上げるという方向で研究をいたしております。
  31. 境野清雄

    ○境野清雄君 もう一度有賀さんのほうにお伺いしたいのですが、只今の法案自体から行きますと、二十名以下、こういうふうになつており、又中小企業庁としては、この法案を改正するという用意があるというようなお話でありまして、相当二十名のこの率を引上げしたい、こういうようなお話ですが、丁度いい機会なので問屋側としましては、二十名というものは、何名くらいの数字になれば問屋側自体が納得でき、問屋側自体が協同組合が楽に作れるというようなことがあると思いますので、何名くらいを御希望でございますか。
  32. 有賀祿郎

    参考人(有賀祿郎君) 百名以上の従業員を擁する問屋さんも相当ありますが、これは大きな商社という部分のほうへ載つているのじやないか、従いまして限度を五—七十名程度にして頂けば、中小問屋は包含され得る、こういうふうに考えます。
  33. 境野清雄

    ○境野清雄君 大体今日おいで下さいました中小企業に関連のある参考人の皆さんが、比較的御遠慮なすつているのか、或いは余り中小企業が金に詰らんのか、というところを私は少しおかしいと思つているのでありますが、大体今の中小企業信用保険の問題にしましても、七五%から九〇%に上げる、それは九〇%でなく一〇〇%までやらなくちやならないのじやないか、又人によりましては調査料ぐらいは政府が負担するというようなことであつて、そうして銀行自体が嫌わないような形態に持つて行けと、こういうようなお話がありますし、先般私は中小企業庁の長官に質問しましたときには、中小企業庁の長官としては九〇%がもう殆んどリミツトだというようなお話がありまして、その間の食い違いが幾らかあると思うのでありますけれども、むしろ私は丁度大蔵省も来ておるようなので、もう政府自体が、この年末金融でなくも、中小企業金融というものの制度ばかり作つて資金面はさつぱりない、だから制度だけは相当できるが、金はちつとも廻つて来ないというようなことが実情でありまして、先ほどの玩具の理事長さんからのお話を聞きましても、どなたのお話を聞きましても、殆んど金融自体に諦めをつけているというような状態でありますので、こういうことで日本経済が再建できるかできないか、まして戦争が済みまして以来、大企業中小企業との比率が、中小企業が非常にもうその率が上つていることは今更私から申上げるまでもないのでありまして、中小企業をこのまま放任しておきますならば、即日本経済はこれはもう破滅に瀕するのじやないかというようなときにありますのに、もう政府自体としては、どうも制度のほうはいじつてくれるが、資金面はさつぱり出さない。先ほどの松沢さんのお話を聞きましても、三百億以上のものがなければ、一応年末金融というものも追つ付かないというような状態にあるのに、更に金融のこの資金源というものは考えておらないというようなふうに考えますので、一応如何ような、年末金融としましても、或いは恒久的なこの金融に関しましても、大蔵省自体がどんなふうに考えておられるのか、その点も一応一つ大蔵省のほうから来ておられるかたからお伺いしたい。こういうふうに思うのでありまして、いずれにしても、年末金融というものは、もう私どもはなかなか今からやつたつて間に合わないというくらいに考えておるわけでありまして、再度、今まで我々が委員会で幾度も申上げましてもなかなか実現しなかつた。今度の商工中金改正にしましても、これはまあ法案が出ておりますので、いろいろ我々としてもこれに対する意見は相当持つているのでありますが、そういうものにしましても、資金源は更に拡充されておらないというような点は甚だ遺憾でありますし、その上に商工中金あたりは、この金の貸しつ振りに相当不純なものがあるというようなことでは、中小企業はなかなかやつて行けないのじやないか、こんなようなふうに思いますので、一応大綱的でも結構ですから、大蔵省並びに中小企業庁の金融課のほうでどんなふうにお考えになつているか、簡単に一つ御答弁願いたいと思います。
  34. 有吉正

    説明員(有吉正君) 先般も銀行局長が参りまして、ここで申上げた通りでございます。私のほうといたしましては中小金融の疏通のためにはいろいろな手を打つて行かなければならぬ、結局要するに、私のほうで参りましてその手を打ちながら、その元の財政資金と申しますか、そういつたよう資金を流す量が甚だ少いのじやないか、こういうお叱りでございますが、私どもといたしましては、成るべく多額のものを中小金融疏通のために流して行きたいということを念願しておりますし、又努力を続けて参つている次第でありまして、何分にも全体の財政の範囲というものに抑えられるということになりまして甚だ申訳ない次第でありまして、現在取上げましております施策、或いは財政の資金の導入というものが甚だ微弱なものであるということ、これにつきましては更に努力して参りたいと思つております。現在のところの、年末に差しかかりましての現在のところでお話を申上げますと、先ず国民金融公庫につきましては、先般もお話いたしました通り政府の出資金といたしまして十億円増資をいたしまして、そのほかに資金運用部の借入といたしまして、二十億円借入れる予定を立てております。合計して三十億が現在差当り問題になります。それ以外になおこれもこの前局長からお話通りでありまして、見返資金の二十億というものを何とかここに入れたいということを考えておりますが、関係筋と折衝を更に努力して何とか入れて行きたいということを考んている次第でございます。  次に国庫の預託金お話でございますが、先ほど松沢さんのお話の三百億という数字から申しますと、私の申上げる数字が誠に少いので甚だ言いにくいわけでございまするが、先般八月の中頃に百五十億の政府国庫余裕金を金融機関に預託したわけでございます。その際におきましては、従来は銀行のみに限つて、大体銀行と農林中央金庫、商工組合中央金庫に限つて預託しておりました。八月の半ばに至りましてこれを中小金融の貢献度に応じて配分し直すということで、この百五十億というものを各金融機関に預託いたしまして、特にこの際信用組合並びに無尽会社、従来国庫の預託金は預つておりません信用組合無尽会社に対しましてそれぞれ預託を行なつたわけであります。それ以外に商工組合中央金庫につきましては、従来七億円でございましたが、それを大幅に引上げまして、十三億円にいたしましてこれに預託をしたわけでございます。そこでその期間は三カ月間でございましたので、十一月の半ばにその期限が到来したわけでございます。銀行からはすべて金額を引揚げましたのでございますが、信用組合無尽会社につきましては、その半額の引揚げにとどめ、半額はなおそのまま残す、約十六億円に上りますが、そのまま残した次第であります。更に商工組合中央金庫については、全額十三億そのまま残すという措置をとりました次第でございます。なおそのほかに附加えて申しますと、先般のルース台風の被害のために商工組合中央金庫に対しまして特に二億四千万円預託を延ばしたわけでございます。又無尽会社信用組合につきましても、被害地におきましては、半額の引揚げもとどめまして、全額そのまま残すという措置をとつたわけでございます。現在私ども考えております財政資金の導入という点につきましては、甚だ金額微弱でございますが、今後ともなお例えば商工組合中央金庫に対して何らかの財政的な方法を講じて行きたいという努力を続けたい、かように存じておる次第であります。
  35. 境野清雄

    ○境野清雄君 中小企業庁のほうにお伺いしたいのですが、一体中小企業庁自体として中小企業金融というものは、協同組合を単位にして協同組合の維持育成を図つて、それによつて日本経済の基盤を作ろうということが根本の方針なのか、或いはそうでなく、個人を単位にするということで考えておられるのか、その点を簡単で結構ですが、御答弁願いたいと思います。
  36. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) 中小企業庁といたしましては、中小企業対策は組織化中心にやつて行くということは、前からの方針でございまして、金融につきましても、組合金融中心にやりたいというふうに考えておるわけであります。ただ業種によりましては、必ずしも組織化が容易でない、或いは組織化ができないという業種もございますので、そういう業種については、これはやはり組合金融以外の形でやつて行かなければならぬのではないか、こういうふうに考えます。
  37. 境野清雄

    ○境野清雄君 次に大蔵省のほうにお伺いしたいのですが、先ほど来問屋側の御意見を聞きますと、店舗は相当持つておる、併し店舗を持つておりましても、これが活用でき得ない。言い換えれば不動産担保的なものでこれを活用してもらいたい。その他の二、三のかたからも、そういうような不動産担保というようなもので……、これも勧銀その他のものがあつたときに比較して、今月の金融がそれだけでも梗塞されているのじやないかというような御意見があつたのですが、そういうようなものに関しまして大蔵省自体は不動産担保或いは商品担保というような面に関してどんなふうに考えておられるか、御意見を承わりたいと思います。
  38. 有吉正

    説明員(有吉正君) 不動産担保金融につきまして、戦後不動産の貸出というものの減少に伴いまして、若干その手が緩んで参り、現在のところは銀行一般の不動産担保という点からは離れますが、国民金融公庫が幸いにして出資が十億殖え、更に借入が二十億できました際でございますので、国民金融公庫の今後の資金の貸付の方法としまして、不動産担保金融を入れて行くような貸付の方法というものを考え、年末に差迫りまして至急にこの案は進めて参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  39. 境野清雄

    ○境野清雄君 それから先ほど中小企業振興会からの案の中にありましたが、これは先般も私質問したんですが、中小企業信用保険基金が十五億円ある。これは全然使つておらないはずでありまして、こういうようなものを何らかの措置で金融機関に実績によつて預託するというようなことに対する御意見は如何ですか。
  40. 有吉正

    説明員(有吉正君) 大蔵省のほうからお答えするのは少しおかしいのでございますが、中小企業信用保険の基金それ自身の問題でございますが、これは中小企業信用保険におきましても、政府といたしまして危険負担という点から申しますと、この基金を運用して、その運用益を挙げまして、信用保険の運営を図つて行くという点からいたしますと、或る程度の基金の存在というものが必要ではなかろうか、これをそのままほかに貸付けるということにつきましては、それは検討すべき余地があるのではなかろうかと、さように考えておる次第でございます。
  41. 境野清雄

    ○境野清雄君 まあ大蔵省のお話を聞くと大変中小企業金融に大蔵省自体も力を入れておられるようですが、実績は更に挙つておらないというような形で、これは少くも見返資金を市中銀行へ流したときにもういい轍を踏んでいるのでありまして、借入方なり、手続がうるさいとか何とかいうことで、全然見返資金を廻したというようなものは借りる者がないというような状態になつている。これは大蔵省自体も初めからわかつておるのでございまして、今日の情勢になつて見てあの四十億の剰余金をどつかへ廻そうかと、或いは商工中金あたりへ廻そうかというような案も考えておられるようでありますけれども、ああいうようなものによりましても、総体的な中小企業金融というものが完全に行つておらない。言い換えれば政府考えておることは金と太鼓だけ叩いていまして、実際問題はどうでもいいのだというようなふうに我々は考えておるのでありまして、少くとも大蔵省自体がいわゆる中小企業庁の意見なり、何なりに、もう少し私は協調してもらつたらどうかというような考えもあります。先ほどどなたからかお話のありました、中小企業銀行というようなものも、これもどこで潰れたのか私はよくわかりませんが、まあ大蔵省あたりとの折衝ができ得なかつたのじやないか、こんなふうに思いますので、私どものほうの通産委員会に対しましても一つときどき大蔵省のほうから金融措置に関しては何かと御方針なり、何なり御説明を願いたい。今のような状態でいましては、いつも土壇場に来ては大蔵省に来て質問するというような形態になつているので、この点は甚だ私どもとしては遺憾だと思いますので、中小企業に対する一つ大蔵省の大きなお考えがありましたら、そういうようなものを何か印刷物にしてでも廻してもらわないことにはどうも納得でき得ないのでありまして、これは明日銀行局長さんでも参りますれば私よく申上げるつもりでありますが、大蔵省自体ももう少し中小企業金融に対しては真剣になつて頂きたいと思います。
  42. 島清

    ○島清君 只今松沢参考人から信用保険法改正についての御意見の開陳がありまして、中小企業庁のかたもお聞きの通りでございまするが、これに対しましてどういうような見解を持つておられるか。更に又松沢参考人がおつしやつたように、改正の意図を以て研究されたことがあるかどうかをちよつと御答弁願いたいと思います。五点挙げておられるのですがね、頁の……。
  43. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) この第一点の基金を預託するという問題でございますが、これは大蔵省の特殊金融課長からも御答弁がありましたが、なお私から附加えますと、資金運用部資金法という特別の法律がございまして、国の特別会計の金はすべて資金運用部に預けろということが法律できまつておるわけでございます。従いまして仮に預託をすることが適当であると考えましても、法律改正措置を要するということで、この点は早急には実現が困難じやないかというふうに考えております。それから第二点の保険の貸付を三カ月以上にしろという点でありますが、この点は信用保証協会保証を再保険するという点で大部分くくれますので、この二の点は中小企業庁としましては考えておらなかつた点であります。それから第三点は保険を強制保険に改めて枠は必ず消化する措置を講ずるという問題でありまするが、この問題は強制保険ということになりますと、銀行が貸付けた貸付は全部保険にしなければならんということになりますので、現在のような建前から行きますと、厖大な保険基金が必要になつて参りますので、第三の点につきましても実は我々としては考えておらなかつたわけであります。それから第四点でありますが、大銀行保険利用しないから、その範囲を中小企業金融に限定をしろというような問題でございまするが、実は大銀行といえども若干は中小企業金融をやつておりますので、これを全然締出すということもどうかと思われますが、併し実績を見まして、枠を配布いたしましても消化しないような銀行には、逐次これを減らして行くという措置を現在とりつつあるわけであります。それから第五は保険の取扱機関を選ぶ場合に熱意を持つものはすべて取上げろと、こういう問題でありますが、この点は大体そういうふうな考えでやつておりますけれども、ただ問題はやはり国の資金を使うことになりますので、幾ら熱意がありましても、その経理内容なりに不安があるものにつきましては、無条作で取上げるということもどうかと思いますので、その点は大蔵省と協議をいたしまして、その機関の内容が確実であるならば、仮に小さな組合であつても、これは取上げて行くという方針で現在もやつておるわけであります。
  44. 島清

    ○島清君 これは私は松沢参考人の御意見尤もだと思いまして御質問を申上げたのでございまするが、考えていなかつたという点がかなりあるようでございまするが、どうぞ一つこれは私尤もだと思いまするので、更に考究をして頂きまして、こういつたような趣旨を生かして頂くように研究を煩わしたいと思います。  それから大蔵省関係金融課長にお聞きしたいのでございまするが、只今境野委員の御質問に答えまして、中小企業金融対策といたしまして、これはむしろあるというよりないと言つたほうが適切じやないかと思うぐらいでございまするが、何を申上げましても、金持のアメリカからドツジさんが貧乏人の日本を監視しておられまするので、それはやりにくいであろうということは重々想像しまするけれども、併しながら貧乏人の日本人は如何にして歳末を越すかということは、これは御同様身を以て体験いたして参つておりまするので、これが積極的な中小企業金融対策であると私たちは毫も受取れませんが、少くとも消極的にでも、大蔵省としては歳末の金融対策を講じてもらいたいというのは、あなたたちあたりが、国税庁ですか、税金を取立てる面のほうに伺いまして、歳末の税金の取立ぐらいは一つ消極面で中小企業を助けてやつてくれんかというようなことをやつて頂きたいと思いまするが、そういう面について思いを煩わしたことがあるかどうか、若しないといたしまするならば、そういう消極的の面からでも中小企業に対する親心を示して頂きたいと思います。
  45. 有吉正

    説明員(有吉正君) 只今の御質問私ども誠に微力で、中小金融に対しまするところの資金源の獲得という点につきまして十分にできないところもお叱りでございます。今後財政資金の導入というような点は、先ほども申しました通りに、財政規模の大小ということに制約されまするために、なかなか思うように参らない次第でございますが、できるだけのことをいたしたいと、かように考えておる次第でございます。殊に年末に際しまして常に問題になりますのは、年末の金融、他方にインフレの抑制という使命がございますが、中小金融に対しましてはこの点は十分に考えて、年末に際しまして中小金融の促進が阻害されるというインフレ抑制策はとらんという大蔵省の気持であります。この点は十分努力して参りたい、かように考えておる次第であります。ただこれは御質問を取り違えたら甚だ恐縮なんでございますが、税金関係ということで御質問ございましたですか。
  46. 島清

    ○島清君 これは年末になりますとですね、例年税金旋風がやつて来るのですがね。懐ろは寒いのに出さなきやならん、出すまいとすると押えられちやう、押えられちやうと年が越せないというのが大体例になつておるのですね。
  47. 有吉正

    説明員(有吉正君) 御質問の御趣旨がちよつと……。
  48. 島清

    ○島清君 ああそうですか、それでは申上げましよう。それじや言葉が足りませんので大変恐縮でございまするが、年末金融対策というのは如何に年を越すかということがまあ大体主眼でなけりやなりませんが、それに対しては松沢参考人がおつしやつたように、三百四、五十億の金を流してもらえば年が越せるのだということでありまするが、あなたの御説明を伺つておりますると、一都道府県の金融対策としてなら或いはこれはあるとも言えるかも知れませんが、これが全国的な中小企業金融対策としてはちよつと私はあるというよりもないと言つたほうが適切じやないか、こう考えるのです。併せて、金のないところへですね、きまつて年末になりますと税金旋風がやつて来るのですよ。だから大蔵省といたしましては、この積極的な年末金融対策が、ドツジさんという金持が来られて貧乏人の懐ろを監視しておられますので、貧乏人の懐工合はおわかりにならんかも知らん、そこで今日の段階においては積極的な金融年末対策というものができないといたしまするならば、せめては消極的にあなたのやはり同じ省でございまする税金関係のほうをもう少し年を越させるように、緩やかに、成るべくならば取立を延期してもらうというような消極的な対策でもお考えなつたことがあるか、又考えてないとするならば今後もそういう面において消極的な努力をして頂きたいということなんです。
  49. 有吉正

    説明員(有吉正君) ああそうですか、わかりました。同じ大蔵省におりますために財政金融の総合的な点がどうなるかというお話で、中小企業に対する税金の問題、これは私一事務官で銀行局におりますために全体の総合的な観点から御答弁申すわけには参りません次第でございますが、税金は税法に従つて適正な課税をして行くという建前から申しまして、これに対する税金の猶予という点、これは誠にこちらの力が足らないために、そういうようなお叱りの点から御意見があろうかと思いますが、我々といたしましては、税金は税法通り取る、これが国家財政の確立、殊に財政資金を各方面に流します際におきまして、その基になりますものは飽くまで税金でございます。そこは誠に年末になりまして、出すほうは出さんで取るほうは取上げるというお叱りを受けようと思いますが、併し財政金融全体としての立場から申しますればやはりその点は御辛抱願わなければならんのではないか。誠に事務官としての答弁でございますがよろしく一つ……。
  50. 松沢隼人

    参考人(松沢隼人君) 甚だ恐縮でございますが、信用保険法改正の要望の第一点の基金預託の問題でありますが、この問題と、それから強制保険の第三点の問題でありますが、この点につきましては、実は大蔵省の主計局の法規課と、中小企業庁の前振興部長であつて、今繊維局長になつておる記内部長と話合いをして法規課の赤羽事務官がこれに当つて立案をやつておつた、そうしてこれはいわゆる強制保険によつて、せめて与えられて契約した枠だけは必ず責任を持つて貸付けなければならないというふうに改めようという話合いで立案中に、大蔵省の今度は赤羽さんはアメリカへ行かれるし、振興部長はいわゆる転任をして行つてしまつたというので、これは立消えになつたいきさつがございます。従つて、私は是非ともこれは議員連盟の理事会でも取上げておる問題でございますので、この機会に一つ実際にこの保険法が生きて活用するために是非ともお願いいたしたいと思うのであります。私は最近信用組合を作りまして、その金融機関組合長をやつておるのでありますが、実際扱つて見て、私は保険法の枠をもらつて全額一〇〇%貸付けましたが、実際問題として資金量を六カ月以上固定させることになりましたので、貸す側の立場とするとなかなか困難があるのであります。で、私はせめてこれを本当に促進するため保険意欲を増す意味から言つて是非とも一部預託をするように法律改正してもらつて、そうして是非とも保険法が有名無実にならないように御考慮願いたい。そういう点で、いきさつがそういうことになつておりますので、大蔵省側としても中小企業庁側としても一応話合つて、これはこの前の国会に考えようというので相当研究した実情がございますから、一つこれは今の課長さんも前の課長さんが病気で倒れて、組合課長から転任されて来たから、前のいきさつはおわかりにならんと思いますが、この点は一つ特にこの機会に通産委員会の熱意ある御協力と、政府側も一つ考えて、是非実現できるように是非とも突つこんで考えて頂きたいと思うのであります。中小企業者といたしましては、折角政府がそうした国で保証までしてやろうというふうな画期的な法律ができて、非常に明るさを以て昨年の年は越したのであります。実際この年になつて年末を控えて保険の百四十四億の枠があるのに十六億八千万しか実際には貸出されておらないというこの事実を見ても、折角制度はできたが、実際運営されなかつたという事実が起きておるのでありまして、是非とも私はこの機会にこれをまじめに取上げて真剣に考えてもらいたい。そういうことによつてこの保険法がどんどん活用されることによつて中小企業がせめてこれが画期的な処置へ……そういうことをお願いできれば、すでに枠が、百四十四億が各金融機関割当てられておるのでありますから、それが何か資金の裏付等があつて出るということになれば、年末に実際間に合う。金融機関としても保険料をつけて出すのですから心配はないのです。ですから保険料さえ心配してもらえば、これは年末に間に合う事柄でございますので、是非ともこの点は貸付と、保険法改正と同時に修正等でお考え願えれば間に合うので、折角昨年の暮年末打開のため政府は一月一日施行を十二月十五日に繰上げて、わざわざ面倒なことをして、これを通過させたいきさつもございますので、この点特にお願いいたしたいと思うのです。なおこの委員会といたしましては、前の国会でも中小企業金融促進に関する決議案を出されて、そうして中小企業金融について参議院の通産委員会が非常な熱意を示しておられることに対して、私は非常な感激をしておるのでありますが、又年末を控えて、親心を以て我々中小企業者ために心を砕いて頂いておりますので、何らかの処置によつて実際年末に間に合うように御処置願うように強くお願いをこの機会に申上げておきます。
  51. 山田正作

    参考人山田正作君) 先ほど私ちよつと意見を申上げましたのですが、国民公庫に対して相当の予定をしておられますが、中金に対して何らの措置をとつておられない。この点について大蔵当局のかたの御意見を、早急に迫つておる年末のことですから、企業庁等におきましては盛んにその点を強調しておられたのですが、殆んど企業庁の公表せられることは一つも実施せられていないという問題については、何だか企業庁のおやりになることは、継子扱いせられて、大蔵省関係の個々の問題については積極的に御援助願つておる、これも無論中小企業が対象でありますから、私どもそのことについては非常に喜んでおりますが、協同組合を対象とする中金に対して是非ともこの年内に間に合うように、何らかの措置をとつて頂きたい。大蔵当局のお考えを是非拝聴させて頂きたいと思います。
  52. 野村貞吉

    参考人(野村貞吉君) 我々の輸出工業には諸外国の相手があります。これを相手にして産業の合理化を図つてつて行かなければならんという問題があります。つきましてはやはり金融の問題に入りますが、先ず興業銀行、まあ我々工業家は興業銀行であります。一般市中銀行は、やはりこの不動産担保ではなかなか金融を嫌つてやらないのであります。どうしても興業銀行あたりを対象として金融いたさなければならん、こういうことになつておりまするが、やはり大工業になりますと顔がきいております。その顔をきかして、一億、二億、数億という金を簡単に引出しております。これは一企業でありながらそういう金融ができますのに、我我は小企業なるが故に僅か百万の金も容易に引出せない。これは、やはり顔がきいておらん、又裏付も非常に薄弱である、こういう結果におきまして、まあ金融に非常に困難を来たしております。つきましては、こういう協同組合というものが折角あるのでありまするから、これを基本といたしまして、これを理事長初め各理事が連名をいたしまして、全部の工業家の不動産をやはり担保として、如何にむずかしい条件を附けてもこれは結構であります、必ず返済するだけの自信を持つておりまするから、これを基本としてまあ少くとも一億くらいの金融を願つて、この輸出の、何と申しましようか、国家百年の計を立てたい。やはりここで我我が資金の面において滅亡するならば、やはり輸出の将来は誠に危殆に瀕する次第でございます。どうか政府当局におきましてはこの我々の苦衷を十分御推察願いまして、先ず大蔵当局の御斡旋によりまして、興業銀行あたりを通じて我々に金融のできまするように、是非ともお願いしたい次第でございます。
  53. 境野清雄

    ○境野清雄君 只今参考人のかたから質問があつたようでありますから、私から改めて大蔵当局に質問いたしますが、今の山田さんのお話もあつたように、実際我々としても同じような考えを持つておる。言い換えれば国民金融公庫に関しましては、大蔵省は相当の力の入れ方をやつておるが、商工中金に関しましては相当熱意が足りないように考えておりますが、商工中金に関してどんなような措置を講じようと思つておるか、或いは国民金融公庫との関連性においてどんなようなお考えを持つているか、一つ大蔵省の御答弁を願いたいと思います。
  54. 有吉正

    説明員(有吉正君) 国民金融公庫と商工組合中央金庫の問題でございますが、商工組合中央金庫にいたしましても主務大臣、通産大臣同時に大蔵大臣やつております共管でございます。私のほうは別に継子扱いにするという気持は絶対に持つておりませんし、又今後商工組合中央金庫に対しまするところの資金の導入というものも何らかの措置におきまして具体化して行きたいということをかねて努力しておる次第でございます。先ほどもちよつと触れましたが、政府国庫預入金の預託につきましても、年末十三億をそのまま預託しております。又ルース台風の対策のために二億四千万円新たに預託した次第でございます。金額は僅かではございますが、何らかの措置は実はしてございます。又今後も十分な努力をして行きたいと考えておる次第でございます。
  55. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のお話ですけれども、これは勿論法案が廻つて来ておりますから、法案審議のときに私のほうから詳しく申上げようと思つておりますが、大体現在においては百七十億くらいの貸出残というような商工中金現状でございますが、私どもはこの三月頃から年末、いわゆる十二月までには二百五十億からなければ足りないじやないかというようことを再度我々は主張しておつたのでありまして、そこの狂いはどう見ましても七十億以上のものがある。それで今のお話では二億四千万円のルース台風のようなもの、並びに十三億を引揚げないというような程度によりまして、この商工中金が完全に機能が発揮できるか、でき得ないかというようなことに関しては大蔵省はどういうふうにお考えになつておりますか。
  56. 有吉正

    説明員(有吉正君) 商工組合中央金庫の資金源の問題でございますが、商工組合中央金庫としまして資金源が多ければ多いほうがよろしいわけで、これは当然でございまして、私のほうも何とかこの点努力して参りたいと考えておる次第でございますが、全体的に先ほどから申上げております通り財政資金等の、或いは資金運用部の資金の計画というような枠がございますので、今後なお努力して参りたいと思つておりますが、現在のところは只今お話した通りの次第でございます。今後の一つ努力に待たして頂きたいと、かように存ずる次第でございます。
  57. 境野清雄

    ○境野清雄君 結局大蔵省は、この間私は銀行局長に聞きましたときも同じような答弁をしておりますが、現実の問題として国民金融公庫と商工中金というものは同列に考えておるのだということを言うすぐそのあとから、片方には三十億からの資金源をやつており、商工中金は多けりや多いほどいい、多けりや多いほどいいというのは、ひとり商工中金に関してだけではなく、どの金融機関でも多ければ多いほどいいのですけれども、その総元締は大蔵省にあるのでありますから、もう少し商工中金というものと国民金融公庫を並立に考えるような一つ措置を講じてもらいませんと、口だけでそういうことを聞きましても、どうしても私どもは納得でき得ないということがあるので、特に今日来られておる特殊金融課長さんにお願いするばかりでなく、一つ帰りましたら大蔵大臣初めその首脳部とも御相談願いまして、年末金融に関する商工中金の拡充というものを、今私どものほうへ法案が廻つて来ておりますから、法案の途中いろいろそういう面も私どもは突つこんで聞いて見たいと思つておりますが、そういうことに対して早急に何か一つ対策なりお考えなりをまとめて頂きたいと思います。
  58. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私丁度中小企業の皆様おいでになつておりますので、この機会に大蔵省と中小企業庁のほうへお尋ねをしたいと思うのです。それは只今中小企業信用保険法が提案されておりますが、私はあの法律案を見て非常に不満足に思つておりますのは、丁度今年の春の国会でありましたか、参議院は全会一致を以て中小企業金融難打開の決議をいたしたことがあります。そしてその決議は満場一致でありまして大蔵省も当時善処をするように約束をされておつたと思うのであります。その趣旨が十分にあの法律案に入つておれば私はこの委員会で即刻に法律案を上げて、そして年末金融の打開のために直ちに御利用願う、こういう工合に行けそうに思うのでありますけれども、残念ながら我々が当時考えた一番中心の問題は入つておりません。即ち資金ソースを獲得するという問題はそこの中にないと私は思うのであります。結局もつと率直に申しまするならば、仮に大銀行筋との関係がありますので、先ほど話題になつておりまするように一〇〇%国家保険をつけても恐らく私は大銀行筋は中小企業への融資は大企業と同列には扱つてくれないだろう。仮に一〇〇%つけても扱つてくれない、そういう状况にありますので、先ず保険は一〇〇%国家がする、こういうことが前提でなくちやならんと思うのですが、そういう点が入つていない。従つて私は業者に……、どうしてそういうようなことが大蔵省で行われないのか、中小企業庁で御相談になつてできないのか、その理由又決議案を受理されてからあの内容について御検討になつたかどうか、これを伺いたいと思う。なぜ私がそういうことを申すかと申しますると、最近新聞紙上に御覧のように終戦以来少くとも政府の直接、或いは間接にタツチした事業においてのスキヤンダル事件というものは国民の顰蹙を買つておるわけであります。公共事業費においても二百億、或いは三百億の不正費消が行われておる。こういうことが言われておるわけであります。従つて真剣に中小企業の皆さんが産業振興のために金を借りられて、そしてときたま失敗をせられてそれが国家の損失になつてもこれは私はまだ、仮に貸倒れになつても情状酌量の余地がある。ところがそういうことはなかなか厳に恐れて政府はやらない。一方において政府筋が巻き起すいろいろな大切な国家資金をいろいろな不愉快な面に使うことについてはちつとも縮小されない。こういうことでは甚だ以て面白くないと思うのです。政府は本当に中小企業が日本の産業経済の普遍的な中核をなしておるという考え方を持たれるならば百億やそこらの全額保険ぐらいは……、断を下し得ると私は思うのであります。どうしてそういうことができないか、その点を伺つておきたい。先ほど大銀行筋と大企業と差等を設けておることはないということを口ではおつしやるのだけれども、実質において参議院の全会一致の決議というものは今度ちつとも盛られておらない。こういう工合考えております。形式だけを追つて実質的な内容のものはちつとも盛られておらないということを私は非常に不愉快に思うのであります。そういう点を一つ明瞭にして頂きたいと思います。
  59. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) 中小企業信用保険法改正につきましては業界側から、或いは金融機関側からもいろいろ御要望がございまして、中小企業庁といたしましては極力そういう希望を実現したいという線の下にいろいろ政府部内で折衝をいたしました結果、この制度は何と申しましてもまだ実施後一年になりませんので、なおいろいろ研究すべき点もあるのじやないかという意見も相当ございまして、全然異論がなくまとまりました点だけを取りあえず急いで今度の国会に御提案したというような事情になつておりまして、なお今後研究をいたしましてできるだけ早い機会にまとめました点から逐次直して行くという方向で行きたいというふうに考えております。
  60. 永野芳辰

    参考人(永野芳辰君) 只今の御質問は私も非常に共鳴したのでありまするが、この一〇〇%、なぜ政府が危険負担できないかという問題でありまするが、実は福島県、奈良県、佐賀県等においては県の貧弱な地方財政でこれを負担しておるのです。例えば福島県の例を申上げますというと、県会で或る一定の限度の金額を議決しまして、予算外負担としまして議決しましてその範囲において中小炭鉱に融資をする。その損失は補償するという制度をとり、又佐賀県及び奈良県におきましては中小企業信用保険制度によりましてこうむります二五%、現行で行きますと二五%のリスクを信用保証協会の基金で預託して、それによつて保証するという制度を県自体がとつておる県もあるのです。ですから私はどこまでも飽くまでもこれは当然国家が一つのリスクを、全部のリスクを負担してこれは中小企業を育成するのだ、日本の経済の立場から中小企業というものをどうしても生かして行かなければならんという立場からお考え願えればそれぐらいの金額というものは当然呑んでいいのじやないかというふうに考えますので、関連いたしまして……。
  61. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私が質問したのは参議院の決議案、全会一致で可決されておる決議案が今度の改正法律案の立案のときには当然私は考慮されておらなければいかんと思うのですが、それを御覧になつたかならないかということを先ず伺いたいと思うのです。御覧になつたならばそれをどういう工合にお取上げになつておるか。そこを伺いたいと思うのであります。
  62. 有吉正

    説明員(有吉正君) 只今の御質問の点了承しております。先ずこの中小企業信用保険につきましては中小企業庁所管に属しておりますのでこちらにはございませんが、私どものほうといたしましてもできるだけ中小企業庁の改正案、これにつきましては事務当局としまして、私のほうとしまして全面的に賛成したような次第でございます。先ほど谷敷課長からお答えの通り現在のところ差当り改正して行くという線に従つて改正の点を早急にやつて行くという線に私のほうも誠に同調をしてその線で来ておる次第でございます。
  63. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はとにかくどうも国の計画されることが形式に流れ過ぎておる点が非常にいけないと思うのです。例えば今度の商工組合中央金庫法改正にしましてもこの日本の金融体系というものの根本的な分析がちつともうまくできていない。それで商工中金の改組に当つては今度組合の構成員にまでも預金を認めようというようなことで普通銀行と同じような性格でどんどんして行こうというようなことがあるわけです。こういうようなことによつて融資の便も少しやわらげて行きたいということであるのだけれども、商工中金ができた本来の精神を伸ばして行くというような恰好でなくして、極端に我々の見方をいたしまするならば、どうもうまいこと行かない。従いまして今度性格を若干曲げてでも普通銀行と同じような性格にして金融の幅を拡げて行きたい。こういうようなどちらかと言えば邪道の面が、改正案ができつつある。こういうことでは私はよろしくない。そういうことではもう商工中金をやめたほうがいいと思う、そうして普通銀行にして普通銀行を育てて、そうしてやつて行けばいいので、ものの考え方がどうも小手組工というか、邪道というか、そういう工合に陥りやすいので、商工中金というものの根本的な対策を立てて、それの上で伸ばして行かれたどうも考え方であると私は了承いたしかねる点がある。まあ、大体今伺いましたが、これは又いずれ法案のときに私は質して参りたいと思いますが、どうか今のような点で我々としてはどうも全幅的な拍手を送り得るような状況にないということを御了承願つておきたいと思います。
  64. 境野清雄

    ○境野清雄君 大体私最後に一言お伺いしたいのですが、只今大蔵省側の答弁としては信用保険に関しては中小企業庁側の申入れに全面的に賛成したとこういう御意向があつたのでありますが、私はもうこれは最も納得でき得ない問題じやないかというと、中小企業庁は最初から七五%の保険率を九〇%に引上げよう、こういうことを意図していたということは我々は当初から知つておる。又期間にしましても六カ月を三カ月間に短縮するというようなことは最初から中小企業庁はもう言つてつたのでありまして、私どもから考えればこの大きな改正点の二点は大蔵省の拒否によつてこれはでき得なかつたということは、私どももう百も承知しておるのでありますが、それを大蔵省自体がぬけぬけと全面的に賛成した、信用保険についても、中小企業の商工中金に関してもそういうものは全面的に賛成したのだという政府部内のこの問題を我々当初から知つておる者にぬけぬけと言われたのじやどうも私ども今質問終ろうと思つたのですけれども、そういうようなことを言われたのでは、それは私どもは今後政府答弁そのものを信用できないということになりますので、これは別に御答弁はよろしうございますが、今後はこういうものに対してそういう御答弁は願わないように一つ御申合せを願いたい。政府部内でそういうことがあつたということは、我々はもう十二分に承知しておるのですから、そういう点は今後は一つ慎んで頂きたいと思います。
  65. 松本昇

    委員長代理松本昇君) 如何でしよう。委員のかた何か御質問がなければもう大部時間になりますので、一応参考人のかたにお引取りを頂いて、あと協議会に移らして頂きたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 松本昇

    委員長代理松本昇君) それではどうも皆さん御苦労さんでございました。有難うございました。それではこれで閉会いたします。    午後四時三十四分散会